2009/05/31 (Sun) 11:54
前回取り上げた日経記事 (09年5月28日夕刊 3面)では
この日は10年物や30年物などに大口の売りが相次いだ
ということも書いてあったのですが、
一方で、 5年物国債の入札 は応札倍率が2.32倍に達する好調な内容 だった。
とも書いてありました。
つまり、長期の国債は値下がり (=金利上昇)であったが、短期の国債は堅調 であったというわけです。
というタイトルの本ブログの記事で、
日本 で長期国債 (10年物)の入札が未達(売れ残り) があったが、 ほぼ同時期 に、短期国債の日銀買いオペの未達(日銀が買いたいと思う分だけ買えなかった) があった、
という内容を書きました。
つまり、金融機関など機関投資家 は、
長期国債は要らんから買わない 、 けれど、短期国債は必要だから売らない
という行動 をするものなのです。
長期国債 の場合、一旦買ってしまうと、長期にわたって小さな収益率しか得られないことがほぼ確定 してしまいますので、
金利の安い長期国債というのは、基本的には買い手が付きにくいのです。
上記、未達が起こったときの10年物国債の金利は1.2% でしかありませんでした。
さて、話を米国に戻します。
直近 の、米国債(30年物と6ヶ月物)、6ヶ月もの譲渡性預金(CD)の金利の推移 です。
とりあえず、30年もの米国債と、CD(6ヶ月物)を比べ てみましょう。
CD とは、譲渡性預金 のことですが、
これは、売買可能な定期預金 のことです。
要するに、民間銀行が発行する債券 のようなものです。
CDは民間銀行発行の債券 だけあって、
リーマン・ショック後、金利がズドンと跳ね上がって います。
このときはちょうど、民間金融機関同士で相互不信、疑心暗鬼 になっていた時期です。
そりゃ、金利も跳ね上がります。
で、そのCD金利がドカンと上がっている時期 、
30年もの国債の金利は安定推移 しています。
「米国の長期的な財政悪化」 にはなく、
「民間金融機関の信用不安」 にあった
ということが、如実に伺えます。
そしてその後、
FRBや政府の積極介入により、民間金融機関の信用不安がとりあえず落ち着き ました。
すると、
CD(6ヶ月)の金利は見る見るうちに下がり まくり、
あっというまに、30年もの国債を遥かに下回る水準 になりました。
市場のテーマ が、
「民間金融機関がかなりヤバいんじゃないの?」
から、
「米政府の長期的な財政、かなりヤバいんじゃないの?」
に変わってきた わけです。
それで、30年もの国債の金利が跳ね上がって います。
もはやお気づき だと思いますが、
債券の金利 も、結局は株と同じで、
美人投票なのです。
そのときどきで、何が話題になるかによって、債券の種類によって人気が上がったり下がったりする わけです。
次に、CD(6ヶ月)と国債(6ヶ月) を見てみましょう。
同じ期間なら、国債(6ヶ月)の方が遥かに金利は低く なっています。
たった、0.3%の金利 です。
つまり、米政府は短期国債なら、ほぼタダ同然で資金調達できる状態 になっています。
また、30年物国債の金利が急速に上がり、 6ヶ月物国債の金利は逆に下がり続け ているという、 非常にけったいなこと にもなっています。
「政府の財政は長期的にはヤバいような気がするけど、短期的にはぜんぜん大丈夫ですね」
となっていることになります。
このようにして、資金が長期から短期にシフト しているわけです。
これから、もしかしたら、30年もの国債の「未達」 が起こることもあるかも知れません。
その時は短期国債の金利水準や、民間債券の金利水準もしっかり見ておく必要 があります。
米国債への投資に関心のある機関投資家 の皆さんにとっては、
市場が必要以上に騒ぐことで、30年債など長期米国債が急落(つまり、金利上昇) した場合、
となり得る でしょう。
しかし、
よくよく考えますと、 こんな市場の「美人投票」、「はやり、すたり」 に実体経済が振り回される のは、正直なところバカバカしい 気もしますが、
残念ながら、今のところ現実は上記のような状況 です。
日本の金融機関 の皆様には、一時の「はやり、すたり」に惑わされず、
長期的に利益を確保 し、しっかり法人税を日本政府に納め、もって国家に貢献いていただきたい というところですね…
ということで、過去30年の長期的傾向 も見ておきましょう
30年もの国債は、第2次石油危機のときはなんと、15% もありました。
このときに30年もの国債を買っていた人は、長期にわたりウハウハ だったことでしょう。
そして、30年もの国債も、6ヶ月ものの国債やCDも、長期的には非常に低い金利水準 となっていることが、上のグラフからは伺い知ることができます。
特に短期の国債(6ヶ月もの)の金利は、地を這うような低さ になっていますね。
最後に、
米国 であれ、日本 であれ、
長期の国債を発行 するときは、
「未達」 はいつでも起こりえます。
日本では7年前に10年物国債、英国では今年に入って40年物国債で未達 が起こりました。
財政当局 は、よくよく市場の空気を読まないと、未達を起こして市場にいらざる不安 を生じ、余計な混乱 を生みかねない ですので、
国債 というものは、
いまは短期が人気か、長期が人気か 、というのをしっかり把握 しながら、計画的に発行することが肝要 と言えます。
「国債金利も美人投票で決まっちゃうとは!」と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)mブログランキングに参加しております。ご協力、ありがとうございます!
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2009/05/30 (Sat) 14:21
A. ないでしょう。ただし、当面、米ドル安が進行する可能性は高いかも以上で終わってしまうとミもフタもない ですので、↓解説 します
日経新聞 09年5月28日夕刊 3面 米債券市場 では27日 、長期国債への大口の売り が相次ぎ、需給悪化への懸念 が強まった。 …10年物国債利回り は直近4営業日で一気に0.53%上昇 (価格は下落 )した。 …FRBが国債買い切りを決める直前の水準 (3月17日)を大きく上回って いる。 …米国債の大口の保有者 である中国 が「本格的に売りに動いている」との憶測 も流れ、 一部の機関投資家が材料をはやす場面もあった。
この記事を読むと、
アメリカ、かなりヤバーい?と思ってしまいますが…
以下、
中国政府が米国債を売ると、米国は財政破綻するか?というテーマ について考えて見ましょう。
さて、中国政府が米国債を買う ということは、
これは、
基本的には
人民元を安く維持して輸出を確保 するために
為替介入するという
プロセス と考えてよいでしょう(たぶん)。
上の図 では、
中国の輸出品 を餃子 としていますが、 もちろんこれは、極めて安全な餃子という前提 です(笑)。
餃子屋さんが、餃子の代金 としてドルを手に入れ 、
それを銀行Aで人民元に両替 してもらいます。
(なお、餃子屋 は、人民元を銀行B に預金 )。
そして、中国政府 は、国債(人民元建て)を発行 し、銀行Aにあるドルと両替 することで、元安に持っていくための為替介入 をします。
(ここで、中央銀行である人民銀行に国債を引受けさせてそれを原資に為替介入 という手もありますが、ここではそれは置きます )
さて、中国政府は、為替介入で手に入れたドルを遊ばせていても仕方がない ので、基本的には、元本保証されている米国債を買う ことになります。
(別の物に投資 する場合もあり得ます。 例えば中国政府は投信運用会社であるブラックロックに出資 ということを していたと記憶しています。
しかし、
その場合でも中国政府保有のドル預金は当然、投資先に回り 、
結局は
巡り巡って他の誰かの預金 になりますので、
それがどこかで米国債の購入 に当てられるはずです。)
以上、
中国政府が為替介入した場合 でした。
為替介入なし のケースでは、
中国政府がドルを買い上げ ることがありません。
ということで、銀行Aは、手に入れたドルを何らかの形で運用 することになります。
手堅く運用 しようとなると、やはり、米国債 となるでしょう。
仮に、米国債が安くなって、金利が高く なっていれば、悪くない投資先 になりますので。
もちろん、もしかしたら他の投資先に投資するかも 知れませんが、
その場合でも、上記の中国政府が米国債以外のものに投資した場合 と同じ です。
米国債以外に投資したから といって、米ドルの預金がどこか4次元空間にワープするわけではない ですので、
結局は、金利の水準次第 で誰かがどこかで米国債を買う でしょう。
ただし、相いも変わらず中国が一方的に貿易黒字 であり続け、 かつ、中国政府が為替介入しなければ 、
当面は元高ドル安の傾向が続く ことになります。
しかしながら、 米国の内需が期待できず 、つまり、米国向けの輸出が期待できなければ
中国は内需拡大する必要が高まり、財政出動を拡大せざるを得なくなります
その場合、米国の輸入が減り 、中国では、国内需要の増加とともに、やはり輸入が多く なるので、
米国の経常赤字の減少&中国の経常黒字の減少
というプロセスを経て、元高ドル安もどこかの水準でバランス することになります。
以上から、
中国政府が為替介入を止め、米国債購入を止めたとすれば、当面は元高ドル安が進行するただし、 中国政府が米国債を買おうが売ろうが、米国が財政破綻するということにはならない。ということになります。
以上は理論的な話 でしたが、
明日 は
米国債そのものについて、データに基づいた考察を深めておきたいと思います。
「中国政府が米国債を買わなくなったとしても、ドル安にはなっても、自国通貨建ての借金しかない米政府が破綻することはなさそう、という結論にナットク」と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)mブログランキングに参加しております。ご協力、ありがとうございます!
2009/05/27 (Wed) 17:28
↓こんなことにもおカネ を回すことになっていました:
小学校から高校まで公立学校に耐震工事 を行い、太陽光発電パネルを設置、IT(情報技術)環境も整える 「スクール・ニューディール」政策 。 これまでなかなか予算がつかなかった学校現場で需要が急膨張し、まさにバブルの様相を呈し始めている。 … (学校の)IT化対策はパソコンやデジタルテレビの購入だけで終わらない 。LANを構築 すれば、校内に回線を引く大がかりな工事が必要 になる。これまでは建物の耐震化対策などで予算を確保するのが困難 だった。 しかし今回の対策では、校舎の耐震化とLAN構築がセット となって予算がつく見通し だ。実はこの公立学校のIT化 、文部科学省が2009年度の本予算で約70億円の計上を財務省に要請した ものだった。 ところが、結果は「ゼロ査定」、1円も予算がつかなかった 。 それが今回の危機対策に伴う補正予算では、一挙に2067億円 にも上る。「これまでに見たこともない数字。 これでようやく、米国や韓国など学校のIT化が進んだ国と同じ程度の設備 を揃えられる」と、文科省生涯学習政策局の出口寿久・参事官補佐は顔をほころばせる。
以上、
日経ビジネス2009.5.18
「史上最大!経済危機対策の出口 政府マネー『15兆円』をつかめ」 から当該部分を抜粋 でした。
なんと、
公立学校の耐震工事にしっかり予算が付く見通しなのです!!! 素晴らしい!ちなみに、この日経ビジネス2009.5.18 は、
巻頭 で
と、
元経済企画庁の金森さんが語っていたのと同じ号 です。
以前は、日経ビジネスも
コーゾーカイカク教のお経ばかり だったのですが、
最近は、読んでいても精神衛生上、大変好ましく感じられる記事が多く なってきています^^。
もっとも、
構造改革の全てがダメということではなく、
ただただ、何らの意味もない財政再建のための歳出削減 となぜかセットメニューになっていた構造改革 が間違い
というのが私の見解 です。
ところで、この「15兆円」特集記事 では、
職業訓練や、公務員の短期雇用増加の補正予算 (「雇用対策 1.9兆円」)
についても触れています。
一定の効果を認めつつも…
「長期雇用」にはなお時間 北上市では、 エンジンなどの設計を3次元CADで行える技術者養成の講座 を 高等職業訓練校などで開いた。 だが、こうした政策が効果を上げるカギは「時間をかけた準備にある」 と講座を担当する三浦氏は言う。 「国の教育資金がついても、 実戦ですぐ使える技術やノウハウ を指導できる技術者 がいないと、 結局使えない技術を覚えるだけ。 それでは、企業は採用してくれない。 」(三浦氏)。 三浦氏自身、大手半導体製造メーカーで、 CADを使った半導体製造装置の開発を担当してきた経験を持つ。そんな実戦の経験者を指導者に置く準備から始めることが重要 だと言う。職業教育訓練などへの危機対策予算は7416億円 。 スクール・ニューディールと同様、突然膨れ上がった。全国でその資金を生かし切れる態勢ができるかが今後の焦点 になる。
のような批判 もしています。
しかし、このような批判 は、せっかくの補正予算がその価値をいかんなく発揮するためにはどうあるべきか 、 という現実的、かつ、建設的な批判 であり、
非常に好ましい種類の批判 と感じました。
ジャーナリズムはこうあるべき ではなかろうかと、こころひそかに感動 する今日この頃であります。
ただ、昨日の記事のクルーグマン博士 のように、今般の危機的な状況の中では、
「あらゆるボタンを押してみることが大切」=「とにかくもっとバラまけ!!」
ということもまた必要 だとも思います。
もし、万が一、財政出動のうちのいくらかが「無駄」に終わったとしても です。
よく「ドブに捨てたようなもの」という表現 が使われることはありますが、
この「ドブに捨てる」というのは正確な表現とはいえない でしょう。
なぜなら、
政府からの支出だからと言って、
もらった人々がみな 自分がもらったおカネを全て、 H2ロケットにくくりつけて大気圏外に打ち上げでもしない限り、
そのおカネが地球上から消えてなくなるわけではない からです。
え?宇宙空間まで行かなくても、タンス預金になれば無意味?
