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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
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419:日韓通貨スワップ協定(2) 立場の強いほうが利益を得る取引

2011/10/26 (Wed) 17:05

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魅惑の日韓通貨スワップ協定700億ドルについて。続編です。

まずは、前回のエントリー

日韓通貨スワップ協定(1) 助けられているのはどっち?


について、訂正とお詫びです。

幸いにも根幹の結論までを修正するに至りませんでしたが…


①グラフの単位「10億ドル」☓→「1億ドル」◯

②中国との08年12月から3年間のスワップ協定はドルも含む

③中国との協定のうち、08年12月から3年間の分の桁がずれていた。



ということで、訂正したグラフは以下のようになります。



韓国⇔日米中通貨スワップ協定(訂正)



韓国銀行の米ドルスワップ協定(訂正)



ちなみに、

中国とのリーマン・ショック後の協定のほうはこんな文章です。



This new facility will support the provision of liquidity in amounts of up to 180 billion RMB/38 trillion KRW.

この新しいスワップ協定は、最大で1800億人民元/38兆韓国ウォンの流動性の提供を支えるものとなる。

The two sides have agreed to explore the possibility and extent of converting swap currencies into reserve currencies.

両者(中国人民銀行と韓国銀行)はスワップ通貨を準備通貨と変換する可能性を探ることに同意した。



で、一桁間違えたのは180 billion RMBをうっかり180億にしてドル換算したからでした。

あと、
スワップ通貨を準備通貨と変換する」の準備通貨がドル、ということになると思います。ユーロや円も含まれると思いますが。ただし、「きっちり1800億人民元相当のドル(約25億ドル)」ではなく、あくまでも「可能性を探る explore the possibility」です。




さて、そうなるとリーマン・ショック直後の時期に韓国銀行が確保したドルのスワップ枠は日米中あわせて

650億ドル

ほどでした。

そして、FRBとの協定終了後が日中の合計

350億ドル

です。

そして、中国との協定はそろそろ期限が近づいていたということもあって、先週、日本との枠の拡大協定があった、という文脈ではないかと思います。

中国との協定を延長しない限り、ドルの枠が日本財務省との100億ドルになってしまうので、先に300億ドル拡大して400億ドルにしておいた、ということかと。

そして現在は中国に対しても延長と枠の拡大を打診している模様です。

韓国と中国、通貨スワップ枠の拡大を26日にも発表=政府高官 (ロイター)
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-23812820111026




いずれにしても、実は前回のエントリーで言いたかったのは

日本のほうが立場が強い、ということです。


なぜなら、日本はFRBとの間ですでに10兆円(1000億ドル)のドルの枠を持っているし、1兆ドルの外貨準備があるからです。

そしてこの「日本のほうが立場が強い」ということが今回のタイトル

立場の強いほうが利益を得る取引

につながります。


その話をする前に、通貨スワップ協定の意義について、ニューヨーク連銀が非常に良い資料を公開しているので紹介します。

あ、ちなみに、通貨スワップの実務を担当するのはFRBではなくニューヨーク連銀(FRBNY)です。




The Federal Reserve’s Foreign Exchange Swap Lines

(p.6)
Through direct lending, the Federal Reserve had a channel to reduce funding pressures for U.S. banks. With interbank lending effectively frozen, however, it was unclear if steps to mitigate dollar funding pressures domestically would also ease dollar funding pressures overseas.

FRBは直接融資を通じて、米国の銀行のための資金調達圧力を減らすための経路を持っていた。しかしながら、銀行間貸出が事実上止まってしまっていたため、国内のドルの資金調達圧力を緩和するための手順が、海外のドル資金調達圧力を緩和するかどうかは不明であった。


As a result, the Fed established a system of foreign exchange swap lines with other central banks. This move allowed those central banks to provide lender-of-last-resort liquidity in U.S. dollars without being forced to draw down dollar holdings of foreign exchange reserves or to transact directly in the open market.

