2009/06/27 (Sat) 19:00
3000年くらい前までは、
例えば、中国では、商王朝最後の王である「紂(ちゅう)王」の時代に、
巨大倉庫に積み上げられた穀物を裏づけとして貝殻を貨幣とするまでは、
そもそもおカネそのものが存在していません。
(余談ですが、最初のおカネが貝だったからこそ、
財、貴、貯、買といった、おカネ関係の漢字には、貝が付いているわけです)
その紂王以前の時代にはおカネが存在しないので、当然、金融資産も負債も存在しません。
それを思えば、おカネや借金というのは、マクロで考えれば幻想でしかありません。
おカネというものは、皆が価値があると思うから価値があるだけです(もちろん、ミクロでは住宅ローンなどの借金は、現実のものとして考えなければ痛い目に遭います。念のため)。
そして、
その前提がなければ、借金というものにも意味が出てきません。
おカネの価値というのは、
あくまでもモノ・サービスといつでも交換できるという確証を持っているからこそのものです。
国にとって重要なのは、いま金融資産がいくらあるか、とか、借金がいくらとかではありません。
重要なのは、
モノ・サービスを供給する力、いわば、
「物々交換能力」
とでも言うべきものです。
日本は、基本的に輸入より輸出の方が多いわけです。
つまり、輸入するモノより輸出するモノの価値の方が高いわけです。
ということは、日本は他国より相対的に物々交換能力で優位に立っているということになります。
そして、
日本は世界屈指のデフレ状態、つまり、供給力過剰状態ですから、物々交換力が有り余って使い切れていない状態ということになります。
その余っている「物々交換力」を解き放つためには、需要を増やせば良いだけです。
その手段として、無から有を生じる、ハンドパワー、信用創造でおカネを増やし、政府が財政出動(支出増加or減税)すれば良いだけということなのです。
国の借金には上限があるという事実無根の風説を信じて、
「これ以上国は借金できない、これ以上福祉は増やせない、これ以上国は有効な景気対策や技術投資が出来ない」と思い込むのは、
まるで、
国民が、本来は取るに足りない存在でしかない「国の借金」の「奴隷」になっているようなものです。
国の借金は、単なる道具、手段、方便に過ぎません。
我々国民こそが「国の借金」の「主人」であり、国の借金は、我々の「奴隷」に過ぎないのです。
ここを間違ってはいけません! 政府がやるべきは、その奴隷たる「国の借金」を適切に使いこなし、
国全体の「物々交換能力」を将来にわたって維持向上し、
国民生活に必要なモノやサービスを供給し続ける力を千代に八千代に維持向上することです。
エイブラハム・リンカーンが戦争までして「奴隷解放宣言」を出してからもう150年くらい経っているというのに…
「いまさら『国の借金』という、信用創造の仕組みを考えたら、実体すらないような蜃気楼のようなものの奴隷のように生きさせられるなんて、まっぴら御免! 今必要なのは、【第二次 奴隷解放宣言】だ!」と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/06/27 (Sat) 18:58
答え:
限界はありません。無限です。
これで終わっても良いのですが、それだと
ミもフタもないので、
いろいろ書いてみます(笑)。
以前、
「質問コーナー」のコメント欄で
「国債発行の上限」について私が書いていたことを↓流用しつつ、
そのあとで、国債発行による信用創造でおカネが増えていく仕組みをもう一度考えてみようと思います。
(国債発行残高には)上限というものはありません。
というのは、
マネーというのは中央銀行のベースマネーや政府の国債発行+財政出動によって増えてゆくからです(信用創造)。
重要なのは絶対量よりも、単位時間当たりの発行量、
つまり、
増発のスピードです。
今の日本のGDPで考えると、
1980年からの15年間のイタリアでは2500兆円、
二次大戦アメリカの5年間では1000兆円を超えて
国の借金が増えました。
このようなものすごいペースで国の借金を増発しても
大したインフレ率はならなかったわけですから、
その辺りがスピードの目安になるでしょう。
スピードの測定をインフレ率を使って、国債発行+財政出動のスピードを調節すればよい
というわけです。
この辺りは、
[バブル景気がヤバいくらい加熱したときは、それを緩和するために、
政府の歳出を削減して政府を黒字化すれば良い]という
で書いた内容と重なります。
さて、
国債発行+財政出動による信用創造でマネーが増える様子は、以前、
において、↓下のような図を描いて説明しました。が、

今回はまた別の図解を用意してみました。
上の図において、
出発点は、日銀の民間銀行へのベースマネー供給です。
簿記の仕訳を書いて見ましょう:
日銀:
(資産増加)民間銀行への貸付金 1兆円/(負債増加)当座預金 1兆円
民間銀行:
(資産増加)日銀当座預金 1兆円/(負債増加)日銀からの借入金 1兆円
↑この、日銀の
「民間銀行への貸付金 1兆円 / 当座預金 1兆円」
という
仕訳、以前にも書きましたが、
極めて重要なことですので、繰り返しますと
無から有を生じています。
この
「当座預金」を帳簿上で仕訳を切るだけで、
おカネが創り出されるのです。
具体的には、サーバーにつながっている端末のキーボードでカチャカチャ打ち込むだけです(と勝手に創造、じゃなかった、想像しています^^;)。
まさに、
ハンドパワー、手力(てぢから)で、マネーが創造されるのです。
もしかしたら、
書類をプリンターで打ち出して、ハンコを押したりするのかもしれませんが、それでも、
ハンドパワーだけで済むことに変わりはありません(笑)。
そして、
今回、初めて書いてみた部分があります。
民間銀行が他の民間銀行に
おカネ=日銀当座預金
を移しているところです。
上図では、政府→国民に預金が回っていく様子を書いています。
これが行われるには、同時に銀行から他の銀行にも資産が移らないと、できないわけです。
そのことについて、上図では、
民間銀行にとっての資産である「日銀当座預金」が
銀行から銀行へ渡り歩いて行くという形で書いているわけです。
で、上図の民間銀行を全部ひっくるめて一つの民間銀行と考え、
上図をまとめてみると、
日銀、民間銀行、政府、国民を全部連結した、
↓国全体の連結貸借対照表が出来るわけです。
さて、↑この図の民間銀行のところを良く見てみて下さい。
日銀が、
貸付金 1兆円 / 当座預金 1兆円
と仕訳を切って、ハンドパワーでおカネを増やしているのと、全く同じように、
民間銀行は、
国債 9兆円 / 預金 9兆円
という仕訳、ハンドパワーで「マネー」を増やしていることが分かります。
これは、
政府が、借金(国債)を負うことで、銀行に資産を提供し、同時に、
政府が、借金をして調達した資金を使うことによって、国民に資産を提供する、
つまり、政府は、銀行にも、(一般)国民にも、両方に資産を提供していることによってなされています。
そして、
銀行は、
提供を受けた国債という資産と同時に、
国民からの預金という負債を両建てで負うわけです。
日銀、民間銀行は、ともに、資産と負債を両建てで増やす。
この仕組みと同時に、政府が負債だけを負う。
これによって、
一般国民が資産(純資産)、つまり、貯蓄を獲得する
この一連のおカネの流れが、日銀ベースマネー増加+国債発行+財政出動による信用創造(Money Creation)です。
そして、
別の見方をすれば、
国の借金は、国家経済を拡大・成長させるためのマネー増加の「相手方」、いわば副産物
とも
見ることが出来ますね。
さて、
以上のような仕組みがあるので、
国債発行額に上限などありません。
「上限」があるとすれば、それは絶対量ではなくて、スピードです。
スピードとは、言い換えれば、単位時間あたりの「国債発行+財政出動」の金額です。
そのスピードをインフレ率を見ながら適正に調整するのが政府の役割です。
政府の役割は、間違っても、
国債発行限度額には上限がある――たとえば、何の根拠もなく「上限は1000兆円」――と国民に吹聴したり、
「国債発行額には上限があるので、政府は財政再建をする責任がある」などという事実無根の絵空事を国民にあたかも国家の最重要事項であるかのように信じ込ませたりすること
などではありません。
なんと言いますか、
国の借金できる金額に上限がある、という説は、
まるで
コロンブスがアメリカ大陸を発見する以前の古代人が
「海の果ては断崖絶壁のようになっていて、下のほうで悪魔が手ぐすね引いて待ち構えている」というのを
信じていたのに似ています。
元々が「信用創造」という無から作り出されているマネーの「相手方」として出てきた副産物のようなものなのだから、「国の借金」に最初から上限など有ろうはずがありません。
2009/06/25 (Thu) 19:02
アクセス解析
本題に入る前に、本日日経新聞2面から
【自民、歳出拡大の要求続出】
自民党は24日の政調全体会議で、
来年度予算の概算要求基準について党内から意見を聴取した。
骨太2009で社会保障費の抑制方針を撤回したことを受け、
出席者からは歳出拡大を求める声が続出。
保利耕輔政調会長が
「財政への責任を考えてほしい」とけん制したが、
財政再建の必要性を指摘する意見は少数だった。
自民党、素晴らしいですね。
保利先生、財政への責任より、国家経済拡大の責任を考えましょう。
政府の財政赤字拡大は民間の黒字拡大ですので^^。
引用、続けます:
会議では
尾身幸次元財相が
「景気対策優先のスタンスを明確にしてほしい」
と述べ、
公共事業費の積み増しを要請。
小池百合子元防衛相も
「東アジア情勢が厳しいなかで防衛費を削ると各国に間違ったメッセージを送る」
と指摘するなど各分野で歳出拡大の要求が相次いだ。
さて、
尾身さんは、
安倍内閣の財務大臣で、
歳出面では、一般歳出について、徹底した歳出削減方針を貫き、…
我が国の財政状況を見れば、決して楽観視できるような状態ではありません。
国・地方を合わせた長期債務残高は、
平成19年度末で773兆円、
対GDP比で148%になると見込まれ、
主要先進国の中で最高の水準…
第166回国会における尾身財務大臣の財政演説 と、「徹底して歳出削減」だったようですが、
ここに来て大幅に方向転換なさったご様子。
小池さんは…、
たしか郵政民営化反対の小林興起さん向けに送られた「刺客」でしたので、
バリバリ歳出削減バンザイだったと思いますが
緊縮財政で、いかに政府のムダを省くかに腐心してきたが、
…
GDPマイナス12.7%の数字は、あまりにもショックが大きい。
ムダ排除は当然だが、文明の潮目において、何を優先するかを再考すべき時だ。
もはや蜂に刺された程度でも、全治3年でもない。
ここは政策を総動員する場面であることを心したい。
ということで、
どうやら「文明の潮目」で「宗旨替え」なさっているご様子。
尾身さんも、小池さんも、
空気を読んで、方針転換なさることは、
いつまでたっても壊れたレコードのように
「財政再建さえすれば、何もかもがバラ色」という
財政再建教(増税教)やコーゾーカイカク教(歳出削減教)のお花畑なお経をひたすら読み続けるよりは100万倍良いですので、
私はあえて何も申しません。
それにしても、小池さんの
「東アジア情勢が厳しいなかで防衛費を削ると各国に間違ったメッセージを送る」
というのは、実に素晴らしいと素直に感じ入る今日この頃でありました。
さて、
本題です。
プライマリーバランスの黒字化
は、
元々は竹中さんが言い出したことで、
つい最近まで政府の基本方針となっていました。
竹中さんの「慶応大学経済学部の講義テキストにも採用!」
と銘打っている「闘う経済学」と言う本のp.70あたりに、
その理論的背景が書いてありますので、見ておきたいと思います。
といった内容が書かれています。
そして、同p.72に、まとめ書きです:
だから、要するに、
プライマリーバランスを回復させれば、
名目経済成長率が金利に等しいか、もしくは高くなれば、
財政赤字・GDP比率の発散を防ぐことが出来る、
すなわちサスティナブル(維持可能)にできることになる。
これをドーマーの条件という。
だそうです。
えーと、
つまり、
1.財政赤字のGDP比ないしは公的債務のGDP比を発散させないという目的のために、
その手段として、
2.プライマリーバランスを黒字化する。
そのプライマリーバランス黒字化のために、
3.歳出削減をする、
という理屈です。
ここでの大注目は、竹中理論でも、
公的債務GDP比を増やさないことが目的
PB黒字化はあくまでもその手段に過ぎない
ということです!ところで、
公的債務GDP比を減らすには、
PBを減らすのではなくて、逆に、
政府支出を増やし、乗数効果によりGDPを政府支出以上に増やす
という方法もあるわけです。
竹中さんが歳出削減にこだわった理由の一つは、
政府支出の増分に対するGDPの増分の倍数、つまり、乗数が以前よりも小さくなったことです。
p.33に
1970年代前半まで3以上の時もあった乗数は、次第に低下して、
1998年に公表された内閣府のマクロモデル(「短期日本経済マクロ計量モデル」)では、
1.2程度になっている
とあります。
その、
内閣府のマクロモデルの「1.2程度になっている」乗数で計算しても、
公的債務GDP比は、
公共事業を増やした方がむしろ小さくなる、という話は
で書きました。
この記事を改めて読んでいただくと、
プライマリーバランス黒字化
がいかに奇妙な目標設定かが改めて分かっていただけると思います。
上述のように、プライマリーバランス黒字化というのは、
公的債務GDP比を増やさない(発散させない)
という目的のための手段でした。
しかし、
いつのまにかプライマリーバランス黒字化という手段が「目的化」してしまい、
内閣府のマクロモデルによるシミュレーションで、
公共事業を増やせば、
本来の目的である公的債務GDP比がマシになるのが分かるのに、
公共事業を増やすと、
シミュレーションでも財政赤字が悪化するので
公共事業は削減すべし、歳出全体も削減すべし
というあらぬ方向へ政府全体が動いてしまっていたのです。
一方で、
竹中さん、この本のp.38でこんなことも書いています。
たとえば、国債を発行して政府支出が増えると国民が保有する資産(国債)が増えることになる。
資産が増加すると、消費余力が増えたと考えて、
資産を担保に借金をして消費を増やすという効果が生じるだろう。
つまり、国債発行は資産増加を意味し、それが消費を増やすという効果を生むのである。
「資産を担保に借金をして消費を増やす」というステップを踏むまでもなく、
政府の支出が増えれば、国民の収入がダイレクトに増えますので、
消費を増やす効果があるはずです。
(もちろん、消費性向の高い低所得層や子供のいる世帯に重点的に配分できれば、効果はより高まります)
が、
その前に、
国債を発行して政府支出が増えると国民が保有する資産(国債)が増える
と、
竹中さんが書いていることに注目したいと思います。
「国債発行で国民の資産増加する」ということは、
公的債務のGDP比がどうなろうと、公的債務がどれだけ増えようと、国債・公的債務はファイナンス(資金調達)可能なはずですよね。
ということは、
公的債務GDP比なんて、最初から気にする必要ないじゃん!
