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1ヶ月以上前ですが、日経ビジネスでこんな刺激的な特集をやってました
【資産逃避 日本を見限る個人マネー】
その特集にあたって、巻頭の
「編集長の視点」
「日本の国債は9割以上が国内で消化されているから大丈夫」。
ソブリンリスク(国家の信用危機)の話題になると、決まって出てくるこの論理。しかし、国内投資家はどれほど日本に対して忠義心があるのでしょう。
今の財政状況は、親(国家)が子供(国民)に借金しているようなもの。親が他人(外国人投資家)から借金している欧州債務危機などとは次元がことなる。「日本は大丈夫」論を家族に例えれば、こんな理屈になるのでしょう。しかし、浪費を続ける親に、子供が愛想を尽かしたら、その前提は崩れます。
(後略)
私は日経ビジネスは好きで、定期購読で10年くらい買っておりますが、まあ、この手の財政破綻論的な内容は私自身の脳内フィルターで完全シャットダウンしています。
なのでこの手の破綻論には何らの影響も受けることはありませんが…
「国内投資家の日本への忠義心」を損なわせるようなことがあるとすれば、それはマスメディアが国家破綻を毎日のように煽っているからなんじゃないでしょうか?
さて、いつも当ブログで書いていることですが、私は「日本国債大丈夫論」ですが、「9割国内消化大丈夫論」ではありません。
3年前に書いた
「国債を刷れ!」以来、書籍でもそれは書いていません。
関係無いですからね。
だって、国債の外国人保有率が50%を超えるアメリカですらちっとも破綻してませんから。
昔、どんなことを書いていたかしらと、「国債を刷れ!」を読み返してみましたところ、
おそらく、米国でも今回の危機で民間はあまり借金をしなくなると思われるし、
金融機関はリスクをやたらに回避したがるので、預金の運用先は民間への貸
出しから「安全資産」である米国債へ大幅にシフトするものと考えられる。
そうなると、米国債の金利は抑えられることになるので、大幅な財政出動を表明
しているオバマ新政権も資金調達に困ることはないだろう。
と書いてました。
確かにアメリカは、「連邦債務の上限引き上げ問題」で政治的には「デフォルト」の危機もありましたが、
参照:【米国債デフォルト危機?】
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-383.html少なくとも、「おカネの基本原理」の上では破綻も資金調達に困ることもあり得ないのです。
実際のところ、米国債を取り巻く状況は
「米国債の金利は抑えられることになるので、大幅な財政出動を表明しているオバマ新政権
も資金調達に困ることはないだろう。」
と、色々な意味で幸いにも私が書いた通りになっていました。

(出典:
OECD.StatExtract)
↑このグラフの期間中、
アメリカの政府債務GDP比は64%(07年)から99%(11年)へと急増していました。
しかし、長期金利は下落傾向だったのです。少なくとも、上昇はしていません。
政府債務の絶対額でいうと、
8.95兆ドル
から
14.76兆ドル
差し引きで
5.81兆ドル
1ドル=80円で換算すると、
465兆円なんと、
アメリカの「国の借金」は、わずか4年で日本のGDP1年分近くも増えていたのです。
米政府負債:
US Government - Historical Debt OutstandingUS Treasury's measure of US National Debtこれだけ国の借金が増えても金利上昇が無かったのはなぜでしょうか?
もちろん
①民間に貸せなくなり、行き場を失ったドルが国債に向かったこと
が大きいですが、海外からの借金の多いアメリカで、なぜそういうことが起こったかというと、
②ドルの発行権限を持つアメリカの中央銀行であるFRBが国債を市中から買い入れて金利を調整したこと
がなんといっても大きいでしょう。
つまり、米ドル建てでカネを貸すなら、最終的にはドルをいくらでも刷れるFRBが付いている米国政府が一番安心だ、という安心感、
自国通貨建て国債の安心感です。
この安心感は、当たり前のように日本にもあります。だから、
「国債の9割が国内消化」
とか、
「子(国民)が親(政府)に貸している」
とか、そんなことは、まあ、言ってしまいますと、どうでも良いことです。
え?「でも、おカネを刷りすぎれば
はいぱあいんふれになる!」ですって?
アメリカ、4年で国の借金が465兆円、日本のGDPまるごと一国分も増えたアメリカでは、じゃあ、はいぱあいんふれになっているんですかね?
