2009/09/29 (Tue) 13:02
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それゆえに、
米国の巨額の経常赤字に代表される世界経済の不均衡の是正に向け、
米国が財政赤字縮小に、中国など新興国が内需拡大に努め、
相互監視する国際的な政策協調で合意
となっているわけですが…
なぜか、記事では不思議なことにドイツ、日本は名指しされていないですね。
中国のみならず、
世界でもトップクラスの経常黒字国であるドイツ、日本も、
世界経済の安定的回復→安定的成長のためには、
当然、内需拡大に努めなければなりません。
輸出依存だろうがなかろうが、
世界経済の安定なくして日本経済の安定はあり得ないのですから。
さて、日本は一応…
日本の鳩山由紀夫首相は子ども手当ての支給など消費刺激策を優先する方針を示している
(冒頭の「不均衡を是正」の日経記事の続き)
それに対して、
中国ははっきりしています:
G20サミット前に、中国の胡錦濤主席は
「積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策」を継続すると同時に、
「新たな対応策を準備する」と語った。
(冒頭の「不均衡を是正」の日経記事の続き)
さて、
昨日28日の日経1面で
日経NEEDSによる↓こんなシミュレーション結果が
今年度は
公共事業の凍結で、
麻生政権の政策と比べて、実質0.2%低下。
来年度は一応0.2%上昇
しかし、
再来年度は0.1%低下。
このままだと、
世界経済の「不均衡是正」に貢献できなさそうな予感が…
【補足】
#米国の場合は、財政赤字縮小だけでなく、個人があまりにもカネを借り易い状況を是正すべきだとおもいます。
#つまり、この場合は規制緩和でなく、個人が借金をしにくくする規制強化が望ましいかと。
「鳩山さん、もっと素直に、コキントウ主席並みにハッキリと【不均衡是正のために積極的な財政政策やりまっせ~】と、世界に向かって宣言しましょう! そうしないと…」 と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願いいたします
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2009/09/29 (Tue) 10:03
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前回の記事で、
「普通のバランスシート」
の不動産などの数値が入っていませんでしたが、
なんと、内閣府の「国民経済計算」でそんなのが出てたとは…
「国民経済計算」のページは「国債を刷れ!」を書いているときに、かなり血眼になって見ていたのに、気付いておりませんでした^^;
さて、
先週土曜日(09/09/26)の日経新聞 朝刊1面トップです。
で、
↑これが↓合意ですね。
今朝、ネットに掲載されたので、夕刊記事になるでしょう。
1.世界的な経常収支の不均衡の是正
(赤字国の赤字縮減と黒字国の黒字縮減)
2.現在の官需による下支えから、
危機脱出後は民需による自律的成長へシフトさせる
3.バブルの発生と破裂を避ける
というようなことを合意したということになりますね。
今回は「1.」の経常収支の不均衡の話を中心にしたいと思っていますが、
先に「2.」と「3.」について軽く触れておきたいと思います。
実は、
「2.」と「3.」については、
リチャード・クー氏の
で、解決の方針が書かれていたりします。
「2.」については、かいつまんで書くと↓こんな感じです
民間のバランスシートの調整が終わるまで(簡単に言えば借金返済の終了まで)は、大規模な財政出動を継続する必要がある。
その後は、バランスシート不況下で、民間企業や個人がかかってしまった「借金恐怖症」からなかなか抜け出せない、という問題が出てくる可能性が高い。
(ということを、米大恐慌のときは実際にそうであったと金利データを示して説明)
この「借金恐怖症」を克服しない限り、長期にわたり、官需(要は財政赤字の長期的拡大)で引っ張らなければならない羽目になる。
「借金恐怖症」を克服するためには、民間が儲け易い環境、投資しやすい環境を作る必要がある。
それゆえに、バランスシート不況のときは、
・バランスシート調整を早期に終了させるために、大規模な財政出動をする必要がある。
・それと同時に、バランスシート調整終了後を見据えて必要な規制緩和を実施しておく必要がある。
というような話が書いてありました。
#余談ですが、クー氏は意外なことに財政出動一本槍、というわけではなかったのは驚きでした^^;
#規制緩和の具体的内容については、ここでは敢えて触れませんが、
必要な規制緩和というのはきっとあるでのでしょう。
#ただ、日本の文化に合った、かつ、企業活動を活性化させ、かつ、できるだけ格差拡大の助長にならないような形が望ましい、という具合でしょうか。
#なお、
私見では、官需が引っ張り続けても良いのでは、と思います。
政府はカネを出し、かつ、そのカネはニンジンのように使って競争原理を働かせ、100年後、1000年後に国にとって必要な技術を蓄積させるというやり方で。
2.現在の官需による下支えから、
危機脱出後は民需による自律的成長へシフトさせる
については、以上で簡単に済ませておきたいと思います。
次に「3.」のバブルの発生/破綻の抑制ですが、
これについては、
短期投資は重税、長期投資は軽税
というやりかたで、短期の資本移動を抑制することでかなり軽減できるようです。
というのをクー氏はマレーシアの事例を挙げて説明していました。
ということで、以上で「2.」と「3.」の説明は終わりまして、
「1.」の経常収支の不均衡の話です。
経常収支の不均衡を示すグラフを:
世界中の経常黒字の合計、経常赤字の合計が
世界のGDP比で伸びて来ていた様子が分かります。
注:本来、経常黒字の合計と経常赤字の合計は一致し、差し引きゼロになるが、統計上の誤差や、そもそも統計が出ていない国もあるため、一致しない。
特にアメリカの経常赤字の世界のGDP比を示しましたが、
この米国経常赤字が世界GDPに占める割合が伸びていた
しかも、
アメリカの経常赤字が概ね世界の経常赤字合計の過半を占めていた
ということが非常に大きな問題であったわけです。
このアメリカの経常赤字の中身はというと、
注:FRBの資金循環統計(FF)では、企業の株式を負債から除かれている。
上のグラフでは株式発行による資金調達を「負債獲得」に加算し、
日銀スタイルに合わせている。
要は、戦争と住宅バブルだったわけです。
(07年の企業の株式大量発行は原因がよく分かりません^^;)
ちなみに、08年の経常赤字と経常黒字の上位国ランキング
アメリカを始めとする赤字国の赤字が、
中国、ドイツ、日本を始めとする黒字国の黒字、引いては、数年にわたる好景気をもたらしていたのですが、
この源泉が、
戦争と住宅ローン、
しかも住宅ローンは過度の貸し込み…
アメリカでは返済能力に疑義のある低所得者層に対するサブプライムローン
アイスランドやハンガリーなどでは、低金利の外貨建て住宅ローン
などなど
だったのですから、これでは世界経済が安定しないのも無理は無いというわけです。
それゆえに…
2009/09/25 (Fri) 20:14
本日は、
について、いろいろ説明不足な面があったように思われますので、補足します。
不動産や機械装置といった有形資産
と
株式・出資
が、「ビールの泡のようなプラスαの資産」という話について。
この話の出発点は、
金融資産と負債は釣り合って、金融純資産がゼロになる
という資金循環統計です。
資金循環統計では、いわば、負債側に全ての借金が入っているわけです。
そして、その対になる金融資産と釣り合っている。
ただし、
釣り合っている状態であるのは、本来負債ではない株式・出資を発行元の負債と見なして、負債に入れているからです。
さて、
資金循環統計で
全ての部門の資産側の株式・出資
と
全ての部門の負債側の株式・出資
をそれぞれ合計してみると…
で、一致するわけです。
そして、これを踏まえて、
国内部門(政府+民間)と海外部門を全部足し合わせたバランスシートは↓こうなります
一番左が、資金循環統計スタイルのバランスシートです。
金融資産と負債が釣り合って、差し引きゼロになります。
(厳密には、政府と中央銀行保有の金とSDRが、対応する負債が無いので、
3.2兆円ほど資産超過になりますが)
次に、中央の図です。
株式・出資は本来、発行元にとって返済義務はありませんので、負債ではありません。
よって、株式・出資を負債から消し去ると、
株式・出資の金額分がそのまま金融純資産(この場合、国内と海外部門を含めた金融純資産)となります。
最後に、右の図です。
債権者のいない債務は存在し得ません。
よって、基本的に負債というのは、他の誰かの金融資産(債権)です。
よって、負債は金融資産(債権)と釣り合って完結します。
これに
本来負債ではないので、一方的に資産のみである株式・出資
と
金融資産以外の資産、つまり、不動産や機械装置などの有形資産
を加えると、
純資産はプラス側に伸びる一方となります。
上図で、黄緑色の破線枠は、
対応する負債のない資産、つまり、相手方が純資産となる資産群を示しています。
で、
なぜ、こんなことになるのか?
なぜ、こんな「純資産」が存在し得るのか?
ということの仕組みについて、具体例を挙げて説明したのが、
というわけです。
説明の方法は下の二種類でした。
(1)具体的な取引事例を簿記の仕訳を用いて説明(これは、
説明のために仕訳という手法を用いて、ある瞬間を切
り取ったものと捉えて下さい)。
(2)株や不動産の売買があっても、お金は買い手から売り手に渡るだけ。
預金の量が変わることは無い。
よって、株や不動産の価格を決めるのはお金の回転スピード
(というのを図説)。
と言った具合です。
そして、結論としては、
株や不動産の価値総額というのは、
ビールの泡のようなもの、お金の回転速度や景気のバロメーター、速度メーター。
あるいは、
株や不動産の価値総額というのは、
預金などの「安定資産」の上に乗っかっている、バネのようなもの。
景気が良ければバネが伸び、景気が悪ければバネが縮む。
となります。
というのは、
株がどれだけ減っても、時価総額で数百兆円規模の減少があっても、
預金は減るどころか、むしろ増えている、という下の図を見ていただけると、かなり納得ができるのではなかろうかと思います。
上図では、
☆株式・出資の合計額(青)
☆預金総額(黄色)
↑これら以外にも、参考情報として、
☆日経平均株価(ピンク色、右軸)
も掲載しました。
で、ここで、注目していただきたいのは、
株式・出資の合計額(青)の
・バブル期のピーク(89年3月)
と
・直近のピーク(07年6月)
の時の日経平均です。
(株式・出資のピークと日経平均のピークは若干ずれていますが、日経平均は月データなのに対し、株式・出資のデータが年度末データしかないためです。悪しからず)
日経平均は、ほぼ半減なのに、
株式・出資の時価総額が、バブル期よりも07年の方が大きかった!
