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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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683:中国、次の暴落は2015年秋ごろか?

2015/07/23 (Thu) 15:24
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当面、ツイッターのみ更新し、ブログ更新はどうしてもツイッターでは表現しきれない重要なニュースがあったときだけ、というようにする方針です。

※私のツイッターは、当ブログのPC版の左上に表示しているツイッター窓で見て頂くか、「twitterでフォローして下さい」ボタンを押してツイッターを開いてみて下さい。





※ツイッターでは書ききれ無さそうな話なので、ブログ更新です。



【仮説:秋ごろ、中国発世界大恐慌】

先月から今月にかけて中国株の暴落があり、現在は共産党政権によるありとあらゆる株価維持対策でかなり回復しています。


上海総合指数は“6月に5166でピークに達してから急落し、7月8日には3507の安値をつけた。その後は、7月初めに中国政府が打ち出した数々の「非伝統的政策手段」のおかげで約15%値を戻している”という状況です。

中国当局による株価対策をざっと拾い上げてみると

中央銀行提供の資金を使って市場規制当局の一部門である中国証券金融(CSF)が株式を購入

大株主による保有株の売却を6カ月間禁止

中国の主要証券会社21社は株式購入基金に1200億元(約2兆3700億円)を拠出すると表明


ちなみに、ここ2週間ほどの中国株式市場は、午後になると政府主導の介入でほぼ必ず株価が上がるという珍現象が続いており、もしも市場が開けるとともに株を買い、その日の引けの時に株を売ると、買い持ちしているよりもずっと儲かるという状況になっているそうです。
但し、そのような、その日に買った株をその日のうちに売る取引は禁止されているのですが、先物は禁止されてないのでやろうと思えばできる状態ではあります。
ブルームバーグ記事)。


さらに、

WSJの分析によると、ピーク時には全上場銘柄の51%が売買停止を申請し、さらに46%が値幅制限規則により取引が停止された
→売買停止は政府の指示などがなくとも、上場企業が自主的に申し入れることで可能になるようなシステムであって、たまたまのタイミングで買収阻止のために売買停止していた「全くの偶然の一致」、と説明している企業もあるとか。まあ、この世の中、様々な偶然で成り立っていると言えますが(笑)。


とまあ、かなり凄まじい株価維持作戦を絶賛実施中という塩梅。


なお、証券会社による買い支えは、「中国株価対策に新たな犠牲者-やればやるほど証券会社に負担と言えそうです。これはいつまででも続けられません。


また、中央銀行(中国人民銀行)の資金まで使った買い支えも、これもまたいつまででも続けられないものと思われます。特に習近平政権はいま、人民元の国際化、とりわけ人民元のSDR入りを最優先課題の一つとしているため、人民元安を許容できないからです。よって、人民銀行がいくらでも人民元を刷りまくるというわけには行かず、いくらでも株の買い支えをやる、というわけには行かないと考えられます。

というよりも、むしろ、中国の通貨当局はこの1年、対米ドルで人民元安になるのを防ぐために、為替介入していたようです。ブルームバーグの記事

A $4 Trillion Force From China That Helped the Euro Now Hurts It
これまでユーロを支えてきた500兆円の中国外貨準備が、いまやユーロを傷つける

http://www.bloomberg.com/news/articles/2015-07-22/a-4-trillion-force-from-china-that-helped-the-euro-now-hurts-it
Bloomberg, July 22, 2015

によると、人民銀行が保有する4兆ドル(ざっと500兆円)にのぼる外貨準備のうち、今年の6月までの一年間で3,000億ドルを切り崩して対ドルレートの下落を防いでいたとのこと。

記事の趣旨は、これによりドル準備が減ったので、バランスを取るためにユーロ準備を売る動きとなり、ユーロが安くなるのではないか、ということです。
しかし私はそれよりも、人民元がIMFのSDRの構成通貨となる確率を高める目的で、他国の通貨当局が外貨準備として人民元を買いたくなるようにするために、対ドルのレートを維持するという動きとなっていたことに注目したいと思います。


というわけで、政府主導の株価対策はいくらでも、いつまでもできるかというと、かなり難しいと思われます。



そして、電力消費量(参考資料)、鉄道輸送量(参考資料)、コンテナ輸送量(参考資料)が昨年から今年にかけて大幅に減速しているというデータから、中国の景気の実態は相当に悪いという説があります。


というわけでここで仮に、中国の景気は相当に悪い、とします。

その中で、民間証券会社や政府系金融機関や中央銀行による株価対策に回せる資金は、恐らく、限りがあると思われます。

また、大株主による保有株の売却を6カ月間禁止、ということは、景気が悪い中で資金調達の必要性が出て来ても、年末までそれら大株主は株を売って資金調達をすることができない状態であるわけです。SDR入りが重要課題である間は、中央銀行による輪転機を回して※の救済(リーマンショック後にFRBが大手保険グループAIGに対してやったようなこと)は期待できないでしょう。ということは、一旦景気が悪くなると、悪化の度合いがいやが上にも深まりやすい状態と言えそうです。
※実際には輪転機を回すわけではなく、単なる帳簿上の操作で当座預金を増やすことになります。


そして、SDR入りになるかどうかが決まる時期が、大和総研のレポートによると

「今後のタイムスケジュールとしては、7 月中に IMF の非公式理事会が開催され、人民元の利用状況についてデータ上の検討を行い、秋頃に公式理事会で人民元の構成通貨入りが審議される予定」


今年の秋ごろです。秋ということは、9月~11月という具合でしょうか。

少なくともその辺りまでは、株価維持が必要であり、当局はやっきになって株価を維持し続けるのではないかと思います。
そうでなければ、株価が暴落し、すると、外資がいっせいに資金を引き上げることとなり、元安、元の急落圧力が高まります。
そうなると、大規模な為替介入で人民元の価値を維持せざるを得なくなりますが、それは外貨準備の急減となり、人民元の信用に傷がつき、SDR入りの可能性を減らしてしまいます。
ゆえに、少なくとも「秋ごろ」までは株価維持が継続されるものと考えられるわけです。


一方、人民元がSDR入りになるにしても、ならないにしても、これが決着すると、人民元の対ドル為替レートの介入の必要性は当面減ります。
すると、株価対策のために人民銀行は大っぴらに当座預金を増やして株を買うことによる株価維持対策をするようになる、かも知れません。
しかし、それは人民元の国際化の方向性と正反対になります。これから安くなる通貨を、外貨準備として保持したいような他国の通貨当局はいないでしょう。
しかしながら、株価対策はしない、となると、もちろん今度は大暴落、外資引き上げ、人民元安、ということになってしまいます。

が、SDR入りを果たす前の株大暴落&人民元安と、SDR入りを果たした後の株大暴落&人民元安は意味合いが違います。

SDR入り後の暴落は、人民元の基軸通貨化に一歩近づいた後の暴落ですが、SDR入り前の暴落は、基軸通貨化から遠ざかった後の暴落です。


そして、今般の株式市場における、株価下落を防ぐための信じがたいほどの強力な規制については、SDR入りの妨げになると思われます。人民元が「自由に使用できる通貨」となることはSDRの条件です。そういうわけで、逆に、この規制をSDR入りと引き換えに速やかに撤廃するという「取引」が行われるかも知れません。

以上のように考えると、

SDR入りとなるかどうかが決まる10月前後までは、ガチガチに株価を維持し、それ以降は株価維持を止めることとなり、そして暴落過程に入る

というシナリオが浮かび上がる塩梅となります。あくまでも、仮説ですが。



暴落が起きるとすれば、恐らく、6月から7月にかけての暴落以上の大規模な暴落となるのではないでしょうか。世界中を巻き込む大暴落、です。





【仮に世界的暴落が起きた場合、

 中国はどうなるか?】




大暴落シナリオ1:そのまま共産党政権が崩壊し、清朝崩壊から国共内戦に至る大混乱級の歴史的大混乱を呈する

→保守系の皆さんの選好するシナリオと思われます。この通りになるかも知れませんが、逆の可能性も想定しておくのが無難です。でないと、逆になった場合において対応不能となるばかりでなく、精神的打撃も測り知れません!



大暴落シナリオ2:1929年のアメリカのように、自国発の大暴落のあと、中国が覇権国となる

→2014年末の中国の対外純資産は、日本の366.8兆円に次ぎ、214.3兆円(財務省資料)です。
 1929年のアメリカは第一次世界大戦で一気に対外債務国から対外債権国になったあとでした。
 可能性として、世界有数の債権国の一つである中国が自国発の株式大暴落のあと、覇権を強めるというシナリオはあり得ないことでもないことになります。
 日本にとって重要なのは、共産党政権崩壊でも、中国の覇権拡大でも、どっちに転んでも大丈夫なようにしておくことだと私は思います。

なお、残念ながらこのシナリオ2を補強する材料として、以下のような話も:






大暴落シナリオ3:シナリオ1と2の中間で、共産党政権の崩壊もないが、覇権国レースからは当面脱落する

→共産党政権崩壊でも、中国の覇権拡大でも、どっちに転んでも大丈夫なようにしておくことができれば、この第3のシナリオへの備えはできるので、このシナリオはそれほど考える必要もないでしょう。







シナリオ1なら、大量の難民、場合によってはそれに紛れて不穏分子が大量に日本に押し寄せる可能性が高いでしょう
(北アフリカや中東の混乱で欧州に大量の難民が押し寄せているのと同じ)。国防の強化が必要不可欠です。


シナリオ2でも、中国の政権がどのような意志であれ、日本の国防強化は必須
です。米国が軍縮を進めているからです。中国と敵対的関係になろうと、友好的関係になろうと、米国がシェール革命によってエネルギー依存の減る中東地域から軍事的関与を縮小させようとしていることに変わりはありません。



アラブ諸国はもはや、アメリカだけに頼ってられないというわけですね。




米国の国防費はすでに自衛隊二つ分、削減済みです。米軍の規模は縮小の方向にあるのです。




もはや米国による中東安保に「タダ乗り(free rider)」していられないのは、中国だけでなく日本も同様です。
別の言い方をすると、中東の安保を中国だけに任せていいのか、とも言えます。



また、






という話も、米国の中東への関与縮小の方向性を匂わせています。


なお、中国との敵対シナリオであっても、






というように、アメリカはもちろん、フィリピンやオーストラリア、あと当然ベトナムなどと共同で中国に対抗する必要がありますが、この際、「憲法9条があるので、日本だけ何もしません!」では通らないでしょう。それでは日本はつまはじきにされ、外交的に孤立しかねません。


さらには、


というように、日本の領土、領海を横切って中国海軍が軍事演習を展開しているような状況です。それにもかかわらず日本が安保に関して何もしないというのでは、世界中から見放されることとなるでしょう。だって、そんな国と安全保障で協力し合いたいなんて、思います?残念ながら、私なら思いません。ほかを当るでしょう。


なお、敵対シナリオを強化する材料としては



 というものがあります。


 今後、中国と敵対関係になるにせよ、友好関係になるにせよ、







といったことは必要性が高まるでしょう。


対中友好シナリオであっても、中東の安全保障だけでなく、中東からの重要な輸送航路であるマレーシアのマラッカ海峡の安全保障も、アメリカが関与を縮小しようとするなか、日本がインドや中国とこれらの地域、海域での安全保障の負担を分担する必要性が高まるものと思われます。


そういったわけで、

・中国でもう一度株式大暴落があろうとなかろうと、

・中国が今後、覇権国に近づこうと覇権国レースから脱落しようと、

・中国と敵対関係になろうと友好関係になろうと、

日本は安全保障を強化することが必要不可欠になる、というシナリオに変わりはない


ものと思われます。



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663:中国、金本位制を検討中?――米投資情報サイトTheStreetでブルームバーグインテリジェンスの金属・鉱山調査部長「この動きは大勢を一変させ得る」

2015/06/27 (Sat) 15:15
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中国当局が人民元の国際化、例えば、人民元のIMFのSDR入りや、他の中央銀行が人民元を外貨準備として持ちたいと思えるようにして国際準備通貨としての地位を確立するために、金本位制を検討している(らしい)というお話です。

ただし、ある意味では「なんちゃって金本位制」とも思える形になりそうではあります。

いずれにせよ、中国当局は人民元を基軸通貨にすることを目指している、ということになろうかと思います。


TheStreetというジム・クレイマー氏(著名な投資家。ちなみに、ユダヤ系)が設立した投資情報サイトで、ブルームバーグインテリジェンスのグローバル金属・鉱山調査部長のケン・ホフマン氏がその件について語っています:



Chinese Gold Standard Could Create 'Fireworks' - Bloomberg Intelligence
中国の金本位制は「激発」を生み出すかも知れない - ブルームバーグインテリジェンス

http://www.thestreet.com/story/13199812/1/chinese-gold-standard-could-create-fireworks--bloomberg-intelligence.html?puc=yahoo&cm_ven=YAHOO
06/25/15, The Street





NEW YORK (TheStreet) -- Could gold, the world's longest running currency be used to create a new order in global currencies? The Chinese central bank is said to be considering backing its yuan with the yellow metal.
ニューヨーク(TheStreet) ― 世界の最も伝統のある通貨である金は、世界通貨の新秩序を作り出せるか?中国の中央銀行は、人民元の価値をその黄金色の金属で裏付けることを検討していると言われています。


This move, says Ken Hoffman, global head of metals and mining research for Bloomberg Intelligence, would be a "game changer."
この動きは、グローバル金属・鉱山調査部長のケン・ホフマン氏がいうには、「大勢を一変(game changer)」させ得るものであるとのことです。

Why would China consider such a move? Hoffman explains that Chinese policy makers are already trying to establish the yuan as a reserve currency, and backing it with gold would help attract foreign capital.
なぜ、中国はこんな動きをするのか?ホフマンは中国の当局者らが既に人民元を準備通貨にしようとしており、金で人民元の価値を裏付ければ外国資本を魅了するから、と説明しています。

China is expected to receive approval from its central bank for a yuan-denominated gold fix, with a potential for an announcement as early as next week.
中国は早ければ来週にも、中央銀行から人民元建ての金取引(yuan-denominated gold fix)についての承認を得て公表すると見られています。


Hoffman explains that a gold standard would not necessarily create a big constraint to the Chinese central bank, as many believe.
ホフマンは、多くの人々が信じるような形で、金本位制が中国の中央銀行に対して大きな制約を持たせることは、必ずしもないだろうと説明しています。


"It could be at any price they fix. There's a lot of things that they can do to make this work," he says.
「金との兌換価格はどんな価格でもあり得ます。彼らがこれ(金本位制)を機能させるためにできることは多いのです」と彼は言っています。

Hoffman estimates that to create an exchange rate of one ounce of gold for every $64,000, the country would need about 10,000 metric tons of the metal. "That's nine times the national official holdings and about 6 percent of all the bullion ever mined globally," Hoffman says.
ホフマンは、金地金1オンス64,000ドルの交換レートを設定するとすれば、中国は10,000トンの金が必要になる、と見積もっています。「それは中国の公式な金保有高の9倍であり、世界中で採掘済みの金の6%に相当します」※とホフマンは言います。

※中国の「公式」な保有高は、ブルームバーグ記事によると2009年の中国当局発表の数値が最新で 1,054.1トンですが、現在は既に3500トンは持っているんじゃないかとブルームバーグインテリジェンスは見積もっています。
また、現在の金価格は1オンス1200ドル弱です。
すると、仮に中国が今すぐ金本位制を採ろうとするならば、紙幣1に対し、0.66%分の金の裏付けしか出来ない「なんちゃって金本位制」になる計算となります((1200ドル÷64000ドル)×(3,500トン÷10,000トン)=0.66%)。
ただ、「なんちゃって」であっても、「全く裏付けがない」不換紙幣よりはマシ、ということになるかも知れませんが…




Moving to a gold standard may also be a question of power for China. Hoffman says that when the U.S. adopted a gold standard after World War II, it emerged as the main power in the International Monetary Fund. In 1971, the U.S. ended the use of the gold standard and rendered the dollar a fiat currency.
金本位制への移行は、中国の力の問題でもあるかも知れません。ホフマンは、アメリカが第二次世界大戦後に金本位制を採用した際、それはIMFにおける主要な力として現れたと言います。1971年に、アメリカは金本位制を終わらせ、ドルを不換紙幣としました。

If China decides to go into some form of a gold standard, Hoffman says it would make the rest of the world view the metal as a currency again.
もし中国が何らかの形で金本位制を採用すると決断したら、世界は金を通貨であると再びみなすようになるだろう、とホフマンは言います。


"If they go for it, we'd be talking about fireworks," he says.
「彼らがやるつもりなら、我々は(世界を一変させるような)激発について語ることになるだろう」と彼は言います。


Comex August gold futures settled Thursday at $1,171.80 an ounce.
8月限の金先物の木曜日の終値は1オンス1171.8ドルでした。




で、実は私が「え?」と驚いたのは、上記記事の動画のほうです。

動画の1:54辺りでホフマン氏が「2ヵ月前、中国はChina Gold Bankというべき取り組みを始めており、外国の中央銀行の金購入を仲介し、中国で保管するようになっている」と語っているように聞こえたのであります。

※たぶん、大まかには↑これで合っていると思いますが、微妙なニュアンス、例えば、断定形なのか推定形なのかまでは良く分かりませんでした。英語の聞き取りが得意な方、一度聞いてコメント欄でご教示頂けるとありがたいですm(_ _)m。



もしこれが本当なら、中国人民銀行はFRBと同じようなことをしていることになります(FRBというよりは、英語Wikipediaによると、米財務省というのが正確のようですが、米財務省はケンタッキー州のフォートノックス陸軍基地に8000トンの金塊を保管しており、1974年以降は誰もその地下貯蔵庫に入ったことはないそうです。なお、各国の外貨準備の金も一部はここで保管されていて、帳簿上だけで取引されている、という話をどこかで読んだ記憶があります)。





では、仮に中国が金本位制を採用するとなったら、どんなことが起き得るでしょうか?

私が言うところの老子スタイル(正反対のものごとが両方とも正しいかも知れないと考えるような方式)で二つの正反対のシナリオを考えてみましょう。


【シナリオ1】
 現在の世界経済の大きな課題の一つは、これまで資源を大量消費していた中国経済が減速し、ブラジルなどの資源国経済が大幅に減速していることが挙げられるでしょう。
 仮に人民元が、たとえ「なんちゃって」レベルであったとしても、金で価値が裏付けられるとした場合、人民元は他の通貨に対して高くなると思われます。
 これまでの中国経済は製造業中心
  割安な通貨(=人件費の比較優位) + 設備投資 → 輸出の急拡大で急成長
という輸出主導経済であったと考えられます。
 それが、通貨が高くなるということは、
  割高な通貨(=購買力の増大)→消費拡大で内需主導で安定成長
というような形でサービス業中心、輸入主導経済に転換される方向となるように思われます。
 で、シナリオ1はこの中国の経済構造の転換がスムーズにゆき、ブラジルなど資源国経済も復活、アメリカも基軸通貨の重荷から解放されて製造業復活。世界経済は金融不安や世界同時株式暴落などなく、これから順調に安定成長を続ける、というシナリオです。



【シナリオ2】
 シナリオ1における、中国の製造業・輸出主導経済からサービス業・輸入主導経済への転換がスムーズに行かず、少なくとも短期的に中国経済がさらに減速。それにつれてブラジルなど資源国経済も輪をかけて落ち込み、世界全体で金融の不安定化と株式暴落が起きる(ついでに言えば日本も日銀の債務超過問題も表面化する)、というシナリオです。





以上の二つのシナリオにつき、どちらに転ぶか、私には分かりませんが、どちらに転んでも大丈夫なようにしておくのが無難、とは思います。

孫子でいうところの「その来たらざるを恃(たの)むことなく、我の以て待つあるを恃(たの)む(=危機が起こらないという想定に依存することなく、危機があっても備えがあることに依存すべき)」、「それ、兵は水に象(かたど)る(=どんな状況になっても、水が器の形によって変形するように柔軟に対応する)」であります。


【シナリオ1】では、中国がアメリカに取って代わって基軸通貨国、覇権国になることが想定されます。この場合、中国は自前の資源をより一層必要とし、尖閣や場合によっては沖縄本島まで、日本に対する軍事的圧力を強めることが考えられます。日本は米国との連携の強化だけでなく、自前の防衛力も強化して「なめられない」ように備えつつ、柔軟な外交が必要となるのではないかと思われます。

【シナリオ2】では、最悪の場合は中国の体制崩壊まで見ておいたほうが良いかも知れません。
 そうなると、中国は北アフリカ、東シナ海は地中海となると見るべきでしょう。北アフリカから最近は年間20万人もの不法入国者が地中海を経てEU域に流入していますが、それと同等以上のことが日本でも起こり得るということであります。この場合においても、【シナリオ1】のような防衛力の強化が重要であると思われます。
 しかし、もしかするとそれ以上のことも必要になるかも知れません(通常の民主主義では対処しきれないかも知れない、という意味においてはタイのような民政から軍政への移行も、最悪の場合、一時的には必要となるかも知れません。あくまでも最悪の場合、ですが…)。
 もっと言うと、人民解放軍が配備している核兵器につき、中国の体制崩壊があった場合、誰が責任を持って管理するのか、あるいは、責任を持てる管理主体がそもそも存在し得るのか、という問題も出て来ます。
 このように考えると、中国の体制崩壊というのは「ただ喜んで傍観していれば良い」というものでは済まされない、日本にとってはかなり厳しい状況となり得ると見たほうが良いかも知れませんね。



いずれにせよ、「備えあれば憂いなし」、「転ばぬ先の杖」、と言ったところでしょうか。


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658:ルービニ教授による“過剰な金融緩和deバブル崩壊”の説明

2015/06/20 (Sat) 16:04
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日経ビジネス最新号(2015年6月20日)に載っていた、サブプライムローン危機やリーマンショックをその数年前から予測していたということで有名になったルービニ教授の記事のご紹介です。

以下、タイトルと要約部分を引用した上で、ごく短く内容紹介をしておきます。


-----
「バブル崩壊への時限爆弾に注意」 
ノリエリ・ルービニ
日経ビジネス2015年6月20日 p.126

金融危機以降の金融政策によって、先進国の金融市場が抱える大きな矛盾が顕在化しつつある。
マクロレベルでは量的緩和で過剰流動性が創出される一方、債券や株式市場の厚みは失われてきている。
現在の過剰流動性が株式や債券市場バブルをもたらしているだけに、放置すれば確実に崩壊の危機に向かう。
-----


以下、廣宮による内容紹介:

・現在は過剰な金融緩和で株や債券が高値安定している状況である。

・ショックが起きたとき、従来は大手銀行が「マーケットメーカー」として債券価格安定を担ってきたが、リーマンショック後規制が厳しくなり、そのようなことができなくなっている(債券市場のマーケットメーカー不在)

・近年、HTC HFT※(コンピューターによる高速取引)が普及しており、これが価格追従型の取引を行うため、市場価格の振幅が増大されやすい。

※訂正です。HFT: High-frequency trading 高頻度取引。なんでHCTと書き写したのかはよく分かりません。何らかの生理的、生物学的要因としか言いようがないという具合です。すみませんでしたm(_ _)m。

・近年、顧客からの解約指示があれば流動性低い商品についても、翌日にはどんな低価格でも売却してなければならない仕組みである投資信託が普及拡大していることによる、不安定化リスクが増大している。

・最近、ドイツ国債の金利が0.1%以下だったものがいきなり0.8%まで上昇したことなどは、上記の理由のようです。

・そして、マクロでの過剰流動性と市場での非流動性のミスマッチがバブル崩壊の引き金を引くだろう、とのことです。

-----


私が頻繁に引き合いに出している国連報告書の説明では、

金融における規制緩和+金融緩和→金融不安定化

という理屈でしたが、ルービニ教授によると、リーマンショック後の規制強化が逆説的に市場の不安定化を招いており、今後もそれが大きなリスクとなりそう、ということになります。






ちなみに、アメリカのとある優秀な株式投資信託(過去37年でMSCI World指数の30倍に対し、この投資信託は106倍になるという好運用成績)の日本版(野村証券で販売。但し手数料の違いで元のファンドとは運用成績は違って来る)の月次レポート(2015年5月29日現在)から、市況見通しに関するコメントを引用してみます:

-----
【今後の運用方針】
株式市場は高値圏での推移が続いていますが、私たちが世界経済に対し様々な懸念を有しているという状況に大きな変化はありません。イエレンFRB議長は年内の利上げを示唆したものの、FRBがどの程度の時間をかけて金利水準を正常化させるかは不透明です。発言通り年内に利上げをしたとしても、利上げ幅が小幅にとどまれば、今後も緩和的な金融政策が継続することに変わりはないかもしれません。私たちは、金利水準が正常化し、様々なリスク資産の価格が割安な水準まで調整することを期待しますが、そうなるまでにはかなりの時間を要すると思われます。

このような状況下でも、安全マージン(予期せぬ事態が生じても、回復不可能な損失を回避できるよう、十分に割安な水準で投資を行うこと)を重視し、質の高い事業や希少な資産を有する企業に割安な水準で長期的に投資を行っていくという、私たちの運用方針に変更はありません。株価水準が高いため、割安な会社を見つけることは困難ですが、エネルギー関連企業など、エネルギー価格下落の結果、割安となっている企業には継続的に投資を行っています。市場全体の下落がなくとも、業種や個別企業特有の要因で割安となった企業には今後も投資を行ってまいります。
-----

上記ファンドはウォーレン・バフェット氏のようなバリュー投資(割安株投資)を行うファンドですが、現在は「金利が低すぎることで、割安(適正な水準以下)の株を見つけるのは難しい」状況であるというわけですね。つまり、「今、まさにバブルっぽい」てなわけです。

いま、株をお持ちの方は、「回復不可能な損失を回避できる」ように手を打っておくのが無難かもしれません。




もう一つ、リーマンショックの2008年も運用成績がプラス(但し、英ポンド建てで)となった、イギリスの投信会社が運用する、日本でもいくつかの証券会社で取り扱っているファンドの月次レポート(基準日: 2015年5月29日)の市況見通しコメントも参考までに:

-----
依然として金融市場に先行き不透明感が残る中、運用においては、様々な状況に対応できるバランスの取れた資産配分を保つことが極めて重要であると考えます。どのような事が将来起きうるかを正確に予見することは大変難しいですが、世界的なデフレ傾向や低水準にある経済成長、国家財政にとって重圧となる水準まで積み上がった債務など、世界経済をとりまく状況に対しては、引き続き細心の注意を払ってまいります。さらに、金融市場の各資産クラスにおいて、量的緩和による資金流入を背景に、本来のファンダメンタル価値とは切り離された相場展開が見られる中、想定外の事象が起こりうる可能性が十分にあることを踏まえ、当ファンドにおいては、資産の保全を最優先とすると同時に、リターン追求に向け、投資戦略に基づいたバランスの取れた資産配分を保つことに焦点を当て、慎重な姿勢で運用に取り組んでまいります。
-----

※今回紹介している投資信託につき、購入を推奨するものではありませんので、念のため(ルービニ教授の指摘している投資信託特有の「リスク」にも留意されたし)。



量的緩和相場にご用心、といったところでしょうか…。


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657:日銀が万が一、債務超過となった時の対応策の検討(その4):政府紙幣と通常国債のハイブリッドな存在、「無期限、無利子で納税時のみ償還可能な国債(納税時優遇措置付き)」というアイデア

2015/06/06 (Sat) 12:42
前回の続きです。(今回の「その4」で最終回)


前回までの流れ:

1.そもそも、債務超過をもたらすような株価暴落はあり得るか?
→「ない」とは言い切れない。よって「あり得る」と仮定。

2.日銀が株価暴落の影響を受けずに済む方法の検討
→政府が政府保有資産を日銀に資本注入して、日銀が「株式簿価<純資産」となるようにしておけば、どれだけ株価暴落しても日銀が債務超過になることはない。ただし、政治的に可能かどうかは別問題である上、事前にそんなことをすると政府・日銀が株式暴落を予測しているといういらざる懸念を市場に与えかねない。

3.株の暴落により日銀が債務超過となってしまった場合の対処法
→暴落してしまった後なら「政府・日銀が株式暴落を予測しているといういらざる懸念を市場に与えかねない」ことは心配無用(すでに暴落しているので!)であるため、「政府が政府保有資産を日銀に資本注入」のハードルが下がる。ただし、それでも政治的に可能かどうかは別。

4.万が一、世界的な株の暴落等により、万が一、日銀が債務超過に陥った場合の為替レートの検討
→通貨発行権の権能が及ばないような債務の問題がない点においては、1992年の英ポンド危機と似ている。しかし、英ポンド危機では中央銀行の債務超過は起きていないので、日銀が仮に債務超過となれば、円の対ドルレートは英ポンド危機以上の下落となる可能性が高い。一方、「通貨発行権の権能が及ばないような債務の問題」があった2008年のアイスランド政府債務不履行と比べると、日本はそのような対外債務の問題が僅少であり、かつ、対外資産>>対外債務(=対外純資産が大幅にプラス)なので、アイスランドほどにもならないと思われる。
 そうすると、仮に日銀の債務超過が起こった場合の円の対ドルレートの下落は、92年英ポンド危機の「7ヵ月で25%」と08年アイスランドの「12ヵ月で55%」の範囲内、インフレ率は最大で+18%以下、10年物国債利回りは6%程度から最悪で15%程度以下になるものと類推される。


以上、これまでの内容をざっと振り返りました。
では、今回の内容に入ります。






5.日銀が万が一債務超過に陥り、かつ、政府が資本注入できなかった場合における、対処法の検討

「日銀が万が一債務超過に陥り、かつ、政府が資本注入できなかった場合」というのはかなりあり得ない状況であるとは思います。しかし、政治的な理由、外的な不可抗力…といいますか、まあ、諸般の事情により、可能性が完全にゼロとも言い切れないので、一応、検討しておきましょう。


(1)民間から日銀への増資を募ることで債務超過を解消する方法の検討


政府が出資できないなら、政府以外、すなわち民間からの出資を募るということが考えられるでしょう。
ただし、出資を募って資本金を増やすとなると、日銀法第八条 「日本銀行の資本金は、政府及び政府以外の者からの出資による一億円とする」を改正しないといけません。
 いや、政府が増資する場合であっても、この第八条は改正が必要となります(これは、政府が日銀に資本注入できない「政治的理由」となり得るかも知れません)。日銀法改正ができないなら、政府が国有財産日銀に寄付をする、という手段もあり得るかも知れませんが、これも法改正まで行かなくとも、国会の議決による承認を要するようにも思われます(予算としての承認など)。それゆえ、やはり政治的な困難さが付きまとうかも知れません。

 それはそれとして。

 民間から出資を募るということにして、仮に、日銀法第八条を改正できたとしましょう。

 まず、「そもそも民間から数兆円もの資金が集まるか?」という問題がありますが、それはあとにすることとして、数兆円の資金が集まったとします。
 すると、政府が55%株主という「政府が親会社」である状況が崩れます。というのも、政府の出資金はわずかに5千500万円に過ぎないからです。
 しかし、日銀の金融調節――いまの年80兆円もの当座預金増発、すなわち「異次元緩和」含む――は、国会で承認された9人の委員――総裁、副総裁含む――からなる委員会で決定されるのであり、株主総会(出資者による総会)で決まるものではありません(日銀法第二十三条、第十五条)。
 また、配当金については、出資金の年率5%以下でかつ財務大臣の承認が必要(日銀法第五十三条)ですので、政府の裁量で配当金は制限されます。さらに、日銀が解散した場合の出資者への払い戻しは出資金を限度とし、それを超える部分は国庫に納入されます(日銀法第六十条)。
 というわけで、出資者は出資金額がいくらだろうと、日銀の金融政策や配当その他の決定権を一切持てないので、出資金が何兆円になろうと、日銀の「支配権」に関して特に気にする必要はないでしょう。
 
 次に、「そもそも民間から数兆円もの資金が集まるか?」という問題について対処法を考えてみましょう。
 日銀の株、というよりは、出資証券はJASDAQで上場されています(証券コード8301)。価値変動があるのであり、出資者は損を被ることがあるわけです。その上、上述の日銀法の規定により配当も無きに等しい、となれば、「そんなもん、新たに何兆円も誰が買いまんねん」という話になってしまいます。
 そこで一つの発想として、政府が最低価格を保証するというのはどうでしょうか。
 でも、普通に価格を保証するとしたら、「いきなり、数兆円分の日銀出資証券の買取を請求される」という事態を防げないので、それでは政府が最初から出資するのと変わらないことになります。

 では、納税の時に限り、日銀出資証券による物納を認めるという形で、その際に買取価格を保証するということではどうでしょう。
 国税の納税においては、現行では相続税に限られるようです(国税庁HP参照。しかも、相続税額が10万円超で、金銭による納付が困難で云々という条件付き)。
 そして、物納が認められる場合の「収納価額」は相続事由発生時の時価となるようです(相続税法の第四十三条と第十一条の二からそのように読めます)。
 さて、相続税に限って「日銀出資証券による物納を認めるという形で、その際に買取価格を保証する」としましょう。相続税法の政令を変えるだけで良いのか、新たにそのための法律を作る必要があるのかはさておき、その買取価格を日銀に対する増資があったときの株価を保証するとしましょう。
 単に増資時の価格を保証するだけなら、配当もないだろうし、現金・預金に対して何のメリットもないので出資への動機づけが弱く資金が思うように集まらないかも知れません。であるならば、相続税の物納時に限り、増資時の価格に1%~2%を上乗せした金額での「買い取り」というか、それを「収納価額」とすることでインセンティブ(動機づけ)を付けるのが良いかも知れません。
 このようにすれば、相続税の納税に備えて、現金や預金の一部を日銀出資証券にしておこうとする需要が生じるでしょう。相続税の納税額は近年、年間1兆円から2兆円で推移しています(国税庁HP参照)。数兆円分の日銀出資証券の価値を支えるには十分な金額ではないかと思われます。
 なお、政府が日銀出資証券で物納を受け、そのまま持っているのであれば「予算が足りない!」ということになるなら、物納を受けたその日銀出資証券をそのまま市場で売却すれば良いだけです。
 「そんなことをすれば価格が下落するのでは?」となりますが、上述のとおり相続税の納税額は年間1兆円から2兆円ありますから、それが需要となり、価格の下支えとなるでしょう。その「相続税の納税額は年間1兆円から2兆円」が全部、日銀出資証券で支払われ、かつ、政府がそれをすべて市場で増資時の価格で売却した、となるばあ、年間で政府はその1%~2%、100億円から400億円の負担増とはなりますが、市場が落ち着き、日銀の債務超過問題が解消された時点で追い追い政府保有の日銀出資証券と日銀保有の国債を相殺していってやればやがてそのような負担も不要になるでしょう(年間100億円から400億円の負担増だけで危機を脱することができるのなら安いものだと思われます)。

 仮に以上のようにして民間資金で首尾よく日銀の債務超過を解消できるとしても、少なくとも日銀法第八条について法改正が必要ですから、それなりに時間がかかるでしょう。そうなると、日銀が債務超過である間、国債価格の暴落による一般金融機関のバランスシートが痛むことによる金融危機に対処する必要が出て来ることになります。


(2)国債価格暴落に対処する方法の検討

 仮に株式市場暴落→日銀債務超過→国債暴落という事象が生じた場合。
 日銀については、前回に書きましたように、国債は簿価評価(償却原価法)で、かつ、減損処理の対象外であり、また、損失引当金は積まない選択肢もあるようですので、国債暴落によってバランスシートは痛まずに済む可能性が高いと思われます。とはいうものの、危機時には「そんなごまかしがまかり通っていいのか!」というような批判が噴出するリスクがあることは、念頭に置いたほうが良いかも知れません。
 一方、市中銀行は、これも前回書きましたように、例えば三菱UFJフィナンシャルグループでは保有国債につき、時価評価される「その他有価証券(満期保有目的でも売買目的でもない有価証券)」が大半を占めるし、満期保有目的の国債も価値が半減すれば減損処理の対象となります。そうなるとバランスシートが痛み、債務超過に陥る可能性が出て来ます。
 
 このようなとき、政治的に可能かどうかは脇に置いた場合、一番単純なのは、日銀や市中銀行の保有国債の全部または一部を、政府が変動金利国債と交換してしまうことでしょう。
 変動金利国債ならば価格変動がなくなりますので、時価評価だ、減損処理だ、債務超過だ、という心配が一切なくなります。
 ただし、政府の金利負担が円レートの急落やインフレの高進とともに急増してしまうというデメリットがあります。国の借金1000兆円に対して数%分の金利上昇があるだけで一気に数十兆円の負担増となり、年40~50兆円の国税の税収が一気に吹き飛ぶレベルです。
 その場合、1年待てば税収がインフレによって増収となります(所得税や法人税など、税金は基本的に課税ベースが過去1年間なので)。この1年を耐え、しのぐのが肝要かと思います。
 一方、この1年を耐えられなければ、インフレ高進時に政府の金利負担を増やす=支出を増やす=財政赤字を増やすことにより、いやが上にもさらなるインフレ圧力を加えることになってしまうということになってしまいます。それでも、金融危機の打撃を緩和するためにはやむを得ないコストである、と考えることもできます。

 ところで。
 金利負担増が嫌なら、金利負担が生じない政府紙幣(無期限、無利子債)を発行して日銀や市中銀行の保有国債を買い取ってしまえ、という考え方もあり得るでしょう。ついでに、政府紙幣を3~4兆円ほど日銀に寄付してしまえば日銀の債務超過もあっというまに雲散霧消!とも考え得るでしょう。しかし、政治的にはかなり難しいのではないかと思います。経済理論的、法理論的に可能かどうかというよりは、政治的に難しい、というのが一番大きいのではないかと思います。

ここまで、まとめますと
・日銀や市中銀行のバランスシートが痛むのも嫌だ、
・変動金利国債も金利負担激増なので嫌だ、
・政府紙幣もとにかく理屈抜きで嫌だ、
となります。