と思うのは、私だけでしょうか???「マスコミ諸氏は、『骨太方針09は財政健全化が骨抜き』と批判するけれど、財政健全化なんて、『骨抜き』どころか『骨なし』で良いよ。 大体、PBの黒字化って公的債務GDP比を増やさないための手段じゃん。 で、内閣府のマクロモデルで乗数効果が昔より落ちてるから公共事業はダメということになってたけど、その内閣府のマクロモデルでは公共事業増やした方が『目的』である公的債務GDP比が減ることになってるから、『手段』であるPBの黒字化なんて最初から全く無意味じゃんかよう!!!」と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/06/24 (Wed) 11:27
アクセス解析
政府支出の効率の問題については、
これまで何度も繰り返し書いてきました。それともう一つは、
イギリスが
大戦後50年以上の紆余曲折、すなわち
福祉偏重の社会主義的な「甘やかしすぎ」なあり方で失敗。
その反動で取られた新自由主義路線の「厳しすぎ」なあり方でも失敗。
という壮大な「実験」を経てようやくたどり着いた
政府はしっかりカネは出す。
しかし甘やかさない。
努力している人、成果を挙げた人にだけ報いるという
「第三の道」の、効率を損なわない政府のあり方
についても、繰り返し述べてきました。
↑この記事では、↓下のような図を用いて、
政府はカネを出すが、成果を出さない限りはカネは渡さないスタイルでの
NPOの活用について説明しました。
ポイントは、
・政府はしっかりカネを出す
・競争原理もしっかり働かせる
・それによって、国家にとって必要な成果物が獲得できる
(上記の例では、失業者がスキルを向上させながら就業し、国力増強に寄与すること)
ということになります。
エコカー減税も、エコポイントも、政府はカネを出すが、
メーカー企業は、寝ていてもカネをもらえるわけでなく、
競争し、技術にも磨きをかけて行く必要があることには変わりはない。
しかし、
政府が消費者に補助金を出す形で市場が拡大することでそれら企業は確実に潤うし、それがあってこそ将来に向けた技術投資も行うことができる。
これにより、競争原理や効率性を損なうことなく、国にとって将来必要な技術も磨かれることになる
ということで、
・政府はしっかりカネを出す
・競争原理もしっかり働かせる
・それによって、国家にとって必要な成果物が獲得できる
(ここでは、将来必要な技術が磨かれること)
のポイントにしっかりはまっているわけです。
さて、
このようなウマい金の使い方についての視野を広げるために、
歴史上の事例を拾ってみましょう。
木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉)による清洲城の石垣修復工事
です。
ときは戦国。
いつ敵が攻めてくるか分かったものじゃありません。
なのでこの石垣工事、可及的速やかに完了させる必要があるのですが、
他の織田家家臣たちが監督しても全然工事がはかどらず、というより失敗ばかりしていました。
そしてあるとき、
遂に藤吉郎が担当となり、
以下のようにして、見事なまでにうまくやりました:
・工区を区分し、人夫をチーム分けしてそれぞれの区分を担当させた
・最も早く仕上げたチームには、藤吉郎がポケットマネーから報奨金を出すと宣言した
・すると、どのチームも一生懸命頑張って作業をしたので、あっという間に修復工事は完成した
・最後は、人夫全員に酒を振舞い、労苦をねぎらった
この藤吉郎の「ポケットマネーから報奨金」を
政府による財政出動と考えれば、
見事に「第三の道」路線の財政出動ですね^^。
そもそも、
藤吉郎は政府たる「織田家」から扶持をもらっていたのですから、
そのポケットマネーの出所も、元々は「政府からの支出」です^^
全体として生産性が見事に向上し、
一番恩恵を受けたのは一位のチームですが、
他の皆もしっかり恩恵を受ける形となっており、
非常にうまいやり方でした。
・政府はしっかりカネを出す
・ただし、競争原理もしっかり働かせる
という原理により、
・「清洲城石垣の修復」という「国家」の存亡にとって必要不可欠な「成果物」が獲得できた。
というわけです。
以前にも当ブログで述べましたが、
旧ソ連の競争なき計画経済でも、毎年実質4%くらいの成長はあったわけです。
しかし、
競争がなかったがゆえに技術が磨かれず、
西側との技術格差が致命的な水準に拡大し、
西側との競争には全く歯が立たず、にっちもさっちも行かなくなり、
社会主義体制が崩壊したわけです。
また、
新自由主義のように、
なんでもかんでも民間に任せていれば良い、と言う発想でも国家運営がうまく行かなかったのは
サッチャー政権下の経済指標の推移を見れば余りにも明らかだったわけです。
でも書きました。
サッチャー政権では、結局、
利益至上主義となり、儲かる金融業が優遇され、儲からない製造業が冷遇され、
国にとって必要な技術は磨かれずじまいでした。
「地球の反対側の国のサッチャー流『競争原理』より、自分の国の太閤殿下流『競争原理』に学びたいと思う、今日この頃」と思われた方は、↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/06/23 (Tue) 15:14
本日(09/06/23)の日経新聞1面トップの見出しです:
【社会保障抑制を撤回】
【来年度予算 歳出圧力強まる恐れ】
【政府・与党】
遂に、
「社会保障費の年2200億円の自然増抑制方針は撤回」されました。
これでようやく、
【14病院が搬送拒否 兵庫・伊丹の男性死亡】…
自転車で同市内の県道を横断していた男性は
バイクと衝突、
全身を強く打って重傷を負った。約10分後に救急車が到着し、
救急隊員が現場で大阪、兵庫両府県の5市14病院に受け入れを要請したが、
「専門医がいない」、「ベッドに空きがない」などの理由で
断られた。
(
産経新聞2009/02/04)
というような事態が起こる異常な状態が改善されてゆくでしょう…
国の借金は国民の資産です。
国の借金が増えることは、国民の資産が増えることです。
なのに、
財政再建論者の皆さんは
国の借金が大変だという意味不明なことを言い立てて、
社会保障費を始めとする歳出を削減ないし抑制し、
交通事故で救急車を呼んでも、病院で受け入れてもらいないというような、
国民を危険極まりない状況に陥れていたというわけです。
言語道断というべきです。
今現在も「財政再建バンザイ」の皆さんには、
自分自身が仮に交通事故で死にかけているときに、
「予算不足で医師が足りない、ベッドが足りない」という理由で片っ端から病院に「受入拒否」されないためにも、
是非、改宗して頂きたいと思う今日この頃であります。
ちなみに、
日経3面には、
「社会保障費抑制」撤回の背景について、こんな記事も:
【選挙控え自民焦燥】
【支持団体に配慮 政府を押し切る】
歳出抑制目標を巡る攻防は、
秋までに必ずある衆院選を控えて焦燥感を募らせる自民党が
政府を押し切る形で決着した。
自民党は中長期の財政再建より票田となる支持団体への配慮を優先。
政策転換をアピールした。
「自民党は昔から最後は全体の良識が働く。骨太06堅持を強く期待する」
22日午前、与謝野財相は記者会見で期待感を示した。
だが楽観ムードはつかの間に終わった。
…
歳出拡大で押し切った「自民党」及び圧力をかけた「支持団体」の皆さんへの注文:
その歳出拡大の要求は、自分のところの利益だけでなく、
・そもそも国の発展のためには、国の借金とか財政再建とかを気にすること自体が間違い
・政府の支出増加は民間の収入増加だ!
・政府の借金増加は国民の資産増加だ!
・政府が黒字で政府の借金よりも政府の金融資産が多くても経済が破綻した
アイスランドを見ろ!
経済全体が健全でいられるかどうかは、政府単独の借金ではなく、
政府と民間を合わせた、外貨建ての対外債務と対外資産のバランスだ!!!
という主張をセットにした上で、
「もっとカネ寄越せ。有りガネ寄越せ。カネがなければ国債を刷れ!政府紙幣を刷れ!
