2009/08/31 (Mon) 17:22
ところで、
[1]の日経新聞のグラフを見ていて、不思議に思うことがいくつかありました。
・このところ預金取扱金融機関全体での預金はあまり増えていないのに、
銀行の預金がこのところ勢いよく増えているのはなぜ?
・国債の残高全体は一貫して増え続けているはずなのに、
銀行の保有残高は04年から08年にかけて20兆円以上減っていた。
この間、国債の保有を増やしていたのは一体誰?
といったことです。
この辺がさっき書きました「マニアック」な部分なのですが、
これについては明日以降にまた書きます。
さて、
紙面版では最後の方にこんな気になることが書いてありました:
国際会計基準審議会(IASB)は
有価証券の時価評価の方法を見直すかどうか検討中で、
現在は損益を計上しなくてもよい国債の会計区分が変わる可能性もある。
現時点で国債は時価評価の対象外だが、
結論次第では銀行が大量の国債を持ちにくくなる恐れもある。
時価評価することになれば、銀行は国債を買いにくくなるため、
長期金利の上昇を招きかねない。
たしかにこれは波乱要因となりそうですが、
もしそんなことになれば、それは天災ではなく明らかに人災です。
これで痛い目に遭うのは日本政府だけでなく、
というよりはむしろ、今、必死で国債で資金をかき集めようとして札割れを起こしまくっている日本以外の各国政府の方だと思いますが…
それを思えばIASBなる組織が賢明な判断をするほかないと考えますが、
仮に、国債を時価評価することになったとしましょう。
その場合でも
「銀行が大量の国債を持ちにくくなる恐れ」
を緩和する方法はもちろんあります。
1.長期国債を変動金利中心にする
2.国債発行は短期国債中心にする
これですね。
さて、
1.の変動金利なら債券の価格は変動しませんので、
どーんと来ーい時価評価
です。
次に、
2.の短期国債中心なら…
0.26%
という「人をバカにしとんのか!」と言いたくなるような超超低金利です。
(これが破綻寸前で、
財政状態が先進国で最悪の国の国債の金利なんて、皆さん信じますか?^^)
で、
この0.26%の2年物国債を持っていて1年経過した時点で、
仮に翌日物から1年物の国債の金利が軒並み5%に急上昇したとします。
その場合のこの2年物国債の価格は↓下のようになります。
当初の金利が0.26%の2年物債券を持っていて、
残存1年のときに1年物の金利が5%となるような、金利の急上昇に見舞われたとしても、
価格は4.7%低くなるだけ(つまり、評価損がたったの4.7%)です。
どうということはないですね。
そして、
下がっていた価格も最後には100に戻ります。
はっきり言って、こんなものをイチイチ時価評価する必要あるのか?というような具合です。
ということで、
万が一、国債を時価評価、となった場合でも対処は全く可能です。
でも、上記のような対応では長期の固定金利の基準がなくなってしまうので、
例えば長期の住宅ローンは組み難くなると思われます。
そうなると、
景気の低迷が延々続きかねません。
そこまでの影響を考えれば、
国債の時価評価を強制するのは無意味に景気回復を遅らせるだけとしか思えないですので、さすがにIASBもそこは変えて来ないと思います。
仮に、
この会計区分の変更をやったとしても、数年で「こりゃだめだ」となって元に戻すのがオチでしょう。
「2年物国債の利回りが0.26%て、どんだけカネ余りやねん、日本!」 と思われた方は、下のリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/08/31 (Mon) 17:12
先週金曜日の日経朝刊1面トップです。
#本当は金曜日に上げようと思っていたのですが、
若干マニアックな内容になりそうで、
選挙直前の盛り上がっているときに上げてもなー、と思い、
今日になりました^^;
【銀行の国債保有、最高水準 6月末の残高111兆円】
【預金、融資に回らず】
【長期金利は抑制】
銀行に預金の形で集まったお金が国債市場に流れ込んでいる。
資金需要の低迷により銀行が運用難に陥っているためで、
国内銀行が保有する国債の残高は昨秋から急増、
6月末には111兆円台と最高水準に達した。
企業や個人への融資金利の基準となる長期金利の上昇を抑える効果
がある一方、
預金で集めたお金が民間の経済活動に回らない構図も鮮明になっている。
銀行は預金で集めた資金を企業や個人に貸し出しているが、
余った分は有価証券などで運用している。
日銀の「民間金融機関の資産・負債統計」
(オフショア勘定含む)によると、
国内銀行の6月末の預金額は過去最高の約573兆円に拡大。
一方、
貸出金は約431兆円と3カ月連続で減った。
預金から貸出金を引いた「預金超過額」は過去最高の142兆円に達している。
この8割程度が国債に回っている計算になる。
紙面版にはこんなことも:
メガバンクの6月末の国債保有額を3月末と比べると、
みずほFG が約19兆円から約22兆円に、
三菱UFJFG が約25兆円から約29兆円、
三井住友FG は約15兆円から約16兆円へ増えた。
「資金需要が低迷しているため、資金をいったん国債に置かざるを得ない」
(メガバンク)という。
ちなみに、紙面版では、こんなグラフが:
↑これを見ると、
05年から08年までくらいは
銀行の国債保有残高が減り、
その反対に、
貸出金が増えています。
この時期は景気が良かったわけです。
景気の良いときは資金需要が増えるし
貸し倒れリスクが小さくなって利ザヤが稼げる'ので、銀行は国債の保有残高を減らし、
民間への貸し出しを増やしていたわけですね。
そしてこの間、実は国債残高全体は一貫して増え続けていました(資金循環統計を見れば分かります)。
国債の残高が増えると民間の借り入れの邪魔をする
という考えの方が以前いらっしゃいましたが、
もしそれが本当なら、
国債残高全体が一貫して増え続けるなか、
銀行の貸出金は減り続けていなければなりませんが、
そんなことは無かったわけです。
結局、
銀行の民間への貸し出しが増えるかどうかというのは、景気次第
ということですね。
これははっきり言って当たり前のことです。
銀行は貸倒れ率以上の金利を稼げないと、利益は出ません。
当たり前のことですが、民間への貸し出しは一定の割合で貸し倒れます。
不況のときは、その貸倒れ率が高くなるわけですから、
銀行としては、貸し出し金利を高くするか、貸出しそのものを減らすしかありません。
で、
この不況で貸し出し金利を高くすれば
借り手の方でも借りにくくなりますし、
例え借りられたとしても、金利負担に耐えられなくなって、
結局は破綻(銀行から見たら貸し倒れ)となる確率は高くなりますね。
また不況のときは、
新規投資しようという企業も、
いっちょローンを借りて家を買おうと言う人も
総体としては減ります。当たり前ですが。
だから、
不況になれば、
銀行による民間への貸し出しというのは、
貸し手も借り手も全体として減ることになります。
しかし、
上のグラフを見ると、
リーマンショック後の08年末前後に貸出金が急激に増えていますね。
これは、きっと政府の債務保証枠の大幅拡大の影響でしょう。
ということで、以上まとめます。
預金で集めたお金が民間の経済活動に回す(銀行の民間への貸し出しを増やす)
ためには、
・国債の残高全体が増えても影響は皆無(上記の通り)
なので、
国債増発をして
・積極財政で景気を良くする
・政府の債務保証枠を拡大する
をやれば良いわけです。
非常にシンプルですね。
ああ、
一応、「国債残高が増えれば長期金利が上昇して」どうたらこうたら、
という書き込みをなさろうとしている方むけに書いておきますが、
日本の公的債務残高は上昇の一途をたどっていますが、
90年以降、国債金利はつるべ落としのように下落し、世界有数の低水準のまま
です。
それは、「国債を刷れ!」p.62のグラフでも示していますし、このブログでもどこかで示しています。
是非、
ご自身で日銀などから一次データソースを拾ってきてグラフを作って延々眺めて見て下さい。
当ブログをご覧になっているからにはインターネットにはつながっているのでしょうから、あとはエクセルとやる気さえあればグラフは必ず作れます。
金利が高くなるのは、インフレのときに中央銀行が金融引き締めをするときです。
というのは、中央銀行というものは、日銀法第2条にあるような
(通貨及び金融の調節の理念)
第2条
日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、
物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。
という理念に基づいて行動する、
つまり、
「物価の安定」のために、「通貨及び金融の調節を行う」からです。
だから、
金利が高くなるか低くなるかは、
政府の借金が多いか少ないかではなく、
国全体としてのモノやサービスの需要と供給のバランス(その結果としてのインフレ率)で決まると考える方が自然です。
今の日本は供給過剰、というか、世界中で供給過剰であるため、
各国の中央銀行が金融緩和をしており、どこもかしこも国債の金利が低いわけです。
その中でもとりわけ日本が低いということの意味をもっと素直に受け止めるべきでしょう。
問題は物やサービスの需要と供給のバランスであって、
国の借金のGDP比とか絶対額とかではありません。
物余り→デフレ→金融緩和→資金供給過剰→金利が低い
逆に、
物不足→インフレ→金融引き締め→資金供給不足→金利が高い
となります。
つまりは、
国家財政というものに関して、本当に重要なのは
物やサービスの供給がうまく行っているかどうか
だけです。
国の借金の金額とか規模とかなんとかは枝葉でしかありません。
ただし、
そう言っていられるのは外国からの外貨建ての借金が僅少の場合のみですが。
と言いつつ、究極的には
物々交換さえうまく行けば、何でもありです。
2009/08/27 (Thu) 13:11
「国債を刷れ!」の中でも繰り返し登場していましたバーナンキFRB議長、再任です。
正直、ホッとしました。
バーナンキさんと言えば、↓これです
バーナンキさんが日本に来て、↑これを語ったのは、
2003年
でしたが、
今、まさに、デフレ不況のアメリカで、当事者として↑これをやっているわけです。
国債のみならず、政府系機関の不動産担保証券(MBS)とかを買っています。
で、
その国債とかMBSとかを買うための超巨額の資金調達は、
主に、
当座預金を増やす(わずか半年で約80兆円)
という
Money Creation、帳簿操作(=中央銀行マジック)で
無から有を生じるプロセス
で創り出していると言う話は、
に書きました。
なお、
バーナンキ議長については、
上のAFP記事を引用すると
07年、サブプライムローン問題をきっかけに米国が直面した経済危機では、議会で副次的影響は比較的限定的と実際より甘い見通しを立て、批判にさらされた。
のような批判をされることがあります。
が、
その後の危機では、しっかりと思い切った対応してきているわけです。
まあ、
その対応というのは、はっきり言って新自由主義者の皆さんが忌み嫌うようなものばかりですね(中央銀行も政府も市場に思いっきり介入しているので)。
そして、大体サブプライムローン問題というのは、
返済能力が疑わしい人々へもおカネを貸し込む自由
を行使した結果の産物なのですから、
バーナンキさんがこの問題を当初は軽視していたからと言って、
少なくとも、新自由主義者から非難を受ける言われはないです。本当に。
そして、
もし、バーナンキさんが原理主義的な新自由主義者で、
つぶれる銀行や保険会社はつぶれるに任せる。FRBは一切感知しない
という思想の持ち主だったとしたらどうなっていたかと思うと、本当に背筋が凍りつきます。
さて今回は、
バーナンキ議長再任をきっかけに思い出したかのように、
日米英のベースマネー(=マネタリーベース=ハイパワードマネー)がどんな感じで増えているのかを比較しておこうと思います。
(本当は、日米欧をやりたかったのですが、
ユーロ圏のデータがなぜか見つからず、
日米だけではつまらないので、
英国を追加してお茶を濁しておきます^^;)
ところで、
ベースマネーとは、おさらいしておきますと、大雑把には
お札 + コイン + 中央銀行の当座預金
のことで、
信用創造のタネ銭のようなものでしたね。
では、長期の推移グラフ
・英国は1999年にもポコンとベースマネーが大きく増減していますが、
これはアジア通貨危機とかロシア危機の時期ですね。
その時期、英国と比べて、日米が非常に安定しているのは興味深いところです。
・それを除くと昨年の8月くらいまでは、
日米英とも基本的には安定的に増加していました。
(あの日銀の量的緩和も、この比較のなかではなだらかな変化に見えます)
・そして昨年の8月以降…この部分を改めて切り取って↓グラフにしました
↑日本と、米英の違いが非常に鮮明ですね。
アメリカはベースマネーが2倍、英国は3倍になっています。
しかも、'わずか数ヶ月の間にです。
で、
金額にすると、どんな感じかといいますと、1ドル=100円、1ポンド=150円
として換算しますと、
08年8月→09年7月の期間で
日本 88兆円→93兆円 5兆円の増加
米国 84兆円→167兆円 83兆円の増加
英国 11兆円→31兆円 20兆円の増加
という具合です。
FRBはこの間、日銀一つ分に匹敵する巨額のベースマネーを増やしていたわけですね。
ところで、
英国の20兆円増加は、絶対額だけで見るとイマイチおどろきがないですが、
英国のGDPはアメリカの約1/6です。
そして、日本のGDPはアメリカの約1/3ですね。
(アメリカが約1500兆円、日本が約500兆円、英国が約250兆円)
ということで、上記ベースマネーの増加額を
アメリカのGDPに合わせて考えて見ますと、
日本 15兆円
米国 83兆円
英国 120兆円
ということになります。
Bank of Englandは、FRB以上のイリュージョンをやっているというあんばいです。
逆に、
日銀は、頑張らなさ過ぎか?