 では、変動金利国債と政府紙幣の中間的存在の国債という発想がないかしら
ということになります。さきほどの、日銀の出資証券の納税時のみ最低価格保証というアイデアの応用すると、 


 無期限、無利子で納税時のみ償還可能な国債(納税時優遇措置付き)

というアイデアがあり得ます。

 無期限、無利子という点では紙幣に近いですが、現金のような「法貨として無限に通用」という機能は持たないという点ではやはり債券である、というハイブリッドな代物であります。
 そして、価格維持のために、さきほどの日銀出資証券と同様、納税時に1%とか2%の優遇措置を付けるわけです(この納税時の優遇措置により「現金よりはお得」となるため、0.5%とかでも良いかも知れません)。

 仮にこのアイデアを使って日銀や市中銀行のバランスシートの損壊を防ぐという場合、発行額は数百兆円に上る可能性があります(ちなみに財務省の資料によると、残存期間10年以上の国債は、普通国債と財融債合わせて600兆円を超えています。なお、金利市場の基準金利としての機能を残すため、既存国債の一部はそのまま残しておくべきでしょう)。
 そうすると、年1~2兆円の相続税だけでは価格維持は難しいでしょう。
 となると、国税全般、さらには国保や国民年金の保険料、地方税などまで広げる必要があるかも知れません。一般政府の総収入(純)であれば年間150兆円~160兆円になります(IMF WEO参照)。納税や保険料納入を控えた個人や企業は「現金で払うよりお得」ということで競ってこの、「納税時優遇 無期限国債」を買い求めることになるものと思われます。

 また、この「納税時優遇 無期限国債」であれば、年間の政府の負担は150兆円~160兆円に対する1%~2%ですので、1.5兆円から3.2兆円の負担増で済みます。変動金利国債の場合と比べて金利負担は圧倒的に小さくて済むわけです。
 さらには、政府紙幣と違い、用途が限定されており(納税時のみ使える)、市場で取引される形態にすることによって発行し過ぎると価格が崩れるリスクがあるため、政府が必要以上に発行を増やす、無制限に増発するというリスクを排除できると考えられます。

 ただし、日銀出資証券のところで述べたように、物納が認められているのは現行、相続税のみです。
 これを「国税全般、さらには国保や国民年金の保険料、地方税などまで広げる」となると、広範囲の法改正が必要となりますので、そこは政治的な難しさが出て来るでしょう(危機において素早くできるかというと、それは疑問)。
 とは言え、政治的難しさは政府紙幣よりは意外と小さいかも知れませんが、どうでしょう。

 
というわけで、
「納税時優遇 無期限無利子国債」
 ・日銀や市中銀行のバランスシートが痛むのも嫌だ→回避可能
 ・変動金利国債も金利負担激増なので嫌だ→金利負担は極めて限定的
 ・政府紙幣もとにかく理屈抜きで嫌だ→あくまでも債券
 ・ただし、税法など広範囲な法改正が必要なので仮に危機時にこのアイデアを使うとしても時間がかかる可能性あり
というアイデアの発表でした。


こう書くとこの「納税時優遇 無期限国債」はいいことずくめのように見えます。しかし、私が意識できていない重大な欠陥があるかも知れません。あくまでも試論という形でのお披露目、ということになります。

 

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656:日銀が万が一、債務超過となった時の対応策の検討(その3)

2015/05/26 (Tue) 21:07
前回の続きです。

前回までは、

アメリカの覇権のゆらぎ

株の暴落はあり得る

自己資本以上に株やREITを保有している日銀の債務超過はあり得る

仮に「株の暴落で日銀の債務超過」があっても、政府が保有資産を3兆円ほど日銀に現物出資すればひとまず日銀の債務超過は防げる

という話の流れでした。

今回は、「株の暴落で日銀の債務超過」があっても、政府が諸般の事情により現物出資等の救済措置を行わない/行えないケースを検討してみます。
かなりあり得ないシチュエーションであると思いますが、「アメリカの覇権のゆらぎ」が仮に本物なら、何が起こっても不思議はないとも思われますので、念のため、という具合です。




4.万が一、世界的な株の暴落等により、万が一、日銀が債務超過に陥った場合の為替レートの検討

近年における、先進国における二つの経済危機事例から、簡易的に類推してみようと思います。

一つは、1992年の英国「ポンド危機」。
もう一つは、2008年のアイスランドの中央政府債務不履行です。

ギリシャ危機は取り上げません。
というのは、ギリシャは共通通貨に縛られている危機事例であり、通常の独自通貨を持つ国の危機の様相――為替レートの急落、それに起因する輸入物価上昇に伴うインフレ率の上昇、為替レートの大幅下落による経常収支の改善と経済の回復というプロセス――と異なるからです。ギリシャの場合は為替下落がないので、危機においては別の形での購買力平価の下落、すなわち、物価下落(デフレ)となるので、あまり参考になりません。


以下、グラフのデータ出典はOECD.StatExtracts。但し、為替レートは逆数を計算して表示しています。


まず、イギリスの「ポンド危機」です。

capture_20150526_161625.png 


実を言うと私、今回このグラフを作るまで、「ポンド危機」ってそこそこ大変な「危機」というイメージを持っていました(博士論文でもこの「ポンド危機」は扱っていたのですが、その意識を持っていました)。
が、今回データを見ていて、「ポンド危機」はそれほど大したことがなかったのだなという認識です。というのは、「ポンド危機」が以下の3点のようなものだったと気づいたからであります:
・対ドルの為替レートの下落率が、リーマンショック以下だった。
・長期金利(10年物国債利回り)が、「危機」のはずなのにむしろ低下していた。
・インフレ率も、対ドルレートの下落でさぞや高くなっていたかと思いきゃ、むしろ「危機」において低下していた(下グラフ参照)。




capture_20150526_161647.png



じゃあ、92年の「ポンド危機」って何だったんだ、というと、現在のユーロの前身というべき、欧州為替相場メカニズム(ERM)に当時参加していた英国ポンドが、ジョージ・ソロス氏の投機によってERM加盟国間の為替レートの変動幅±2.25%を超えて「下落」した、つまり、バンク・オブ・イングランドが民間投機家に負けた、という意味で「危機」と言われているだけのことのようです。確かに、ショッキングな出来事であり、これが原因で英国はユーロに参加しなかったようです。まあ、むしろソロス氏のおかげ(?)でユーロに参加しなかったことは、後のことを思えば「幸運」と言えたかもしれませんが、どうでしょうか。人間万事、塞翁が馬といったところです(参考資料:野村証券)。

この英国の「危機」は、経常赤字が続いている中で、ポンドが「割高」となっていたことが原因と思われます。
そして、「危機」の程度が小さかったのは、経常赤字とは言え、英国には外貨建て債務、より正確には「通貨発行権で対応できない債務」の問題がなかったから、あるいはそのような問題が十分に小さかったからであると考えられます。

「通貨発行権で対応できない債務」の問題がない場合の危機というのは、小さくて済むと考えられます。
というのは、そのような国は、対外債務は主に自国通貨建てであり、対外債権が外貨建てであるからです。
このような場合、自国通貨が下落すれば、自国通貨換算で外貨建ての対外債権が膨らむ一方、対外債務は不変であるため、対外純債務が縮小/対外純資産が拡大することになり、それによって対外収支も改善することになるため、危機における安定化作用が働くことになります。

それはそれとして、とにかく、その「危機」におけるポンドの対ドル下落率は、7か月(92年7月→93年2月)で25%という水準でした(ちなみに、リーマンショックのときは、8か月(08年7月→09年3月)で29%の下落)。

※アベノミクスの異次元緩和では、ドル/円は1ドル80円から120円に円安、下落率は逆数で計算するので、1/80 →1/120で、33%の下落でした。ポンド危機の下落率(25%)を上回るわけですが、ポンド危機のポンド安は通貨当局にとって不本意な下落、アベノミクスの円安は意図どおりの下落という点が違うと言えます。


次に、アイスランドです。


capture_20150526_161604.png



・対ドルレートの下落率は12ヵ月(07年11月→08年11月)で55%。
・長期金利は最大で+15%で打ち止め。長期金利の変動幅は、最大で9%→15%の+6%。
・インフレ率は最大で+18%で打ち止め(既出の上のほうの図参照)。


アイスランドは、個人が住宅ローンを日本円やスイスフラン建てで組むなど、民間部門の外貨建て借金が凄まじい規模で存在していました。そして、国有化された3大銀行が外貨建て債務の不履行を起こしたため、形式としては中央政府の債務不履行が生じました。
が、なんだかんだ言って、インフレ率は最大でも20%に届かないうちに打ち止めとなり、残念ながら破綻論者の皆さんの大好きなハイパーインフレとまでは行かなかったと言えます。


さて、仮に日本において、日銀が債務超過に陥ることによって「危機」が生じた場合にとのようなことになるかを類推してゆきます。

日本は、仮に日銀が債務超過に陥り、大幅な円安になったとしても、英国同様、外貨建て債務の問題は僅少であると考えられるため、円安→対外純資産の改善→対外収支の改善という安定化作用が生じるものと考えられます。
となれば、日本の「危機」は、恐らく、外貨建ての対外債務問題で政府の債務不履行を生じたアイスランドよりはマシなものとなると考えられます(言い換えれば、アイスランドの「危機」が「最悪のケース」の目安と考えられる)。

一方、英国の「ポンド危機」と、現在検討中の「日銀の債務超過」を比較すると、英国の「ポンド危機」においては中央銀行の債務超過は発生していないと思われます。何せ、危機のさなかで長期金利がむしろ低下していた→10年物国債の価格がむしろ上昇していたので(逆に、中央銀行が債務超過となっていたとしたら、それ以上国債を買い増すというのは難しいのではないかと思われます。この点については、あとでまた取り上げます)。

となると、仮に「日銀の債務超過」が起きた場合の危機の様相は、英国の「ポンド危機」とアイスランドの「政府の債務不履行に関連する危機」の中間くらいかというように類推できます。

すると、こんな感じでしょうか:

・対米ドルの下落率は25%~55%程度
・長期金利の上昇幅は最大で+6%程度以下
・インフレ率は最大で+18%程度以下


さて、仮に株の暴落が起きても政府が諸般の事情によって事前に日銀に資本注入などの対策を取ることなく日銀の債務超過が生じた場合、債務超過となった日銀がそれ以上国債を買い増すことができるのか、という問題が生じるかも知れません。
理論的には、そのようなときでも国債の買い増しは可能のような気もしますが、「債務超過となった日銀が国債を買い増すなどしたら、日銀の信頼はますます失墜してしまう」とか、そういった議論が日銀の政策決定過程において優勢になる可能性は一応、「最悪のケース」として想定したほうが良いと思われます。

今日現在の日本の10年物国債の利回りは、ブルームバーグを見てみると、0.4%程度です。
これが仮に6%増加して6.4%になった場合、10年物国債の価格がどうなるか計算してみましょう。
(債券価格の計算方法は6年前の当ブログで紹介した、こちらの親切な方のブログで解説されています。一言で言えば、「割引現在価値」に基づいて計算されます)

10年物債券の利回りが0.4%→6.4%となった場合、価格は100から56.2に下落(下落率43.8%)となります。
これが中韓、じゃなかった、中間で0.4%→3.4%の場合、価格は100から74.7に下落(下落率25.3%)となります。

さて、国債の財務省表上の評価方法について。

一般の市中銀行の場合。
 国債が満期保有目的であれば、時価ではなく簿価で評価されます(より正確には、償却原価法という評価方法です。例えば、三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)の決算短信には「満期保有目的の債券については移動平均法による償却原価法(定額法)」で評価するとあります。ちなみに、償却原価法では、買った時の値段が満期のときの償還価格100と異なる場合、会計期間ごとに、100に近づいていくように評価替えされます。つまり、満期保有であれば、どれほど債券価格が下落しても時価は気にする必要がない、ということになります。
 但し、50%以上の価値の下落があった場合は、「減損処理」により、時価で評価替えがなされることになります(全銀協資料参照)。
 仮に、銀行が大量の10年物国債を満期保有目的で保有していても、10年物国債の利回りが6%増以下で済むのであれば、上記の計算から下落率は50%未満なので、減損処理はされませんし、償却原価法で評価しているため、時価の変動は銀行のバランスシートに何らの影響も与えません。

 とはいうものの。
 例えば、日本最大の銀行グループである三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)の決算短信を見ると、保有国債については時価評価しない「満期保有目的」よりも時価評価される「その他有価証券(短期売買目的でも満期保有目的でもない有価証券)」のほうが圧倒的に大きな金額を占めています。2015年3月時点でMUFGは
「満期保有目的」の国債 1.1兆円
「その他有価証券」の国債 34兆円
この保有国債のうち、全部が10年物というわけではもちろんなく、もっと短期のものが中心と思われます。とりあえず10年物の下落の影響が1/2とすれば、10年物国債利回りが6.4%になった場合の影響は、21.9%となり
34兆円×21.9%=7.4兆円
の評価減となります。
MUFGの純資産は17.3兆円ですから結構な金額と言えます。金融機関の中には、もっと甚大な影響を受けるところも出て来るでしょう。また、金利全般の上昇により、財政状態がカツカツな個人や企業は甚大な影響を受けることとなるでしょう。


日銀の場合。
日銀の会計規則を見ると、日銀においては、保有国債はとにかく償却原価法で評価されるようです。また、減損処理の対象は「コマーシャル・ペーパー等、社債(不動産投資法人債を含む。)、株式、指数連動型上場投資信託受益権及び不動産投資法人投資口」が限定列挙されているのみであるため、国債は減損処理の対象外となっているようです。
 それでも債券については評価損がある場合は引当金(債券取引損失引当金等)を計上する仕組みがあるのですが、日銀法施行令第15条において引当金の計上には「財務大臣の承認」が必要とのことで、逆に言えば、財務大臣が承認しなければ、計上しないことになるようです。
 以上からすると、国債の価格下落が日銀のバランスシートに与える影響はあまり考えなくて良いのかも知れません。





上記の見積もりでは、10年物国債利回りは6.4%が最悪というように考えましたが、これはあくまでも適当な目安に過ぎません。アイスランド国債利回りに見受けられた最大15%の水準までいくとすると、債券価格は0.4%で100とした場合と比べて、
100→25.6で74.4%下落となります。そこまで行くと、日本最大の金融グループたるMUFGですら純資産がマイナス、すなわち債務超過に陥るかも知れません。
 そうなってから政府が救済措置を講じるとなるとかなり面倒ですから、やはり最善はほんの数兆円を日本銀行に資本注入して日本銀行の債務超過をできるだけ早い段階で解消しておくことである、となります。
 とはいえ、今回の検討は、諸般の事情により政府が早い段階で日銀に資本注入できなかった場合についてのものです。そのような資本注入を行わなかった場合で、かつ、日本中の市中銀行が国債の下落やそれに伴うその他の債券等の下落により軒並み債務超過となるような場合(正直、かなりあり得ないとは思いますが)について、どのような対処法が考え得るか、については、次回、検討してみたいと思います(次回でこのシリーズは最終回とします)。


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655:日銀が万が一、債務超過となった時の対応策の検討(その2)

2015/05/22 (Fri) 15:05
前回の続きです。

前回、ご質問を受けて気づきましたが、「債務超過」という言葉について説明が不足していたように思いますので、簡単に説明しておきます。

債務超過とは、財務諸表上で負債が資産を上回る状態

ということになります。

つまり、単純に、帳簿上で

資産<負債

となる状態です。

日銀の財務諸表上で「資産<負債」になるということは、

負債側に計上される銀行券(紙幣)や当座預金の価値を担保する資産が不足するに至った状態である、ということになります。


このとき、二つの考え方があり得るでしょう。

考え方A:そもそも紙幣とか当座預金とか、カネなんてものはいくらでも作れるんだから、日銀の債務超過なんて気にしなくていいんじゃないの?

考え方B:タダでさえ、不換紙幣は価値の裏付けが乏しいのに、日銀が債務超過になって紙幣や当座預金の担保資産を100%確保できていない状況になったというのであれば、余計に価値が無くなっちまったじゃねえかよ!



ここで重要なのは、AとBの考えのどちらが正しいか、ということよりは、私は、世の中の大多数の人々がどちらが正しいと感じるか、であると私は考えます。

現在は、アメリカの覇権の揺らぎを第一として、世界的に不安定な状況である、という仮定を大前提とします(一応、あくまでも「仮定」とします)。
 そして、日銀が債務超過になるとすれば、恐らくは日本のみならず、世界的に株の暴落が起きたとき、ということになります。
そのような状況では、論理的な考えよりは、少々感情的な考え(「感情的」なのに「考え」と言えるかどうか別にして)のほうが強力な伝播力を持ちやすいと考えられます。
 また、脳科学でいうところの「連合学習」の観点からすると、楽観的な雰囲気では楽観的な感情に沿った考えが受け入れられやすく、悲観的な雰囲気では悲観的な感情に沿った考えが受け入れられやすい、と考えられます。
すると、世界情勢の不安定、世界的な株式市場の不安定、という中で日銀の帳簿上の「債務超過(=資産<負債)」が生じた場合、やはり上記のAよりはBのほうが伝播力は強くなるのではないかと思われます。


前回の最後のほうでは、「日銀が株暴落で債務超過になるのを防ぐならば、事前に政府が日銀の株を買い取ってしまえば良い」と書きました。今回のエントリーの趣旨は「政治的な理由などで政府による日銀保有株式の買い取りが出来なかったらどういう選択肢がありうるか」を検討するのがということになります。
 そして検討を進める上では、上記Bの考えのほうが世の中で支配的になり、日銀の債務超過が問題となるという仮定を前提とします。


3.株の暴落により日銀が債務超過となってしまった場合の対処法

未然に債務超過を防ぐのが最善と言えますが、起こってしまった場合においても、政府が日銀保有株式を買い取るのが本来は一番手っ取り早いかと思います。
 買取価額はもちろん、暴落したあとの時価ではなく、日銀が株を買った時のコスト(簿価)で政府が買うことにより、日銀の債務超過状態を解消してしまう、ということです。
 未然に防ぐ、という場合に想定される「政府が日銀の保有株を買うということは、政府・日銀が株の暴落を予想しているのか?」という要らざる不安を市場に与えるリスクがあり得ますが、暴落した後ならそのようなことは考えなくて良いという意味で、以後対処の場合、事前の対処と比べてハードルは一つ少ないかと思います。

 しかし、それも「そんなことしたら国の借金ガー」という考えが支配的な場合は、政府あるいは国会も身動きが取れないことになります…。いや、そんな場合には、国有資産による現物出資という手も考えられます。借金は増やさず、政府手持ちの資産を日銀に資本注入するわけです。
 国有の土地・建物、財務省の持っている外貨準備の米国債や金地金などなど。とりあえず、財務省の外貨準備の2015年4月末の状況を見てみますと、

外貨 1.2兆ドル 143兆円 (1ドル=120円換算)
金  290億ドル 3.5兆円 (同)

となっています。この外貨準備は「通貨当局及びその他の中央政府(社会保障部門を除く)」ですので、日銀保有分も含まれます。日銀の外貨(外国為替)と金の保有高はそれぞれ5月10日の営業旬報によると

外貨 6兆円
金  4400億円

となっていますから、外貨準備のうち、中央政府持分は、

外貨 137兆円
金   3兆円


という具合になります。

前回のエントリーで、日銀の株やREITの簿価は6.4兆円、純資産は3.5兆円程度ということでしたので、政府保有の金だけで、株式等が純資産を上回る分(約3兆円)を賄うことが可能となりそうです。

いざ有事(金融においての有事)があったとき、政府が素早く動くことができれば、日銀の株やリートの暴落に起因する債務超過問題は速やかに解消できそうですね。特に、暴落が起き、日銀の債務超過が表面化するよりも前にできれば、完璧です。もちろん、「政府が速やかに動ければ」という条件付きですが。





今回はここまでとします。

次回は、株やREITの暴落があっても、諸般の事情により政府が速やかに日銀の債務超過問題を解消できなかった場合(かなり特殊な場合のような気もしますが)において、日銀が債務超過に陥ったとしたら、どのような混乱が生じ得るか、その混乱からどのようにすれば早期に秩序を回復し得るか、について検討を行いたいと思います。



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654:日銀が万が一、債務超過となった時の対応策の検討(その1)

2015/05/18 (Mon) 17:30
本題に入る前に、昨日のいわゆる「大阪都構想」というか「大阪市解体構想」が住民投票で否決され、ついに終止符を売った件について少々。

これについて私が強い感情を伴って思い浮かべるのは、私がお世話になった故・長田義明元大阪府議会議長のことです。この7年も続いたお祭り騒ぎがなければ、もっと長生きされていたのではないかと思うと、非常に複雑な気持ちにならざるを得ません。

私が長田元議長の生前、ご本人から伺ったのは、都構想というか、維新が大阪の自民党から分裂するきっかけとなったのは、咲洲(さきしま。大阪市の臨海地域)のWTCに府庁を移転するか否かで自民党府議団の内紛であったということです。
 そのWTCとは東日本大震災において唯一、西日本で被災したあのビルです。橋下氏らはこの万一津波があれば孤立する可能性が高いと指摘されていたビルに府庁移転を強行しようとし、この問題が2011年の統一地方選時の選挙の争点ともなりました。

そこで、朝日新聞が「震災は天の恵み」と書き立てた、長田元議長の失言騒動が沸き起こりました。
 この際の長田元議長の発言の意図は、震災そのものが天の恵みというわけでは当然、あり得ません。どこかの反日の国のごく一部の人々じゃあるまいし、そんなことは絶対に断固としてあり得ません。
 そうではなく、この震災によって、唯一西日本で被災したのがWTCであったということにより、橋下氏がこのビルに府庁を移転することが間違いであることが明らかになったことは、大阪府民にとっては不幸中の幸いであった、という意図です。もし大阪で大震災があった場合に、災害対策本部となるべき府庁が津波被害などによって孤立し、より多くの人命が失われるようなリスクが回避されたという意図です。
 失言ではありましたが、これによって長田元議長が寿命を大いに縮めなければならなかったという類のものであったとは、私には今も決して思われません。この騒動の翌々年(2013年)に元議長は他界されました。

 騒動の勃発時は毎日のように多数の記者が詰めかけ、連日連夜、自宅兼事務所に抗議電話がかかってくるというありさまでした。
 抗議電話をかけて来られた方の中には保守系の方もいらしたと思います。しかし、これがあの朝日新聞の記事の見出しが契機であったと分かっていた人――言い換えれば、元はと言えば朝日新聞に煽られていたと分かっていた人――は少なかったでしょう。そして、翌々年に元議長が他界されたというその後の経緯を知るに至った人も非常に少ないのではないかと思います。

元議長がこの失言をしてしまった背景としては、
・自民党として全面的に支援して府知事に当選した橋下氏が、あまり大義があるように思われない府庁舎移転問題で自民党を裏切って大阪の自民党を分裂させたことに対する憤り
・自分の後継者にと盛り立てていた地元の自民党市会議員が何のあいさつもなく維新に移籍して府会議員に立候補すると表明するに至ったということに対する憤り
があったと思われます(私が直接ご本人から伺った話を振り返るとそのように思われます)。

 そもそも、この市会議員の「裏切り行為」がなければ、元議長は政界を引退するつもりでおられたのです。議長職はその最後の花道であったわけです(引退直前の多数党議員が議長職となるのが慣例だった)。
 しかし、上記の経緯のために出馬せざるを得ず、そして議長職でなければ来ることもなかった新聞記者、とりわけ、朝日新聞の記者が選挙事務所の事務所開きに参加していたところに、橋下氏や後継者にと目していた地元市会議員への遺恨からついつい発することとなってしまったのが上記の言葉だったと思われます。

 このように、いろいろな偶然が重なった上で起きた騒動でした。

 その当時、ご本人、ご家族のご様子をつぶさに観察する位置に私はいたのですが、そのストレスはかなり凄まじいものがありました。マスメディアとマスメディアに煽動された大衆はこうやって政治家を叩きつぶす――政治生命だけでなく、人間としての生命までをも結果的に奪ってしまう――のだな、というのを目の当たりにしたのでした。

 2011年当時、私は大阪市会の自民党議員の方から「政治家は決して割のいい商売じゃない。自己犠牲を覚悟でやらんと、やれん仕事やで」と教わったのですが、この長田元議長の最晩年の顛末を見るにつけ、改めてひしひしと感じたものでした。

 この経験は、私が基本的に他人を批判しない、特に政治家の皆さんを批判しない(党派によらず)という姿勢を取ることとした強力な動機づけの一つとなっています。私は、自分がお世話になった人物が、世間からの途方もないバッシングを受けた後、ひっそりと息を引き取るという一部始終をこの目で直に目撃したのです。いや、「ひっそりと」というのは多少語弊があります。長田元議長のお通夜に数百人にのぼる多数の参列者があったことは、私には救いでした。

 そして結局、2011年の選挙の争点であった府庁舎の移転問題。橋下氏は選挙に勝ったにもかかわらず、結局は府庁者のWTCへの移転を撤回したのです。あの選挙はなんだったのか?あの騒動は何だったのか?てなもんです。

私は、この都構想問題について、かつて、一応は当事者の端くれであったにもかかわらず、最近では一切書いてきませんでした。
 それは一度書き出すと、感情が先走って余計なことを書いてしまい、多方面にご迷惑をかけるなんてことがほんの少しでも絶対にないように、ということからでした。
 なぜ感情が先走ってしまうかって?
 それは、お世話になった人物がこれによって命を落としているからです(と私個人は、そう考えているということです。それが絶対的真実であると断定はできませんが、私にとってはそれが真実です)。


そういったわけで、私は橋下氏にはかなり複雑な感情を持っています。
が、この方の、間違っていたとなればすぱっと謝罪してしまい、許してもらってから次に進むという点など、人間的魅力の高さがあることはそれはそれで率直に認めたい部分もあります。

そして、今回の住民投票後の会見では、橋下氏の話に非常に秀逸と感じた部分があったので以下に引用します(毎日新聞より):

(質疑応答)

−−12月まで市長を続ける。将来、もう一度政治家になる可能性はあるか。

 橋下氏 ないですよそんなの。まず一つは、住民の皆さんの気持ちをくむ。負けるのだったら住民投票をしかけるべきでない。その判断が間違っている。住民の皆さんの考えをくみ取れていなかった。それは政治家として能力が一番欠けているところです。政治家は嫌われちゃいけない。民主主義である以上。僕みたいな政治家が長くやる世の中は危険。みんなから好かれる、敵のいない政治家が本来、政治をやらなければいけない。敵を作る政治家は本当にワンポイントリリーフで、いらなくなれば交代。権力は使い捨てが一番。それが健全な民主主義だ。ぼくみたいな敵をつくる政治家がずっと長くやるなんて世の中にとって害悪。でも8年間、僕みたいなスタイルでやっているのだから、大阪も相当問題を抱えていたのかもしれない。





橋下氏は、ル・ボンの「断言、反覆、感染」のような手法の効果と危険性をよくよく分かった上で意図的に使っていらしたのでしょう。

この橋下氏の発言を読んで頂ければ、私がこれからの長期的活動において「断言、反覆、感染」を使わないということの意味をより一層分かって頂けるのではないかと思います。

とは言え、私自身が政治に直接関わることはありませんが、意図するところは分かって頂けるのではないかと思う次第であります。





というわけで以下、本題です。

前回の続きです。

まず、日銀の最新の株式やREITの購入状況と純資産の状況の確認です:


営業毎旬報告(平成27年5月10日現在)より

資産の部より

 金銭の信託(信託財産株式:従来型の金融機関からの株式購入分)         1.4兆円
 金銭の信託(信託財産指数連動型上場投資信託:株式指数ETF)         4.8兆円
 金銭の信託(信託財産不動産投資信託:REIT)                      0.2兆円

 株式等合計               6.4兆円

負債および純資産の部より
 資本金                                                1億円
 準備金 2.9兆円

 純資産合計               2.9兆円


で、

株式等の合計 6.4兆円 > 純資産合計 2.9兆円

という状況です。ただし、営業旬報には決算書(財務諸表、最新は昨年9月末分)の貸借対照表の資産側にある、「その他資産」、「有形固定資産」、「無形固定資産」の5千億~6千億円程度が含まれません。これらをそのまま足すと、純資産は概ね3.5兆円程度となりますが、それでも「株式等の合計>>純資産」の構図は変わりません。

※ここで株式等の合計6.4兆円という数字のうち、信託財産株式(従来型の金融機関からの株式購入分)1.4兆円が入っています。これは前回書いていた「従来型」の株式購入です。新型の株ETFやリートの購入の合計は前回、7兆円と書いていましたが、正確には5兆円程度でした(訂正します。記憶だけに頼るとやはり不正確ですね^^;。すみません!)


2か月前のエントリーにおいて、市中銀行が債務超過に陥ることを防ぐため工夫として、法律で「株式保有高>自己資本」となるように法律で規制されているという話をしました。こうしておけば、買った株が0円になっても自己資本がゼロ以上に留まるため、銀行が債務超過にならずに済む、ということです。
 一方で日銀は現状、「株式保有高>>自己資本」となっているわけであり、株が暴落し、半値程度以下になった場合、債務超過に陥る可能性があることになります。

 なお、日銀の帳簿上の株やREITの保有高は、時価ではなく、簿価です。厳密には、財務諸表に「株式、指数連動型上場投資信託受益権及び不動産投資法人投資口の評価は、移動平均法による原価法により行っている」とあります。つまり、平たく言えば株やREITは購入コストの合計額が帳簿に載っているということになります。よって、暴落によって半値以下に…という場合は、暴落によって保有時価総額が購入コスト合計額の半値以下に、という意味合いになります。

なお、会計上の細かいことですが、日銀の財務諸表においては、この簿価(購入コスト)を時価が下回ると、その差額につき負債に損失引当金(それぞれ、株式取引損失引当金、指数連動型上場投資信託取引損失引当金及び不動産投資信託取引損失引当金)を計上することとしています。また、時価が簿価に対して「著しく下落(通常、有価証券の場合は簿価の50%以上の下落)」した場合は「減損処理」を行い、引当金を負債に計上するのではなく、簿価そのものを時価評価額に転換します。引当金の計上であれ、減損処理による簿価の書き換えであれ、時価が購入コストを下回った際に純資産が減少する点は同じです。


 しかしながら。

 債務超過になったところで、日銀はいくらでも円を刷れる(実際には紙幣よりは当座預金で対応すると思われるので印刷はせず、帳簿端末のキーボードをかちゃかちゃいじることで円資金を増やせる)ので、債務不履行にはならないのでは?

と思われれるかも知れません。理屈として、それで正しいと思います。しかし、円の為替レートが落ちることは恐らく防げないと思われます。
いや、それでも緩やかに落ちるだけであればそれほど問題は起きません。
問題は急激に円の価値が暴落することです。それは、破綻論者の皆さんがこの数十年の間、愛して止むことのないハイパーインフレかそれに近い状況の到来を意味します。

なお、このような場合において、どれくらいの円レート下落が起きるかは、世界中の著名投資家や大手機関投資家、格付け機関、マスメディアがどれくらい騒ぐかによって変わってくると思います。
 例えば、世界中の株が暴落するという現象が進行し、その中で日銀が債務超過に陥ったとします(若干あり得ない想定とは思いますが、政府や日銀が何らの防護策も取らなかったとして)。ムーディーズやS&Pやフィッチといった格付け機関は、「日銀が債務超過に陥った」という現象について、「いやいや、債務超過になっても日銀はいくらでも円を発行できるのだから債務不履行にならないのだから、何らの問題もないだろう」と見過ごすのであればよいのですが…。しかし、ただでさえ日本国債の格付けを韓国国債より下にしている彼らが、それでは済まさなかったとしても、それほど驚くべき事態ではないでしょう。
 世界中の株価が下落の一途をたどるなか、世界中のマスメディアがある日、「日銀、債務超過」と書き立て、さらに翌日「ムーディーズなど3大格付け機関、日本国債の格付けをAからBBB等に格下げ」と騒ぎ立てた場合、日本円を持っていたいと思う国内外の投資家がどれだけいるだろうか、と考えると、相当な規模の急激な円安が少なくとも一時的には起こり得るということになります。ただし、後で冷静になって考えてみると、日本の莫大な対外純資産が円の暴落によって円建てで急膨張し、そして所得収支が超大幅黒字になっていることに多くの投資家が気づくことになるでしょうが…。



いや、本当にそんなことがあり得るか?

なければ良いですが、もしもあったら、と考えるほうが無難でしょう。

孫子でいうところの「その来たらざるを恃(たの)むことなく、我の以て備えあるを恃む」、平たく言えば、備えあれば憂いなし、ということを、以下の検討における基本方針とします。


1.そもそも、債務超過をもたらすような株価暴落はあり得るか?