そうすれば、我々だけでなく、反対している皆さんを含めた国民全体が潤うのです!!!」
と声を大にして言いましょう^^
政府の歳出拡大は、
財政再建教信者であろうが、
コーゾーカイカク教教徒であろうが、
思想・主義・信条・職業・資産状況を問わず、
1億3千万の全ての日本国民にとって、共通の利益です。
「日経1面トップの見出しは『来年度予算 歳出圧力強まる恐れ』ではなくて、『来年度予算 歳出圧力強まる期待』にすべきではないかしら」と思われた方は、↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/06/22 (Mon) 18:15
販売台数が落ち込んでいる原因の日米比較
アメリカは、
売れない最大の要因が
金融機関の貸出し態度
というのが
非常に興味深いですね。
ということは、逆に、金融機関がガンガン自動車ローンを貸し出せば、
クルマが売れるということになっちゃいますよね、これ…
アメリカ人って、カネ貸してくれるって言われたらホイホイ借りちゃう人が余ほど多いのでしょうか…
アメリカの場合、住宅ローンも自動車ローンも少しくらい「貸し渋り」した方が、きっと経済は安定するのではないかと拝察仕りますが、いかがなものでしょうかね…
一方、
日本は
銀行がカネを貸してくれる、くれないでは
なく、
マインド
が
大きく足を引っ張っている模様です。
で、今回の危機後の「マインド」が足を引っ張っているところとの対比で、
97年の消費税導入前の消費税導入後の急激な落ち込みの部分では、
思いっきり「価格」が足を引っ張りまくりになっているところが面白いですね。
消費税増税がいかに消費を阻害したかが如実に現れています
それに、
89年の物品税廃止と消費税導入時の、つまりは、自動車に関しては実質減税後の急激な伸びも非常に面白いです。
こちらは、「価格」が思いっきり販売台数を伸ばしているわけです。
この時代、「所得」の伸びもその次に大きな要因になっているのが特徴的ですね。
この要因分析グラフは今年の第1四半期、つまり3月までのデータで、4月以降の販売台数回復の部分まではデータがないです。
内閣府のこのレポートを作成された方は、このマインド要因の中で「減税で買い控え?」とコメントしていますが、それはあるかも知れないですね。
でも、きっとそれだけでもないでしょうが、
マインドってなんでしょうね?
おカネあることはあるけど、この先どうなるか分からんし、クルマ買うのもちょっとねえ
というのも大きいのではないかなと思います。
この辺りはまた第2四半期(4-6月)のデータが出てくればはっきりするのでしょうが…
おカネあることはあるけど、この先どうなるか分からんし、クルマ買うのもちょっとねえ
がクルマを買わない最大の要因だと仮定しますと、
これを取り除くにはどうしたら良いでしょう?
もちろん、将来にわたって賃金が安定すると期待させることですよね?
そのためには何をすべきか?
もう一度1990年前後の「販売台数大増加」の状況を振り返って見ますと、
「価格低下(物品税廃止)」「所得増加」で「販売台数大増加」となったわけです。
さてさて、
「価格低下」はとりあえずエコカー減税でやっているわけですから、
あと必要なのは「所得増加」ですね。
以前出しました、民間の給与総額と政府支出の関係を示したグラフ、
もう一度見ておきましょう:
「結局、本当は問題でも何でもない『国の借金』について、問題にするのを止めるだけで良いんじゃないのかな^^」と思われた方は、↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/06/22 (Mon) 18:13
「孫子」虚実篇に、
人を致して、人に致されず
というのがあります。
人を「してやって」も、人に「してやられるな」
人を乗せても、人に乗せられるな、
くらいの意味ですが、
私、今回の政府の「エコポイント」には、まんまとしてやられました。
う、うかつにも、地デジ対応液晶テレビを、か、買ってしまったのです。
うっうっうっぅ~
いやあ、今までアナログテレビに慣れ切ってしまっていたのですが、
デジタル放送は画像が本当にきれいですねえ
そして、私、全然知らなかったのですが、
地デジって、UHFのアンテナがあれば映るんですね。
我が家は築35年のオンボロマンションなので、
アンテナをいじくり回さないと地デジなんて大層なものは映らないとばかり思っていたのですが、
今回、エコポイントに「致され」てから
電気屋の兄ちゃんに聞いたら、
「サンテレビ(神戸の地方マイナー局)が映ってたら、ほぼ間違いなく、アンテナそのままでも地デジは映りますよ」
と教えてくれ、
しかも、
「古いテレビの廃棄の料金分もエコポイントで9割がた還元されます」
とかいうので、その場で即決即断してしまいました。
ま、それはさておき、
UHFアンテナのように、
既存のインフラ(?)の上に、新しい技術をのっけて来ているのは普及が進みやすいという点で、ビジネスの観点からすると非常に面白いですね。
で、
買ったテレビはパナソニックだったのですが、
そのパナソニックのカタログを見ると、
このテレビ、LANケーブルでインターネットにつなげられるらしいのです。
それでもって、
テレビとパソコンが別々の部屋にある場合などで、
LANケーブルの接続がむずかしい場合
もありますよね。
で、そんな場合は
PLC(電力線搬送通信)アダプター
なるものを使えば良いですよ、と書いてあります。
これ、
家庭用のコンセントを使って、LANケーブルのように通信できるようにするシロモノです。
何年か前に、そんな研究をどこかの電力会社がやっているのを
何かで紹介していた記憶があるのですが、
まさか、すでに実用化されて商品化されているとは、全く知りませんでした。
この技術、単純に「凄い!」と思ってしまいました。
価格.comのレビューでPLCアダプターのところのレビューを見る限りは、
・LANケーブルをダラダラ這わせなくて済む
・無線LANより安定している
らしいです。
で、
テレビをネットにつないで何するねん!
と言う話ですが。
高画質の映像(映画など)をネットから直接テレビにつないで見るという
「居ながらレンタルビデオ」みたいなことができるようです(「アクトビラ ビデオ」)。
これは、なかなか便利なような気もしますが、我が家はいまだに12MのADSLなので、
当分は、メタボ予防も兼ねて近所のツタヤまで歩いて借りて来たらええか、というところであります^^;
さて、
エコつながり、技術つながりで、
強引に話題を自動車に変えます^^。
私のごく身近な人物が、これまた「エコカー減税」に乗せられて、
自動車の購入をかなり本気で検討中なのですが、
それで、私もたまたま、ものすごーく久方ぶりにクルマのカタログをチラ見しました。
すると、
プリクラッシュセーフティシステム(ミリ波レーダー方式)
なるものが目に留まりました。
は?プリクラ?なんじゃそりゃ??ということですが、
先行車や対向車、路上障害物等との衝突の危険性を
プリクラッシュセンサーが判断し、安全装備を早期に作動させるシステムです。
だそうです。
あと、こんなのも
レーンキーピングアシスト(車線維持支援機能)高速道路等の運転時に、道路白線(黄線)をカメラで認識し、
電動パワーステアリングを制御することで、
車線に沿った走行がしやすいように、
ドライバーのステアリング操作をサポートします。
いやあ、私の知らないところで技術はどんどん進歩しておりました。
全く以って脱帽でありますm(_ _)m。
限りなく「自動運転」に近い機能が、つぎつぎ実用化されていますね。
そのうち、
ナイトライダーみたいに、呼んだら迎えに来てくれるかも知れませんね。
さてさて、
テレビから強引に自動車に話題を変更しましたのは、
内閣府HPで「今週の指標」というコーナーがあって、
日米の自動車(新車)販売台数の分析をしてあったので、その話を紹介したかったからでした。
単純に販売台数を指数化したものを見ると:
少々意外だったのですが、
アメリカの販売台数の落ち込みよりも、日本の方がずっとマシになっていますね。
元々、日本の販売台数が少なすぎたのかも知れませんが…
それと、エコカー減税が開始した4月以降、日本の販売台数は少し持ち直しています。
で、次に、販売台数が落ち込んでいる原因ですが、
2009/06/20 (Sat) 13:17
アクセス解析
知らない間に、
与謝野さんが
再び「財政再建派」に宗旨替え宣言してました。
与謝野馨 財務・金融・経済財政相に聞く
再び「宗旨変え」財政再建派に
…
問
巨額の経済危機対策をまとめるに当たって、
持論の財政再建路線を引っ込め、「宗旨変え」をすると言った。
財政再建は相当先送りするのか。
答
実を言うと、
今は再び「宗旨変え」をした。
財政再建をしなければならないと言い出している。
(巨額の財政出動をした後)使い放しで放っておいていいというものではない。
(同じく財政出動をしようとしている)米欧も財政規律を言い出している。
日本も将来世代に対して財政の責任を言わないのは無責任だ。
(日経ビジネス2009年4月27日号)
うーむ…
まるで、
踏み絵を踏むだけ踏んで、実は改宗していない「隠れ切支丹」
のような…米欧がなんと言おうが、
・世界中のGDP=世界中の政府支出+世界中の民間支出(消費+投資)
・世界中の政府の赤字 = 世界中の民間の黒字
そして、
・世界中の政府の純負債 = 世界中の民間の金融純資産
です。
欧米人だろうが、
宇宙人だろうが、
どこかで誰かが「財政再建」を言っているからといって、
この経済の原理原則は一切変わりませんし、変わろうはずがありません。
これは、
デスラー総統が地球に攻めてきて、世界中を放射能汚染させたとしても、決して変わることはありません^^
財政再建(=政府の黒字化)は、
行過ぎた景気の上昇、バブル発生を緩和するための
マクロ経済コントロールの手段と捉えるべきです。
財政再建そのものを目的化しては、絶対に行けません!!!!!
また、
与謝野さん、上記記事でこんなことも語っています
財政再建では、
2011年度の財政の基礎的収支(プライマリーバランス)
の黒字化を目標にしてきたが、
これがいつか渡らなければならない橋なのは確か。
→「この橋、渡るべからず」で良いです。与謝野先生…
注:「橋」を「端」に読み替えて、真ん中を堂々と渡れば
「端」ではないのでOK牧場という、余計なトンチも無用であります(笑)
国債残高が発散的に増加するようなことでは困る。
収束するような図柄を想定していかなければならない。
→国債残高が発散的に増加すれば、国民の金融資産が発散的に増加します。
結構なことではないでしょうか…
そもそも、
政府が直接通貨を発行しない「中央銀行システム」においては、
国の借金が増えること無しに、経済発展なんてあり得ません!
国債残高の増加を収束させる図柄を想定することは、
国民の金融資産の増加を収束させる図柄を想定することである、という認識こそが必要であります。
それから、
国の借金は増えているけど、国全体の借金は全く発散していません。
というのは、
【景気と借金の意外な関係】の回で、
見ましたとおりです↓。
民間の借金が、国の借金に置き換わっているだけ、です。
さてさて、
上記の日経ビジネス記事では、
与謝野さんはこんなことも語っています。
(補正予算について)
そもそも補正は(将来につながる対策などとして)なるほど、と思われるものでないと認めてもらえない。
省エネ家電や環境対応車の買い替え補助など低炭素社会実現の政策や、
研究開発支援、羽田空港の滑走路延長といったものはそれに当たる。
…
(バラマキと思える項目もあると問われて)
バラマキと言っても、
…
新幹線だって予算がついて事業が(ある程度)進んだのに、
工事が途中で止まったままだと利子がかさむだけ。
何にでもバラまいているわけではない。
…
(農林水産業への多額予算について)
生産性が低い産業への予算を否定するのは古典的な見方。
農業は農地を集約すれば生産性を上げられるし、
山は人手不足などで間伐ができず荒れている。
森をきちんと整備することは環境を守ることになるし、
雇用を生むことにもなる。
…
(政府系金融機関の民営化について)
危機の時にはやはり官も(融資などに使える)
道具を持っていないと困る。
政府系金融機関は要らないということではないことが
今回分かったのではないか。
完全民営化の時期を延ばす議員立法の法案を出すことになった。
この際、政府系金融機関と民間銀行の役割を明確にした方がいい。
与謝野さんの政府のあり方、カネの使い方について、実に素晴らしいことをおっしゃっていると思います。
「財政再建」という忌まわしき4文字さえ、与謝野さんの辞書から消していただければ、本当に言うことはないのですが…
ほんと、
「財政再建」って、
徳川家康が無茶な難癖を付けて豊臣家を爆発させ、
大阪冬の陣の開戦に踏み切らせた
「国家安康」の4文字なみに
呪われています。冗談抜きで^^;
あと、
最近、与謝野さんが記者会見でこんな趣旨のことをおっしゃっていました
(日本の)景気が順調に回復するかどうかは、海外の景気次第
なんでそんなに他力本願なんですか、与謝野大臣閣下!!!
