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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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152:米国債保有の損得【2】

2009/07/03 (Fri) 00:53

【1】 http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/19563915.html
からの続きです。


そんなこんなで、少なくとも過去10年は、

米国債を外貨準備で沢山持っていると思しき日本政府も、

「奪われた」とか「アメリカに持ってかれた」とかいうことも無かったわけです。むしろ、
結構な利益を上げているハズですね^^

為替を考慮に入れても、日本国債よりも運用利回りが良かった、ということは、

日本国債発行→米国債購入

は、政府にとって、おトクなおいしい取引だったわけです。


しかしここで、

「今までは、金利下降局面だったから利益が増幅したけど、
 ということは、今後、金利上昇局面では損しないかな?」

という心配が起きますね。

でも、
債券って、最後にはかならず価格は100(償還価格)に戻ります。

一時的には価格が下がることで、評価損が出ても、

最後まで持っていたら、発行元が破綻しない限り、かならず価格は元に戻ります。


これが、発行元が政府で、かつ、現地通貨建ての国債なら、
まず取りっぱぐれはありません

そこが国債の一番の魅力です。


そして、もう一つ大きなメリット

価格が下がろうが上がろうが、金利は毎年きっちりもらえるわけです。

そのもらった金利で、価格が下がった、または、金利が高くなった債券を買い増しして行けば、
やはり、しっかり儲かります


以上のような理由から、「現地通貨建て国債」による運用は、

金利上昇局面でも、ある程度の時間をかければ、
結局は確実に利益を出すことが出来る
ことになります(為替損益は別です)。


ちなみに、
前出の野村の国債運用指数の推移グラフにしてみますと、

金利上昇局面(↓赤枠)では、確かにパフォーマンスは落ちています。




実は、これ、バブル絶頂期ですが、これだけの金利上昇(4%→8%)
で、元本の評価額が平均14%程度落ちたのですが、

高くなった金利がすぐにカバーして、
運用指数は5%程度しか落ちなかったのです。


そして、

その後の金利下降局面(↑青枠)では、
金利が高いときに買った分の高金利収入と、
価格上昇の相乗効果で、

急激に指数が上昇していますね。


ということで、
債券での運用、米国債での運用自体にはそれほどの不安はない、というよりは、むしろ期待を持てると言えるくらいの勢いです。

あとは、為替です。

日本の、特に政府の多額の米国債の運用損益については、
円高ドル安がどこまで行くかが焦点です。

でも、これから一層の円高ドル安になるとしたら、

日本の景気が回復が先行し、アメリカが遅れる

という状況ではないでしょうか?
国内の景気が良くなれば、政府の保有米国債の損益なんて誰も気にしなくなるでしょう。

逆に、

日本の景気が仮に低迷を続けたままで、アメリカが先に回復したとしたら

円安ドル高で、日本政府はまたもや儲かりますね。


といいつつ、これまでも散々書いてきましたが、
マクロ経済運営が主たる役割である政府は、別に儲ける必要なんてありません。
それに、
日本政府が借金を全く気にせずに「国債発行+財政出動」を続ければ、
日本の経常黒字が減る方向になるので、
必然的にドル安に歯止め圧力がかかります。

それなら、
日本の景気もよくなり、保有米国債の円建て評価額も下がりません。
それだと、一石二鳥ですね^^

(私としては、政府の保有米国債の円建て評価額は、別に気にしなくても良いと思いますが…。それを気にするのは、あくまでも「国の借金は問題だー」という前提での思考態度でありますので^^;)

「過去10年、長期モノの米国債投資だと、ドル建てなら元手が倍以上に、円建てでも1.8倍になるくらい儲かってたとは、驚いた!」と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m

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153:米国債保有の損得【1】

2009/07/03 (Fri) 00:52

去年、

中国の米国債保有高が、日本を抜いて世界一

と言う話がニュースになりました。


その元資料はこちら→ 米財務省 http://www.treas.gov/tic/mfhhis01.txt


そのとき(昨年9月)の日本の保有高

617.5 Billion (約61.2兆円

で、最新(今年の4月)が

685.9 Billion (約68.6兆円

となっています。

7ヶ月で7兆円近く増えていますね(+11%)。


さて、

この、「中国の」「日本の」というのが、

私はてっきり「中国政府の」とか、「日本政府の」

ということだと思っていたのですが、実は、違っていることに気がつきました


上記資料の下のほうで、

Grand Total 3262.6

Of which:
For. Official 2253.6

(単位は全部Billion$。「For.」はForeign。For. Officialは外国の公的機関

とあるので、

民間もあわせた中国全体、日本全体というわけです。



中国は為替介入もあって増えているようですが、

日本の場合、単に円高ドル安と見て、民間が米国債の保有を増やした模様です(勝手に推定)。


まあ、いずれにしましても、
日本は国全体として、60兆円とか70兆円もの米国債を持っているわけです。


ところで、

この状況について、

「日本はアメリカに貢がされている」とか
「アメリカに無理やり米国債を買わされている」
「アメリカ人に騙されている」というがあったりもするのですが…


このような説を検証すべく、

とりあえず、過去10年の米国債の運用利回りについて見てみたいと思います。


その運用利回りについては、
米国債で運用するアメリカの上場投資信託(ETF)の資料を参考に調べてみました:


