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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
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463:保護主義強める南米諸国 ― 魅惑のローカリゼーション、疑惑のグローバリゼーション

2012/04/23 (Mon) 12:47

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どうも↓この写真が気に入ってしまったので、TPPネタのときは毎回冒頭に掲載。




TPP=DEATH

米国・シカゴにおける反TPPデモ 2011年9月5日 レイバーデイ



Citizens Trade Campaign







↓日本経済復活の会 チャンネルAJER の新しい動画です(と言っても1週間前にアップしてましたが)







後半のほうではヘッジファンドの投資手法の一つ、「トレンドフォロー」についての簡単な説明もしてあります。

「損した人の反対側には得している人がいる」ということの明快な事例として。


ちなみに、トレンドフォロー型のヘッジファンドは破綻論者の皆さんが大好きな「ヘッジファンドが国債を売り攻勢して日本破綻」という場合におけるヘッジファンドには該当しません。

なぜなら、トレンドフォロー型は完全なまでの自動売買だからです。「売り攻勢」とか関係ありません。あくまでも周りの動きに合わせる、つまり、「トレンド」に追随(フォロー)するから「トレンドフォロー」です。自ら能動的に、あるいは、意図的にトレンド(国債暴落トレンドなど)を発生させることはありません。


そして、これまでのところはトレンドフォロー型こそが最高のパフォーマンスを収めてきており、他の方式はリーマン・ショックでほぼ総崩れとなりました。

さらには、そのトレンドフォロー型すら決して万能とは言えません(この点は動画の中で語ってます)。

そのあたりも私が「ヘッジファンドで日本破綻」がウソと考える強力な根拠の一つです。



さて、Youtubeのコメントで私の「しゃべり方が…」とコメント頂いておりますが、まあ、私がいちいち人前でしゃべらんでも済むような世の中になるように、是非とも鋭意ご協力頂きたいと思います^^;。

50年、100年は普通にかかると思いますが…

(もちろん、想定外に早く済めばまことに大慶であります)




さて、本題です。

5日前の日経記事より



保護主義、反発招く
日経新聞2012年4月18日6面

アルゼンチン 石油企業を国有化
ブラジル 乗用車輸入に制限

南米の二大国ブラジルとアルゼンチンが輸入規制や外資系企業の国有化など外資に厳しい政策を相次ぎ打ち出し、国外からの反発を招いている。
通貨高・資源高で悪化した貿易収支の改善や国内産業の保護が目的だが、外国企業は競争上で不利な条件に置かれ兼ねない。
両国がこのまま強硬姿勢をエスカレートさせれば、外交の場での応酬が一段と激しくなる可能性がある。




日経の記事は若干批判的な論調ですが、しかし

「両国がこのまま強硬姿勢をエスカレートさせれば、外交の場での応酬が一段と激しくなる可能性がある。」

程度のデメリットしかないのであれば、アルゼンチンもブラジルもまずは自国民の生活を優先させることに、何ら迷うともなさそうです。

ここで、その保護主義の内容を箇条書きで記事から拾い上げてみます。



ブラジル
・輸入車に工業製品税を一律30%上乗せ
・一方、冷蔵庫や洗濯機、家具:国産品に限り税率引き下げ
・通貨高の影響で07年→11年のメキシコからの輸入車4倍増となったため、
 メキシコ政府はブラジル政府からの協定見直し要求に応じ、ブラジルへの乗用車輸出に金額制限設置を決定。

アルゼンチン
・2月に輸入品の契約や発注の前に、公共歳入連邦管理庁への登録を求める輸入許可制度を導入
・スペイン企業傘下の石油会社YPFの再国有化を検討
 (理由:「YPFは必要な投資を怠った。このままでは国の存続も危ぶまれる」byフェルナンデス大統領
     ということで、国内の石油増産、エネルギー自給率の向上を図りたい模様)
・ブラジル同様の自動車輸入制限をメキシコに要求




これに対する批判

米GM南米地域担当者「メーカー側に猶予期間を与えずに、協定を変えようとしている。
 保護主義的な立場でそうしたことをすれば我々の投資活動にも影響する」

どうやらフラジルやアルゼンチンはメキシコとの貿易協定において、
幸いにもISD条項を入れて無かったもようです。
これだけ言いたい放題ですから!