その結果、FRBは他の中央銀行との為替スワップラインのシステムを確立した。この動きは米ドル流動性を供給するための「最後の貸し手」として機能し、それらの中央銀行がドル建て外貨準備を取り崩したり、公開市場で直接ドルを調達したりするところまで追い込まれずに済むことになった。




まとめると、

・中央銀行が相手に出来るのは国内金融機関と他国の中央銀行のみ(基本的に)。

・自国の金融機関に流動性を供給するだけでは、国際的な流動性不足に対処できない。

・よって、他国の中央銀行に自国通貨の流動性を供給し、当該国の国内金融機関については、その国の中央銀行に自国通貨の流動性供給を担当してもらう。

通貨スワップ協定の特徴は「
それらの中央銀行がドル建て外貨準備を取り崩したり、公開市場で直接ドルを調達したりするところまで追い込まれずに済む」こと。

という感じになるでしょうか。






さて、

それらの中央銀行がドル建て外貨準備を取り崩したり、公開市場で直接ドルを調達したりする

とどうなるかというと、


金利の急騰

という現象が起こるわけです。



・ドルの外貨準備取り崩し→たとえば、米国債の価格定価=金利上昇

・公開市場で直接ドルを調達→ドル資金の奪い合いによって、さらに金利が上昇


てな具合です。


現実に、このFRBNYの資料によるとリーマン・ショック直後、ヨーロッパで短期金利の急騰が起こっています。




Spread between Foreign Central Banks’ Overnight






欧州中央銀行の翌日物ドルのオークション金利が、FRBの翌日物(Federal Funds Rate)よりも、なんと、800ベーシスポイント=8%も高くなっていたのです。


そして、





(p.6)
Funding pressures then appear to have relaxed during the program’s third phase, starting in mid-October, suggesting that the aggressive expansion of dollar lending by foreign central banks had beneficial effects.

10月半ばに開始した
通貨スワッププログラムの第三段階で資金調達圧力は落ち着きを取り戻したように見える。これは、外国中央銀行によるドルの融資の積極的な拡大が有益な効果を持っていたことを示唆するものである。

The European Central Bank stopped overnight auctions in mid-October after a series of low stop-out rates, while the Swiss National Bank and the Bank of England discontinued the overnight auctions in early November after a series of under subscribed auctions.

欧州中央銀行は、stop-out金利の低い水準が続いた後、10月中旬に翌日物のオークションを中止した。一方、スイス国立銀行とイングランド銀行は一連の入札が札割れしたオークションが続いた後、翌日物のオークションを打ち切った。




ドル資金のオークションというのは、「買い手」が多すぎるので、競売にかけたということです。各中央銀行が貸し出せるドルが徹底的に不足していたわけですね。

それが、FRBNYによる大規模な通貨スワップ協定を通じたドル供給によって、すべてのドル資金を必要とする金融機関に行き渡るだけの十分なドルが用意できたため、競売する必要がなくなったというわけです。




ちなみに、FRBNYはこの通貨スワップ協定で各国の中央銀行にどれだけドルを供給したかというと、




Foreign Exchange Swap Line Amounts Outstanding,



ピーク時でなんと5800億ドル(50兆円)に上ります。






ところで、この通貨スワップ協定というのは、基本的には

中央銀行同士で互いの自国通貨を交換する

ことになります。

但し、外貨準備に余裕があれば外貨も交換の対象にする、ということももちろんあります。


で、

タダで交換に応じるのか?

というとそんなことはありません。





FRBNYとECBの契約書を見てみましょう。

下の文書で、

で囲んでいるところが、ECBがFRBNYに支払うべき金利です。

これが、翌日物レートに100ベーシスポイント(=1%)を上乗せした利率になっています。


そして、




通貨スワップ協定の為替レートと金利





で囲んだ部分を見てみると、なんと!

FRBNYが支払うべき金利は、いかなるスワップ取引のいかなる部分についても存在しない


この通貨スワップ協定について
FRBは金利を受け取るだけで、何も払わなくて良いのです!


ECBの他にも、カナダ、イギリス、日本、スイスについても同様の条件です。


つまり、

FRBがドルを供給するという強い立場なので、

一方的に金利をとれる


ということなのです。


なお、FRBNYと各国中央銀行との契約書は下のリンクで見ることができます。

http://www.newyorkfed.org/markets/liquidity_swap.html



この契約書は画像をPDFにしたものなのですが、なんと、署名のところを黒塗りしている以外、そのままのナマの契約書です。

ここまで情報を公開しているのには驚きを禁じえません。






さて、FRBNYは、貸したドルから金利を取る、借りたユーロや円については金利を払わなくて良い、ということですが、


借りたユーロや円を

そのまま遊ばせておく手は無いですよね?




