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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
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542:笑激!「韓国の国債格上げ」:ムーディーズ ― 新手のアメリカンジョークか? 虎の子の保険である外貨準備を中国株などで「積極運用」する韓国銀行とは距離を置くべし!

2012/08/30 (Thu) 18:29
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さて、TPPについて、↓のようなJPEGファイルを作ってみました。

これは、あくまでも私の主張ではなく、
アメリカの反TPP
の皆さんの主張ですが…

No_TPP.jpg  


※当ブログのTPP記事一覧はこちら






コメント欄でもご質問があったのですが、

いま、ちまたで話題沸騰…でもないか…の韓国国債の格上げについて。



まず、韓国の話なので、韓国三大新聞のひとつ、東亜日報の記事(日本語版)より:




ムーディーズ、韓国国債格付けを「Aa3」へ格上げ
http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=020000&biid=2012082852078
東亜日報 AUGUST 28, 2012

韓国国債の格付けが史上最高段階に上向き調整された。中国や日本と肩を並べるレベルだ。欧州の財政危機で主要先進国の格付けが軒並み下方修正されている中での韓国国債の格上げニュースを、内外の金融界は韓国経済の健全性と実力が確認された快挙と評価している。

米格付け会社のムーディーズは27日、韓国の格付けを「A1」(信用度良好グループ)から「Aa3」(信用度高いグループ)に一段階格上げし、格付け見通しも「安定的」と評価した。Aa3は21の格付けの中で上位4番目に当たり、韓国がムーディーズから受けた歴代最高の格付けだ。

1997年10月まで「A1」を維持していた韓国の格付けは通貨危機直後「Ba1」まで格下げられたが、以後数回小幅の上昇を通じて07年「A2」を回復した。以後、ムーディーズは10年4月、韓国の格付けを「A2」から「A1」へ格上げし、今年4月には格付け見通しも「安定的」から「肯定的に」に上げて、更なる格上げを予告した。

同日、ムーディーズは韓国国債の格上げの背景として、△良好な財政健全性△経済活力および競争力△銀行部門の対外脆弱性の減少△北朝鮮問題の安定的管理などを挙げた。さらに、「銀行の資金調達要件が安定し、公企業や家計の負債リスクが減少すると、更なる格上げも可能だ」と付け加えた。

同日の格上げでムーディーズ基準の韓国国債の格付けは、中国、日本、台湾、サウジアラビアと同じになった。他の格付け会社のフィッチの韓国の格付けは上位から5番目の「A+」で日本と同じだが、格付け見通しは韓国が「肯定的」で「否定的」の日本より上だ。反面、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、韓国の格付けを日本より2段階低い「A」(安定的)で05年7月以後7年間維持している。

政府は格上げで政府と国内金融会社と企業の資金調達費用が減り、海外投資者の投資心理もさらに改善すると見通した。




いやあ、ムーディーズで

韓国国債の格付けが史上最高段階


とか、

フィッチで

「A+」で日本と同じだが、格付け見通しは韓国が「肯定的」で「否定的」の日本より上だ


とか、実に喜ばしい限りです。

ということは、

もう日本との通貨スワップ協定(=実質は日本による、韓国がイザ危機となった場合における韓国援助の約束)はいらないですよね?

だって、韓国は日本より素晴らしいのですから!







ちなみに、

財務省国際局が、執務の参考とするため、民間シンクタンク等に依頼し、とりまとめた外部研究者による調査・研究の成果(レポート等)

であるところの、2010年度財務省委嘱調査

「韓国ウォンをめぐる規制の現状と韓国金融セクターの構造問題に関する調査」(財団法人 国際通貨研究所 2011年3月)
p.65

には、リーマン・ショック後の韓国の危機的状況について、


アジア通貨危機当時ほど深刻でないとはいえ(廣宮注:ドル建て債務の)期日のミスマッチの問題を抱えていたことにはかわりない。例えば、造船業の輸出代金の受け取りには3年程度かかるのに対し、金融機関の対外負債は1年以下と、期間のミスマッチが残っていることに注意する必要があろう。

流動性危機を克服するには、米FRBや各国中央銀行とのスワップ協定が果たした役割は小さくなかった。このスワップ協定なしでは、流動性危機を回避することは難しかったと思われる。ドルの短期対外負債は、やはり、韓国経済の抱える脆弱性として考えるべきである。


とあります。




おっと。

以前も取り上げましたように、韓国は現在、アメリカFRBとのスワップ協定は持っておらず、日本や中国との協定のみです。


上記の財務省委嘱調査で触れられていた「ドル建て債務の期間ミスマッチの問題」が解決されているのであれば、もう日本とのスワップ協定は不要ですが、解決されてないんじゃないかな…



これに関して


ムーディーズの発表文では

---
Official foreign exchange reserves have risen and have remained above $300 billion since April 2011; standing near a record level of $314 billion as of July 2012.
外貨準備高は上昇しており、2011年4月以来ずっと3000億ドル以上のままである。
2012年7月時点で3140億ドルの最高レベルの近くに達している。

---

安心材料が挙げられています。

しかし、その直後にこうも書いています:

---
In contrast, during the global financial crisis, they had plummeted to $201 billion.
対照的に、グローバルな金融危機中に、それらは2010億ドルに急降下しました。
---

もう一回「グローバルな金融危機」が来たら、どうなるんでしょうか?



上記財務省委嘱調査には、

---
海外からの韓国への株式投資は、以前は年金基金などの長期投資が主であったが、昨今はヘッジファンドの投資残高が増えており必ずしも長期投資とは言いがたい。この株式投資も加えると、「逃げ足の速い」負債は2009年末で3,129億ドルとなり、外貨準備を上回っている。
---
(p.60)

---
外貨準備増加と民間対外負債が両建てで増加しており、特に短期対外負債の増加が目立っている
---
(p.61)

とあります。また世界的危機があったら、韓国も危機になりそうな…



また、ムーディーズの文章で今年7月の韓国の外貨準備3140億ドルとありますが、その中身に大いなる疑惑があります。

というのは、米財務省資料によれば、韓国が国全体で持っている米国債が6月時点で450億ドルしかないからです。

韓国の外貨準備の中身は、6月末時点で「資産別では、有価証券が2855億ドル、預金が187億ドル、国際通貨基金(IMF)特別引出権(SDR)が34億6000万ドル、IMFリザーブポジションが25億5000万ドルなど」(聯合ニュース 2012/07/03
)ということで、

その有価証券の2855億ドルのうち、米国債は最大でも450億ドルであり、残り、2405億ドルは謎です…

日本の場合、1兆2705億ドルの外貨準備(6月末。財務省)のうち、1兆1832億ドルが有価証券で、財務省の報道発表を素直に受け取れば、その大半は米国債です。





外国為替資金特別会計が保有する外貨資産に関する運用について
http://www.mof.go.jp/international_policy/gaitame_kawase/foreign_exchange_fund_special_account/gaitametokkai_170404.htm
平成17年4月1日 
財務省


3.運用対象   
     外貨資産については、上記運用目的の観点から必要とされる各通貨ごとに、流動性・償還確実性が高い国債、政府機関債、国際機関債及び資産担保債券等の債券や、外国中央銀行、信用力が高く流動性供給能力の高い内外金融機関への預金等によって運用する。





実際のところ、米財務省の資料では、日本全体での米国債保有高は1兆1193億ドルで、外貨準備の有価証券1兆1832億ドルですから、まあつじつまは合うでしょう。



一方で、韓国の外貨準備の運用状況は「?」です。

一体どんなリスキーな運用をしているのやら…

ちなみに、サーチナの記事




韓国中央銀行、3億ドル規模の中国株を購入
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0703&f=business_0703_162.shtml
サーチナ 2012/07/03

韓国銀行(中央銀行)は1日、中国で獲得した適格国外機関投資家(QFII)の3億ドルの投資枠を、すべて中国A株市場に投じたと発表した。3日付中国証券報が伝えた。

韓国銀行は2011年12月、中国国家外国為替管理局からQFIIの資格と投資枠を獲得し、先月中に3億ドル規模の中国株を購入した。韓国銀行はまた、2012年1月に中国人民銀行から、中国銀行間債券市場において投資を行う資格と、200億元の取引割当を獲得し、4月24日から中国国債を購入している。

韓国の専門家は、「韓国の外貨準備は約3000億ドル。中国資本市場で獲得した投資枠の外貨準備に占める比率がまだ低いが、中国経済の世界経済における地位が高まる中、中国株式市場への進出は韓国の外貨準備運用の多元化や運用効率の向上に積極的な意義がある」と指摘している。




中国株や中国国債を買っているようです。
このとおりなら、3億ドルが中国株、200億元(≒30億ドル)が中国国債、ということになりますが、
まだまだ「2405億ドルの謎」のごく一部です。

ごく一部ですが、外貨準備を一部でも外国株で運用って、何かおかしいような・・・


もう一つ、こんな話も:




韓国中銀、外貨準備運用責任者にサムスン資産運用のキム氏起用
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LYQWY86K50Y801.html
ブルームバーグ  2012/02/02


    2月2日(ブルームバーグ):韓国銀行(中央銀行)は、3110億ドルに上る外貨準備の運用責任者に資産運用会社、サムスン資産運用のユージン・キム氏を起用する。

同中銀の2日の発表資料によると、キム氏はチェ・ソンビョン氏の後任として同中銀の外資運用院の投資運用部長に就任する。サムスン資産運用の最高投資責任者(CIO)職は今月末に辞任する。 



え?「外貨準備の運用責任者に資産運用会社のCIOを起用」ですと?

ちょっと待った!

そもそも外貨準備は、いざというときの保険です。だから、出来るだけ流動性(=換金性)が高く、価値変動リスクが低いものであるべきなのです。

先ほどの日本の財務省資料でも、「安全性及び流動性に最大限留意した運用」と書いてあります。


「外貨準備の運用責任者に

 資産運用会社のCIOを起用」

した上、外国株を購入するなど、言語道断です!

これは本気であり得ません!!!



日本の財務省はただ米国債を持っているだけ、とよく批判されていますが、これは完全に正しいのです。

外貨準備を保有する原因である、これまでの為替介入が正しいかどうか別にして、
少なくとも、保有している外貨準備の運用に関しては、完全に正しいと言えます。


外貨準備なんて、何も考えずに米国債やドイツ国債やスイス国債や金を買ってれば、それで良いんです。「なんたら運用会社のCIOを起用して積極的に運用」とか、実に余計なことです。


すみません、以前のスワップ協定解説のエントリーで、中央銀行同士のスワップ協定ならとりっぱぐれの可能性は低いというようなことを書いていましたが、謹んでお詫び申し上げ、訂正させて頂きます。

私がアホでした。

韓国銀行への貸付は完全にリスキーです。

野田閣下、安住閣下には、韓国とのスワップ協定や韓国国債購入取りやめの件、この点も
十分にご考慮頂きたく、切に願う次第でありますm(_ _)m


こんなハイリスク運用していると思しき韓国銀行とのスワップ協定など、まるで、日本財務省や日銀がヘッジファンドの損失補償の約束をしているようなものです。





次に、
東亜日報記事で、ムーディーズが

「銀行の資金調達要件が安定し、公企業や家計の負債リスクが減少すると、更なる格上げも可能だ」

としていますが、これも残念ながら、ぬか喜びです。


お祝いムードに水を差すようで恐縮ですが、

ムーディーズの発表文では

たしかに

Factors that could lead to a positive rating action
格上げをもたらす要因


として上記のことを挙げています。


しかしその前に、格付けの見通しについては「Stable 安定的」としており、

The stable outlook means that upside and downside risks are balanced.
安定的見通しとは、格上げと格下げのリスクがバランスしていることを意味している

と書いてあります。

そして、

格下げをもたらす要因
Factors that could lead to a negative rating action:

としては…


1. A significant or irreversible deterioration in the government's balance sheet either from budgetary slippage, or from the fiscalization of contingent liabilities,
政府の予算上の遅延や偶発債務の財政化(確定債務化)による政府バランスシートの重大な、あるいは、不可逆的な悪化

2. A fraying of the overall policy framework which has been supportive of employment, investment and growth,
雇用、投資および成長を支えてきた全面的な政策フレームワークにほころびが生じること、 

3. A material heightening of the geopolitical risks associated with North Korea, such as from the collapse of the communist state, or an outbreak of military conflict on the Korean peninsula.
例えば共産主義国の崩壊や朝鮮半島上の軍事衝突の発生といった北朝鮮と関連する地政学的リスクを高める材料



これらが発生するようなことがあれば、とっとと格下げしますよ、というわけです。


1にある予算上の遅延、というのは、おそらく、短期外貨建て債務と長期外貨建て資産のバランスのミスマッチのことかと思われます。

例えば、民間の短期外貨建て債務の救済をしようとしても、政府や中央銀行がそれに見合う短期資金を持っていないような状態のことでしょう。

また、偶発債務の財政化(確定債務化)、ですが、偶発債務とは条件付き債務です。何かのイベントがあると確定債務になるようなものです。例えば政府による民間企業への債務保証
がこれにあたります。政府が債務保証している民間企業が破たんすると、政府がその債務の一部または全部の返済義務を負うようになります。

たとえば、
・欧州債務危機が再燃したり、
・米国の大統領・連邦議会選挙で共和党が勝利し、
超緊縮財政(いわゆる「財政の崖 fiscal cliff」)が現実化

するなどして、
世界経済がまたもや危機的状況になったとき、予算上の遅延や偶発債務の財政化によって、韓国政府のバランスシートが急激に悪化することは十分ありえるでしょう。


なぜなら、韓国政府は金融純資産がプラスですが、民間はどんどん借金を増やしているからです。

ちなみに、↓こんな感じです


韓国対外純資産


韓国では、政府の貯金増加以上に民間の借金が膨らんでおり、

経常収支の黒字が続いているにもかかわらず、対外純資産はむしろ増加傾向です。



比較のため、おなじみの日本のグラフも:



日本対外純資産





次に、格下げ要因の「2.雇用、投資および成長を支えてきた全面的な政策フレームワークにほころびが生じること」ですが、

あの素晴らしいと評判の米韓FTAが功を奏すれば…っと、これ以上はやめておきます。



次に、
「3.例えば共産主義国の崩壊や朝鮮半島上の軍事衝突の発生といった北朝鮮と関連する地政学的リスクを高める材料

ですが、これはどうなんでしょうか?


ムーディーズの発表文で、詳細を見てみましょう:

Fourthly, the rating action is supported by a developing outlook which suggests that the geopolitical status quo will not be adversely disrupted by the ongoing leadership transition in Pyongyang.
4番目に、この格付けアクションは、地政学的な現状が、平壌で進行中の権力移行によって、不運にも崩壊することはないであろうことを示唆する見通しに支えられている。

However, a possible step-up in Pyongyang's economic engagement with Beijing, as seen in the announcement of three new industrial zones along the China-North Korea border, suggests that the risk of an collapse of the autarkic communist state during the leadership transition phase is diminishing.