ただ、たしかに猶予期間なしならやり過ぎのような気もしますが…


(アルゼンチンのYPF国有化について)
欧州委員会報道官「強制的な国有化は投資家に悪い印象を与え、アルゼンチンの投資環境を傷つける」と警告 
メキシコのカルデロン大統領「残念ながら誰も利することのない政策だ」

↑こういったご意見もごもっともながら、ブラジルやアルゼンチンの大統領の勇ましさは、我らが野田閣下にも多少は見習っていただければと思う頼もしさでいっぱいです。


・ブラジル ルセフ大統領
 「雇用や産業、成長を守るためには必要なことはためらわずに実施する」

・アルゼンチン フェルナンデス大統領
 「どんな脅しにも屈しない」

  ↑アルゼンチンは女性大統領がこんなことを言っているのです!


それから、あのベネズエラのチャベス大統領はこんな感じ
「我が国は欧州からのいかなる脅しも拒絶し、南米諸国にアルゼンチンへの連帯を呼びかける」との声明を発表、外交問題に発展した場合はアルゼンチン擁護に回る意思を明確にした。


このように南米諸国は完全にグローバリゼーションからローカリゼーションに舵を切っており、ブラジル大統領に至っては「成長のため」と断言しています。

これまで当ブログ


【「TPPで成長」の罠:保護主義で好調経済のアルゼンチンとの対比 】
 
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-421.html




・シンガポール以外のTPP P4各国はTPP締結後にむしろ成長鈍化

・同時期、保護主義に舵を切ったアルゼンチン、ベネズエラ、ボリビアは成長加速

というデータを示しましたので、このブラジル大統領の「成長のための保護主義」発言については、少しも違和感がありません。
 
もちろん、保護主義が正解なのは時と場合によります。同じ「時」でも国によっても違うでしょう。
中継貿易で成り立っている香港やシンガポールなどは、恐らくいついかなるときでも「自由貿易拡大」が正解です。

そして、もうひとつ注目なのは、ブラジルやアルゼンチンはインフレ率が高いのに保護主義に走っている点です。

インフレなので自由貿易拡大に舵を切っても良い、という見方もできるでしょうが、国内産業の育成なくして持続的な繁栄などあり得ません。

ものが作れなくなったらモノ不足のリスクが高まり、将来、さらにインフレが加速するリスクも高まります。

それにもちろん、自由化を進めすぎると格差や失業問題も出てきますから、その辺りを総合的に判断しての保護主義なのではないかと思われます。

もちろん、できるだけ外国や企業への配慮をしながら、かつ、やり過ぎにならないように気をつけながらやって頂きたいところではありますが、



 『TPPで成長』とは正反対。

 言うべきことをズバリと言う、

 ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラ

 の大統領達が何とも格好良く見えてしまう

 今日この頃



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さらば、デフレ不況 -日本を救う最良の景気回復論―

(2010/03/02)
廣宮 孝信

さらば、デフレ不況 -日本を救う最良の景気回復論―

【↓著者本人による解説】

国家財政やマクロ経済においては常識とは正反対の見方をする必要があります。
本書の目的の第一読者の皆さんにその「正反対の見方」を提供することです。

・「財政黒字は良い」「財政赤字は悪い」。それが一般的な常識的なものの見方でありましょう。

・しかし、実際には
「財政黒字なのに国家破綻」「20年以上財政赤字が続いている国が高度成長を続けている」
ということが世界ではごく普通に起きているのです。

・そして、本書の目的の第二
本当に怖いのは財政破綻ではなく、モノの供給が途絶えてしまう「物流上の破綻」であることを明示することです。

・なぜならおカネというものは印刷や帳簿上の処理で幾らでも創れますが、
国民生活、国民の生存のために必要な食料やエネルギー資源などは、
おカネと違って幾らでも創れるものではないからです。

本書の最大の特徴は、一般の「経済学」では取り扱われることのないこの「物流上の破綻」に焦点を当ている点です。

・この本当に恐るべき「破綻」が起こらないようにするにはどうしたら良いか、
つまり将来において供給不足が起こらないようにするにはどうしたら良いか
そして、それを踏まえた上で、現在の需要不足にどう対応すべきか
この問題の解決策に関して年金問題をも絡めての具体的な提言を行っていることも、
本書についての類書との際立った特異点でありましょう。



☆アンチ対策に役立つ【反「国家破産」的マスコミ記事】は
こちら→
http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/folder/1031019.html?m=lc



 








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462:「TPPで農業成長」への違和感+「アジアの成長」は既に取り込み済み!

