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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
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オバマ、強権発動へ?最後の1年で大統領令を「大胆に」使いまくると宣言。TPP推進に向かうか、格差撲滅に向かうか…。先の読めない米財界は戦々恐々 - 2016/01/19 (火) 23:46
TPP:オバマ政権がマレーシア参加させるため人権報告書を「改竄」、奴隷商人に加担しようとしていることは“恥ずべきスキャンダル” ― 米保守系ネットメディア、民主党リベラル議員がTPA法案に埋め込んだ人権条項を盾にオバマ政権を攻撃 - 2015/07/11 (土) 12:52
TPP推進で米議員ら荒稼ぎ――08年以降、上院議員へのTPP推進業界からの献金約260億円に対し、TPP反対業界からの献金はその9分の1に過ぎなかった:米CNBC報道 - 2015/06/26 (金) 10:54
TPA成立でTPP交渉加速も、米では反対運動も絶賛加速中の模様 - 2015/06/25 (木) 12:19
米上院財政委員会で可決されたTPAは、#TPP を永遠に葬り去るか?――ただし「TPP消滅」=「アメリカの覇権終了」のため、いろいろ複雑な気もしますが… - 2015/04/24 (金) 16:24
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組み換え食品の表示義務化=バーモント州が米国初【時事通信】→2年前、モンサントさんの“圧力”で採決が延期されていた案件が進展した模様: #TPP 関連のフォローアップ - 2014/04/25 (金) 11:00
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資源調達、綱渡り:天然ガス、スペイン、フランスから高値で調達という異常事態+シリア周辺混乱で原油高へ+「 #TPP で農業改革」よりも「“中国の脅威”で農業改革」のススメ - 2012/08/28 (火) 15:13
#TPP 推進の米国有力上院議員、来日。「とにもかくにも、日本はもっとアメリカ牛を買え!」 - 2012/08/24 (金) 16:58

686:オバマ、強権発動へ?最後の1年で大統領令を「大胆に」使いまくると宣言。TPP推進に向かうか、格差撲滅に向かうか…。先の読めない米財界は戦々恐々

2016/01/19 (Tue) 23:46
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当面、ツイッターのみ更新し、ブログ更新はどうしてもツイッターでは表現しきれない重要なニュースがあったときだけ、というようにする方針です。

※私のツイッターは、当ブログのPC版の左上に表示しているツイッター窓で見て頂くか、「twitterでフォローして下さい」ボタンを押してツイッターを開いてみて下さい。




※というわけで、ツイッターでは書ききれ無さそうな話なので、久方ぶりのブログ更新です。

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まず一つご報告ですが、現在、新しい本の出版を準備中であります。

来月、2月4日に発売予定
です。

実は、この年末年始や、先週末は校正作業のため、何度か徹夜してました^^;。

内容としては、私なりの世界経済・政治情勢分析、というべきものになっています。

タイトルは若干過激なものとなっておりますが、それはまた改めて。


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では、本題です。

アメリカの政治紙、The Hillに面白い記事があったので、ちょいと頑張って翻訳しておきます。

※ちなみに、The HillとはCapitol Hill、ローマの元老院があった丘の意味です。
アメリカの連邦議会上院は英語でSenate。これはラテン語のSenatus、つまり、まさにローマの元老院が語源です。それで、その連邦議事堂のある場所がThe Hillと俗称されているわけですが、それを政治紙が紙名としているわけですね。
連邦議事堂のある場所をThe HillとかCapitol Hillと呼ぶのは、アメリカ人の「ワシらが覇権国」という意識の表れなのか、どうなのか。


Obama eyes 'audacious' use of executive power in final year
オバマ、最後の年に「大胆な」大統領権限の行使をもくろむ

http://thehill.com/regulation/administration/266133-obama-eyes-audacious-use-of-executive-power-in-final-year
By Lydia Wheeler and Tim Devaney, 01/18/16
The Hill


President Obama's pledge to pursue "audacious" executive action during his final year in office is stirring a frenzy of speculation about what he might have up his sleeve.
任期最後の1年におけるオバマ大統領の「大胆な」大統領令活用の誓いは、彼が何を密かに企んでいるのかについて、熱狂的な疑惑を掻き立てている。

White House chief of staff Denis McDonough this week said “audacious” executive actions on tap for 2016 are being carefully crafted to “make sure the steps we have taken are ones we can lock down and not be subjected to undoing through [Congress] or otherwise.”
大統領首席補佐官、デニス・マクドノーは今週、2016年に向けて用意されている「大胆な」大統領令は、「我々が進めてきたことを、整理して終わらせることができ、(議会に)取り消されることやその他のことがないように」周到に作り込まれている、と述べた。

But with only 12 months left in office, the president is increasingly constrained in what he can accomplish. Finalizing executive orders and regulations takes time, and the administration is already scrambling to put in place dozens of executive orders and regulations that have already been announced.
しかし、12か月の任期しか残っておらず、大統領が何かを達成するというようなことは、ますます厳しくなっている。大統領令を完成させることや、規制を実施までもっていくことは時間がかかる。政権は、既に公表している分だけでも10数本の大統領令や規制の実施に向けて苦闘している。

A White House official was non-committal when asked about which specific executive actions the president might be considering.
あるホワイトハウス高官は、大統領が検討している大統領令の詳細について聞かれたとき、言質を与えなかった。

“The president has laid out a number of issues he wants to work with Congress on, including approving the Trans-Pacific Partnership, reforming our criminal justice system, authorizing the use of military force against ISIL, tackling heroin abuse, addressing poverty, and supporting a moonshot to cure cancer,” the official said. “But the president has also been clear that he’s not going to hesitate to act when Congress fails to do so.”
「大統領は、彼が議会と協力したいと望むような、多くの問題を並べている。それには、TPPの承認、刑事司法制度の改革、ISILへの軍事力行使の承認、ヘロイン乱用への取り組み、貧困への対処、月面探査ロケットからガン治療までの支援を含む」とその高官はいう。「しかし大統領は、議会がそれに失敗したときには、彼がためらうことなく行動するつもりであるということも、明らかにしている」。


Business groups say they fear the worst.
財界は最悪の事態を恐れる。

“Executive orders are very tough to deal with,” said Thomas Donohue, president and CEO of the U.S. Chamber of Commerce.
「大統領令に対処するのは非常にきつい」と全米商工会議所会頭、トーマス・ドナヒューはいう。

“I believe presidents ought to have executive power, but there are instances or times when it is abused and used basically to get around the Congress – not to deal with emergencies or particular sensitive issues that everyone sort of agrees on. You can assume that we will be very involved with every tool we have.”
「私は大統領が行政権を握るべきと信じる。しかし、それが乱用される事例が存在する。それは基本的に、議会を出し抜くときに使われる。皆が賛同するような、緊急事態や特定の微妙な問題では使われない。我々は、我々の持つあらゆる手段に、深く関与することになるだろう(注:あらゆる手を尽くしてロビー活動を展開し、大統領に対抗する、という意味か?)。」

Whether his moves are “audacious” or not, Obama is going to have to some tough choices to make in the months ahead.
オバマ大統領の動きが「大胆な」になるか、ならないかによらず、彼は今後数か月でいくつかの厳しい選択を行うことになる。

The president has indicated he is focused on equal pay, campaign finance reform, gun control and closing the prison at Guantánamo Bay, among other things. But where he decides to take unilateral action is anyone’s guess.
大統領はこれまで、諸問題の中でも、(同一労働に対する)同一賃金、選挙資金改革、銃規制、グアンタナモ湾刑務所(キューバのグアンタナモ湾米軍基地内にあるイラク戦争、アフガン戦争時にテロリストとして拘束された囚人を収容する施設)に重点的に取り組むことを表明してきた。しかし、彼がどれに対して一方的な行動を取ることを決断するかは、誰もが推測するしかない。

Some advocates are pushing Obama to do something about the torrent money that has flooded the political system since the Supreme Court decision in Citizens United.
シチズン・ユナイテッドに関する最高裁判決(シチズン・ユナイテッドという保守系NPOが、選挙期間中にヒラリー批判映画の広告を禁じられた。それに対してシチズン・ユナイテッドが訴訟を起こし、勝訴した結果、選挙期間中でも特定候補を扱ったメディア広告を、企業もNPOも労働組合も、金額無制限で出せるようになった。英語ウィキペディア参照)以来、政治システムにあふれ返っている資金の奔流に関して、一部の支持者がオバマに対し、何かするようにと圧力をかけている。


“We hope this is a foreshadowing of an executive order that would deal with secret money in our politics,” Lisa Gilbert, director of Public Citizen’s Congress Watch division, said about McDonough’s remarks. “We could see it as soon as the anniversary of Citizens United.”
マクドノー首席補佐官の発言について、「我々はこれが、政治に流れ込んでいる秘密資金の問題に対処する大統領令に向かう伏線であることを望む」と、パブリック・シチズン(反TPPなどで有名なリベラル系ロビー団体)の議会監視部門責任者、リサ・ギルバートはいう。「我々はシチズン・ユナイテッドの記念日(恐らく、2010年に最高裁判決が出た日である7月21日を指す)になるやいなや、それを見ることになり得る」

The January 21, 2010 ruling in the landmark Supreme Court case allowed corporations and unions to spend unlimited amounts on politics, so long as they do not coordinate with campaigns or parties.
2010年7月21日の記念碑的な最高裁判決は、企業や組合が、選挙や政党に(直接的に)協力しない限り、政治に関して無制限に資金を使うことを、許すこととなった。

Ever since the ruling, critics have been calling on the Securities and Exchange Commission to issue a rule that requires corporations to disclose their political spending.
判決以来、批判者らは、SEC(証券取引委員会)が、企業の政治的支出を公開することを要求する規定を発行するよう、求めている。

While Obama could only issue an executive order on political spending that applies to federal contractors, Gilbert said that still accounts for 70 percent of the nation’s largest 100 companies.
オバマは連邦政府の請負業者に適用される政治支出に関する大統領令を発行しただけであるが、それでもアメリカの上位100の企業のうち70%を占めている、とギルバートはいう。

“I’m nervous,” said Alan Chvotkin, executive vice president and counsel of the Professional Services Council, which represents federal contractors.
「私は神経が高ぶっている」と、連邦政府請負業者を代理しているプロフェッショナル・サービス協議会の副代表Alan Chvotkinはいう。

In August, the council and three other groups that represent federal contractors sent a letter to Obama complaining that they have been treated like a “messaging board” for the president’s policy priorities.
昨年8月、同協議会とほかの3団体は、連邦政府請負業者の代理としてオバマに書簡を送り、彼らがまるでオバマの政策優先事項を示すための「掲示板」のように扱われたと苦情を申し立てた。

At that time, the president had issued 13 executive orders that strictly applied to federal contracting. Some forced companies to pay employees higher minimum wages and report labor law violations.
そのとき大統領は、連邦政府の請負業者に厳しく適用される13の大統領令を発行していた。一部の大統領令は、従業員により高い最低賃金を支払うことや、労働法規違反を報告することを、企業に強制した。

“We know we had some short initial success,” Chvotkin said. “It was reported back to us that the letter was discussed at the senior levels of government, but I don’t think that gives us a buy for the whole year.”
「我々は、我々がいくらかの短い初期の成功を得たことを知っている」とChvotkin はいう。「我々の書簡が政府の上層部で議論されたと報告を受けているが、私はそれが一年中続くとは思わない」

Proponents of equal pay for women are also hopeful that the president will take action on their issue, particularly after he mentioned it in the State of the Union.
女性に対する同一賃金の提案者らは、大統領がその問題について何か行動を起こすことに期待している。特に大統領が一般教書演説でそれに触れて以来。

“I would love to see more of him making the federal government a model employer when it comes to equal pay,” said Lisa Maatz, vice president of government relations for the American Association of University Women.
「私は、同一賃金のことに関して言えば、大統領がもっと連邦政府を雇用主の模範となるようにするのを見たい」と米国大学婦人協会の副会長、リサ・マーツはいう。

“I would love to see him do an executive order ensuring Title IX compliance reviews are done government wide,” Maatz said, referring to the law that prohibits discrimination on the basis of sex.
「私は大統領が、Title IX(高等教育における性差別を禁じる法律。1972年制定)遵守の評価が政府全体で行われるようにすることを保証する大統領令を望む」とマーツはいう。

But Maatz said she wants Obama to first complete a pair of executive orders he has already issued — one that requires federal contractors to report employee wages based on race and sex, and a second that forces federal contractors to show they’ve been following civil rights laws when procuring government contracts.
しかしマーツは、オバマには先に、既に発行されている二つ一組の大統領令を履行することを望んでいる。一つの大統領令は、連邦政府の請負業者に、人種や性別に基づいた従業員の賃金を報告させる。もう一つは、請負業者が政府の契約を獲得する際に、市民権法を順守してきたかどうかを示すことを強制する。

Regulatory advocates contend that pushing policies on federal contractors is the best way to create change in the private sector.
規制の支持者らは、連邦政府の請負業者に関する政策を推し進めることが、民間部門の変化を生む最良の道であると主張する。

“It incentivizes everyone to do the right thing,” said James Goodwin, senior policy analyst with the Center for Progressive Reform. “If you have more and more people in a given industry doing the right thing, it becomes a competitive advantage rather than a competitive disadvantage.”
「それは皆に、正しいことをすることへの動機づけを与える」とCenter for Progressive Reform(注:学者や大学の研究者らが運営する、恐らくリベラル系の非営利研究・教育機関)の上級政策アナリスト、ジェームズ・グッドウィンはいう。「特定の業界で、より多くの人々が正しいことをするようになれば、正しいことをすることは競争上の不利にならず、むしろ競争上の有利になる」

Other advocates predict the president will exert his executive power outside the world of government contracting.
他の支持者は、大統領が、政府の請負業者以外の分野で行政権力を発揮すると予測する。

“It really bothers the president that he hasn’t been able to shut down Guantánamo,” said Brad Bannon, a Democratic strategist.
「グアンタナモを閉鎖できていないことが、大統領を本当に悩ませている」と民主党のブレーン、ブラッド・バノンはいう。

“That’s why — since Congress obviously won’t move on it — I think Obama will try to do something to close it down on his own,” he added.
「それが、私が、オバマがグアンタナモを彼自身の手によって閉鎖するために何かしようとすると思う理由だ。議会は明らかに動こうとしていない」

If Obama goes it alone, Republicans contend he would be defying a law passed by Congress that explicitly bars him from transferring Guantánamo detainees into the country. But Obama supporters, like Bannon, argue Article II gives the president the legal authority to decide not only where to put troops, but also where to hold prisoners.
もしオバマが単独でそれを行えば、議会が通したグアンタナモの囚人を国内に移すことを明確に禁じている法案を、大統領がないがしろにしていると共和党は主張する。しかし、バノンのような大統領の支持者は、合衆国憲法第2条が、軍隊をどこに派遣するかだけでなく、囚人をどこに留めるかを決める法的権限を大統領に与える、と主張する。

Since the fate of an executive action will likely be left to the courts to decide, Bannon believes the odds are in Obama's favor.
大統領令の命運は裁判所の決定に委ねられることになるため、バノンはオバマに勝ち目があると考えている。

“When it comes to national security issues, federal courts give the president a lot of leeway,” he said.
「安全保障問題に関して、連邦裁判所は大統領に多くの時間的余裕を与える」と彼はいう。

Jordan Fabian contributed to this report.

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というわけで、オバマ大統領は最後の1年において、リベラル色全開でかなりの強権を発動するご予定のようです。

政府から仕事をもらう企業は、最低賃金を引き上げなければならない、とか、なかなか凄いんじゃないでしょうか。
これが発動された状態でTPPとなると、アメリカの大企業はかなり困ることになるかも知れません。

また、これに加えて政治資金問題にも大ナタを振るう可能性があります。これも大企業には不利です。というのは、労働組合など資金に乏しいが人の頭数が圧倒的に多い競合者との政治闘争において、カネにものを言わせにくくなるからです。

それと、連邦政府の請負業者に、人種ごとの賃金を報告させることを強制する大統領令もあるとのこと。これに加えて、最低賃金引き上げを強制する大統領令もある。すると、大企業が移民を安くこき使う、というようなことが、かなりやり難くなるかも知れません。

よって、全米商工会議所などアメリカの財界は戦々恐々というわけです。

以上のようなリベラル色全開の雰囲気からすると、オバマさんがTPPを推進していることは非常に違和感があります。

上記記事でも出てきたリベラル系のロビー団体、パブリック・シチズンのグローバル・トレード監視部門の責任者、ロリ・ワラックさんは先週、こんなことを書いています:

TPP Is Obama’s #1 2016 Priority: Why Only 28 Seconds in the SOTU?
TPPはオバマの2016年第一優先事項:なぜ一般教書演説で28秒しか触れなかった?
Statement of Lori Wallach, Director, Public Citizen’s Global Trade Watch, Jan. 12, 2016

Obama only dedicated 28 seconds of his final State of the Union address to the TPP, his self-proclaimed top 2016 priority, but that beat the number of Congress people who stood to cheer for the controversial agreement.
オバマは一般教書演説において、彼の自称「2016年最優先事項」、TPPに関し、たった28秒しか使わなかったが、そのことは、この物議を醸している通商協定を応援する多くの連邦議員を打ちのめした。

Obama’s unexpectedly brief mention of the TPP may simply reflects that the pact is very unpopular across the political spectrum and talking about it more only makes opposition grow.
オバマの予想外に短いTPPへの言及は、TPPが政治的に幅広く、非常に不人気であることと、それについて話せば話すほど反対が増えるだけであるということの反映かも知れない。

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オバマさんは、TPP推進のふりをして実はTPPを叩き潰すのが本音ではないか、という私の以前からの見立ては、いよいよ真実味を帯びてきましたが、さて、どうなることやら。

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「オバマさんにとってTPPは、

演説でわずか28秒しか触れない

『2016年最優先事項』なのねん」


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677:TPP:オバマ政権がマレーシア参加させるため人権報告書を「改竄」、奴隷商人に加担しようとしていることは“恥ずべきスキャンダル” ― 米保守系ネットメディア、民主党リベラル議員がTPA法案に埋め込んだ人権条項を盾にオバマ政権を攻撃

2015/07/11 (Sat) 12:52
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TPP、そして先般可決したTPA法案に関連して、米国の保守系ネットメディア 
The Fiscal Timesが非常に興味深い記事を出しています。

※The Fiscal TimesはPeter George Petersonという、元NY連銀総裁にして大金持ち、財政赤字削減、社会福祉費削減、社会保障費削減を信条とする人物が設立したメディア。多分、反オバマケア、ゆえに反オバマと思われます。とは言え、今回の記事を書いている記者は、文面からすると人権を重視するリベラルっぽい雰囲気のような気もしますが。以上を踏まえつつ、以下、紹介します。





The Obama Administration’s Scandalous Stance on Slavery
オバマ政権の奴隷制に対するスキャンダラスな姿勢

http://finance.yahoo.com/news/obama-administration-scandalous-stance-slavery-091500575.html
The Fiscal Times, Fri, Jul 10, 2015
By David Dayen


I thought the list of betrayals in the Obama administration’s trade agenda couldn’t swell any further, but a remarkable development this week proved me wrong.
私は、オバマ政権の通商政策に関する「裏切りリスト」がこれ以上長くなることはないと考えていた。しかし今週、驚くべき進展があり、私が間違っていたことが証明された。

Add to those wronged the unfortunates sold to Malaysian slave traders.
その「間違いリスト」に加わるのは、マレーシアの奴隷商人に売り飛ばされた不幸な人々だ。

Hopes that international pressure would force the Malaysian government to protect these victims has been snuffed out, overcome by the White House’s desire to write a trade agreement.
国際社会の圧力によってマレーシア政府がこれら奴隷商人の犠牲者を保護せざるを得なくなるという希望は、ホワイトハウスが通商協定(※TPPのこと)を何が何でも締結しようとしていることによって、消えうせた。


According to Reuters, next week the State Department will release its annual report on human trafficking, which will upgrade Malaysia from a Tier 3 country, the worst of the worst, to Tier 2.
ロイターによれば、国務省は来週、人身売買に関する年次報告書を発表する。その報告においては、マレーシアが「Tier 3」、つまり、最悪の中の最悪というランクから、「Tier 2」に格上げされることになっている。


This comes just weeks after authorities in Malaysia discovered a mass grave of 139 Rohingya Muslims, who fled discrimination in Burma and were sold into slavery upon their escape.
これは、ミャンマーでの差別から逃げ、そして逃げたところを奴隷商人に売られた、イスラム教徒のロヒンギャ族139人の遺体をマレーシア当局が発見してからたったの2週間後のことである。


Last year, the State Department listed Malaysia among the world’s worst human trafficking nations because of “limited efforts to improve its flawed victim protection regime.”
昨年、国務省は「被害者保護政策の欠陥の改善につき、限られた努力しかしていない」という理由で、マレーシアを世界最悪の人身売買国に指定していた。


The report described a horrendous life for Malaysia’s foreign workers, threatened by large smuggling debts and confiscated passports that put them at the mercy of recruiting companies. Women in particular, recruited for hotel or beauty salon work, are routinely coerced into the commercial sex trade.
その報告書は、マレーシアの外国人労働者の凄まじくひどい生活、密入国費用についての多額の債務とパスポートの没収により、採用企業の慈悲にすがりつかなければならないようにし向けられている、というように描写している。特に女性は、ホテルやビューティーサロンで採用され、日常的に売春を強いられている。


The conviction rate for smugglers has actually fallen in Malaysia since last year’s report, suggesting no improvement on fighting human trafficking.
昨年の報告書以後も、マレーシアにおける(人身売買の)密輸業者の有罪判決率は実際に低下しており、人身売買との戦いが改善していないことが示唆される。


One house of Malaysia’s parliament did pass legislation giving more protections to slavery victims, but it further criminalizes something that’s already illegal.
マレーシア議会のうちの一院において、奴隷被害者により大きな保護を与える法案が可決されたが、それは犯罪者らに違法行為をより一層推進させている。

(※恐らく、被害者保護が充実すれば、密輸業者がその被害者たちから密輸代金をより一層回収しやすくなる、ゆえに密輸業者はより一層人身売買に励むことになる、ということかと思われます)

The problem has always been sustained enforcement.
この問題はこれまでも常に強調されてきた。

The U.S. Ambassador to Malaysia, Joseph Yun, criticized the lack of will to defend trafficking victims as recently as this April.
米国のJoseph Yun駐マレーシア大使は、この4月に人身売買被害者を保護する意思の欠如を批判したばかりだ。


Yet an unnamed administration official told Reuters that the U.S. had been working closely with Malaysian leaders to remedy the problem.
匿名の政権高官がロイターに語ったところでは、米国はマレーシアの指導者に対し、この問題の改善を密接に働きかけてきた。



The political implications of reclassifying Malaysia suggest another rationale for the upgrade.
マレーシアのランク変更の政治的な影響は、ほかに理論的な根拠があることを示している。

During the markup of trade promotion authority (aka “fast track”), signed into law by the president last month, Sen. Robert Menendez (D-NJ) passed a provision denying access to fast-track procedures for any trade partner in Tier 3 on the human trafficking report.
先月大統領が署名して立法手続きが完了した、大統領貿易促進権限(TPA、ファーストトラック)法案の最終折衝において、ロバート・メネンデス上院議員(民主党、ニュージャージー選出)は、人身売買報告書で「Tier 3」にランクされている交渉相手国を、TPA法の手続から排除する条項を可決させた。




Malaysia is one of the 12 countries negotiating the Trans-Pacific Partnership (TPP), the first deal to be finalized under the reauthorized fast track process.
マレーシアはTPP交渉参加12か国のうちの一つである。TPPは、再承認されたTPA法において、最初に妥結しそうな通商協定である。

If it remained in Tier 3, either TPP would not get the benefits of fast track — meaning that Congress could try to amend the trade agreement or filibuster it, and wouldn’t have to bring it to a vote within 90 days of being signed — or Malaysia would have to leave the agreement.
もし、「Tier 3」のままであれば、TPPはTPA法の恩恵を受けないことになる――つまり、議会は通商協定の修正や議事妨害を試みることができるようになるし、協定署名から90日以内に採決する必要もなくなることになる――か、あるいは、マレーシアは協定から離脱しなければならなくなる。


Upgrading Malaysia to Tier 2 allows the country to stay in TPP.
マレーシアを「Tier 2」に格上げすることは、マレーシアをTPPに入れることを許す。


And Menendez is livid about it, saying in a statement, “If true, this manipulation of Malaysia's ranking… would be a perversion of the trafficking list and undermine both the integrity of this important report as well as the very difficult task of confronting states about human trafficking.”
メネンデス上院議員はこのことについて怒り狂っており、声明において「もし本当なら、これはマレーシアの格付け改竄であり…人身売買格付けリストのねじ曲げであり、この重要な報告書の高潔性と、人身売買問題で対立する国々との非常に困難な作業を台無しにする」と言っている。




Instead of hitting them with sanctions until they improve — Tier 3 status can lead to withholding of foreign aid — the administration is instead granting Malaysia trade benefits and then hoping for more influence once they’re inside the trading regime.
彼らが改善するまで制裁を加える――「Tier 3」であれば、外国からの援助を停止できる――代わりに、(オバマ)政権はマレーシアに通商上の利益をマレーシアに与え、通商協定圏内に入ることによるマレーシアの影響拡大を望んている。

Plus, these slaves produce the very goods that would get duty-free access to U.S. markets under the TPP. Forced labor is reportedly high in the agriculture, electronics and textile industries in Malaysia, yet the United States is apparently willing to overlook that to complete the trade deal. So consumers like you and me who unwittingly buy things made in Malaysia could be implicated in the slave trade as well.
加えて、これらの奴隷が作る製品はTPPにおいて関税なしで米国市場に流入する。強制労働はマレーシアにおいて農業、エレクトロニクス、繊維産業で主に用いられていると報告されている。それにもかかわらず、米国はTPP協定を締結するために見過ごそうとしているようだ。あなた方や私のような消費者は、知らぬうちにマレーシア産の産品を買うことにより、奴隷商人に加担することになりかねない。



Malaysia controls parts of a critical oil shipping lane in the Straits of Malacca, where China receives much of its shipments.
マレーシアは、中国も多くの貨物を受け取っているような、重要な原油運搬航路であるマラッカ海峡の一部を支配している。

Keeping Malaysia as an ally allows America, whose Navy controls access to the strait, to habitually pressure China with the implied threat of cutting off its oil. So Malaysia is a key strategic partner, the rampant epidemic of forced labor within its borders notwithstanding.
マレーシアをアメリカの同盟国に留め、アメリカ海軍がマラッカ海峡へ出入りを掌握しておくことは、中国に対し、原油供給が断絶する脅威を常に与えることができる(※)。


※原油供給が断たれる脅威については、そのまま日本に対しても当てはまりますね。個人的には、TPPがアメリカでぶっ壊れ、それはそれとしてアメリカ、日本、アジア諸国の関係が良好に維持されることを望むところであります。


The episode crystallizes exactly who trade agreements like TPP are really designed for: elites and corporate titans, not ordinary workers.
以上のような話は、TPP協定が誰のために設計されているかを正確に、はっきりとさせている:特権階級と超巨大企業のためであり、一般労働者のためではない。

Sometimes you hear the argument that workers in poor countries like Malaysia should be thankful for foreign investment.
時としてあなたは、マレーシアのような貧困国の労働者は外国からの投資に感謝している、という議論を聞くだろう。

Working in a sweatshop may be arduous, but it at least improves wages and creates jobs, the argument goes. The high incidence of trade partners that do nothing to stop forced labor obliterates this theory.
ブラック企業(sweatshop)で働くことは耐えがたいものであるが、少なくとも賃金が改善し、働き口を生み出す、というように議論は続く。多くの協定国が強制労働を止めようとしていないことで、この仮説は完全に崩壊している。

Workers in Malaysia have no reason to thank the United States for facilitating their toil as slaves. And manipulating a government report to that end should be called out for what it is: a shameful scandal.
米国が奴隷としての彼らの苦役を助長することについて、マレーシアの労働者が感謝する理由はない。政府の報告書をそような理由で改竄することは、このように呼ばれなければならない:恥ずべきスキャンダル。





途中、「…」で略している箇所も興味深いところがあったのですが、長いので省略しました。


ところで、記事で触れられている、TPA法案(というか、成立したのでTPA法)に民主党のメネンデス上院議員が押し込んだ条項を、以下に引用しておきます:



(6) LIMITATIONS ON PROCEDURES WITH RESPECT TO AGREEMENTS WITH COUNTRIES NOT IN COMPLIANCE WITH TRAFFICKING VICTIMS PROTECTION ACT OF 2000.—

(A) IN GENERAL.—The trade authorities procedures shall not apply to any implementing bill submitted with respect to a trade agreement or trade agreements entered into under section 103(b) with a country to which the minimum standards for the elimination of trafficking are applicable and the government of which does not fully comply with such standards and is not making significant efforts to bring the country into compliance (commonly referred to as a “tier 3” country), as determined in the most recent annual report on trafficking in persons submitted under section 110(b)(1) of the Trafficking Victims Protection Act of 2000 (22 U.S.C. 7107(b)(1)).

(B) MINIMUM STANDARDS FOR THE ELIMINATION OF TRAFFICKING DEFINED.—In this paragraph, the term “minimum standards for the elimination of trafficking” means the standards set forth in section 108 of the Trafficking Victims Protection Act of 2000 (22 U.S.C. 7106).

要するに、国務省の最新の年次報告書で人身売買格付けが「Tier 3」とされる国には、通商協定交渉においてTPA法のプロセスを適用しない、ということです。





いやはや、しかし。

上記の記事の論法で言うと、TPPがこのまま成立すると、日本も奴隷商人のカネ儲けに加担してしまうことになりますね…。

アメリカの駐マレーシア大使が「人身売買被害者を保護する意思の欠如を批判」したばかりであるのに、国務省の人権報告書でマレーシアが格上げされる(予定)であるというのが本当であれば、かなり不自然な印象を持たざるを得ません。
それは、TPPのための改竄・操作か、と思ってしまうのは自然ではないかと。

しかし、
TPA法には上記のメネンデス上院議員が押し込んだような条項以外にもいろいろなトラップが仕込まれているとも思われます。

こういったことが頻繁に問題化し、米国でのTPP反対運動が盛り上がるか、どうか…。



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662:TPP推進で米議員ら荒稼ぎ――08年以降、上院議員へのTPP推進業界からの献金約260億円に対し、TPP反対業界からの献金はその9分の1に過ぎなかった:米CNBC報道

2015/06/26 (Fri) 10:54
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「地獄の沙汰もカネ次第」
などと申しますが…

水曜日にTPA法案が可決した件に関連して、米CNBC――「ダウ指数」のダウ・ジョーンズと米3大ネットワークのNBCが共同出資して運営している経済ニュース放送局――が大変興味深い報道をしています。株関係のニュース中心の放送局がこのような記事も扱うという点もまた興味深いところです。
しかし、こんな興味深い話も日本では多分報じられなさそうに思えてなりませんが、どうでしょうか…




Senators rake in big money from pro-trade donors
上院議員ら、TPP推進献金者から巨額資金を荒稼ぎ

http://www.cnbc.com/id/102784965
Wednesday, 24 Jun 2015 , CNBC

A politically contentious trade bill passed the U.S. Senate on Wednesday evening, handing President Barack Obama "fast-track" negotiating authority for a Pacific trade agreement pending his signature.
政治的論争を呼んでいる通商法案が水曜日の夜可決され、バラク・オバマ大統領にTPP早期一括交渉権を与えることとなり、あとは大統領自身の署名待ちとなっている。


The political maneuvering and opinions on the trade partnership remain complex. But the money flowing to senators from interested groups has been much more one-sided.
政治的駆け引きと通商協定に対する様々な意見はいまだ複雑に入り組んでいる。しかし、上院議員らへの関係団体からのカネの流れはもっとずっと単純明快であった。


Industries, such as banks, insurance companies, utilities and many more, that back the bill in its current form have donated $218.4 million to current senators since October 2008, according to money in politics researcher MapLight. That's about nine times more than the $23.2 million contributed by groups that oppose it. ( Tweet This )
政治資金の調査団体MapLightによれば、現在の形のTPA法案を支持する銀行、保険、公益事業その他多くの業界は、現職上院議員らに2008年10月以降で2億1840万ドル(1ドル=120円とすれば約260億円)の献金を行っている。それは、TPA法案反対業界からの献金2320万ドル(同約28億円)の9倍以上の金額だ。


"As far as business, this is the most important vote that will be taken this year," said Anthony Corrado, a professor of government at Colby College in Waterville, Maine, who studies campaign finance. "The business community for the most part has been united on TPA, so you might expect a large disparity."
「ビジネスに関して、これは今年行われる中で最も重要な議会採決だ」とメイン州ウォータービル、コルビー大学の政治学教授であるAnthony Corrado(選挙資金の研究者)は語った。「企業団体は大部分においてTPAに関して団結していた。それゆえ、これは大きな不均衡、格差につながるだろう」


Obama and many legislators have called for the president to receive negotiating authority for the 11-country Trans-Pacific Partnership, saying it opens channels that benefit American business. But the plan has received backlash for potential job outsourcing and lax environmental regulations.
オバマ大統領や多くの議員らは、アメリカ企業の利益への道筋を開くとして、大統領に他の11ヶ国とのTPP交渉の権限を与えることを求めていた。しかしそれは失業の増加や環境規制の弱体化を招く可能性があるとして反発を招いていた。


The TPA was previously packaged with the so-called Trade Adjustment Assistance, which provides protections and training for workers displaced by jobs moving overseas. After political wrangling, including some opposition from Obama's Democratic Party, the House last week passed a version without TAA provisions.
TPAは従前、貿易調整援助(TAA)法案――仕事の海外への流失によって失業した労働者の保護と訓練を提供する法案――とまとめられていた。オバマの民主党の一部からの反対を含む政治的論争の結果、下院はTAA法案抜きバージョンのTPA法案を可決した。


Senate Majority Leader Mitch McConnell reaps the most from supporters of this version of the bill, taking in $8.26 million since 2008. Among the top 10 recipients, six are Republicans, and four are Democrats.
上院の与党リーダー、ミッチ・マコーネルは、この法案の支持者から最も報いられており、2008年以降で826万ドル(約10億円)を受け取っている。トップ10に入る献金受け取り議員のうち、6人が共和党、4人が民主党である。


"A strong dependency for money, in the form of campaign contributions, exists on both sides of the aisle," said MapLight spokeswoman Pamela Behrsin, adding that trade groups are just some of the players who "have the ear" of Congress.
「選挙資金という形で、強力な金銭依存が共和党と民主党の両方に存在する」とMapLightの広報担当者Pamela Behrsinは述べており、貿易企業グループは国会で「話を聞いてもらえる」重要な役割を果たす人達のうちの一部に過ぎない、と付け加えた。

Democratic presidential candidate and Vermont Sen. Bernie Sanders has unsurprisingly received the least money, about $140,000, from backers of the bill. Sanders raises much less money than his peers and much of it comes from labor unions or other groups that often oppose international trade agreements.
民主党の大統領候補でもあるバーニー・サンダース上院議員は、当然ながら14万ドル(約1680万円)と最も少ない金額しかTPA法案支持者から献金を受けていない。サンダースは、彼の同僚議員らと比べて非常に少ない金額しか受け取っておらず、その資金の大半は労働組合や国際貿易協定にしばしば反対する他の団体からのものである。


Corrado noted that some labor unions threatened to withhold campaign contributions to Democrats before the TPA made its rounds through Congress. Still, Corrado said a "great disparity" would have existed even with more labor union donations.
Corrado (選挙資金の研究者)は、TPA法案が可決される前、一部の労働組合が民主党議員らへの選挙資金提供を取り止めると迫っていたと述べている。しかし、Corrado が言うには、労働組合の献金にすら「大いなる格差」が存在する。


The final vote for fast-track authority comes after the Senate voted 60-37 to advance it on Tuesday. Senators who voted for the Tuesday measure received an average of $2.34 million from trade agreement supporters, 22 percent more than those who voted no.
TPA法案の最終採決は、その最終採決へ進むための上院での火曜日の採決(賛成60対反対37)の後に行われた。火曜日の採決で賛成票を投じた上院議員らが貿易協定支持者から受け取った献金は平均234万ドル(約2.8億円)であり、反対票を投じた議員らより22%多かった。


Senators who voted against it took in an average of $443,254 from industries that oppose it, about four times more than those who voted yes.
反対票を投じた上院議員らが、貿易協定に反対する業界から受け取った献金は平均で44万ドル(約5300万円)であり、それは賛成票を投じた議員らの約4倍の金額であった。


Still, the big contributions may not hold that much sway on votes, Corrado said. Many industries probably chose to donate to candidates based on their record, rather than encourage them to change their policy outlook, he noted.
但し、巨額献金が採決の揺らぎを止めるわけではないだろう、とCorrado は言う。多くの企業は恐らく、候補者ら政治観を変えるためにというよりは、彼らの経歴に基づいて献金しているだろう、と彼は述べた。




最後のCorrado教授のコメントは、「ニワトリが先か、卵が先か」という類の話かも知れません。

TPP推進、自由貿易協定推進、のほうが多額の献金をもらえるということが分かっていれば、TPP推進、自由貿易協定推進を目指して政治家になろうとする候補者が増えるのは自然のような気もしますが、どうでしょう。


最後に、この記事の元ネタである政治資金調査団体MapLightの記事からの引用を改めてしておきましょう:

Industries supporting the House-passed version of H.R. 2146 have given 9 times more money ($218.4M) to current members of the Senate compared to industries opposing the bill ($23.2M).
下院を通過したTAAなしバージョンのTPA法案を支持する業界の現職上院議員らへの献金(2億1840万ドル、約260億円)は、反対する業界の献金(2320万ドル、約28億円)の9倍以上となっている。



この状況において、仮にTPPが成立した場合、格差はさらに拡大に向かって米国社会はさらに不安定化が進むのでしょうか。それとも、格差は縮小に向かって米国社会は安定化するのでしょうか。

そして、仮にこれ以上格差が拡大した場合、アメリカは国として持つのかどうか、といったところでしょうか…




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661:TPA成立でTPP交渉加速も、米では反対運動も絶賛加速中の模様

2015/06/25 (Thu) 12:19
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昨日、TPP交渉を阻害していたと目されるTPA(大統領貿易促進権限)法案が米議会で可決成立しました。
このTPP関係で私が習慣にしているのは、ロイターの日本語版と英語版を読み比べることです。というか日本語版はあくまでも要約版のようですので、何が省略されているのをざっと把握する、という具合であります。





ロイター日本語版:

米上院がTPA法案を再可決、TPP妥結へ大きく前進
2015年 06月 25日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0P42MK20150624



ロイター英語版:

Congress victory moves Obama's Pacific trade pact forward
議会の勝利がオバマのTPP交渉を前進させる
Wed Jun 24, 2015 Reuters
http://www.reuters.com/article/2015/06/24/us-usa-trade-idUSKBN0P40BJ20150624




記事のタイトルは似たような感じですが、日本語版で省略されている英語版の箇所のうち、興味深いところを引用しておきます:

U.S. labor groups, which fought fast-track, said they will redouble their efforts. "We will vigorously oppose TPP if it continues on its current course," AFL-CIO President Richard Trumka wrote in a letter to lawmakers.
TPA反対運動を展開していた米国の労働団体は、努力を倍加させると言っている。「我々は、これまでの路線通りであるならば、精力的にTPPに反対する」とAFL-CIOの Richard Trumka 議長は、議員ら宛ての書簡で述べた。






さて、TPA法案に関して、日本のメディアであまり報じられていない(とりあえず、私の目に留まっていない)話があります。TPAには、議会が大統領に通商交渉権限を与えるにあたり、「この目標に沿って交渉するように」という通商交渉目標が列挙されています。
本来、このTPAを成立させてから、このTPAに書かれている交渉目標に沿って、ホワイトハウスが他国との交渉を進めるのが筋であるわけです。TPPは、2007年に失効したTPA法案の交渉目標、つまり、2002年、13年も前に定められた交渉目標があたかも有効であるかのように進められてきたわけです。交渉が最終段階に近い状況になって、ようやく交渉目標が定められたという本末転倒な事態です。この問題は、米議会調査局の報告書でも問題視されていました。

さて、「TPPは、2007年に失効したTPA法案の交渉目標、つまり、2002年、13年も前に定められた交渉目標があたかも有効であるかのように進められてきた」という話も、私が知る限りは英語版のロイターの記事だけで、日本語の記事は見たことがありません(探せばあるかも知れませんが…)。

こないだのロンドンにおける大規模反緊縮デモの件でも、英語版のロイターは扱いは大きくなくとも一応は記事がありましたが、日本語版はなし。ブルームバーグは英語版はかなり大きな扱いでしたが、日本語版は記事なし。
 というか、そもそも日本語メディアで記事が一切なかったということに、私は改めて衝撃を受けました。いや、日本語だけでは世界のことは本当に分からんことが多過ぎる、というのが今の日本の実態であると、改めて思う次第であります。とは言え、日本のメディアも間違いなく貴重な情報源ではありますが、それだけでは残念ながら足りていない、というのが正確なところでしょうか。


TPA法案に規定されている交渉目標の件については、ツイッターで簡単につぶやいていましたので、以下にまとめておきます。(「埋め込み」が面倒なのでそのままコピーします^^;)


廣宮孝信 Y.Hiromiya ‏@YNHiromiya 6月24日
TPA法案の正式名称:H.R.2146 - Bipartisan Congressional Trade Priorities and Accountability Act of 2015 米議会HPで閲覧可→ https://www.congress.gov/bill/114th-congress/house-bill/2146/text?q=%7B%22search%22%3A%5B%22Trade+Promotion+Authority%22%5D%7D … (続く)

https://twitter.com/YNHiromiya/status/613527098947297280



廣宮孝信 Y.Hiromiya ‏@YNHiromiya 6月24日
TPA法案の最初のほうに「通商目標」が規定されています。「アメリカの輸出業者にとっての障害を取り除く」というのもありますが、「ILO基準の労働者の権利、子供の権利への尊重を促進せよ」とか環境云々という項目も入っています(続く)

https://twitter.com/YNHiromiya/status/613528901105496064



廣宮孝信 Y.Hiromiya ‏@YNHiromiya 6月24日
TPA法案「通商交渉目標 TRADE NEGOTIATING OBJECTIVES」のうち、個人的に一番注目したいのは「(7) 通商促進のために国内の環境や労働法規に基づく保護を弱めることを、協定参加国がしないようにさせる条項を、通商協定に入れることを追及すること」(続く)

https://twitter.com/YNHiromiya/status/613530567523463169


※(7)の原文は↓こちら
(7) to seek provisions in trade agreements under which parties to those agreements ensure that they do not weaken or reduce the protections afforded in domestic environmental and labor laws as an encouragement for trade;



廣宮孝信 Y.Hiromiya ‏@YNHiromiya 6月24日
以上で紹介したような「通商交渉目的」を「秘密交渉」されているTPPがどこまで満たしているか、そして、それを米議会が今後どのように判断するかが、TPPの成否を決定的に左右するでしょう。もう一度、米議会のTPA法案条文のリン ク: https://www.congress.gov/114/bills/hr2146/BILLS-114hr2146eah.xml

https://twitter.com/YNHiromiya/status/613531926603829248





あと、TPP関連では「TPPと米覇権のゆらぎ」のテーマで↓こんな話も

廣宮孝信 Y.Hiromiya ‏@YNHiromiya 6月17日
焦点:米政権の「アジア重視」に暗雲、TAA法案否決で中国の影響拡大も | Reuters http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OX0IN20150617 … … シンガポール外相:“「東アジアとアジア太平洋地域の歴史が書き直されようとしている。米国は現在、主導的な立場にない」と語った”

https://twitter.com/YNHiromiya/status/611088937277218816






「TPPと米覇権のゆらぎ」に関しては、「米国の覇権がゆらいでいるからこそ、米国の巨大企業が自衛のためにISDSなどを通じて企業の権力を強めるべく、TPPを秘密交渉にした上で反対運動が盛り上がらないようにしつつ強力に推進している」というような見方をされている方もいらっしゃいます(どちらかというと中国寄りの見解が散見される方ですが、そこは割り引いて読まれると良いでしょう。私は割り引いて読ませて頂いております)。いや、それにしてもこれは鋭い・・・。




あと、↓こんな話も


https://twitter.com/YNHiromiya/status/612427438287491072



このカナダの「調査実施団体」というのは、自由貿易協定の秘密交渉を監視することが目的のTrade Justice Network (TJN)という団体で、環境団体や農業団体、労働団体で構成されているようです。
そのスポークスマンMartin O’Hanlonの発言の原文は以下のとおり:

TJN spokesman Martin O’Hanlon said that the secrecy surrounding the negotiations is “very disturbing.”

“Most Canadians have no idea that this deal is being negotiated in secret under the guidance of multinational corporations with no input from labor leaders, environmental experts or even MPs,” O’Hanlon said in a statement this week. “It’s frightening that this can happen in a democracy.”