その場合でも、そのお金は悪性インフレを引き起こす原因とはなりませんので、 別に悪影響はありません。 どうせ使われないのですから。
また、世の中にはタンス預金が大好きな人もいれば、そうでない人も着実にいます。
のデータから計算 してみたところ、
いっぱい貯め込んでいそうな年収1200万円以上の高収入な世帯のうち でも、4.4%の世帯は「貯蓄非保有」 、つまり、貯金ゼロ です。
世の中には着実に「宵越しの銭は持たねえ」タイプの人がいる わけです。
また、それまで失業していた人が、補正予算の影響で短期であっても職にありついたとした場合 に、もらった給料を全て貯め込む ということも中々なかろう かと思います。 (というよりは、まず、あり得ない でしょう)
よって、
政府による「バラマキ」が、全てタンス預金になるということはあり得ず、
何かしらかの経済効果があるのは間違いありません。
もちろん、
どんな場合でもおカネはできるだけ、可能な限り、将来につながるような有効な使われかたがされるべき ですが!
いや、それにしましても…
「学校の耐震工事」や「雇用対策で公務員を増やす or 民間企業に雇用の助成金を出す」 といったことは、「国債を刷れ!」の中でも提案 していました。
他にも、「国債を刷れ!」 では、
「将来のための教育、技術、エネルギー的独立のための投資」、「社会保障費の増額」 も提案 していました。
教育→とりあえず「学校のIT化」予算
技術→エコカーや省エネ家電買い替え促進予算、研究開発費減税措置 などで、 企業の技術投資を促進
エネルギー的独立→太陽電池普及促進
社会保障費の増額→毎年2200億円抑制の見直し発言(与謝野大臣)
といった具合に、
かなりの部分は実際に麻生政権がやって下さっています。 ありがとうございます、麻生総理!私からの建設的批判:「景気対策、もう15兆円上乗せしましょう」 (↑これは、麻生さんよりは、与謝野さん向け かも知れませんが…)
「少なくとも、学校の耐震工事予算についてまで『麻生は選挙対策でバラマキをしてる、ケシカラン』とおっしゃる方は、右を向いても左を向いても、さすがに、いらっしゃらないですよね…」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)mブログランキングに参加しております。ご協力、ありがとうございます!
2009/05/26 (Tue) 11:44
アクセス解析 アメリカも日本も、 もっと大規模な財政出動を、もっと早くやらんかいが
信条 の
ポール・クルーグマン博士と、与謝野財務大臣の対談
が一昨日(5月24日)のフジテレビ「新報道2001」 でありました。
その日は10時くらいまで寝てたので、私は残念ながら見逃していましたが、
なお、
上記リンク記事 では、
「国債を刷れ!」でも引用 させていただきました
「お金がなければ刷りなさい」 の小野盛司さんが、
カッコ書きにてコメント されています。
その小野さんのコメントが面白い ので、ご興味のある方は是非上記リンクで全文お読み頂きたい と思いますが、
以下、私のほうでポイントだけ紹介 させて頂きますと:
・与謝野さんは、今回の補正予算を作る前に、クルーグマン博士の本 (たぶん、これですね→
「世界大不況からの脱出」 )
を読んでいて (しかも発売前に原文で)、
かなり参考にした そうです。
ひとことで言うと、
「金融と需要を作り出すこと」 という政策です。
あと、
・対談 における
大臣と博士の語録を抜粋をば: 与謝野: 今回の財政出動は大胆すぎると我々は批判を受けています。 ' どうせお金を使うのだったら、 一時に人を驚かせるほどの額を使わなければいけないというのが我々の考え でした。
クルーグマン: そうでしょう。 全く一緒です。 オバマ政権は、お金を使いすぎると多くの人が批判している。 しかしオバマ政権はまだ全然少ない資金しか投入していない と思います。 中途半端な政策は何もしないのとお案じくらいタチが悪い のです。 … もちろん、誰も特効薬を持っていません。 いやこう言い換えましょう。 特効薬はあるかもしれないが、それがどんなものか誰にも分からない のです。 あらゆるボタンを押してみることが大切 なのですから。 どれにどれだけの効果があるか分からない のですから。
そして、
小野さんのコメント: だったら、もっと大規模な財政出動をせよという彼のアドバイスに従いましょうよ、与謝野さん。さて、この対談を放映したのと同じ「新報道2001」 という番組、
先月、クルーグマン博士を大々的に出しておきながら、
博士の「もっと大胆に財政出動しろ!」という主張を一言も紹介していませんでした 。
その話は、
もしかしてフジテレビさん、一ヶ月前の私の記事を読んで下さっていたのでしょうかね? (いやいや、そんなこともない でしょうが(笑))
それが、
わずか一ヵ月後には、与謝野さんまで呼んでクルーグマン博士と対談 してもらい、
博士 の
「もっと積極財政を!」
「あらゆるボタンを押してみることが大切」=「とにかくもっとバラまけ!!」
という話をしっかり放映 しているのですから、世の中変われば変わるものですね^^。
ところで、
改宗宣言 をしたあと、与謝野さんもだいぶ積極財政派になっておられる ようですが、まだまだ煮え切っておられないフシ がおありのようです。
やはり、やり過ぎたときのインフレを恐れ ておいでのようですが、
で書きましたように、
インフレやバブルが問題になったとき、インフレを抑制 するには、
財政当局が緊縮財政(支出抑制 and/or 増税)を、しっかりやれば良い のです。
もっと言えば、
アイスランドのように中央銀行の金融政策(高金利政策)だけでは、 バブルの抑制は困難 ということが現実に起こっていた ですから、
最後は財政当局がしっかり責任を持って行過ぎたバブル、インフレの抑制をやるべき と言えます。
ですので、
財政当局としての責任を全うする意思さえ持てば、インフレを恐れる必要はない し、決して恐れるべきではありません。
財政当局が必要以上にインフレを恐れるということは、自分たちの存在意義、自分たちが持っている力を否定するようなこと なのです。
是非、もっと自信を持って下さい、与謝野財務大臣閣下!なお、
↑こんなことを書くと、 中央銀行は意味がないのか、という話になりかねません が、
決してそんなことはありません。財政政策というものは、基本的にはイチイチ国会で決議しないと動けません。
つまり、必ず対応は遅く なります。
中央銀行の場合は、自分たちだけで決められるため、素早く機動的に対応 することが可能 です。
金融政策は いわば機動性の高い少数の騎兵隊 だけからなる先遣部隊 のようなものです。
この先遣部隊が戦って持ちこたえている間に 、
「大兵力ではあるが、機動性の低い本隊」の財政政策 が大兵力を投入して一気に敵(=過度のバブル・過度のインフレ)を押し返す 。
金融政策と財政政策は、それぞれに意義深い役割があると捉えると良い でしょう。
つまり、
マクロ経済コントロールには、どちらも必要不可欠というわけです。
「それにしても、わずか一ヶ月前には、積極財政ネタを無理やりにでも避けていたとしか思えないフジテレビさんが、直球ど真ん中の積極財政ネタを大々的に放映していたのには、正直驚いた!」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)mブログランキングに参加しております。ご協力、ありがとうございます!
2009/05/24 (Sun) 16:56
貯蓄投資バランス つまり、
政府赤字は民間黒字
からすれば別に「意外」でも何でもない のですが…
民間給与総額と政府支出の関係 です:
統計学で「相関係数」 というのがあります。
ちょっと
Wikiを引用 しておきますと:
相関係数(correlation coefficient)とは、2つの確率変数の間の相関(類似性の度合い)を示す統計学的指標 である。 原則、単位は無く、-1 から 1 の間の実数値 をとり、1 に近いときは2 つの確率変数には正の相関がある といい、 -1 に近ければ負の相関があるという。0 に近いときはもとの確率変数の相関は弱い 。 たとえば、先進諸国の失業率と実質経済成長率は強い負の相関関係 にあり、相関係数を求めれば比較的に -1 に近い数字 になる。
+1に近ければ近いほど、相関関係が高い、つまり、連動性が高い 、というわけです。
ということで、エクセルの「CORREL関数」 を使って、
民間給与総額と政府支出の相関係数 を計算 してみると
0.985
です。
※上のグラフは1980年=100で指数化 したものですが、 コメントで「絶対額も見てみたいです」とのご要望 がありましたので、 金額グラフ も作ってみました↓。 なお、相関係数は変わらず、0.985 となっています。
ちなみに、比較のため にWiki解説 に載っていた失業率と実質成長率の相関係数 も計算してみると、
-0.516
です。-1からはかなり離れており、負の相関関係(=正反対の連動性)は低く なっています。
正負の符号を無視して絶対値 で見ると、
民間給与総額と政府支出の連動性は、異常なくらい高い ですね(笑)。
そりゃそうです。
政府支出が増えれば、
それはそっくりそのまま民間企業の売上 になるか、
公務員の給料 を通じて、公務員とその家族の皆さんが買い物 することでこれまた民間企業の売上になる のですから!
上のグラフ で、
07年の民間給与総額が10年ぶりに増加に転じ ていますね。
最初これだけ見たら何でだろう と思ったら、
政府支出がしっかり増えていました^^。
とにもかくにも、
政府赤字は民間黒字 政府支出は民間収入
です。
最近、
大手テレビ局が軒並み赤字決算 になっていることとか、
大手新聞社のボーナスが4割減とか3割減 とかになっていることが
話題 になっていますが、
「マスコミの皆さん、自分たちの会社が倒産して自分たちが失業したり、ボーナスカットされたりするのがどうしてもイヤでしたら、是非、麻生政権の『バラマキ』をこう批判してください: 『麻生政権のバラマキは全然足りない!補正予算15兆円なんてケチくさいこと言わんと、30兆円でも50兆円でもバラマいてくれやー!!!』」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)mブログランキングに参加しております。ご協力、ありがとうございます!
2009/05/23 (Sat) 19:15
で、
「なんでわざわざ日銀は国債を担保にしておカネ借りないといけないの?その動機は?」
という疑問 をお持ちの方もおられると思います。
これに関連 して、ついでに
というネタ に発展させて話をしてみたいと思います(笑)。
まず、「なんでわざわざ日銀は国債を担保にしておカネ借りないといけないの?その動機は?」
の動機 ですが、
↓こういう状況 を考えて見ましょう。
A銀行は短期的な余裕資金が1兆円 あるとします。
その1兆円 は、 例えば、3ヶ月後に、B銀行に返さないといけないおカネ なのですが、
向こう3ヶ月はダブついている資金 です。
で、この1兆円は、3ヵ月後には耳をそろえて返済しないといけない わけですから、絶対に元本割れしては困る資金 です。
一番確実 なのは、残存期間がきっちり3ヶ月後の国債 を買うことなのですが、
いまちょうどそんな都合の良い国債が見つからない とします。
そんなとき に、です。
日銀 が「C銀行で一時的な不足資金があるので、3ヶ月だけカネ貸してくれ」 と言って来たらどうでしょうか?