中国‐北朝鮮境界に沿った3つの新しい工業地帯の発表で見うけられるような、平壌の北京との経済協定の可能性ある進展は、権力移行中の共産主義国の崩壊の危険が縮小していることを示唆している。

Furthermore, the risks relating to renewed military conflict on the Korean peninsula are contained by the long-standing deterrence provided by Seoul's robust alliance with Washington.
更に、朝鮮半島上の更新された軍事衝突に関連するリスクは、ソウルのワシントンとの協力な同盟によって提供される長年の抑止によって抑制されている。

North Korea-related event risks factored into our Sovereign Bond methodology do not constrain the Republic of Korea's rating at the Aa3 level.
我々のソブリン債格付け手法の要因として考慮された北朝鮮関連のイベントリスクは、大韓民国のAa3レベルへの格付けを制限することはない。




以前のエントリーでご紹介しましたような


<報道機関サイバー攻撃>DDoSとは次元が違う悪意的手法=韓国
http://japanese.joins.com/article/481/153481.html?servcode=400§code=430
韓国 中央日報 2012年06月11日



韓国・中央日報サイトにサイバー攻撃 軍が警戒

http://www.asahi.com/international/update/0611/TKY201206110289.html
朝日新聞 2012年6月11日



South Korea warns of tough military response to the North
韓国、北朝鮮に対し、強硬な軍事的対応を警告
http://www.rt.com/news/south-korea-military-north-563/
RT.com 11 June, 2012




という状況にあるなかで、ムーディーズでは、米韓の長年にわたる強固な同盟と中朝の経済連携によって、北朝鮮リスクは今のところ余り考えなくてよい、という判断をしているようです。

でも、このような「判断」はいつでも変化しそうなものでしかなさそうな気がしますが…





結局、ムーディーズが示している、今後の韓国国債の格下げにつながる3つの要因

1. 政府の予算上の遅延や偶発債務の財政化(確定債務化)による政府バランスシートの重大な、あるいは、不可逆的な悪化

2. 雇用、投資および成長を支えてきた全面的な政策フレームワークにほころびが生じること、 

3. 例えば共産主義国の崩壊や朝鮮半島上の軍事衝突の発生といった北朝鮮と関連する地政学的リスクを高める材料


を検討してみると、ムーディーズはいつでも韓国国債を格下げする用意があります、と言っているようにしか聞こえないのは私だけでしょうか?





ところで、今回の格上げですが、ムーディーズは4月から予告していました。





ムーディーズ:韓国の見通し、欧州危機でも根本的変化ない
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M54Q6I6JTSE901.html
ブルームバーグ 2012/06/05


6月5日(ブルームバーグ):米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスのシニア・バイスプレジデント、トム・バーン氏は5日、同社が韓国の格付け見通しを4月に引き上げて以来、同国の経済情勢は欧州債務危機のさなかでも大きく変わっていないとの見方を示した。


同社は4月2日、「非常に強くて改善が進む財政のファンダメンタルズ」を理由に、韓国の「A1」格付けの見通しを「ステーブル(安定的)」から「ポジティブ」に変更した。





その韓国国債の利回りに与えた効果たるや、極めて鮮明です:


まず、10年物韓国国債の利回り

韓国10年物国債利回り(ブルームバーグ)
出典:ブルームバーグ



次に、3年物韓国国債の利回り:

韓国3年物国債利回り(ブルームバーグ)
出典:ブルームバーグ



明らかに、ムーディーズ効果と言えそうです。




なお現在、この韓国国債利回りは、過去最低水準です


95年からの3年物利回り:


韓国3年物国債利回り
出典:韓国銀行データベース




ちなみに、韓国政府は過去30数年以上、ひたすら財政黒字を続けていますが、

この格上げ効果によって、黒字がさらに増えるかも知れません。

そうなると、異常な韓国ウォン安が修正されるのではないでしょうか。


その異常なウォン安ぶりと異常な円高ぶりについて、

以前のエントリーで掲載したグラフをもう一度掲載します:



ウォンと円の比較


為替レート:OECD
PPPレート:IMF





さて、
なぜかマイナスが続いている韓国の対外純資産ですが、ウォン安になると対外純資産のマイナスが改善され、ウォン高になると悪化する傾向が見受けられます。



韓国為替と対外純資産


出典:韓国銀行データベースから作成




ということは、


韓国国債格上げ
→異常な韓国ウォン安が修正
→対外純資産悪化&もちろん貿易収支や経常収支も悪化
→何かのきっかけで短期資金が海外に流出のリスク増大
→短期外貨建て債務の返済に行きづまるリスク増大
→破たんリスク増大?



という構図も考えられることになります。


さて、
上記とは別の財務省委嘱調査、「我が国のアジア通貨危機支援の政策評価」(平成 14 年12 月 財団法人 国際通貨研究所)によると、アジア通貨危機のとき、こんなことがあったとか:




榊原(2000)によると、この時韓国の短期対外債務の多くが韓国の民間銀行に集中し、97年12 月12 日時点で韓国の主要銀行が抱えていた短期対外債務残高は320 億ドル、その借入先の内訳は、日本が118 億ドル、欧州全体で118 億ドル、米国42 億ドルであったとされる。
この日米欧の民間銀行に対する債務返済繰り延べ(リスケジューリング)の成否が、まさに韓国の国家破産を回避できるかどうかの鍵を握っていた。この時日本政府は、邦銀に対して返済繰り延べの説得に奔走した。
日本国内の金融市場が混乱する中で、日本政府は短期間のうちに邦銀の合意を取り付け、98 年1 月29 日に日米欧民間銀行団の短期債務繰り延べ交渉を妥結に導いた。
この交渉妥結は市場に大きなインパクトを与え、1 月29 日に1 ドル=1,678 ウォンであった為替レートは、翌1 月30 日には1,524 ウォンまで値を戻した。
交渉妥結が与えた安堵感に加え、97 年12 月に就任した金大中大統領によって海外からの証券投資に対する規制が緩和され、対外証券投資の流入が促進された。韓国の国際収支は安定を取り戻し、韓国は通貨危機を受けたアジア諸国の中でもいち早く危機克服に向かった。



97年のアジア通貨危機で韓国を破たんの淵から救ったのは、日本政府であった、というわけですね。

こういうことをすっかりお忘れ遊ばされた大統領のあれとか、最近では対馬まで韓国領土だとか言い出しているようですが、何ともめんどくさいですねえ…。



最後に、

今回の格上げを大喜びしていた東亜日報さんが、1年前に掲載していた、格付けはちっともあてにならないという記事をご紹介:




格付け機関は信用できるのか? 米紙が疑問視
http://japan.donga.com/srv/service.php3?biid=2011081312818
東亜日報 AUGUST 13, 2011


国際信用格付け機関が、国家破産が切迫した国にも寛大な信用格付けを与えるなど、危機警報の役割を十分に果たしていないことが明らかになった。このため、米国の信用格付け引き下げ後に提起されている信用格付け機関の信頼度に対する論議が一層広がるものとみえる。

ウォール・ストリート・ジャーナルは12日付で、スタンダード&プアーズ(S&P)とムーディーズがこの35年間で各国につけた信用格付け記録を追跡した結果、このような結果が明らかになったと報じた。

S&Pは75年から昨年まで、デフォルト(債務不履行)を宣言した15ヵ国のうち12ヵ国の国債に対して、破産発生1年前に「B」以上の格付けをしていた。S&Pの分類上、格付け「B」は1年内にデフォルトの可能性が2%にすぎないほど国家破産とは縁遠い格付けだ。S&Pはこれまで、国家破産の可能性予測に20%しか成功していないことになる。

ムーディーズも自社が格付けした13のデフォルト国家のうち、11ヵ国に対して破産発生1年前に「B」以上の格付けをしていた。特に「B」より一段階高い「Ba」をつけた場合も3件あった。「Ba」の1年内のデフォルトの可能性は0.77%にとどまる。

同紙は、「01年、アルゼンチンやブラジルは同じ『BB』と格付けされたが、1年後、アルゼンチンはデフォルトに陥り、ブラジルはその後10年間、経済回復の道を進んだ」とし、「さらにデフォルトの1年前に、国家の信用格付けを上げたケースも発見された」と報じた。

これに対して、該当の信用格付け機関は、「信用格付けシステムは、実際に破産の可能性を予測するよりも、国家間の相対的な破産の危険性を示すためのものだ」と説明した。しかし、専門家らは、「信用格付け機関が投資対象を探す投資家に信頼できない指標だけを与えている」と指摘した。

信用格付け機関は08年にも、サブプライムローン(信用度の低い個人向け住宅融資)債権に最高の格付けを与え、当時金融危機発生の一原因を提供したという非難を受けた。




ちなみに、
元ネタのウォール・ストリート・ジャーナルの報道というのは、多分、この動画です:


News Hub: Rating Agencies Missed Looming Defaults
http://live.wsj.com/video/news-hub-rating-agencies-missed-looming-defaults/ABE30C2A-FA7D-43DC-B1F9-B62DC0CB91C0.html?KEYWORDS=rating+default#!ABE30C2A-FA7D-43DC-B1F9-B62DC0CB91C0
Wall Street Journal 8/12/2011






先ほどの、東亜日報の韓国の国債格上げ、韓国は日本よりすごい!と書いていた記事から、格付けがいかにあてにならないかを示す格好の事例を、もう一つ:


 1997年10月まで「A1」を維持していた韓国の格付けは
 通貨危機直後 「Ba1」まで格下げられた







今回のエントリー、大変長くなってしまいましたが…




 いざというときの虎の子の保険

 である外貨準備を

 中国株などで『積極運用』

 している韓国銀行とは

 距離を置くのが妥当です!


 格上げされてお喜びのところですから、

 韓国側も喜んで

 距離を置いてくれるはずですし、

 ちょうど良い機会ですよ、

 野田閣下&安住閣下!

 君子、あやうきに、近寄らず!!!




と思われた方は、


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541:資源調達、綱渡り:天然ガス、スペイン、フランスから高値で調達という異常事態+シリア周辺混乱で原油高へ+「 #TPP で農業改革」よりも「“中国の脅威”で農業改革」のススメ

2012/08/28 (Tue) 15:13
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これは、あくまでも私の主張ではなく、
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の皆さんの主張ですが…

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※当ブログのTPP記事一覧はこちら







前回の「熱中症」の件、お見舞いコメント等頂き、まことにありがとうございます。

自分自身が熱中症になったことを受け、エアコン、電気のありがたみを改めて痛感する今日この頃であります。


フェイスブックで教えて頂いた話なのですが、労働安全衛生法の実施規則である事務所衛生基準規則では、事務作業を行う事業所において、

第五条 第3項
事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が十七度以上二十八度以下及び相対湿度が四十パーセント以上七十パーセント以下になるように努めなければならない。

という規定があります。

ちなみに温度が28℃、湿度が70%なら、前回の「環境管理温度湿度計」では緑(注意)と青(十分注意)の境目で安全圏となりそうです。





前回は、純粋に熱中症への注意喚起のため、政治的見解を完全に抜き去った話にしましたが、今回は多少なりとも政治的な話です。





昨日の日経新聞朝刊1面より:




資源 変わる輸入地図(上)
長年の調達網 もろさ露呈

日経新聞 2012年8月27日朝刊1面


日本の資源の輸入地図が大きく変わり始めた。
発電用天然ガスや穀物は、不動だった主役が綱渡りを経て交代。
資源、食糧を海外に頼る日本の難しさが改めて浮き彫りになった。

異例の再輸出

スペイン、フランス、ブラジルなど液化天然ガス(LNG)輸出に縁のなかった国を出たタンカーが、次々と川崎や名古屋に入港している。
これらの国が貯蔵するLNGを、日本の電力会社が高値で再輸出させる異例の手段をとったためだ。

昨年3月の福島第1原発の事故後、電力各社はLNG火力発電へのシフトを迫られている。
過去にマレーシア、オーストラリアなど生産国と協力して液化施設を建設。10~20年の長期契約で調達する仕組みを築いたが、予想外の需要の急増に対応できない。

あらゆる手立てで集めた結果、中心になったのがカタールとの短期契約だ。
…(カタールからの輸入シェアが)マレーシアを抜き首位に立つ。

カタールは米国への販売を見込み設備を増強したが、米国で頑張んないのガスを利用するシェールガス革命が起きて売り先を失う。
「この偶然が無ければ大規模な停電が起きる可能性があった」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の石井彰・客員上級研究員)という。

価格面で代償を払った。LNGのスポット(随時契約)は一時震災前の2倍に高騰。長期的契約価格に影響する原油高も重なり、日本の11年LNG輸入代金は前年比4割近く増え4兆8000億円程度になった。

資源の豊富な国と長期的な関係を結べば安定調達につなげやすい。
ただ、目まぐるしい情勢の変化に対応できないと反動は大きい。
主産地の北米で干ばつに襲われた穀物も同様だ。



日本は飼料用トウモロコシの9割超を米国に依存してきた。
しかし、今年度後半の使用料やく600万トンのうち米国産の比率は半減する見込みだ。
大手商社は200万トンをブラジルから買い付けたもよう。
米国産の最大の買い手の全国農業協同組合連合会(全農)もブラジルやウクライナから独自に買い付け、使用料の5割超の100万トンを米国以外に切り替える。




中国と競争激化

日本だけではない。
中国は温家宝首相が6月に南米を訪問、インフラ支援を約束し対中輸出の拡大を要請した。
丸紅のブラジル現地法人の伊吹洋二社長は「農家との結びつきを強めて調達網を拡充しなければ」と競争に身構える。


プロパンなどの液化石油ガス(LPG)は4年前まで最大の輸入先だったサウジアラビアの減少が続く。
人口増を産業需要が伸びるため、輸出余力は10年余りでさらに半減するとの見方がある。

LNG、トウモロコシ、LPGとも日本が世界最大の輸入国。
長年の調達シェアが予想外の短期で変わったのは新興国の台頭や資源国の発言力の高まりも背景にある。
資源の輸入大国の足場は揺らいでいる。






この記事を読んで、私が電気に対して感じているありがたみは、さらに増すばかりであります。



私は脱原発には反対はしませんが、それは数十年かけてゆっくりやるのが妥当だと考えます。


原発がなくても電気が足りているという説もあります。

しかしそれは、

スペインやフランスの貯蔵天然ガスを無理矢理買ってきたことや、

カタールの米国向け輸出がたまたま米国で起きた技術革新で不要になった幸運に恵まれて日本に振り向けることが可能になったこと

によって、
辛うじて何とか支えられている、ということのようであります。

また、その天然ガスの頼みの綱となっているカタールも、イラン情勢の不安定化によってかなりリスクが高い状態になってきていることは、先日当ブログで書きました通りです。


根本的で安定的な代替エネルギー源の確保なき「脱原発」では、深刻化する傾向にある夏の熱中症のリスクやその他さまざまな生命にかかわるリスクを高めるだけであり、なんらの現実的解決にもならないのではないかと思われますます。







また、トウモロコシに関してはアメリカ依存一辺倒から一気に脱却ということが起こっています。
上の日経記事の省略した箇所によると、これまでもアメリカ依存の危うさを感じていた商社や全農が調達先の多様化を準備していたところへ今年の大干ばつが起こり、一気に脱アメリカ依存が進んだようです。