前回も書きましたように、株価などの上昇による資産効果により、株価の価値の源泉と言えるGDPが十分に増えるのであれば、株価暴落は原理的に起きないことも考えられます。しかし、過去においてバブルの形成と崩壊は何度も繰り返されているのですから、株価などの上昇による資産効果によって株価が永遠に支えられるとは考えられない、と認識しておくのが無難です。つまり、バブル崩壊は今後も起こり得ると考えたほうが良いでしょう。問題は、日銀の保有株式やREITの時価が自己資本を下回るようになるまでの暴落があり得るか、ということになりますが、ここではあり得ると仮定して、以下、検討を進めましょう。


2.日銀が株価暴落の影響を受けずに済む方法の検討

政治的に可能かどうかを脇におけば、その方法は極めて簡単です。政府が日銀の保有する株やREITなど価値変動の大きい資産を根こそぎ買い取ってしまうことです。全部と言わずとも、「日銀の株式・REITの保有高(簿価)<自己資本」となるくらいまで政府が買い取ってしまえば、どれだけ株が暴落しても日銀が債務超過に陥ることはありません。
 ただし、これを実行した場合、市場関係者に「日本政府は株価暴落があると予想しているらしい」といういらざる憶測を生み、それによって株価暴落の引き起こす可能性は一応は認識しておかなければならないとも思われます。
 もう一つ、仮にこれを実行しようとした場合の最大の制約条件は、「少なくとも数兆円かかる。これ以上国の借金を増やすと財政再建が…」となるかも知れません。しかしながら、これはカネを使うというよりは資産の購入のための新規国債発行ということになりますし、アベノミクスの成功を信じるなら株価は上昇するはずですから、むしろ政府にとって儲かる取引であるはずなので、それほど抵抗感なくできるような気もしますが、どうでしょうか。


※長くなったので次回に続きます。次回は、「日銀の保有株を政府が買い取るという対策ができなかった場合」について検討します。



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653:日銀が株を買うことの簿記3級的な検討

2015/05/11 (Mon) 17:49
本題に入る前に、近年における私の「基本的に誰の批判もしない」という方針について、少々書いておきたいと思います。




【私が混迷を増す世情において穏当な言動を心がけている理由】

私の「基本的に誰の批判もしない」方針は、概ね2012年に出版した『「国の借金」新常識』あたりから始めたものでした。

その後、ユングやフロイトといった心理学者/精神科医らの著書、それらを読んでやっと自分なりに腑の落ちる解釈ができるようになった老子の第二十八章、さらにはルドゥーやダマシオといった脳科学者らの非専門家向けの著作から得られた知見によって、「基本的に誰の批判もしない」方針をより一層強めたのが昨年出版に至った『日本経済のミステリーは心理学で解ける』ということになります。

最近では、この方針により、できるだけ穏当な表現を心がけてきたこともあり、この1、2年はほとんど批判コメント、罵倒コメントを受けることが皆無となっていました。
 ところがつい先日、久方ぶりに凄まじい罵倒コメント、というか「廣宮はバカだ」と連呼するような外部ブログのリンクをコメント欄に頂いたのでありますが、幸いにも、心や脳の仕組みをみっちり研究していた成果がいかんなく発揮されました。


 以前なら「この〇×△♨…!」と死ぬほどブチ切れていた(もし、相手が面前にいれば余りの非礼千万ぶりにつき、机をバンと叩いて「貴様何様のつもりか?まず四の五の言う前に名を名乗らんか!名乗るべき戸籍上の名前すらないのか?どこの馬の骨か?この無礼者が!」と恐らくは怒鳴りつけていたかも知れない)であろうところを、「ああ、これは生物学的に実に興味深い現象だ」と思うだけで済ませられるようになっています。なんと言いますか、今年は5月上旬にしてすでに台風が7つも発生しているという実に興味深い気象現象が起きていますが、それと同じような自然界において十分にあり得る現象、という感じでしょうか。

私はこれまで何度かこのブログで書いていますように、これから世の中は治世に向かうよりは乱世に向かうと見ています。あくまでも個人的には、ですが。
そうすると、誰のことも批判せず、穏当な表現を心がけていても、より頻繁に「アイツはアホだ、バカだ、〇×△だ」と言われてしまうようになる確率が高くなるでしょう。これは私だけでなく、多くの人々がそのような憂き目に遭いやすくなるでしょう。ましてや、日ごろから舌鋒鋭い論評をしていらっしゃる方(特に政治経済関係)は尚更でしょう。私が『日本経済のミステリーは心理学で解ける』をできるだけ早く出版したいと切望したのは、それに対処するための方法論(の一例)をできるだけ早く世に出しておきたかったという点が最大の理由の一つでした。


私自身は『日本経済のミステリーは心理学で解ける』にまとめた方法論を実践することで、以前なら完全にブチ切れていたところを「ブチ切れてもいいし、ブチ切れなくてもいい」というように自分の意志で選択できるようになりました。

私自身は、「基本的に誰の批判もしない」方針をこれからも延々続けるつもりですが、これは別にすべての人がこうあるべきと言っているわけではありません。これはあくまでも私自身の自由意志による私自身の選択です。自分以外の誰かが言っていたからとかそういうことではなく、私自身の選択です。

私は、「何を選択するか」よりは、「自分の意志による選択であるかどうか」のほうが重要であると考えています。私は、私の内部における主権を、可能な限り自分自身で掌握していることが私自身の幸せであると考えます。自分自身の内部における主権の掌握度が高いほど、私の人生における幸福の量が大きくなるのだと考える次第です。

世の中が乱れれば乱れるほどに、周囲からの影響によって一人ひとりの人間の内部における主権が喪失される危険が高まります。最近も某精神科医の方が自己内部における主権の掌握に失敗し、乱れた感情に流されるがままツイッターで失言したことによって社会的評価を著しく落としてしまった模様です。このようなことが、誰にでもあり得るわけであります。

もちろん、過激な言動によって世の中を変えてやろう、というのも一つの選択肢でしょう。
そのためならル・ボンの大衆煽動技法である「断言・反覆・感染」を大いに活用するのも一つの選択肢でしょう。
あるいは、吉田松陰のように、自らの生命と引き換えに井伊大老ら幕府首脳を相手に敢えて過激な発言を行って世の中を根本的に変えてしまう契機を作ってやろう、というのも一つの選択肢と言えます。
 しかし、ここで重要なのは、古典に通暁し、古今の多様な人々の生き死にについて考え抜いていたであろう吉田松陰は、穏当な発言に終始することで刑死を免れることも自らの意志で選べたかも知れないが、恐らくは、自らの意志で刑死されるほうを選んだ、ということではないかと私は想像します。あくまでも自らの自由意思において、であります(但し、もちろんいくら自由意思と言っても、現代においては居住する国の法体系を遵守する範囲内での活動とすることを強力に推奨致します。念のため)

私は自らの自由意思において、「断言・反覆・感染」を使わず、過激な言動を使わず、可能な限り他者を批判することなく、穏当に、時間をかけて、私自身が人類にとって最大の脅威であると考える「『国の借金』への過大な恐怖」と「富を失うことに対する過大な恐怖(=強欲)」を穏当に解消に導いて行くような活動を地道にしていきたいと考える次第です。

これは私が決めることであって、私以外の誰かが決めることでは断固として絶対にあり得ません。ここだけは敢えて断言させて頂きたいと思います。


【私が多角的な視点で考えることを重視することの二つの意義】

世情が混迷の度合いを増し、秩序から無秩序、均衡から不均衡、調和から不調和に向かう中で、私が上記のように穏当な言動を心がけているのは、自分自身や、できれば私の著述物を読む皆様方に、できる限り秩序、均衡、調和をもたらすようでありたいという願望を持っているからです。

それに当たって、私がもう一つ心がけているのは、多角的な視点で考え、多角的な視点を提供するという方針です。
あらゆる科学、経済学などの社会科学も、物理学や化学などの自然科学も、多角的な視点で検討がなされることによって新たな知見が得られ、それによって発展してきたと言えるでしょう。

『日本経済のミステリーは心理学で解ける』では、例えば、スポーツにおけるイメージトレーニングの効果につき、従来の「効果がある」とする多数の研究事例と「効果がない」とする多数の研究事例が示している矛盾につき、「イメージのやり方によって効果が異なる」というアイデアによって統合し、ものの見事にその矛盾を乗り越えたという話を紹介しました。これぞまさに多角的な視点で考えることによって新たな知見が得られ、研究が発展したという好事例と言えるでしょう。

学問や科学の世界のみならず、どのような問題も、問題があるということは何かしらの矛盾があるということであり、それは多角的な視点で考えることによって矛盾を乗り越え、問題の解決に至るということが常道であると思われます。

「多角的な視点で考える」ということの一つ目の意義はこのように、あらゆる種類の発展や問題解決にとって必要不可欠な要素であると考えられること、となります。

二つ目の意義は、多角的な視点で考えるということは、精神が乱れたときに平衡を取り戻したいという場合にも大いに役立つと考えられることです。詳細は『日本経済のミステリーは心理学で解ける』に書いた通りですが、例えば上のほうでも少し書きましたように、心理学とか脳科学とか生物学とか、あるいは、全く別の分野の知見からいま抱えているような問題に比喩的に似ている例え話を引っ張り出せば、より素早く精神の平衡を取り戻せる確率は高まるでしょう。

逆に言えば、多角的な視点で考えることを否定し、放棄するということは、成長すること、発展すること、不均衡に均衡をもたらすことを否定し、放棄することに等しいということになります。
 ある人がそのような方針を採ることと決めたならば、その人は残りの人生における成長、発展を放棄し、精神に不均衡が生じたときも不均衡のまま放置することを決意したに等しく、そのような人物がいたとすれば、残念ながら、私にはそのような方は残りの人生を生ける屍(しかばね)として生きることを決意したように見えます。
 私自身は残りの人生をゾンビのように生きるようなことはしたくないと常々思う次第であります。あくまでも、私自身が私自身の自由意思によってそのような選択をした、ということです。





とまあ、前置きが随分と長くなってしまいましたが、以下、本題です。


久方ぶりに簿記の「仕訳(しわけ)」の登場です。
だいぶ以前に書きましたように、「どのような経済取引も必ず簿記の仕訳で表現できる」という原則があると私は考えているのですが、その原則に従って日銀が株を買う――より具体的には2013年以降の量的緩和における株式指数ETFとREITの買入れ――という話を考えます。
が、その前に日銀の「指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領」から、概要をかいつまんで述べておきます。


【日銀資料に基づく株式指数ETFやREITの買入れ方式概要】

従前の「株式買入れ」が銀行の保有株のみを対象としていたのと違い、今般の株式指数ETFやREITの買入れは市場から直接買う。ただし、信託銀行に委託する方法は不変。

・株式指数ETFは「東証株価指数(TOPIX)、日経平均株価(日経225)またはJPX日経インデックス400(JPX日経400)に連動するよう運用されるもの」に限定。

・REITは「「適格担保取扱基本要領」(平成12年10月13日付政委第138号別紙1.)に定める適格担保基準を満たすものであること。また、原則として、金融商品取引所において売買の成立した日数が年間200日以上あり、かつ当該金融商品取引所で行われた年間の売買の累計額が200億円以上であること」が条件

まあ、これ以上は長くなるので止めましょう。

一番のポイントは、今般のETFやREITの買入れは、従前の株式買い入れや国債買入れと異なり、日銀が量的緩和で増やした当座預金が、かなり直接的に株を持っている個人や企業のフトコロを潤すような仕組みになっているという点です。


では、以下の図において簿記3級的な仕訳を検討します。



nichigin-buying-stock.png


・上の図において、話を簡単にするため、日銀からETFやREITの買入れを委託される信託銀行や個人株主が売却取引を行う証券会社や売却資金を受け取る預金口座がある銀行は、連結決算としています。ここを個別に検討し出すとあまりにも複雑になるためです。

・言葉でこの一連の過程を説明すると、以下のようになります:

①日銀が日銀における当該銀行の口座の当座預金を増やし、

②それを代金として日銀が株を購入します。

③売主はここでは個人としてますが、別に非金融企業でも構いません。市場=証券取引所で売買するからには、お互いに特定の売主や買主を指定することはありません。証券取引所においては単に売買される銘柄につき、希望する売値と口数、希望する買値と口数を突き合わせて順次取引をさばくだけです。で、売主である個人の手元から保有株が離れて日銀のフトコロに入り、売主の個人は市中銀行や証券会社を介して売却代金を受け取ります。個人は日銀当座預金を直接受け取るわけにはいきませんから、日銀が増やした当座預金を担保として市中銀行がいわば「信用創造」して創出された預金が売主名義の市中銀行口座(あるいは、もう少し間接的には証券会社における売主名義口座のMRF)に振り込まれることとなります。



【マネタリーベースとマネーストックの関係の考察】

若干細かい話になりますが、ここでマネーストック(通貨の流通量)の定義について。
日銀によると、

「マネーストックとは、基本的に、通貨保有主体が保有する通貨量の残高(金融機関や中央政府が保有する預金などは対象外)です。通貨保有主体の範囲は、居住者のうち、一般法人、個人、地方公共団体・地方公営企業が含まれます。このうち一般法人は預金取扱機関、保険会社、政府関係金融機関、証券会社、短資等を除く法人です。」

となります。
分かりやすい日本語に翻訳すると、「マネーストックとは中央銀行、市中銀行、証券会社などの金融機関や中央政府以外の保有者(=通貨保有主体=非金融企業や個人や地方自治体など)が保有する現金や預金」のことになります。

日銀が量的緩和において市場を通じて株式指数ETFやREITを購入するということは、そのETFやREITの売り手が個人や非金融企業などの「通貨保有主体」であるならば、日銀によるマネタリーベースの増加が直接的にマネーストックの増加につながります。

これが、従来の株式買い入れ(銀行保有株式のみの買入れ)や、国債買入れとの大きな違いです。
従来の株式買い入れや、国債買入れでは、日銀がマネタリーベース(当座預金や現金)を増やしてそれを株や国債と交換に銀行に渡すだけです。それだけでは「通貨保有主体」に預金が回りませんから、マネーストックは増えません。増加した日銀当座預金の影響で市中銀行の預金準備率が上昇し、かつ、借入れ金利が低下したことで、市中銀行は企業や個人に事業用資金や住宅ローンなどを新規に貸し付けて初めて信用創造が起こり、マネーストックが増加する、はずです。

一方、しつこいようですが、今般の量的緩和におけるETFやREITの市場からの買入れでは、マネタリーベース増がマネーストック増に直結すると考えられます。

なお、補足事項ですが、従来の株式買い入れや、国債買入れにおいても今回この件を考える上でもう一つのマネーストック増加経路――新規貸付による信用創造以外の経路――があり得ることが分かりました。それは、日銀の国債買入れによって国債の価格上昇=国債の金利低下に伴い、非金融企業や個人が「保有国債の価格が上がり、売ればもうかるので売る」というケースです。間接的ながら、それによってマネタリーベースの増加→通貨保有主体(非金融企業や個人)の預金増加という経路が成立し、マネーストックに参入される通貨量が増加するからです。

下の図は日銀の資金循環統計における、非金融企業(濃い緑)と家計(明るい緑)の国債・財融債残高の推移です(単位は億円。グラフは日銀のデータベースのグラフ機能で作成)。

hikinkigyou+kojin_kokusaihoyuudaka.png

上のグラフにおいて、1マスが5兆円となります。非金融企業はピークから17兆円程度、家計は5兆円程度、合計で22兆円程度の国債保有高減少となっています。日銀が国債を買い増す中で、この22兆円程度の非金融企業や家計の国債保有減少が、銀行の新規貸付なしでマネーストックを増加させている可能性があります。但し、日銀データベースを見ると2008年から現在にかけてマネーストックは150兆円程度増えていますし、家計の国債保有高は08年からはあまり変わっていません。
そうすると、非金融企業の17兆円の保有国債減少と量的緩和によるETFやREITの7兆円程度の買い入れで説明できるのは24兆円程度なので、この08年以来のマネーストックの増加すべてを説明することは出来ません。この辺の詳細はまた追い追い調べてみたいと思います。
少々脱線しましたが、話を元に戻しましょう。



【日銀が市場を通じて株を買うことのメリットとデメリットの検討】

メリット

(1)日銀のマネタリーベースの増加が直接マネーストックの増加につながることによる景気刺激効果が考えられる

(2)日銀の株買いによって、それがなかった場合に比べて株価が上昇し、より高い値段で株を売り抜けた売主たちが実物資産の購入に資金を回すことによる景気刺激効果が考えられる(いわゆる資産効果

(3)株高によって社会全体の気分が高揚し、それによる景気刺激効果が考えられる


デメリット
(1)メリット(1)については、元々株を保有する余裕のある人だけが直接利益を享受すると考えられる(もちろん、年金受給者も年金基金の保有株上昇の恩恵を受ける可能性がある)。そのような株による利益を享受する者と株と無縁な低所得層との資産格差が開く可能性がある。また、株を売ってもうけた人は余裕資金が増えたことによりその資金の一部または全部をよりリスクの高い金融商品の購入に充てることでバブルの助長や金融の不安定化を増大させる可能性があり得る(『「国の借金」新常識」で取り上げた国連報告書に書いてあるメカニズム)

(2)メリット(2)については、株でもうけたおカネが実物資産の購入に回るとは限らないという弱点があり得る。これは減税や社会保障における現金給付と同じ弱点。公共工事や社会保障の現物給付と比べると乗数効果は低くなると考えられる。とはいうものの一応は、「国の借金」を増やさないというメリットはあるとは言えるが。

(3)メリット(2)の資産効果やメリット(3)の気分高揚による景気刺激効果は、永続性が残念ながら疑わしい。株や不動産が値上がりを続ければそれによって十分なだけGDPが増え続けるとは限らない。もしそれでGDPが十分に増え続けるのであれば、過去の市場経済において繰り返し起きているバブルの形成と崩壊は説明が付かない。仮に当局者が「いや、今回は過去とは違うので絶対にバブルの形成と崩壊は起こらない」と100%信じているとしても、万が一にバブル崩壊が起こったときに備えて対応策のシミュレーションは十全に行っておくのが妥当であると言える(ただし、そのようなシミュレーションの実施を世間に公表すべきかどうかは別問題)。


以上、日銀が市場を通じて株を買うことのメリットとデメリットにつき、できるだけ感情抜きにして機械的に私が思いつく限りのことを書き出すに留めておきます。というのは、私はここで誰かを非難する意図を全く持たないからです。これは、当エントリーの冒頭に述べたように、私自身の自由意思による選択であります。

次回は仮に株が暴落したときのシミュレーションと言いますか、対応策(のあり得る選択肢)について検討してみたいと思います。

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648:ECB新本部前:反緊縮・反資本主義デモの激しさ――パトカー放火etc→「反緊縮」ならフランクフルトのECB本部よりベルリンのドイツ連邦議事堂で抗議したほうが…(?)

2015/03/20 (Fri) 11:11
ドイツのフランクフルトに落成したばかりのECB新本部ビル(約1300億円也)前のデモ、文字ニュースでは知っていましたが、動画を見ると、かなり凄まじいものとなっていましたのでご紹介:


AFPBB(フランスのメディア)




RT(ロシアのメディア)






Guardian(イギリスのメディア)




時事通信の記事によると、デモの参加者は主催者発表で1万人に対し、警官隊の動員が1万人とのこと。

日本語の記事では、「反緊縮デモ」となっていますが、英語の記事では「反資本主義 anti-capitalism」となっていることが多いようです。

いや、よくよく考えれば、ECBは金融緩和(量的緩和)で国債を買いまくり、金利を下げるくらいのことしかしていないわけですから、それに抗議するのは「反資本主義」であって「反緊縮」ではないように思われます。

「反緊縮」ならベルリンのドイツ連邦議事堂(Bundestag)前でデモをするのが妥当かと…。

ああ、でもECBのギリシャ救済の条件がギリシャの緊縮財政の実施であるから、ECBに対して「反緊縮」というのもあり得るわけですね。


それから、最近では占領、つまり、オキュパイ(Occupy)とは言わず、バリケードなど障害物で道路を封鎖するblock+占領occupyということでBlocupy(ブロキュパイ)と言うそうです。上のRTの動画のタイトルにBlocupyとあるのがそれです。
…というか、AFPBBの記事によると、Blocupy(ブロキュパイ)というのは団体名だそうです。


しかしドイツ人、結構激しいですね…

と思ったらAFPBBの記事によると、この抗議活動にはギリシャの政権与党Syrizaのメンバーが参加して演説をぶったりしていて、ドイツ人だけじゃなく外国人が6000人参加していたとのこと(AFPBBの記事では時事通信記事より参加人数が多くなっています:警察発表で1.5万人、主催者発表で2万人)。

ということは、パトカーに放火しているのはドイツ人ではなくて、外国人の可能性も???
いや、仮にそうだとすると、EUのシェンゲン協定圏のように国境検査がないというのは、やはり考えものでありますね…。


緊縮財政、金融緩和、資本主義、グローバリゼーション及びこれらの合わせ技などなどについて。
とにかく色々と考えさせられる事件ではあると言えそうです。


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647:「景気」より「中央銀行」に支配される株式市場

2015/03/19 (Thu) 12:24
「今さら何を」と言われるかも知れませんが、株価は「景気のバロメーター」でなくなっている件につき、一応書いておきたいと思います。

というのは、3年前に出版した著書「『国の借金』新常識」で株価は「景気のバロメーター」と書いていたことにつき、一度お詫びと訂正をしておかないといけないかも知れないと思ったからであります。


昨日の米国市場について、ブルームバーグの記事です:

-----
米国株:FOMC受けて上昇-利上げ先送り観測が広がる
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NLFBUJ6VDKHW01.html
ブルームバーグ 2015/03/19

18日の米株式 相場は反発。連邦公開市場委員会(FOMC)が経済成長はやや緩やかになったとの認識を示したことを受け、利上げを急いではいないとの見方が市場で広がった。FOMCの結果発表まで、株式相場は軟調に推移していた。
(後略)
-----


要はFRBがアメリカの経済成長が鈍化していると思ってますねん、と言ったとたん、株価が上がったというわけですね。

これ、おかしいですよね。

「景気思ったより良くないねん」という話に反応して株価が上がる、てなことは、株価は「景気のバローメータ」ではなくなっているということになります。

いや、もはや株式市場は、「中央銀行様が、金利をいつ上げるかを当てる賭博場」と化しているようであります。

最近の米国株式市場は、

失業率が下がった(景気のいい話)→利上げ早まると予想→株価下がる

製造業受注指数が下がった(景気の悪い話)→利上げ遠のくと予想→株価上がる

というように、景気とは逆相関になってしまっています。逆の意味では、「景気のバロメーター」と言えないことはありませんが^^;
あるいは、「株価は金利予測のバロメーター」と言うべきでしょうか。


通常の経済状態では

株価上がる→債券から株に資金が移動して債券下がる(金利上昇)

ですが、

現在は

中央銀行が債券を買いまくる(金利低下)→締め出された民間マネーが株に移動して株価上がる

という具合でしょうか。

とにかく、通常ではない状態、というわけで。



それで、日本株はというと、

アメリカの利上げ先送り予想→米ドル安円高の予想→実際にドル安円高→日本の株価下落

となっている模様ですね。

-----
日本株は下落、米FOMC受けマネー変調警戒-円高、過熱も
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NLFIUZ6KLVR801.html
ブルームバーグ 2015/03/19 11:02 JST
-----


最近の日本の株価を支配しているのは、「ドル円為替レート」と「公的資金」というところでしょうか。


-----
「クジラ買い」の爆発力 公的マネー、需給に大変化
http://www.nikkei.com/markets/column/scramble.aspx?g=DGXLZO8426008011032015EN1000
日経電子版 2015/3/12

前日の米株安を物ともせず、11日の日経平均株価は反発した。誰がつけたか、公的マネーを指す「クジラ」が影響力の大きさを見せつけた一日となった。クジラは全部で5頭。買い余力は合計で20兆円を超えるとの試…

-----



20兆円という金額が大きいかどうかですが、東証一部の年間売買代金と最近の時価総額を見ておきましょう。

東証の統計月報(2015年1月)より

東証一部
2014年の売買代金
576.5兆円

2015年1月末の時価総額
510兆円

20兆円というとこのうちの3~4%に過ぎません。

これを大きいと見るのか、小さいとみるのか。

これを市場が大きいと見て株価がどんどん上がっているのだとしたら、近い将来の株式市場はかなり危ういかも知れませんね。この東証一部の時価総額のたった4%程度の資金が尽きたとき、買い手が市場からいなくなる可能性があるからです。

え?「クジラ」のうちの一頭は日銀であり、いくらでもカネを刷れるのだから大丈夫?
いや、それはどうでしょうか。

日銀の昨年9月末時点での財務諸表のうちの貸借対照表を見てみましょう。

資産

信託財産株式
1.37兆円
信託財産指数連動型上場投資信託(TOPIX ETF)
3.22兆円
信託財産不動産投資信託(REIT ETF)
0.16兆円

合計 4.75兆円

それに対して純資産は 3.47兆円

となっています。

さて、市中銀行の場合は「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律」によって、株式の保有は自己資本に相当する金額を超えないことが規定されています。

これは、株が暴落したとしても、銀行が債務超過に陥らないようにするための規制です。

日銀は、保有株式>自己資本(純資産)となっています。株が暴落したら途端に債務超過になりかねません!(絶対に、というわけではありませんが、可能性としてはあり得ます)


え?「日銀が買いまくれば株式暴落はないので、債務超過にもならない」って?

理論的にはあり得る理屈かも知れませんが、心理学的にあり得るでしょうか?

つまり、世界中の投資家が「日銀が買いまくれば株式暴落はないので、債務超過にもならない」という理屈を認めるか否かですが、認めない可能性が、それなりに高いのではなかろうかと思います。

例えば、仮に株や国債の価格を維持できたとしても、円という通貨そのものが信用されなくなったとしたら、どうなるか、というシミュレーションはしておいたほうが良いでしょう。



というわけで、「アメリカも、日本も、いまや株式市場は中央銀行にジャックされている」という様相を呈していると言えそうですね。
ドイツのDAX指数などECBの量的緩和を受けてガンガン過去最高値を更新しているユーロ圏もその点は同じと言えそうです。


いやはや、日、米、欧は本当に「チェックアウトできても 離れられない」ホテル・カリフォルニア状態になっている感がします。「離れられない」とは言え、いずれは「離れたくはないが、離れざるを得ない」状況に陥ることになるように思われますが…。

今回は以上です。

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644:博士号を取得しました(名城大学 都市情報学 論文博士)

2015/03/13 (Fri) 16:25
以前、英語の学術論文を書いた、とかそういったことをちらっと書いていましたが、本当の目的は博士号の取得というところにありました。

私のことを「工学博士」と誤解されている方もいらっしゃるのですが、従来は、あくまでも「修士号(工学修士)」です。
最初の著書の略歴で「博士前期課程修了」と書いていたことが原因かと思われますが、一般的に修士課程の正式名称が「博士前期課程」となっているという次第です。

最近はこのような誤解が生じることを避けるために「大学院修了(修士号)」と書くようにしていたのでありますが…。

まあこのたび、晴れて正真正銘の博士号を取得するに至った次第であります。

↓学位記の写真

学位記



さて、私が取得したのは名城大学 都市情報学研究科の博士号(論文博士)ということになります。


「名城大学」って?

名城大学の「名城」とは名古屋城にちなんでつけられた名前だそうです。
昨年、青色LED研究の功績によってノーベル物理学賞を受賞された赤崎勇教授が名城大学の終身教授を務められていることで話題になった大学でもあります。

↓ちなみに、赤崎教授の帰国会見の際のバックに「名城大学」のボードが映り込んでいます





「都市情報学」って?

「都市にかかわる経済学・行政学・地域学・環境学等の考え方、 および近年急速に発展してきた情報処理の技術を利用して、都市問題を解決する学問」(名城大 都市情報学部HPより)ということで、理系と文系の両方を包含しているような学部、学問となります。
 というわけで、経済学も扱っている学部(研究科)で経済の論文で博士号を取得した、ということになる次第です。



「論文博士」って?

通常、博士課程(正式名称は博士後期課程)は3年間の通学が必要ですが、論文博士は通学「修士号の保有+それまでの研究に関する業務経験等+博士論文の提出+口頭査問etc」で博士号を授与するというようなシステムです。私はその論文博士ということになります。



《博士論文の概要》


表題:
「正と反の経済学の検証に関する研究」


内容紹介:
 まず、「正と反の経済学」というのは名城大都市情報学部の木下栄蔵教授が考案した経済理論の枠組みで、以前は「通常経済、恐慌経済」と呼んでいた概念のものです。
・正の経済(通常経済)とは企業が経済成長に積極的に貢献している状態
・反の経済(恐慌経済)とは企業が経済成長に積極的に貢献していない状態
と言い換えることができます。

 なお、正の経済(通常経済)は必ずしもインフレの状態のことではなく、反の経済(恐慌経済)は必ずしもデフレの状態のことではありません。たとえば、スタグフレーション(インフレなのに不況というような経済局面)であれば、反の経済(恐慌経済)である可能性もあり得ますし、企業が委縮しているなかで主として政府の財政拡大によって経済規模が維持拡大しているようなケースも反の経済(恐慌経済)である可能性があり得ます。

 正の経済とはつまりは、企業が、資本主義が本来想定しているような、中央銀行が金融緩和さえしていれば放っておいても借金を増やして設備投資を拡大し、経済成長(実質ベースの経済成長)に積極的に貢献している経済局面ということになります。このとき、政府の振る舞いとしては緊縮財政が望ましい。

 一方、反の経済とはつまりは、中央銀行による金融緩和だけでは企業が借金を増やし、かつ、設備投資も拡大するという状況とならないような経済局面であり、その場合、政府の振る舞いとしては拡大財政が望ましい。

 このような正の経済と反の経済とを、統計データを用いて数値的に定義し、判別する手段を提供するというのが本論文の第一段階で主たる部分となります。なお、この議論の展開にあたっては、「そもそも経済成長とは何か?それは実質ベースにおける、財やサービスの生産に関わる支出の増大と負債の拡大が同時に生じることである」というような経済成長の定義から入っています。


 そして、第二段階で従たる部分が、反の経済において政府が積極的に振る舞えるかどうかを判定するための政府財政余裕度(つまり、「国の借金、大丈夫か?」)に関する研究、ということになります。この部分に関しては私のこれまでの書籍で述べてきたことをより厳密に検討し直し、さらにいくつかの要素を加えた議論を展開しました。


※博士論文の全文はいずれ名城大学図書館のウェブサイトで公開されることとなる予定ですが、時期については調整中ということになります。



《博士号取得にあたっての最大の評価要因は英語論文の査読通過》

"Defining Thetical Economy and Antithetical Economy---Analyzing Behaviors of Corporations, Government and Central Bank, Using Macroeconomic Statistical Data"
(邦題 “「正の経済」と「反の経済」の統計データによる判別方法についての研究”)

という表題の論文(木下名城大学教授との共著。廣宮が第一著者)がアメリカの Academic Star が発行する論文誌 Journal of Business and Economics の査読を通ったことが、今回の博士号取得に必要不可欠な要素でした。

私の論文の掲載号は2014年11月号になります。

↓表紙の写真
JBE_Nov20140001.jpg





↓目次のページ(赤の囲み部分が私の論文)
目次


この論文については、いずれAcademic Star ウエブサイトの当該ページで公開されるものと思われます(2014年10月号までが既に公開されているので、恐らく今から一か月以内に)。

なお、この英語論文、日本語版がそっくりそのまま博士論文に含まれていますので、いずれ博士論文が見れるような状態となれば必然的に、この英語論文をそのまま日本語で見れるようになるという算段です。



《「国の借金」について》

私としましては、政府の財政余裕度の問題を扱う際、これからも「国の借金」という言葉を多用するつもりであります。
なぜなら、
1.短くて便利な言い回しである
2.この場合の「国」は国会議員が中央政府の議会の議員を意味するのと同様、中央政府を意味するのであって一切間違っていると思われる要素が見受けられない
からであります。

 もし、「国の借金」という言い方が間違いであるとしたら、国債は「中央政府債」に、国庫短期証券(償還期間1年以内の割引国債)は「中央政府庫短期証券」と言い換えなければなりません。しかし、そのような必要性はどこかにほんの少しでもあるのでしょうか?

 今後、例え私の書いた文章や資料等を参考としている方や、あるいは私が直接にご教示させて頂いた方であっても、「国の借金という言い方は間違いだ!」、「国の借金という言葉を使うのは財務省の陰謀だ!」とおっしゃる方がいらっしゃったとすれば、そのような方は私とは一切関係なく、私は一切関知しないということを、ここで改めて明白に宣言させて頂きたいと思います。悪しからず、ご了承くださいますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 もう少し平たく申しますと、「国の借金という言い方は間違いだ!」、「国の借金という言葉を使うのは財務省の陰謀だ!」との主張を繰り返すことは、不必要なところで積極財政派全体への評価を著しく低減させかねませんので、是非とも今後一切止めて頂ければまことに幸いに存じます。



《今後の当ブログ更新について》

この1年と3ヵ月ほどは博士論文関係で気力を使い果たすような感があり、なかなか更新できませんでしたが、今後は、興味深いニュース報道があった際などに短めの更新を適宜させて頂こうかと思っております。今後ともどうぞよろしくお願い致します!


《私の現在の日本経済に関する見解と政権に対する姿勢》

私は現在の日本経済は企業が積極的に経済成長に貢献しているとは言えない状態であるという認識を持っています。つまり、日本は「反の経済」というわけです。この場合、金融緩和ばかりを拡大し、政府の財政拡大があまり行われていないことについては、格差拡大と金融不安定化を招きやすいため、決して好ましいとは言えない、という見解を持っています。

しかし、だからと言って政権批判を行うつもりはありません。
私の見解というものは、もしそれが天意に沿うものであればいずれ用いられることもあるでしょう。逆に言えば、天意に沿うようになるまでは用いられることはない、ということになるでしょう。

昨年出版した著書において書経の「天、民をあわれむ。民の欲するところは天、必ずこれに従う」という言葉を紹介しました。安倍政権は、2012年の衆院選、2013年の参院選、2014年の衆院選において民意を得たと言えます。
 自民党が獲得した票はたかだか1,500万票程度、つまり有権者1億人の15%程度の支持しか得られていないとも言えますが、意思表示しなかった4,000万人の有権者は多数党に白紙委任したに等しいとも言えます。
 だから、やはり安倍政権は民意を得た、つまり、安倍政権は「民の欲するところ」=天意を得たとも言えます。仮にこれを経済政策に関する天意とするならば、私の志望するところは天意とは異なるということになります(2012年当初は一致していると思っていましたが…)。

自分自身の志望と天意が異なるとき、どうすべきかというと、私の場合はとにかく静かに自己研鑽を進めるということが一つのあり方ではないかと感じている次第です。これはすべての人にとって一様に絶対的に正しいということではなくて、あくまでも私自身にとって、ということです。

いずれ天意と自らの志望するところが一致するときが来るまで、とにもかくにも自己研鑽を進めておく、ということが「徳を積む」ということではなかろうか、と思わぬでもない今日この頃であります。



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643:ユーロ、ドル、円は出口のない「ホテル・カリフォルニア」?:ギリシャ財務大臣の「チェックアウト(=デフォルト)できてもユーロから離れられない」ホテル・カリフォルニア発言

2015/01/28 (Wed) 12:15
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私は、格差拡大、それによる社会の不安定化の根本的原因は、

①国の借金に対する恐怖

②富を失うことに対する恐怖(=強欲)

という二つの恐怖だと考えています。

①の恐怖によって、各国は格差拡大による社会不安の増大を防ぎ、将来の生産能力不足を防ぐための投資を行うことができなくなってしまいます。また、この恐怖により、財政政策よりも金融政策に依存しがちになり、それは
国連開発計画の報告書によれば、金融の不安定化とさらなる格差拡大につながってしまいます。つまり、国の借金に対する恐怖(過剰な恐怖)を克服しない限り、これからも格差拡大は止まらず、各国の社会の不安定、世界全体の不安定はますます拡大してしまうでしょう。

②の恐怖によって、富裕層がますます富裕層により有利なルールを作ろうとして、資金を投じて政治家を支援し、それによってますます格差が拡大し、不安定化してしまう可能性があります。そうなると本来はその富裕層の皆さんの身を危険にされすことになるのですが・・・(それを身をもって示してくれたのが故カダフィ大佐と言えます)

恐怖とは本来、危険を回避するための生物が備えている防衛本能であり、生命の保存、種の保存のための機能であり基本的機能です。
しかし、上記の私の説明のとおりであるとするならば、その危険回避のための本能である恐怖によって、人類社会の危険がどんどんと高まっていると考えることができるでしょう。

よって、
これからの世界の安定、日本の安定のために、極めて重要と思えるのが、
「恐怖とは何か?どのようなメカニズムのものなのか?」、
「恐怖とうまく付き合い、この厄介な本能的機能を使いこなすにはどうしたらよいか?」
という問題と言えるでしょう。


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では、本題です。


以前、当ブログで歌詞を詳細に解説させていただいた、ホテル・カリフォルニア」――イーグルスがアメリカ建国200年の節目、1976年に発表し、収録アルバムが世界で900万枚売れた大ヒット曲――が最近、世界の金融界で大流行の兆しを見せているようです。


-----

ユーロは出口のない「ホテルカリフォルニア」-ギリシャ新財務相
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NIU9OP6S972M01.html
ブルームバーグ 2015/01/28

  (ブルームバーグ):27日にギリシャの新財務相に指名されたヤニス・ファロファキス氏はギリシャ危機の初めのころから、同国がユーロ圏にとどまりながらデフォルト(債務不履行)すべきだと論じてきた。ウェブサイトやツイッターで持論を展開している。

 ギリシャは決してユーロに参加すべきではなかったが、入ってしまった以上、離脱は崖から落ちるようなものだとする同氏は、いつでもチェックアウトできるが決してホテルを去ることはできないという「ホテルカリフォルニアの歌詞の最後の1行がギリシャの立場をよく表している」と2012年のブルームバーグラジオとのインタビューで語っていた。「ホテルカリフォルニア」はイーグルスのヒット曲。

 アテネ大学の経済学教授の同氏は緊縮反対を掲げて選挙に勝利した急進左派連合(SYRIZA)主導の新政権の財務相として、欧州諸国との交渉の前面に立つことになる。

 新政権の公約の中核は2400億ユーロ規模の救済融資をめぐるユーロ圏および国際通貨基金(IMF)との合意内容を修正することだ。SYRIZAは公式の立場としてデフォルトは否定している。

 ファロファキス氏(53)は「この救済の問題点は、実は救済ではないということだ」と26日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで語った。「引き伸ばしと偽装であり、悪循環であり、デフレのわなだった。ギリシャの社会経済を崩壊させたばかりではなく、普通のドイツ人やイタリア人、スロバキア人にとってのギリシャ救済のコストが最大化されたことを示すものだ」と語った。

原題:New Greek Finance Minister Likens Euro to Hotel California (1)(抜粋)

――――


最近、というかギリシャの新財相がこの発言をしたのは3年前のようですが。


さて、そのホテル・カリフォルニアの最後の一行を改めて確認しておきます:

You can check out any time you like, but you can never leave.
いつでもチェックアウトできるが、離れることは決してできない。



以前、歌詞の解説を書いたときはまユングフロイトの著書をきちんと読み込む前だったので、改めて少し解説を加えておきたいと思います。


「いつでもチェックアウトできるが、離れることは決してできない。」

の箇所と同じ内容を別の言葉で表現している箇所


 They gathered for the feast
 They stab it with their steely knives,
 But they just can't kill the beast

 彼らは宴のために集い、
 鋭いナイフを突き立ててその野獣を殺そうとするが、出来なかった。



があります。なお、ここで野獣(the beast)とはたとえば「強欲」のことと考えられます。


これらの歌詞の意味するところは、以下のようなものでしょう:


 一人ひとりの人間の心の中の構成要素は、消そうとしても消せない。
 あるいは、自分自身の心の内容物からは、一生離れることなどできないのだから、適切な手続(チェックアウト check out)を踏んでうまく付き合わないといけない


人間の心理、というか人間の生物学的な本質を突いている歌詞だと改めて思う次第です。


まあ、それはそれとして、上記ブルームバーグ記事にあるギリシャの新任財務大臣のこれまでの姿勢が非常に興味深いですね:

ギリシャは「ユーロ圏にとどまりながらデフォルト(債務不履行)すべきだ」




これをホテル・カリフォルニア風に言いなおすと、

「チェックアウト(デフォルト)はできるが、ホテル・ユーロからは離れられない」

という感じでしょうか。


そうすると、この方が新たに財務大臣に任命されたということは、ギリシャはこの線でトロイカ(ECB、EU、IMF)に「四の五の言ってやがると、デフォルトしちゃうぞ、この野郎!」と「脅し」をかけ、「緊縮財政を緩和させやがれ!」と交渉するというソフトランディング路線でいくのかも知れません。

それはそれで欧州景気の長期化は避けられない可能性が高く前回書いたような「ユーロ圏内諸国のことごとくが、ロシアや中国のような軍事中央集権体制的な国家群に移行する」というシナリオの実現可能性は減ることにはならないように思うのですが、どうでしょうか。


まあギリシャの場合、チェックアウトというよりは宿泊代金未払いで部屋から追い出されるものの、皿洗いか何かで時間かかってでも未納宿泊代金を返していかざるを得ないので離れられないという具合かもしれません。そこで問題はギリシャ国民がいつまでその「皿洗い」待遇に耐えられるか、というところでありましょう。



 ところで、日銀の異次元緩和も「ホテル・カリフォルニア」と言われることがあるようです:

-----

もう抜け出せない? 日銀が迷い込んだ「ホテルカリフォルニア」の迷宮
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20140912/asahi_20140912_0001.html
dot. 2014年9月12日

-----


そもそも量的緩和のような概念について「ホテル・カリフォルニア」と発言した元祖は本家アメリカのダラス連銀総裁だったようです(2012年):

Fisher Warns Fed of Trap: `Hotel California’
http://go.bloomberg.com/political-capital/2012-12-14/fisher-warns-fed-of-trap-hotel-california/
Bloomberg DEC. 14, 2012

...

“Since we’re going to have an engorged balance sheet, we may never be able to leave this position,” said Fisher, 63.
「我々は過剰なバランスシートを持とうとしているのであるから、我々はこのポジションから決して離れられないだろう」、とフィッシャー(63歳)は語った。

“We were at risk of what I call a ‘Hotel California’ monetary policy, going back to the Eagles song which is, you can check out any time you want but you can never leave.”
「我々は、イーグルスの昔の歌、チェックアウトできても決して離れられない、という歌詞になぞらえて私が“ホテル・カリフォルニア”金融政策と呼ぶもののリスクにさらされている。」

...

―――――


以前、ホテル・カリフォルニアの歌詞を解説したときに、ホテル・カリフォルニアの収録アルバムの一曲目がホテル・カリフォルニアで、それと対になる最後の曲、「The Last Resort」の歌詞を紹介しました。

“ホテル・カリフォルニア金融政策”について考える際にもやはり感慨深いですので、再度、以下に紹介しておきます:


Who will provide the grand design?
What is yours and what is mine?