(但し、しつこいようですが、この時期、緊縮財政の外需頼みで日本の名目GDP成長率は世界最低です(笑))
のでした。
これは、意外に思われる方が多いのではないでしょうか?
もちろん、
日経平均が日本の株の全てを示す指数ではないので、
株式・出資の時価総額のピークと日経平均のピークがずれていても、何ら不思議ではないのですが、
株式・出資の数、発行株数というのは、バブル時よりもずっと増えているということなのでしょう。
つまり、
89年以降の新株発行というのが少なからずあった(新興市場を含めて)ということです。
現在は、89年の時価総額を下回っていますが、
07年6月時点では、
【新株発行マジック!】
で述べたような、株式増発による「信用創造」が起こっていたと言えそうです。
もう一つ別の説明をしておきますと、
07年6月のピーク 1,067兆円から
09年3月の底 487兆円まで、
580兆円も時価総額が激減したとは言え、
それでも、株式・出資は487兆円あったわけです。
もし、
これまでに日本の企業が一社たりとも株式・出資を発行していなかったら、この487兆円は0円です。
しかし、株式の発行だけでは、預金は右から左に移るだけで増えも減りもしないわけです。
つまり、
株式・出資の新規発行の積み重ねによって、
最近では底の時ですら、預金とは別の、本来ゼロであるはずの金融資産が、上乗せで487兆円もあったわけです。
(より正確には、「あるように見えた」と言うべきかも知れませんが^^)。
【新株発行マジック!】では、
上記のようなマクロにおける摩訶不思議な現象を、簡易に説明することを試みた、ということなのであります。
但し、繰り返しになりますが、
「所詮、株式の価値というのは、
ビールの泡のようなもので、価値変動が激しいもの。取扱注意」
です。
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2009/09/23 (Wed) 17:03
以前は、
国債発行+財政出動+ベースマネー増発(お札と当座預金の増発)
によって、
金融機関を介した信用創造
でお金、マネーが増える様子を
やりました。
銀行を介在させると、かなり複雑でしたね。
ということで、今日は
・銀行なし。
・中央銀行もなし。
で、超シンプル信用創造(Money Creation)をやってみます。
つまり、銀行と中央銀行の中抜きです。
政府が国債を発行し、
国債のまま国民に渡す
という形態です。
で、詳しく書きましたが、
国債は、見方を変えれば譲渡性預金の一種です。
特に、短期国債や変動金利国債は、
価値変動が極めて僅少、ないし、変動ゼロ
ですから、通貨そのものと言って差し支えありません。
と言う前提で、
以下、1年もの国債を使ったシミュレーションを仕訳でやってみます。
下記で、
・「国債1」というのは、年始に発行された1年もの国債です。
「国債2」は年末に発行される2年目の1年もの国債です。
・上表で「国民」は家計+非金融法人企業と捉えてください。
・年末に
(1)所得税等の徴税・納税
(2)利息の支払いと利息に対する徴税・納税
(3)「国債1」から「国債2」への借換え(ロールオーバー)
が一括で行われるものとします。
・税率は20%としています。
で、上記仕訳の結果が、下の財務諸表です:
・政府の純負債が8.8兆円増加
・国民の純資産が8.8兆円増加
・政府+国民の連結では、
資産と負債が両建てで8.8兆円増加し、純資産の変動はゼロ
前回の記事でも書きましたが
民間純資産増減+政府純資産増減+海外部門純資産増減=0
です。
とりあえず海外部門をおいておけば、
政府の負債(純)が増えること
と
国民の資産(純)が増えること
というのは完全に1対1です。
ということで、銀行と中央銀行を中抜きすれば、
信用創造というのが、かなりすっきりした形で
政府負債の増加⇔国民の金融資産の増加
ということが分かって頂けるのではなかろうかと思います。
しかし、
中央銀行がないと気持ちが悪い
という方もいらっしゃると思います(実は私自身を含めて)ので、
中央銀行など影も形もない、江戸幕府にタイムスリップしましょう。
八代将軍の御世に行われた元文の改鋳です。
元文の改鋳については「国債を刷れ!」でもかなり詳しく解説しましたが、
ここでは、仕訳を書き出して見たいと思います。
その前に、この改鋳について、さらっと振り返っておきますと
・小判の金含有量を1/2にして、小判の量を倍にした。
・古い小判を1枚持ってきた国民には、1.6枚と交換した。
という話です。
下記で、
・幕府の負債側に「発行小判」という項目を立てましたが、
現在の日銀がお札を発行すると負債側に「発行銀行券」という項目
を立てるのに習ったものです。
本来、返済義務はないので負債ではないですが、
現代のシステムに模して負債としておきます。
・「古い小判を1枚持ってきた国民には、1.6枚と交換した」
というのは、お金持ちほど得をする給付金のようなものです。
上記では、「幕府振舞(ふるまい)金」と表現しました^^
・幕府振舞金については非課税。
・その他の幕府支出は、公共事業その他で町人にとっての所得となるので、
税率2割として徴税しています。
・小判は国債と違って利息なし。返済期限なし。
よって、利払い、借換えなし。
「発行小判」を負債に計上する事で
幕府の純負債が9.2万両増加
町人の純資産が9.2万両増加
となり、
この元文の改鋳も、
幕府と町人の連結では純資産変化なし
です。
つまり、
小判だろうが国債だろうが大した違いは無い
ということになります。
逆に、見方を変えれば、
小判を永久無利子国債
と見なせば、本当に何らの違いは無いわけです。
さらに、
小判の金含有量を減らして、小判の枚数を増やす
というのが、
無の状態から国債をいきなりポーンと発行する
ということと、特に違いはありません。
さらに、
日銀の「発行銀行券」というのは、
永久無利子 日銀債
と考えてみればどうなるでしょう?
「国債を刷れ!」でも書きましたように、
・日本政府は日銀の55%株主(持分が過半数を超える株主)
・日銀は日銀法で株主から一切口出しを受けないことになっているが、
国会は5年に一度、日銀のトップ人事を決める権限がある。
・日銀の株主への配当は日銀法で資本金の100分の5が限度。
現在、資本金が1億円なので、利益が6000億円あっても、配当は
たった500万円。ほぼゼロと同じ。
・それでいて、日銀の利益のほとんどは「国庫納付金」で政府に戻っている
という状態です。
つまり、
日銀は実質的には政府のほぼ完全子会社といえます。
ということは…
「お札 = 永久無利子 日銀債 ≒ 永久無利子 国債」か? と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願いいたします
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2009/09/21 (Mon) 13:38
さて、
上のグラフは線が多くて、ごちゃごちゃし過ぎているので、
一般政府、国内 政府以外(≒民間)、海外
の三つに集約したグラフを作ってみました:
90年代後半以降、
民間(政府以外)の黒字が、やたら大きくなっています。
それと同時に、
政府の赤字がやたら大きくなっており、海外の赤字(つまりは経常黒字)は横ばいから若干の増加となっています。
つまり、
民間の貯蓄余剰が大きいがために、政府の赤字と経常黒字が大きくなっている
そんな塩梅です。
民間黒字↑ = 政府赤字↑ + 経常黒字↑
というわけです。
あるいは、
民間資金フロー↑ + 政府資金フロー↓ + 海外資金フロー↓ = 0
です。
ここで、
経常黒字を増やせば、つまり、海外から入ってくる資金フローを増やせば
政府の赤字を減らしながら、民間の黒字を維持できるじゃないか?
という意見もあるかもしれません。
しかし、
この世界同時不況で、海外から資金を奪うなんてこと、できるでしょうか?
もし、そんな政策(つまり、こんな状況下での無茶な財政再建&無茶な輸出増進・為替操作政策)を取るつもりであれば、
それには、
全世界からアルカイダ以上の敵と見なされる覚悟が必要
ということになります。念のため。
以上、まとめますと:
・私と、私の友達と、私の会社の貯金は、政府と外人さんの借金。
・政府の借金が増えれば、私たちの貯金が増える。
・政府の借金が減れば、私たちの貯金が減る。
・世界中の政府と民間の貯金、借金を全部足し合わせれば、打ち消されてゼロ。
・ゼロはゼロ以下にもならないし、ゼロ以上にもならない。なり得ない。
・誰かが借金を増やさない限り、私たちの貯金が増えることは無い!
・どうしても政府の借金を減らさないと気が済まない人は、
自分の貯金を取り崩して使い切るか、政府に全財産寄付して、
勝手に【ひとり大恐慌】しててください♪
・少なくとも、「自分自身がせっせと蓄財し、政府の借金増加に絶賛貢献中の方々には、政府の財政再建を要求する資格は、全く、ショーン・コネリーの頭頂部の髪の毛ぐらい、完全に無いです。」と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願いいたします
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2009/09/21 (Mon) 13:32
今日は、
なぜ今まで一回たりとも使わなかったのか、自分でも不思議でしかたが無い
資金循環統計の「フロー」データです。
題して
【あなたの黒字は他人の赤字!】
では、グラフをばご覧くださいませ:
このフローについては、
資金過不足
とありますが、
資産のフロー(プラス)と負債のフロー(マイナス)の純計
ということになります。
#もちろん、資金循環統計の場合は、資産は金融資産のみです!
なんじゃそりゃ?