といえば、そんなことはないでしょう。
日銀は、すでに社債なんかも買っているわけですし(異例中の異例の措置)、
なにせ、国債金利は日本が世界で一番低い水準ですから、日銀もこれ以上頑張りようがありません。
これ以上の措置と言うと、
日銀が中小企業に直接貸し出すくらいのことをやらないと行けないような気がしますが、それはあまりにも酷な話でしょう。
ということで、
「数ヶ月で日銀をもう一つ造ってしまうくらいの【FRB帳簿操作マジック】にも驚いたが、それを上回るBank of Englandのスーパーイリュージョンにはもっと驚いた!」 と思われた方は、下のリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/08/25 (Tue) 16:37
株価が上昇してきて、株式投資ブームが沸きおこり、
昔のバブルのときのように、
「普通の主婦やOLまで株に投資するようになった」
というような状況を考えて下さい。
そうなると、どうなるでしょうか?
それまでは、定期預金(つまり、長期の銀行への貸付)で堅実に運用していた人たちが、
定期預金なんてしている場合じゃない!
となるわけです。
みんなが定期はやめて普通預金にし、とにかく、お金が手に入ったら株を買う
と言うような状況です。
そうなると、預金の総量は減らないけれど、預金全体の中で
定期預金の割合が減り、普通預金の割合が増える
ということになります。
となると、
預金を預かっている銀行の方は、預金の運用を
長期から短期にシフト
せざるを得ないわけです。
(いつ、引き出されるか分からない普通預金の割合が増えるので)。
そうなると、長期金利の上昇圧力が高まりますね。
でも、
長期金利が高くなり、定期預金の金利が高くなれば、
今度は、株なんてやらずに定期預金で安全確実に高利回りで運用する方が良いよ
と言う人も増えてきます。
で、そうなると今度は株価の上昇圧力が弱まり…
とこのような形で、様々な人の様々な思惑の総和で株価や金利が変化を続けて行くということになるわけですね。
最後に、
よく、株式が暴落すると、
○百兆円の富が失われた
という言い方がなされます。
これ、決してお金が減るわけではないわけですね。
実際、[1]の預金の量と株式・出資のグラフを見てみてもそのことがよく分かります。
株式・出資の時価総額が
07年6月の1,067兆円から
09年3月の 487兆円へと、
580兆円も減っていますが、
同じ期間に、
預金の量は20兆円ほど増えています。
ただ、
最近では、株式交換により、ある企業が他の企業を買収できるわけなので、
株式の時価総額が減ると言うことは、他の企業の買収に使うための「元手」が減ることになるので、
その意味では
富みが失われた
と言えるかも知れません。
しかし、
自分のとこの株式時価総額と、買収したい相手の時価総額が同じように落ちていたら、
買収し易さは特に変化しません。
そう考えると、
株の暴落 = 富みの喪失
とは必ずしも言えません、ということになりますね^^
これは不動産にも言える事です。
少なくとも
不動産の暴落 = おカネが消えた
ということはないわけです。
ああ、あと、前にも書きましたが、
「海外への資金逃避」
も、別に日本円が消える話にはなりません。
あなたが、円預金をドル預金と両替したなら、必ずもう一方で、
ドル預金を円預金に替えた人がいるからです。
そうでないと両替は成立しません。
で、結局、銀行全体からすれば、円預金が減ることにはなりません。
(円預金そのものは減らないけれど、「資金逃避」なら為替レートは円安になります)
それゆえに、
あなたがドル預金と引き換えに手放した円預金も
結局は、どこかの銀行において
国債、地方債、社債などの債券や、企業への貸付金、個人の住宅ローン
等のうちの、いずれかで運用されることになります。
ということで、本日の結論。
日本政府を破綻させる方法
a.意味もなくアメリカを死ぬほど怒らせて徹底的に空爆してもらい、
日本中の銀行を消滅させ、日本円の預金を消滅させる。
b.新自由主義原理主義者に政権運営を全面的に任せ、
つぶれそうな銀行は100兆円以上の預金を持つメガバンクであろうと
容赦なくつぶし、
ペイオフを連発する。
そうすれば、
○百兆円の巨額の預金が消えてなくなり、国債で運用しようとする人がいなくなり、日本政府はあっけなく財政破綻すること、請け合いです。
「そっかあ、財政破綻論者に政治を任せれば、いざというときも『国にそんな余裕はなーい!!!』とかアホなことを言って、銀行を救わず破綻させまくるだろうから、それで預金が消滅して、日本政府も資金調達源に困って破綻ですね(さすがに、見るに見かねて日銀が政府を無視して頑張るかも知れないけれど)。じゃあ、日本政府を破綻させるには、財政破綻論者に国を任せるだけで良いんだ。簡単だあ^^V」 と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/08/25 (Tue) 16:37
本日の記事は
みんなが株を買いに走っても、株で大暴落でも預金は減らない!どちらにしても政府は破綻しない!!
と言う話です。
すでに、基本的には「国債を刷れ!」でも書いている話(株暴落でもおカネは減らないという話でした)ではありますが、
改めて
預金取扱い金融機関の預金合計(外貨預金除く)と国内の株式・出資の合計
の推移をグラフに示します。
(「国債を刷れ!」ではしかも、世界の株式指数と米ドルで、かつ、預金合計ではなくてM2を使って説明していました。)
出典:日銀「資金循環統計」時系列データ
(株式・出資合計:金融機関、非金融部門、海外部門の資産合計)
なお、
上記グラフでは、預金だけを示しています。現金の量は入れていません。
預金が1100兆円以上あって、円の現金の量は80兆円と1割以下です。
それほどのインパクトはないので、今回、現金は見ません。
また、
「株式・出資」は、
・海外株式
・国外企業が国内で上場している株式
は含まれません。
「資金循環統計」では、
海外企業の株式・出資は「対外直接投資」や「対外証券投資」に含まれます。
で、グラフの説明ですが…
まあ、一目瞭然でありますが、
国内の株式・出資の合計、つまりは時価総額は、激しく変動しています。
一方、
預金の量は99年くらいまでは一貫して増え続け、99年以降はほぼ横ばいとなっています。
株式・出資の時価総額がどれだけ減ったところで、預金の量は別に減らないということです。
逆に、
株式・出資の時価総額が増えからと言って、預金の量が増えるわけでもありません。
株で誰かが損をしても、他の誰かが儲けていますし、
株を売った人は、買った人から預金を受け取るだけですので、
預金の量は株取引をしただけでは変わることがないわけですね。
そして、
預金というものは、基本的には信用創造で一方的に増えてゆくものです。
もちろん、
銀行がポコポコつぶれて、ペイオフが連発されれば減りますが、
自国通貨の問題であれば、政府はいくらでも手の打ちようがありますので、結局、預金というのはなかなか減ることはありません。
なお、以前
で、
政府が緊縮財政を始めた途端、負債全体が増加から横ばいになったという話をしていました(下図)。
今回のグラフとこの負債総額を比べると、
預金の増加ペースがガクッと落ちているのと1年ほどズレていますが、
まあ、緊縮財政がマネーの増加を抑えているのは間違いないでしょう。
だって、
2001年から2006年までは、日銀はもの凄い量的緩和(当座預金を30兆円に増やす)をやったのに、
その期間、預金の量はあまり増えていません。
これは、90年→99年までの預金の増加ペースと比べればかなり鮮やかですね。
別の言い方をすれば、
90年代後半までは、
政府が財政を拡大し、政府の借金の増加ペースが民間の負債の減少ペースを上回っていたため、負債全体も増え、預金も増えていたが、
90年代後半以降は、
政府が財政拡大を止め、政府の借金の増加ペースが民間の負債の減少ペースとほぼ同じくらいになったため、負債全体も増えず横ばい、預金も横ばいとなった。
ということになります。
ということで、
とりあえず近年は預金の量、つまりは、おカネの量が変わらないわけです。
にもかかわらず、株式の時価総額が激しく増えたり減ったりするのはなぜでしょうか?