「『隠れ切支丹』みたいにコッソリ『財政再建教』に再改宗なんてせずに、海外の景気なんぞに左右されないくらいドカンと財政出動し、他力本願ではなく日本が主体になって世界経済の回復を達成。 ジャパン・アズ・ナンバーワンを再来させた財相として、歴史にその名を刻み込みましょうよ、与謝野さん!!!」 と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/06/18 (Thu) 13:02
社会保障の財源に関して、
鳩山さん:無駄遣いの削減で捻出する。
与党は無駄を減らす前に消費税と借金に頼ろうとする
麻生さん:無駄削減だけでの十分な財源確保は非現実的
3年後、経済好転を条件に
消費税引き上げも検討
のような
応酬がありました。
麻生さんの考え方というのは、
社会保障の財源安定化のための一環として、
景気が良くなれば消費税増税も検討したいということなのですが、
消費税を財源安定化の手段としているのはなぜでしょう?
一言で言えば、
消費税は、所得税や法人税と比べて、
税収が景気の変動に左右されにくいから、
ということです。
法人税も所得税も、税率その他、税制がころころ変わるので、
時系列データで一概に比較できるものでもないのですが、
目安として、
消費税率が5%になった97年から、国税庁の時系列データでデータが載っている06年までの
消費税、所得税、法人税とGDPの推移グラフを下に示します。
なお、細かいことですが、消費税はあくまで国税(4%分)だけです。地方消費税(1%)は入っていません。
また、消費税は、還付税額を控除した金額になっています。
消費税が、所得税・法人税と違って、GDPの変化にあまり影響受けていない様子が分かります。
むしろ、02年以降など、景気回復期に却って税収が減っていたりします。
これは、正直よく分からないのですが、
消費税の場合、輸出売上は免税というのがありますので、
輸出が増えると免税額が増えるので、
それで、税収が減っていたというのがあると思います。
なお、
この輸出免税の仕組みで輸出企業は優遇されている、ケシカラン、と主張される方もいらっしゃるのですが、
輸出企業は輸出先でしっかり消費税を徴収されますし、
原材料を国内に輸入するときもしっかり消費税を取られます。
よって、
輸出企業はこの仕組みで優遇されているわけでは全くありません。念のため。
ちょっと本題からそれましたが、
景気に左右されにくい安定税収源である消費税を、
社会保障の安定財源の一部として使いたい
ということには、一理あるわけです。
しかし、税収が景気に左右されない、安定しているということには、デメリットもあります。
無税国家は無理、という話のところで、
税金は、
景気の過度の加熱や落ち込みを緩和させるための安定化装置(スタビライザー)の役割を果たす。
この安定化装置としての税がないと、景気を制御するための手段が金融調節だけになってしまい、大いに不都合が生じる
のような話を書きました。
所得税や法人税のような累進的な性質をもつ税目は、
景気が落ち込むと税収が大きく減って、景気の減速を緩和し、
景気が良くなると税収が大きく増えて、景気の過熱を抑制する効果が出ますが、
安定的な消費税にはあまりその効果が見込めません。
・国の借金そのものには何の問題もない(問題になるのは、国全体の外貨建て対外債務)
という大原則の下で、税金の存在意義を求めれば
・過度の景気変動を緩和するための安定化装置(スタビライザー)
以外にはないことになります。
となると、
この「景気の安定化装置」という観点からは
消費税の存在意義は極めて希薄になります。
が、
消費税は景気に左右されない安定財源である、
ゆえに、
社会保障の財源として消費税を増税することにより、
国民の社会保障に対する安心感が高まる
ゆえに、
病気や怪我、老後に備えて貯蓄する必要が小さくなる
ゆえに、
消費が盛り上がり、景気が良くなる
というような
多くの国民に安心感を与えることになる(かも知れない)効果が出てくる、ということは考えられます。
これはどちらかというと、経済的な効果よりは、心理学的な効果というべきものかと思います。
ということで、
消費税を増税するかどうかは、多くの国民がそれで安心感を高められるかどうかによって判断するのが妥当
つまり、
消費税増税は、国民の安心感を高めるのが目的であり、
その目的が達成ができなさそうであれば、敢えて増税する必要性はない
というのが、私の結論です。
最後に、
鳩山さんへの注文
与党は無駄を減らす前に消費税と借金に頼ろうとする
について。
→「無駄」を減らして社会保障を充実させるということは良いことです。
しかし、
消費税はともかく、
借金に頼らない政府なんてあり得ません(政府紙幣を考えるなら別ですが)。
貯蓄投資バランスを考えれば、
たしかに、産油国など大きな経常黒字を常に確保できるような国は、
石油が枯れるまでは政府も黒字経営で行けます。
しかし、
それはアメリカのような莫大な経常赤字を出してくれる国が
存在しなければ成り立ちません。
世界全体で考えれば、
世界全体の民間貯蓄余剰 = 世界全体の政府赤字
ですから、
世界中の政府が「無借金経営」をするためには、
世界中の民間の貯蓄余剰(つまり、民間の黒字)が
常にゼロ以下でなければ成立し得ないのです。
まず、
このマクロ経済の根本原理をわきまえぬ限り、
正しい国家経済運営はあり得ません。
日本は、その辺の経済規模の小さな国ではなく、世界第二位の経済大国です。
そんな国の政府が黒字経営、無借金経営を目標にするなど、
この世界にとって迷惑以外の何者でもありません。
「政府は借金に頼るべきではない」というのは
口が裂けてもおっしゃらない方が賢明であります。
なぜなら、
政府が常に赤字であるべきでないと言うのは、
民間は常に貯蓄すべきではないと言っているに等しいからです。
麻生さんへの注文
私は消費税増税には賛成できません。 というのは、
税というものの本質的な役割は、
過度の景気変動を和らげるための安定化装置であると考えるからです。
消費税は景気の安定化装置には向きません。
しかし、
景気変動に税収があまり左右されない消費税を増税することで、
社会保障費の財源の安定性を高めることによって、
国民の安心感を高めたい
という目的については理解できます。
増税が目的なのではなくて、
消費税という税目の性質(景気に左右されない安定性)に着目した
社会保障費の財源の安定化が目的
ということをもっと強調しましょう。
この意味での消費税増税の究極の目標は国民の安心感を高めることですので、
当の国民の安心感が確実に高まるような言い方を工夫する必要があります。
「本当は『政府の財源は借金にも頼る。政府の無借金経営なんて、民間が無貯蓄経営でなければあり得ないのだから!!!』と、国会でも堂々と言えると良いんだけどなぁ…」と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/06/16 (Tue) 12:43
アクセス解析
「政府支出」に関して、
論点整理をしてみたいと思います。
・悪い支出の例
役所や独法・特殊法人を渡り歩いて、生涯賃金8億円
→
最悪です。
所得が高いほど消費性向が小さくなり、乗数効果が低くなり、
すなわち、経済波及効果が小さくなります。
このように極端に高過ぎる「公務員」の賃金はダメです。
あからさまに民業圧迫な公共投資
→もの凄く
分かりやすい例を二つほど…
・民営のスポーツジムの真向かいに、公営の豪華スポーツジムを建設する
→私が直に見たわけではないですが、実例があるらしいです。
アホアホ過ぎです。
・賃貸マンションやアパートの空室が一杯ある地域に公営住宅の建設
→これじゃあ、民間の賃貸住宅は、沈滞住宅になります。
→こんな分かりやすいくらい民業圧迫であるアホな使い方をするくらいなら、
キツネやタヌキしか通らない「ムダ」な道路建設に使った方がまだマシという
ものです。
→教訓:公的支出は、民間が自発的にはやらない、やりたがらない、
かつ、公共の福祉に資する分野を狙ってやるべきです。
・良い公的支出の例
民間の支出を促し、かつ、技術革新を促がすような支出
→エコカー減税とか、太陽電池への補助金がまさに当てはまります。
・このエコカー減税や太陽電池への補助金は、
消費者のエコカーや太陽電池の購入意欲を刺激する
エコカーや太陽電池関連の企業がそれに合わせて研究開発や設備投資を
活性化させる
なぜなら、補助金等のお陰で、儲かる確率が非常に高まるから。
そして、個々の企業は、何もしなくてもおカネをもらえるわけでなく、
補助金等で拡大した市場の中で競争することになる。
それによって、
技術も磨かれることになる、という
算段です。
→
ポイントは、
政府はカネを出しますが、
決してかつての社会主義国のような
非効率なカネの出し方ではないということです。
旧ソ連も平均で実質4%くらいの成長をしていたそうなのです。
それだけを見れば何ら問題はなかったのです。
しかし、
競争がなかったので技術が磨かれず、
西側との技術格差は年を経るごとに大きくなっていきました。
→旧ソ連とは逆に、政府がカネも出さず、口も出さなければそれで万事うまく行くか?
つまり、完全な自由主義でうまく行くかというと、そんなこともないわけです。
サッチャー流の新自由主義の失敗がまさにそれです。
効率の悪い、儲からない製造業を衰退させ、
代わりに、効率の良い、儲かる金融業を隆興
させ、
モノの作れない、供給できない状況を招きました。
その後の高止まりする失業率を下げるために財政出動をしたときは、
失業率は見事に下がりましたが、インフレ率は一気に跳ね上がりました。
製造業が弱いままに、積極財政を行ったために、
モノの供給が全く追いつかなかったのです。
供給が需要に追いつかず、インフレになり、
モノが足りないゆえに輸入も増えて経常赤字も一気に拡大
となったのでした。
政府が何もしなくても良い、なんてのは、まやかし以外の何者でもありません。
ただし、
政府は、より賢いカネの使い方をすべきです。
何から何まで面倒を見る、過度の福祉偏重の政府では、
人々のやる気を損ない、生産性が落ち過ぎてしまうのでダメです。
何もしない、ほったらかしの政府では、
本当に国にとって長期的に必要な「技術」が育たないので、これもダメです。
我々に必要なのは、
財政赤字を問題にしない、
しかし、
カネ使いがうまい、国民から努力とやる気を引き出し、国にとって本当に必要な技術を育てることのできる政府です。
(政府が借金以上の金融資産を持っていてもアイスランドのように破綻するケースを考えれば、政府の財政が赤字か黒字かなんて無意味です。財政に関しての問題は、あくまでも、政府+民間、国全体の外貨建ての対外債務と対外資産のバランスです)
おカネなんてものは、
政府紙幣なり、中央銀行による国債引受け(間接、直接問わず)なりで
いくらでも創り出せるので、
問題はカネではありません。
問題は、国民生活に必要なモノやサービスを、
100年、1000年、千代に八千代に苔のむすまで、安定的に供給できる仕組み作りです。
カネは単なる手段であって、決して目的ではありません!
「カネに糸目をつけない、しかし、カネ使いのうまい政府、求む」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/06/14 (Sun) 13:02
アクセス解析
まず最初は、
当ブログ始まって以来、初の試みです。
竹中さんを褒めてみます!!!
昨日の
読売テレビ「ウェークアップ!ぷらす」で、
竹中さんが↓こんな趣旨のことを話していました:
政府が赤字ということは、
他の誰かがプラスになっているということです。
その他の誰かに回ったおカネがしっかり世の中に回って活用されることが重要です。
まさに、
政府の赤字は民間の黒字、貯蓄投資バランス
の話そのものですね。
この前提に立てば、
・政府の借金それ自体は何の問題もない。
・民間に回ったおカネがしっかり活用されるには、
例えば、社会保障を充実させ、個人が安心しておカネを使える環境を作るべき。
なのですから、
もし竹中さんが更に突っ込んで
だから
・プライマリーバランスの黒字化は政府の歳出削減ではなくて、
民間の支出を増やすことによって達成されるべきです。
よって、
私がかつて策定したプライマリーバランスの黒字化そのものが目的化
してはいけません。
とか、
・私が策定した、「社会保障費を毎年2200億円抑制」という指針は
バッサリ見直すべきです
とまでおっしゃってくだされば、もう本当に言うことはないのですが^^;
さて、「竹中さんウォッチ」はこれくらいにしまして、
の回で、↓世界のGDPの算式を出しました
(単に、世界全体では、各国の純輸出が合計するとゼロになって消えるだけでしたね^^)
で、
これに基づいて、世界全体の貯蓄投資バランスの式を出しましょう。
世界GDP(支出アプローチ)
=民間消費+民間投資+政府支出
世界GDP(所得処分アプローチ)
=民間消費+民間貯蓄+税
ということで
民間消費+民間投資+政府支出=民間消費+民間貯蓄+税
左辺と右辺の「民間消費」を打ち消すと、
0 = (民間貯蓄-民間投資)+(税-政府支出)
となり、
です。または、
民間貯蓄余剰(民間黒字) = -政府貯蓄余剰(政府黒字)
となります。
要するに、
世界中の民間黒字は、世界中の政府赤字と一致するわけです。
世界中の政府が景気対策で財政出動
→世界中の政府の財政赤字が増えて大変だー!!!