個人的には、今回成立したTPA法案に規定されている交渉目標とこれまでのTPP交渉の内容があまりにもかけ離れていて、米議会で「何じゃこりゃ」となり、アメリカにおいてTPPがきれいさっぱり葬り去られる一方で、日米安保は当面揺るがず、日本が名実ともに自立するための時間が確保される、という状況になることを希望します。
もちろん、これはあくまでも希望的観測に過ぎませんが…




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652:米上院財政委員会で可決されたTPAは、#TPP を永遠に葬り去るか?――ただし「TPP消滅」=「アメリカの覇権終了」のため、いろいろ複雑な気もしますが…

2015/04/24 (Fri) 16:24
昨日、TPP関係で重要な動きがありましたね。


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米TPA法案、上院財政委が可決 本会議で来週にも採決へ
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPKBN0NE05P20150423
ロイター 2015年 04月 23日

[ワシントン 22日 ロイター] - 米上院財政委員会は22日、通商交渉の権限を大統領に一任する貿易促進権限(TPA)法案を20対6の賛成多数で可決した。上院本会議での審議に移り、安倍晋三首相が米国を訪問する来週にも採決にかけられる見通し。環太平洋連携協定(TPP)の妥結に不可欠とされる法案が成立に向け一歩前進した。

下院委員会では23日に審議する予定。

上院財政委員会では、白熱した議論の末、TPA法案に為替操作国への制裁に関する条項を盛り込むことはやめ、別途法案としてTPA法案に付随させることで決着した。

ハッチ委員長(共和党)は「今夜の委員会の行動は、国際通商政策にとって極めて重要な節目となり、超党派の長年にわたる真の努力を反映するものだ」と述べた。

安倍晋三首相は米国を来週訪問し、オバマ大統領との会談のほか、日本の首相として初めて上下両院合同会議で演説する予定。





TPA(大統領貿易促進権限:これがあると議会が貿易協定につき修正を求めることなく最終的な可否だけを議決することになる)が通るとTPP妥結に向けて一気呵成に推進…と日本では報じられることが多いように思われます。

しかし、当ブログではむしろその逆ではないかという見方――あるいは、妄想――をこれまでに書いてきました。

このような見方…あるいは妄想を持つ人は、アメリカにもいるようです。

ワシントン・ポストの政治ブログWonkblogに興味深い記事がありましたので簡潔に紹介したいと思います。

※ワシントン・ポストはウォーターゲート事件で名を馳せたアメリカの有力紙で、以前はリベラル寄りと目されていたようですが、保守寄りの記事も扱っているようです。現在は、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾフ氏が所有者となっています。なお、紹介する以下の記事を書いたのはリベラル系の記者のようです。

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Ron Wyden’s case for giving Obama the authority to strike a trade deal
オバマに権限(TPA)を与えて貿易協定(TPP)を叩き潰すというロン・ワイデン上院議員の主張
http://www.washingtonpost.com/blogs/wonkblog/wp/2015/04/20/this-may-be-the-best-liberal-case-for-giving-the-president-the-authority-to-strike-a-trade-deal/
By Lydia DePillis, April 20, 2015

He's trying to coax liberals into giving up some power, in exchange for a promise that it will turn out closer to how they want in the end.
ワイデン議員(上院財政委の民主党トップ、選挙で民主党が負ける前は委員長)はリベラル派をたきつけ、部分的に譲歩する替わりにリベラル派が最終的に望むところに近づくことを確実にしようとしている。



で、記事の前半は、TPPが大企業に支援されたオバマ大統領によって――これがなければアジアからアメリカ企業が締め出されてしまうという理由で――推進されている、労働組合などリベラル派がTPAも含めてTPPを阻止しようと躍起になっている、というお話です。

ところが、民主党の重鎮たるワイデン議員――3年前、「国会議員の大多数は、TPPの実体に関して暗闇の中に置かれたままだ。しかし、一方でハリバートン(石油)、シェブロン(石油)、PhRMA(米国研究製薬工業協会)、コムキャスト(ケーブルテレビ、インターネット)、アメリカ映画協会といった米国企業の代表には、相談を持ちかけ、TPP協定の詳細についての機密を教えている」と告発した、あのワイデン議員――が、いまやTPA成立を主導しているというわけです。

しかし、もちろんタダでは妥協していません:

And Congress offers a compromise: They give away the right to quibble with specific sections of the treaty, in exchange for a promise that the administration will adhere to a set of priorities Congress lays out.
議会は、議会が協定の詳細につき注文を付ける権利を放棄する替わりに、議会の示す一連の優先事項を遵守することをオバマ政権に約束させるという妥協案を提示した。



But Wyden -- and fellow Democrat Earl Blumenauer (Ore.), a liberal's liberal if there ever was one -- are pointing to a few things in the TPA bill that they say should be reasons enough for the rest of the caucus to hold its nose and vote for it.
ワイデンやその仲間でリベラル中のリベラル――そんな人が存在していたのであればであるが――である民主党のEarl Blumenauer (オレゴン選出)は、今回のTPA法案には彼らが他の民主党幹部らが鼻をふさいで投票するのに十分な理由となるいくつかの事項があると指摘している。

(以下、抄訳)

Transparency: One of Democrats' top complaints about the Trans-Pacific Partnership has been that -- as is common with trade deals -- it was hashed out in secret. The bill strengthens procedures for congressional access to the text in future negotiations, and directs the U.S. Trade Representative to hire a "Chief Transparency Officer" responsible for making information more widely available.
透明性:…USTRが透明性担当官(Chief Transparency Officer)を置いて議会がより広範囲な情報を引き出せるようにする。

※つまり、ワイデン議員がかねてから懸念を表明していた「国会議員の大多数は、TPPの実体に関して暗闇の中に置かれたまま」の状態が解消されることが期待されるわけですね。TPAが上下両院で可決されれば「何じゃこりゃ?」な部分が無数に出て来るんじゃないかと…。


Corporate rights: A wide spectrum of constituencies -- from tea party groups to Sen. Elizabeth Warren -- have repeatedly raised the alarm about a provision called "investor state dispute settlement," which would allow corporations to sue foreign governments for treating them differently than they treat domestic corporations. They worry that could open up local U.S. jurisdictions to lawsuits over their own labor, environmental and health protections if a company decides they get in the way of profitability. The Trade Promotion Authority bill says that U.S. laws should be safe from such attacks. "The application of any provision of a trade agreement ... that is inconsistent with U.S. law shall have no effect," reads the bill summary, adding: "reports issued by dispute settlement panels convened under trade agreements ... shall have no binding effect under U.S. law."
企業の権利:…茶会党(共和党の最右翼)からエリザベス・ウォーレン上院議員(民主党)まで幅広い層が懸念するISDS条項――企業が「そんな規制や法律は貿易協定と違うじゃないか」と加盟国政府を国際組織に訴える権利を与える条項――については、貿易協定のいかなる条項も米国の国内法に矛盾するものは無効とする。

※そう言えば、これまでにアメリカが結んだすべての自由貿易協定(FTA)の施行法において、「米国国内法>貿易協定」となることを担保する条文がありましたね。今回のTPAでもこれが含まれるようです。


Labor and environmental protections: Trade unions and environmental groups say that free trade has allowed U.S. companies to do business more cheaply in places where labor and environmental protections are weak, enabling a "race to the bottom." The Trade Promotion Authority bill directs U.S. negotiators to make sure that parties to trade deals with the United States adopt and implement internationally recognized labor standards -- such as prohibitions on child labor and human trafficking, and protections for union organizing -- and comply with a suite of environmental treaties. The U.S. Trade Representative has said all along it would do this, as it has in a few recent trade agreements.
労働と環境の保護:…協定の加盟国で労働組合がなかったり環境保護規制が甘かったりするような国があれば、そのような国では不当に低コストでモノ作りができるので、アメリカの労働者が不当に不利益を受けることになります。それを防ぐために加盟国には厳格な労働規制や環境規制を備えることを貿易協定に盛り込むべし、ということですね。

Enforcement: The bill tries to make sure that trade violations are swiftly dealt with by requiring the White House to submit an enforcement plan, including requests for more border personnel and other staff needed to keep up with increased flow of goods. It also decrees that parties to the agreement shouldn't be able to make the excuse that they can't enforce labor and environmental protections just because they don't have the resources, and directs the U.S. to help them build their capacity for enforcement. Similar labor provisions in other recent agreements, while not enforced perfectly, have led to increased inspections in Latin American countries that have signed free trade agreements with the U.S.
施行:上記の労働や環境の規制を加盟国に実際に施行させることやアメリカがその手助けをすべき、ということですね。


Currency: The bill asks that future trade deals prevent parties from manipulating their currency to gain a competitive advantage for their exports. That's significant, because while labor groups and domestic manufacturers (both the Big Three auto companies and the United Auto Workers, for example) have pushed hard for the TPP to address currency, the Obama administration has refused, arguing that countries like Japan would never accept a deal that did so -- and that a currency provision might also constrain the U.S.' own monetary policy tools, like the quantitative easing process it used to try to propel the country through a recession. Still, using a trade agreement to address currency has been popular on both sides of the aisle, and might ultimately be a dealbreaker when TPP finally comes to Congress for approval.
通貨:労働団体やビッグスリーなど国内製造業が強硬にTPPに為替操作禁止条項を含むように求めているが、オバマ政権はそんなことをしたら日本が拒絶するしアメリカも不況時に量的緩和が出来なくなってしまうとして拒否してきた。この通貨・為替問題は共和・民主両方で多くの関心を集めており、TPPが議会で採決される際に最終的な破談要因dealbreakerになる可能性がある。

※このエントリーの冒頭に紹介したロイター記事によるとこの為替操作禁止関係の事項はTPAには入れず、別の法案を添えるということになっているようですが、TPPはこの問題と無関係ではいられなさそうです。とすると、2013年4月からの「日銀黒田バズーカ」が期せずしてTPPを崩壊させるdealbreakerとなる可能性もなきにしもあらず(?)


 Of course, those objectives don't guarantee that the deal will ultimately come out the way Congress wants. The White House has to get 12 other countries on board, after all. But it does send a message that if the agreement doesn't pass muster according to those criteria, Congress might reject it entirely, potentially requiring more years of negotiation -- if it comes back at all.
もちろん、これらの(TPA法案に提示されることとなる)交渉目標は、貿易交渉が、議会が望む通りとなることを保証しない。結局のところホワイトハウスは12の国々と交渉しているからだ。しかし、このTPA法案は、貿易協定がこれらの条項を満たさなければ、議会が全面的に否決し、交渉にはさらなる年月を要することになるかもしれない――交渉が続けられるのであれば、であるが――というメッセージとなるだろう。





2年前、安倍首相がTPP交渉参加を表明する直前に当ブログで私は次のように書きました:

少なくとも、「日本が交渉参加しない」と表明した場合よりも、「日本が交渉参加する」と表明した場合のほうが、TPPそのものが消滅するという、最も望ましい状態が成立する確率が確実に高まります。


また、昨年の夏には以下のように書きました:

ただしTPPが消滅するとなると、それは昨年9月の「シリア攻撃未遂事件」と並ぶ、アメリカによる覇権の終焉の明確なサインとなってしまうかも知れません。そうなれば、日本の政治経済情勢はますます混沌とした状態になるやも知れません。



このような見方は、私だけの妄想(笑)かと思っていましたが、そうでもないようです。


以下、英エコノミスト誌の記者や、あるいは、アメリカの重要人物たちがそのような見解を示していることが分かる日経ビジネス記事(英エコノミスト誌記事の邦訳版)の5か月前の記事の抜粋です:

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米国がTPP実現にこだわる理由
日経ビジネス 2014年11月24日号 p.114-p.116 (元の記事はThe Economist Nov. 15, 2014)



TPP、日本参加で難度アップ
…参加国の中にはベトナムやマレーシアのようにサプライチェーンを安い労働力に依存する国もあるため、ただでさえ交渉を進めるのは難しかった。
 そこへ自国の農業を保護したがる日本が2013年に参入、交渉の難度はさらに高まった。だが19回の交渉会合を経て、大きな進展を遂げた。昨年中の妥結という目標は逃したが、現在、年内の合意に向け大きく動いている。

※もちろん「昨年中の妥結」はありませんでしたね。




米国にとってのTPPの意味

フロマンUSTR代表はTPPを極めて大きな観点から捉えている。TPPは米国のアジア重視策の根幹をなすと語る。

「世界の貿易システムの今後がどういう方向に向かうか不透明な時代にあって、流動的だが重要地域であるアジアにおいてTPPが成立すれば、今後の貿易システムの方向をはっきりさせることができる」と同代表は語る。
 裏を返せば失敗は大きなリスクにつながるということだ。フロマン氏もこの点を理解している。彼が「もし失敗すれば米国は世界経済の中心という座を追われかねない」という過激な主張を展開したのも、動きが鈍く内向きな米議会に行動を促すためだったのかもしれない。
 ワシントンの専門家の多くは、米国がアジアで主導権を握れるかどうかの瀬戸際にいるという点に同意している。米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーン上級副所長は、TPPが失敗すれば「米国が太平洋の強国だとのイメージに傷がつき、主導権を放棄すると映るだろう」と指摘する。…米ブルッキングス研究所のミレヤ・ソリスに本部長は「TPPを成功させなければ米国の信用は壊滅的な打撃を受ける」と話す。

 懸念の声は米軍内でも浮上している。太平洋に駐留するある海軍将校は、「TPPは、貿易を通じた将来、透明性、そして法の支配に貢献する国々をまとめる役割を果たす。中国が進めるモデルに対し米欧が進めるものだ。中国が参加すれば中国の発展の仕方を変える可能性があり、断れば参加したくないということがはっきりする」と語った







私の妄想を書いておきますと、恐らく現在、アメリカは覇権国の座を追われようとしている、あるいは、自らその座を降りようとしているというのが大きな流れのように感じています。

この流れであるということが正しいのであれば、TPPは不成立になる可能性が高いことになります(いや、妄想なので可能性とかいう必要はありませんが!)。


覇権国であることや、基軸通貨の地位を保つことは、恐らく、ことのほか骨の折れるものなのだと思われます:

強大な軍事力を維持しなければならず、そのためには通貨を実力以上に高い状態に維持しなければならず、そのためには強大な軍事力を維持しなければならず、そのためには通貨を実力以上に高い状態に維持しなければならず…という悪循環に陥るからであります。


「強大な軍事力を維持」にはかなり強力な動機づけが必要でしょう。
 これはカネだけではないでしょう。精神力も必要不可欠です。
ベトナム戦でのアメリカは戦死者・行方不明者6万人を超えましたが、それでも89年のパナマ侵攻、90年の湾岸戦争、94年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争への介入、2001年のアフガン紛争、2003年のイラク戦争と延々と戦争を続けてきました。しかし、2000年代以降のアフガンやイラクでの戦死者は合計でも数千人であり、ベトナム戦より一桁小さいわけです。
 それにも関わらず、厭戦気分の広がりによって2013年9月のシリアへの軍事介入は中止なったという具合です。私の個人的な感想では、経済力、カネの問題よりは心理的な戦争疲れの要因のほうが大きいと思います。このようなことは「覇権国の地位をむしろ積極的に降りたい」という動機づけになっていても不思議はないように思います。
 もちろん、軍事力の維持にはカネも必要不可欠ではありますが。

「通貨を実力以上に高い状態に維持」することの代償は、簡単に言ってしまうと製造業の空洞化→金融依存→金融の不安定化&格差拡大といったところでしょう。
「通貨を実力以上に高い状態に維持」するための方法は、例えば、
世界中の貿易決済ができるだけドルであることを維持することで、各国がいちいちドルを自国通貨に両替するよりも決済用のために一定程度はドルで保有することの動機づけとなりドル安圧力を減らす。
石油や金などコモディティーができる限りドルで決済される状態を維持することで、各国がいちいちドルを自国通貨に両替するよりも決済用のために一定程度はドルで保有することの動機づけとなりドル安圧力を減らす。従来、サウジなど産油国は石油の決済どころか自国通貨までドルペッグし、有り余るドルを米国内に投資するというような動きをしていた。アメリカが経常赤字でドル安圧力があっても巨大な経常黒字国が自国通貨のレートをドルに固定することでドル安圧力が緩和された。
・また、基軸通貨と見なされるがゆえに、通貨の弱い国では官民問わずかつての金のような感覚でドル備蓄を増やそうとするため、ドル売り圧力が減る。
と言った具合でしょうか。
 ドルが実力以上に高ければ、相対的に安いコストで資源を購入できるため、軍備・兵站も整えやすい→覇権を維持しやすいという構図だったのかも知れません(ドル高と覇権の相互依存関係という構図)。

 しかし、実力以上の通貨高により先ほどの「製造業の空洞化→金融依存→金融の不安定化&格差拡大」でこれ以上実力以上の通貨高を維持するのが困難になった。さらに、戦争疲れも重なっている。よって、軍備の維持やガンガン戦争をするということができなくなって来ており、覇権を維持し続けるのが難しい、あるいは、そのメリットが薄れてきた。とすると、基軸通貨であることも意義、メリットが薄れてきた。

 つまり、キャンディーズが引退して「普通の女の子に戻ります」というのと同様、アメリカも覇権国を止めて「普通の国に戻りたい」という動機づけが働いているとしても不思議はありません。そして、現在のアメリカ国内では「覇権・基軸通貨維持派」と「普通の国に戻りたい派」のせめぎ合いが起きているという状況なのかも知れませんが、どうでしょうかね?

 安倍政権はTPP交渉への参加や、AIIBへの不参加を通じてアメリカの「覇権・基軸通貨維持派」に積極的に貢献しようとしているように見えます。しかし、TPPに関しては「覇権・基軸通貨維持派」に積極的に貢献のように見えて、日本の交渉参加によってアメリカ覇権維持に必要不可欠なTPP成立のハードルを着実に上げ、実は間接的には「普通の国に戻りたい派」の望みどおりの結末をもたらそうとしている、と見えないこともありません。もちろん、このままあっけなくTPPが成立してしまう可能性もなくはありません。しかしそうであったとしても、安倍政権、甘利大臣は今に至るまで2年も粘っているのですから、それは結果として、当初の想定以上にTPP成立のハードルをつり上げることにつながったものと思われます。

 一市井人の私には、安倍総理の真意はもちろん分かりません。
 分かりようがないですし、仮に私のような一市井人に簡単に真意を見破られるようであれば、むしろ一国の指導者としては心もとない、とも言えるでしょう。孫子でいうところの「その勝ちを見るに、衆人の知るところに過ぎざるは、善の善なるものにあらず」(=誰にでもわかるような方法で勝つような将軍は、最善の将軍とは言えない。最善の将軍は大衆が知らないところで大衆が知らない間に密かに勝っているものである、というような意味合い)です。

 なお、私はここでは決めつけは一切しないつもりです。
 というのは、レーニンやヒトラー、ムッソリーニが活用したというル・ボンの大衆煽動テクニックである「断言・反覆・感染」の逆を行きたいからです。不安定な時代において「断言・反覆・感染」を行うのはかなりの危険を伴うと考えるようになったからであります。


 また、私は個人的には、今後仮に中国、あるいはその他の国の覇権になるとしても、軽々しくアメリカ旦那を見捨てて中国様に走るというのはいかがなものかとも思います。
 6年前、当ブログで書いた「日本、家康理論」のように、アメリカ旦那=信長旦那が本当に「高転びに、あおのけに転ばれ候ずる」までは、アメリカ旦那を支え続けるのが良い――少なくとも徹底的にそのふりをするのが良い――と思っています。そのようにすれば一度同盟すれば決して裏切らない、世界中のどの国よりも義理堅い国、日本」という実績が残ります。

 ただ、家康のように天下を取れるか、あるいは、天下を取るべきなのか、となると少し考えが揺らぎます。いまは「本能寺の変前夜」なのではなく「関ヶ原前夜」、つまり、日本の立場は家康というよりは、義理堅く豊臣側についた上杉、毛利、島津のような立場かも知れないと最近は思うからです。上杉、毛利のように120万石を30万石に減らされる憂き目に遭うことなく、島津のように所領を全面的に保全できるかどうか。それが今後の安倍政権にかかっているという段階なのかも知れません。もしそうならば、今後の日本は、次の覇権国から島津のように恐れられる存在になっている必要がある、というべきでしょうか。



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649:モンサント、WHOによる「発ガン性あり得る」判定に抗議―-「ラウンドアップ」の除草剤グリホサートに関して

2015/03/21 (Sat) 17:15
久しぶりにTPPネタであります。

まず、魅惑のISDS条項に関する重要な動きの件。


政治学者 藤井厳喜さんのツイッターをHEATさんがTogtterにまとめたところによりますと、

ハーバード大やコロンビア大の法学者たちは、TPPに含まれているISDS条項を禁止する法案の制定を議会に求めたのです。」

「例え、TPPが新政権(※廣宮注:オバマ政権の次の政権)で法制化されてしまっても、その内容を形骸化、無害化する戦いは何種類も考えられます。ISDS条項が削除されれば、国内における裁判闘争も可能となります。諦めないで頑張りましょう。この意味でもISDS条項の削除は非常に重要な動きです。」

とのことであります。
これは、藤井厳喜さんの見立てでは、

「最近の国際政治の動きを見ていますと、多国籍企業に対する主権国家の逆襲が進んでいます。この事は私が度々指摘してきたFATCAを中心とするタックスヘイブン・ネットワークの取締りはその最たるものです。」

ということで、そのような大きな流れを主題として書かれたのが、ちょっと前に当ブログで紹介しました、藤井厳喜さんの著書『世界経済の支配構造が崩壊する』というわけでありますね。





さて、次は標題の件

WHOのガン専門の研究機関である国際がん研究機関(IARC)が昨日公表したレポートにおいてモンサント「ラウンドアップ」の除草剤「グリホサート」につき、「発ガン性あり得る」という分類を行い、それに対してモンサント側が「科学的な根拠がない」と反論しています。


国際がん研究機関(IARC)の当該レポートはタダでは見れなさそうなので、RTの記事を拾い読みしてみます。


ちなみに、そのIARCのレポートのタイトルはズバリ

Carcinogenicity of tetrachlorvinphos, parathion, malathion, diazinon, and glyphosate
グリホサート(glyphosate)…の発ガン性(Carcinogenicity )



以下、RTの記事の抜粋:

Too ‘dramatic’: Monsanto shuns WHO verdict that Roundup ‘probably’ causes cancer
「劇的」過ぎる:モンサント、WHOによるラウンドアップの「発ガンあり得る」判定を退ける

http://rt.com/news/242801-glyphosate-cancer-risk-monstano/?utm_source=browser&utm_medium=aplication_chrome&utm_campaign=chrome
RT.com March 21, 2015 03:48

The active ingredient in the world’s most widely-used Roundup herbicide has been classified as “probably” carcinogenic to humans by a branch of the World Health Organization. The agrochemical giant Monsanto, has immediately rejected the new conclusions.
世界で最も広く使用されているラウンドアップ除草剤が、世界保健機関(WHO)の一部門により、人間にとって発ガン性が「あり得る」と分類されることとなった。農業化学の巨人、モンサントはこの新しい結論を即座を即座に否定した。

The International Agency for Research on Cancer (IARC), in their latest study said that there was “convincing evidence” that glyphosate in Roundup can cause cancer in lab animals.
国際がん研究機関(IARC)は、その最新の研究において、ラウンドアップのグリコサートが実験動物にガンを生じさせる「説得力のある証拠」があったと述べている。

St. Louis-based Monsanto was not pleased with WHO conclusions, claiming that scientific data does not support their assumptions and urging the health watchdog to hold a meeting to explain the findings.
セントルイスに拠点を置くモンサントは、このWHOの結論を喜ばず、科学的データはWHOの仮説を裏付けていないと主張し、WHOがこの件につき会合を持つことを促した。

“We don't know how IARC could reach a conclusion that is such a dramatic departure from the conclusion reached by all regulatory agencies around the globe,” Philip Miller, Monsanto’s vice-president of global regulatory affairs, said in a brief statement released soon after the report was published.
「我々は国際がん研究機関(IARC)がいかにして、世界中の規制当局がたどり着いた結論からこのような劇的に乖離する結論にたどり着いたのか分からない」

The study, published Friday in the journal Lancet Oncology also said it found “limited evidence” that glyphosate was carcinogenic in humans for “non-Hodgkin lymphoma.” The conclusion of the research was based on studies of exposure to the chemical in the United States, Canada, and Sweden that date back to 2001.
この金曜日に出版されたLancet Oncology 誌に掲載された研究においては、グリホサートが人間において非ホジキン型リンパ腫に関する発ガン性を持つことの「限られた証拠」が見つかったとも述べられている。この研究の結論は、2001年の米、加、スウェーデンにおけるグリホサートへの露出に関する一連の研究に基づいている。

According to the study, Glyphosate is used in more than 750 different herbicides in air dissemination during spraying, in water and in food. IARC said glyphosate was traced in the blood and urine of agricultural workers.
この研究によると、グリホサートは750種類の除草剤に用いられ、空気、水、食料に散布されている。IARCは、グリホサートは農業従事者の血液や尿から検出されていると述べている。

IARC has four levels of classifications for cancer agents. Glyphosate now falls under the second level of concern known as ‘probable or possible carcinogens.’ The other agents are classified either as carcinogens, ‘probably not carcinogenic’ or ‘not classifiable’.
IARCはガンの要因につき4つのレベルの分類を行っている。グリホサートは「発ガン性あり得る」という二番目の懸念レベルに落ちた。なお、他の発ガン要因は「発ガン性物質」、「発ガン可能性低い」、「分類不能」に分類される。



Glyphosate is mainly used on genetically modified corn and soybeans, thus the general public is unlikely to face the greatest risk of exposure, according to the report.
このレポートによれば、グリホサートは主に遺伝子組み換えのトウモロコシや大豆に使用される。それゆえ一般大衆は最大限のリスクにさらされる可能性は低い。

However, “home use” is not the issue, said Kate Guyton of IARC.
しかしながら、「家庭での使用」は問題ではない、とIARCの Kate Guytonは言う。

“It's agricultural use that will have the biggest impact. For the moment, it’s just something for people to be conscious of.”
最大限の影響があるのは農業における使用だ。とりあえずのところ、(このレポートは)何かしら人々が注意をもつようにするためのものである。」

Last month, a leading US environmental group, the Natural Resources Defense Council (NRDC), filed a lawsuit against the Environmental Protection Agency, accusing regulators of dismissing the dangers of glyphosate.
先月、米国の主要な環境団体の一つ、Natural Resources Defense Council (NRDC)は、環境保護局がグリホサートの危険性を否定していたことを非難し、環境保護局を相手取り訴訟を起こした。






上記の件につき、モンサントのホームページから、反論の一部を引用しておきます:


As recently as January, the German government completed a rigorous, four-year evaluation of glyphosate for the European Union. They reviewed all the data IARC considered, plus significantly more, and concluded “glyphosate was unlikely to pose a carcinogenic risk in humans.”
今年の1月、ドイツ政府がEUのためにグリホサートの厳格な4年にわたる評価を終えたばかりだ。彼ら(ドイツ政府)はIARCが考慮したすべてのデータ以上の著しく大量のデータを吟味し「グリホサートは人体に発ガン性リスクをもたらす可能性は低い」と結論付けている。



モンサントは真っ向からIARCのレポートに反対していますが、私が思うに、両者の主張は必ずしも矛盾するものでも無いように思われます。

IARCの主張はあくまでも農業従事者が日常的にグリホサートにさらされることによって、非ホジキン型リンパ腫に関する発ガン性があり得るというリスクにさらされるというものであり、一般人がグリホサートを用いて育てられたトウモロコシや大豆などの作物を食べたことでそのようなリスクにさらされると言っているわけではないからです。普通に食べるだけなら、モンサントのいうように「発ガンの可能性は低い」というわけです。


ちなみに、日本モンサントのホームページを見ると、多くの種類のラウンドアップ作物が日本において栽培・輸入の認可が既に下りています。

仮にTPPが成立した場合、日本の農家も競争力の維持のため、今まで以上にラウンドアップ(グリホサート除草剤に耐性のある遺伝子組み換え作物+グリホサート除草剤の組み合わせ商品)を使うことになる…かも知れません。
 仮にそうなった場合、とりあえず問題となるのは、「家庭での使用」ではなく、農業従事者の発ガンリスクがあり得るという問題ということになる…、のかも知れませんね。




【追記】
↑の「日本の農家も競争力の維持のため、今まで以上にラウンドアップを使うかも」ということに関して、北海道の内田農場の内田透さんから、フェイスブックにて以下のコメントを頂きましたのでご紹介させて頂きたいと思います:


TPP成立後競争力維持のためGmo栽培が始まるは逆だと思います。
競争力を維持するには世界的にみて零細とも言える日本の1戸当たり耕作面積では同じことやっても勝ち目はありません。
むしろ非GMOで売り出した方がまだ望みはあると思っています。
高い種を買って栽培するのもリスキーです。
もちろんラウンドアップを乱発することも今より経費がかかりると思いますし。


内田さん、農家ならではの視点からのコメントを頂き、まことにありがとうございます!


あ、そう言えば、↓こんな話があったのを自分で書いていたすっかり忘れていました

【モンサントを提訴!ブラジル農家500万人が「一度モンサントから種を買ったら永久に年会費を支払わなければならない」と。#TPP、本当に大丈夫?】

【追記終り】











さて、モンサントねたはこれくらいにしまして、以下、TPPの行く末に関する私の妄想を書いてみたいと思います。

TPPそのものに関するポイントは以下の二つ。

1.オバマ大統領、本音はTPPつぶし
詳細は以前のエントリーに書きましたのでそちらを参照してください。
 パターンとしては、「シリア攻撃宣言、のち、取り止め」と同様の“手法”かと。ガンガン推進しておいて後からちゃぶ台返しをすることにより、今後同じような話が持ち上がる可能性自体を潰してしまう、という妄想です。

2.TPP交渉の進展のボトルネックになっているTPAが成立したとしても、TPAそのものがボトルネックとなる
TPAの詳細はこちら
TPAが仮に成立した場合、上下院の担当委員会において、TPAに詳細に盛り込まれるであろう通商政策の目標リストとこれまでのTPP交渉の合意事項がどれだけ一致しているか、あるいは、どれだけ乖離しているか、という議論がかまびすしく行われることになるでしょう。そのような議論においては、平たい日本語でいうと、「なんじゃこりゃ?(松田優作風に)」というフレーズが頻出することになるのではないか、という妄想です。


この2つのポイントから類推される結論は、TPPは地球上から消滅するであろう、という妄想であります。

ここで、しっかり強調しておきますが、

これは、定説です!

じゃなかった、

これは、妄想です!



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628:#TPP 推進(?)のオバマ政権、保護主義を絶賛加速中!

2014/09/25 (Thu) 14:37
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それゆえ、マクロ経済や政治や軍事などの人間集団の仕組みと、一人の人間という「組織・集団」の仕組みのあいだには、多くの共通点や相似性があるはずです。

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↑この本についてゆるーく語り合う
フェイスブックのグループ
 「日本経済のミステリーは心理学でトロピカル」
 https://www.facebook.com/groups/1472415033007299/
 フェイスブックにアカウントをお持ちの方はふるって上記のグループにご参加して頂ければ、と思います(いまのところ、参加要請があれば「来る者拒まず」の方針でメンバーになって頂いております。※いまのところ、週一回ほど何か書いています^^

↑この本の「書評」を書いて下さっているブログの一覧はこちら


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TPPを一応「推進」しているオバマ政権と、TPPに後ろ向きな民主党連邦議員団が足並みをそろえて、TPPの理念とは正反対の「保護主義」の方向に突き進んでいるご様子であります。




米「自国製の優先を」 政権と議会が足並み
進出企業に懸念 TPP交渉に影


日経新聞 2014年9月25日 朝刊 6面

【ワシントン=矢沢俊樹】米国のオバマ政権と議会が、国内の公共交通で使用する資材などの調達で米国製品を優先させるバイ・アメリカン(米国製を買おう)を推し進める動きを鮮明にしている。11月の中間選挙を前に保護貿易主義ともいえる内向き志向を強めれば、米国に進出する企業が影響を受ける。難航している環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉にも影を落としそうだ。

 「とんでもない条項だ」
 「米国市場から外国企業を締め出すつもりか」
 日本政府や米国に進出した運輸企業の関係者は憤る。やり玉にあげるのは米運輸省が今年夏までに議会に提出した陸上交通インフラ整備計画法(グロー・アメリカ・アクト)案に盛り込まれたバイ・アメリカン条項だ。

 米連邦政府が資金を拠出する鉄道などの公共交通網の整備で、米国産品の使用を義務付ける比率を現行の60%から原則100%に引き上げる方針を打ち出した。この法改正が実現するかどうかは不透明だが、外国企業が受ける衝撃は大きい。

 例えば、日本の輸送機メーカー。米国市場で鉄道車両を売る場合、日本に拠点を置く開発などの試験設備や製造・組み立てライン、人材をほぼすべて米国に持ち込み現地化する必要が生じる。1年ごとに現地化の達成比率が高まる仕組みなので投資計画が立てにくい。「全資材を米国で調達することは極めて困難で非現実的だ」(関係者)

 米国への進出を検討する日系の大手インフラ企業の幹部は、この法案の100%ルールが厳格に運用されれば「北米戦略を事実上、白紙に戻さざるを得ない」と話す。

 米国で鉄道事業を展開する重工メーカー、ボンバルディア社などを抱えるカナダ政府や欧州委員会(EC)は米政府に強く抗議した。日本も「深い懸念」を伝えたもようだ。

 だが、雇用の伸び悩みや国政選挙の節目では議会で保護主義が強まりやすい。与党・民主党の苦戦が伝えられる中間選挙を控え、オバマ政権もバイ・アメリカンを強化することで民主党系の労組や議会の保護貿易派に配慮する構えだ。

 議会ではさらに、米国の旅客・貨物輸送などに関する商船法(ジョーンズ・アクト)を強化する動きも浮上している。

 現在、米国の内航船には同法によって外国製船舶を事実上、導入できない。米国人船員の乗船義務付けといった同法の規定を、エネルギーなどを国外に運び出す外航船にも適用する構想などが俎上(そじょう)に上っているという。北米産のシェールガスなどの輸入を目指す日本のエネルギー戦略や海運業にも影響しかねない。外国との間で火種が尽きない。

 「いかなるTPP加盟国に対してもバイ・アメリカンは放棄しない」。7月末、下院の民主党を中心とする超党派議員はオバマ大統領に宛てた書簡でバイ・アメリカン条項の堅持を要請した。TPPの交渉当事者である米通商代表部(USTR)は「TPPで外国向けに米連邦や州の政府調達の門戸を広げる約束は一切していない」と表明し、議会対応に追われた。

 TPPでは米国の自動車大手や農業団体などの対日圧力が一段と強まっている。TPP交渉を巡り「時間が経過すればするほど日米合意は遠のく」(日本政府筋)という懸念が強まっている。

 ▼バイ・アメリカン条項 公共性の高い事業で米国製の部品・製品の使用を義務付ける国内企業優遇策のこと。原型は大恐慌時代の1930年代に誕生した。近年では金融危機後の2009年に成立した景気対策法に同条項が盛り込まれ、外国企業への業務委託を制限する方針を打ち出した。

 グローバル化に反対する労働組合などロビイストの働きかけが背後にある。世界貿易機関(WTO)の政府調達協定に抵触する可能性がつきまとうほか、外国の報復措置発動を懸念する米産業界では慎重論も根強い。




一応、「この法改正が実現するかどうかは不透明」ということですが、米運輸省(オバマ政権)、議会民主党は、保護主義まっしぐらなご様子です。


以前、

「アメリカさん、本気でTPP進める気はあるんですか?」という雰囲気で一杯のような気もしないではありません。
(2013年6月3日)

とか、

実はオバマさんがTPPに「本腰」を入れるつもりが、本音ではなかったのかしら、などと妄想してしまわないでもありません。
(2014年1月30日)

と書いていました。


つまり、オバマ政権は本当はTPPを進める気がないのではなかろうか、という疑惑であります。

そのような仮説というか疑惑についての状況証拠

・大統領になる前の2007年の大統領選キャンペーンで「グローバリゼーションは格差拡大になる」という趣旨の演説をし、当時の民主党選挙公約でもISD条項のようなものが入ったFTAをこれ以上締結しないとしていたこと。

・本来、TPPなどのFTA交渉に入る前に可決させておくべきTPA法案を、2011年9月に上院で否決されて以来、2年以上も放置プレイしていたこと(いまや、もう3年経過してもいまだ可決できていない!)

・TPPの交渉担当省庁であるUSTRのトップとNo.2が相次いで辞任し、数か月もトップ人事が迷走し、共和党のハッチ上院議員から「Today, morale at USTR is at an all-time low.
今日、USTRの士気は、かつてないほどに低い」と揶揄されていた
こと

といったことが挙げられますが、今回のオバマ政権による保護主義推進の記事が出て来たので、さらに状況証拠が固まってきたという具合でありますが、どうでしょうね。


今日の日経新聞朝刊の同じ紙面の5面には

「TPP、牛豚肉で再攻防 日米閣僚協議」

というタイトルの記事が掲載されていましたが、そのまさに同じ一枚の紙の裏側に掲載されている、上記の6面の記事を見ると、何かのアメリカンジョークとしか思えないのですが、気のせいでしょうか?


前回のエントリーで「戦争の勝利には『国民の士気』の維持が極めて決定的な要素」という趣旨のことを書きましたが、メリカにおけるTPP推進の「国民の士気」は相当低いように見受けられます。

TPPがポシャるというのは、アメリカの覇権終焉とセットになる可能性が高いため、日本の安全保障のことを考えると若干複雑なアレもあるのですが…



 頑張れ、民主党!(もちろん、アメリカの)

 TPP、すったもんだで、さようなら!



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610:#TPP 「共和党議員団がTPA前の合意認めず」⇔「TPP協議『頂上が見えてきた』」:2つの矛盾する見出しの産経記事から導き出せる仮説→「TPP、終了(?)」

2014/07/22 (Tue) 13:44
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今回は更新の予定がなかったのですが、TPPに関して、産経で興味深い記事が出ていたので、おもむろに更新することとしました。

#なお、前回コメントを頂きました皆様、ありがとうございます!!!



-----

TPP協議「頂上が見えてきた」 進展には不透明感も
2014.7.16 MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140716/fnc14071619050012-n1.htm


【ワシントン=小雲規生】環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の日米協議で、訪米中の大江博首席交渉官代理は15日の記者会見で「霧が晴れてきて、頂上が見えてきた」と述べ、日米の相互理解が進んでいるとの見方を示した。ただし、日米間の溝が大きい分野が残されていることも事実で、協議の進展に不透明感も残されている。

・・・

-----


いろいろ難しい課題も残っているが、

頂上が見えてきた、と。

さて、その頂上から見える絶景とはいかなるものでしょうか?

アメリカ共和党議員団がそれはもう、なかなかの「絶景」を見せて下さりそうな気配です:


-----

米下院歳入委員会 共和党議員団がTPA前の合意認めず TPP交渉で
2014.7.18 MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140718/fnc14071810580004-n1.htm

【ワシントン=小雲規生】米国の通商交渉に強い影響力を持つ下院歳入委員会の共和党議員全23人は17日、米通商代表部(USTR)のフロマン代表に対し、通商交渉に際して大統領に強い権限を与える「貿易促進権限(TPA)」法の成立前に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)についていかなる合意もしないよう要望した。

 議員団はフロマン代表あての書簡で、TPAは交渉相手に対して米国が一枚岩であることを示すものだとして、「TPAがなければ、米政府は強い立場をとれない」と主張。またオバマ大統領が6月にTPA法案成立のめどがないまま、11月までの合意を目指す方針を示唆したことを批判し、TPA成立前に他の交渉国と合意に至った場合は、合意が原則に絞った限定的なものであったとしても、「TPPを支持しない」としている。

 1月に上下両院に提出されたTPA法案は、大統領に他国と関税削減交渉を行う権限を与えるなどする一方、議会が交渉中の協定文書案に対して要望を出せるなどの条項も盛り込まれている。TPA法案は民主党のリード院内総務が反対するなどして、審議が進まない状況が続いている。

-----

共和党はどちらかというとTPP推進、と思われます。
例えば、そもそもTPPをアジア太平洋地域の安全保障政策の一環として構想し始めたのは、民主党オバマ政権ではなく、共和党ブッシュ政権であったことにもそれが現れているようにも、思えます。


その共和党が多数を握る下院の、貿易交渉を担当する歳入委員会の議員らが、

-----
オバマ大統領が6月にTPA法案成立のめどがないまま、11月までの合意を目指す方針を示唆したことを批判し、TPA成立前に他の交渉国と合意に至った場合は、合意が原則に絞った限定的なものであったとしても、「TPPを支持しない」
-----

としているわけです。

ここで興味深いのは、
どうやらオバマ大統領は、そもそも共和党によって発案されたTPPを、共和党が望むような形では、進めていないようだ
という点にあります。

次の中間選挙(今年の11月、ちょうどオバマさんがそれまでにTPP合意したいとしている時期に行われる上下院の選挙)で、共和党が下院のみならず、仮に上院でも過半数を取れば、TPAが成立し、TPPがそのTPAで定められた方針に沿って再交渉される、という運びになるかもしれません。
というのは、再交渉させるつもりがなければ、下院歳入委員会の共和党議員らが、TPA成立前のTPPの交渉妥結などするな、とクレームを入れることは、無さそうに思えるからです。

共和党が上下院ともに過半数を取った場合には、共和党の望む形のTPPとは違う形でTPPを進めて来たオバマ大統領がどのような行動を取るか、非常に興味深いところです。
そのオバマ大統領の任期は2017年初まで続きます。

また、そのような再交渉となった場合、「ちゃぶ台」をひっくり返される形になるであろう、日本を始めとする米国以外のほかの10か国がどのような反応をするか、という点も興味深いところです。


そうなると、安倍政権としては、TPP交渉を抜けるのによい口実ができることになるでしょう(もし、その意思があれば、ですが)。

「いままでの合意事項を一旦チャラにするってんなら、次の選挙勝てませんので、勘弁して下さいな。ワシらが政権を
失ったら、お宅ら(共和党の皆さん)もやりにくいんとちゃいまっか?」

安倍首相の本音がどこにあるか、私には知る由もありません(そもそも会ったこともない人物の本心など分かるはずもありません)が、いまのところ、上記のようなアメリカの情勢を踏まえると、「好ましい」方向に進んでいるように見えないこともありません。

-----
【THE改造】
「論功行賞」の意味変化 実績あげた実力者は当確?
2014.7.21 MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140721/plc14072114220008-n1.htm



「日本は今、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉で最大限の譲歩をしている。だから難しいことを言わず、共同で前進しましょうよ」

 訪米した自民党の西川公也TPP対策委員長は15日(日本時間16日)、ワシントンで米通商代表部(USTR)のフロマン代表と会談し、難航する日米間の関税交渉で米側の譲歩を促した。

 閣僚のフロマン氏が日本の政党関係者と会談するのは異例。しかも激務の中で1時間近い時間を割いた。自民党幹部は「西川氏が政府内で重用されると踏んだからだ」と分析した。


-----

この交渉、あるいは、駆け引きにおいて、安倍政権、あるいは自民党が頑張れば頑張るほど、共和党にとって好ましくないTPPになってゆき、次の中間選挙で共和党が上下院ともに過半数を取った場合において、TPPは「ドツボ」にハマって行くような格好になってゆくように思われます。

また、上院の選挙情勢はいまのところ、共和党と民主党がどちらが過半数を取るか、ちょうど拮抗している状態ですが、仮に民主党が辛うじて過半数を維持した場合は、それはそれで従来通り、上院民主党がTPPの成立を遠のかせるものと思われます。


というわけで、いまのところ

「霧が晴れ、頂上が見えてきた」TPP交渉における、その頂上から見える景色は「TPPの消滅」

という具合になるのかな、と思う今日この頃であります。

ただしTPPが消滅するとなると、それは昨年9月の「シリア攻撃未遂事件」と並ぶ、アメリカによる覇権の終焉の明確なサインとなってしまうかも知れません。
そうなれば、日本の政治経済情勢はますます混沌とした状態になるやも知れません。





 それはそれで、

 歴史的大イベントを

 リアルタイムで目撃できる

 ということになるから、

 それはそれで一興か?



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608:組み換え食品の表示義務化=バーモント州が米国初【時事通信】→2年前、モンサントさんの“圧力”で採決が延期されていた案件が進展した模様: #TPP 関連のフォローアップ

2014/04/25 (Fri) 11:00
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TPPに関して、日米首脳会談で決着がつかなかったことでは、以下のように、話題沸騰(?)になっています:


日米異例の延長協議 TPP、豚肉関税など詰め
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2405A_U4A420C1MM8000/
日経新聞 2014/4/25 1:27



日米TPP合意なく市場は失望、「第3の矢」の期待感後退
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0DA0C120140424
ロイター 2014年 04月 24日 16:46 JST



が、
私個人としてはTPPは終わったコンテンツ、略して、オワコン、「お前はもう死んでいる。YouはShock!!!」(by ケンシロウ)という認識(注※)でありますので、今般の日米首脳会談でTPPがどうなるかはそれほど気にしていませんでした。

(注※ 外れていたら、ごめんなさい、としか言いようがありませんが!)


で、
個人的には↓こっちのほうに驚いたというニュースが、地味に時事通信で報じられていたのでご紹介:


----

組み換え食品の表示義務化=バーモント州が米国初
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014042500191
時事通信 (2014/04/25-09:43)

 【シカゴ時事】米バーモント州議会は24日までに、遺伝子組み換え(GM)作物を使った食品について、表示を義務付ける法案を可決した。2016年7月1日に施行される予定。GM作物の生産が世界最大の米国で、表示義務化は初めて。米メディアが伝えた。
 同州のシュムリン知事は「食品の中身を知ることができる初めての州になることを誇りに思う」と述べ、法案に署名する考えを表明した。
 米国では、トウモロコシや大豆など多くの作物でGM品種が導入されており、全世界のGM作物栽培面積の4割を占める。GM作物は、害虫に強く、生産を効率的に増やせるといったメリットがある半面、安全性への懸念も根強い。

-----


この表示義務の件、
2年前にロシア・トゥデイ(RT)の記事を当ブログで紹介していました。


-----以下、当ブログの過去記事の引用です-----

Monsanto threatens to sue the entire state of Vermont
モンサントが「バーモント州を訴える」と警告

http://rt.com/usa/news/monsanto-sue-gmo-vermont-478/
07 April, 2012

Lawmakers in Vermont are looking to regulate food labels so customers can know which products are made from genetically modified crops, but agricultural giants Monsanto say they will sue if the state follows through.
米国バーモント州の立法者たちは、遺伝子組換え作物由来の食品かどうか消費者が知るための食品表示を規制することを模索しているが、モンサントは州がその法案を通せば訴訟を起こすとの声明を発表している。

→TPPに関わらず、日本では遺伝子組換え食品の表示が存続し続けることを願います。


ちなみに、この「表示義務」の件、上の「モンサント、農家を汚染したと訴訟される」の記事で後日談があり、

Monsanto made waves last week after RT reported that the corporation announced that it would sue the state of Vermont if legislators there approved a bill that would force companies to label food stuffs that are made from genetically modified crops. Following a warning from Monsanto, the state suspended voting on the measure.

法案の採決はモンサントの警告に従って延期された

とのことです。

-----引用終わり-----



というわけで、モンサントさんの主張が今回、覆されたということになろうかと思います。

いや、今後、モンサントさんがバーモント州を訴えるのかどうか、というところが注目点でしょうか?


※「遺伝子組み換え作物は安全」という根拠について以前、コメント欄で教えて頂いたことは、以前の当ブログで紹介させて頂きました。ただ、仮に安全なのであっても、選択の自由は保証して欲しいので、私個人的には遺伝子組み換えの表示義務は必須と考えています。




 とりあえず、バーモント州議会が

 モンサントさんの“圧力”に屈せず

 組み換え食品の表示義務化を可決したのは

 朗報かな?