ちなみに、以前も触れましたが、飼料用トウモロコシは関税ゼロです。TPPに仮に日本が参加しても、アメリカ産トウモロコシの輸入関税コストは減りません。元からゼロですから。

そして、アメリカから調達することが困難になった分のトウモロコシの調達先が、TPPと何の関係もないブラジルやウクライナからの調達に切り替えられる、ということは注目に値するでしょう。

私が思うに、ブラジルやウクライナなどの農産大国における、中国との食糧調達競争のほうが、TPPなどよりも、よっぽど重要で喫緊の問題ではないかと思います。


TPP推進派の中には「TPPを使って農業改革を進めたい」というようなタイプの方もおられます。

すなわち、

目的:国内の農業改革
手段:TPP


というような枠組みです。


私はこれを

目的:国内の農業改革

手段:中国との食糧奪い合いの脅威を煽る



に切り替えることを強力に推奨いたします。


これなら、反TPP派の賛同もずっと得やすいでしょう。
また、農業に携わる皆さんの使命感や動機づけを高めることにもつながるのではないでしょうか。

中国との食糧調達競争激化

国内農業の生産性向上の必要性高まる


という格好になります。


このほうが「TPPを利用して農業改革」よりも、よっぽど健全で生産的ではないかと思います。





さて、上記の引用記事は長期的なリスクの話でしたが、以前から当ブログで触れてきた中東動乱が原因で、原油価格がジワジワ高騰してきているという話もあります。

ただし、当ブログで想定していたイラン問題ではなく、シリア問題によって





シリア内戦が激化
産油国に波及懸念 原油再び上昇

日経新聞 2012年8月28日朝刊2面

中東シリアでの内戦がさらに激しさを増している。
国連の停戦監視団の撤収をきっかけにアサド政権が反体制派の掃討を強化。
隣国レバノンへの飛び火や難民の大量流入で周辺国にも影響が及んでいる。
反体制派を支援する湾岸産油国が不安定になるとの警戒から、原油相場は再び上昇基調をたどっている。



シリア内戦が長引くなかで、混乱が周辺国に広がり、中東情勢は不安定になりつつある。

隣国レバノンでは親シリア勢力と反シリア勢力の銃撃戦が起きた。
宗教問題が絡んだ微妙なバランスが崩れかねない。




湾岸産油国のサウジアラビアやカタールなどは反体制派を支援するが、イランなどはアサド政権に近い。
「シリア内戦がほかの中東産油国に波及しないかが懸念される」(住友商事の長尾英二郎商品市場チーム)







原油価格については、NYMEXの軽質原油(Light Crude Oil)の先物(期近もの)のチャートを示しておきます。



NY原油
出典:
http://futures.tradingcharts.com/chart/CL_/92?anticache=1346124806





サウジバーレーンシーア派の反政府デモが頻発している件は以前、紹介しました。

【中東、世界の火薬庫: 国防相ほかシリア首脳4人が爆弾テロで死亡+サウジ、バーレーンの反政府デモ活発化+米軍5隻目の空母をペルシャ湾に派遣し20ヶ国参加の合同演習実施へ】
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-522.html


イランがシーア派なので、イラン情勢との絡みでサウジやバーレーンのシーア派の活動が活発化し、それが原油生産・輸出にも影響し、つまり、日本経済にも重大な影響を与える可能性があるという話をしていましたが、

シリアのアサド政権もシーア派(のうちのアラウィ派)

ということも考慮に入れるべきでありました。



もちろん「イランもシリアもシーア派だから、サウジやバーレーンでシーア派住民の活動が活発化する」と単純に結論付けるのは、正確ではないとは思います。想像するに、実情は恐らくもっと複雑なのでしょう。


また、本当にこのシリア情勢の影響で原油価格が上昇基調になっているのか、というとそれは実際のところは分かりません。

別の理由もあるのかもしれないですし、あるいは、原油価格を上昇させたい人々がいて意識的にもっともらしい理由を喧伝しているのかも知れません。もちろん、素直に真に受けるべきなのかも知れません。

いずれにせよ、現在の原油価格の上昇基調の説明として「シリア情勢」が主要な理由として挙げられている、ということ自体は、紛れもない確定的事実である、ということになります。


これはつまり、本当の実情がどうであれ、

シリア情勢が、石油価格のさらなる高騰を通じて、日本経済にも重大な影響を与えかねない状況になってきている

ということを意味します。






さて、当ブログを頻繁にご覧いただいている読者の方はお気づきかも知れませんが、当ブログ(PC版)の左下のほうには、WTIの原油価格と金価格のチャートを表示しています。


それで、

この1、2週間で、原油、金がともに過去3ヵ月の高値を更新しているけど、何でかなあ、と思っていたのです
(正確には、その「理由」として何が挙がっているか、その「理由」のトレンドはどんなものか、が気になっていたということになりますが)。

金については、南アフリカの鉱山で労働争議が暴動に発展したことが「理由」のようです。

ということで、ちょっと今回のテーマからそれますが、ついでなので少し金相場について:




揺れる資源国・南ア
鉱山ストに警官隊発砲


プラチナ・金が上昇 雇用問題の難しさ露呈

日経新聞2012年8月27日朝刊7面


世界屈指の資源国、南アフリカ共和国が揺れている。
今月中旬に起きたプラチナ(白金)鉱山の労働争議に端を発した警官発砲事件がきっかけ。
国際商品市場では、労使の対立が南アのほかの鉱山にも広がり、生産が滞る懸念からプラチナや金の相場が上昇した。
有力新興国の一角としてもグローバル企業の注目を集めるが、今回の事件で雇用事情の難しさが改めて意識されそうだ。


※記事によれば、その鉱山の労働争議の暴動化で死者34人、アパルトヘイト廃絶後、当局の取り締まりに関連する事件としては最大規模の死傷者数を出す騒ぎとなった、とのことです。




さて、



 スペインやフランスから天然ガスを

 高値で無理やり『輸入』していたとは、

 驚いた!



と思われた方や、



 “良く分からず得体の知れないTPP”で農業改革×

 “今そこにある中国の脅威”で農業改革○




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540:「熱中症」にご注意:今更ながら、自分がなってしまいましたので…。「節電」はほどほどに!「簡易計測器と政府メールサービスで遠慮なくエアコン使える♪」という選択肢もあります!

2012/08/26 (Sun) 15:40
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今回は、政治的な話抜きで、熱中症予防と節電のバランスを取るというお話を。

というのも、私自身が一昨日の深夜、どうやら中度の熱中症になってしまったようなので、実体験を書かせて頂こうかと思います。


一昨日といっても、日付としては昨日(25日)の深夜3時ごろ、

目が覚めると激しい頭痛と吐き気がし、さらに繰り返し嘔吐する、というような状態になりました。


寝るときは基本的にエアコンは付けず、窓を開け、頭にだけ扇風機の風が間欠的に当たるようにしていました。

あと枕元にアイスノン。

以前はこれで問題が無かったのです。



しかし、今回は急に上記のようなかなりキツイ状態になりまして。

環境省の「熱中症環境保健マニュアル」「どんな症状があるのか」

というところを見ると、3段階のうちの2段目の症状であったようです:

kannkyoushou.png



少々疲れ気味であったことも影響しているものと思われますが、突然の激しい頭痛には参りました。

しかし最近、私は身体的な不調は、私の内部からの何かのメッセージだと考えるようにしています。それも、ポジティブな目的を持ったメッセージであるとして、感謝の気持ちを持って受け取るように努めています。

何せ、体調最悪なときに心的状態まで悪化させるのは余計最悪ですので、このように考えることで心的状態を良好に維持するように工夫するわけであります。


そして、数回ほど断続的な嘔吐があり、私はそれを「とりあえずクーラーつけろというメッセージか?」と思い、30度の設定でエアコンをつけてしばらく横になっていると、頭痛もかなりおさまりました。


クーラーを付けてたら治ったので、やはり熱中症だったのではないかと思います。



それで、翌日は人の勧めもあり、

環境管理 温度・湿度計 「熱中症注意」

というものを購入
しました(メーカー:EMPEX 日本製)。

アマゾンだと1000円切るのですが、すぐに必要だと感じたので近所の東急ハンズにて購入)


で、

「熱中症」の次の日の夜、さっそく寝室の環境を測定してみましたところ…


クーラー使用前120825_215910



湿度計と温度計の交差するところがどの色かによって、危険度合いの目安が分かる仕組みになっているのですが、

我が寝室の環境は、「危険(赤)」と「厳重注意(黄)」の境目くらいでした。


「危険(赤)」:涼しいところに移動、適切な水分補給。体を冷やす。

「厳重注意(黄)」:換気・冷房・適切な水分補給が必要。


ということで、私は前日、相当ヤバい環境の中で寝てしまっていたようです。

なお、私が「熱中症」になった当日(25日)の最低気温は、気象庁のデータを見ても、それまでの日と比べて特に高いということは全く無かったのですが、どうやら湿度が高かったことが問題であったようです。



そして、30度設定でクーラーをかけて1時間ほどしたあとの状態が以下のとおりです:


クーラー使用後120825_233520



「厳重注意(黄)」:換気・冷房・適切な水分補給が必要。



「注意(青)」:温度・湿度の上昇に十分注意。

の境目くらいになるまで、環境が見事に改善されました。






私、これを使っていて、このような計測器があると、上手に節電できるのではないかと思いました。


とにかく、↓このような状況ですので、クーラーはやはり迷わずつけるべきかと思います。





7月の熱中症搬送、最多の2万1082人に
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120818/trd12081808380002-n1.htm
MSN産経ニュース  2012.8.18

 7月の熱中症による搬送者は2万1082人となり、平成20年の調査開始以降、7月として最多だったことが総務省消防庁のまとめで17日、分かった。猛暑が続き、月間搬送者数でも22年8月の2万8448人に次ぎ2番目だった。

 7月の搬送者は前年同期から17.4%増えた。搬送者のうち、医師の初診時に死亡が確認されたのは37人で、月間としては22年7月、8月に次いで過去3番目となった。3週間以上の入院が必要な重症は476人だった。搬送者は全体の45.2%を65歳以上の高齢者が占めた。これに18~64歳の39.3%、7~17歳の14.6%が続いた。

 都道府県別では1483人の愛知が最も多く、埼玉、東京、大阪も1000人を超えた。人口10万人当たりでは、鳥取の30.07人が最も多く、次いで岡山の27.50人、香川の25.31人の順だった。

 7月中旬以降、35度以上の猛暑日を記録する地点が全国で急増。8月に入っても各地で厳しい暑さが続いている。消防庁は小まめな水分補給を呼び掛け、特に高齢者には屋内での熱中症対策の必要性を訴えている。




30代後半の私も室内でアレだったので、私よりも年上の皆さんには特にお気を付け頂きたいと思います。




しかし、

それでも「節電はしたいかな」と思われる方にとっては、どこまでクーラーで冷やすのが必要か、節電と健康のバランスをどう取れば良いか、と考えるときに、上記のような簡易な計測器が非常に約に立ちます。


私の場合、現在、黄色と青色の境目くらいを目安にして室内の環境を調整するようにしています。


これに加えて、政府の電力需給のひっ迫情報のメールサービスを利用することとしました。

政府の節電ポータルサイト
節電.go.jp

「ひっ迫お知らせサービス」(携帯版はこちら

※9電力全てカバーしています(メールアドレス登録時に電力会社を選択する方式)


   
これなら、

健康を損なわない範囲でエアコンを使用しつつ、本当に電力が足らない場合は別の対策を取る、という行動が可能

になります。






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539:#TPP 推進の米国有力上院議員、来日。「とにもかくにも、日本はもっとアメリカ牛を買え!」

2012/08/24 (Fri) 16:58
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さて、TPPについて、↓のようなJPEGファイルを作ってみました。

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さて、

アメリカのTPP推進、および、日本のTPP参加の成否のカギを握る人物の話です。

米上院・財政委員会の委員長、ボーカス上院議員(民主党、モンタナ州選出)が来日し、玄葉外務大臣と会談しました。

米上院・財政委員会というのは米国の通商交渉の最も重要なカギを握る機関ですが、詳細はのちほど。

まずは、時事通信の記事から:





TPP参加に期待=米上院委員長、玄葉外相と会談
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012082300942
時事通信 2012/08/23

日中のボーカス米上院財政委員長は23日、外務省内で玄葉光一郎外相と会談した。
席上、同委員長は「環太平洋連携協定(TPP)は米経済のみならず大局的観点からも重要なもので、多くの国が参加する質の高い協定となることを期待する」と述べ、日本の参加に強い期待感を表明した。
玄葉外相は「日米が協力して貿易・投資ルールをつくっていく意義は大きい」との認識を改めて強調した。




上記記事の太字部分は、外務省発表の引用ですが、モンタナ州選出の上院議員は、牛肉、BSE規制の緩和について非常に強い関心を持っているようです:






ボーカス米国上院財政委員長による玄葉外務大臣表敬
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kinkyu/20/H602012082320554301A/
平成24年8月23日

 本23日(木曜日)午前10時から約50分間、玄葉光一郎外務大臣は、マックス・ボーカス米国上院財政委員長(The Honorable Max Baucus, Chairman of the Senate Committee on Finance)の表敬を受けたところ、概要は以下のとおりです(日本側から八木経済局長他、米国側からルース駐日米国大使他が同席)。

1 冒頭、玄葉大臣から、ボーカス委員長の来日を歓迎し、同委員長の長年に亘る日米関係強化への取組に感謝の意を述べました。これに対し、ボーカス委員長から、マンスフィールド元駐日大使(注:ボーカス委員長と同じモンタナ州出身)の言葉を引きつつ、日米間の経済関係は太平洋で最も重要な二国間関係であるとの発言があり、今後も高い水準での日米間協力が続くことへの期待が表されました。

2 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に関して、玄葉大臣から、現在、TPP交渉参加に向けた日米間の協議が行われているところであり、日米が協力して貿易・投資に関するルール・秩序を作っていく意義は大きい旨述べました。これに対して、ボーカス委員長から、TPPは米国経済のみならず大局的観点からも重要なものであり、同協定が多くの国が参加する質の高い水準の協定となることを期待する、との発言がありました。

3 米国産牛肉の輸入に関して、玄葉大臣から、米国産牛肉の輸入条件を含むBSE対策全般の見直しについては、現在、食品安全委員会が最新の科学的知見に基づき審議を行っているところである旨述べました。これに対して、ボーカス委員長から、BSE対策の見直しが進められていることを歓迎する旨述べました。

4 加えて、玄葉大臣から、我が国の米国からのLNG輸入の実現への協力を求めたのに対し、ボーカス委員長から、協力していきたい旨述べました。





ここで、上院の財政委員会の外国との通商協定に関する権限について説明をしておきたいと思います。


まず、在日米国大使館HPより、米国合衆国憲法

http://aboutusa.japan.usembassy.gov/j/jusaj-constitution.html
第1章[立法部]
第8 条[連邦議会の立法権限]
第3 項 諸外国との通商、各州間の通商およびインディアン部族との通商を規制する権限