2012/04/17 (Tue) 14:53

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TPP=DEATH

米国・シカゴにおける反TPPデモ 2011年9月5日 レイバーデイ

Citizens Trade Campaign




本日は、↓この毎日新聞の論説記事というかコラム記事を題材に、関税についての意外な事実について書いてみます。




水説:農業世界一の日本=潮田道夫
http://mainichi.jp/opinion/news/20120411ddm003070186000c.html
毎日新聞 2012年04月11日 東京朝刊


今回は丸々「書評」である。月刊「農業経営者」副編集長の浅川芳裕さんから新著「TPPで日本は世界一の農業大国になる」(KKベストセラーズ)をいただいた。

 題名がすごいから、ちょっと身を引く人がいるかもしれない。
 日本が世界一の農業大国になる?

 世界一にもいろいろあるだろう。次の基準で日本農業は世界一になれる。
 (1)農産物輸出額
 (2)単位面積当たりの付加価値生産額
 (3)農業投資収入、の三つ。
 私には初めて聞く話が多かった。おそらく大多数の日本人にとっても目からウロコの話ばかりだろう。

 浅川さんの考えは「農業のプロが自由に能力を発揮できるようにせよ」ということに尽きると思う。
 TPPはその契機として意味がある。

 農家とは農水省の定義では
 「農地(経営耕地面積)を10アール以上持っている」か「農地が10アール未満でも年間農作物売り上げ15万円以上」。
 253万世帯存在する。この人々の既得権をすべて守ろうとするとTPPと衝突する。

 そうではなくて、念頭にあるのは主業農家(農業所得が所得の半分以上で、年間60日以上農業をしている65歳未満の農業従事者がいる農家)であろう。それが36万世帯。
 その規模はさまざまだろうが、農業に打ち込んでいる人々だ。

 数は少ないが、鶏肉や鶏卵の99%、飲用牛乳の95%、豚肉、牛肉の92%、野菜の82%を生産している。コメも38%だ。この人々が日本を生産額で中国、米国、インド、ブラジルに次ぐ世界5位の農業大国にしている(これも意外と知られていない事実)。

 「プロ農家」の実例を数多く取材して、この人たちにまかせれば農水省の「TPPで日本農業は壊滅する」などありえず、逆に「世界一」になると確信したに違いない。

 キーワードは輸出である。オランダは面積は小さいが米国に次ぐ世界2位の農産物輸出国である。
 大量の農産品を輸入しそれを上回る巨額の農産加工品にして輸出する。

 日本も自由化で飼料や原料の価格が下がれば、コスト低下で輸出が飛躍的に伸びるだろう。

 内需だけで世界5位の日本農業である。TPPによる自由化で世界一が視野に入ってくる。

 本書には農業のプロ5人の声が収録され浅川説を裏付けている。
 批判者は農業の強者たちによる自由化論だと評するかもしれない。

 しかし、あらゆる農業資源をやる気のあるプロに集中する以外に、日本農業を伸ばす方策があるだろうか。
 浅川さんは先進国農業の常識を日本でもやろうと言っているだけだと思う。(専門編集委員)




もちろん、日本の農業が「世界一」になれればそれに越したことはないかもしれません。

しかし、いくつかの疑問が残ります。


①生産額「世界5位」はTPPで「世界1位」にできるか?

まず、日本農業の生産額「世界5位」ですが、これは関税や戸別所得補償、農業関係のインフラ整備等々を含めた補助金によって保護され、販売価格がいわば「かさ上げ」されていることを考慮する必要があります。

以前紹介しましたOECDの「%PSE」(農業保護率)を見ると、農業に関しては補助金も関税も全廃のニュージーランドと比べれば、日本の保護率が50%なので、単純に言ってしまうと、日本の農業の生産高は保護によって二倍にかさ上げされているということになります。

「%PSE」(農業保護率)の詳しい解説は
こちら
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-438.html




この「%PSE」はあくまでも目安に過ぎず、また、仮にTPPで関税が全廃されても国内産物の価格が輸入産物と完全に同じ価格まで下がることもないでしょうから、生産額がそれだけで半減する、ということもないとは思います。