U.S. Bureau of Labor Statistics
http://www.bls.gov/えーと、私の目には、
アメリカの最新のインフレ率は2.9%程度にしか見えないのですが…
さて、その「資産逃避」の特集記事本体を見てみますと、
case1
香港
若手実業家
手荷物で700万円
「資産逃避」の事例として700万円の現金(日本円)を手荷物で香港に持ちこみ、HSBCに入金した、という話を紹介しています。
記事の中でも触れているのですが、100万円を超える現金を申告なしに国内から持ち出すのは違法行為でありますが、まあ、それはそれとして。
この700万円、HSBCが預かって、それでどうするんでしょうか?
①金庫の中でひたすら放置する、「放置プレイ」
②香港人か誰かが他の通貨と円を両替するときに渡して手数料を稼ぐ
③日本円建ての金融商品に投資する
①の「放置プレイ」。これはまずあり得ないですね。儲けることが目的の銀行さんで、そんなアホなことはしません。
仮に「放置プレイ」していたとしたら、その日本円の現金は経済活動から隔離されており、インフレ、ましてやハイパーインフレを引き起こすことは未来永劫有りません。だって、おカネとして使われないのだから。
②のように、両替に供されるのであれば、その円を両替によって手にした香港人は、日本に旅行するか、日本向けのビジネスに使うことになるでしょう。この場合、日本政府の破綻には何らの貢献もすることはありません。
もし、HSBCで円資金がだぶついているのなら③のように、円建ての金融商品に投資することになるでしょう。
さてこのとき、最も安全で、換金性に優れた円建て金融商品は何でしょう?
もちろん、日本銀行が必要とあればいくらでも買うことになる、日本国債です。
資産逃避、って何でしょう?
私には単なる「カネ余り日本人による海外投資」にしか見えません。
最近当ブログで取り上げた、
【官民ファンドで外資買収-英国の洋上風力建設最大手企業を】
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-458.htmlも、金融資産がどこか外国の誰かのフトコロに入るのですから、文字通り海外に「逃避」します。
つまり、これもいわば「資産逃避」です。
さっきの「若手実業家」の700万円持ち出しと何が違うのでしょうか?
今、日本はむしろ円高で困っているくらいです。
財務省が為替介入をやり過ぎると、色々なところ(特にアメリカ)から怒られることになりますが、
「資産逃避なんです」ということで、民間人に外貨建資産をバンバン買わせれば、これもまた実質的には「為替介入」になります。
「
なーんだ、
財務省が円を売ってドルを買うと《為替介入》
民間人が円を売ってドルを買うと《資産逃避》
かあ。
じゃあ、《資産逃避》上等じゃん♪
」
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<著書紹介>
【↓著者本人による解説】
・国家財政やマクロ経済においては常識とは正反対の見方をする必要があります。
本書の目的の第一は読者の皆さんにその「正反対の見方」を提供することです。
・「財政黒字は良い」「財政赤字は悪い」。それが一般的な常識的なものの見方でありましょう。
・しかし、実際には
「財政黒字なのに国家破綻」、「20年以上財政赤字が続いている国が高度成長を続けている」
ということが世界ではごく普通に起きているのです。
・そして、本書の目的の第二は
本当に怖いのは財政破綻ではなく、モノの供給が途絶えてしまう「物流上の破綻」であることを明示することです。
・なぜならおカネというものは印刷や帳簿上の処理で幾らでも創れますが、
国民生活、国民の生存のために必要な食料やエネルギー資源などは、
おカネと違って幾らでも創れるものではないからです。
・本書の最大の特徴は、一般の「経済学」では取り扱われることのないこの「物流上の破綻」に焦点を当ている点です。
・この本当に恐るべき「破綻」が起こらないようにするにはどうしたら良いか、
つまり、将来において供給不足が起こらないようにするにはどうしたら良いか。
そして、それを踏まえた上で、現在の需要不足にどう対応すべきか。
この問題の解決策に関して年金問題をも絡めての具体的な提言を行っていることも、
本書についての類書との際立った特異点でありましょう。
☆アンチ対策に役立つ【反「国家破産」的マスコミ記事】は
こちら→ http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/folder/1031019.html?m=lc