と言いますと、
資産のフローというのは
資産の獲得 から 資産の引渡し を差し引いたものです。
これは、ちと、ややこしい概念ですが、
株を買った
はどうなるかというと、資産のフローはゼロです。
なぜなら、株式の購入は
株と現金預金の交換
となるため、
資産の獲得 と 資産の引渡し が相殺されてしまうからです。
なお、
負債のフローの方は、
負債の獲得 から 負債の返済 を差し引いたものです。
ところで、
以前、資金循環のことを「キャッシュフロー」と表現してしまっていたことがありますが、これは間違いです^^;。
キャッシュフローの場合は、
借金の増加であろうと、それがキャッシュ(現金および現金同等物)が手元に入ってくれば、プラスのキャッシュフローです。
しかし、資金循環の負債のフローの場合は、
借金による資金調達は、キャッシュの増加(資産の獲得)と負債の獲得で相殺されるので、フローはゼロになります。
そして、
借金による調達資金を使ったときに、負債のフローがマイナス(純粋に負債の獲得のみになるため)となります。
この辺り、キャッシュフローの概念と異なりますので、ご留意を。
さて、
ここで、資産や負債が時価評価されず、価値固定された状態であれば、
資産のフローの累積 = 資産残高
負債のフローの累積 = 負債残高
資金過不足の累積 = 純資産残高
となりますが、
現実には、資産も負債(※)も時価評価されるので、フローの累積と残高とは異なる数値になります。
※資金循環統計では、株式が時価で発行主体の負債に算入されますので、「負債」もガッツリ時価評価されます。念のため。
おっと、
前置きが長くなり過ぎましたので、もう一度グラフを掲示します:
とりあえず、まずは、
非金融法人企業
にご着目ください。
93年を境に、
マイナスのフローの減少が始まります。
つまり、借金増加モードから、借金返済モードに転換しているわけです。
更には、
98年以降はマイナスからプラスへと大幅にシフトしています。
つまり、貯蓄モードです。
それと入れ替わりに家計の貯蓄モードが減速しています。
よく、
家計の貯蓄率が減って、国債が消化できなくなる。日本終わり。さようなら
という
「専門家」の方がいらっしゃりますが、
上のグラフを見れば、一目瞭然。「家計の貯蓄が減る」代わりに「企業の貯蓄が増える」
というだけのことですね。
なお、
よく言われる貯蓄率はこの資金循環統計のデータではなく、国民経済計算のデータで計算されています。
そして、貯蓄率と言えば、
純貯蓄÷純可処分所得など
で計算されます。
この純貯蓄というのは、
貯蓄から固定資産減耗(つまり、住宅建物の減価償却)を差し引いています。
固定資産減耗
なんて、資金の動きと何の関係もありません。
よって、「貯蓄率」は、国債の資金調達とはそもそも何の関係も無いわけです。
しかも、貯蓄率というのは家計だけの数値で、企業部門を考慮していません。
つまり、
この貯蓄率というものと国債の資金調達とをつなげて考えるのは、二重の意味でナンセンスの極みなわけです。
この話は
で、貯蓄率低下の中で国債金利も低下しているのはおかしいだろ!
ということと絡めて書きましたが…。
さて、
資金過不足というのは
若干強引に簡単に言い直せば、
黒字、赤字
と言えます。以下、簡単のため、黒字、赤字と書きますね。
さて、
金融機関、非金融法人企業、一般政府、家計、対家計民間非営利団体、海外
という全ての部門の黒字、赤字を足し合わせるとどうなるでしょうか?
もちろん、ゼロです。
上記グラフのデータを表にしたものを掲示します:
右端に全部門の合計の欄を示しています。
ご覧の通り、
合計すれば、ゼロです!!!!
↑これは極めて重要です。
全ての日本経済関係者の資産(金融資産)フローと負債フローは、相殺されてゼロになるわけです。
つまり、
誰かの金融資産が増えることは、他の誰かの金融資産が減る、あるいは、他の誰かの負債が増える
ということであり、
誰かの負債が増えるということは、他の誰かの負債が減る、あるいは、他の誰かの金融資産が増える
ということなのです!!!!!!!
だから、
これ以上国の借金が増えると、国債の買い手がいなくなる
なんてことは、全くあり得ない話になります。
もちろん、
国債の保有者の海外割合が増えると…
という問題がああります。
この問題は、海外部門のフローの問題です。
海外部門の資金過不足というのは、
経常収支とほぼ同じです。
ただし、符号が逆です。
海外部門の「赤字」は、経常黒字とほぼ一致するということになります。
で、
現状は、海外部門「赤字」=経常黒字
なので、海外に対する資産の増加の方が、負債の増加よりも大きいので、
国の借金については、本気で何の心配も要りません。
さて、仮に
海外部門「黒字」=経常赤字
で、海外に対する負債の増加の方が大きい状態になったとするとどうでしょう?
それでも、です。
海外に資金が流出した、といっても、'円建て預金そのものがこの地球上から消滅するわけではありません。
外国人が手にした円をドルと両替したとしても、
その円を他の誰かが受け取らない限り、
その両替は成立しないのですから。
つまり、
持ち主が変わり続けるとしても、必ずどこかで誰かが円預金を持っています。
そして、その円建て預金は、円建て資産で運用されることになります。
円建て預金を預かっている、つまり、円建ての借金を負っているのに、
それの裏づけ資産として米国債で運用しようという酔狂な銀行というのも、
なかなか無いでしょう。
結局、
国内で企業や家計が貯蓄余剰を邁進するのであれば、
外国に渡った円預金の裏づけ資産は、安全、確実、大量に確保できる日本国債以外に存在しない、ということになります。
ということですので、
国全体(民間+政府)の借金が、自国通貨建ての割合が大きい場合は、
国全体で破綻することの方が難しいということになります。
ただし、
経常赤字が継続すれば、円売りドル買い(というか外貨買い)が継続するため、円安に傾きます。
しかし、
円安になれば、また今度は輸出に有利になりますね。
輸出が伸びて経常赤字が減り、黒転し、円高になり、そして・・・
と言う繰り返しになります。
2009/09/19 (Sat) 12:04
昨日の日経新聞夕刊3面に、
非常に面白い記事が載っていました。
これぞ、マクロ経済!
という意味において。 【米家計、純資産が増加 4~6月】【1年9ヶ月ぶり 株価上昇が寄与】米連邦準備理事会(FRB)が
17日発表した
2009年4~6月期の資金循環統計によると、
米家計の同期末の純資産残高(季節調整前)は
約53兆1399億ドル(約4843兆円)となり、
前期末に比べて約2兆ドル増えた。前期末比でプラスに転じたのは07年9月末以来、
1年9カ月ぶり。株価上昇などで金融資産が増えたことが背景。
ただ、
米家計は負債圧縮などバランスシート(貸借対照表)調整を進めており、純資産の増加が
消費拡大に直結する可能性は低い。家計の純資産残高は、資産残高から負債残高を差し引いたもの。
資産には株式など金融資産のほか、
不動産などの有形資産なども含まれる。
資産残高は約67兆2079億ドルで、
前期末に比べ約2兆ドル増加した。
このうち
約1兆8000億ドル分は、金融資産の増加。預金は減っており、株高が資産価値を押し上げたとみられる。
一方、
負債は約14兆680億ドルで小幅減にとどまった。
(web版はここまで)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090918AT2M1801418092009.html この記事の元ソースはこちら:
FRB 「Flow of Funds Accounts of the United States」
Release Date: September 17, 2009
の「Balance sheet tables」
B.100 Balance Sheet of Households and Nonprofit Organizations (1)
※本来、資金循環統計は金融資産と負債しか載りませんが、
FRBは、家計と非金融企業については、有形資産を入れたバランスシートを
作成しています。
Web版でも、
米家計は負債圧縮などバランスシート(貸借対照表)調整を進めており
とあって、まさに
バランスシート不況
の話を書いていますね。
※読者の方から
「バランスシート不況」というよりも「借金返済型不況」の方が分かりやすいように思いますが、いかがでしょう?
という内容のコメントを頂きました。
言い得て妙ですね^^
(altさん、ありがとうございますm(_ _)m)
さて、
紙面版はもっと秀逸な続きがあります。
こちらは、資金循環統計の「Flows tables」を参照した内容になっています。
家計の負債残高の推移(季節調整値)でみると、
4~6月期末の残高は前期末に比べて年率換算で1.7%減少した。
…
家計部門は過去の借金返済を優先し、新たな借り入れには慎重になっている。
企業の負債残高は前期末に比べて1.8%減。
連邦政府や州政府などの地方自治体は景気対策などで負債が膨らんでいる。
経済活動が低水準で推移するなか、
民間部門がバランスシート調整を継続する一方、
政府部門が負債を膨らませて需要を補う構図が鮮明になっている。
先の衆院選挙前は
日本の公的債務GDP比は先進国最悪
という記述が繰り返し掲載され、当方、辟易としていました。
国の借金を語るときは、当然のことながら、マクロ経済の視点が必要不可欠です。
なぜなら、マクロ経済の制御こそが政府の最大の存在意義なのですから。
国の借金だけしか見ないような経済記事は、
「マクロ経済」ならぬ「真っ黒経済」記事としか言いようがありません。本当に。
課長・島耕作ならぬ、課長・視野狭窄です。本気で。
ところが、今回紹介の記事はというと、
家計のみならず、企業についても負債圧縮に走っている中で、
政府が景気対策しなければならず、公的部門の負債が膨らんでいる
のように
政府、家計、企業としっかり視野を広げた、
正真正銘、真っ当至極なマクロ経済の記事
になっているわけです。
日経の記事で、久々(半年ぶりくらい?)に感動しました。
「経済新聞」の面目躍如と言うべきでしょう。
あとは、
「日本」経済新聞なのですから、日本の↓こんな状況を踏まえ、
民間が橋本政権以来の緊縮財政下でひたすら負債を減らす、バランスシート調整(借金返済型・長期景気低迷)をしている中、
リーマンショックで外需が激減した。
それに対応すべく、
「麻生政権は景気対策で需要を創出し、経済が恐慌を来たすことを見事に防いだ。 そのため、日本政府の負債を急速に膨らませたが、これは地球上の全人類にとって必要不可欠な措置であった」とまで書いてくれれば、まさに正真正銘「日本経済新聞!」、と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願いいたします
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2009/09/18 (Fri) 12:52
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いつも、ありがとうございますm(_ _)m
既にイタリアについては、何度も触れていますが、
今までと若干違う見せ方をしてみたいと思います。
このブログをずっと読んで頂いている方は、
↓このアメリカ合衆国の公的債務が過去200年余で13万倍になっているグラフ
等を見て、すでに、国の借金が増えた。だから、何なのさ?