しかし、TPPに参加すれば価格下落は当然避けられず、廃業する農家が増えることが予想されますから、生産額は増えるよりはむしろ減る可能性が極めて高いと言え、「世界一」どころか「世界5位」からの転落の可能性のほうが高いのではないでしょうか。


こういう話をすると、「いや、農業生産額のうち関税率の高いコメの占める割合は低く、関税率の低い野菜などが多い。よってTPPで関税が撤廃されたからといって農業生産額が低くならない」という反論が返ってくるかもしれません。

確かに農業生産高のうち、関税率が700%(ほんとうはパーセンテージではなく、正確には1kgあたり402円)と高い、米の比率は2割弱でしかなく、関税率の低い野菜や果物が4割近く占めています。



農業生産額(平成22年)tbl_01
農林水産省 http://www.maff.go.jp/j/tokei/sokuhou/sansyutu_gaisan_10/


しかし、野菜と果物の平均関税率はなんだかんだといって10%です(WTO


そして、残り3割の畜産ですが、
牛肉 38.5%(暫定。基本は50%)
豚肉 1㎏あたり部位によって361円から482円
鶏肉 部位によって10%から20%

※豚肉は100gあたり40円前後となります。スーパーでアメリカ産豚肉はおおよそ100gあたり100円とかで売られています。
それを考えると、販売価格の40%が関税ということになります。
関税率(関税÷輸入コスト)で考えれば100%くらいになるでしょうか。

(細かい関税率は税関HP


で、結局なんだかんだと言って、加重平均した農産物の関税率が15.8%になります(WTO

関税率だけでみてもそれなりに高い数値と言えます。これがゼロになったときに世界5位を維持できるでしょうか…
(上記「農産物の平均関税率15.8%」は、あくまでも輸入産品に関する加重平均であって、国内産品の比率とは別ものです。この「加重平均関税率」へのコメの関税率の寄与度はゼロです。TPPで輸入米が増えれば、関税がなくなるインパクトはもっと大きくなるでしょう)




②自由化で飼料や原料の価格が下がれば、コスト低下で輸出が飛躍的に伸びる?


結論から言えば、残念ながら「自由化で飼料や原料の価格」は下がらないので、コスト低下もありません。

実をいうと最近、Facebookで農家の方から教えて頂いたばかりの知識ですが、

実は、畜産用の飼料は暫定ながらも基本的にすでに輸入関税0%です。


主力(飼料原料使用料の47%を占める。出典:配合飼料供給安定機構)であるとうもろこしも含め、飼料用穀物のいくつかは暫定ながら現行無税税関HP参照)なのです。


また、肥料についても、これは完全にすっぱり無税税関HP

それに、種苗用の産物は無税のものが目立ちます。

つまり、国内の農業を保護育成するために必要な原料(種や肥料や飼料)については、すでにかなりの部分で関税がゼロなのです。

TPP云々はこの点に関してほとんど関係がありません。


③輸出相手国の関税がゼロになれば農業の輸出が飛躍的に伸びる?

実は、TPPの参加表明国のうち、

アメリカ、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア以外の国々とは、日本はすでにEPA(経済連携協定)を提携済みです。

例えば、日本からシンガポールへの輸出関税は完全にゼロ

タイやマレーシア、フィリピン、インドネシアなどのASEAN諸国については
りんご、なし、かき、ぶどう等の温帯果実(国によって対象果実は若干異なる模様)は即時関税撤廃

というEPAが発効済みです。

外務省HP参照 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/


りんご、なし、かき、ぶどうといった温帯果実は、関税を気にせず、これらの国でバンバン売ってしまって良い状態というわけです。


そして、まだ二国間EPAやFTAを結んでいないアメリカですが、
アメリカでも農産物の関税がすでにゼロになっている産物がいくつもあります。

たとえば、
・リンゴ
・チェリー(さくらんぼ)
・緑茶(flavoredフレーバー付きを除く)
・紅茶
・コーヒー
・豚肉(肢肉に限る。ただし、すでに切り分けているでも1.4セント/kg、100gあたり14銭程度)
・牛肉のうちスモークや塩漬けあるいは、タン、肝臓、くず肉

といったものは関税がすでに撤廃されています(ただし、北朝鮮とキューバを除く)。

出典: U.S. International Trade Commission
「米国関税率表(United States Harmonized Tariff Schedule)」
http://www.usitc.gov/tata/hts/


-----
以上見てきましたように、関税だけで見ると

(1)農産物輸出のための門戸は既にかなり開かれている状態です
また、
(2)輸入関税の撤廃がなくとも、農業のための原料については既に基本的に関税がゼロです(輸出農業のための関税コストはすでにかなり抑えられている)

よって、関税制度によって農業の輸出が阻まれているということもないのです。

つまり、「強い農業のためにTPPが必要
とは、私にはあまり、というよりはほとんど全く感じられないのですが、皆様はいかがでしょうか?