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603:#TPP 米国で「空中分解の危機」と産経、「メドが立たない」と日経が報道--私の1年ほど前の見立て通りの状況ですが、最近は大手マスコミも同様の見立ての模様

2014/01/30 (Thu) 15:01
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当ブログでは、1年ほど前から「TPPはアメリカでぶっつぶれる可能性が低くない」という見通しを立てておりました。

また、「TPPは、WTOのような、あとから新しい参加国を迎えることができる“living agreement”あるいは“dock on”という機能をもつ協定なので、今、日本が参加しなくてもTPPが成立した場合は参加圧力が加わり続ける。よって、あえて日本が参加表明することでTPPがアメリカでぶっつぶれる圧力が高まる、という見方も成り立ち得る」という考えも示していました。

例えば、以下のエントリーです:

オバマ氏再選、TPP、欧米FTA、財政の崖…:過半数を確保した上院民主党が #TPP の日本参加に歯止めをかけることに期待したい、今日この頃です - 2012/11/08 (木) 11:18

#TPP 最善は「オバマ大統領と安倍総理の良好な関係だけを残して、TPPはまるごとこの世から消滅してしまうこと」
2013/02/28 (Thu) 13:48

#TPP をぶっ壊せ!
2013/03/17 (Sun) 19:05

#TPP が「安全保障」という《言語明瞭、意味不明》な話の意味を、中東情勢とオバマ政権の外交方針から読み解いてみます
2013/03/23 (Sat) 23:41



さて、最近は忘れられがちなTPPでありますが、今月上旬に米連邦議会で、TPPやEUとのFTA交渉のために、憲法上議会がもつ通商条約交渉権を大統領に委託するための法案、TPA(大統領貿易促進権限)法案が提出されたことで新聞報道も少し復活しています。

で、特筆すべきは、1年前には考えられないような、「TPP、アメリカでぶっつぶれるんじゃないの?」というニュアンスの報道が大手新聞でなされるようになったことです。
(これはマスコミ批判を意図して書いているわけではありません。私もブログで書いた見通しが間違えたことがあったし、人のことをとやかく言えるものでもないからであります。ただ、事実関係を整理しようと試みているだけ、という具合に捉えて頂ければと思います。)



さて、例えば毎日新聞


TPP:米は大統領に一任へ オバマ政権には追い風
毎日新聞 2014年01月05日

↑タイトルこそ、なんかTPPが進みそう雰囲気ですが、結びはこんな感じです。


「一方、米議会内には、円安を背景とした日本車の輸出増に懸念を示す米自動車業界の意向を受け、「為替に関する条項が含まれないなら、TPA法案に賛成できない」(民主党下院議員)との声もある。民主党を中心に、TPPそのものに慎重な議員も多く、TPA法案の早期可決はなお予断を許さない。」


…あ、いや、毎日はそれほどでもないですね。

では、産経のこんな刺激的なタイトルの記事:


TPP、空中分解の危機 「次が駄目なら大変なことになる」
MSN産経ニュース 2014.1.12


そして、本日の日経新聞:


米「TPPで成長」へ背水 大統領 一般教書演説
日米協議難航、日程は綱渡り 議会対策がカギ
日経新聞 2014年1月30日7面

オバマ大統領は28日の一般教書演説で、2期目の最優先課題と位置付ける環太平洋経済連携協定(TPP)の妥結に改めて意欲を示した。TPP交渉促進に必要な大統領貿易促進権限(TPA)法案への超党派の協力も要請。ただ、日米協議難航の影響などで日程はすでに綱渡りで、大統領の協力な指導力抜きに膠着を打開できるメドは立たない状況だ。



だが、最大の注目を集めたTPA法案を巡ってオバマ氏は「超党派のTPAなどで協力する必要がある」とだけ述べて肩すかし。TPAは政府が結んだ通商協定を議会が一括して承認する法律。TPP最終協議を前に関係国は事実上、米議会の承認待ちの状態だ。

議会内の賛否は、TPPを含む通商自由化に前向き野党・共和党に賛成派が多く、逆に与党・民主党は慎重が多数という「ねじれ」だ。

共和党指導者のベイナー下院議長は、同党が過半を占める下院でも50人ほどの民主党議員の賛成が必要とオバマ氏に対応を迫っている。民主党内の環境重視派や労働組合系といったTPA・TPPの反対勢力を「オバマ氏が泥をかぶって説得しない限り成立は無理」(米政府筋)という。

TPA法案には為替条項や知的財産、国有資産改革などTPPでも争点となる重要な懸案が盛りだくさんだ。TPP関係国は2月中にもTPP閣僚会合を開き、大筋妥結の決着に持ち込む段取りを描く。オバマ氏がどこまでTPAで議会折衝に本腰を入れるかが、TPP交渉全体の行方にも大きな影響を及ぼしそうな雲行きだ。







うーん、日経記事では

「オバマ氏がどこまでTPAで議会折衝に本腰を入れるかが、TPP交渉全体の行方にも大きな影響を及ぼしそうな雲行きだ。


とありますが、もしオバマさんが「本腰」を入れるつもりなら、前回、2011年9月にTPA法案が上院で否決された後、もう一度すぐにでも取り掛かるべきだったのではないか、と思われます。
2年4ヶ月も放置プレイしていたのは、実はオバマさんがTPPに「本腰」を入れるつもりが、本音ではなかったのかしら、などと妄想してしまわないでもありません。

また、本当にTPPを成立させたかったなら、TPAが成立してから交渉に入っても良かったはずなのに、なぜそうしなかったのか、という疑問も残ります。


その原因は、米議会調査局の報告書にある以下の記述

ジョージ・W・ブッシュ大統領の下、アジアにおける既存の同盟国との関係強化に重点を置き、この地域における、より柔軟で維持可能な軍事プレゼンスの方向への動きを開始した。
それは、韓国とのFTAを結実させ、合衆国のTPP交渉への参加をもたらし、インドやベトナムとの新しい連携を徐々に進めさせた。
これらすべてのステップは、オバマ政権によってさらに進められた。

というようなところに見て取れるのかもしれません。

つまりは、TPPが、アジア重視路線の一環としてブッシュ政権下で決められた方針にのっとったものを、オバマ大統領--大統領になる前は従来の自由貿易協定に反対の姿勢を示していた--が、なぜか引き継いだものだった、という辺りです。


まあ、あまりこれ以上突っ込むのは止めにしましょう。


それはそれとして。

上記のようなTPPについてアメリカで、「空中分解の危機」(産経)、「メドが立たない状況」(日経)と大手新聞の記事に書かれるようになったのは、1年前なら私も手放しで喜ぶ状況だったのですが、いまとなっては、痛し痒しというべきところです。

というのは、「TPPがアメリカでぶっつぶれる」という状況は、前回詳しく述べたような、「アメリカが世界の盟主の座を降りようとしている」という大きな流れの一環である可能性が高いからです。
この大きな流れは、残念ながら、日本にとって厳しい激流となる可能性が高い、と言わざるを得ないのであります。




それはそれとして、



 TPPがアメリカで

 『空中分解』とか

 『大統領、背水』とか

 『メドが立たない』というように

 大手新聞社が書き出すとは、正直

 驚いた!!!



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591:#TPP 米、日との関税二国間協議拒否→自民公約のTPP交渉参加の前提条件、崩れたか?(自民党を批判したいわけではありませんが!)

2013/08/07 (Wed) 10:59
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国債を刷れ新装版表紙

「国債を刷れ!新装版-これがアベノミクスの核心だ」







ただでさえ夏バテ気味の人が多いと思われるこの酷暑のなか、TPPに関する、夏バテを促進しそうな「あちゃー」というニュースです。


-----
米、日本とのTPP関税協議拒否 他の10カ国と連携か
http://www.47news.jp/CN/201308/CN2013080601002436.html
2013/08/06 22:17 【共同通信】

 環太平洋連携協定(TPP)交渉の最大の焦点となっている農産品や工業品の関税をめぐり、米国が8月下旬の次回交渉会合では日本との2国間協議に応じない姿勢を示していることが6日、複数の関係者の話で分かった。日本を除く10カ国との関税交渉を先行させ、10カ国とともに日本に高い貿易自由化率の達成を迫る戦略とみられ、政府は警戒を強めている。

 ブルネイで22~30日に開かれる交渉会合では連日、関税に関する2国間協議が行われる見通し。政府は米を含む11カ国に個別協議を申し入れる方針だが、米が拒否を貫けば日本の出遅れが明白になる。政府は米以外との国との連携を検討している。
 
-----

「米国が8月下旬の次回交渉会合では日本との2国間協議に応じない姿勢を示していることが6日、複数の関係者の話で分かった。」

とのことですが、これが確定した場合、非常にゆゆしき問題です。

以前、2月中旬の安倍総理訪米に伴う日米共同宣言の後、3月中旬の安倍総理によるTPP参加表明の前という時期、当ブログではその日米共同宣言と米議会調査局レポートを踏まえて、次のようなことを書きました。


-----
さて、5日前の23日のエントリーで、私はこれまでの「6項目の公約があるから、参加表明はまずあり得ない」としていた判断が間違っていたと謝罪し、これは参加表明に進むようだ、という考えに転換しました。


その最大の確証は、上に書いたような、米議会調査局の「ヌードル・ボウル」の記述です。

関税問題に関してはAPEC首脳声明のような「すべての分野における包括的で野心的な関税障壁および非関税障壁の撤廃」で進めれれており、原則として全部例外なく関税撤廃と思っていたので、それに基づいて「自民党政権による参加表明は極めて困難」と考えていました。

しかし実態は、他の参加国は必ずしもそうではありませんが、少なくともアメリカはTPPにおいてそんな方針を脇に置き、ちゃっかり二国間交渉をやっていたわけです。

これなら当然、「聖域はあり得る」ということが大前提になるわけです。

そうすると、これはもう残念ながら「交渉参加推進」になるしかない、と考えたのであります。
-----


TPPの「関税や非関税分野の“野心的”撤廃」の理念はさておき、アメリカは実際には「ヌードル・ボール」と揶揄される二国間協議を行っている。

それゆえ、自民党の衆院選(2012年)の公約6条件の一つ、

【政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。】

を守りながらTPP交渉に参加することが、理論的に可能である。

よって、交渉参加は公約違反とはならない。

…という論法が理論的には通っていたため、安倍総理はTPP参加表明をすることになるだろう、というように私は「予測」を変えたわけです。


ところが、今回の共同通信記事にある

「米国が8月下旬の次回交渉会合では日本との2国間協議に応じない姿勢を示している」

ということが確定した場合、その大前提が消滅することになります。


でもその場合、日米共同宣言にある

「両政府は、TPP参加への日本のあり得べき関心についての二国間協議を継続する。」

を盾に「交渉」することもできる、かな…。

いや、でもこの文章、よく見ると「日本がTPPに参加するまで」のことを「二国間協議」すると書いているだけ(英語の原文もそんなニュアンス)であって、日本がすでに参加してしまった今の状況には及ばなかったりして…。

とにもかくにも、自民党の先生方には、昨年の衆院選公約を遵守して頂きたいというほかはない、といったところであります。



いずれにせよ、当ブログの結論はいつもと同じであります:




 TPP、

 すったもんだで、

 さようなら



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589:「TPP:史上最凶の貿易協定」とアメリカ人の記者が言っています

2013/07/03 (Wed) 19:03
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フェイスブックの「TPPって何?」グループに大変興味深い投稿がありましたので、投稿者の石塚様の承諾を得て、以下、転載します。
(多少、文言の改変・修正を行っていますが、それもご本人に承諾済み)
(→訂正:「多少」のつもりが、結局6時間かけてかなり大幅に修正しております…)







---転載始め---

Huffington Post(米国)のJeanine Mollof記者(廣宮注:下記記事リンクの下のほうにあるプロフィールを見ると、本業は「コミュニケーション障害のある人々専門の教育者」で、記者は「夜間アルバイト moonlight」だそうです)が英国のUK Progressive紙に投稿した米国内のTPPに関わる政治情勢のレポート。

かなり過激な表現だが、米議会とオバマ政権の関係が理解できる。特にTPPのISDS条項とTPA(貿易促進権限)の獲得問題が中心的話題。(この過激な表現を米国の報道に投稿するのが問題になり、英国の報道に投稿した可能性もある。)

この記事に名前のあがるワイデン上院議員、イッサ下院議員、グレイソン下院議員、ウォーレン上院議員など、USTRがTPP資料アクセスを制限している方々がいるが、実際は、一部の議員(秘密結社の)しか見ることができないと思われる。4月末訪米した国会議員や前議員の方々もそのように報告されている。

特に、貿易協定審議は、上院財政委員会の下の国際貿易・関税・グローバル競争小委員会(ワイデン小委員長)から始まり、財政委員会に上がり、本会議審議と上がって行く。管轄権を持つ議員にアクセスを許さないことは、考えにくいが、いずれテキストを議員に見せれば、グレイソン議員が言うように「厄介なこと」になるだろう。
以下、冗長な表現を省略し概要を紹介する。なお、意訳、誤訳ご容赦を。

http://www.ukprogressive.co.uk/tpp-the-most-dangerous-trade-contract-youve-never-heard-of/article22844.html


TPP;聞いたこともない最も危険な貿易契約(概要)
TPP: The Most Dangerous Trade Contract You’ve Never Heard Of
UK Progressive Business & Economy by Jeanine Mollof June 26, 2013 7:00 am





 TPPについては、一般に知らされていない。オバマ政権と企業幹部(廣宮注:原文はthe Obama administration (and its corporate bosses) →オバマ政権と、そのボスという感じです。企業が主、政権が従というニュアンスでしょうか)はその状態を保ちたい。
 主要メディアは、我々の国家と州及び地方の主権を企業の利益に引き渡す、このいけすかない鼻つまみものの取引について、知らせずにいた。秘密主義的企業サークルで知られているTPPは、ハリバートン、シェブロン、ファーマ、コムキャスト、米国映画協会(MIPAA)など600社の貿易代表によって考案された反民主主義の攻撃である。

秘密要因…『国家安全保障』の影に、TPPの反民主主義的な力を隠す…

(省略されていた段落を補充しておきます:
 TPPは、「1%に」よる最新の発案物である。交渉は毎度、準軍事組織チームと武装ヘリに警備された
 場所で、秘密厳守のうちに行われている。)
(→廣宮注:ほ、ほんまかいな!
  ここで「準軍事組織チーム」と訳したのは、paramilitary teams という言葉です。
  例えば、ロサンゼルスタイムズの記事で、パキスタンなどにいたアルカイダのメンバーを
  CIAのparamilitary teamsが攻撃した、というような使い方がされています)


「大量欺瞞兵器(廣宮注:大量破壊兵器のパロディーでしょう、きっと。)」は、議会制民主主義を企業支配体制に引き渡すために設計されている。TPPは2008年以降秘密裏に交渉され、現在、17ラウンドで完成に近い。

オバマ大統領は、カーク前、フロマン現USTR代表に交渉を議会と市民から隔離するために、「国家安全保障」の名のもとに不法なベールで覆って付随する情報を機密指定とすることを許した。



最終的に批准されたとき(あるいは交渉不成立となったとき)から4年間、最終条文を除いて、公文書や関連文書を秘密にするとの交渉国の合意がリークされた。

600もの企業幹部が全ての文書を閲覧できるが、議会は、議論も調査も閉め出された。

議会が締め出される

議会は、交渉にも招かれず、議会のメンバーがテキストの閲覧を制限され、関連する交渉部分や本文の専門スタッフを使うことも許されない。記録も許されない。

国家、州、地方政府を三人の私的弁護士の秘密の仲裁所に引き渡す取引においては、企業関係者だけは「国家安全保障」という名のバチ当たりな祭壇の上で、免責という祝福を受ける。(一方で)秘密を漏らしたものには、議員といえども「国家の敵」として処罰――現実の可能性として刑務所行きとなる――を受けることになるだろう。

「企業のクーデター」に疑問を投げかけた連邦議会のリーダーらは、少数ながら、颯爽であり率直であった。ワイデン上院議員(オレゴン)がその「突撃 charge」を指揮し、ウォーレン上院議員(マサチューセッツ)、グレイソン下院議員(フロリダ)らが続いた。

ワイデン上院議員はアクセスを拒否され…秘密性に警鐘を鳴らした…

ワイデン議員はこのテキストのアクセス権を与えられていない。
ワイデン議員は財政委員会の下の国際貿易・関税・グローバル競争小委員会の委員長で、TPPのような通商協定の管轄権を持っている。

ハリバートン、シェブロン、ファーマ、コムキャスト、米国映画協会などの企業の代表が交渉の詳細について相談を受け関与しているにも関わらず、多くの議員はTPP交渉の要旨ですら秘密にされている。

ワイデン議員は、USTRに繰り返しテキストの閲覧を求め、スタッフへのセキュリティ証明書発行を求めているが、受領して2ヶ月経っても閲覧できない。

ワイデン議員は、大統領に国際貿易の規定に関する議会の権限を思い出させた。

合衆国憲法第一節第8条は、貿易協定の交渉権限が議会にあり、特権階級ではなく米国民の利益を考慮することが建国の父祖の意向であった。

現在、少数の議員が協定にアクセスできる。また、特権的な少数の企業ロビイストが、我々の経済に最終的な打撃を与え、我々の民主主義を企業の利益に引き渡す、その協定に自由に入力できる。


何故秘密なのか

TPPが正当な取引なのであれば、なぜ先例がないくらいに秘密性が高いのか。
ダレル・イッサ下院議員、ワイデン上院議員、グレイソン下院議員のような議員が閉め出されているのか。国家安全の機密指定の濫用は、ブッシュ政権で「影の大統領」と言われた実力者であったカール・ローブが、売春宿に入った女学生並みに顔を真っ赤にするくらい、ばかばかしいレベルである。

グレイソン議員は、電話インタビューで、秘密性とTPPのひどい内容について次のように述べた。
「USTRは、何をしているかよくわかっていた。光を当てられたら多くの厄介なことが出て来るだろうと。」
グレイソン議員は公式的な閲覧申請6週間後にテキストへの限定されたアクセスを許された。少しのかなり限られたテキストを閲覧したあと、TPPについて暴露した。

「…機密漏洩は禁固刑になると人々を脅すことによって秘密を保持しようとしている。一方、500人の企業ロビイストは処罰の対象とならない。」

グレイソン議員は率直で正直だ。TPPが立法されるようになる場合、我が国への影響への効果をたずねると、
「TPPは、我々の民主主義を廃止する基本的な手順であることが証明される。TPPの国際仲裁は、政府に対する5段階の確立された法廷制度を多国籍企業の利益のために通知する代替システムに置き換わる」と答えた。

またグレイソンは、TPPは貿易と関係ない問題にも拡張される、と付け加えた。また、彼は、TPPは「多くの人が関与しない金融や、健康、安全、組織化権利、基本的人権および進歩的価値を損なうほど、多国籍企業への恩恵は、貿易の範疇をはるかに超えて拡張される」も言った。

USTRのこれらの情報の機密扱いにより、皮肉にもグレイソンらは、TPPの危険性を説明することができない。

グレイソンらの公正で合理的な議論にも関わらず、オバマ大統領のもとにあるUSTRは、心を動かされないままでいる。実際、オバマ政権は10月のTPP合意を目指し、議会に一括採決を要請しようとしている。これは企業の要求に一致している。


主権侵害の完成に邁進

国家から企業への権力の移行に加え、交渉チームは有意義な議論や検証を行う前に文書を確定しようとしている:
「TPPは米国史上最大の自由貿易協定になる。米国、日本を含む12ヶ国は世界経済の40%をカバーする。そして、後日他国が参加できる『ドッキング・メカニズム』を含んでいる。17ラウンドのペルー交渉は5月に終わり、オバマ大統領が設定した10月の期限に向けて彼らは仕事が終了するように競争している。」


ファストトラック と企業所有メディアの報道管制

17ラウンドにわたる交渉を主要メディアが報道しなかったことは、疑惑を深めるだけだ。オバマ大統領は、あらゆる実質的調査や議論を行わず、できあがった文書を議会が一括採決をして通過させるファストトラック権限を推進している。ファストトラック権限は、ニクソン成権にさかのぼり、大統領が承認し署名した法律のどんな部分にも、議会が勉強し、議論し修正することも許さない。オバマ政権は、議会に白紙委任状を求めるため、ファストトラックを悪用しようとしている。TPPは民主的に選ばれた我々の政府から権力を取り上げ、国際企業の仲裁所に引き渡す。


権力はTPPを通して企業に与えられる

TPPは、上院に承認されオバマ大統領により署名されるならば、複数の米国法を無効にする、それは、「企業法人格」の具体的な実現であり。専制君主か皇帝である「企業法人」を定める。

企業ロビイスト達により交渉され、実質的議会審議や公的な監視がない、TPPは多国籍企業に最終的な拒否権を与える。米国を含む加盟国は、法人の権限を妨げる多くの分野で、法施行や規制を行うことはできない。

リークされたTPP草案のハイライトは、いかなる国家をもひとまとめに隷属させるような、“戦略核戦力”(triad)並みのの力を含んでいる。
この“戦略核戦力”は、企業が一方的に主張する、いかなる法律にも挑戦することができる権利から始まる。そしてこの“戦略核戦力”は、将来において期待される利益を侵害し得るいかなる政策に対しても、納税者からの賠償を要求する。あらゆる法律の領域、環境、労働、公衆衛生、食品主権、通貨基準、金融規制、消費者標準、そして市民の自由にも拡張される。

リークされたTPP草案は、さらに、非公開の「便益」によりさらなる雇用の海外流出を支援する「投資家保護」についても記載されている。
デリバティブ、為替操作、他の金融大量破壊兵器を禁止するような金融資本(ウォール街)のどんな規制も禁止される。為替操作を通して行う財政戦争を軽減し、財政的な安定をもたらす加盟国の能力を無力化する。

TPPは、外国投資家と多国籍企業に、征服軍の権利を与える。リークされたテキストは26章を含むが、実際の貿易(関税と割当)に関するのは2章のみ。

USTRとオバマが我々の権利を譲渡して署名すれば、一発の銃弾を撃つことすらなく、米国は征服される。TPPテキストは、連邦政府に弱いものいじめの材料として用いられる。州と地方社会は、全ての主権放棄に従うことを強制される。

The thousand plus page document of detailed restraints forced on federal, state and local governments is not restricted to trade. Everything from intellectual property rights, to labor issues, to public health, to environmental regulations is forced into subjugation under this legal excuse for corporate rule.
千ページ以上にのぼる文書は、詳細にわたって連邦政府、州政府、地方政府を縛り付けるが、これは貿易に限らない。知的財産権、労働問題、公衆衛生、環境規制のすべては、企業支配のための法的根拠の下に服従を強制される。我々の連邦政府は傭兵に成り下がり、我々の頭に銃を突きつける。何も安全ではない。公有地も資源もこれに含まれる。


TPPは減少する公的資源を奪い取る道具

リークされた文章は、(明確に表現されていない)国際標準に準拠することにより米国の財産権が根こそぎにされることを示している。これらの不思議な国際標準は、選任されない国際仲裁所に追いやられ、権利を主張することができない。理論的には、米国の公有地は、国際企業の利益に即座に渡される。

選挙を経ない仲裁所なるものを使って、飲料水のような米国の公的資源を盗むため外国権益者に権利を譲渡し、米国を植民地または属国に引き下げる。水のような天然資源論争は、以前の「非常事態管理法」のおかげで、ミシガン州で始まった。


ネスレとアイス・マウンテン

ミシガン州メコスタ地方は、2009年、ネスレとアイス・マウンテンとの10年の戦いに勝った。巨大産業による水資源の過度の利用に関して。ミシガンの草の根の運動組織MCWCは、ネッスルに勝訴した。ネッスルは上訴したが、裁判所は、MCWCの環境被害の懸念の訴えを認めた。これは、企業権力が、草の根の市民運動の成長に直面して必要な準備と理解したように、終わりの始まりだった。合法的プロセスによって残る内容ではないと、企業権力は、「非常事態管理法」を推進した。


ミシガンの「非常事態管理法」がTPPに先行するモデル

2011年3月にスナイダーミシガン州知事が「非常事態管理法」に署名した。Mackinac Center(廣宮注:ミシガン州民の生活の質の向上を図るための、無党派研究教育機関)の指導の下、企業群と、その企業群の資金で設立された非営利組織とにより書かれたその非常事態管理法は、労働協約を切り刻み、公共事業の民営化、地方政府の合併と解散を認めるものである。それは、“財政的戒厳令(financial martial law)”ともてはやされた。

この法律は、ネスレのニーズを手軽に満たすようなものとなるだろうということに、私が気づかないなどということはない。数千の抗議者がこの法律に反対し行進したが、企業に支配されているメディアはこの反対運動を無視した。「非常事態管理法」は、ミニTPPである。


国際企業仲裁所による統治(廣宮注:もちろん、あの魅惑のISD条項の話)

At the core of this despicable ‘agreement’ is the international corporate tribunal designated to be the final authority over any future disputes–at least on paper. The tribunal is to be staffed by the same corporate attorneys who service the multinational corporations. Conflict of interest is not only obvious—TPP makes it… a way of life. No right of appeal exists and deliberations are…once again…secret.
この浅ましい「協定」の核心は、国際的企業仲裁所が将来の紛争にちうての最終権限者に指定されている――少なくとも紙の上では――ことである。仲裁所は、当の多国籍企業に奉仕するする弁護士らによって運営される。利害対立が不明瞭であるばかりか、それがTPPの「生き方」である。控訴・上告の権利は存在せず、審理は一度だけ、秘密裏に行われる。

In theory, any and all laws a foreign corporation finds irritating are taken to the tribunal. The most egregious crimes against humanity—forced or slave labor, child labor, massive dumping of toxic pollutants, murders committed by subcontractors, police abuse, censorship, and the criminalization of dissent–are subjugated to a tribunal of three corporate attorneys. The ‘economic royalists’ would be in the driver’s seat.

理論的には、外国企業が嫌がる法律は、ことごとくこの仲裁所に持ち込まれる。人間性に対する最もひどい犯罪 - 強制あるいは奴隷労働、児童労働、有害な汚染物質の大量放棄、下請けによる殺人、警察酷使、検閲、異議に対する有罪宣告 - は三人の企業弁護士の仲裁所に征服される。「経済的王党派」は運転席に座ることとなろう。


TPP grants the tribunal the right to set aside previous court decisions or the results of public elections. Corporate personhood is elevated to emperor and the concept of …”consent of the governed” is reduced to a trite joke.

TPPは、仲裁所の判例や選挙結果を無視する権利を認める。法人(企業)は皇帝に上り詰め、「政府というものは被治者の同意を得て初めて権力を得る」とする合衆国独立宣言は、ありふれたジョークに成り下がる。

パブリックシチズンのワラックよれば、これらの外国仲裁所は民間部門の弁護士によって運営されるが、その弁護士は、あるときはその仲裁所の“裁判官”にもなり、またあるときは企業の代表にもなる。そして、政府を訴え、無理難題を突き付ける。


市民貿易キャンペーン(CTC)は、合法的な解決策を持っている

2013年3月、CTC監視グループは、400以上の活動団体の共同署名の書簡を全議員に送付した。
(内容は、TPP、オバマ政権の不法な条約、国家安全保障を盾にした機密扱いの濫用、議会の放棄につながるニクソンの遺物でファストトラック権限TPAへの非難)
(署名したグループは、Teamsters国際同業組合、「食物と水の監視」環境グループ、Holy Cross International Justice Officeのような宗教団体まで多岐にわたった)

CTCは、8つの基準とファストトラック法の根絶と通商協定交渉とその承認プロセスの改革を発表した。

(この記事で記載されたCTCの基準は、下記各議員への書簡に記載された内容とほぼ同じ、一部順序がずれている。
http://stoptppaction.blogspot.jp/2013/03/400.html
三人の民間弁護士が巡回する投資家国家仲裁(ISDS)に拒絶を要求する。)


CTC 将来の民主主義の廃棄を防止

CTCと400の共同署名のグループは、貿易協定交渉に関し、以下の責任と透明性の厳しいレベルを要求している。
第一に全てのTPP草案テキストが公表されること。オバマ政権は単独で貿易政策決定権限を持ってはならない。
第二にファストトラック権限を永久に根絶すること。この権限は議会は憲法上の権限を放棄するもの、ニクソン政権時代の名残。

グレイソン議員の言葉を引用すると:
「…こんなことをしている分野は他にはない。私は交渉のことだけを言っているのではない。ファースト移民法案も、ほかのファーストトラック法亜夢もいらない。我々は法案をファーストトラック(大急ぎ)で処理すべきではない。我々は何であれファーストトラックにすべきでない。我々は何ゆえに主権をファーストトラックにしなければならないのか?」

..”the reason why they do it in secret is because our ‘sell-out trade-representatives” met with other ‘sell-out trade representatives” from other countries “
「彼らがそれを秘密裏に行おうとしているのは、我々の“売り尽くし通商代表”が、ほかの国々の“売り尽くし通商代表”と会合しているからだ」


あらゆる貿易交渉プロセスは以下を含むべきである:

・USTRが、理論的に提案された合意により影響を与えられる全ての領域において、限定されるが医療アクセス、食物主権、為替操作、貿易収支、雇用創出または喪失、機会の拡大、環境への責任、人権と労働の権利について、全ての利害関係者と相談する要求。

・TPPで始まっている前駆的なプロセスの、迅速な拡大。

・議会で交渉される目的が実際に提出され、最終文書として完成することを検証する、公平で公開される手続きの作成。

そして、

・実際に公益を反映する、提案された協定または協定の規定を公式に保証する検証手続きの作成。
議会の過半数は、その協定が合衆国の公益の範囲内にあることを保証する必要がある。

・最後に、政権要人が協定に署名し、合衆国をその条項に縛り付ける権限を与えられる前に、交渉された内容は公開され、衆目にさらされなければならない。


一年生のウォーレン上院議員は、合衆国憲法修正第1条の言論の自由(right to dissent)を含む、透明性と公開討論に関する主張を、もっとも明快に述べた:

“I appreciate the willingness of the USTR to make various documents available for review by members of Congress, but I do not believe that is a substitute for more robust public transparency. If transparency would lead to widespread public opposition to a trade agreement, then that trade agreement should not be the policy of the United States.” – Sen. Elizabeth Warren

「私は、議員による検証が可能となるような、様々な文書を作成したいというUSTRの意欲を、高く評価する。しかし、それが国民に対するより健全な透明性の代わになるとは決して思わない。もし、透明性が貿易協定に対する広範な国民の反対を引き起こすのであれば、そのような貿易協定は合衆国の政策となるべきではない。」エリザベス・ウォーレン上院議員

以上

---転載終わり---


長かったですが、いかがでしょうか?

個人的には、最後のウォーレン上院議員の言葉や、途中のグレイソン議員による

「彼らがそれを秘密裏に行おうとしているのは、我々の“売り尽くし通商代表”が、ほかの国々の“売り尽くし通商代表”と会合しているからだ」

という言葉が印象的でした。

いや、記事を書いたJeanine Mollof記者の複数箇所における過激な表現もかなり印象的でしたが…。






この記事を読んだ感想を手短に書いておくと、あくまでもリベラル派の人が書いたもの、ということを割り引いたとしても、


明日で建国237年となる合衆国は、建国以来最大の危機を迎えつつある

ということです。

少なくとも、リベラル派の中には、TPPに代表される「新自由主義的」な動きは、合衆国憲法を骨抜きにしようとする動きである、と考えている人がいるのだ、と言えますね。

かなり根の深い問題であり、日本ももろにその大波をかぶって揺れに揺れているわけであります。



安倍政権のTPPに対する姿勢や、

近頃の安倍総理の講演や演説

平成25年6月5日
安倍総理 「成長戦略第3弾スピーチ」

平成25年6月19日
安倍総理大臣・経済政策に関する講演(ロンドン)

を読んでいると、

私の中の「安倍政権支持率」は50.1%くらいにまで低下し、一方、私の中の「不支持率」は49.9%程度まで上昇しつつあります。


辛うじて50%を超えているのは、やはり、いま憲法改正、自主憲法制定が必要なのではないか、と思うからであります。(これが無ければ、私自身の中の安倍政権支持率はかなり悲惨なまでに低くなります…)


いや、なぜ憲法改正かと言いますと…

4年前、当ブログで「日米関係、家康理論」というのを書きました。

アメリカが信長旦那で、日本が家康――一応は独立した大名とは言え、日本は信長に対する家康のように、アメリカに対して「従」である、という関係のようなものだと。


最近は、少し考えを修正しました。

今の日本は、今川の庇護下(隷属下)にある、松平元康(家康の今川からの独立前の名)ではなかろうかと。


今、松平家は織田、今川という大国に板挟みの状態、というわけです。

そして、いずれは桶狭間や本能寺が起き、今川義元も織田信長も倒れることがあるかも知れません。

以前、書いたと思いますが、中国も米国も、「破綻」することがあるとすれば、それは財政的に破綻するのではなく、社会的に、格差拡大による摩擦や民族対立のような問題での破綻、となるでしょう。

もちろん、それはいつ起きるか分からないし、起きるかどうかも確実ではありません。


しかし、いざ起きたときを想定し、ちゃんと準備をしておく必要は確実にあります。

それが憲法改正ではないかと思う次第であります。


松平元康の「康」は、家康の偉大なる祖父・清康の「康」ですが、「元」は烏帽子親たる今川義元の「元」です。

義元が桶狭間で落命したのち、独立することとした家康は、義元の「元」を捨て、八幡太郎義家の「家」をもらって「家康」と名乗ることとし、独立のための最初の一歩を踏み出したのでした。

この「元」はまるでアメリカさんに作ってもらった現行憲法のようであり、「家」はまるで自主憲法のようです。


なお、もはや可能性はかなり低いと言えそうですが、もし仮にアメリカでTPPが成立したとすれば、アメリカの衰退は確実に早まると、個人的には見ます。

というわけで、現在は世界の二大国がいつ、何があるか分からない状況であると思われます。
いざ、ということがあった場合に最も必要なもの、そして正真正銘の独立への初めの第一歩である自主憲法の制定がすぐにでも必要、と考えるわけです。



というわけで、私自身は個人的には今回は自民党を辛うじて支持します。
(なお、次の国政選挙については、白紙)







それはさておき、



もし、透明性が

貿易協定に対する広範な国民の

反対を引き起こすのであれば、

そのような貿易協定は

日本の政策となるべきではない



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586:#TPP 中国が参加??一方、アメリカのTPP担当省庁USTRのトップとNo.2が相次いで辞任しましたが…

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前回「株はリスクがあるので、常に予備兵力(予備資金)を持っておくべき…」と書いてから日経平均はだいぶ下げています。今日も下げていますが、よほど直観力やセンスが無い限り、株価なんぞどうなるか分からん、と思っておいた方が無難かと思います。

以前も書きましたが、2003年のイラク戦争開戦直前、個人的には戦争になれば株価は下がるかな、と思っていました。ところが、いざ開戦となると「動きがはっきりしたから」という良く分からない理由(恐らく、後付の理由)で株価は上昇トレンドに転じ、07年のサブプライムローン問題や、08年のリーマンショックまで上昇トレンドが続きました。
このイラク戦による株価上昇の際、私はキツネにつままれたような気分でしたが、株価が上がるのも下がるのも、よう分からん、と思ったものでした。

株価そのものよりは、株価が利益の何年分かを表す「PER(株価収益率)」のほうに意味があるように思えます。
現在、日経平均のPERは15.3倍程度の模様です。
逆数を取れば株価あたりの利益率となり、6.3%となります
これはどちらかというと割安の部類に入るかと思われます。

もしもPERが30倍を超え、40倍前後になってきたら、かなり割高と言えます。


現在は「割安と言える」からと言って、「今は絶対に買い時」と言いたいわけでもありません。

仮に買うとしても、常に「暴落」に対処するための十分な予備兵力を温存しておくのが良いかと思われます。

これまでも何度か書いて来ていますが、

投機に関してもっとも重要なのは、「予想が外れた多としても、絶対に致命傷を負わないように備えておくこと」だと思う次第です。




さて、本題です。
中国がTPP参加を検討しているとかなんとか。
コメント欄でも複数のお問い合わせがありましたが、まずはブルームバーグの日本語記事:


---

中国:TPPの利点や不利益、参加の可能性について検討へ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNLWE06KLWXL01.html

5月30日(ブルームバーグ):中国は環太平洋経済連携協定(TPP)の利点や不利益、そして参加の可能性について検討すると表明した。
中国商務省のウェブサイトに30日掲載された声明で、同省の沈丹陽報道官は「慎重なリサーチを基にし、平等と相互利益の原則に従い、TPPの利点と不利益、参加の可能性について分析する」とコメント。「中国はTPP交渉について参加国との情報などの交換を望んでいる」と説明した。
沈報道官によれば、「中国はTPP交渉を重視し、その進展を注意深く見守ってきた」という。「中国はまた、TPPをめぐりさまざまな省庁や業界の意見に継続して耳を傾けている」とも指摘した。
原題:China to Study Joining U.S.-Led Trade Accord After JapanAdded(抜粋)

---

ふむふむ。


「中国商務省のウェブサイトに30日掲載された声明」

とのことで、中国商務省、正確には「商務部」のHPを見てみましたが、中国語版でも、英語版でもそんな「声明」が見当たりません。

はて。

と思っていろいろたどるうちに、ようやく下記の記事を商務部のドメイン(mofcom.gov.cn/)内で発見:

---

China to study possibility of joining TPP: MOC
中国、TPP参加の可能性を検討:商務部

http://ccne.mofcom.gov.cn/bulletin/index.php?flag=9133
May 31,2013

China will study the possibility of joining the Trans-Pacific Partnership (TPP) on the basis of equality and mutual benefit, a Ministry of Commerce (MOC) spokesman said on Thursday.
中国は平等と相互利益に基づき、TPPへの参加の可能性を検討する、と商務部報道官は木曜日に語った。

"We will analyze the advantages, disadvantages and the possibility of joining the TPP, based on careful research and according to principles of equality and mutual benefit," said MOC spokesman Shen Danyang.
商務部の沈丹陽報道官は「慎重なリサーチを基にし、平等と相互利益の原則に従い、TPPの利点と不利益、参加の可能性について分析する」と語った。

He made the remarks at a news briefing in response to a question regarding China's attitude to joining the TPP, which is a proposed free trade agreement under negotiation by 12 nations including the United States, Australia, Brunei Darussalam, Canada, Chile, Malaysia, Mexico, New Zealand, Peru, Singapore, Vietnam and Japan.
彼は、記者会見における、TPPへの中国の参加に関する質問を受けて発言した。TPPとは、米国、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム、日本の12か国が交渉している自由貿易協定である。

"China also hopes to exchange information and materials with TPP members on the negotiations," according to the spokesman.
報道官によれば、「中国はTPP交渉について参加国との情報などの交換を望んでいる」。

Shen said that the diversification of the regional economic situation should be considered in building the free trade zone, and openness, inclusiveness and transparency should be advocated.
沈報道官は、自由貿易圏の構築に当たっては地域経済の多様性が考慮されるべきであり、開放性、包括性、透明性が擁護されるべきだと語った。

Source: Xinhua
ソース:新華網

---

ここでポイントが二つ。

一つは、商務部の報道官は、TPPについて「聞かれたので答えた」だけだということ。

もう一つは、商務部のドメイン内の記事とはいえ、情報ソースが新華社通信であることです。

商務部として大々的にTPP参加の意欲を発表したわけではないわけです。道理で、見つけにくかったわけです。


さて、中国がTPPに入るとなれば、国営企業の大改革、というか基本的に全部民営化というくらいのことを迫られます。

TPPの公的企業問題については、日本でも郵政がやり玉に挙がっています。

また、以前紹介したロイターの記事では、公的企業に関して、中国が将来TPPに入ってきたときに中国の国営企業を縛るルールにするのだという米高官の話が書いてありました。

当然、かなりの抵抗が予想されます。

というよりは、TPPについて検討する、という話をぶつけて、生産性の極めて低い国営企業の改革を進めたい習近平政権が国内の守旧派をけん制しようとする政治的駆け引きかも知れませんね。


また仮に万が一、中国が本気でTPPに参加するぞ!となれば、「日本と中国の参加だけは本気でイヤ!」と言っていたAFL-CIO(アメリカ労働総同盟・産業別組合会議)などが黙っていないでしょう。


日本が参加する、というだけで↓この騒ぎです:

---
米議員、TPPで為替操作に対する規定盛り込むよう大統領に求める
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE94U03X20130531

ロイター 2013年 05月 31日

太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に、為替操作に対する新たな規定を追加するようオバマ大統領に求める書簡に署名した米超党派議員が200人近くに上った。

ロイターが入手した書簡のコピーによると「為替操作への対策で合意することが必要だ」とし「為替に関する規定を盛り込むことで、不公平な通商慣行と闘い、米国の労働者や企業、農業経営者にとり公平な場を作ることができる」としている。

(後略)

---


「中国が入る!」となれば、どうなることやら。

ということで、TPP反対派としては、「中国の参加」はむしろ「熱烈大歓迎」というべきところです。






次に、アメリカのTPP所管官庁であるUSTRについて。


3月にはロン・カーク代表が退任しました。

また、先月にはマランティス代表代行までもがひっそりと退任しています。実際のところ、USTRウェブサイトの「高官リスト」が更新され、マランティス氏の名前が消えています。

わずか2か月の間に、USTRのトップとナンバー2が相次いて辞めちゃったわけです。

そして、新しいUSTR代表としてオバマ大統領が指名した、オバマ大統領の大学時代からの友人であるフロマン氏ですが、前回のエントリーでは「5月下旬に決まる」としていたのが、どうやらかなり予定がずれ込んでいるようです。
今月6日に、上院でようやくその人事に関する公聴会が開かれるとのこと。


以上、USTR人事に関しては、以下の記事参照:

Senate sets hearing for Obama trade pick
http://thehill.com/blogs/on-the-money/1005-trade/302639-senate-sets-hearing-for-obama-trade-pick
the Hill 05/30/13


とまあ、こんな感じですったもんだしています。

上院の財政委員会の共和党側のトップ、ハッチ上院議員(ユタ州)が、

Today, morale at USTR is at an all-time low.
今日、USTRの士気は、かつてないほどに低い。

議会で言っていたことを、改めて思い出さずにはいられません。


「アメリカさん、本気でTPP進める気はあるんですか?」という雰囲気で一杯のような気もしないではありません。



ということで、ここで一句。



 てぃーぴーぴー

 すったもんだで

 さようなら

 (字余り。季語なし)



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582:中国、香港の民主派を武力で威嚇…香港「一国二制度」形骸化鮮明と日経が報道 ― 絶賛交渉中の日中韓FTA、大丈夫?