で、外国との通商を規制する権限が連邦議会(上院・下院)にあることが規定されています。



そして、この本来は議会にある外国との通商に関する権限の一部を大統領に移譲することで、外国との通商交渉をスムーズに進めるための議会と大統領の間の取り決めが、以前も取り上げたことのある、大統領貿易促進権限(Trade Promotion Authority)」というものです。

これが、2007年に失効しています。

また、新たにTPPに「大統領貿易促進権限」を与えるための法案が提出されていたのですが、これが2011年の9月に上院で否決されています。

ということで現在は、USTRや大統領はあたかも「大統領貿易促進権限」があるかのごとく、TPPを推進している、という今年2月のロイターの記事がこちら:




White House wants trade promotion authority: Kirk
ホワイトハウスは大統領貿易促進権限を望んでいる:カークUSTR代表

http://www.reuters.com/article/2012/02/29/us-usa-trade-kirk-idUSTRE81S1FF20120229
Reuters Feb 29, 2012

The Obama administration plans to ask Congress this year to renew White House "trade promotion authority" so it can finish talks on an Asia Pacific trade pact and pursue other possible initiatives, the top U.S. trade official said on Wednesday.
オバマ政権は、TPPの完遂や他の可能性のある貿易交渉の推進のため、今年中に、連邦議会に「大統領貿易促進権限」を更新する法案を提出する予定である、と水曜日、USTR代表は語った。


"We've got to have it," U.S. Trade Representative Ron Kirk told the House of Representatives Ways and Means Committee, referring to legislation known as trade promotion authority which expired in mid-2007.
ロン・カークUSTR代表は2007年半ばに失効した大統領貿易促進権限として知られる法律に関連して、「我々にはそれが必要だ」、と下院歳入委員会で述べた。

Kirk declined to say when the White House would make a formal request, but said it could need the authority by the end of the year because of its goal of concluding the Trans-Pacific Partnership (TPP) trade agreement with Australia, New Zealand, Vietnam, Chile and four other countries in 2012.
カーク代表は、ホワイトハウスが正式な要請をいつ出すかについて話すことは拒否したが、TPPを2012年に妥結するという目標のためには、ホワイトハウスが今年末までにその権限が必要となるだろうと語った。

...

Many Democrats have qualms about the legislation since it signals White House plans to negotiate more trade agreements. That is a divisive issue within the party because of opposition from labor groups.
多くの民主党議員は大統領貿易促進権限法案について、ホワイトハウスがさらなる貿易協定の交渉を計画している兆候であるとして、疑惑を持っている。これは、労働者団体からの反対があるため、民主党を分裂させるような問題だ。

The legislation typically also contains detailed negotiating objectives the White House is expected to follow in trade talks. The Obama administration has been using the expired trade promotion authority as guidance for the ongoing Trans-Pacific Partnership talks, but those objectives were crafted in 2002.
一般的に、大統領貿易促進権限法案は、ホワイトハウスが交渉にあたって従うべき詳細な交渉目標を含んでいる。オバマ政権は、進行中のTPP交渉において、すでに期限切れになった大統領貿易促進権限を指針として使っているが、この期限切れの貿易促進権限法で定められた交渉目標は2002年に作られたものだ。

...

Representative Sander Levin, the top Democrat on the Ways and Means panel, said he doubted a trade promotion authority bill would be passed this year.
下院歳入委員会の民主党代表、Sander Levin議員は、大統領貿易促進権限法案が今年中に可決されることに懐疑的だ。

The 2002 bill took about 18 months to pass.
2002年の大統領貿易促進権限法案は、成立まで約18か月かかった。



...





さて、

滝井 光夫 桜美林大学国際学部 教授 の 「大統領の通商交渉権限と連邦議会」という論文によりますと、

大統領貿易促進権限がある場合でも、上院の財政委員会や下院の歳入委員会は、貿易協定の交渉成立や国内での貿易協定実施法の策定までに相当深い関与をする仕組みになっています。
(同論文のp.32表2や本文におけるその説明を参照)


現在、その大統領貿易促進権限が失効している現在、上院の財政委員会や下院の歳入委員会は、憲法上の規定によって貿易交渉の権限を持っている連邦議会の最初の入り口になっています。


なお、在日米国大使館の資料

立法府 ― 議会の影響力
http://aboutusa.japan.usembassy.gov/j/jusaj-outline-government04.html

によりますと、

現在、上院には17(*)の常任委員会があり、下院には19(*)の常任委員会がある。各委員会は、外交、防衛、金融、農業、商業、歳出など、立法の特定の分野を専門に扱う。各議院で発議される法案は、ほとんどすべてが委員会に付託され、委員会が調査・勧告を行う。委員会は、付託された議案を承認、修正するが、葬り去ったり、無視したりすることもできる。下院でも上院でも、法案が委員会の承認を経ずに本会議に到達することは不可能に近い。

ということです。


つまり、

大統領貿易促進権限が無かったとしても、
外国との通商問題を担当する上院財政委員会と下院歳入委員会は、貿易協定に関してはかなり深く関与する

ということになります。






※細かいことですが、アメリカの法理論上、貿易協定は「上院の3分の2の賛成を要する」
外交上の条約と異なる扱いとなっています(国際法上はあくまでも条約)。

合衆国憲法第2章第2条第2項

大統領は、上院の助言と承認を得て、条約を締結する権限を有する。但し、この場合には、 上院の出席議員の3 分の2 の賛成を要する。

により、

条約であれば、大統領がそれを外国と締結するには、上院の助言と承認とさらに上院の出席議員の3 分の2 の賛成というかなり高いハードルがあります。

しかし、

米国議会図書館議会調査局の資料によりますと、

foreign trade 対外貿易

に関する協定


treaties 条約

ではなく、

executive agreement 行政協定

のうちの

Congressional-executive agreements 立法・行政協定

で、

Executive agreements are negotiated and concluded in the
same way as treaties, but they do not go through the procedure
for advice and consent of the Senate.
行政協定は、条約と同じ方法で交渉され、締結されるが、上院の助言と承認の手続きを経ることは無い。

ということになっています。

実際のところ、上記 滝井 光夫 桜美林大学国際学部 教授の論文の注釈13で

NAFTA実施法を条約手続の不使用を理由に違憲とする訴えに対して2001年11月、最高裁は合憲との判断を下している

とあります。

また、NAFTA実施法は現実に上院では出席議員の3分の2より少ない賛成票(出席100人中61)で可決、成立しています(上院HP参照)。




【追記】
また、
現在の大統領貿易促進権限の無い状態でのTPP交渉は、アメリカにとって全くあやふやな状況にあります。

上記
滝井 光夫 桜美林大学国際学部 教授 の 「大統領の通商交渉権限と連邦議会」の表現を借りると…

「外国との…交渉の合意が議会によって拒否されたり、修正されたりすれば、米国政府の対外交渉は信頼を失う」ということが普通にあり得る状況でオバマ政権はTPP交渉に突っ走っているわけです。

大統領貿易促進権限があると、議会に提案されるときは議会が可決するか否決するか、二者択一になります。ただし、これまでにあった大統領貿易促進権限の仕組みでは上下院の担当委員会がかなり深い関与をすることで、否決される可能性を可能な限り無くすような仕組みになっています。

一方、この「権限」の仕組みが無いと、議会は可決、否決だけでなく、外国と締結してきた協定の修正を迫ることも可能になることが問題、ということになります
(もしかすると委員会レベルで無視、ということもあり得るのかも知れませんが、そこまでは目下、調査しきれていません)。


【追記終わり】






とは言え、

大統領貿易促進権限があろうとなかろうと、
上述のように、上院財政委員会は、下院歳入委員会と並び、貿易協定に関してはかなり深く関与することになります。





よって、

ボーカス上院財政委員長という人物は、TPPに関して非常に重要な立場にある人物と言って良いでしょう。


では、そのボーカスさん、どんな人物なのでしょうか?


ボーカス議員の上院の公式ホームページからいくつか拾ってみます。

まず、日本に来る前にニュージーランドに訪問したときの記事から抜粋(訳は抄訳で):


Baucus Promotes Montana Trade with Leader of New Zealand
ボーカス議員、ニュージーランド指導者を相手にモンタナ州の交易を促進

http://www.baucus.senate.gov/?p=press_release&id=1125
August 20, 2012

Negotiations to determine the exact parameters of the TPP first began in 2005, and are ongoing today. Baucus has been pushing for strong U.S. particip
ation since beginning, and has urged the White House to fight for the best deal for American workers and businesses.
ボーカス議員はTPPバリバリ推進派(05年当初からTPPをガンガン推進していました)


 Baucus is in New Zealand this week as talks continue on the Trans-Pacific Partnership (TPP)- a new free trade agreement that provides the United States with a critical opportunity to break down barriers that have made it difficult to sell Montana products, like beef, in some of the world's most important markets.
TPPにより、これまで世界の中の重要市場(つまり、日本のこと?)での販売が困難だったモンタナ産品、例えば牛肉を売りやすくなる


If Japan joins the talks along with Mexico and Canada, TPP countries would account for 40 percent of the trade of U.S. goods.
アメリカ製品の交易にとって市場が大幅に拡大できることになるので、日本にも参加して欲しい(日本がハードルを下げて入ってきて欲しい。なぜなら、モンタナの牛肉がもっと売れるから:このカッコ内は廣宮の勝手な憶測ですが)


As chairman of the Finance Committee, with sole jurisdiction over international trade, Baucus will be key to getting the negotiated TPP passed through Congress.
(貿易協定を所管する)財政委員会の委員長として、ボーカス議員はTPPの議会承認のカギとなる所存でいらっしゃるようです。


---

次に、日本訪問についての記事(これも抜粋と抄訳):


Baucus Presses Japanese Leader to Open Markets for Montana Beef
ボーカス議員、日本の指導者にモンタナ牛肉の市場を開くよう強く求める

Senator Fights to Lift Restrictions that Hurt Montana Ranchers
上院議員、モンタナ酪農家に損害を与えている規制の撤廃のために戦う

http://www.baucus.senate.gov/?p=press_release&id=1128
August 23, 2012

Montana's senior U.S. Senator Max Baucus met with Japanese Prime Minister Yoshihiko Noda and top minsters in his cabinet today to press Japan to ease restrictions against American beef imports that are hurting Montana ranchers.
マックス・ボーカス モンタナ州上院議員は、日本の野田佳彦首相や彼の内閣の重要閣僚らと本日会談し、日本に、モンタナ酪農家に損害を与えているアメリカ牛肉の輸入規制を緩和することを強く求めた。

"Montana beef is the best in the world, and there is no reason to block Montana ranchers from selling to Japan," Baucus said. "These unfounded restrictions hurt Montana ranching and the jobs that depend on it. Today I took my case for Montana beef straight to the top in Japan, and I won't stop fighting until we get victory for Montana ranchers."
「モンタナ牛は世界一であり、モンタナ酪農家がそれを日本に売ることを邪魔すべき理由は存在しない」とボーカス議員は語った。「これらの根拠無き規制はモンタナの酪農に損害を与え、酪農に依存する雇用に損害を与えている。本日、私はモンタナ牛についての私の主張を直接日本の首脳に届けた。私はモンタナ酪農家の勝利が得られるまで戦うことを止めない。

In 2011, Japan was the third largest market for U.S. beef. But, despite scientific findings by the U.S. Department of Agriculture and the World Organization for Animal Health (OIE) that all American beef is safe, Japan currently only accepts American beef from cattle under 21 months of age.
2011年、日本は米国牛肉にとって世界で3番目に大きな市場だった。しかし、米農務省やWorld Organization for Animal Healthによる、全てのアメリカ牛が安全であるとする科学的根拠があるにもかかわらず、日本は現在アメリカの牛のうち21か月の月齢以下のものしか受け入れていない。


Japan instituted the ban on beef from cattle above 21 months in 2003, causing beef exports to Japan to fall from $1.4 billion in 2003 to $469 million in 2009. Since 2009, beef exports have rebounded, reaching $874 million in 2011. Still, American beef exports to Japan would be significantly higher if Japan were to remove its unscientific restrictions on U.S. beef - something Baucus has long fought for.
日本は2003年に21か月月齢を超える牛を禁止し、それによって2003年に14億ドルだった日本への牛肉輸出を2009年には4.69億ドルに落ち込んだ。2009年以降、牛肉輸出は回復し、2011年に8.74億ドルとなった。日本が米国の牛肉に対するその非科学的な規制を取り消すなら、日本へのアメリカの牛肉輸出品はもっと増えることとなるだろう。ボーカス議員は長い間そのために戦ってきた。

Overall, Japan is the fourth-largest market for U.S. agricultural exports, valued at $11.8 billion in 2010. And Japan remains the largest purchaser of Montana wheat, accounting for over 50 percent of Montana's 116 million exported bushels in 2011. Still Japan's average agricultural import tariff of 15.7 percent is among the world's highest for industrialized countries.
全体として、日本は、2010年に118億ドルを計上した米国の農産物輸出の、4番めに大きい市場である。
また、日本は、2011年にモンタナの小麦輸出、1億1600万ブッシェルの50パーセント以上を占める、モンタナ小麦の最大の購入者である。
日本の平均15.7パーセントとなっている輸入農産物関税は、世界中の工業先進国最としては最高水準である。




これだけTPPバリバリ推進派のボーカス議員ですが、

TPPに大統領貿易促進権限を与える法案には反対票を投じています(上院HP参照)

U.S. Senate Roll Call Votes 112th Congress - 1st Session

Purpose:     To provide trade promotion authority for the Trans-Pacific Partnership Agreement and for other trade agreements.

Baucus (D-MT), Nay


「USTRや大統領がどんなTPPにするか分からんから、
 大統領貿易促進権限は反対だ!
 モンタナの牛肉を売ることのじゃまを取り除くTPPを俺がやるぞ!」



という感じでしょうか。





日本の農家の皆さん、
米国のTPP推進のキーマンの一人であるボーカス上院議員はこのように、
モンタナ農家・酪農家のために戦っている人物であります。




ちなみにボーカス議員は日本の多くのTPP推進派議員の皆さんと違い、バリバリの公共工事推進派です:




・我々には農産物を運ぶ道路や鉄道が必要だ
 We need roads and rail to transport agricultural products
 http://www.baucus.senate.gov/?p=issue&id=56

・私は雇用対策法(Jobs Bill)にインフラやエネルギー関連工事を増やす条項を盛り込んだ
 I included provisions in the Jobs Bill to increase infrastructure and energy-related construction
 http://www.baucus.senate.gov/?p=issue&id=48 

-----

とにかく、

モンタナ牛のためなら何でもするぞー!


という感じです。





ということで、





 TPPもアメリカ牛も食う気せんが、

 ボーカス議員の公共事業推進論には大賛成!