というのが
あたり前田のクラッカー
だと思いますが、
今日は↓こちらのメニューをご賞味くださいませ
まずは、金額グラフ
イタリアの場合、
1999年以前はリラですが、
IMFのデータベースでは通貨統合時のレートでそれ以前のリラの金額をユーロに換算しています。
とりあえず去年までのデータが最新ですが、
国の借金(公的債務)は絶賛増加中ですね。
はっきり言って、イタリア政府が公的債務を返す気があるとは毛頭感じられません。
(正確には「返す気がない」のではなくて、「減らす気がない」と言うべきですが)
もちろん、
イタリアのみならず、よっぽど石油が有り余ってて左うちわな政府をのぞき、ほとんどの国の政府が減らす気など微塵も感じられないのですが。
さて、次に、同じグラフですが、
1980年の名目GDPで割り算したグラフです。
2008年のイタリア公的債務残高は、1980年の名目GDPで割ると818%
つまり、80年当時の名目GDPの8.2倍になっています。
今の日本の名目GDPは大体500兆円くらいですから、
28年後に、公的債務が
500兆円×8.2 = 4100兆円
という感覚です。
よく、
日本の公的債務は1000兆円もある。もうダメだー!
800兆円もある国の借金をどうにかしないといけません!
とテレビで絶叫している方がいます(アナウンサーを含めて)が、
それがいかに無意味かが分かる、イタリア人の物語でした。
なお、イタリアは名目GDPも絶賛増加中ですが、
それはもちろん、
GDP = 民間消費 + 民間投資 + 政府支出 + 純輸出
の式と、
イタリアの政府支出がずーっと絶賛増加中
であることを考えれば当たり前の話ですね。
政府支出を減らし、名目GDP成長率 世界最低を驀進した某国とは正反対です。
そのあたりは、「国債を刷れ!」の最後の方に詳しく書いていますので、ここでは敢えて詳しくは書きません^^;
「国の借金が800兆円とか、1000兆円とか、だから何だってのよ。その借金の債権者は誰だと思ってんだ???」 と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願いいたします
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2009/09/17 (Thu) 12:33
昨日の
今日は、
新株発行→機械装置の購入(設備投資)
の流れを見て行きます。
これがやってみると、
いつの間にか社会全体で純資産が増えるという、実に摩訶不思議な
新株発行マジック
となっています。
まず、新株発行の仕訳と財務諸表です。
A社が新株を発行し、B社がその新株を買うという設定です。
別に、
この話では銀行はいらないのですが、
ここまで書く人も他になかなかいないと思いますので、敢えて書きます。
というのも、
マクロ経済について考える時は、常にここまで視野を広げて見ておく習慣を付けておいた方が良いと思われるからです。
いつものように、銀行にとっては、債権者が交代するだけですね。
ここで、注目です。
B社の資産・純資産が変化していないのに、
A社の資産・純資産が増えています!
そして、A社+B社+銀行の連結で考えると、
資産・純資産がともに10億円増えていますね!
何やら、孫悟空が髪の毛(いや、体毛?)をバリっと引き抜いて息を吹きかけると、
ちっちゃいクローンが一杯出てくるのに、非常に似ています。
これぞまさに、
モンキーマジック
です。
もうちょっと身近な例えをしておきますと、
トヨタが新株発行(増資)しました。
そのとき、あなたが10万円分のトヨタの新株を買いました。
すると、
あなたの預金は10万円減りますが、トヨタ株10万円と置き換わるだけで、
あなたの資産は減りません。
そして、
トヨタは新たに10万円の、返済義務のない資産(純資産)を獲得します。
ということは、
「トヨタ+あなた」の資産・純資産が合計で10万円増えた
ということです。
これ、つまり、信用創造の一種です。
私はこのようなさまをいつも、
プリンセス天功も真っ青のスーパーイリュージョン
と書いていますが、
今回の新株発行の事例が一番分かりやすいかも知れません。
さて、続いて、
A社が新株発行で設備投資(機械装置の購入)をした場合です。
本当は、もう一つ「C社」を登場させようと思ったのですが、出演者が多いと訳が分からなくなりそうだったので、
B社がA社に機械装置を売る
という設定にします。
*単純のため、B社の機械装置製造販売コストをゼロにしています。
これは、なかなかあり得ない設定ですが、
B社が打ち捨てられた機械装置をタダで譲り受け、
それを人海戦術で蘇らせた
とします。
つまり、人件費だけで済んだという設定です。
そして、B社に関してはB社自体と従業員の連結決算とします。
そうすれば、無理やりですが、なんとか、
売り上げがまるまる利益になるという設定になりますね。
(まあ、単純にB社が付けた付加価値が10億円分あっただけ、
と捉えていただければ、と思います^^)
さて、
あまり色々書き過ぎるとごちゃごちゃするので、
最後の連結バランスシートだけ見ましょう。
初期状態→取引後
で、
資産:機械装置10億円の増加
純資産:そのまま10億円増加
となっていることに注目しましょう。
これもいわゆる一つのモンキーマジック、いや、信用創造です。
もちろん、
機械装置の評価額は、耐用年数に応じて減価償却(耐用年数が経過すれば評価額ゼロ)
することになりますので、
この機械装置に対応する純資産は時間とともに減っていきます。
しかし、
その機械を使って「生産」し、減価償却以上の収益を獲得すれば、純資産を増やすことが可能です。
また、もう一つの考え方は、
世の中に有形資産が「機械装置」しかない世界を考えるとして、
社会全体で減価償却を上回るペースで新しい機械装置を次々に購入すれば、
純資産は増える一方です。
上記の仕訳やバランスシートを見れば分かりますように、
預金というマネーはまったく減っていません。
この減ることの無いマネーを次から次へと回転させ、次から次へと機械装置の購入を繰り返すということは、論理的には何の問題も無く可能なわけです。
そして、機械装置の購入はそのまま「民間投資」としてGDPに算入されるわけですから、
減ることの無いマネーの回転速度を加速すれば、GDPが増加し、社会全体の純資産も増加するわけです。
これこそが、経済成長、というわけです。
しかし、
もちろん、世の中を機械装置で埋めつくしてしまえば、さすがに「もう機械装置は要らん」という時が来ます。
そのときは、
経済についての目標を
成長→現状維持
に転換する必要がある場合もあり得るでしょう。
いずれにせよ、
最終的に必要なのは
100年後でも1000年後でも、国民生活に必要なモノやサービスの供給を滞りなく行うこと
です。
これができる経済システムであれば、資本主義ろうが社会主義だろうが物々交換経済だろうが、なんでも良いわけです。
目的は国民生活にあるのであって、経済システムそのものが目的化しては本末転倒です。
とまあ、ちょっと脱線しましたが、
最後に、
新株発行から機械装置購入に至る
初期状態と最終状態の連結バランスシートを見てみましょう。
まずは、
・普通の企業会計のバランスシート
・金融資産のみのバランスシート
の二つ。
普通の企業会計バランスシートでは、
資産が株式10億円+機械装置20億円の合計20億円増加、
純資産も20億円増加
金融資産のみのバランスシートでは、
資産が株式10億円増加、
純資産も10億円増加
という結果になっています。
さらに、
資産は金融資産のみで、かつ、株式を発行者の負債として計上する
・資金循環統計スタイルのバランスシート
を作ってみると
で、純資産(金融純資産)は増減ゼロです。
ただし、
資産、負債が両建てで10億円増えています。
これは、預金の場合と同じです。
預金は、
預かっている側にとっては負債、預ける側にとっては資産
です。
また、現金については、本来返済義務がないので「負債」とは言えませんが、
中央銀行にとっては負債、それ以外の主体にとっては資産
となっています。
株式も形式上、発行体の負債とすることで、
資金循環統計上では、預金や現金とまったく同じように取り扱えるようになるわけですね。
ただし、
株式というのは、
現金や預金と違って、その価値が激しく増減しやすいという性質を持っているということには、留意が必要ですね。
以上、プリンセス天功も真っ青のスーパーイリュージョン物語でした。
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2009/09/16 (Wed) 16:08
トヨタの現在の発行済株式数は
です。
えーと…、
34億株ですね。
これに現在の株価を掛けると、時価総額になります。
さっき見たら株価が3730円なので、
3,447,997,492株 × 3,730円 = 12,861,031百万円
えーと、つまり、
12兆8千億円です。
しかし、です。
何も、この12.8兆円分の全部の株式が毎日取引されているわけではありません。
直近でトヨタ株の出来高(株数)が最も多かったのは09/09/11の
11,794,200株
です。1,200万株くらいですね。
ということは、この日に取引されたのは、全株式のうちたったの
0.34%分の株式だけです。
株式時価総額12.8兆円というのは、
このコンマ以下のパーセンテージ分の取引サンプルでついた価格(株価)を元に計算されているだけであって、
本当に12.8兆円の値段が付いているわけではありません。
だからこそ、
わずか半年くらいで国内の株式時価総額が年間のGDP以上に減ったにもかかわらず、
預金が減ることだって無かったのですが。
逆に、
こりゃバブルだ!
というような株式時価総額になっているときも、
所詮は上記のようなごくごく一部のサンプルに付いた株価と全株式数を掛け算しているだけなので、
その意味で、まさに、ビールの泡のようなものなわけです。
これは、不動産価格も同じです。
不動産の評価額は、例えば、周辺の物件の直近の取引実績(サンプル)を参考にして算出されるわけです。
だから、
全ての不動産に実際に値段が付いているわけではありません。
売り手と買い手が、その時の状況に応じて交渉し、合意形成をし、契約を交わして初めて最終的な値段が決まるわけです。
ということで、
株式時価総額、とか、日本の不動産の価値の総額、とかいったものは、あくまでも、景気動向を示すバロメーター程度のものでしかありません。
ビールをグラスに注いだとき、一番うまいのは、ビールと泡が7対3くらいの割合のときだそうです。
これが、10対0でも、4対6でも、よろしくないわけですね。
株や不動産もそうで、泡が多すぎても少なすぎても、経済は不安定になります。
なお、
泡が少な過ぎる、というのがバランスシート不況
ということになりますね。
明日も、この話題続きます。
新株発行→機械装置購入(設備投資)
というのをやりましょう。
※余談ですが、「適正株価」を判断する物差に、
PER(株価収益率)とか、PBR(株価純資産倍率)
と言ったものがあります。
PERは、現在の株価が利益の何年分か、
PBRは、現在の株価が、純資産の何倍か、
というのを示しています。
例えば、
PERが100倍なら株価が利益100年分、
PERが5倍なら株価が利益の5年分です。
これで、ある程度の〔割高、割安〕の目星を付ける事ができるわけです。
(絶対的なものではありません。念のため)
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2009/09/16 (Wed) 16:08
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今日は、
資産と負債は対応するはず(マクロで)…
→ということは、
不動産や機械装置にもマクロで負債が対応するはず(?)