誰が「グランドデザイン」を提供し、
何を君たちのものとし、何を我々のものとすると決めるのか?

(→金融政策や経済政策に関して、誰が主権者なのか?という具合でしょうか?)


'Cause there is no more new frontier
We have got to make it here

もはや未開拓の地などない。
我々はここに留まって、うまくやらなければならない。

(→もはや金融政策で開拓できる需要などない。財政政策を行ってうまくやらなければならない、とか言ってみたりして)


We satisfy our endless needs and
justify our bloody deeds,
in the name of destiny and the name of God

我々は我々の果てしない欲望を満たし、
流血の事態を正当化する。
運命という名の下に、そして神の名の下に

(→これは目下世界中のあちこちで起きている出来事にぴったり当てはまる気がします…。それ以上はノーコメントにしておきます)


They call it paradise
I don't know why

彼らはそれをパラダイスと呼ぶ。
僕にはなぜか分からない。

(→“彼ら”は異次元緩和をパラダイスと呼ぶが、私にはなぜかよく分かりません…)


You call someplace paradise,
kiss it goodbye

君がそれをパラダイスと呼ぶなら
僕はキスしてオサラバさ

(→残念ながらギリシャの財務大臣の心情を察すると、ユーロはちっともパラダイスではないのでとっととオサラバしたいが、離れられない(; ;)ので、いっそのことデフォルトしちゃおうかな、という具合でしょうか… )





 君が“異次元緩和”をパラダイスと呼ぶなら

 僕は“異次元財政出動”というキスで

 “デフレの罠”とオサラバさ



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642:ユーロ、遂に量的緩和だが…、「各国中銀がリスク8割負担&国債買入れは各国国債発行残高の33%が上限」という足かせ付き

2015/01/23 (Fri) 21:28
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私は、格差拡大、それによる社会の不安定化の根本的原因は、

①国の借金に対する恐怖

②富を失うことに対する恐怖(=強欲)

という二つの恐怖だと考えています。

①の恐怖によって、各国は格差拡大による社会不安の増大を防ぎ、将来の生産能力不足を防ぐための投資を行うことができなくなってしまいます。また、この恐怖により、財政政策よりも金融政策に依存しがちになり、それは
国連開発計画の報告書によれば、金融の不安定化とさらなる格差拡大につながってしまいます。つまり、国の借金に対する恐怖(過剰な恐怖)を克服しない限り、これからも格差拡大は止まらず、各国の社会の不安定、世界全体の不安定はますます拡大してしまうでしょう。

②の恐怖によって、富裕層がますます富裕層により有利なルールを作ろうとして、資金を投じて政治家を支援し、それによってますます格差が拡大し、不安定化してしまう可能性があります。そうなると本来はその富裕層の皆さんの身を危険にされすことになるのですが・・・(それを身をもって示してくれたのが故カダフィ大佐と言えます)

恐怖とは本来、危険を回避するための生物が備えている防衛本能であり、生命の保存、種の保存のための機能であり基本的機能です。
しかし、上記の私の説明のとおりであるとするならば、その危険回避のための本能である恐怖によって、人類社会の危険がどんどんと高まっていると考えることができるでしょう。

よって、
これからの世界の安定、日本の安定のために、極めて重要と思えるのが、
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まず、本題とは異なる話題でありますが、

「イスラム国」

に関してです。
あまり多くは語らず、昨年9月に書いたエントリーの一部を以下に引用しておきたいと思います:




さて、ここでもう一度、「戦略の要諦」の話を振り返りましょう。

-----

①敵の退路を断つ
②敵の補給路を断つ
③敵の指揮系統を混乱させる
④敵方の国民の士気を喪失させる


ということを通じて、敵方の戦闘継続意志を消失させる

-----




ISIS側からアメリカおよび有志連合諸国について考えてみましょう。

①敵の退路を断つ
→基本的に無理(ISISから見れば相手が余りにも巨大すぎるし、相手は航空機だし、退路を断つもなにも、ヘッタクレもない)

②敵の補給路を断つ
→これもまず無理

③敵の指揮系統を混乱させる
→これもかなり難しい。但し、長期戦に持ち込んでアメリカと有志連合諸国のあいだの利害衝突が起きることを狙い、戦線から離脱する国を徐々に増やす、というようなことは可能かも知れない

④敵方の国民の士気を喪失させる
→…

これを書くのはあまり気が進まないのですが、「④国民の士気」の維持こそ、アメリカや有志連合諸国の最も気を付けるべき弱点のように思われます。

長期戦に持ち込まれ、かつ、アメリカや有志連合諸国の国内におけるテロが断続的に発生する事態となると…。
特に、肝心かなめのアメリカ国民の士気は、上記の世論調査の結果を踏まえると、いとも簡単に折れかねないと思えてしまうのであります。

そうなると、以前も書きましたように、極端な場合は「在外米軍の全面的な撤退」というところまで短期間で進行してしまう可能性もゼロではないでしょう。

また、ISIS壊滅作戦が仮に失敗に終わった場合、中東は非常に混乱するでしょうから、石油、天然ガスの中東依存の大きい日本のエネルギー安全保障は非常に困難な局面を迎えることとなるでしょう。

もちろんこれは最悪のケースでありますが、一応は想定しておいた方が良いのではないかと思う次第であります。いかがでありましょうか。





では、本題です。

今般のECB総裁による量的緩和開始予告の件ですが、いくつかのメディアの記事を見た結果、ロイターの以下の記事が一番分かりやすかったですので、紹介しておきたいと思います:




ECBが量的緩和決定、景気支援・デフレ回避へ1兆ユーロの支援策
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKBN0KV1E520150122?pageNumber=2&virtualBrandChannel=0&sp=true
ロイター 2015年 01月 23日 08:15 JST

[フランクフルト 22日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は22日、国債買い入れ型の量的緩和(QE)実施を決定した。買い入れは月額600億ユーロのペースで3月に開始、2016年9月末まで継続する。景気支援とデフレ回避に向け、残された最後の主要金融政策の実施に踏み込む。

買い入れ額には既存のプログラムも含まれる。民間資産の買い入れと銀行への数千億ユーロの低利融資に加え、国債買い入れを実施するとした。

来年9月までに1兆ユーロ以上の資金が供給される見通しだ。

ドラギ総裁は記者会見で「この拡大プログラムの下、公的、および民間部門の証券の買い入れは、合計して月額600億ユーロとなる」と表明。「買い入れは2016年9月末まで実施されることが意図されており、インフレ動向の持続的調整が確認できるまで継続される」と述べた。

国債買い入れは、各国中銀のECBへの出資割合に応じて行われる。ドイツのような経済規模の大きい国の方がアイルランドなど小規模な国より国債の買い入れ額が大きくなる。

金融市場はECBの決定を好感。欧州株は7年ぶりの高値をつけたほか、ユーロ圏国債は軒並み利回りが過去最低を更新。ユーロは対ドルで11年ぶり安値をつけた。

アリアンツ・グローバル・インベスターズの債券スペシャリスト、マウロ・ビットランジェリ氏は「すべての視線がドラギ総裁に集中する中で、彼は投資家の予想以上の大きなバズーカ砲を放った」と指摘。決定は「欧州市場にとり歴史的な岐路」とした。

理事会前からECBが大胆な追加緩和に乗り出すとの観測は根強かった。スイス中銀はフランの対ユーロ相場上限の撤廃に踏み切ったほか、ユーロペッグ制を導入するデンマーク中銀は、QE決定の発表後、今週2度目となる追加利下げを実施した。

<ECBの量的緩和、奏功するか>

エコノミストは、買い入れの20%のみがECBの責任になるとしたドラギ総裁の説明に注目している。つまりユーロ圏諸国の国債がデフォルト(債務不履行)した場合、損失の多くは各国中銀の負担となる。

この点についてはユーロ圏の結束の原則に反し、高水準の債務を抱える国の財政をさらに圧迫する可能性があるとの批判が上がっている。

ドラギ総裁は、国債買い入れは法的に問題ないとの意見で理事会は一致したと指摘。即時発動の必要性を認める声が「採決の必要がなかったほど」大多数を占めたと述べた。

その上で「20%はリスク共有、80%はリスクを共有しないベースで行うことでコンセンサスがあった」と語った。

銀行筋によると、ドイツ、オランダ、オーストリア、エストニアの中銀総裁とラウテンシュレーガー専務理事の計5人が資産買い入れに反対した。

ただ、ユーロ圏の国債利回りは総じて過去最低水準にあり、ユーロもすでに対ドルで急落している。借り入れコストの低下と通貨安はともに成長を支援するが、いずれも一段の下げ余地がどの程度あるのか疑問が残る。

ドラギ総裁はECBに「プランB」はあるかと問われ、「われわれは『プランA』を提示した。『プランA』があるだけだ」と答えた。

またECBは成長の基盤を創造することはできるが、「成長加速には構造改革が必要。今度は政府が構造改革を実行する番だ。改革への取り組みが大きいほど、金融政策の効果も高まる」と政府をけん制した。

国債買い入れでは、ギリシャやキプロスなど欧州連合(EU)/国際通貨基金(IMF)の支援プログラムを受けている国の国債も対象となるが、「新たな要件が追加される」としており、より厳しい条件が適用される。

実際には、ギリシャ国債は当面買い入れの対象とならない。1国が発行した国債の買い入れは33%までという上限が設定されており、ECBと他のユーロ圏中銀はこの水準以上のギリシャ国債を既に保有しているためだ。

ただ、今後ギリシャ国債が償還されれば保有率が33%以下になり、買い入れが可能になる。

ECBはまた、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.05%に据え置くことを決定。上限金利の限界貸出金利も0.30%に、下限金利の中銀預金金利もマイナス0.20%に据え置いた。金利据え置きは予想どおり。

*情報を追加しました。

© Thomson Reuters 2015 All rights reserved.






というわけでして、今回のECBによる量的緩和、より正確には、ECBとユーロ圏各国中央銀行による主に各国国債の買入れ増額は、「自国通貨建て国債なら、中央銀行は事実上、買おうと思えばいくらでも買える」というような代物ではないということになります。

・ECBはリスクの2割だけ負担。8割は各国中銀負担。

・一国の国債については、その国の国債発行残高の3分の1までしか、ECB+各国中銀は買入れることはできない。

という、手枷足枷付きの量的緩和なわけです。


このルールにより、ギリシャ国債はすでに買入れ限度に達しているので、目下のところ、今回の量的緩和の対象にならないということになります。

ECBへの出資割合に応じて各国国債を買い入れるという点においても、ギリシャなど、本当に買入れを増やして金利を低下させるべき国債はあまり買われることはない、ということになります。

逆に「出資割合に応じて」ということで最も買われることとなるのはドイツ国債ということになりますが、ただでさえ5年以下の国債の利回りがマイナスになっているドイツ国債をこれ以上買入れて、どないしまんねん?何かしらの景気刺激効果ありまんのか?と思うのは私だけでしょうか?

ドイツ国債利回り
ブルームバーグ「マーケット情報」より (2015年1月23日)



さて、この量的緩和は要は景気刺激のために実施されるということになります。

・ユーロ安で輸出が伸び、外貨資産からの収入が増えることによる効果はあるでしょう。
 しかし、世界におけるあまりにも巨大な経済圏であるユーロ圏がそれをやるということは、ユーロ圏外の輸出や外貨資産からの収入を減らすことになり、ユーロ圏外の景気を鈍化させることで、巡り巡ってユーロ圏の景気も結局は鈍化させるなんてことになりやしないか?

・通常の金融政策(短期金利の調節)では短期金利しか直接コントロールできないが、量的緩和はより長期の債券の購入を通じて、長期金利をも低下させる。これにより、「利益率>利子率」となるような事業案件が増える…、少なくともそのような「期待」を増やす…、という効果を持つかもしれない。
 しかし、その効果がキャリートレードを生む、すなわち、安い金利のユーロ借入れ資金がユーロ圏内ではなくユーロ圏外への投資に向かうなどして仮に効果がなかった場合、どうするのか?(ドラギ総裁がいうには「プランBはない。プランAだけ」ということで、今回発表の量的緩和が最後の手段)


さて、「効果が出なかった場合」ですが、どうしたら良いでしょう?

政府は財政出動すべきだ!と経済理論的にはなるかも知れません。

しかし、法理論的にはそれは極めて期待薄です。

というのは、以前もご紹介しました通り、もっとも余裕のあるドイツが、基本法(事実上の最高法規)において、財政赤字を原則禁止しているため、ユーロ圏最大の経済規模を誇るドイツが大胆な財政出動を行うことは、まあ、無理だと思われるからです。


となるとです。
ユーロ圏においてはこれから当面、財政出動がほぼなされることなく、金融緩和のみが成されることになると思われます。

以前から繰り返し紹介しています国連報告書の議論に基づけば、「財政出動なし、金融緩和のみ」は、金融不安定化と格差拡大に拍車をかけることが想定されます。

こないだのフランスのシャルリー・エブド襲撃テロ事件のあと改めて認識された移民問題の深刻さのあるなかで、金融不安定化と格差拡大がさらに進行すれば、どうなるのでしょうか…。


一つ想定されるのは、ユーロ圏内諸国のことごとくが、ロシアや中国のような軍事中央集権体制的な国家群に移行するシナリオです。

一つのモデルケースは昨年5月のタイにおける民政の停止と軍政への移行と言えるかもしれません。

いや、タイは西側先進諸国と比べれば、元から軍政移行への敷居が低いと言え、これまでも何度か民政⇔軍政のスイッチングが成されています。タイの場合、国内情勢や外圧の状況に応じて適宜軍政と民政のスイッチングを行うというのが特徴と言えるのかも知れません。ちなみに、当初2015年中に民政に戻すとしていた軍政トップも延期を匂わせているようです(ロイター2014年12月24日記事 参照)。


仮に、ユーロ圏における「ユーロ圏内諸国のことごとくが、ロシアや中国のような軍事中央集権体制的な国家群に移行」というシナリオがあるとすれば、それはかなり皮肉な物語であると言えます。

 ドイツで「憲法で財政赤字禁止」となっているのは、第一次大戦における巨大で連続的な財政赤字がハイパーインフレにつながり、そのハイパーインフレの打ち止めとともに訪れた超絶デフレ不況によって内乱が生じ、それがヒトラー台頭の契機となり、それが悲惨な第二次大戦につながった、ということへの反省の意味合いが大きいと思われます。
 しかし、第二次大戦前のような政体を生み出したことへの反省に基づくと思われるこのドイツの「憲法で財政赤字禁止」が、結局は第二次大戦前のような政体を生み出す原動力になり兼ねない…これを皮肉と言わずして、何というべきでありましょうか?







 欧州では

 『過度な国の借金への恐怖が、

  もっと恐ろしいものを生み出そうとしている』

 かも知れない。

 日本においても、

 他人事ではないかも知れないが、

 果たして、どうだろうか?



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640:スイスフラン暴騰:スイス中銀総裁、唐突にユーロ買いフラン売りの為替介入中止を発表→「ユーロはヤバいのでこれ以上買えましぇん」ということか?

2015/01/16 (Fri) 17:29
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私は、格差拡大、それによる社会の不安定化の根本的原因は、

①国の借金に対する恐怖

②富を失うことに対する恐怖(=強欲)

という二つの恐怖だと考えています。

①の恐怖によって、各国は格差拡大による社会不安の増大を防ぎ、将来の生産能力不足を防ぐための投資を行うことができなくなってしまいます。また、この恐怖により、財政政策よりも金融政策に依存しがちになり、それは
国連開発計画の報告書によれば、金融の不安定化とさらなる格差拡大につながってしまいます。つまり、国の借金に対する恐怖(過剰な恐怖)を克服しない限り、これからも格差拡大は止まらず、各国の社会の不安定、世界全体の不安定はますます拡大してしまうでしょう。

②の恐怖によって、富裕層がますます富裕層により有利なルールを作ろうとして、資金を投じて政治家を支援し、それによってますます格差が拡大し、不安定化してしまう可能性があります。そうなると本来はその富裕層の皆さんの身を危険にされすことになるのですが・・・(それを身をもって示してくれたのが故カダフィ大佐と言えます)

恐怖とは本来、危険を回避するための生物が備えている防衛本能であり、生命の保存、種の保存のための機能であり基本的機能です。
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1ヵ月半ぶりの更新です。

最近は情勢的にどうもブログ記事を書きにくくてあまり更新していませんでした…。


今後、治世に向かうか乱世に向かうか、と問われれば迷わず「乱世に向かう」と答えたくなる状況というのが当ブログで何度か書いている私の現状認識です(世界も日本も、です)。

それゆえに心理学的なものが致命的に重要になると思って上に紹介しました著書を執筆して出版に至った次第でありますので、私としてできる最低限のことはもうしてある、という状況であるとも認識しているところであります。

-----


と、前回とほぼ同じ前口上を述べつつ、

まあ、それはそれとして、本題です↓



表題の件、ブルームバーグの記事を引用します:

-----



スイス中銀、フラン高抑制・経済防衛の主要手段を放棄
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NI7R2H6KLVR801.html
ブルームバーグ 2015/01/16

(ブルームバーグ):スイス国立銀行(中央銀行)は15日、1ユーロ=1.20スイス・フランに設定していたフラン相場の上限を撤廃すると突然発表した。経済を守るための3年越しの政策を放棄した。

 中銀はまた、市中銀行が中銀に預ける要求払い預金の一定額を超える残高に適用する金利をマイナス0.75%と、昨年12月に発表したマイナス0.25%からマイナス幅を拡大させた。さらに、政策金利であるフラン建て3カ月物ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)誘導目標レンジもマイナス1.25%-マイナス0.25%に引き下げた。

 欧州中央銀行(ECB)が近く国債購入を開始すればフランの上限維持が立ち行かなくなる恐れがあり、スイス中銀は経済防衛の別の方法を模索している。同国最大の銀行UBSグループなどの株価は下落。腕時計メーカー、スウォッチ・グループの最高経営責任者(CEO)は輸出業者への打撃を懸念した。ヨルダン中銀総裁は、驚きの要素が必要だったと、突然の行動を擁護した。

 ドイツ銀行のエコノミスト、ジョージ・バックリー氏は「こんなストイックな中銀が、長く維持した政策をこれほど突然に撤回するとは驚きだ」と述べた。

 ブルームバーグ・ニュースが9-14日にエコノミスト22人を対象に実施した調査で、今年中のフラン上限撤廃を予想したエコノミストはいなかった。

 フランはユーロに対して一時41%上昇し、1ユーロ=0.8517フランの過去最高値を付けた。チューリヒ時間午後4時5分現在は1.03782フラン。対ドルは13%高の1ドル=0.8885フラン。

 ヨルダン総裁は15日チューリヒで記者団に「決定は市場を驚かせたが、ほかのやり方はできなかった」と述べた。フランの上限維持は「持続可能な政策ではないとの結論に達した」と説明した。

 ECBはちょうど1週間後の政策委員会で量的緩和(QE)などの政策を協議する。QEが導入されればフランの上昇圧力は強まる。

 スイス中銀は2011年9月にフランに上限を設けて以降、これを維持するため巨額の資金を費やしてきた。ヨルダン総裁はこの日、今後も介入する可能性はあると述べた。フランの過大評価は弱まったものの、相場は依然として高いと指摘し、水準を注視し続けると言明した。

 スイスは1970年代にもフラン高に悩まされたが、その際は外国人の資産に対してマイナス金利を課す政策を取った。しかし奏功せず、当時のドイツ通貨マルクに対しフラン相場の上限を設定した経緯がある。
(引用終わり)






で、この「スイスフランのユーロに対する為替レートの上限撤廃って何でんねん?」という話ですが、

簡単に言ってしまえば

「スイスの中央銀行は大規模な対ユーロ為替介入を、とりあえず止めます。今後、やることもあるかも知れまへんけどな」

ということになります。


リーマンショック以降、スイスは余りにも自国通貨が高くなり過ぎるのがイヤなので、スイスフランを刷りまくり、ユーロを買いまくっていたのを、今日この日からもうヤンピにしまんねん、というわけです。

つまり、「ユーロはもう買わない(`・ω・´)キリッ」と言うことかと思われます。

ブルームバーグの記事を見ると、今月22日にECBがユーロ圏の国債を買い入れる量的緩和に踏み切るかどうかを決める前に、ユーロ買うのを止めた、と言うことになろうかと思われます。

つまり、スイス国立銀行(SNB)の総裁さんは、オブラートに包みつつ「ユーロ、ヤバい。ワタシもうユーロ買わないアルよ」と言っているのではないかと私は個人的に翻訳している次第です。


スイス中央銀行のリーマンショック以降の大規模介入(スイスフランを刷りまくって外貨を買いまくる、つまり、スイスフラン安誘導の為替介入)の様子はこちら↓

capture_20150116_170107.png


項目名が英語のままなのは翻訳が面倒だったからです(すみませんm(_ _)m)

で、このグラフを見ると、

・リーマンショック以後、スイス中銀の金融資産の合計(Total)が急激に膨らんでいるのが分かります

・そのうち、一番大きいのは債券(Debt securies)で、そのうち外国で発行された長期債券(Debt securities Long-term securities Foreign issuers)が大半を占めています。

・現金預金(Currency and deposits)についても、外国のもの(Transferable deposits Abroad)がほとんど

・また金(Monetary gold)の保有もジワジワ増やしているのが興味深いところです。


そして、これらの金融資産の購入のための資金はというと、負債側の現金・預金(Currency and deposits)を増やすことによってなされています。グラフでは赤線で示しています。

この負債側の現金・預金の主力は当座預金となります。


というわけで、スイス中銀はリーマンショック以降、バンバンとスイスフランを刷りまくって外貨を買うという形の為替介入をやりまくっていた様子が分かります。

これは、当ブログで5年半前に書いた中国人民銀行の為替介入のやり方と瓜二つです。

で、今回、スイス中銀はユーロに関してこの「スイスフランを刷りまくってユーロを買いまくる」ことを止めることにした、ということを、「ラブストーリーは突然に」とばかり、「あのー日、あのーときー、あーのばーしょで」突然発表したわけですね。







 ユーロ、相当ヤバいのか?



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638:日本成長率のIMF予想、先進国で最大の下方修正 ⇒但し、同じIMFレポートで今は「インフラ推進の適当な時期」、「 公共投資は、生産の要」、「公共インフラ投資は、正しく行われるならば元が取れる」とも

2014/10/09 (Thu) 14:46
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私は、格差拡大、それによる社会の不安定化の根本的原因は、

①国の借金に対する恐怖

②富を失うことに対する恐怖(=強欲)

という二つの恐怖だと考えています。

①の恐怖によって、各国は格差拡大による社会不安の増大を防ぎ、将来の生産能力不足を防ぐための投資を行うことができなくなってしまいます。また、この恐怖により、財政政策よりも金融政策に依存しがちになり、それは
国連開発計画の報告書によれば、金融の不安定化とさらなる格差拡大につながってしまいます。つまり、国の借金に対する恐怖(過剰な恐怖)を克服しない限り、これからも格差拡大は止まらず、各国の社会の不安定、世界全体の不安定はますます拡大してしまうでしょう。

②の恐怖によって、富裕層がますます富裕層により有利なルールを作ろうとして、資金を投じて政治家を支援し、それによってますます格差が拡大し、不安定化してしまう可能性があります。そうなると本来はその富裕層の皆さんの身を危険にされすことになるのですが・・・(それを身をもって示してくれたのが故カダフィ大佐と言えます)

恐怖とは本来、危険を回避するための生物が備えている防衛本能であり、生命の保存、種の保存のための機能であり基本的機能です。
しかし、上記の私の説明のとおりであるとするならば、その危険回避のための本能である恐怖によって、人類社会の危険がどんどんと高まっていると考えることができるでしょう。

よって、
これからの世界の安定、日本の安定のために、極めて重要と思えるのが、
「恐怖とは何か?どのようなメカニズムのものなのか?」、
「恐怖とうまく付き合い、この厄介な本能的機能を使いこなすにはどうしたらよいか?」
という問題と言えるでしょう。


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福岡県 行橋議会議員 小坪慎也さんが

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を書いて下さりました:


「【保守に必要なもの】廣宮孝信の思考パターン(2014年10月8日)」 http://samurai20.jp/2014/10/hiromiya/

☆小坪さんは国民健康保険の外国人不正受給問題など、市議会議員でありながら国政レベルの問題で人知れず国益に資する活動を積み重ねてきた実績を持つ型破りな人物です。

☆また、私が「日本経済のミステリーは心理学で解ける」の「はじめに」で「心理学や脳科学や生理学の話だと3、4時間は盛り上がる」と書いていた相手のお一人でもあります。いや、小坪さんの場合は、電話で5時間くらい話が止まらなかったと記憶しております^^

☆ちなみに、小坪さんのブログは現在、政治ブログランキングで17位くらいでして、私のブログよりかなり上にランキングされていたりもします。






では、本題です↓


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日本成長率のIMF予想、先進国で最大の下方修正
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0HW17C20141007/
ロイター 2014年 10月 7日

[東京 7日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は7日発表した最新の世界経済見通しで、今年の日本の経済成長率予想を0.9%とし、7月時点から0.7ポイント引き下げた。先進国の中で最も大きな下方修正となった。

2015年の成長率予想についても0.2ポイント引き下げ、0.8%とした。

IMFはまた、日銀の政策に関し、物価上昇ペースが鈍る、あるいは経済成長率が予想を下振れた場合は一段の緩和が必要との見解を示した。ただ、構造改革や長期的な潜在成長力押し上げに向けた取り組みを同時に実施する必要があるとした。

一方、2015年10月に予定される10%への消費税率引き上げについては、予定通り実施するべきとの見解を示した。

IMFは「非常に高水準な公的債務を踏まえると、財政規律を確保するために消費再増税の実施は極めて重要だ。ただ、消費再増税は内需に打撃を与える可能性が高く、景気への信頼感と投資の回復が必要となる」と指摘した。

IMFはまた、今年4月の消費増税を背景とする第2・四半期国内総生産(GDP)の大幅減について、短期的となる見込みで、その後は緩やかに回復するとした。

アベノミクスの「3本の矢」に関しIMFは、潜在成長力押し上げとデフレからの完全な脱却には、第3の矢である成長戦略として「より強力な構造改革」が必要とされていると強調。労働力の供給を増やすための措置や農業およびサービス部門の規制緩和を求めた。

そのうえで、経済成長率押し上げへの取り組みは、高水準な公的債務がもたらす問題や大胆な財政再建の必要性という観点からも極めて重要だとした。同時に、2015年以降の中期的な財政再建の具体策が至急必要だと指摘した。

IMFはまた、日銀について、2%の物価安定目標が達成可能かどうか判断する際に利用する指標を明確にするなど、コミュニケーションの改善に一段と取り組むよう求めた。「こういった取り組みは、資産買い入れプログラムの調整や将来的な出口戦略の準備が必要となった場合に市場の期待を適切に導くのに役立つことになる」とした。




IMFが日本の成長率予測につき、先進国で最大の下方修正した、ということで。

さて、ほんまにIMFが「消費再増税の実施は極めて重要」と言っているんかいなと思って原文を当ってみました:

WORLD ECONOMIC OUTLOOK (WEO)
Legacies, Clouds, Uncertainties

http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2014/02/pdf/text.pdf
IMF, October 2014

p.21
"On the fiscal front, given very high public debt, implemantation of the second consumption tax increase is critical to establish a track record of fiscal discipline but is likely to take a toll on domestic demand, underscoring the importance of a pickup in confidence and investment."

これのロイター記事の日本語訳が
「非常に高水準な公的債務を踏まえると、財政規律を確保するために消費再増税の実施は極めて重要だ。ただ、消費再増税は内需に打撃を与える可能性が高く、景気への信頼感と投資の回復が必要となる」

で、一応、私もロイターの訳も参考にしながら訳してみますと、こんな感じかと:
「財政面に関しては、非常に高水準な公的債務を踏まえると、将来にわたる財政規律(a track record of fiscal discipline)を確立するために第二次消費増税の実行は極めて重要だ(the second consumption tax increase is critical )。ただ、(第二次消費増税の実行は)内需に打撃を与える可能性が高く(is likely)、信頼感と投資の回復の重要性が高まる(underscoring the importance of a pickup in confidence and investment)可能性が高い(is likely)」


まあ、そんなに違わんか^^;。




いや、しかし、消費税うんぬんの上記の引用文の直前に、もっと「アレ」なことが書いていたりします…。

"Should actual or expected inflation stall or growth disappoint, further action by the Bank of Japan would be warranted——but it would be essential that such action be accompanied by complementary growth enhancing reforms, partly because of potential risks to financial stability."
「万一、実際のインフレ率あるいは期待インフレ率が失速したり成長が期待に添わなくなった場合には、日銀による更なる行動がなされるであろう――しかし、そのような行動には、成長を強めるような補完的な改革が伴われることが必要不可欠である。それは部分的には金融安定に対する潜在的なリスクがあるからである。」

うーむ・・・。

「景気がもしも万が一これ以上失速するなら、一層の金融緩和と構造改革(?)じゃー!」というのは少々頂けないですね…。

以前も取り上げた国連の報告書の知見に従えば、金融緩和と構造改革は基本的に格差を拡大してしまいます。これ以上、持つんかいな、IMFさん?


という突っ込みを入れつつ、

「投資の回復の重要性が高まる」

という点は大賛成であります。


ここで「投資」は株とかなんたらファンドに「投資」することではなく、資本ストック(生産財)を増やすことに「投資」するということになります。

上記で引用したのは今回のIMFレポートの第1章で、第3章については報道資料として邦訳されていて、投資の重要性を強調しています。例えば、こんな感じ:

要点

■ インフラの必要性がある国では、インフラ推進の適当な時期である。先進国・地域では借入れコストが低く需要も弱い。また多くの新興市場及び途上国・地域では、インフラのボトルネックが存在している。

公共投資は、生産の要である。公共投資の拡大は、特に経済に余剰能力があり投資効率が高い場合、短・長期的に産出高を押し上げる。

■ 借入れ資金によるプロジェクトは、効率的な投資が明確に特定されたニーズを満たすことできれば、債務の対 GDP 比率を上昇させることなく、産出高に大きな効果をもたらし得る。言い換えるならば、公共インフラ投資は、正しく行われるならば元が取れるだろう。







ところで、

GDP(国内総生産)について生産関数でざっくり表現すると

産出量=知識ストック量×資本ストック量×労働人口

となります。
 日本はこれから労働人口が急激に減りつつ、総人口はそれよりは緩くしか減らないので、より少ない労働人口で、総人口の生活を維持向上するために必要な産出量を維持向上しなければなりません。というわけで、知識ストック量の増加と資本ストック量の増加が極めて重要となります。
 知識ストックとは要は技術水準であり、資本ストックとはインフラや生産設備、つまり、生産財のストックです。この二つの水準をいかにして効率よく高められるかが、これが日本においては今まで以上に重要になって来ている、ということだと思いますし、根本的にはこれを地道にやるしか道はないのではないかと思います。(そして、これを阻んでいる最たるものが国の借金に対する過剰な恐怖である、というのが私のこの数年来の持論であります。)






 
 IMFによれば、

 今は『インフラ推進の適当な時期』であり、

 『公共投資は、生産の要である』し、

 『公共インフラ投資は、

  正しく行われるならば元が取れる』

 のであるから、

 粛々と公共投資を進めよう!



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637:祝、日本人3教授ノーベル物理学賞受賞――これを機会に、近年他国で伸びまくっているが日本ではちっとも伸びていない科学技術予算を、もっと目一杯増やそう!

2014/10/08 (Wed) 14:23
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私は、格差拡大、それによる社会の不安定化の根本的原因は、

①国の借金に対する恐怖

②富を失うことに対する恐怖(=強欲)

という二つの恐怖だと考えています。

①の恐怖によって、各国は格差拡大による社会不安の増大を防ぎ、将来の生産能力不足を防ぐための投資を行うことができなくなってしまいます。また、この恐怖により、財政政策よりも金融政策に依存しがちになり、それは
国連開発計画の報告書によれば、金融の不安定化とさらなる格差拡大につながってしまいます。つまり、国の借金に対する恐怖(過剰な恐怖)を克服しない限り、これからも格差拡大は止まらず、各国の社会の不安定、世界全体の不安定はますます拡大してしまうでしょう。

②の恐怖によって、富裕層がますます富裕層により有利なルールを作ろうとして、資金を投じて政治家を支援し、それによってますます格差が拡大し、不安定化してしまう可能性があります。そうなると本来はその富裕層の皆さんの身を危険にされすことになるのですが・・・(それを身をもって示してくれたのが故カダフィ大佐と言えます)

恐怖とは本来、危険を回避するための生物が備えている防衛本能であり、生命の保存、種の保存のための機能であり基本的機能です。
しかし、上記の私の説明のとおりであるとするならば、その危険回避のための本能である恐怖によって、人類社会の危険がどんどんと高まっていると考えることができるでしょう。

よって、
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本題です↓


表題の日本人3教授ノーベル物理学賞受賞の件です。

ちなみに、ニューヨークタイムズの見出し:

American and 2 Japanese Physicists Share Nobel for Work on LED Lights
一人のアメリカと二人の日本の物理学者、LEDの業績によりノーベル賞受賞

http://www.nytimes.com/2014/10/08/science/isamu-akasaki-hiroshi-amano-and-shuji-nakamura-awarded-the-nobel-prize-in-physics.html?ref=world&_r=0
By DENNIS OVERBYE, New York Times, OCT. 7, 2014 


―――
もう一つちなみにBBC

-----

Invention of blue LEDs wins physics Nobel
青色LEDの発明がノーベル物理学賞受賞

http://www.bbc.com/news/science-environment-29518521
By Jonathan Webb
Science reporter, BBC News, 7 October 2014 Last updated at 09:51

The 2014 Nobel Prize for physics has been awarded to a trio of scientists in Japan and the US for the invention of blue light emitting diodes (LEDs).
2014年のノーベル物理学賞受賞は、青色発光ダイオードを発明した日米の3人の科学者に授与された。

-----

というわけで、カルフォルニア大サンタバーバラ校の中村教授はアメリカ国籍なので、欧米のメディアでは完全にアメリカ人扱いのようです…。

-----

さて、日本のテレビではニュースやワイドショーのコメンテーターの皆さんが「いやあ、日本人として本当にうれしい。日本の技術は素晴らしい」とおっしゃっていました。
確かにおっしゃるとおりですが、できればもっと突っ込んで「これを機会に、他国でガンガン増えまくっている政府の科学技術予算を日本でももっと増やすようになると良いですね!」と言って頂ければなお一層「日本人としてうれしい」と思う今日この頃。



文部科学省の「平成26年版科学技術白書」の第2部第1章の第2-1-9表/科学技術関係予算の推移を見ると、一般会計+特別会計の合計の科学技術予算が平成21年から25年にかけて、増えていないどころかむしろ微妙に減っています。
なお、以前日本版DARPAというべきImPactの話を紹介しました。これはこれで大変素晴らしいことなのですが、予算規模は550億円に過ぎず、科学技術予算全体の3.6兆円に比べるとわずかな金額に過ぎません。問題はこの3.6兆円という総額がもっと増えないとまずいんじゃないかというお話です。



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また、2年前の文科省の審議会の答申

「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~(答申)」平成24年8月28日 中央教育審議会


資料を見ても、欧米や中韓と比較して、日本の大学の予算規模が非常にお寒い増え方しかしていないことが分かります。

その
資料には例えば、

「高等教育への公財政支出の国際比較(1990年の水準を100とした値)」のグラフについているコメントとして、
○ 先進諸国では、この20年で、高等教育への投資を拡大。(韓国 約6倍、 フランス 約3倍)
○ 一方が 約 倍 、我が国は約1.4倍に留まる。


と書いていたり、


「主要国における大学の予算規模の推移」のグラフについているコメントとして、
○ 「我が国の大学は,予算規模(公財政とそれ以外の収入の合計)が増加しているにもかかわらず,国際的なランキングが低下している」との指摘があるが 主要国の大学は、我が国を上回るペースで予算規模を増加させ、教育研究の質の向上を進めている。
○ 我が国の大学は,公財政による収入が厳しい中で 自己努力を通じて 全体としての予算規模を確保し,教育研究環境を整備してい、教育研究環境を整備しているが、現行の水準で推移すれば、他国との差が広がり,国際的なレベルは相対的に低下する恐れ。


と書いていたりします。


-----

このままでは「技術立国日本」がかなりやばいんじゃないかと思います。


①国の借金とか財政赤字が増えること



②技術レベルで他国に徹底的に差を付けられること

のうち、本当に怖いのはどっちでしょうか?

このまま科学技術予算をケチっていると、上記のNYタイムズやBBCのニュースの中村教授の扱いのように、「日本人」が受賞したのに「(日本出身だけど)別の国の人が受賞」というニュースにしかならないことになりかねません…




 
 祝、日本人3教授ノーベル物理学賞受賞!

 これを機会に日本でも
 
 科学技術予算の

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635:OECD 世界で格差がとんでもなく拡大しているというレポート

2014/10/06 (Mon) 12:13
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「個人レベルから国レベルに至る“閉塞感”を打ち破るための共通原理」を、経済学、心理学、脳科学、生物学等から抽出:ぜひご一読頂きたい、味わいある一冊です!


・経済統計データだけでなく、心理学や脳科学や生理学の観点からも「国の借金」の分析を行っています――「国の借金」に対する恐怖をどうすれば乗り越えられるか?