 それ以前に、

 
「外国との…交渉の合意が

  議会によって拒否されたり、

  修正されたりすれば、

  米国政府の対外交渉は信頼を失う」

 ということが普通にあり得る状況で

 
TPP交渉に突っ走っている

 オバマ政権。


 そんな政権を相手に、

 
日本がTPP交渉に参加して

 本当に大丈夫?

 推進派の人、これ、理解してるのかな…?



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538:小さな政府は無理:米元財務長官ローレンス・サマーズ氏「米国は…経済全体に占める公的部門の割合の拡大を余儀なくさせるという現実に立ち向かっていかねばならない」

2012/08/22 (Wed) 11:51
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 「反日勢力を斬る イザ!」さんで先日、【「国の借金」新常識】をご紹介頂きました。


 http://ponko.iza.ne.jp/blog/entry/2804907/

 わざわざ独立したエントリーを立てて下さり、
 また、著者の私ですらブログに書いていなかった
 目次の詳細を書き起こしてくださっています(ありがとうございます!)





さて、

本題に入る前に、シリア関係のニュースのご紹介(ロシア政府系メディアRT.com記事):




Obama threatens to attack Syria
オバマ大統領、シリアへの攻撃について警告

http://rt.com/usa/news/obama-syria-weapons-president-153/
RT.com 21 August, 2012

US President Barack Obama has a stern warning for the country of Syria. In an address made early Monday, the commander-in-chief confirmed that he has not ruled out an offensive strike on Bashar al-Assad and his regime.
バラク・オバマ米大統領は、シリアに断固たる警告を発した。月曜日の演説で、米軍最高司令官(=大統領)はシリアのバシャール・アサド大統領と彼の政権を攻撃する選択肢を排除しないことを確認した。

Speaking from the White House, President Obama said that if Syria were to deploy chemical or biological weapons, the United States will follow through with its threat of launching an attack.
ホワイトハウスからの演説で、オバマ大統領は、もしシリアが化学兵器や生物兵器を配備したら、米国は攻撃を遂行するだろうと語った。

Responding to a question about America’s current attitudes towards Assad, Obama said that the United States will not tolerate any efforts to allow Syria or any other countries to use weapons of mass destruction.
アメリカの、現在のアサド政権に対する態度についての質問に答え、オバマ大統領は、シリアやその他いかなる国々が大量破壊兵器を使用することも米国は許容しない、と語った。



“We cannot have a situation in which chemical or biological weapons are falling into the hands of the wrong people,” Mr. Obama added. “We have put together a range of contingency plans. We have communicated in no uncertain terms with every player in the region that that’s a red line for us.”
「我々は化学兵器や生物兵器が誤った人々の手に渡るような状況を作ることはできない。我々は一連の不測事態対応計画を統合している。我々は(中東)地域のすべてのプレーヤーに、それが我々の限界線だということを単刀直入に言ってきた」とオバマ大統領は続けた。



"It doesn't just include Syria. It would concern allies in the region, including Israel, and it would concern us,” President Obama said.
「シリアだけではない。その地域における同盟国にも関係しており、それはイスラエルを含み、我々の問題でもある」とオバマ大統領は言った。

“At this point,” Mr. Obama said, “the likelihood of a soft landing seems pretty distant.”
「現時点において、ソフトランディングの可能性はかなり遠のいたように見える」


※以上のオバマ大統領の発言全体はホワイトハウスのホームページで読むことができます。


Last month, Syrian Foreign Ministry spokesman Jihad Makdissi told reporters that his country will not use chemical weapons amid a months-long standoff with anti-Assad rebels. He did, however, admit that Syria has access to such warheads and could deploy them upon further developments.
先月、シリア外務省Jihad Makdissi報道官は、反アサド勢力に対する、これからの数か月にわたる反撃において、シリア国軍は化学兵器を使用しないだろうとリポーターに述べた。
しかしながら、彼は、
シリアがそのような化学兵器弾頭の利用手段を持っており、さらなる開発によってそれらを配備することができるであろうことを認めている。

"All of these types of weapons are in storage and under security and the direct supervision of the Syrian armed forces and will never be used unless Syria is exposed to external aggression," Makdissi said.
「そのようなタイプの兵器は貯蔵庫の中にあり、警戒の下に置かれ、シリア軍の直接の管理下にあり、シリアが外部からの侵略攻撃にさらされない限り、使用されることは決してない」とMakdissi報道官は語った。





2003年のイラクのときは、「イラクが大量破壊兵器を保有している」という情報だけでアメリカはイラク攻撃を開始しました(ただし、戦後、イラクに大量破壊兵器が無かったことが発覚)

が、

シリアは自ら大量破壊兵器を持っていると認めている
ようです。




シリア情勢、シリア同盟国であるイランの切迫しつつある状況と絡めて、かなり微妙な状況となりつつあるようです。







さて、本題です。

当ブログでも何回か出ているローレンス・サマーズ元米国財務長官/元ハーバード大学学長

が興味深いコラムをロイターに書いています。


但し、今回は日本語です。

いやあ、日本語だと本当に楽です。
余談ですが、前回までの3回のエントリーは英語記事の翻訳ばかりでしたが、それぞれ4~5時間はかかっています^^;。






コラム:「小さな政府」論議は希望的観測=サマーズ氏
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE87K02T20120821
ロイター  2012年 08月 21日


ローレンス・H・サマーズ

米共和党が大統領選の副大統領候補にポール・ライアン下院予算委員長を選んだことで、米経済に占める政府支出の規模や範囲が今回の大統領選で大きな争点となることが明白になった。

過去の歳出の「正常な」水準や「歳出」の中身をめぐっては両党の意見が分かれるだろう。しかし将来の連邦政府像について、経済全体に占める役割が過去よりも大きくならないことが実行可能かつ望ましいとの声が両党の間で広がっているのは確かだ。

だが不幸にも、こうした期待が現実のものとなる可能性は低い。米政府が金融危機前に保持していた機能を維持するためだけでも、経済全体に公的部門が占める割合を大幅に増やさなければならない。これにはいくつかの構造的理由がある。

第1に、高齢者に伝統的に提供してきたサービスの水準を引き下げる決断を政治家が下さない限り、人口構造の変化が連邦支出を大きく拡大させるだろう。社会保障、メディケア(高齢者向け公的医療保険)、メディケイド(低所得者向け公的医療保険)、その他の規模の小さいプログラムが米連邦政府予算に占める割合は約32%で、国内総生産(GDP)の約7.7%を占めている。こうしたプログラムは65歳以上の層を対象とした政策で、この層の労働年齢層に対する比率は、次世代に向けて1対4.6から1対2.7に上昇していくだろう。調整措置が講じられなければ、連邦支出の対GDP比が5.6%押し上げられることを意味している。

実際、米国民の健康状態や平均余命の改善に伴い、退職年齢の想定を上方修正するのが適切かもしれない。そうは言っても、平均余命が15年以内の層が人口に占める割合は、次世代にかけて34%増加すると見込まれており、歯止めにはならない見込みだ。

第2に、債務の累積と正常な金利水準への復帰によって、政府支出に占める利払い費の割合は上昇するだろう。金融危機前の2007年、米国民が保有する連邦債務は対GDP比36.3%だった。NCFRR(ナショナル・コミッション・オン・フィスカル・リスポンシビリティー・アンド・リフォーム=シンプソン・ボウルズ委員会)などの提言が実施されるという前提に立った極めて楽観的見方では、国民の保有する純債務は2020年までにGDP比65%にほぼ倍増すると見込まれている。これは連邦政府の利払い支出が2007年のGDP比1.7%から2020年にはGDP比3.2%に拡大することを意味している。

第3に、民間部門の購買価格の上昇率と比較した連邦政府コストの上昇が、経済に対する政府の関与コストをいや応なく増加させていくだろう。1980年代前半以降、入院治療費と高等教育費は乗用車や衣服の価格と比べて5倍上昇しており、テレビ価格と比べると100倍以上の上昇になっている。

同様に、最先端の科学的研究から銀行規制まで、複雑化に伴って政府のコストは米国全体のインフレ率よりも急速なペースで上昇している。こうした傾向はグローバル化と技術の長期にわたる発展を反映したものだ。もし政府が同じ水準の行政サービスを提供し続ければ、経済に対する政府支出の割合は少なくともGDP比3%拡大せざるを得ない。

第4に、赤字抑制に用いられてきたいくつかの方法は、そう遠くないうちに維持できないことが判明するだろう。連邦年金債務や連邦政府のインフラ整備の先送りがその例証だ。

一方、納税申告(監査後)に着実な減少傾向が見受けられ、税制違反が増えている兆候もあり、歳出削減が持続不可能なことを映し出している。そして国家の責任に関して言えば、ここ数年顕著になっている不平等の拡大が政府の活動の活発化を招くというのがほぼ妥当な見方と言えるだろう。これらの要因はすべて、連邦予算に今後かかる圧力が増していく可能性が高いことを示唆している。

連邦支出を減らせるかもしれない方法もある。現在GDP比4.7%を占める国防支出は大幅に削減できる可能性がある。4.7%は過去40年間の平均水準だ。だが一方で、ペンタゴンの予算を劇的に削減できると自信を持って言える根拠もほとんどない。

一部の分野では、テクノロジーが政府のコストを大幅に削減することが可能だろう。しかし、連邦予算の圧倒的大部分はキャッシュもしくは現金移転が絡んでいることを認識することが重要だ。こうした部分は、物やサービスの生産に関与する分野に比べ、生産性の向上を目的としたテクノロジーの恩恵を受けにくい。旧態依然の、あるいは重複したプログラムを削減する余地はあるが、無駄や不正、乱用を見つけようとする取り組みでひねりだせる節減分は常にごくわずかにとどまっている。

今後3カ月間、米国では大きな政府と小さな政府のメリットが論議されるだろう。しかし今後30年間、連邦政府が長く担ってきた機能を大幅に縮小しない限り、米国は経済の大きな構造変化が経済全体に占める公的部門の割合の拡大を余儀なくさせるという現実に立ち向かっていかねばならない。政府が迫りくる圧力に対していかに最善の準備をできるか、経済を損なうことなく、いかに多くの歳入を駆り集められるかが、次世代にとっての大きな経済上の課題だろう。




さて、上記コラムに登場している
共和党の副大統領候補となったポール・ライアン下院予算委員長
ですが、

英語のWikipediaによると、財政に関しては

described as a "big-spending conservative."

「カネ遣いの荒い保守派」と評されているようです。これまで、ブッシュ減税や銀行救済、自動車会社救済に賛成票を投じたとのことです。

"If you know about Paul Ryan at all, you probably know him as a deficit hawk. But Ryan has voted to increase deficits and expand government spending too many times….

「もしあなたがポール・ライアンについて知っているとしたら、あなたは彼を財政赤字タカ派(ガチガチの緊縮財政派)として知っているのかもしれない。しかし、ライアンはあまりにも多数の赤字拡大や政府支出拡大につながる投票行動を取ってきた…」

とも評されているとか。


実は隠れ積極財政派かも知れませんが、下院の予算委員長として、共和党主導の大幅な緊縮財政法案を主導してきた立場ですし、共和党は緊縮財政派が多いわけですから、仮にロムニー陣営が勝利した場合、やはり緊縮財政政策を取る可能性が高いことになります。


その緊縮財政の影響に関する米議会予算局の分析については

【米議会予算局「デフレギャップが埋まるまで財政赤字を続けろ!」】 
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-480.html

をご参照ください。



さて、

サマーズ元財務長官の今回のロイターへの寄稿コラムは、2か月半前の

----
the real risk to this economy is on the side of slowdowns.
本当のリスクは、景気の減速

we’ve got to make sure that we don’t take the gasoline out of the tank at the end of this year. That’s got to be the top priority.
我々がすべきは、年末に “(経済の)ガソリンタンク”が底をつかないように保証することである。それが最優先事項だ。

---

というテレビでの発言ほどの強烈さは無いような気もしますが、元財務長官は今回も重要なことを言っていますね。

ソフトな言い方になっていますが、結局は今より大きな政府にならざるを得ないだろう、と。


「第1」の高齢化、長寿化の進展で政府が大きくならざるを得ない、というのは通に分かりやすい話です。

また、「第4」の「不平等の拡大が政府の活動の活発化を招く」とか、あるいは、インフラ整備の必要性増大によって政府の歳出規模が大きくならざるを得ない、というのも当然の話です。

今回のコラムでサマーズ氏は触れていませんでしたが、アメリカでは異常気象で公共工事、インフラ整備の必要性がいやが上にも高まっているという話は、先月、当ブログでニューヨークタイムズの記事を紹介するエントリーで書きました:


【米国、異常気象で公共工事推進論。自民の「国土強靭」を先祖返りと批判する民主前原氏には、アメリカにも「あんたらまで先祖返りかよ」と言って頂きたいと思う今日この頃】
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-526.html



そして、

今回のサマーズ氏のコラムで一番興味を惹かれたのが、これです:

---
最先端の科学的研究から銀行規制まで、複雑化に伴って政府のコストは米国全体のインフレ率よりも急速なペースで上昇している。こうした傾向はグローバル化と技術の長期にわたる発展を反映したものだ。もし政府が同じ水準の行政サービスを提供し続ければ、経済に対する政府支出の割合は少なくともGDP比3%拡大せざるを得ない。
---

特に、

「グローバル化と技術の長期にわたる発展」

を、政府規模の拡大をもたらしている原因として挙げているところです。


これは私も最近つくづく感じていたところなのですが、この点を非常に明快に示しているのを私が読んだのは、このサマーズ氏のコラムが初めてかも知れません。


私の解釈はこうです:

グローバル化→ 「リカードの比較優位論」で生産性、効率性が向上

技術の発展→ もちろんこれも、
生産性、効率性が向上

で、

これは、昔と比べて、同じだけの量のモノやサービスを生み出すのに必要な人員が少なくて済むことを意味します。

それはすなわち、雇用の減少、失業の増大をもたらします。


それゆえ、公的部門、政府の役割が今まで以上に重要になって来るわけです。



ここで、極端な例を考えましょう。

必要な労働を、ロボットが全部やってくれるとします。

例えば、自動車の製造なら、製造のみならず、原料の調達、配送、販売まで全部ロボットがやってくれます。

高齢者の介護サービスも、全部、ロボットです。農産物の生産から配達、調理まで、全部ロボット。

外科手術も、薬の処方も全部、ロボットです。

そのロボットの製造も保守修繕も全部、ロボットがやってくれるとしましょう。

人間がやることと言えば、遊ぶことだけ、という世界です。

毎日、人間はすべて、貴族のように蹴鞠や曲水の宴をやっていれば良いという社会です。

ある意味では、全員、失業者ですが、ここで政府がすべき役割は何でしょう?

