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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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177:米政府破綻はあるか?【2】

2009/05/31 (Sun) 11:54


米国債物語


前回取り上げた日経記事(09年5月28日夕刊 3面)では
この日は10年物や30年物などに大口の売りが相次いだ
ということも書いてあったのですが、

一方で、
5年物国債の入札応札倍率が2.32倍に達する好調な内容だった。
とも書いてありました。

つまり、
長期の国債は値下がり(=金利上昇)であったが、
短期の国債は堅調であったというわけです。

以前、
【国債、「逆未達」】
http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/14287420.html

というタイトルの本ブログの記事で、

日本
長期国債(10年物)の入札が未達(売れ残り)があったが、
ほぼ同時期に、
短期国債の日銀買いオペの未達(日銀が買いたいと思う分だけ買えなかった)があった、

という内容を書きました。


つまり、
金融機関など機関投資家は、

長期国債は要らんから買わない
けれど、
短期国債は必要だから売らない

という行動をするものなのです。



長期国債の場合、
一旦買ってしまうと、長期にわたって小さな収益率しか得られないことがほぼ確定してしまいますので、

金利の安い長期国債というのは、基本的には買い手が付きにくい

のです。

上記、未達が起こったときの10年物国債の金利は1.2%でしかありませんでした。



さて、
話を米国に戻します。

直近の、
米国債(30年物と6ヶ月物)、6ヶ月もの譲渡性預金(CD)の金利の推移です。



出典:FRB


とりあえず、
30年もの米国債と、CD(6ヶ月物)を比べてみましょう。

CDとは、譲渡性預金のことですが、

これは、売買可能な定期預金のことです。

要するに、民間銀行が発行する債券のようなものです。


CDは民間銀行発行の債券だけあって、

リーマン・ショック後、金利がズドンと跳ね上がっています。

このときはちょうど、民間金融機関同士で相互不信、疑心暗鬼になっていた時期です。


そりゃ、金利も跳ね上がります。


で、そのCD金利がドカンと上がっている時期

30年もの国債の金利は安定推移しています。


このとき、
市場の関心
が、

「米国の長期的な財政悪化」
にはなく、

「民間金融機関の信用不安」
にあった

ということが、如実に伺えます。



そしてその後、

FRBや政府の積極介入により、民間金融機関の信用不安がとりあえず落ち着きました。

すると、

CD(6ヶ月)の金利は見る見るうちに下がりまくり、

あっというまに、30年もの国債を遥かに下回る水準になりました。


市場のテーマが、

「民間金融機関がかなりヤバいんじゃないの?」

から、

「米政府の長期的な財政、かなりヤバいんじゃないの?」

変わってきたわけです。

それで、30年もの国債の金利が跳ね上がっています。



もはやお気づきだと思いますが、

債券の金利も、結局は株と同じで、
美人投票
なのです。

そのときどきで、何が話題になるかによって、債券の種類によって人気が上がったり下がったりするわけです。


次に、
CD(6ヶ月)と国債(6ヶ月)を見てみましょう。

同じ期間なら、国債(6ヶ月)の方が遥かに金利は低くなっています。

たった、0.3%の金利です。


つまり、
米政府は短期国債なら、ほぼタダ同然で資金調達できる状態になっています。


また、
30年物国債の金利が急速に上がり、
6ヶ月物国債の金利は逆に下がり続けているという、
非常にけったいなことにもなっています。

「政府の財政は長期的にはヤバいような気がするけど、短期的にはぜんぜん大丈夫ですね」

となっていることになります。

このようにして、資金が長期から短期にシフトしているわけです。



これから、
もしかしたら、30年もの国債の「未達」が起こることもあるかも知れません。

その時は短期国債の金利水準や、民間債券の金利水準もしっかり見ておく必要があります。



米国債への投資に関心のある機関投資家の皆さんにとっては、

市場が必要以上に騒ぐことで、30年債など長期米国債が急落(つまり、金利上昇)した場合、

またとない絶好の投資機会
アタック・チャ~ンス

児玉清浴衣姿でアタックチャンス

なり得るでしょう。


しかし、

よくよく考えますと、
こんな市場の「美人投票」、「はやり、すたり」
実体経済が振り回されるのは、
正直なところバカバカしい気もしますが、

残念ながら、今のところ現実は上記のような状況です。

日本の金融機関の皆様には、
一時の「はやり、すたり」に惑わされず、

長期的に利益を確保し、
しっかり法人税を日本政府に納め、もって国家に貢献いていただきたい
というところですね…


ということで、
過去30年の長期的傾向も見ておきましょう



出典:FRB

30年もの国債は、第2次石油危機のときはなんと、15%もありました。

このときに30年もの国債を買っていた人は、長期にわたりウハウハだったことでしょう。

そして、
30年もの国債も、6ヶ月ものの国債やCDも、長期的には非常に低い金利水準となっていることが、上のグラフからは伺い知ることができます。

特に短期の国債(6ヶ月もの)の金利は、地を這うような低さになっていますね。



最後に、

米国であれ、日本であれ、

長期の国債を発行するときは、

「未達」いつでも起こりえます。

日本では7年前に10年物国債、英国では今年に入って40年物国債で未達が起こりました。

財政当局は、
よくよく市場の空気を読まないと、未達を起こして市場にいらざる不安を生じ、余計な混乱生みかねないですので、

国債というものは、

いまは短期が人気か、長期が人気か、というのをしっかり把握しながら、
計画的に発行することが肝要と言えます。


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178:米政府破綻はあるか?【1】

2009/05/30 (Sat) 14:21
http://x6.cho-chin.com/bin/ll?081850800
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Q. 米政府破綻はあるか?


A. ないでしょう。ただし、当面、米ドル安が進行する可能性は高いかも



以上で終わってしまうとミもフタもないですので、↓解説します


日経新聞 09年5月28日夕刊 3面
米債券市場では27日

長期国債への大口の売りが相次ぎ、

需給悪化への懸念が強まった。



10年物国債利回りは直近4営業日で一気に0.53%上昇価格は下落)した。



FRBが国債買い切りを決める直前の水準(3月17日)を大きく上回っている。



米国債の大口の保有者である
中国「本格的に売りに動いている」との憶測も流れ、
一部の機関投資家が材料をはやす場面もあった。

この記事を読むと、

アメリカ、かなりヤバーい?

と思ってしまいますが…

以下、

中国政府が米国債を売ると、米国は財政破綻するか?


というテーマについて考えて見ましょう。


さて、
中国政府が米国債を買うということは、

これは、
基本的には人民元を安く維持して輸出を確保するために
為替介入
するというプロセスと考えてよいでしょう(たぶん)。





上の図では、

中国の輸出品餃子としていますが、
もちろんこれは、極めて安全な餃子という前提です(笑)。


餃子屋さんが、餃子の代金としてドルを手に入れ

それを銀行Aで人民元に両替してもらいます。

(なお、餃子屋は、人民元を銀行B預金)。

そして、
中国政府は、
国債(人民元建て)を発行し、
銀行Aにあるドルと両替することで、元安に持っていくための為替介入をします。

(ここで、中央銀行である人民銀行に国債を引受けさせてそれを原資に為替介入という手もありますが、ここではそれは置きます


さて、
中国政府は、為替介入で手に入れたドルを遊ばせていても仕方がないので、
基本的には、元本保証されている米国債を買うことになります。

別の物に投資する場合もあり得ます。
 例えば中国政府は投信運用会社であるブラックロックに出資ということを
 していたと記憶しています。

 しかし、
 その場合でも中国政府保有のドル預金は当然、投資先に回り
 結局は巡り巡って他の誰かの預金になりますので、
それがどこかで米国債の購入に当てられるはずです。)


以上、中国政府が為替介入した場合でした。


次に、
為替介入しないケース
を考えましょう。




為替介入なしのケースでは、

中国政府がドルを買い上げることがありません。


ということで、
銀行Aは、手に入れたドルを何らかの形で運用することになります。

手堅く運用しようとなると、やはり、米国債となるでしょう。


仮に、
米国債が安くなって、金利が高くなっていれば、悪くない投資先になりますので。

もちろん、
もしかしたら他の投資先に投資するかも知れませんが、

その場合でも、
上記の中国政府が米国債以外のものに投資した場合同じです。

米国債以外に投資したからといって、
米ドルの預金がどこか4次元空間にワープするわけではないですので、

結局は、金利の水準次第誰かがどこかで米国債を買うでしょう。


ただし、
相いも変わらず中国が一方的に貿易黒字であり続け、
かつ、
中国政府が為替介入しなければ

当面は元高ドル安の傾向が続くことになります。

しかしながら、
米国の内需が期待できず、つまり、米国向けの輸出が期待できなければ

中国は内需拡大する必要が高まり、財政出動を拡大せざるを得なくなります

その場合、
米国の輸入が減り
中国では、国内需要の増加とともに、やはり輸入が多くなるので、

米国の経常赤字の減少&中国の経常黒字の減少

というプロセスを経て、
元高ドル安もどこかの水準でバランスすることになります。


以上から、

中国政府が為替介入を止め、米国債購入を止めたとすれば、当面は元高ドル安が進行する

ただし、

中国政府が米国債を買おうが売ろうが、米国が財政破綻するということにはならない。


ということになります。

以上は理論的な話でしたが、明日

米国債そのものについて、データに基づいた考察を深めておきたい

と思います。

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179:実は…

2009/05/27 (Wed) 17:28
http://x6.cho-chin.com/bin/ll?081850800
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麻生政権の補正予算

↓こんなことにもおカネを回すことになっていました:



小学校から高校まで公立学校に耐震工事を行い、

太陽光発電パネルを設置、IT(情報技術)環境も整える
「スクール・ニューディール」政策

これまでなかなか予算がつかなかった学校現場で需要が急膨張し、まさにバブルの様相を呈し始めている。



(学校の)IT化対策はパソコンやデジタルテレビの購入だけで終わらない

LANを構築すれば、校内に回線を引く大がかりな工事が必要になる。

これまでは建物の耐震化対策などで予算を確保するのが困難だった。

しかし今回の対策では、校舎の耐震化とLAN構築がセットとなって予算がつく見通しだ。


実はこの公立学校のIT化

文部科学省が2009年度の本予算で約70億円の計上を財務省に要請したものだった。

ところが、

結果は「ゼロ査定」、1円も予算がつかなかった

それが今回の危機対策に伴う補正予算では、一挙に2067億円にも上る。

「これまでに見たこともない数字。
 これでようやく、米国や韓国など学校のIT化が進んだ国と同じ程度の設備
 を揃えられる」と、

文科省生涯学習政策局の出口寿久・参事官補佐は顔をほころばせる。

以上、

日経ビジネス2009.5.18

「史上最大!経済危機対策の出口 政府マネー『15兆円』をつかめ」
から当該部分を抜粋でした。

なんと、

公立学校の耐震工事にしっかり予算が付く見通し

なのです!!!

素晴らしい!


ちなみに、この
日経ビジネス2009.5.18
は、

巻頭

(国と地方の借金が)いくらあっても国が破綻するわけではありません。

と、元経済企画庁の金森さんが語っていたのと同じ号です。


以前は、日経ビジネスも

コーゾーカイカク教のお経ばかりだったのですが、

最近は、読んでいても精神衛生上、大変好ましく感じられる記事が多くなってきています^^。


もっとも、

構造改革の全てがダメということではなく、

ただただ、何らの意味もない財政再建のための歳出削減
なぜかセットメニューになっていた構造改革間違い

というのが私の見解です。


ところで、この「15兆円」特集記事では、

職業訓練や、公務員の短期雇用増加の補正予算(「雇用対策 1.9兆円」)

についても触れています。

一定の効果を認めつつも…

「長期雇用」にはなお時間

北上市では、
エンジンなどの設計を
3次元CADで行える技術者養成の講座
高等職業訓練校などで開いた。

だが、こうした政策が効果を上げるカギは「時間をかけた準備にある」
と講座を担当する三浦氏は言う。

国の教育資金がついても、
 実戦ですぐ使える技術やノウハウ指導できる技術者がいないと、
 結局使えない技術を覚えるだけ。
 それでは、企業は採用してくれない。」(三浦氏)。

三浦氏自身、大手半導体製造メーカーで、
CADを使った半導体製造装置の開発を担当してきた経験を持つ。
そんな実戦の経験者を指導者に置く準備から始めることが重要だと言う。

職業教育訓練などへの危機対策予算は7416億円
スクール・ニューディールと同様、突然膨れ上がった。

全国でその資金を生かし切れる態勢ができるかが今後の焦点になる。

のような批判もしています。

しかし、
このような批判は、
せっかくの補正予算がその価値をいかんなく発揮するためにはどうあるべきか
という現実的、かつ、建設的な批判であり、

非常に好ましい種類の批判と感じました。

ジャーナリズムはこうあるべきではなかろうかと、こころひそかに感動する今日この頃であります。


ただ、昨日の記事のクルーグマン博士のように、
今般の危機的な状況の中では、

「あらゆるボタンを押してみることが大切」=「とにかくもっとバラまけ!!」

ということもまた必要だとも思います。


もし、万が一、財政出動のうちのいくらかが「無駄」に終わったとしてもです。

よく「ドブに捨てたようなもの」という表現が使われることはありますが、

この「ドブに捨てる」というのは正確な表現とはいえないでしょう。


なぜなら、

政府からの支出だからと言って、

もらった人々がみな
自分がもらったおカネを全て、
H2ロケットにくくりつけて大気圏外に打ち上げでもしない限り、

そのおカネが地球上から消えてなくなるわけではないからです。


え?宇宙空間まで行かなくても、タンス預金になれば無意味?