という報道がちらほらありますが、その時は
世界中の政府が景気対策で財政出動
→世界中の民間の貯蓄余剰が増えて大変だー!!!
という報道もあって然るべきです。
ところで、
今朝のNHK日曜討論でも、
導入部分で
「増え続ける国の借金」
てのをやってましたが、
以前も示しましたように、
↓民間の借金は減り続けています
↑
【与謝野大臣、小泉路線に決別!】に掲載したグラフ(日銀「資金循環統計」で、負債に計上されているが、本来負債ではなく純資産である企業部門の株式・出資を負債から控除して作成)
「『増え続ける国の借金』を言うなら、『減り続ける民間の借金』も言ったらんかーい、NHK!!!!」と世界の中心ないし政界の中心で叫びたい今日この頃、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/06/13 (Sat) 19:27
この「井陘(せいけい)の戦い」のあと、韓信は配下の諸将から、
背水の陣という戦いのセオリーを全く無視した作戦でなぜ勝てたのか、
いまだによく分かりません。
どうしてでしょうか?
と聞かれて、こんなふうに答えたそうです。
「諸君は孫子(九地篇)に
『これを死地に陥れて然る後に生く。』
と書かれているのを知らなかっただけだ。」
兵たちを背水の陣に追い込んで、死に物狂いで敵に当たらせることで、
自軍の少なさをカバーしたわけです。
ただし、それはもちろん、
・事前に敵を油断させ、驕らせ、判断を誤らせるため、という計算と
・別働隊が趙軍を混乱の極みに陥れるまでの間だけ踏ん張れれば良い、という計算
に基づいての「死地に陥れ」というわけです。
ということで、
背水の陣とは、上記のような韓信による
互いに有機的に連動する多重の作戦計画のごく一部に過ぎないのです。
経済政策においても、このような「有機的に連動する多重の作戦計画」
の発想が必要ですし、
さらには、
「何を以って勝利となすか」という達成目標も明確にしておかなければなりません(作戦計画を練る前に、こっちの方がよほど重要です)。
まず、「何を以って勝利となすか」ですが、
経済政策に関しては、もちろん、
「政府の財政黒字化」を「勝利」と思っては完全に間違い
です。
そうではなく、「国民生活の維持向上」こそが勝利です。
そこを間違えると、作戦計画が全て歪んでしまうし、そもそも戦いには勝てません。
「政府の財政黒字化」達成で「勝った」と思い込むとしたら、
それは、韓信軍が背水の陣を敷いたのを見た趙軍が、勝ったつもりになって有頂天になってしまったのと同じです。
昨年のアイスランドが、まさにその好例ですね。
「政府黒字化、いぇーい♪」と思ってたら、
あっという間に国家丸ごと破綻状態となりました。
さらに付け加えると、
「民間の膨大な外貨建て対外債務」という「別働隊」が、
城の背後から回り込んでいたのに全く気付かなかったわけです。
そして、「勝利目標」については、
短期的な「国民生活の維持向上」と、
100年単位の「国民生活の維持向上」
の
両方を「勝利目標」として持つべきということは言うまでもありません。
ここで、
短期でも長期でも、
国の借金なんてどれだけ増えようが民間の貯蓄が増えるだけですから、
「国の借金を減らす」を目標にしても何の意味もありません。
そして、
短期的な「国民生活の維持向上」については、
デフレの今は、一にも二にも財政出動です。
長期的な「国民生活の維持向上」については、
将来はエネルギー不足、食糧不足、資源の枯渇、労働力不足などがほぼ間違いなく襲ってくる
わけですから、
代替エネルギー技術やロボット技術、リサイクル技術への投資、教育投資うんぬんを中心にした財政出動こそが、短期でも長期でも有用である
ということになります。
我々に必要なのは、
精神論的な「背水の陣内閣」ではなく、
有用で明確な作戦目標を定め、
その作戦目標を達成するための「有機的に連動する多重的な作戦計画」を
策定して実行する、
本当の意味での「背水の陣内閣」であります。
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2009/06/13 (Sat) 19:26
あとがない、という意味で「背水の陣内閣」
と福田元総理が自ら名づけたのも今は昔、
今昔物語ですが…
「背水の陣」の語源となった「井陘(せいけい)の戦い」は、
そういった「精神論的」な意味合いではなくて、
高度な戦術的意味合いのあるものでした。
さて、なぜこんな話をするのかというと、
一つには、軍事と政治あるいは経済は共通することが多いということと、
もう一つには、これ、本当は「国債を刷れ!」の締めくくりに使おうと思っていて
いままで書けていなかったので、
とりあえず書きます^^;
(この図は、「井陘の戦い」に関する複数の記述と、
現在の井陘(中国河北省)のgoogleの地図や航空写真に基づいて、
テキトーに作ってみました^^;)
さて、
舞台は紀元前204年、つまり今から2200年ほど前です。
漢の武将韓信が、魏の国を占領したあと、
上図のように、西の方から
井陘の道
という、山に挟まれた非常に狭い道を伝って
趙の国を攻めようとしていました。
この井陘の道の出口が「井陘口」と呼ばれているのですが、
この井陘口から東は一気に広大な平野部(趙の領土)が広がっています。
そのため、
趙軍は「井陘口」に大軍を配備し、
韓信の東進を防ぐという戦術を採りました。
趙軍は20万(公称20万なので、実態は半分ぐらいだと思われます)
漢軍は約2万(これももちろん推定です)
です。
さて、
韓信率いる漢軍の接近を受けて、趙では軍議が開かれました。
その場で趙の
李左車という将軍が、
私に3万の兵をお与え下さい。
間道を伝って、韓信の軍の背後に回りこみ、
韓信の軍の補給を絶ち、退路を断ち、挟み撃ちにすれば、
味方の勝利は間違いありません
という提案をしまいた。
しかし、
宰相である
陳余(このときの趙は、秦が滅びたあと、陳余が立ち上げた勢力であり、王はお飾りなので、宰相陳余が趙の実質の支配者)は、
こちらは大軍を擁しているのに、
そんな姑息な策を弄すれば、諸国の笑いものになり、なめられるだけだ。
正攻法でやるべきだ
と、李左車の提案をにべもなく却下しました。
さて、これについて、
史記にはこんな記述があるそうです
韓信、人をして間視せしめ、その用いられざるを知る。
ここで、
「間(かん)」とは、「間者(かんじゃ)」の「間」、スパイのことです。
つまり、
韓信は、かなり強力な諜報網を持っていて、この趙の軍議の様子をしっかり把握したわけです。
これについては、
かつては陳余とともに趙国再建に尽力し、その後、陳余に追い出された
張耳という人物が幕僚として韓信の側に従軍しており、
その張耳の人脈をつてに、大金をバラ撒いて
趙内部のハイレベルな機密情報の収集ができていたようです。
韓信は、上記のような重要な情報を得たため、
本当は不安一杯だった井陘の道の通過を安心して行うことができました。
そして、
陳余のことをよく知り、陳余への恨み骨髄の張耳からは、
陳余の性格をしっかり聞き取っており、
次のような作戦計画を立てたのでした。
概要:
1.別働隊2千を間道を伝って敵の城の背後に回らせ、待機させる。
2.本隊1万を先行させて、川のほとりに陣地を築かせる。
3.自分が1万を率い、「おとり」になって、趙軍をおびき出す
4.自分の率いる1万はわざと負けて、1.の本隊の「背水の陣」に逃げ込む。
これにより、敵軍は勢いづき、陳余の性格からして、ほぼ全軍城から出てくる。
5.「背水の陣」で自軍は全く逃げ場がなく、兵は必死で戦うしかない。
それで必死でこらえているうちに、
1.の別働隊が、手薄になった敵城内に一気に攻め入り、
大量の漢の旗を立てさせる。
6.敵は城に漢軍の旗が大量に立っているのに驚き、
大軍ゆえに統制が取れなくなって混乱を来たし、壊乱するはず。
解説:
2.については、
「背水の陣」の陣地を築く前に、趙軍が攻撃しては来ないか?
という心配があるのですが、
韓信は、
「自分が出て行かない限り、趙軍は攻撃してこない。
なぜなら、自分がいない隊を趙が先に攻撃してしまえば、
自分が逃げてしまうことを趙が恐れるからだ。」
と読みました。
→実際その通りになり、本隊は何の妨害も受けずに「背水の陣」を築きました。
また、通常、敵陣と川の間に陣を築くのはナンセンスとされています。
「孫子」行軍篇にも
戦わんと欲する者は、水に附きて客を迎うること勿かれ。
とあり、
「水のほとりで、敵を迎え討ってはいけない」
というのは、当時でも常識中の常識でした。
韓信は、これを逆手に取り、
敵に自分が無能であると思わせることを狙ったのです。
→これもその通りになり、敵はすっかり勝った気分になり、そこに油断が生じました。
それゆえ、韓信が「佯敗」つまり負けを偽装して、背水の陣に逃げ込んだとき、
趙軍は、城を空にして一気に攻め立てようとしました。
さて、結果や如何に?
韓信の計算通り、
趙軍は、自分たちの城に漢の旗が大量に立っているのを見て、
実際には2千しかいないのに、「漢の別働隊の大軍が来ていたのか!」と勘違いし、
恐慌を来たし、指揮系統は完全に喪失して、算を乱して逃げに逃げてしまいました。
その中で、
趙王も、宰相陳余も、李左車将軍も捉えられました。
趙王は漢王劉邦の元に送られ、
陳余はその場で斬首、
李左車は、韓信に「是非、私の師父になって下さい」と乞われました。
さて、ここで李左車の言った言葉もまた、現在の日本でもよく使われる成語として残っています。
敗軍の将、兵を語らず。
2009/06/12 (Fri) 12:44
アクセス解析
「素案」段階ではありますが、
当ブログ的には重要な話なので、
一応、確認しておきたいと思います。
「骨太09」素案 財政再建2020年に先送り
…
焦点の財政健全化目標について、
2020年代初めに国・地方の債務残高のGDPに対する比率を
「安定的に引き下げる」
ことを基本目標に設定した。
基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字をGDP比で、
2014年を待たずに「半減」させる目標も提示。
従来は「11年度」としていた黒字化は「10年以内」に先延ばした。
…
歳出削減を巡っては
これまで明記してきた「骨太06の堅持」、「最大限の削減」
といった言葉が
今年は与党との調整に入る前の素案段階で
早々と姿を消した。
(日経新聞 09/06/09 1面)
私の所感:
1.債務GDP比を「安定的に引き下げる」ことを基本目標に設定2.「骨太06の堅持」、「最大限の削減」が
早々と姿を消した。この二つは、文句なしにブラボー!トレビアン!です。
債務GDP比すなわち、
GDP÷債務
を引き下げるということは、
債務が増えても、GDPをそれ以上に増やせば良いだけです。
3.プライマリーバランスの赤字をGDP比で、
2014年を待たずに「半減」させる目標も提示。
これは…
なかなか厳しいと思います。
景気の腰折れをさせずに、政府の赤字を減らすということは、
民間がガンガンおカネを使いまくらないと、厳しいです。
ただ、工夫のしようはあるでしょうし、
あくまでも基本目標は債務GDP比の安定的引き下げ
ですので、まあ、良いでしょう。
それだけ民間がガンガン投資するほど景気を良くするという意気込みということで。
4.プライマリーバランス黒字化は「10年以内」に先延ばした。
黒字化をあきらめていないというところは、正直引っかかります。
黒字化というのは、
株とか不動産とかが、かなりバブリーにならない限り、難しいです。
の回で掲載しました、深尾さんの論文の図を再掲します:
1970年以降、
政府の財政が黒字化したことなど、ほとんどありません!