A銀行 としてはC銀行に直接貸しても良い のですが、C銀行が向こう3ヶ月のあいだに破綻する可能性が0.1%でもあれば 、やはりイヤ です。
しかし、 相手が日銀 なら、取りっぱぐれはない わけですし、 しかも、国債を担保に入れてくれるとなれば、絶対安全確実に運用できる ので、願ったり叶ったり 、ということになります。
日銀の立場 からすれば、C銀行に金を貸す のに、直接「当座預金」を増やす (ベースマネーの増加)で対応しても良い のですが、
それだとA銀行の収益機会が損なわれる わけですし、ある意味民業圧迫 になってしまいますね。
ということで、日銀は親切にもA銀行とC銀行の間を取り持ち 、C銀行は短期の不足資金を調達 でき、A銀行も安全確実な短期の運用先が見つかり 、
めでたしめでたし 、
と言うわけです。
ところで、
民間金融機関同士の資金の融通 について、
全て日銀が仲介しているかというと、決してそんなことはありません。
民間金融機関同士は日々、互いに資金の融通 をしています。
たとえば、
金融機関同士では、一夜だけの資金不足を補うようなカネの貸し借り もやっています。
それが、日銀が金融調節の目標金利 としている例の「無担保コール オーバーナイト物」 というヤツです。
金融機関というものは日々、資金の過不足が起こる ものなので、
こういった貸し借りがなければ、金融機関の経営は成り立ちません。
ここがミソ です。
リーマンショック後 、
欧米の民間金融機関は互いに 「お前んとこ、ほんまはやばいんとちゃうか」と疑心暗鬼 になり、
互いに資金の融通をしなくなり 、それでどえらい騒ぎ になりました。
これこそが「金融危機」 なのです。
これを放っておくと金融が完全に麻痺 、
29年大恐慌の再来 となってしまうため、FRBを始めとする各国の中央銀行が必死になって金融機関にカネを貸しまくり、何とかしのいで来ている 、
というのが現在の状況 というわけです。
つまりは、大事なのは「信用」 です。
経済というものは「信用」の上に成り立っている わけです。
我々が日頃使っている1万円札 だって、これは皆が価値があると信じ ている、政府や日銀を一応は信用している ことによって価値が成立 しています。
サブプライムローン のような、
借り手の返済能力を大幅に上回るような金額を貸し込む ようなやり方 は、
そもそも「信用」を無視した手法 であったわけですから、
いずれは信用不安、疑心暗鬼が起こることは、あまりにも当然の結果 と言えそうですね。
そして、国が借金を増やし続けられるかどうか も信用の問題 です。
国家についての信用 と言うものは、「これからも存在し続けることが出来るかどうか」 ということになりますが、
「国債を刷れ!」でも使った
TreasuryDirect (米財務省 が、米国民がWebで直接国債を取引できるように作っているサイト )の
米国の公的債務のデータ
から、
面白い数字 を出して見ましょう。
1791年1月1日 の公的債務残高 75,463,476.52ドル(7千500万ドル)
2008年9月30日 の公的債務残高 10,024,724,896,912.40ドル(10兆ドル)
ということで、
この220年の間に、米国の公的債務は13.3万倍になっています。
13.3万倍です。
国の借金は返してなどいないし、米政府はそんなつもりもないし、そもそもそんな必要も全くないわけです。私、 昨日も某東京キー局の番組 で某有名タレント&某有名政治評論家 が
「国の借金は返さなければならない」という前提で議論 しているのを見て
辟易 としてしまいましたが…
「アメリカの借金が過去220年で13万倍になっている」というのを知れば、彼らはどんな顔をするでしょうか?ハトが豆鉄砲を食らったような顔でもするでしょうかね… 「いまだに日本政府の借金は大変だ!これ以上増えたら破綻だ!と言って、躍起になって国家財政の信用を損なおうとしているマスコミの皆さんは、国民の疑心暗鬼、信用不安を頑張ってせっせと煽って大恐慌でも起こしたいのかしら?摩訶不思議」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)mブログランキングに参加しております。ご協力、ありがとうございます!
2009/05/22 (Fri) 19:16
先日、
日銀 の
国債買い現先オペについて
ご質問 がありましたので、今日はそれに
関連する記事 を書きます。
えーと、
国債の買いオペと何が違う かと申しますと、
買いオペは、日銀が金融機関などから国債を買い切ってしまうこと ですが、
買い現先オペ というのは、ややこしい話を抜きにして一言で言いますと
国債を担保にした貸付
のことです。
金融機関は担保として、国債を日銀に差し出し、
日銀は、それと引き換えに金融機関におカネを貸す わけです。
仕訳 を書くと、
日銀:
買い現先(実態は貸付金) 1兆円 / 当座預金(負債) 1兆円
民間銀行:
当座預金(資産) 1兆円 / 売り現先(実態は借入金) 1兆円
となります。
日銀当座預金が増え、それはベースマネーの増加、通貨の増加 ですので、買い現先 は、市中への資金の供給オペレーション、つまり金融緩和 です。
ただし、 国債を買い切る「買いオペ」とは違い 、一定期間後には、日銀は返済を受ける 、 つまり、当座預金を減らす→ベースマネーの減少 、ということになるので、 あくまでも一時的な金融緩和 となります。
一方
買い現先の反対 で、売り現先 というのがあって、
これは、国債などを担保に差し出して、おカネを借りること です。
で、買い現先が金融緩和 であるので、
その反対 である売り現先 は、市中からの資金吸収オペレーション、つまり金融引締 です…
と思っていたのですが…
いや、その前提で話を進めて今日の記事はシャンシャン、のつもりだった のですが、
よくよく考え ているうちに、
「買い現先」が「金融緩和」で、その逆の「売り現先」が単純に「金融引き締め」
とはならない ことにうかつにも(?)気付いてしまいました (@@)
というのは、日銀 は、ある銀行(A銀行とします)から「売り現先」で資金を借り たら、それは金利を支払う必要 が生じます。
そのA銀行から借りた資金はそのまま置いていては損 をするだけになるので、
日銀は他の銀行(B銀行とします)に貸し付ける などして、「運用」 しなければならないからです。
売り現先 は、国債の売りオペ のように、国債を売って当座預金を減らす
つまり、
当座預金 1兆円(負債減少)/国債 1兆円(資産減少)
というベースマネーの減少 ということにはならず 、
B銀行への貸付金 1兆円(資産増加) / 売り現先勘定(A銀行からの借入金) 1兆円(負債増加)
ということになり、
ベースマネーの減少とならない のです。
もう一度整理 しますと、
☆国債買い現先オペ は、 国債買いオペと同様、当座預金というベースマネーの増加を伴う
ので、金融緩和(ただし一時的) 。
☆国債売り現先オペ は、 国債売りオペとは違い、当座預金というベースマネーの減少を生じない ので、
金融引き締めとはならない 。
で、国債売り現先オペ は、資金が不足している金融機関に資金を回す という目的 のために、 その手段 として資金に余裕のある金融機関の資金を吸収しているだけ ですので、むしろ、どちらかと言うと一種の金融緩和
と言えそうです。
まあ、金融緩和というより は、資金繰りの仲介による金融の円滑化 と言ったほうがしっくり来そう ですね^^;
さて、もう一つの着眼点 も書きますと、
買い現先 の場合、日銀は資金を貸して金利を受け取る わけです。
ということは、国債を買い切って保有する場合と同じ で、政府が支払った国債利息は、日銀のフトコロに転がり込んでくる わけです。
そうすると日銀の収益が増える ので、日銀が国庫納付金や法人税等の形で政府に支払うおカネも増える わけです。
ということで、買い現先も、政府が支払う国債利息が日銀からキャッシュバックされ、政府の金利負担をなくす効果がある ことになります。
逆に、売り現先 の場合は、日銀がおカネを借りる ので、民間の金融機関に日銀が利息を払う ことになります。
が、上記で述べた様に、売り現先では、借りた金をまた別の金融機関に貸し付ける などして運用 するわけですから、
支払利息を補うだけの受取利息(運用収益)がある ことになります。
よって、国債の売り現先オペは、政府が支払う国債利息が日銀からキャッシュバックされる効果を失うことはない取引 であると考えられますね。
この点でもやはり、売り現先オペは、国債の売り切りオペとは違っている わけです。
(今日のはかなり地味なネタ になってしまい、すみません^^;)
「【買い現先】は一時的な金融緩和をするためのオペレーション、【売り現先】は金融仲介・民間金融機関の資金繰り円滑化のためのオペレーションというわけね。 これと【買い切りオペ】による金融緩和、【売り切りオペ】による金融引き締めなどなど、あの手この手を使って、日銀は金融調節をやっているんだねえ」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)mブログランキングに参加しております。ご協力、ありがとうございます!
2009/05/21 (Thu) 22:31
今回は、これまで何度か書いて きました「政府赤字は民間黒字」、「自国の黒字は他国の赤字」
つまり、
貯蓄投資バランス
について、改めて整理 してみたいと思います。
貯蓄投資バランス とは、つまり↓これ です
民間収支+政府収支=純輸出
(以前、純輸出 は経常収支 と書いていましたが、まあ、概念としては大差はない です)。
さて、上の式を図示 すると、下のようになります:
(こういう説明図 ができないか、このところずっと考えて いまして、ようやく思いついた ので、披露 させて頂きたく^^;)
世界中の全ての純輸出を合計すると、 原理的には必ずゼロです。
なぜなら、
日本が輸入 した、ということは、当然、どこかの国が輸出 していなければ、おかしいですし、
逆に、日本が輸出 した、ということは、当然、どこかの国が輸入 していなければ、おかしい
からです。
さて、 もう一度、民間収支+政府収支=純輸出
の式に注目 してみましょう。
と、その前に、この関係の導出過程 を簡単に。
GDP =(支出アプローチ)民間消費+民間投資+政府支出+純輸出 =(所得処分アプローチ)民間消費+民間貯蓄+税
ここで、「民間消費」を打ち消す と、
民間投資+政府支出+純輸出 = 民間貯蓄+税
で、民間投資と政府支出を右辺に移す と、
純輸出 = (民間貯蓄-民間投資)+(税-政府支出) = 民間貯蓄余剰+政府収支
です。
なお、上の図 では、民間貯蓄余剰は簡単のため「民間収支」 と勝手に書き換えています^^:
さて、
麻生政権以前 のように、政府が支出をケチる と
民間収支+政府収支=純輸出
は、どうなる でしょうか?