という疑問について。
結論から言えば、
マクロでは、不動産や機械装置に対応する負債なし
→マクロでは、不動産や機械装置は負債ではなく純資産と対応
となります。
さてさて、
当ブログでたびたび登場する
日銀の「資金循環統計」ストック表
は、これまでも何度か書いてきましたように、
(1)資産は金融資産のみ。有形資産(不動産や機械装置)は算入されていない
(2)資産と負債が釣り合うようにできている。
つまり、
資産と負債は一致するので国内部門+海外部門を合算すると、
金融純資産はゼロになる。
(ただし、本来負債ではない「株式・出資」を、資産と負債が釣り合うように
するために、発行元の負債として時価で算入している)
金融資産と負債が釣り合っている様子は
↓こちら
で作った、↓このグラフです
ということで、
金融資産と負債だけで、純資産ゼロで完結しているわけです。
だから、
資金循環統計のストック表(国全体の金融資産と負債のバランスシート)の資産に、
金融資産のみならず、
不動産や機械装置などの有形資産を足し込んだバランスシート、
つまり、
普通の企業のバランスシートと同じ形のバランスシート
を作れば、
国全体では、純資産がゼロからゼロ以上に増えるのみ、ということになります。
ここで、
バブルの時に20億で買った土地を、10億円で売って10億円損をするB社
その土地を10億円で買ったA社、
それに、B社、A社の預金を預かる銀行
の3者の仕訳、バランスシート(普通の)、損益計算書を作ってみます。
それから、そのあとで、金融資産のみのバランスシート(資金循環統計スタイル)を作って比較してみましょう。
まあ、
銀行については、預金者(つまり、債権者)が
A社からB社に代わるのを、
右から左に受け流す~♪(ムーディー勝山風)
だけです。
さて、
B社は簿価20億円(買ったときの値段)の土地を10億円で売ったので、
売却損が10億円。
それゆえに、
純資産が10億円減ります。
だから、
上記3者の連結したバランスシート(普通のバランスシート)では、
土地の評価額が10億円減り、純資産も10億円減ります。
しかし、
金融資産のみの資金循環統計スタイルの連結バランスシートはどうなるかというと…
金融資産も、負債も、金融純資産も、まったく変化なしです。
ということで、
土地というもの(土地に限らず有形資産は全て)は、
・マクロでは負債を伴わない資産である
・土地の売却損が出るような取引をしても、金融資産、負債、金融純資産は変化しない
というわけです。
細かいことを言うと、地価が下がれば、当然、企業のバランスシートが影響を受けるので、
当然、株価(REIT=不動産投資信託含む)その他に影響がでます。
株は金融資産です。
だから、資金循環統計の金融資産にも、もちろん影響が出るわけです。
しかし、
株式は上でも述べたように、本来、負債ではありません(資金循環統計では便宜上、発行元の負債に時価計上となっているだけ)。
土地同様、株式も、本来は相手方は負債ではなく純資産です。
ということで、
〔土地などの有形資産〕と〔株式〕は、その価値が上がろうが下がろうが、
預金ベースの資産負債(預金と、その裏づけである債権)には、基本的には影響を与えません。
その話は、
で、
国内株式の時価総額がリーマンショック後580兆円も減少、つまり、日本のGDPの1.2年分くらいも吹っ飛んだ、
にも関わらず、
預金はむしろ増えていた。
と書きました。
不動産についても、考え方は株と同じです。
つまり、
不動産や株は、
誰かの負債は誰かの資産(資産と負債が釣り合って、純資産ゼロ)
の枠外にある、
プラスαの資産(負債を伴わない資産。純資産がプラスになるだけの資産)
と言うわけです。
【純資産ゼロ】ワールドが、ビールの液体部分で、
【プラスαの資産】ワールドが、ビールの泡部分
と考えると分かりやすいでしょうか。
その泡の部分の時価とか評価額というのは、
お金の回転速度の速さで決まる
ということは、
上記の記事で、↓この図を用いて説明しましたね。
さて、
この話、もう少し掘り下げておきます。
2009/09/15 (Tue) 17:25
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帰ってまいりましたm(_ _)m
前回は、
「民間が借金を増やそうとしない状況」
という前提では、
政府が国債残高を減らせば預金が減る。ああ無情
となるという話でした。
そして、前回、お金のやり取りは全て
預金
でのやり取りという設定で検討しました。
これに関して、読者の方から、そのやり取りが
預金ではなく現金でなされれば、
最後には銀行に現金が残るので、それゆえに預金が減ることはないのでは?
というご質問を受けました。
つまり、↓こういう流れです。
1.国民が現金を銀行から引き出す
2.国民が現金で納税する
3.政府が現金で国債を償還する
私は、それについて、
きちんと仕訳→財務諸表作成
という工程を経ずに、お返事の内容を考えてしまい、コメント欄で不正確なことを書いていました(「その現金の量が小さければ預金は減らない」というような内容)。
ということで、以下、キッチリ仕訳→財務諸表作成をやってみたいと思います。
結論を先に書きますと、預金は前回同様に減ります。
まずは、仕訳から。
A(現金引き出し)→①(納税)→②(国債償還)
という流れです。
前回の「おカネのやりとりを預金で」の分よりも、
かなり直感的に分かりやすい仕訳になっていますね。
次に、財務諸表(バランスシート、損益計算書)です。
「国民」が「銀行」から現金を引き出す
という設定なので、
「銀行」の初期状態で
資産側に現金、その相手方として、日銀からに借入金(日銀からベースマネーたる現金を借りているという設定)を追加しています。
さて、損益計算書は前回とまったく同じです。
連結で利益ゼロ。
貸借対照表が前回と異なりますが、
「銀行」と「連結」の、
国債が10兆円減って、預金が10兆円減る
つまり、
国の借金が10兆円減ったぜ、いぇい、と喜んでいたら、国民の預金も10兆円減っていた。「うぎゃー!お前はもう死んでいる。ひでぶー!!!」、ということです。
つまり、
資産、負債が両建てで10兆円ずつ減っているという結果は、なんら変わりません。
※今日はこれで終わりますが、
逆に、
国の借金が増えない
という前提のなかで、
民間の借金が減る(10兆円減る)
というのをやれば、もちろん全く同じ結果になります。
つまり、
民間の10兆円借金が減って、預金が10兆円減る。うぎゃー!!!
という結果です。念のため。
「国全体で借金が減れば、あなたの預金も私の預金も減る。民間の借金と国の借金の合計が減れば、あなたの預金も私の預金も減るのだよ。 あなた方は、あなた方自身の預金を、どうしても何とかして減らしたいのかね、新自由主義者および財政再建論者ならびにその工作員諸君!自発的に諸君が政府に寄付したいと言うのであれば、特に止めはせん。しかし、政府の財政再建という形で私の預金まで意味も無く無理やり減らそうという話を、あんた方が勝手に決めるのだけは断じて許さん!」 と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願いいたします
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2009/09/11 (Fri) 16:33
※明日土曜日から火曜日まで不在にしておりますので、しばらく更新できません。あしからず…m(_ _)m
えーと、
現在の日本では、銀行の貸出態度が緩くても企業が借金を増やそうとしない(前回の記事参照)ので、
国債残高を減らせば、預金の量は確実に減るという話です。
その仕組みについて、
まず、簿記の仕訳から
国の借金が減る、ということは、
政府の収入 > 政府の支出
と言う状況で、政府の純収入がプラスの状況で国債を償還するということですので、
ここでは、純収入がプラス、というのを単純に
徴税のみ。政府の支出なし
という形で示します。
上記で、
①が政府から見れば徴税、国民から見れば納税の仕訳です。
②が政府が国債を償還して、国債残高を減らす仕訳です。
ここで、
政府と国民(正確には、家計や非金融企業などの、非政府・非金融部門)
の仕訳は特に難しくないと思いますが、
銀行が少し特殊になります。
①の徴税・納税については、
国民の預金が、政府の預金になるということですね。
これは、銀行からすれば、
債権者が国民から政府に代わっただけ
ということになります。
次に、②の国債償還ですが、
銀行の持っている政府に対する債権(国債)と
政府が銀行に対して持っている債権(預金)が相殺されて、両方とも消えてなくなる
ということになります。
見事、
マネー消滅です。
チーズはどこへ消えた?
というベストセラーがありましたが、それに対抗して
マネーはどこへ消えた?
なんてタイトルの本でも書いてみますかね(笑)
これぞ、
逆信用創造
というべきものですね。
さて、次に、上記仕訳から
バランスシート(貸借対照表)と損益計算書を作ってみましょう。
まず、損益計算書について。
政府は徴税するだけで、支出がない(純収入がプラス、純支出がマイナス)状況なので、
政府は利益+10兆円
逆に、
国民は納税するだけで、政府から支出がないので、
利益マイナス10兆円
銀行は、資産と負債が両建てで消えるだけ、費用収益ともにゼロで、利益±0兆円
ということで、国全体の連結利益は±0兆円となります。
バランスシートの方は、見てのとおり、
政府は借金が消えてイバラ色のバランスシートがバラ色のバランスシートに。
国民は、資産が消えて「ああ無情」、レ・ミゼラブルです。
銀行は、資産と負債が両建てで消えて、「そして、誰もいなくなった」状態に。
そして、
国全体の連結バランスシートは空っぽになります。
以上、
「バランスシート不況下、民間がお金を借りない状況における財政再建でマネー消滅。ジャパン・パッシング(日本素通り)どころか、ジャパン・ナッシング(日本消滅)!」という身の毛もよだつ、全人類震撼のホラー推理小説でした。
ところで…
某国の経済学者の方が、
国民に莫大な資産があるからと言って、
政府はそれを接収して借金の返済に回せるわけではない。
政府の借金とは関係のない国民の資産がいくらあっても、
政府のデフォルトは防げない。
というような内容のことを仰っているとかおっしゃっていないとか。
私、直接聞いたわけではないので、多分そんなことを仰ってはいないと思います。
なぜなら、
政府は法律に基づいた徴税権を行使し、日常的に国民から資産を接収しているからです。
読者の皆さんのうち、サラリーマンの皆さんは毎月、払いたくもないのに所得税や市県民税、さらには社会保険料を「接収」されていますよね。
私の場合は、確定申告で毎年4月、7月、10月くらいに私の銀行口座から税務署が勝手に、いや、一応、断りを入れてから、所得税をキッチリ接収して行って下さっています。
また、
いまわしき、いや、うるわしき政府(あるいは自治体)は、
不動産や自動車を所有しているという、ただそれだけの理由で、固定資産税や自動車重量税を接収して行きやがりますね。
いや、政府には個人から資産を接収する権限などない!!!!