株価が上昇するときというのは、
株式を買おうとする人が多い、つまり、株式の買い注文の金額が多い状況です。
その買い注文が成立するには、その値段で売る人がいないとなりません。
ということで、
株価が上昇すると言うときは、基本的には取引金額が膨らんで行きます。
ということは、
株式売買のところで、お金の回転量が大きくなる、ということです。
ということで、下のような図を作ってみました。
上記「株式売買のところ」というのを
株式ワールド
と呼ぶことにします。
そして、単純のため、仮に、この世界には株式ワールドと債券ワールドしかないとします。
株高のときは、
株式ワールドでのおカネの回転量が増え、
債券ワールドでのおカネの回転量が減り、債券安、金利高
となります。
逆に
株安のときは、
株式ワールドでのおカネの回転量が減り、
債券ワールドでのおカネの回転量が増えて、債券高、金利安
となります。
この「株安のとき」の
債券ワールドでのおカネの回転量が増えて、債券高、金利安
というのは、
今回の不況で株価が暴落するなか、
日本国債や米国債の金利が下がった(債券価格が上がった)というのを見れば、よく分かりますね。
なお、
「回転量」と書きましたが、
株式におカネが回っても預金の量が減るわけではないのですから、
これはおカネの回転速度と考えて下さい。
単位時間あたりにおカネが回転する量です。
さて、
上記では、おカネの回転速度が「株式ワールド」と「債券ワールド」の二つの間で
トレードオフ、シーソーゲームのようになっているかのような説明になりましたが、
実際には違います。
というのも、
「株式ワールド」のおカネの回転速度がどれだけ増えたとしても、預金取扱金融機関の預金の総量は変わらないからです。
預金の総量は変わらないで、その変わらない量の預金は、主に
国債、地方債、社債などの債券や、企業への貸付金、個人の住宅ローン
などの債権(債券と貸出し)のいずれかで運用されることになります。
なお、
日本国内の銀行は株式も持っていますが、今年の3月時点でたかだか37兆円です。
企業・政府等貸出 462兆円
住宅貸付 142兆円
国債・地方債・政府関係機関債 360兆円
に比べるとずっと少ないです。
ということで、
株式ワールドが盛り上がっても、別に預金が減るわけではないので、債権(つまり、銀行の運用資産)に回るお金の合計が減るわけではないのです。
しかし、
債権の内訳には影響が出てきます。
これは、次のように考えると良いでしょう。
2009/08/24 (Mon) 12:21
日本国債の金利が低いのは、大蔵省(現・財務省)が、銀行に国債の購入を強制しているからだ!
と言って、ネット上で「国債を刷れ!」を批判している人がいました
(某「経済学者」の信者の方です)。
もし仮に、それが本当だとしたら、
日本の銀行は、日本国債の代わりに、サブプライムローンを裏づけとした証券化商品を買っていた方が良かったわけですね^^;。
そんなバカな話は無いわけです。
また、
ということが現に起こっています。
こちらは明らかに、金融機関が能動的に国債の購入を増やしているという話です。
なんと言いますか、「日本の国の借金は大変だー、破綻だー」とおっしゃっている皆さんの論理展開というのは、申し訳ないですが、はっきり言って支離滅裂です。
なぜ、この現実の世界で生活していながら、ここまで見事に現実の現象を無視し、
見ざる、言わざる、聞かざる
を押し通すことができるのか、というのは、
世界七不思議の一つに入れても差し支えないように思われます。
(と言っても、私もちゃんと調べるまでは日本破綻論を信じ込んでいたので、
あまり人のこと言えないですが^^;)
さて、それから、
個人の預金が多い→銀行が資金をもてあましている→銀行が国債を買っている
から大丈夫だ、
と言うけど
景気が良くなって、
その個人がみんな預金を下ろして株を買うようになれば、
銀行の預金も減って、
誰も国債を買わなくなるので、
やっぱり政府は破綻する
というようなことをおっしゃる方がいるかも知れません。
しかし、残念ながら、そんなことはありません。
あなたが株を買ったら、その代金は払わないでしょうか?
そんなことないですよね。そんなことしたら詐欺ですから^^;。
あなたが株を買ったら、あなたは証券会社を通じて、その株をあなたに売ってくれた人に、あなたの預金を渡すことになります。
その株を売った人が何かの形で預金を使ったとしても、その預金は他の誰かに回るだけです。
ということで、
株の取引が活発化したからと言って預金総額は減りません。
よって、
それによって政府が破綻することはありません。→この株ネタはまたデータに基づいて、やります。
さて、最後に、
鳩山さんは
新規国債は増やさないぞー!
とおっしゃっているのですが、
財源に使う「埋蔵金」には
財政投融資特別会計
も含まれています。(私の手元にある「民主党Manifesto」にそう書いています)
この、
財政投融資特別会計
を使うということは、
国債の返済に回すお金を減らすことになってしまいます。
つまり、国債の残高を減らすのに使うお金を財源とするので、これは
国債の増発と同じです。
詳細は↓こちら
新規国債は減らすけど、国債残高を減らすのを止める。
というのは、
新規国債を
「増やさない。増やしたら国家が持たない」
ということと明らかに矛盾するわけです。
国の借金大変だ!
と言っていると、
結局は、このようなゴマカシを使うほかなくなるようです。
「とりあえず国会議員の立候補の条件に【簿記3級…、いや、簿記4級以上相当の簿記資格試験合格】を入れた方が良さそうかも…」 と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/08/24 (Mon) 12:21
本日(09/08/24)の日経新聞2面です。
【民主・鳩山氏、新規国債「増やさない」】
民主党の鳩山由紀夫代表は23日のテレビ朝日番組で、
2010年度の国債発行額に関し
「増やさない。増やしたら国家が持たない」
と述べた。
衆院選後に政権を獲得した場合、
補正予算を含めて44兆円超に膨らんだ新規国債発行額を、
今年度より削減する考えを示した発言だ。
新規国債の発行を
「増やさない。増やしたら国家が持たない」
国の借金がこれ以上増えると、国家が持たないそうです。
国の借金よりも国の金融資産の方が多かったアイスランドが事実上国家破綻、
つまり
「国家が持たなかった」のは、なぜでしょうか、鳩山さん…
新規国債の発行を増やさない
というのでは、
新規国債30兆円枠
と言っていた緊縮財政の小泉政権と変わらないことになります。
それに、新規国債の発行を「増やさない」あるいは減らすとしても、
つまり、
44兆円の発行を40兆円とか30兆円に減らしたとしても、
新規国債の発行を続ける限りは、国の借金残高は増えます。
ということで、
その「国家が持たない」というのが
仮に、「これ以上国の借金残高た増えると持たない、破綻する」
と言う意味でしたら、
新規国債の発行を抑制したとしても、国の借金残高は間違いなく増えるので来年度は確実に日本は破綻
します。
政権交代したとたん、残念ながら、見事にご臨終です。
いや、そういう意味ではないのです、
「借金が増えるスピードがこれ以上加速したらだめなんです」
という意味だとすれば、
非常に恐縮でありますが…
新規発行をいくらにすれば、破綻しないのか、明確で客観的な根拠を示して説明頂けないでしょうか?
てなもんです。
大体、政府の借金が増えれば民間のお金が増えるだけです。
自国通貨建ての借金である限り、
政府の円建ての借金が増えて、円建ての民間のお金が増えるだけです。
そして、
民間のお金が増えれば、政府の資金調達源が増えるだけです。
これの一体全体、何が問題なんでしょう?