とりあえず、簡単のために、民間収支を固定 すると、
政府収支は黒字拡大or赤字縮小 なので、
民間収支→+政府収支↑=純輸出↑ (パターンA)
となり、輸入が減って純輸出が増え ます。
次に、純輸出を固定 とした場合は、
民間収支↓+政府収支↑=純輸出→ (パターンB)
と、民間の黒字減or赤字増 になります。
いざなぎ景気越えの戦後最長の景気拡大 はどうだったかというと、
民間収支↑+政府収支↑=純輸出↑ (パターンC)
でした。
でも、この日本の戦後最長の景気拡大 は
あくまでも世界中の景気拡大&需要拡大 、
特にアメリカが、政府は戦争等でカネを使い、民間部門もサブプライムローンなどやたらめったに借金をしまくって買い物 した結果、
民間収支↓+政府収支↓=純輸出↓(輸入増加) (パターンD)
と、ちょうど日本の正反対 のことをしていたから成り立った話 です。
もし、アメリカなどの国々の純輸出が横ばい であったなら、
当然日本の純輸出も横ばい なので、
民間収支↓+政府収支↑=純輸出→ (パターンB)
つまり、民間の貯蓄余剰が押さえつけられていた ことになります。
「民間の貯蓄余剰が押さえつけられる」 ということは、
民間の借金が増えるか、収入が減ること に他なりません。
そんな不景気な状態で借金を増やす企業や個人は少ない ですので、これは、収入が減ることに直結 します。
それはそのまま、企業の収益悪化 ですから、非正規雇用で働いていた皆さんは、もっと早い段階で職を失っていたはず です。
つまりは、政府が支出を拡大しないしわ寄せは、まず弱い立場に置かれている人々のところに来る ことになるわけです。
そして、いまは世界中が景気悪いわけですから純輸出は減少傾向 ですね。
その中で民間収支を改善する必要 があるわけですから、
政府が財政拡大すべきであることは、貯蓄投資バランスからは当然の帰結 というわけです。
つまり、これ です↓民間収支↑+政府収支↓↓=純輸出↓ (パターンE)
なお、このパターンEの場合 、政府の赤字拡大がそのまま純輸出の減少(輸入増加で黒字減少、赤字拡大) につながったら、民間収支は改善しない よね、
という懸念 はありますが、
内閣府のシミュレーション を見てみても、輸入の増加は財政出動によるGDP増加分のうちの1割強 にしかならないですので、その心配は無用 です(なお、この30年くらいずっと、輸入はGDPの1割強です)。
さてさて、
ここで米国の長期的な貯蓄投資バランス の変遷を見てみたいと思います。 (なぜ米国かというと、長期データが最も簡単に手に入るからです^^;)
とりあえず、上図 で
(1)黒点線は景気後退
(2)紫点線は戦争による景気拡大
(3)オレンジ点線は戦争以外の要因による景気拡大
です(大雑把な分類ですが)。
(1)景気後退(黒点線)の代表格は1929年大恐慌 ですが、
注目 は
29年は民間が赤字 (貯蓄以上に借金をして投資している状況)、政府は黒字 になっていたのが、
30年は民間が黒字 (借金を手控え、貯め込みに走る)、政府が赤字 になっている点ですね。
そして、しばらく政府が赤字を続け、ようやく景気が回復 してきた時点(37年)で政府が黒字に舵を切ろうとした途端 、またもや景気後退 に陥っています(38年)。
次に、(2)戦争による景気拡大(紫点線) です。
第二次大戦期 の特徴は、過去80年で飛び抜けて政府赤字が増大、民間黒字が増大
しているところですね。
そして、面白い のは、政府が一方的に借金を増やして財政出動、それに対し、民間は貯め込むだけ なのに、実質GDP成長率が過去80年で最大の伸び をしている点です。
つまり、
民間がカネを使わないからと言って、景気が良くならないなんてことはないという、極めて鮮烈な事例 と言えます。
(3)戦争以外の要因による景気拡大(オレンジ点線)
90年代後半のITバブル です。 ここで最も注目 したいのは、
それ以前の70年くらいは、民間はほぼ黒字を続け ていた、 つまり、経済の拡大は政府の赤字が主導 していたと言える状況
だったのですが、
90年代後半以降は、民間が赤字基調(貯蓄以上の借金をして投資)が常態化 していることです。
そして、政府も同時に赤字基調 。 ゆえに、純輸出も赤字拡大を突っ走って いますね。
そして、問題は、アメリカの民間の借金が大き過ぎたこと 、と言えるでしょう。
自国通貨建ての借金とは言え、民間は下手すればあまりにも簡単に破綻 してしまいます。
サブプライムローン(つまり無理のある住宅ローン)の債務者の破綻とそれに続くリーマン・ブラザーズの破綻 がそれです。
そして、アメリカの民間の借金の破綻 が、
アイスランド、ハンガリー、韓国 などの国全体で大きな外貨建て対外債務を抱えていた国に重大な影響 を及ぼしたわけです。
急激なバブル形成とその後の急激な景気後退を通じて経済を不安定にさせる のは、
1.民間の過剰債務
2.国家レベルでの外貨建て対外債務
この二つ であると言えます。
さて、シメに入る前に、「民間収支+政府収支=純輸出」 となるグラフ をお見せしましょう:
(グラフ中、収支ではなく貯蓄余剰と書いていますが、まあ同じですので、あまり気にしないで下さい^^;)
たまにズレている事はありますが、大体は一致 していますね^^。 (統計上の誤差というのはどうしても出てきますので、完全に一致することはありません。あしからず)
最後に、 以前にも書きましたが、世界経済の問題は2000年以降くらいからは、国際的経常収支の不均衡 です。
問題は、アメリカの大き過ぎる経常赤字 (全世界の経常赤字の半分以上を占める)と、日本やアジア諸国、産油国の経常黒字 のアンバランス なのであって、
問題は日本の公的債務GDP比などでは決してありません 。
そして、問題の解決方法 はもちろん、
黒字の大き過ぎる国:
民間収支↑(収入の増加)+政府収支↓↓(財政の大規模拡大)=純輸出↓(輸入増)
赤字の大き過ぎる国:
民間収支↑(過剰債務の解消)+政府収支↓(財政はそこそこ拡大)=純輸出↑(「黒字国」の輸入増による輸出増)
です。
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2009/05/21 (Thu) 00:04
別に最新のニュースと言うわけでもないのですが、米国「ウォール・ストリート・ジャーナル」 の国の借金(もちろん米国の)の報道の仕方 について。
ウォール・ストリート・ジャーナル と言えば、共和党寄り、金持ち寄り、新自由主義万歳 ですので、
いかにもネガティブな感じ です。が、
しかーし 、
だけしか書かない ような
日本のマスコミ (最近では一部を除く)とは異なり 、
ちゃんと、一つの記事の中で、悲観論だけでなく楽観論も 取り上げているところは、 かなり好感が持てる ところです。
で、悲観論 はこんな感じ:
「高齢化社会の中、医療費増加なども控えているから政府債務増加でお先真っ暗」
一方、
楽観論 は一応はグラフ付き で、
「オバマの財政出動 で政府借金が150兆円増え たところで、 GDP比は49% になるだけ。 100%を超えの日本や、大戦中の米国とは比べ物にならないほど低い 」
という具合です。
(グラフのタイトルは「Bigger Burden (より大きな重荷)」 ではありますが、一応は楽観論の説明 に使っています^^;)
まあ、この楽観論 については、日本では使えない ですが!
何しろ、日本の政府負債GDP比は 統計の出し方によって違いますが、190%とかで、先進国でも最も高い 部類ですので(笑)。
日本の政府負債の話を書くとき は、
アイスランドやアルゼンチンが「破綻」したときのGDP比がいかに低かったか
を書いて、「GDP比は国家破綻とは関係がない」 と書いた上で、
↓政府債務が増えている分だけ民間の債務が減っている話 とか
日本の対外純資産が世界最大 (つまり、国全体の資産が国全体の負債を上回っていて、その差額が世界最大)
という話を書くべき ですね。
まあ、そんなことを書くと、悲観論が霞んで、比較する意味すらなくなりそう ですが^^;
「うーん、日本のマスコミ(一部除く)は国家財政について楽観論を書くと、悲観論が霞んで記事が面白くなくなって、困り果ててしまうのかなー???」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)mブログランキングに参加しております。ご協力、ありがとうございます!
2009/05/19 (Tue) 23:19
日経ビジネスの最新号 (2009.5.18号) の巻頭、「有訓無訓」 で、元経済企画庁 (現内閣府)のエコノミスト
金森久雄 さんが非常に素晴らしいことを語られて います。
以下、内容を抜粋 したいと思います。
【不況の底はもう見えた 「100年に1度」ではない】 … 私がエコノミストとして初めてこういう状況に直面したのは昭和40(1965)年のいわゆる証券不況 でした。税収が足りなくなった大蔵省 は歳出を当初予算より1割減らす政策 を…池田内閣の所得倍増計画 を作った下村治博士 と経企庁の内国調査課長だった私(金森氏) は、 むしろ需要拡大で乗り切るべきだと反論 しました。 その後大蔵大臣 に就任し、政策の流れを変えたのが福田赳夫 さんです。福田蔵相 は 国債発行による需要拡大に踏み切り、たちまち不況が解消し、高度成長につながり ました。 …今の不況は需要が足りず、供給力が増えて いるのに、需要を抑え、輸出に依存する政策を取ってきたことが問題 です。景気回復期でも企業収益の改善が賃金の増加に結びつかず、内需の低迷が続いて いました。 …政府は2009年度補正予算 で財政支出を15兆4000億円増やす ことになり、 政策の方向を改めてきています。 …これで不況の底はもう見えた のではないかと思っています。 …国と地方でGDP(国内総生産)の1.6倍の借金があると大騒ぎしていますが、いくらあっても国が破綻するわけではありません。 借金も永久で構わない のです。 …
内容 については、全くもって素晴らしい!の一言 ですが
ここで注目 すべきは…
・私の記憶によれば、
日経ビジネス 、先々月 くらいに、 「15兆円では需給ギャップを埋めきれない」 と言いながら 、 最後の方で「財政悪化が心配だ」 という 「結局、どないやねん!」と言いたくなるような記事 を載せていたのが、 この金森さんの「有訓無訓」 です。
やっと 、
「いくらあっても国が破綻するわけではありません」 と
直球ど真ん中の言葉が活字として日経ビジネスに載った のは
非常に大きい です。
感動 です。
それと、
・金森さんのような官庁エコノミスト の方に、 普通にまともな感覚の方が、ちゃんといらした ことが、 日本の高度経済成長を支えた ということ
それに、
・その元官庁エコノミスト の方が
今の不況は需要が足りず、供給力が増えて いるのに、 需要を抑え、輸出に依存する政策を取ってきたことが問題 です。
と、ズバリ指摘していること
です^^。
この10年 くらい、このような考えの方がなかなか表に出てこられなかったのは、一体なんだった のでしょうかね…
「それにしても、『(国の)借金も永久で構わない』という文言が活字として日経ビジネスに載るとは、すごい!!!」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)mブログランキングに参加しております。ご協力、ありがとうございます!
2009/05/18 (Mon) 12:52
(破)
「わ、わ、わ、分かりましたよ。 政府紙幣や日銀の国債引受けですぐハイパーインフレなるってことはない んでしょう。
で、で、で、でも、 政府紙幣や日銀の国債引き受けで済むのなら、無税国家 でいいじゃないですか。
む、む、む、 無税国家なんてあり得ない 。だから、 せ、せ、せ、政府紙幣や国債引受けもあり得ない … 」
(迎撃トーク … ミサイル打ち込んでばっかりなのもかわいそう なので、 たまには憲法9条的に、「話し合い解決」 してみるかな… )
「おっしゃる通り、
無税国家は無理 だと思いますよ。
でも、だからといって政府紙幣や国債引受けがダメということはないでしょう。 政府紙幣や国債引受けは、あくまでもインフレ率が『マイルド』な範囲内 、
最高でも10%以下の範囲内でだけやるべき だと思いますよ。
ね、ハハハの(破)っさん、
江戸時代でも、明治維新政府 でも、 中央銀行がなくて、政府が直接通貨発行していた時代 ですら、
しかも、 今のようなコンピューターネットワークが発達しているわけでもなんでもなく 、 すぐにインフレ率が測定できるような状況になかった時代 ですら、
せいぜい、我が国では10%半ばくらいのインフレ率にしかならなった のだから、
今の時代、ちゃんとインフレ率を測定 して、
デフレが問題のときは、財政出動+金融緩和でインフレに誘導 し、
インフレ抑制したいときは、緊縮財政+金融引き締め+適度な規制でデフレに誘導
するようにすれば良い のです。
測定可能で、かつ、制御手段があるものは、制御可能 です。
もちろん、政治的な難しさはあるでしょう が、
我が国の過去のデータ を見れば、
そうそう過度のインフレになることはありませんよ。
それと、無税国家 ですが、
上記 のように、
インフレ・デフレの制御 をするには 緊縮財政(歳出削減 and/or 増税)
積極財政(歳出拡大 and/or 減税)
という手段は必須 です。
税金がないと、インフレ・デフレの制御は
金融調節だけに依存しないといけなくなるので、困難 になります。
つまり、税金は国家経済にとっての安定化装置としての役割 があります。
特に、累進税制が採られている所得税 や、
税引き前利益が赤字のときは支払いがゼロになる法人税 は
景気過熱のときは、自動的に累進的に増税
景気後退のときは、自動的に累進的に減税
という仕組み になっており、
マクロ経済のビルトイン・スタビライザー (組み込まれた安定化装置)
としての役割 があります。
ただ、これだけでは足りない ので、いざと言うときは政府はもっと大胆な減税や 歳出拡大 をして、景気悪化を食い止め ようとするわけです。
税金は、社会を安定させるための必須の手段 と言う意味で、 無税国家は難しい です。
一旦無税 にしたら、 後になってから『やはり、経済の安定化の手段として税金は必要だなあ』 と思って、税金を復活 させるには、 武力革命を起こされる覚悟が必要 でしょう。
また、社会を安定させるには、「経済格差」は一定の範囲内 で収まっている 方が望ましい です。
そうでないと、階級間闘争・共産革命 になりかねないですので。
ということで、
おカネに余裕のある人からは多めに税金 を頂き、 余裕のない人の税負担は軽く 、 さらには、 誰でも万一の時(失業や病気や怪我など)は、必要にして十分 な 保障を受けられる 、
という仕組みを作る と言う意味でも、累進税制は国家運営の安定化装置 と言えます。
逆に言えば、無税国家は不安定化装置 と言えるでしょう。 」
(もう一つおまけの、憲法9条的「話し合い解決」トーク )
「基本的に、景気悪化はデフレ下で起こり ます。
失業者が増えれば消費が落ち込み、企業も設備投資を控え 、 ものすごい物価下落圧力 が生まれるからです。
1929年の大恐慌も超デフレ下での不況 です。
今はアメリカでも日本でもデフレ型の不況 が起こっています。
インフレ型不況というのは先進国では意外と珍しい現象 です。
アイスランドは昨年、通貨暴落で輸入物価が極端に上昇 したために、 インフレ型不況、つまり、スタグフレーション になりましたが、
インフレ率 は、 昨年11月の12.9%を最高 に、落ち着いて きています 通貨暴落もとりあえず収まってきている今年4月には7%台 にまで落ちています
通貨が安定している国 では、70年代の石油危機以降 、 インフレ率が10%にもなる中での不況は起きていません 。
G7の中で、石油危機以降でインフレ率が10% くらいになっての 不況 は サッチャー政権下で製造業がボロボロになった後の90年頃 の イギリス くらいのものです。
その90年ころのイギリス も 不況で失業率が5%くらいから10%くらいに跳ね上がった途端 に インフレ率は10%→5%→2%に落ち込ん でいます。
デフレのときは、財政出動+金融緩和でインフレに誘導 し、
インフレ抑制したいときは、緊縮財政+金融引き締め+適度な規制でデフレに誘導
これをやってこそ、世界は平和になれるのですよ。9条信者の皆さん! ただし、 構造改革のやり過ぎ (というか不適切な形での構造改革 )で製造業を弱め過ぎる と、 モノが作れなくなって、物不足 になり、
デフレだから積極財政だ 、をやると、 90年頃のイギリスのようにいきなりインフレ になってしまい、 マクロ経済の制御が厳しく なります その点、政策上留意が必要 です。
これからの積極財政 は、
国全体の生産性を高めるために「教育、技術、エネルギー的独立への投資」 に重点を置くことも肝要 です。
」
「↑の『話し合い解決』を使えば、重度のインフレ恐怖症の方や日本破綻教信者の皆さんに、これ以上ミサイルを撃ち込まずに平和的解決できて、文字通り世界が平和になれるかも…」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)mブログランキングに参加しております。ご協力、ありがとうございます!