2013/04/03 (Wed) 09:35
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今回のテーマは

香港の「一国二制度」形骸化鮮明

ということになります。


TPPには直接は関係ないのですが、現在絶賛交渉中の日中韓FTAにはかなり関係のある話です。

というのも、中国が国家としての約束事をあっさり破ってしまった話だからです。

台湾(の平和統一派)も動揺し、引いては日本の安全保障にも絡む重大な事件だと思いますが、日本国内ではあまり騒がれていないようですね。


日経の昨日の朝刊国際面(6面)と同じ記事がWeb版にあったので、まずはそれを引用しておきます。





中国、「一国二制度」の形骸化鮮明に 台湾にも影響
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0105Q_R00C13A4FF1000/
日本経済新聞 2013/4/2

【香港=川瀬憲司】
中国政府が香港に高度な自治など幅広い独自性を認める「一国二制度」の形骸化が鮮明になってきた。中国政府は3月、香港政府トップである行政長官を普通選挙で決めることになっていた2017年の選挙で、中国側の意向に沿わない民主派の立候補を認めないことを明確にした。香港をめぐる最近の動きは、中国の台湾統一政策にも影響を及ぼしそうだ。

■事前に候補選別

 行政長官を普通選挙で選ぶことは、香港の憲法にあたる基本法が「最終目標」として明記する「一国二制度」の根幹部分。中国政府はこれまで実施を先送りしてきたが、基本法の最終解釈権を持つ全人代常務委員会が07年12月に「17年に普通選挙を実施してもよい」といったんは表明。今回の方針は、これを事実上ほごにした形だ。

 民主派の立候補を認めない方針は、中国の全国人民代表大会(全人代)法律委員会の喬暁陽主任が3月24日、広東省深センに香港立法会(議会)の「親中派」議員約40人を集めた会議で表明した。

 喬主任は「(北京の)中央政府に対抗する人物は行政長官にはなれない」と何度も繰り返したうえで「中央政府の立場は明確で一貫している」と強調。事前に候補者を選別したうえで、投票にかける考えを示した。

 中国政府が行政長官への立候補を認めないのは、1989年の天安門事件の再評価や人権活動家の即時釈放などを求める香港の民主派と呼ばれる人々。喬主任は深センの会議で、そのうちの一人として香港民主派の有力政党、民主党の何俊仁(アルバート・ホー)氏を名指しした。

 これに対し民主派は一斉に反発。民主派の有力政党、公民党の余若薇(オードリー・ユー)党首は普通選挙拒否を「大きな詐欺」と抗議。民主党の劉慧卿(エミリー・ラウ)主席も「中央政府は一国二制度を尊重していない」と批判した。

 民主派の立法会議員27人全員はこのほど「真普選聯盟(本当の普通選挙を求める連盟)」を結成。近年は民主派内での路線対立も表面化していたが「普通の普通選挙」実施では足並みをそろえた。ビジネスの中心地「中環(セントラル)」での道路封鎖などを通じ、普通選挙の実現を求める大規模な市民デモも計画されている。

■武力誇示し威嚇

 ただ中国政府は一歩も引く気配をみせていない。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は3月29日付社説で「やっとの思いで取り戻した香港が“敵”に変わってしまうことを阻止する力を中国はいくらでも持ち合わせている」と指摘した。

 中国中央テレビは同日、香港駐留の人民解放軍海軍が中環に面する海域で行った軍事演習の模様を伝えた。3月21日には香港北部でヘリコプターから地上の標的を狙う初の実弾演習も実施。武力を誇示し、民主派を威嚇する異例の動きに出た。

 中国政府は内輪の投票で決めた昨年3月の行政長官選挙に介入して当選者を直前に入れ替えるなど「一国二制度」の形骸化が進んでいた。香港の最高裁長官にあたる終審法院の馬道立首席法官も講演で「香港の法制度に懸念を抱いている」と指摘。司法の独立維持への不安も広がっている。




「実弾演習」で「武力を誇示し、民主派を威嚇する異例の動きに出た」とのこと。

日本の護憲派の皆さんがよく仰る「話し合いで解決」というのはなかなか難しそうです。


また、紙面版では台湾への影響についての記事が併記されていますので、ご紹介:






民主選挙が前提 台湾側に不信感
日本経済新聞 2013年4月2日朝刊6面

中国が香港での民主的な選挙を骨抜きにしたことは、中国が統一を目指す台湾の姿勢にも影響を与えそうだ。
台湾はもともと一国二制度への拒否感が強い。
民主選挙が保証されない方式を受け入れるはずもなく、
同制度による統一は実現性が極めて小さくなってきた。

台湾は1996年から総統の直接選挙を実施。
選挙は4年ごとで2000年と08年の総統選では政権交代も実現した。12年の総選挙の際には、中国のインターネットで台湾の民主的な選挙をうらやむ声が散見した。

08年に誕生した馬英九政権は中国との経済交流を拡大し、政治対話も視野に入れる。
ただ仮に台湾が将来、一国二制度を容認した場合でも民主選挙は譲れない一線となる。
今回の香港での動きを通じ、中国は図らずも台湾統一の大前提を自ら否定してみせた。

台湾師範大学の范世平教授(政治学)は「香港の中国に対する反発は、一国二制度への台湾の不信感を拡大させる」と指摘する。




ということで、かなり凄いことになっています。

日中韓FTAについても、今回の香港の件、よくよく頭に叩き込んでおく必要があるでしょう。

武力を背景に、「よっしゃ、『話し合う』ぞ。コラ!」ということが平然と行われているわけですから。





思うに、「話し合いで解決」というのはもちろん、最も望ましい解決方法でしょう。

しかし、それには話し合いの土俵が形成されている必要があります。

すぐそこで「実弾演習」している相手との話し合いためには、こちら側にもそれなりの実力が備わっている必要があろうかと。

日中韓FTA。個人的には多少「・・・」なところがありますが、これを進めるからには、憲法改正や、引いては、核武装の…少なくとも「議論」くらいは始めることが望ましいのではないかと勘考致します。

いやいやいや。

と護憲派の皆さんは仰るでしょう。

私の親族にも護憲派がいるのですが、私は心情的によく理解できます。

心理学や脳科学が教えるところでは、恐怖の条件付け=トラウマというのは、脳神経回路として一度形成されてしまうと、生涯消えることがありません。

戦時中にB29の爆撃から命からがら逃げ回り、焼死体がゴロゴロ転がっている光景を目の当たりにしたトラウマは決して、記憶から消し去られることはないのです。

だから、「戦争反対。自衛隊も反対。憲法改正も反対」と「感情的」になるのは当然のことと言えます。

とは言え、香港における重大な出来事は、これもまた現実です。


私が日ごろから親交のある木下栄蔵・名城大学教授が最近出版した著書の中で、興味深い論考を発表しました。





世界経済の覇権を握るのは日本である (扶桑社新書)  
木下栄蔵著




・日本の回りは核武装国家だらけ(米・露・中・北朝鮮)であるため、
 日本がまっとうな外交を展開するためには核武装が必須

・主要国が皆、核武装すると今度は核武装のメリットがなくなり維持コストのデメリットばかり
 が目立つようになり、却って核廃絶の機運が高まる

・そこで日本が主導して世界から核兵器を根絶させる外交を展開し、核廃絶を実現する



概要はこんな感じですが、木下教授はこれを自身の専門であるオペレーションズ・リサーチを用いて論理を組み立てています。

一応、書き添えておきますと、木下さんは私などよりもずっと強烈な平和主義者です。


なお、私は「どんな理由や理屈があるにしても、日本が核武装などというのはけしからん!」と「感情的」に反応する方がいらしても、それは当然だと思います。

このような問題に関して「感情的」になるのは、心理学的、脳科学的、そして生物学的に当然であり、自然のことであると考えられるからです。

ただ一方、木下さんの核武装論というのは「感情的」な核武装論ではなく、かなり「理性的」な核武装論であり、最終目標は絶対的な平和となっています。

このような発想もあるのか、というくらいに捉えるのも一案かと思われます。






私は、「軍隊なき平和」は理想として否定しません。むしろ、全面的に肯定します。

ただし、その理想の実現のためには、100年から1000年くらいはかかるのではないかと思います。

なぜなら、残念ながら、人類の心理状態が全体として、まだそこまで平穏ではないからです。







 今回の、香港の『一国二制度』形骸化の件、

 日本にとっても、かなり重大なニュースですな



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581:#TPP が「安全保障」という《言語明瞭、意味不明》な話の意味を、中東情勢とオバマ政権の外交方針から読み解いてみます

2013/03/23 (Sat) 23:41
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「TPPは安全保障だ!」


以前からチラホラと国内のTPP推進派の皆さんの一部の方が主張されていました。


「は?」

「ていうか、日米安保条約とか在日米軍基地とか、すでにあるし」

「TPPがポシャろうがくたばろうが、米軍が日本から出て行くわけでもあるまいし」

「何言ってくれちゃってんの?」

としか思っていませんでしたが、

先般の安倍総理のTPP交渉参加表明会見でもろに公的におっしゃっていたので、これにはやはり「安全保障」の意味合いがあるということなのかと少々見方を変えざるを得ない状況であります。

官邸HPからTPP交渉参加表明演説の文言を引用しておくと


――――

共通の経済秩序の下に、こうした国々と経済的な相互依存関係を深めていくことは、我が国の安全保障にとっても、また、アジア・太平洋地域の安定にも大きく寄与することは間違いありません。

――――

とあります。

これを見てもとりあえずは「言語明瞭、意味不明」です。

正直なところ、日本国内の政治家なり評論家なりの皆さんの言うことを聞いているだけでは、本気で悲惨なくらい、さっぱり意味不明です。


なので、アメリカのそれなりの立場の人がどう考えるているのかを知らないとだめだと思いました。

いちいち英語の資料を見ないといけないというのは、実にめんどくさい話です。

まあ、というわけで、もう一度、
先般の米議会調査局のTPP報告書を見てみました。
「Military (軍事の)」という言葉が一箇所だけ出てきています。


―――――

The TPP could have implications beyond U.S. economic interests in the Asia-Pacific. The region has become increasingly viewed as of vital strategic importance to the United States.
TPPは、アジア太平洋地域における合衆国の経済的利益と密接な関係を持ち得る。この地域は合衆国の致命的な戦略的重要性とする見方をますます持たれるようになっている。


Throughout the post-World War II period, the region has served as an anchor of U.S. strategic relationships, first in the containment of communism and more recently as a counterweight to the rise of China.
第二次世界大戦後、この地域は、当初は共産主義の封じ込めのための、最近では中国の台頭に対する力の平衡のための、合衆国の戦略的関係の要の支えとなっている。


This trend has recently been accentuated by the Obama Administration’s “pivot to Asia” along with the perception that the center of gravity of U.S. foreign, economic, and military policy is shifting to the Asia-Pacific region. The TPP is viewed as an important element in the U.S. “rebalancing” toward Asia. [14]
この傾向は、最近の合衆国の外交、経済、軍事のアジア太平洋地域への重心のシフトとともに、オバマ政権の「アジア重視」路線によって強調されている。TPPは、アジアへの「回帰」の重要な要素と見られている。


―――――


で、

上記の米議会調査局の報告書で参考文献[14]が↓これ

Pivot to the Pacific? The Obama Administration’s “Rebalancing” Toward Asia
http://www.fas.org/sgp/crs/natsec/R42448.pdf
March 28, 2012

これもまた議会調査局の報告書で、オバマ政権のアジアシフトに関するものです。

なお、一年前のレポートになります。


さて、「Summary 要約」の一部を抜き出してみます:

―――

Areas of Continuity.
継続性の地域



Much of the “pivot” to the Asia-Pacific is a continuation and expansion of policies already undertaken by previous administrations, as well as earlier in President Obama’s term.
アジア太平洋地域への「旋回」の大部分は、従前の政権、そしてオバマ政権の第一期からすでに実施されていたことの継続と拡張である。


Since President Obama’s inauguration in 2009, the United States has given considerable time and emphasis to Southeast Asia and to regional multilateral institutions.
2009年のオバマ大統領の就任以来、合衆国はかなりの時間を、東南アジアに、そして、この地域における多国間制度のために割いてきたし、重点を置いてきた。

Under President George W. Bush, the United States emphasized the strengthening of relations with existing allies in Asia, began moving toward a more flexible and sustainable troop presence in the region, concluded a free trade agreement (FTA) with South Korea, brought the United States into the Trans-Pacific Partnership (TPP) FTA negotiations, and forged new partnerships with India and Vietnam.
ジョージ・W・ブッシュ大統領の下、アジアにおける既存の同盟国との関係強化に重点を置き、この地域における、より柔軟で維持可能な軍事プレゼンスの方向への動きを開始した。
それは、韓国とのFTAを結実させ、合衆国のTPP交渉への参加をもたらし、インドやベトナムとの新しい連携を徐々に進めさせた。


All of these steps have been furthered by the Obama Administration.
これらすべてのステップは、オバマ政権によってさらに進められた。



Transformational Elements.
トランスフォーメーションのいくつかの要素


That said, there are a number of new aspects of the shift.
これは、アジアシフトに、いくつかの新しい側面があるということを言っている。

The most dramatic lie in the military sphere.
最も劇的な部分は軍事面にある。

As part of a plan to expand the U.S. presence in the southwestern Pacific and make it more flexible, the Obama Administration has announced new deployments or rotations of troops and equipment to Australia and Singapore.
太平洋南西における合衆国のプレゼンス拡大と柔軟性拡大の計画の一部分として、オバマ政権は、オーストラリアとシンガポールへの、軍隊と装備の新しい配備あるいは配置転換を発表してきた。

U.S. officials have also pledged that planned and future reductions in defense spending will not come at the expense of the Asia-Pacific (nor of the Middle East).
合衆国高官たちは、将来における国防費の削減は、アジア太平洋(中東も)の経費削減につながらないと約束している。

Additionally, underlying the “pivot” is a broader geographic vision of the Asia-Pacific region that includes the Indian Ocean and many of its coastal states.
加えて、この(アジアへの)「旋回」の下敷きには、インド洋とその多くの沿岸諸国を含む、アジア太平洋地域における広範な地理的なビジョンがある。



Benefits, Costs, and Risks.
利益、コスト、そしてリスク


Underlying the “pivot” is a conviction that the center of gravity for U.S. foreign policy, national security, and economic interests is being realigned and shifting towards Asia, and that U.S. strategy and priorities need to be adjusted accordingly.
この「旋回」の下敷きには、合衆国の外国政策、安全保障、経済的利益の重心がアジアに再配置、シフトを始めているという確信と、合衆国の戦略と優先順位をそれに合わせて調整する必要があるという確信がある。


For many observers, it is imperative that the United States give more emphasis to the Asia-Pacific.
多くの観察者らにとって、合衆国は何としてもアジア太平洋地域にもっと重点を置くことは、必要不可欠のものとなっている。

Indeed, for years, many countries in the region have encouraged the United States to step up its activity to provide a balance to China’s rising influence.
実際のところ、この数年の間、その地域における多くの国々は合衆国に、増大する中国に対するバランスを提供する活動を進展するように急(せ)かしている。

――――

アメリカが急かしているのか、アジア諸国が急かしているのかはさておき。

安倍総理の演説内容は、まるまんまブッシュ政権やオバマ政権のアジアシフト戦略(軍事+経済)と一致しています。

アメリカが軍事と経済をセットで考えているから、日本にとってもTPPが安全保障とセットだということです。


一年前の報告書とはいえ、一応、TPPに関する記述も抜粋しておきます:

――――

The Importance of the TPP
TPPの重要性


...
Strategically, the potential risks associated with the transport of goods and services in the Asia-Pacific region would conceivably be reduced, as the TPP members would share a common interest in maintaining a reliable and safe flow of cargo across the Indian and Pacific Oceans.
戦略的に、TPP参加国がインド洋や太平洋における、信頼できる、安全な貨物の航行の維持を、共通の利益として共有するならば、アジア太平洋地域におけるモノやサービスの輸送に関連する潜在的リスクは、おそらく低減することとなろう。

While the potential benefits for the United States of a successful TPP and its expansion into a broader regional agreement are relatively clear, progress in the negotiations has been slowed by serious pressure from some of the negotiating parties.
TPPの成功、そしてその更なる広い地域協定への拡張による合衆国の潜在的な利益は、比較的はっきりしている。しかし、交渉の進展は、いくつかの交渉国からの重大な圧力により減速させられている。

The United States has encountered resistance to its proposals regarding intellectual property rights and investor-state disputes.
合衆国による知財権とISD条項に関する提案は、抵抗に遭ってきた。

In addition, some of the countries are pushing the United States to offer greater access to U.S. markets—particularly agricultural markets, such as dairy products and sugar.
加えて、いくつかの国は、米国に対して、さらなる市場の開放――特に乳製品や砂糖など農産品市場の開放――を迫っている。

It remains to be seen if the negotiations can produce an agreement that is acceptable to the other nations while remaining politically viable to Congress.
この交渉が、(合衆国以外の)他の国々で受け入れられる合意を作り出せるかどうか、連邦議会に回すのに政治的に生き残れるものとなるかどうか、という見方が残ったままである。

The TPP’s prospect may also be harmed by the lack of trade promotion authority, complicating the U.S. Trade Representative’s task in forging an agreement that will eventually win congressional approval.
TPA(大統領貿易促進権限)の欠如は、USTRによる議会の承認を最終的に勝ち取り得る協定案の作成を錯綜させ、TPPの前途を傷つけることもあり得る。

If the TPP talks fail, it is uncertain how the Obama Administration will pursue U.S. economic interests in the region.
もしTPP交渉が失敗すれば、オバマ政権が、アジア太平洋地域における合衆国の経済的利益の追求をいかに行うかを、不確実なものとなる。

To date, the United States has shown little interest participating in any of the alternative regional integration fora, such as the ASEAN+3 or ASEAN+6.
今日まで、合衆国は、ASEAN+3やASEAN+6のような、この地域におけるほかのいかなる交渉に参加することにも、まったく興味を示さなかった。

The resumption of previous bilateral talks with Malaysia and Thailand, as well as new potential partners, such as Japan, are an option, but are unlikely to influence regional integration to the same extent as would the successful formation of the ASEAN Economic Community or the conclusion of an ASEAN+6 free trade agreement.
マレーシアやタイとの二国間協議の従前からの継続や、日本のような新しい潜在的相手国との二国間協議は、一つの選択肢である。しかし、こういったものは、ASEAN経済共同体やASEAN+6自由貿易協定のような影響力を持つ可能性は低い。

It is also unclear what impact the TPP will have on U.S. interest and participation in APEC.
TPPが合衆国の利益にどのような影響を与えるか、APECへの参加がどのような影響を与えるか、ということもまた、不明確である。

It appears that the Administration regards the former as the lead entity, with the latter a forum for exploring topics that traditionally have not been part of trade agreements.
オバマ政権は、前者(TPP)を主導的実体と見なし、後者(APEC)を貿易協定を扱わない探究的な会合と見なしているようだ。

Among other items, such a prioritization could have implications for the regional standing of Taiwan because APEC is one of the few regional groupings to which Taipei is a full member.
このような優先順位の付け方は、台湾のアジア太平洋地域における立場と密接な関係がある。APECは台湾政府が完全なメンバーとなっている数少ない地域グループの一つであるからだ。

――――

前半は「TPPは非常に重要なのよ」と書いてます。

しかし、後半は「TPPが成立するかまったく不透明」という感じの文言のオンパレードです。


そして、先ほどの軍事の話と合わせると、オバマ政権のアジアシフトは、軍事・経済の二本立て、ということになります。

何かこれを見ているとかつてローマ人が地中海を「我らが海 mare nostrum」と呼んでいたように、オバマ政権が太平洋を「我らが海」にしようとしているかのようなニュアンスです。環太平洋地域に軍隊を重点的に配備し、交易を自由にする。それによって新たなる「アメリカの平和 Pax Americana」を実現する。

ということは、安倍総理
こないだの会見

「今、地球表面の3分の1を占め、世界最大の海である太平洋がTPPにより、一つの巨大な経済圏の内海になろうとしています。…TPPが目指すものは、太平洋を自由に、モノやサービス、投資などが行き交う海とすることです」

という言葉は、まるまんま「アメリカの平和 Pax Americana」の理念ですね。



また、上記の議会調査局の報告書を見ると、議会はともかく、オバマ政権はアジアシフト戦略のため、本当に、かなりの本気でTPPを重視しているということになります。これと同時に軍隊だってアジア太平洋にシフトするんですから!


こんなことをオバマさんから言われて、安倍総理が「でも、日本はTPP交渉なんぞに参加しましぇん」、とはやはり言いにくかったでのしょうね…。(ご本人がガチガチの自由貿易推進者なのか、保守的なのかということとは、まったく無関係に)

と考えると、TPPに関しては野田前首相に対しても多少の同情心も持たざるを得ないかも知れません。

とは言え、誰もこんな解説してくれなかったので、こっちとしては「TPP?は?」と思うしかなかったわけですが。






さて、TPPが実際に成立するためには、とにもかくにもTPA(大統領貿易促進権限)は非常に重要な、TPP成立のための絶対要件ということですね。


これに関して先日、アメリカ上院で公聴会が開かれました。


Momentum builds for "fast track" trade legislation
「ファースト・トラック(TPA)」法案の成立に向けて動き

http://www.reuters.com/article/2013/03/19/us-usa-congress-trade-idUSBRE92I0QW20130319
Reuters  Tue Mar 19, 2013

Congress last passed TPA legislation in 2002, following a bitter fight. Republicans, who generally favor free trade, passed the bill over the objections of Democrats, many of whom blame past trade agreements for U.S. job losses.
2002年のTPAは苦い戦いの末に可決。
自由貿易を好む共和党が、過去の貿易協定はアメリカの失業を増やしたと責め立てる民主党の反対を押し切った。


Baucus said he wanted to renew both TPA and trade adjustment assistance (TAA), a federal program that provides funding to help retrain workers that have lost their jobs because of import competition or factories moving overseas.
ボーカス議員(民主党モンタナ州選出)はTPATAAの両方を更新することを望むと語った。ここで、TAAとは輸入競争や工場の海外移転による失業者の再訓練を支援する資金を供給する連邦政府のプログラムのことだ。

"TPA and TAA are two sides of the same coin making trade work. We need to renew and extend both of them this year," the Montana Democrat said.
「TPAとTAAは通商政策を動かすコインの裏表である。我々は本年、TPAとTAAの両方を更新し延長する必要がある」とボーカスは語った。
―――


・ボーカス上院予算委員長はモンタナの牛肉を日本に輸出したいので前々からTPP推進でしたが、2011年のTPA法案は否決票を投じています


・また、上院は民主党が過半数であり、上記ロイター記事にもあるように
民主党は全体として自由貿易に懐疑的です。


そして、

TPAに関しては以下のようなことが今後の注目点になるでしょう:


・TPAが仮に通るとしても、ホワイトハウスやUSTRに相当な情報開示を要求することとなるでしょう。なお、以前の米議会調査局報告書でそんなニュアンスのことを書いていました:

Through TPA, or other vehicle, Congress may wish to make its views known about the architecture of the agreement.
TPA、あるいは他の手法を通じて、連邦議会は協定の構造について知りたいと思うだろう。

さて、TPAが議会で審議されるようになったならば、どんな情報が飛び出るでしょうか?



・また、このTPA審議プロセスで日本への要求が今まで以上に明確になって来ると思われます。これに日本側がどう反応するか?


・ボーカス議員の物言いからすると、TAAの予算もガッツリ請求することになると思われますが、これに共和党がどう反応するか。


・それが財政の崖問題とどう絡むか。








さて、ここでこの数日における中東情勢、そして北東アジア情勢について。

どうも中東の緊張が緩和され、アジアの緊張が高まっているような感じです。

―――

米、中東外交立て直し オバマ大統領 イスラエル初訪問
日経新聞 2013年3月21日朝刊4面

―――

シリアで化学兵器使用か イスラエル主張 米は「証拠ない」
日経新聞 2013年3月21日朝刊4面

―――

イラン核 外交解決探る 米・イスラエル首脳一致
日経新聞 2013年3月21日夕刊3面

…初のイスラエル訪問となったオバマ大統領は会談後の共同記者会見で
「イランの核問題を外交的に解決する時間はまだ残っているとの認識を共有した。
 核開発状況を巡る評価について、イスラエルとの間で大きな差はない」
と語った。
大統領は今月、イランの核兵器保有は「今後1年かかる」との見通しを示しており、ネタニヤフ首相はこうした見方に同調した形だ。

―――

イランの核開発のレッドラインは「あと○○か月」というのがどんどん先延ばしになってきていますね。
なんか、日本の財政破綻論者の「○○年に破綻」の予言がどんどん先延ばしになっているみたいな様相を呈してきています。


―――

米、ヨルダンに189億円 シリア難民対応へ支援 連携を強化
日経新聞 2013年3月23日夕刊3面

―――

トルコと関係修復 イスラエル 10年の射殺事件謝罪
日経新聞 2013年3月23日夕刊3面

…イスラエル軍は10年5月、パレスチナ自治区ガザに向けて航行中のトルコの人道支援船を急襲し、トルコ人乗組員9人を射殺した。

…イスラエルはこの事件を巡ってトルコへの謝罪を一切拒否してきた。両国はかつて軍事協力協定を結ぶなど同盟に近い関係にあったが、事件をきっかけに休息に関係が悪化していた。

イスラエルが強硬姿勢を翻した背景には、20日にイスラエルを訪問したオバマ米大統領の働きかけがあった。電話会談にはオバマ大統領も参加。オバマ氏はイスラエルに対し、トルコ政府との関係改善を強く促していた。


―――


中東はとりあえず、緊張緩和の方向に「シフト」しているようです。



一方、朝鮮半島情勢。

―――

北との全面戦争にも備えるべき=韓国国防部長官内定者
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2013/03/08/0200000000AJP20130308004000882.HTML
聯合ニュース 2013/03/08

―――

北朝鮮「全面対決戦に突入した」と宣言 米韓合同軍事演習に反発
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130311/kor13031123270008-n1.htm
MSN産経ニュース 2013.3.11

―――

韓国でサイバー攻撃 銀行や放送局 サーバー一斉ダウン 韓国政府 北朝鮮の関与調査
日経新聞 2013年3月21日朝刊4面

―――

韓国へサーバー攻撃 「北朝鮮、年1000人ハッカー養成」
日経新聞 2013年3月21日朝刊4面


▼「北朝鮮は1980年代からサイバー攻撃態勢を本格化」
▼「大学教育などで年に1000人のハッカーを養成」
▼「現在の要因は3万人超」――。
韓国紙、朝鮮日報は北朝鮮が以前からサイバー攻撃の準備を進めていたと大きく報じた。

―――

「滅亡の運命にあるのは日本だ」 北朝鮮、安倍氏発言に反発
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130323/kor13032312370004-n1.htm
MSN産経ニュース 2013.3.23

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞は23日、安倍晋三首相が「このままでは北朝鮮は間違いなく滅亡への道へと進む」と発言したことを受け、「滅亡の運命にあるのは定見もなく米国に従う日本だ」と非難する記事を掲載した。

 同紙は日本はわが革命武力の標的になっている。日本が(北朝鮮)敵視を続ければ、到来するのは破滅だけだ」と主張し、植民地支配に関する「過去の清算」を重ねて求めた。拉致問題には触れていない。



―――

中東は、オバマ大統領の積極的な外交活動もあり、とりあえずの軍事的緊張の緩和に向かいつつあります。

一方で、朝鮮半島に関しては「全面戦争」だとか、「サイバー攻撃」だとか、「滅亡の運命」だとか「革命武力の標的」だとか、ちょっと前までの中東に関する報道のような物騒な文言(イスラエル首脳やイラン首脳の発言のような文言)が躍っています。


オバマ大統領の中東の積極和平の動きとアジア情勢の緊迫化はもちろん、連動したものと考えて良いでしょう(アジアが緊張しているので、中東は勘弁して、というような具合に)。

TPPに関してはこういう視点を持つ必要があります。


このような情勢ですから、オバマ大統領は軍事と経済のアジアシフトを成功させる必要性はいやが上にも増します。
よって、オバマ政権もTPPがさっさとうまく行かないと、しんどいところです。


安倍政権としては、協力する姿勢を見せつつも、「だからTPPではここを譲ってちょ」という余地も出来るやもしれません。




3月18日の衆議院予算委員会で、自民党の小里泰弘 衆院議員(鹿児島4区)は

「TPPは貸し切りバス。日本という最大の客が乗らなければ発車しません」

「だから安易に譲歩しないで下さい」


というようにおっしゃっていました。また以下のようなことも:

「相手はあの手この手で攻めて参ります。こっちも二重三重に防衛線を張って、日本の国益を守っていく必要があります。細心の注意を払う必要があると思います」

「害のない協定にする必要があります」

「関税、薬価問題、ISDなど、国益を守れない場合は撤退すべき」

韓国の二の舞を演じてはならない」

アメリカは社会保障の後進国。無理に合わせる必要ない」


――――

安倍内閣には、交渉に当って、何としても毒抜きをしてもらわなければなりません。

安倍首相いわく、TPPは「その先にある東アジア地域包括的経済連携/RCEPや、もっと大きな構想であるアジア太平洋自由貿易圏/FTAAPにおいて、ルールづくりのたたき台となるはず」ですので、絶対に毒抜きしてもらわなければなりません。

また、自民党の慎重・反対派の議員の皆さんも、このことには積極的に関与し、6項目が守られるようなTPPにするか、そうでなければ決議文にあるように脱退するように政府を監視すべきでしょう。


まあ、出来ればアメリカ連邦議会でぶっ潰してくれるのが一番良いのですが。

上に挙げた上院の公聴会で、財政委員会の共和党側のトップ、ハッチ上院議員(ユタ州)は、ボーカス議員(財政委員長)の次に、このような発言をしています:

http://www.finance.senate.gov/hearings/hearing/?id=bf63ffa8-5056-a032-5283-bd347de7362c

Today, morale at USTR is at an all-time low.
今日、USTRの士気は、かつてないほどに低い。

Ill-conceived proposals by this administration to have the agency subsumed into the Department of Commerce reveal a complete lack of understanding regarding both the structure and purpose of the agency.
この政権(オバマ政権)による、USTRを商務省に併合させるというよく練られていない提案は、USTRの構造と目的の両方に関する理解の完全な欠如を、暴露している。

Sadly, rumors persist that the President may nominate as his next Trade Representative
the chief architect of this proposal to end USTR as we know it.
悲しいことに、大統領がこの提案によって次のUSTR代表にしようとしている候補は、我々の知るようなUSTRを終わらせようとしている、と噂されている。


―――

現在USTR代表は空席で来週決まるらしいですが、まあ、ハッチ上院議員(共和党)の辛辣なこと。かなり、ボロカスです。


また、こんな記事も。

―――

米暫定予算 延長成立へ 動かぬ議会なおも続く 共和、世論意識し「徹底抗戦」
日経新聞 2013年3月23日 朝刊6面

なぜ共和党はこうまで突っ張るのか。国益を考えればどこかで妥協点を見いだせる努力をしても良さそうなものだ。

共和党は過去2回の大統領選で連敗。16年の大統領選では民主党候補に人気の高いクリントン前国務長官がいるが、共和党には本命候補がいない。態勢の立て直しには世論に強く訴える必要性に迫られている。

しかも世論は極端な保守からリベラルまで分裂傾向を強めている。選挙を意識すれば共和党議員は保守層への働き掛けが過激になってしまう。

今月6~7日。共和党のポール上院議員は米中央情報局(CIA)長官にブレナン氏を承認する本会議で、約13時間にわたって演説を続けるフィリバスター(議事妨害)で対抗した。直後から共和党への政治献金額が急増した。

先週の保守政治活動会議(GPAC)年次総会では共和党のクルス上院議員がポール氏のフィリバスターを挙げて「この3週間、保守派はワシントンでの政治活動で勝利し続けている」と強調。「銃規制や財政支出、憲法を巡る議論で我々は降伏するのか、立ち上がるのか」と、民主党への徹底抗戦を呼び掛けた。

共和党の実力者、マケイン上院議員はポール、クルス両氏の言動を批判するが、共和党内ではこうした「良識派」の意見は通りにくくなっているのが実情だ。14年の中間選挙に向けてオバマ大統領が強硬なことも共和党が逆に極論に走りやすい背景となっている。

―――

米議会、日本以上に大変そうです。


自民党の議員の過半数がTPP反対なのに安倍内閣の交渉参加表明を止められなかった、という見方は確かにできます。

しかし、交渉参加自体は内閣の専権事項です。そして、自民党は条件次第では脱退を辞さないという決議文を内閣に示しています。

よって、安倍内閣と自民党は、少なくとも見た目にはねじれ状態です。

オバマさんも同じです。

オバマ政権はTPP推進。しかし、与党民主党は必ずしも推進ではありません。2011年、オバマ大統領に交渉権限を与えるTPA法案は、当の民主党の反対で否決されました。

つまり、日本同様、米政権も与党とねじれ状態です。

さらにアメリカは上院と下院もねじれ状態で、しかも、もうすでに来年11月の中間選挙に向けた「選挙モード」です。

民主党の自動車票の議員たち(サンダー・レヴィン下院議員など)ももちろん「選挙モード」です。


というわけで、TPPに関してはオバマさんも安倍さんも、同様のしんどい立場てなわけです。

オバマさんはもっとしんどい立場だと思いますが。


長くなりましたが、今回のまとめ:


・TPP問題に関しては、中東情勢と北東アジア情勢も見ながら検討する必要がある

・安倍政権はオバマ政権の立場を理解し、協力すべきは協力しつつも、
 TPP交渉では毒抜きに集中すべき

・自民党の慎重派・反対派議員はその安倍政権を支えつつも厳しく監視すべき


ほんでもって、

・他力本願ながら、できればTPPはアメリカ議会でぶっ潰れて欲しい

という具合です。





1.アベノミクス支持

2.オバマ-安倍の良好な関係構築を支持

3.ただし、TPPはぶっ壊す!

  (最低でも「徹底した毒抜き」が必須)

  (あるいは、ぶっ壊れて欲しい!)



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まず、結論から書いておきますと、私個人としては

1.アベノミクス支持
  (個人的には金融緩和はどっちでも良いので、とにかく財政出動)

2.オバマ-安倍の良好な関係構築を支持

3.ただし、
「TPPはぶっ壊せ!」


であります。



そして、先日の安倍総理のTPP交渉参加表明会見の書き起こし文(by首相官邸)を読んだことで、私個人の安倍政権に対する格付けは、スタンダード&プアーズ風にいうと

AA+からBBB-に格下げ

とさせて頂きました。


「BBB」は辛うじて「投資適格」。後ろの「-(マイナス)」は更なる格下げの見通し、ということになります。

もっともこれは、これからの交渉のあり方次第ですが。

で、格下げされると「BB」以下の「投機的」格付けとなります。

(ちなみに、個人的な日本国債の格付けは「AAA」)





では、

首相官邸の書き起こし文
からいくつか拾ってみたいと思います。

(平成25年3月15日 安倍内閣総理大臣記者会見)




TPPはアジア・太平洋の「未来の繁栄」を約束する枠組みです。



う~ん…(チャールズ・ブロンソン風)




日本と米国という二つの経済大国が参画してつくられる新たな経済秩序は、単にTPPの中だけのルールにはとどまらないでしょう。その先にある東アジア地域包括的経済連携/RCEPや、もっと大きな構想であるアジア太平洋自由貿易圏/FTAAPにおいて、ルールづくりのたたき台となるはずです。

今がラストチャンスです。この機会を逃すということは、すなわち、日本が世界のルールづくりから取り残されることにほかなりません。「TPPがアジア・太平洋の世紀の幕開けとなった」。後世の歴史家はそう評価するに違いありません。アジア太平洋の世紀。その中心に日本は存在しなければなりません。TPPへの交渉参加はまさに国家百年の計であると私は信じます。



少々頭がくらくらしてきましたが、このままいくと世界政府まっしぐらという雰囲気を感じるのは私だけでしょうか?

「アジア太平洋自由貿易圏/FTAAPにおいて、ルールづくりのたたき台」の「たたき台」は「たたきこわしたい」の見間違いかと思わずにはいられません。


安倍総理には申し訳ないですが、去年、残念ながら引退してしまったアメリカの保守中の保守の元下院議員、ロン・ポール氏の演説のほうが個人的には感動します。


【米ガチ保守の反 #TPP の根拠 「WTOやFTA協定といった“超国家機関”は我々の国家主権を侵害するので不要」:ロン・ポール下院議員】

http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-544.html





...some people believe in Globalism, others of us believe in National Sovereignty.
ある人々はグローバリズムを信じ、他の人々は国家主権を信じています。

...

And there is a move on toward a North American Union, just like early on there was a move on for a European Union and eventually ended up.
そして、早くから欧州連合EUの動きがあり、結局それは出来上がったように、北米連合NAUにむけた動きも存在します。

...

So it's not so much a secretive conspiracy, it's a contest between ideologies: whether we believe in our institutions here, our National Sovereignty, our Constitution, or are we going to further move in the direction of International Government, more UN.
だから、それは秘密主義の陰謀ではなく、イデオロギー闘争です。
我々が我々の国家機関、我々の国家主権、我々の憲法を信じるか、我々が国連以上の国際政府の方向にさらに進むのか、という思想闘争なのです。

...

So I'm against all of that, but it's not so much as a sinister conspiracy, it's just knowledge is out there; if we look for it, you'll realize that our National Sovereignty is under threat.
だから、私はこれら全てに反対です。それは邪悪な陰謀などではなく、単にそこに存在しているということを認識しているに過ぎません。
我々がそれをしっかり探究すれば、あなたは我々の国家主権が脅威にさらされていることに気付くでしょう。






「TPPはアジア・太平洋の「未来の繁栄」を約束する枠組み」

というよりも、


our National Sovereignty is under threat

我々の国家主権が脅威にさらされている

という枠組み
ではないかと思います。


ポール氏はアングロ・サクソンの保守なので「小さな政府」が大好きですが、日本民族は「そこそこの大きさの政府」で良いと思います。

政府や国会の上に立つような、特にISD協定を持つような「貿易協定」≒「世界政府」は、アングロ・サクソンにも日本民族にも要らんのではないかと思います。

どうせ民族的に適合しないので無理にやっても崩壊し、世界全体がめちゃくちゃになるだけですから、一度やってみても良いかもしれません。


その場合、「TPPで得をした!」と一瞬思った人々年収10億円の巨大企業CEOの皆さんetc)も、皆で一緒にどえらい目に遭うでしょう。

赤信号 みんなで渡れば 怖くない

とでもいいますか。




恐らく、世界の人々が「世界政府」を許容できるようになるのは、少なくとも数世紀から10世紀くらいあとになると思います。


大変申し訳ないですが、安倍総理の上記の「アジア太平洋自由貿易圏/FTAAP」うんぬんの発言だけ取り上げれば、私個人的には「ジャンク債」格付けとさせて頂きたいと思います。

しかし、↓のような起死回生の一撃が!




一方で、TPPに様々な懸念を抱く方々がいらっしゃるのは当然です。だからこそ先の衆議院選挙で、私たち自由民主党は、「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、TPP交渉参加に反対する」と明確にしました。そのほかにも国民皆保険制度を守るなど五つの判断基準を掲げています。私たちは国民との約束は必ず守ります。そのため、先般オバマ大統領と直接会談し、TPPは聖域なき関税撤廃を前提としないことを確認いたしました。そのほかの五つの判断基準についても交渉の中でしっかり守っていく決意です。



このご発言により、私の中では辛うじて「投資適格格付け(ただし見通しはネガティブ)」に、首の皮一枚で留まっています。


次に、
自民党HPから、3月13日の「TPP 対策に関する決議」について:





特に、自然的・地理的条件に制約される農林水産分野の重要 5品目等やこれまで営々と築き上げてきた国民皆保険制度などの聖域(死活的利益)の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとする。



これでとりあえず、私は個人的には参院選でも辛うじて自民党に投票する可能性が残りました。
ただ、交渉の様子を見ない限り、他の人にまで勧められる段階でもないのですが…。


で、一番興味深かったのが、↓この箇所:



各国の主張を冷静に見極め、我が国としての主張を効果的に展開していくために、党としても国会議員による議員外交を、戦略的、かつ、積極的に展開してまいる所存である。



さらに、添付資料の以下の文言:



○なお、総論として、TPPにおいて守るべき国益は、他の二国間協議や国内の政策論議の中でも守られるべきであること、脱退規定の導入を交渉における必須条件とすべきこと、戦略論として、我が党として示した条件については、英訳してアメリカ議会にも送付すべきとの意見があったことを付記する。



こいつぁ、いいや。

先月末のエントリーで私は、




今回仮に日本が「参加表明」したとします。
日本の参加表明はまるで浦賀に来航した黒船のように、TPPの他の交渉参加国の諸国民に、極めて激しい化学反応を引き起こすことになるでしょう。



と書きました。

実際、その通りのことになりつつあるようです。

ただ、「めでたくTPP自体、全部消滅の方向へ」とまでは行ってないですが^^;


それでも、上記のような自民党議員団による「戦略的(?)な英訳をアメリカ議会へ送付」の動きが取られれば、アメリカにおける日本の参加を阻む動きのガソリンに火を注ぐことになるでしょう。

その前からすでに、かなり火がついているようですが。
いくつか、ロイターの記事から拾っておきます。




U.S. says Japan has more work to do to join trade pact talks
http://www.reuters.com/article/2013/03/15/us-usa-japan-trade-idUSBRE92E0O220130315
Reuters Fri Mar 15, 2013 11:25am


日本のTPP交渉参加表明、慎重ながらも歓迎=米USTR代表代行
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTJE92E01620130315
ロイター 2013年 03月 16日 08:14 JST

米通商代表部(USTR)のマランティス代表代行は

声明で「昨年初め以降、日米はTPPをめぐり、自動車や保険部門、その他非関税措置に関する懸案事項について2国間交渉を進めてきた。引き続きこういった交渉を前進させる一方、取り組むべき重要な作業がある」と指摘。米政府は「日本の交渉参加への支持を検討するにあたり、今後も議会およびステークホルダー(利害関係者)との協議を続けていく」と語った。





「利害関係者」ってえと、「年収10億円のCEOの皆さんetc」っすかね?

この記事は、その話よりも、↓こっちが重要です。




米下院歳入委員会のキャンプ委員長も日本の交渉参加表明に慎重な見方を示した。

委員長は声明で「日本が長年にわたる日米の貿易障壁の解決、とりわけ米国からの自動車輸出や保険部門に関して完全にコミットすると十分に確約していないことを依然懸念している」とし、委員長として日本の交渉参加を支持するには、こういった分野の問題解決に向けた日本のコミットメントが不可欠との認識を示した。

また、参加国によるTPP交渉はすでにかなり進展しており、日本の参加でこれまでの成果が削がれたり、10月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)までの交渉妥結に遅れが生じる事態になることは望ましくないとした。



下院の多数党である共和党の、しかも外交の担当委員会である歳入委員会の委員長であるキャンプ議員の発言はかなり重いと言えます。

こないだの、歳入委員会の民主党側のトップのレヴィン議員同様、「日本がもっと壊国するくらい開国しない限り、日本の参加は認めんぞ、このやろう!」と言わんばかりです。

共和党はあっさり認めるかと思ったのですが、そうは問屋がおろさなさそうです。いい意味で♪


さて、次の記事。そのレヴィンさんが再び大活躍! 



Democratic lawmakers sound alarm on Japan joining trade talks
http://www.reuters.com/article/2013/03/15/us-usa-japan-autos-idUSBRE92D14A20130315
Reuters Fri Mar 15, 2013 7:11am EDT


米民主党議員団、自動車めぐり日本のTPP交渉参加に警鐘
http://jp.reuters.com/article/jpUSpolitics/idJPTJE92D01H20130314
ロイター 2013年 03月 15日 08:25 JST

議員団は大統領への書簡で「非常に利益率が低い業界で(25%のトラック関税や)2.5%の車関税撤廃は、米国の重要産業を利することなく日本側に大きな利益をもたらし、日本からの輸入増加、米国の生産減、米雇用の衰退につながる」とした。

議員団には、下院歳入委員会の民主党トップであるサンダー・レビン議員(ミシガン州)や、同議員の兄弟で上院軍事委員長を務めるカール・レビン議員(ミシガン州)のほか、8人の上院議員と約40人の下院議員が名を連ねた。

サンダー・レビン議員はロイターに対し、「書簡は日本が(TPPに)参加することに警鐘を鳴らすものだ」と述べた。




若干複雑な気もするが、がんばれ!レヴィン兄弟!!!


ところで、英語版ではこのレヴィンさん(下院のほう)に関するさらに興味深い記述が見られます。



Levin, who has a history of voting for most trade agreements, played a major role in persuading the Obama administration to renegotiate auto provisions of a free trade pact with South Korea.
レヴィン議員は、これまでほとんどの貿易協定に賛成票を投じてきた経歴の持ち主で、韓国との自由貿易の自動車関連条項の再交渉をオバマ政権がするように説得する際、重要な役割を演じた。

The revised pact, which took force one year ago, allowed the United States to keep its 2.5 percent tariff on South Korean autos until the fifth year and to keep its 25 percent tariff on South Korean light trucks until the eighth year, when it will begin to be phased out.
改正された協定は、1年前に発行したが、米国は韓国に対して乗用車について5年間2.5%の関税を維持し、トラックについては25%の関税を8年間維持することができるものとなった。

But Levin and the other lawmakers argued in their letter that the same approach could not be taken with Japan.
しかし、レヴィン議員らは、書簡において、同じ方法は日本とは取れないと主張した。


"While some have compared this challenge to the one we faced with Korea, the Japanese auto market is more impenetrable, the history of formidable barriers and imbalanced trade is longer, and the magnitude of the problem is far greater than with Korea," the group said.
「ある人々は韓国に対する我々の挑戦と比較しているが、日本の自動車市場はもっと頑迷であり、その手ごわい障壁と不均衡な交易の歴史はより長く、そして問題の大きさは韓国よりもはるかに大きい」と議員団は語っている。

"Despite being the third-largest auto market in the world, Japan ranks last among OECD (Organization for Economic Cooperation and Development) members in terms of auto market import penetration, at 5.9 percent in 2012," they said.
「世界第三位の自動車市場であるにもかかわらず、日本はOECD加盟国の中で、2012年、自動車市場の輸入率が最低の5.9%であった」と彼らは語った。

The lawmakers blame those low import numbers on a web of barriers, including currency manipulation, discriminatory taxes, onerous and costly certification procedures for foreign cars and unwillingness by Japanese auto dealers to sell foreign cars.
議員団は、輸入を阻害する、一連の為替操作、差別的税制、外国車に対する煩雑でコストのかかる承認手続き、日本の自動車販売ディーラーの外国車を売る意志の無さなど、クモの巣状の障壁について非難している。

Meanwhile, Japan is concerned about being pressured in the TPP talks to open its long-protected markets for rice and other politically sensitive farm products.
一方、日本は長い間守られてきた米その他の政治的にセンシティブな農産物の市場を開くことについて、圧力をかけられていることを懸念している。

In the aftermath of Abe's recent visit to Washington, there have been rumors the two sides have already struck a deal that would let the United States keep its auto tariffs in exchange for Japan's protecting some agricultural products.
安倍総理のワシントン訪問直後から、日米両政権がアメリカの自動車関税の維持と引き換えに日本のいくつかの農産物の保護を取り引きしたとの噂がある。

Levin said he had not heard anything from the administration to confirm that. "We have no indication from the administration there is any such deal," Levin said.
レヴィン議員は、オバマ政権からその件について何も聞いていないとしている。「我々はオバマ政権からそのような取引をしたという通知は一切受け取っていない」とレヴィン議員は語った。




日本のTPP参加に強硬に反対する全米自動車労働組合(UAW)ですら、米韓FTAには拍手喝采でした。

UAWに拍手喝采させるほどの譲歩を韓国にさせるのに奔走したのがレヴィン議員ということになります。

そんなレヴィン議員も、今回ばかりは韓国のようには行かないと、嘆き節です。


しかも

「輸入を阻害する、一連の為替操作、差別的税制、外国車に対する煩雑でコストのかかる承認手続き、日本の自動車販売ディーラーの外国車を売る意志の無さなど、クモの巣状の障壁について非難」

って、そんなご無体な!


まあ、それでもとことん頑張って頂きたいと思います。

で、できればTPPそのものをぶっつぶして頂ければ幸いです(少なくとも、日本の参加をぶっ潰して頂きますよう…)






あと、↓こんな記事も:


Japan free trade talks with EU a "masquerade": Ford
http://www.reuters.com/article/2013/03/15/us-eu-japan-ford-idUSBRE92E0H020130315
Reuters Fri Mar 15, 2013 12:46pm EDT


日本は市場開放を真に望まず、交渉は「見せかけ」=米フォード幹部
http://jp.reuters.com/article/JPbusinessmarket/idJPTYE92E05M20130315
ロイター 2013年 03月 16日 08:33 JST







共和党のキャンプ下院歳入委員長、
民主党の皆さん(もちろん、アメリカの)、
それにフォード自動車をはじめとする自動車業界の皆さんにUAWの皆さん、

絶対に妥協しないよう、是非ともお願い致します♪


色々な意味で、日本のTPP交渉参加問題、TPP参加問題は、アメリカでぶっ潰れるのが一番、無難ではないかと思います。





1.アベノミクス支持

2.オバマ-安倍の良好な関係構築を支持

3.ただし、TPPはぶっ壊す!

  (あるいは、ぶっ壊れて欲しい!)