これはどの資料にも特に記述はないですが、
もちろん、ガッツリ運用しているはずです。


それに、まだ触れていませんでしたが先程の金利の文書の上の部分には、

通貨スワップ(交換)の為替レートは、開始時(スワップ)と終了時(再購入)の為替レートは同じレートとする旨を記載しています。

つまり、為替リスクが存在しない取引なのです。


ということで、FRBは通貨スワップを通じて

為替リスクなし

で、

金利の二重取り(ドル貸出金利と、外貨の運用利回り)

を得るという非常に有利な取引を行うことが出来ているわけです。





日銀は、FRBに対しては「弱い」立場で、金利を一方的に支払う立場ですが、

他の中央銀行に対しては基本的には強い立場(のはず)

です。


残念ながら日韓の協定の契約書は公開されていない(模様)なので、どういう契約内容になっているか詳細は不明ですが、

恐らく、日銀がFRB的な立場と類推できます。

それが前回の考察による結論です。




最後に、日銀の通貨スワップに関連する数字を。


通貨スワップを行うと、

資産側と負債の両方が膨らみます。

そして、その通貨スワップに関連する部分だけの数字は無いのですが、

資金循環統計や、営業毎旬報告財務諸表という資料からある程度の察しは付きます。


通貨スワップの資産が含まれるもの:「外国為替」
(日銀の説明書き:「外国為替」に計上しているのは、外国中央銀行、国際決済銀行等への預け金、外国政府等の発行する国債等、外貨投資信託、外貨金銭の信託および米ドル資金供給オペレーションによる貸付金である。)


通貨スワップの負債が含まれるもの:「その他預金」
日銀の説明書き:「その他預金」とは、外国中央銀行等の預金である。)


通貨スワップの金利収入:「外貨預け金等利息」
(日銀の説明書き:外貨預け金の利息及び外貨貸付金の利息)
 ※費用項目に「預金利息」というものが存在しないので、
   この外貨預け金等利息は純ベースと思われます。





日銀の外貨資産と負債、外貨預金利息





リーマン・ショック直後、

「外国為替」という資産が急速に膨らむのと同時に、「その他預金」という負債が急激に膨らみました。


そして、「外貨預金利息」もそれとともに増減しています。なお、グラフでは半年ごとの数字をプロットしていますが、最大で2008年10月~09年3月の800億円となっており、その前後はほとんどゼロに近い数字です。


ところで、
通貨スワップの規模の推移は「その他預金」の動きだけ見ていれば良さそうです。

というのは、リーマン・ショック前まではほとんどゼロ(正確には200~300億円)。そして危機後になんと12兆円程度にまで膨らんでいます。

そして、その後、危機の後退とともに急速にしぼみました。

ちなみに、
今般の「700億ドル日韓通貨スワップ協定」、日銀と韓国銀行の間では300億ドル(≒2.4兆円)の協定締結の前後においては、「その他預金」

平成23年10月10日    190億円
平成23年10月20日    300億円


です。

2.4兆円の枠があっても、今のところは全く発動していない
ということですね。


ところで、
日銀が通貨スワップで受け取る金利(純)はどれくらいの利率でしょう?


「その他預金」のピーク時の12兆円を、仮にまるごと1年、1%で運用すると、1200億円、半年だと600億円
となります。

ということは、リーマン・ショック後の半年の「800億円」というのは1%を超える、かなり高い金利で貸していたことがうかがい知れます。何せ、日本円の10年物国債の金利が1%なのですから、結構なプレミアム金利です。

このプレミアムな金利のカラクリは恐らく、先程書いたような金利の二重取り、つまり日銀は金利を受け取るだけで金利を支払わず、さらに預かった外貨を運用することによるものと考えられます。

ちなみに、FRBの通貨スワップ契約では基本は期間3ヶ月です。

韓国ウォンの3ヶ月の金利はというと、例えば国債が3.34%となっています。

http://asianbondsonline.adb.org/korea/data/marketwatch.php?code=government_bond_yields

ということは、円を貸すことによる、おそらくは1%程度の金利(FRBと同じような条件であれば、翌日物の金利に1%を上乗せ)と、この韓国国債3.34%を足して、しめて4.3%の金利を頂けることになるのではないかと思われます。


ということで、恐らく、この日韓通貨スワップ協定が発動されると、むしろ日本側が儲かる、ということになりそうです。

あとは、皆さんが気になるのは貸し倒れリスクということになろうかと思います。そのことの検討はまた次回以降に(私は個人的には貸し倒れ、つまり韓国が政府から中央銀行まで徹底的に破綻する、というのはかなり確率は低いと思っています。何せ日銀も第二次世界大戦のあとでも破綻、消滅はしていませんので)。





日韓通貨スワップ協定。

むしろ発動したほうが

日本が儲かるのか!