2009/05/18 (Mon) 12:34
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一昨日ご好評 を頂きました
もうちょっと補強しておく必要 がありそうでしたので、 今日は続編 と言う形です。
(元々書こうと思っていました「無税国家は無理」も 入れ込んでおきます)
(破)
「政府紙幣なんて刷ったら、ハイパーインフレでしょう」
(迎撃トーク PAC-1 「江戸時代編」 )
「江戸時代は、そもそも中央銀行なんてありません 。
政府たる幕府が直接貨幣を発行していました。
1832年 89.5 1865年 257.1 →たった平均年率3.2%のインフレ
開国後の混乱期 ですら 1859年 125.5 1865年 257.1 →平均年率12.7%のインフレ でしかありません。
ハイパーインフレの定義は年率13000% ですから、 政府が直接通貨を発行したらハイパーインフレ なんて 大ウソ です。」
(破)
「でも、江戸時代は紙幣じゃなくて小判 でしょう。紙幣だったらハイパーインフレ でしょう」
(迎撃トーク PAC-2 「明治維新編」 )
「明治維新(1867年)後、明治15年に日銀が設立されるまで、 中央銀行は存在しません でした。 つまり、政府が直接紙幣を刷って いました。
明治10年の西南戦争がおきるまでは、基本的に物価はデフレ基調 、 西南戦争後にインフレ になりましたが、
日銀設立の前々年 の明治13年の14.1%をピークに打ち止め となり、 平均で年9.9%のインフレ でしかなく、 ハイパーインフレの定義、年13000%には遠く及ばないインフレ にしか なっていません。 しかも、西南戦争という特殊な事態が起こってもこの程度 だったのです。 政府が直接貨幣を発行したらハイパーインフレ なんて 誰からお聞きになったのですか?夢のお告げか何かでしょうか? 」
(迎撃トーク PAC-3 「ジンバブエ編」 )
「ジンバブエでは、もはやインフレ率の統計を取るのをあきらめる くらいの ハイパーインフレ です。
最後に記録 されたのが
08年7月に年率2億3100万%
です。
ところで、ジンバブエでは政府が紙幣を発行していたわけではありません 。
ジンバブエの紙幣の写真(冒頭AFP記事) を良く見てみてください。
とはっきり印刷されていますね。
中央銀行発行紙幣 ですよ、これ。
GOVERNMENT OF ZIMBABWE
なんて一言も書いていません。
紙幣は政府が発行しようが中央銀行が発行しようが、 ジンバブエのようにハイパーインフレ にもなるし、 西南戦争以前の明治維新政府のようにデフレ にもなります。
でも、 政府紙幣よりは、中央銀行の国債引受け(買いオペ) の方が 無難 だとは思いますが 」
(破)
(うっ、ちょっとくどいかも 知れないけれど…)「でも、中央銀行の国債引受けもハイパー…」
(迎撃トーク PAC-1)
「あなた、
よっぽどハイパーインフレがお好き なようですが…
上のグラフで「政府短期証券+国債+財融債」 というのは、 要するに政府関係の債券なので国債 ですのが、
よく見てみてください。
1980年から2008年 にかけて、 発行銀行券高、つまり、お札の発行残高 も 日銀の保有国債残高 も 両方とも20兆円弱から70兆円前後に、つまり3倍以上増えて います。
(出典:発行銀行券:日銀「通貨発行高」、国債等:日銀「資金循環統計」)
つまり、「日銀の国債引受け」の量が3倍 になっていますが、
この間の消費者物価指数は1.29倍 にしかなっていません(出典:IMF)
『日銀の国債引受け即ハイパーインフレ』 もまた、
夢物語、夢のまた夢おとぎ話、都市伝説
その他これらに類する風説 に過ぎません。 」
2009/05/16 (Sat) 18:58
今日は、
「国が借金をこれ以上増やすと破綻する!」
という
「国家破産」スカッドミサイルを迎撃するための
爆笑、爆裂、パトリオット・ミサイル・トーク集です。
(破)
「国が借金をこれ以上増やすと破綻する!」
(迎撃トーク)
「これ以上って、いくらですか?」
(破)
「国の借金が1000兆円以上 になると破綻 する!」
(迎撃トークPAC‐1)
「イタリアでは、1980年から95年まで に、 1980年のGDPの5.1倍も国の借金が増え ました。
つまり、 今の日本で言えば15年間で2500兆円以上も国の借金が増えた のに、
今でもイタリア人 はジョーク好きで女好きのおちゃめな首相の下で、 陽気に暮らし ていますね。」
(迎撃トークPAC‐2)
「もっと凄いのは、第二次大戦のアメリカ です。 1940年から45年までのわずか5年の間 に、 1940年のGDPの2.1倍も国の借金が増え ました。
つまり、 今の日本で言えばたった5年間で1000兆円以上も借金が増えた のに、 アメリカは破綻どころか、世界の覇権 を手に入れて、 いまだに大艦隊を世界中に派遣 しています。」
(迎撃トークPAC‐3)
「ということで、1000兆円だろうが、1京円だろうが、関係ありませんよ。 ところで、破綻という言葉の定義はなんですか?」
(破)
「でも、政府負債のGDP比が先進国中最悪だから、ダメなんだ!いつもテレ東の株の番組で早稲田の教授がそう言ってるじゃないか。」
(迎撃トークPAC‐1)
「破綻とは、借金が返せなくなって金詰りになった状態 のことですが、最近ではアイスランドが『国家破綻』 しましたね。アイスランドが破綻する前の政府債務のGDP比 はご存知ですか?」
(破)
「そりゃあ、具体的な数字は知らないけれど、日本よりも悪かったんだろう」
(迎撃トークPAC‐2)
「破綻前、07年末のアイスランドの政府負債GDP比は、たったの53.8% 。 日本は今190% くらいですが、破綻する兆しは全然ありません 。
もし破綻しかけ ているのなら、 国債の金利はもっと大きくならないといけない ですが、 日本国債の金利は世界最低 です。
しかも、 07年末のアイスランドは政府の金融資産がGDP比54.6% で、 負債以上の金融資産を持っていた んです。
つまり、アイスランド政府は実質借金ゼロ でした。
それが破綻 したのですよ。 国の借金が多い少ないは国家破綻とは全く関係ありません 。」
(破)
「アイスランドみたいな小国と日本とは違う!」
(迎撃トークPAC‐3)
「小国とか大国とか、関係ありません 。
ロシアは超大国でしたが98年に破綻 しました。
破綻するかどうかは、小国か大国かじゃなく て、 国全体として外国からの外貨建ての借金が多いかどうか です。
アイスランドもロシアも、外貨建ての借金が返せなくなったから破綻 したのです。
日本は、国全体として対外資産の方が、対外負債よりもずっと多い 、 つまり対外純資産がプラス で、しかも対外純資産の規模は世界最大 です。
これで、どうやって、アイスランドやロシアのように破綻できるのですか 」
(破)
「でも、これ以上国債が増えると金利負担が大きくなって…」
(迎撃トークPAC‐1)
「金利の受け取り手は国民です。国債の95%は日本国内で保有 されています。
また、仮に金利が外国にわたったとしても、日本国債は全部円建て ですので、 そのおカネは結局日本に帰って きます。
彼らは日本円で持っていても仕方がない ので、 円を自国通貨に交換するはず ですし、 もし円のまま預金しているとしたら、その預かっている銀行も運用先に困る ので、 結局は巡り巡って日本国債を買うしかない でしょう。
円建て国債なら、金利が外国に渡っても、弊害は円安になることくらい です。 いま円高過ぎるくらいですから、ちょうど良い ではないですか?
それに、 金利がどうしても気になる なら、 日本銀行が国債を買いオペすることでいくらでも調整 できます。」
(破)
「でも、日銀が国債を買うとなるとハイパーインフレに…」
(迎撃トークPAC‐3)
「ハイパーインフレの定義はご存知 ですか? 月率50%、年率13000%のインフレ のことです。
(迎撃トークPAC‐3)
「しかも、 あの第二次世界大戦でボロボロになった、 極端な物不足・供給力不足の1946年で、たったこれだけ なのです。
今の超モノあまり、超デフレ の時になぜ、大戦直後を大幅に上回るようなインフレを心配しないといけない のですか?
では、
伺いますが、日本がこれからものすごい勢いで国の借金を増やした としても、
1980年以降15年間のイタリア や、
1940年以降5年間のアメリカ を
下回るペースでしか国の借金を増やせない でしょう。
その、 80年以降15年間のイタリアですらオイルショックの余韻の20%台から 5%くらいにまで下がって行き 、 大戦中のアメリカですら最高で11% にしかなりませんでした。
日本でこれ以上国の借金が増えたらハイパーインフレになるという根拠 が、 一体どこを探したら出てくる のか、
どれくらいの期間で、どれくらいの金額で、何%のインフレ になるのか、 客観的数値データに基づいて、論理的に、明快にご説明ください 。
何の根拠もなく、ただなんとなくハイパーインフレになるとおっしゃる のであれば、 それはあなた、単なる風説の流布 ですよ。」
(破)
「いや、そんな数字は関係ない。破綻するんです…」
(
迎撃トークPAC‐3…では間に合わない ので、
大陸間弾道ミサイルを使用)
「『数字は関係ない』、『数字に意味がない』 とおっしゃるなら、 あなたの預金通帳に印刷されている数字も意味がない、価値がない ですよね。
あなたが持っていても何の役にも立たないでしょうから、是非私にください 。
私が有効活用して差し上げます。
もちろん、贈与税もちゃんと法律の規定に従って納付 し、 それによってきっちり国家に貢献 いたします。」
「さすがに『大陸間弾道ミサイル』までは使わずに済みそうかな(笑)、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)mブログランキングに参加しております。ご協力、ありがとうございます!