その場合でも、そのお金は悪性インフレを引き起こす原因とはなりませんので、
別に悪影響はありません。
どうせ使われないのですから。

また、
世の中にはタンス預金が大好きな人もいれば、そうでない人も着実にいます。


データから計算してみたところ、

いっぱい貯め込んでいそうな年収1200万円以上の高収入な世帯のうちでも、
4.4%の世帯は「貯蓄非保有」、つまり、貯金ゼロです。

世の中には着実に「宵越しの銭は持たねえ」タイプの人がいるわけです。

また、
それまで失業していた人が、補正予算の影響で短期であっても職にありついたとした場合に、
もらった給料を全て貯め込むということも中々なかろうかと思います。
(というよりは、まず、あり得ないでしょう)


よって、

政府による「バラマキ」が、全てタンス預金になるということはあり得ず、

何かしらかの経済効果があるのは間違いありません。


もちろん、

どんな場合でもおカネはできるだけ、可能な限り、将来につながるような有効な使われかたがされるべきですが!



いや、それにしましても…

「学校の耐震工事」や「雇用対策で公務員を増やす or 民間企業に雇用の助成金を出す」
といったことは、「国債を刷れ!」の中でも提案していました。


他にも、「国債を刷れ!」では、

「将来のための教育、技術、エネルギー的独立のための投資」、「社会保障費の増額」
提案していました。

教育→とりあえず「学校のIT化」予算

技術→エコカーや省エネ家電買い替え促進予算、研究開発費減税措置などで、
   企業の技術投資を促進

エネルギー的独立→太陽電池普及促進

社会保障費の増額→毎年2200億円抑制の見直し発言(与謝野大臣)

といった具合に、かなりの部分は実際に麻生政権がやって下さっています。

ありがとうございます、麻生総理!


私からの建設的批判:「景気対策、もう15兆円上乗せしましょう」
(↑これは、麻生さんよりは、与謝野さん向けかも知れませんが…)

「少なくとも、学校の耐震工事予算についてまで『麻生は選挙対策でバラマキをしてる、ケシカラン』とおっしゃる方は、右を向いても左を向いても、さすがに、いらっしゃらないですよね…」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m

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180:与謝野 VS クルーグマン対談

2009/05/26 (Tue) 11:44
http://x6.cho-chin.com/bin/ll?081850800
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アメリカも日本も、

もっと大規模な財政出動を、もっと早くやらんかい

信条

ポール・クルーグマン博士と、与謝野財務大臣の対談

が一昨日(5月24日)のフジテレビ「新報道2001」でありました。

その日は10時くらいまで寝てたので、私は残念ながら見逃していましたが、

↓「神州の泉」さんのブログで、その様子が詳細に紹介されています。
 (aikoku3000さん、ご紹介ありがとうございます!)
  
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2009/05/post-0743.html

なお、上記リンク記事では、
「国債を刷れ!」でも引用させていただきました「お金がなければ刷りなさい」の小野盛司さんが、カッコ書きにてコメントされています。

その小野さんのコメントが面白いので、ご興味のある方は是非上記リンクで全文お読み頂きたいと思いますが、

以下、
私のほうでポイントだけ紹介させて頂きますと:

・与謝野さんは、今回の補正予算を作る前に、クルーグマン博士の本
  (たぶん、これですね→「世界大不況からの脱出」
  http://ec2.images-amazon.com/images/I/41MtdZl5HjL._SL500_SS75_.jpg
 を読んでいて(しかも発売前に原文で)、かなり参考にしたそうです。
 
 ひとことで言うと、「金融と需要を作り出すこと」という政策です。

あと、
・対談における大臣と博士の語録を抜粋をば:
与謝野:

 今回の財政出動は大胆すぎると我々は批判を受けています。'

 どうせお金を使うのだったら、
 一時に人を驚かせるほどの額を使わなければいけないというのが我々の考えでした。

クルーグマン:

 そうでしょう。全く一緒です。

 オバマ政権は、お金を使いすぎると多くの人が批判している。

 しかしオバマ政権はまだ全然少ない資金しか投入していないと思います。

 中途半端な政策は何もしないのとお案じくらいタチが悪いのです。

 …

 もちろん、誰も特効薬を持っていません。

 いやこう言い換えましょう。
 特効薬はあるかもしれないが、それがどんなものか誰にも分からないのです。

 あらゆるボタンを押してみることが大切なのですから。

 どれにどれだけの効果があるか分からないのですから。

そして、
小野さんのコメント:

だったら、もっと大規模な財政出動をせよという彼のアドバイスに従いましょうよ、与謝野さん。




さて、
この対談を放映したのと同じ「新報道2001」という番組、

先月、クルーグマン博士を大々的に出しておきながら、

博士の「もっと大胆に財政出動しろ!」という主張を一言も紹介していませんでした

その話は、

「もっと積極財政を」 http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/15348529.html
にて紹介させていただきました通りです。

もしかしてフジテレビさん、一ヶ月前の私の記事を読んで下さっていたのでしょうかね?(いやいや、そんなこともないでしょうが(笑))


それが、

わずか一ヵ月後には、与謝野さんまで呼んでクルーグマン博士と対談してもらい、

博士

「もっと積極財政を!」

「あらゆるボタンを押してみることが大切」=「とにかくもっとバラまけ!!」


という話をしっかり放映しているのですから、世の中変われば変わるものですね^^。


ところで、

改宗宣言をしたあと、
与謝野さんもだいぶ積極財政派になっておられるようですが、
まだまだ煮え切っておられないフシがおありのようです。

やはり、やり過ぎたときのインフレを恐れておいでのようですが、

「インフレとデフレの制御」 http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/16925533.html

で書きましたように、

インフレやバブルが問題になったとき、インフレを抑制するには、
財政当局が緊縮財政(支出抑制 and/or 増税)
を、しっかりやれば良いのです。


もっと言えば、

アイスランドのように中央銀行の金融政策(高金利政策)だけでは、
バブルの抑制は困難ということが現実に起こっていたですから、

最後は財政当局がしっかり責任を持って行過ぎたバブル、インフレの抑制をやるべきと言えます。

ですので、

財政当局としての責任を全うする意思さえ持てば、インフレを恐れる必要はないし、決して恐れるべきではありません。


財政当局が必要以上にインフレを恐れるということは、自分たちの存在意義、自分たちが持っている力を否定するようなことなのです。

是非、もっと自信を持って下さい、与謝野財務大臣閣下!


なお、↑こんなことを書くと、
中央銀行は意味がないのか、
という話になりかねませんが、
決してそんなことはありません。

財政政策というものは、基本的にはイチイチ国会で決議しないと動けません。

つまり、必ず対応は遅くなります。

中央銀行の場合は、自分たちだけで決められるため、素早く機動的に対応することが可能です。


金融政策はいわば機動性の高い少数の騎兵隊だけからなる先遣部隊のようなものです。

この先遣部隊が戦って持ちこたえている間に

「大兵力ではあるが、機動性の低い本隊」の財政政策
大兵力を投入して一気に敵(=過度のバブル・過度のインフレ)を押し返す

金融政策と財政政策は、それぞれに意義深い役割がある
と捉えると良いでしょう。

つまり、
マクロ経済コントロールには、どちらも必要不可欠
というわけです。

「それにしても、わずか一ヶ月前には、積極財政ネタを無理やりにでも避けていたとしか思えないフジテレビさんが、直球ど真ん中の積極財政ネタを大々的に放映していたのには、正直驚いた!」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m

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181:民間給与と政府支出の意外な関係

2009/05/24 (Sun) 16:56


貯蓄投資バランス

つまり、

政府赤字は民間黒字

からすれば別に「意外」でも何でもないのですが…


民間給与総額と政府支出の関係です:




ものの見事に連動しています。


統計学で「相関係数」というのがあります。

ちょっとWikiを引用しておきますと:
相関係数(correlation coefficient)とは、

2つの確率変数の間の相関(類似性の度合い)を示す統計学的指標である。

原則、単位は無く、-1 から 1 の間の実数値をとり、

1 に近いときは2 つの確率変数には正の相関があるといい、

-1 に近ければ負の相関があるという。

0 に近いときはもとの確率変数の相関は弱い


たとえば、

先進諸国の失業率と実質経済成長率は強い負の相関関係にあり、

相関係数を求めれば比較的に -1 に近い数字になる。


+1に近ければ近いほど、相関関係が高い、つまり、連動性が高い、というわけです。

ということで、
エクセルの「CORREL関数」を使って、

民間給与総額と政府支出の相関係数計算してみると

0.985

です。

※上のグラフは1980年=100で指数化したものですが、
 コメントで「絶対額も見てみたいです」とのご要望がありましたので、
 金額グラフも作ってみました↓。
 なお、相関係数は変わらず、0.985となっています。






ちなみに、
比較のためWiki解説に載っていた
失業率と実質成長率の相関係数も計算してみると、

-0.516

です。
-1からはかなり離れており、負の相関関係(=正反対の連動性)は低くなっています。


正負の符号を無視して絶対値で見ると、

民間給与総額と政府支出の連動性は、異常なくらい高いですね(笑)。


そりゃそうです。


政府支出が増えれば、

それはそっくりそのまま民間企業の売上になるか、

公務員の給料を通じて、
公務員とその家族の皆さんが買い物することで
これまた民間企業の売上になるのですから!


上のグラフで、

07年の民間給与総額が10年ぶりに増加に転じていますね。

最初これだけ見たら何でだろうと思ったら、

政府支出がしっかり増えていました^^。


とにもかくにも、

政府赤字は民間黒字
政府支出は民間収入

です。


最近、

大手テレビ局が軒並み赤字決算になっていることとか、

大手新聞社のボーナスが4割減とか3割減とかになっていることが

話題になっていますが、

「マスコミの皆さん、自分たちの会社が倒産して自分たちが失業したり、ボーナスカットされたりするのがどうしてもイヤでしたら、是非、麻生政権の『バラマキ』をこう批判してください:

『麻生政権のバラマキは全然足りない!補正予算15兆円なんてケチくさいこと言わんと、30兆円でも50兆円でもバラマいてくれやー!!!』」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m

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182:疑心暗鬼は大恐慌の始まり

2009/05/23 (Sat) 19:15


昨日の記事【もう一つの「買いオペ」 】
http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/17419939.html

で、

「なんでわざわざ日銀は国債を担保にしておカネ借りないといけないの?その動機は?」

という疑問をお持ちの方もおられると思います。


そこで、

今日は、資金繰りの話をもう少ししてから


これに関連して、ついでに

金融機関が日々の資金繰りに行き詰まれば大恐慌


というネタに発展させて話をしてみたいと思います(笑)。



まず、
「なんでわざわざ日銀は国債を担保にしておカネ借りないといけないの?その動機は?」

動機ですが、

↓こういう状況を考えて見ましょう。


A銀行は短期的な余裕資金が1兆円あるとします。

その1兆円は、
例えば、3ヶ月後に、B銀行に返さないといけないおカネなのですが、

向こう3ヶ月はダブついている資金です。


で、
この1兆円は、3ヵ月後には耳をそろえて返済しないといけないわけですから、
絶対に元本割れしては困る資金です。

一番確実なのは、残存期間がきっちり3ヶ月後の国債を買うことなのですが、

いまちょうどそんな都合の良い国債が見つからないとします。

そんなときに、です。

日銀
「C銀行で一時的な不足資金があるので、3ヶ月だけカネ貸してくれ」
と言って来たらどうでしょうか?