ここで簿記3級的にもう一度
国債発行→政府支出
の仕訳を書いておきます。
これまでも何度か書いていましたが、後から考えると複雑なものしか書いていなかったので、単純化して書きます。
そして、この仕訳から得られる
貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書
も書いてみます。
#本来なら、
民間はせめて金融機関とそれ以外(非金融企業と個人)に分けて
金融機関の信用創造でお金が増えていく様子を描くべきですが、
政府の借金増えた ⇔ 民間の現金預金が増えた
で終りなんですけどね^^;
#また、本来なら海外部門も関係させて説明すべきですが、
18年連続対外純資産世界最大の日本なので、とりあえず省略しても差し支えないです。
あくまでも、今回は単純明快に、がテーマです。
上記の図表、単位を書いていませんが、
別に兆円でも京円でも同じです。変わりません。
まあ、兆円にしておきましょう。
それと、初期設定は
民間 資産:現金預金 100兆円 / 負債:0兆円
政府 資産:0兆円 / 負債:0兆円
つまり、
民間に現金預金 100兆円があるのみ
という設定です。
ということで話を進めますと、
【貸借対照表】
政府の負債が100兆円増える→民間の資産が100兆円増える
【損益計算書】
政府の損失が100兆円→民間の利益が100兆円
あと、
今回は【キャッシュフロー計算書】も付けてみましたが
上記のケースでは
キャッシュフロー = 現金同等物の増減
は、
政府も民間も±0兆円
となります。
さて、今回、キャッシュフロー計算書を持ち出したのはなぜかと言いますと…
実は、
「高校生でもわかる日本経済のすごさ!」
の中で、
三橋さんが
政府の資金繰りに関して、
キャッシュフローの考え方を使って非常に分かりやすく解説しています。
アマゾンで予約ないし明日の先行販売でゲットしようとなさっている皆さんは、
是非、楽しみにしていて下されば、と思います。
(この本の原稿を読んでいて、私が一番感銘を受けたのはこの部分だったりします。
「さすが三橋さん、中小企業診断士だー」と心の中で叫んでしまいました^^)
まあ、いずれにせよ、
政府の借金が増える ⇔ 民間のお金が増える
(より正確には 政府の純負債が増える ⇔ 民間の純資産が増える)
というシステムが何の問題もなく円滑に回っているからこそ、
日本国債の金利は10年以上、世界最低水準
を続けているわけです。
ああ、そうそう、昔(と言っても今年ですが…)、
2009/08/23 (Sun) 10:52
本日(09/08/23)の日経新聞朝刊1面 から
【途上国のインフラ整備、低採算部門にODA 政府方針】
政府は
途上国でのインフラ整備を民間資本と一体で支援するため、
政府開発援助(ODA)に新たな手法を導入する方針を固めた。
大型プロジェクトで採算を見込める部分に民間資本を、
採算に合わない部分には公的資金として円借款を投入する仕組みだ。
財政負担を減らして効果的な援助をめざす。
事業全体のリスク軽減により民間企業の海外進出を後押しする。
事業全体のリスク管理手法などを検討したうえで、
今年度中にも導入に踏み切る。
外務省などは
衆院選の結果にかかわらず援助の基本方針は変わらないとみている。
に出てるのですが、
紙面版には続きがあります。
・このような手法を
「バイアビリティー・ギャップ・ファンディング(Viability Gap Funding)」
と言うそうです。
Viabilityというのは
事業の採算性とか継続性とかの意味合いのようです。
その採算性や継続性の
ギャップGapを埋めるための、
政府による資金投入Funding
ということでしょうかね。
記事には
この手法はインフラ事業を細かく区分けし、
採算性の低さを公的資金で穴埋めする
…
公的資本の部分投入で全体の採算性を引き上げる効果がある。
例えば物流網などのインフラ整備では、
土地収用や区画整理など利益が出にくい部分にはODAである円借款を活用。
道路建設など採算性が高い事業に民間からの資本を充てる。
採算性に応じて事業を区分けするため、
民間企業は原則、採算割れになるリスクを負わなくて済む利点がある。
とあります。
さて、
円借款というのは、
日本政府が他の国の政府に円で貸し付けることですね。
そして、
他国の政府がその円借款を財源に財政出動する。
日本の民間企業はそれに乗っかってリスクを回避、採算割れを回避することができるので、自らの資金でその国に事業進出する。
ということで、
上記のVGF(バイアビリティー・ギャップ・ファンディング)というのは
単純化して言えば、
政府支出というニンジンをぶら下げて民間活力を引き出すという手法です。
アメリカ政府が
建設費の1/3を援助することで、
代替エネルギー(再生エネルギー)の発電所の採算ラインを引き下げることを呼び水に、
民間部門を刺激して地熱発電所などの建設ラッシュを巻き起こしたのと、
基本的な構図は全く同じです。
政府支出で民間の活力を引き出すと言う点では、
エコカー減税とか太陽光発電の補助金とも、もちろん全く同じ構図ですね。
話を今回のVGFに戻しますと、
・日本の民間企業はそれで利益を上げることができる。
・途上国はインフラ整備が進むので、その国の内需が活性化する。
ということは、日本にとっての外需が大きくなる。
・日本政府はいずれその途上国から円借款を回収する。
その途上国が順調に発展する限り、取りっぱぐれはないでしょう。
・ということは、
日本:外需を振興できる。円借款もちゃんと回収できれば、文字通り丸儲け
途上国:自国の経済基盤をしっかり整備できる。
という具合になります。
実に、うまいやり方だと思います。
さて、こんなうまいやり方をやろうとしているのは…
記事では主語が「政府」としかなっていませんが、
「その【政府】の責任者は誰だ?責任者、出て来ーい(良い意味で)」 と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/08/21 (Fri) 15:53
「高校生でも分かる日本経済のすごさ!」
首都圏での先行発売の件
出版社の方から連絡がありましたので、
取り急ぎお知らせさせて頂きます^^
下記、首都圏主要駅(【駅リスト】参照)周辺の書店(【書店リスト】参照)
にて、
8月25日(火)夕方ごろから先行発売
となります。
注:下記書店での「先行」の後の本番の入荷は28日、 他の書店の店頭に並ぶのは31日ころになるようです。
なお、
アマゾンの発売日は29日となっております。
以上、どうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m
記
【駅リスト】
東京、新宿、池袋、上野、秋葉原、浜松町、品川、横浜、川崎、船橋
【書店名リスト】
<東京駅エリア>
八重洲ブックセンター本店(東京駅八重洲南口徒歩5分)
丸善丸の内本店(東京駅前丸ノ内オアゾ内1F)
ブックエキスプレス・ディラ東京店(JR東京駅構内ディラメディアコート)
<新宿駅エリア>
山下書店新宿西口第一店(東京メトロ丸ノ内線新宿駅改札そばの階段上)
ブックエキスプレス新宿南口店(JR新宿駅南口改札内)
<池袋駅エリア>
リブロ池袋本店(池袋西武書籍館1F)
東武ブックス池袋北店(池袋駅北口、東上線改札そば)
<上野駅エリア>
ブックエキスプレス・ディラ上野店(JR上野駅改札内3F)
<秋葉原駅エリア>
有隣堂書店秋葉原店(ヨドバシカメラ秋葉原店7F)
<浜松町>
ブックストア談浜松町店(浜松町駅南口改札徒歩1分)
<品川駅エリア>
ブックエキスプレス・ディラ品川店(JR品川駅構内)
<横浜駅エリア>
有隣堂横浜駅西口店(横浜駅西口地下街ダイアモンド内)
<川崎駅エリア>
有隣堂川崎アゼリア店(川崎駅前地下街アゼリア内)
<船橋エリア>
ときわ書房本店(JR船橋駅南口直ぐ)
*変更履歴
[削除] <大崎駅エリア> ブックエキスプレス大崎店(JR大崎駅改札内)→棚卸の時期と重なるため中止
2009/08/21 (Fri) 12:30
世界屈指のデフレ状態である日本においては、
これでもか、と言うくらいにガンガンバラマキをして良いと思っていますので、
バラマキを批判するつもりは皆無ですが、
好ましいバラマキと好ましくないバラマキを見分ける「判定法」を考えてみました。
以前、
で、
政府のお金の使い方は
厳し過ぎず、甘やかし過ぎず
が大事です、
という話をした際に作った、↓この図
のイメージです。
要するに、
・競争原理を活用しているか?
・努力を引き出す効果、動機付けを高める効果はあるか?
ということなのですが、
これを
一言でひっくるめて言い表すと、
・その政策は、ニンジンになっているかどうか?
で、
好ましいバラマキかどうかを判定するのはいかがでしょう?という提案です。
では、具体事例について考えて見ましょう。
しているとは言えないかな…
・努力を引き出す効果、動機付けを高める効果はあるか?
買い物をする動機は高めていると言えば言えるか…
ニンジン10本を最高値とすると…
ニンジン1本くらいですかね。
2.エコカー減税&補助金、太陽光発電補助金
・競争原理を活用しているか? していますね。
お金は消費者に渡し、消費者が自分でメーカーや商品を選びます。
バリバリ、競争原理を活用しています。
・努力を引き出す効果、動機付けを高める効果はあるか?
上記と重なりますが、企業努力を引き出します。
動機付けも言うに及ばずですね。
基本的には、国全体として石油への依存度合いを低下せしめる効果が期待できます。
ということで、ニンジン10本。
3.子供手当て・出産支援
・競争原理を活用しているか? これはちょっと置いておきましょう。
・努力を引き出す効果、動機付けを高める効果はあるか?
子供を作ろう、育てようという動機付けは高まるように思われます
ニンジンは何本くらいかな…
と、ここで、ちょっと立ち止まって考えてみたいのですが、
「子供を作ろう、育てようという動機付け」を高めるためには、
その前の段階として、結婚を奨励しないといけないかも…
え?
最近は「出来ちゃった結婚」が当たり前?
それは、なんともよう言いませんが…
しかし、
国家として「出来ちゃった結婚」を推し進めるのもいかがなものかと思うので、
これは置いておきましょう(笑)。
いずれにせよ、
少子化対策として、
結婚を奨励する方向性は、特にに間違ってはいないでしょう。
こういうことは、
多角的、同時多発的に作戦を発動した方が勝利はより確実になろうかと思われます^^。
ということで、
になっている状況はやはり改善したいところです。
というようなことを考えると、
配偶者控除を廃止と引き換えになっている民主党の「子供手当て」は、
子作りの前段階としての、結婚の動機付けを阻害しかねないので、
その点はよろしくないと言えそうですね。
あと、
・所得が低すぎる
・非正規雇用なので将来が見通せない
・しかも、日本経済お先真っ暗と思い込まされている
ということで結婚に踏み切れない人も少なくないようですので、
結婚を奨励するには、やはり景気対策、経済成長政策(要するに財政拡大路線)も重要ではなかろうかと思います。
となると、
真水の財政拡大が4年間でたった5兆円=年1.25兆円(GDP比0.25%)で、
しかも
財源が埋蔵金で使い切ったらおしまい、
というのは、残念ながら子供手当ての効果を半減してしまいそうです。
ということで、現在の民主党マニフェストのままであれば、
子供手当て・出産支援は申し訳ないのですが、
ニンジン3本
くらいにしておきたいと思います。
自民党のように、
実質2%成長にするためなら何でもするぞー、追加補正予算もガンガンつけちゃうぞ~
というのとセットであれば、ニンジン7本なのですが…
本題の話はこれで終わりますが、
おまけ として、公共事業の話を。
上記のニンジンについていろいろ考えているうちに、
公共事業はニンジン・メソッド(仮称)だと、どうなるか、
と考えてみました。
競争入札は確かに「競争原理」なのですが、
なんとなく、エコカー減税や太陽光発電の補助金と比べると違和感を感じたのです。
それはなぜかというと、
競争入札は下手をすると
単なる値下げ合戦
で終わってしまいそうな気がするからです。
安かろう、悪かろう
になってしまっては、技術は磨かれませんよね。
それに、
手抜き工事になったり、
人件費を切り詰めるために現場の作業員が過重労働を強いられるようなこともあるかも知れません。
そこで、ふと思ったのですが、
競争入札を
価格で決めるのではなくて、
価格固定で性能を競わせる
というのはどうでしょうね。
これだと技術競争になって、技術が磨かれるのではなかろうかと思いました。
まあ、これは今のところ、単なる思いつきですが…
(昔のサカイ引越センターのCM風に)「悩まな~い、迷わない、財政出動、しなっさーい♪」 と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/08/20 (Thu) 12:16
本日の日経朝刊1面 論説記事 【選択09衆院選 政治に期待すること [中]】
から:
日本国債の外国人の保有比率は現在6%台と約50%の米国と比べて極端に低い。
国内の豊富な家計貯蓄が国債を買い支えているからだ。
だが、高齢化が進めば家計は貯蓄を取り崩さざるを得ず、
海外マネーに頼ることになる。
「約50%の米国と比べて極端に低い」
→その外国人保有率の高いアメリカは、中国要人が「米国債がどうたらこうたら」と発言するたびに、ご機嫌を取りに北京へ行ってひいこらしているのですが、その方が望ましいとでも?