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578:#TPP 最善は「オバマ大統領と安倍総理の良好な関係だけを残して、TPPはまるごとこの世から消滅してしまうこと」

2013/02/28 (Thu) 13:48
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自民党議員の議員連盟「TPP参加の即時撤回を求める会」の公式ブログによりますと、昨日、自民党の正式な会議体である「外交・経済連携調査会」で次のような決議がなされたとのことです。



TPP交渉参加に関する決議

              平成25年2月27日
             自由民主党政務調査会
             外交・経済連携調査会

1 先の日米首脳会談を受けて、依然としてTPP交渉参加に対して慎重な意見が党内に多く上がっている。

2 政府は、交渉参加をするかどうか判断するにあたり、自由民主党における議論をしっかり受けとめるべきである。

3 その際、守り抜くべき国益を認知し、その上で仮に交渉参加の判断を行う場合は、それらの国益をどう守っていくのか、明確な方針を示すべきである。

4 守り抜くべき国益については別紙のとおり、確認する。
 以上決議する。






「別紙」とは要するに、例の公約に掲げたTPP参加の判断基準6項目の関連事項です。


ISD条項とか薬価問題(「医薬品の特許権の保護強化」:ジェネリック医薬品の話)も書いてあります。

詳細はこちら


つまり、6項目に関して具体的な方針を明確に示せば、参加表明を容認する方向、ということかと思われます。





ところで、もう一度、今月22日に発表された「日米共同声明」を振り返ってみたいと思います。

(ホワイトハウスの英文と読売新聞掲載の翻訳はこちら。ちなみに、読売のソースはそもそも外務省のようです。でも、「仮訳」ですので、やはり完全に正式なものはホワイトハウスの英文と言えます)


まず、第一段落では

“日本が他の交渉参加国とともに、2011年11月12日にTPP首脳によって表明された「TPPの輪郭(アウトライン)」

を達成することになる、としています。


この「TPPの輪郭(アウトライン)」というのは要するにハワイで行われたAPECのTPP首脳会合で発表されたものであり、例のアメリカ議会調査局のPDFのp.2に書いてあります。


とりあえず、関税に関しては次のような記述です:

Comprehensive Market Access—Removal of both tariff and non-tariff barriers is
“comprehensive and ambitious in all areas.”
包括的な市場アクセス:「すべての分野における包括的で野心的な関税障壁および非関税障壁の撤廃」



これが共同声明の第一段落です。

ところが、第二段落では

日本の農業とアメリカの「一定の工業製品」(要するに自動車)について、お互いに何らかの配慮をしましょうね、という内容が書かれています。

これは、第一段落、つまり、APECでのTPP首脳らによる声明文の「包括的で野心的な関税障壁および非関税障壁の撤廃」とかなり矛盾します。

この時点で少々おかしな話に陥っているわけです。

でも、これは議会調査局のPDFで「ヌードル・ボウル」という項目で書いてあった、TPPにおけるアメリカによる変則的な交渉のありようがそのまま反映されているに過ぎません。

おさらいしておくと、アメリカは「TPP参加国で一括して関税撤廃」の交渉をせずに、TPP参加国のうち、これまでアメリカとFTAを結んでいない国々とだけで、二国間交渉をしているという状況です。

つまり、アメリカはAPECの首脳声明の「野心的な関税撤廃」とは完全に矛盾した交渉をTPPにおいてやっているということになります(ここがかなり重要なポイントです)。



そして、日米共同声明の第三段落は、アメリカ側の立場の話だけ書いています。

日米の二国間協議を継続して、日本国内でアメリカ企業が活動する上での2大障壁、「自動車部門や保険部門に関する残された懸案事項に対処し、その他の非関税措置に対処し」云々と。

これを最初に読んだときは、「なんじゃこりゃ?」と思いましたが、要するにこれはオバマ大統領からアメリカ連邦議会議員に向けたメッセージか、と思うと、私としてはすんなり腑に落ちました。


これから日本の安倍政権が参加表明するとしても、連邦議会がそれを承認する決議を行うまでは90日間あります。「その間に、ちゃんと君ら議会が一番心配している自動車と保険のことは解決しておくので、よろぴく」というオバマさんからのメッセージなのではないか、ということです。





さて、5日前の23日のエントリーで、私はこれまでの「6項目の公約があるから、参加表明はまずあり得ない」としていた判断が間違っていたと謝罪し、これは参加表明に進むようだ、という考えに転換しました。


その最大の確証は、上に書いたような、米議会調査局の「ヌードル・ボウル」の記述です。

関税問題に関してはAPEC首脳声明のような
「すべての分野における包括的で野心的な関税障壁および非関税障壁の撤廃」で進めれれており、原則として全部例外なく関税撤廃と思っていたので、それに基づいて「自民党政権による参加表明は極めて困難」と考えていました。

しかし実態は、他の参加国は必ずしもそうではありませんが、少なくともアメリカはTPPにおいてそんな方針を脇に置き、ちゃっかり二国間交渉をやっていたわけです。

これなら当然、「聖域はあり得る」ということが大前提になるわけです。

そうすると、これはもう残念ながら「交渉参加推進」になるしかない、と考えたのであります。






さて、今回の日米共同声明を受けて、さっそく民主党(もちろん、アメリカの!)下院議員が反応しています。

下院の歳入委員会の民主党“ランキング・メンバー(少数党の最上位の委員。下院は与党民主党が少数党)”、レヴィン議員による声明文です:


Levin Statement on Joint U.S.-Japan TPP Statement
日米TPP共同声明についてのレヴィンの声明
http://democrats.waysandmeans.house.gov/press-release/levin-statement-joint-us-japan-tpp-statement
FEB 22, 2013

WASHINGTON – Ways and Means Committee Ranking Member Sander Levin (D-MI) issued the following statement today regarding the Joint Statement by the United States and Japan concerning the Trans-Pacific Partnership:
ワシントン:歳入委員会のランキング・メンバーであるサンダー・レヴィン議員(民主党。ミシガン州選出)は、TPPに関する、アメリカおよび日本による共同声明に関して本日、次の声明を発表した:


“As Japan explores whether to seek to join the TPP negotiations, there must be a clear, concrete understanding that before Japan would join the TPP negotiations that those negotiations would result in a real change in Japan’s policies and practices.
「日本はTPP交渉に参加しようかどうか模索しているが、日本がTPP交渉に参加するのであれば、そのような交渉によって日本の政策および慣習化が現実に変化することについて、明瞭で具体的な理解がなければならない。


Today’s joint statement suggests there are ‘sensitivities’ on both the Japanese side (agricultural products) and the U.S. side (autos and other manufactured products).
本日の共同声明は、日本の側(農産物)および米国の側(自動車および他の製作品)の両方に「センシティビティー」があることを示唆している。


It is worrisome that the joint statement might obscure the fact that those ‘sensitivities’ are both on Japan’s side.
この共同声明は、これらの「センシティビティー」が両方とも日本の側にあるという事実をあいまいにしかねない懸念がある。

Japan has long been ‘sensitive’ about opening its agriculture markets and about opening its auto market, as well as other markets, including insurance.
日本は、その農業の市場を開くことを、その自動車の市場を開くことを、同様にその保険を含む他の市場を開くことについて、長い間“神経質”であり続けている。


For generations, Japan has kept these markets closed, thwarting our efforts in agreement after agreement to change the situation for American exports.
数世代にわたり、日本はこれらの市場を閉ざしたままであり、アメリカの輸出のための状況を変化するために取り交わされたいくつもの貿易協定における我々の努力を妨げてきた。

We have worked with every previous Administration – over decades – to try to open the markets that Japan has fastidiously kept closed.
我々は、日本が頑なに閉ざし続けている市場を開こうとして、数十年にわたり、これまでのすべての政権ととも働いてきた。

These efforts, unfortunately, have not been successful.
これらの努力は残念ながら、成功していない。

An agreement that does not result in two-way trade is not an agreement that I or this Congress will support.”
双方向貿易とならないような協定は、それは私やこの連邦議会が決して支持しない協定である。」






まさに

「日本が壊国するくらい開国しない限り、絶対にTPPには参加させん!」

と言わんばかりであり、

「おいおい、おっさん、えげつないこと言いよるなあ」

という感じです。



ここで確認ですが、レヴィンさん
http://levin.house.gov/
は、

ミシガンの第9選挙区、それは「The Detroit metropolitan area」、「デトロイト首都圏」と訳すべき、デトロイト大都市圏に含まれるオークランド郡の選出です。

つまり自動車ビッグ3の本拠地のバリバリの選挙区です。

ミシガン州は上院は民主党が2議席独占している一方、下院は民主党が少数しか当選していない(14議席中、5議席のみ)興味深い場所です。
http://www.govtrack.us/congress/members/MI

どうやら下院の選挙区割りの、人口と議席の割合がアンバランスになっているようです。
下院は都市圏が民主党、農村地帯が共和党という感じです。

つまり、ミシガンの都市圏の議席は「自動車票」と言っても良いくらいかもしれません。

レヴィン下院議員からすれば、日本が今回の共同声明で描写されている程度の「甘っちょろい」条件でTPPに参加などしたら、来年2013年11月の下院選挙(中間選挙)はひとたまりもない、という危機感をお持ちのご様子です。


さて、ここで、
下院全体を考えると、下院は共和党が過半数です。
そして、上院は民主党が過半数です。

つまり、日本の参加が認められるかどうかは、

下院共和党と上院民主党の動きがカギです。



下院共和党はどうなのかというと…、例えば、前回の大統領選で共和党候補のロムニーは「現時点での日本の参加は認められない」というような見解を表明していました。

しかし、下院の共和党は、ミシガンのように農村地帯の票で支えられていると単純に考えてみると、日本の参加を容認するかもしれません。日本の農業市場を今よりも「開かせる」ことができると踏めば。

一方、上院民主党はどうかというと、以前当ブログに登場したボーカス議員のように「日本はもっとモンタナの牛肉を食え!」という議員もいますが、都会の労働者票の議員が多いでしょうから、反対に回る公算が大きいでしょう。
また、当ブログで繰り返し書いているように、オバマ大統領にTPPに関するTPA(大統領貿易促進権限)を与える法案を否決したのは上院民主党であるということもポイントです。なお、ボーカス議員はTPP推進ではありますが、TPA法案は反対票を投じています。


そして、もう一つ重要なのは、アメリカの選挙制度を考えると、オバマ大統領と与党民主党の連邦議員の利害が必ずしも一致しないことです。

オバマさんは今期4年務めたら3選目は憲法で禁じられるので、もう選挙は気にしなくてもよい立場です。

一方、下院議員の全員と上院議員の1/3は来年の11月の中間選挙を控えています。

だから、TPPの日本参加問題について大統領と与党議員の間で大きな温度差が出来て当然、というわけです。




ところで、この連邦議会問題にもう一つの視点を付け加えておきます。

議会調査局のPDFでは、TPPの関税の交渉状況の説明をする項目に、わざわざ「ヌードル・ボウル」というタイトルを付けていました。

これ、よくよく考えると少し変です。

この報告書は極めて真面目な報告書です。だから「ヌードル・ボウル The “Noodle Bowl”」などという、ある種ふざけたタイトルではなく、「関税 Tariff」というタイトルを付ければ良いはずです。

そうなると「ヌードル・ボウル The “Noodle Bowl”」というタイトルを付けたことに、何かしらの意図があると考えられるわけです。

私もこれで報酬をもらっているわけでも何でもないわけですし、ほかにもやること一杯ですから、60ページの非母国語の小難しい文章の報告書を全部読む気はしないわけです。

目次である程度、重要そうなところを見定めて部分部分を読んだだけです。(それでも前回のエントリーの作成は、読み取りと翻訳に時間がかかって、結局9時間かかりました)

その中で、「The “Noodle Bowl”」という項目を見つけ、「何じゃこりゃ?」と思い、それで読んだわけです。

忙しい連邦議員、あるいはそのスタッフが、ここを確実に読むようにし向けるというのが作成者らの意図だったと思われます。

この「ヌードル・ボウル」の項目を見れば、このTPP交渉が相当変な交渉、「看板に偽りあり」な交渉となっていることはよく分かるはずですので!


以上のように考えると、日本の交渉参加も、TPPそれ自体の成立も、相当に困難であると推定することがきるわけです。






さて、ここで本題の「Living Agreement」の恐ろしさについて、です。

この言葉はAPECの首脳声明文に書かれていました:

Living Agreement—Agreement will “evolve in response to developments in trade, technology or
other emerging issues” and expand “to include other economies from across the Asia-Pacific
region.”

Living Agreement:「交易、テクノロジーあるいはその他これから出現する問題の発展に対応して進化」し、「アジア太平洋地域を横断する他の経済圏を取り込んで」拡大する協定(Agreement)





というように、前回のエントリーでも書いたように「協定成立後も新たな参加国を取り込むような“生きている協定”」という意味を含むものです。

つまり、「WTOパート2」のようなものだということです。

これは以前、AFL-CIOのサイトで書いていたような、彼らAFL-CIOが懸念していたような“dock on”方式です。
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-543.html 参照)

 これはどういう意味を持つかというと、つまりは今般、日本が「TPP交渉に参加しない」と仮に一旦決断したとしても、“living agreement”で“dock on”のTPPが存在する限り、常に「参加の余地」が残り続けます。この場合、参加問題は未来永劫くすぶり続けるのです。

つまり、残念ながら、今回仮に「参加しない」と決めたとしても、それでTPP問題が完全に解決するわけではないのです。これは残念ながら、少々「甘い」認識ということになります。

TPPというのは存在する限り、回りのすべての国を飲み込もうとする、TPB(Tranc-Pacific Black hole 環太平洋ブラックホール)とでも呼びたくなるような代物なわけであります。

一方、今回仮に日本が「参加表明」したとします。
日本の参加表明はまるで浦賀に来航した黒船のように、TPPの他の交渉参加国の諸国民に、極めて激しい化学反応を引き起こすことになるでしょう。
そして、うまく行けばその激しい化学反応は、TPPそのものをこの地球上から消滅させてくれる作用を及ぼすかも知れません。

少なくとも、「日本が交渉参加しない」と表明した場合よりも、「日本が交渉参加する」と表明した場合のほうが、TPPそのものが消滅するという、最も望ましい状態が成立する確率が確実に高まります。



 これはあたかも、幕府の残党がバラバラになってゲリラ的に活動していたことに手を焼いたことで、維新政府方の司令官、大村益次郎が一計を案じ、「○月○日、上野で総攻撃を行う」と立札を掲げて旧幕府方を一箇所に集結させた上で集中攻撃、壊滅させたかのような、痛烈な効果が期待できるということです(但し、私は旧幕府方にも一定の同情心を持ち合わせておりますが)。

 日本が参加しない、というだけではなく、TPPそのものがこの世界から消えてなくなることが最も望ましいのであり、上記のような見方もできるのではないでしょうか。






もう一つ、重要な視点を提示しておきたいと思います。

憲法改正問題との関係です。


TPP交渉参加問題が仮に、とりあえず決着がつくとします。

そうすると、憲法改正問題を推進することに集中できる環境が整いやすくなります。


もちろんそれは、しっかり財政出動&金融緩和をやることで、しっかり景気を回復させることが大前提条件でありますが。


これはどういうことかというと、昨年6月に成立した消費税増税法案成立前後に私が書いた「見立て」について振り返るとよく分かって頂けると思います。

まず、消費税増税法案成立の9か月前、2011年9月に、私は以下のようなタイトルのエントリーを発表しました:


増税しながら景気を良くする方法:財務省の省益と国益を一致させるための「増税論」
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-398.html

増税以上の財政出動をすれば、景気は回復するし、財務省も増税することができる。そうすれば国民全体の利益と財務省の省益を両立できる、という考え方です。




そして、増税法案が衆院をで可決された2012年6月26日のエントリーで、次のような見立てを発表しました:




本日、消費税増税法案が衆院通過しました。

さて、これに関してですが、

消費税増税確定(もちろん、今後の参院の採決にもよりますが)
 ↓
「財政危機だから増税!!!」と喧伝する必要性がとりあえず薄らぐ
(財務省や消費税の軽減税率適用の大手マスコミ(特 に新聞))
 ↓
今度は景気良くする話にしないと結局はマスコミ自身が経営危機になりかねない
 ↓

財政出動の世論形成に傾く


というプロセスで、

むしろ今後は積極財政に進む環境が整いやすいんじゃないか、とも思います。

(まあ、これはあくまでも一つの可能性、ですが)




実際のところ、今、この見立てどおりに「消費増税法案成立→積極財政」という感じで事は進んでいます。

これと同様の仕組みで、「TPP交渉参加問題が一応は決着→憲法改正に向けて大いに前進」と運ぶのではないかと考える次第であります。





もう一つだけ重要な視点を書いておきます。

オバマさんだって、当初、2008年の選挙活動では「グローバリゼーション反対」を謳っていたわけです。


しかし、グローバリゼーションであるTPPを推進しています。

そして、議会でこのTPPが承認されるとは限りません。上記のように、むしろその見込みはかなり低いのが現状です。

一方、今回のエントリー冒頭で紹介しました通り、日本でも与党自民党の正式な会議体がかなり厳しい条件を出しています。アメリカの議会が飲みそうな条件であれば、日本の議会が飲まなさそうな雰囲気で一杯なわけです。

にも関わらず、オバマ大統領はTPPを推進しています。そして、安倍総理も(恐らくは)推進する立場を取りそうな気配となっています。

ここにどういう意味があるか?

仮に日本のTPP交渉参加が連邦議会で否決されたとしても、安倍総理はオバマ大統領と取りあえずは「同じような立場」に立つことになります。

これによって、オバマ-安倍の関係は良くなることはあっても、悪くなることはないでしょう。

ここで最も重要なのは、オバマ大統領は世界最強の軍隊の最高司令官であり、しかも彼は90日間であれば、議会の承認なしでその最強の軍隊を自由に動かす権限を持っている、ということです。

その大統領と日本の総理の関係が極めて良好であれば?

仮に日本に「敵対する」国があるとすれば、このことは少なくとも、そのような国の軍事的な判断材料の一つとして、かなり強烈な抑止効果を発揮することになるのではないでしょうか?







 若干複雑な気持ちだけど、

 民主党がんばれ!

 (もちろんアメリカの)


 そして、大統領と総理の良好な

 関係だけ残して

 TPPが消滅してくれますように♪



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577:#TPP 米国議会調査局「TPP参加推進は自民の参院選敗北、自民分裂を招くだろう」「ISDはヤバい」「このような協定の達成は困難かもしれない」といった見方を報告書に掲載

2013/02/23 (Sat) 18:09
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まず、安倍政権のTPPに対する姿勢に関して、私が「どうやら読みを外したらしい」ということについて、お詫びを申し上げておきたいと思います。





ただし、

TPPそのものがポシャる可能性は

まだまだ極めて濃厚


にあります。



とりあえず、本日未明発表された、日米共同声明をば。

ホワイトハウスはさっそく正式にホームページに掲載しているのですが、日本の総理官邸は残念ながらまだのようですので、対訳は
読売新聞より:





February 22, 2013
Joint Statement by the United States and Japan
http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2013/02/22/joint-statement-united-states-and-japan

The two Governments confirm that should Japan participate in the TPP negotiations, all goods would be subject to negotiation, and Japan would join others in achieving a comprehensive, high-standard agreement, as described in the Outlines of the TPP Agreement announced by TPP Leaders on November 12, 2011.

両政府は、日本が環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉に参加する場合には、全ての物品が交渉の対象とされること、及び、日本が他の交渉参加国とともに、2011年11月12日にTPP首脳によって表明された「TPPの輪郭(アウトライン)」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認する。


Recognizing that both countries have bilateral trade sensitivities, such as certain agricultural products for Japan and certain manufactured products for the United States, the two Governments confirm that, as the final outcome will be determined during the negotiations, it is not required to make a prior commitment to unilaterally eliminate all tariffs upon joining the TPP negotiations.

日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに二国間貿易上のセンシティビティーが存在することを認識しつつ、両政府は、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであることから、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認する。


The two Governments will continue their bilateral consultations with respect to Japan’s possible interest in joining the TPP. While progress has been made in these consultations, more work remains to be done, including addressing outstanding concerns with respect to the automotive and insurance sectors, addressing other non-tariff measures, and completing work regarding meeting the high TPP standards.

両政府は、TPP参加への日本のあり得べき関心についての二国間協議を継続する。これらの協議は進展を見せているが、自動車部門や保険部門に関する残された懸案事項に対処し、その他の非関税措置に対処し、及びTPPの高い水準を満たすことについて作業を完了することを含め、なされるべき更なる作業が残されている。





※読売さんの訳はかなり正確であると思われます。




しかし、うーん・・・。微妙ですね。



日本の農産品は関税の撤廃をい求められることはない、としつつ

「最終的な結果は交渉の中で決まっていくものである」
とか
「2011年11月12日にTPP首脳によって表明された『TPPの輪郭(アウトライン)』において示された包括的で高い水準の協定を達成」
とか
「全ての物品が交渉の対象」

としています。

要するに「あらかじめ聖域を用意して交渉を開始することはあり得ない」ということになり、これは
先日のカーク通商代表の発言と一致しています。


そして、最後はアメリカ側の「懸念事項」だけが記されています。

「自動車部門や保険部門に関する残された懸念事項」
だとか、
「その他の非関税障壁」
だとか。





これに関して、安倍総理は会談後の記者会見で以下のように発言したと、ブルームバーグ:




安倍首相:TPP交渉参加を近く最終判断へ-関税撤廃に聖域
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MIND4E6KLVS001.html

2月23日(ブルームバーグ):米国訪問中の安倍晋三首相は22日午後(日本時間23日午前)、ワシントンで記者会見し、オバマ米大統領との日米首脳会談でTPP(環太平洋連携協定)は聖域なき完全撤廃が前提でないことが明確になったとして、与党からの一任を取り付けた上で、近く交渉参加について最終判断する考えを明らかにした。

首相は日米首脳会談でTPPについて「最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであり、交渉参加に先だって一方的にすべての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められていない」ことを確認した、と説明。その上で、「大統領との議論を踏まえ、私は聖域なき関税撤廃が前提ではないとの認識に立った」と語った。
自民、公明両党から今後の対応について政府に一任を取り付けた上で、「なるべく早い段階で決断したい」との考えも明らかにした。
自民党は昨年12月の衆院選で掲げた政権公約で「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、TPP交渉参加に反対する方針を明記していた。自民党の有志議員で作る「TPP参加の即時撤回を求める会」は19日の決議で、「極めて慎重かつ毅然とした対応がなされなければならない」と指摘していた。




安倍総理の記者会見、映像で見ましたが、確かに、「聖域なき完全撤廃が前提でないことが明確になった」という趣旨の発言をされていますし、「与党から一任頂いて」とも発言されています。

また、ほかの5つの項目についても会見でオバマ大統領に言及しました」ともおっしゃっています。

つまり、自民党の公約

TPP交渉参加の判断基準

1.政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
2.自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
3.国民皆保険制度を守る。
4.食の安全安心の基準を守る。
5.国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
6.政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。

の6項目をすべて話したということかと思われます。


うーん、上記ホワイトハウス発表の共同声明には「1」以外の話がほとんど出て来ない、出てきてもアメリカ側の立場しか出ていない、という点が少々気になりますが、

このような共同声明を発表したからには、安倍政権は参加に向けた話になって行きそうな気配であろうかと思われます。


ただ、
以前の野田閣下と違うのは、

野田閣下:「ネガティブリスト(これだけは絶対譲らないという項目リストは持たない。心の中で持つ」

としていたのに対し、安倍内閣は、それなりのネガティブリストを持って交渉にのぞむことになるであろう、という点です。

ここは天と地ほどの差があります。


しかし、先般、
日経ビジネスの記事

「安倍晋三首相がTPP交渉に参加する意向を固めたことが分かった。2月下旬の日米首脳会談後、国内調整を経て正式に表明する方向だ。」

と書いていた記事を、「飛ばし記事」とツイートしたのは、残念ながら私のほうが「飛ばし」であったようです。


この点は慎んでお詫びと訂正をさせて頂きたいと思います。




とは言え、

アメリカの議会調査局

にもそのような見立てが書かれていたのですから、一介の評論家の私が同じように思っていたのは無理からぬこと、ではあります^^;

米議会調査局 Congressional Research Service とは?

 The Congressional Research Service (CRS) serves as shared staff to congressional committees and Members of Congress. CRS experts assist at every stage of the legislative process ...
 米議会調査局は、連邦議会委員会および連邦議会議員に共有されたスタッフとして奉仕している。米議会調査局の専門家は、立法過程のすべての段階を支援している…。

という公的機関です。






The Trans-Pacific Partnership Negotiations
and Issues for Congress
連邦議会にとってのTPP交渉とその問題点


http://www.fas.org/sgp/crs/row/R42694.pdf
Congressional Research Service
January 24, 2013

p.49


Japan

The bilateral consultations with Japan on its possible participation in the TPP negotiations have been ongoing since Japan announced its preliminary interest in the TPP.
日本がTPPに対するその予備的関心を発表して以来、日本の可能性あるTPP交渉への参加について二国間協議は進行中であった。

U.S.-Japan bilateral trade challenges are long-standing because they are deep-seated and difficult to resolve.
それらが根深く、解決するのが難しいかったため、米国-日本の二国間貿易への挑戦は長年にわたっている。

For example, U.S. auto manufacturers have argued for many years that the Japanese market is inhospitable to imports of cars made by the big three Detroit-based auto manufacturers. 
例えば、米国の自動車メーカーは、日本市場がデトロイトのビッグ3の自動車メーカーによって作られた自動車の輸入品に“不親切”であると長年主張してきた。

The manufacturers cite, in particular, Japanese tax regimes and safety regulations that discriminate against imported vehicles.
メーカーは、特に、輸入自動車を差別する日本の税制および安全規則を引き合いに出す。


U.S. insurance providers have asserted that they are at a competitive disadvantage vis-a-vis the insurance subsidiary of Japan Post, the government-owned postal system, in marketing some types of insurance.
米国保険業者は、彼らがいくつかのタイプの保険を売る際に日本郵政公社(政府所有の郵便制度)の保険子会社と比較したとき、競争上の不利な条件下にあると主張してきた。


Industry representatives and some Members of Congress have stated that the United States should not welcome Japan into the TPP unless Japan deals with the issues satisfactorily.
業界代表および何人かの連邦議員は、日本がそのような問題点を十二分に処理しない限り、アメリカがTPPに日本を迎え入れるべきでないと述べた。


However, other sectors, such as agriculture, see TPP as an opportunity to improve their access to the large Japanese market, and at the same time, create a more significant agreement with Japan’s entrance.
しかしながら、農業のような他のセクターは、TPPを大きな日本市場へのそれらのアクセスを改善する機会と見なし、同時に、日本の参加により、もっと重要な協定を創り出す機会であると見なしている。


Japanese domestic politics have also complicated the issue.
日本の国内政治もまた、問題を複雑にした。

For years, opposition from a vocal agricultural sector and political paralysis prevented the left-of-center Democratic Party of Japan (DPJ), which ruled from 2009-12, from reaching a final agreement on whether to pursue Japan’s participation in the TPP negotiations.
何年もの間、多弁な農業部門からの反対、および政治的麻痺状態が、中道左派の民主党(DPJ)(それは2009から12年まで君臨した)による、日本のTPP交渉参加の最終合意達成を妨げた。


Similar considerations are expected to affect the Liberal Democratic Party (LDP), which came to power after December 2012 elections for Japan’s Lower House of parliament.
同様の事態が、2012年12月の衆議院選挙で政権を掌握した自由民主党(LDP)に影響すると予想される。


The LDP, which is heavily reliant upon support from agricultural interests, has said it is opposed entering the agreement if it does not allow for some exemptions.
自民党は農業の利益からの支援に極度に頼っているが、いくつかの除外項目が許されない場合、TPP協定への参加に反対すると言ってきた。

Many observers believe that Prime Minister Shinzo Abe, who has made strengthening the U.S.-Japan relationship his top foreign policy priority, personally would like Japan to join the talks.
多くの観察者は、日米関係の強化を外交政策の最優先事項とする安倍晋三首相が、個人的には日本のTPP交渉への参加を望んでいると信じている。


However, he is unlikely to try to do so before Japan’s next elections (for Japan’s Upper House) in July 2013.
しかしながら、彼は、2013年7月の日本の次の選挙(参議院選挙)の前にそうしようとは恐らくしないだろう。

A decision to push for TPP participation would likely galvanize the TPP’s well-organized opponents in Japan and split the LDP, leading to its defeat in the Upper House.
TPP参加を推進する決定は、恐らく、日本でよくまとまったTPP反対者に刺激を与え、自民党の参院選を敗北に導き、自民党を分裂させるだろう。






アメリカの議会調査局ですらこう思っていたわけです。

それにも関わらず、日経ビジネスが「安倍首相、首脳会談後、国内調整を経て交渉参加する意向を固めた」という記事を書く情報源は一体、どこのどなたなのやら?


それにしても、
米議会調査局は、安倍総理がTPP参加表明した場合における自民党の行く末を心配してくれています(いや、実際には心配とかそういう問題じゃないかもしれませんが)。
私も心配です。








さて、
60ページに及ぶ米議会調査局のレポートですが、何か所か興味深いところを抜粋して翻訳しておきたいと思います。

今のところ、大統領およびホワイトハウス(USTR通商代表を含む)はTPPに関する「大統領貿易促進権限(TPA)」を議会から持たされていません。
だから、議会がどう考えるかが重要です。

(特に、上院民主党は大統領の与党であるにもかかわらず、一昨年の9月にTPAを否決したという経緯があるため、現在も上院の過半数を握る上院民主党議員団の動向が、TPPに関しては最も重要です。民主党は日本のTPP参加を強硬に反対する自動車労働組合の支援を受けている議員が多いですから!)


まず、TPAについて。

p.50

The Role of Trade Promotion Authority (TPA) and Congressional Trade Negotiating Objectives
TPA(大統領貿易促進権限)と議会の通商交渉の目標


Any trade agreement that the United States reaches with TPP partners would have to be approved
by Congress through the passage of implementing legislation, presumably under TPA procedures.
(see text box on TPA).
アメリカがTPPパートナーと達成するどんな貿易協定も、TPA手続きの下で、実行法案を議会が可決することを通して議会に承認されなければならないであろう。(TPAに関するbox参照)。


The latest TPA expired on July 1, 2007, although the Obama Administration has proceeded to negotiate the proposed TPP as if TPA were in effect.
オバマ政権は提案されたTPP交渉を、あたかもTPAが有効かのように進めてきたが、最後のTPAは2007年7月1日に終了した。

It has consulted with Congress and followed TPA’s procedural steps.
政権は議会と相談し、TPAの手続き的なステップに従った。


For example, U.S. Trade Representative Ron Kirk formally notified Congress of the Administration’s intention to enter into negotiations with the TPP countries on December 14, 2009, 90 days prior to beginning the negotiations, as stipulated under the expired TPA.
例えば、米国通商代表ロン・カークは、交渉を始める90日前の2009年12月14日に、期限切れのTPAの下で行う旨を示しつつ、TPP交渉を始める政府の意図を、議会に通知した。


Nevertheless, some observers, including Members of Congress, have asserted that TPP partners will not engage in serious negotiations on sensitive issues without the assurance that U.S. commitments are credible and cannot be amended by Congress, although negotiators have not experienced this problem to date.
しかしながら、議員を含む何人かの観察者は、米国が交渉で約束したことの信頼性が保証されず、その約束が米国議会によって修正されないことが保証されていない状態で、他のTPP参加国が、微妙な問題について重大な交渉をすることはないと力強く主張してきた。米国の交渉担当者らは、これまでにこのような状況を経験したことがない。


In addition, even though the Administration has been consulting Members and congressional staff, Congress, as a whole, formally has yet to weigh in on the form of negotiating objectives embedded in TPA authorizing statutes.
さらに、たとえ政府が米国議会議員と議会スタッフと相談していたとしても、議会はまだ全体として、正式に認められた成文法の形式でTPAに埋め込まれるべき交渉目標を、公式には十分に検討していない。


In the past, these objectives have included reducing barriers to various types of trade (e.g., goods, services, agriculture, electronic commerce);
過去においては、そのような目的には以下のようなものが含まれていた
様々なタイプの貿易(例えば品物、サービス、農業、エレクトロニック・コマース)への障壁を軽減すること;

protecting foreign investment and intellectual property rights;
外国投資と知的所有権の保護;

encouraging transparency, fair regulatory practices, and anti-corruption;
透明性の促進、公平な規制実施および反腐敗;

ensuring that countries protect environment and worker rights;
環境と労働者の権利を保護することを協定国が保証すること;

providing for an effective dispute settlement process;
有効な紛争解決プロセスを備えること;

and protecting the U.S. right to enforce its trade remedy laws.
そして、その「貿易の改善に関する法律」を執行するために米国の権利を保護すること。


However, over the years, Congress has revised and expanded the negotiating objectives as policy issues have evolved and the global trading system has become more complex.
しかしながら、この数年にわたって、政策課題が変化し、世界貿易体制がより多く複雑になるにつて、連邦議会は交渉の目標を改訂し拡張した。

In any renewal of TPP, Congress may wish to establish new negotiating objectives to reflect 21st Century trade policy including issues currently under negotiation such as stateowned enterprises, regulatory coherence, digital technology, and trade in green technologies, among other areas.
TPPにおけるいかなる(TPAの)更新においても、連邦議会は、政府所有企業、一貫した規制、デジタル技術、環境技術の取引その他の分野における、現在進行中の交渉の課題を含む、21世紀の通商政策を反映した新しい交渉目標を確立したいと望むだろう。


At the same time, the objectives would likely have to be flexible enough to allow the Administration to negotiate a “living agreement” that can change and be kept current with an evolving international trading system.
同時に、変化する国際的な取引システムを最新の状態に保ち、変化することのできる「生きている協定」を、政権が交渉することを可能にするよう、十分に柔軟でなければならないであろう。

It is unclear at this time if and when the Administration and Congress will take up the issue of TPA renewal.
政府と議会がTPAの更新問題を取り上げるかいなか、また、取り上げるとしてもいつになるのか、それは現時点では不明瞭である。





ポイント

・大統領貿易促進権限を持たずに、あたかもあるかのようにオバマ政権はTPP交渉を進めている

・連邦議会議員を含む多くの「観察者」は、「ちゃぶ台をひっくり返される状況で、一体どこの交渉国が こんな微妙で重大な交渉をするだろうか」と声高に主張してきた。

・TPAなしでFTA交渉をした経験など、誰もない。

・議会において、オバマ政権にTPAを新たに与えるために必要な十分な議論はなされていない

・TPPのような「生きている協定(要するに、変化し続けるような協定、ということか)」の場合、TPAの中で規定する「交渉目標」も、21世紀の通商政策にふさわしい、柔軟なものとすることが 必要となろう。

・しかし、
そんなややこしいものとなるであろう新しいTPAを成立させるかどうか、 目途すら立ってない状況

という具合となりましょう。

要するに、アメリカの本当のTPPの責任者である議会では、まったくTPP交渉は進展していないということです。

もちろん、日本の参加表明があれば、動き出すかもしれません。しかし、日本の参加がある、となると自動車業界、自動車労組、それだけじゃなく全米最大の労組AFL-CIOが黙っていないでしょう。
「そんなんで来年11月の中間選挙、大丈夫なのかしら、民主党(アメリカ)」、と考えると、かなりしんどいと思います。






次に、TPPの「しっちゃかめっちゃかな関税問題の交渉状況」について。


p.49

The “Noodle Bowl”
「ヌードル・ボウル」


Differences of opinion exist among the participants as to how best and to what extent the TPP will serve to harmonize trade rules among the parties.
TPPが、参加国の間での貿易ルールを調和させることに、どれくらい最良に、どれくらいの程度の役に立つか、参加国の間で見解の相違がある。

They have agreed to pursue a single set of TPP rules of origin, which will be key to achieving this goal.
彼らは、当初の、単一のTPPルールを追求することに合意した。それは、このゴールの達成の鍵となろう。


However, they are pursuing different approaches to developing a TPP tariff schedule.
しかしながら、彼らは、TPP関税スケジュールへの異なるアプローチを追求している。

The United States has maintained that it is negotiating market access bilaterally and only with the TPP participants with which it does not have FTAs: Brunei, Malaysia, New Zealand, and Vietnam.
アメリカは、市場アクセスを二国間で交渉すること、しかも、これまでFTAを締結していなかったTPP参加国であるブルネイ、マレーシア、ニュージーランドおよびベトナムとのみ交渉すると主張した。

Other participants have sought to negotiate plurilateral market access schedules.
他の参加国は、多国間(plurilateral)市場アクセス・スケジュールを交渉しようと努力している。

While the participants have agreed to conduct the tariff negotiations as they choose, they have agreed to develop a single TPP tariff schedule that will support the goal of facilitating trade.
参加国は関税交渉を彼らが選択したように導くことを合意した一方、彼らは単一のTPP関税スケジュールを進展させることが貿易促進の目標達成に資するということに合意していた。

However, it is known that some participants seek to reopen the market access provisions of their prior FTAs with the United States or others.
しかしながら、いくつかの参加国がアメリカや他の国とすでに締結しているFTAの市場アクセス条項の交渉を再開しようとしていることが知られている。

For example, Australia is known to seek a better market access for its sugar in the United States than it received in its FTA.
例えば、オーストラリアは以前のFTAの中で獲得したアメリカにおける砂糖の市場アクセスを改善するよう求めていることが知られている。

Through TPA, or other vehicle, Congress may wish to make its views known about the architecture of the agreement.
TPA、あるいは他の手法を通じて、連邦議会は協定の構造について知りたいと思うだろう。




なんと、単一の関税ルールで行くのか、二国間で個別に行くのかすら明瞭に決まっていないとのこと。

連邦議会も「結局どないやねん?」という感じになっています。

このグタグタぶりですが、TPP、本当にいつかは成立するつもりがあるんでしょうか?


ただ、上記のような状況であれば、とりあえず、関税に関してアメリカは個別の二国間交渉をやっているということになります。

この意味では、安倍総理がオバマ大統領との会談で「私は聖域なき関税撤廃が前提ではないとの認識に立った」というのは正しい認識であると言えそうです。

つまり、今回の共同声明が「玉虫色」でごまかしているというわけでは、決してないということになりましょう。


ということは、残念ながら、やはり交渉参加の方向になって行きそうです。



但し、アメリカ以外の国は「個別の二国間」ではなく「単一の関税ルール」です。
また、すでに色々書いているように、TPPそのものがアメリカでポシャったり、TPP交渉そのものが決裂する可能性もまだまだ十分にあります。







次は魅惑のISD条項について。



Foreign Investment
外国投資


Foreign investment has been a high priority for the United States in its FTA negotiations,
especially regarding the right of establishment by foreign goods and services providers in the territory of a partner-country.
外国投資は、特にパートナー国の領土における外国の製品および外国のサービスの提供者による創業の権利(開業の自由)に関することは、FTA交渉において、アメリカの高い優先事項であった。

They are discussing such issues as non-discriminatory treatment of foreign investments and investors;
彼らは、このような問題を外国投資、外国投資家の非差別待遇として議論している;

minimum standard of treatment;
処理の最低基準;

rules on expropriation;
収用に関する規則;

transfer of payments of the foreign investor out of the host territory;
当事国外への外人投資家の資金移動;

exceptions for identified non-conforming measures;
識別された不適合措置のための例外;

state-to-state and investor-state dispute settlement procedures;
国家対国家と投資家対国家の紛争解決

and prohibitions on performance requirements, such as mandatory export levels and local content stipulations.
また義務的な輸出水準および現地調達条件のようなの目標要求の禁止。


One issue that has become contentious is whether to include an investor-state dispute settlement provision, which allows for private foreign investors to seek international arbitration against host governments to settle claims over alleged violations of foreign investment provisions under the agreement.
論争の的になるようになった1つの問題は投資家対国家紛争解決(ISD条項)を含むべきかどうかだ。それは、民間の外人投資家がTPP協定の外国投資条項違反に関するクレームを解決する、当事国政府に対する国際仲裁を求めることを可能にする。


Except for the FTA with Australia, U.S. FTAs have included an investor-state provision.
オーストラリアとのFTAを除いて、米国FTAはISD条項を含んでいる。

The investor-state provision is designed to protect foreign investors from the vagaries of domestic judicial systems, particularly in developing countries, in such cases as government expropriation of foreign-held assets.
ISD条項は、外国人保有財産の政府収用のように、特に開発途上国で、国内の司法制度の気まぐれから、外人投資家を保護するように設計されている。

Critics have argued that investor-state procedures give foreign investors greater protection than domestic investors and infringes on the sovereignty of the host government in protecting the health and safety of its citizens.
批評家は、ISD条項が外人投資家に対し、国内投資家より大きな保護を与え、市民の健康および安全性を保護する際に当事国政府の主権を侵害すると主張している。

On the other hand, Australia has strongly argued against including an investor-state dispute settlement mechanism—although it too has investor-state provisions in many of its FTAs—thus generating a clash with other TPP partners.
一方、オーストラリアは、多数のFTAでISD条項を持っているが、TPPにISD条項を含むことに強く反対してきた。このことは、他のTPP交渉国との衝突を生んでいる。

The Australian position is in line with a basic trade policy position that the government of Prime Minister Gillard promulgated in 2011.
オーストラリアの立場は、ジラルド首相の政府が2011年をに公表した基礎的な通商政策の立場に従っている。

Australia’s strong opposition also has been re-enforced by an attempt by the Philip Morris Tobacco Company to use an investor state provision in an Australian-Hong Kong bilateral investment treaty to sue the Australian government for its requirement for plain packaging for cigarettes. 
オーストラリア政府がたばこの平易なパッケージングを要求したことに対し、フィリップ・モリス・タバコ会社がオーストラリア-香港の二国間投資協定のISD条項を使用してオーストラリア政府を訴えたことにより、オーストラリアの強い反対が強化された。

Philip Morris filed the suit from its Asian operations headquartered in Hong Kong.
フィリップ・モリスは、香港に本部を置くアジア事業本部から訴訟を起こした。

Another investment-related issue that has raised some concerns relates to the ability of governments to impose controls on capital outflows, particularly in times of financial crises.
いくつかの懸念を投げかけた別の投資関連の問題は、特に金融危機の時に政府が資本流出に制限を課する能力に関係がある。

Previous U.S. FTAs contain clauses which call for the free flow of capital in order to facilitate trade and investment.
従前の米国FTAは、貿易と投資を促進するために主要なことの自由なフローを要求する条項を含んでいる。

They also allow for exceptions where controls are imposed to alleviate short-term balance of payments problems in order to protect the stability of the financial system.
また、金融制度の安定性を保護するために短期の国際収支問題を緩和するために制限が課される場合、それらFTAは例外を許容している。

Some Members of Congress have raised concerns that in light of global financial crises, that the language in FTAs might not adequately preserve governmental discretion to impose controls when they see fit.
何人かの議員はグローバルな金融危機の観点から懸念を投げかけた。それらFTAの言い回しでは、十分に適切と思われる場合に制限を課する際の、政府の行動の自由を保持しないかも知れない、と。

A new approach to capital controls by the International Monetary Fund (IMF), which has pointed to usefulness of capital controls in ameliorating the effects of capital volatility during periods of economic instability, may also affect the outcome of the negotiations.
経済的不安定期に資本の不安定性の影響を改善する効果があったと指摘されている、国際通貨基金(IMF)による資本規制への新しいアプローチもまた、交渉の結果に影響するかも知れない。




米議会調査局も

ISD条項はやばい!

と認識している模様です(一応、書き方は中立的ですが)。

「オバマ政権は推進しているけど、オーストラリアの事例がある。議会として、本当に大丈夫?」という感じで。


それに、「既存FTAにある資本の移動の規制緩和は金融危機を増幅させるけど、それ、TPPではちゃんとしてるのか?」とも指摘。
まあ、かなり遠慮がちに、ではありますが。






農業に関して、もう少し。
下記の記述を見るにつけ、日本の農業の「聖域」が最終的に認められる可能性はかなり薄いでしょう:


p.23


Also, U.S. agriculture and food processing sectors pressed the Obama Administration to accept Canada, Japan, and Mexico as full negotiating participants.
また、米国の農業および食品加工セクターは、正式交渉する参加者としてカナダ、日本およびメキシコを受け入れるよう、オバマ政権に強要した。

They welcomed the decisions made to invite Canada and Mexico to join the talks, eyeing the prospect of seeing issues addressed that were not when the United States negotiated FTAs with each of them.
彼らは、アメリカがカナダとメキシコを交渉に招く決断をしたことを歓迎し、両国との既存のFTAで焦点をアメリカが当てていなかった課題に取り組むことを期待している。


Japan is viewed as the most promising market for U.S. agriculture if it decides and is accepted to participate, should its high tariffs and restrictive quotas on agricultural imports be reduced and/or eliminated over time.
もし日本がTPP参加を決定し、農産物の高率関税および輸入農産物の限定的な割り当て制度が縮小/除去されれば、日本は、アメリカの農業にとって、最も有望な市場であると見なされている。





まあ、こういうことです

・アメリカの自動車産業:日本のTPP参加は絶対許さん!!!

・アメリカの農業および食品加工業:日本の農業の聖域は絶対許さん!!





最後に、結論部分。

p.52


Conclusion
結論


The potential Trans-Pacific Partnership agreement may have a large impact on U.S. trade and trade policy, but much of its substance and its future remains undecided.
TPPは米国の貿易および通商政策に大規模な影響を及ぼす可能性がある。しかし、その実体とその将来の多くは未決のままである。

The agreement is ambitious in at least three ways:
TPP協定は少なくとも3つの点で野心を抱いている:

(1) in terms of its size—it would be the largest U.S. FTA by trade flows and could expand in a region that represents over half of all U.S. trade;
(1)そのサイズの観点から、それは貿易フローにおいて米国にとって最大のFTAとなり、(自由貿易を)米国の貿易の半分以上の地域に拡大することができる。;

(2) the scope and scale of its liberalization—the negotiating partners have expressed an intent to comprehensively reduce barriers in goods, services, and agricultural trade as well as rules and disciplines on a wide range of topics including new policy issues that neither the WTO nor existing FTAs yet cover; 
(2) その自由化の範囲、規模: 交渉参加国は、品物、サービスおよび農業貿易の障壁を包括的に低減する意図を表明すると同時に、WTOも既存のFTAもカバーできなかったような、新しい政策課題を含む、広範囲のルールと規範を作り上げる意図を表明している;

and (3) its flexibility—this “living agreement” has been and may continue to be expanded in terms of its membership and its trade and investment disciplines.
そして(3)その柔軟性: この「生きている協定」は、参加国の拡大や貿易と投資の規範を拡大張し続けることができよう。

Due to this level of ambition, however, achieving such an agreement may be difficult.
このような野心のレベルにより、しかしながら、このような協定の達成は困難かもしれない。

Differences in opinion exist, both domestically and among the negotiating partners, on precisely what form the agreement’s provisions should take.
見解の差異は、協定の条項がいかなる形態を取るかによるが、国内においても交渉国間においても両方において存在している。

A broad range of U.S. interests groups view the TPP as a way to “correct” flaws in previous U.S. FTAs, but changes that some groups consider improvements to U.S. trade policy others see as unwarranted intrusions into other aspects of public policy, or may contribute to economic insecurity for some Americans.
米国の広範囲にわたる利害集団は、従前の米国FTAの欠陥を「修正する」方法として、TPPを見ている。
しかし、いくつかの利害集団が米国通商政策の改善と考える変化を、
他の人々は公共政策の他の側面に対する不当な侵害あるいはアメリカ経済の不安定化要因と見なしている。


Even challenges with “20th-century” trade issues, such as market access for goods, have yet to be resolved among the TPP partners.
TPP参加国の間では、品物のための市場アクセスのような「20世紀型」貿易問題ですら、これから解決しなければならない。

Yet, the partner countries have expressed their commitment to achieving this ambitious agreement
and the negotiators remain positive about the progress being made.
しかし、TPP参加国はこの野心的な協定の達成の約束を表明した。また、交渉者らは、今なされている交渉の進捗を疑いなく確信したままである。

This group of countries have self-selected into the negotiations presumably because they see the TPP as a catalyst to greater economic growth and prosperity, especially if it is expanded to included other countries.
これらの国々が自らの選択でこの交渉に参加したのは、彼らがTPPをより大きな経済成長および繁栄への触媒と見なしたからであろう。特に、(今後さらに)他の国々にTPPが拡大するならば。

In addition, the large network of existing FTAs among the members could be seen as an indicator of
their willingness to cooperate on trade issues and may imply that some of the challenging issues
have already been addressed.
それに加えて、TPP参加国の間で既に存在する巨大なFTA網は、彼らの貿易問題への協働の意欲の指標と見なせるかも知れないし、いくつかの挑戦的な課題がすでに取り組まれてきたことを示唆しているのかも知れない。





意図、目的、問題意識は素晴らしい、と締めくくってはいますが、

国内で推進しようとする利害関係者は「改善」とみなし、
他の人々は「合衆国の公共政策への不当な侵害、合衆国経済の不安定要因」と考えている、ということです。


そして、私は以下の2か所が決定的かと:

much of its substance and its future remains undecided.
その実体とその将来の多くは未決のままである。



Due to this level of ambition, however, achieving such an agreement may be difficult. 
このような野心のレベルにより、しかしながら、このような協定の達成は困難かもしれない。



単なる憶測(あるいは希望的観測)に過ぎませんが、こんなシナリオも考えられます:


●「財政の崖パート2」が来月早々、つまり、間もなく開演。
 オバマ政権としてはとりあえず日米関係の復活をアピールしたかった。
 →日本が陰に陽に「財政の崖問題」でアメリカを支援することを期待。

●安倍政権
 対中国の問題で日米関係の復活をアピールしたかった。
 →TPPは参加の方向で調整

●7月の参院選までに
 ・安倍政権の支持率が大幅に上がる「イベント」が起こることがすでに予測されている
 か
 ・オバマ政権から何か安倍政権の支持率が大幅に上がる提案が行われる
 ことにより、7月の選挙で自民が参院過半数獲得

●7月以後、来年の11月までにTPPが何らかの理由でポシャる
 (日米以外の参加国の動向に起因する交渉の決裂など)
 →日本の参加問題も消え、米労組の懸念事項が一つ消える。

●来年の11月の下院中間選挙を民主党が有利に戦う




もちろん、↓こんなシナリオもありかと:

安倍政権が3月早々に参加表明

米議会が6月中にも日本の参加を否決

日本のTPP参加問題がめでたく消滅

これにより
「日本のTPP参加に関しては議会が却下したが、とにもかくにもオバマ政権と安倍政権の関係は極めて良好という状況が参院選前に成立
という可能性もなきにしもあらず…。







 アメリカの議会調査局ですら
 
  『達成は困難かも知れない』

 としているTPP。

 自然消滅を熱烈に希望



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576:#TPP 「聖域?あるわけねえだろ、んなもん!」とカーク米通商代表(注:去年流行った(?)キムタクのドラマ風にアレンジ)

2013/02/21 (Thu) 22:16
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約1ヵ月ぶりの更新です。

まずは近況報告を少々。

ユングの「集合的無意識」というのがあります。

私はこの十数年、ずっと「全人類の心がつながっている、精神的なインターネットみたいなもの」という理解をしていました。
ところが、ユング自身の語るところの本の説明を読んでいると全然違っていることに気が付き、いま取り組んでいる課題にかなりの影響が及ぶことになってしまい^^;。

ちなみに「集合的無意識」、「全人類共通」というのは間違いないのですが、「インターネットみたいにつながってます」とまで言っているものではないという具合です。ユング曰く、「人間、どんな民族でも目は二つで鼻と口は一つずつ。それと同じくらい共通している心の働きですねん」的な。

実を言うと半年前にその本、一回読んでいたんです。
なのに、先入観が強すぎて、全然気づいていませんでした。

まったく理解できていなかったのです。

これ、「国の借金」問題も同じだなあ、と思いました。

何十年も前から「国の借金は悪」、「財政赤字は怖い」という理解を続けていた人がいたとしたら、私の著書、「国債を刷れ!」とか「国の借金新常識」とかを一度や二度読んだところで、「いや、でもとりあえず借金はアカンやろ」となったとしても、少しの不思議もないのだな、と。





さて、話は変わり、TPP。

ぶっちゃけ、フェイスブックの「TPPって何?」グループで教えて頂いたネタですが、あまりにも面白い話があったので、ご紹介しておきたいと思います。


安倍総理が今日、アメリカに出発しました。

それに先立ち、ロイターがアメリカのカーク通商代表、つまりTPP交渉の責任者(といっても最終的には合衆国議会が本当の責任者ですが)へのインタビュー記事を出しています。


で、長ったらしいと時間がかかってしまうので、該当箇所だけ抜き出します。





日本、TPP参加にはコメ含む全品目で交渉を=USTR代表
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTJE91J01920130220
ロイター 2013年 02月 21日

米通商代表部(USTR)のカーク代表は20日、日本が環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加を望むのであれば、コメを含む全品目について交渉する必要があるとの見解を示した。

安倍晋三首相とオバマ米大統領による22日の日米首脳会談を前に、インタビューに応じた。

カーク代表は、特定の品目を保護するという条件付きで「交渉を開始することはない」と言明した。

(後略)






ふむふむ、なるほど。

さて、この興味深い記事をフェイスブックで教えて頂いて、私は上記太字部分について「英語では正確にはどう言っているのかな?」と興味を覚え、英語の元記事を探してきました(上記太字部分に該当するところだけ引用します):





UPDATE 2-U.S. says Japan must negotiate on rice to join trade talks
http://www.reuters.com/article/2013/02/20/usa-japan-kirk-idUSL1N0BK5U720130220

Reuters, Wed Feb 20, 2013

"We aren't going to begin the process by saying, 'Oh yeah, you get to have certain protected sectors or issues,'" U.S. Trade Representative Ron Kirk said in an interview before Japanese Prime Minister Shinzo Abe's meeting with President Barack Obama on Friday.
「我々は、『おう!それじゃあ特定の分野や問題は保護ありだね、ということから始めようじゃないか』と話すことによって交渉プロセスを開始するつもりはない」
とロン・カーク米通商代表は語った。
日本の安倍晋三総理大臣が金曜日にバラク・オバマ大統領と会合する前におけるインタビューにおいて。






日本語:「特定の品目を保護するという条件で交渉開始は無い」
英語:「我々は、『おう!それじゃあ特定の分野や問題は保護ありだね、ということから始めようじゃないか』と話すことによって交渉プロセスを開始するつもりはない」

という具合です。

かなりニュアンスが違います。


「特定の品目」ではなく「特定の分野Sectorsや問題Issuesの保護」です。

品目ではないというのはかなり重要だと思います。

だいたい物品の貿易取引という「品目」だけじゃないですからね、TPPは。
TPPとは、もっと包括的で広汎な利権問題ですから!