A銀行としてはC銀行に直接貸しても良いのですが、
C銀行が向こう3ヶ月のあいだに破綻する可能性が0.1%でもあれば、やはりイヤです。

しかし、
相手が日銀なら、取りっぱぐれはないわけですし、
しかも、
国債を担保に入れてくれるとなれば、絶対安全確実に運用できるので、
願ったり叶ったり、ということになります。


日銀の立場からすれば、
C銀行に金を貸すのに、
直接「当座預金」を増やす(ベースマネーの増加)で対応しても良いのですが、

それだとA銀行の収益機会が損なわれるわけですし、ある意味民業圧迫になってしまいますね。


ということで、
日銀は親切にもA銀行とC銀行の間を取り持ち
C銀行は短期の不足資金を調達でき、A銀行も安全確実な短期の運用先が見つかり

めでたしめでたし

と言うわけです。



ところで、


民間金融機関同士の資金の融通について、

全て日銀が仲介しているかというと、決してそんなことはありません。

民間金融機関同士は日々、互いに資金の融通をしています。


たとえば、

金融機関同士では、一夜だけの資金不足を補うようなカネの貸し借りもやっています。

それが、
日銀が金融調節の目標金利としている例の
「無担保コール オーバーナイト物」というヤツです。


金融機関というものは日々、資金の過不足が起こるものなので、

こういった貸し借りがなければ、金融機関の経営は成り立ちません。

ここがミソです。


リーマンショック後

欧米の民間金融機関は互いに
「お前んとこ、ほんまはやばいんとちゃうか」と
疑心暗鬼になり、

互いに資金の融通をしなくなり、それでどえらい騒ぎになりました。

これこそが「金融危機」なのです。


これを放っておくと金融が完全に麻痺

29年大恐慌の再来となってしまうため、
FRBを始めとする各国の中央銀行が必死になって金融機関にカネを貸しまくり、何とかしのいで来ている

というのが現在の状況というわけです。


つまりは、大事なのは「信用」です。

経済というものは「信用」の上に成り立っているわけです。

我々が日頃使っている1万円札だって、これは皆が価値があると信じている、政府や日銀を一応は信用していることによって価値が成立しています。


サブプライムローンのような、

借り手の返済能力を大幅に上回るような金額を貸し込むようなやり方は、

そもそも「信用」を無視した手法であったわけですから、

いずれは信用不安、疑心暗鬼が起こることは、あまりにも当然の結果と言えそうですね。


そして、
国が借金を増やし続けられるかどうか信用の問題です。

国家についての信用と言うものは、
「これからも存在し続けることが出来るかどうか」
ということになりますが、


「国債を刷れ!」でも使った

TreasuryDirect
米財務省が、米国民がWebで直接国債を取引できるように作っているサイト)の

米国の公的債務のデータ


から、

面白い数字を出して見ましょう。

1791年1月1日 の公的債務残高
75,463,476.52ドル(7千500万ドル)

2008年9月30日 の公的債務残高
10,024,724,896,912.40ドル(10兆ドル)

ということで、
この220年の間に、米国の公的債務は13.3万倍
になっています。
13.3万倍
です。

国の借金は返してなどいないし、米政府はそんなつもりもないし、そもそもそんな必要も全くないわけです。

私、
昨日も某東京キー局の番組
某有名タレント&某有名政治評論家

「国の借金は返さなければならない」という前提で議論しているのを見て

辟易としてしまいましたが…
「アメリカの借金が過去220年で13万倍になっている」というのを知れば、彼らはどんな顔をするでしょうか?ハトが豆鉄砲を食らったような顔でもするでしょうかね…

「いまだに日本政府の借金は大変だ!これ以上増えたら破綻だ!と言って、躍起になって国家財政の信用を損なおうとしているマスコミの皆さんは、国民の疑心暗鬼、信用不安を頑張ってせっせと煽って大恐慌でも起こしたいのかしら?摩訶不思議」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m

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183:もう一つの「買いオペ」

2009/05/22 (Fri) 19:16
先日、

日銀

国債買い現先オペ

についてご質問がありましたので、今日はそれに関連する記事を書きます。

えーと、

国債の買いオペと何が違うかと申しますと、

買いオペは、日銀が金融機関などから国債を買い切ってしまうことですが、

買い現先オペというのは、ややこしい話を抜きにして一言で言いますと

国債を担保にした貸付

のことです。


金融機関は担保として、国債を日銀に差し出し、

日銀は、それと引き換えに金融機関におカネを貸すわけです。


仕訳を書くと、

日銀:

 買い現先(実態は貸付金) 1兆円 / 当座預金(負債) 1兆円


民間銀行:

 当座預金(資産) 1兆円 / 売り現先(実態は借入金) 1兆円


となります。

日銀当座預金が増え、それはベースマネーの増加、通貨の増加ですので、
買い現先は、市中への資金の供給オペレーション、つまり金融緩和です。

ただし、
国債を買い切る「買いオペ」とは違い
一定期間後には、日銀は返済を受ける
つまり、当座預金を減らす→ベースマネーの減少、ということになるので、
あくまでも一時的な金融緩和となります。


一方

買い現先の反対で、売り現先というのがあって、

これは、
国債などを担保に差し出して、おカネを借りることです。


で、
買い現先が金融緩和であるので、

その反対である売り現先は、市中からの資金吸収オペレーション、つまり金融引締です…

と思っていたのですが…


いや、
その前提で話を進めて今日の記事はシャンシャン、のつもりだったのですが、

よくよく考えているうちに、

「買い現先」が「金融緩和」で、その逆の「売り現先」が単純に「金融引き締め」

とはならないことにうかつにも(?)気付いてしまいました(@@)


というのは、
日銀は、ある銀行(A銀行とします)から「売り現先」で資金を借りたら、それは金利を支払う必要が生じます。

そのA銀行から借りた資金はそのまま置いていては損をするだけになるので、

日銀は他の銀行(B銀行とします)に貸し付けるなどして、「運用」しなければならないからです。


売り現先は、
国債の売りオペのように、国債を売って当座預金を減らす

つまり、

当座預金 1兆円(負債減少)/国債 1兆円(資産減少)

というベースマネーの減少ということにはならず

B銀行への貸付金 1兆円(資産増加)
      / 売り現先勘定(A銀行からの借入金) 1兆円(負債増加)

ということになり、

ベースマネーの減少とならないのです。


もう一度整理しますと、

☆国債買い現先オペは、
 国債買いオペと同様、当座預金というベースマネーの増加を伴う

 ので、金融緩和(ただし一時的)


☆国債売り現先オペは、
 国債売りオペとは違い、当座預金というベースマネーの減少を生じないので、

 金融引き締めとはならない

で、
国債売り現先オペは、
資金が不足している金融機関に資金を回すという目的のために、
その手段として資金に余裕のある金融機関の資金を吸収しているだけですので、むしろ、どちらかと言うと一種の金融緩和

と言えそうです。

まあ、金融緩和というよりは、
資金繰りの仲介による金融の円滑化と言ったほうがしっくり来そうですね^^;



さて、
もう一つの着眼点も書きますと、

買い現先の場合、
日銀は資金を貸して金利を受け取るわけです。

ということは、
国債を買い切って保有する場合と同じで、
政府が支払った国債利息は、日銀のフトコロに転がり込んでくるわけです。

そうすると日銀の収益が増えるので、
日銀が国庫納付金や法人税等の形で政府に支払うおカネも増えるわけです。

ということで、
買い現先も、政府が支払う国債利息が日銀からキャッシュバックされ、政府の金利負担をなくす効果があることになります。


逆に、
売り現先の場合は、
日銀がおカネを借りるので、
民間の金融機関に日銀が利息を払うことになります。

が、上記で述べた様に、売り現先では、借りた金をまた別の金融機関に貸し付けるなどして運用するわけですから、

支払利息を補うだけの受取利息(運用収益)があることになります。

よって、
国債の売り現先オペは、政府が支払う国債利息が日銀からキャッシュバックされる効果を失うことはない取引であると考えられますね。

この点でもやはり、売り現先オペは、国債の売り切りオペとは違っているわけです。


今日のはかなり地味なネタになってしまい、すみません^^;)

「【買い現先】は一時的な金融緩和をするためのオペレーション、【売り現先】は金融仲介・民間金融機関の資金繰り円滑化のためのオペレーションというわけね。 これと【買い切りオペ】による金融緩和、【売り切りオペ】による金融引き締めなどなど、あの手この手を使って、日銀は金融調節をやっているんだねえ」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m

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184:続「国の赤字は民間黒字」+「自国の黒字は他国の赤字」

2009/05/21 (Thu) 22:31


今回は、これまで何度か書いてきました

「政府赤字は民間黒字」、「自国の黒字は他国の赤字」

つまり、

貯蓄投資バランス

について、改めて整理してみたいと思います。


貯蓄投資バランス
とは、つまり↓これです

民間収支+政府収支=純輸出

(以前、純輸出経常収支と書いていましたが、まあ、概念としては大差はないです)。


さて、上の式を図示すると、下のようになります:

こういう説明図ができないか、このところずっと考えていまして、ようやく思いついたので、披露させて頂きたく^^;)





世界中の全ての純輸出を合計すると、原理的には必ずゼロ

です。


なぜなら、

日本が輸入した、ということは、当然、
どこかの国が輸出していなければ、おかしいですし、

逆に、
日本が輸出した、ということは、当然、
どこかの国が輸入していなければ、おかしい

からです。



さて、
もう一度、
民間収支+政府収支=純輸出

の式に注目してみましょう。

と、その前に、この関係の導出過程を簡単に。

GDP=(支出アプローチ)民間消費+民間投資+政府支出+純輸出
   =(所得処分アプローチ)民間消費+民間貯蓄+税

ここで、「民間消費」を打ち消すと、

民間投資+政府支出+純輸出 = 民間貯蓄+税

で、民間投資と政府支出を右辺に移すと、

純輸出 = (民間貯蓄-民間投資)+(税-政府支出)
     = 民間貯蓄余剰+政府収支

です。

なお、上の図では、
民間貯蓄余剰は簡単のため「民間収支」と勝手に書き換えています^^:

さて、

麻生政権以前のように、政府が支出をケチる

民間収支+政府収支=純輸出

は、どうなるでしょうか?

とりあえず、簡単のために、民間収支を固定すると、

政府収支は黒字拡大or赤字縮小なので、

民間収支→+政府収支↑=純輸出↑(パターンA)

となり、輸入が減って純輸出が増えます。


次に、純輸出を固定とした場合は、

民間収支↓+政府収支↑=純輸出→(パターンB)

と、民間の黒字減or赤字増になります。


いざなぎ景気越えの戦後最長の景気拡大はどうだったかというと、

民間収支↑+政府収支↑=純輸出↑(パターンC)

でした。

でも、この日本の戦後最長の景気拡大

あくまでも世界中の景気拡大&需要拡大

特にアメリカが、政府は戦争等でカネを使い、民間部門もサブプライムローンなどやたらめったに借金をしまくって買い物した結果、

民間収支↓+政府収支↓=純輸出↓(輸入増加)(パターンD)

と、ちょうど日本の正反対のことをしていたから成り立った話です。


もし、アメリカなどの国々の純輸出が横ばいであったなら、

当然日本の純輸出も横ばいなので、

民間収支↓+政府収支↑=純輸出→(パターンB)

つまり、
民間の貯蓄余剰が押さえつけられていたことになります。

「民間の貯蓄余剰が押さえつけられる」ということは、

民間の借金が増えるか、収入が減ることに他なりません。

そんな不景気な状態で借金を増やす企業や個人は少ないですので、
これは、収入が減ることに直結します。

それはそのまま、企業の収益悪化ですから、
非正規雇用で働いていた皆さんは、もっと早い段階で職を失っていたはずです。

つまりは、
政府が支出を拡大しないしわ寄せは、まず弱い立場に置かれている人々のところに来ることになるわけです。


そして、
いまは世界中が景気悪いわけですから純輸出は減少傾向ですね。

その中で民間収支を改善する必要があるわけですから、

政府が財政拡大すべきであることは、貯蓄投資バランスからは当然の帰結というわけです。

つまり、これです↓
民間収支↑+政府収支↓↓=純輸出↓(パターンE)