例外は、70年代前半と、80年代後期から90年代初頭だけです。
政府の黒字化には、民間の赤字化(バブルでガンガンおカネを使う)が必要です。
そして、
バブルを起こせば、その後、かなり高い確率で経済が不安定化することも覚悟せねばなりません。
極端な例がアイスランドですね。
これも以前掲載したものを振り返っておきましょう
アイスランドの政府の財政黒字も、
これまた、
株、不動産の双子のバブル、
バブルガム・ブラザーズな時期に達成されています。
そして、
黒字化した後、何が起こったかというのは、言うまでもありませんね。
この政府黒字化は、民間が死ぬほど借金したお陰でしかないのです。
そして、
経済の調子が少し悪くなると、ああ無情、レ・ミゼラブルになりました。
政府が黒字になれば万事ハッピー・ハッピーという幻想は今すぐ捨てるべき
というのは、もはや明らかなのですから、
プライマリーバランスの黒字化を目標に掲げるのは、即刻止めるべきであります。
ただ、今回の「素案」、いろいろ条件が入っているようですね。
上記日経の5面で、
素案には「まずは景気を回復」「時宜に応じた検証」など
条件付の表現が随所にちりばめられた。
景気や政局の不透明さから財政再建の道筋も描きにくい面もある。
この辺りからは、
「素案」における「黒字化」というのは、あくまでも補助目標
ということが
読み取れますね。
少し、ホッとしました^^;
ところで、
この記事、タイトルは
「大幅な消費増税へ布石?」
となっています。
で、
骨太素案には「消費税」の言葉が一度も登場しない。
のに、
諮問会議で
民間議員が示す中期的な財政試算によれば、
消費税率を2015年度にかけて10%まで引き上げる場合でも
基礎的財政収支の黒字化は2021年度にずれ込む。
骨太方針で「2010年代末までの黒字化」
を掲げたことは、
5%を超す消費税率の上げ幅が必要との考えをにじませたといえる。
と、勘繰っています。
「素案」では
「黒字化」はあくまでも、補助目標で、かつ、条件付の目標なのだから、
2010年代末までに「黒字化」と言っているから、財政再建のために消費税大幅増税か?
と
勘繰るのも
いかがなものでしょうかね。
「諮問会議の民間議員」がそういう試算をしただけなのに。
どうも、テレビでも他の新聞でも、
「骨太方針の素案で『黒字化』と書かれている」→「消費税増税」
という喧伝がまかり通っているのは心配です。
この
日経の記事からすると、
「黒字化」は、
「もし、可能であれば、2019年くらいにプライマリーバランスの黒字化ができると、ちょっぴりウレピーかも」
くらいの位置付けでしかないように思うのは、
私だけでしょうか?
「骨太素案に『条件付きで黒字化達成もありかも』と書いてあるだけで、『消費税増税か?』と騒いで終りにせずに、『政府黒字化達成=民間赤字化達成だね。ということはバブルを起こすつもりか?その後ちゃんと経済を安定的に運営する策も同時にしっかり考えてあるのだろうね、太郎さん』という心配も同時にすれば、マスコミにも大いなる知性を感じるのになぁ…」と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/06/11 (Thu) 16:33
アクセス解析
タイトルからすると、
昨日の記事の続きでは全くなさそうな雰囲気を醸し出していますが、
昨日の続きです。
GDP=民間消費+民間投資+政府支出+純輸出
の算式を
世界全体に拡張して考えてみたいと思います。
↑というと、なにやら小難しい話になりそうな気配ムンムンですが、かなり単純な話です。
要するに、
世界各国の輸出と輸入は必ず打ち消し合ってゼロになるので、
各国の
GDP=民間消費+民間投資+政府支出+純輸出
から、「純輸出」を削除するだけで完了です。
ということで、改めて、
世界GDP=民間消費+民間投資+政府支出
です。
これだと、実は閉鎖経済(=完全鎖国経済)の算式と全く同じになります。
輸出と輸入が打ち消し合うというのは、もちろん、
どこかの国が輸出したということは、他の国が輸入しなければ成り立たない訳ですから、
世界中の輸出の合計額と輸入の合計額は一致する訳です。
ということで、
純輸出の合計=輸出の合計-輸入の合計=ゼロ
ですね。
これは、
輸出した荷物が、バミューダの魔のトライアングルで忽然と姿を消し、
荷物が船ごと消えてなくなったとしても
必ず成り立ちます。
その場合は、輸出と輸入が両方とも、成り立たないので
純輸出=輸出0-輸入0=0
ですので^^;
今、少し落ち着いてきたとは言え、
世界経済の問題は、
・民間消費や民間投資が落ち込んでいること
・よって、需要不足により経済活動が滞っていること
です。
世界GDP=民間消費+民間投資+政府支出
の中で、
民間消費と民間投資が減っているのが問題なわけですから、
解決方法はもちろん
・政府支出を増加させることにより、需要不足を補う
ことになります。
非常にシンプルです。
今やるべきは
「欲しがりません、勝つまでは」「贅沢は敵だ!」ではなく、
「欲しがりましょう、勝つために」「贅沢は素敵だ!」
ですね(笑)。
それを促がすための積極財政、財政出動、というわけです。
でも、
最近、
(1)原油価格がまたもや上昇してきたし、
(2)長期金利の上昇が住宅投資の足かせになっているらしいし、
と言う話もあります。
これらについて考えて見ましょう。
景気がこのまま順調に回復しそう→原油の需要が高まりそう
だと、
多くの投資家、というか、投機家が予想している(自分がそう思っているというよりは、他の皆がそう思っていると思っている)からだと考えられますね。
このまま仮に世界の景気が順調に回復に向かうのなら、
原油価格はもっと上昇するでしょう。
でも、
その場合、あくまでも景気が良くなっているのですから、
マクロでは特に問題はないでしょう。
ただし、
個別で重大な影響を受ける人々が出てくるでしょうから、
そこはしっかり手当てをすべきです。
が、
世界の景気がこのまま一本調子で回復するかどうかなんて分かりませんよね。
ちょっとでも不調の兆しがあれば、
原油価格はまたスコーンと下がるでしょう。
そして、
「投機マネー」は次の「人気商品」に群がるだけです。
絶対的な価値への逃避がブームになって金に群がるか、
短期国債に人気が移るか、
あるいは昨年の年末のように長期国債が脚光を浴びて買いが集まるか、
それは分かりませんが。
きっと、何かしらもっともらしい理由が付いてどこかでブームが起きます。
ちょうどオリコン・チャートとかビルボード・チャートのヒット曲トップ10が
目まぐるしく入れ替わるように。
(2)「長期金利の上昇が住宅投資の足かせ」について
長期金利の上昇は、確かに民間の住宅投資の早期回復を妨げるでしょう。
が、物事は考えようです。
政府がガンガン財政出動をしている中で、
住宅投資がなかなか回復しない、あるいは、なかなか増加しない、ということは、
端的に言えば、
個人は投資せず、貯蓄を増やしていると言うことになります。
もちろん、
景気が悪くて失業している人が増えているのですから、失業している人はなかなか貯蓄できないでしょう。
しかし、
政府がガンガン積極財政していて、民間が投資しないとなれば、
マクロで見れば
民間の中にはどんどん借金を減らしたり、貯蓄を増やしている人が沢山出てくると言うことです。
そこを見誤ってはいけません。
ということで、
以前掲載したアメリカの民間と政府の貯蓄余剰(貯蓄投資バランス)のグラフを再掲します。
第二次世界大戦(WW II)の時が顕著ですね。
政府がドカンと赤字を出し、民間がドカンと貯蓄を増やしています。
貯蓄が増えるということは、どういうことでしょうか?
家を買うにも自己資金で買うことができ、ローンを組まなくて済むということです。
不景気であっても、
借金をしなくても家を買えるだけお金が貯まった人は、
やはり買いに走るのではないでしょうか?
不景気の時こそ、安く買えるのですから!
あるいは、
全額自己資金でなくても、頭金を大きくしすれば、借金の割合を減らせるので、
金利負担も小さくできます。
政府がガンガン赤字を出していけば、民間はどんどん余裕が出来て行きます。
つまり、
政府の財政出動の効果は、上記のような形で、まるでカンフー映画かなんかに出てくる「三年殺し」のごとく、時間差で利いて来る可能性があるということを、決して忘れてはいけないのです。
ということで、
とりあえず、原油価格や、長期金利と住宅の話はここまでにしておきます。
先ほど、
世界GDP=民間消費+民間投資+政府支出
ということで解決方法はもちろん
・政府支出を増加させることにより、需要不足を補う
と書きました。
これは
現在があくまでも、需要不足、モノ余り、デフレ基調だからです。
しかし、
このまま世界人口が増え続ければ、将来的には当然、
石油不足(というかエネルギー供給不足)、食料不足
などの問題が世界的規模で起こって来るわけです。
今は単純に
「欲しがりましょう、勝つために」「贅沢は素敵だ!」
で済みますが、
将来はそうは問屋が卸さない訳です。
ついでに言えば、日本の場合は少子高齢化の進行で、
働き手の減少
という問題も付きまといます。
そうなると、
今、世界的に、政府がやるべきは、財政出動だけど、
その財政出動の重点は、
・代替エネルギーの供給技術、利用技術の開発
・生産性向上のためのロボット技術の開発(農業用ロボットとか介護ロボットとか)
などに置くべき、ということになりますね。
で既に述べた通りです。
将来、「欲しがりません勝つまでは」「贅沢は敵だ!」
と言わずに済ませるために、
今、どうすべきかが問題、と言えるでしょう。
「とりあえず今、世界中の政府がやるべきは、一にも二にも財政出動、ただし、将来に備えて技術投資に重点を置くなどの工夫もとっても大切。 以上、まとめると『財政出動と技術投資を欲しがりましょう、勝つために』」と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/06/10 (Wed) 11:30
GDP=民間消費+民間投資+政府支出+純輸出
の算式を見れば、あまりにも当たり前のことなのですが…
国家経済に関して、
「国の借金それ自体には何の問題もない」ということと並び、
これほど基礎的で重要なことも他にないですので
いま一度、しっかり確認しておきたいと思います。
95年-05年の日本を除き、
どの国も、政府支出がものすごい勢いで増えており、かつ名目GDPももの凄い勢いで伸びていますね。
さて、
表の一番右は、名目GDPの増加額が政府支出の増加額の何倍になっていたかを示しています。
95年-05年の日本は、
政府支出が、この表の中でも唯一減少しており、それでも一応は名目GDPが伸びていたので、日本だけは特殊なことに倍数がマイナスになっていますが、
政府支出の伸びと比べて、名目GDPの伸びが3倍とか、5倍というのがザラにあり、中には10倍というのまであります。
政府支出を増やしても名目GDPは伸びないとか、
政府支出を増やしても名目GDPが伸びるのは一時的に過ぎないとかと、
どうしても主張される方がいますが、
いったい全体、
どこにそんな根拠があるのでしょうか?