もうひとつ付け加えておきますと、
日本からの米国向けの輸出関税(アメリカの輸入関税)

農産物のうち 27%
非農産物(工業製品など)のうち 65.2%


関税フリー(関税なし)です
WTO http://stat.wto.org/TariffProfile/WSDBTariffPFView.aspx?Language=E&Country=JP
のPart B 参照


それに加えて、アメリカとの貿易は日本の全貿易の11%に過ぎません

日本EPAの現状
↑クリックで拡大します

外務省 「日本の経済連携協定(EPA)の現状と主要国・地域の取組状況(平成24年3月)」


しかも、米国への輸出のうち関税がかかっているのは、金額ベースで考えると35%程度(上記の非農産物の無関税率65%を100%から差し引くと35%)ですので、貿易全体の3~4%に過ぎません。

つまり、「アメリカとの貿易を活性化して経済成長云々」というのは少々考え難いのです。貿易全体の3~4%の関税が無税になるだけです。

しかも、TPP参加表明国のアメリカ以外の大半の国々とすでにEPAを締結済みです。

しかも、それらのEPAでは貿易額ベースでほとんど9割超の関税無税化率をすでに達成しています。

EPAにおける無税化率
↑クリックで拡大します
(出典は上記外務省資料)


これを見ると、「アジアの成長を取り込むためにTPPをやります!」というよりは、

「アジアの成長はすでに取り込み済み!」という感じです。


こういう状況で、現政権がなぜここまで、国会軽視の上で無理押しでTPPに参加しようとしているのかはやはり理解に苦しみます。
なにか余程の大人の事情があるのでしょうか?


どうしてもやりたいのなら、アメリカとの2国間EPAをやれば良いのであって、それが「いや、アメリカとの2国間なら交渉で押し切られる」ということで出来ないのであれば、TPPも出来ないはずです。

現在交渉中の日豪EPAは日本の農業がネックでなかなか合意に至らないのですが、TPPにはその「なかなか合意できない」オーストラリアが入っています。

二国間で調整が付かない問題が、なぜ10ヶ国以上の国が関係するより複雑な利害調整のなかで調整がつくのでしょうか?





 今回のエントリーで
 
 TPPのメリットをより一層

 感じられなくなった\(^o^)/オワタ



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さらば、デフレ不況 -日本を救う最良の景気回復論―

(2010/03/02)
廣宮 孝信

さらば、デフレ不況 -日本を救う最良の景気回復論―

【↓著者本人による解説】

国家財政やマクロ経済においては常識とは正反対の見方をする必要があります。
本書の目的の第一読者の皆さんにその「正反対の見方」を提供することです。

・「財政黒字は良い」「財政赤字は悪い」。それが一般的な常識的なものの見方でありましょう。

・しかし、実際には
「財政黒字なのに国家破綻」「20年以上財政赤字が続いている国が高度成長を続けている」
ということが世界ではごく普通に起きているのです。

・そして、本書の目的の第二
本当に怖いのは財政破綻ではなく、モノの供給が途絶えてしまう「物流上の破綻」であることを明示することです。

・なぜならおカネというものは印刷や帳簿上の処理で幾らでも創れますが、
国民生活、国民の生存のために必要な食料やエネルギー資源などは、
おカネと違って幾らでも創れるものではないからです。

本書の最大の特徴は、一般の「経済学」では取り扱われることのないこの「物流上の破綻」に焦点を当ている点です。

・この本当に恐るべき「破綻」が起こらないようにするにはどうしたら良いか、
つまり将来において供給不足が起こらないようにするにはどうしたら良いか
そして、それを踏まえた上で、現在の需要不足にどう対応すべきか
この問題の解決策に関して年金問題をも絡めての具体的な提言を行っていることも、
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461:資産逃避? ~ 財務省が円を売ってドルを買うと《為替介入》。民間人が円を売ってドルを買うと《資産逃避》 ~