なお、このパターンEの場合
政府の赤字拡大がそのまま純輸出の減少(輸入増加で黒字減少、赤字拡大)につながったら、民間収支は改善しないよね、

という懸念はありますが、

内閣府のシミュレーションを見てみても、
輸入の増加は財政出動によるGDP増加分のうちの1割強にしかならないですので、その心配は無用です(なお、この30年くらいずっと、輸入はGDPの1割強です)。

さてさて、

ここで
米国の長期的な貯蓄投資バランスの変遷を見てみたいと思います。
(なぜ米国かというと、長期データが最も簡単に手に入るからです^^;)



出典:BEA 単位:GDP比


とりあえず、上図

(1)黒点線は景気後退

(2)紫点線は戦争による景気拡大

(3)オレンジ点線は戦争以外の要因による景気拡大

です(大雑把な分類ですが)。


(1)景気後退(黒点線)の代表格は1929年大恐慌ですが、

注目

29年は民間が赤字(貯蓄以上に借金をして投資している状況)、政府は黒字になっていたのが、

30年は民間が黒字(借金を手控え、貯め込みに走る)、政府が赤字になっている点ですね。

そして、
しばらく政府が赤字を続け、ようやく景気が回復してきた時点(37年)で政府が黒字に舵を切ろうとした途端またもや景気後退に陥っています(38年)。



次に、
(2)戦争による景気拡大(紫点線)です。

第二次大戦期の特徴は、過去80年で飛び抜けて政府赤字が増大、民間黒字が増大

しているところですね。

そして、面白いのは、
政府が一方的に借金を増やして財政出動、それに対し、民間は貯め込むだけなのに、実質GDP成長率が過去80年で最大の伸びをしている点です。

つまり、

民間がカネを使わないからと言って、景気が良くならないなんてことはない


という、極めて鮮烈な事例と言えます。



(3)戦争以外の要因による景気拡大(オレンジ点線)

90年代後半のITバブルです。
ここで最も注目したいのは、

それ以前の70年くらいは、民間はほぼ黒字を続けていた、
つまり、経済の拡大は政府の赤字が主導していたと言える状況

だったのですが、

90年代後半以降は、民間が赤字基調(貯蓄以上の借金をして投資)が常態化していることです。

そして、政府も同時に赤字基調
ゆえに、純輸出も赤字拡大を突っ走っていますね。


そして、
問題は、アメリカの民間の借金が大き過ぎたこと、と言えるでしょう。

自国通貨建ての借金とは言え、民間は下手すればあまりにも簡単に破綻してしまいます。

サブプライムローン(つまり無理のある住宅ローン)の債務者の破綻とそれに続くリーマン・ブラザーズの破綻がそれです。


そして、
アメリカの民間の借金の破綻が、

アイスランド、ハンガリー、韓国などの国全体で大きな外貨建て対外債務を抱えていた国に重大な影響を及ぼしたわけです。


急激なバブル形成とその後の急激な景気後退を通じて経済を不安定にさせるのは、

1.民間の過剰債務

2.国家レベルでの外貨建て対外債務

この二つであると言えます。



さて、シメに入る前に、
「民間収支+政府収支=純輸出」 となるグラフをお見せしましょう:



出典:BEA

(グラフ中、収支ではなく貯蓄余剰と書いていますが、まあ同じですので、あまり気にしないで下さい^^;)

たまにズレている事はありますが、大体は一致していますね^^。
(統計上の誤差というのはどうしても出てきますので、完全に一致することはありません。あしからず)


最後に、
以前にも書きましたが、世界経済の問題は2000年以降くらいからは、国際的経常収支の不均衡です。

問題は、アメリカの大き過ぎる経常赤字(全世界の経常赤字の半分以上を占める)と、
日本やアジア諸国、産油国の経常黒字アンバランスなのであって、

問題は日本の公的債務GDP比などでは決してありません


そして、問題の解決方法はもちろん、

黒字の大き過ぎる国:

 民間収支↑(収入の増加)+政府収支↓↓(財政の大規模拡大)=純輸出↓(輸入増)


赤字の大き過ぎる国:

民間収支↑(過剰債務の解消)+政府収支↓(財政はそこそこ拡大)=純輸出↑(「黒字国」の輸入増による輸出増)

です。

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185:「国の借金」の報道の仕方 in USA

2009/05/21 (Thu) 00:04


別に最新のニュースと言うわけでもないのですが、

米国「ウォール・ストリート・ジャーナル」
国の借金(もちろん米国の)の報道の仕方について。


記事のタイトルは、
New Debt Could Hamstring Obama

新しい借金はオバマの足かせになりそう
08年11月6日
http://online.wsj.com/article/SB122591965987102467.html

ウォール・ストリート・ジャーナルと言えば、
共和党寄り、金持ち寄り、新自由主義万歳ですので、

いかにもネガティブな感じです。が、

しかーし


国の借金大変だー!もうダメだー!


だけしか書かないような

日本のマスコミ(最近では一部を除く)とは異なり

ちゃんと、一つの記事の中で、悲観論だけでなく楽観論も取り上げているところは、
かなり好感が持てるところです。


で、悲観論はこんな感じ:

「高齢化社会の中、医療費増加なども控えているから政府債務増加でお先真っ暗」

一方、

楽観論一応はグラフ付きで、




オバマの財政出動政府借金が150兆円増えたところで、
 GDP比は49%になるだけ。
 100%を超えの日本や、大戦中の米国とは比べ物にならないほど低い

という具合です。

グラフのタイトルは「Bigger Burden (より大きな重荷)」ではありますが、一応は楽観論の説明に使っています^^;)


まあ、この楽観論については、
日本では使えないですが!

何しろ、日本の政府負債GDP比は統計の出し方によって違いますが、
190%とかで、先進国でも最も高い部類ですので(笑)。


日本の政府負債の話を書くときは、

アイスランドやアルゼンチンが「破綻」したときのGDP比がいかに低かったか

(アイスランドはこの前書きましたように54%くらい。
 アルゼンチンは64.1% http://www.imf.org/external/np/speeches/2002/071702.htm 
 です)

を書いて、「GDP比は国家破綻とは関係がない」と書いた上で、


↓政府債務が増えている分だけ民間の債務が減っている話とか


日本の対外純資産が世界最大(つまり、国全体の資産が国全体の負債を上回っていて、その差額が世界最大)

という話を書くべきですね。

まあ、そんなことを書くと、悲観論が霞んで、比較する意味すらなくなりそうですが^^;

「うーん、日本のマスコミ(一部除く)は国家財政について楽観論を書くと、悲観論が霞んで記事が面白くなくなって、困り果ててしまうのかなー???」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m

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186:「100年に1度」ではない

2009/05/19 (Tue) 23:19


日経ビジネスの最新号(2009.5.18号)
の巻頭、
「有訓無訓」で、

元経済企画庁(現内閣府)のエコノミスト

金森久雄さんが非常に素晴らしいことを語られています。

以下、内容を抜粋したいと思います。


【不況の底はもう見えた 「100年に1度」ではない】



私がエコノミストとして初めてこういう状況に直面したのは昭和40(1965)年のいわゆる証券不況でした。

税収が足りなくなった大蔵省歳出を当初予算より1割減らす政策を…

池田内閣の所得倍増計画を作った下村治博士経企庁の内国調査課長だった私(金森氏)は、

むしろ需要拡大で乗り切るべきだと反論しました。

その後大蔵大臣に就任し、政策の流れを変えたのが福田赳夫さんです。

福田蔵相
国債発行による需要拡大に踏み切り、たちまち不況が解消し、高度成長につながりました。



今の不況は需要が足りず、供給力が増えているのに、需要を抑え、輸出に依存する政策を取ってきたことが問題です。

景気回復期でも企業収益の改善が賃金の増加に結びつかず、内需の低迷が続いていました。



政府は2009年度補正予算財政支出を15兆4000億円増やすことになり、
政策の方向を改めてきています。



これで不況の底はもう見えたのではないかと思っています。



国と地方でGDP(国内総生産)の1.6倍の借金があると大騒ぎしていますが、いくらあっても国が破綻するわけではありません。

借金も永久で構わないのです。



内容については、全くもって素晴らしい!の一言ですが


ここで注目すべきは…

・私の記憶によれば、

 日経ビジネス先々月くらいに、
 「15兆円では需給ギャップを埋めきれない」言いながら
 最後の方で「財政悪化が心配だ」という
 「結局、どないやねん!」と言いたくなるような記事を載せていたのが、
 この金森さんの「有訓無訓」です。

 やっと
 

「いくらあっても国が破綻するわけではありません」

 と直球ど真ん中の言葉が活字として日経ビジネスに載ったのは
 非常に大きいです。
 感動です。


それと、

・金森さんのような官庁エコノミストの方に、
 普通にまともな感覚の方が、ちゃんといらしたことが、
 日本の高度経済成長を支えたということ

それに、

・その元官庁エコノミストの方が

 今の不況は需要が足りず、供給力が増えているのに、
 需要を抑え、輸出に依存する政策を取ってきたことが問題です。

 と、ズバリ指摘していること

です^^。

この10年くらい、
このような考えの方がなかなか表に出てこられなかったのは、一体なんだったのでしょうかね…

「それにしても、『(国の)借金も永久で構わない』という文言が活字として日経ビジネスに載るとは、すごい!!!」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m

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187:続・「国家破産」論 迎撃トーク集(2)

2009/05/18 (Mon) 12:52


【続・「国家破産」論 迎撃トーク集(1)】
http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/17163638.html
からの続きです。

(破)

「わ、わ、わ、分かりましたよ。
 政府紙幣や日銀の国債引受けですぐハイパーインフレなるってことはないんでしょう。

 で、で、で、でも、
 政府紙幣や日銀の国債引き受けで済むのなら、無税国家でいいじゃないですか。

 む、む、む、
 無税国家なんてあり得ない。だから、
 せ、せ、せ、政府紙幣や国債引受けもあり得ない



(迎撃トーク … ミサイル打ち込んでばっかりなのもかわいそうなので、
 たまには憲法9条的に、「話し合い解決」してみるかな…
 )

「おっしゃる通り、無税国家は無理だと思いますよ。
 

でも、だからといって政府紙幣や国債引受けがダメということはないでしょう。


 政府紙幣や国債引受けは、あくまでもインフレ率が『マイルド』な範囲内

 最高でも10%以下の範囲内でだけやるべきだと思いますよ。


 ね、ハハハの(破)っさん、

 江戸時代でも、明治維新政府でも、
 中央銀行がなくて、政府が直接通貨発行していた時代ですら、

 しかも、
 今のようなコンピューターネットワークが発達しているわけでもなんでもなく
 すぐにインフレ率が測定できるような状況になかった時代ですら、

 せいぜい、我が国では10%半ばくらいのインフレ率にしかならなったのだから、

 今の時代、ちゃんとインフレ率を測定して、

 デフレが問題のときは、財政出動+金融緩和でインフレに誘導し、

 インフレ抑制したいときは、緊縮財政+金融引き締め+適度な規制でデフレに誘導

 するようにすれば良いのです。

 測定可能で、かつ、制御手段があるものは、制御可能です。


 もちろん、政治的な難しさはあるでしょうが、

 我が国の過去のデータを見れば、

 そうそう過度のインフレになることはありませんよ。


 それと、無税国家ですが、

 上記のように、

 インフレ・デフレの制御をするには
 
 緊縮財政(歳出削減 and/or 増税)

 積極財政(歳出拡大 and/or 減税)

 という手段は必須です。

 税金がないと、インフレ・デフレの制御は

 金融調節だけに依存しないといけなくなるので、困難になります。


 つまり、税金は国家経済にとっての安定化装置としての役割があります。


 特に、累進税制が採られている所得税や、

 税引き前利益が赤字のときは支払いがゼロになる法人税


 景気過熱のときは、自動的に累進的に増税

 景気後退のときは、自動的に累進的に減税

 という仕組みになっており、

 マクロ経済のビルトイン・スタビライザー(組み込まれた安定化装置)

 としての役割があります。

 ただ、これだけでは足りないので、いざと言うときは政府はもっと大胆な減税や
 歳出拡大をして、景気悪化を食い止めようとするわけです。

 税金は、社会を安定させるための必須の手段と言う意味で、
 無税国家は難しいです。


 一旦無税にしたら、
 後になってから『やはり、経済の安定化の手段として税金は必要だなあ』
 と思って、税金を復活させるには、
 武力革命を起こされる覚悟が必要でしょう。