少なくとも、過去20年の上記表の各国の例を見れば、そんな国は存在しません。
長期的に、政府支出を増やしても名目GDPが伸びないという実例があるというのなら、一つでも、是非示していただきたいものです。
そもそも、
GDP=民間消費+民間投資+政府支出+純輸出
の算式を見て、なんでそんなトンデモ理論が出てくるのか、私にはさっぱり理解できません。
仮に
GDP=500兆円とします。
政府支出を100兆円から1000兆円に増やしたとします。
政府支出が増えてもGDPが増えない、というのなら、
GDP500兆円のまま、
政府支出1000兆円+それ以外の項目の合計がマイナス500兆円
にならざるを得ません。
となると、
民間消費+民間投資がゼロで、純輸出がマイナス500兆円とかにならなければ、そうはなりません。
政府支出を増やしてもGDPが増えないなんて、世迷言でしかありません。
現実の結果として、
各国で政府支出が増加、GDPも増加しているのですから、
そのような主張はナンセンス以外の何者でもありません。
それでも、
20年は一時的かも知れないですので、もっと長期のデータも見てみましょう
政府支出は伸び続けていますが、それによって民間投資や民間消費が妨げられている様子など、微塵(みじん)も見受けられません。
このBEA(Bureau of Economic Analysis)では
1929年からの米国のGDPのデータを閲覧できますが、
インターネットさえつながっていれば、誰でも見られます。
共産主義者だろうが、新自由主義者であろうが、左翼だろうが極右であろうが、国籍を問わず、誰でもです。
政府支出を増やしてもGDPが増えない。政府支出を増やせば、民間の支出が減る
と主張なさる方は、
この誰でも簡単に見られるデータすら見たことがないのでしょう。
これが経済の専門家でない一般の方々であれば見てなくて当然ですし、
経済の専門家がそう言っているからそう思ってたというのも
それは全くもって仕方のないことです。
しかし、
経済の専門家を名乗る方で、
このBEAのデータを見たことすらなく、上記のような主張をされる方は、
あまりにも怠慢というべきでありましょう。
あるいは、他に何かしら特殊な政治目的があるのかも知れませんが…
さて次はもうちょっと細かく。
大恐慌から二次大戦にかけての米国GDPの推移です。
説明書きは、グラフの中に書いたとおりですが、
二次大戦期についてもう少し。
政府支出急増とともに、民間投資は急減しています。
いわば、
「投資」は政府だけ。民間は殆どしない、という形で、
ちょっぴり社会主義チックです。
で、この社会主義的な、なんとなく統制経済な感じの時期ですが、
民間消費がひたすら伸び続けています。
政府がカネを出せば、社会主義だろうと資本主義だろうと、そのカネは民間に渡ります。
そして、民間人は、生活の営みのためにカネを使うわけです。
結局のところ、
政府支出が増えれば、素直に名目GDPが増えています。
(それなりにインフレになっていますが、それ以上に名目GDPが伸びているので、実質でも超プラス成長だったというのは、「国債を刷れ」でも書きましたとおりです。)
あとは、日本のデータも見ておきましょう。
なぜ日本も見るかって?まがりなりにも、世界第二位の経済大国なのですから、しっかり見ておきましょう!!!
アメリカと対照的に、90年代後半からは横ばいですね。
そして、
このグラフからも、
「政府支出が増えてもGDPが増えない」とか
「政府支出が増えれば民間支出の増加が邪魔される」
というのは微塵も見受けられません。
見受けられるのは、
「政府支出が横ばい。GDPも横ばい」とか、
「政府支出と民間投資がだいたい同じくらいの金額で推移」
ということになりますね。
日本の場合は、バブル崩壊以降について少し詳しく見てみましょう。
うーん、これはちっとも面白味のないグラフですね…
ということで、ちと加工して、
90年の値をゼロにして、90年と比べての増え方や減り方を見てみましょう。
90年から96年にかけて、政府支出がひたすら増えていますね。
その間、民間消費もひたすら伸びています。
そして、注目は民間投資です。
90年から93年にかけては、
バブル崩壊のあおりで一気に24兆円ほど減少しました。
しかし、
政府支出がひたすら増え続ける中、民間投資は93年以降、ようやく回復基調に戻っています。
これはどう見ても、
政府支出が民間の支出の邪魔をしているようには見えず、
むしろ、
政府支出が呼び水になって民間投資が復活した(というか、復活しかけた)ようにしか見えません。
そのことは、
政府支出が横ばい・減少に転じた後、
民間消費も横ばいに転じ、
民間投資に至っては急激に減速してしまったことを見ても明らかでしょう。
02年から07年の景気拡大局面では、
政府支出が減っている中、
民間投資が景気拡大の牽引になっている様子が伺えますね。
ここで、政府支出が増えていたら、どうでしょうか?
これまで延々見て来ましたように、
政府支出の増加が民間支出の増加を妨げるようなことはないわけですから、
当然、GDP=民間消費+民間投資+政府支出+純輸出
の算式に従って、
名目GDPはもっと増加していたはずですね。
この、
日本における、
近代世界経済史上、極めて稀(まれ)に見る、長期間にわたる政府の支出減少
があった、
02年から07年の期間、
日本の名目GDP増加率は、
あまりにも当然のごとく、堂々の世界最低でした。
ちなみに最近、
中国の潜水艦など軍事向け充電池を作っている中国の企業が、その技術を応用し、
電気自動車向けの高性能充電池の生産・販売をしていると言う話を、テレビで見ました。
軍需産業ですから、当然、政府支出によって育ってきた企業です。
「これだけのデータを見た上でも、まだ『政府支出を増やしてもGDPは伸びない、伸びても一時的だ、政府支出の増加は民間の支出増加を妨げる』という主張を遮二無二に続ける方は、一体何が目的なのかな? もしかして、日本経済を徹底的に弱らせ、立ち枯れさせて、日本が某共和国の『日本省』、または、別の某共和国の『日本道』になって欲しいと願っているのかしら。 あるいは、ただ単純に足し算ができないだけなのかしら…」と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/06/08 (Mon) 19:22
誰かがおカネを出すということは、
他の誰かがおカネを受け取ることであり、
それによっておカネの量が減ることはない。
というのは、
これまでも何度か書いて来た話ですが、
いろいろな種類の金融商品の価格の変動を通して、
改めて確認しておきたいと思います。
↓そのままでは小さ過ぎるので、クリックにて拡大してご覧下さいませm(_ _)m
↑上記で表示してあるのは、
↓下記の米国市場で上場しているETF(上場投資信託)
7種類の
08年9月10日(リーマンショック直前)から09年6月2日までの価格推移です。
1.米国債(20年以上物)投信 TLT
2.米国債(1-3年物)投信 SHY
3.ダウ平均 ^DJI
4.高利回り社債投信 HYG
5.投資適格社債投信 LQD
6.金価格連動投信 GLD
7.銀価格連動投信 SLV
上記のグラフで、例えば、真ん中辺りを見ていただくと
金、銀↑
株、高利社債、長期国債、適格社債↓
短期国債→
というような値動きをしています。
前にも書きましたが、
同じ国債でも、短期と長期は違う値動き(債券の場合は、価格は金利の上げ下げと逆の動き)をしています。
さてさて、
上記の期間では、国債(長期)も株も下がっていています。
あと、こういうときに為替安(ドル安)が重なると、マスコミではよく
株、債券、為替のトリプル安!大変だ!
とまるでこの世の終りが来たかのような報道をするのですが(日本でも、アメリカでも)
上記のように、例えば、金や銀が値上がっていたり、短期の国債の価格がほとんど変わっていなかったりするように、おカネが値下がりしているものから他のものに移っているだけです。
別に、おカネが消えてなくなるわけではないということが、上のグラフで改めてよく分かっていただけるのではないかと思います。
なお、短期国債については、前にも書きましたように、どんどん金利が下がって。
(短期国債の場合は、残存期間が短い、価格そのものは殆ど変化しません
短期国債を満期が来るたびにどんどん買い換えていくようなやり方をすれば、
価格が変わらない変動金利債券に投資しているのと同じような状態となります)
長期国債があまり売れずに金利が下がっても、短期国債には人気が集まって買いが集中するということは良くあることです。
何かが売られれば、他の何かが買われます。
皆が何も買わずにひたすら貯金すると、基本的には普通預金が増えることになります。
普通預金というものは、実は、短期債券ないし変動金利債券です。
つまり、普通預金という債券に買いが集中するわけです。
え?タンス預金の場合は何も買っていることにはならない?
それはそうですね。
でも、
日本でもアメリカでも現金の量は預貯金の10分の1以下ですので、
ここではあまり気にしないでおきましょう。
さて、話を普通預金に戻しますが…
普通預金を預かっている金融機関は、いつでも解約に応じるために、
その預かった資金の運用先としては、
できるだけ価格変動リスクの小さい短期債券、特に、短期国債を選びたくなるのが人情です。
それゆえに、
長期国債の金利が上昇した!だからアメリカや日本の政府は破綻する!