・「日本の国の借金はもうダメだ」という考えと、「いや、日本の国の借金は大丈夫だ」という考えを両方とも正しいと仮定した上で、長期的に日本が安定的に繁栄を続けるための方策の試論を提示しています。他方が一方を「お前は間違っている!」として否定するのではなく、互いの考えを両方とも肯定し、調和的に解決を図ることを理想としています。

社会は多数の人間からなる組織・集団であり、一人の人間もまた70兆個もの細胞からなる巨大な組織・集団です。
それゆえ、マクロ経済や政治や軍事などの人間集団の仕組みと、一人の人間という「組織・集団」の仕組みのあいだには、多くの共通点や相似性があるはずです。

・「国の借金だけでなく民間の借金や金融資産も見るべき、国の借金だけでなく国の金融資産も見るべき」というようなマクロ経済におけるバランスシート思考が、実は一人の個人にも適用できる――例えば、「イライラしているときは必ずその正反対のイライラしたくない願望が同時に存在している」、「病気に対する恐怖があるときは必ずその正反対の病気が治って欲しいという願望が同時に存在している」といった具合に――というような、国レベルの大規模な人間集団からたった一人の個人にまで幅広く共通する基本原理について、学問領域の垣根を越えた幅広い、多角的な視点から提示しています。

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本題です↓


世界の貧富の格差が拡大、1820年代の水準にまで悪化 OECD
http://www.afpbb.com/articles/-/3028048
AFPBB 2014年10月04日 14:01 発信地:パリ/フランス

【10月4日 AFP】経済協力開発機構(OECD)は2日、世界の富裕層と貧困層の格差の拡大は1820年代と同じ水準にまで悪化しているとの報告書を公表し、こうした変化は過去200年で「最も憂慮すべき」事柄の1つだと警告した。

 過去2世紀の世界の生活状態を調べた報告書の中でOECDは、所得の不均衡が急速に拡大したのはグローバル化が進み始めた1980年代以降だと指摘している。

 調査では25か国の1820年以降の所得水準を調べ、世界が一つの国であるとみなしてデータを突き合せて比較したところ、世界の所得格差は東欧各国における共産主義の台頭などに代表される20世紀半ばの「平等主義革命」によって急速に縮小した後、拡大に転じ、2000年までに1820年と同じ水準にまで広がったことが分かったという。

 調査に協力したイタリア・ボッコーニ大学(Bocconi University)のグイド・アルファーニ(Guido Alfani)氏は、「非常に驚くべき」結果だとして、「過去200年の世界経済の特徴の中で最も重大、かつ憂慮すべき点だ」と警告している。

 世界の所得格差についてはフランスの経済学者、トマ・ピケティ(Thomas Piketty)氏が著書「Capital in the Twenty-First Century(21世紀の資本論)」の中で厳しい警告を発して議論を呼び、同書はベストセラーになっている。

 オランダの経済学者、ヤン・ライテン・ファン・ザンデン(Jan Luiten van Zanden)氏は今回のOECDの報告書について、「ピケティ氏と同じ問題点を指摘し、世界の格差拡大に対して同じ懸念を持っている」と述べ、 ピケティ氏の著書は主に欧米諸国を扱っているが、世界規模で同じ分析を行うべきだとの見解を示した。(c)AFP






AFPは大戦後、一時は国営企業であり、現在もフランス政府が一部株式を保有している(らしい:
Wikipedia参照)ので、上記の記事は若干割り引いて読んだほうが良いと思います。

何せ、フランスは保育所から大学(国立大学)まで全部タダ、という日本よりもずっと社会主義的な政治体制の国なので、格差とかそういうのにはより敏感であると考えられます。(もちろん、格差は大きすぎると問題なのは間違いないので、それはそれで良いと個人的に思います)


一応、OECDのそのレポート"How Was Life? Global Well-Being since 1820 "




の一部をざっと読んだのですが、学術論文的な文体であり、もっと冷静な記述です(格差を縮小しろってんだバカヤロウみたいな雰囲気ではありません。その点はある意味、期待外れかも知れませんが(笑))。

以下、ざっくりとした内容をご紹介:

http://www.keepeek.com/Digital-Asset-Management/oecd/economics/how-was-life_9789264214262-en#page49
Figure 2.3. 出生率と平均寿命→平均寿命長いほど出生率が小さい 
⇒ここにあるグラフは非常に示唆に富みます。
アフリカのように平均寿命が短い地域は必然的にみな子どもを産みまくって出生率が高く、日本のような寿命の長い国はあまり子供を産まなくなり出生率が低くなる。生物学的に見ると、寿命が短くて「種の存続」のリスクが高いほど子孫を残さねばと出生率が高くなり、寿命が長くて「種の存続」のリスクが低いほど子孫を残さねばという危機感が低くなり、出生率も低くなる、ということでしょうかね。
 もしそういうことなら、日本の少子高齢化は生物学的必然ということになるのかも知れません。
 また、低所得国も高所得になるにつれ、少子高齢化が必然ということになります。
 だから「労働力不足を移民で補う」はあまり根本的解決とは言えません。というのは、みんな少子高齢化するんですから、移民を送り出してくれる国がどんどん減るのは火を見るより明らかであるからです。
 というわけで、今は「国の借金」を気にするのではなく、将来生じる生産能力不足を気にすべきであり、今日本がやることは、技術投資、資本ストックの増強により、一人あたり生産能力を高める支出を増やすことが肝要です。それが真の財政余裕度を高め、日本が将来にわたって安泰でいるための唯一無二の方策と思われますが、いかがでしょうか。


http://www.keepeek.com/Digital-Asset-Management/oecd/economics/how-was-life_9789264214262-en#page69 
Table 3.4. GDP per capita in selected countries, 1820-2010 us dollars 1990 PPPs  どの地域でも確実に物質的豊かさは増えている

http://www.keepeek.com/Digital-Asset-Management/oecd/economics/how-was-life_9789264214262-en#page81 実質賃金
Table 4.6. どの国も1820年に比べて現代は実質賃金が伸びている(ちなみに日本は10倍以上)

実質ベース、モノベースで計算した一人あたりGDPや実質賃金は確実にどこの国も100年、200年前より伸びています。物質的に豊かになっています。そこで問題になるのが格差問題ということになります。

どの人も100年前より豊かと言われてもそんなもの目の前に見えるものではなく、今目の前にいる大金持ちに対して不満を持つのはある意味仕方ないのかも知れません。それは生物学的に考えても普通、ということになるのかと思います。

心理学の教科書(有斐閣双書『心理学』大山正ほか著 参照)にニワトリの実験の話があります。
十分にエサを食べて満腹のはずのニワトリのいるところに、空腹のニワトリを2、3羽放り込んで、そいつらがガツガツとエサを食べだすと、満腹のはずのニワトリが、それにつられてまた食べ始めるそうです。

ニワトリと一緒にするな!と思われるかも知れませんが、ほかの生物の持つ性質が人間の無意識的な部分(進化の過程でより古い時代に獲得している機能)に内在していたとしても、それはちっとも不思議なことではありません。

一応、私の考えを再度強調しておきますと、私は格差が大きすぎるのは社会を不安定化させることになるので、格差の過剰な拡大は絶対に避けるべきと思っています。

では、OECDレポートにある、格差の話:

http://www.keepeek.com/Digital-Asset-Management/oecd/economics/how-was-life_9789264214262-en#page208 
Table 11.3. ジニ計数
国別で見ると、1820年よりも現代のほうが小さくなっている(インドは例外で大きくなっている)。ただし、第二次大戦以降先進国で低下していた格差が1980年以降、再び上昇している。

http://www.keepeek.com/Digital-Asset-Management/oecd/economics/how-was-life_9789264214262-en#page209 
Table 11.4. ジニ計数(世界全体World Gini、各国の国内係数の平均Within country inequality、国と国のあいだの計数Between country inequality) 
Figure 11.1 所得の分布 世界全体における格差は拡大傾向を示している


http://www.keepeek.com/Digital-Asset-Management/oecd/economics/how-was-life_9789264214262-en#page213
Figure 11.3 一人あたりGDPとジニ係数の相関係数の時間変化(昔は一人あたりGDPが大きいほど格差が大きかったが、現在は一人あたりGDPが大きいほど格差が小さいという関係に変化している模様)


※ここまでの格差の話、何やらよく分からんぞ、と思われた方向けに、OECDレポートでまとめてくれている箇所があったので、翻訳してみました↓

http://www.keepeek.com/Digital-Asset-Management/oecd/economics/how-was-life_9789264214262-en#page211
12行目
ある人は、所得分布が1960年代に一山型から二山型に変わったことが、1914年以降に始まった非グローバリゼーション――例えば、二つの世界大戦で生じた貿易の減少、恐慌や二極世界システム――に起因するものであるという議論を行うかも知れない。
これは、しかしながら、更なる研究のためのトピックである――ここで我々が観察できているのは、国内における格差縮小を伴っている一山の世界から二山の世界への変化に過ぎない。
20世紀の「平等主義革命」は、強力な国民国家――1914から1960年の非グローバル化された世界における国内政策運営がより自由に行えるようになった国民国家――の発展とリンクされた現象であったように見受けられる。
しかしながら、それとほぼ同時に、これらの過程はまたグローバルな所得分布の高度な二山化をもたらした。1980年以降、グローバリゼーションは国内所得格差を高めたが、一方でそれと同時に国家間の所得格差を減少させた――相互に密接な関係のあるプロセスによって再び。

-----

非グローバリゼーション = 各国の国内格差の縮小と国際間格差の拡大 
グローバリゼーション = 各国の国内格差の拡大と国際間格差の縮小


ということになるようです。

このOECDレポートの国と国のあいだの格差という視点は新鮮に感じたのですが、私は個人的には

国際間格差よりは国内間格差のほうが、各国の社会の不安定化、世界全体の不安定化につながる

のではないかと思います。


グローバリゼーションによる国際格差の縮小(?)で起こるのは、例えば前回のユーロ圏諸国の、とくに経常赤字国の諸国民の、さらなる貧乏の強制化です。
イメージでいうと、↓これ

ロス・プリモス 『ラブユー貧乏』





また、国内格差が頂点に達するとどうなるか、というのは、15兆円もフトコロにため込んでいたカダフィ大佐が身をもって教えてくれたと思います。

イメージでいうと、↓これ

Captured: the last moments of Colonel Gaddafi
捕らわれた:カダフィ大佐、最後の瞬間

http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/africaandindianocean/libya/8843066/Captured-the-last-moments-of-Colonel-Gaddafi.html
The Telegraph 12:51PM BST 22 Oct 2011







私は、格差拡大、それによる社会の不安定化の根本的原因は、

①国の借金に対する恐怖

②富を失うことに対する恐怖(=強欲)

という二つの恐怖だと考えています。

①の恐怖によって、各国は格差拡大による社会不安の増大を防ぎ、将来の生産能力不足を防ぐための投資を行うことができなくなってしまいます。また、この恐怖により、財政政策よりも金融政策に依存しがちになり、それは
国連開発計画の報告書によれば、金融の不安定化とさらなる格差拡大につながってしまいます。つまり、国の借金に対する恐怖(過剰な恐怖)を克服しない限り、これからも格差拡大は止まらず、各国の社会の不安定、世界全体の不安定はますます拡大してしまうでしょう。

②の恐怖によって、富裕層がますます富裕層により有利なルールを作ろうとして、資金を投じて政治家を支援し、それによってますます格差が拡大し、不安定化してしまう可能性があります。そうなると本来はその富裕層の皆さんの身を危険にされすことになるのですが・・・(それを身をもって示してくれたのが故カダフィ大佐と言えます)

恐怖とは本来、危険を回避するための生物が備えている防衛本能であり、生命の保存、種の保存のための機能であり基本的機能です。
しかし、上記の私の説明のとおりであるとするならば、その危険回避のための本能である恐怖によって、人類社会の危険がどんどんと高まっていると考えることができるでしょう。

よって、
これからの世界の安定、日本の安定のために、極めて重要と思えるのが、
「恐怖とは何か?どのようなメカニズムのものなのか?」、
「恐怖とうまく付き合い、この厄介な本能的機能を使いこなすにはどうしたらよいか?」
という問題と言えるでしょう。


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 国の借金に対する過剰な恐怖

 富を失うことに対する過剰な恐怖

 を乗り越え、

 世界各国うちそろって

 バンバン財政出動できるようになれれば、

 世界はどれだけ

 平和で豊かになるだろうか…



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631:IMFが「もっとインフラ投資を増やして成長したらんかい!とりあえず、いまインフラに投資したら成長するんじゃ!ついでに公的債務GDP比も下がりまっせ~」と言っているようです。いや、実に素晴らしいですね!

2014/09/30 (Tue) 23:39
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・「日本の国の借金はもうダメだ」という考えと、「いや、日本の国の借金は大丈夫だ」という考えを両方とも正しいと仮定した上で、長期的に日本が安定的に繁栄を続けるための方策の試論を提示しています。他方が一方を「お前は間違っている!」として否定するのではなく、互いの考えを両方とも肯定し、調和的に解決を図ることを理想としています。

社会は多数の人間からなる組織・集団であり、一人の人間もまた70兆個もの細胞からなる巨大な組織・集団です。
それゆえ、マクロ経済や政治や軍事などの人間集団の仕組みと、一人の人間という「組織・集団」の仕組みのあいだには、多くの共通点や相似性があるはずです。

・「国の借金だけでなく民間の借金や金融資産も見るべき、国の借金だけでなく国の金融資産も見るべき」というようなマクロ経済におけるバランスシート思考が、実は一人の個人にも適用できる――例えば、「イライラしているときは必ずその正反対のイライラしたくない願望が同時に存在している」、「病気に対する恐怖があるときは必ずその正反対の病気が治って欲しいという願望が同時に存在している」といった具合に――というような、国レベルの大規模な人間集団からたった一人の個人にまで幅広く共通する基本原理について、学問領域の垣根を越えた幅広い、多角的な視点から提示しています。

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本題です↓


IMF:各国はインフラ投資拡大を、鈍い成長回復押し上げで

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NCP4QU6KLVRJ01.html


9月30日(ブルームバーグ):国際通貨基金(IMF)は鈍い世界経済成長の押し上げに向け、各国にインフラ投資拡大を呼び掛けた。
 IMFは30日に世界経済見通し(WEO)の分析部分の章を公表。その中で、金融政策が既に緩和的であることを考慮すれば、道路や橋などのインフラ投資の拡大が「成長支援で利用可能な数少ない残された政策手段の1つ」だとし、「どの経済においても中期的な生産の増大を助けるだろう」との見方を示した。
 世界経済がIMF予測を下回る伸びにとどまる中で、政策当局者らは成長加速の道筋を探っている。IMFは10月10-12日にワシントンで開く年次総会に先立ち、同7日に最新のWEOを発表する。
 IMFはまた、多くの先進国に依然「かなりの経済的たるみ」が見られると分析。ユーロ圏のインフレ率は依然低過ぎると指摘した。新興市場国の経済成長は金融危機に先立つ10年間の水準を下回っている。
 このように予想を下回る実績を根拠に、世界的に需要の「低迷が長期化する」恐れがあると、サマーズ元米財務長官らが唱える「長期停滞」論を引用する形でIMFは説明した。
 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁は今月オーストラリアのケアンズで開いた会議の共同声明で、「ばらつきがある」成長回復への懸念を表明した上で、需要拡大と成長加速にはインフラ投資が極めて重要になると表明した。

 
 インフラ支出が効果

 IMFは過去のデータを調べ、シミュレーションを用いてインフラ支出の効果を分析した。それによると、経済にたるみがあり、金融政策が緩和的であるなら支出増加が需要を大きく押し上げるということが分かった。この場合、投資は政府債務の対国内総生産(GDP)比率を低下させる可能性があるとしている。
 またIMFはブラジルやインド、ロシア、南アフリカ共和国などの新興市場国では「インフラ投資を増やせないことが中期的な懸念材料であるばかりか、短期的な成長にも制約となると指摘されている」と説明した。
 さらに新興市場国や低所得国がインフラ投資をより効率的に行わない限り、これら諸国の生産の伸びは多くの場合、限定的となる恐れがあるとIMFは分析。プロジェクトの評価を改善するなどの改革が必要になるかもしれないとしている。

原題:IMF Urges Infrastructure Spending to Boost Tepid GlobalRecovery(抜粋)





インフラ投資、と言いますか、経済学でいう「投資」というのは、株とかそんなもんを買うことではなく、「資本ストック(生産財)」を生産するために資金を投入することを言います。

さて、資本ストックは「固定資本減耗」によって時間とともに減っていきます。
建物でもトラックでも、経年劣化とか、使用による摩耗とかで数年とか数十年後には壊れてしまうのですが、これを勘案して資本ストックから毎年「固定資本減耗」がさっぴかれます。

国全体の資本ストックは毎年の「投資」金額から毎年の「固定資本減耗」をさっぴいた金額の累積値になります。

国全体の資本ストックが増えない限り、生産するための「道具」が増えないので、生産=GDP(国内総生産)が増えない、成長しない、モノ作れない、さあ大変!ということになります。

ほんで、固定資本減耗(減価償却みたいなもんです)を考えると、毎年「投資」の金額を前年比増額せんかぎり、資本ストックは増えません!

日本は、90年代後半から民間+政府の合計の毎年の「投資」が横ばいが続いています(いや、住宅投資いれたらどうだったか…少なくとも民間企業設備投資+政府投資は90年代からほぼ20年以上横ばい)。「そんなもん、成長するわけないやろが!」という状態です。

国の借金を必要以上に恐れていると、資本ストック(=生産財)を増やすための投資が国全体として毎年増えるということができず、資本ストック(=生産財)が横ばいか、下手をすると減るため、そのうち「ワシら全然モノ作れんようになりますけど、それで国の借金とかなんとか言っててもしゃあないやろが!」という状態になります。

だから、IMFが「もっとインフラ(というか資本ストック=生産財)の投資を増やしたらんかい!そうせんかったら成長なんかそんなもんするわけないやろ、アホンダラ」(関西弁に翻訳)というのは至極当然と言えるでしょう♪

さて、上記の記事のIMFの分析によると、
「経済にたるみがあり、金融政策が緩和的であるなら支出増加が需要を大きく押し上げるということが分かった。この場合、投資は政府債務の対国内総生産(GDP)比率を低下させる可能性があるとしている」
というわけですね。

日本経済には
①たるみがある
②金融政策が異常なくらい緩和的

というわけで、このIMF分析によると、
③(政府の?)支出増加が需要を大きく押し上げる
④ついでに、公的債務GDP比も下がるかもねん

とのこと。


なお、私は個人的には公的債務GDP比はどうでも良いんとちゃうかと思っています。
 アジア経済危機の韓国なんて直前の公的債務GDP比がたったの8%しかなかったのに、どえらいことになってましたやんか。政府が借金なくても民間がたんまり借金してておまけに外貨建ての借金やったら政府もどないもなりまへんわ、そんなもん。
 ちなみにその韓国、IMFなどの支援を受けつつウォンをドカンと下げ、経常赤字だったのを大きく経常黒字にドカンと転換し、その経常黒字でなんとか外国からの借金を返したようです(実際、韓国銀行のデータベースで対外純負債のデータみたらそんな感じになってます)。まあ、色々大変だったと思いますが…。


とにかく、資本ストック、生産財を増やさんかったら国の借金がゼロだろうがなんだろうが、国民はモノを作れんようになって国民生活はめでたく破綻します。
カネの破綻とモノの破綻、どっちが怖いか、っちゅう話です。

1.カネがなくてもモノ(食い物とか水とか)があれば人間生きられます。
2.カネだけたんまりあって借金ゼロでもモノがなければ、人間あっけなく死にます。

1.と2.のどっちか選べと言われたら、そら1.モノがあるほうですやろ。
え?2.の「モノがなくてもカネがたんまりあって借金ゼロ」を選びたいって?そんなに死にたいでっか?


みたいなことになります。
(論文作りで疲れて眠くて文章がアレですがご勘弁をm(_ _)m)







 改革なくして成長なし→×

 インフラなくして成長なし→◎



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626:G20:「日本はもっと財政出動しろ!」とアメリカさんから言われたようです

2014/09/21 (Sun) 23:24
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さっそくですが、本題です:

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G20声明 「機動的に財政戦略」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140921/t10014763801000.html
NHK NewsWeb 2014年9月21日 14時55分


オーストラリアのケアンズで開かれたG20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議は、ユーロ圏のデフレ懸念など世界経済の先行きに不透明感が強まっていることから「経済の成長と雇用の創出を支えるために機動的な財政戦略を行う」とする共同声明を発表し、閉幕しました。

主な先進国と新興国によるG20は、閉幕後、議長国のオーストラリアが今回の議論の成果を声明にまとめて発表しました。
それによりますと、ユーロ圏のデフレ懸念など世界経済の先行きに不透明感が強まっていることから「経済の成長と雇用の創出を支えるために、機動的な財政戦略を行う」として、各国の判断で財政出動を含めた対策を検討するとしています。
また、G20全体でGDPを今後5年間で2%以上引き上げる目標について各国の取り組みが進めば、1.8%の成長が可能という見通しを示したうえで、追加的な施策を進めることで成長を促すとしています。
そして、アメリカが進める金融緩和の出口戦略によって、投資資金の引き上げなどが起これば市場が混乱すると、新興国などから懸念の声が上がっていることを踏まえ、金融政策を見直す際には「世界経済への影響に留意する」としています。
さらに、西アフリカで流行が続くエボラ出血熱について、影響を受けた国やより広い地域の成長に深刻な影響を及ぼすおそれがあると指摘し、国際的に連携して対応する姿勢を強調しました。



追加の財政出動など検討の考え
麻生副総理兼財務大臣はG20の財務相・中央銀行総裁会議終了後の記者会見で「日本の経済政策について各国が関心を持って聞いてくれた。日本の構造改革に対する期待の高さを実感した」と述べました。
またG20の声明に各国が機動的な財政戦略を行うことが盛り込まれたことに関連して「かつての状況とだいぶ違うが、満足できるほどの需要が確実に戻ってきたという段階ではない」と述べ、設備投資などの需要もまだ弱く、回復は道半ばだという認識を示しました。
そのうえで、消費税率引き上げ後の反動減も踏まえた今後の景気対策について「まずは予算の早期執行を通じて早期に回復軌道に乗せて行きたい。今後のGDP=国内総生産や経済指標を見極めて、どうしていくか決めて行きたい」と述べ、今後の景気動向をよく見たうえで、追加の財政出動などを検討していく考えを示しました。



米財務長官 日欧の経済成長は期待外れ
アメリカのルー財務長官は、G20の財務相・中央銀行総裁会議終了後に会見し、「ユーロ圏と日本の経済成長の見通しは下方修正され期待外れの状況だ。日本は消費税率引き上げ後の消費や設備投資の落ち込みでマイナス成長に陥り課題に直面している」と指摘し、ことし4月から6月のGDP=国内総生産が7.1%の大幅なマイナスに陥ったことに懸念を示しました。
またユーロ圏についても「追加対策が必要なのは明らかだ」と述べて、需要を高めるための追加の対策を求め、アメリカ経済の回復が明確になりつつあるなかでヨーロッパと日本が低迷を続けていることに不満を示しました。



豪財務相 成果を強調
G20の議長国、オーストラリアのホッキー財務相は会議のあとの記者会見で「G20は、世界経済の成長を後押しするためには、短期的な財政出動が必要になることもあるという認識で一致した」と述べて、成果を強調しました。
またG20全体でGDPを今後5年間で2%以上引き上げる目標について、「今や目標達成の90%のところまできている」と述べて、各国の経済成長に向けた取り組みを評価し、目標達成に意欲を示しました。





というわけで、

アメリカのルー財務長官がユーロ圏と日本を名指しで「もっと財政出動しやがれ!」とおっしゃっているようですね。

いや、実際にはユーロ圏にだけ財政出動しろ!と言っているのかもしれませんが、ルーさんが実際に言っている該当箇所の前後の文脈を見ると、やはり日本にも財政出動しろ!といっているようにも見えます。
またちなみに、ルー財務長官のスピーチにはインフラという言葉が結構出てきたりもします:


Video Transcript: US Treasury Secretary, Jacob Lew, Finance Ministers and Central Bank Governors meeting, closing media conference, Cairns
https://www.g20.org/news/transcripts/video_transcript_us_treasury_secretary_jacob_lew_finance_ministers_and_central_bank
21 September 2014


Since we last gathered in Sydney, growth in the Eurozone and Japan has been disappointing, and growth forecasts have revised downward. The Euro area continues to encounter persistent headwinds, with unemployment still near record high, and inflation at dangerously low levels. Among the G20 members, there is an intensified call for boosting domestic demand.
前回のシドニー会合いらい、ユーロ圏と日本の成長には失望させられており、成長予測は下方修正されてきた。ユーロ圏は記録的な失業率と危険なほど低いインフレ率とともに強固な向かい風にさらされ続けている。G20のメンバーの中で、内需刺激への強い要望があった。

In Europe as part of appropriate policy mix - fiscal, monetary and structural. Japan is facing the challenge presented by its economic contraction that followed increase of its consumption tax, leading to a decline in consumer spending and investment.
欧州においては適切な、財政、金融、構造的、政策ミックスの一部として(内需刺激への強い要望があった)。日本は消費税率引き上げ後の消費や設備投資の落ち込みでマイナス成長に陥り課題に直面している(→ここはNHK記事をそのまま引用していますが、おそらく文脈としては、このような日本に対してもG20メンバーから内需刺激への強い要望があった、ということかと思います。話し言葉なので文意に若干の揺らぎがありますが、そう取るのが自然化と。)」

In addition to the economic weakness of particular advanced economies, many emerging markets, including China, are experiencing slower growth. In light of these challenges to the global economy, the G20 has stressed the importance of immediate support for creating jobs, growing the economy, and implementing fiscal strategies to flexibly support demand. In the United States, President Obama has put forward specific plans to get this done, including making investments in infrastructure and reforming our business tax system. For example, the President has put forward a plan to use one-time transition savings from business tax reform to help pay for infrastructure upgrades.
特定の先進経済国における経済の弱さ(恐らく、文脈からして日本の消費税による失速を含む)に加え、中国を含む新興市場は低成長を経験している。この世界経済の課題の観点から、G20は職の創出や経済成長への迅速な支援、そして柔軟な需要底上げのための財政戦略実行の重要性を強調してきた。米国では、オバマ大統領がこれを実現するための、インフラ投資促進や事業税システム改革を含む、きめ細かな計画を前進させてきた。例えば、大統領は、インフラ更新への費用支出を支援するために、事業税改革において貯蓄の一括償却のプランを前進させた(この箇所、勝手に意訳しましたが、おそらく設備投資等の一括償却のことかと思います。つまり、建物や設備は支出しても資産の購入とされてすぐに費用と見なされず課税所得から控除されません。複数期にわたり減価償却費を分割して計上し、それが課税所得から控除されます。しかし、これを現金支出した期に一括で費用化できるような制度で投資を促進すること。ああ、そう言えば09年か10年あたりにアメリカさんはやっていました、そんな税制改革)。








で、インフラつながりで議長国のオーストラリアのホッキー財務長官のスピーチ

Treasurer’s closing statement, G20 Finance Ministers and Central Bank Governors Meeting
http://jbh.ministers.treasury.gov.au/speech/018-2014/
21 September 2014

・・・

Global Infrastructure Initiative
グローバル・インフラ・イニシャティブ


As part of our new growth strategies, we have focussed on lifting investment in infrastructure because of its potential to address demand weakness. It is also a key driver for improving productivity.
新しい成長戦略の一環として、我々はインフラ投資を促すことに焦点を当てて来た。インフラ投資は、需要の弱さに本気で対処できる可能性を持つからだ。そしてインフラ投資は生産性の改善を促す鍵にもなる。

We have now agreed to progress a multi-year Global Infrastructure Initiative. This initiative consists of an integrated set of actions to increase quality infrastructure investment across the G20 and beyond.
我々はいま、多年度にわたる Global Infrastructure Initiative(グローバル・インフラ・イニシャティブ)を推進することに賛成した。このイニシャティブは、G20の領域をまたぎ、さらにはもっと広い領域にまたがる、良質なインフラ投資を増加させる一連の統合的な行動計画から成る。

We have committed to develop a database of infrastructure projects to help match potential investors with projects.
我々は、潜在的な投資家とプロジェクトを結びつけることを支援するためのインフラ計画データベースを発展させることに合意した。

・・・

-----

ちなみに、アメリカのルー財務長官のスピーチではインフラ」は5回、オーストラリアのホッキー財務長官のスピーチでは「インフラ」
10回出て来ます。


ただ、オーストラリアのホッキー財務長官が若干気になることも言っています

By lifting the quality of Budgets we can help growth while maintaining responsible fiscal strategies and controlling public debt.
良質な予算を計上することで、我々は成長を促しながら、責任ある財政戦略の維持と公的債務のコントロールを行うことができる。

「良質な予算the quality of Budgets」とか「財政戦略fiscal strategy」というのが、どうやら消費増税と所得減税(個人&法人)の組み合わせを含むようです。

これは
Communiqué Meeting of G20 Finance Ministers and Central Bank Governors Cairns, 20-21 September 2014

という今回のG20資料のなかで参考文献として出て来る

Growth-Friendly Fiscal Policy

というIMF資料にある考え方で、所得税(個人&法人)は投資意欲を削減するーー
この「投資」は金融資産への投資ではなく、固定資産への投資ーーが、消費税は投資意欲を削減しないのだとか…(建物や設備の購入には消費税がかかるので、これについては若干の違和感がありますが…と思いましたが、よくよく考えますと事業者は建物や設備の購入の際に支払った消費税を納付する消費税額から控除する仕組み――消費税法上のキーワードは「仕入税額控除」と「多段階累積控除」――があるので、まあ、たしかに理論的には「消費税は投資意欲」を削減しないことになりそうです…。なお、個人の住宅購入については仕入税額控除などないので、消費税はそのまま投資意欲の削減となります)。

ただ一応、このIMF資料には「消費税は成長を促すが逆進性があるため平等性を犠牲にする(=格差を拡大する)」とあり、「失業者の労働参加を促す低所得労働者向け減税」、「就労支援支出の充実」ということもセットで言及することで格差への配慮も見られますので、私は全否定はしませんが、真意はどこにあるのかは分かりません。

ただとにかく、消費増税と法人減税の合わせ技は世界的な流れのようであります。


また、税制に関しては
G20資料に、

We are strongly committed to a global response to cross-border tax avoidance and evasion so that the tax
system supports growth-enhancing fiscal strategies and economic resilience.
租税システムが成長を促す財政戦略や経済の強靭性を支えるために、我々は
越境租税忌避・脱税に世界的に対処することを強力に合意した。

とあります。

法人税を軽くして、消費税を取るのは、国境をまたいだ租税回避・脱税を防ぐという取り組みの一環という位置づけもあるようです。法人税は最終利益を税率の軽い他国に飛ばしたりして回避可能ですが、消費税は粗利(付加価値)に係る税金(付加価値税VAT)なので、他国に飛ばすことがやりにくいからです。

なお、私は消費増税そのものには積極的な反対はせず、その上位概念である「プライマリーバランスGDP比の2015年半減、2020年黒字化(安倍内閣の閣議決定事項)」に断固反対という姿勢です。
(消費税をどうするかに関わらず「プライマリーバランスGDP比の2015年半減、2020年黒字化(安倍内閣の閣議決定事項)」にこだわり続ける限りはうかつに財政出動できないので、ルー財務長官から「失望した」と嫌味を言われ続けることでしょう。いや、これ以上嫌味を言われないくらい、とにかくしっかり成長できれば良いのですが…)

というような話は当ブログで以前も書きました。(あまり評判は良くありませんでしたが…)

この消費税の件は「国際会議における現実を知っておいた方が心の準備をするためには良いかも知れない」と思い、あまり触れたくはなかったのですが、一応、見てみぬふりをせずに書いておきました。まあ、それはそれとしまして・・・








 『インフラ!インフラ!インフラ!』

 と

 『日本はもっと財政出動しろ!』

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624:「イスラム国」:インフラ重視で強くなった!?とも読める、毎日新聞の記事のご紹介です

2014/09/15 (Mon) 19:21
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アメリカのバイデン副大統領が
「地獄送り」にしたがっている「イスラム国」が、なぜ強いのか?

ということについて、

なかなかうまくまとめているのではないかと思える毎日新聞の記事をご紹介:


-----
<イスラム国>国家的統治 フセイン政権残党が組織
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140915-00000005-mai-int
毎日新聞 9月15日(月)9時0分配信

 【カイロ秋山信一】イラクとシリアで勢力を拡大するイスラム教過激派組織「イスラム国」が、イラクの旧フセイン政権の残党を取り込み、単なる過激派集団の枠を超え国家同様の統治を行っていることが14日、複数の対立組織のメンバーや研究者の証言で分かった。イスラム国のバグダディ指導者をトップに集団指導体制を敷き、評議会や支配地区を区分けして知事も任命し、イラク・シリアで次々と支配地域を拡大している。

【英首相「彼らはムスリムではない。モンスターだ」】

 複数の対立組織のメンバーや研究者によると、バグダディ指導者は2003年のイラク戦争前後までイスラム礼拝所(モスク)の説教師だったとされ、イスラム国の前身組織に加わる前は政治や軍事の経験はなかった。その経験不足をフセイン政権時代の政府軍の元将校らが補っているという。

 イスラム国の最高指導部はバグダディ指導者と2人の元将校で構成され、イラクとシリアに分けて戦闘や支配地域の統治などを総括。最高指導部の下には10人前後からなる評議会を設置し、集団指導体制を敷く。

 評議会メンバーは戦闘や戦闘員の勧誘、広報など部門別の責任者を兼ね「内閣」のような役割を持つ。全てイラク人で、元将校のほか政治・行政の経験を持つフセイン政権与党バース党の元党員もいる。さらに支配地域を区分けして十数人の「知事」を置く。

 フセイン政権の残党がイスラム国と結びついたのは、イラク戦争後に政府軍が解体され、バース党幹部が公職から追放されたためだ。フセイン元大統領は自身と同じイスラム教スンニ派を重用していたが、新政権への移行は人口の約6割を占めるシーア派が主導。不満を募らせた元政権幹部が、スンニ派のイスラム国に流れる土壌ができた。

 その一人が、バグダディ指導者の「右腕」だった元将校のハッジ・バクル氏だ。バグダディ指導者は10年に前指導者が米軍に殺害された後、イスラム国の前身組織を率いた。この時、バグダディ氏を推挙したのが、軍事・情報部門を率いていたバクル氏で、組織内のライバルを暗殺し、バグダディ指導者が権力基盤を固めるのに貢献した。

 「ナンバー2」の地位を獲得すると、12年に本格化したシリア内戦への介入や、新国家建設計画を主導した。対立組織にスパイを送り、戦闘員の取り込みを図るなど組織拡大のキーパーソンだった。バクル氏は今年1月の戦闘で死亡し、現在は側近で同じ元将校のアブ・アリ・アンバリ氏が後を継いでいる。さらにシリアとイラクの管轄を分担するため、別の元将校が指導部に加わった。

 イスラム国は一連の侵攻で、油田や交通の要衝、ダムなど重要インフラを集中的に狙うなど戦略性の高さが際立っている。政治経験を持つ人物がいるためインフラの重要性を熟知しており、米国などとの戦闘経験が豊富な元将校が指揮しているため、「洗練されたこれまで見たことがない組織」(ヘーゲル米国防長官)となっている。

 過激派に詳しいイラク人の安全保障専門家のヒシャム・ハシミ氏は「フセイン政権は政教分離の世俗主義で、宗教色が薄かった。だがシーア派中心の政府に排除され、スンニ派の元幹部らがイスラム原理主義に染まった」と指摘する。
-----


つまり、「大量破壊兵器」を持っていなかったのに滅ぼされたフセイン政権の残党が相当優秀であるというわけですね。

そして、私がこの記事で個人的に非常に興味を持ったのが、

重要インフラを集中的に狙うなど戦略性の高さ」

「政治経験を持つ人物がいるためインフラの重要性を熟知

という箇所であります。

いざというときに役立つのはモノ。モノを確保するのに重要なのがインフラ。というわけでありますね!(善悪は別として)


それと個人的にもう一つ非常に興味深かったのが、記事の最後に提示されているイラク人の安全保障専門家による仮説であります:

「フセイン政権は政教分離の世俗主義で、宗教色が薄かった。だがシーア派中心の政府に排除され、スンニ派の元幹部らがイスラム原理主義に染まった」

前回のエントリーで紹介しましたユングの「個性化⇔大衆化」の枠組みで考えると、

過剰な抑圧=過剰なストレス

原始人的/野生生物的な機能が活性化


のパターンが見事に当てはまります(なお、「原始人的/野生生物的な機能」というのは良い・悪いだけで測れるものではなく、生物が生命の保全と種の保存を確保するための基礎的機能であります)

さて、「原始人的/野生生物的な機能」というのは、ユングがいうところの「元型」というものに相当します(かなり大雑把な解釈ではありますが)。

それで、ユングが言うには、宗教というものは、「元型」の持つ、とてつもなく強大な力と人間がうまく付き合うための手段であることになります(これもかなり大雑把ですが)。

この考えを用いると

過剰な抑圧=過剰なストレス

原始人的/野生生物的な機能=元型が活性化

原理主義的な宗教が力を得やすくなった


というような解釈をすることが可能となります。


それともう一つは、このような人間集団の現象=社会的な現象というものを観察するのは、自分自身という一人の人間の内部状態について検討する際にも極めて役に立つということです:

過剰な抑圧=過剰なストレス

原始人的/野生生物的な機能=元型が活性化


ということに関して、「過剰な抑圧」を与えるのは、なにも自分以外の誰かとは限りません。自分で自分自身の内部に「過剰な抑圧」を加えることもあります。


「過剰な抑圧」
というのは、「過剰な否定」とも言えます。

 否定というのは、なにも自分自身の内部の何かを無理矢理抑え込んで否定することだけではありません。無視すること、目を背けることも「否定」です。
 何かちょっと気になっていることがあるのに、気にしないフリをしたり、無理に無視したりするのも「否定」です。
 これを長期にわたって行うと「過剰な否定」にもなり得ます。そうすると、自分自身のなかで「否定された」部分が暴れ出すことになりますが、これはアメリカと「イスラム国」の相互関係と非常によく似ています。

 このような「社会観察を自己の内部理解につなげる」という見方でニュースを見ていると、今までとはひと味違った味わいが出て来るし、人生により深い趣きが加わることもあるんじゃないかしら、と思うのですが、いかがでありましょうか?