 また、社会を安定させるには、「経済格差」は一定の範囲内で収まっている
 方が望ましいです。

そうでないと、階級間闘争・共産革命になりかねないですので。

 ということで、

 おカネに余裕のある人からは多めに税金を頂き、
 余裕のない人の税負担は軽く
 さらには、
 誰でも万一の時(失業や病気や怪我など)は、必要にして十分
 保障を受けられる

 という仕組みを作ると言う意味でも、累進税制は国家運営の安定化装置
 と言えます。

 逆に言えば、無税国家は不安定化装置と言えるでしょう。



(もう一つおまけの、憲法9条的「話し合い解決」トーク

「基本的に、景気悪化はデフレ下で起こります。

 失業者が増えれば消費が落ち込み、企業も設備投資を控え
 ものすごい物価下落圧力が生まれるからです。

 1929年の大恐慌も超デフレ下での不況です。

 今はアメリカでも日本でもデフレ型の不況が起こっています。

 インフレ型不況というのは先進国では意外と珍しい現象です。


 アイスランドは昨年、通貨暴落で輸入物価が極端に上昇したために、
 インフレ型不況、つまり、スタグフレーションになりましたが、

 インフレ率は、
 昨年11月の12.9%を最高に、落ち着いてきています
 通貨暴落もとりあえず収まってきている今年4月には7%台にまで落ちています

 通貨が安定している国では、70​年代の石油危機以降
 インフレ率が10%​にもなる中での不況は起きていません

 G7の中で、石油危機以降でインフレ率が10%​くらいになっての
 不況
 サッチャー政権下で製造業がボロボロになった後の90年頃
 イギリスくらいのものです。

 その90年ころのイギリス
 不況で失業率が5%くらいから10%くらいに跳ね上がった途端
 インフレ率は10%​→5%​→2%​に落ち込んでいます。


 デフレのときは、財政出動+金融緩和でインフレに誘導し、

 インフレ抑制したいときは、緊縮財政+金融引き締め+適度な規制でデフレに誘導

これをやってこそ、世界は平和になれるのですよ。9条信者の皆さん!



 ただし、
 構造改革のやり過ぎ(というか不適切な形での構造改革)で製造業を弱め過ぎると、
 モノが作れなくなって、物不足になり、

 デフレだから積極財政だ、をやると、
 90年頃のイギリスのようにいきなりインフレになってしまい、
 マクロ経済の制御が厳しくなります
 
 その点、政策上留意が必要です。

 これからの積極財政は、

 国全体の生産性を高めるために「教育、技術、エネルギー的独立への投資」
 に重点を置くことも肝要です。




「↑の『話し合い解決』を使えば、重度のインフレ恐怖症の方や日本破綻教信者の皆さんに、これ以上ミサイルを撃ち込まずに平和的解決できて、文字通り世界が平和になれるかも…」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m

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188:続・「国家破産」論 迎撃トーク集(1)

2009/05/18 (Mon) 12:34
一昨日ご好評を頂きました

【「国家破産」論 迎撃「PAC-3」トーク集】
http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/17048697.html

もうちょっと補強しておく必要がありそうでしたので、
今日は続編と言う形です。

(元々書こうと思っていました「無税国家は無理」も入れ込んでおきます)


(破)

「政府紙幣なんて刷ったら、ハイパーインフレでしょう」


(迎撃トーク PAC-1 「江戸時代編」

江戸時代は、そもそも中央銀行なんてありません

 政府たる幕府が直接貨幣を発行していました。

 神戸大学名誉教授・新保博さんの
 「江戸の物価変動,1830年-1867年」
 http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/00172556.pdf
 を参照すれば、
 江戸の物価指数は、とりあえず資料が存在する1832年以降で

  1832年 89.5 1865年 257.1 →たった平均年率3.2%のインフレ

 開国後の混乱期ですら
  1859年 125.5 1865年 257.1 →平均年率12.7%のインフレ
 
 でしかありません。

 ハイパーインフレの定義は年率13000%ですから、
 政府が直接通貨を発行したらハイパーインフレなんて
 大ウソです。」 



(破)

「でも、江戸時代は紙幣じゃなくて小判でしょう。紙幣だったらハイパーインフレでしょう」


(迎撃トーク PAC-2 「明治維新編」

明治維新(1867年)後、明治15年に日銀が設立されるまで、
 中央銀行は存在しませんでした。
 つまり、政府が直接紙幣を刷っていました。

 明治10年の西南戦争がおきるまでは、基本的に物価はデフレ基調
 西南戦争後にインフレになりましたが、

 日銀設立の前々年の明治13年の14.1%をピークに打ち止めとなり、
 平均で年9.9%のインフレでしかなく、
 
 ハイパーインフレの定義、年13000%には遠く及ばないインフレにしか
 なっていません。
 しかも、西南戦争という特殊な事態が起こってもこの程度だったのです。
 
 政府が直接貨幣を発行したらハイパーインフレなんて
 誰からお聞きになったのですか?夢のお告げか何かでしょうか?


(迎撃トーク PAC-3 「ジンバブエ編」

ジンバブエでは、もはやインフレ率の統計を取るのをあきらめるくらいの
 ハイパーインフレです。

 最後に記録されたのが

 08年7月に年率2億3100万%

 です。

 ところで、ジンバブエでは政府が紙幣を発行していたわけではありません

 ジンバブエの紙幣の写真(冒頭AFP記事)を良く見てみてください。

 

RESERVE BANK OF ZIMBABWE


 とはっきり印刷されていますね。

 中央銀行発行紙幣ですよ、これ。

 GOVERNMENT OF ZIMBABWE

 なんて一言も書いていません。

 紙幣は政府が発行しようが中央銀行が発行しようが、
 ジンバブエのようにハイパーインフレにもなるし、
 西南戦争以前の明治維新政府のようにデフレにもなります。

 でも、
 政府紙幣よりは、中央銀行の国債引受け(買いオペ)の方が
 無難だとは思いますが




(破)

 (うっ、ちょっとくどいかも知れないけれど…)
「でも、中央銀行の国債引受けもハイパー…」


(迎撃トーク PAC-1)

「あなた、よっぽどハイパーインフレがお好きなようですが…
 



 上のグラフで「政府短期証券+国債+財融債」というのは、
 要するに政府関係の債券なので国債ですのが、

 よく見てみてください。

 1980年から2008年にかけて、
 発行銀行券高、つまり、お札の発行残高
 日銀の保有国債残高
 
 両方とも20兆円弱から70兆円前後に、つまり3倍以上増えています。

 (出典:発行銀行券:日銀「通貨発行高」、国債等:日銀「資金循環統計」)

 つまり、「日銀の国債引受け」の量が3倍になっていますが、

 この間の消費者物価指数は1.29倍にしかなっていません(出典:IMF)


 『日銀の国債引受け即ハイパーインフレ』もまた、

 夢物語、夢のまた夢おとぎ話、都市伝説

 その他これらに類する風説に過ぎません。



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189:「国家破産」論 迎撃「PAC-3」トーク集

2009/05/16 (Sat) 18:58
今日は、

「国が借金をこれ以上増やすと破綻する!」

という

「国家破産」スカッドミサイルを迎撃

するための

爆笑、爆裂、パトリオット・ミサイル・トーク集

です。


(破)

「国が借金をこれ以上増やすと破綻する!」


(迎撃トーク)

「これ以上って、いくらですか?」


(破)

「国の借金が1000兆円以上になると破綻する!」


(迎撃トークPAC‐1)

イタリアでは、1980年から95年までに、
 1980年のGDPの5.1倍も国の借金が増えました。

 つまり、
 今の日本で言えば15年間で2500兆円以上も国の借金が増えたのに、

 今でもイタリア人はジョーク好きで女好きのおちゃめな首相の下で、
 陽気に暮らしていますね。」


(迎撃トークPAC‐2)

「もっと凄いのは、第二次大戦のアメリカです。
 1940年から45年までのわずか5年の間に、
 1940年のGDPの2.1倍も国の借金が増えました。

 つまり、
 今の日本で言えばたった5年間で1000兆円以上も借金が増えたのに、
 アメリカは破綻どころか、世界の覇権を手に入れて、
 いまだに大艦隊を世界中に派遣しています。」


(迎撃トークPAC‐3)

「ということで、1000兆円だろうが、1京円だろうが、関係ありませんよ。
 ところで、破綻という言葉の定義はなんですか?」


(破)

「でも、政府負債のGDP比が先進国中最悪だから、ダメなんだ!いつもテレ東の株の番組で早稲田の教授がそう言ってるじゃないか。」


(迎撃トークPAC‐1)

破綻とは、借金が返せなくなって金詰りになった状態のことですが、最近ではアイスランドが『国家破綻』しましたね。アイスランドが破綻する前の政府債務のGDP比はご存知ですか?」


(破)

「そりゃあ、具体的な数字は知らないけれど、日本よりも悪かったんだろう」


(迎撃トークPAC‐2)

破綻前、07年末のアイスランドの政府負債GDP比は、たったの53.8%
 日本は今190%くらいですが、破綻する兆しは全然ありません

 もし破綻しかけているのなら、
 国債の金利はもっと大きくならないといけないですが、
 日本国債の金利は世界最低です。

  しかも、
 07年末のアイスランドは政府の金融資産がGDP比54.6%で、
 負債以上の金融資産を持っていたんです。

 つまり、アイスランド政府は実質借金ゼロでした。

 それが破綻したのですよ。
 国の借金が多い少ないは国家破綻とは全く関係ありません。」



出典:Statistics Iceland http://www.statice.is/


(破)

「アイスランドみたいな小国と日本とは違う!」


(迎撃トークPAC‐3)

小国とか大国とか、関係ありません

 ロシアは超大国でしたが98年に破綻しました。

 破綻するかどうかは、小国か大国かじゃなくて、
 国全体として外国からの外貨建ての借金が多いかどうかです。

 アイスランドもロシアも、外貨建ての借金が返せなくなったから破綻したのです。

 日本は、国全体として対外資産の方が、対外負債よりもずっと多い
 つまり対外純資産がプラスで、しかも対外純資産の規模は世界最大です。

 これで、どうやって、アイスランドやロシアのように破綻できるのですか


(破)

「でも、これ以上国債が増えると金利負担が大きくなって…」


(迎撃トークPAC‐1)

金利の受け取り手は国民です。国債の95%は日本国内で保有されています。

  また、仮に金利が外国にわたったとしても、日本国債は全部円建てですので、
  そのおカネは結局日本に帰ってきます。

  彼らは日本円で持っていても仕方がないので、
  円を自国通貨に交換するはずですし、
  もし円のまま預金しているとしたら、その預かっている銀行も運用先に困るので、
  結局は巡り巡って日本国債を買うしかないでしょう。

  円建て国債なら、金利が外国に渡っても、弊害は円安になることくらいです。
  いま円高過ぎるくらいですから、ちょうど良いではないですか?

  それに、
  金利がどうしても気になるなら、
  日本銀行が国債を買いオペすることでいくらでも調整できます。」


(破)

「でも、日銀が国債を買うとなるとハイパーインフレに…」


(迎撃トークPAC‐3)

ハイパーインフレの定義はご存知ですか?
 月率50%、年率13000%のインフレのことです。

日本の1830年以降のインフレ率は最高で、大戦直後1946年の365%です。

物価指数資料:
・新保博氏「江戸の物価変動,1830年-1867年」
  http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/00172556.pdf
・吉野俊彦氏「円の歴史」p.275
・総務省・統計局 「接続指数」http://www.stat.go.jp/data/cpi/1.htm


(迎撃トークPAC‐3)

「しかも、
 あの第二次世界大戦でボロボロになった、
 極端な物不足・供給力不足の1946年で、たったこれだけなのです。

今の超モノあまり、超デフレの時に
なぜ、大戦直後を大幅に上回るようなインフレを心配しないといけないのですか?