2009/05/15 (Fri) 23:53
のフォロー記事 です。
一時「急上昇」していた日本国家のCDSプレミアムが、だいぶ落ちて きています。
2月ころの、半分以下 になっています。 つまり日本の「国家破綻リスク」がぐっと小さく なった模様(笑)
(ついでに言うと、他の国々も軒並み「破綻リスク」急降下中 ですね。)
「国債を刷れ!」 で
「CDSプレミアムが他国に比べて低い ので、 日本の国家破綻リスク は、 少なくともCDSプレミアム数値の決定プロセスに関与している人たちの間では ものすごく小さい と見られている」
のように書きました。
このことに関して、
「いや、その後、急上昇しているから、投資家は日本が破綻すると見ている のだ。この本の著者は詐欺師だ!こんな詐欺師は市中引き回しっ! 」
のような感じでネット上で私のことを名指しで詐欺師呼ばわり していた方がいらっしゃるのですが…
その方 は今頃、日本の「プレミアム」が急降下してきているのを見て、何を思っておられる のかなあ、と思う今日この頃でした^^。
もし、
「日本のCDSプレミアムは急上昇したあと、急降下している。投資家は日本が破綻しないと見ているのだ。私は詐欺師だ!こんな私は市中引き回しっ!」
とでも書いていたら、座布団10枚ほど差し上げたい と思います(笑)。
まあ、こんな数字、投資家の気分で上がったり下がったり なので、また上がることもある のでしょうね、たぶん。
このCDSプレミアム なるものも、結局は、ケインズが株 のことを言っていたように「美人投票」に過ぎない のでしょう。
「外貨建て債務が少ない上に、対外純資産世界一の日本が、どこをどう頑張ったらカネ詰まりになって『国家破綻』するのか、是非その理屈を教えて欲しいものですねえ」と思われた方は、↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)mブログランキングに参加しております。ご協力、ありがとうございます!
2009/05/14 (Thu) 16:06
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デフレ脱却 には、「国債を刷れ!」や当ブログ で繰り返し引用 してきました、バーナンキさんの言葉 どおり、
政府による財政出動+中央銀行による金融緩和
です。
そのデータ的裏づけ は、
に示した とおりです。
日本以外の国々(米国、ユーロ圏、中国、イタリア) は、
政府支出増加+金融緩和(おカネの量を増やす) で、
しっかりインフレ(ほどほどの) になっているのに対し、
日本は、政府支出減少+他国より小さい金融緩和 で
見事にデフレ になっています。
日本で政府支出を増やすのを止めた90年代後半以降、GDPデフレーターがほぼ一貫して下がり続け ている、というのが動かぬ証拠 です。
これらの厳然たる事実 を見れば、
政府による財政出動+中央銀行による金融緩和
をやれば、インフレ側にシフトできるであろうことは明白 でありますね^^。
なお、
日銀が金融緩和をあまりしなかったことが問題ではなく 、 あくまでも政府が支出を絞ったことが問題 と考えられることは、
当ブログでも何度も申し上げている通り です。
(政府が財政出動をしないと、金利上昇圧力がかからない ので、 日銀は、金利引下げのための金融調節=金融緩和をしようがない 、という理屈です)
なお、上記に関連して、
冒頭AFPニュース ですが、 これはクルーグマン さんが、今般の米国の経済危機 について、
このままではデフレになる危険性がある。もっと財政出動を!
と述べているという内容の記事です。
とにもかくにも、デフレ脱却にはやはり財政出動が効果的というのは、疑う余地はありません 。
上記の米国、ユーロ圏、中国、イタリアは、ほどほどのインフレ になっていましたが、別に悪性インフレになどなっていない ことから、
「インフレは制御不能」なんてことは全くありません。
ジンバブエはどえらいインフレ になりましたが、あれはムガベっちが無茶 ばかりしてるために、国全体の生産力や供給力がどんどん落ち ていっている、つまりどんどん供給不足・物不足になる中で、一生懸命お札を刷っていた からです。
供給不足+超金融緩和
の組み合わせ をやっているのだから、ハイパーインフレになって当然 です。
ジンバブエは極端過ぎ るので、
もうちょっと中間的な事例 を見てみましょう。
アイスランド です。
アイスランドはインフレをうまく制御できたか? 答えはNO です。
(ただ、ジンバブエのようなスーパーウルトラハイパーインフレになったわけでも全くありあませんが^^;。)
【図1】 出典:住宅価格指数:Statistics Iceland
政策金利:Central Bank of Iceland
それ以外:OECD
【図2】 出典:インフレターゲット:Central Bank of Iceland
それ以外:図1と同じ
上の図1、図2の青点線の枠 で示した部分は、
株価、住宅価格 急上昇
つまり、バブル の時期です。
この株、住宅価格の急上昇は、政策金利を5%程度から14%までどんどん引き上げ て行ってもなかなか収まりませんでした 。
この意味でのインフレ(広義のインフレ)は、金融政策では防げなかった わけです。
ただ、図2 で見ると、消費者物価指数は、意外と落ち着いて います(それでもターゲットを上回ることのほうが多かったのですが)。
消費者物価はあまり急上昇はなかった ので、その点は金融引き締め効果はあった と言えそうですが、
住宅価格の急上昇はこれでは押さえられませんでした 。
金融政策以外でバブルを抑制しようと思うと、どんな手段があるでしょうか?
デフレ対策と反対 のことをすれば良いですよね。
つまり、政府支出を抑制、または、増税 (社会保険料の増額を含む)による緊縮財政 です。
こういうときこそプライマリーバランスの黒字化 を、景気抑制のためにやるべきです。
で、実は、この時期のアイスランドは財政黒字 になっているので、一応は緊縮財政 です。
【図3】 出典:Statistics Iceland
緊縮財政だったのに、バブルを抑制できなかったじゃないか!
ということになりますが、
よくよく見て みますと、
図1で示した消費者物価指数 は
99年から07年末にかけて1.4倍 にしかなっていないのに、
政府総支出は、同期間に2倍以上 になっています。
つまり、緊縮財政ではあったけど、政府総支出がインフレ率以上に増えていた のだから、これではやはり景気抑制効果はあまり期待できません ね。
そして、
アイスランドにはこんなハイパーな特殊事情 がありあした:
外貨建ての借入比率 は企業で約7割 、住宅購入者の約2割 …2007年末 には外貨建てローンに占める円の比率は約4割 に達した (日経ビジネス記事2008.11.3号「始まった”国家破産“ドミノ」)
つまり、アイスランド人は、中央銀行が利上げしたのを尻目 に、
金利の安い日本円などの外貨で借りまくり 、
企業は設備投資など、個人は住宅を買っていた という、
日本では考えられない事態 が起きていました。
このバブルを発生を防ぐため にも、のちの通貨危機の発生を防ぐため にも、
そもそも「外貨で金を借りて国内で投資する」と言う行為そのものを規制すべきだった と言えるでしょう。
外貨建て借金で国内投資することの危険性 は、97年のアジア通貨危機のときの韓国やタイ を見れば分かりそうなもの だったのと思うのですが…、
アイスランドの皆さんは地球の反対側の、つい最近の出来事について、見事にスルー していたわけですね。
それにしても、
改めて図1 を見ますと、株価指数がピーク時 (07年7月)と比べて、その後2年弱で1/20 になっているという、このアイスランドのバブルとバブル崩壊の凄まじさには、度肝を抜かれます ね。
一企業の株価なら、エンロン なんかでこんなこともありましたが、一国の株価指数でこれだけのものは、見たことがありません でした^^;
日本のバブルとバブル崩壊とは比べ物にならない激しさ です。
住宅ローンも外貨建てで借りることができる というような、
行過ぎた自由、行過ぎた規制緩和 というものは、
財政や金融によるマクロ経済コントロールの自由をも奪う
と言う端的な例が、アイスランド と言えます。
ということで、まとめ ですが、
デフレ脱却には、財政出動+金融緩和
インフレ抑制には、緊縮財政+金融引き締め+適度な規制
ということになりましょう。
「孫子」 虚実篇 七では、
それ兵の形は水に象(かたど)る
とあります。
その時々の状況に合わせて、最適な手を打つとういことが肝要 です。
【槇原敬之 - どんなときも。'07】
「どんなときもー、どんなときもー」財政再建・緊縮財政をやれば良い~♪ というわけでは決してない ですし、
「どんなときもー、どんなときもー」財政赤字を拡大・積極財政をやれば良い~♪ というわけでも決してありません 。
ずーっとデフレが続いている日本は、とにもかくにも積極財政やるべき ということであり、
デフレのときに緊縮財政 をやっていたことは、潜水艦を相手に地対空ミサイル をぶっ放すような、全くトンチンカン なことなのです。
もちろん、もし将来、景気が熱くなり過ぎたときは、そのときこそ緊縮財政 をすべきということになります。
「増税は人気がないので政治的に無理」 ということであれば、「無駄遣いはダメだー」ということで歳出削減を叫べば支持は得られる はずです。
兵の形は水に象る。必要なのは状況に応じて柔軟に対応すること です。
「ということは、将来、もし景気が過熱気味になったときは、『どんなときもー、プライマリーバランス黒字化なのさー♪』のK泉さんやT中さんの出番がないわけでもないですね。 でも、デフレ不況真っ只中の今はお呼びじゃないから、とりあえずあと10年くらいは是非、あなた方の大好きな超規制緩和と財政黒字化をついこないだまでやっていたアイスランドあたりで、ロングバケーション、略してロンバケしといてくれや」と思われた方は、↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)mブログランキングに参加しております。ご協力、ありがとうございます!
2009/05/12 (Tue) 19:35
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今、鉄鋼の安値輸出が問題 になっているそうです。と聞くと、東南アジアのどこかの国の為替が安く なって、その国の鉄鋼メーカーの、米国への安値輸出が問題 になっているのか、
と思いませんか?
冒頭のAFPニュース にもあるように、 米国では「バイ・アメリカン条項」でアメリカの鉄鋼メーカーを保護 しようとする動きがあったりしますので^^;
ところが、 です。
本日のタイトルから検討がつく ように…
問題を起こしている(?) のは、他ならぬ日本の鉄鋼メーカー なのです。
しかも、
その輸出先はアメリカではなく 、
なんと、超為替安 となっていて、価格競争力も超が付くほど高まっていそうな韓国 なのです。
【鋼材貿易、日韓に摩擦の兆し】 日本メーカーは輸出シフトを強めている 鉄鋼貿易を巡って、日本と韓国に摩擦の兆しが広がってきた。 一部の日本メーカー が薄鋼板 など一部品種(他にも記事では建設用の異形棒鋼 、H型鋼 を挙げています)の輸出価格を大幅に引き下げ 、韓国への輸出量を増やし ているのが背景。韓国メーカーは警戒 を強めている。 …日本の三月の韓国向け鉄鋼輸出量は前月比37%増…半年ぶりの高水準 …日本のメーカーが内需減退 を背景に、最大輸出先の韓国への輸出シフト を強めた面もある。 「韓国メーカーも安値輸出 しており、日本を批判する理由は乏しい 」(商社)との声は根強い。 半面(注:反面の間違い?) 「アンチダンピング(不当廉売)提訴を避ける ため、安値輸出の自制が必要 」(鉄鋼メーカー)との声も出ている。 (日経新聞09年5月12日 22面)
韓国ウォンの対円レート は
07年5月 1000ウォン=130.2円
09年4月 1000ウォン=73.6円
(OECDの対米ドルレートを元に計算)
のように、この2年で半分近くになる超ウォン安 となっています。
「いやいや、 名目の為替レートを見るだけじゃダメ だよ。 物価を考慮した実質為替レートを見ないと ね^^」
と、
三橋 さんの
「本当はヤバくない日本経済」 をお読みになった方はきっとお気づきになったと思います(
実質為替レート に関しては、
三橋さんがこの本で本当に分かり易く解説 してくださっていました^^)。
ということで、物価指数 (ここでは、消費者相手の商売ではない ので、生産者物価指数 を見ます)を見てみますと…
07年5月 09年3月 変化率 日本 103.7 103.7 ±0% 韓国 101.2 111.2 +9.9% (出典:OECD)
のように、たしかに韓国の物価が上昇している分 は円高の影響がキャンセル されます。
けれども、
為替レートは+76%の円高 ですので、円高の影響が韓国の物価高+9.9%でキャンセルされる分は、ほんのわずか に過ぎません!!!