※ユングの「元型」とか、それと宗教との関係とか、社会観察を自分自身の内部理解につなげる、といったことについて詳しくは↓こちらをどうぞ:



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 で、要するに、

 インフラを重視すれば、

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622:新自由主義で「格差拡大」どころか、国家分裂か?サッチャーの置き土産に苦悩する英キャメロン首相の嘆き節

2014/09/10 (Wed) 15:47
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さて、
日経新聞の本日朝刊に大変興味深い記事がありましたので、ご紹介:



英首相、急きょ現地へ スコットランド独立賛成派が急伸

日本経済新聞 2014年9月10日 朝刊 7面(国際2面)

【ロンドン=小滝麻理子】キャメロン英首相は恒例の党首討論の予定を変更して10日、野党党首らとともに急きょ北部のスコットランドに入ることを明らかにした。英国からの独立の是非を問う住民投票を18日に控え、賛成派が支持を急速に伸ばしてきたことに対応する。キャメロン氏は「英国に残ってくれるよう訴える」とフェイスブックに記した。

 キャメロン氏のほか、連立政権を組む自由民主党の党首で副首相のクレップ氏、野党・労働党のミリバンド党首もスコットランドに向かう。

 英議会で毎週水曜日に実施している党首討論を取り止める。キャメロン氏はグレッグ氏とミリバンド氏との連名のメッセージをフェイスブックに載せ「我々は多くのことで意見を異にするが、英国は一つであるべきだという点では一致している」と訴えた。「投票者の声を聞き、直接に対話する」とも強調した。

 与党・保守党を率いるキャメロン氏は、来週までスコットランドに行かない考えを示してきた。スコットランドでは急進的な構造改革を進めたサッチャー政権以来、保守党の人気が低く、現地入りすれば逆効果になると判断していたようだ。

 独立賛成派の支持が急伸するにつれ、政権内でも対応を求める声が噴出してきた。独立賛成派が過半数を獲得した場合、キャメロン氏に辞任を迫る声も上がっている。野党の党首とも協力して独立の阻止に動く姿は、政権が焦りを深めていることを印象付ける。

 7日付けの英紙「サンデー・タイムズ」の世論調査では、独立賛成派があらゆる世論調査で初めて反対派を上回った。8日夜に判明した別の調査では反対派がわずかにリードしており、賛否は伯仲している。





小さな政府論者の憧れの的、故マーガレット・サッチャー首相も、スコットランドではあまり憧れられていないようです。

そして、この記事の記述が正しければ、サッチャー政権の「改革」が遠因となって、英国が分裂の「危機」にさらされ、キャメロン首相のクビが飛ぶかもしれないというわけですね。

(ここで「危機」に「」を付けたのは、「危機」と感じるかどうかは立場によって違うだろうという意味合いです。)


サッチャー女史は「小さな政府」と言いながら、政府のサイズを倍に大きくしていた(名目ベースで)のですが…





 『小さな政府』

 って、

 『国を分裂させて小さくする政府』

 ということだったのかしらん…



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617:甦るレーガン――茶会系候補の憧れ、「小さな政府」の象徴…いや、レーガン政権は「大きな政府」のオバマ政権以上に政府を大きくしてますが…

2014/08/25 (Mon) 12:19
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産経の記事によると、去年後半から今年のはじめあたりまであった、アメリカの政府機関閉鎖騒ぎで人気を急落させていた共和党の「ティーパーティー(茶会)」系の勢力が盛り返しつつあるようです:


甦るレーガン 「強いアメリカ」「行動する保守」の偶像に
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140824/amr14082418000003-n1.htm
MSN産経ニュース 2014.8.24

11月4日の米中間選挙を前に、保守系草の根運動「ティーパーティー」(茶会)系の共和党候補者たちがレーガン元大統領を理想像としてあがめている。「強いアメリカ」「行動する保守」「小さな政府」-。さまざまな理念の象徴として、「もう一人のレーガン」を求める声が共和党支持層で高まってきた。(米バージニア州メカニクスビル 加納宏幸)

 バージニア州都リッチモンド郊外メカニクスビルで開かれた「ハノーバー・トマト祭」。特産品のトマトやハチミツの売り場に交じって設けられたテントで、地元の大学で経済学を教えるデービッド・ブラット氏(50)は人々に「元気?」「投票してくれた?」と声をかけていた。

 「レーガン氏は僕のヒーローだ。ホームページに写真を載せたことで、僕が自由市場経済を支持し、強い国防政策を進めることを分かってもらえたと思う」

 ブラット氏にレーガン氏の写真を大きく掲載した理由を聞くと、こう答えた。

 6月10日、下院バージニア州第7選挙区の共和党候補を決める予備選で、茶会系のブラット氏は下院共和党ナンバー2のエリック・カンター院内総務(当時)を破った。番狂わせは共和党指導部に衝撃を与えた。

 「有権者は自由市場経済を取り戻すため経済学者をワシントンに送ろうと考えたのだと思う。経済は縮小し、オバマケア(医療保険制度改革)で企業の負担は増える一方だから」

ブラット氏は勝因をこのように分析した。

    □ □

 有権者はなぜブラット氏に投票したのだろうか。

 「大きすぎる政府、大きすぎる政治に反対だからだよ。連邦政府はどんどんリベラルになっている」。南北戦争を戦った祖先の墓を守る資金を集めるため、トマト祭で南軍旗を売っていたマイク・ペリーさん(50)はブラット氏への投票理由を説明した。

 一方、民主党を支持する元大学教授ルー・ザリさん(65)には、茶会が極端な「小さな政府」論などを主張するため、中道からも支持を集めたレーガン氏を候補者たちが利用しているように映る。

 「今の共和党は保守色を強めすぎ、中間層を切り捨てている。彼らはレーガン氏を政治的な主張を覆うマントとして使っている」

(後略)






茶会系の勢力が強まると、日本にとっては、

・TPPがポシャる可能性が高まる

というメリットがあります。しかし、

・在日米軍もいなくなる可能性が高まる

という、かなりやっかいな問題も出て来ることになります。

必ずしもそうではないかも知れませんが、茶会系の議員が増えて、茶会運動の名付け親であるロン・ポール元下院議員の思想どおりの政策を打ち出すのだとすれば、そうなります。

ロン・ポール氏の貿易問題に関する考え方については、2年前の当ブログの記事、

【米ガチ保守の反 #TPP の根拠 「WTOやFTA協定といった“超国家機関”は我々の国家主権を侵害するので不要」:ロン・ポール下院議員】
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-544.html

をご参照ください。


さて、現在茶会系の候補者の皆さんが「小さな政府」の象徴として担ぎ出している、故レーガン元大統領ですが、以前の当ブログでもご紹介しました通り、在任期間中に政府の歳出規模をほぼ倍増させています。

もう一度、新しいデータで作成したグラフを掲載します:

アメリカ歳出規模グラフ
※点線は推計値


数値表にするとこんな感じ:

アメリカ歳出規模表

データ出典:
IMF WEO April 2014
OECD.StatExtracts



上の表から、「小さな政府」のはずの共和党政権のほうが、「大きな政府」のはずの民主党政権より、勢いよく政府を大きくしてくれちゃっていることが分かります(共和党父ブッシュ政権除く)。


ついでに、以前の当ブログから、イギリスの「小さな政府」の象徴たるサッチャー政権が、政府の規模を倍増させちゃってるグラフを再掲:




#以前、このサッチャー政権の歳出倍増や、レーガン政権の歳出ほぼ倍増のグラフのアイディアを、明らかに「パクって」いると思しきブログを見たことがあります(郷ひろみのモノマネをする若人あきら以上にそっくりなグラフだったので)。まあ、パクるのは構いませんが、このブログでアイディアを得られたのであれば、「廣宮ブログでもありましたが」くらい、ひと言入れて頂けると幸いです。それが礼節であり、徳というものでありましょう。また、著作権法上もそのほうが無難と思われます。



次に、日本のグラフも:

日本歳出規模グラフ
データ出典:
IMF WEO April 2014





・アメリカやイギリスと違い、「小さな政府!」と言って本当に政府を小さくしてくれちゃったのが、小泉政権の特徴と言えます。

第二次安倍内閣は、IMFの推計によると、レーガンや子ブッシュ政権ほどでないにせよ、政府の規模を拡大する方向性で進んでいるようです。従前に比べると格段の進歩と言えなくもありません
が、どうでしょうか…ただ、仮に2016年まで安倍政権が継続するとし、IMF推計通りとしても、在任期間中のトータルで、1.09倍増、年率で+2.1%という、かなり控えめな規模拡大ですが…




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 政府の規模を倍増させた

 元祖『小さな政府』の
 
 レーガンやサッチャーに、
 
 心底憧れてしまう、今日この頃



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611:日本の経常赤字化に備えよう!+新著「日本経済のミステリーは心理学で解ける」は8月19日発売予定です

2014/08/13 (Wed) 23:53
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私の2年ぶりの新著「日本経済のミステリーは心理学で解ける」が、8月19日発売予定となっております。


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今回の本、出版に至るまでの過程が今までで最も困難なものとなりました。

 何せ、一つ目の出版社では編集担当者の方が極めて熱心に取り組んで下さったにも関わらず、社長さんがなぜか頑として出版を承認してくれず、あえなくボツに。
 また、二つ目の出版社(つまり、今回の出版元の徳間書店)でも、担当者の方がこれもまた非常に熱心に取り組んで下さったのになかなか会社のOKが出なかったという、いわく付きであります。

 二つの出版社とも、現場レベルでは本書を熱心に支持して下さっていたのでありますが、「どうやって売ったらいいか(つまりは、どんなタイトルを付ければ良いか)、考えあぐねる」という内容の本であったため、出版社経営陣の了解がなかなか出にくかったというわけです。

 しかし、徳間出版では担当編集者さんが、一度は出版の企画会議で却下されたものを、10ヶ月にわたって粘り腰で売り方を検討するなどして下さったため、今回、なんとか出版にこぎつけたのであります。
 私自身もそのような事情から、本を3冊書くくらいの作業量となったような具合だったのでありました。

 そんなこんなでこの本に関しては、企画が始まってから出版に至るまで、実に2年もの歳月を費やした次第です。


で、なぜこの本の出版が、これほどの難産になったかと申しますと、

マクロ経済と個人の心理になぜ関係があるのか、直感的に理解しにくかったから

という具合です。


マクロ経済と個人の心理の関係について端的に言えば、まあ、こういうことになります:

経済学:大規模な人間集団に関する刺激とそれに対する反応の関係を調べる学問

心理学:人間に関する刺激とそれに対する反応の関係を調べる学問

 要するに、経済学も心理学も、人間という生物に関する入力(刺激)と出力(反応)の関係を調べる学問であり、いわば、生物学を「親」とする「双子の兄弟」とすら言えるようなものだと言えます。


で、経済学に心理学をくっつける、となると、それは「行動心理学」か、となりますが、本書の趣旨は少々変わっています。

 詳しく書くと長くなるので省略しますが、例えば、本書においては、「行動心理学」では決して出て来ない、ユングの「集合的無意識」とかが出て来ます。まあ、ユングの「集合的無意識」などという用語が出て来る経済書というのは、古今東西、この本が初めてではなかろうかと思われます。

なお、ユングの「集合的無意識」と聞くと、
「オカルトか?」
と思われる方もいらっしゃるかも知れません。

 しかし、そもそもの定義からすると、この「集合的無意識」というのは、簡単に言えば、「無意識領域において人間が生物学的に持つ原始的、野生動物的な性質のかたまりが入っているような部分」となります。

 よって、「集合的無意識」なるものを生物学的に捉えて考えるならば、ちっともオカルトちっくなものではなく、たった一人の人間の振る舞いから、大規模な人間集団の振る舞い――つまり、マクロ経済や政治や軍事などにおける人間集団の振る舞い――までを考える上で、極めて便利で使い勝手の良い概念となります(詳細は本を読んだ下さい!!)。


 さて、新著の内容については、発売日あたりにもう一度、目次の項目リストをアップしたいと思いますので、次の話題に移りたいと思います。

 最近、今年上半期の日本の経常収支が29年ぶりに赤字だったという記事が、日経産経ロイターなどで出ていますので、この経常赤字問題について、です。


 今回の新著では、「日本は東日本大震災以来貿易赤字だけど所得収支の黒字があるので経常黒字が続いている」という前提で書いている箇所があったのですが、これについては出版のスケジュール上、間に合わなかったので、該当箇所はそのままになっています。

ただ、経常赤字だろうが黒字だろうが、結論は変わりません。

日本政府が政策としてやるべきことは
「将来における物の不足による物質的、物流的な破綻を回避するための投資を積極的に推進する」
 ということ以外にはあり得ない、と私は考える次第です。



 それはそれとして。
 経常収支は、政府と民間を合わせた国全体の連結決算における財政収支と言え、一国経済の余裕度を測る尺度としては、政府の財政収支よりも遥かに重要な指標と言えます。



 そして、月別のデータの12ヵ月累積値の推移をみると、今年の経常収支は上半期だけでなく、通年で赤字となりそうです。

CurrentAccount140813.png
データ出典:財務省 国際収支状況データから計算


 経常収支の12ヵ月の累積値は、過去20年弱の中で「最悪」となっており、経常赤字トレンドとなりそうに見受けられます。
また、このトレンド入りを強力に後押ししたのが、タイミングを考えると、やはり東日本大震災であったと言えそうです。

 このような出来事が、アメリカの軍事外交プレゼンスの低下によって世界情勢が混乱を呈するのとほぼ時を同じくして起こっていることから、日本が経常赤字トレンド入りした(かも知れない)ことは、あとから振り返れば一つの歴史的転換点であった、ということになるかも知れません。


しかし、経常赤字になったからといって、ただちに財政破綻やハイパーインフレになるかというと、残念ながらそういうわけでもありません。

特に、「外貨建て債務(政府と民間を合わせた外貨建て借金)」の問題がない場合においては、すぐに重大な問題に発展することはないでしょう。

例えば、米、英、豪、ニュージーランドなどはこの30年くらいは経常赤字が状態化していますが、それによって破綻やハイパーインフレにはいまだ至っていません。特に、豪、ニュージーランドは30年以上連続して経常赤字ですが、いまもピンピンしています。

米、英、豪、ニュージーランドで経済や政治に著しい混乱を起こしそうなのは、経常赤字問題よりはむしろ、人種問題/民族問題/移民問題ではないかと、個人的には想像しています。



また逆に、ユーロ諸国のように独自通貨のない、借金がまるごと実質的に外貨建てのような国々にとっては、経常収支は致命的な財政余裕度の指標となります。例えば経常黒字が続くドイツは安定しており、経常赤字が続くギリシャは悲劇的な惨状と相成っております。


日本は対外純資産が世界最大(端的に言えば、外国に対する借金よりも貯金が多く、純ベースの貯金が世界最大)であり、外貨建て借金の問題がいまのところほとんどありません。
それゆえ、経常赤字が数年続いたからといって、外貨建て借金の問題で通貨当局(財務省や日銀)が死にもの狂いで何らかの対応をしなければならない、という状況からはかなり遠いと言えます。


また、対外純資産が世界最大であり、外貨建て借金が小さいということは、外国に対する借金は主として日本円建て、外国に対する債権は外貨建てが主であることになり、円安になれば、円建ての借金が相対的に減少し、外貨建ての債権が相対的に増加します。
経常赤字によって円安となれば、対外純資産がむしろ増えることとなります。このことがひとまずは「余裕度」を当面は維持するための非常に大きな防御壁となるでしょう。


但し、ここで少々困った問題があります。
今般、11兆円ほどにまで膨らんでいる貿易赤字の主要因が、原油や天然ガスの円建て価格の高騰にあるという点です。


まず、輸出入全体の状況:

Ex+Im_20140813.png
データ出典:財務省 国際収支状況データから計算


輸入は過去最高水準ですが、輸出は過去最高には至らず、という具合です。

テレビのニュース等では、輸出が思ったほど伸びなかったのは、国内の製造拠点を海外に移す動きが続いていたという構造的問題(産業の空洞化の問題)がある、と指摘しています。それもあるでしょうが、その要因としては、原発の停止による電力価格高騰の影響もあるのではないかとも思われます。
例えば神戸製鋼は、「原発の停止で電源不足が恒常化し、電気料金が高騰を始めた日本では、技術の粋を集めた鉄鋼生産よりも発電の方が利益を生みやすく、ビジネスとして有望になった」ため、阪神大震災による損壊からも「奇蹟的に」復活させた、「神戸製鋼社員のアイデンティティーそのものであり、求心力の源泉」たる高炉を2017年に廃止し、跡地に原発1.4基分(140万キロワット)にもなる石炭火力発電所を建設するそうです(日経ビジネス2014年7月28日号 特集「電力暴騰」参照)



次に、震災直前と直近の対比で、何が輸入金額の増加の最たる要因かということを分析してみましょう。

Im_20140813.png
データ出典:財務省貿易統計 [輸出入額の推移(主要商品別)] 世界 月別(輸入)データから計算

上記の9品目の輸入は、どれも概ね1兆円を超える増加となっていますので、どれもそれなりに大きいのですが、単独で半分近くを占め、10兆円の増加という桁違いの増加を示しているのが鉱物性燃料、つまりエネルギー資源の輸入です。

そして、そのエネルギー資源について内訳を見ると、意外なことが分かります。
原発停止によって大幅に増加した天然ガスの輸入金額増加も大きいのですが…

Im-Energy_20140813_211006.png
データ出典:財務省貿易統計 [輸出入額の推移(主要商品別)] 世界 月別(輸入)データから計算


 エネルギーの中で、輸入金額が最も大きく増加したのは、「原油及び粗油」です。
 輸入数量が3%減っているにも関わらず、輸入金額が物凄いことになっています。
 円建ての原油価格が高騰している(震災直前と比べて4割から5割上昇)からです:

WTI-JPY_20140813.png 

データ出典: IMF - Primary Commodity Prices / (c)世界経済のネタ帳 データから計算



日本の現状は、「プチ・オイルショック」と言えるかも知れません。

 仮に原発を再稼働でき、天然ガスの輸入量を震災以前の水準に戻して、急増した天然ガスの需要を「ジャパン・プレミアム」と呼ばれるバカ高い値段でまかなう必要性が無くなったとしても、残念ながら原油高の影響は残ります。
 また、今般の世界情勢の不穏当さや、世界中で中産階級が増加が続く傾向を考えると、原油価格はじりじりと上がり続ける可能性が高いと思われます。


一方、円安により、人件費が他国と比べて相対的に「優位」となるはず、ですが、当面はその効果が出にくいかも知れません。

 一つは、「産業の空洞化」の流れから国内回帰の流れになるまではタイムラグが生じるだろうということです。多くの企業は、更なる円安の傾向が長期的になると確信できるまでは、国内での設備投資を本格的には増やさないかも知れません。

 もう一つは、途上国との賃金差が縮まることで、途上国からの労働者の流入が減り、流出が増えるであろう、ということです。これにより、企業にとって「安価な」労働力を当面は手に入れにくい状態になる(というのは、「安価な」外国人ではく、「高価な」日本人を雇わざるを得ないため)ため、円安がかなり高進しないと、人件費における相対的な優位性を確保できないからです(これについては、人種・民族・移民問題の緩和という点では、良い面も多分にあると思われますが)。



 すると、当面の間は貿易赤字、経常赤字が継続することが予想されます。しかも、最初の数年は赤字の金額が実質ベースで拡大し、経済成長もマイナス基調が続くかも知れません。

 そして、このような構造的問題を抱える局面においては最悪の場合、当面の間、金融緩和(第一の矢)も効かない、財政出動(第二の矢)も効かない、ましてや、構造改革(第三の矢)も効かない、という状況が続くかも知れません。
 いや、より正確には、効いてはいるが、残念ながらマイナス成長を食い止めるに至らない、ということかも知れませんが。


 さて、経常赤字、円安と来れば輸入物価の高騰によるコスト・プッシュ型インフレがもれなくついてくることになりますが、このような状況に至った場合に参考にすべきは、やはり第二次大戦直後の日本でしょう。
 第二次大戦直後の日本においては、経常赤字であり、インフレがガンガン高進し、その中においても政府は財政を拡大し、財政赤字が続き、「国の借金」もべらぼうに積み上がって行きましたが、その中で政府は、食糧、燃料(エネルギー)、鉄などの基幹産業に優先的に物資と資金(補助金や優遇金利による融資など)が回るような政策、傾斜生産方式を採用しました。これによってとにもかくにも生産力は回復していったわけです。

 今後の日本では、
(1)とにかく石油が少なくて済むような仕組みを整えること、
そして、
(2)国内で採掘できるようなエネルギー源の確保(太陽光でも風力でも地熱でもメタンハイドレートでも何でも)のための投資、研究開発
が重要となるでしょう。
 ここに限られた人的資源や物資を集中的に投入すること=「新・傾斜生産方式」を採用することが肝要です。


 で、こういう状況となった場合に、やはり重要なのが、「国の借金に対する恐怖」をうまくコントロールするという問題です。
それに加えて「経常赤字に対する恐怖」とも向き合う必要が出て来るわけです。
 もし、上記のような何をやってもマイナス成長が続き、経常赤字が増えるばかり、というような状況において、国民全体としての「国の借金に対する恐怖」が過度に強まり、さらにそれに「経常赤字に対する恐怖」が過度に強まった状態で加わるとします。
 本当はそれでも財政出動して「新・傾斜生産方式」を推進し、将来におけるエネルギーの確保に邁進すべきところを、過度の恐怖が残念ながら阻害してしまい、豊かさの回復がずーっと先に遠のいてしまうかも知れません。


結局、まとめると、
1.経済はカネではなく、つまるところ、モノが足りるかどうかである

2.経済を安定させるには、「国の借金」に対する恐怖など、恐怖とうまく付き合う方法を、広く国民が共有しておくのが望ましい

というような具合になります。

今回の新著では、この二つを詳細に述べています。


「1.経済はモノだ」についてはこれまでも書いてきた趣旨ではありますが、今回も様々な角度から書いています。
 一例を挙げると、第一次大戦後のドイツや、80年代のアルゼンチン、ブラジルにおけるハイパーインフレは、「モノ」あるいは「他のモノと交換できるモノ」を使うことでピタリと止めることができたというような話を書いています。

「2.恐怖との上手な付き合い方」については、心理学や脳科学(神経科学)や生理学などの観点から、マクロ経済についてだけでなく、日常生活でもすぐに活用して頂けるような話を詳細に書いています。(今回は参考文献リストが付いています。心理学、脳科学、生理学など、より詳細に、あるいは、より厳密にお知りになりたい場合などに、ご活用下さい)


詳細はぜひ、こちらでどうぞ:
hyoshi1408130001.jpg
「日本経済のミステリーは心理学で解ける」
(首都圏の書店は8月19日、関西圏で20日、全国で21日ころ店頭に並ぶ予定となっています)



それはそれとして、



 経常赤字になればなったで、

 粛々とそれに対応すれば良いだけだ!

 孫子でいうところの

 『それ、兵は水に象(かたど)る』だ!



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607:「公共事業を急ぐほかはない」と日経:17面の目立たない記事ですが…

2014/03/17 (Mon) 13:12
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本日付の日経新聞に興味深い「消費増税の悪影響を懸念し、公共事業を急ぐしか無いと言ってます」と読める記事がある、と日本経済復活の会の小野誠司会長から教えて頂きましたので紹介します:


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【景気指標】 問われる成長のカタチ

日本経済新聞 2014年3月17日


日銀が11日の金融政策決定会合で輸出の現状判断を「横ばい圏」に引き下げた。黒田東彦総裁は会合後の記者会見で「一時的」と繰り返し、中国などの春節(旧正月)といった要因を事細かに説明した。停滞が長引くと景気回復シナリオにも黄色信号がともる。そんな危機感の裏返しにも思えた。


日本経済研究センターがまとめた3月のエコノミスト予想によると、2014年度の実質成長率は0.72%。4月の消費増税を控えた駆け込み需要は13年度に含まれ、反動源が14年度に出る。2%台の成長が見込まれる13年度からの減速は、やむを得ない。問題は数字ではなく中身だ。



「13年度の景気のけん引役は家計と政府(公共事業)だったが、14年度は企業に交代する」。第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストはこう語る。



まず個人消費。消費増税に伴う駆け込み需要の反動減という一時的な要因だけではない。増税による家計の購買力の低下はその後も続く。円安を背景にした物価の上昇も、実質的な所得減となる。



春季労使交渉では主要企業が相次いで賃金のベースアップを回答したものの、増税や物価上昇に伴う悪影響のすべては穴埋めできそうにない。政府が見込む雇用者報酬2%増が実現しても、「補えるのは、3分の2程度」(新家氏)という。もう一方の主役だった公共事業も、よほど大規模な景気対策を打たない限り、さすがに伸びは衰えそうだ。



企業は主役になれるか。円安下の輸出停滞には日本企業の競争力低下もささやかれる。それでも世界経済の緩やかな回復を踏まえれば、輸出はもう少し伸びるだろう。設備投資も企業収益の改善や先行指標から判断すれば、そろそろはっきり持ち直してもいいはずだ。日銀やエコノミストの多くはそんなふうに期待する。



主役が交代できなければ、景気後退が現実味を帯びる。避けるには政府みずから主役に名乗り出て、公共事業を急ぐほかはない。問われる「成長のカタチ」。アベノミクスの行方にも大きく関わる。

(編集委員 大塚節雄)

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17面という目立たないところの記事ですが、

「主役が交代できなければ、景気後退が現実味を帯びる。避けるには政府みずから主役に名乗り出て、公共事業を急ぐほかはない。」

という現実的な記述には、大いなる好感を持てると感じるのは私だけでしょうか?


少なくとも

「主役が交代できなければ、景気後退が現実味を帯びる。避けるには政府みずから主役に名乗り出て、TPP妥結移民推進政策などのグローバリゼーションを急ぐほかはない。」

などと書いていない点は大いに評価して良いのではないかと思う今日この頃であります。


ここで、「移民推進政策」その他のグローバリゼーションについて少しだけ雑感をば。


今般のウクライナ、クリミアの問題を見ていると、多民族国家というのがいかに難しいかということの明示的な現れと感じずにはいられません。

西側の政治家(日本含む)の皆さんは「銃を突き付けた住民投票は無効」と言います、それはそれで一つの見方でしょう。

一方、ロシアメディア(RT.com)のニュース動画をみていますと、クリミアのロシア系住民は、今回のウクライナの政変で親欧米の暫定政権がロシア語を公用語から外したことに怒り心頭となっているということもあるようです(ちなみにNHKの「海外ネットワーク」という番組でもそのことは報道されていました)。


欧米側(日本含む)とロシア側とでは違うことを強調していますが、両方とも正しい部分があり、両方とも間違っている部分があるというのが正確なところではないでしょうか。

立場が違えば、見方が違うというのが当たり前であります。よって、異なる民族が共存するのはそれだけ難しいということになろうかと思います。

それゆえに、仮に日本において移民を大規模に受け入れるということをやるならば、それには大きな困難を伴うことになるでしょう。

そのようなことは欧米でとっくの昔に明らかになっている問題ですが、日本でも例えば沖縄に多くの米兵が駐留している時点で多くの摩擦を生じており、常に大きな政治問題であり続けていることにも留意すべきでしょう。

この点から類推すれば、移民を大規模に受け入れることを推進するとなると、問題がさらに複雑化することになることは間違いないでしょう。


このような「民族の違い」の問題に対応する上で有用な視点は、次のようなものではないかと私は考えます:

(1)他の民族が自分達の民族と違っていることを客観的に認識し、率直に認めて肯定する

(2)自分達の民族とあまりにも違いのある他の民族との接触は、最低必要限度に留める(互いに適正な距離を保つ)

このような考え方は、私が提唱しております「徳」のあり方、「ある考えとその正反対の考えを両方とも正しいと認め、肯定する」というあり方の延長線上にあります。

というのは、

「自分達の民族と、他の民族について、互いに適正な距離を保つ」というのは、「自分も他人も両方とも正しいと認め、肯定する」ということに等しいからです。

「自分だけが正しくて他人は間違い」つまり、「自分だけを肯定、他人を否定」するのはいかにもバランスの悪い形態になります。これはいわば、私益、私利私欲だけを追求し、公益を顧みないということになります。

一方、「自分は間違い、他人だけが正しい」つまり、「自分を否定、他人だけを肯定」するのもまたいかにもバランスの悪い形態です。これは、他人に隷従するような形になりますし、しかも、自分が公益の増大に最大限度貢献するための機会を実は奪ってしまうことになります(というのは、自分を否定し、他人に盲目に隷従することは、自分の能力を最大限に発揮するための機会を喪失することになるため)。

というわけで、「自分も他人も両方とも正しいと認め、肯定する」というのが最もバランスの良い形態であると考える次第であり、それが私の提唱する「徳」のあり方であります。

そして、これを個人から人間集団に拡張すると、「自分たちの民族も他の民族も両方とも正しいと認め、肯定する」という発想につながり、それを実践するための手法として、「自分たちの民族と他の民族について、互いに適正な距離を保つ」ということを発想できることになります。


というわけで、

余計な民族間の摩擦をこれ以上抱え込むことなく、日本経済の安定と繁栄を保つためには、いまのところ

 TPP - NO!

 移民 - NO!

 公共事業 - YES!

というのが無難、かつ、最適な選択肢
ということになるのではないかと思う、今日この頃であります。





 TPP - NO!

 移民 - NO!

 公共事業 - YES!



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604:米高官、日本に歳出拡大・内需拡大を要請?(→米議会でTPPがちっとも進まないことと関連ありか?)

2014/02/16 (Sun) 14:44
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まずは6日前の日経新聞より(日本経済復活の会 小野盛司会長から教えて頂きました)

アメリカさんが日本に対し、「もっと財政出動せんかい、この野郎!」と言っているとか、いないとか。

---
景気指標 米の対日歳出増圧力なぜ
日経新聞 2月10日朝刊19面

 「行き過ぎた財政再建はいかがか」。
米政策当局者の一部が日本により柔軟な財政運営を促す「想定外」の動きが出ているという。国際通貨基金(IMF)内でも米側が日本に短期的に歳出を増やすよう求める動きがくすぶる。

 17年ぶりの消費税率引き上げにこぎ着け、基礎的財政収支赤字を2015年度までに国内総生産(GDP)比で10年度から半減させる目標の達成が「視野に入ってきた」と明言した安倍晋三首相。歳出要請は米政府の「総意」とはいえないが、健全化努力に水を差すような暗黙の財政出動圧力に違和感を感じる向きは多い。

 ある関係者は「余計なお世話だ」と憤慨しつつも、アベノミクスでも消えない「成長への疑い」が一因とみる。

 政府は昨年末の経済見通しで14年度の実質経済成長率を1.4%と予想した。平均0.8%程度の民間予測を大きく上回る。この見通しのカギを握るのは賃金増だ。だが、足元をみる限り、過度な期待はできそうにない。ワシントンでは、所得増が内需拡大につながる好循環シナリオに確信が持てない政策担当者が多いという。

 ここへきて米量的緩和縮小に伴いトルコなど新興国通貨不安の嵐が吹き荒れる。通貨当局者の頭をよぎるのは1997年の苦い記憶だ。同年春の5%への消費税率上げを追いかけるように未曽有のアジア通貨危機が進行。橋本政権の財政構造改革による急激な緊縮路線も追い打ちをかけ日本は98年にマイナス成長に転落した。当時とは国際的な経済環境も異なるが「いつか来た道では」との不安は尽きない。

 日本は数年内に政府債務が家計などの貯蓄額を上回るとの試算もあり国債の国内消化もカベにあたる。円安傾向でもなぜか輸出増のアクセルが利かず経常赤字が続く。安易な財政出動に走って健全化目標を崩せば市場は日本に厳しい疑念の目を向けるだろう。こうしたリスクを承知で日本に歳出プレッシャーをかけているとすれば、米が世界経済の現状をそれほど危ういとみている裏返しともいえる。

---

最後のほうの「日本は数年内に政府債務が家計などの貯蓄額を上回るとの試算もあり国債の国内消化もカベにあたる。」は気にしなくて良いように思います。

そのようなご心配も御もっともなのですが、実際のところ「家計などの貯蓄額」が政府債務の限度額では物理的にあり得ないのです。

下に、日本に関するすべての経済主体(家計+NPO、一般政府、非金融企業、金融機関、海外部門)の金融資産と負債のバランスシートを時系列でグラフにしたものを示します:


(↓クリックで拡大します)
capture_20140216_114155.png

日本銀行「資金循環統計」より作成


上のグラフで一番左に注目してください。

家計+NPOの金融資産(392兆円)に対し、一般政府の負債(129兆円)は極めて小さくなっています。
しかし、
非金融法人企業の負債(546兆円)は、家計+NPOの金融資産を大幅に上回っています。

もし、「一般政府の負債の上限」が「家計の貯蓄(金融資産)」ならば、非金融企業の負債の資金調達源は一体全体どこにあるのでしょう?どこから調達できるのでしょうか??

そのカネはどこから湧いてくるのでありましょうか???

という疑問をもって、それに対する答えが必要でしょう。



まず、基本原理として全部門の金融資産と負債は一致し、よってバランスし、よって、全部門の金融資産から負債を差し引いた金融純資産はゼロになります。
このことは、上のグラフの各年の全部門を合計した金融資産と負債のが一致していることから明らかです。


次に、金融機関は基本的に単なる仲介機能しかありません。それで、金融機関の金融資産と負債はおおむねバランスします。つまり、金融資産から負債を差し引いた金融純資産がゼロになります。


すると、以上の二点から、金融機関以外の残りの経済主体


家計+NPO
一般政府
非金融法人
海外部門

という4部門を合計した金融資産と負債はほぼ一致し、ほぼバランスし、金融純資産もほぼゼロになります。

だから、一般政府の借金の限度額なるものがあるとすれば、この4部門の金融資産と負債のバランス全体を見る必要があります。

で、そのバランスを見るのに、金額のグラフだけを見ると分かりにくいので、今度は百分率のグラフを示します。このほうが分かり易いです:

capture_20140216_115723.png 


↑これを見ると、過去33年間において、

・家計の金融資産の全体に占める割合が24%前後でほとんど変化していないことが分かります。


一方で、

非金融企業の負債が全体に占める割合が劇的に減る一方、政府と海外部門の負債が全体に占める割合が激増していることが分かります。(ついでに言えば、家計の負債が全体に占める割合も減っている)


また、

・非金融企業の金融資産が全体に占める割合も減っていることが分かります。


つまり、金融資産と負債の両方において、非金融企業のプレゼンスが小さくなっているというわけです。


企業VS家計

の構図で見ると、家計の方が実はプレゼンスは温存され、企業の存在感が薄れているという意外な構図が見て取れます。


まあ、それはそれとして、もう一度負債のほうに目をやると

政府の借金が増えているのは、主に非金融企業の借金が減っているから

ということになります。

単にそれだけの問題です。


金融緩和をした場合において、この非金融企業が意欲的に借金を増やさない場合を考えましょう。

その場合、政府が借金を意欲的に増やすしか、全部門における金融資産の目減りを防ぐ方法、すなわち経済全体における信用創造機能を保全する方法は、基本的にありません。

全部門の負債合計が増えないとマネーは増えません。

そうでなければ経済成長(GDPの増加)も起こりにくくなります。


日本では目下のところ、本来、信用創造の最大の担い手として、借金をどんどん増やして投資(設備投資など生産財への投資)を増やすべき非金融企業が、むしろ信用収縮の担い手となってしまっています(四半期ベースでみれば、アベノミクスで一応は微かに負債を増やしつつはありますが、まだまだその勢いは足りないと言えるでしょう)。


それゆえ、今回のアメリカさん(の一部?)による、「歳出増圧力」というのは、

「プライドの問題とか感情の問題を除いて機械的に判断するならば、素直に大歓迎して良い部類の圧力である」

というのが、私の個人的な見解です。



次に、ロイターの昨日の記事です。

---

来週のG20は市場の混乱が焦点、日本は内需拡大を=米政府高官
ロイター  2014年 02月 15日
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA1E00I20140215

米政府高官は14日、オーストラリアのシドニーで22─23日に行われる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議について、最近の金融市場の混乱に焦点が当てられるとの見方を示した。記者団に述べた。

また日本は内需拡大による景気刺激を行うべきとする米政府の立場をあらためて強調した。大規模な金融緩和は、円安により輸出を促進するための手段として用いられるべきでないとの姿勢を示唆したとみられる。

欧州に対しては、融資の低迷が経済成長を阻害しているとして銀行システムの強化に一段と積極的に取り組むよう求める。

同高官は「(銀行に対する)厳格な資産査定とストレステスト(健全性審査)はユーロ圏の銀行部門の信頼回復の中心となる」と述べた。

さらにドイツなど欧州の経常黒字国は経済に占める内需の割合が非常に小さく、世界経済を圧迫する要因になっているとのあらためて指摘した。

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このロイター記事における「米政府高官」による「日本は内需拡大による景気刺激を行うべきとする米政府の立場をあらためて強調」というのは、日経記事における「政府高官」「歳出増圧力」と一致しているのではないかと思われます。

「TPPに参加しろ圧力」は要らないので、こういう圧力を10年前からかけてくれていたら、もっと良かったのに、と思う今日この頃です。





それはそれとして、 この「米政府高官」による「歳出&内需拡大圧力」ですが、TPPと関係があるかも知れません。あまり良くない意味で…。



以下、ロイター(英語)の2月12日記事

Second top Democrat opposes U.S. fast-track trade bill
民主党ナンバー2、大統領貿易促進権限法案に反対
Reuters Feb 12, 2014
http://www.reuters.com/article/2014/02/13/us-trade-pelosi-idUSBREA1B2E520140213


の内容を何か所か抜粋しながら紹介します(翻訳は抄訳で)。


House Democratic leader Nancy Pelosi told a union rally she opposed legislation currently before Congress to grant the U.S. administration so-called Trade Promotion Authority (TPA) to seal trade deals.