↓下の表、上段はドルベース、下段は円ベースです。




比較のために、

エマージング(新興国)債券ファンド、

社債ファンド(投資適格とハイイールド

あと、

野村の日本国債による運用の指数

も並べてみました。


まず、
上段のドル建てのものを見てみましょう。


過去10年で、最も運用成績が良かったのが、

新興国債券(米ドル建て)だったわけです。

まあ、新興国債券は金利が高いので納得ですね。


で、その次に来るのが、
意外にも超長期米国債(20年超のみ)で運用するものでした。


普通に考えると、
国債よりも利回りが良いはずの、社債
で運用したのよりも、

圧倒的に運用成績が良かったわけです。


で、
意外にも一番運用成績が悪かったのが、高利回り(ハイイールド)の社債です。

↑そして、そのハイイールド社債よりも運用成績が良かったのが日本国債(10年物を償還まで保有する方法)による運用でした。

あらゆる債券の中でも、恐らくは世界最低の金利を誇る我らが日本国債による運用成績も、こう見れば、意外に悪くないわけです(ドル建てだと、10年で1.4倍)

ハイイールド社債ファンドが悲惨なのは、金利が高い分、ヤバイ会社の債券もいっぱい含まれていたので、この金融危機で貸倒れたような企業の債券も少なからず含まれていたのかも知れないですね。

(同じ高金利でも、新興国債券はしっかり儲かってた、つまり、やはり、「政府」と名のつくものは、基本的には企業よりは安定するわけです。当たり前ですが!)


さて、
本日の主役、米国債に話を戻すと、

過去10年、1.24倍の円高になったにも関わらず、

為替変動を考慮に入れても、

米国債による運用は、長期モノによる運用でも、短期モノによる運用でも、全て、

日本国債(平均残存年数5年)に勝っているわけです。


これは、私としましては、かなり意外でした。

ドル建てだと、

20年超モノで運用していたら、10年で倍以上
7-10年モノでの運用でも倍近くになっているわけです。

(といっても、
 分配金を全て無税で再投資、複利運用した場合という、結構特殊な条件です…

 おっと、
 日本政府なら無税でがっちり運用可能ですね!!!)


さて、
しかし、です。

30年物の米国債については、過去10年、金利は6%-4%程度で推移していました。

過去の30年物の金利の推移は↓こちら
http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/17910896.html


その程度の金利で、なぜ10年で倍以上にもなったのか?

という疑問も湧くわけですが、

これは、
単純に「金利」だけでなく、
金利水準がほぼ一貫して下落傾向にあったことにより、
債券価格が上昇し続けたことが原因と考えられます。


が、
金利水準が一定であったとしても、
実は、
債券の場合、値上がり益が期待できます。

というのは、
債券の金利というのは通常、短期モノの方が低くなっているからです(たまに、そうはならない場合もあります)。

下のグラフは、
今日の時点で横軸に債券の残存期間、縦軸に金利を取ったものです。
(これを「Yield Curve(イールドカーブ)」と呼びます)





左に行くほど、つまり、残存期間が減っていくに連れて、金利が低くなっていますね。


さて、
上記のイールドカーブが、仮に今後もずっと固定、変化しないと仮定した場合の、

30年物、新発、4.34%、発行時価格100
債券の価格

残存期間が短くなるに連れてどう推移するか、見てみましょう:




残存5年のとき、価格が最大になっています。


このときに売れば、毎年(正確には半年ごと)に受ける金利以外にも、

+8.5%の収益が得られることになります。

債券価格の計算方法

  一言で言えば、「割引現在価値」で計算されますが、

  ややこしいので詳細は省略します。

  ご興味のあるかたは↓下記をご覧下さいませ:
  investopedia参照(ただし、英語)です。
  →実は、世の中には親切な方がいて、こちらに日本語訳もあります)

ということで、
上記の米国債ファンドが「10年で元手が倍以上」という好成績を挙げている理由の一つは、

上記のような手法を使っているのではなかろうかと推定されるわけであります。

(ちなみに、上で挙げた野村の日本国債指数では、どうやら10年物を償還されるまで持っているみたいなので、このような価格差益は入っていないと思います)


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