しかし、同じロイターで英語と日本語でここまで違うとは…

まあ、「聖域ありきで交渉を始めることはあり得ない」ということはいずれにせよ同じことですので、ここはカークさんを強力に応援したいところです。絶対に譲歩しないように!そして日本の参加がポシャるように!!






ちなみに、安倍さんが何かの間違いで万が一「参加します」と表明した場合、↓この人たちがきっと、スペインのロケットランチャーぶっ放してた炭鉱労働者なみに騒ぎ出すこと必至です:


フォードCEO、円安批判 「市場が決めるべき」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM3002O_Q3A130C1EB2000/
日経新聞 2013/1/30

米フォード・モーターのアラン・ムラーリー最高経営責任者(CEO)は29日、2012年10~12月期決算の電話会見で日本の為替政策に関して「為替相場は市場が決めるべきだ」と述べ、安倍晋三政権が人為的に円安に誘導していると批判した。「市場に任せることは自由貿易にとって重要」と強調した。

フォードなど米自動車3社がつくるロビー団体、米自動車貿易政策評議会(AAPC)は「円安による日本経済の成長で他の貿易相手国を犠牲にしようとしている」として、米オバマ政権に対抗策を講じるよう求めている。ムラーリー氏は同日、日本の為替政策に対し「世界中のリーダーが議論を始めている」ことを評価するとした。

フォードは日本の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加に反対する米自動車3社の中でも最強硬派。AAPCはTPP交渉を巡る議論でも日本の「為替介入」を度々批判してきた。






以上は自動車業界。

次は自動車労組のUAWです。



UAWのホームページより:


1,500 CAP delegates take to the streets of Capitol Hill
1500人のUAW-CAP代表ら、連邦議会に陳情

http://www.uaw.org/articles/1500-cap-delegates-take-streets-capitol-hill
02/05/13 (2013年2月5日)

で、陳情内容はこんな感じ:

Stopping benefit cuts to Medicare, Medicaid and Social Security.
メディケア、社会保障を削らないこと。

Tax fairness and the budget.
公正な税制と予算

Keeping Japan out of the Trans-Pacific Partnership (TPP).
日本をTPPから締め出すこと

Creating a pathway to citizenship for all immigrants.
すべての移民に市民権への道筋を





4番目は「?」ですが、それはさておき。


日本をTPPに入れるな!というのが主要項目に入っています。かなり、嫌がっています。こりゃあもう拒絶反応という感じですね。





『日本のTPP参加?あるわけねえだろ、んなもん!』

いろいろな意味で♪



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575:2012衆院選の分析:各社直前の比例投票先調査の精度を評価すると…最高は共同通信、最低は読売新聞&日テレ。有権者の最大多数派は無投票層4400万人。

2013/01/24 (Thu) 22:34
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一か月ぶりの更新であります。

※年末のご挨拶コメントを頂いた皆様、ありがとうございましたm(_ _)m





常連読者の皆様には、私の更新がこのように間隔が開くときは、何があるか大体察しが付くのではなかろうかと思いますが、まあ、そのご推察は当っているのではなかろうかと思います。

目下、最も注力しているのは心理学、そして脳科学(正しくは「神経科学」だそうですが)です。それに、少しだけ物理の最近の話題をインプット(そのうち「ヒッグス粒子がどうのこうの」と言い出すかもしれません)。

全部、経済の話につなげる予定ですが、やはり根本的に重要なのは心理学と脳科学になると想定しています。

個人の心理的・感情的安定(=幸せ)の集合体こそが社会全体の安定的状態につながり、一人ひとりの個人の心理的・感情的安定の積み重ねこそが国家経済や世界経済の安定的繁栄につながる、という具合です。


少しだけ関連する話題について突っ込んだ話を書いておくと、例えば、「うつ病」ですら物理的な現象として認識することが可能です。近年では、「うつ病患者の脳に委縮が認められる」という専門家による報告事例があります。

あとは、感情の発生パターンは脳神経回路パターンによって決定づけられる、という話などです。

ここで、脳神経回路というのは実際に人の脳の中に存在している、まったくもって物理的な存在であります。





…さて、政治もまた「一人ひとりの国民の“物理的な脳神経回路パターン”の集合体の状態を表すもの」ということになります。

その一つの結果がさきの衆院選であります。


今さらながら、総務省の集計結果をもとに、いくつかの事柄について検討・検証を行っておきたいと思います。


まずは、各社の比例投票先調査の平均の推移と投票結果のグラフです:




比例投票先調査の平均グラフ(結果入り)




うーん、自民党の事前調査からの落差が非常に大きいですね…。

これには色々な見方をお持ちの方がおられるでしょうが、とりあえず各社の事前調査の精度を評価してみたいと思います。

各社調査のパターンが実際の投票結果のパターンにどれくらい近かったかというのを、とりあえず相関係数を用いて評価してみました:

※相関係数の数値そのものに意味があると考えているのではなく、各社の精度のランキングを取る目的で相関係数を用いています。悪しからず。


各社調査の評価
各社調査の評価2
各社調査の評価3
各社調査の評価4



最低が毎日新聞の0.787で、最高が共同通信の0.985ということになりました。

ただし、毎日新聞や産経新聞は調査時期が古く、また調査結果を出している政党の数も少ないので他社と同列に比較することはできません!

直前時期に多くの政党の調査結果を出していた中では、読売新聞&日テレが最下位で0.851ということになります。



ここで、「直前時期に多くの政党の調査結果を出していた」各社のうち、
・最高の共同通信、
・次点のテレ朝、
・最下位の読売新聞&日テレ
の事前調査と実際の投票結果の違いを示すグラフを見てみましょう:



共同通信の評価 テレ朝の評価 読売新聞、日テレの評価


ここで、斜めに入っている直線は理想の状態を示します。つまりこの直線に近いほど、事前調査が実際の投票結果にうまく一致している、ということです。
(なお、「投票結果」は 得票数÷有権者数 という算式で計算したものです)


共同、テレ朝の特徴は、少数政党やいわゆる第三極の事前調査が低めに出て、自民、民主は事前調査が高めに出ていることです。

これは前回の選挙における共同通信の「第一党(民主党)の調査数値が高くなり、少数政党の数値が低くなっていた」という傾向と同じような感じです(09年の分析はこちら)。


そして、
読売&日テレの特徴は、少数政党や第三極の事前調査が実際の結果とほぼ一致しており、自民、民主が事前調査がかなり高くなっていたことです。特に自民は事前調査が著しく高く、そして、「棄権・未定」が著しく低く見積もられていまいした。

読売&日テレの場合、「棄権・未定」が少なすぎた分、自民党が高くなり過ぎていたという形で一応の説明が付きます。


これらを総合すると、

●自民圧勝予想の報道が相次いだため、
  ・自民に投票予定の人が安心しきって投票に行かなかった
  ・自民に投票予定の人が自民圧勝を嫌気して比例では他の政党に投票した

ということになるかも知れませんが、

あるいは、

●調査方法に問題がある、もしくは、サンプル数が少なすぎる

ということになるのかも知れません。


ここで、今回の取り組みで一つ判明したことは、上のほうで示したデータから明らかなように、「各社の平均を取ったからといって調査の精度が高まるわけでは決してない」ということです(各社調査結果の平均値を取っても相関係数が高まることは無かった)。

となると「サンプル数の問題ではなく、調査方法に改善の余地が大いにある」ということになるのではないでしょうか。

あるいは、もっと他の「大人の事情」などがあるのかも知れませんが、当ブログではとりあえずそのような観点について関知しないことにします。






次に、各党の比例代表および小選挙区における得票数について、いくつかの観点から検討しておきます。



 
まず、比例代表の得票数について、前回09年の選挙との比較。

今回の選挙直後、よく「自民党は圧勝したが前回より票を落とした。だから、決して広く国民から支持を受けて勝ったわけではない」と言われていました。

確かに、自民党は比例で前回よりも219万票減りました。
しかし、前回より伸ばしたのはみんなの党(+224万票)と新党改革(+7.6万票)だけであり、他の党はことごとく減らしています(なお、前回は存在しなかったので前回とは比較できない維新の会と未来の党は除きます)。

そして、この中で民主党は2000万票も減らしたという点で特別に際立っています。


さて、ここでもう一つの大きな注目点は、棄権・無効票の人が1000万人増えたということです。
無党派層ならぬ「無投票層」こそ、今回最も支持を伸ばした「政党」ですが、これこそが今の有権者の最大のマジョリティーということになります。その数、いまや4400万人。

私が思うに、この「無投票層」の人々は総体として(脳神経回路の集合体として)、消極的ながら今回は自民党を支持したということだと思います。ただしそれは多分に無意識下において、ですが。

選挙前、現職総理大臣からテレビに登場する多数の著名人や少なからぬ新聞記者まで、安倍さんを批判する人々はまるであたかも安倍さんが選挙前から既に総理大臣かのように扱っていました。また、党首討論で「安倍総裁」を「安倍総理」と言い間違える場面が数多く見受けられました。

それに現実問題、投票に行かない、という行為は、「現時点において最も支持を集めている政党を、結果として応援する行為」にほかなりません。

このように捉えると、今回の選挙では「積極的支持と消極的支持を合わせて、圧倒的に支持されたのが自民党」と考えるのが妥当ではなかろうかと勘考致します次第であります。もちろん、その観点で考えれば前回の選挙で「圧倒的支持」を受けたのは民主党、ということになります。



比例、前回との比較






次に、小選挙区。これについてはとりあえずグラフだけ掲載します:



小選挙区、前回との比較




最後に、今回の比例と小選挙区との比較。


ほぼ全ての小選挙区に候補者を立てた自民、民主、共産が比例での得票数に対して小選挙区における得票を伸ばしています。
そして、立てきれなかった他の政党は、国民新党を除くと、比例の得票数に対して小選挙区での得票数を大幅に減らしています。



比例と小選挙区の比較



小選挙区の得票が比例よりも減っている政党の、その減っている票の合計が1570万票。そのうちの大部分、900万票を拾った自民党の圧勝、ということになりました。





ここで、次の参院選に向けて回りの非自民支持者の皆さんに自民党への支持を広げる方法について、独り言をつぶやいてみたいと思います。


・株を持ってそうな人向けのセールストーク:
 「次、自民党が参院で過半数取れんかったら、確実に株下がりまっせー。
  仮に自民が参院で勝っても景気が悪化し、株が下がる確率はゼロではない
  けれど、自民が負ければねじれ国会で国政マヒ状態。ほぼ100%景気悪化、
  株価下落は確定でっせー。
  自民が勝つか負けるか。どっちが得になる確率が高いか、っちゅう話ですわ」


・年金受給者向けセールストーク
 「え?景気良くなって株が上がってもインフレで年金が実質目減りするって?
  いやいや年金基金だって16兆円くらい株持ってまっせー
  (日銀資金循環統計2012年3Q速報)」

 「それに、年金を今もらってる人とかもうすぐもらうことになる人って有権者の中
  で一番多いんでっせ。それで本気で年金受給者だけが割を食うようなこと、よう
  やりませんって。そんなんしたら次の選挙勝てませんやんか。
  大体、年金には物価スライドいう仕組みでインフレになったら一応は支給額が
  増える仕組みになっているんでっせ。
  それに参院選で自民党負けてねじれ国会が続いたら確実に景気はますます悪化。
  お子さんもお孫さんも給料減ったり失業したりでおまんま食い上げ。その方が年金
  減るよりずっと痛いんとちゃいますか?」

・若者向けセールストーク(現役労働世代兼用)
 「仮に万が一、自民惨敗でねじれ国会になったら就職口も給料も確実に減るんと
  ちゃうかなー」

とかなんとか、ブツブツ、ブツブツ…

※あくまでも自己責任でお願い致します♪








 次の参院選でも自民圧勝を期待!


 ついでながら、マスコミ各社の世論調査

 精度向上も期待!





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573:#TPP 新定義:「巨大国際企業という既得権益の既得権益による既得権益のためのルール作り」。米国“既得権益”CEOは年収10億円⇔日本は瀕死の“危篤権益”

2012/12/21 (Fri) 12:03
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日本のTPP推進派の皆さんの中には、「JAなどの“既得権益”をぶっ潰すため」にTPP推進を唱えられている方がいらっしゃいます。
また、TPP推進を明確に謳う政党の皆さんも「既得権益ガー」とおっしゃっています。

しかし、既得権益の権化というか総本山というイメージのあるJAや建設業界は、私に言わせれば年々衰退を続ける“危篤権益”です。一方で、アメリカでTPPを推進する主としてアメリカに本拠を置く国際的巨大企業のCEOは年収10億円が当たり前のスーパーリッチ。

つまり、日本のTPP推進派(の一部)の皆さんは、「日本の死にかけの既得権益(実際には“危篤権益”)をぶっ潰して、アメリカのスーパーリッチな既得権益の権益を拡大しよう!」と叫んでいるようなものです。


まずはプレジデント誌のコラムから一部引用:

―――

堀田佳男のオバマの通信簿
米金融大手のCEOの年収は、いまだに社員の300倍
http://www.president.co.jp/pre/special/barackobama/12395/
2009年9月18日

…専門家たちの中には、金融機関のカネへの貪欲な執着さからくるシステムの機能不全はこれからも避けられないとの意見がある。それは主に2つのことによって端的に示されている。


 一つはAIGやJPモーガン・チェイス、バンク・オブ・アメリカといった金融大手CEOの収入が、相変わらず10億円以上に達していることだ。金融機関トップ20に席をおく役員100人の2008年の平均収入は1380万ドルで、07年の1910万ドルよりは下がったものの、一般市民の常識から大きくかけ離れている。
 本来であれば、民間企業なので役員がいくら稼ごうが勝手ではある。ただし、それは財務状況が健全で、政府から支援を受けていない場合である。昨秋、政府からの救いの手がなければ、多くのCEOはすでに業界から姿を消していても不思議ではない。
 たとえばAIGトップはまったく懲りていない。AIGは昨年、政府から700億ドルもの税金を投入された企業である。本来なら潰れていてもおかしくないが、CEOのロバ―ト・ベンモシュ氏は1050万ドルを手にしている。
 前CEOのエドワード・リディ氏が反省して年収1ドルで仕事をしたのがウソのようである。「すでに交わした契約だから」という言い訳は、業界の中だけでしか通じない戯言である。というのも、彼らの年収は一般会社員の平均年収の318倍だからだ。30年前は30倍に過ぎなかった格差が広がるばかりである。
 格差だけならまだしも、税金が使われているだけに、市民からの嫉妬と憤りは収まらない。金融機関でも製造業者でも、一般市民の声を無視したところで長期的な経営は立ち行かないことを理解すべきである。自分たちだけが旨味を感受できればいいというミーイズムがまん延している。

 もう一つの機能不全は、アメリカ政府が肥大化した金融機関と金融市場を統制できなくなっている点である。


―――

堀田氏が書いているように、

「本来であれば、民間企業なので役員がいくら稼ごうが勝手ではある。」

と私も思います。


しかし、これまで当ブログでご紹介しました米国におけるTPP推進プロセスと、上記のAIGのCEOが、税金で救済されているのに「1050万ドル」、つまり約8億円の収入を手にしようとしている「ミーイズム(自己中心主義)」が何とも重なって見えてしまいます。

たとえば、アメリカのワイデン上院議員が、大企業には情報を公開されているにもかかわらず、貿易交渉の監督責任がある上院財務委員会の交易・関税・国際競争の小委員会の委員長である自分にはまったく公開されていないと指摘がありました。


"The majority of Congress is being kept in the dark as to the substance of the TPP negotiations, while representatives of U.S. corporations – like Halliburton, Chevron, PHRMA, Comcast, and the Motion Picture Association of America – are being consulted and made privy to details of the agreement,” said Wyden.
ワイデン議員は、「国会議員の大多数は、TPPの実体に関して暗闇の中に置かれたままだ。しかし、一方でハリバートン(石油)、シェブロン(石油)、PhRMA(米国研究製薬工業協会)、コムキャスト(ケーブルテレビ、インターネット)、アメリカ映画協会といった米国企業の代表には、相談を持ちかけ、TPP協定の詳細についての機密を教えている」と語った。

以前のエントリーでご紹介したロシア・トゥデイの記事の↑この箇所は、ワイデン上院議員の上院の公式HPに掲載されている大統領宛て書簡(2012年5月23日)からの引用です。


また、これに関連して別のエントリーでアメリカの「過激保守」雑誌のNew Americanの記事からの引用で、ワイデン議員のスポークスマンが

“An advisor at Halliburton or the MPAA is given a password that allows him or her to go on the USTR website and view the TPP agreement anytime he or she wants.”
「ハリバートン社やアメリカ映画協会(MPAA)の顧問は、USTRのウェブサイト上でTPP協定に関していつでもどんなことでも閲覧するためのパスワードを与えられている」

と語っていた話も紹介しました(大元の情報源はリベラル系のインターネット新聞Huffinton Postの記事)。


また最近、米共和党議員団の著作権ルール改正案に米ネットユーザー 熱狂するも、発狂したハリウッドのロビイストの圧力でわずか24時間で撤回という話があったこともご紹介しました。
この件は、あくまでも元の記事を書いたアメリカのネット・メディアの記者の推定ですが、まあこの見立ては特に間違っていないんじゃないかと思います。

そして、
米製薬業界がevergreeningと呼ばれる簡単なマイナーチェンジで特許期間を延長することをやり易くし、特許切れを利用する安価なジェネリック医薬品を作ったり売ったりすることを困難にするような圧力をかけている話も紹介しました。


―――――

【追加】国境なき医師団がEvergreeningについて解説している動画がありましたので貼り付けておきます:

'Evergreening' Drugs: An attack on access to medicines
医薬品の「エバーグリーニング」:医薬品へのアクセスに対する攻撃

20. Mar 2012


英語ですがかなり聞き取りやすく、分かりやすい内容です。
インドでは安価な医薬品を確保するため、Evergreeningを禁止する法律があるそうです。

この動画の紹介文:
Evergreening…sounds nice doesn’t it ? But evergreening is what drug companies do when they want to increase profits and it leaves people in developing countries without the medicines they need.
エバーグリーニング…良さげなものに聞こえませんか? しかしエバーグリーニングは製薬会社が彼らの利益を増やしたいためにするものであり、それは発展途上国の人々が必要な医薬品を手に入れられないようにすることです。


ちなみに、ノーベル平和賞をとったこともあるこのフランスの「国境なき医師団」、Evergreeningに関連してスイスの巨大製薬企業Novartisノバルティスを名指しで批判しているようです。
http://www.msfaccess.org/STOPnovartis/


―――――


さて、以上のように、アメリカにおけるTPP推進は、オキュパイ運動の人々が口にしていた

“Our government is being bought by corporations,”

「俺たちの政府は企業に買収されている」

という状態がピタリと当てはまるような様相を呈しています。


私は、大企業がカネを儲けてこれからも繁栄することを歓迎しています。

しかし、TPPのような強引な“既得権益拡大ルール”はいけません。

これによって格差はますます拡大し、少数の大金持ちとその他大勢の貧乏人という状況がますます進行してしまうでしょう。

「自分以外みんな貧乏人」になったとき、誰があなた方の会社の商品を買うのですか?という話なのです。

やり過ぎると結局は長期的に誰も儲からない、みんなで一緒に衰退するという憂き目に遭うでしょう。

何にしても過ぎたるは及ばざるがごとしです。超長期的な繁栄のためには、ほどほどが一番良いのですよ。




さて、

それから、巨大農産企業であるモンサントがバーモント州議会に圧力をかけて遺伝子組換え食品の表示に関する規制の議会決議を延期させる、ということもありました。


さて、そのモンサントのCEOの年収はいくらか、というと、英語Wikipediaによれば、モンサントCEOのHugh Grant紙の2009年の年収は…

In 2009, Grant earned a total compensation of $10,803,757


ということで、1,080万ドル、日本円で8億円超ですね。

私はこの方たちが高い収入を得ることに対して文句を言いたいわけではありません。

しかし、こんだけ儲けてるんだから、遺伝子組み換え表示を義務化するくらいしても良いじゃないの、と思うのであります。



一方、日本の悪しき既得権益(?)の代表、JAはというとどうでしょうか?

例えば、「JA庄内たがわ」(山形県)の場合(2002年):

・代表理事組合長    年報酬 810万円
  他に全農理事(全農庄内・運営委員会会長兼務)の報酬があります。

・代表理事専務     年報酬 775万2千円

・代表理事常務     年報酬 729万6千円

・常務理事       年報酬 729万6千円


社団法人全国農協観光協会の場合、役員報酬規程(平成22年)により

第2 条 役員の報酬は年額報酬をもって全てとし、その額は次のとおりとする。
1.常勤役員
副会長理事 5,000,000 円
専務理事 14,500,000 円
常務理事 13,500,000 円

1500万円あたりが最高額、という感じでしょうか。



建設業はというと、例えば業界最大手の鹿島建設の場合、

平成23年度の財務諸表を見ると

役員報酬 441百万円
執行役員報酬 1,176百万円

ということで、合計16億円。
ここで「役員の状況」に記載されている役員・執行役員が65名(重複除く)です。
ということは、モンサントCEO二人分の報酬を65人で分け合っているということになりますが、一人当たり平均が2千5百万円となります。



ちなみに、2012年11月21日発表のプライスウォーターハウスクーパースによる日本の上場・非上場企業67社(外資系含む)対象の調査によると、会長、社長の平均報酬は6千万円ほどであり、全役位平均値が2800万円程度のようです。

鹿島は、建設業界最大手ですが、この「日本の平均」より少し低めとなっています。
建設業界最大手でもこの程度ということです。そして、JAはそれよりも遥かに低い水準ということになりますね。

一般庶民に比べたらもちろん「物凄い高収入」ということになるかも知れませんが、TPPを推進するアメリカの大企業の一人10億円が当たり前の状況に比べたら、どうでしょうか?


日本のTPP反対派は人数にモノを言わせて反対している一方、アメリカの推進派はカネにモノを言わせて推進、と言ったところです。さて、どっちが民主主義的と言えるでしょうか?



さて、
ここで国土交通省による大手建設業55社の調査を紹介します。

平成23年 建設業活動実態調査の結果

によると、この55社のうちの「総合建設業」つまりはゼネコンの従業員数は平成6年(1994年)から平成23年(2011年)の17年間で半減しています。15万人が8万人に減っています。

(↓クリックすると拡大表示されます)
建設大手従業員数推移



また、大手建設企業55社計の売上高は24.5兆円から12兆円に半減

(↓クリックすると拡大表示されます)
建設大手売上高推移



「国土強靭化で公共事業をやると土建屋だけが儲かる」という人々がいらっしゃいますが、その土建業界はもはや既得権益ではなく、瀕死の危篤権益という様相を呈しています。


また、JAに関しては、JAも地域組織や全国組織がいろいろあって一概には言えないかも知れませんが、専門職をやっていた職員がある日突然、共済のライフ・アドバイザー、つまりは保険の外交員に回されるということが頻発しているそうです。JAは役所ではなく民間組織であり、公務員のような安定した職業と思って入るのは大間違いなのだとか。

ちなみに、私の知人の親戚筋がJAに就職し、上記の共済の仕事に回されているそうです。ノルマがキツくて大変なんだそうです。

JAも建設業界も「美味しい汁を吸う既得権益」というイメージはあまり湧かないのが実態であると言えるでしょう。


「既得権益ガー」でTPP推進や公共事業反対をすることは、日本の危篤権益をぶっ壊し、アメリカのスーパーリッチな既得権益の皆さんを更にスーパーリッチにする片棒を担ぐことになりやしないか、心底から心配な今日この頃です。


「既得権益ガー」の皆さんは、日本の危篤権益叩きではなく、アメリカをはじめとする“国際的既得権益”叩きをすべきではないのかと思うのですが、いかがでしょうか?

なお、私はどちらも叩かなくて良いと思っています。最終的には共存共栄こそが肝要なのであります。

と、言いつつ…



 TPPとは、

 日本の“危篤権益”をぶっ壊し、

 巨大国際企業という本物の

 既得権益の既得権益による

 既得権益のためのルール作り

 ということか?



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571:#TPP:米共和党議員団の著作権ルール改正案に米ネットユーザー 熱狂するも、発狂したハリウッドのロビイストの圧力でわずか24時間で撤回

2012/12/14 (Fri) 17:01
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昨日のTBS NEWS23クロスの党首討論、面白かったです。

例えば、

未来の党代表の嘉田さんが思わず「安倍総理」と言い、その後、「自民党が過半数取られるのならもんじゅの問題をしっかり認識して頂きたいです」というようなことを発言されていました。完全に第二次安倍内閣が大前提になっています。

また、ほんの2、3週間ほど前には「自民、公明に過半数をとらせたら結局同じことだ」と述べたり、「自民に過半数は取らせない」と断言したりしていた維新の会代表の石原さんも、昨日は「自民党が憲法改正するなら協力しますよ」と、安倍“総理”に協力的です。

先週金曜日のテレ朝報道ステーションの福島瑞穂さんの「安倍総理」発言といい、どうなっているんでしょうか???

フロイト的にいうと、「うっかり」ではなく、潜在意識のレベルで確信しているのではないかと拝察いたします。


一方、維新の会・代表代行の橋下さんは4日前の街頭で
「自民党への失望感が高まって民主党に政権を委ねたのが3年前。今回の選挙で復活する自民党議員は3年前に皆さんが落とした議員だ。よく考えて」と演説したとのこと。

今回の選挙で「落とされた」維新の候補は次の選挙でも「良く考えて」落としたほうがいい、維新の「政策実例」風にいうと「フェードアウト」したほうが良い、ということですかね?

これも「うっかり」ではなく、橋下さん、潜在意識レベルで確信してるのかしらん・・・。

ていうか、大阪維新の会が出来たのは2010年4月
3年前、あんたら見事に全員そろって自民党やないかい!!!!!!








ということで、今回は久しぶりにどっぷりTPPです。


―――――

TPP 11ヵ国「来年中に妥結」日本の態度にいら立ち
日本経済新聞 2012年12月13日

ニュージーランドのオークランドで12日、環太平洋経済連携協定(TPP)の第 15回交渉会合が閉幕した。
参加国が11カ国に拡大後の初会合。
終了後の記者会見では新たに参加したカナダとメキシコへの称賛が相次ぐ一方、参加表明で明記が日本にいら立つ雰囲気も垣間見えた。

11ヵ国は 2013年中の交渉妥結を目指し交渉を加速する方針を確認した。早ければ来年10月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合で妥結する可能性もある。

「交渉の勢いに貢献できることを示した」。
記者会見でニュージーランドのウォーカー首席交渉官はカナダとメキシコをこう称賛。

そのうえで「そうできると思う国には(TPPは)開かれている」と述べ、日本を念頭にやんわり決断を促した。日本のTPP交渉参加をめぐる質問には直接の回答を挙げた。

「米議会の承認手続きも考慮すると来年10月までに日本が交渉参加する時間的余裕は乏しい」(オークランド大のジェーン・ケルシー教授)との指摘もある。9月の米国での前回会合後の会見ではワイゼル米首席交渉官が「まず日本が決定を示さなければならない」とTPP交渉への正式な参加表明を促した。

―――――





ほとんどの党の党首が内心確信しているように、早くも与党当確予定の自民党のTPPに関する姿勢は以下の通りであります。この条件を持つ限り、自民党政権はおそらく、カナダやメキシコのようには「交渉の勢いに貢献」することは無いでしょう:

―――――

The Fax NEWS No.153
http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/recapture/pdf/055.pdf
自由民主党広報本部 H24.3.9



TPPについての考え方
自民党はTPP交渉参加の判断基準を明確にしています。

TPP交渉参加の判断基準
① 政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
② 自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
③ 国民皆保険制度を守る。
④ 食の安全安心の基準を守る。
⑤ 国の主権を損なうようなISD条項(注)は合意しない。
⑥ 政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
わが党は、政府が11月と同様に二枚舌を使いながら、国民の知らないところで、交渉参加の条件に関する安易な妥協を繰り返さないよう、政府に対して、上記の判断基準に沿うことを強く求めていきます。

(注)ISD条項…外国政府の差別的な政策により何らかの不利益が生じた場合、投資家(Investor)である当該企業が相手国政府(State)に対し、差別によって受けた損害について賠償を求める(Dispute)権利を与えるための条項。これが濫用されて、政府・地方自治体が定める社会保障・食品安全・環境保護などの法令に対し、訴訟が起こされる懸念があります。

―――――


ISD条項の注書きが特に注目に値します。

さて、この条件をぶら下げて、うっかり「交渉に参加させて下さいな♪」なんて言った日にゃ門前払いじゃないでしょうか?

つまり、自民党=次期与党(予定)は、実質反対ということになりましょう。


しかし、もし仮に万が一、今回の選挙で成立予定の第二次安倍内閣が強引にTPP交渉参加を推し進めることがあったとします。

その場合、TPP反対票で当選した地方選出の議員は賛成に回らないでしょう。
仮に党議拘束をかけるとして、党議拘束よりは、その次の選挙に当選することのほうが重要でしょうし、そもそも参院で過半数取ってないのに、そんなことをすれば来年7月か8月に予定される参院選で自民党が勝つことは非常に困難になるでしょう。それでは延々国会のねじれ状態が続いてしまいます。

さらには、仮に日本が交渉参加を表明したりすれば、アメリカにおける日本のTPP参加に反対する勢力、自動車産業などの製造業業界団体AFL-CIOなどの労働団体などが死ぬほど反対するでしょう。

そうなるとアメリカにおけるTPP反対派が俄然勢いを増し、TPPそのものが暗礁に乗り上げかねないので、それはそれでTPP反対派としては大慶、喜ばしい限りです。(あとで触れますが、TPPに関しては著作権問題でアメリカのネットユーザー、若者たちも盛り上がりそうな兆しがあります)。

このように考えると、第二次安倍内閣が強引にTPP交渉参加を進めるメリットは日米双方にとって全くありません。百害あって一利なしです。

日本においてはTPP問題で足を取られてほかの重要政策が何一つ進まず、新政権発足早々レームダック化してしまいます。

そもそも参院は自公で過半数無いのですから、新政権もこんなことで揉め事を背負い込みたくないでしょう。また、アメリカのオバマ政権も財政の崖&連邦債務上限という国家存続に関わる致命的な問題があるので、こんなことで余計な揉め事を背負い込みたくないでしょう。

一方、日本の次期政権が「TPP交渉には決して参加しない」と断言してしまうと、現在進行中の11か国によるTPP交渉にいらぬ波紋をもたらしかねません。というのも、
日本政府が正式に「TPP交渉には決して参加しない」と宣言してしまうと、それは日本政府が世界に向かって「TPPはトンデモ、クズ協定だ」と正式に宣言するに等しくなってしまうからです。これはまことに具合が悪いと言えるでしょう。

ということで、日本の次期政権にとって、オバマさんへの配慮、アメリカ以外の交渉参加国への配慮、財界など日本国内のTPP推進派への配慮、さらには日本国内の反対派への配慮のバランスを取るためには、日本のTPP交渉参加問題について「参加に向けた協議を継続する」という言語明瞭・意味不明な感じであやふやにして先送りするのが最良の選択、ということになるのではないかと勘考致します。

そして、来年の参院選が終わるころには、11か国が目標とする「2013年10月までの最終妥結」にはもう時間切れ、ですね。







さて、上記の日経記事では「終了後の記者会見では新たに参加したカナダとメキシコへの称賛が相次ぐ」としていましたが、ニュージーランドのテレビ局「3 News」はちょっと違うニュアンスで伝えています:



Diplomats quiet on Trans-Pacific Partnership progress
外交官ら、TPPの進捗に言葉少な

http://www.3news.co.nz/Diplomats-quiet-on-Trans-Pacific-Partnership-progress/tabid/421/articleID/280153/Default.aspx
3 News Wed, 12 Dec 2012


Negotiators say they've made good progress at the Auckland round of the Trans-Pacific Partnership (TPP) talks, but the diplomats stayed quiet about exactly how much progress they've made towards their goal of reaching a final agreement by October of next year.
交渉官らは、オークランドにおけるTPP交渉の進捗は好調だったと言っている。しかし、来年10月までの最終妥結という目標に向けてどれだけ進捗したか、正確なところは言葉少なのままであった。


“It has been a constructive and busy week, with further progress being made across the negotiation,” says New Zealand’s chief negotiator David Walker.
「交渉が大いに進捗し、建設的で多忙な一週間だった」とニュージーランドのデービッド・ウォーカー首席交渉官は語った。

He says Canada and Mexico have successfully joined the talks, though Canada's chief negotiator, Kirsten Hillman, didn't want to say whether they are willing to scrap tariffs on agricultural goods.
彼は、カナダ、メキシコの交渉参加は成功裏に終わったと語るが、カナダのクリステン・ヒルマン首席交渉官は、農産物の関税撤廃を意欲的に取り組むかどうかについて語らなかった。

“What I can say is it's been an excellent first round for us,” says Ms Hillman.
「私に言えるのは、我々にとって素晴らしい最初の交渉だったということだけです」とヒルマン女史は語った。

The secrecy around the talks is among the issues that concerned protestors who gathered at Parliament today - and a lone protestor in Auckland.
今日、(首都ウェリントン
)国会に集まった抗議者たち、そしてオークランドではたった一人の抗議者(廣宮注:オークランドで一人交渉に当っていたニュージーランド交渉官のことか?)、を心配させていることがらの中でも最たるものが、交渉に関する秘密性です。

America's chief negotiator, Barbara Weisel, says they're trying to represent a broad range of voices within the US.
アメリカのバーバラ・ワイゼル首席交渉官は、アメリカ国内の幅広い声を代表することに努めていると語っています。

“Clearly stakeholders within even our own systems are not in agreement on lots and lots of issues,” says Ms Weisel.
「我々自身のシステムにおいてさえ、利害関係者の間で、明らかにたくさんの事柄について合意が出来ていません。」

The US may rethink a proposal that would affect Pharmac's ability to buy cheap generic drugs.
米国は、ニュージーランド医薬品管理庁(PHARMAC)が安価なジェネリック医薬品を買うことに影響するような提案について再考するかもしれません(廣宮注:TPPにおける医薬品の特許関係の問題で製薬会社に有利になるような条項に関する問題。あとでまた触れます)。

“We have not come to a decision on what our response will be,” says Ms Weisel.
「我々は、我々がどう反応すべきか、まだ決定していません」とワイゼル女史は言います。

Australia remains adamant it won’t agree to a proposal to allow corporations to sue governments in an international tribunal.
オーストラリアは、企業が政府を国際法廷で訴えることができることを可能にする条項には断固反対を維持しています。

“The Australian government has said it's not prepared to sign up to an investor state dispute mechanism as part of the TPP agreement,” says Australian negotiator Hamish McCormick.
「オーストラリア政府はこれまで、TPP協定のISDメカニズムに署名する準備はないと言ってきた」とオーストラリアのハミッシュ・マコーミック交渉官は言います。

The negotiations resume in Singapore in March.
次回交渉は来年3月、シンガポールです。





それにしても、日本の大手メディアで「オーストラリアがISDに断固反対」としていることは、なぜか伝えられませんね。世界、いや、政界7不思議の一つと言えるかもしれません。

これをしっかり伝えれば、逆に、「オーストラリアはISDに反対しているが交渉に参加しているのだから、日本も参加できる!」と煽れるんですが(笑)。

でも、そんな姿勢で日本が参加したら、オバマさんや、あるいは、「3倍の力でISDをねじ込む」というのをやりたいアメリカ、カナダ、メキシコの交渉官らを困らせるでしょう。
それゆえやはり、その意味でも日本は正式に交渉参加を表明することなく、「交渉参加に向けた協議を継続」が落としどころでしょう。


ただそれだと日本の財界・大企業のみなさんはお困りでしょうから、そこで法人減税だけは認めて差し上げる、というのもまた一つの落としどころではなかろうかと思います。できるだけ雇用減税・設備投資減税の形式にして、経営者や株主のみならず、一般労働者にもメリットが行くような話にするのが好ましいでしょう。




次に、薬価問題について。


以前、このブログでは直接取り上げていなかったのですが、私が原案を作成しましたSNS-Free Japanとフェイスブックの「TPPって何?」グループ共同で作成した国会議員の皆さんへの陳情書で取り上げたような話です。

ちょっと引用しておきます:

―――――

米国政府は医薬品の市場アクセスを拡大するための公的医療保険の運用見直しを求めている。実際に、豪州やペルーでは薬価上昇につながるevergreening(マイナーチェンジでの特許更新の容認)を米国政府が要求しており、大きな政治問題に発展している。

政府はTPPによって薬価制度や公的医療保険に関して、外国資本の要望による変更を一切認めないことを有権者に閣議決定等で確約すべきだ。

米国政府が非関税障壁として緩和を求める、我が国の食品安全基準についても同様のことが言える。


―――――

簡単なマイナーチェンジで特許期間を延長することを可能にするということは、特許切れを利用する安価なジェネリック医薬品が作れなくなる、買えなくなる、ということです。

それゆえ、ニュージーランドのPHARMACが重大な影響を受けかねない、ということですね。

ただ、上記のニュージーランド「3 News」の記事によると、アメリカの交渉官はニュージーランド側に配慮しつつ自国の医薬品業界に配慮しつつ、「まだ決定していない」とお茶を濁している感じでしたが、結局どうなるのやら…。


薬価に関連する事項について、当ブログでもおなじみ、アメリカのCitizens Trade Campainが交渉文書の「リーク」をしていますが(1年以上前ですが)、タイトルだけ紹介しておきます:

Leaked Trans-Pacific Free Trade Agreement Texts Reveal U.S. Pushing Extreme Pharmaceutical Corporation Demands that Would Undermine Consumers’ Access to Affordable Medicine
リークされたTPP文書で、医薬品企業による消費者の医薬品へのアクセスを損なう要求を、米国が過激に推進

http://www.citizenstrade.org/ctc/blog/2011/10/22/leaked-trans-pacific-fta-texts-reveal-u-s-undermining-access-to-medicine/
CTC   October 22, 2011



ちなみに、
我らが日本国、厚生労働省は、↓こんな都道府県にこんな通達を出しています。財政難につき、ジェネリック医薬品を絶賛推進中であります:

-----

http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/kouhatu-iyaku/dl/21.pdf

平成21年1月20日

都道府県民生主管部(局)長殿

厚生労働省保険局国民健康保険課長



国民健康保険における後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及促進について


後発医薬品(ジェネリック医薬品)については、患者負担の軽減や医療保険財政の健全化に資することから、普及促進に向けた取組が行われているところである。


こうした中で、医療行政の一端を担うとともに、高齢化による医療費の増加が見込まれ医療費の適正化が重要な課題となっている国民健康保険を始めとする各医療保険の保険者においても、その普及促進に向けた積極的な取組が求められているところである。

このため、国民健康保険における後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及促進に当たっての留意点を下記のとおり取りまとめたので、その旨御了知の上、貴管内市町村並びに関係機関及び関係団体等に周知を図り、運用に当たっては十分留意の上、遺憾なきを期されたい。





もしTPPに参加した場合、今度は「ジェネリック医薬品の普及に当たっては、ISDで訴えられないように、運用に当たっては十分留意の上、遺憾なきを期されたい。」という通達を出さなければなりますまい。


「いや、それは心配し過ぎだ!」とTPP推進派の皆さんは仰るかもしれません。それなら、ここは絶対に譲らんということを閣議決定でもして
しっかり担保を取ってから進めるべきでしょう。

とはいえ、それをやると…(繰り返しになるのでもう書きませんが!)。






最後に、著作権の話です。


今回のニュージーランドでのTPP交渉終了を受けて書かれた、これも当ブログではおなじみのHuffingtonPostの記事より:




Citizens of the Internet Aren't Going Down Without a Fight
ネット民が不戦敗することはない

http://www.huffingtonpost.ca/catherine-hart/trans-pacific-partnership-canada_b_2294759.html
The HuffingtonPost 12/13/2012


The U.S. has been the main driver of the TPP, but last month the U.S. Republican Study Committee published (and following pressure from Big Media lobbyists, quickly retracted) a progressive report which argued against restrictive copyright measures and proposed reforms that directly contradict the rules being pushed by the TPP.
米国はTPPの主要推進国であったが、先月、the U.S. Republican Study Committee(米共和党下院議員160名以上が参加する保守系政策提言グループ)が制限の多い著作権法に反対し、TPPによって推進されているルールに直接反対するような改正案を提言した(巨大メディアのロビイストの圧力に従い、撤回したが)。






共和党の中からもTPPに反対する声が出てきた、ということなのですが…、いやはや、この共和党議員らによる提言、わずか24時間で撤回されてしまったとのことです。上記Huffinton Postのネタ元の記事:


That Was Fast: Hollywood Already Browbeat The Republicans Into Retracting Report On Copyright Reform
それは素早かった:ハリウッドが早くも共和党議員を脅しつけ、著作権法改正案レポートを撤回させていた
http://www.techdirt.com/articles/20121117/16492521084/hollywood-lobbyists-have-busy-saturday-convince-gop-to-retract-copyright-reform-brief.shtml
techdirt.com Sat, Nov 17th 2012

So, late Friday, we reported on how the Republican Study Committee (the conservative caucus of House Republicans) had put out a surprisingly awesome report about copyright reform. You can read that post to see the details. The report had been fully vetted and reviewed by the RSC before it was released. However, as soon as it was published, the MPAA and RIAA apparently went ballistic and hit the phones hard, demanding that the RSC take down the report. They succeeded.
さて、金曜日の夜遅く、我々はthe Republican Study Committee(RSC:下院共和党の政策提言集団)が発表した著作権法改正に関するレポートが、いかに驚くほど素晴らしいかについて報告した。その前回の記事で詳細を読むことができる。この報告書は発表されるまでにRSCによって完全に吟味され、精査されいたはずだ。しかしながら、発表された直後、恐らくはアメリカ映画協会MPAAやアメリカレコード協会RIAAが怒りまくって電話をかけまくり、RSCにレポートを撤回するよう要求したのだろう。彼らは成功した。



What happened, instead, was that the entertainment industry's lobbyists went crazy, and some in the GOP folded.
何が起きたかというと、エンターテインメント業界のロビイストたちが発狂し、共和党の何人かが折れたのだろう。

Frankly, if they wanted to win back the youth vote, this was exactly how not to do it. If you just look through the comments on our post on the original, or through the Twitter response to this report, there were tons of people -- many of whom were lifelong Democrats -- claiming that they would switch parties if the GOP stuck with this. Instead, they folded like a cheap card table in less than 24 hours.
率直に言うと、彼ら共和党が若者の票を取り戻したいのなら、この(レポートの著作権改正の)ようなことはまさにやるべきことだった。元になった我々の記事についた多数のコメントやその記事に対するツイッターの反応を見てみれば分かるが、彼らの多くは死ぬまで民主党支持者だが、もしこれに取り組むなら共和党支持に鞍替えするとさえ言っている。しかしながら、共和党は安物のカードテーブルのように、24時間もたたないうちに折りたたまれてしまった。

In the long run, that's going to hurt the GOP, because the people who were suddenly interested in supporting the GOP will assume that any such effort is subject to a similar bait-and-switch. Meanwhile, this leaves open an opportunity for the Democrats as well. The Republicans just came close to becoming the party that actually listened to what was important to young people today -- and they quickly changed their mind. The Democrats can sweep in and take the issue since apparently it's there for the taking. All they have to do is be willing to tell some Hollywood lobbyists to pipe down.
長期的には、今回のことは共和党のダメージとなるだろう。なぜなら、今回急に共和党を支持することに興味を持った人々は、このような共和党の努力を単なるおとり商法と見なしてしまうようになるからだ。一方で、これは民主党に機会を与えている。共和党は今日の若者たちが重要と感じることに実際に耳を傾ける政党になりそうであったが、彼らはあっさり心変わりしてしまった。民主党はそこに付け入り、取って代わることもできる。彼らがやるべきことは、ただただハリウッドのロビイストたちを黙らせることに積極的になることだ。






このように見ると、TPPを自由貿易協定というのは完全なる間違い、ということになります。

インターネット・ユーザーから表現の自由を奪い、
庶民から医薬品を
安価に入手する自由を奪い、
ISD条項などで国民が選んだ政治家が国家主権を行使する自由を奪う。

それがTPP、ということになります。





そもそも、自由貿易の推進とか、自由貿易の拡大、という言葉が、よくよく考えれば少々問題ありです。


我々に必要なのは、

自由貿易の拡大

ではなく、

秩序ある貿易の拡大

でしょう。



よくよく考えれば、何でも自由にすれば良いということは、全くありません。

例えば、「交通の完全な自由化、完全な規制撤廃」というのを考えてみます。

交差点の信号機、これは規制ですので、撤廃すべきです。

横断歩道も、これは規制ですので、完全に撤廃すべきです。

制限速度の標識、これも規制ですので、完全に撤廃すべきです。

どうなるでしょう?