と
声高に主張し、納税を拒否することだってできるかも知れませんが、
それは、
世間の一般常識では、
いわゆる一つの脱税
です。
なんら法的根拠もなく納税を拒めば、
1.督促状が届く
2.それでも払わなければ、資産を差し押さえられる
といううきうきわくわくするような楽しいイベントが法律に則って執り行われることになるでしょう。
ということで、
「政府は国民から資産を接収することはできない」
と、もし経済学者の方が本気で仰っているのだとしたら、
それは経済学者以前に、社会人としての適格性を著しく疑われかねない
ですので、私は、
よもや経済学者の方がそのようなことを仰っているとは、想像すらできないのであります。
それから…
そんなに政府の借金が小さい方が良い
と
どうしても仰るのなら、
是非、通貨危機になったり、事実上国家破綻したりしてるけど
政府の借金よりも金融資産の方が大きく、公的債務GDP比も日本よりもずっと小さく、
しかもその上、最近まで財政黒字だった韓国やアイスランドに
是非移住してみてはいかがでしょう?
もっとも、
「『政府は国民から資産を接収することはできない』とダダをこねて納税を拒否するような反社会的な人物は、あまり歓迎されないように思われますので、ご注意を…」 と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願いいたします
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2009/09/11 (Fri) 16:32
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今まで、
国債増発+財政出動+ベースマネー増発(お札を刷る+当座預金を増やす)
をすると信用創造でお金(=現金+預金)が増える
ということの説明は色々としてきました
例えば、↓ここでは、その信用創造で預金が増える様子を
簿記の仕訳を使って示しています。
が、逆に
国債残高が減る→預金も減る
ということについては、まだやってなかったので、今日はそれをやります。
さて、この場合、前提条件として
国債残高が減る と同時に 民間の借金が増える
であれば、預金は減りません。
しかし、現在の日本では、銀行が「お金貸したるでー」という状況でも企業の方で「いや、せっかくですが今は借りたくないです」という、
いくら銀行の貸し出し態度が緩和しても民間の借金がマクロで増えない状況
ですので、
国債残高が減ると、そのまま直接預金が減少することになってしまう公算が大です。
一昨日、昨日と
バランスシート不況
のお話をしてましたが、
実はそれは、今日の話をするための下準備のためだったのであります。
ところで、
バランスシート不況の話をしてたのは、
別にリチャード・クーさんが私と同じ神戸出身であることに由来する身びいきとかでは全くありません。
10年くらい前、クーさんがよくテレ朝の「サンデープロジェクト」に出ていて
・戦艦大和を造ったって良いんですよ
と話していたときは、
このおっちゃん、おもろいこと言うけど、そんなんで景気良くなるなんて信じられん
と正直、思っていました。
一方、
竹中さんら構造改革派な人たちが言う
「構造改革を推し進めて生産性を上げなければ、日本経済は良くなりません」
という話は、実に魅力的に聞こえたものです。
おそらく、経済の知識ゼロなら、普通はそうなるのではないでしょうか…
さらにその後、
日本は国の借金が大変。だから、破綻。ご臨終。南無阿弥陀仏
というような内容の本をたくさん読んで、
「大変だー!日本円の貯金はできるだけ外貨建ての資産に変えておかなきゃだめだー!」
と本気で思って、外貨投資、為替FX、先物、果てはヘッジファンドの投資手法までかなり頑張って調べたり研究しました。
例えば↓この本
ヘッジファンドの投資(というか投機)手法の中で
「トレンドフォロー」というやり方があります。
この本の中では、例えば、
エンロンが破綻したときに、マスコミ報道では大損をした人たちの話ばかりが話題になっていましたが、
その反対側で(下落のトレンドをフォローして)大儲け
した人たちもしっかりいるという話が紹介されています。
ちなみに、
松坂大輔投手を60億円で獲得したボストン・レッドソックスのオーナー、ジョン・W・ヘンリー氏も、
このトレンドフォロー型のヘッジファンドの運営で
レッドソックスを買い取ってしまうほどの財を成しています。
さらには、
ヘンリー氏のファンドマネージャーらしい、独特な確率統計論的手法でレッドソックスを万年最下位から、強豪チームに生まれ変わらせた話も紹介されています。
この本、6000円くらいしますし、この本のとおりに自分でも投機したら儲かるかどうかは別問題ですが、
私にとって重要なのは、
この本を読むことで世の中を裏側から眺められるようになった
ということです。
エンロンで大損してる人がいっぱいいる反対側で、トレンドフォローのヘッジファンドは大儲けしていたし、今回のリーマンショックでも同じことが起こっています。
私個人にとって、この「トレンドフォロー入門」という本は、「孫子」と同じくらい重大な影響を受けた本なのであります。
ということで、
ジョン・W・ヘンリー氏同様、私も独自にデータを分析することで、日本は破綻するのかしないのか、ということについて結論を出したのが
「国債を刷れ!」
というわけなのです。
あくまでも冷徹に分析した結果、
構造改革派寄りだったのが、積極財政派寄りに転じたわけです。
好き嫌いとか、感情論的なことは一切関係ないわけなのです。
ジョン・ヘンリー氏のような独自の分析をしていなければ、はっきり言って、いまだに構造改革派びいきでいたかも知れません。
それから、私はクーさんのいうことは何でも正しいと思っているわけではありません。
クー氏は
ヘリコプターマネーを
お札を刷ってばら撒いたら、通貨の信認が完全に失墜して経済が麻痺する
といった具合に
完全に否定されていますが、
もしそれが本当なら、江戸幕府の滅亡は100年くらい早まっていたはずです。
八代将軍は小判の金の含有量を1/2にすることで通貨を増発してばら撒いた(元文の改鋳)のですが、
もし、ヘリコプターマネー → 経済破綻が正しいのであれば、
江戸幕府は吉宗の代でご臨終です。
しかし、現実には、そのばら撒きによってデフレ不況は克服され、
江戸幕府は吉宗の死後も117年続き、吉宗は江戸幕府中興の祖と讃えられています。
すみません、長くなりましたが、
本題に戻ります。
2009/09/10 (Thu) 16:28
上のグラフで08年末あたりに、企業借入が急に増えている部分があります。
上のグラフではよく分からないので、↓拡大してみます
リーマンショック後、貸し出し態度が悪化する中、なぜか08年末は企業借入が急に増えています。
これはもちろん、政府による債務保証枠30兆円の影響でしょう。
この政府による債務保証枠拡大についても、
効果があるとかないとか、いろいろ言われていましたが、
少なくとも「効果がない」ということはまったく無かったわけです。
さて最後に、
政府の負債と民間の負債のもっと全体的な構図を振り返っておきましょう。
に掲載したグラフを再掲します↓

(出典:日銀「資金循環統計」。
なお、負債側に計上されている株式・出資は控除している)
97年ごろまでは、政府が積極財政を取っていたのですが、
このときまでは、GDPも増え、国全体の負債も増えて=マネーも増えていました。
ところが98年以降は緊縮財政で、GDPは横ばい、国全体の負債も横ばいです。
その中で、民間の負債が減り、その代わりに政府の負債が増えています。
この状況で、政府が負債を増やさずに減らしていたら、日本経済はそれはもう、どえらいことになっていたでしょう。
(注:小泉政権は政府の負債の増やすペースを落としただけであって、負債そのものを減らしたわけではありません)
そんなことはアメリカの財務長官に言われなくても分かる話だと思うのは、私だけでしょうか…
「まさか、橋本政権が米国財務長官の警告に逆らってまで緊縮財政していた(らしい)とは、こりゃー、驚いた!」と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願いいたしますm(_ _)m
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2009/09/10 (Thu) 16:26
昨日は一時、ニュース部門全体で6位にまで上昇していました!
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さて、'''バランスシート不況の続きです。
昨日は「バランスシート不況」そのものの概念について説明しました。
要するにバランスシート不況とは
バブル崩壊→資産激減→純資産激減
→純資産を回復させるために企業が負債を減少させる(自発的に!)