「だが、高齢化が進めば家計は貯蓄を取り崩さざるを得ず」
→高齢者が貯蓄、つまり、預金を取り崩して使えば、その預金は宇宙空間に放出されて
消滅するとでも?
「誰かの支出は必ず他の誰かの収入」の原理原則が分かっていれば、
このような考えが出てくることはありません。
誰かがお金を使ったからといって、世の中全体でお金が減ることはあり得ません!
「海外マネーに頼ることになる。」
→長期的に経常赤字が続くようになれば、そういうこともあるでしょうが、
そうなれば、アメリカ同様に外国人保有比率が高まるので
「万々歳」なんじゃないのですか?
結局、外国人に頼る方が良いのか頼らない方が良いのか、どないやねん!
引き続き、上記論説記事の引用です:【近視眼的な政策】
だた、海外投資家の目に映る日本の将来は暗い。
債務残高はGDPの1.7倍と既に先進国で断トツ。
…
マネックスグループの松本大社長は最近、与野党の若手政治家に
「政策が近視眼的すぎないか」と忠告した。
目先の景気刺激にこだわるあまり、
少子化対策や財政健全化など長期的な成長に向けた意欲を感じなかったからだ。
だが反応は同じだった。「選挙に勝たなければいけないから」
「海外投資家の目に映る日本の将来は暗い。」
→
サブプライムローンで死ぬほど大打撃を受けた人たち、
特に、
国債札割れを連発している欧州の人たちには、
そないなこと、言われたくありません。 (ただ、「国債札割れ」自体は、
「長期国債が不人気で札割れ」でも「短期国債大人気」ということもあるので、
それほど心配する必要もないですが)
そんなことを言っている『海外投資家』どもには
「そこまで言うなら
日本はIMFに貸し付けている1000億ドル(約10兆円)を今すぐ引き上げるから
お前ら『将来の明るい』国が代わりにIMFに貸したれや、おい!
は?【ボクたちの国、そんなにお金アリマセーン】って?アホぬかせ!」
といった内容のことを
もう少しだけお上品な形で言って差し上げたい今日この頃でありますね。
「財政健全化など長期的な成長」
→財政健全化こそ、近視眼的な政策の真骨頂です。
長期的な経済成長 = GDPの各要素の合計が長期的に増え続けること
もしくは、
民間黒字の継続的拡大 = 政府赤字の継続的拡大
↓その結果として、
民間純資産の継続的拡大 = 政府純負債の継続的拡大
という、「考えてみたら、当たり前」の話を思い出しましょう。
「債務残高はGDPの1.7倍と既に先進国で断トツ。」
「→そんなに【日本の政府債務GDP比が高いから日本はダメだ~】と本気で思っているのなら、 是非とも、事実上国家破綻したけど政府の債務残高GDP比が未だに日本よりずっと低いアイスランドに全財産をつぎ込んで凍死、じゃなかった、投資して来て下さい。ご冥福を、じゃなかった、ご健闘を心よりお祈りしております。アーメン」 と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/08/20 (Thu) 12:07
私もコッソリひそかに、
恐れ多くも「監修」という形でお手伝いさせていただきました、
三橋貴明さんの新著「高校生でもわかる日本経済のすごさ」
↓アマゾンにて予約登録受付中(販売受付開始のお知らせメール登録)となっております。
一応、発売日は今月28日もしくは29日となっていますが、
都心部の一部書店では先行発売する予定(早くて25日)となっているそうです。
先行発売する「一部書店」については、
出版社から情報が入り次第、当ブログでもお知らせさせて頂きます^^
本日は、マクロ経済を読み解くための基礎事項(と私が思っていること)を、
おさらい
しておきたいと思います
【基礎事項】
1.誰かの負債は必ず他の誰かの資産
2.誰かの支出は必ず他の誰かの収入
3.GDP = 民間消費 + 民間投資 + 政府支出 + 純輸出
【応用事項】
4.政府の純負債 = 民間の金融純資産
(世界全体で見れば対外資産・対外負債は全て打ち消されてゼロ)5.政府の赤字 = 民間の黒字
(世界全体で見れば純輸出は全て打ち消されてゼロ)6.長期的な経済成長 = GDPの各要素の合計が長期的に増え続けること
もしくは、
民間黒字の継続的拡大 = 政府赤字の継続的拡大
↓その結果として、
民間純資産の継続的拡大 = 政府純負債の継続的拡大
とりあえず、上記6項目さえ押さえておけば、
財政再建原理主義者や市場原理至上主義者(盲目的新自由主義者)
の事実無根の非科学的妄言に騙されずに済みます。
あとは、
7.乗数効果
(例えば、政府支出の増加はそれ以上のGDPを創り出す)8.信用創造(Money Creation)
(お金というものは、政府債務が増加し、 それにつれて民間債権が増える過程で次から次へと無限に増えてゆく。 お金など、所詮は実体のない、無から有を生じる過程で出てくるものに過ぎない)9.本当に恐れるべきは食べ物やエネルギー供給などの「物流上の破綻」であって、「財政破綻」ではない。
もう一つ付け加えますと、
10.自分が経済の専門家でないということに引け目を感じないこと。「経済学者に騙されないぞ!」という気構えを持つ事
ですかね。
大体、
イタリアでは、
1980年から95年までで、
1980年のGDPの5.1倍も国の借金が増えた、
今の日本で言えば15年間で2500兆円以上も国の借金が増えたのに
ちっとも破綻していない。
しかも、
その期間、これだけハイペースで国の借金が増えたのでインフレが進むと思いきゃ、
インフレ率は20%超から5%程度につるべ落としのように下落した、
という、IMFのデータベースを見れば一発で分かるような事実について、
さらには、
第二次大戦前後のアメリカでは、
1940年から45年までのわずか5年の間に、
1940年のGDPの2.1倍も国の借金が増えた
つまり、
今の日本で言えばたった5年間で1000兆円以上も借金が増えたのに、
アメリカは破綻どころか、世界の覇権を手に入れました。
しかも、
その強烈に国の借金を増やした期間でも、
インフレ率は一度10%を超えただけ、平均で5.1%でしかなかった。
債務GDP比が大きくなるにつれて、日本の国債金利はむしろ大きく下がっており、
更には、
債務GDP比が日本よりもずっと小さい国の国債金利が日本よりもず~っと高い
という事実についても、
極めつけは、
政府が負債以上の金融資産を保有し、実質的に、借金がゼロどころかマイナスだったのに国家破綻したアイスランド(「事実上の破綻」が正確のようですが)
についても、
このように、
これだけ豊富にある「事実」をことごとく無視した主張をしている人たちについて、
引け目を感じる必要は一切ないです。本当に。
これが10年前なら、これだけの情報を私のようなシロウトが集めるのはほぼ不可能だったと思います。もしかしたら「専門家」ですら難しかったかも知れません。
しかし、
インターネットがこれだけ普及した現在にあっては、
いやしくも専門家を名乗る皆さんが、上記のような事実について
見ざる、言わざる、聞かざる
を決め込むのは、
もはや
怠慢以外の何者でもないと言われても、
残念ながら、文句は言えないと思います。
今日の日経朝刊1面も非常に「面白い(苦笑い)」論説記事(「選択09衆院選 政治に期待すること [中]」)が出ていますね
2009/08/18 (Tue) 11:39
「衰退事業、産業」というのが全部将来にわたって国の役に立たないかというと、そんなことは決してないでしょう。
以前、
金型、鋳物、鍛造、金属プレス、電気めっき、などなどの中小企業が
今回の不況で一層追い詰められてしまっている
という記事を書きました。
こういった、日本の製造業を底辺で支えていた中小・下請け・孫請け企業は、
目下、儲かりにくい状況なので、「衰退事業、産業」に含まれることになります。
じゃあ、ごっそり丸ごとつぶしてしまえば、日本の前途は明るいのでしょうか?
仮に、儲かる成長産業として
パチンコ、カジノ、デリバティブでバリバリ儲ける投資銀行(笑)
というのがあるとします(あくまでも、仮にですが)。
こういった産業を「儲かる=成長産業」として育てるのと引き換えに、
金型、鋳物、鍛造、金属プレス、電気めっき
といった企業を根こそぎつぶして、日本の将来なんてあり得るでしょうか?
「とりあえず儲かる成長産業」
とやらが
「成長」すれば、
100年後、1000年後も、日本人は安全・快適に生活できるのでしょうか?そんなことはないでしょう。
重要なのは、あくまでも、以前示しましたような↓これです。
モノ作り(ロボット)、エネルギー供給、食糧供給の確保
つまりは、
「『儲かりさえすれば、効率性、生産性が良いので何でもあり』というのは、今回の金融危機で完全にダメだったことが、あまりにもハッキリしておるではないか。 国を支えるのに必要なのは、得体の知れない【儲かる成長産業】などではなく、【技術】だ! 【技術】以外に、何が100年後、1000年後の国家を支えるのかね、新自由主義者諸君よ!!!」 と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/08/18 (Tue) 11:36
先週土曜日09/08/15の日経朝刊1面トップです。
【車・電機大手】
【コスト削減5兆円】
【今年度 市場収縮で体質改善】
自動車、電機大手が人件費、研究開発費などの固定費と原材料費などの変動費を絞り込む。
2009年度のコスト削減計画額は
トヨタ自動車が8500億円、
ソニーが8000億円以上を見込むなど
乗用車7社と電機大手9社の合計で約5兆円に達する。
乗用車7社の根気の売上高予想が
前期より約9兆円減るなど市場収縮が続く中、
損益分岐点を引き下げ国際競争力の回復を急ぐ。
これは
良いニュースでしょうか?悪いニュースでしょうか?