というのはひいき目に見ても、やはり心配し過ぎです。
中国政府が米国債を買わなくても、ドル安にはなるが、アメリカ政府が破綻といういうことはないという話を書きましたが…
コメント欄でも書いて頂きましたように、
アメリカのえらいさんたちは、中国にどえらい気を使っていますね^^;
冒頭AFPの記事では、
ひらりんが
クリントン長官は北京(Beijing)の米大使館で
「米国債を支えることで中国は両国の相互連携を認識している。
米国と中国は上がるも落ちるも一緒だ」
と語り、
中国の米国債購入継続が
米国の7870億ドル(約73兆円)の景気対策法の財源に不可欠だと述べた。
また、
ガイトナーさん(財務長官)も、
「お前もか!」と言いたくなるような気の使いようです:
財政赤字半減を中国に「公約」 米財務長官、胡主席と会談長官はオバマ政権の4年間の任期中に
財政赤字を半減させる構想を中国側に伝え、
事実上の対中公約とする方針を示した形だ。
一方、
人民元問題はほぼ素通りした。
長官の訪中は両国の経済関係の焦点が「人民元」から「米国債」に代わり、
中国に主導権が移ったことを象徴する。
(
日経NET 09/06/02)
本来、アメリカはそこまで気を使う必要はありません。
経済状況が思わしくないのは中国だって同じです。
中国は、
a.ドル買い介入(こないだ書いたみたいに、元を「刷り」=ベースマネーを増やしまくって元安ドル高介入)してアメリカ人にものを買ってもらうか、
b.ガンガン財政出動して、国内景気を良くするか
する他に手はありません。
bのみでもベースマネー、マネーサプライは確実に増えますのでそれが元安ドル高圧力になり、
財政出動の拡大は確実に輸入も増やすので、それが元安ドル高圧力になります。
つまり、経常収支のバランスが取れるので、なにか致命的な影響があることにはならないということです。
ただ、
これからも一応「米国債を買い続けたるわい」、と中国が宣言する方が、
余計な混乱を招かずに済むので、
これは、中国にも米国にもメリットこそあれ、
デメリットはないわけです。
逆に、
中国が「もう買わない」なんて下手に宣言しようものなら、
せっかくなんとかかんとか回復しかけているアメリカ経済の回復を無用に遅れさせ、
ひいては世界経済を無用に混乱させ、
最後はブーメランのように自分に帰ってくるだけです。
というわけで、
ひらりんやガイトナーさんが中国のご機嫌を取るのは、政治的には完全に正しい行動と言えます。
ただし、
ちゃんと、
長期国債が売られているときは、短期国債が買われるという話とか、
経常収支バランスとかを
しっかり理解した上での演技、政治的駆け引き、高等戦術としてやっていれば、ですが。
本気で「ヤバイ、大変だ、中国様にすがる他はない」と思っていとしたら、
それは本気でヤバイです^^;。
たぶん、そんなことはないと思いますが…
「日本では、某野党のネクスト財務大臣の方が『私が財務大臣になったら米国債は一切買わない』と超強気の発言をなさっているそうですが… もちろん、それは日本の立場を強くして有利な条件を引き出すための演技・駆け引き・高等戦術ですよね!と願わずにはいられないなぁ…」と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/06/05 (Fri) 21:24
今日は、
日米の、
・政府借金の増え方
・国全体の借金の増え方
を比較してみます。
にて、詳しく見ていましたので、
まずは、
米国の政府借金と国全体の借金を見てみましょう。
注記(読み飛ばしていただいて結構です^^; )
#また、米国の「国全体の負債」データは上記"Level Tables"
の"L.5"ですが、この"L.5"では、企業の株式など、本来負債とならないものは
最初から負債に計上されていません。
#日銀の「資金循環統計」では、
本来負債ではない企業部門の株式・出資が「負債」に計上されていますが、
以下の日本のデータでは、株式・出資は抜いてあります。念のため。
↑ここまで。
↑簡単のため、いつものように1ドル100円で換算してありますが、
米国の国全体の借金は現在、
約1京円(1兆円の1万倍)
となっていますね。
そのうちの約10%くらいが政府の借金です。
そして、注目点は、
90年代後半以降は、国全体の借金のうち、政府の借金が占める割合が急降下していることですね。
の回で確認しましたように、
民間が思いっきり借金を増やして(民間貯蓄余剰が「赤字」)いたからです。
次に、
日米の、「国全体の借金のうち、政府借金が占める割合」を比較
してみましょうか。
80年代と90年代で、日米の数値が逆転しています。
80年代の日本はバブルでした。
90年代後半以降のアメリカは、ネットバブル→住宅バブルでした。
要するに、
バブルだと、政府の借金の占める割合が小さくなる
つまり、
バブルだと、民間の借金の占める割合が大きくなるということです。
直近(08年)のアメリカは
政府の借金の占める割合が少し大きくなっていますね。
理由は明白。バブルが弾けたからです。
こういうときは、政府が借金を増やさないと、経済もたないですからね。
次に、
以前にも見ているような気がしますが、おさらいも兼ねて
日米の政府借金の増え方を見てみましょう。
抜きつ、抜かれつ、デッドヒートを演じているという様相です。
まあ、政府の借金の増え方は同じくらいですね。
最後に、国全体の借金の増え方
を見てみましょう。
これは全く異なりますね。
日本の国全体の借金は、90年代後半から増えなくなりました。
アメリカの国全体の借金は、一貫して増え続けています。
基本的に、
経済が発展する過程では、
国全体の負債は増え続ける必要があります
預金や現金、つまり「おカネ」そのものと言うべきものも、
この負債に含まれています。
また、
誰かが、民間であれ、政府であれ、が借金をしてカネを使わない限り、
「信用創造」のプロセスが機能せず、世の中全体のカネは増えません。
そして、
GDPは、おカネが増えない限り、決して増えません。
しかし、
なにごとも「過ぎたるは及ばざるが如し」
です。
アメリカでは、民間部門が借金し過ぎです。
日本は、逆にしなさ過ぎですね^^;
日本では…
政府支出が増えなくなった途端、国全体の借金も増えなくなっています。
ついでに、
政府支出が増えなくなった途端、GDPも増えなくなりました。
↑
GDP=民間支出+政府支出+純輸出
ですから、
政府支出が増えなければ、GDPも増えるわけもなく、
かつ、
経済の活性化がなされないわけですから、
国全体の借金も増えず、ひいては、マネーも増えません。
(逆に、マネーが増えなければ、GDPも増えません)
そして、もう一つ重要なのは、
日本では、国全体の借金が伸びない中、政府の借金だけが増えている。
つまり、民間の借金が減り続けている、という事実です。
日本とは正反対に、
米国では
政府支出は順調に伸びていたので、
それがボトルネックになることはなかったと考えられます。
しかし、いくらなんでも、民間が借り過ぎですね。
家の時価が上がれば、その分余分に借金して消費に回せるなんてのは、
やはり、借りやす過ぎです。
このカネの借りやすさが、バブルの形成とその後の急激な崩壊を助長し
今回の経済的大混乱を招いたことは、ほぼ間違いないでしょう。
その辺りはやはり、ある程度の規制は必要だったと思われます。
ただ、
仮に、アメリカ人があれほど安易に借金できる環境になければ、
日本が政府支出を減らしながらの「いざなぎ景気越え」の長期好況を
享受することもあり得なかったですね。
というよりは、
政府支出減の影響がモロに出て、ああ無情、レ・ミゼラブルだったでしょう…
なにせ、
いざなぎ景気越えといっても、ただ期間がいざなぎ景気より長かっただけで、
名目成長率は世界最低だったのですから…
「日本の中心で『日本は国の借金が増え続けて大変だー』と叫んでいる皆さんには、是非とも『日本は民間の借金が減り続けて大変だー』というのを2倍くらい大きな音量(当社従来比)で叫び返してやろう」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/06/04 (Thu) 16:34
今日は、
ご要望の多かった中国の
「国債引受け」、ないし、「為替介入の財源」のお話です。
最初は、
で、各年の「Balance Sheet of Monetary Authority」(通貨当局の貸借対照表)
をちまちま拾ってきて、
「国債引受け、これだけやっていますねー」
で終わると思っていたのですが、
そうも行きませんでした
(それゆえ、昨日は記事を書けずじまいで^^;)。
まず、「通貨当局」ですが、
なので、
「通貨当局」の貸借対照表は
国債引受けと為替介入がごっちゃになっていて少々分かりにくくなっていますが、
とりあえず、順番に見てゆきましょう
(以下、グラフは全部、簡単のために、1元=13.7円で円換算しています)
上のグラフを見ると、
ベースマネー(通貨発行残高+当座預金)と比べて、
国債(対政府債権)の引受けは非常に小さくなっています。
→比較のために、以前掲載した日銀のものを見てみましょうか。
日銀の場合、ほぼベースマネー(上のグラフでは「発行銀行券」と「日銀預け金(≒当座預金)と国債等(対政府債権)の引受けが同じくらいの量で推移していますので、
中国とはだいぶ違っている様子が伺えますね。
更に、中国の方は、政府預金がかなり大きくなっています。
09年3月の段階では、なんと、ほぼ
政府預金=対政府債権(国債)
となっています。
いわば、中央銀行が引受けた国債が、そっくりそのまま政府預金になっています。
日銀では、政府預金は引き受け国債の10分の1以下になっています。
つまり、
日本では、引き受け国債>>政府預金。
中国では、引受け国債=政府預金。
そして、
上で述べたように、
日本では、引受け国債≒ベースマネー
中国では、引受け国債<<ベースマネー
です。
日銀のベースマネーは約90兆円、中国人民銀行は約170兆円で、
中国の方が、ほぼ倍の規模になっています。
GDPが日本より少し小さいくらいの中国で、
中央銀行のベースマネーが日本の倍になっているのです。
そして、
ベースマネー170兆円と言えば、
日本のGDPの3倍規模の米国FRBとほぼ同じ規模になっています。
中国は、もの凄い金融緩和をしていることになりますね!
なんとも、驚きですさて、
中国のもの凄い膨大なベースマネーの相手方は、ほぼ国債引受けとなっている日銀の場合と違って、どうなっているかと言うと、
実は、為替介入資金になっている模様です。
そして、上のグラフを見ると、
為替介入資金というか外貨準備は、
2005年末から06年初頭にかけて、ベースマネーを抜き去っています。
06年以降は、外貨準備、つまり、為替介入のための資金は
ベースマネー+発行債券
とほぼ一致するようになって行っています。
09年3月時点では
外貨準備=ベースマネー+発行債券
となっていますね。
(発行債券とは、たぶん、外為管理局所管の「国債」と思われます。たぶん、ですが)
ということで、
09年3月時点の通貨当局バランスシート(貸借対照表)を見てみましょう:
外貨準備227兆円=通貨発行残高50兆円+当座預金120兆円+発行債券57兆円
という具合です。
以上が、
という問いへの答えです。
あくまでも、中国当局の統計、つまり、「記録された事実」に基づく話ですが…
「信じるものは救われる」のか「信じた私が馬鹿だった」になるのかは、
それについては当方では責任を負いかねます。悪しからず^^;
まあ、
半分以上は「中央銀行の当座預金」つまり、ピッポッパで帳簿上の操作で出てくる資金です。
それを正直にさらけ出しているのですから、
これについてはあまり疑ってかからなくても良いような気もしますね。
最後に、
中国政府の財政収支と人民銀行の「政府預金」の関係について、ちらりと見ておきます。
上のグラフは、
中央政府と地方政府を合わせた財政収支ですが、
08年12月に約23兆円の大規模な財政支出が実施され、
18兆円程度の財政赤字となっています。
さて、「通貨当局」の政府預金のグラフを再掲しますと:
08年12月より前に、政府預金が40兆円程度まで積み上がり、
しかも、「引き受け国債(対政府債権)」を上回る金額になっていた、
と言うことに関しては、なぜそうなっているのかはよく分かりませんが…
それはさておき、
上のグラフからは、08年12月に政府預金が約15兆円減っているのが分かります。
つまり、
08年12月の財政赤字の大半は、中央銀行の「政府預金」でまかなわれていることが分かります。
「中国では、中央銀行の『国債引受け』はあまりやってないけど、中央銀行の『為替介入引き受け』が大々的にやられてたのね。しかも、大半は紙幣発行ではなくて、当座預金を増やして、つまり、『帳簿操作』で!ということには、驚いた@o@!! しかも、中央銀行のベースマネーが、なんと、米国FRBと同規模とは!!! こりゃあ、しかし、かなり本気で頑張って為替介入してたのね、中国さんは…」、と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/06/02 (Tue) 17:20
「こんな国による救済はインチキだ!自由競争を阻害する!日本メーカーは一方的に不利だ!」
といえば、確かにその通りかも知れません。
しかし、一方で、
日本の自動車産業は、1950年代、
あまりの脆弱さゆえに「国産自動車メーカー不要論」まで沸き起こるなかで、
国策として、
税制上の優遇措置、政府系金融機関からの優先的融資、自動車の輸入禁止措置
といった、保護された状態の中で、なんとか育ってきたことを忘れてはなりません。
確かに、できるだけ自由競争であったほうが望ましいとは思いますが、
現実は、
最後は国全体の競争になると考えておいた方が間違いはないと思います。
日経ビジネス 09/03/16号で、こんな記事があります。
「我々は、トヨタ自動車を超える」
そう言って憚らない男がいる。
ヘンリク・フィスカー。
かつて独BMWや英アストンマーチンでボンドカーを生み出した天才デザイナーだ。
そして2年前、米カリフォルニア州に電気自動車メーカー、フィスカー・オートモーティブを設立し、CEOとなった。
今年11月にハイブリッドスポーツカー「カルマ」を納車する予定だ。
元副大統領アル・ゴアは、このクルマにほれ込んでいる。
パートナーを務めるファンドを通してフィスカーに出資し、8万7900ドル(約860万円)するクルマを早々に注文した。
そのゴアは、オバマ支援者の一人として知られ、環境政策に影響を与えている。
で、そのフィスカー・オートモーティブが
設立からわずか2年で、ハイブリッドカーのような技術力の必要な製品をどうやって作ったかと言うと
実は、核となる技術が、国家から提供されている。
米政府が軍事目的で研究したドライブトレインを、そのまま利用しているのだ
とのこと。
ちなみに、冒頭AFP記事の写真は、そのフィスカーの「カルマ」です。
さてさて、
よくよく考えれば、
コンピューターの発明は米軍のミサイルの軌道計算、
インターネットの発明も米軍の情報通信システム開発、
と、軍事部門、公的部門から出てきた技術です。
政府によるGMへの資本注入を「社会主義だ!」と批判することは簡単ですが…
オバマさんは著書「合衆国再生」の中で、
コスト削減と政府の縮小だけではアメリカは中国やインドとは競争できない。
と書いています。
↑この文章、「アメリカ」を「日本」に置き換えても、普通に成り立つと思いますが、いかがでしょうか?
「どんなときも、自由競争だ!新自由主義万歳!!!国の借金返済が優先!!!!なんて寝言を言ってる間に、技術的にアメリカに大差を付けられてしまったら、誰かちゃんと責任取ってくれるのかなぁ…???」と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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