なので、
この状況下 で、
日本の鉄鋼メーカーが、韓国国内で韓国メーカーよりも安く売ることができている のが、不思議でたまらない! ということになるのです。
なにせ、↓こちらの
NIKKEI NET記事 では、
未曽有の需要減 で鋼材の市中価格は軒並み数年前の水準に下がり 、 なお底がみえない 。 …赤信号ばかりだった業界の風景には変化も 見える。 まず在庫調整の進展 。薄鋼板は3月末在庫が2カ月連続で減り、値下がりピッチが緩やか になった。 … だが…個人所得が上がらない限り、マンションや自動車の内需喚起には限界 があるし、企業が設備投資を手控える 傾向はしばらく続くだろう。仮に在庫調整が終了 しても、中国や韓国のメーカーが輸出攻勢を強めれば価格底入れが遠のくリスク もある。 (「渋滞に巻き込まれた鉄鋼市場」09年5月12日)
と
中国や韓国のメーカーが安値攻勢をかけてきて、日本メーカーが苦戦するリスク
を指摘 しています。
その韓国で日本メーカが韓国メーカーよりも安くできている のは、 まさに摩訶不思議 ですね^^;。
一つ、理由として考えられる のは
薄鋼板、建設用の異形棒鋼、H型鋼 というのは、
価格決定に関して技術力が物を言う分野 、つまり、安く作れるかどうかは技術次第
なのかも知れません。
でも、正直なところ、私は良く分からない です^^;
この辺りの事情について心当たり のある方は、是非コメント をお寄せくださいね^^
それにしても、超為替安の韓国相手に、日本の鉄鋼メーカーが安値攻勢をかけているとは、そりゃあもう驚いたよ」と思われた方は、↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)mブログランキングに参加しております。ご協力、ありがとうございます!
2009/05/11 (Mon) 13:01
今日の本当のテーマ は、「第三の道」 路線に関して、NPOとPFIの活用による行政の効率化 の話を紹介することですが、その前に、「孫子の兵法」にある「第三の道」的な記述 について紹介したいと思います。
まずは、
アンソニー・ギデンズ さんの
「第三の道」 からの再度の引用です:
新しい政治の第一のモットーは、「権利は必ず責任を伴う」 である。市民をはじめとする各主体に対し て、弱者保護を含めて、政府は様々な責任を負っている 。 しかし、旧式の社会民主主義は、無条件に権利を要求する傾きが強かった 。個人主義が浸透するにつれて、個人の権利に義務を伴わせる必要性 が高まった。 たとえば、失業手当には、積極的に職探しをする義務 が伴わなければならない。福祉制度が積極的な求職活動を妨げないようにするのは、政府の責務 である。「権利は必ず責任を伴う」というモットー は福祉の受給者だけではなく、万人が遵守すべき倫理原則 でなければならない。
福祉 に関しては、厳しすぎても、甘やかし過ぎてもダメ 、というわけです。
さて、次は
「孫子」 地形篇 四 です。
(以下、「読み下し文」と、カッコ書きで「現代語訳」を交互に)
卒〔そつ〕をみること嬰児のごとし 、ゆえにこれと深谿〔しんけい〕におもむくべし 。 (ふだん、兵卒の身体をあたかも嬰児のごとくに配慮している指揮官 であればこそ、 彼らとともに奈落の底のような危険なところへも赴くことができる のです)卒をみること愛子のごとし 、ゆえにこれとともに死すべし 。 (ふだん、兵卒の感情をあたかも愛息のように気遣う指揮官 であればこそ、 彼らもともに死ぬことが可能 なのです)厚くして使うこと能〔あた〕わず、愛して令すること能わず 、乱れて治むること能わざれば 、 (しかし、兵卒に楽をさせるばかりで使うことの出来ない指揮官 、 兵卒に同情するばかりで命令することのできない指揮官 、 兵卒が規律を乱しても罰することができない指揮官は 、) たとえば驕子〔きょうし〕のごとく、用うべからざるなり 。 (いわば、わがまま息子を育てているバカ親のようなもの です。 部隊としても、何の役にも立たない でしょう。)
【
読み下し文:金谷治氏「新訂 孫子」 、
現代語訳:兵頭二十八氏「新約 孫子」 参照です。 】
やはり、単に厳しいだけでもダメ、甘やかし過ぎもダメ とあります。
要するに、
福祉も軍事教練も 子育てと同じことなのでしょう(私には、子育ての経験がないので、あくまでも推定ですが^^;。
まあ、某有名女優さんが次男坊に月50万円だかのお小遣いをあげてたら
自宅の地下室で麻薬パーティーやってたなんて話もありしたしね…)
孫子は2500年くらい前に書かれた とされていますので、何千年も前から、これは普遍的原則 と言えそうです。
と、大げさに言わなくても、至極当たり前の話 かも知れませんが!
とにもかくにも、「第三の道」路線は極めて現実的な路線 と言えるでしょう。
ちなみに、冒頭のAFPニュース は、一見、この話と全然関係ない ように思えますが、
麻生さん提唱で始められた「国際漫画賞」 の第一回受賞作品 が奇しくも「孫子兵法」 という、孫子つながり です^^。
さて、NPO、PFI の話に入っていきましょう 1.NPOの活用による公的部門の効率化NPOはもちろん、非営利組織 のことです。
そして、政府や自治体がNPOに公共サービスを委託 することでおカネが回っているビジネスのことを「ソーシャル・ビジネス」 と言うそうです。
イギリスの失業対策 、最近では「積極的雇用政策」 という用語がよく使われていますが、
これに関しては、
最初の窓口は「ジョブセンター・プラス」 という日本の「ハロー・ワーク」に相当 する公的組織 ですが、
そのあとの、職業訓練や職業紹介 などについては、NPOが大きな役割 を果たしているそうです。
概念図 は下のような具合です(NHK番組を元に、↓私の方で考えてみました):
例えて言うなら
ゴルゴ13が、「仕事」を受けたときに報酬の半額を受け取り、残りは「仕事」が終わった後に受け取るという方式ですね。
馬(ここではNPO)に、その場で全てのニンジンを与えるのではなく て、 例えば、10km進むごとにニンジンをあげるようなもの です。
これが、10kmごとじゃなくて、100kmごとだと厳しすぎるし、100mごとだと甘やかし過ぎ という具合になるでしょう。
「ともに深谿におもむくべし」な、適度な頃合 というものがあるわけです。
そして、ゴルゴ13 のように、最後 (対象者が就業後半年のあいだ働き続ける状態)までやり遂げないと、報酬の全額がもらえない というのがミソ ですね。
2.PFIの活用による公的部門の効率化PFI とは、
簡単に言えば
公共事業に関して、民間に開業資金とノウハウを出してもらう方法 です。
⇒その狙い は
政府の財政負担を軽減 しながら、公共サービスの量と質の向上 を図る
まさに、「第三の道」を体現する行政方式 なのです。
(ただし、
このアイデアの最初の芽はサッチャー政権時代 にあったそうです。
なお、私のサッチャー政権批判は、サッチャーさんに向けたものでは 決してありません 。 あの時代は他に参考にすべき事例が存在しなかった のですから
仕方がありません ので^^;。
私の批判は今さらサッチャー政権のマネをすればうまくいくと思って真似した方々に 対してのもの です。)
政府(または自治体)と民間業者 との資金やリスクや労力の負担割合のパターンは多岐 にわたるのですが
一番シンプル なのは、
1.民間企業が出資してSPC(特別目的会社)を設立 する
2.SPCは更に金融機関から必要な資金を借りる
3.SPCが公共事業の設備を建設 し、 その後の管理運営も長期契約(20年など)で受ける
4.行政は建設+管理運営を一体的なサービスとみて、 サービスの対価を契約期間にわたってSPCに支払う
というような方法 です。
行政のメリット: ・一度に大量の資金を自分で調達しなくて済み、かつ、形式上借金を増やさなくて済む ・民間のノウハウを使って効率良く質の高い公共サービスの低コストでの提供 が可能になる
民間業者のメリット: ・普通の公共事業と違って、建設したら終り、ではなく、 長期的に安定収益源を確保 できる
のような具合です。
具体的事例は↓こちら にあります
(なお、この具体例に出てくるVFM というのは、 PFIで民間委託した方が、行政が自分で全部やるのと比べて 何%安上がりになるかを示す指標 です)
ところで、 このPFIを使うと、政府の一時の財政負担が減り、借金も増やさなくて済む のですが、
・建設コストと、契約期間中の運営費用を分割払いする長期契約
を結ぶので、実質的には、これは債務、借金が増えることと同じ です。
ただし、
・形式上、見かけ上、政府の借金が増えない、
・政府が自分でやるよりも事業費用が減らせて、
・うまくやればサービスの質の向上も望める
というメリット があるわけです。
一つ一つの事業の質を落とさずに費用が減らせれば、
より多くの、質の高い住民サービス を行う、「行政の質と量の充実」が実現できる わけですから、非常に有望な手法の一つ といえます。
なお、行政がNPOを活用する「ソーシャル・ビジネス」の市場規模 は、 先行する英国が6兆円 、日本 ではまだ2500億円 程度です(NHKニュース参照) が、日本でも徐々に広がり を見せており、
PFIについても、日本でも活用が広がりつつある 状況です。
「福祉であれ、教育であれ、子育てであれ、厳しすぎても甘やかし過ぎてもダメ、昔の戸○ヨットスクールみたいな超スパルタも、某女優さんみたいにお小遣い月50万円てのもダメ。人間バランスが大切、ご利用は計画的に」、と思われた方は、↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)mブログランキングに参加しております。ご協力、ありがとうございます!