でも、日銀や財務省は

FRBみたいに一方的に金利を

受け取るだけの契約に

できているのかが

ちょっとだけ心配かも^^;

」 



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さらば、デフレ不況 -日本を救う最良の景気回復論―さらば、デフレ不況 -日本を救う最良の景気回復論―
(2010/03/02)
廣宮 孝信




【↓著者本人による解説】

国家財政やマクロ経済においては常識とは正反対の見方をする必要があります。
本書の目的の第一読者の皆さんにその「正反対の見方」を提供することです。

・「財政黒字は良い」「財政赤字は悪い」。それが一般的な常識的なものの見方でありましょう。

・しかし、実際には
「財政黒字なのに国家破綻」「20年以上財政赤字が続いている国が高度成長を続けている」
ということが世界ではごく普通に起きているのです。

・そして、本書の目的の第二
本当に怖いのは財政破綻ではなく、モノの供給が途絶えてしまう「物流上の破綻」であることを明示することです。

・なぜならおカネというものは印刷や帳簿上の処理で幾らでも創れますが、
国民生活、国民の生存のために必要な食料やエネルギー資源などは、
おカネと違って幾らでも創れるものではないからです。

本書の最大の特徴は、一般の「経済学」では取り扱われることのないこの「物流上の破綻」に焦点を当ている点です。

・この本当に恐るべき「破綻」が起こらないようにするにはどうしたら良いか、
つまり将来において供給不足が起こらないようにするにはどうしたら良いか
そして、それを踏まえた上で、現在の需要不足にどう対応すべきか
この問題の解決策に関して年金問題をも絡めての具体的な提言を行っていることも、
本書についての類書との際立った特異点でありましょう。



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417:日韓通貨スワップ協定(1) 助けられているのはどっち?

2011/10/23 (Sun) 17:42

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今回はコメント欄でご要望のあった魅惑の日韓通貨スワップ協定700億ドルについて。

この通貨スワップ協定というのはなかなか複雑な話なので複数回に分けたいと思います。

日本にとって損か得かというと、端的には恐らく損にはならないと考えられるのですが、それはまた次回以降にて。

今回は、「これは実際のところ、どっちがどっちを助けているのか」についてデータに基づいて検討してみたいと思います。


googleでニュース検索してみると、

日本のマスコミは「ウォン急落を受けて」(日経、毎日)

韓国のマスコミはサラっと事実だけ報道(中央日報、朝鮮日報、東亜日報)

ブルームバーグサラっとしていますが、

 ロイター
  • 「このところ、韓国から投資資金を引き揚げる動きが強まりウォンが急落韓国内では中堅・中小企業などで外貨の調達難が生じ、日韓貿易にも間接的に影響が出始めている。」
  と報じています。


マスコミ報道は、
ざっくり言うとそんなところです。




ところで、一口に「700億ドルの通貨スワップ協定」といっても、正確には全部ドル資金の融通という意味ではありません。

3つのパートに別れます。


(1)日銀⇔韓国銀行 300億ドル相当の円-ウォン スワップ協定 

これは前にも200億ドル相当の円-ウォン スワップ協定があったので、今回の目玉とは言えません。

次に、前からあるチェンマイ・イニシアチブに基づく米ドルの融通協定
(2)日本財務省→韓国銀行 100億ドル (米ドル⇔ウォン)
  韓国銀行→日本財務省 50億ドル (米ドル⇔円)
 
  
そして、次が今回の目玉、本命と言えます。
(3)日本財務省と韓国銀行の間で300億ドルの米ドルのスワップ協定を追加設定

実は、この(3)の日本財務省と韓国銀行の300億ドル(米ドル)がです。

(2)の米ドルの協定については日本側が融通すべきドルのほうが大きくなっています。

ある種の片務契約です。

そして現在、日銀は米FRBとの間に10兆円(ということは、ざっくり1000億ドル)のドル-円スワップ協定を結んでいますが、

米韓の間には現在、通貨スワップ協定がありません。



これを調べるのにかなり苦労しましたが、

韓国銀行のホームページ

で、

swap Federal Reserve

で検索したところ、

2008年10月30日に300億ドルの米韓通貨スワップ協定が成立し、 
何度か延長されたのち
2010年2月1日をもって終了しています。


しかし、日銀

2009年4月6日以降、
イングランド銀行、欧州中央銀行、スイス国民銀行
と共に、FRBと通貨スワップ協定(米ドル)を継続しています。

なお、日銀の枠が先ほども書きましたように10兆円(ざっくり1000億ドル)

日銀とFRBの協定については、
↓の「ニューヨーク連邦準備銀行との為替スワップ取極」参照。
http://www.boj.or.jp/intl_finance/cooperate/index.htm/