=企業が投資を絞り込む
というタイプの不況ですね、という話でした。
今日は、
バランスシート不況下で企業が負債を自発的に減少させている
ということの根拠についてのお話です。
が、
その前に、この本
を読んでいて驚いた点をいくつか。
まず、表紙の袖(折り返し)のところにある、
この本への絶賛の賛辞を寄せた錚々たる面々の名前です。
その面々というのが
ポール・ボルカー 元FRB議長(グリーンスパンさんの前の議長ですね)
中曽根康弘 元首相
アンソニー・M・ソロモン 元NY連銀総裁、元米財務省次官
次に、
巻頭の謝辞のところに書いてあることで、
「バランスシート不況」の名づけ親というのが、
クー氏のNY連銀(FRBの中で最大の連銀)時代の上司の方だったということでした。
まあ、中央銀行って資金循環統計を作っているところで、
国全体のバランスシートには一番詳しい人たちなので、そりゃそうか、という感はあります。
ちなみに、
そのFRBの資金循環統計(Flow of Funds Accounts)を見ていると、
年金部門の負債に関しては↓こんな注書きがあります:
つまり、連銀の人たちというのは
誰かの負債は他の誰かの資産
という事実に接することが、日常茶飯事なわけですね。
なぜか、亡国、じゃなかった、某国の一部経済論壇の皆さんは、この当たり前の事実を、見ざる言わざる聞かざるで一切無視しますが…
さて、
最も驚いたのはp.70に↓こんな内容が書いていることです:
97年、橋本内閣が緊縮財政・財政再建をしようとする直前期に
なんと、当時の米国財務省長官であるローレンス・サマーズ氏が
「そのような方向へ行ったら日本経済は完全に崩壊する」と猛反発し、警告していたというのです。
よく、
郵政民営化は単にアメリカからの「年次改革要望書」に従ってやっただけ
と言われ、
日本はアメリカのポチ、奴隷
という言い方がなされますが、
当時の橋本内閣と大蔵省は
「財政を切っても景気が腰くだけになることはない。
我々は、構造改革、規制緩和で需要を増やしていくので日本経済は心配ない」
と言って、サマーズ財務長官の警告を一切無視したのだとか。
どうせなら、郵政民営化の「要望」を一切無視し、
サマーズ財務長官の警告に素直に従っていれば良かったのに…
と思う今日この頃です。
まあ、このようなことを期待するのは、
関ヶ原の合戦のときに、
淀殿が秀頼の出陣を了承していれば、
東軍に与した豊臣恩顧の大名が西軍に楯突くわけには行かず、
きっと西軍が勝っていたのに
と期待するようなものなのかも知れませんが…
こういうところが
人間世界の難しさというべきかも知れません。
さて、そろそろ今日の本題に。
「デフレとバランスシート不況の経済学」の中で、
・企業が負債を自発的に減少させている
=民間に資金需要が無かった
ということの根拠として、
日銀短観の
金融機関の貸出態度DI
というものを挙げています。
これは、
回答企業からみた金融機関の貸出態度についての判断(「最近の状況」のみを調査)。
で、選択肢「1.緩い」、「2.さほど厳しくない」、「3.厳しい」
の「1.緩い」と答えた企業のパーセンテージから「3.厳しい」のパーセンテージを差し引いて計算される指標です。
ゆえに、
プラス側だと、銀行の貸し出し態度が緩い=企業はカネを借り易い、
マイナス側だと、銀行の貸し出し態度が厳しい=企業はカネを借り難い、
ということになります。
89年末の株バブル崩壊とともに、金融機関の貸出態度が急に悪化して行っているのが分かりますね。
その後、91年には貸し出し態度DIがマイナス、つまり、
金融機関の貸し出し態度が厳しいと感じる企業の方が緩いと感じる企業よりも多いという状況になりました。
しかし、その後、このDIはすぐにプラスに転じています。
で、
赤破線枠(左の方)の部分に注目すると、
金融機関の貸し出し態度が緩いという、カネを借りるには良い状況にもかかわらず、
企業の借り入れはどんどん減っていっています(450兆円から250兆円へと、200兆円も減っています)。
これぞまさに「バランスシート不況」というわけです。
銀行は貸すぞと言っているのに、企業が借りない、返すとやっていたわけです。
こんな状況で、もしも政府が財政出動をせずにほったらかしにしていたら、
間違いなく日本発大恐慌となっていたでしょう。
さて、
もう一つの赤破線枠(右側)を見てみると、
この時期は、「戦後最長のいざなぎ越え」の好景気(といっても名目成長率世界最低)です。
そして、金融機関の貸出態度も良かったわけです。
ところが、企業の借り入れはほぼ横ばいです。
こんな状況で政府は緊縮財政、つまり、政府の借金をできるだけ増やさないようにしていました。
だからこそ、この期間の名目成長率は世界最低(他に誰も言わないので、しつこいくらい繰り返していますが(笑))だったというわけです。
そして、これを見れば明らかに民間の資金需要は小さかったわけですから、
郵貯マネーを民間に開放することで、経済を活性化させるのです!!!
(↑昔、よくテレビでこんなことを言っている人がいました)
という理由で郵政民営化をするのは、
とんだ筋違い、お門違い、寝違い、勘違い、間違いだったということになりますね。
ところで、
2009/09/09 (Wed) 17:50
ニュース部門全体で7位に上昇しました!
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今年2月、河村たかしさん(現名古屋市長。当時は衆院議員)にお会いしたとき、
廣宮さんの本(「国債を刷れ!」)は、リチャード・クー氏の考え方と似ていますね。彼の本は読みましたか?
と言われていたし、
三橋さんのブログでも何度か「バランスシート不況」のことを読んでいたので
一度は読まないと、
と思いつつなかなか読んでいなかったのですが…
今更ながら、読んでいます:
10年も前から
バランスシート不況
と言う言葉は知っていましたが、
実は今年になってからやっとその内容(大雑把に言えば、企業が借金を減らそうとしてばかりで支出が減り、不況になること)を三橋さんのブログで知りました。
つまり、「国債を刷れ!」の執筆中は知らなかったのですが、
実は、日銀「資金循環統計」を詳しく見て行く中で、独自になんとなくはつかんでいたのでした。
それを反映しているのが、「国債を刷れ!」p.24の、下記の記述です:
要は企業が支出を減らした(場合によっては、減らさざるを得なかった)のだ。
そのため、政府は経済を維持するために支出を増やさざるを得ず、
それゆえに、政府の借金が増え続ける。
そういう構図になっていると言える。
ただ、これは「なんとなくはつかんでいた」だけです。
企業が支出を減らした(減らさざるを得なかった)
ということの原因にまでキチンと触れているのが、
クー氏の「バランスシート不況」ということになります。
ちなみに、
麻生さんが首相になる前からご自身のホームページで
「日本の不況はこの程度で済み、
GDPもこれだけのデフレ不況下で500兆円を維持できました」
と書いていたことは、「国債を刷れ!」でも紹介しました。
クー氏が麻生さんのブレーンの一人とされていたわけですから、
いわずもがな、というところですね。
ということで、
今回を含めて何回かに分けて
「バランスシート不況」特集
です。
この「バランスシート不況」の考え方は非常に重要であると感じていますので、
今更ながらですが、
そんなことは分かっているよ、という人にはおさらいのため、
知らなかった人には是非知って頂きたいと思うのです。
とりあえず今回は
バランスシート不況そのものを図説してみます(私の理解において)。
上の図で、
【1】はバブル崩壊前の状態です。
まず、前提の説明として、
このバランスシートは普通のバランスシートです。
いつもの日銀資金循環統計のような、資産は金融資産のみ、というものではなくて、
資産には、不動産など有形資産もがっつり入っています。
【1】の状態は、
資産>>負債
で、純資産が十分に大きい、安定した状態ですね。
さて、
バブル崩壊しました。
それで、不動産や株式が暴落で資産が大きく減った状態が【2】です。
資産は暴落で激減、しかし、負債はそのまま変わらずです。
となると、
純資産が激減するわけですね。
純資産が小さくなり、経営危機状態になったのが【3】です。
純資産がゼロを通り越してマイナスになると、これは債務超過です。
ヤバイです。
放っておくと、倒産の危機です。
企業は景気低迷の中、業績が急拡大は望めません。
ただし、
純資産が激減した原因は株や不動産の暴落であって、
本業の業績が大幅に悪化したわけでもありません。
そうなると、
ここは、本業で稼いだお金でひたすら借金返済にいそしむ事で、借金を減らし、それによって'純資産を回復させよう
という動きにならざるを得ません。
そうなると、
借金をしてまで設備投資とか不動産投資ということはどんどん先細りになります。
このために、
それまでGDPを支えていた「民間投資」がバブル崩壊直前と比べて30兆円以上減るような事態にもなったわけです。
さて、
このような
民間が支出を減らし、借金を減らしているときには、
政府が財政支出を増やし、借金を増やすことで、景気を下支えすることになります。
そして、ようやく民間企業のバランスシートが回復(純資産が十分な水準に戻る)した状態が【4】です。
【3】から【4】に移る期間がどれくらい長くなるか、あるいは、短くなるか、
つまり、バランスシート不況が長引くか、短くて済むかは、
政府の政策次第ということになります。
日本のバブル崩壊後については、長くなり過ぎたのか、短かったのか、政府の財政出動が十分だったのか、足りていなかったのか…
まあ、それは言わずもがな、というところです。
【4】になって、初めて企業は再びリスクを思う存分取れるようになり、再び借金を増やし、新規投資を増やせるようになります。
これがいわゆる「自律回復」とか「自律成長」という状況です。
さて、ここで皆さんに質問です。
企業は再びリスクを思う存分取れるようになり、再び借金を増やし、新規投資を増やせるようになる
という「自律回復」「自律成長」という状況が
このデフレ不況の真っ只中で、
(1)起こるでしょうか?
(2)起こらないでしょうか?
「起こる」と思う場合、財政出動は打ち止めにすべきです。
「まだまだ起こらない」と思う場合は、ひたすら財政出動を継続すべきです。
ということになります。
#上記では企業のバランスシートだけで説明しましたが、
個人のバランスシートにも同じようなことが言えます。
個人も場合も、持ち家や持ち株が暴落したら、さすがに
お金を使う気がしない場合が多いでしょう。
個人の場合は借金を減らすというよりも、
貯金を増やすという形で支出を減らす、あるいは、
増やさないということの方が多いかも知れません。
「さて、新政権は(1)と(2)のどちらを選ぶのかしらん。 いや、【(3)企業のバランスシートが修復されて自律成長できる状況なのかどうかはお構いなしに、歳出削減&財政再建に走る】にならないことを心から祈りたいところかも…」と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願いいたしますm(_ _)m
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2009/09/08 (Tue) 16:16
ついに昨日、ブログランキングで
10,000ポイント
の大台を突破しました!!!
しかも、
ニュース部門全体でも久方ぶりのトップ10入り
となっておりました!!!!!