2009/05/10 (Sun) 13:08
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英国ブレア政権「第三の道」路線 のブレーンであった、アンソニー・ギデンズ 氏。そのギデンズ さん、これまで日本のテレビや新聞などのマスメディアでは全く見たことも聞いたこともなかった のですが、 先週、NHKの経済番組でとうとうインタビュー映像 を拝見し、私、素直に感動 いたしました^^。
「第三の道」の政治の目指すべきところ は、一言で言えば、
言い換えれば、「機能する政治」 の実現です。
英国で、この「第三の道」路線が採用されるに至るまで は、
福祉偏重(量だけの充実)路線の失敗 と、サッチャーの新自由主義(質だけの充実)路線の失敗 の両方の路線ともの見事なまでの失敗 がありました。
70年代末にサッチャー政権が生まれるまでの英国 は、
「ゆりかごから墓場まで」福祉偏重路線 、基幹製造業はほぼ国営という、公的部門の量だけを追求 する社会体制でした。
この社会主義的体制 では、あまり努力しなくても生きて行ける わけですから、社会全体として効率が悪く、「英国病」 と呼ばれるような沈滞した経済情勢が長く続いていたとされています。
この生産性・効率性の悪さは、二度のオイルショックでもろに露呈 しました。
その辺りは「国債を刷れ!」でもグラフ付き書きました が、簡単に振り返っておきましょう。
日本が1度目のショックで高インフレになったあと、その経験を活かして官民一体で省エネ・効率化 を進めることで、2度目はインフレ率の抑制に成功 しました。
それとは対照的 に、英国は2度とも高インフレ になりました。 しかも、インフレ率は2度とも、OECD平均を上回ったのです。
次に、サッチャー政権発足後の新自由主義政策 は、福祉切捨て、なんでも自由競争 という路線でした。
自由競争にすれば、社会全体の効率が良くなる、という仮定 の下での、「改革」 でしたが、その効率の測定については、私の印象では「儲かるかどうか」だけを基準 にしていたように思われます。
そして、それは結果として効率の悪い、儲からない製造業を衰退 させ、代わりに、効率の良い、儲かる金融業を隆興 させるものとなったのでした。
この改革 で、
実質経済成長率は以前よりも良くなり、高止まりしていたインフレ率も下がり ましたが、失業率はサッチャー以前の5%台から10%台に跳ね上がったまま 、一向に下がりませんでした。
そこで、サッチャーは87年の選挙に向けて、86年から大規模な景気対策を実施 しました。
その結果、失業率は見事に下がり ましたが、インフレ率は一気に跳ね上がり ました。
製造業が弱いままに、積極財政を行った ために、モノの供給が全く追いつかなかった のです。
供給が需要に追いつかず、インフレ になり、モノが足りないゆえに輸入も増えて経常赤字も一気に拡大 しました。
その状況の中、インフレ抑制のためにBank of Englandは高金利政策 (金融引き締め)を行い、それが実力以上のポンド高 を招きました。
そして、その割高となったポンドがジョージ・ソロスに狙われ 、その後のポンド危機 につながったのです。
結局、サッチャーの新自由主義政策は、国全体の本当の意味での効率化・生産性の向上はできなかった のです。
サッチャー時代は、大学への予算も絞られ (サッチャー改革に賛同する経済学部には予算を積み増していましたが)、特に技術系の学部は大打撃を受け 、サッチャー時代は技術の発展が著しく遅れてしまった とされています。
つまり、サッチャー政策は、公的部門の「質」の向上を目指したもののそれは達成できず 、単なる公的部門の「量」の削減、そしてそれに伴う「質」の低下を招いた に過ぎなかったのです。
さて、 上記で振り返りましたように、英国では、大戦後から前世紀末までの50年余の間の壮大な実験 で
福祉偏重の「量」の充実という路線も、「量」の削減という路線も、そのどちらでも機能する政府は実現できない ことを、見事なまでに証明して見せた のです。
その壮大な実験に基づく大いなる反省 の下に、
質と量を追求する「第三の道」路線のブレア政権 が、1997年に誕生 したのです。
繰り返しますが、
1997年 には、
公的部門の「量」の削減による公的部門の質の向上の大失敗を経験 した上で、
量と質の両方を充実させることで、機能する政府の実現を目指す政権 が
イギリスにすでに存在 していたわけです。
小泉政権は2002年に発足 したわけですから、
すでに英国の「第三の道」政権が発足して5年も経っていた わけです。
それなのに、まるでそれが目に入らなかった かのように、英国ですでに20年も前に失敗 に終わった、「単なる量の削減による、政府の質の向上」こそが素晴らしいとする政権 が日本でできてしまった のには、今さらながら驚くばかり です。
しかも、サッチャー時代、製造業を弱くし、金融業を強くした ことが、英国の金融業依存体質という構造的弱点として残り続け 、今般の金融危機で、英国がG7の中でももっとも深刻な打撃(通貨暴落、ドル建てGDPの最も激しい下落率)を受けることにつながった と考えられるわけですから、
今さら新自由主義は本当にご勘弁願いたい ものです。
ブレア政権下のイギリスと、同時期の緊縮財政政権下の日本の対照的な結果 (実質所得の増・減や、貧困率の改善・悪化)については、「国債を刷れ!」で紹介したとおり です。
製造業の強い日本 で緊縮財政などせず、英国同様の「第三の道」の「量と質の両方の充実」 をやっていれば、本来ならば英国以上の成果を出していたはず です。
なお、イギリスからは「第三の道」路線は学ぶべき ですが、
製造業を弱らせて金融だけで生きて行くということ だけは、サッチャー政権後半の高インフレや、今般の英国の通貨危機からも明らか ですので、絶対に学ぶべきではない でしょう。
次回 は、「国債を刷れ!」では書き切れていなかった 、「第三の道」路線の公的部門の効率的運用の具体例 (NPO、PFIの活用)について紹介 してみたいと思います。
最後 に、
冒頭のAFP記事 から、
もう一つの「第三の道」的発想 について
紹介 してみます:
英首相は、反社会的な行動を撲滅 しようというキャンペーン を行っている …イギリスの社会に「尊敬の念」を広める ための多くの手段を打ち出した。 これを政権第三期の中心テーマ にしようという考えである。「よたもの的な」あるいは「粗野な」振る舞いを追放 するために、問題のある家族が「重大・執拗・深刻」な迷惑行為を行った場合 には、立ち退きを命じ、かつ福祉政策の恩恵を施すことを拒絶できる ようにしようという狙いである。 こういう取り締まり方法は、従来は、麻薬関係の犯罪に関してのみ行われていたものを、この分野にも拡大 することになった。 (AFP 2006年)
「第三の道」の福祉 は、
・国民のやる気を殺がない こと、
・努力、社会への貢献をしている、またはしようとしている人にだけ報いる (障害者福祉を除く)
というのが基本姿勢 ですが、この基本姿勢に沿っている とは言え、「良い子にしてないと、福祉もカットじゃ~」というのは実に面白い発想 ですね(日本でこんなことをしようとすると、賛否両論あるかも 知れませんが…)。
新自由主義者の口癖 に
「ケインズは死んだ!」だから、積極財政はもう古い 、というのがありますが、
私は
そんなことを言う人には、このように言い返したい と思います
「そうですね。でも、新自由主義の大権現、フリードマンも死にましたよ。3年前に74歳で。」 「ケインズもフリードマンも死んだ!」が正解だよね、と思われた方は、↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)mブログランキングに参加しております。ご協力、ありがとうございます!
2009/05/08 (Fri) 21:35
本日東京日帰り出張中です。 「仕事」終了後、久々に量販店のデジタルカメラ売り場を徘徊してました(もと、業界の人間でしたので^^;)。 デジカメ世界シェア2強はキヤノン、ソニー(06年は間違いないですが、最近のデータは外出中のため調べ切れてません。現在は違っているならご指摘お願いしますm(_ _)m。もしかしたらニコンが食い込んでいるかも知れません。)です。 他のメーカーはパナソニックを除けば、ことごとく中国やベトナム、インドネシアあるいはタイ製になっていました。 以前、当ブログのコメント欄で、「日本の人件費は高過ぎる。日本の製造業は絶対に海外に出ないと持たない」、という説と、「いやそんなことはない」、という説の議論になっていたのですが、 上記デジカメ世界二強のデジカメをひっくり返して底の方を見ると、コンパクトも一眼レフも、どの機種も「MADE IN JAPAN」の刻印がありました。 私の所属していたメーカーは、中国などで生産していましたが、なかなか利益があがりませんでした。それなのに、日本生産のキヤノンのカメラ事業がビックリするような利益率をたたき出していましたので、いつも羨ましく思っていたものです。事業企画部門にいた私は殊更に強い関心を抱いていました。 デジカメは以前から1機種は半年で終わり、次の機種を出さないと行けないような、変化の早い製品でした。今ならもっと回転は早いかも知れません。 そのくせ、エレクトロニクスと光学を組み合わせたハイテク製品ですので、開発には長期間かかります。利益を出すには、リードタイム(企画・開発から生産立ち上げまでの時間)をいかに短くできるかが命です。 早く立ち上げないと値段が高いうちに売ることのできる数が減り、大きな機会損失が生じてしまうのです。 企画・開発が国内、生産が国外だと、人件費など見掛けのコストは安くなりますが、リードタイムという見えないコストは著しく不利になります。特に変化の早い製品は非常に大きな不利になります。変化の速い製品の場合、製造ラインの立ち上げの速さでメーカーの強さが決まります。 だから、海外生産が有利かどうかは、製品の種類や性質によって全く異なります。というのが、答えでしょう。 繰り返しますが、デジカメ世界二強はメイド・イン・ジャパンです。 それに、デジカメ市場が成熟し、ありふれたものになってくる(コモディティー化)と、「メイド・イン・ジャパン」はかなり強力なセールスポイント、差別化要因となるでしょう。特にあまりカメラの知識のない人が顧客層の中心であるコンパクトデジカメは。 私なら、2、3千円程度高くても、迷わずメイド・イン・ジャパンを買うと思います。値段が同じなら尚更ですね^^。 また、今日の「仕事」の打ち合わせのときにたまたま仕入れた話では、最近では衣料品でも日本製が増えて来ているそうです。私は全く気付いていませんでしたが^^;某国製は縫製が甘く、すぐほつれるとか、色々あるらしいです… 「メイド喫茶も良いけど、メイド・イン・ジャパン万歳!今度デジカメ買う時はとりあえずひっくり返してMADE IN JAPANかどうか、すかさずチェッキンぐぅ~」と思われた方は、↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)mhttp://blog.with2.net/in.php?751771 ブログランキングに参加しています。ありがとうございます! 「国債を刷れ!」のご購入はこちらです↓http://www.amazon.co.jp/dp/4883926788
2009/05/06 (Wed) 14:31
今日は、借金 に焦点を当てます。
以前、97年度(98年3月)以降のものだけを示しましたが、
今回は、80年3月以降の国内主要部門の負債合計(単位:兆円) の推移を示します
(出典:日銀「資金循環統計」。
なお、負債側に計上されている株式・出資は控除している)
↑このグラフで面白い のは、
1.負債総額の増加ペースが、バブル崩壊後は緩やか になっていること。
2.政府が緊縮財政に舵を切った後 は、 負債総額が、増加を止め、ほぼ横ばいになっていること
です。
ということで、国全体の負債総額 (厳密には主要部門でけですが)と、政府支出、GDPの推移 をグラフ にしてみますと:
政府支出が横ばいになったあと は、GDPも横ばいで、国全体の負債総額も横ばい となっています。
さて、
誰かの負債は他の誰かの資産
という原理原則 に従って考えますと、
負債総額が増えるということは、資産総額が増える ということですね。
もちろん、負債の相手が海外の場合も ありますが、日本は対外純資産が大幅にプラス ですから、日本では、負債総額が増える以上に資産総額が増えている となります。
ここで、国内主要部門の資産総額(金融資産のみ。単位:兆円) も一応見ておきましょう:
資産総額(金融資産のみ)も、負債総額と同じように推移 しています。すなわち
1.資産総額の増加ペースが、バブル崩壊後は緩やか になっている。
2.政府が緊縮財政に舵を切った後 は、 資産総額が、増加を止め、ほぼ横ばいになっていること (98年以降は浮き沈みが激しい ですが、長期的には「横ばい」 と言えそうです) です。
もう一つ、付け加えておきますと
3.98年までは一貫増加だったが、98年以降は浮き沈みが大きくなっている
といえますが、これは、
98年ころから金融ビッグバン(金融自由化) が本格化し、色々な金融商品が出回り 始め、時価評価の金融商品が全体に占める割合が大きくなった から、と考えられそうです。
さてさて、金融自由化 って、何のためにやったかというと、もちろん、経済活性化のため です。
そして、その金融自由化 で経済活性化したかというと、
GDP横ばい、負債総額も横ばい、金融資産も横ばい
です。
あと、01年から06年 にかけては、あの「量的緩和」というものすごい金融緩和 もやっていたわけですから、
金融自由化+金融緩和
というダブルパンチ でも、経済活性化は出来なかった わけです。
なにせ、この時期、日本の名目GDP成長率は世界最低 (実質でも下から数えた方が早い)でしたから。
結局、ボトルネック は
政府支出を横ばい→削減
と考えるのが自然 ですね。
#なお、私は別に金融ビッグバンを否定するわけでもなんでもありません。 #金融ビッグバンだけでは経済は活性化しない、という見解 です。
さて、もう一度、負債 に視点を戻します。
今度は、主要各部門の負債が、国全体の負債に占める割合 の推移です。
ここの注目点 は、
・バブル絶頂の時、政府の負債が全体に占める割合は最低 であった。
・バブル崩壊後は、政府の負債が全体に占める割合は増え続け ている。
あと、
グラフだけだと分かり難いので、表も用意 しました:
ここの注目点 は、
・家計と金融部門の割合はあまり大きく変化していない が、
・非金融企業の負債の割合は減り続け、政府の割合はバブル期を除き増え続け ている。
ここまでまとめると、政府支出の増加=GDPの増加=国全体の金融資産総額・負債総額の増加
政府支出が横ばい=GDP横ばい=国全体の金融資産総額・負債総額も横ばい
となります。
今回掲載したグラフを改めて眺めてみると、問題は国の借金が増えることなんかじゃなくて、 問題は、「政府支出が横ばい=GDP横ばい=国全体の金融資産総額・負債総額も横ばい」であったということが、改めて確認できた と思いますが、いかがでしょうか?
別の角度 から言えば、
問題は、政府の借金が増えるか減るかではなく、国全体の負債総額を増やせるかどうかとなろうかと思います。
そして、
その手段は、政府支出の拡大をおいて他にないです。
なお、近頃では政府の借金を増やさずに民間資金を活用して公共事業を行うという手法 も広がりつつあります。 (ただし、その場合でも政府の経費的支出は増加 するので、最終的には政府支出増加 ですが、政府機能の効率の向上 が望めます) ↑これはまた、後日 取り上げたいと思います。
「政府支出を増やすのを止めた途端、GDPのみならず、国全体の金融資産・負債総額も増えるのがピタッと止んでいるとは、驚いた!」と思われた方は、こちらのリンクのクリックをお願い致します↓ m(_ _)mブログランキングに参加しております。ご協力、ありがとうございます!
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