下院民主党指導者(民主党の下院院内総務)ナンシー・ペロシ
は、ある労働組合の大会で、議会が政権に貿易促進権限(TPA)を与えようとする現法案に反対すると述べた。


"No on Fast Track ... out of the question," she told the United Steelworkers and the BlueGreen Alliance, according to a transcript of remarks provided by her office.

「貿易促進権限は否…問題外」
と彼女は全米鉄鋼労働組合とBlueGreen Alliance(ブルーカラー労働者の組合の連合のようです)に述べた(彼女の事務所のプレスリリースによれば)。




※ただ記事(省略部分)によれば、ペロシさんが反対するのはオバマ政権の貿易政策ではなく、今回のTPA法案が受け入れられないので反対、とのことです。



Pelosi's opposition will make it difficult to push ahead with the current bill in the House, where the legislation lacks a Democratic co-sponsor, and its future in the Senate is also uncertain.

ペロシによる反対は、今回の法案を下院で推進ことを困難にする(下院ではこの法案の民主党の共同発起人が欠けている)。また、この法案の上院における命運も不確かである。


Representative Sander Levin, the top Democrat on the House Ways and Means Committee, has said the bill does not go far enough to involve lawmakers in trade talks or to prevent currency manipulation by trading partners. He is working on an alternative version.

下院歳入委員会(廣宮注:貿易問題担当の委員会)の民主党リーダー、サンダー・レヴィン下院議員は、この法案が、通商交渉における連邦議員の関与について十分なものになっていないものであり、かつ、通商相手国による為替操作(currency manipulation) を防ぐ仕組みが十分ではないと言っている。彼は、代替案を策定中である。

※以前紹介しましたように、レヴィン下院議員と言えば、米自動車ビッグ3おひざ元のデトロイト首都圏の選挙区選出の議員です。いやあ、相変わらず為替レートにこだわっていらっしゃるご様子です。


Pelosi said currency manipulation was "a smack in the face of American workers," leaving open the option she might support a version of the bill with tougher currency provisions.

ペロシは、為替操作は「アメリカの労働者の顔への平手打ち」と言っており、より厳しい為替条項を伴ったバージョンの法案を支持する選択の余地を残している。


In the Senate, Democratic sponsor Max Baucus is leaving to become the next U.S. ambassador to China, and the expected next head of the Senate Finance Committee, Ron Wyden, has expressed reservations about the legislation as drafted.

上院においては、民主党の法案発起人にして上院財政委員会委員長であるマックス・ボーカス議員が次の駐中国大使になるため議会を去ることになっている。次の財政委員長と目されるロン・ワイデンは、これまでのところ現法案について保留の意思を表明している。

※マックス・ボーカス議員と言えば、「日本はTPPでもっとモンタナの牛肉を食え!」と言っていた、あの民主党におけるTPP推進最右翼のボーカス議員です。

※ロン・ワイデン議員と言えば、「国会議員の大多数は、TPPの実体に関して暗闇の中に置かれたままだ。しかし、一方でハリバートン(石油)、シェブロン(石油)、PhRMA(米国研究製薬工業協会)、コムキャスト(ケーブルテレビ、インターネット)、アメリカ映画協会といった米国企業の代表には、相談を持ちかけ、TPP協定の詳細についての機密を教えている」ということを明らかにした、あのワイデン議員です。





さて、今回のエントリーで紹介した記事を総合すると、


・米政府高官(の一部?)は、日本に歳出&内需拡大を要求している

・米国でTPP推進のために必要なTPA法案について、与党議員幹部らがこぞって反対しており、
 推進派の代表たるボーカス上院議員は駐中国大使として転出することになっているため、
 現行のTPA法案がそのまま可決される公算は低い。

・一方、民主党幹部の現行TPA法案反対派は、必ずしもTPPそのものに反対しているわけでもない。
 「強硬な為替操作防止条項」が入れば、賛成に回る余地があるものと思われる。

ということになります。

さて、問題は「強硬な為替操作防止条項」です。これTPPやTPAに入ると、アベノミクスの第一の矢、日銀の「異次元緩和」が当然、やり玉にあがるでしょう。

この異次元緩和がロイターの記事にあるように

「大規模な金融緩和は、円安により輸出を促進するための手段」

とみられていると思われるからです。


すると、「米政府高官(の一部?)」の狙いは、

・TPPやTPAに「為替操作防止条項」をねじ込んででも、TPPを成立させる

・その上で、米国が日本に輸出しやすい状況を作り、日本政府に財政出動させて、
 日本の内需拡大が米国の輸出拡大に直結する状況を作り出す

ということなのかもしれません。


もちろん、こんなTPPを安倍政権というか日本の国会が受け入れるとは到底思えません。
…というのは、私の希望的観測かも知れませんが、「強硬な為替操作防止条項」が入れば、日銀の通常の金融調節すらままならないことになりかねないからです。
例えば、仮にその「強硬な為替操作防止条項」が「量的緩和などもってのほかであり、日銀の目標金利はFRBのFFレートを下回ってはならない」みたいなものになったとしたら、これはほとんどユーロ圏並みの金融自主権喪失の悲劇です。

そうなると、レヴィン議員らにはむしろ、とてつもない強硬な「為替操作防止条項」付きのTPA法案を作ってもらった方が良いのかもしれませんね。

というわけで、「TPPはアメリカで成立しない」か、もしくは、「アメリカで成立するとしても日本の国会がとてもじゃないが可決できないTPP」になると米政府高官(の一部?)が想定していると仮定しますと、

・アメリカさんのほうでTPPはもうあきらめたので、とにかく日本に「内需拡大しろ、馬鹿野郎!」と言っているだけ

という可能性
もあります。 このほうがアメリカの安全保障上も好ましいと思いますしね。色々な意味で。
しかし、もしそうなら「今更言うくらいなら10年くらい前から言っとけ、馬鹿野郎!」と思わないでもない今日この頃ですが、真相や如何に?



 できれば、

 『TPPなしの対日歳出拡大圧力』

 希望!



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602:日米株価暴落はあるか?-「米国発最悪の事態」を妄想シミュレーション…あくまでも「妄想」ですが!

2014/01/24 (Fri) 18:16
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いきなりですが私、最近のところ、日本、そして世界全体に対しては正直なところ、暗い未来を想定しています。

特に、オバマ大統領が「シリア攻撃を決定しました」と血気盛んな演説をしたあと、世論に押し切られてスコーンと「やっぱり止めます」となって以来、私の中で、その「暗い未来を想定する」傾向が決定的になったのでありました。

もちろん、米軍によるシリア攻撃というようなことを始め、あらゆる戦争は無いほうが良いに決まっているのですが、上記の事件は、アメリカによる平和と秩序が重大な転換点を迎えた決定的な象徴のように思え、少なくとも現在のそれなりに保たれている世界秩序の安定が、そう遠くない将来に崩れてしまうのではないかと想定するに至った次第です。

それで、9月以降は、「自分が何か書いたところでこの変化を止められることなどあり得ないし、下手をすればいたずらに不安を煽るだけになるのではなかろうか」というように考えてブログを書くのを止めていました。

しかし、1月3日に書きましたような老子の二十八章の、自分なりに納得できる解釈ができ、
「最悪の事態を想定することと、その正反対のこと、つまり、明るい未来を創造することの両方ともをうまく“治める”ということが『徳』であり、『天下の谷(この世のすべてのものを受け入れることのできるほどの巨大な器)』ではないか」
と考えるようになりました。

また、『易経(えききょう)』の解説書の一つで孔子の作とされる『繋辞伝(けいじでん)』の、次のことばを最近知ったことも、私にかなり影響を与えている次第です:

「君子は安にして危を忘れず、存して亡を忘れず、治にして乱を忘れず、ここを以て身安くして国家保つべきなり」

(ちなみに、『易経』は老子の説くような陰陽理論の総本山的な書物です。また、孔子も「葦編三絶(いへんさんぜつ)」、つまり、竹簡を束ねるヒモが3回も擦り切れるほど『易経』を読み込んだと言われています。)

というわけで老子や孔子の影響を受けた結果、最悪の事態というのを想定し、頭の片隅に少しくらいは明示的に意識しておくほうが、何だかんだと言って心の安定や安らぎにつながる――少なくともいざ仮にそういう事態が起きても多少なりとも冷静さを保てる――ということになるのではないかと考えるようになったため、あくまでも仮定の話として、「最悪の事態」というものについて、今回は書いてみたいと思います。


【「2014年 日米株価大暴落」はあり得るか?】

最近、今年(2014年)は大暴落があるぞ!というタイトルを関した経済本がこれでもかというくらい“大量”に出版されています。
これまでもいわゆる「破綻本」は毎年「○○年 大暴落」というタイトルで出されていましたが、今年は、今まで「日本大丈夫だ本」を書いていた方々までこぞって書いているのが特徴であると言えます。

ただし、皆が書き出したからと言って、だからやっぱり大暴落だ!と言いたいわけではありません!

ただ、私は最近、私がいうところの「老子スタイル」で、「ある考えがあれば、とりあえずそれを正しいと仮定し、同時にその正反対のことも正しいと仮定して考えるのが好ましい」と考えています。

つまり、ある説「A」とその正反対の説「not A」が両方とも正しいとひとまず仮定しておくわけです。
そうすると、偏らず、柔軟になれますし、そしてうまくいけばその両者の矛盾を乗り越え、統合するような新たなアイデアを創造してしまえることすらあり得ます。

ああ、そうだ。
まず私自身のことで謝罪しておきたいことがあります。
書こう書こうと思って書きそびれていましたが、去年書いた『仮説9月危機』というタイトルのエントリーは見事に外れています!
だから、今回書くことも、あくまでも仮説として、そうなるかも知れないし、まったく外れるかも知れないというスタンスで読んで頂ければと思います。

先ほども書きましたように、「最悪の事態」というものを一応のところ想定しておけば、万が一そういうことが本当に起こっても多少は冷静さを保てるし、その事態に対処するための次の行動に移ることもやり易くなる、というくらいの価値はあるものと考えます。
というのも人間、一番慌てふためくのは、本当に完全に想定外のこと、理解の範疇を完全に超越した事態に直面したときであると考えられるからです。


ではでは、少しずつ本題に入って参ります。

まず、
「今の米国の株価は割高か、割安か」
について検討してみましょう。
S&P500指数のPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)をぱっと調べてみます。

ここで用語解説:
PER(株価収益率)は「株価が企業の利益の何年分か」を表します。もしこれが100倍なら、株価が利益の100年分ということになり、かなりひいき目に見ても割高だと言えます。創業したてのバイオベンチャー企業とかならこれでも割高とは言えないかも知れませんが、すでにかなり大規模になって安定収益を上げている会社であれば、PERが100倍なら間違いなく割高と思えるということになるでしょう。

PBR(株価純資産倍率)は、「株価が、企業の帳簿価額での純資産価値の何倍か」を示します。この倍率が1.0倍以下であれば、理論的には、その会社がいま解散して売りさばかれたとき、株価以上の値段で売れるはず、ということになります。つまり、PBRが1.0倍以下なら相当な割安状態と言えますが、本来は価値があるのに誰にも注目されずに放置されているか、ほんとうにヤバい会社なので割安になっているかは要検討、と言えるでしょう。

で、S&P500のPERとPBRですが、過去の数値をまとめてくれているサイト を見つけました(若干いかがわしい広告が表示されたりするのがアレですが…)。そこのデータに基づくと

PER
現在(2014年1月23日) 19.38倍
リーマンショック前の株価ピーク時(2007年10月初) 20.68倍
ITバブル崩壊前の株価ピーク時(2000年3月初) 28.31倍

PBR
現在(2014年1月23日) 2.69倍
リーマンショック前の株価ピーク時(2007年9月末) 2.91倍
ITバブル崩壊前の株価ピーク時(2000年3月末) 5.06倍

現在のPER 19倍、PBRの2.7倍は、一般的な感覚でいうと、そこまで割高ではないような気もします。しかし、意外なことに、リーマンショック前の株価ピーク時の値にかなり接近している状況です。
ただし、ITバブル崩壊前のピーク時よりはかなり割安とは言えます。

さて、ここで「リーマンショック前のPER、PBRに近いため、今回の株価ピークもそろそろである」と仮定した上で、「今年(2014年)に“暴落”があるかどうか」について考えて見ましょう。

さて、何をもって“暴落”というかですが、とりあえず、ITバブル崩壊後の9.11のときのような暴落、リーマンショック時のような暴落を、“暴落”と呼ぶことにします。

9.11暴落(2001年9月)は、その前の株価ピークである2000年3月から1年半あとに生じています。
リーマンショック暴落(2008年9月)は、その前の株価ピークである2007年10月から2年近く経ってから起こっています。
つまり、この二つのケースでは「“暴落”が起きたのは、直近の株価ピークから1.5~2年後」ということになります。

現在S&P500は過去最大水準を更新している具合になっているので、2014年1月現在をピークと仮定すると、過去2つの事例からは、暴落が起こるとすれば2015年半ばから2016年初めころと想定されることになります。

すると、

「何かしら重大な事件が生じない限り、2014年中に“暴落”が起こる可能性は低い」

という仮説を立てることができます。

さて、冒頭で書きました「最悪の事態を仮説として想定する」というのは、「仮にそれが起こったら2014年中でも株価暴落を引き起こしかねない事態を想定する」ということになります。

この「最悪の事態を仮説として想定する」は少々脇に置き、その前に、

名目GDPと株価の関係

について述べたいと思います。

というのは、名目GDPは国全体で連結決算した「粗利益」であり、これが伸びている限り、企業の利益も伸びやすい状況であるのに、上記の2つのアメリカにおける暴落も、日本の1980年代末のバブル崩壊による暴落も、名目GDPが伸び続ける中で起きているからです。
この現象、考えてみればなかなか奇妙、いや興味深いことだと思うわけです(もちろん、「粗利」と「純利益」は違う、というだけのことかもしれませんが!)。

では先にアメリカのデータをグラフで見てみましょう。:




上のグラフで、「国内企業株価時価総額」というのはFRBの「Financial Accounts of the United States Data」  の Download Program (DDP)から、国内の金融機関と非金融企業のEquity(負債側)の時系列データを引き出して、足し合わせたものです。

また名目GDPの出典はBEA  です。


ここで興味深いのは、「国内企業株価時価総額」が名目GDPとだいたい桁は同じであるということです。

そして、おおよそ1990年より前と後で、「国内企業株価時価総額」と名目GDPの関係が変わっているように思われる点です。
1990年ころに相転移(横文字でいうとフェイズシフト)が起こっているかのようですが、おそらく、グローバル化の進展が影響しているのではないかと思われます。

株価が長期的には利益の関数である(利益が伸びないと株価も伸びない)とすると、名目GDPも間違いなく利益の関数ですから、株価は名目GDPの動きにリンクするはずです。

しかし、1990年より前は、「国内企業株式時価総額」が名目GDPを超えたことがなかったのに、それより後では「国内企業株式時価総額」がしばしば名目GDPを超えています。

「国内企業株式時価総額÷名目GDP」でいうと、1990年以前は1.0倍以下であり、1990年以降は1.0倍を超えることがあるようになりました。
これは企業の海外売上、海外生産の比重が高まり、株の価値については、国内の利益の指数であるGDPで収まりきらない部分が増えたということによるものと思われます。

というわけでここで、名目GDPとの対比での株式時価総額の割高・割安について、90年代以降に絞って見てゆくことにしましょう。
また、「国内企業株式時価総額÷名目GDP」の倍率に注目しますと、

ITバブル崩壊前の倍率のピークは約1.5倍
リーマンショック前の倍率のピークは約1.12倍
最新のデータ(2013年第3四半期)は約1.14倍

となります。
現在は上記グラフの最新データの時点よりも、株価がもう少し伸びています。
よって、「国内企業株式時価総額÷名目GDP」の倍率は、リーマンショック前のピーク時の倍率とITバブル崩壊前の倍率のあいだの値になっているでしょう。

そして、先ほどもちらりと書きましたが、名目GDPが伸びていても暴落は起こっています。

というわけで、結論:

株価は、これからも順調に伸び続ける可能性もありますが、そろそろピークアウトする可能性もあるし、「何かしらの重大な事件」が起これば“暴落”が起きる可能性もある

ということになりましょう。

このように書くと、いかにも玉虫色の結論になってしまいますが、逆に言うと「どちらか一方にだけ100%賭ける必要性がそもそもあるのかどうか」と考えるのも一興ではないでしょうか。

多くの証券会社は今年も日米の景気、株価は絶好調としています。
一方で上述のとおり、今年はいつもより多くの、幅広い評論家の皆さんが“暴落する”と言っています。

名目GDPという「生産・消費に係る支出=実体経済に回っているおカネのフロー」が伸び続けていることは、株価が伸びることの重大な根拠にもなりますが、一方で過去の事例を見ると、それは暴落が起こらないことを保証するという絶対的根拠とならないことが分かります。

ならば、仮にこれから株式投資をしようとする人や、すでに株を持っている人がいる場合に、「“上昇継続説”も“暴落説”も両方とも正しい」と仮定した上で方針を決めても間違いではないことになります。

例えば、「やはり上昇するだろう」ということを基本方針とするにしても、「過去の“暴落”は名目GDPが伸び続けている中で起きている」という事実も踏まえ、予定していた金額の一部、たとえば2割とか3割は手元に残しておくというのも一案でしょう。場合によってはその一部で保険として金の現物かETFを買ってみても良いかも知れません。

一方、「過去に株価がピークアウトしたときとPERやPBRが近く、株式時価総額の名目GDPの比率から言っても割高と言える水準なので、今年はやはり暴落があるのではないか」ということを基本方針としても、「でも、アメリカは財政問題であんなに議会がグダグダになっていたのに、信じがたいくらいの好景気だから、このまま株価が伸び続ける可能性もなくはない」と考えることも正しいでしょう。
その場合は例えば、“暴落”に備えて持ち株の5割くらいは売りとばし、残り5割は特に配当利回りが高く、事業内容も景気に左右されにくい銘柄を中心に、“何かの間違い”で上昇を続けたときに備え、そのまま持ち続ける(配当利回りが高く、事業内容も景気に左右されにくい銘柄なら、暴落のあとなかなか株式市場が回復しなくても配当である程度カバーできるので)、というふうに振る舞うこともできるでしょう。

※上記はあくまでも、「続伸説と暴落説を両方とも正しいと考えた場合に考えられる方針」の一例に過ぎず、「この通りにやるべきです」と推奨しているわけではありません。悪しからずご了承ください!


さて、次に
日本の国内企業の株式時価総額と名目GDPのグラフ
も見ておきましょう:



「国内企業株式・出資時価総額」は日銀「資金循環統計」の「金融機関」と「非金融企業」の負債側の株式・出資の合計です。

名目GDPの出典は内閣府「国民経済計算」
2012年度確報」 と「平成17年基準支出系列簡易遡及
になります。


ここで、
80年代末のバブル期のピークがグラフでは88年になっていますが、これは88年度で89年3月末のデータとなります(なお、日経平均がピークを付けたのは89年末の大納会、TOPIXは同年12月18日でした)。 


さて、
80年代末のバブル期の株価ピーク時は「国内企業株式・出資時価総額÷名目GDP」が約2.0倍でした。

また、2006年度末(07年3月末)、つまりリーマンショック前のピークもほぼ同じで約2.0倍でした(株価のピークは、日経平均、TOPIXとも07年2月)。

このGDP倍率基準で言えば、過去2回のピークから考えると、株式・出資時価総額が名目GDPの2倍くらいで株価上昇の打ち止めになるのかも知れません。


上のグラフの最新データは2012年度末、つまり13年3月末です。

13年3月末の株価:
日経平均 約12800円 
TOPIX 約1030円

現在(14年1月24日)の株価:
日経平均 約15300円 
TOPIX 約1260円

双方とも1.2倍程度です。

2012年度末(2013年3月末)の「国内企業株式・出資時価総額÷名目GDP」倍率1.38倍にとりあえず単純にこの1.2をかけると、現在の推計値は1.65倍となります。

で、ピーク時のその倍率が2倍とすると(名目GDP据置を仮定)、
日経平均 約18550円 (=15300円÷1.65×2.0)
TOPIX 約1530円 (=1260円÷1.65×2.0)
となります。

この辺りが、GDP倍率からとりあえず目安として考えられるピークの水準かな、ということになります。
(注:これはあくまでもこういう計算もできるかも知れないというものです!)

ちなみに、野村証券の14年末の日経平均の予想値は18000円です。
http://www.nomura.co.jp/report/outlook/japan.html

これをとりあえずの基準として採用すると、今年中に上記のGDP倍率から計算されるピーク値に達し、そこから下落が始まるというシナリオを想定しても良いかもしれません。
もちろん、そんなことはお構いなしに上昇を続けるというシナリオもあり得るわけですが!

但し、「何かしら重大な事件が発生しない限り」というべきでしょうか?



【考え得る『最悪の事態』とは?】

というわけで、「これが起きたとしたら、日米、主に米国で今年中に株価暴落を生じさせるような重大な事件」について、仮説的にいくつか考えて見たいと思います。

(1)仮説「第5次中東戦争」
報道されているところから受ける印象を書きます(私がよく見ているのは日経新聞の国際面です)。
アメリカがシリア攻撃を突然中止し、さらにはイランとも和解してしまったことでイスラエルの緊張が相当に高まっているようです。
サウジアラビアもアメリカと距離を置き始めており、親米的だったエジプト軍も然りです。また、最近ではイスラエルが中国に最新のミサイル関連技術を売却していたことが発覚したり、というように、アメリカの中東での影響力の低下はかなり進んでいるように見受けられます。

何かの拍子でイスラエルを中心とした「第5次中東戦争」が起こったとしてもそれほど驚くに値せず、その場合、第4次中東戦争の影響で起きた70年代前半の第1次オイルショックのようなことが起きるかも知れません。
なお、70年代と違って、アメリカの中東依存度はシェールオイル・ガス革命で低下しましたが、一方で、インドや中国の中東依存度が高まっています(参考記事:石油危機40年 中東依存に逆戻り アジア、需要増大止まらず )。
 
そうなると、アメリカは直接の影響を受けなくても、アジア全般が大打撃をこうむることになり、その連鎖反応で日本もアメリカも株価暴落、ということはあるかも知れません。

仮に↑このような「第5次中東戦争」がなくとも、アメリカの中東への関心が薄れると、取り残された日本にとっては、あまり楽しい状況とは言えなくなりつつあることになります(この観点から、安倍内閣が「地球儀外交」と呼ばれるような精力的な外交を展開しているのは、最優先事項を粛々とこなしているという意味で高く評価できるのではなかろうか、とも個人的には思います(参考記事: 【日米中混沌 安倍外交が挑む】同盟国との関係を悪化させたオバマ外交と安倍首相の地球儀外交  )。

この仮説、上に挙げたアメリカの影響力の低下、イスラエルと中国の急接近、中国の中東依存の高まりなどから考えられるもう一つのシナリオは、「中国がアメリカに成り代わって中東の平和外交を主導する」というシナリオです。
そう考えると、日本外交はまさに終戦以来、最大の切所に差し掛かっていると言わざるを得ません。また原発問題は、このような中東における「パワーゲーム」(“戦争”に限らない!)の情勢も加味して考える必要があるかも知れません。


(2)仮説「タイの軍事政権化
タイは2006年にも、有権者ベースでは多数派のタクシン派の与党に対し、選挙で勝ち目がない野党側が選挙をボイコットし、結果、選挙はタクシン派の与党が圧勝ということがありました。しかし、軍がちゃぶ台をひっくり返したため、タクシン元首相は国外流浪の身となり現在に至っています。

今般におけるタイでの騒動も8年前と全く同じ構図で、「有権者ベースでは多数派のタクシン派の与党に対し、選挙では勝ち目がない野党側が選挙をボイコット」を決め、「首都封鎖」と言われる激しいデモを展開しています。
これも報道ベースの情報ですが、今回、軍は諸外国の目、とくにアメリカの目を気にして、「平和裏に民主的選挙が実施されることを望む」と静観を続けている状態です。
野党側の支持者らはそれでアメリカに反感を持っているとのこと。
もし、事態の収拾が付かなくなって結局、軍が動き、どうしようもないので軍が暫定政権を樹立させるようなことになった場合に、アメリカが民主主義にこだわり過ぎて、そのような軍事政権を認めなかったとします。

するとタイは外交的に孤立します。

そこで、ほかの大国(具体名は敢えて挙げませんが…)が真っ先にその軍事政権を承認し、多大な支援を約束した場合、どうなるでしょうか?
アメリカのアジアにおける地位は一気に失墜し、アジア全域が激しく動揺することになるかも知れません。

アジア情勢は日中韓の関係悪化や、オーストラリアによる諜報活動の発覚で同国とインドネシアの関係が著しく悪化したこと、北朝鮮情勢など、問題が色々とあります。
そこにタイの問題が深刻化し、その上、アメリカのアジアにおける権威が失墜するようなことがあったら…。

というのは、あくまでも仮説ですが、一応、可能性はゼロではないというくらいの意識は必要かと思われます。


(3)仮説「米国内における、9.11以上の事件の発生 」
この「(3)」は完全なる妄想に基づくシミュレーションです。
しかし、「こんなことあったら本当に嫌だな」とか「まったくあり得ない」とか思えることを一応考えておくことは、「あることと、正反対のことを両方ともうまく治めることが“徳”であり“天下の谷”」という老子スタイルの発想として、一応は必要かということで、書いてみます。


「アメリカ国内で株価の暴落を引き起こすほどの事件があるとすれば、どんなことが考えられるか」という思考実験をしてみましょう。

アメリカでは、毎月のように銃乱射事件が起きています。また、去年は白人至上主義組織が現役の検事補と検事を立て続けに殺害するという恐るべき事件も起きました。しかし、そのような警察の案件、刑事事件では株価はビクともしません。

すると、株価暴落が起こるような事件というのは、やはり軍隊が前面に出るような事件、ということになります。

では、もう一度9.11と同じような事件が起きた場合、どうでしょうか?

確かに、このようなことは痛ましいし、絶対に二度と起きてはいけないような大参事です。
しかし、すでに一度起きている事件と類似しているため、2001年の9.11が発生したときほどの衝撃にはならないかも知れません。
すると、「9.11のような規模の事件でありながら、9.11とはまったく違う様相を持った事件」ということを考える必要があるかも知れません。

9.11は、報道ベースの事実(世間に衝撃を与えるのはあくまでも報道ベースの事実という意味でこれを重視します)からすると、

外国人、イスラム原理主義者による、民間機を乗っ取っての、主に民間の建造物への大規模な同時多発的攻撃

ということになろうかと思います。
これが、以下のようになると、どうでしょうか?

米国人、キリスト教徒、しかも白人でプロテスタントによる、しかも単なる民間人ではなく、合衆国に忠誠を誓った元軍人または現役軍人による、主に政府機関の建造物――例えば、ホワイトハウスや連邦議会議事堂など――への大規模な同時多発的攻撃

…つまりは、1860年の南北戦争(The Civil War)以来の内戦、「The Civil War II」の勃発です。
ちなみに、このようなことを私が思ったのは、去年、アメリカでホワイトハウスが占領されるというストーリーの映画が2本も公開されていたからです。

『エンド・オブ・ホワイトハウス』2013年3月22日公開
ストーリー概要:北朝鮮特殊部隊によってホワイトハウスが占領される

『ホワイトハウス・ダウン』2013年6月28日公開  
ストーリー概要:“テロリスト”によってホワイトハウスが占領される

同じような状況設定の映画がわずか3ヵ月のあいだに立て続けに2本も公開されているというのは若干不思議な感がありますが、共通していると私が思えるのは、「こんなことがあったら嫌だ!」、「こんなことがあったら驚きだ!」という大衆心理を突いてヒットを狙おうということで作られたのではないか、ということです。

そして、これが「外国人」でも「テロリスト」でもなかったらもっと嫌だ、絶対に起きて欲しくない(起きるわけがない)、という線に沿って考えると、上述したような「妄想的」な状況、ということになります。

恐らく、
「米国人、キリスト教徒(しかも白人でプロテスタント)による、しかも単なる民間人ではなく、元軍人または現役軍人による、主に政府機関の建造物――例えば、ホワイトハウスや連邦議会議事堂など――への大規模な同時多発的攻撃」
ということが仮に起きるとすれば、宇宙人襲来や、太陽の突然の消滅、地球大爆発などを除いて、現在のところ本当に最大級の最悪の状況ではないかと思います。
というのは、仮にこんなことがあったとすれば、世界の秩序が本当に一気に一変してしまうことになるからです。

さて、私の願望はもちろん、「このまま順調に日本を含む世界全体が平和裏に繁栄を続けること」です。
この願望を長期的にうまく保ち続けるためには、その正反対のこと(=上記のような「最悪の事態」)に対する心配を正しく治めることもまた必要、と考え、上記のようなことを敢えて書いてみました。

もう一度、孔子の作と言われる『繋辞伝(けいじでん)』の言葉を繰り返しておきます:
「君子は安にして危を忘れず、存して亡を忘れず、治にして乱を忘れず、ここを以て身安くして国家保つべきなり」

ちなみに、ですが、
孔子も↑このような、どちらかというと「孫子の兵法」のようなことを言っていたのかしら、と個人的には少々驚いた次第です。

-----
さて、最後にもう一度、前回ご案内しました2月下旬の

台湾での研修会・参加者募集

日本李登輝学校・修学院
– 第11期・台湾研修講座 -

のご案内であります。

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日程の調整も難しいでしょうし、決して安いわけではありません。

1月31日が最終締切と時間が差し迫っておりますが、滅多にない機会です。
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 君子は安にして危を忘れず、

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597:米大統領、シリア「限定攻撃」を決断。【仮説「9月危機」】にも影響するか?

2013/09/01 (Sun) 18:11
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オバマ大統領がシリア攻撃を決断した、と報道されています。

というわけで、ホワイトハウスにある演説の書き起こしを抜粋翻訳してみます。

(正直、かなり過激な演説となっています)


-----

The White House

Office of the Press Secretary

For Immediate Release August 31, 2013

Statement by the President on Syria

シリアに関する大統領声明


http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2013/08/31/statement-president-syria
Rose Garden
1:52 P.M. EDT







Now, after careful deliberation, I have decided that the United States should take military action against Syrian regime targets. This would not be an open-ended intervention. We would not put boots on the ground. Instead, our action would be designed to be limited in duration and scope. But I'm confident we can hold the Assad regime accountable for their use of chemical weapons, deter this kind of behavior, and degrade their capacity to carry it out.
慎重な審議の結果、私は合衆国が、シリア政府を対象とした軍事行動を起こすべきであることを決断した。これは、無制限の介入とはならない。我々は地上部隊を派遣することはない。その代わり、我々の行動は、期間と範囲を限定したものとなる。しかし私は、アサド政権に化学兵器使用の責任を取らせ、このような振る舞いを思いとどまらせ、彼らの化学兵器使用能力を削減させることができると確信している。

Our military has positioned assets in the region. The Chairman of the Joint Chiefs has informed me that we are prepared to strike whenever we choose. Moreover, the Chairman has indicated to me that our capacity to execute this mission is not time-sensitive; it will be effective tomorrow, or next week, or one month from now. And I'm prepared to give that order.
わが軍は、当該地域への部隊の配置を完了している。統合参謀本部議長は私に、我々がいつでも攻撃をする準備ができていることを通知している。しかも、議長は、我々がこのミッションを実行する能力に関しては時間が限られているわけではないと示唆している:明日であれ一週間後であれ一か月後であれ、有効である。私は、その命令を下す準備ができている。

But having made my decision as Commander-in-Chief based on what I am convinced is our national security interests, I'm also mindful that I'm the President of the world's oldest constitutional democracy. I've long believed that our power is rooted not just in our military might, but in our example as a government of the people, by the people, and for the people. And that’s why I've made a second decision: I will seek authorization for the use of force from the American people's representatives in Congress.
私が軍の最高司令官として自ら納得した上で決断を下したのは、我々の国家安全保障問題であるが、私は世界で最も古い立憲民主国の大統領としての認識も持っている。私は長い間、我々の力の根源が、我々の軍事力にだけにあるのではなく、我々が「人民の人民による人民のための政府」の模範であることにもある、と信じてきた。そしてそれが私が第二の決断:連邦議会におけるアメリカ国民の代表者たちの承認を得ることを模索することにした理由である。

Over the last several days, we've heard from members of Congress who want their voices to be heard. I absolutely agree. So this morning, I spoke with all four congressional leaders, and they've agreed to schedule a debate and then a vote as soon as Congress comes back into session.
この数日間、我々は連邦議員らが彼の意見が聞かれることを望んでいるという声を聴いた。私は完全に賛成する。それゆえ今朝、私は四人の議会指導者全員と話をし、彼らは討論の機会を設けることと議会が開催され次第投票を行うことに賛成した。

In the coming days, my administration stands ready to provide every member with the information they need to understand what happened in Syria and why it has such profound implications for America's national security. And all of us should be accountable as we move forward, and that can only be accomplished with a vote.
今後数日の間に、私の行政府は、全メンバーにシリアで何が起きたか、そしてなぜそれがアメリカの国家安全保障にそれほどの深遠な意味があるのかについて理解するために必要な情報を提供する態勢を整える。そして、我々全員が、我々が前進するに当たって責任を持つべきであり、それは投票によってのみ完遂され得るのである。


I'm confident in the case our government has made without waiting for U.N. inspectors. I'm comfortable going forward without the approval of a United Nations Security Council that, so far, has been completely paralyzed and unwilling to hold Assad accountable. As a consequence, many people have advised against taking this decision to Congress, and undoubtedly, they were impacted by what we saw happen in the United Kingdom this week when the Parliament of our closest ally failed to pass a resolution with a similar goal, even as the Prime Minister supported taking action.
私は、我々の政府が国連査察を待たずして事を運ぶ場合においても自信がある。私は、現在までのあいだ完全にマヒし、アサド政権に責任を取らせる意思を見せない国連安保理の承認が無くとも前進することに不都合を覚えない。結果として、多くの人々が連邦議会にこの決定を持ち込むことを勧めなかった。また、確かに彼らは、今週、私たちの最も親密な同盟国(英国)の国会が、首相が行動をとることを支持していたにもかかわらず、(我々と)同じ目標を目指した決議を可決しなかったことに影響を受けた。


Yet, while I believe I have the authority to carry out this military action without specific congressional authorization, I know that the country will be stronger if we take this course, and our actions will be even more effective. We should have this debate, because the issues are too big for business as usual. And this morning, John Boehner, Harry Reid, Nancy Pelosi and Mitch McConnell agreed that this is the right thing to do for our democracy.
議会による承認がなくとも、この軍事行動を実行する権限があると私は信じているが、私は、この(議会の承認を得るというプロセスを経る)方針を取ることが、国をより強くし、そして我々の行動をより効果的にすることを知っている。この問題は通常の議事と比べてあまりにも大きい問題であるがゆえに、我々はこの討論を行うべきである。今朝、John Boehner, Harry Reid, Nancy Pelosi and Mitch McConnell (上下院の各党のリーダー4人)は、このことが我々の民主主義にとって正しいことだと賛同した。




But we are the United States of America, and we cannot and must not turn a blind eye to what happened in Damascus. Out of the ashes of world war, we built an international order and enforced the rules that gave it meaning. And we did so because we believe that the rights of individuals to live in peace and dignity depends on the responsibilities of nations. We aren’t perfect, but this nation more than any other has been willing to meet those responsibilities.
しかし我々はアメリカ合衆国であり、我々はダマスカス(シリアの首都)で起こったことに目をつむることはできないし、目をつむるべきではない。世界大戦の戦塵の中から、我々は国際秩序を建設し、ルールを施行することでそれに意義を与えた。我々がそうしたのは、「一人一人の個人が平和と尊厳の中で暮らす権利が、国家の責任にかかっている」と、我々が信じているからだ。我々は完璧ではないが、この国はこれまで、他の国々以上に、この責任を果たすことに意欲的であった。

So to all members of Congress of both parties, I ask you to take this vote for our national security. I am looking forward to the debate. And in doing so, I ask you, members of Congress, to consider that some things are more important than partisan differences or the politics of the moment.
ゆえに両党の全ての連邦議員諸君、私はあなた方に、今回の投票を、我々の国家安全保障のために、行うことを求めたい。私は討論に期待している。そしてそうすることによって、議員諸君、私はあなた方に、党派の違いや現在進行中の政策よりも重要なものがあることについて考えることを、求めたい。

Ultimately, this is not about who occupies this office at any given time; it’s about who we are as a country. I believe that the people’s representatives must be invested in what America does abroad, and now is the time to show the world that America keeps our commitments. We do what we say. And we lead with the belief that right makes might -- not the other way around.
究極的には、これは誰がこの政権の座についているかとは全く関係のない問題だ:これは国家として我々が何者であるかの問題である。私は、国民の代表者たちが、アメリカが諸外国で何を行うかに集中しなければならないと信じ、そして、今はまさにアメリカが約束を守るということを世界に示す時だ。我々は言ったことを実行する。そして我々は「正義は力だ(廣宮注:"right makes might"は、リンカーンの演説の引用のようです。順序が逆だと"might makes right"で「力は正義」=「勝てば官軍」)」ということを前面に押し出すのである--これ以外の道はないのである。

We all know there are no easy options. But I wasn’t elected to avoid hard decisions. And neither were the members of the House and the Senate. I’ve told you what I believe, that our security and our values demand that we cannot turn away from the massacre of countless civilians with chemical weapons. And our democracy is stronger when the President and the people’s representatives stand together.
我々は皆、楽な職務などないことを知っている。しかし私は、厳しい決断を避けるために選ばれたのではない。それは、全ての下院議員も上院議員も同じである。私は、私の「我々の安全保証と我々の価値が、我々が無数の一般市民を化学兵器で大虐殺されたことから目を背けないことを要求している」という信条をすでに皆さんに話した。我々の民主主義は、大統領と連邦議員が一丸となることで、より強くなるのである。

I’m ready to act in the face of this outrage. Today I’m asking Congress to send a message to the world that we are ready to move forward together as one nation.
私は、この怒りの表情において行動する準備ができている。今日、私は連邦議会に対し、我々が一国として一丸となって前進する準備があることを世界に向けて発信することを求めている。

Thanks very much.