「コスト削減」が、収益性や競争力の改善つながるはずだから、良いニュース
と見ることも
「コスト削減」で、人件費、研究開発費、原材料費が減らされるので、悪いニュース
と見ることもできますね。
「コスト削減」で実際に、収益性や競争力が改善すれば、
その企業の株主、経営者、従業員(の一部)は恩恵に預かることになります、
一方で、
「コスト削減」により、
人件費が削られるということは、
従業員のうち、とくに非正規雇用の方や、部署によっては組合に守られていない管理職の皆さんが割りを食うことになるでしょう。
研究開発費が絞られることにより、
将来必要な技術の開発が滞ることもあるかも知れません。
原材料費の圧縮により、
仕入先はほぼ間違いなく痛い目に遭うでしょう。
だからと言って、
コスト削減をすべきでないということにはもちろんなりません。
自由主義経済の枠組みの中で生き残るには必要なことなのですから。
さて、
ここで少し立ち止まって考えてみたいと思います。
もちろん、
それは競争の原理を社会全般で機能させることにより、
社会全体の生産性を維持向上させることにあります。
そのようにして、競争が起こり、コスト削減というものが起こってくるわけです。
さて、
この
競争やコスト削減によって、あぶれてしまった人、失業してしまった人は、
新自由主義の人が大好きな言葉、
レッセフェール(自由放任)
ということで
放っておけば、これまた、新自由主義者の好きなフレーズ、
新しい成長産業
を
勝手に興してくれるでしょうか?
はっきり言って、それはあり得ないと思います。
そもそも、起業して成功するような才覚に恵まれた人なんてそうそういません。
10人に一人とか、100人に一人とかそれくらいの割合だと思います(もっと少ないかも知れません)。
まず第一に、
そうでなければ、世の中の大半がサラリーマンであるわけがないです。
第二に、
起業して成功するというのは、
その他大勢の人々と目の付け所が違うから成功するわけです。
つまり、
少数派であるからこそ成功できるのであって、
「皆が皆、起業して成功できる」のだったら、
それは「皆が皆、その他大勢と同じ」
ということになりますから、
成功者なんて存在し得ないという理屈になります。
さて、もちろん、起業家を増やし、起業しやすい環境を整えるというような方向性はあって良いですし、あるべきだと思います。
それはそれとして、
武運つたなく「自由競争」であぶれてしまった、あるいはあぶれてしまいそうな人々をどう手当てするか、ということも非常に重要です。
で、
現政権(麻生政権)は、恐らくその辺りも非常に重視して
雇用調整助成金
の適用条件を大幅に緩和してるわけです。
によると、
6月の完全失業率が5・4%と過去最悪(5・5%)に迫る中、
実際の雇用情勢は数字よりもはるかに深刻だという声が高まっている。
解雇せずに一時休業などで雇用を維持する企業に国が給付する雇用調整助成金で、
“隠れ失業者”の顕在化を食い止めているためだ。
助成金申請者は6月で約238万人に達し、
これを含めると単純計算で失業率は8・8%に跳ね上がる。
衆院選でも雇用政策が大きな争点となりそうだ。
なんと、雇用調整助成金の申請者が
238万人
に達しているとのことですね。
なぜか、上記記事では
実際の雇用情勢は数字よりもはるかに深刻
のようにネガティブな書き方をしていますが、
この政策を麻生政権が取っていなければ日本経済はどうなっていたことやら、ゾーっとします。
これに関して、
土曜日の朝NHKで
経済ワイドビジョンe
という番組があって、たしか先月だったと思うのですが、
↓こんな感じの話をしていました(記憶している内容は正確でないかも知れませんが):
某有名経済学者(ゲスト)が
日本の本当の失業率は9%にもなるんです。大変です。
と
悲観論を披露しているのとは
完全に対照的に
ワタミの渡邉美樹氏(ゲスト)
政府は雇用確保のための支出をもっと増やすべきです。
シンガポールでは、従業員のクビを切らなかった企業には、
大企業でも人件費の10%を政府が補助しています。
それくらい大胆なことをやるべきです。
「経済学者」は「このような状態です」で終わっているのに対し、
経営者は違いますね。
ちゃんと、対策を示しています。
それを受けて
司会者(経営学者)とNHK解説委員の人が
なかなか公的な職業訓練というのはうまく機能しにくいのですが、
企業に補助金を出してOJT(企業内での職業訓練)をしてもらうという手法は非常に優れていると言われていますね。
のように話していました。
ちなみに、上記経済学者の方は、その間、ムスッとされていたように記憶しております…
ということで、
「政府の役割というのはなんだ?」
というと、
社会全体の生産性・効率性の維持のために民間には自由競争させているが、
その自由競争ではうまく調整し切れない部分が必ず出てくる。
その部分をうまく調整して、結局のところ、
社会全体での全体最適を維持するのが政府の役割。
ということになるでしょう。まあ、いつも書いていることですが!
あと、
上記の産経記事で、↓この「新自由主義者の十八番」が出てきます。
過度の公的支援は、
経済の構造改革や効率化を阻害する要因にもなり、
日本総研の山田氏は
「衰退事業、産業を延命させては本末転倒だ。
雇用の受け皿となる成長産業への転換を促さないと、
成長シナリオは描けない」
と指摘する。
2009/08/14 (Fri) 12:14
いまだに、
経済の「専門家」がメディアで呪文のように言い続ける
日本の公的債務GDP比は世界最悪
→だから、日本の財政に余裕はない
という
非科学的空想ファンタジー
を、
今日は完全に叩き切ってしまいたいと思います。
ちなみに、その非科学的空想ファンタジーはこんな調子です
日経ビジネス 2009年7月27日号 p.9
【長期債務はGDPの1.7倍に】
16年前と比べて、現在の財政状態は大きく変わった。
T(K大学)教授はこう指摘する。
「93年頃と今では、国が抱える借金が全く違う。
バブル崩壊後の日本経済を、相次ぐ財政出動で何とか繕ってきた。
それが後に『失われた10年』と言われたが、
こんな言葉でごまかせるような状況にはないほど、
国と地方の長期債務残高は積み上がっている」
93年度末、国と地方の長期債務残高はGDPの1倍を下回っていた。
ところが今年度末には1.7倍まで膨らむ見通し。
市場に国債を引受ける余力がなくなれば、
国債価格の下落、
長期金利の上昇にもつながりかねない。
上記で公的債務のGDP比うんぬんと述べているのは
「経済学者」ではなくて、日経ビジネスの記者さんのようですが、
テレビ東京の朝の株番組によく出てくる、
某有名私立W大学の教授の先生も、ことあるごとに
日本の公的債務GDP比は先進国中最悪で、日本の財政に余裕はありません
と、
まるで壊れたレコードのように繰り返しています。
ということで、
公的債務GDP比と10年物国債金利の関係
を見てみましょう。
公的債務GDP比が上昇すると「余裕がなくなる」のであれば、
国債金利はグングン上昇しているはずですが、
現実は無情にも彼らの主張と正反対、
債務GDP比の急上昇とは正反対に、国債金利はどんどん下がって行きました。
ついでに、
相関関係も見ておきましょう。
なぜ、1986年以降しか示していないかと言うと、
日銀の国債金利のデータが86年以降しかなかったからです。
これだと、高々23年分のデータでしかなく、申し訳ないですので、
アメリカの約50年分のデータも見ておきましょう。
アメリカの方は、国債金利のみならず、FFレートも示します。
出典: 公的債務: Treasury Direct
GDP: Bureau of Economic Analysis
国債金利・FFレート: FRB
アメリカの長期データを見てもやはり、
どちらかというと公的債務GDP比と国債金利は負の相関関係になっています。
なんでこんなことになるかというと、
基本的に、金利はインフレのときに高くなるからです。
インフレのときに金利が高くなるのは、中央銀行が金融引き締めのために、たとえば保有国債を手放す(売りオペ)からですね。
そして、
インフレだと、名目GDPが伸びやすくなります。
その一方、
過去に借りたお金の残高というのは、インフレに関係なくそのままです。
それゆえ、
公的債務残高÷GDP
で計算される公的債務GDP比は、
インフレ下では
分子はあまり大きくならず、分母がどんどん大きくなるので、
小さくなり易くなります。
債務GDP比が小さくなる一方、インフレなので金利が高くなるわけです。
ということで、
インフレでは、
公的債務GDP比が小さく、金利が高くなり易い
逆にデフレでは、
公的債務GDP比が大きく、金利が低くなり易い
ので、
公的債務GDP比と金利は逆相関になり易い
というわけです。
もちろんこれは、
あくまでも傾向の話であり、
かつ、
公的債務が主に自国通貨建てである場合に限った話ですが。
いずれにせよ、
現実の状況として日本では国債金利が低い(しかも、世界最低水準)のですから、
公的債務GDP比が大きくなる = 資金調達が難しくなる = 財政に余裕がなくなる
というのは、上のグラフからして、明らかに
というわけです。
↑ここまでで、「面白い!」と思われた方は、
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以下、
若干ややこしい話を含みますので、読み飛ばしていただいて良いような話なのですが、
「科学」と「経済学者」、「非科学的 経済学者」
について、書いてみたいと思います。
まず「科学」という言葉について。
gooで提供している
「大辞林 第二版」では
自然や社会など世界の特定領域に関する法則的認識を目指す
合理的知識の体系または探究の営み。
実験や観察に基づく経験的実証性と論理的推論に基づく体系的整合性をその特徴とする。
研究の対象と方法の違いに応じて自然科学・社会科学・人文科学などに分類される。
狭義には自然科学を指す。
とあります。
ついでに
「社会科学」を引くと、
社会現象を実証的方法によって分析し、
その客観的法則を明らかにしようとする学問の総称。
研究対象により、経済学・政治学・法律学・社会学・歴史学などに分かれる。
わけですね。
そして、
広義では「社会科学」は「科学」なので、
「経済学」も広義には「科学」
ということになります。
(以下、科学は広義の科学を指します)
それでもって、「社会科学」は
「客観的法則を明らかにしようとする学問」
であり、
「科学」は、
自然や社会など世界の特定領域に関する法則的認識を目指す
合理的知識の体系または探究の営み。
とあります。
つまりは、「経済学」というのは、
経済に関する事実を客観的・合理的に積み上げて、その中から一定の法則を見出して、社会の役に立つような知識の体系を作り上げる
といったことになるでしょうか。
ここで、
日本の公的債務GDP比は世界最悪
→だから、日本の財政に余裕はない
という主張を思い返してみて下さい。
この主張、
一切、事実を見ていないですし、客観的・合理的に法則を明らかにしていないですよね。
だって、上で見ましたように、日本は公的債務GDP比急上昇で、逆に国債金利がダダ下がり=余裕がある(しかも世界随一)ですから。
つまり、この主張、全く「科学的でない」ということです。
つまり、
日本の公的債務GDP比は世界最悪
→だから、日本の財政に余裕はない
と主張している
「経済学者」は、残念ながら、
「科学的な存在」とは言えません。
「科学」の範囲から外れてしまう「経済学者」って、この社会にとって、一体何でしょうね…
K大学のT教授は、
それが後に『失われた10年』と言われたが、
こんな言葉でごまかせるような状況にはないほど、
国と地方の長期債務残高は積み上がっている
とおっしゃいますが、
「あなたこそ、非科学的空想ファンタジーを振りかざして多くの国民をごまかしてちゃいけません、T教授!」 と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/08/12 (Wed) 16:30
現実には、
この世界的金融危機に際して、日本はIMFに1000億ドル(約10兆円)もポーンと貸し出し、IMF専務理事から「人類史上最大の貢献」とまで感謝されています。
現実には、
この世界的金融危機で、円安ではなく円高が起こりました。
「先進国最悪の財政状態」のはずの日本から資産逃避(キャピタル・フライト)が起こるどころか、円高ということは日本に資金が集まってきたのですから、
世界中から日本への資産逃避が起こったわけです。
さらについでに言えば、
現実には、
この世界的経済危機の中、
世界中の政府や企業の中で、最も低い金利で驚異的な巨額の資金をいとも簡単に調達できているのは、誰でしょうか?