2012/04/02 (Mon) 11:12

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1ヶ月以上前ですが、日経ビジネスでこんな刺激的な特集をやってました

【資産逃避 日本を見限る個人マネー】

その特集にあたって、巻頭の「編集長の視点」




「日本の国債は9割以上が国内で消化されているから大丈夫」。
ソブリンリスク(国家の信用危機)の話題になると、決まって出てくるこの論理。しかし、国内投資家はどれほど日本に対して忠義心があるのでしょう。

今の財政状況は、親(国家)が子供(国民)に借金しているようなもの。親が他人(外国人投資家)から借金している欧州債務危機などとは次元がことなる。「日本は大丈夫」論を家族に例えれば、こんな理屈になるのでしょう。しかし、浪費を続ける親に、子供が愛想を尽かしたら、その前提は崩れます。

(後略)




私は日経ビジネスは好きで、定期購読で10年くらい買っておりますが、まあ、この手の財政破綻論的な内容は私自身の脳内フィルターで完全シャットダウンしています。

なのでこの手の破綻論には何らの影響も受けることはありませんが…

「国内投資家の日本への忠義心」を損なわせるようなことがあるとすれば、それはマスメディアが国家破綻を毎日のように煽っているからなんじゃないでしょうか?


さて、いつも当ブログで書いていることですが、私は「日本国債大丈夫論」ですが、「9割国内消化大丈夫論」ではありません。

3年前に書いた「国債を刷れ!」以来、書籍でもそれは書いていません。

関係無いですからね。

だって、国債の外国人保有率が50%を超えるアメリカですらちっとも破綻してませんから。

昔、どんなことを書いていたかしらと、「国債を刷れ!」を読み返してみましたところ、




おそらく、米国でも今回の危機で民間はあまり借金をしなくなると思われるし、
金融機関はリスクをやたらに回避したがるので、預金の運用先は民間への貸
出しから「安全資産」である米国債へ大幅にシフトするものと考えられる。

そうなると、米国債の金利は抑えられることになるので、大幅な財政出動を表明
しているオバマ新政権も資金調達に困ることはないだろう。




と書いてました。



確かにアメリカは、「連邦債務の上限引き上げ問題」で政治的には「デフォルト」の危機もありましたが、

参照:【米国債デフォルト危機?】
    http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-383.html


少なくとも、「おカネの基本原理」の上では破綻も資金調達に困ることもあり得ないのです。

実際のところ、米国債を取り巻く状況は

「米国債の金利は抑えられることになるので、大幅な財政出動を表明しているオバマ新政権
 も資金調達に困ることはないだろう。」

と、色々な意味で幸いにも私が書いた通りになっていました。


米国長期金利
(出典:OECD.StatExtract


↑このグラフの期間中、

アメリカの政府債務GDP比は64%(07年)から99%(11年)へと急増していました。

しかし、長期金利は下落傾向だったのです。少なくとも、上昇はしていません。


政府債務の絶対額でいうと、
8.95兆ドル
から
14.76兆ドル

差し引きで
5.81兆ドル

1ドル=80円で換算すると、

465兆円

なんと、アメリカの「国の借金」は、わずか4年で日本のGDP1年分近くも増えていたのです。

米政府負債:

US Government - Historical Debt Outstanding

US Treasury's measure of US National Debt


これだけ国の借金が増えても金利上昇が無かったのはなぜでしょうか?

もちろん

①民間に貸せなくなり、行き場を失ったドルが国債に向かったこと

が大きいですが、海外からの借金の多いアメリカで、なぜそういうことが起こったかというと、

②ドルの発行権限を持つアメリカの中央銀行であるFRBが国債を市中から買い入れて金利を調整したこと

がなんといっても大きいでしょう。

つまり、米ドル建てでカネを貸すなら、最終的にはドルをいくらでも刷れるFRBが付いている米国政府が一番安心だ、という安心感、自国通貨建て国債の安心感です。


この安心感は、当たり前のように日本にもあります。

だから、

「国債の9割が国内消化」

とか、

「子(国民)が親(政府)に貸している」

とか、そんなことは、まあ、言ってしまいますと、どうでも良いことです。

え?「でも、おカネを刷りすぎればはいぱあいんふれになる!」ですって?

アメリカ、4年で国の借金が465兆円、日本のGDPまるごと一国分も増えたアメリカでは、じゃあ、はいぱあいんふれになっているんですかね?