ほぼ無限と言える富の適正配分だけになるでしょうが、その観点からすると、政府の役割は非常に大きい、ということになります。世の中のほぼ100%は政府部門という具合になるでしょう。


ただし、現在は、世界史上最高の豊かさの中にあるとは言え、そんな究極の状態とは程遠い状態です。

だから、
政府は余剰労働力となっている人々に単なる施し(失業給付など)をすれば良い、ということにはまったくならず、その余剰労働力となっている人々を「活用」し、現在必要であること、または、将来への備えとなることを行うようでなくてはなりません。

つまりは、リスクが増大しつつある自然災害への対応であったり、教育部門の拡充であったり、更なる技術革新の促進であったり、そういった分野への投資を増大させて、そこに余剰労働力の人々を誘導し、しっかり活用するようでなくてはならないのです。

これは旧来型の社会主義(与えるだけの福祉)でも、本来的な資本主義(政府は一切何もすべきでなはい)でも不可能事であり、その両方の良いところをミックスした「第三の道」の発想でのみ達成可能であると言えます(そのあたりの詳細は、《「国の借金」新常識》をご参照ください)



この観点から考えますと、

失業者=余剰労働力=国家の財産=国の宝

と考えることができます。










 失業者=余剰労働力とは

 
史上最高水準の生産性と

 効率性の高まりによって

 新たに生まれた
国の宝である。


 政府の役割は、

 政府の支出を増加させ、

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537:イラン攻撃、10月までに?:イスラエル諜報機関の元トップが示唆。日本にも重大な影響の可能性。野田政権、この深刻事態を乗り切れるか??

2012/08/20 (Mon) 13:54
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しばらく取り上げていなかったイラン-イスラエル情勢、いろいろな動きがありました。

ロシアの政府系報道機関、RT.comの記事を中心に紹介します:




New US report on Iran nukes 'makes issue urgent'
アメリカ政府報告書:「イランの核開発、緊急事態」
http://rt.com/news/intelligence-report-iran-us-294/
RT.com 09 August

Time is running out to contain the Iranian threat, Israel’s defense minister has warned. Israel is raising the alarm following a new US National Intelligence Estimate which says Tehran has made significant strides towards joining the nuclear club.
イランの脅威を封じ込めるための期限は迫りつつある、とイスラエル国防大臣が警告している。
米国の新しい「国家情報評価国家情報会議 NIC: National Intelligence Council 作成の報告書)がイランの核兵器クラブ参加に向けた核開発が重大な進展を遂げていると言っていることを受け、イスラエルは警戒レベルを引き上げている。

­US President Barrack Obama was supposed to have received the latest National Intelligence Estimate (NIE) weeks ago, but it was delayed in order to include “new and alarming intelligence information” concerning the military nature of Iran’s nuclear program, Haaretz reports. The report’s conclusions are said to converge with those of the Israeli intelligence community.
バラク・オバマ米大統領は、最新の「国家情報評価」を数週間前に受け取るはずであったが、イラン核開発計画の軍事状態に関する「新しい、警戒すべき情報」を追加するために予定が遅れた、とHaaretz は報道している。
その報告書は、イスラエル情報機関と同様の結論となっていると言われている。





Haaretz は以前も出てきましたが、イスラエルの左派系新聞です。


なお、Haaretz 紙はオバマ大統領は、予定より遅れたが、その報告書を受け取った、と報じています。


では、RT記事の続きです:




The NIE reportedly concluded that Iranian efforts to develop a nuclear capability had made considerably greater progress than initially thought.
その「国家情報評価」は、「イランの核開発努力が当初の想定よりもかなり重大な進展を遂げていると結論付けている」、とされている。

Israel’s defense minister, Ehud Barak, said he was aware of an unspecified intelligence report circulating in Washington whose conclusions converged with Israel’s own assessment of Iran’s nuclear intentions.
イスラエルのEhud Barak 国防大臣は、イランの核開発に関するイスラエル独自の評価と同様の結論となっている報告書がワシントンで出回っていることを承知していると語った。

There probably really is such an American intelligence report – I don't know if it is an NIE one – making its way around senior offices (in Washington)," Reuters cites Barak as telling Israel Radio.
それが「国家情報評価」の報告書かどうかは知らないが、実際に、そのようなアメリカの情報機関報告書が、(ワシントンの)高官の間で回覧されているようだ、とロイターがBarak 国防大臣のイスラエル・ラジオでの発言を引用している。

"As far as we know it brings the American assessment much closer to ours … it makes the Iranian issue even more urgent and (shows it is) less clear and certain that we will know everything in time about their steady progress toward military nuclear capability," he continued.
「我々の知る限り、その報告書はアメリカの評価を我々の評価に近づけている…。その報告書はイラン問題を、さらに緊急性の高いものとし、イラン問題の見通しをより暗くし、また、我々が早晩、イランの核兵器開発への着実な進展についてすべてを知ることになるだろうことを確信させるものである」とBarak 国防大臣は続けた。

When asked about a comment made last week by former Mossad chief Ephraim Halevy, who said “if I were an Iranian, I would be very worried in the next twelve weeks,” Barak did not flinch.
モサド(イスラエルの諜報機関の一つ)のEphraim Halevy 元長官の「我々がイラン人だったら、私は今後12週間について非常に警戒するだろう」という発言に対するコメントを求められたとき、Barak 国防大臣がたじろぐことは無かった。

"There is some basis to what Halevy said." We will soon have to make some difficult decisions”, he warned.
「Halevy 元長官の発言には多少の根拠はある。我々は間もなく、いくつかの難しい決断をすることになるだろう」と彼は警告した。

"All the options are still on the table, and when we say this, we mean it," he continued.
「すべての選択肢がテーブルに乗っており、我々がこれというときは、それを意味している」と彼は続けた。

White House spokesman Tommy Vietor said he was “not going to comment on intelligence matters" after being questioned about the NIE findings.
Tommy Vietor ホワイトハウス報道官は、「国家情報評価」の調査結果について質問されたとき、「私は諜報問題についてコメントしない」と語った。

Israel has been steadfast in its assertion that it will launch a pre-emptive military strike against Iran’s nuclear program. While the United States maintains it will do everything within its power to stop the Islamic Republic from developing a nuclear weapon, Washington has urged Israel to give the sanctions regime against Iran more time to take effect.
イスラエルは、イランの核開発に対する先制攻撃の主張について、断固とした態度を貫いてきた。一方、米国はイランの核開発を阻止すべく、米国の力の及ぶ限りあらゆることをするという姿勢を維持し、ワシントンは、イスラエルに、イランに対する(経済)制裁が効果を発揮するまでもっと時間を与えるように促してきた。

However, signs that Israel is losing patience became apparent during a meeting between Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu and the US defense secretary, Leon Panetta, last week.
しかし先週、ベンジャミン・ネタニヤフ イスラエル首相とレオン・パネッタ米国防長官の会見している間に、イスラエルが我慢の限界に達しつつある兆候が明らかになっていた。

“Right now the Iranian regime believes that the international community does not have the will to stop its nuclear program,” he said “This must change, and it must change quickly because time to resolve this issue peacefully is running out.”
「現在、イラン政権は国際社会がイランの核開発を止める意思がないと信じている。これは変えなければならないし、すぐに変えなければならない。なぜならこの問題の平和的解決の期限が迫りつつあるからだ」とネタニヤフ首相は言った。

“Neither sanctions nor diplomacy has yet had any impact on Iran's nuclear weapons program,” Netanyahu continued.
「(経済)制裁や外交は、イランの核兵器開発に何らの影響も与えていない」とネタニヤフ首相は続けた。

While Panetta maintained that the US would keep all options on the table, whether the latest NIE report indicates the US is leaning towards a military solution remains to be seen.
一方、最新の「国家情報評価」が、米国が軍事的解決に傾きつつあることを示しているにも関わらず、パネッタ国防長官は、「米国がすべての選択肢をテーブルに乗せ続ける姿勢」を維持ししている。

The NIE is an “estimative” product compiled by 16 US intelligence agencies intended to inform the US president and other top government officials on the likely course of future events.
「国家情報評価」は、米国の16の情報当局によって、合衆国大統領や政府幹部に、将来の出来事がたどるであろう、あり得る推移について知らせる目的で編さんされる「評価」物である。

A 2007 NIE report on Iran actually derailed Israeli efforts to rally the international community against Tehran after it found the country had suspended its nuclear weapons program in 2003 and had made no efforts to bring it back online.
2007年のイランに関する「国家情報評価」報告書は、イランが2003年の核兵器開発計画を中止し、イランが計画を再開する努力を一切していないとの分析結果であった。それはイスラエルの、イランに対する国際社会への働きかけを遅らせることとなった。


However, the latest NIE findings could mirror a US military source who claimed the US and Israel had already drawn up war plans against Iran.
しかしながら、最新の「国家情報評価」報告書の分析結果は、米国とイスラエルがすでに対イラン戦争の計画を作り上げているという、ある米軍情報源の主張を反映するものであるかも知れない。





ちなみに、2007年の「国家情報評価」報告書というのが、

アメリカの退役軍人の政治団体

Reserve Officers Association of the United States

のホームページに上げられています:



Iran: Nuclear Intentions and Capabilities
イラン:核開発の意図と能力
http://www.roa.org/site/DocServer/20071203_NIE_release.pdf?docID=5341
National Intelligence Council   November 2007

その中身は↓こんな感じです

• We assess with high confidence that until fall 2003, Iranian military entities were working under government direction to develop nuclear weapons.
 我々は、高い確信を持って、2003年秋まで、イラン軍部が政府方針の下で
 核兵器開発を行っていたと評価する。


• We judge with high confidence that the halt lasted at least several years. (Because of intelligence gaps discussed elsewhere in this Estimate, however, DOE and the NIC assess with only moderate confidence that the halt to those activities represents a halt to Iran's entire nuclear weapons program.)
 我々は、高い確信を持って、その中断が数年間続いていると判断する
 (しかしながら、
  この「国家情報評価」の他の箇所において情報の食い違いが議論されているため、
  エネルギー省と国家情報会議は、
  これらの活動の中断がイランの核兵器開発全体の中断を意味しているかどうかに
  ついて、中程度の確信しか持っていない)

• We assess with moderate confidence Tehran had not restarted its nuclear weapons program as of mid-2007, but we do not know whether it currently intends to develop nuclear weapons.
 我々は、中程度の確信を持って、
 2007年半ば現在、イランが核兵器開発を再開していないと評価する。
 ただし、我々はイランが核兵器開発の意思を現在持っているかどうかは
 分からない。



この
過去の「国家情報評価」報告書がイスラエルの政府方針を左右し、イスラエルのイランに対する態度を軟化することになっていた、というわけですね。

逆に言うと、
今回の新しい「国家情報評価」報告書によって、イスラエルの方針が変化する可能性、もまた大きいということになります(イスラエル方針の変化、というよりは後押しですが)。





※なお、新しいほうの「国家情報評価」報告書はまだ一般公開されていないようです。よって、PDFも見つかりませんでした。





ところで、上記の8月9日のRT記事で、イスラエルのモサドの元長官による

これからの12週間にイスラエルがイランを攻撃する可能性が極めて高い

ことをほのめかす発言を紹介していました。

ちなみにこれはニューヨークタイムズが8月2日に報道したようです(イスラエルHaaretz紙参照)


Former Mossad chief: Iran should be very fearful over next 12 weeks
前モサド長官:イランは次の12週間を非常に恐れるべきだろう

http://www.haaretz.com/news/diplomacy-defense/former-mossad-chief-iran-should-be-very-fearful-over-next-12-weeks-1.455533
Haaretz   Aug.02, 2012


ということは、対イラン戦は、8月から10月にかけて行われる可能性がかなり高い、ということになります。




そしてHaaretz紙の8月11日記事によると、あるイスラエル高官が


if Mitt Romney is elected, history shows that presidents do not undertake dramatic operations in their first year in office unless forced to.
もしロムニー氏が大統領に選ばれた場合、強制されるようなことがない限り、大統領が最初の年に劇的な軍事行動を起こすことがないことを、歴史は示している。


と発言していることを報じています。



これを受けてRTの8月15日記事

Another consideration is the November US presidential election: Israeli officials would rather strike sooner, with Barack Obama in office, than risk the unknowns of a Mitt Romney administration.
もう一つの考慮すべきことがらは、11月の米大統領選である。イスラエル高官らは、よく分からないミット・ロムニー政権でリスクを取るよりも、バラク・オバマ大統領在任中に攻撃するほうを選ぶだろう。

と書いています。

また、同RT記事

The current instability in Syria, Iran’s biggest regional ally, lends credence to the theory that Israel’s best opportunity to strike may be imminent.
イランの最大の地域的同盟国、シリアの現在の不安定な状況は、イスラエルにとっての最大の攻撃機会が切迫しているかもしれない、という理論に信頼性を与えている。

とも書いています。なお、これらは、ロシア政府系報道機関であるRTの見方です。



さて、この8月15日のRT記事の冒頭を紹介しておきます。


Israel to strike Iran as window of opportunity narrows?
イスラエル、機会が狭まることによりイランを攻撃するか?

http://rt.com/news/israel-strike-iran-nuclear-739/
15 August, 2012

Tensions between Iran and Israel continue to escalate amid reports over the past week that Tel Aviv has drawn up plans for a strike against Iran’s nuclear facilities before the US presidential election in November.
先週、イスラエルが11月の米大統領選の前にイラン核施設を攻撃する計画を立てているという報道があり、イランとイスラエルの間の緊張がエスカレートし続けている。

­Israeli Defense Minister Ehud Barak and the country’s new ambassador to China, Matan Vilnai, recently discussed precise estimates of Israeli casualties, and the timeframe of a possible war with Iran. A hypothetical war with Iran would probably last a month, and include about 500 estimated Israeli casualties from Iranian missile strikes, Vilnai told Israeli newspaper Maariv on Wednesday.
イスラエルのEhud Barak国防大臣と、同国の新任駐中国大使Matan Vilnai氏が、最近、イスラエルの死傷者数とイランとの戦争の概算期間についての精密な推計を議論した。
想定されるイランとの戦争は、恐らく一か月の間続き、イランのミサイル攻撃によるイスラエル人の死傷者は約500人にとなるであろうとVilnai駐中国大使が水曜日、イスラエルのMaariv紙に語った。


Though Israel has repeatedly threatened preemptive strikes against Iran over the country’s controversial nuclear program, this latest round of saber-rattling is taking place under slightly different circumstances.
イスラエルは問題になっているイランの核開発計画のためにイランを先制攻撃すると繰り返し警告しているが、この最新の軍事的威嚇は、少し違った環境下で行われている。

(以下略)

※少し違った環境というのは、一つは先述の米国「国家情報評価」報告書の件、もう一つがイスラエル高官による米大統領選に対する見方を指すようです





イスラエルの政権当局者にとって、イランとの戦争はもはや、完全に当然のことという認識になっているようです。


そして、

イランはイランで準備をちゃくちゃくと進めているようです…


Pinpoint precision: Iran test-fires upgraded ballistic missile
ピンポイント高精度:イランが改良した弾道ミサイルを試射

http://rt.com/news/iran-upgraded-ballistic-missile-precision-888/
RT.com    05 August, 2012





まあ、このミサイルは射程距離300kmということで、イスラエルには届きませんが、動画があったのでご紹介。テヘランタイムズによると、命中精度の極めて高い、対地、対艦ミサイルなのだそうです。