まこと、まことに、ありがとうございますm(_ _)m
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今日は、
政府の経済への関与が大きい(大きな政府)ほど、
端的に言えば、福祉が充実している国ほど
国民は安心して生きることができ、貯金しなくて済む。
よって、
国民はガンガンお金を消費に回すため、政府は赤字を増やしてまで景気対策する必要がなくなる。
よって、
政府の関与が大きいほど、政府の借金が小さい→政府の純資産が大きい=政府が金持ち
になる
という前提で話を書こうと思っていたのですが…
上のグラフを作った結果、そうは行きませんでした^^;
ここで、
政府総支出というのはGDPに算入されない支出も含めた政府の支出です。
年金や失業給付、定額給付金など、政府が直接民間にお金を渡すような支出は
生産活動を伴わないのでGDPには算入されませんが、
政府を通じて分配されるお金です。
このようにするのは
所得の再配分によって貧富の差の拡大を抑制し、
もって社会を安定させるためです。
さて、
上のグラフを作って一番驚いたのはイタリアでした。
イタリアの政府総支出はGDP比65%で、
北欧の高福祉・高負担国家(スウェーデン、フィンランド、ノルウェー)を
圧倒的に上回る「大きな政府」になっています。
それでかつ政府の借金が大きいわけです。
なお、政府の借金が大きい=国民の資産が大きい
となります。
ということで、
イタリアは
大きな政府(フローで)、大きな政府の借金、大きな家計の金融資産
となっています。
対照的に
日本やアメリカは
小さな政府(フローで)、大きな政府の借金、大きな家計の金融資産
となっています。
本当は、
イタリアも含めて
小さな政府=大きな政府の借金=大きな家計の金融資産
と
北欧諸国のような
大きな政府=小さな政府の借金=小さな家計の金融資産
という姿を示して、
そんなに財政再建、政府の借金を減らすことが好きなら
大きな政府、高福祉・高負担、小さな政府の借金=民間の資産も小さい
というのも選択肢、
小さな政府、低福祉・低負担、大きな政府の借金=民間の資産も大きい(ただし、あなた個人の資産はあなた自身の努力・運不運次第)
というのも選択肢
ですね。
という結論に持って行こうと思っていたのですが、
それは見事ボツになったわけです^^;
イタリアに限らず、韓国やノルウェーもこの私の企みを見事に打ち砕いてくれました^^;
#ちなみに、「国債を刷れ!」を書いているときも、こういうことの連続でした。
最初に私が思っていること、いわば「仮説」ですが、を検証するために
関連するデータを引っ張ってきたら…
その「仮説」があっけなく崩れ去ったということがしばしば起きています。
だから、「国債を刷れ!」の執筆期間は私自身の「思い込み」を
自分自身でバッサバッサ切り捨ててゆく6ヶ月でもあったわけです^^
以前にも書きましたが、第2章の日銀悪玉論ちっくな記述は、本当にうかつでした。
第4章の量的緩和の検証の部分で本全体としては、なんとか辛うじてバランスは
取れたのではなかろうかと思いますが…
それにしてもです。
「日銀が国債を買わない、買いたがらない」という批判が当たらないというのは、
もっとも、
「日銀自身が日ごろからもっとアピールしといてよ、誤解するから。」
とも言いたくなります^^;
さて、とりあえず今回の結論。
小さな政府=政府の借金が小さい … ×(そうとは限らない)
大きな政府=政府の借金が大きい … ×(そうとは限らない)
政府の借金が大きい=民間の資産が大きい … ○(「高校生…」p.203の図参照)
あと、
一応、政府総支出と政府総収入のグラフも見ておきましょう
基本的には、
政府総支出≒政府総収入
です。
そして、
45度線より左が財政黒字、右が財政赤字です。
グラフではノルウェーだけが大きく外れていますが、
まあ、彼の国は産油国ですし、07年と言えば原油高でしたから、それで大きく財政黒字になっていたのでしょう。
ところで、今回の1枚目のグラフと2枚目のグラフの韓国の位置に注目してみてください。
政府の純資産、なんとGDP比で+43%です。
すっげー!
そして、
政府の支出より政府の収入が多い、つまり、財政黒字です。
すっげー!うらやましい!!!
「先進国で最悪の財政状態」の日本とはまるで正反対です。
ここでクイズです。
Q1.
上のグラフに登場する国の中で、ただ一つ
過去12年で、2度も通貨危機に陥った国があります。
その国はどこでしょう?
もう一つクイズです。
Q2.
2度も通貨危機に陥った国と対照的に、
過去数十年通貨危機に陥ったことがなく、
しかも、
通貨危機どころか、18年連続で世界で一番外国にお金を貸しまくっちゃっている
世界で一番のカネ余りの国はどこでしょう?
「【2度も通貨危機の国の答え:先進国最悪の財政状態の日本】、【世界一カネ余り\\\の国の答え:政府の借金よりも政府の金融資産が多く、しかも財政黒字の韓国】に違いない(苦笑い)」と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願いいたしますm(_ _)m
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2009/09/06 (Sun) 16:14
見ていただきたいのは2点です。
まず、緑矢印。
1944年の米政府支出(GDPに算入される分)は1053億ドル。
これは、その4年前、1940年の米GDP(名目)1014億ドルを上回っています。
つまり、
今の日本で言えば、政府支出がわずか四年で
114.6兆円→500兆円
という超大幅増加です。
次に、オレンジ矢印
1940年の米政府支出は150億ドル、
1944年の米政府支出は1053億ドルです。
なんと、わずか4年の間に政府支出が7倍になっています。
今の日本で言えば、わずか4年の間に政府支出が
114.6兆円→802.2兆円
となる、超大幅増加です。
ついでに言えば、すでに何度か書いていますように、
1940年→1945年の5年で、
米国の公的債務残高は、1940年のGDPの2.1倍分も増加しました。
今の日本で言えば、わずか5年で、公的債務が1000兆円強も増加するというすさまじい積極財政だったわけです。
これでアメリカ破綻したかというと、全くしていません。
破綻どころか世界の覇権を手にしたわけです。
国の借金を「増やさない。増やしたら国家が持たない」
とおっしゃる前に、
まず、
この二次大戦中のアメリカにおける国家財政上の事実について
知っていただき、その上で
冷静に考察を重ねていただくようでなければ、
それこそ国が持たないように思います…
「こと国の借金問題については、ブレまくって頂いて大いに結構。【過ちを改めるに、憚ることなかれ】にござりまする。」 と思われた方は、下のリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m
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2009/09/06 (Sun) 16:13
先ほどブログランキングを見ましたら、
9000ポイント
という、当ブログ始まって以来の高ポイント(しかも、もうすぐ1万ポイントの大台!!!)になっていました!!
すべて、皆様の暖かいご支援の賜物であります。
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さて、
本題に入る前に…
先日の
の記事に関して、
私が
政府は意図的に円高に持っていくべき
という考えを持っていると誤解なさっている方がいらっしゃるようなので、
一言。
私はこれまで、円高のメリットについて書いたことはあります。
↓詳細はこちら
しかし、
政府が直接的に意図して円高へ為替を誘導すべきだ、などとは一言たりとも書いていません。
円高でも大丈夫
という話は、
三橋さんがあちこちで書いています
(
「高校生でも分かる…」のp.72辺りにも
非常に詳しい解説があります)が、
なぜ、「円高でも大丈夫」を強調しているかというと、
この考えが一般的にならないと
本来、
不景気→積極財政で景気刺激
となるべき流れが、
円高→輸出がダメ→不景気→為替介入(円安誘導)
という流れにミスリードされてしまうからです。
現実に数年前まではこの流れでした。
さて、
この問題を
世界のGDP = 世界の民間消費 + 世界の民間投資 +世界の政府支出*
世界の民間純資産 = 世界の政府純負債
の式から改めて考えて見ましょう。
(注*) 世界のGDPを計算する場合、輸出入はキャンセルされるので、「純輸出」は不要
為替介入は政府支出は増えないので、世界のGDPは増えません。
また、
為替介入は
政府資産増加 1億ドル(=100億円) / 政府負債増加 100億円
という仕訳になるので、
政府純負債の増減は±0円です。
だから、為替介入は世界の民間純資産の増加にも一切貢献しません。
為替介入は、
急激な為替レートの変動による、経済活動の不安定化を防ぐための
一時しのぎ的対策であって、
世界のGDP、世界の民間純資産を増やすための、景気の長期的拡大の手段とは決してならないわけです。
この辺りはしっかり区別すべきでありましょう。
さて、ようやく本題です^^;
本日(09/09/06)の日経新聞朝刊1面トップです。
【G20財務相会議 景気刺激策の継続合意】
20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議は
5日午後(日本時間同日夜)、
共同声明を採択し、閉幕した。
声明は世界経済について「改善している」としながらも
「成長と雇用の見通しは引き続き慎重」と指摘。
景気回復が確実になるまでは財政拡大や金融緩和を継続すべきだとした。
ちなみに
一昨日(09/09/04)の朝刊1面ではこんなことも
【「景気回復策を集中討議」】
4、5日にロンドンで開く
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議について、
英国が参加国・地域に向けて示した議長国提案の内容が明らかになった。
各国がとる経済政策について
「当面の急場を乗り切り景気回復を確実にする追加策を集中討議する」と明記。
金融財政政策を平時に戻す「出口戦略」については拙速な実施は回避。
一国の政策転換が国際金融市場で混乱を招かないよう、関係国が緊密に情報交換する原則を確認する。
ということで、
一国の政策転換が国際金融市場で混乱を招かないよう、関係国が緊密に情報交換する原則を確認
という
議長国・英国の提案を受けて
景気回復が確実になるまでは財政拡大や金融緩和を継続すべき
という
共同声明を採択したということです。
どこかの国の一部経済論壇の皆さんは、以前
「財政出動は利かないというのが世界のコンセンサス」
なんて言っていましたが、
今や
景気回復が確実になるまでは財政拡大や金融緩和を継続すべき
というのが世界の政府・中央銀行のコンセンサスとなっています。
だから、もし仮に
「財政出動は利かないというのが世界のコンセンサス」
と言っている人が今現在進行形で万が一いらっしゃるとすれば、
それは完膚なきまでに真っ赤なウソというのが、
まぎれもなく世界のコンセンサスということになります。
景気回復が確実になるまでは財政拡大や金融緩和を継続すべき
という趣旨のG20の共同声明を遵守するには当然、
国債の新規発行の増額は必須です。
それゆえ、選挙前に
2010年度の国債発行額に関し「増やさない。増やしたら国家が持たない」
と
テレビでおっしゃっていた鳩山さんは
1.発言を撤回して、「ブレた」と批判される覚悟を決める
か
2.発言を撤回せず、【世界全人類共通の敵】となる腹をくくる
かの
二者択一を迫られることとなるは必定でありましょう。
一応、
「ブレた」と言われる覚悟をしてでも積極財政をしても良いと思えるような
簡明な資料をひとつ、お示しして進ぜましょう。
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