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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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292:積極財政派VS上げ潮派②「消費税と麻生首相」

2009/02/02 (Mon) 23:18
(前回http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/9646400.html
からの続きです)

② 麻生さんは積極財政派か?それとも財政規律派か?-「消費税」と麻生さん

 麻生さんはあくまでも少数派閥の領袖で、麻生内閣は与謝野さんら財政規律派の皆さんに支えられています(積極財政派と財政規律派が組んで、上げ潮派を内閣から締め出した、という構図です)。

 財政規律派にそっぽを向かれては、支持率も極端に低い状況で首相としては決して生きていけません(というのは私の想像ですが)。

 それと、民主党との違いを打ち出したいという思惑「民主党は財源がない、無責任だ」というような論法)も絡んでいるので、消費税アップの話を積極的に打ち出さざるを得ないという政治力学が働いていると思われます。

しかし、

麻生さんの消費税アップは、あくまでも景気が良くなっていれば、という条件付きです。

ここがミソです!

景気が良くなってからの増税であれば、借金が増えるのが先行する話になります。これは、実は「国債を刷れ!」p.205に書きましたスウェーデンと同じパターンです。

以下、関連する麻生さん語録です:
俺は政調会長のときから市場経済原理主義者や財政再建原理主義者らと戦ってきたと思っている
http://www.aso-taro.jp/lecture/talk/070928.html 07年9月28日)
先に幹事長をお受けした際にも福田首相に『景気対策を実施して頂きたい』と申し上げましたが…景気対策というと、すぐに「バラマキ」等々、ワンパターンの批判が出ます。…
…経費節減だけで財政再建が果たせるわけではありません。
…景気を伸ばし経済のパイを大きくしつつ、かつ財政再建をやるというのが常道…
http://www.aso-taro.jp/lecture/talk/080912.html 08年8月30日)
→市場経済原理主義者=上げ潮派。それに、「景気対策」重視。
 つまり、麻生さんはやはり積極財政派と言えます。
確かに橋本政権が消費税を上げ、景気が一気に悪化した。
あのとき、大蔵省は9兆円の税収増をもくろんでいたが、景気が落ち込み税収は前年度比マイナス4兆円となり、結果として13兆円も読み間違った。
当時の経済成長率は4%ぐらいだったが、『まだ早い』と反対したのが小泉純一郎、亀井静香、麻生太郎だった。その後、日本は再び不況になったが、どのぐらいの税収を失ったかを考えると、大蔵省(現財務省)の責任は極めて重い」(http://www.aso-taro.jp/lecture/talk/080125.html)08年1月25日
→1年前の夕刊フジのインタビューです。
 4%程度の成長なら消費税増税は「まだ早い」という主張です
 (ただし、橋本内閣のときの成長率は名目でも実質でも2~3%です)。

この主張に沿えば、麻生さんは3年後に消費税を上げるつもりはサラサラなさそう、

と読むこともできます。

なお、小泉さん(上げ潮派)、亀井さん(積極財政派)とそろって増税反対、と言っていたというのが面白いところです。

このときは意見を同じくしていたのが、その後、郵政解散で、小泉さんは刺客を送るなどして、亀井さんたち積極財政派を大量に自民党から追い出しました。

 ちなみに、その追い出される形になった亀井さんたち積極財政派が結成したのが国民新党です。

最後に。
ここまで、麻生さんをかなり褒めちぎっているような形になってしまいましたが、一つだけケチを付けさせていただきます。

野党の積極財政路線と麻生さんの積極財政路線、基本的には違いはありません。

つまり、
野党の経済政策を「財源がない」なんて批判して、不必要に野党を敵に回すのは政治的に正しいやりかたとは決して言えない
と思うのです。

消費税率引き上げは、あくまでも経済が成長軌道に乗った後に行いたいと考えています。妊婦たらい回し事件や、相次ぐ公立病院の閉鎖といった「医療崩壊」は今、現実に起こっているのです。現状の医療や介護をとりまく状況には、国民の皆さんは決して安心・満足しておられないのではないでしょうか?スウェーデンの高福祉・高負担までは行かなくても、中福祉・中負担を目指す必要があると思うのです。そのスウェーデンが高福祉国家になるまでには政府支出の増加、借金増加が先に起こり、財政再建は後回しになっていました。日本もその道筋を行くべきだと思うし、日本にはそれをやるための力が間違いなくあります。皆さん、福祉水準の向上ということに反対はないのではないでしょうか?そのための基本部分については政党の枠組みを超えて、なにとぞ協力して頂きたい。


↑このような形で、世論を納得させ、さらには野党を「取り込む」ような、対立を乗り越えて国民を豊かにしようという姿勢を是非とも打ち出して頂きたいものです。

少なくとも、この国がどうあるべきかについて、もっと言葉を尽くして考えの異なる人々を説得する努力をして頂きたいと思うのです。

麻生さん、漢字は読めなくても経済は結構読めてるかも!?と思われた方は、↓こちらのリンクのクリックを
  http://blog.with2.net/in.php?751771
  #ブログランキングに参加しました。ご協力、ありがとうございます!

【「国債を刷れ!」補足集】の一覧はこちらをクリック

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293:積極財政派VS上げ潮派①「埋蔵金」

2009/02/02 (Mon) 22:27
「国債を刷れ!」第4章の冒頭(p.189)で
今回のタイトルの内容について書いたのですが、

編集者さんから次のような疑問を投げかけられました:
本文で、自民党内を財政積極派上げ潮派(構造改革派)財政規律派(増税派)に分けて論じています。
財政積極派が経済対策の財源に「霞ヶ関埋蔵金」を使ってというような記述がありますが、

「霞ヶ関埋蔵金」を言い出したのは、上げ潮派(構造改革派)の首領、中川秀直氏です。
さらに、
財政積極派の代表である麻生首相が、
財政の財源に消費税引き上げを明記を宣言して、まるで増税派のようです。

誰が、どの派とは言えない状況になっていませんか?