 では、伺いますが、日本がこれからものすごい勢いで国の借金を増やしたとしても、
 1980年以降15年間のイタリアや、
 1940年以降5年間のアメリカ
 下回るペースでしか国の借金を増やせないでしょう。

 その、
 80年以降15年間のイタリアですらオイルショックの余韻の20%台から
 5%くらいにまで下がって行き
 大戦中のアメリカですら最高で11%にしかなりませんでした。

 日本でこれ以上国の借金が増えたらハイパーインフレになるという根拠が、
 一体どこを探したら出てくるのか、

 どれくらいの期間で、どれくらいの金額で、何%のインフレになるのか、
 客観的数値データに基づいて、論理的に、明快にご説明ください

 何の根拠もなく、ただなんとなくハイパーインフレになるとおっしゃるのであれば、
 それはあなた、単なる風説の流布ですよ。」


(破)

「いや、そんな数字は関係ない。破綻するんです…」


迎撃トークPAC‐3…では間に合わないので、
大陸間弾道ミサイルを使用


『数字は関係ない』、『数字に意味がない』とおっしゃるなら、
 あなたの預金通帳に印刷されている数字も意味がない、価値がないですよね。

 あなたが持っていても何の役にも立たないでしょうから、是非私にください

 私が有効活用して差し上げます。

 もちろん、贈与税もちゃんと法律の規定に従って納付し、
 それによってきっちり国家に貢献いたします。」

「さすがに『大陸間弾道ミサイル』までは使わずに済みそうかな(笑)、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m

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190:日本は破綻しない!?「CDSプレミアム」急降下

2009/05/15 (Fri) 23:53
今回は、
以前の記事
【日本破綻?CDSスプレッド過去最高で??】
http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/14677747.html

フォロー記事です。

一時「急上昇」していた日本国家のCDSプレミアムが、だいぶ落ちてきています。




2月ころの、半分以下になっています。
つまり日本の「国家破綻リスク」がぐっと小さくなった模様(笑)

(ついでに言うと、他の国々も軒並み「破綻リスク」急降下中ですね。)

「国債を刷れ!」

CDSプレミアムが他国に比べて低いので、
 日本の国家破綻リスクは、
 少なくともCDSプレミアム数値の決定プロセスに関与している人たちの間では
 ものすごく小さいと見られている」

のように書きました。

このことに関して、

「いや、その後、急上昇しているから、投資家は日本が破綻すると見ているのだ。この本の著者は詐欺師だ!こんな詐欺師は市中引き回しっ!

のような感じでネット上で私のことを名指しで詐欺師呼ばわりしていた方がいらっしゃるのですが…

その方は今頃、
日本の「プレミアム」が急降下してきているのを見て、何を思っておられるのかなあ、と思う今日この頃でした^^。

もし、

「日本のCDSプレミアムは急上昇したあと、急降下している。投資家は日本が破綻しないと見ているのだ。私は詐欺師だ!こんな私は市中引き回しっ!」

とでも書いていたら、座布団10枚ほど差し上げたいと思います(笑)。


まあ、
こんな数字、投資家の気分で上がったり下がったりなので、また上がることもあるのでしょうね、たぶん。

このCDSプレミアムなるものも、結局は、
ケインズが株のことを言っていたように「美人投票」に過ぎないのでしょう。

「外貨建て債務が少ない上に、対外純資産世界一の日本が、どこをどう頑張ったらカネ詰まりになって『国家破綻』するのか、是非その理屈を教えて欲しいものですねえ」と思われた方は、↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m

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191:インフレとデフレの制御

2009/05/14 (Thu) 16:06

デフレをインフレに持って行くには?


デフレ脱却には、「国債を刷れ!」や当ブログで繰り返し引用してきました、バーナンキさんの言葉どおり、

政府による財政出動+中央銀行による金融緩和

です。

そのデータ的裏づけは、

「国債を刷れ!」のp.183 図表50や、p.261 図表79

示したとおりです。

日本以外の国々(米国、ユーロ圏、中国、イタリア)は、

政府支出増加+金融緩和(おカネの量を増やす)で、

しっかりインフレ(ほどほどの)になっているのに対し、


日本は、政府支出減少+他国より小さい金融緩和

見事にデフレになっています。

日本で政府支出を増やすのを止めた90年代後半以降、GDPデフレーターがほぼ一貫して下がり続けている、というのが動かぬ証拠です。


これらの厳然たる事実を見れば、

政府による財政出動+中央銀行による金融緩和

をやれば、インフレ側にシフトできるであろうことは明白でありますね^^。


なお、

日銀が金融緩和をあまりしなかったことが問題ではなく
あくまでも政府が支出を絞ったことが問題と考えられることは、

当ブログでも何度も申し上げている通りです。

政府が財政出動をしないと、金利上昇圧力がかからないので、
 日銀は、金利引下げのための金融調節=金融緩和をしようがない、という理屈です)

なお、上記に関連して、

冒頭AFPニュースですが、
これはクルーグマンさんが、今般の米国の経済危機について、

このままではデフレになる危険性がある。もっと財政出動を!

と述べているという内容の記事です。


とにもかくにも、デフレ脱却にはやはり財政出動が効果的というのは、疑う余地はありません


一方、

インフレの制御は?


上記の米国、ユーロ圏、中国、イタリアは、ほどほどのインフレになっていましたが、別に悪性インフレになどなっていないことから、

「インフレは制御不能」なんてことは全くありません。


ジンバブエはどえらいインフレになりましたが、あれはムガベっちが無茶ばかりしてるために、国全体の生産力や供給力がどんどん落ちていっている、つまりどんどん供給不足・物不足になる中で、一生懸命お札を刷っていたからです。

供給不足+超金融緩和

組み合わせをやっているのだから、ハイパーインフレになって当然です。


ジンバブエは極端過ぎるので、

もうちょっと中間的な事例を見てみましょう。

アイスランドです。


アイスランドはインフレをうまく制御できたか?
答えはNOです。

(ただ、ジンバブエのようなスーパーウルトラハイパーインフレになったわけでも全くありあませんが^^;。)

【図1】


出典:住宅価格指数:Statistics Iceland
   政策金利:Central Bank of Iceland
   それ以外:OECD

【図2】


出典:インフレターゲット:Central Bank of Iceland
   それ以外:図1と同じ

上の図1、図2の青点線の枠で示した部分は、

株価、住宅価格 急上昇

つまり、バブルの時期です。

この株、住宅価格の急上昇は、政策金利を5%程度から14%までどんどん引き上げて行ってもなかなか収まりませんでした

この意味でのインフレ(広義のインフレ)は、金融政策では防げなかったわけです。

ただ、
図2で見ると、消費者物価指数は、意外と落ち着いています(それでもターゲットを上回ることのほうが多かったのですが)。


消費者物価はあまり急上昇はなかったので、
その点は金融引き締め効果はあったと言えそうですが、

住宅価格の急上昇はこれでは押さえられませんでした


金融政策以外でバブルを抑制しようと思うと、どんな手段があるでしょうか?


デフレ対策と反対のことをすれば良いですよね。

つまり、
政府支出を抑制、または、増税(社会保険料の増額を含む)による緊縮財政です。

こういうときこそプライマリーバランスの黒字化を、景気抑制のためにやるべきです。

で、実は、この時期のアイスランドは財政黒字になっているので、一応は緊縮財政です。

【図3】


出典:Statistics Iceland

緊縮財政だったのに、バブルを抑制できなかったじゃないか!

ということになりますが、

よくよく見てみますと、

図1で示した消費者物価指数

99年から07年末にかけて1.4倍にしかなっていないのに、

政府総支出は、同期間に2倍以上になっています。

つまり、
緊縮財政ではあったけど、政府総支出がインフレ率以上に増えていたのだから、これではやはり景気抑制効果はあまり期待できませんね。

そして、アイスランドにはこんなハイパーな特殊事情がありあした:
外貨建ての借入比率

企業で約7割
住宅購入者の約2割



2007年末には外貨建てローンに占める円の比率は約4割に達した

(日経ビジネス記事2008.11.3号「始まった”国家破産“ドミノ」)

つまり、
アイスランド人は、中央銀行が利上げしたのを尻目に、

金利の安い日本円などの外貨で借りまくり

企業は設備投資など、個人は住宅を買っていたという、

日本では考えられない事態が起きていました。


このバブルを発生を防ぐためにも、のちの通貨危機の発生を防ぐためにも、

そもそも「外貨で金を借りて国内で投資する」と言う行為そのものを規制すべきだったと言えるでしょう。

外貨建て借金で国内投資することの危険性は、
97年のアジア通貨危機のときの韓国やタイを見れば分かりそうなものだったのと思うのですが…、

アイスランドの皆さんは地球の反対側の、つい最近の出来事について、見事にスルーしていたわけですね。


それにしても、

改めて図1を見ますと、
株価指数がピーク時(07年7月)と比べて、その後2年弱で1/20になっているという、このアイスランドのバブルとバブル崩壊の凄まじさには、度肝を抜かれますね。

一企業の株価なら、エンロンなんかでこんなこともありましたが、一国の株価指数でこれだけのものは、見たことがありませんでした^^;

日本のバブルとバブル崩壊とは比べ物にならない激しさです。


住宅ローンも外貨建てで借りることができるというような、

行過ぎた自由、行過ぎた規制緩和というものは、

財政や金融によるマクロ経済コントロールの自由をも奪う

と言う端的な例が、アイスランドと言えます。


ということで、まとめですが、

デフレ脱却には、財政出動+金融緩和

インフレ抑制には、緊縮財政+金融引き締め+適度な規制

ということになりましょう。

「孫子」虚実篇 七では、
それ兵の形は水に象(かたど)る
とあります。

その時々の状況に合わせて、最適な手を打つとういことが肝要です。


【槇原敬之 - どんなときも。'07】

「どんなときもー、どんなときもー」財政再建・緊縮財政をやれば良い~♪
というわけでは決してないですし、

「どんなときもー、どんなときもー」財政赤字を拡大・積極財政をやれば良い~♪
というわけでも決してありません

ずーっとデフレが続いている日本は、とにもかくにも積極財政やるべきということであり、

デフレのときに緊縮財政をやっていたことは、
潜水艦を相手に地対空ミサイルをぶっ放すような、全くトンチンカンなことなのです。

もちろん、もし将来、景気が熱くなり過ぎたときは、そのときこそ緊縮財政をすべきということになります。

「増税は人気がないので政治的に無理」ということであれば、
「無駄遣いはダメだー」ということで歳出削減を叫べば支持は得られるはずです。


兵の形は水に象る。必要なのは状況に応じて柔軟に対応することです。

「ということは、将来、もし景気が過熱気味になったときは、『どんなときもー、プライマリーバランス黒字化なのさー♪』のK泉さんやT中さんの出番がないわけでもないですね。 でも、デフレ不況真っ只中の今はお呼びじゃないから、とりあえずあと10年くらいは是非、あなた方の大好きな超規制緩和と財政黒字化をついこないだまでやっていたアイスランドあたりで、ロングバケーション、略してロンバケしといてくれや」と思われた方は、↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m

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192:メイド イン ジャパン2

2009/05/12 (Tue) 19:35


今、
鉄鋼の安値輸出が問題になっているそうです。

と聞くと、
東南アジアのどこかの国の為替が安くなって、
その国の鉄鋼メーカーの、米国への安値輸出が問題になっているのか、

と思いませんか?


冒頭のAFPニュースにもあるように、
米国では「バイ・アメリカン条項」でアメリカの鉄鋼メーカーを保護しようとする動きがあったりしますので^^;

ところが、です。

本日のタイトルから検討がつくように…

問題を起こしている(?)のは、他ならぬ日本の鉄鋼メーカーなのです。

しかも、

その輸出先はアメリカではなく

なんと、
超為替安となっていて、価格競争力も超が付くほど高まっていそうな韓国なのです。

【鋼材貿易、日韓に摩擦の兆し】

日本メーカーは輸出シフトを強めている

鉄鋼貿易を巡って、日本と韓国に摩擦の兆しが広がってきた。

一部の日本メーカー薄鋼板など一部品種(他にも記事では建設用の異形棒鋼H型鋼を挙げています)の輸出価格を大幅に引き下げ
韓国への輸出量を増やしているのが背景。

韓国メーカーは警戒を強めている。



日本の三月の韓国向け鉄鋼輸出量は前月比37%増…半年ぶりの高水準



日本のメーカーが内需減退を背景に、最大輸出先の韓国への輸出シフトを強めた面もある。

韓国メーカーも安値輸出しており、日本を批判する理由は乏しい」(商社)との声は根強い。

半面(注:反面の間違い?)
アンチダンピング(不当廉売)提訴を避けるため、安値輸出の自制が必要」(鉄鋼メーカー)との声も出ている。

(日経新聞09年5月12日 22面)

韓国ウォンの対円レート

07年5月 1000ウォン=130.2円

09年4月 1000ウォン=73.6円

(OECDの対米ドルレートを元に計算)

のように、この2年で半分近くになる超ウォン安となっています。


「いやいや、
 名目の為替レートを見るだけじゃダメだよ。
 物価を考慮した実質為替レートを見ないとね^^」

と、
三橋さんの「本当はヤバくない日本経済」をお読みになった方はきっとお気づきになったと思います(実質為替レートに関しては、三橋さんがこの本で本当に分かり易く解説してくださっていました^^)。

ということで、
物価指数(ここでは、消費者相手の商売ではないので、生産者物価指数を見ます)を見てみますと…

   07年5月 09年3月 変化率
日本 103.7  103.7  ±0%
韓国 101.2  111.2  +9.9%
(出典:OECD)

のように、たしかに韓国の物価が上昇している分円高の影響がキャンセルされます。

けれども、

為替レートは+76%の円高ですので、
円高の影響が韓国の物価高+9.9%でキャンセルされる分は、ほんのわずかに過ぎません!!!