一方、イスラエルは↑イランの新型ミサイルの発表の次の日に


Israel upgrades missile shield over Iran, Syria fears
イスラエル、ミサイル防衛システムを更新。イラン、シリアからの脅威に対して

http://rt.com/news/israel-missile-defence-upgrade-892/
RT.com 05 August, 2012

と発表しています。


そして、

イランのアフマディネジャド大統領もこれまたやる気満々です。


Attack on Iran will bring destruction of Israel – Ahmadinejad
アフマディネジャド大統領「イランへの攻撃はイスラエルを破滅させるであろう」

http://rt.com/news/iran-israel-hezbollah-statements-986/
RT.com 18 August, 2012


Tehran and Iran-backed Lebanese group Hezbollah warn of cataclysmic retaliation against an Israeli attack, threatening to make the country “a living hell.” The statements come amidst reports of that Israel is preparing a unilateral strike on Iran.
イランとイランの支援を受けているレバノンのヒズボラは、イスラエルの攻撃があれば破壊的な報復を行い、イスラエルを「生き地獄にしてやる」と警告している。この声明は、イスラエルがイランへの先制攻撃を準備していると報道される中で発表された。

­Hezbollah leader Hassan Nasrallah said his party had already fixed targets in Israel and would be able to hit them with a small number of rockets if Tel Aviv decides to attack first.
ヒズボラのリーダー、Hassan Nasrallah氏は、ヒズボラがイスラエル国内の攻撃目標を明確に決めており、イスラエルが先に攻撃すれば、少数のミサイルでそれを攻撃することができると言った。

“If we are forced to use them to protect our people and our country, we will not hesitate to do so… and that will turn the lives of hundreds of thousands of Zionists into a living hell,” Nasrallah warned in a speech on Quds Day, an annual event to show solidarity with Palestinians under occupation using the Arabic name for Jerusalem.
「もし我々が、我々の国民、我々の国を守るためにしかたなく攻撃を行わなければならないなら、我々はためらわず攻撃するだろう…そして、何十万というシオニストたちを生き地獄に陥れることになるだろう」とヒズボラのリーダーNasrallah氏はエルサレムのアラビア名を冠した、パレスチナ人の連帯を示すための記念日Quds Dayに行ったスピーチで警告した。



Israeli military leaders have been signaling that they may attack the Lebanese group's militant factions in the near future if rocket strikes against Israeli targets continue.
イスラエル軍幹部らは、イスラエルへのミサイル攻撃が続くなら、近い将来、レバノンの軍事組織(ヒズボラ)を攻撃するであろうことをほのめかしている。

“If we get to another war, Israel will hit Hezbollah decisively, quickly, as fast as we can in order to stop the fire from Lebanon,” Brig. General Herzi Halevi, the commander of the Israeli Defense Forces' northern division, said last month, also warning that South Lebanese towns used by Hezbollah as launching pads would be “destroyed.”
「我々がもう一つの戦争を行うに至るならば、レバノンからの攻撃をとめるために、イスラエルはヒズボラを徹底的に、即座に、我々が可能な限り素早く、攻撃するだろう」とイスラエル国防軍の北部方面司令官Herzi Halevi准将は先月語り、ヒズボラの攻撃拠点となっている南レバノンの街も破壊されるだろうとも警告した。

The leader’s diatribe against Israel was not dissimilar to a speech given by Iranian President Mahmoud Ahmadinejad on Friday.
金曜日にイランのマフムード・アフマディネジャド大統領が行った演説は、ヒズボラのリーダーによる痛烈なるイスラエル非難演説に似ていた。

“The Zionist regime and the Zionists are a cancerous tumor,” he declared in remarks at Tehran University. “The nations of the region will soon finish off the usurper Zionists in the Palestinian land.”
「シオニスト政権とシオニストたちは、悪性腫瘍である。この地域の諸国民は間もなく、シオニストたちによるパレスチナの地の横領を終焉させることになるだろう」と、テヘラン大学での声明において彼は宣言した。






ペルシャ湾は日本海、東シナ海とは比べものにならないくらい熱くなっているようです。

そして、

このペルシャ湾が沸騰すれば、日本にも重大な影響が出る可能性はこれまで指摘した通りです。


イスラエル当局者の推計によればイランとの戦争が始まれば1ヵ月程度は続くとのことですから、

石油と違い、法定備蓄制度が無く、備蓄が3週間分程度しかない天然ガスへの依存度の高い日本の電力事情はかなり深刻な影響を受ける可能性があります。

また、
中東有事ともなれば、東シナ海が今以上にずっと騒がしくなる可能性も、これまた高くなるでしょう。






 野田閣下、

 ただでさえ頭の痛い

 竹島、尖閣問題の深刻化だけでなく

 10月までに中東で戦争になりそうです。

 こんな重大で深刻な局面になった場合、

 乗り切る自信はお有りでしょうか?


 もし無いなら、とっとと解散総選挙しましょう♪



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536:続・竹島:欧米メディアの伝え方 米国防総省の研究機関員の「日韓関係悪化で米軍の世界再編遅滞の危険性、中国の出方懸念」という見方を、米国営放送が報道

2012/08/16 (Thu) 01:01
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今回も前回に引き続き、韓国大統領の発言に関する欧米メディアの伝え方について。


2回もやるつもりはなかったのですが、さすがに↓これを聞いてしまうと…





韓国大統領、天皇訪韓「心から謝罪するなら」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1405T_U2A810C1FF1000/
日本経済新聞 2012/8/14

韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は14日、日本との間でかねて懸案になっている天皇陛下の訪韓に関し「訪問したいのであれば、(日本の植民地支配からの)独立運動で亡くなった方々を訪ねて心から謝罪するのならよい」と述べた。韓国・忠清北道で開かれた教師らの勉強会で発言した。

李氏を含め歴代の韓国大統領は訪韓を要請してきた立場だが、天皇陛下による明確な謝罪を条件とする考えを韓国側が示したのは初めてとみられる。日本の反発は必至で、今後の日韓関係にも影響を及ぼしそうだ。

李大統領は10日に竹島(韓国名・独島=トクト)を訪問。15日の日本の植民地支配からの解放記念日を前に、従軍慰安婦問題を巡り対立する日本への反発姿勢を重ねて示した。世論がまとまりやすい日本との歴史問題をとりあげ、低迷する支持率回復につなげる思惑もあるとみられる。

天皇陛下の訪韓は具体的な計画が進行しているわけではないが、李大統領は「痛惜の念という単語ひとつで訪ねてくるなら(訪韓は)必要ない」とも明言した。

自身の竹島訪問に関しては「2、3年前から考えていたことで、深い配慮をし副作用を検討した」と説明。さらに日本の植民地支配を念頭に「日本が加害者と被害者の立場をよく理解できていないので諭そうとしている」と語り、最近の一連の対日強硬姿勢は歴史問題に対する日本の取り組みへの不満の表明であるとの立場を改めて明確にした。





自分から天皇陛下の訪問を要請していたのを忘れて

「訪問したいなら謝罪しろ」

とか

「痛惜の念という単語ひとつで訪ねてくるなら(訪韓は)必要ない」

とか、

なんということでしょうか。




しかし、以前書きましたような、

「特定の政治家の出現は一人一人の国民の心的エネルギーのベクトルの総和を反映したもの」

という考え方を導入すると、これは大統領閣下個人の、というよりは、韓国国民の全体的な気分の反映と見たほうがしっくり来るかもしれません。

というのも、大統領閣下の発言は、
これで国民への人気取りができる」と思ってのことでしょうから。


ということで、

この件に関する欧米メディアの報道です。



まずフランス政府系メディアであるAFPの記事(といっても名前から察するに日本人記者が書いたもののようですが):

Japan 'mulls summit stop' as S. Korea rhetoric hardens
日本、韓国の言葉遣いの硬化に伴い、「(韓国との2国間)首脳会談中止を検討」
http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5gJI8cG9sahz9uZp3oEwWWzGHMJoQ?docId=CNG.62d7516886b47ee7a93246810b47eaf1.3e1

By Kyoko Hasegawa (AFP) 14 August 2012



Lee's trip to the islands in the Sea of Japan (East Sea) provoked a furious response, with Tokyo recalling its ambassador from Seoul.
李大統領の日本海(東海)のその島々への訪問は、猛反発を引き起こし、日本政府は在韓大使を呼び戻した。





AFPは相変わらず「日本海(東海)」と書いてますね。






South Korea on Tuesday said two Japanese cabinet ministers who have announced their intention to go to the Yasukuni shrine, a spot that honours Japan's war dead, should stay away.
韓国は火曜日、日本の戦没者を祭る靖国神社に参拝することを発表している日本の二人の閣僚について、参拝しないように要請した。

"The (Seoul) government holds strongly to a position that Japanese authorities including cabinet ministers must not pay respects at the Yasukuni shrine," said Seoul foreign ministry spokesman Cho Tai-Young.
「韓国政府は、閣僚二人を含む日本の当局者は、靖国神社において敬意を払う行為をすべきではないという姿勢を強力に保持している」と韓国外務省スポークスマンのCho Tai-Young氏は言った。




この時点でかなり無礼千万な韓国外務省スポークスマンの発言ですが、英語で読むと余計にイラッと来るのは私だけでしょうか?






The two ministers have said they plan to visit the shrine Wednesday, the anniversary of Japan's World War II surrender.
二人の閣僚は水曜日に靖国神社に参拝する予定だとしている。その日は日本の第二次大戦の降伏記念日だ。




英語では「終戦記念日」は「降伏記念日」なのか…。これに関して、これ以上はノーコメントにしておきます。




South Korea marks the date as Liberation Day, the anniversary of the end of Japan's harsh colonial rule over Korea from 1910 to 1945.
韓国はその日付を1910年から1945年の、日本の韓国に対する過酷な植民地支配の終焉の記念日、解放記念日としている。




前回はbrutal残忍な だっただけに、今回の harsh過酷な はまだマシ?

これが本国民待遇で本国の国会の参政権・被参政権まで与えていた日本ではなく、ロシアによる支配だったらどんな形容詞が付くんでしょう?

もしくは、清国への朝貢国時代と比べてどうだったのか。清国の科挙試験に韓国の国民が参加させてもらえていたとでもいうのでしょうか?

当時の内地における6大都市のひとつであった神戸にすら無かった帝大がソウルには設置されたことも「過酷な支配」の一要素だったのでしょうか?





President Lee meanwhile ramped up his anti-Japan rhetoric, saying Emperor Akihito would have to sincerely apologise for past excesses should he wish to go to South Korea.
李大統領は、彼の反日誇大表現を強化させ、天皇が韓国に来たいのなら、過去の不行跡について誠意を持って謝罪すべきであると語った。

"If (Japan's emperor) wishes to visit South Korea, I wish he would visit and sincerely apologise for those who passed away while fighting for independence," the South Korean leader said during a meeting with teachers.
「訪問したいのであれば、(日本の植民地支配からの)独立運動で亡くなった方々を訪ねて心から謝罪するのならよい」と韓国の指導者は教師たちとの会合で語った。

"If he is going to visit with a term such as 'regret', there would be no need for him to come," Lee said, according to a report on the presidential website.
大統領府ウェブサイトのレポートによれば、大統領は「『痛惜の念』という単語ひとつで訪ねてくるなら、来る必要はない」と語った。

It was unclear if there had been any recent discussions about such a visit by the emperor.
天皇陛下によるそのような訪問について、最近なにかしらの議論があったかどうか定かではない。

Japan has been working to improve ties with South Korea and had previously seen Lee as a pragmatic politician who could talk about the future of the two countries without getting hung up on the bitter legacy of the past.
日本は韓国との関係改善に努力してきており、これまでは李大統領を、過去の苦い経緯にとらわれることなく、両国間の将来について語り合うことができる、現実主義的な政治家と見ていた。

But ties have taken a dramatic turn for the worse in recent months.
しかし、過去数か月でその関係は劇的に悪化した。

In June, Lee's administration had been set to sign a landmark agreement to share sensitive information with Japan, in what would have been the first military accord between the two countries since 1945.
6月には、李政権は、1945年以降、両国間で初めての軍事協定であるところの、日本と機密情報を共有するための、画期的な協定に署名するよう準備していた。

But South Korea postponed the signing at the last minute, with both the ruling party and opposition parties concerned about public opposition.
しかし、韓国は、大衆からの反対を懸念した与党および野党の両方の反対により、直前になってその署名を延期した。





この大統領閣下のトンデモ発言は、側近や実兄の相次ぐ逮捕という現実に従わなければならない、という意味で「現実主義的」なのかも知れません。

あるいは、現実逃避というべきでしょうか。



次に、

ウォール・ストリート・ジャーナル。

記事を書いたのは中国人(香港)のようです。


Tokyo Faces Fresh Tensions Over Disputed Territories
日本、新たなる領土紛争に直面
Island Territories Off Nation's Coast Are Challenged Anew by South Korea, Russia and China
韓国、ロシア、中国によって新たに突きつけられた島嶼領土問題

http://online.wsj.com/article/SB10000872396390444318104577588791284405330.html
The Wall Street Journal August 14, 2012

Tokyo is facing escalating tensions on three fronts, as South Korea, Russia and China make fresh challenges to claims over island territories off the shores of Japan.
日本は、韓国、ロシア、中国によって、日本の沿海から離れた島嶼領土問題を新たに突きつけられ、3正面の高まる緊張に直面している。



By invoking Japan's emperor in the discussion, Mr. Lee may have complicated his aides' efforts to lower the temperature between the two countries.
日本の天皇についての議論を引き起こすことによって、李大統領は彼の側近による両国関係の熱を冷ます努力を悪化させてしまったかもしれない。




とした上で、AFPと同様、6月の機密情報共有協定の署名延期によって緊張が高まったと説明し、




No visit by Japan's emperor to South Korea has been discussed, officials in both countries said. "We don't know how to interpret Mr. Lee's statement," a spokesman at Japan's foreign ministry said.
日本の天皇による韓国訪問は議論されたことがないと両国の高官は語っている。日本外務省のスポークスマンは、「我々は李大統領の発言をどう判断したらよいか分からない」と話した。




要するに、大統領の「天皇が韓国訪問するなら謝罪せよ」発言は支離滅裂な発言だ、というニュアンスです。


ただ、WSJ記事が「側近の両国間の熱を冷ます努力」としているその側近の努力というのが、ちょっとアレです。




Since Friday, the aides have taken to local media to express their view that the islets' possession isn't in question and that Japan shouldn't be upset by his visit to South Korea's sovereign territory, the first ever by a Korean president.
金曜日以降、側近たちは精力的に地元メディアを通じて、その小島の所有は、議論の余地がないものであり、韓国大統領が韓国の領土を韓国大統領として初めて訪問したからといって
、日本は動転すべきではない、という見解を表明している。




その李大統領の側近たちの「努力」は、問題の鎮静化ではなく、問題の火に油を注いでいるだけだと思いますが…




最後に、

アメリカの国営放送、
ボイス・オブ・アメリカVoice of Americaの記事です。
ただ、こちらは「天皇が韓国訪問するなら謝罪せよ」発言には触れられていませんが、いかにもアメリカらしい、軍事的な視点からの記事です。




Japan-S. Korea Dispute Jeopardizes US Asia Plans
日韓の紛争は、合衆国のアジア計画を危機にさらしている
http://www.voanews.com/content/south-korea-japan-dispute-could-affect-us-plans-for-asia/1485750.html
Voice of America August 14, 2012


Analysts say a worsening territorial dispute between Japan and South Korea could jeopardize U.S. policy in the Asia-Pacific region.
アナリストたちは、日韓の領土紛争の悪化が合衆国のアジア太平洋地域における政策を危険にさらす可能性があると言っている。



Seoul and Tokyo have long had rocky relations, due in part to anti-Japanese sentiment left over from Japan's harsh colonial rule of the Korean peninsula from 1910 to 1945.
1910年から1945年の、日本の朝鮮半島に対する過酷な植民地支配から来る反日感情などにより、韓国と日本は、長い間不安定な関係を続けてきた。




「日本の韓国に対する過酷な植民地支配」って、お前もか、ボイス・オブ・アメリカ!