日本政府です!
他の国の政府や機関や企業ではありません。他にあるのなら、是非とも教えていただきたいものです。
自分たちの属する国の政府が、資金調達に関して世界で最も有利な立場に立っているという事実を前にして、
本当は日本の対外資産はそんなにないのではないか?
と心配する必要なんて、ほんの少しでもあるでしょうか???
なお、
円が強くなって円高になれば、当然、外貨建て資産が大半を占める対外資産は、円建てでの評価が低くなります。
それゆえに、
日本の対外純資産の金額は減ってしまいますが、
逆に言えば、
円が強くなって、海外の資産が安く買えるのだから、お金持ち国家・日本にとっては、単にバーゲンセール実施中というだけのことです。
ということで、
円高で対外純資産が減ったところで何ひとつ心配する必要はありません!
前にも書きましたが、お金の、というよりは、日本円の価値の裏づけというのは、
日本が国全体として持っている「物々交換能力」です。
ろくに資源の無い日本であるのに、
海外から資源を輸入し、その資源に他の国の人々が到底付けられないような付加価値を付け加えて送り返しています。
このことによって経常黒字を累積させることで対外純資産を積み上げてきたわけです。
つまり、
日本は他の国と比べても非常に強力な「物々交換能力」を持っているということです。
そして、
その物々交換能力が強いのは何も今に始まったことではなく、少なくとも戦国時代以降、つまり、何百年も前から鮮やかな形で常に発揮し続けて来ています。
ということは、↓で書きました。
ということで、
「日本が世界最大の対外純資産を持っているのは、日本のモノ作り能力が歴史的に見ても世界屈指であり続けていることからして、全くもって至極当然。何らの驚きにも値しない、ごくごく自然な成り行きにござりまするな」 と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/08/12 (Wed) 13:07
日本の対外純資産は18年連続世界最大
という話を書くと、
いや、日本にそんな資産はない
とか、
それは時価評価していないに違いない。だからダメだ
といった書き込みやご批判を頂戴するのですが、
その辺り、スッキリしておきたいと思います。
財務省の「対外純資産」は日銀の資金循環統計と対応しているという話は「国債を刷れ!」で詳しく書いているのですが、
まず、日銀の資金循環統計は時価評価ですので、
時価評価してないからダメだ
というのは、もういいですね。
そのことは、
をご参照下さい。
ということで、
いや、日本にそんな資産はない、あるわけが無い!
と言う点について、考えて見ましょう。
とりあえず、今年の3月時点の資金循環統計を確認しておきましょう。
いつもは、国内主要4部門だけ見ていましたが、今回は全部門を示しています。
すなわち、
国内主要4部門+対家計民間非営利団体+海外
です。
と言いつつ、
非営利団体は数字が小さい
(といっても純資産で36兆円もあるのですが、上のグラフ上ではどうでも良いくらい小さいです)
ので、まあ、良いでしょう。
海外
はというと、文字通り、海外の人たちの日本に対する資産と負債です。
これは、主語を日本に変えると、
海外部門の資産 = 日本の対外債務
海外部門の負債 = 日本の対外債権
です。
このことは、日銀の資金循環統計の「参考図表」を見るのが、一番分かりやすいと思いますので、↓以下に掲載しておきます
(クリックして拡大するか、下のリンクのPDFファイルの2ページ目をご覧下さい)
私が思うに、
物事を端的に理解・把握するためには、
もの凄い極端な事例を想定してみるということが、非常に良い手段であると考えます。
(
以前も、「円高で日本が破綻」はない、というのを検証するために、1ドル=1円という超円高を想定し、
輸入原材料費はほとんどゼロ同然ですので、国内での商売は輸入すればするほど儲け放題
になりますね、というのをやりました。
ということで、
そんなに日本の資産があるわけない!
という方への友愛メッセージとして
今日は、
日本の対外資産が完全にゼロになった場合
というのをやってみます。
上の図で、
ピンク色もどきの部分が、海外部門の資産、負債
水色の部分が、国内部門の資産、負債
です。
以前も書きましたが、この「負債」には本来負債ではない株式・出資金も含まれます。
これは、日本の対外純資産と、海外部門の対日純資産のバランスを見るには、そうしないと都合が悪いからです。
(
株式・出資金を負債に含めてこそ、世界の全ての国の対外資産・負債の合計がバランスして純資産・純負債がゼロになります。
ただ、厳密には政府や中央銀行が持っている金とSDR(IMFの引出権)は、負債を伴わない資産として計上されるので、その分だけ純資産はプラスになるのですが
)
(a)は、現在の状態です。
次に、
(b)と(c)は、国内部門の資産のうち、対外資産がゼロになって消えてなくなる場合です。
その場合、海外部門の日本に対する負債、対日負債も同時に消えます。
そりゃそうです。
日本が海外に対して持っている資産(資金循環統計では「対外債権」と書いています)が
海外部門から見たら負債に他ならないのであり、
日本の対外債権がゼロになる、ということは、海外部門は、その日本の債権、自分たちにとっての債務を返さなて良くなった状態なのですから。
つまり、
日本の対外債権がゼロ、海外の対日債務もゼロ、ということになります。
これでめでたく日本の世界最大の対外純資産は消え去り、
アメリカに肩を並べる世界屈指の対外純債務国に仲間入り(上図(c))ですが、
残念なことに、これだけでは済みません。
さてさて、
日本の対外資産というのは、具体的には何でしょうか?
海外の株式や債券などですね。
様々な国の企業の株式、あるいは、政府や自治体や公的機関や企業が発行する債券などに広く分散しています(ただ、550兆円の対外資産のうち、100兆円くらいが米国債ですが)。
ということは、です。
日本の対外資産がゼロになるためには、
世界中の政府・自治体・公的機関・企業がことごとく破綻してくれないとなれないわけです。
いや、単なる「破綻」ではダメです。「破綻」しただけでは、債務の一部は返せる状態かも知れません。
海外の様々な政府や公的機関や企業が100%完全に借金を踏み倒し、かつ、株価も完全にゼロ円になってくれないと、日本の対外資産はゼロになれません。
この時点ですでにあり得ない話をしていますが、このあり得ない前提でさらに話を進めてみましょう。
世界中が「海外の様々な政府や公的機関や企業が100%完全に借金を踏み倒」さないといけないくらいに完璧に破綻しまくった状態であるなら、
海外の人たちで、対日資産を持っている人々は、当然、そんなことになる前に、日本から資産を引き上げているでしょう。
だって、自分たちが他の国で持っている資産は、上記のようにして、完全にゼロなのですから。
海外の人たちが持っている対日資産・対日債権が300兆円ありますが、これが全部売りに出された場合、どうなるでしょうか?
もちろん、彼らが売りに出した日本国内の企業・公的機関・政府の株式や債券は大暴落です。
もちろん、そうなるとドミノ倒しのように、全ての企業・公的機関・政府は破綻し尽くしますので、
国内部門、つまり、家計、企業、非営利団体、一般政府の資産と負債はことごとくゼロになります(上図の(e))。
ということで、
見事、テトリス、あるいは、ダルマ落とし、あるいは、積み木崩し(?)のように、資産も負債もあとかたも無く雲散霧消しておしまいですね。
ああそうだ、金とSDRは残りますね。
でも、世界中が完全に破綻している状態では、金やSDRに価値などありませんので、やはりゼロです。
さて、
このような「夢幻のごとくなり」な話は終りにして現実に戻りましょう。
2009/08/08 (Sat) 14:00
本日は、消費税です
とりあえず、自民と民主の公約を並べておきますか。
自民:消費税増税は経済状況の好転後、遅滞無く実施
「首相は…記者会見で『中福祉には中負担が必要だ』と指摘」
民主:消費税増税に触れず(4年間は上げない方針)
「民主党の鳩山由紀夫代表は政権を獲得しても4年間は消費税率は上げない
と明言している」
(日経新聞09/08/01朝刊3面)
結局、
消費税に関しては、自民と民主の違いは、
自民:今回の選挙で政権を維持できたら、景気回復させた後で消費税増税しまっせ~
民主:今回の選挙で政権取ったら、4年間は消費税増税しまへん。
増税するとしても、次の衆院選以降にするかも。
ということになるようですね。
さて、
私の見解としましては、
未来永劫、消費税は増税しなくて良いです。
ということになります。
その理由は、
税の持つ意味は、
バブルと不況を緩和させ、
景気(=経済の巡航速度)を安定させるための制御手段である。
(注:もちろん、税の存在意義は、「財政再建」のためとか、「国の借金を返すため」
では決してありません。念のため。)
その景気の制御手段としての税は
累進性
(景気加熱のときは加速度的に増税、景気悪化のときは加速度的に減税する仕組み)
を持っていることが好ましい
そして、
消費税は、法人税や所得税のような累進性が無い
ので、
消費税は、景気の制御手段としての機能が弱い。
よって、
消費税の増税は無用
という理屈です。
詳しくは、
をご参照下さい。
それでもって、
なぜ、ヨーロッパでは軒並み高率の消費税(というよりは付加価値税)になっているのか?