なので、

この状況下で、

日本の鉄鋼メーカーが、韓国国内で韓国メーカーよりも安く売ることができているのが、不思議でたまらない!ということになるのです。


なにせ、↓こちらのNIKKEI NET記事では、
未曽有の需要減鋼材の市中価格は軒並み数年前の水準に下がり
なお底がみえない



赤信号ばかりだった業界の風景には変化も見える。
まず在庫調整の進展。薄鋼板は3月末在庫が2カ月連続で減り、値下がりピッチが緩やかになった。



だが…個人所得が上がらない限り、マンションや自動車の内需喚起には限界があるし、企業が設備投資を手控える傾向はしばらく続くだろう。

仮に在庫調整が終了しても、

中国や韓国のメーカーが輸出攻勢を強めれば価格底入れが遠のくリスクもある。

(「渋滞に巻き込まれた鉄鋼市場」09年5月12日)



中国や韓国のメーカーが安値攻勢をかけてきて、日本メーカーが苦戦するリスク

指摘しています。


その韓国で日本メーカが韓国メーカーよりも安くできているのは、
まさに摩訶不思議ですね^^;。


一つ、理由として考えられるのは

薄鋼板、建設用の異形棒鋼、H型鋼というのは、

価格決定に関して技術力が物を言う分野、つまり、
安く作れるかどうかは技術次第

なのかも知れません。

でも、正直なところ、私は良く分からないです^^;

この辺りの事情について心当たりのある方は、是非コメントをお寄せくださいね^^

それにしても、超為替安の韓国相手に、日本の鉄鋼メーカーが安値攻勢をかけているとは、そりゃあもう驚いたよ」と思われた方は、↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m

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193:「孫子」と「第三の道」

2009/05/11 (Mon) 13:01


今日の本当のテーマは、
「第三の道」路線に関して、
NPOとPFIの活用による行政の効率化の話を紹介することですが、

その前に、
「孫子の兵法」にある「第三の道」的な記述について紹介したいと思います。

まずは、
アンソニー・ギデンズさんの「第三の道」からの再度の引用です:
新しい政治の第一のモットーは、「権利は必ず責任を伴う」である。

市民をはじめとする各主体に対して、弱者保護を含めて、
政府は様々な責任を負っている

しかし、
旧式の社会民主主義は、無条件に権利を要求する傾きが強かった

個人主義が浸透するにつれて、個人の権利に義務を伴わせる必要性が高まった。

たとえば、
失業手当には、積極的に職探しをする義務が伴わなければならない。

福祉制度が積極的な求職活動を妨げないようにするのは、政府の責務である。

「権利は必ず責任を伴う」というモットーは福祉の受給者だけではなく、
万人が遵守すべき倫理原則でなければならない。

福祉に関しては、厳しすぎても、甘やかし過ぎてもダメ、というわけです。


さて、次は
「孫子」地形篇 四 です。
(以下、「読み下し文」と、カッコ書きで「現代語訳」を交互に)
卒〔そつ〕をみること嬰児のごとし、ゆえにこれと深谿〔しんけい〕におもむくべし

 (ふだん、兵卒の身体をあたかも嬰児のごとくに配慮している指揮官であればこそ、
  彼らとともに奈落の底のような危険なところへも赴くことができるのです)


卒をみること愛子のごとし、ゆえにこれとともに死すべし

 (ふだん、兵卒の感情をあたかも愛息のように気遣う指揮官であればこそ、
  彼らもともに死ぬことが可能なのです)


厚くして使うこと能〔あた〕わず、愛して令すること能わず
乱れて治むること能わざれば

 (しかし、兵卒に楽をさせるばかりで使うことの出来ない指揮官
  兵卒に同情するばかりで命令することのできない指揮官
 兵卒が規律を乱しても罰することができない指揮官は、)


たとえば驕子〔きょうし〕のごとく、用うべからざるなり

 (いわば、わがまま息子を育てているバカ親のようなものです。
  部隊としても、何の役にも立たないでしょう。)
読み下し文:金谷治氏「新訂 孫子」
 現代語訳:兵頭二十八氏「新約 孫子」参照です。 】

やはり、単に厳しいだけでもダメ、甘やかし過ぎもダメとあります。

要するに、
福祉も軍事教練も

子育てと同じことなのでしょう

(私には、子育ての経験がないので、あくまでも推定ですが^^;。
 まあ、某有名女優さんが次男坊に月50万円だかのお小遣いをあげてたら
 自宅の地下室で麻薬パーティーやってたなんて話もありしたしね…)

孫子は2500年くらい前に書かれたとされていますので、
何千年も前から、これは普遍的原則と言えそうです。

と、大げさに言わなくても、至極当たり前の話かも知れませんが!

とにもかくにも、
「第三の道」路線は極めて現実的な路線と言えるでしょう。

ちなみに、
冒頭のAFPニュースは、一見、この話と全然関係ないように思えますが、

麻生さん提唱で始められた「国際漫画賞」第一回受賞作品が奇しくも「孫子兵法」という、孫子つながりです^^。


さて、
NPO、PFIの話に入っていきましょう

1.NPOの活用による公的部門の効率化

NPOはもちろん、非営利組織のことです。

そして、
政府や自治体がNPOに公共サービスを委託することでおカネが回っているビジネスのことを「ソーシャル・ビジネス」と言うそうです。

イギリスの失業対策、最近では「積極的雇用政策」という用語がよく使われていますが、

これに関しては、

最初の窓口は「ジョブセンター・プラス」という日本の「ハロー・ワーク」に相当する公的組織ですが、

そのあとの、職業訓練や職業紹介などについては、NPOが大きな役割を果たしているそうです。

概念図は下のような具合です(NHK番組を元に、↓私の方で考えてみました):




例えて言うなら

ゴルゴ13が、「仕事」を受けたときに報酬の半額を受け取り、残りは「仕事」が終わった後に受け取るという方式

ですね。

馬(ここではNPO)に、その場で全てのニンジンを与えるのではなくて、
例えば、10km進むごとにニンジンをあげるようなものです。

これが、10kmごとじゃなくて、100kmごとだと厳しすぎるし、100mごとだと甘やかし過ぎという具合になるでしょう。

「ともに深谿におもむくべし」な、適度な頃合というものがあるわけです。

そして、
ゴルゴ13のように、
最後(対象者が就業後半年のあいだ働き続ける状態)
までやり遂げないと、報酬の全額がもらえないというのがミソですね。

2.PFIの活用による公的部門の効率化

PFIとは、
簡単に言えば

公共事業に関して、民間に開業資金とノウハウを出してもらう方法です。

⇒その狙い

政府の財政負担を軽減しながら、公共サービスの量と質の向上を図る

まさに、「第三の道」を体現する行政方式なのです。

(ただし、このアイデアの最初の芽はサッチャー政権時代にあったそうです。
なお、私のサッチャー政権批判は、サッチャーさんに向けたものでは
決してありません
 あの時代は他に参考にすべき事例が存在しなかったのですから
  仕方がありませんので^^;。
  私の批判は今さらサッチャー政権のマネをすればうまくいくと思って真似した方々に
  対してのものです。)

政府(または自治体)と民間業者との
資金やリスクや労力の負担割合のパターンは多岐にわたるのですが

 一番シンプルなのは、

 1.民間企業が出資してSPC(特別目的会社)を設立する

 2.SPCは更に金融機関から必要な資金を借りる

 3.SPCが公共事業の設備を建設し、
    その後の管理運営も長期契約(20年など)で受ける

 4.行政は建設+管理運営を一体的なサービスとみて、
    サービスの対価を契約期間にわたってSPCに支払う

 というような方法です。


 行政のメリット:
  ・一度に大量の資金を自分で調達しなくて済み、かつ、形式上借金を増やさなくて済む
  ・民間のノウハウを使って効率良く質の高い公共サービスの低コストでの提供
   が可能になる

 民間業者のメリット:
  ・普通の公共事業と違って、建設したら終り、ではなく、
   長期的に安定収益源を確保できる
 のような具合です。

 具体的事例は↓こちらにあります


 (なお、この具体例に出てくるVFMというのは、
  PFIで民間委託した方が、行政が自分で全部やるのと比べて
  何%安上がりになるかを示す指標です)


ところで、
このPFIを使うと、政府の一時の財政負担が減り、借金も増やさなくて済むのですが、

・建設コストと、契約期間中の運営費用を分割払いする長期契約

を結ぶので、実質的には、これは債務、借金が増えることと同じです。


ただし、

・形式上、見かけ上、政府の借金が増えない、

・政府が自分でやるよりも事業費用が減らせて、

・うまくやればサービスの質の向上も望める

というメリットがあるわけです。


一つ一つの事業の質を落とさずに費用が減らせれば、

より多くの、質の高い住民サービスを行う、「行政の質と量の充実」が実現できるわけですから、非常に有望な手法の一つといえます。


なお、

行政がNPOを活用する「ソーシャル・ビジネス」の市場規模は、
先行する英国が6兆円日本ではまだ2500億円程度です(NHKニュース参照)
が、日本でも徐々に広がりを見せており、

PFIについても、日本でも活用が広がりつつある状況です。

「福祉であれ、教育であれ、子育てであれ、厳しすぎても甘やかし過ぎてもダメ、昔の戸○ヨットスクールみたいな超スパルタも、某女優さんみたいにお小遣い月50万円てのもダメ。人間バランスが大切、ご利用は計画的に」、と思われた方は、↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m

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194:機能する政府-「第三の道」の発想

2009/05/10 (Sun) 13:08


英国ブレア政権「第三の道」路線のブレーンであった、アンソニー・ギデンズ氏。


氏の著書「第三の道」は、「国債を刷れ!」でも、当ブログでも何度も引用させていただいておりました。

そのギデンズさん、
これまで日本のテレビや新聞などのマスメディアでは全く見たことも聞いたこともなかったのですが、
先週、NHKの経済番組でとうとうインタビュー映像を拝見し、
私、素直に感動いたしました^^。


「第三の道」の政治の目指すべきところは、一言で言えば、

公的部門の質と量の両方を充実させる政治


言い換えれば、「機能する政治」の実現です。


英国で、この「第三の道」路線が採用されるに至るまでは、

福祉偏重(量だけの充実)路線の失敗と、サッチャーの新自由主義(質だけの充実)路線の失敗両方の路線ともの見事なまでの失敗がありました。


70年代末にサッチャー政権が生まれるまでの英国は、

「ゆりかごから墓場まで」福祉偏重路線、基幹製造業はほぼ国営という、公的部門の量だけを追求する社会体制でした。

この社会主義的体制では、
あまり努力しなくても生きて行けるわけですから、
社会全体として効率が悪く、「英国病」と呼ばれるような沈滞した経済情勢が長く続いていたとされています。

この生産性・効率性の悪さは、二度のオイルショックでもろに露呈しました。

その辺りは「国債を刷れ!」でもグラフ付き書きましたが、簡単に振り返っておきましょう。

日本が1度目のショックで高インフレになったあと、その経験を活かして官民一体で省エネ・効率化を進めることで、2度目はインフレ率の抑制に成功しました。

それとは対照的に、
英国は2度とも高インフレになりました。
しかも、インフレ率は2度とも、OECD平均を上回ったのです。

次に、
サッチャー政権発足後の新自由主義政策は、
福祉切捨て、なんでも自由競争という路線でした。

自由競争にすれば、社会全体の効率が良くなる、という仮定の下での、「改革」でしたが、
その効率の測定については、私の印象では「儲かるかどうか」だけを基準にしていたように思われます。