日、英、欧、スイスのメジャーグループと違い
韓国第二グループというべきほうに属しています。

オーストラリアも「第二グループ」に属しており、韓国と同じ2010年2月1日をもって「必要性がなくなった」ということでFRBとの協定を終了しています。

http://www.rba.gov.au/media-releases/2010/mr-10-01.html


ちょっと色々書いてしまいましたが、要は

日本はアメリカと1000億ドルの枠のドル調達の合意をしているので、
わざわざ韓国に300億ドルの枠を用意してもらう必要がない


のです。それどころか日本の財務省は1兆ドルを超えるドル資産を持っている(はず)のですから。
300億ドルなんて1年間に受け取る利息程度微々たる金額じゃないですか。まあ、最近はそこまで利回りよくないか。


逆に、韓国はアメリカとのあいだで通貨スワップ協定のない状態なので、
日本からいつでも緊急に必要なときにドル資金を融通してもらう協定が必要だった。


そう見るべきでしょう。

上で紹介した各国マスコミの報道ではここまでは突っ込んでいなかったですね。



産経
2011.10.19 12:59 では

日韓の銀行がドル資金などの外貨を調達できなくなる事態を予防するのが狙い」

と報じていますが、「日韓」ではなく

韓国の銀行がドル資金などの外貨を調達できなくなる事態を予防するのが狙い

と書くのが正確と言えそうです。





さて、韓国が他国と結んでいる主たる通貨スワップ協定について時系列でまとめてみたのが下のグラフです。

「主たる」というのは要するに日、米、中の3ヶ国という意味ですが。


※訂正 単位は1億ドルです
韓国⇔日米中通貨スワップ協定



リーマン・ショックの直後は主に日米が中心で、

両国合わせて600億ドル相当の通貨スワップ協定となっています。


それが今回のは、韓国銀行はFRBとの協定がないので、

リーマン・ショック直後並みの規模のスワップ協定、
というか、
いざというときの韓国に対する短期の外貨資金融通枠を


日本単独で担っている
、というのがよく分かります。






次に、米ドルの協定に絞ってみましょう。



※訂正 単位は1億ドルです
韓国銀行の米ドルスワップ協定

以上のグラフ2つは、
韓国銀行
日本銀行
日本財務省
のホームページ資料を総括して筆者が作成(正直、かなり手間取りました)。


※訂正 グラフの単位は1億ドルです
(英語のbillionに慣れてしまい、ついつい10億ドルと。数字はbillionの数字を10倍していたのですが…。内緒コメント、ありがとうございましたm(_ _)m)



リーマン・ショック直後のドル資金融通枠は、日米合わせて400億ドル

そして、

今回は日本単独によるドル資金融通枠が400億ドル

ということになります。


なお、この日韓通貨スワップが日本にとって得か損かという話と、そもそも通貨スワップ協定の意義は何なのか、という話はまた次回以降にて。




『韓国経済は素晴らしい!

日本はダメ。もっと韓国を見習え!』

というのが正しいのなら、

何で韓国は日本から

ほぼ一方的な資金繰り支援を受けることに

なるのかしらん

」 



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さらば、デフレ不況 -日本を救う最良の景気回復論―さらば、デフレ不況 -日本を救う最良の景気回復論―
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廣宮 孝信




【↓著者本人による解説】

国家財政やマクロ経済においては常識とは正反対の見方をする必要があります。
本書の目的の第一読者の皆さんにその「正反対の見方」を提供することです。

・「財政黒字は良い」「財政赤字は悪い」。それが一般的な常識的なものの見方でありましょう。

・しかし、実際には
「財政黒字なのに国家破綻」「20年以上財政赤字が続いている国が高度成長を続けている」
ということが世界ではごく普通に起きているのです。

・そして、本書の目的の第二
本当に怖いのは財政破綻ではなく、モノの供給が途絶えてしまう「物流上の破綻」であることを明示することです。

・なぜならおカネというものは印刷や帳簿上の処理で幾らでも創れますが、
国民生活、国民の生存のために必要な食料やエネルギー資源などは、
おカネと違って幾らでも創れるものではないからです。

本書の最大の特徴は、一般の「経済学」では取り扱われることのないこの「物流上の破綻」に焦点を当ている点です。

・この本当に恐るべき「破綻」が起こらないようにするにはどうしたら良いか、
つまり将来において供給不足が起こらないようにするにはどうしたら良いか
そして、それを踏まえた上で、現在の需要不足にどう対応すべきか
この問題の解決策に関して年金問題をも絡めての具体的な提言を行っていることも、
本書についての類書との際立った特異点でありましょう。



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