米インフレ率

U.S. Bureau of Labor Statistics
http://www.bls.gov/

えーと、私の目には、アメリカの最新のインフレ率は2.9%程度にしか見えないのですが…




さて、その「資産逃避」の特集記事本体を見てみますと、


case1
香港

若手実業家
手荷物で700万円

「資産逃避」の事例として700万円の現金(日本円)を手荷物で香港に持ちこみ、HSBCに入金した、という話を紹介しています。
記事の中でも触れているのですが、100万円を超える現金を申告なしに国内から持ち出すのは違法行為でありますが、まあ、それはそれとして。

この700万円、HSBCが預かって、それでどうするんでしょうか?


①金庫の中でひたすら放置する、「放置プレイ」


②香港人か誰かが他の通貨と円を両替するときに渡して手数料を稼ぐ


③日本円建ての金融商品に投資する



①の「放置プレイ」。これはまずあり得ないですね。儲けることが目的の銀行さんで、そんなアホなことはしません。
仮に「放置プレイ」していたとしたら、その日本円の現金は経済活動から隔離されており、インフレ、ましてやハイパーインフレを引き起こすことは未来永劫有りません。だって、おカネとして使われないのだから。

②のように、両替に供されるのであれば、その円を両替によって手にした香港人は、日本に旅行するか、日本向けのビジネスに使うことになるでしょう。この場合、日本政府の破綻には何らの貢献もすることはありません。

もし、HSBCで円資金がだぶついているのなら③のように、円建ての金融商品に投資することになるでしょう。
さてこのとき、最も安全で、換金性に優れた円建て金融商品は何でしょう?

もちろん、日本銀行が必要とあればいくらでも買うことになる、日本国債です。





資産逃避、って何でしょう?

私には単なる「カネ余り日本人による海外投資」にしか見えません。

最近当ブログで取り上げた、

【官民ファンドで外資買収-英国の洋上風力建設最大手企業を】
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-458.html

も、金融資産がどこか外国の誰かのフトコロに入るのですから、文字通り海外に「逃避」します。

つまり、これもいわば「資産逃避」です。

さっきの「若手実業家」の700万円持ち出しと何が違うのでしょうか?




今、日本はむしろ円高で困っているくらいです。


財務省が為替介入をやり過ぎると、色々なところ(特にアメリカ)から怒られることになりますが、

「資産逃避なんです」ということで、民間人に外貨建資産をバンバン買わせれば、これもまた実質的には「為替介入」になります。




なーんだ、

財務省が円を売ってドルを買うと《為替介入》

民間人が円を売ってドルを買うと《資産逃避》

かあ。

じゃあ、《資産逃避》上等じゃん♪



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<著書紹介>

さらば、デフレ不況 -日本を救う最良の景気回復論―

(2010/03/02)
廣宮 孝信

さらば、デフレ不況 -日本を救う最良の景気回復論―

【↓著者本人による解説】

国家財政やマクロ経済においては常識とは正反対の見方をする必要があります。
本書の目的の第一読者の皆さんにその「正反対の見方」を提供することです。

・「財政黒字は良い」「財政赤字は悪い」。それが一般的な常識的なものの見方でありましょう。

・しかし、実際には
「財政黒字なのに国家破綻」「20年以上財政赤字が続いている国が高度成長を続けている」
ということが世界ではごく普通に起きているのです。

・そして、本書の目的の第二
本当に怖いのは財政破綻ではなく、モノの供給が途絶えてしまう「物流上の破綻」であることを明示することです。

・なぜならおカネというものは印刷や帳簿上の処理で幾らでも創れますが、
国民生活、国民の生存のために必要な食料やエネルギー資源などは、
おカネと違って幾らでも創れるものではないからです。

本書の最大の特徴は、一般の「経済学」では取り扱われることのないこの「物流上の破綻」に焦点を当ている点です。

・この本当に恐るべき「破綻」が起こらないようにするにはどうしたら良いか、
つまり将来において供給不足が起こらないようにするにはどうしたら良いか
そして、それを踏まえた上で、現在の需要不足にどう対応すべきか
この問題の解決策に関して年金問題をも絡めての具体的な提言を行っていることも、
本書についての類書との際立った特異点でありましょう。



☆アンチ対策に役立つ【反「国家破産」的マスコミ記事】は
こちら→
http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/folder/1031019.html?m=lc



 








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