ということですが、
ネットサーフィンして色々見てみますと、
どうやら↓こういうことのようです
1.フランスでは昔から消費税(付加価値税)が導入されていた
その流れ、惰性(?)で、
2.EC(欧州委員会)の「指令」で消費税(付加価値税)
の施行が義務付けられている(1977年)
3.2の理由:
陸続きの欧州で国ごとに税制が大きく異なると
域内の経済活動を阻害してしまうから
→つまり、
一言で要約すると
おふらんすジョーク
ということですかね(笑)。
さて、
消費税(日本の消費税)については、
累進性が無い
と先ほども触れましたが、
家計の収入に対する実質的な負担率はむしろ逆進性を持っています。
というのは、
財務省の資料でも示されていたりします:
↑これを見ると、
世帯収入の大きい世帯ほど、消費税の負担額は大きい(上のグラフ)
のですが、
世帯収入の大きい世帯ほど、負担率が小さくなっています(下のグラフ)
(逆に言えば、世帯収入が小さい→負担率が大きい)
この逆進税だと、
景気の過熱時には、
世帯収入の増加 → 実効税率が小さくなって、更に景気を加速させてバブルを煽り
景気の後退時には、
世帯収入の減少 → 実効税率が大きくなって、更に不況を加速
させてしまいかねない、
ということになってしまいます。
逆進性を排除するため、欧州では
日用品などは税率を低くし、ぜいたく品は税率が高く
なるような
複数税率を適用
することにより、
消費税に累進性を持たせています。
これも、
↓財務省HP参照下さい
にてグラフ付きで説明しましたように、
日本の消費税の特徴は、
景気によらず、税収がかなり安定していること
にあります。
それゆえに、
自民党は消費税を福祉の財源にしようとしている、
ということなのだと思います。
しかし、
前述のように、そのことは
消費税の税収が安定している = 累進性が弱い = 景気の制御機能が弱い
ことに他なりません。
そして、
消費税率を一律に増税することは、
逆進性の観点から、難しいでしょう(批判も大きくなると思われるので)。
そうなると、
欧州のように、複数税率を適用して累進性を強化する
ことになります。
すると、
消費税の特徴である、景気にあまり左右されない税収の安定性を捨てる
ことになってしまいます。
それでは、
福祉財源としての安定性が失われることになってしまいますので、
消費税の増税→福祉の財源の安定化
というのは、なかなか実現が難しいと言えます。
もちろん、以前にも書きましたように、
消費税の増税で、国民の安心感が高まる
という効果がある可能性は無きにしもあらずですが…
「自民も民主も、『消費税率は未来永劫上げません!』と言ってくれるとスッキリするのだけどなあ…」 と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/08/06 (Thu) 16:19
首相は
「私たちの世代の借金を子や孫の世代に先送りするわけには行かない」
と指摘。
日経新聞09/08/02朝刊5面
うーむ、
なんだかちょっぴりブルータス、お前もか!
と叫んだ
ガイウス・ユリウス・カエサルの気分になってしまいました…
が、
まあ、
民間が「景気が良過ぎて、どうしても借金増やしたい」ということで
民間がキャッシュフローベースで赤字になり、
政府が黒字になって政府の借金が減りそうな勢い
つまり、
↓80年代後半の日本のバブル期とか、
あるいは、
↓90年代後半のアメリカITバブル期とか
くらいに「景気を良くするぞ~!」
という
意気込みかと解釈できないこともないので、良いのかな…。
ただ、
上記の図からも分かりますように、
日本では
1970年~2005年までの36年度のうち、政府が黒字なのは11年度程度、つまり1/3の期間しかなく、
アメリカに至っては、
1929年から2008年までの80年度のうち、
政府が黒字なのは、わずかに11年度しかありません。
政府が赤字なのは当たり前という前提は非常に重要です。
民間黒字 = 政府赤字 + 純輸出
ですが、
これを世界全体で見れば純輸出は完全に相殺されるので、
世界の民間黒字 = 世界の政府赤字
となります。
よって、
長期的な民間経済の成長 = 民間黒字の拡大は、
ひとえに、
長期的な政府赤字の拡大 = 政府の借金の増加なくしてあり得ません。
まあ、
それはさておき、
とりあえず、
自民党と民主党の経済政策を比較すると、
より経済成長を促がすのは、残念ながら(?)、
自民党であるということは、間違いの無いところと言えそうです。
民主党の、
純粋な積極財政が年1.25兆円(GDP比約0.25%)程度では、
緊縮財政をやっていた小泉政権期と同様、
名目GDP成長率世界最低になるのは、残念ながら、ほぼ確定となるでしょう。
#今日は、
自民・民主の政策の比較ついでに
なぜ、ヨーロッパ各国は消費税が大好きなのか?
という以前頂いていたご質問について、
何がしか書こうと思っていたのですが、長くなりましたので、また次回にて。
「ん? ということは、『脱・小泉時代、経済成長バンザイ!』の場合は自民党、 『小泉時代よカムバック!どーんとこーい、名目成長率・世界最低!!』という場合は民主党、 ということなのかな…」 と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/08/06 (Thu) 15:17
前回の記事のコメント欄では、
私の知らない江戸時代の日本の先端技術について様々、教えていただき、
皆様、ありがとうございましたm(_ _)m。
このようなお話は、なにやらワクワクしますね。
それにしても、
学校教育でこういったことが、あまり語られないのは、なんでしょうかね。どこぞの誰かの陰謀だったりするのでしょうかね?
さて、本題です。
7月31日に
自民党が政権公約を発表していましたね。
日経新聞09/08/01朝刊1面
【自民、政権公約を発表】
・景気回復を最優先
10年度後半 2%成長目指す
…集中的な経済対策により、2010年度後半に年率2%の経済成長を目指すと明記。
景気回復を最優先する姿勢を示した。
…首相は…記者会見し…
最優先の政策を問われ「景気回復だ」と強調した。
…
経済成長政策では
今後3年間で40兆円~60兆円の需要を創出し、約200万人の雇用を確保。
今後10年で1世帯当たりの可処分所得を100万円増やし、
1人当たり国民所得も世界トップクラスにする方針
を盛り込んだ
・財源、当面は国債依存
…記者会見に同席した園田博之政調会長代理は
「景気回復のための重点投資は通常予算の枠外で組む。
財源は相当多額になる可能性があり、国債発行もやむを得ない」
と語った。
・プライマリーバランス
財政再建では、国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を
今後10年以内に達成するとし、達成時期を示していない民主党との違いをみせた。
目標達成のため5年以内に国・地方の基礎的財政赤字を国内総資産(GDP)比で
半減させる。
・消費税
消費税率の引き上げを含む税制改革抜本改革は
「11年度までに必要な法制上の措置を講じ、
経済状況の好転後、遅滞なく実施する」とした。
上記の自民党の政策に対応する民主党の政策を
日経朝刊(同上)の2、3面、及び、09/08/02朝刊の4、5面から適宜拾って
比較してみます:
・景気対策/経済政策/財源
自民党の場合、園田政調会長代理の↓この発言
「景気回復のための重点投資は通常予算の枠外で組む。
…国債発行もやむを得ない」
という手段で
「10年度後半 2%成長目指す」
という目標の達成を目指すことになりますね。
対して民主党はというと、
「必要財源16.8兆円」
のうち、予算の組み替え(=緊縮財政と積極財政の抱き合わせ)
「ムダづかい根絶 9.1兆円」(→歳出削減と積極財政の組み合わせ)
「税制改正 2.7兆円」(→増税と積極財政の組み合わせ)
が11.8兆円で、
純粋な積極財政は
「埋蔵金4.3兆円」「政府資産売却0.7兆円」の合計 5.0兆円
のみとなっています。
しかも、
これが、2010年~2013年の4年度の合計なので
1年あたりの純粋な積極財政は
1.25兆円にしかならない
ことになります。
→うーむ…残念ながらこれでは、景気回復には心もとないような気がします…
何せ、GDP比0.25%の積極財政でしかないですので…
しかも、
埋蔵金や政府資産売却頼みでは、
使い切って弾切れになったら
それ以上積極財政を続けることはできなくなってしまいます。
そうなると、
残念ながら、日本経済の持続的成長は非常に困難となるでしょう。
一方、
自民党は、純粋な積極財政がいくらになるか明示していませんが、
「10年度後半 2%成長」
「今後3年間で40兆円~60兆円の需要を創出」
「約200万人の雇用を確保」
「今後10年で1世帯当たりの可処分所得を100万円増やし」
「1人当たり国民所得も世界トップクラスにする」
ために、
必要なだけ通常予算とは別枠で国債増発により行う
と読み取ることができそうです。
プライマリーバランスがどうのこうの言っているのは気に入りませんが、
別の解釈をすると、
要するに、
80年代後半の、民間が積極投資で赤字、政府が黒字、というのを再現しようということを目指していらっしゃるのかしらん、
と好意的に見ることもできないことはないですね(ん?こんな風に書くと、えこひいきかなあ…^^;)。
まあ、
景気が良くなれば…、
返還間もないころの香港の反共産党デモが数万人規模だったのが、
中国の好景気につられて香港の景気が良くなるにつれ、数年後には数百人規模に縮小していったのと同様、
日本では政府の財政赤字を気にする人なんてほとんどいなくなるので、
まあ、
どっちでも良いでしょう。
・財源問題
【鳩山氏 自民の財源批判】
…
「今年度予算は46兆円の税収に対して(補正予算も含めて)
44兆円とほとんど同額の国債発行。
極めていい加減な予算を組んでいる与党から財源論を言われたくない」
と主張。
徹底した予算の無駄遣い排除に重点を置き、
財源論争を受けて立つ考えを示した。
日経新聞09/08/01朝刊2面
税収と国債発行(借金による資金調達)が同じくらい
だから
いい加減な予算
というのはいかがなものでしょうかね…。
私は、数年前にどかーんと年収の7倍程度の借金をしましたが、今のところ私が破綻する気配は皆無ですし、
将来も何かしら機会があればどかーんと年収の数倍の借金を再度するかも知れません。
世の多くの人々も、年収の数倍規模の借金をして家を買ったりしていると思いますが、
年収(税収)以上の借金をすること自体に一体何の問題があるというのでしょうか…
民主・鳩山さんに限らず、
自民党でもそういうことを主張される方がいますが、
なんというか、
正直、めんどくさいですね。
財源問題は、これで終わろうかと思っていたのですが…
国の借金について、麻生さんがこんなことを…
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