巷(ちまた)は弱肉強食、阿鼻叫喚の交通戦国時代と化すでしょう。

自由というのはそんなもんです。

我々に必要なのは、自由化ではなく、秩序の最適化です。

秩序があってこそ日々の生活の自由度、豊かさが最大化します。





特定の産業の自由だけを拡大し、

多くの諸国民の自由を奪うTPPは不要!

自由ではなく秩序。

国民利益を最大化させる

秩序の最適化を希望!!!



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560:米国TPP反対派は「既に決まった不条理なルールを飲まされるだけ。TPP参加は日本のような大国にとって屈辱的」と、ご心配+自民・安倍総裁は「TPP前向き」報道を明確に否定!

2012/11/16 (Fri) 13:38
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今日も引き続き安倍さん効果で日経平均は上昇、午前中は前日比+166円で引けています。

〔株式マーケットアイ〕日経平均は堅調継続、主力株に買い戻し
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities/idJPTK055530520121116
2012年 11月 16日

<09:11> 続伸、円安進行で輸出株中心に買い先行

 寄り付きの東京株式市場で日経平均は続伸。8900円台を回復している。1ドル81円台に進んだ円安を好感し、自動車、電機などの輸出株に買いが先行した。自民党・安倍政権が誕生した場合の金融緩和や景気刺激策などへの期待が続いている。一方でユーロ圏経済のリセッション入りや米国の「財政の崖」問題など欧米の不安要因が上値を圧迫。買い一巡後は為替にらみの展開とみられている。

―――――

もちろん、これがいつまでも続くわけではないでしょうし、マーケットの気分というのはころころ変わりますので、それほど当てになるものでも無いように思います。

ただ、株価上昇の理由として「自民党・安倍政権が誕生した場合の金融緩和や景気刺激策などへの期待が続いている」ということが報道記事に書かれていることは、注目に値するでしょう。





さて、本題です。

著名な弁護士ラルフ・ネーダー氏が創立した米国の市民団体、パブリック・シチズンの貿易担当、ロリ・ワラックさんから、

ある方を介して

日本のTPP交渉参加についてどう思いますか?

という質問を投げかけ、回答を頂きましたので、紹介させて頂きます(ここはタイプ・ミスかな?と考えられるところは、私のほうで修正しています):


―――――

I have your earlier email open on my computer, thinking about how to respond to your blogger friend...
少し前に頂いたあなたからのメールを開き、あなたの友人のブロガー(注:廣宮のこと)にどのようにお返事をしようかと考えています。

I would say the main thing people here wonder is WHY any country would want to submit itself to THIS set of dangerous corporate-written rules and especially any major nation.
(TPPに関して)人々が主に不思議に思うことは、なぜこの一連の危険な、企業によって作成されたルールに、自ら参加したいという国があるのか、ではないでしょうか。とりわけ、主要国が、です。

We understand why other countries seek access to the U.S market, but not why they would trade away their rights to regulate foreign banks or foreign investors or land use in their own country or to protect food safety and provide consumers with affordable medicines and all of the other non-trade dictates that TPP would impose over allegedly sovereign nations.
私達は、諸外国がなぜ米国市場へのアクセスを求めるか、理解しています。しかし、なぜ彼らが外国銀行や外国投資家に規制をかける権利を投げ打とうとするのか、あるいは、彼ら自身の国の土地の使用や、食の安全や、消費者の医薬品の購入の権利を投げ打とうとするのか、そして、TPPによって主権国家に課せられるであろう、そのほかの貿易以外の要求を飲もうとするのかは、分かりません。

And, then when it comes to Japan people wonder WHY a major nation would agree to be treated in such a disrespectful way to have to sign on to what other countries have agreed not being treated as an equal to the other countries and having the terms dictated not negotiated, and especially when Japan has so much to lose under the rules that are already written and Japan would be forced to just accept.
さて、日本の人々のことを考えますと、(日本のような)大国がなぜ、諸外国によってすでに合意された、それら諸外国と平等に扱われることのない、そして交渉の余地がないことを条件にすることを要求されている、そして日本が、受け入れることを強制されるであろう、その既に出来上がっているルールのもとで、たくさんのものを失うことになるであろう、屈辱的な状況において署名しなければならないという扱いを受けることに合意しようとするのだろうかと、不思議に思ってしまうのです。

―――――


アメリカの反対派の皆さんからすると、例えば全米最大の労働団体であるAFL-CIOが「TPPをNAFTAのようなものにしてはいけないが、まだ良く分からない。ただ、日本と中国のTPP参加だけは絶対に反対」というスタンスであり、日本が参加表明してくれたほうが、反対運動が盛り上がるため、むしろ歓迎、という面もあります(これはある情報源からのアメリカ反対派に関する情報)。

しかし、ワラックさんは上記のように、日本の参加について、本当に心配してくれているのであります。



ところで、

一部メディアで自民党・安倍総裁が「TPP交渉参加に前向き」と報道されていることについて、安倍さん本人が「それはミスリードです」と明確に否定しています。





↑この動画の3:23辺りから。


なお、↓こちらのリンクのクリックすれば、当該箇所から再生されます
http://youtu.be/-ONfXcGvU5o?t=3m23s



また、自民党の政策パンフレットには、こうあります:

「聖域なき関税撤廃」など日本の国益に反する形でのTPP交渉参加に反対します

―――――

なので、

野田政権のように、これだけは受け入れられないという内容を列記したネガティブリストは心の中だけで持って「交渉(実際にはほぼ交渉の余地のない交渉)」に挑むことなく、

「屈辱的な状況において署名しなければならないという扱いを受けることに合意」

することも無いでしょう。


ところで、

あのアメリカにおけるTPP推進派企業の一つであるモンサントと遺伝子組み換え作物で長期的に協力関係、じゃなかった、モンサントの遺伝子組み換え作物とセットで使用する強力な除草剤の分野で長期的に協力関係を構築している住友化学の会長にして経団連会長の米倉さんは、TPPが進まないことに不快感をお持ちのご様子です:


―――――

TPPめぐる経産相発言に経済界反発 「タイミング逸しない方がいい」
http://www.sankeibiz.jp/business/news/121114/bsg1211140502002-n1.htm
SaikeiBiz 2012.11.14


東アジアサミットでのTPP交渉への参加表明は困難とする枝野幸男経済産業相の発言に対し経済界は強く反発している。

 経団連の米倉弘昌会長は13日、北陸経済連合会との懇談のため訪れた福井市内のホテルで会見し、「TPPの交渉は来年に終了するといわれている。東アジアサミットがラストチャンスだ」と改めて強調し、枝野経産相の発言に不快感を示した。

 また、米倉会長に同行した主要企業のトップも枝野発言を批判。アサヒグループホールディングスの荻田伍会長は「せっかく機運が盛り上がっているのに」と不満を隠さず、三菱商事の小島順彦会長も「タイミングを逸しない方がいい」と語気を強めた。

 一方で、米倉会長は会見で「どれだけスピードを上げて党内を調整していくか野田佳彦首相のリーダーシップに期待したい」とも述べ、首相の決断を促した。





日本が参加表明すれば、日米両国において、日本の参加に反対する人々の反対運動の機運が同時多発的に高まるだけだと思いますが…




 アメリカ人からも

 『日本のような大国にとって屈辱的』

 と心配されるTPPには、

 米倉さんじゃないですが、
 
 やはり不快感を示さざるを得なさそうです♪
 


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558:オバマ氏再選、TPP、欧米FTA、財政の崖…:過半数を確保した上院民主党が #TPP の日本参加に歯止めをかけることに期待したい、今日この頃です

2012/11/08 (Thu) 11:18
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(私の場合、「管理ページ」の中のコメント返信機能を使っていたので、このような現象について全く気付いておりませんでしたm(_ _)m)





さて、本題です。

アメリカの“総選挙”:大統領選、議会選挙は事前の予想通り

大統領、オバマさん(民主党)再選
上院、民主党が過半数
下院、共和党が過半数

という、選挙前とほぼ同じ状態になる結果となりました。
(選挙結果詳細はNYタイムズ参照)

ということで、さっそく

ニューヨーク市場が「財政の崖」懸念で、1年ぶりの下げ幅を記録



-----

米国株、急落 ダウ、1年ぶりの下げ幅 「財政の崖」など警戒
http://www.nikkei.com/markets/kaigai/summary.aspx?g=DGXNAS3LANY02_08112012000000
日経新聞 2012/11/8

7日の米株式相場は3営業日ぶりに急反落した。ダウ工業株30種平均は、前日比312ドル95セント安の1万2932ドル73セント(速報値)と、8月2日以来ほぼ3カ月ぶりの安値で終えた。
下げ幅は昨年11月9日以来、約1年ぶりの大きさになった。
6日投開票の米大統領・議会選の結果、上下両院の多数派が異なる「ねじれ」が続くことが確定し、減税の失効と歳出の強制削減が同時に起こる「財政の崖」への警戒感が強まった。
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が講演で欧州の景気に慎重な見方を示したことも投資家心理を悪化させた。



-----

「財政の崖」、つまりは超大型緊縮財政は、下院共和党主導で出来上がったものです。

これは、
大統領(民主党)、
上院(民主党過半数)、
下院(共和党過半数)
という状態で出来上がった
わけで、
その状況は結局今回の選挙で変わっていません。
よって、財政の崖の回避というのは「通常のやり方」ではなかなか実現は困難かと思われます。

では、「通常でないやり方」ということになると・・・

これは以前書いたので、ここでは書かないでおきたいと思います。



そして、今回のオバマさん再選を受けて、こんな話も:

オバマ大統領の再選、欧米FTAに弾み=欧州委デフフト委員
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPJT826902120121107
ロイター 2012年 11月 8日

欧州委員会のデフフト委員(通商担当)は7日、オバマ米大統領の再選を受け、欧州連合(EU)が米国との自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉を2013年初旬に開始することに道筋がついたとする声明を発表した。

 欧米間のFTAについては、デフフト委員と米国のカーク通商代表部(USTR)代表が共同座長を務める会合が、交渉開始を提案する報告書を12月に取りまとめる見通しとなっている。

 デフフト委員はオバマ大統領が再選されたことで、こうした動きが強化されるとし、「同報告書により、オバマ大統領、およびファンロンパイEU大統領やバローゾ欧州委員長が、欧米間の貿易協定締結に向けた交渉を来年初旬に開始することで合意できると確信している」とした。 

 欧州委の試算によると、米国とEUとの間でFTAが締結されれば、EUの域内総生産(GDP)は年間1220億ユーロ(1560億ドル)押し上げられ、長期的には経済成長率を0.52%ポイント押し上げる効果がある。



“欧米FTA”の

「長期的には経済成長率を0.52%ポイント押し上げる効果」

って何でしょう?

ケインズが生きていたら「長期的にはみんな死んでいる」と言ってたりして。

あと、「経済成長率を0.52%ポイント押し上げる」って、その程度かいなと思ってしまうのは私だけでしょうか?

少なくとも昨日の新たなる緊縮財政政策の可決を受けた、ギリシャの↓このほとんど戦争状態を解消することは、「短期的」にも不可能であるだけでなく、「長期的」にも悪化させるだけなんじゃないかしら…


Chaos in Athens: Greece in for new round of austerity as protests rage
アテネで大混乱:ギリシャ、新たな緊縮財政で抗議者ら激怒

http://rt.com/news/greece-austerity-bill-protests-144/
RT.com 07 November, 2012






私が思うに、TPPが「日米連環の計」、「トモダチ作戦」ならぬ「トモダオレ大作戦」となるであろうというのと同様、「欧米連環の計」、「欧米トモダオレ大作戦」になるんじゃないかと思いますが、

このニュース(ギリシャじゃなくて「欧米FTA」のニュース)を受けて、日本のTPP推進派の皆さんがまたぞろ

「バスに乗り遅れるな!」

と声高に仰るんじゃないかと思われます。


しかし、そのバスが、実は運転手が日本語を満足に話せないのになぜか日本国籍で、なぜか運転免許を持っているという怪しげな運転手のバスだったとしたら、それは「ディズニーランド行き」のバスではなく「三途の川経由 地獄行き」のバス、ということになります。

そんなバスなら乗り遅れるどころか未来永劫乗らないほうが長生き出来ます。





ということで、一応、アメリカの選挙の結果から日本のTPP参加問題について考察しておきます。


大統領の立場:
選挙も終わり、オバマさんはどうせ憲法の規定上からも三選は無いので、自動車産業(経営者、労働者とも)に遠慮する必要性が薄れるため、日本の参加を進める方向に行くことが考えられます。
リベラル派のTPP反対派からの「2008年選挙の公約違反だ」といくら責め立てられようと、知ったことではない、という具合でしょうか…

議会勢力:
一番の注目は上院です。

これまでの経緯を見ると、議会は、共和党はロン・ポール下院議員ら一部の“過激な保守”議員らを除き、基本的に自由貿易推進であり、一方、民主党は多少慎重な立場という感じです。

下院は共和党が過半数なので、TPPも推進、という感じになるでしょうし、日本の参加もあまり支障が無いのではないかと思われます(もしかしたら私の調査不足でそんなことは無いのかも知れませんが…)

そして、上院民主党は、TPP推進派の有力議員ですら大統領の独断は許さないという具合に昨年の9月にはTPPにTPA(大統領貿易促進権限)を与える法案に反対し、身内であるオバマさんの足を引っ張る形で同法案を否決に追い込みました。

また、4年に一度の大統領選挙と違い、
上院は2年に一度、1/3の議席が改選されます(任期六年)。2年後にまた選挙があるし、労働者階級の支持が多いので、オバマさんよりもずっと自動車産業に配慮する立場になるものと考えられます。
このように考えますと、
・上院がTPPの秘密性を抑制し、情報開示を推進しそう(秘密裡に日本の参加がうやむやのうちに進むことは無さそう)
・日本の参加を猛烈に、「死ぬほど」反対している自動車産業や労働団体にかなり配慮した動きをしそう
・仮に、日本の参加を認めるとしても、自動車産業への配慮のために、日本に対してかなり強烈な条件を迫って来そう


ということで、仮に野田政権がアメリカの選挙も済んで言いやすくなった今の状況(選挙を気にする必要性が無くなったオバマさんも安心して日本の参加表明を受け入れられる状況)において、「TPPに参加させてください!」と表明したとしても、上院民主党の動きにより止められるか、あるいは、日本が到底受け入れられないような条件を出してくれるのではないかと思います。

それによって、日本のTPP参加が自動的にポシャる、という筋書きが一つの有力な見方になるのではなかろうか、と思います(注意:希望的観測含む)




日米関係の強化のためには、

例えばメイド・イン・アメリカの「危険でない安全(?)」な兵器をもっと買うとか、
公共工事を大幅に増やして1割くらいはアメリカの企業に発注するとか、
アメリカ国債が財政の崖問題などで格下げされそうになったら「我々はアメリカ国債を信認している。我々はアメリカ国債をこれからも買い続ける!」と公式に宣言するとか、

(アメリカを毛嫌いする皆さんには、日本人の利権の増加を確保する中でのアメリカ人の利権の増大する、という考え方を提案したいと思います。とにもかくにも、日本人の利権の総量が増えることが肝要です)


そんなこんなで、色々とやりようはあるわけですから、TPPなんぞ参加しなくて良いです。


TPPなどのような「利益限定、損失無限大」な政策よりも、

日本が今やるべきことは世界のためにも、アメリカのためにも、日本自身のためにも「日本版財政の崖」を回避し、デフレ不況を脱却し、成長軌道に回帰することであります。








 その前に、

 『日本版 総選挙』

 希望!



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552:「侵略的外来植物」とTPP考 ―― 独占のし過ぎは衰退への道+「外圧を利用して改革」は、自らの意思で国家主権を放棄するのと同じ!

2012/10/20 (Sat) 12:13
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さて、TPPについて、↓のようなJPEGファイルを作ってみました。

これは、あくまでも私の主張ではなく、
アメリカの反TPP
の皆さんの主張ですが…

No_TPP.jpg  





下の写真は、とある北陸の港湾で撮影したものです。


セイタカアワダチソウ1


セイタカアワダチソウ2


1枚目は、ちょっとピントが合っていませんでしたが…

どうでしょう、なかなか和むような景色、という感じでしょうか?


実際にその場所で肉眼で見たとき、かなり良い感じでした。一面、淡い黄色と緑が広がっており、正直、癒される感じがしていました。


見た目は良いのです。

しかし、この黄色い小さな花をつける植物、

セイタカアワダチソウ

という、日本生態学会がまとめた日本の侵略的外来種ワースト100に指定されている植物の一種なのです。



以下、Wikipediaの説明を抜粋しておきます。

概要

北アメリカ原産で、日本では切り花用の観賞植物として導入された帰化植物(外来種)であり、ススキなどの在来種と競合する。


日本への侵入経緯

・日本国内への移入は、明治時代末期に園芸目的で持ち込まれ、「昭和の初めには既に帰化が知られている」との記述が牧野日本植物図鑑にある。

・その存在が目立つようになったのは第二次世界大戦後で、アメリカ軍の輸入物資に付いていた種子によるもの、養蜂家が蜜源植物として利用するため、等が拡大起因とされており、昭和40年代以降には全国、北海道では比較的少ないが関東以西から九州にて特に大繁殖するようになった。沖縄県へも侵入しているが、沖縄本島や久米島などの一部地域で小規模な繁茂に留まっている。

外来生物法により要注意外来生物に指定されているほか、日本生態学会によって日本の侵略的外来種ワースト100にも選ばれている。


盛衰

昭和40年代の繁殖状況は、アレロパシー(後述)効果でススキ等その土地に繁殖していた植物を駆逐し、モグラやネズミが長年生息している領域で肥料となる成分(主として糞尿や死体由来の成分)が多量蓄積していた地下約50cmの深さまで根を伸ばす生態であったので、そこにある養分を多量に取り込んだ結果背が高くなり、平屋の民家が押しつぶされそうに見えるほどの勢いがあった。

・しかし、平成に入る頃には、その領域に生息していたモグラやネズミが駆除されてきたことによって希少化し土壌に肥料成分が蓄えられなくなり、また蓄積されていた肥料成分を大方使ってしまったこと、他の植物が衰退してしまったことで自らがアレロパシー成分の影響を強く受けてしまったこと等の理由により、派手な繁殖が少なくなりつつあり、それほど背の高くないものが多くなっている。セイタカアワダチソウの勢いが衰えてきた土地にはススキなどの植物が再び勢力を取り戻しつつある。

・日本各地で刈取りや抜き取りなどの駆除活動が展開されている。


性質

アレロパシーを有しており、根から周囲の植物の成長を抑制する化学物質を出す。これはcis-DMEという名称で知られるが、この物質はセイタカアワダチソウ自身の成長も抑制する。


生育環境

・湿地や弱アルカリ性の所を好むが、適応性が広く、かなり乾燥するところや日があまり当たらないところでも良く生える。人の手が入った空き地、休耕田や川の土手にもよく生えている。在来の湿地性植物群落に取って代わったような場所もあり、このような場所では現在も駆除に苦労している。





まるで、自由競争(正確には過度な自由競争)をやるとこうなる、という模範のような話です。

1.自由競争で強者が弱者を駆逐しつつ、急速に繁栄。

2.繁栄を極めると自ら首を絞めることになり自壊。衰退を始める。

まあ、こんな感じです。

ただ、セイタカアワダチソウの場合は、最盛期は過ぎたものの、

「在来の湿地性植物群落に取って代わったような場所もあり、このような場所では現在も駆除に苦労している」

とのことで、日本の在来種にとってはまだ予断を許さない状況、という具合でしょうか。

3.長期にわたって禍根を残す

ということですね。


いやはや、TPPをやると、こうなるぞ、と言わんばかりで、しかもこのセイタカアワダチソウ、原産地が北アメリカ、と言いますから、何とも言えぬものがあります。





ただ、私はTPPに関して、現在は、自由競争の問題よりも、国家主権は誰のものか?という問題のほうがより大きな問題ではないかと感じています。

以前のエントリーで紹介しました米国の保守中の保守の政治家、ロン・ポール下院議員の言葉を再度、引用しておきます:


Our National Sovereignty is under threat

我々の国家主権は脅威にさらされている




なお、ポール下院議員は、「自由貿易は賛成だが、自由貿易協定は国家主権を脅かす超国家機関なので反対」という主張です。





あと、TPPを利用して外圧で農業改革、という考え方について。


まるで、20世紀初頭、李氏朝鮮王朝の内部で、自らの派閥の利益を確保するために、あるいは清国の力を利用しようとし、あるいは日本の力を利用しようとしたことを彷彿とさせます。

それで日清戦争が起こったと私は認識しておりますが、いかがでしょうか?

そして、韓国・中央日報日本語版の11年前のコラムによると…





【噴水台】韓日合邦の魚
http://japanese.joins.com/article/651/18651.html
2001年08月27日

「網も張る前に魚が飛び込んできた」--。

1910年8月、韓日合邦の前夜の秘史についてこのように語ったのは、当時の統監府外事局長、小松緑だった。心痛い証言だ。

それは決して文学的修辞ではなく、惨めな無能の末、合邦を決めた91年前の我々の姿だったことの確認であるからだ。明日、韓国は庚戌(キョンスル)国恥日(韓日合邦)を迎える。

この経路を振り返るに当たって、まずは「合邦の魚」の主役から見てみよう。本音を隠したままの日本側に対し、まず合邦を打診したのは朝鮮側だった。総理大臣の李完用(イ・ワンヨン)の側近である、新小説『血の涙』で知られる李人稙(イ・インジック) が密使として動いたのだ。

これを理由に、李完用は、いつまでたっても韓国の逆賊と言われ続けるのか。




日韓併合を先に打診してきたのは朝鮮側だった、というわけですね。

TPPという「高いレベルの自由貿易協定」(?)は、高いレベルだけに、日韓併合ならぬ「日米併合」のような感すらあります。

日本人は、韓国人のように、自らの選択によって「日米併合」を推進することで、アメリカ人を100年たっても恨み続けるようなことはないでしょうが、「外国の力を利用して改革する」云々というのは、私はこれは悲劇しか生まないと思います。

後悔先に立たず。後の祭り。あるいは、飛んで火にいる夏の虫、でしょうか?




 
 セイタカアワダチソウに学ぶ、

 TPP反対論に、妙に納得。

 TPPは“侵略的外来種ワースト1”

 ということかしら?


 外圧を利用して改革、というのは

 自ら国家主権を放棄するのと同じ!

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548:#TPP とシェールガス輸出:アメリカと違い、カナダはFTA締結を条件とするような、面倒なことはしないそうです

2012/09/20 (Thu) 17:53
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「TPPに入ると、アメリカからシェールガスをいくらでも輸入できる」

これをTPP参加のメリットとして挙げるような話を聞くことがあります(以前、コメント欄でも頂きました)。

今回は、これについて。


まず、TPPというかFTAとアメリカのシェールガス輸出について。


―――

三菱商事と三井物産、米国産LNG輸入で米社と協議
http://jp.reuters.com/article/jpTrade/idJPTYE83H01V20120418
ロイター 2012年 04月 18日


三菱商事と三井物産はそれぞれ年間約400万トンの天然ガスの液化作業を、米電力・ガス会社センプラ社(SRE.N: 株価, 企業情報, レポート)の100%子会社であるキャメロンLNGに委託し、2016年末にも日本やアジアなどの需要家に販売する計画。三菱、三井両社合わせて800万トンのLNG販売量は2011年の日本の輸入量(7853万トン)の1割強に達する。

今回輸入を検討する米産LNGには、三井物産が同国内で事業参画する新型天然ガスの「シェールガス」も原料に含まれる。キャメロン社は米国と自由貿易協定(FTA)を締結した国向けでLNGの輸出許可を米エネルギー省から得ているが、日本など米国とFTAを結んでいない国向けの輸出許可は昨年12月に申請され、現在承認待ちという。

―――


ということで、FTAを結んでいない国へのシェールガス輸出は、FTAを結んでいる国とは別の許可がいるというわけですね。


確かに、日本がTPPに入ると、米国からのシェールガスの輸入に関して有利になるのは間違いなさそうです。


では次に、どれくらいの量を輸入できそうなのか、と言う話になります。

まず、大きな背景として、アメリカのエネルギー省(の下部組織のエネルギー情報事業団)のデータベースより、アメリカの石油やガスその他エネルギー全体の収支の見通しを見ておきましょう。


米エネルギー収支2

出典:U.S. Energy Information Administration


とりあえず、エネルギー省の見通しでは2035年になってもアメリカのエネルギーは純輸入であることに変わりはないことになります。

ただ、純輸入は半減し、自給率(簡易計算)は現在の80%程度から89%程度に上昇する見込みとなります。


しかしとにかく、アメリカは今後もエネルギー純輸入国であり続ける、ということです。


これを踏まえて、天然ガスの収支の見通しを見てみましょう。


米天然ガス収支

出典:U.S. Energy Information Administration



天然ガスについては、

・2021年には天然ガス純輸入国から純輸出国に転じる

・輸出量が将来は現在の倍以上に増える


ただし、

・輸出量が増えるのは主に、カナダ、メキシコ向けのパイプライン輸出

であり、

・日本に関係のある液化天然ガスの輸出は2020年の0.9兆立方フィートで頭打ちになる見込み

となります。


ここで、
1 cf (立方フィート)= 0.0283 m3 (東京ガス資料参照)

なので、

0.9兆立方フィート = 254.7億立方メートル

となります。

次に、4月以降、福島原発事故の影響で輸入量が増加した日本の2011年の天然ガス輸入量推計値(11月まで実績、12月のみ推計値)は、

7,864万トン(JOGMEC資料参照)

です。で、

1トン≒天然ガス1,220m3 (東京ガス資料参照)

なので、

7,864万トン×1,220 = 959.4億立方メートル 

です。


仮に、アメリカの液化天然ガスの2020年の輸出見込み量を全て日本に回してもらえたとしても、

原発が止まった状態の輸入量の

254.7億立方メートル÷959.4億立方メートル = 26.5%

にしかならない、と言う計算になります。


しかも、これを全部回してもらえるとは限らない、ということになるでしょう。



NHK

シェールガス革命(4) 日本への輸出計画 Bizプラス 2012年4月27日 放送
http://cgi4.nhk.or.jp/eco-channel/jp/movie/play.cgi?movie=j_bizplus_20120427_1883

によると、アメリカ政府はシェールガスの日本への輸出に消極的とのことですが、これはTPPも見据えたことなのかも知れませんが、そもそもアメリカは決してエネルギーの純輸出国になるわけではない、ということも大きな理由の一つではないかと思われます。


もちろん、アメリカの液化天然ガス輸出量が日本の現在の全輸入量の1/4に相当するようになる、ということは、TPPにとってプラスの材料と言えるかも知れません。

しかし、これだけでTPP参加を推し進めるべきだ、というほどのものでも無い、と言えるのではないでしょうか。

少なくとも「TPPに入ればアメリカからいくらでもシェールガスを輸入することができる」というのは期待過剰と言えそうです。





それに加えて、カナダのガス輸出に対する姿勢があります。


―――

カナダ産シェールガス
資源相、対日輸出に意欲
TPP・FTA締結「条件とせず」


日経新聞2012年9月20日7面

来日中のオリバー・カナダ天然資源相は18日、日本経済新聞と会見し、カナダ産シェールガスについて「日本への長期安定供給の柱となるのがカナダだ」と強調、対日輸出への強い意欲を示した。
カナダ政府が対日輸出を認めるかどうかの判断は「貿易協定の有無とは一切無関係だ」と言明。

「…カナダは「(米ロなどの大国とは異なり)ミドルパワー国だ。
 豊富な資源を政治ゲームに使わない。
 安定と繁栄のためにだけ使う」

「カナダと米国は根本的に立場を異にする。
 同じ北米だからといって、同一視しないでほしい。…」

「国内に巨大な人口と市場を抱える米国と、国内市場が小さいが資源が有り余っている
 カナダは事情が違う。
 11月に交渉が始まる日加FTAとガス輸出の問題は分離して考えている」

「いま世界は地政学的に極めて不安定だ。
 イラン情勢は危機的で、シェールガス革命も進む。
 日本は10~30年先を見据えてエネルギー安全保障の戦略を確立すべきだ。
 分散調達は最優先の課題であり、カナダこそがそのパートナーになれる


もう米国の消費に依存できない。
 米経済の成長鈍化で需要が頭打ちとなり、相次ぐシェールガス発見でガス流通量も
 豊富だ。
 価格が下がった米国以外の輸出先が必要となり、日本、中国、韓国に注目
 している」


調達競争を計算 安値期待にクギ


日本の液化天然ガス(LNG)は米国内のシェールガスより価格が2~5倍も高い。
民主党政権が原発ゼロの方向を示し、火力に依存する日本は上昇するLNG価格に悩まされている。
安い北米のガスに関心が向かうが、米国は原則的に貿易協定の締結国にしかガスを輸出しない。

一方、対米ガス輸出で採算が取れなくなったカナダはアジアに目を向ける。
資源相は日本との連携を唱える一方で「輸出側としては高く売りたい」と明言。日本側の安値期待にクギを刺した。

資源相が言う「政治ゲームの否定」と「政府不介入」の原則は表裏一体だ。
市場に任せれば日本はガス調達と開発投資で中国や韓国と戦わなければならない。
需要国間の競争を、カナダ政府がしたたかに計算に入れているのは間違いない。

―――


ただ、FTAやTPPとは無関係というのは非常に大きな魅力と言えるでしょう。

また、カナダとの間でガス供給の大規模な取引が確立すれば、アメリカ政府はともかく、アメリカ企業(NHK動画に出てきたエクソン・モービルなど)は、アメリカ政府に「ワシらにも高値で売れる日本向け輸出をさせろ!」と逆に圧力をかけることになるでしょう。

TPP/シェールガスに関してはこの辺りをしっかり計算に入れて行動すべきでしょう。
 


さて、最後にカナダからアメリカへの天然ガスの輸出見通し(アメリカのカナダからの輸入)を見ておきましょう。

カナダからの天然ガス輸入


今後20年で0.7兆立方フィートくらい減ることになり、つまりカナダの輸出余力がそれだけ増えることになるものと思われます。

アメリカの液化天然ガス輸出の見込み数量(0.9兆立方フィート)にそん色ない水準です。

もちろん、これを日本向けにするためにはガスの液化設備が必要になりますが、シェールガス欲しさにTPPに前のめりにならないで済む材料として有力なものと言えるでしょう。








 
 カナダの大臣じゃないけど、

 シェールガスとTPPは、

 切り離して考えたほうが良さそうだ!



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544:米ガチ保守の反 #TPP の根拠 「WTOやFTA協定といった“超国家機関”は我々の国家主権を侵害するので不要」:ロン・ポール下院議員

2012/09/04 (Tue) 15:44
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さて、TPPについて、↓のようなJPEGファイルを作ってみました。

これは、あくまでも私の主張ではなく、
アメリカの反TPP
の皆さんの主張ですが…

No_TPP.jpg  




昨日は、

アメリカの労働団体、つまり、左派・リベラル派のTPPに対する見方
(TPP慎重論&日本のTPP参加お断り論)を紹介しましたが、



今日は、

アメリカの保守と言えばこの人
、というべき、

ロン・ポール下院議員

自由貿易協定(FTA)反対の理由について。



ロン・ポール下院議員の考えというのは、「とにもかくにも合衆国憲法に書いてある通りにせよ!」という、いわば「合衆国憲法原理主義」という感じです。






まずは2007年11月28日の共和党大統領候補たちによるCNN討論番組より。


ロン・ポール下院議員のNAFTAあるいはNorth American Union(北米連合?)に関する見解です。









Youtubeから来た質問に対してポール議員が答えるというスタイルです。

上記動画は質問者の質問部分がカットされていますが、質問者の質問とポール議員の回答の書き起こし文が掲載されています。

(なお、質問者の質問の映像を含む動画はこちら



質問:
Seekster (Youtuber from Arlington, TX):

Now, I've met a lot of your supporters online, but I've noticed that a good number of them seem to buy into this conspiracy theory regarding the Council of Foreign Relations and some plan to make the North American Union by merging the United States with Canada and Mexico.

These supporters of yours seem to think that you also believe in this theory, so my question to you is, do you really believe in all of this, or people are just putting words in your mouth?

全訳は時間がかかるので、概略だけ書きますと、

「あんさんの支持者たちと話していると、外交問題評議会(CFR)とか、アメリカとカナダとメキシコを全部一つにしてまう北米連合だとかの陰謀論を信じているようなんだけど、あんさんはほんまにこんなん信じてるのん?」



回答(ロン・ポール下院議員)

(こちらは真面目に全訳します)

- Ron Paul responds:

Well, it all depends on what you mean by "all of this", the CFR exists, the Trilateral Commission exists, and it's a [quote] "conspiracy of ideas", this is an ideological battle, some people believe in Globalism, others of us believe in National Sovereignty.
外交問題評議会(CFR)とか三極委員会(日米欧委員会 Trilateral Commission)は存在しますし、それは「観念としての陰謀」で、これは思想的闘争で、ある人々はグローバリズムを信じ、他の人々は国家主権を信じています。

And there is a move on toward a North American Union, just like early on there was a move on for a European Union and eventually ended up.
そして、早くから欧州連合EUの動きがあり、結局それは出来上がったように、北米連合NAUにむけた動きも存在します。

So we have NAFTA, and moving forward a NAFTA highway, these are real things, it's not somebody made this up, it's not a conspiracy.
それで、我々には北米自由貿易協定NAFTAがあります。そして、NAFTAハイウェイを推進しており、これらは現実のものであり、誰かの作り話ではなく、陰謀でありません。

They don't talk about it and they might not admit about it, but there's been money spent on it, there was legislation passed in the Texas Legislature unanimously to put a hold on it.
彼らはそれについて話しませんし、彼らはそれについて認めないかもしれませんが、しかし、それに使われるお金がありましたし、テキサス州議会がそれを確保するための法律を満場一致でで可決しました。

They are planning on millions of acres taken by eminent domain for an International Highway from Mexico to Canada, which is going to make the immigration problem that much worse.
メキシコからカナダまでのインターナショナル・ハイウェーのための何百万エーカーもの土地を土地収用権によって収用することを彼らは計画しています。そして、それは移民問題をより悪化させそうです。

So it's not so much a secretive conspiracy, it's a contest between ideologies: whether we believe in our institutions here, our National Sovereignty, our Constitution, or are we going to further move in the direction of International Government, more UN.
だから、それは秘密主義の陰謀ではなく、イデオロギー闘争です。
我々が我々の国家機関、我々の国家主権、我々の憲法を信じるか、我々が国連以上の国際政府の方向にさらに進むのか、という思想闘争なのです。


You know, this country goes to war under UN resolutions, I don't like Big Government in Washington, so I don't like this trend toward International Government. We have a WTO that wants to control our drug industry, our nutritional products.
ご存知のように、この国は国連決議によって戦争を起こします。私はワシントンの大きな政府を好みません。だから、私は国際政府に向かうこの傾向が好きでありません。
また、我々には、我々の製薬産業や我々の食品をコントロールしようとしているWTOがあります。


So I'm against all of that, but it's not so much as a sinister conspiracy, it's just knowledge is out there; if we look for it, you'll realize that our National Sovereignty is under threat.
だから、私はこれら全てに反対です。それは邪悪な陰謀などではなく、単にそこに存在しているということを認識しているに過ぎません。
我々がそれをしっかり探究すれば、あなたは我々の国家主権が脅威にさらされていることに気付くでしょう。






最後の

「我々がそれをしっかり探究すれば、あなたは我々の国家主権が脅威にさらされていることに気付くでしょう。」

の部分を言い終わった時、盛大な拍手が巻き起こっています



次に、ロン・ポール議員の自由貿易協定に関する見解をまとめているサイトがありましたので、そこからいくつか拾っておきたいと思います:


Free trade agreements threaten national sovereignty
自由貿易協定は国家主権を脅かす


I opposed both the North American Free Trade Agreement and the World Trade Organization, both of which were heavily favored by the political establishment.
私はNAFTAもWTOも反対しました。どちらも、政治的支配層にあまりにも有利過ぎるのです。

Many supporters of the free trade market supported these agreements.
自由市場主義の支持者の多くはこれらの協定を支持しました。

Nearly six decades ago when the International Trade Organization was up for debate, conservatives and libertarians agreed that supranational trade bureaucracies with the power to infringe upon American sovereignty were undesirable.
60年近く前に国際貿易機関が議論に上りましたが、アメリカの国家主権を侵害する超国家的な貿易官僚機構は好ましくない、ということに保守主義者やリバタリアン(完全自由主義者)は同意しました。

出典:Source: The Revolution: A Manifesto, by Ron Paul, p. 96 , Apr 1, 2008






NAFTAもWTOも

「アメリカの国家主権を侵害する超国家的な貿易官僚機構」

とのこと。



この論法で行けば、「TPPもWTOも日本の国家主権を侵害する超国家的な貿易官僚機構」ということになりましょうか。





Fast-track cedes power from Congress to President
ファーストトラック(大統領貿易促進権限)は議会から大統領への権力移譲


Today, trade policy has been taken over by the executive branch and Congress graciously cedes this power.
こんにち、議会がもったいなくも権限を譲り渡すことによって、貿易政策は行政部門に乗っ取られました。

Transferring authority under fast-track legislation defies the intent of the Constitution.
ファーストトラック法案(大統領貿易権限)によって権力を移譲することは、憲法の意図に反します。

Trade treaties are not entered into, since senatorial approval by two-thirds would be required and more difficult to pass.
上院の3分の2の承認が必要とされ、可決するのがもっと困難であったなら、通商条約は締結されていないでしょう。

This has led to international trade agreements such as WTO, NAFTA, and CAFTA that sacrifice national sovereignty to international government organizations.
これ(ファーストトラック)は、WTO、NAFTAやCAFTAといった国家主権を犠牲にする国際的な貿易協定をもたらしました。

These agreements can supersede state laws as well.
これらの協定は、同様に、州法に取って代わることもできます。

The Constitution assigns to the Congress the responsibility of regulating foreign trade.
憲法は、対外貿易を管理する責任を議会に割り当てています。

If the people and the Congress preferred that the President and international government entities control trade, the Constitution should have been amended. Ignoring the Constitution on these issues or any issue serves to undermine constitutional legitimacy.
人々と議会が大統領と国際的な政府実体が取引を管理するのを好むならば、憲法は改正されなければなりませんでした。
これらの問題やいかなる問題においても、憲法を無視することは、憲法の合法性を徐々にむしばむことにつながっています。

出典 Source: Liberty Defined, by Rep. Ron Paul, p.111-112 , Apr 19, 2011




FTA実施法では「いかなる貿易協定の条文も、合衆国法や州法に矛盾する場合は無効である」とする102条を持っていますから、法理論上は合衆国の主権は侵されないはずなのですが、ポール議員は、実際上はそうでない、という認識をお持ちのようです。






さて、

そんなこんなで、WTOやすべてのFTAに反対してきたポール議員ですが、一方で彼は「完全自由主義者」であり、「自由貿易」は賛成、としています。

これについて、CNNのキャスターから「ポール議員は、自由貿易に反対ということは保護貿易主義者なのかとよく聞かれますが、どうですか?」というような質問を受けたとき、

・私は保護貿易に反対です
・WTOやNAFTAは私に言わせれば「管理された貿易 Managed Trade」であって、
 私の考える自由貿易Free Tradeではありません


というように答えています。




↑この動画の2:44あたりからが、それです:
http://youtu.be/NhN2w4wbOLw?t=2m44s



最後は、アメリカの保守系政治団体Club for Growthによる客観的評価です:

No embargoes & no tariffs; but no NAFTA too
通商停止も関税も無し。しかしNAFTAも無し。


While he supports free trade in theory, Rep. Paul chafes at the government's role in the process, arguing that "We don't need government agreements to have free trade. We merely need to lower or eliminate taxes on the American people, without regard to what other nations do."
ポール下院議員はは理論上、自由貿易を支持しています。
しかし彼は、「私たちは、自由貿易を行うための政府協定を必要としません。私たちは、他国がどうするかなどに関わりなく、単にアメリカ人に対する税金を引き下げるか除去する必要があります」と主張し、政府の役割に怒りを覚えています。


His philosophical support for free trade is evidenced by his support for legislation lifting government-imposed trade barriers, such as the Cuba embargo.
彼の自由貿易に対する哲学的な背景は、キューバの通商停止のような、政府によって課された貿易障壁を除去する法案へのの彼の支持によって証拠づけられます。

He also voted against a proposal that would slap duties on China if they didn't adjust their currency.
さらに彼は、中国が為替操作をしない場合において、中国に義務を課する提案に反対しました。


Unlike protectionists, Ron Paul embraces the economic importance of free trade, but lives in a dream world if he thinks free trade will be realized absent agreements like NAFTA.
保護貿易論者と異なり、ロン・ポールは、自由貿易の経済的重要性を信奉しますが、NAFTAのような協定の無い状況での自由貿易が実現すると彼が考えているなら、彼は夢の世界で生きていることになります。

Paul himself argues that "tariffs are simply taxes on consumers," but by opposing these trade agreements, he is actively opposing a decrease in those taxes.
ポール自身は、「関税は単に消費者に対する税金である」と主張しています。しかし、これらの貿易協定への反対によって、彼は、積極的にそれらの税金の減少に反対しています。

While Paul's rhetoric is soundly pro-free trade, his voting record mirrors those of Congress's worst protectionists.
ポールのレトリック(美辞麗句)がしっかりとした自由貿易支持である一方、彼の投票記録は連邦議会の最悪の保護貿易論者の考えを反映しています。

出典 Source: Club for Growth 2012 Presidential White Paper #8: Ron Paul , Jun 21, 2011





他の保守系の人から「夢物語」と評されてはいるものの、ポール議員の主張はある意味ではかなり単純明快です:


議会で決めるべきことを、
 国家主権の及ばない国際機関で勝手に決められるのは嫌だ。

・関税などは無いほうが良い。
 他国がどうしようが知ったことではなく、
 アメリカ人の税金はアメリカの議会で決めるべきだ







もう少し、ロン・ポール議員について掘り下げておきますと、

彼はアメリカの保守運動、ティーパーティー運動 Tea Party movement の名付け親であります。

ティーパーティーというのは、いわゆるボストン茶会事件 Boston Tea Party を語源としています。


当時英国の植民地であったアメリカ人が、イギリスからお茶っぱにかけられた税金の問題で頭に来て、東インド会社のお茶っぱを大量にボストン港に投棄した、というような話です。

つまり、

・自分たちの税金は自分たちで決める。

という象徴
ですね。

また、

・イギリスの支配から脱して自由を獲得し、
 その自由を守るための合衆国憲法を制定したのだから、
 合衆国憲法を絶対的に尊重すべきである


ということの象徴なのでしょう。


このボストン茶会事件の文脈において、

・自由貿易(税金のかからない貿易)は支持

・アメリカ人の自由を損なう「自由貿易協定」は反対


ということなのでしょう。





私は、関税は適宜課税すれば良いと思いますし、WTOはあっても良いかなという気はしていますが、ポール議員の理論もある種の美しさを感じないわけではない、といったところでしょうか。






さて、

日本でTPPに反対している人を見ると「あいつは赤だ!共産主義者だ!」と言い出す方がいらっしゃるようなのですが、“自由貿易協定”反対のロン・ポール議員は「赤」で「共産主義」なんでしょうか?


ポール議員は関税はなくしたほうが良いと考えていますが、

自由貿易協定は

「国際政府 International Government に向かう傾向」を持つものであり

「我々の国家主権」を脅威にさらすものである
としています。



International Government 国際政府、つまりはいわゆる世界政府ですね。

左翼的な、地球は一つ、地球市民とも非常に似ています。


つまり、ポール議員の考えに沿って考えれば、自由貿易協定推進のほうがよっぽど「赤」で「共産主義」なんじゃないでしょうか?

そうなると、日本共産党ですらTPPに反対しているのだから、TPPを推進している人はその上を行く「真っ赤っか」である、という見方も出来ることになりますが…。


私は別にTPP推進派の方を「真っ赤っかだ!」とか「共産主義者だ!」とか言うつもりは全くありません。というか、そんなことを言うことに、建設的な意義を一切感じません。



※なお、個人的には、私は日本共産党の皆さんには、大企業を毛嫌いして敵視するのではなく、「大企業が儲かろうと儲かるまいと、とにもかくにも労働者、庶民の権利と利益を増大させる」とか「大企業の利益と労働者、庶民の利益を一致させ、両方とも増大させる」方向に行って頂ければなあ、と思っています。




とにもかくにも私はTPPに賛成しません(TPPは、長期的に見れば大企業にとっても利益にならないと考えます)が、

昨日のAFL-CIOの大統領あて請願に書いてあるような内容が、日本国民に対しても担保できるなら、反対しないかも知れません。でも、それだと例えばISD条項など無いものになるので、恐らくそれはTPPではない、別の何かになるでしょう。






さて、私が大いに興味を覚えるのは、TPP推進派の皆さんはどのような状態を理想とするのか、です。

この「自由貿易協定のさらなる推進」という方向でどんどん推し進めると、やはり、ポール議員がいうように、「北米連合」、「国際政府」、「世界政府」、あるいは「国境なき医師団」ならぬ「国境なき世界」みたいな話になるような気がします。

それ以外の方向性ってあるのでしょうか?





私は、ある国と他の国は「最適な距離を置く」のが理想と考えます。


これを国際関係ハリネズミ理論と名付けていますが、

国と国がくっつき過ぎれば必ず問題が起きます。

日韓関係などは、その最たる例です。


最近では、あの自由貿易推進の最右翼であるシンガポールも、移民制限政策に舵を切りました。

今までは移民歓迎、どんどんおいで、シンガポールに進出する外国企業は周辺国からどんどん安い労働力を呼び寄せてOK牧場よ、という具合でしたが、格差拡大する中、中国人投資家によるフェラーリ暴走死亡事故をきっかけに、移民を抑制する政策に転換したことは、以前、取り上げましたとおりです。

つまり、シンガポールも、結局は「国際関係ハリネズミ理論」の枠から出ることは出来なかったというわけで。




 『環太平洋パートナーシップ(TPP)』


 『東アジア共同体』

 『世界政府』

 『国境なき世界』

 全部、お断り!

 私はグローバリズムより国家主権を信じます!