そして、それは結果として
効率の悪い、儲からない製造業を衰退させ、代わりに、効率の良い、儲かる金融業を隆興させるものとなったのでした。

この改革で、

実質経済成長率は以前よりも良くなり、高止まりしていたインフレ率も下がりましたが、
失業率はサッチャー以前の5%台から10%台に跳ね上がったまま、一向に下がりませんでした。

そこで、
サッチャーは87年の選挙に向けて、86年から大規模な景気対策を実施しました。

その結果、
失業率は見事に下がりましたが、インフレ率は一気に跳ね上がりました。

製造業が弱いままに、積極財政を行ったために、
モノの供給が全く追いつかなかったのです。

供給が需要に追いつかず、インフレになり、
モノが足りないゆえに輸入も増えて経常赤字も一気に拡大しました。

その状況の中、
インフレ抑制のためにBank of Englandは高金利政策(金融引き締め)を行い、それが実力以上のポンド高を招きました。

そして、その割高となったポンドがジョージ・ソロスに狙われ、その後のポンド危機につながったのです。

結局、
サッチャーの新自由主義政策は、国全体の本当の意味での効率化・生産性の向上はできなかったのです。

サッチャー時代は、大学への予算も絞られ(サッチャー改革に賛同する経済学部には予算を積み増していましたが)、
特に技術系の学部は大打撃を受け
サッチャー時代は技術の発展が著しく遅れてしまったとされています。

つまり、
サッチャー政策は、公的部門の「質」の向上を目指したもののそれは達成できず
単なる公的部門の「量」の削減、そしてそれに伴う「質」の低下を招いたに過ぎなかったのです。

さて、
上記で振り返りましたように、
英国では、大戦後から前世紀末までの50年余の間の壮大な実験

福祉偏重の「量」の充実という路線も、「量」の削減という路線も、そのどちらでも機能する政府は実現できないことを、見事なまでに証明して見せたのです。


その壮大な実験に基づく大いなる反省の下に、

質と量を追求する「第三の道」路線のブレア政権が、1997年に誕生したのです。

繰り返しますが、

1997年には、

公的部門の「量」の削減による公的部門の質の向上の大失敗を経験した上で、

量と質の両方を充実させることで、機能する政府の実現を目指す政権

イギリスにすでに存在していたわけです。


小泉政権は2002年に発足したわけですから、

すでに英国の「第三の道」政権が発足して5年も経っていたわけです。

それなのに、
まるでそれが目に入らなかったかのように、
英国ですでに20年も前に失敗に終わった、
「単なる量の削減による、政府の質の向上」こそが素晴らしいとする政権
日本でできてしまったのには、今さらながら驚くばかりです。

しかも、
サッチャー時代、製造業を弱くし、金融業を強くしたことが、
英国の金融業依存体質という構造的弱点として残り続け
今般の金融危機で、英国がG7の中でももっとも深刻な打撃(通貨暴落、ドル建てGDPの最も激しい下落率)を受けることにつながったと考えられるわけですから、

今さら新自由主義は本当にご勘弁願いたいものです。

ブレア政権下のイギリスと、同時期の緊縮財政政権下の日本の対照的な結果(実質所得の増・減や、貧困率の改善・悪化)については、「国債を刷れ!」で紹介したとおりです。

製造業の強い日本緊縮財政などせず、英国同様の「第三の道」の「量と質の両方の充実」をやっていれば、本来ならば英国以上の成果を出していたはずです。

なお、
イギリスからは「第三の道」路線は学ぶべきですが、

製造業を弱らせて金融だけで生きて行くということだけは、サッチャー政権後半の高インフレや、今般の英国の通貨危機からも明らかですので、絶対に学ぶべきではないでしょう。


次回は、
「国債を刷れ!」では書き切れていなかった
「第三の道」路線の公的部門の効率的運用の具体例(NPO、PFIの活用)について紹介してみたいと思います。

最後に、
冒頭のAFP記事から、もう一つの「第三の道」的発想について紹介してみます:
英首相は、反社会的な行動を撲滅しようというキャンペーンを行っている

イギリスの社会に「尊敬の念」を広めるための多くの手段を打ち出した。

これを政権第三期の中心テーマにしようという考えである。

「よたもの的な」あるいは「粗野な」振る舞いを追放するために、
問題のある家族が「重大・執拗・深刻」な迷惑行為を行った場合には、
立ち退きを命じ、かつ福祉政策の恩恵を施すことを拒絶できるようにしようという狙いである。

こういう取り締まり方法は、従来は、麻薬関係の犯罪に関してのみ行われていたものを、この分野にも拡大することになった。
(AFP 2006年)

「第三の道」の福祉は、

・国民のやる気を殺がないこと、

・努力、社会への貢献をしている、またはしようとしている人にだけ報いる
 (障害者福祉を除く)

というのが基本姿勢ですが、
この基本姿勢に沿っているとは言え、
「良い子にしてないと、福祉もカットじゃ~」というのは実に面白い発想ですね(日本でこんなことをしようとすると、賛否両論あるかも知れませんが…)。


新自由主義者の口癖

「ケインズは死んだ!」

だから、積極財政はもう古い、というのがありますが、

私はそんなことを言う人には、このように言い返したいと思います

「そうですね。でも、新自由主義の大権現、フリードマンも死にましたよ。3年前に74歳で。」


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195:メイド・イン・ジャパン  

2009/05/08 (Fri) 21:35

本日東京日帰り出張中です。

「仕事」終了後、久々に量販店のデジタルカメラ売り場を徘徊してました(もと、業界の人間でしたので^^;)。

デジカメ世界シェア2強はキヤノン、ソニー(06年は間違いないですが、最近のデータは外出中のため調べ切れてません。現在は違っているならご指摘お願いしますm(_ _)m。もしかしたらニコンが食い込んでいるかも知れません。)です。

他のメーカーはパナソニックを除けば、ことごとく中国やベトナム、インドネシアあるいはタイ製になっていました。

以前、当ブログのコメント欄で、「日本の人件費は高過ぎる。日本の製造業は絶対に海外に出ないと持たない」、という説と、「いやそんなことはない」、という説の議論になっていたのですが、
上記デジカメ世界二強のデジカメをひっくり返して底の方を見ると、コンパクトも一眼レフも、どの機種も「MADE IN JAPAN」の刻印がありました。

私の所属していたメーカーは、中国などで生産していましたが、なかなか利益があがりませんでした。それなのに、日本生産のキヤノンのカメラ事業がビックリするような利益率をたたき出していましたので、いつも羨ましく思っていたものです。事業企画部門にいた私は殊更に強い関心を抱いていました。

デジカメは以前から1機種は半年で終わり、次の機種を出さないと行けないような、変化の早い製品でした。今ならもっと回転は早いかも知れません。

そのくせ、エレクトロニクスと光学を組み合わせたハイテク製品ですので、開発には長期間かかります。利益を出すには、リードタイム(企画・開発から生産立ち上げまでの時間)をいかに短くできるかが命です。

早く立ち上げないと値段が高いうちに売ることのできる数が減り、大きな機会損失が生じてしまうのです。

企画・開発が国内、生産が国外だと、人件費など見掛けのコストは安くなりますが、リードタイムという見えないコストは著しく不利になります。特に変化の早い製品は非常に大きな不利になります。変化の速い製品の場合、製造ラインの立ち上げの速さでメーカーの強さが決まります。

だから、海外生産が有利かどうかは、製品の種類や性質によって全く異なります。というのが、答えでしょう。

繰り返しますが、デジカメ世界二強はメイド・イン・ジャパンです。

それに、デジカメ市場が成熟し、ありふれたものになってくる(コモディティー化)と、「メイド・イン・ジャパン」はかなり強力なセールスポイント、差別化要因となるでしょう。特にあまりカメラの知識のない人が顧客層の中心であるコンパクトデジカメは。

私なら、2、3千円程度高くても、迷わずメイド・イン・ジャパンを買うと思います。値段が同じなら尚更ですね^^。

また、今日の「仕事」の打ち合わせのときにたまたま仕入れた話では、最近では衣料品でも日本製が増えて来ているそうです。私は全く気付いていませんでしたが^^;某国製は縫製が甘く、すぐほつれるとか、色々あるらしいです…


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196:景気と借金の意外な関係

2009/05/06 (Wed) 14:31
今日は、
借金に焦点を当てます。

以前、97年度(98年3月)以降のものだけを示しましたが、

今回は、
80年3月以降の国内主要部門の負債合計(単位:兆円)の推移を示します



(出典:日銀「資金循環統計」。
 なお、負債側に計上されている株式・出資は控除している)

↑このグラフで面白いのは、

1.負債総額の増加ペースが、バブル崩壊後は緩やかになっていること。

2.政府が緊縮財政に舵を切った後は、
   負債総額が、増加を止め、ほぼ横ばいになっていること

です。

ということで、
国全体の負債総額(厳密には主要部門でけですが)と、政府支出、GDPの推移グラフにしてみますと:




政府支出が横ばいになったあとは、
GDPも横ばいで、国全体の負債総額も横ばいとなっています。

さて、

誰かの負債は他の誰かの資産

という原理原則に従って考えますと、

負債総額が増えるということは、資産総額が増えるということですね。

もちろん、負債の相手が海外の場合もありますが、
日本は対外純資産が大幅にプラスですから、
日本では、負債総額が増える以上に資産総額が増えているとなります。

ここで、国内主要部門の資産総額(金融資産のみ。単位:兆円)も一応見ておきましょう:



(出典:日銀「資金循環統計」)


資産総額(金融資産のみ)も、負債総額と同じように推移しています。すなわち

1.資産総額の増加ペースが、バブル崩壊後は緩やかになっている。

2.政府が緊縮財政に舵を切った後は、
   資産総額が、増加を止め、ほぼ横ばいになっていること
   (98年以降は浮き沈みが激しいですが、長期的には「横ばい」と言えそうです)
です。

もう一つ、付け加えておきますと

3.98年までは一貫増加だったが、98年以降は浮き沈みが大きくなっている

といえますが、これは、

98年ころから金融ビッグバン(金融自由化)が本格化し、
色々な金融商品が出回り始め、時価評価の金融商品が全体に占める割合が大きくなったから、と考えられそうです。

さてさて、
金融自由化って、何のためにやったかというと、もちろん、
経済活性化のためです。

そして、その金融自由化で経済活性化したかというと、

GDP横ばい、負債総額も横ばい、金融資産も横ばい

です。

あと、01年から06年にかけては、あの「量的緩和」というものすごい金融緩和もやっていたわけですから、

金融自由化+金融緩和

というダブルパンチでも、経済活性化は出来なかったわけです。

なにせ、この時期、日本の名目GDP成長率は世界最低(実質でも下から数えた方が早い)でしたから。

結局、ボトルネック

政府支出を横ばい→削減

と考えるのが自然ですね。

#なお、私は別に金融ビッグバンを否定するわけでもなんでもありません。
#金融ビッグバンだけでは経済は活性化しない、という見解です。

さて、
もう一度、負債に視点を戻します。

今度は、主要各部門の負債が、国全体の負債に占める割合の推移です。




ここの注目点は、

・バブル絶頂の時、政府の負債が全体に占める割合は最低であった。

・バブル崩壊後は、政府の負債が全体に占める割合は増え続けている。

あと、グラフだけだと分かり難いので、表も用意しました:



ここの注目点は、

・家計と金融部門の割合はあまり大きく変化していないが、

・非金融企業の負債の割合は減り続け、政府の割合はバブル期を除き増え続けている。


ここまでまとめると、

政府支出の増加=GDPの増加=国全体の金融資産総額・負債総額の増加

政府支出が横ばい=GDP横ばい=国全体の金融資産総額・負債総額も横ばい

となります。

今回掲載したグラフを改めて眺めてみると、問題は国の借金が増えることなんかじゃなくて、

問題は、「政府支出が横ばい=GDP横ばい=国全体の金融資産総額・負債総額も横ばい」


であったということが、改めて確認できたと思いますが、いかがでしょうか?

別の角度から言えば、

問題は、政府の借金が増えるか減るかではなく、国全体の負債総額を増やせるかどうか

となろうかと思います。

そして、

その手段は、政府支出の拡大をおいて他にない

です。

なお、近頃では政府の借金を増やさずに民間資金を活用して公共事業を行うという手法も広がりつつあります。
(ただし、その場合でも政府の経費的支出は増加するので、最終的には政府支出増加ですが、政府機能の効率の向上が望めます)
↑これはまた、後日取り上げたいと思います。

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