「誰がどれやねん」というツッコミです。
ということで、上記のツッコミについてお答えしてみたいと思います↓

まず、
今回は①「上げ潮派」と「埋蔵金」について。次回は②麻生さんと消費税について書きます


① 「上げ潮派(構造改革派)」と「埋蔵金」について

中川さんに「埋蔵金」の耳打ちをしたのは「上げ潮派」の理論的支柱である高橋洋一さんとされています。

(高橋さんは【霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」】というタイトルの本を出しています)。

その高橋さんは著書「日本は財政危機ではない!」の冒頭(p.19)で、
景気対策に財政出動(積極財政)は金利高→通貨高→輸出減で効果がキャンセルされるので無意味。
これが世界の常識

のように書いています。

 もちろん、「国債を刷れ!」p.211~p.214の図表66~図表68や、本ブログ「財政拡大とマンデル・フレミング理論」で指摘しましたように、本当は世界の非常識です!
 
 さて、その高橋さんの「財政危機ではない!」では
政府の資産は約七〇〇兆円もあり、純債務(筆者注:純債務=借金-資産)は約三〇〇兆円だ。純債務の対GDP比は、六〇%。決して低いとはいえないが、適切な経済政策を実施し、経済成長を促がせば、管理できない数字ではない。
と書かれています。

平たく言えば、

「埋蔵金など、政府には膨大な資産があるから、いまのところ財政危機ではない」

ということになります。
私の「国債を刷れ!」では、
「そもそも悪性インフレになる心配のない状況では、国の借金を気にすることこそ諸悪の根源」としていますので、
「今のところは、まだ大丈夫」とする高橋さんとはスタンスがかなり違っています

財政危機でないのなら、政府が支出を増やす積極財政をやればええやないか

ということになるのですが、なぜか積極財政は否定しているという、けったいな主張をしているのが上げ潮派、というわけです。

小泉政権の中枢にいた竹中さん、安倍政権の中枢にいた高橋さんら上げ潮派は、政府の支出を増やさないで、どんどん減らしていきました。

ところが、

上げ潮派の皆さんも、非常時だけは、埋蔵金を使って積極財政をしても良いらしいです。
高橋さんは「財政危機ではない!」p.282で、
上げ潮派は、オールド・ケインジアン(※1)、財政重視主義者と違って金融政策を重視しており、金融緩和と埋蔵金活用の財政政策で、財政再建を達成しつつ、景気対策ができる
と書いています(※1 オールド・ケインジアンとは積極財政派のこと。「財政危機ではない!」p.279で「誰がどうとはいわないが」と断っていますが、明らかに麻生さんのことを指しています。)。

つまり、一冊の同じ本の中で次のように書いてあるわけです:
「積極財政が効かないというのが世界の常識」
麻生さんら積極財政派が積極財政をやると失敗するけれど、
上げ潮派が積極財政をやると成功する
ものすごい矛盾です。

麻生さんが積極財政をやってるときに、
同時に日銀がしっかり資金供給をして金利が上がらないように「金融緩和」をすれば良いだけ
の話です。

それに、
日銀はすでに利下げなど金融緩和を実施中です。
上げ潮派の積極財政だけが成功するなんでことはあり得ません。

 竹中さん「経済危機のときは成田空港の拡張工事など、将来必要な投資をするんです」のようなことを最近はよくテレビでおっしゃっています。

でも、
竹中さんも高橋さん同様
ずっと公共投資(積極財政)→金利高→通貨高で無意味と言ってきたので、
竹中さんの理論からすると、非常時でもやはり積極財政は無意味なんじゃないの?
思わず突っ込みを入れたくなる
のですが…

なお、前回(http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/9335324.html)書きましたように、

与党、つまり、「オールド・ケインジアン」の麻生さんの景気対策
 財政投融資特別会計の金利変動準備金の活用等
で、「埋蔵金」の活用です。

民主党も、「外為特会の毎年の利益相当額など」。



で、
実は景気対策に関しては、与野党ともみんな
「埋蔵金を活用した積極財政」
という点では共通しているのです!

ところで、
埋蔵金を使うということは、政府保有の資産を取り崩すということです。

ということは、

政府の純債務は増える方向です。
(純債務は借金から資産を差引いたものですから、借金が増えなくても資産が減れば、純債務は増えます)

高橋さんは、
「純債務はまだそんなに大きくない。だから、日本はまだ財政危機ではない」

のような主張をしているにもかかわらず、
埋蔵金の取り崩し、つまり、純債務の増加があっても良いと言っているのです。

純債務が増加すれば、財政危機になっちゃうんじゃないの?
とこれまた、ものすごく突っ込みを入れたくなります。

こんな言い方をすると、きつ過ぎるかもしれないですが…、
はっきり言って、高橋さんの主張は支離滅裂です。

それでも、高橋さんの
金融緩和と財政出動を同時に行えば良いとする結論については、
まったく諸手を挙げて賛成なのですが^^

国債を増発して借金が増えることは、純債務が増えるということですので、

埋蔵金を使うのと国債を増発することとでは本質的には全く同じことです。

とりあえず、考え方が合わない部分はひとまず置いて、派閥とか政治信条とか、与党とか野党とか、そんなこと関係なく、お互いに対立を乗り越える工夫をこらすことに集中して、さっさと景気対策を実行せんかい!

と言いたいところでありますね…。
次回②「麻生さんと消費税」(http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/9651482.html)に続く

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