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543:米労組、#TPP に慎重。また、仮にTPPが成立したとしても「日本や中国の参加は断固お断り!」

2012/09/03 (Mon) 14:58
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さて、TPPについて、↓のようなJPEGファイルを作ってみました。

これは、あくまでも私の主張ではなく、
アメリカの反TPP
の皆さんの主張ですが…

No_TPP.jpg  






コメント欄で教えて頂いたのですが、

経済評論家の上念司さんが、1ヵ月前(8月1日)のチャンネル桜の番組で当ブログを「(TPPに関してアメリカの議会の状況等について)日本で唯一まともに解説しているブログ」と評して下さいました。




↑の2:55辺り
http://youtu.be/IeV5H2vF2f8?t=2m55s


上念さん、「廣宮さんのブログ、最近は私もすげー見てる」とのことで、どうもありがとうございます!






なお、このことに関して若干補足させて頂きますと、

私がアメリカのTPP反対の動きに注目するようになったのは、政治学者の藤井厳喜さんに、アメリカにも反対派がいることを教えて頂いたのがきっかけであります。

そして、この問題に関しては、フェイスブックの「TPPって何?」グループからネタを仕入れているところも大であります。

ただ、仕入れたネタを元に、さらに情報を収集した上で書く努力をするようにさせて頂いているのが、当ブログのTPP記事の特色と言えるかもしれません。





10日前、TPP推進派である米上院のボーカス議員(モンタナ州民主党。TPPなど通商問題を管轄する財政委員会の委員長)について書きましたが、

コメント欄で、「モンタナ牛を売りたいならTPPでなくとも良いですよね」というご指摘がありました。

まったくその通りですよね。

米民主党はその大きな支持母体である労働団体のFTAに対する不信感もあり、TPPにはどちらかと言えば慎重です。

しかし、ボーカス議員の選挙区であるモンタナ州ではモンタナ牛その他、農産物をガンガン売るためにTPP推進!と言ったほうが、政治的に正しいということなのかも知れません。


さて、今回はその民主党の大きな支持母体たる労働団体のTPPに対する姿勢について、です。









AFL-CIO


という主に米国の労働者が参加し、また、カナダやメキシコにも広がる米国最大の労働団体(参加労組56、組合員数は1200万人AFL-CIOホームページ参照)の、TPPに関する見解をいくつか拾っておきたいと思います。




なお、当ブログでおなじみの、

オバマさんの大統領候補時代の演説

---
We've got make sure that our agreements are good for everybody.

我々は、貿易協定をすべての人々にとって良いものにしなければなならない。


Because the globalization right now is creating winners and losers.

現在のグローバリゼーションは、勝者と敗者を創り出している(つまり、格差を助長している)

---

は、AFL-CIO主催の大統領選フォーラムにおけるものでした









さて、
まずは、AFL-CIOの 通商政策スペシャリスト Trade Policy Specialist であるCeleste Drake氏の書いた記事です。





Bring Jobs Home: Don’t let TPP Become the Next NAFTA
仕事を帰国させよ: TPPを新たなるNAFTAにしてはならない
http://www.aflcio.org/Blog/Global-Action/Bring-Jobs-Home-Don-t-let-TPP-Become-the-Next-NAFTA
Celeste Drake (AFL-CIO)  07/06/2012


The Trans-Pacific Partnership, or TPP, sounds like a friendly little cooperative endeavor, doesn't it? Or maybe a new kind of bathroom tissue? Well, it's neither of those things. It's a proposed "free trade agreement," like NAFTA (North American Free Trade Agreement), but with 11 countries instead of three.
「環太平洋パートナーシップ(TPP)」、(パートナーシップというからには)ちょっとした協調的努力のように聞こえませんか?もしくは、新手のトイレットペーパーかも? いいえ。そのどちらでもありません。 それは現在協議中の「自由貿易協定」、NAFTAのようなたぐいのものです。しかも3か国だけでなく11か国の。

The negotiations, held at the Hilton San Diego Bayfront, brought out almost 200 union members along with allies from Occupy San Diego, La Fuerza Unida, Friends of the Earth and other groups on Monday to express concern about the possible ramifications to their jobs, their families and the American economy.
ヒルトン・サンディエゴ・ベイフロントで行われたTPP交渉では、およそ200人の労働組合メンバーがオキュパイ・サンディエゴ、La Fuerza Unida、 Friends of the Earth その他のグループと共同で、彼らの職や家族やアメリカ経済への影響への懸念を表明するための行動を取りました。



So-called "free trade agreements" have been the favorite tool of multi-national corporations over the last 20 years to promote an agenda of weakening labor law enforcement and degrading the environment while promoting big bank deregulation.
この20年、いわゆる「自由貿易協定」は多国籍企業にとって都合の良い道具であり続け、労働者の法的権利を弱め、環境を悪化させるような協議事項を促進する一方、大手銀行の規制緩和を促進してきました。

For corporations, this agenda has worked fantastically: American multinational corporations are making record profits, paying record bonuses and sitting on piles of cash — freezing or downsizing the American workforce while pressing for further tax breaks and deregulation.
企業のために、この協定は、非常に魅力的な効果を発揮しました:アメリカの多国籍企業は記録的な利益を計上し、記録的なボーナスを支払い、現金の山の上に座り ―― アメリカ労働者が賃金上昇の凍結やリストラに遭う一方で、更なる減税や規制緩和が推し進めらています。


That's why the AFL-CIO and the San Diego and Imperial Counties Labor Council (SDICLC) worked with numerous community allies to tell TPP trade negotiators, "Enough is enough!" Fair trade, not free trade, is what working families need.
これが、AFL-CIOやサンディエゴ郡・インペリアル群労働協議会(SDICLC)が多数のコミュニティーと共同でTPP交渉者たち(各国代表)に、「もうたくさんだ!」、労働者にとって必要なのは自由貿易ではなく公正な貿易だ、と伝える行動を取った理由です。

SDICLC Secretary-Treasurer Lorena Gonzalez, U.S. Representative Bob Filner, and more than a dozen other speakers told the negotiators and the press what working families need is not "free trade," but "fair trade" that promotes good job creation, respects labor and human rights, preserves the sovereign right of nations to make public interest policy and doesn't weaken our ability to Buy American. A key theme of the rally was "Bring Jobs Home."
SDICLCの会計責任者Lorena Gonzalez、連邦下院議員Bob Filner(廣宮注:民主党)を始め十数人の演説者が、(TPPの)交渉者たちや報道機関の記者たちに対し、労働者は、良い雇用を増やし、労働者と人権を尊重し、国家主権を保全して公共の利益のための政策を行い、バイ・アメリカン条項を弱めることのない、「自由貿易」ではなく「公正な貿易」が必要であると、述べました。 このデモの重要テーマは「仕事を帰国させろ!」でした。



A major difference from past trade agreements is that a completed TPP would allow new countries to join, or “dock on,” at any time.
TPPと過去の貿易協定との主な違いは、TPPが、いつでも新しい参加国の加盟を認めるような仕組み(「ドック・オン」)になりそうだということです。

“Dock on” could be one of the most critical aspects of the entire agreement, as it would allow any country in the world, such as Japan or China, to join the agreement at a later date.
「ドック・オン」はこのTPP協定全体の中で、もっとも致命的なことの一つとなる可能性があります。というのは、これにより、日本や中国など、世界のどんな国も後からこの協定に参加することを許すことになるからです。

It is also not yet clear whether the TPP will ensure that Congress gets an up or down vote for each new entrant.
TPPについて、新規の参加国について、その都度、連邦議会の投票で決められることが保証されるかどうかは、まだはっきりしていません。

Now, new entrants can join the World Trade Organization (WTO) without such a vote. The results of Japan or China joining the TPP without a Congressional check could be devastating for our economy.
現在、WTOへの新規参加は連邦議会の票決なしで行うことが可能となっています。 日本や中国の、連邦議会のチェックなしでのTPPへの参加は、我々の経済を破壊しかねません。

Unfair trade with China since it joined the WTO has displaced more than 2.8 million U.S. jobs—1.9 million workers in manufacturing alone. We cannot afford a free trade agreement with either of these countries unless and until our negotiators get the rules right.
中国のWTO参加以来、中国の不公正な貿易により、280万人以上の米国の職、製造業だけで190万人の労働者の職が失われました。 貿易交渉が正しいルールを確立するまで、我々は決してこれらの国々の自由貿易協定への参加を許容できません。



Trade isn't bad in and of itself. I mean, think of the imported products we enjoy (including coffee, bananas and Swiss cheese). But our "free trade" agreements have been bad for workers: offshoring jobs (700,000 and counting because of NAFTA), lowering wages and making it harder for workers to organize—all while letting foreign corporations challenge our environmental and other laws. Join the petition for fair trade by clicking here. And send this blog post to a friend. You can be part of the fair trade solution (don't let San Diego workers have all the fun).
貿易自体は悪いものではありません。 例えば、コーヒーやバナナ、スイスのチーズなど、我々が楽しんでいる輸入品のことを考えてみて下さい。 しかし、我々の「自由貿易」協定は、労働者にとって悪いものでした: 仕事の国外流出(NAFTAで70万人前後)、賃金の低下、そして、労働者の組合加入の困難化が進む一方、外国企業が我々の環境や他の法律に異議を唱えることを促しました。 ここをクリックして公正な貿易を求める請願に参加しましょう(廣宮注:オバマ大統領あてのネット署名・請願のこと)。  このブログを友達にも送って下さい。 (サンディエゴの労働者にだけ楽しいこと〔ヒルトン・サンディエゴでのTPP交渉会議に対するデモ活動〕をさせてはいけません!)あなたもこの公正な貿易のための活動に参加することができるのです。






とにかく従来型のFTAは勘弁してくれ!

という気持ちでいっぱいの文章です。



そして、中国だけでなく、日本のTPP参加も勘弁してくれ!

としているところが興味深いところです。


ただ、「日本や中国の参加は勘弁してくれ!」については、

条件が整うまで、という但し書き付き
なのが気になるところです。


ちなみに、以前取り上げましたように、アメリカの製造業団体(労働団体ではなく企業団体)は、日本の“為替介入”を「貿易障壁」の最たるものとして挙げてており、日銀の通常の金融調節すら「為替介入だ!」と言い出しかねない勢いです。


これに対して、日本のTPP推進派の皆さんは、どんな「条件」を彼らに提示できるでしょうか?


これを確実に提示できない限り、仮に日本がTPPに参加した場合、日本は彼ら製造業団体や労働者からかなり確実に恨みを買うことになります。

仮にそれが中国の低価格産品の影響であったとしても、です。
いざというとき、厳密な区別などつかないでしょう。



TPP推進で日米関係の改善!という主張は、上記のような危険性をはらんでいることには十分な注意が必要であります。

TPPに参加することで、却って日米関係が悪化する、という可能性だった十分あり得るのです。

それだけでなく、
日本のTPP参加がアメリカ国民を分断し、アメリカ社会を不安定化させる引き金を引くことすらあり得ます。



日米関係はTPP以外の部分で強化すれば良いのです。
逆に言えば、TPPに日本が参加すれば、沖縄の基地問題がすんなり解決するでしょうか?私はその可能性は極めて低いと思います。つまり、安全保障とTPPはほとんど関係性がありません。



むしろ、TPPは日米関係の悪化やそれに起因する安全保障の毀損につながりかねません!






次に、
上記のAFL-CIO記事に出てきました、
大統領への請願の文章を紹介しておきます:





Tell President Obama: We Need a Trade Policy That Works for Working Families
大統領に告ぐ:我々は労働者のために働く貿易政策が必要だ

http://act.aflcio.org/c/18/p/dia/action3/common/public/?action_KEY=4617


To: President Barack Obama and U.S. Trade Representative Ron Kirk
バラク・オバマ大統領およびロン・カーク通商代表へ


Our U.S. trade team is negotiating the Trans-Pacific Partnership Free Trade Agreement (TPP FTA). This would be the biggest trade agreement in U.S. history. If not done right, it could lead to more U.S. jobs being outsourced, the erosion of workers’ rights and Buy America provisions, and undermining of U.S. environmental and consumer safety protections.
我ら米国通商チームは、TPP交渉を進めています。 
これは米国の歴史上最大の貿易協定となるでしょう。 
もし正しくなされなければ、TPPは米国の職をさらに海外に流出させ、米国労働者の権利とバイ・アメリカン条項を侵食し、アメリカの環境と消費者の安全を台無しにするでしょう。


We cannot afford to repeat the mistakes of past trade policy.
我々は、過去の貿易政策の誤りを繰り返すことに耐えられません。

Therefore, we, the undersigned, call on you to ensure the TPP FTA:
それゆえ、我々署名者は、TPP自由貿易協定において下記のことを保証することを求めます:

1. Creates jobs in the United States, and does not promote offshoring;
 米国の雇用を増やし、そして、職の海外流出を促進しないこと

2. Improves working conditions and strengthens workers’ rights at home and abroad;
 労働条件の改善と労働者の国内外における権利の強化

3. Allows governments to prioritize spending taxpayer funds locally; and
 政府に納税者の資金を地元優先で使わせること

4. Protects the rights of sovereign governments to make policies in the public interest, including policies with respect to clean air and water, affordable medicines and food safety.
 空気や水の浄化、経済的に入手可能な医療、食の安全に関する政策を含む、公共の利益のための政策を実行するための政府の主権を保全すること。






なんとまあ、
オバマさんやロン・カーク通商代表の名前を野田さんや玄葉さんの名前に替えれば、そのまま日本でも使えるような請願内容になっていますね!


なお、

3. Allows governments to prioritize spending taxpayer funds locally; and
 政府に税収を地元で使わせること

というのがどういうことか
というと、

上記の記事に出てきたBob Filner
下院議員

下院公式ホームページの言葉を借りれば、以下のようなことだと思います:


We need an economic approach that lifts every American, not just the privileged few!
我々には、ほんの少しの特権階級のためだけでなく、全てのアメリカ人を上昇させる経済アプローチが必要だ!

Our country is coming out of the worst economic crisis since The Great Depresssion. Bob believes we must chart a new course by investing in Main Street, not Wall Street.
我が国は、大恐慌以来、最悪の経済危機に見舞われている。我々はウォール・ストリートではなく、メイン・ストリート(多くの一般国民)に投資することによって、新たなる進路を取らなければならないと、Bobは信じる。



Bob believes that our taxpayer funds would be much better spent investing in our education system here at home, promoting the development of renewable sources of energy in our own backyards and building a first-class transportation system to keep our economy moving forward.
我々の納税者の資金は、我々のここ本国における教育システム、我々の領内における再生可能エネルギー源の開発促進や、我々の経済の前進を維持するための高度な交通システムの建設への投資として、より良い形で使われるべきだ、とBobは信じている。

---

固有名詞だけ入れ替えれば、日本でもそのまま使えてしまうメッセージですね!





さて、


ボーカス上院議員(民主党、モンタナ)は、TPP推進派にして公共事業推進派

Bob Filner下院議員(民主党、カルフォルニア)は、TPP慎重派にして公共事業推進派

ということになります。


昨日、NHK特集で、
大雨や地震のリスクが高まっている中、大雨や地震による「深層崩壊」と呼ばれる大規模な土砂崩れが起きる危険性のある地域が日本全国に広く分布しているという話をやっていました。

これでも、日本の民主党の先生方は、「公共事業は先祖返り」とか意味不明な主張を続けるのでしょうか?

TPP推進だろうが反対だろうが、アメリカの民主党議員の公共事業推進の姿勢を少しばかり参考にされてはいかがでしょうか?






さて、もう少しAFL-CIOの記事を紹介しておきたいと思います。

Joint Statement by AFL-CIO, CLC and UNT on the Trans-Pacific Partnership Free Trade Agreement
AFL-CIO(アメリカ)、 CLC(カナダ) 、 UNT(メキシコ)による、TPPに関する共同声明
http://www.aflcio.org/Press-Room/Press-Releases/Joint-Statement-by-AFL-CIO-CLC-and-UNT-on-the-Trans-Pacific-Partnership-Free-Trade-Agreement
AFL-CIO July 11, 2012


The AFL-CIO, the CLC, and the UNT, the national labor organizations of the U.S., Canada, and Mexico, join in urging caution regarding the announcement that Mexico and Canada have been invited to join negotiations for the Trans-Pacific Partnership Free Trade Agreement (TPP).
AFL-CIO、CLC(Canadian Labour Congress)、UNT(Unión Nacional de Trabajadores)という、アメリカ、カナダ、メキシコの労働団体は、メキシコとカナダがTPP交渉参加に招待されたとの発表について、警告を発する行動を共同で行うことになりました。



American, Canadian, and Mexican workers cannot afford another corporate-directed trade agreement.
アメリカ、カナダ、メキシコの労働者は、さらなる企業主導の貿易協定には耐えられません。



The ultimate impact of the TPP on working families in the U.S., Canada, and Mexico is by no means certain. ... Therefore, it will be impossible to celebrate the inclusion of Mexico and Canada until the specifics of the agreement are known.
米国、カナダ、メキシコの労働者への、TPPによる最終的な影響は決して明らかではありません。…だから、協定の詳細が明らかになるまで、メキシコやカナダの参加を祝福することは不可能です。







 アメリカ労働団体の

 『日本のTPP参加、断固反対!』

 の姿勢は、ある意味大歓迎です!

 そして彼らと全く同様に、

  1.日本の雇用を増やし、そして、職の海外流出を促進しないこと

  2.労働条件の改善と労働者の国内外における権利の強化

  3. 政府に納税者の資金を地元で使わせること

  4. 空気や水の浄化、経済的に入手可能な医療、
   食の安全に関する政策を含む、
   公共の利益のための政策を実行するための
   政府の主権を保全すること。

 を心の底から望みます!



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541:資源調達、綱渡り:天然ガス、スペイン、フランスから高値で調達という異常事態+シリア周辺混乱で原油高へ+「 #TPP で農業改革」よりも「“中国の脅威”で農業改革」のススメ

2012/08/28 (Tue) 15:13
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その他詳細な内容紹介:
1.“章別の内容紹介”→こちら
2.“5つのことわざで分かる、簡単マクロ経済入門”→こちら







さて、TPPについて、↓のようなJPEGファイルを作ってみました。

これは、あくまでも私の主張ではなく、
アメリカの反TPP
の皆さんの主張ですが…

No_TPP.jpg  


※当ブログのTPP記事一覧はこちら







前回の「熱中症」の件、お見舞いコメント等頂き、まことにありがとうございます。

自分自身が熱中症になったことを受け、エアコン、電気のありがたみを改めて痛感する今日この頃であります。


フェイスブックで教えて頂いた話なのですが、労働安全衛生法の実施規則である事務所衛生基準規則では、事務作業を行う事業所において、

第五条 第3項
事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が十七度以上二十八度以下及び相対湿度が四十パーセント以上七十パーセント以下になるように努めなければならない。

という規定があります。

ちなみに温度が28℃、湿度が70%なら、前回の「環境管理温度湿度計」では緑(注意)と青(十分注意)の境目で安全圏となりそうです。





前回は、純粋に熱中症への注意喚起のため、政治的見解を完全に抜き去った話にしましたが、今回は多少なりとも政治的な話です。





昨日の日経新聞朝刊1面より:




資源 変わる輸入地図(上)
長年の調達網 もろさ露呈

日経新聞 2012年8月27日朝刊1面


日本の資源の輸入地図が大きく変わり始めた。
発電用天然ガスや穀物は、不動だった主役が綱渡りを経て交代。
資源、食糧を海外に頼る日本の難しさが改めて浮き彫りになった。

異例の再輸出

スペイン、フランス、ブラジルなど液化天然ガス(LNG)輸出に縁のなかった国を出たタンカーが、次々と川崎や名古屋に入港している。
これらの国が貯蔵するLNGを、日本の電力会社が高値で再輸出させる異例の手段をとったためだ。

昨年3月の福島第1原発の事故後、電力各社はLNG火力発電へのシフトを迫られている。
過去にマレーシア、オーストラリアなど生産国と協力して液化施設を建設。10~20年の長期契約で調達する仕組みを築いたが、予想外の需要の急増に対応できない。

あらゆる手立てで集めた結果、中心になったのがカタールとの短期契約だ。
…(カタールからの輸入シェアが)マレーシアを抜き首位に立つ。

カタールは米国への販売を見込み設備を増強したが、米国で頑張んないのガスを利用するシェールガス革命が起きて売り先を失う。
「この偶然が無ければ大規模な停電が起きる可能性があった」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の石井彰・客員上級研究員)という。

価格面で代償を払った。LNGのスポット(随時契約)は一時震災前の2倍に高騰。長期的契約価格に影響する原油高も重なり、日本の11年LNG輸入代金は前年比4割近く増え4兆8000億円程度になった。

資源の豊富な国と長期的な関係を結べば安定調達につなげやすい。
ただ、目まぐるしい情勢の変化に対応できないと反動は大きい。
主産地の北米で干ばつに襲われた穀物も同様だ。



日本は飼料用トウモロコシの9割超を米国に依存してきた。
しかし、今年度後半の使用料やく600万トンのうち米国産の比率は半減する見込みだ。
大手商社は200万トンをブラジルから買い付けたもよう。
米国産の最大の買い手の全国農業協同組合連合会(全農)もブラジルやウクライナから独自に買い付け、使用料の5割超の100万トンを米国以外に切り替える。




中国と競争激化

日本だけではない。
中国は温家宝首相が6月に南米を訪問、インフラ支援を約束し対中輸出の拡大を要請した。
丸紅のブラジル現地法人の伊吹洋二社長は「農家との結びつきを強めて調達網を拡充しなければ」と競争に身構える。


プロパンなどの液化石油ガス(LPG)は4年前まで最大の輸入先だったサウジアラビアの減少が続く。
人口増を産業需要が伸びるため、輸出余力は10年余りでさらに半減するとの見方がある。

LNG、トウモロコシ、LPGとも日本が世界最大の輸入国。
長年の調達シェアが予想外の短期で変わったのは新興国の台頭や資源国の発言力の高まりも背景にある。
資源の輸入大国の足場は揺らいでいる。






この記事を読んで、私が電気に対して感じているありがたみは、さらに増すばかりであります。



私は脱原発には反対はしませんが、それは数十年かけてゆっくりやるのが妥当だと考えます。


原発がなくても電気が足りているという説もあります。

しかしそれは、

スペインやフランスの貯蔵天然ガスを無理矢理買ってきたことや、

カタールの米国向け輸出がたまたま米国で起きた技術革新で不要になった幸運に恵まれて日本に振り向けることが可能になったこと

によって、
辛うじて何とか支えられている、ということのようであります。

また、その天然ガスの頼みの綱となっているカタールも、イラン情勢の不安定化によってかなりリスクが高い状態になってきていることは、先日当ブログで書きました通りです。


根本的で安定的な代替エネルギー源の確保なき「脱原発」では、深刻化する傾向にある夏の熱中症のリスクやその他さまざまな生命にかかわるリスクを高めるだけであり、なんらの現実的解決にもならないのではないかと思われますます。







また、トウモロコシに関してはアメリカ依存一辺倒から一気に脱却ということが起こっています。
上の日経記事の省略した箇所によると、これまでもアメリカ依存の危うさを感じていた商社や全農が調達先の多様化を準備していたところへ今年の大干ばつが起こり、一気に脱アメリカ依存が進んだようです。

ちなみに、以前も触れましたが、飼料用トウモロコシは関税ゼロです。TPPに仮に日本が参加しても、アメリカ産トウモロコシの輸入関税コストは減りません。元からゼロですから。

そして、アメリカから調達することが困難になった分のトウモロコシの調達先が、TPPと何の関係もないブラジルやウクライナからの調達に切り替えられる、ということは注目に値するでしょう。

私が思うに、ブラジルやウクライナなどの農産大国における、中国との食糧調達競争のほうが、TPPなどよりも、よっぽど重要で喫緊の問題ではないかと思います。


TPP推進派の中には「TPPを使って農業改革を進めたい」というようなタイプの方もおられます。

すなわち、

目的:国内の農業改革
手段:TPP


というような枠組みです。


私はこれを

目的:国内の農業改革

手段:中国との食糧奪い合いの脅威を煽る



に切り替えることを強力に推奨いたします。


これなら、反TPP派の賛同もずっと得やすいでしょう。
また、農業に携わる皆さんの使命感や動機づけを高めることにもつながるのではないでしょうか。

中国との食糧調達競争激化

国内農業の生産性向上の必要性高まる


という格好になります。


このほうが「TPPを利用して農業改革」よりも、よっぽど健全で生産的ではないかと思います。





さて、上記の引用記事は長期的なリスクの話でしたが、以前から当ブログで触れてきた中東動乱が原因で、原油価格がジワジワ高騰してきているという話もあります。

ただし、当ブログで想定していたイラン問題ではなく、シリア問題によって





シリア内戦が激化
産油国に波及懸念 原油再び上昇

日経新聞 2012年8月28日朝刊2面

中東シリアでの内戦がさらに激しさを増している。
国連の停戦監視団の撤収をきっかけにアサド政権が反体制派の掃討を強化。
隣国レバノンへの飛び火や難民の大量流入で周辺国にも影響が及んでいる。
反体制派を支援する湾岸産油国が不安定になるとの警戒から、原油相場は再び上昇基調をたどっている。



シリア内戦が長引くなかで、混乱が周辺国に広がり、中東情勢は不安定になりつつある。

隣国レバノンでは親シリア勢力と反シリア勢力の銃撃戦が起きた。
宗教問題が絡んだ微妙なバランスが崩れかねない。




湾岸産油国のサウジアラビアやカタールなどは反体制派を支援するが、イランなどはアサド政権に近い。
「シリア内戦がほかの中東産油国に波及しないかが懸念される」(住友商事の長尾英二郎商品市場チーム)







原油価格については、NYMEXの軽質原油(Light Crude Oil)の先物(期近もの)のチャートを示しておきます。



NY原油
出典:
http://futures.tradingcharts.com/chart/CL_/92?anticache=1346124806





サウジバーレーンシーア派の反政府デモが頻発している件は以前、紹介しました。

【中東、世界の火薬庫: 国防相ほかシリア首脳4人が爆弾テロで死亡+サウジ、バーレーンの反政府デモ活発化+米軍5隻目の空母をペルシャ湾に派遣し20ヶ国参加の合同演習実施へ】
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-522.html


イランがシーア派なので、イラン情勢との絡みでサウジやバーレーンのシーア派の活動が活発化し、それが原油生産・輸出にも影響し、つまり、日本経済にも重大な影響を与える可能性があるという話をしていましたが、

シリアのアサド政権もシーア派(のうちのアラウィ派)

ということも考慮に入れるべきでありました。



もちろん「イランもシリアもシーア派だから、サウジやバーレーンでシーア派住民の活動が活発化する」と単純に結論付けるのは、正確ではないとは思います。想像するに、実情は恐らくもっと複雑なのでしょう。


また、本当にこのシリア情勢の影響で原油価格が上昇基調になっているのか、というとそれは実際のところは分かりません。

別の理由もあるのかもしれないですし、あるいは、原油価格を上昇させたい人々がいて意識的にもっともらしい理由を喧伝しているのかも知れません。もちろん、素直に真に受けるべきなのかも知れません。

いずれにせよ、現在の原油価格の上昇基調の説明として「シリア情勢」が主要な理由として挙げられている、ということ自体は、紛れもない確定的事実である、ということになります。


これはつまり、本当の実情がどうであれ、

シリア情勢が、石油価格のさらなる高騰を通じて、日本経済にも重大な影響を与えかねない状況になってきている

ということを意味します。






さて、当ブログを頻繁にご覧いただいている読者の方はお気づきかも知れませんが、当ブログ(PC版)の左下のほうには、WTIの原油価格と金価格のチャートを表示しています。


それで、

この1、2週間で、原油、金がともに過去3ヵ月の高値を更新しているけど、何でかなあ、と思っていたのです
(正確には、その「理由」として何が挙がっているか、その「理由」のトレンドはどんなものか、が気になっていたということになりますが)。

金については、南アフリカの鉱山で労働争議が暴動に発展したことが「理由」のようです。

ということで、ちょっと今回のテーマからそれますが、ついでなので少し金相場について:




揺れる資源国・南ア
鉱山ストに警官隊発砲


プラチナ・金が上昇 雇用問題の難しさ露呈

日経新聞2012年8月27日朝刊7面


世界屈指の資源国、南アフリカ共和国が揺れている。
今月中旬に起きたプラチナ(白金)鉱山の労働争議に端を発した警官発砲事件がきっかけ。
国際商品市場では、労使の対立が南アのほかの鉱山にも広がり、生産が滞る懸念からプラチナや金の相場が上昇した。
有力新興国の一角としてもグローバル企業の注目を集めるが、今回の事件で雇用事情の難しさが改めて意識されそうだ。


※記事によれば、その鉱山の労働争議の暴動化で死者34人、アパルトヘイト廃絶後、当局の取り締まりに関連する事件としては最大規模の死傷者数を出す騒ぎとなった、とのことです。




さて、



 スペインやフランスから天然ガスを

 高値で無理やり『輸入』していたとは、

 驚いた!



と思われた方や、



 “良く分からず得体の知れないTPP”で農業改革×

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539:#TPP 推進の米国有力上院議員、来日。「とにもかくにも、日本はもっとアメリカ牛を買え!」

2012/08/24 (Fri) 16:58
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さて、TPPについて、↓のようなJPEGファイルを作ってみました。

これは、あくまでも私の主張ではなく、
アメリカの反TPP
の皆さんの主張ですが…

No_TPP.jpg  




さて、

アメリカのTPP推進、および、日本のTPP参加の成否のカギを握る人物の話です。

米上院・財政委員会の委員長、ボーカス上院議員(民主党、モンタナ州選出)が来日し、玄葉外務大臣と会談しました。

米上院・財政委員会というのは米国の通商交渉の最も重要なカギを握る機関ですが、詳細はのちほど。

まずは、時事通信の記事から:





TPP参加に期待=米上院委員長、玄葉外相と会談
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012082300942
時事通信 2012/08/23

日中のボーカス米上院財政委員長は23日、外務省内で玄葉光一郎外相と会談した。
席上、同委員長は「環太平洋連携協定(TPP)は米経済のみならず大局的観点からも重要なもので、多くの国が参加する質の高い協定となることを期待する」と述べ、日本の参加に強い期待感を表明した。
玄葉外相は「日米が協力して貿易・投資ルールをつくっていく意義は大きい」との認識を改めて強調した。




上記記事の太字部分は、外務省発表の引用ですが、モンタナ州選出の上院議員は、牛肉、BSE規制の緩和について非常に強い関心を持っているようです:






ボーカス米国上院財政委員長による玄葉外務大臣表敬
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kinkyu/20/H602012082320554301A/
平成24年8月23日

 本23日(木曜日)午前10時から約50分間、玄葉光一郎外務大臣は、マックス・ボーカス米国上院財政委員長(The Honorable Max Baucus, Chairman of the Senate Committee on Finance)の表敬を受けたところ、概要は以下のとおりです(日本側から八木経済局長他、米国側からルース駐日米国大使他が同席)。

1 冒頭、玄葉大臣から、ボーカス委員長の来日を歓迎し、同委員長の長年に亘る日米関係強化への取組に感謝の意を述べました。これに対し、ボーカス委員長から、マンスフィールド元駐日大使(注:ボーカス委員長と同じモンタナ州出身)の言葉を引きつつ、日米間の経済関係は太平洋で最も重要な二国間関係であるとの発言があり、今後も高い水準での日米間協力が続くことへの期待が表されました。

2 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に関して、玄葉大臣から、現在、TPP交渉参加に向けた日米間の協議が行われているところであり、日米が協力して貿易・投資に関するルール・秩序を作っていく意義は大きい旨述べました。これに対して、ボーカス委員長から、TPPは米国経済のみならず大局的観点からも重要なものであり、同協定が多くの国が参加する質の高い水準の協定となることを期待する、との発言がありました。

3 米国産牛肉の輸入に関して、玄葉大臣から、米国産牛肉の輸入条件を含むBSE対策全般の見直しについては、現在、食品安全委員会が最新の科学的知見に基づき審議を行っているところである旨述べました。これに対して、ボーカス委員長から、BSE対策の見直しが進められていることを歓迎する旨述べました。

4 加えて、玄葉大臣から、我が国の米国からのLNG輸入の実現への協力を求めたのに対し、ボーカス委員長から、協力していきたい旨述べました。





ここで、上院の財政委員会の外国との通商協定に関する権限について説明をしておきたいと思います。


まず、在日米国大使館HPより、米国合衆国憲法

http://aboutusa.japan.usembassy.gov/j/jusaj-constitution.html
第1章[立法部]
第8 条[連邦議会の立法権限]
第3 項 諸外国との通商、各州間の通商およびインディアン部族との通商を規制する権限


で、外国との通商を規制する権限が連邦議会(上院・下院)にあることが規定されています。



そして、この本来は議会にある外国との通商に関する権限の一部を大統領に移譲することで、外国との通商交渉をスムーズに進めるための議会と大統領の間の取り決めが、以前も取り上げたことのある、大統領貿易促進権限(Trade Promotion Authority)」というものです。

これが、2007年に失効しています。

また、新たにTPPに「大統領貿易促進権限」を与えるための法案が提出されていたのですが、これが2011年の9月に上院で否決されています。

ということで現在は、USTRや大統領はあたかも「大統領貿易促進権限」があるかのごとく、TPPを推進している、という今年2月のロイターの記事がこちら:




White House wants trade promotion authority: Kirk
ホワイトハウスは大統領貿易促進権限を望んでいる:カークUSTR代表

http://www.reuters.com/article/2012/02/29/us-usa-trade-kirk-idUSTRE81S1FF20120229
Reuters Feb 29, 2012

The Obama administration plans to ask Congress this year to renew White House "trade promotion authority" so it can finish talks on an Asia Pacific trade pact and pursue other possible initiatives, the top U.S. trade official said on Wednesday.
オバマ政権は、TPPの完遂や他の可能性のある貿易交渉の推進のため、今年中に、連邦議会に「大統領貿易促進権限」を更新する法案を提出する予定である、と水曜日、USTR代表は語った。


"We've got to have it," U.S. Trade Representative Ron Kirk told the House of Representatives Ways and Means Committee, referring to legislation known as trade promotion authority which expired in mid-2007.
ロン・カークUSTR代表は2007年半ばに失効した大統領貿易促進権限として知られる法律に関連して、「我々にはそれが必要だ」、と下院歳入委員会で述べた。

Kirk declined to say when the White House would make a formal request, but said it could need the authority by the end of the year because of its goal of concluding the Trans-Pacific Partnership (TPP) trade agreement with Australia, New Zealand, Vietnam, Chile and four other countries in 2012.
カーク代表は、ホワイトハウスが正式な要請をいつ出すかについて話すことは拒否したが、TPPを2012年に妥結するという目標のためには、ホワイトハウスが今年末までにその権限が必要となるだろうと語った。

...

Many Democrats have qualms about the legislation since it signals White House plans to negotiate more trade agreements. That is a divisive issue within the party because of opposition from labor groups.
多くの民主党議員は大統領貿易促進権限法案について、ホワイトハウスがさらなる貿易協定の交渉を計画している兆候であるとして、疑惑を持っている。これは、労働者団体からの反対があるため、民主党を分裂させるような問題だ。

The legislation typically also contains detailed negotiating objectives the White House is expected to follow in trade talks. The Obama administration has been using the expired trade promotion authority as guidance for the ongoing Trans-Pacific Partnership talks, but those objectives were crafted in 2002.
一般的に、大統領貿易促進権限法案は、ホワイトハウスが交渉にあたって従うべき詳細な交渉目標を含んでいる。オバマ政権は、進行中のTPP交渉において、すでに期限切れになった大統領貿易促進権限を指針として使っているが、この期限切れの貿易促進権限法で定められた交渉目標は2002年に作られたものだ。

...

Representative Sander Levin, the top Democrat on the Ways and Means panel, said he doubted a trade promotion authority bill would be passed this year.
下院歳入委員会の民主党代表、Sander Levin議員は、大統領貿易促進権限法案が今年中に可決されることに懐疑的だ。

The 2002 bill took about 18 months to pass.
2002年の大統領貿易促進権限法案は、成立まで約18か月かかった。



...





さて、

滝井 光夫 桜美林大学国際学部 教授 の 「大統領の通商交渉権限と連邦議会」という論文によりますと、

大統領貿易促進権限がある場合でも、上院の財政委員会や下院の歳入委員会は、貿易協定の交渉成立や国内での貿易協定実施法の策定までに相当深い関与をする仕組みになっています。
(同論文のp.32表2や本文におけるその説明を参照)


現在、その大統領貿易促進権限が失効している現在、上院の財政委員会や下院の歳入委員会は、憲法上の規定によって貿易交渉の権限を持っている連邦議会の最初の入り口になっています。


なお、在日米国大使館の資料

立法府 ― 議会の影響力
http://aboutusa.japan.usembassy.gov/j/jusaj-outline-government04.html

によりますと、

現在、上院には17(*)の常任委員会があり、下院には19(*)の常任委員会がある。各委員会は、外交、防衛、金融、農業、商業、歳出など、立法の特定の分野を専門に扱う。各議院で発議される法案は、ほとんどすべてが委員会に付託され、委員会が調査・勧告を行う。委員会は、付託された議案を承認、修正するが、葬り去ったり、無視したりすることもできる。下院でも上院でも、法案が委員会の承認を経ずに本会議に到達することは不可能に近い。

ということです。


つまり、

大統領貿易促進権限が無かったとしても、
外国との通商問題を担当する上院財政委員会と下院歳入委員会は、貿易協定に関してはかなり深く関与する

ということになります。






※細かいことですが、アメリカの法理論上、貿易協定は「上院の3分の2の賛成を要する」
外交上の条約と異なる扱いとなっています(国際法上はあくまでも条約)。

合衆国憲法第2章第2条第2項

大統領は、上院の助言と承認を得て、条約を締結する権限を有する。但し、この場合には、 上院の出席議員の3 分の2 の賛成を要する。

により、

条約であれば、大統領がそれを外国と締結するには、上院の助言と承認とさらに上院の出席議員の3 分の2 の賛成というかなり高いハードルがあります。

しかし、

米国議会図書館議会調査局の資料によりますと、

foreign trade 対外貿易

に関する協定


treaties 条約

ではなく、

executive agreement 行政協定

のうちの

Congressional-executive agreements 立法・行政協定

で、

Executive agreements are negotiated and concluded in the
same way as treaties, but they do not go through the procedure
for advice and consent of the Senate.
行政協定は、条約と同じ方法で交渉され、締結されるが、上院の助言と承認の手続きを経ることは無い。

ということになっています。

実際のところ、上記 滝井 光夫 桜美林大学国際学部 教授の論文の注釈13で

NAFTA実施法を条約手続の不使用を理由に違憲とする訴えに対して2001年11月、最高裁は合憲との判断を下している

とあります。

また、NAFTA実施法は現実に上院では出席議員の3分の2より少ない賛成票(出席100人中61)で可決、成立しています(上院HP参照)。




【追記】
また、
現在の大統領貿易促進権限の無い状態でのTPP交渉は、アメリカにとって全くあやふやな状況にあります。

上記
滝井 光夫 桜美林大学国際学部 教授 の 「大統領の通商交渉権限と連邦議会」の表現を借りると…

「外国との…交渉の合意が議会によって拒否されたり、修正されたりすれば、米国政府の対外交渉は信頼を失う」ということが普通にあり得る状況でオバマ政権はTPP交渉に突っ走っているわけです。

大統領貿易促進権限があると、議会に提案されるときは議会が可決するか否決するか、二者択一になります。ただし、これまでにあった大統領貿易促進権限の仕組みでは上下院の担当委員会がかなり深い関与をすることで、否決される可能性を可能な限り無くすような仕組みになっています。

一方、この「権限」の仕組みが無いと、議会は可決、否決だけでなく、外国と締結してきた協定の修正を迫ることも可能になることが問題、ということになります
(もしかすると委員会レベルで無視、ということもあり得るのかも知れませんが、そこまでは目下、調査しきれていません)。


【追記終わり】






とは言え、

大統領貿易促進権限があろうとなかろうと、
上述のように、上院財政委員会は、下院歳入委員会と並び、貿易協定に関してはかなり深く関与することになります。





よって、

ボーカス上院財政委員長という人物は、TPPに関して非常に重要な立場にある人物と言って良いでしょう。


では、そのボーカスさん、どんな人物なのでしょうか?


ボーカス議員の上院の公式ホームページからいくつか拾ってみます。

まず、日本に来る前にニュージーランドに訪問したときの記事から抜粋(訳は抄訳で):


Baucus Promotes Montana Trade with Leader of New Zealand
ボーカス議員、ニュージーランド指導者を相手にモンタナ州の交易を促進

http://www.baucus.senate.gov/?p=press_release&id=1125
August 20, 2012

Negotiations to determine the exact parameters of the TPP first began in 2005, and are ongoing today. Baucus has been pushing for strong U.S. particip
ation since beginning, and has urged the White House to fight for the best deal for American workers and businesses.
ボーカス議員はTPPバリバリ推進派(05年当初からTPPをガンガン推進していました)


 Baucus is in New Zealand this week as talks continue on the Trans-Pacific Partnership (TPP)- a new free trade agreement that provides the United States with a critical opportunity to break down barriers that have made it difficult to sell Montana products, like beef, in some of the world's most important markets.
TPPにより、これまで世界の中の重要市場(つまり、日本のこと?)での販売が困難だったモンタナ産品、例えば牛肉を売りやすくなる


If Japan joins the talks along with Mexico and Canada, TPP countries would account for 40 percent of the trade of U.S. goods.
アメリカ製品の交易にとって市場が大幅に拡大できることになるので、日本にも参加して欲しい(日本がハードルを下げて入ってきて欲しい。なぜなら、モンタナの牛肉がもっと売れるから:このカッコ内は廣宮の勝手な憶測ですが)


As chairman of the Finance Committee, with sole jurisdiction over international trade, Baucus will be key to getting the negotiated TPP passed through Congress.
(貿易協定を所管する)財政委員会の委員長として、ボーカス議員はTPPの議会承認のカギとなる所存でいらっしゃるようです。


---

次に、日本訪問についての記事(これも抜粋と抄訳):


Baucus Presses Japanese Leader to Open Markets for Montana Beef
ボーカス議員、日本の指導者にモンタナ牛肉の市場を開くよう強く求める

Senator Fights to Lift Restrictions that Hurt Montana Ranchers
上院議員、モンタナ酪農家に損害を与えている規制の撤廃のために戦う

http://www.baucus.senate.gov/?p=press_release&id=1128
August 23, 2012

Montana's senior U.S. Senator Max Baucus met with Japanese Prime Minister Yoshihiko Noda and top minsters in his cabinet today to press Japan to ease restrictions against American beef imports that are hurting Montana ranchers.
マックス・ボーカス モンタナ州上院議員は、日本の野田佳彦首相や彼の内閣の重要閣僚らと本日会談し、日本に、モンタナ酪農家に損害を与えているアメリカ牛肉の輸入規制を緩和することを強く求めた。

"Montana beef is the best in the world, and there is no reason to block Montana ranchers from selling to Japan," Baucus said. "These unfounded restrictions hurt Montana ranching and the jobs that depend on it. Today I took my case for Montana beef straight to the top in Japan, and I won't stop fighting until we get victory for Montana ranchers."
「モンタナ牛は世界一であり、モンタナ酪農家がそれを日本に売ることを邪魔すべき理由は存在しない」とボーカス議員は語った。「これらの根拠無き規制はモンタナの酪農に損害を与え、酪農に依存する雇用に損害を与えている。本日、私はモンタナ牛についての私の主張を直接日本の首脳に届けた。私はモンタナ酪農家の勝利が得られるまで戦うことを止めない。

In 2011, Japan was the third largest market for U.S. beef. But, despite scientific findings by the U.S. Department of Agriculture and the World Organization for Animal Health (OIE) that all American beef is safe, Japan currently only accepts American beef from cattle under 21 months of age.
2011年、日本は米国牛肉にとって世界で3番目に大きな市場だった。しかし、米農務省やWorld Organization for Animal Healthによる、全てのアメリカ牛が安全であるとする科学的根拠があるにもかかわらず、日本は現在アメリカの牛のうち21か月の月齢以下のものしか受け入れていない。


Japan instituted the ban on beef from cattle above 21 months in 2003, causing beef exports to Japan to fall from $1.4 billion in 2003 to $469 million in 2009. Since 2009, beef exports have rebounded, reaching $874 million in 2011. Still, American beef exports to Japan would be significantly higher if Japan were to remove its unscientific restrictions on U.S. beef - something Baucus has long fought for.
日本は2003年に21か月月齢を超える牛を禁止し、それによって2003年に14億ドルだった日本への牛肉輸出を2009年には4.69億ドルに落ち込んだ。2009年以降、牛肉輸出は回復し、2011年に8.74億ドルとなった。日本が米国の牛肉に対するその非科学的な規制を取り消すなら、日本へのアメリカの牛肉輸出品はもっと増えることとなるだろう。ボーカス議員は長い間そのために戦ってきた。

Overall, Japan is the fourth-largest market for U.S. agricultural exports, valued at $11.8 billion in 2010. And Japan remains the largest purchaser of Montana wheat, accounting for over 50 percent of Montana's 116 million exported bushels in 2011. Still Japan's average agricultural import tariff of 15.7 percent is among the world's highest for industrialized countries.
全体として、日本は、2010年に118億ドルを計上した米国の農産物輸出の、4番めに大きい市場である。
また、日本は、2011年にモンタナの小麦輸出、1億1600万ブッシェルの50パーセント以上を占める、モンタナ小麦の最大の購入者である。
日本の平均15.7パーセントとなっている輸入農産物関税は、世界中の工業先進国最としては最高水準である。




これだけTPPバリバリ推進派のボーカス議員ですが、

TPPに大統領貿易促進権限を与える法案には反対票を投じています(上院HP参照)

U.S. Senate Roll Call Votes 112th Congress - 1st Session

Purpose:     To provide trade promotion authority for the Trans-Pacific Partnership Agreement and for other trade agreements.

Baucus (D-MT), Nay


「USTRや大統領がどんなTPPにするか分からんから、
 大統領貿易促進権限は反対だ!
 モンタナの牛肉を売ることのじゃまを取り除くTPPを俺がやるぞ!」



という感じでしょうか。





日本の農家の皆さん、
米国のTPP推進のキーマンの一人であるボーカス上院議員はこのように、
モンタナ農家・酪農家のために戦っている人物であります。




ちなみにボーカス議員は日本の多くのTPP推進派議員の皆さんと違い、バリバリの公共工事推進派です:




・我々には農産物を運ぶ道路や鉄道が必要だ
 We need roads and rail to transport agricultural products
 http://www.baucus.senate.gov/?p=issue&id=56

・私は雇用対策法(Jobs Bill)にインフラやエネルギー関連工事を増やす条項を盛り込んだ
 I included provisions in the Jobs Bill to increase infrastructure and energy-related construction
 http://www.baucus.senate.gov/?p=issue&id=48 

-----

とにかく、

モンタナ牛のためなら何でもするぞー!


という感じです。





ということで、





 TPPもアメリカ牛も食う気せんが、

 ボーカス議員の公共事業推進論には大賛成!


 それ以前に、

 
「外国との…交渉の合意が

  議会によって拒否されたり、

  修正されたりすれば、

  米国政府の対外交渉は信頼を失う」

 ということが普通にあり得る状況で

 
TPP交渉に突っ走っている

 オバマ政権。


 そんな政権を相手に、

 
日本がTPP交渉に参加して

 本当に大丈夫?

 推進派の人、これ、理解してるのかな…?



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