いやはや、相当な力強いメッセージという印象です。

聞きようによっては、議会の承認が無かったとしても攻撃するぞ、と言わんばかりの勢いです。

また、「国連なんぞ知るか」的な発言もあり、さらには、アメリカこそが民主主義の模範であり、世界の警察であり、それを世界に示すべきだという意気込みのようなものも、伝わってきます。


うーん、これで万が一、湾岸戦争やイラク戦争のときのように、あとから軍事行動に踏み切った根拠がねつ造だったなどとなったときは、どうなるのやら…。




このオバマ大統領の決断について、今後注目すべき点をいくつか挙げてみたいと思います。


(1)まず、このオバマ大統領による「シリア限定攻撃」の決断を、議会が承認するかどうか。
特に、民主党(与党)議員の動向に注目したいところです。というのは、TPPに関して大統領に交渉権限(TPA)を与える問題に関して、上院では与党民主党の反対で否決されたこともあったので、この問題でも与党民主党がどう動くかは、今後のTPPについての議会の動向を占うための一つの素材となるかな、と思うからです。


(2)議会の承認あるなしに関わらず、アメリカがシリアを攻撃した場合、シリア攻撃に断固反対するロシアとの関係が悪化することが考えられる。この場合、原発停止で天然ガス調達コストを下げるのに必死な日本が、ロシアから安価に天然ガスを調達しようとしていることにも大きな影響があると考えられる(アメリカとの関係を考えた場合)。
→つまり、日本経済にも直接的に、重大な影響があり得るわけです


(3)仮に万が一、湾岸戦争やイラク戦争のように後から「攻撃に踏み切った根拠がねつ造だった」となった場合、在外米軍が一気に縮小されることも考えられる。これは日本の安全保障にも極めて重大な影響が考えられます。
→ただでさえ、アメリカの国防費は2018年までに自衛隊二つ分縮小されるという状況であることは以前も書いた通りです。これに上記のことが加わると、かなり大きな影響が日本にも及ぶことになるでしょう。


(4)攻撃が行われた場合、短期的には原油高を引き起こし、株価等を暴落させる引き金の一つになるかも…
9月後半は、以前も書きましたように、アメリカ自体の債務上限問題が火を噴く可能性があり、また、ドイツの連邦議会選挙もあるので、ただでさえ波乱含みです。これにこのシリア攻撃問題が加わると、やはり【仮説「9月危機」】の現実味が高まったとみるべきかと思います。


---【追記】---

一回目の当エントリーの更新でカバーし切れていませんでしたが、このシリア問題、オバマさんにとっては進むも地獄、引くも地獄のような側面がありそうです。

仮に攻撃したとしても、あくまでも限定的なものなので効果が出るか未知数。その場合、仮に何の効果もなければ、アメリカを敵視する国々から舐められかねません。
(今日のNHKの7時のニュースで、John Boehnerジョン・ベイナー下院議長(共和党)が、攻撃には賛成だが、限定的攻撃で効果が得られなかった場合、さらなる攻撃をするのかどうか等の質問状を大統領に提出しているという話をやってました)

また、ここで引き下がって攻撃を取りやめても口だけ番長になってしまう。これもダメージが大きい。

となると、攻撃するしないに関わらず、いずれにしてもオバマ政権の支持率低下に拍車がかかるリスクが大きい。となると当然、TPPや、それに必要なTPAもますます困難になる。と考えられなくもありません(TPP関連)。

また、オバマ政権がこれでダメージを受けた場合、債務上限問題の審議にもさらに輪をかけて大きな影を落としかねません(仮説「9月危機」関連)。

---【追記ここまで】---





ちなみに、アメリカ議会のシリア攻撃への承認を左右しそうなアメリカの世論はどうかというと…


NHKニュースなんかでは「アメリカ世論は攻撃反対のほうが多数」となっていたように記憶しておりますが、アメリカの世論調査結果を詳しく見ると、必ずしもそうではないようです。

Pew Research Centerの今年4月の世論調査では、


シリア(政府)が反政府組織に対して化学兵器を使用したことが確認された場合においては、アメリカとその同盟国がシリアに対して軍事行動をとることに、賛成45%、反対31%

となっています。

また、ワシントンポストとABCの昨年12月の調査では、

シリア政府がシリア国民に対して化学兵器を使用した場合、アメリカ軍がシリアに関与することを支持する人が63%、支持しない人が30%

となっていました。


米国世論は「単にシリアを攻撃するのは反対だけど、シリア政府が化学兵器を使用した場合は攻撃賛成」というような状況のようです。また、大統領も「地上部隊は派遣せず、限定的な攻撃のみ」としているので議会も賛成に回る可能性があります。



そういう状況ですので、今後、この問題が上記の(2)~(4)のような形で、日本経済にもかなり大きな影響を与える可能性がある、と認識しておいたほうが良さそうです。


また、攻撃があった場合において、シリア市民の犠牲者が一人も出ないことを、ただただ祈るばかりです…

 


 このシリア攻撃問題で

 消費増税問題が吹き飛ぶかも…。

 ついでに『プライマリーバランス

 GDP比15年に半減、20年に黒字化』

 の安倍内閣閣議決定の中期財政計画も、

 もう一つついでにTPPも、

 まるごと吹き飛んでくれれば良いのだが…



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596:続【仮説「9月危機」】:次期FRB議長候補を巡る議論の過熱は、大きな景気リスク要因の一つか?

2013/08/18 (Sun) 12:34
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今回も米Yahoo! Financeの「Daily Ticker」から。


世界最大の債券ファンド会社、ピムコのCEOが、次期FRB議長候補を巡る議論がアメリカで加熱していることについて、興味深いことを言っています。

これは、議会の両極化(まあ、上下院のねじれのことでしょう)の表れである。
経済にとってFRB議長の信頼性が極めて大切であるのに、この議論の過熱によってその信頼性を損ねてしまいかねない。
この経済に関する不確実性が高い状況で、このようなことになっているのは、まったく好ましくない。

というような趣旨となっています。


とりあえず、翻訳してみます:

-----

Fed Chair Debate Has Entered “Silly Season,” Could Damage Economy: El-Erian
次期FRB議長候補を巡る議論が「夏枯れ期」にすれ込んだことが、経済を損ないかねない:エル・エリアン(PIMCO CEO)

http://finance.yahoo.com/blogs/daily-ticker/fed-chair-debate-entered-silly-season-could-damage-172112168.html
By Justin Maiman | Daily Ticker – Fri, Aug 16, 2013 1:21 PM EDT




Fed chairman Ben Bernanke will be handing over the keys to someone in January to oversee the Fed's close to $4 trillion in assets. The stakes are high. So who will President Obama nominate?

バーナンキFRB議長は、4兆ドル(400兆円)近い連銀の資産の監督者としての地位を、来年1月、ほかの誰かに譲ろうとしている。この賭けは当れば大きいが負ければ手痛い。オバマ大統領は誰を次期FRB議長に指名するだろうか?

Mohamed El-Erian, CEO and co-CIO of Pimco, says it's up to the President. More importantly, El-Erian insists the decision must be made in the next few weeks to reduce uncertainty in the markets. Until then, he says "silly" rules the day when it comes to the debate over contenders for the central bank's top spot.
ピムコのCEO兼副CIO、モハメッド・エル・エリアンは、それは大統領次第だという。エル・エリアンの主張によれば、もっと重要なことは、市場の不確実性を低減するために、この2、3週間の間に意思決定をすべき、ということだ。意思決定がなされるまでの間は、彼が言うには、FRB議長候補者についての議論を巡って、「愚かさ」が日々を左右することになる。

"The silly season is to focus on the small differences between them and amplify them to such an extent that they start taking over the narrative," El-Erian tells The Daily Ticker in the accompanying video. "And if that continues to happen... whoever ends up being selected will have to deal with issues that have been blown completely out of proportion."
「夏枯れ期(silly season 本当のニュースの不足によってつまらぬ事柄に関する誇張されたニュース記事で特徴付けられた、通常は晩夏の期間)は、ささいな違いが注目を集め、尾ひれをつけて話を誇張し始める」と、エル・エリアンはDaily Tickerに語った(添付のビデオ)。「それが続けば、誰が最終的に選ばれたとしても、調和的な状態が完全に壊れた中で問題に取り組まなければならなくなるだろう」

He's referring to the ongoing discussions in the media and in Washington about Larry Summers and Janet Yellen, the two top candidates for Fed Chair. Whether he's too "prickly" and she's too "professorial" -- or whether he's too much of an "insider" and she's too much of an "outsider." The list goes on and on, but El-Erian says the small details ignore the bigger picture.
彼は、二人の有力候補、ラリー・サマーズ(元財務大臣、元ハーバード大学長)とジャネット・イエレン(FRB副議長)に関するメディアや政界で続けられている議論について触れている。例えば、サマーズは「トゲがあり過ぎ」であり、イエレンは「学者然とし過ぎ」である、あるいは、サマーズは「内幕に明る過ぎ」であり、イエレンは「内幕に暗すぎ」である、などなど。他にもいろいろとあるが、些末な議論は大局を見落としている、とエル・エリアンはいう。


"A central bank uses indirect instruments," he says. "The credibility of a leader of a central bank is very important. What has happened in the debate is an evolution that risks undermining the credibility of whoever is selected as the next Fed chair."
「中央銀行は間接的な手段を使う」と彼は言う。「中央銀行のリーダーの信頼性は、非常に重要だ。議論のなかで起こっているのは、誰が次のFRB議長になろうと、その信頼性を損ねるリスクの発生である」

That could be catastrophic. El-Erian wrote in The Washington Post: "If this continues, there is a material risk that exaggerations and tangents could undermine the country by raising unwarranted questions about leadership, particularly when the next Fed chair may need to calm panicky financial markets, take controversial steps, persuade foreign central banks to cooperate or suddenly lead the private sector in a new direction."
それは壊滅的なものとなり得る。エル・エリアンはワシントンポストに次のように書いた:「これが続けば、誇大表現や的外れな言葉が、リーダーシップに関する不当な議論が沸き起こることを通じて国家を損ないかねない。特に、次のFRB議長が混乱した金融市場を落ち着かせたり、異論のあるような手段を用いたり、外国の中央銀行と協力したり、民間部門を新しい方向にいきなり導こうとしたり必要があるときは。」


At the end of the day, the "silly season" shows just how polarized Washington is right now, according to El-Erian.
エル・エリアンによれば、要するにこの「夏枯れ期」は、政界がいかに両極化しているかを示している。

And that's too bad. Because at the end of the day, El-Erian thinks Summers and Yellen are indeed the top candidates and ready to fill Bernanke's shoes. "Both of them are really qualified... we couldn't be in a better position."
そしてこれは非常にまずい。というのは、要するに、サマーズとイエレンが実際に有力候補でありバーナンキの後を引き継ぐ用意があるからだ、とエル・エリアンは考えている。「彼らは二人とも実に適任だ。…我々は今以上に良くなることも無かっただろう」

-----





次期FRB議長を巡る「議論」によって生じるリスクについて、ワシントン・ポストの記事でエル・エリアンは次のようなことを書いています:

not only unconstructive but that also creates more polarization on longstanding issues such as gender.
非建設的であるだけでなく、例えば性別に関するものなど、長きにわたって続いている諸問題において、更なる両極化が生じてしまう。

特に、両者の「欠点」について、このニュースの少ない「夏枯れ期」にマスコミや政治家がああだこうだと熱論を振るうのは、非常にまずい。しかも、それは後々にまで響いてしまう(FRB議長の信頼性が損なわれて、いざというとき皆が言うことを聞かなくなるので)というのがエル・エリアン氏の趣旨のようです。





さて、テキストにある「中央銀行は間接的な手段を使う」に関して、ビデオではもう少し詳しく語られています。

「財政は税や歳出によって直接経済に働きかけるが、中央銀行は間接的な手段を使うため、そのリーダーの信頼性が重要である。」という感じでエル・エリアン氏は語っています。

連邦議会のねじれで「財政の崖」が起こっているから、余計にFRB議長の信頼性が少しでも損なわれると非常にまずい、とエル・エリアン氏は考えているのではないかと思われます。


また、ビデオでは、FRB議長候補者について、これだけ議論が熱くなったことはかつてなかったと語られています。で、それはまさに政界の両極化が原因であると。


それに、ビデオでは、大統領は早くFRB議長を決めるべき、それは「too much uncertainty is coming up あまりにも多くの不確実性が迫っている」からとしています。

エル・エリアン氏は不確実性要素として、
debt ceiling 連邦債務上限
continuing function of government 政府機能の継続性
how would the Fed taper FRBがどれくらい金融引き締めをするのか
uncertainty with Germany election ドイツ連邦議会選挙の不確実性
を挙げています。


つまり、先日書きました【仮説「9月危機」】の要素の一つに、「次期FRB議長を巡る“非建設的な”議論」
が加わる、という具合でしょうか。


私はエル・エリアン氏が挙げた以外に、中東情勢も加味すべきかと思います。

エジプトも凄まじいことになっていますが、エジプトだけでなくチュニジアもかなり凄まじい状況のようです:

-----
自宅前で暗殺の野党幹部議員、至近距離から11発 チュニジア、抗議のデモ
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130726/mds13072608410001-n1.htm
MSN産経ニュース 2013.7.26


ベンアリ政権を倒した2011年の革命後、野党指導者の暗殺はことし2月に続いて2件目。ブラヒミ氏は、2月に暗殺された別の世俗派野党の指導者ベルイード氏と同様にイスラム勢力を批判しており、自宅前での射殺という手口も共通している。


-----




両国では平和的に革命が成ったはずでしたが、その平和的な革命のあとで殺し合いが起こっているという様相を呈しています。

どうも両国において民主主義はいまのところ最適解ではないのかも知れない…と言えるのかも知れません。


またこの両国の情勢からは、どれだけ立派で平和的な「理念」を掲げていたとしても、大規模な殺し合いはいつでも起き得るのが世界の現実であることを、まざまざと見せつけられているような気も致します。





※補足:
ちなみに、エジプト情勢に関してはロイターが興味深い記事を書いています。

焦点:エジプトめぐる米大統領の「誤算」、消え行く影響力
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE97G01F20130817?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0
ロイター 2013年 08月 17日


アメリカ政府が中途半端な対応をしているのは、エジプト軍の持つスエズ運河利権への関与を手放したくないという見方があるようです。
そして、記事の最後は米国の元高官の次のような発言の紹介で締めくくっています:
「米国は民主主義の立場で軍から距離を置き、利益の立場でムスリム同胞団から距離を取った」
「不幸にもその細い道を進もうとすることは、オバマ大統領にとって綱渡りではなく、カミソリの刃となってしまった」

オバマ政権は、このエジプト問題や、少し前に騒ぎになったNSAによる個人情報収集が発覚した問題(元CIA職員による告発)でかなり失点を重ねてしまっている感があります。
この点も、来月から再発しそうな「財政の崖」に影を落とすかもしれません。





さて、
仮に「9月危機」が起こった場合、ちょうど安倍内閣が消費増税の判断をする時期に重なります。
仮に「危機」が起こった場合は、消費増税は延期となるでしょう。

ただ、手放しに喜べる状況とは言えませんが…。


まあ、それはそれとして。

 「

 しかし、

 仮に『議論が危機を増大する』

 という説が正しいとすれば、

 民主主義とはなんと難しいものか、

 と思わぬではない今日この頃。

 」

 と、思われた方は、 


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595:米国、200兆円のグレーマーケット:雇用統計にカウントされない巨大市場は米景気が不思議に良いことの理由の一つか?+「消費税」、「緊縮財政」という言葉の整理

2013/08/14 (Wed) 11:34
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まず、昨日触れました「アングラマネー」に関連して。

アメリカの200兆円にものぼる「グレーマーケット」ないし「シャドウ・エコノミー」の話を紹介してみたいと思います。

これが実はアメリカの景気が不思議に良いことの理由の一つかも知れません。
(ほかの理由は、財政の崖といいつつ何だかんだと言って政府の支出が増えていることや、シェールガスと思われることは、先日書きました)


アメリカのYahoo!Financeが配信しているDaily Tickerという経済ネタのコーナーから拾ってきたネタです。この「Daily Ticker」、いつもなかなか面白いネタを提供しています。








$2 Trillion Shadow Economy Not Counted in Jobs Numbers
雇用統計にカウントされない「シャドウ・エコノミー」:2兆ドル(200兆円)

By Lauren Lyster | Daily Ticker – Fri, Jul 5, 2013 7:48 AM EDT

The labor market is improving, and the shadow economy is growing too.
雇用状況は改善しつつあるが、シャドウ・エコノミーも成長を続けている。

Jobs are being added at an average of 172,000 per month according to the Labor Department, slowly bringing the unemployment rate down. Consensus forecast is 7.5% for June, down from 8.2% a year ago.
労働省によれば、ひと月で172,000の雇用が増加し、失業率を緩やかに低下させている。6月の予測コンセンサス(大勢の分析者の予測値の平均)は7.5%であり、昨年の8.2%から下がってきている。

At the same time, one persistent and disquieting theme of the so-called recovery is the staggering number of people who have dropped out of the labor force. The labor force participation rate was 63.4% in May, and it has been hovering around a 30-year low for more than a year.
同時に、圧倒的に多くの人々が労働力人口からこぼれ落ちていることが、いわゆる「景気回復」について根強い不安を感じさせている(廣宮注:意味の取りにくい文章ですが、後ろとのつながりを勘案して意訳を試みました)。5月の労働参加率(労働者数÷労働力人口)は63.4%であったが、この一年以上、30年間で過去最低水準の状態が続いている。

One explanation economists give is demographics: the baby boomers are retiring. And then there is the obvious explanation of a tough economy, with people going back to school to re-train or dropping out of the workforce because they are discouraged.
経済学者は、たとえば人口統計学的に説明する:ベイビーブーマーが引退した。また、困難な経済状況が人々を学校や再訓練に向かわせ、あるいは、諦めてしまった人々を労働からドロップアウトさせているという説明もある。

But one $2 trillion part of the equation that's missing is the growing shadow economy: A grey market made up of people who aren’t on the official payrolls but are finding ways to get by nonetheless.
しかし、数式から消えている2兆ドル(200兆円)規模のシャドウ・エコノミーが成長を続けている:正式な従業員名簿に載っていないにもかかわらず仕事を得ている人々によって形成されるグレー・マーケットだ。

“It’s important to note this is not the illegal economy,” Yahoo! Finance senior columnist Rick Newman tells The Daily Ticker. “We’re talking about people who are doing legitimate work that would be ordinary work if it were taxed, but they’re getting paid in cash.”
「これは違法経済ではない、ということは重要だ」。Yahoo! Financeの上級コラムニストであるリック・ニューマンがDaily Tickerに語った。「我々は合法的な仕事、税金さえ徴収されているならば普通の仕事をしている人々のことを言っている。彼らは現金で支払いを受けているのだ」

So this work is under the table and it’s not taxed as wages would be, and these folks are also not counted in the monthly jobs numbers.
だからこの仕事はモグリであり、賃金は徴税されていない。この人々は毎月の雇用統計にもカウントされない。

Examples would be people working as consultants (in something like IT), drivers, people running small eBay (EBAY) businesses, nannies, and landscapers.
例を挙げると、コンサルタント(たとえばIT関係)、運転手、eBay(ネットオークション)でモノを売って稼いでいる人々、子守り、庭師などだ。

Estimates from a University of Wisconsin-Madison study put the underground economy at that $2 trillion mark for last year. That’s twice the amount estimated in a 2009 study.
ウィスコンシン・マディソン大学の研究では、昨年のアングラ経済(地下経済)の規模は2兆ドル(200兆円)と見積もられる。それは2009年の見積もり値の2倍だ。

When it comes to the economic impact, Newman cites economists' bewilderment over retail sales coming in much higher than they should be given the unemployment rate. That could indicate some stimulus benefit of the shadow economy.
経済へのインパクトはというと、失業率のわりにやたら好調な小売業の活況に経済学者らがうろたえている話をニューマンは持ち出した。これはシャドウ・エコノミーからも恩恵がたらされていることを示唆する。

On the other hand, according to USA Today, the IRS cites lost tax revenue because of unreported wages at about $500 billion for last year. That’s up from $384 billion in 2001.
一方、USAトゥデイ(新聞)によれば、IRS(内国歳入庁)は報告されていない賃金により約5000億ドル(50兆円)の税収を失っているとしている。それは2001年の3840億ドル(38兆円)より増えている。

※廣宮注:税収で50兆円なのか、報告されていない賃金が50兆円なのか
分かりにくかったのでUSA Todayの元記事を見たところ

According to the Internal Revenue Service, about $500 billion in taxes were lost last year because of unreported wages vs. $384 billion in 2001.

とありますので、税収で5000億ドル(50兆円)取り損ねている、ということですね。


So, is this trend typical during the recovery from a recession, or is this an unusual red flag warning us of some urgent structural changes needed to lift these workers back into the light? Check out the video to see Newman's assessment.
さて、この傾向は景気後退からの回復期に典型的なものなのか、もしくは、これらの労働者を表社会に連れ戻さなければならないような差し迫った構造変化についての我々への警告なのか。ニューマンの評価についてはビデオをご覧いただきたい。

Regardless, it sure gives the idea of a "greying population" new meaning entirely.
とにかく、このことは「グレー化する人々(高齢化greyingと経済のグレー化をかけている=英語ではgreyは髪の毛が白髪になること、つまり、年を取ることの意味がある)」という考え方に、新しい意味を与えてくれることに違いはない。



最後のダジャレはなかなかシュールでしたね。
まあ、それはどうでもいいのですが。

なお、「グレー・マーケット」というのは、「仕事自体は違法ではないが、脱税している。ということで真っ黒ではないから、グレー」ということかと思います。

新たな究極の非正規雇用の誕生と見るべきか、誰でも簡単に個人事業を起業できる環境が整ったと見るべきか。

200兆円の「地下経済」。

それは必ずしも麻薬、武器、売春などの非合法ビジネスではなく、普通の仕事だったりするのだと。

アメリカ歳入庁がそれによって50兆円もの税収を取り損ねているのだと。これ、大きいですね!日本の財政赤字が吹っ飛ぶくらいの金額です。

これでは、「このままでは2013年前半に"recession 景気後退"入り」としていた米議会予算局の推計も狂うわけです。


今回の上の記事と、昨日ご紹介した藤井厳喜さんの「アングラマネー」を読んで、こういった「裏経済」についても目を配らないと、経済の見通しが完全に狂うなあ、と痛感した次第です。

藤井厳喜さんの本は私に、いつも何か鋭く新しい視点を提供してくれています。

これまでも、アメリカにおいてもTPP反対運動(しかも右派と左派の両方)があること、エジプトやチュニジアの革命が経済の高成長化で起こったことなど、非常に勉強になったのですが、今回は特にイタリアのマフィアマネーが東西冷戦終結にまで影響したことなど、非常に鮮烈なことが書いてあります。





ところで、もう一度昨日の消費税に関して。

私は、「橋本内閣の消費税が97年の景気を腰折れさせた」という言い方はあまり好みません。

というのは、橋本内閣では消費増税の実施だけでなく、歳出削減もしていたからです。




一応、日本の政府支出(GDP算入分)の推移を確認しておきましょう:




20130814政府支出
データ出典:内閣府「2011年度国民経済計算(2005年基準・93SNA)」4. 主要系列表 (1) 国内総生産(支出側)名目 暦年 
(政府支出=政府最終消費支出+公的総固定資本形成+公的在庫品増加)



つまり、正確には「増税+歳出削減の緊縮財政が景気を腰折れさせた」のだと思っています。


消費税を10兆円増税しても、100兆円の歳出増をやれば、差し引き90兆円の財政出動・積極財政です。

だから私は消費税反対、とは言わないのです。

私は緊縮財政には反対ですが、消費税だけが悪玉だとするのはすこし戸惑いを覚えます。


「消費税を上げれば必ず景気は失速する」というのは、
それは下手をすると、まるで「国の借金が大きければ必ず破綻する」というのと同じです。

一国の経済を見る場合、国の借金、つまり政府の負債だけでなく政府の資産、さらに民間の資産負債を合わせた、もっと言えば特に外貨建て資産と負債を含めた総合的なバランスを見る必要があります。

それと同じように、政府の経済政策・財政政策は、「消費税」だけでなく、歳入と歳出の全体のバランスを見る必要があります。


問題は、安倍内閣で閣議決定されている、
「国・地方のプライマリーバランスについて、2015 年度までに2010 年度に比べ赤字の対GDP 比の半減、2020 年度までに黒字化」
という財政目標です。


これがある限り、仮に消費税の増税が沙汰やみになったとしても、緊縮財政まで沙汰やみになるわけではないのです。


たとえば、こんな感じ:


竹中平蔵の「経済政策ウオッチング」
既定路線の消費増税、せめて歳出削減をセットで行うべき

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20130718/358478/?ST=business&P=1
nikkei BPnet 2013年07月26日 



私自身は、消費税の引き上げに一貫して反対してきた。消費増税の前にやるべきことはたくさんある。やるべきことをきちんとやったら、消費増税の必要はなくなるからだ。

 経済を成長させ、歳出を削減すれば、消費増税分の財源は捻出できる。逆に言えば、歳出を削減せずに消費増税を行っても財源は足りないままだ。いくら消費税を引き上げても、やるべきことをやらなかったら、財源不足は解消されないのである。



----

「経済を成長させ」は良いとして、「歳出を削減すれば、消費増税分の財源は捻出できる」から消費増税に反対だった、と読者の皆さんの大好きな竹中さんは仰っていたわけです(いまは「もう決まったので増税すべき」となっていらっしゃいますが)。


すでに閣議決定されている「国・地方のプライマリーバランスについて、2015 年度までに2010 年度に比べ赤字の対GDP 比の半減、2020 年度までに黒字化」の目標がある限り、消費税を増税しようとしまいと、緊縮財政になるということです(もちろん、自民党の老獪な先生方が骨抜きにしてくれることを密かに期待はしていますが、しかし、それをやってしまうと世間的に大丈夫か、という心配もあります)。

2015年というのは2年後です。2年後に「プライマリーバランスの半減」ということなのです。

国土強靭化投資を少しでも早く、少しでも大きい金額にしたくても、「プライマリーバランス」の財政目標があるかぎり、消費税の増税を見送れば、いつまでたっても出来ないということがあり得ます。

内閣の閣議決定で「プライマリーバランス半減・黒字化」の目標を放棄するようになるまで、国土強靭化投資(の増額)は待つべきなのでしょうか?私には到底そうは思えません。

だから私は特に消費税増税に反対しないわけです。
問題の根本は消費税ではなく、「プライマリーバランスの黒字化」にあるからです。



また繰り返しますが、橋本内閣で景気が失速したのは「消費増税が原因」ではなく「緊縮財政が原因」です。ここは繰り返し強調しておきます。
もちろん「消費増税が原因」と言ってしまったほうが多くの人々にとって分かりやすい、短時間でアピールしやすいという点は理解します。
ただ、それは「国の借金1000兆円。もう終わり、ハイパーインフレ!」の持つ分かりやすさ、アピールしやすさと同じ性質のものだ、という点はつねに注意を払っておくべきです。



あと、何人かの方から言われたので書いておきますが、私は「消費税が国土強靭化の直接の財源」とは言っていません。

あくまでも法律として成立している附則18条第2項の
「2 税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する。」
という文言が、
「消費増税で財政に余裕が出来たら成長戦略や国土強靭化をやることを検討する」と書いてあるように読める、と私は書いたのです。

なお、公共工事を増やすならそれは資産の獲得ですから、実際の財源は建設国債でしょう。
消費税で財政赤字が減る分、余分に建設国債を発行できるというのが附則18条第2項の趣旨ではないかと思います。





まあ、それはそれとして。

 「

  アメリカの歳入庁が

  日本の財政赤字に匹敵する

  50兆円もの税収を

  取りこぼしているとは

  “グレー経済”恐るべし!

  でも、これを単純に徴税するだけでは

  緊縮財政、か?

 」

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594:GDP実質+2.6%、名目+2.9%。ここでもう一度「附則18条」を振り返ってみましょう!増税しようがしまいが、一にも二にも国土強靭化!!

2013/08/13 (Tue) 09:50
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昨日、内閣府社会総合研究所が、今年の第二四半期のGDP速報(第一次速報)を発表しました。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2013/toukei_2013.html

年率換算で、
実質+2.6%
名目+2.9%



2013Q2速報値
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2013/qe132/pdf/gaiyou1321.pdf



というわけで、ここでもう一度、消費増税法の附則18条を振り返ってみましょう:


附則
(消費税率の引上げに当たっての措置)
第十八条 

消費税率の引上げに当たっては、
経済状況を好転させることを条件として実施するため、
物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、
平成二十三年度から平成三十二年度までの平均において名目の経済成長率で三パーセント程度かつ実質の経済成長率で二パーセント程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。

2 この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第二条(注:消費税率8%への変更)及び第三条(注:消費税率10%への変更)に規定する費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。


《可決された修正案で、附則第十八条に追加された項目↓》
附則第十八条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する。





今回の第2四半期速報値だけで言えば、

実質は2%程度

名目は3%程度

になっているので、「じゃあ、予定通り来年4月から8%ね!」としても良いことになるか…。

というと、よくよく見たら

「平成二十三年度から平成三十二年度までの平均において」

ですから、

2011年から2020年の平均で実質+2%、名目+3%程度を目指すべきということになります。

今回同時に発表されている2012年度の数値を見ると…

2012年度GDP
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2013/qe132/pdf/gaiyou1321.pdf


2011年度、2012年度は、実質、名目ともに目標値を大幅に下回っています。

「平成二十三年度から平成三十二年度までの平均において」実質+2%、名目+3%に持って行くとなると、今年度以降の各年度では実質2%、名目3%では全く足りず、実質で+3%以上、名目で+4%以上を目指さなければなりません。


とはいえ、この状態を「目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づける」うんぬんという、あくまでも努力目標なので、「とりあえず、今回の実質+2.6%、名目+2.9%という数値で、近づいたのねん」と言われれば、そうなのか、ということにもなり得ます。

そもそもこの法律の文言、あいまいですね^^;。


ほんでもって、何だかんだといって、修正案で加わった「第二項」の文言こそが一番重要かと:

「2 税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する。」


ここで、

「税制の抜本的な改革の実施等」

とは、消費増税のことを指すのかな??
まあ、そう取るとしましょう。

消費増税によって、財源に余裕ができる(はず)なので、そのカネを使って、消費税引き上げによるデフレギャップの拡大を防ぐような景気対策をしますよ。
その際には成長戦略や防災減災に特に重点的にやりますよん。


と読めるのではないでしょうか。





近頃は1時間あたり100mmを超えるような「経験のない大雨」が頻発し、何人もの方の命が犠牲になってしまっています。

大都市では1時間あたり50㎜の排水を基準に雨水の下水管が整備されているので、当然のように洪水になってしまうような雨量です。

例えば横浜市ではこんな具合です:


 雨水幹線等の整備率は、平成19年度現在で5年に1回程度の降雨(時間降雨量約50mm)に対して61%、 10年に1回程度の降雨(時間降雨量約60mm)に対して34%とまだまだ遅れている状況下にあります。

 近年、都市化の進展に伴い、市域では流域の保全・遊水機能が低下する中で、ゲリラ豪雨や計画降雨量である5年に1回程度の降雨(時間降雨量約50mm)を上回る大雨が増加傾向にあります。平成16年10月の台風22号では、市域の広範囲で10年に1回程度の降雨(時間降雨量約60mm)を超える大雨によって、浸水家屋1000棟を超える甚大な都市型水害が発生し、市民生活に大きな影響をもたらしました。安全な市民生活を確保するためには、浸水対策を計画的かつ着実に進める必要があります。

 横浜市では、5年に1回程度の降雨(時間降雨量約50mm)に対応する雨水幹線等の整備を進めており、人口や資産が集中し、かつ地盤の低い都心部については10年に1回程度の降雨(時間降雨量約60mm)に対応した整備を進めております。
」(横浜市環境創造局


全国の政令指定都市のなかでは財政状況がかなり優良な部類に入る横浜市ですら、この程度です。

つまり、日本国全体として、増加傾向にあるゲリラ豪雨等に対して極めて脆弱な状態です。


それに、こんな話も:

-----

首都直下地震、起きやすい可能性 大震災でプレート沈み込み加速 防災科研が分析
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120307/dst12030702010003-n1.htm
MSN産経ニュース 2012.3.7
 東日本大震災の影響でフィリピン海プレート(岩板)の沈み込みが加速し、関東地方を乗せた北米プレートとの境界部にひずみが蓄積しやすくなっていることが防災科学技術研究所の観測で6日、分かった。首都直下地震などプレート境界型の大地震が起きやすくなった可能性が高い。


-----


全国にはコンクリートが劣化してコンクリート片がポロポロ剥がれ落ちているような橋梁が多数あるのに、ちっとも補修や改修が進んでいません。


以上のような状況を考えると、私はむしろ消費税は予定通り増税し、附則18条第2項を盾にとって、国土強靭化を可及的速やかに進めるのが妥当ではなかろうかとも思います。


もちろん、消費増税などせずに国土強靭化をどんどん推し進められればそれに越したことはありません。しかし、それはそれでかなりハードルが高いように思えます。

この状況の中でも、防災減災のための施策は本当に少しでも早く進めなければならない、という観点に経てば、取りあえず消費増税には目をつむる、というのも一つの考え方かもしれません。






消費税についてはもう一つの視点があります。


それは、「アングラマネー」に対してもそれなりに課税できるというメリットです。

最近、藤井厳喜さんの新著、「アングラマネー タックスヘイブンから見た世界経済入門」という本を読んでいて、ふと改めて消費税について考えてみました。

この本の裏表紙には、次のようにあります:

「世界各国の税収が極端に減少している。税金は表の経済にしか、かけられないからだ。タックスヘイブン(租税回避地)やシャドーバンキング(影の銀行)を使った、いわゆる脱税や資産隠し、麻薬や売春や賭博によって生まれ蓄えられた金をアングラマネーと呼ぶ。世界の年間総生産70兆ドルの約25%がタックスヘイブンに流れ、シャドーバンキングの規模は約67兆ドルにまで拡大。もはや中央銀行やIMFも制御できない闇資金の還流が世界経済を揺さぶっている。」


犯罪絡みのアングラマネーの規模というのは世界的に見てもまったく無視できないほど大きい、ということを考えると、どんな「犯罪者」でも表社会で買い物をすれば消費税を払う必要が出てきますので、その点では消費税は意義が大きいと言えます。

また、犯罪絡みだけでなく、表社会であっても著名なグローバル企業等があの手この手の「節税スキーム」を駆使し、どこの国にもほとんど法人税を支払っていないという状況です。これがまた、世界各国の税収が著しき落ち込んでしまっている原因です。
消費税はそのような企業からも確実に税金を徴収できるというメリットがあります(本来、消費税は消費者が負担するものではありますが、あくまでも方便として)。


このような「アングラマネー」から税金を一応は取れる、というメリットの反面、低所得者に重くのしかかる逆進性があるのが、消費税のデメリットです。
よって、中小企業への減免措置や、低所得層への一定の配慮は、やはりしっかり担保する必要があります。
とまあ、このようにすれば、消費税をグローバル企業に対する抑止力とする一方で、消費税による財源を国土強靭化や福祉の強化に回すことを通じて一般国民に対する恩恵にしてしまえる可能性も出て来ることになります。

underground-money.jpg 

藤井厳喜著
「アングラマネー タックスヘイブンから見た世界経済入門」

※藤井厳喜さんは「アングラマネー」で消費税のことは書いていません。念のため。



ありゃ、すると消費増税もあながち悪いことばかりでもないのか。

…などと書くと財務省の回し者と言われかねませんが(笑)。


ちなみに、私は財務省さんからカネをもらったことはありません。いや、所得税の還付はもらったことはありますが、それは私が予定納税の形で先払いしていた所得税の一部を返してもらっただけです。
つまり、財務省からもらっているより、財務省に払ってやってる金額の方が圧倒的に多い状況です!
(たいていの人はそうだと思いますが…。いや、いますでに年金をもらっている世代の方々は必ずしもそうでない場合があるかも知れませんね!)

「こら財務省!所得税とか消費税で目一杯カネをくれてやってんだから、俺っちの言うことをちったあ聞きやがれってんだ!」なんて言ってみたりして。





<追記事項>

今回の趣旨:

国・地方のプライマリーバランスについて、2015 年度までに2010 年度に比べ赤字の対GDP 比の半減、2020 年度までに黒字化、その後の債務残高の対GDP 比の安定的な引下げを目指す」という閣議決定(「経済財政運営と改革の基本方針について」 平成25年6月14日)されている中期財政方針を踏まえれば、消費増税なしの国土強靭化推進は困難な状況と考えられます。

この状況のなか、
①増税なしで国土強靭化あり
②増税ありで国土強靭化あり
③増税なしで国土強靭化もなし
④増税ありで国土強靭化なし
の4択なら、


①が最善だが中期財政目標から困難。
②は渋々ながら次善で実現可能性は比較的高い。

③は国土強靭化なしなので、恐らく①と②に比べれば犠牲者は確実に多くなる(個人的には、ちょっとこの選択肢は選べないなあ、と思う次第です)。
④はまるで消費税を三途の川の渡し賃とする阿鼻叫喚の生き地獄となるので勘弁してほしい、ということであります。附則18条第2項を盾にとって、絶対に④にだけはならないようにしたいですよね。

なので、諸般の事情を勘案すると現実的な解としては結局、残念ながら②になってしまうのかな、という趣旨です。






というわけで、



 消費税、

 増税しようが、するまいが、

 一にも二にも

 国土強靭化!!!



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