State Department spokesperson Victoria Nuland on Monday encouraged South Korea and Japan to repair ties, but said Washington did not take sides in the dispute.
Victoria Nuland国務省広報官は月曜日、韓国と日本に関係修復を促したが、ワシントンはこの紛争に関してどちらの側にも立たないと言った。




いやいや、サンフランシスコ平和条約の内容くらい説明してくれても良いんじゃないかという気もします。大体、第二次世界大戦後、おたくの国が占領していた竹島について、日本に返還したか韓国に返還したかくらい、分かるでしょうに。もちろん、日本に返還したんですぜ、
Victoria Nuland国務省広報官殿!

まあ、ヘタにそんなことを言うと、韓国人が怒って米韓同盟破棄とかめんどくさいこと言い出すのが嫌なんでしょうけど…




David Fouse of the Hawaii-based Asia-Pacific Center for Security Studies says a lack of cooperation between the two key U.S. allies puts at risk a key element of the Obama administration's pivot toward Asia.
ハワイにあるアジア・太平洋安全保障研究所(廣宮注:米国防総省の学術的研究機関)のDavid Fouse氏は、合衆国の二つの重要な同盟国間の協力関係の欠落は、オバマ政権によるアジア重視路線の重要要素を危機にさらすと言っている。

"[Washington is] looking for all of our partners and allies to do a little more in terms of maintaining the global commons [natural resources] and sea lanes of communication, [and] contributing more to the regional security framework," Fouse stated. "And if our two partners aren't able to cooperate, I think it undermines that goal."
(ワシントンは)我々のすべてのパートナー国と同盟国に、国際的共通天然資源やシーレーン(海上交通路)の維持に関して、少しでももっと行動をすることや、地域安全保障の枠組みについてもっと貢献することを期待している」とFouse氏は述べた。
「もし我々の二つのパートナー国が協力関係を持つことができなければ、その目標の達成は損なわれるものと私は考える」


In June, South Korea postponed the signing of what would have been its first military accord with Japan since 1945. Security analyst Jonathan Blaxland of Australian National University says it was largely South Korean domestic opposition that led to the cancellation of the intelligence sharing agreement.
6月、韓国は1945年以降初となる日本との軍事協定の署名を延期した。オーストラリア国立大学の安全保障アナリスト、Jonathan Blaxland氏は、その軍事情報共有協定の中止は、大きくは韓国国内の反対によって導かれたという。

But Blaxland says that while the most recent dispute is a serious issue, it is likely to soon pass. "What we're seeing is a potentially significant and useful political distraction for President Lee at the moment, given problems with his brother and other connections with corruption allegations. So beating the nationalist can is actually a pretty convenient thing to do at the moment," he said.
しかし、最近の紛争は重大な問題であるが、遠からず立ち消えになりそうだとBlaxland 氏は言う。「我々が目にしているのは、兄弟やその他関係者の贈収賄事件という問題を抱えた李大統領にとって、重要で有用な政治的目くらましだ。だから国粋主義者として大騒ぎすることは、実際のところ今現在、非常に都合の良いことなのだ」と彼は言った。

He says the situation could also change following South Korean elections set for December in which President Lee is not eligible to run.
Blaxland 氏は、李大統領が出馬することが不適格となっている12月の韓国大統領選挙で、この状況が変わる可能性があるという。

But for now, the situation does not appear to be improving. Japanese media reports said Monday that Tokyo is considering suspending bilateral talks set for next month at a regional summit in Russia. Japan has also said it could take up the territorial dispute with the International Court of Justice.
しかし現在のところ、状況が改善する見込みはなさそうだ。日本のメディアは月曜日、日本政府が来月ロシアで行われるサミット会合で(韓国との)二国間会談の中止を検討していると報道した。また、日本は領土紛争を国際司法裁判所に持ち込む可能性について言及している。

Fouse points out that the one party that could benefit from ongoing tension between Seoul and Tokyo is China, which would welcome the scuttling of any security cooperation between the two.
Fouse氏(アジア・太平洋安全保障研究所)は、韓国と日本の間の緊張が続くことによって利益を得るのは中国だと指摘している。日韓の間のどのような安全保障協力も「自沈」することを歓迎するだろう、と。





アメリカとしては、対中国を主眼に置いた米軍のアジアへのシフトが遅れやしないかとやきもきしているようです。

その文脈の中で日韓の協力関係の強化や関係改善を望んでいる、ということですね。

でも、それは無理なんじゃないでしょうか?

少なくとも韓国国民がそれを決して望まないわけであり、大統領が変わっても、この反日感情自体は変わらなさそうです。


また、
アメリカが無理に日韓を仲良くさせようとすると、かえって事態が悪化しかねないでしょうから、アメリカは対日関係と対韓関係を個別に強化・改善する方向で動くのが現実的ではなかろうかと思われます。

一方、
アメリカには対中国のために米韓関係を非常に重視しなければならないという事情があるので、日本としては竹島問題でアメリカが何かしらの支援をしてくれることは全く期待できない、ということになります。

さらには本日、更新するころには「昨日」になっているかも知れませんが、香港の民間団体(といってもそのメンバーが純粋な民間人とは誰も信じないでしょう)が尖閣に上陸するという事件が起きました。




尖閣、香港活動家ら14人逮捕 不法上陸容疑などで
http://www.asahi.com/international/update/0815/TKY201208150350.html
朝日新聞 2012年8月15日




これって、中国による日本の出方を探るためのアクティブソナーなんじゃないでしょうか。



そして、以前から当ブログで書いてきましたが、イラン問題もさらに風雲急を告げそうな情報も出てきています(それについて、詳細はまた次回以降で)。


米軍再編のアジアシフトが、日本のオスプレイ配備問題や、ここにきて日韓関係の悪化でさらに遅滞しそうな気配のある中で、イラン有事勃発、となると、そのときの中国や北朝鮮の出方がどうなるか…


そういうことに留意する必要性が、今回の韓国大統領騒動で一段と高まったように思われます。





さて、この状況の中で、日本がこの韓国との竹島問題でどうあるべきかというと、

もちろん、軍事オプションは色々な意味であり得ません。上記のような具合で、中国が喜ぶだけです。

なので、出来る限り穏当な方法で、韓国大統領が国際的な評判を下げる中で、日本の株を上げ、国際世論を可能な限り味方に付け、有利な立場に立つことを当面の目標とするのが妥当ではないかと思います。

「日韓スワップ協定日本はFRBから直接1000億ドルのドル資金を借りる協定を持っているが、韓国はFRBとの協定が無いため、実質的には日本による一方的韓国支援協定)を即時破棄せよ」
という主張もありますが、

国際世論を味方に付けるという文脈で考えますと、これは国際司法裁判所への提訴をしたあとで、韓国が応じなかったときに、「平和的話し合いにすら応じない国への実質的経済援助を行うことは国民世論の観点からも実行不能である」という形で切るカードとして温存したほうが良いのではなかろうかと思います。

このような手続を踏みながら国際世論を上手に味方に付ける作戦のほうが、日本にとって有益であろうかと思う次第です。


あと、もう一つ、

AFPやボイス・オブ・アメリカの記事に、お決まり文句のように出てくる


Japan's harsh colonial rule of the Korean peninsula
日本の朝鮮半島に対する過酷な植民地支配


という言い回しについて、です。


"Japan's harsh colonial rule of the Korean peninsula" をグーグル検索したところ、私が見つけた中で一番古かったのが、12年前のBBCの北朝鮮による日本人拉致問題に関する記事でした。




N Korea and Japan to break ice
北朝鮮と日本、雪解けへ

http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/839561.stm
BBC 18 July, 2000





今回がちょうど良い機会なので、
日本政府は、この

Japan's harsh colonial rule of the Korean peninsula
日本の朝鮮半島に対する過酷な植民地支配

という言い方を国際的に改善する行動を取るべき
ではなかろうかと勘考致します。

「我々は、朝鮮半島の人々を本国人待遇で受け入れ、
 本国における選挙権・被選挙権を彼らと共有し、
 実際のところ朝鮮出身の衆院議員をも輩出した。

 あたかも、ローマの
カラカラ帝アントニヌス勅令によって
 すべての属州民にローマ市民権を付与したように。

 あなた方は、あなた方の旧植民地の人々と、
 当時そのような権利を共有していただろうか。

 あるいは、アントニヌス勅令がローマの衰退につながったように、
 我々の、朝鮮半島の人々との権利共有の選択が
 完全なる間違いであったとでもおっしゃるのだろうか?」


とでも言ってやれば良いんじゃないでしょうか。







さて、

以前のエントリーで、




これまでたくさんの国々が、「破綻」という否定的な結果を受けた後、逆に従来を圧倒的に凌駕する成長を成し遂げるという肯定的な結果を勝ち取って来ました。


ネガティブなものは、人類の歴史をつぶさに観察すると、ポジティブなエネルギーを生み出すための刺身のつまのような、触媒のようなものであることが分かります。




と書きましたが…





 実は、

 李明博大統領というネガティブな存在も

 日本が良くなるための

 刺身のつまのようなもの

 ではなかろうか?


 10年後、やはりそうであったと

 今のことを振り返れるようであって欲しい

 と思う、今日この頃



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535:竹島:米英仏公営放送の伝え方-米は「レームダック韓国大統領のパフォーマンス」説紹介、英は両国の主張正確に報道(ただし日本側主張が多め)、仏は「日本海(東海)」と表記

2012/08/13 (Mon) 22:52
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その他詳細な内容紹介:
1.“章別の内容紹介”→こちら
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今回の当ブログは、李明博韓国大統領の竹島上陸について、欧米でどう伝えられているか

「ここは!」と思える部分のみ抜粋してまとめてみます。







まず、アメリカ合衆国の国営放送であるボイス・オブ・アメリカ記事から。


South Korean President Visits Islets Disputed with Japan
韓国大統領、日本と紛争中の小島を訪問
http://www.voanews.com/content/south-korean-president-visits-islets-disputed-with-japan/1483744.html
Voice of America   Aug. 10, 2012



In Seoul, Lee’s ruling party applauded his visit to the rocks, calling it a meaningful move to defend South Korea’s territory.
ソウルでは李大統領の与党が彼の「岩」への訪問を称賛し、それを韓国の領土防衛にとって意味深い行動であるとした。

However the main opposition party responded by declaring that the trip was just a publicity stunt and was aimed at deflecting criticism of Lee’s administration.
しかしながら、有力野党はこの訪問を、人気取りの宣伝であり、 李政権への批判をかわすことを狙ったものに過ぎないと断じている。

President Lee’s approval rating is low as he nears the end of his single term in office next March. And some observers say his visit to the islet Friday is a win-win tactic that might boost his popularity.
李大統領の支持率は来年3月の任期満了が近づくにつれ低下しており、彼のその小島への訪問を人気を上昇させるための戦術であると言っている観察者(第三者)もいる。

“It's a perfect strategic move," said Jasper Kim heads the Asia-Pacific Global Research Group in Seoul. "For legacy, because he is in effect a lame duck president, he wants to be remembered at least as a patriotic president”
「これは完全に戦略的行動だ。事実上のレームダック大統領であるため、彼は、少なくとも愛国的大統領として記憶されたいと望んでいる」と、ソウルのthe Asia-Pacific Global Research Group代表のジャスパー・キム氏は言う。

Kim adds that President Lee might also hope that this trip will help South Koreans forget about a bribery scandal involving his brother.
李大統領は、今回の訪問で、彼の兄が関与している贈収賄スキャンダルについて、韓国民が忘れてくれることをも望んでいるのかもしれない、キム氏は付け加えた。




しつこいようですが、以上はアメリカの国営放送の記事です。
そして、韓国人による自国大統領批判の紹介であることも興味深いところです。

なかなか痛快ではないかと思うのは私だけでしょうか?



次に、英国の公共放送BBCの記事です。

South Korea's Lee Myung-bak visits disputed islands
韓国の李明博大統領、紛争中の島々を訪問

http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-19204852
BBC 10 August 2012


タイトルのわりには

Mr Lee's trip was strongly criticised by Japanese Prime Minister Yoshihiko Noda.
李大統領の訪問は、日本の野田佳彦首相からの強烈な批判を受けた。


とした上で、野田首相の発言をかなりのスペースを割いて掲載している一方、韓国の政治家の発言については全く触れていないところが印象的でした。


また、

The Japanese government's response has been swift
日本政府の反応は迅速だった

と評しています。

なお、BBCでは竹島についての日韓両国の立場について特設のページを用意し、両国政府のウェブサイトを参照して紹介しているところがポイントです。

Profile: Dokdo/Takeshima islands
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-19207086
BBC   10 August 2012

Takeshima よりも先にDokdo と表記しているのは気に入りませんが…



South Korea says Dokdo was recognised by Japan as Korean territory in 1696, after a run-in between Korean and Japanese fishermen.
韓国は、韓国と日本の漁師のあいだで紛争があったあと、Dokdo は1696年に日本によって韓国領であると認識されたと言っている。

The island grouping was formally placed under the jurisdiction of Uldo county in 1900, it said, but annexed by Japan in 1905 ahead of its colonisation of the Korean peninsula.
この島々は、1900年にウルルン郡の管轄下に正式に置かれたが、朝鮮半島を植民地にすることに先駆けて、1905年、日本に併合されたと、韓国は言っている。

Dokdo was rightly restored to Korea after World War II, it says. "Dokdo is an integral part of Korean territory historically, geographically and under international law," it says on a government website dedicated to the issue.
Dokdo は第二次世界大戦後、正当に韓国に復帰したと韓国は言う。「Dokdo は歴史的、地政学的、そして、国際法上からも、不可欠な韓国領の一部であると、韓国政府がこの問題専門のウェブサイトで言っている。



「韓国は、韓国と日本の漁師のあいだで紛争があったあと、Dokdo は1696年に日本によって韓国領であると認識されたと言っている。

って、ほんまかいや。





But Japan's Foreign Ministry says on its website that Japan established sovereignty over the islands by the mid 17th Century, its sailors using it as a "navigational port, docking point for ships and a rich fishing ground".
しかし、日本の外務省は、そのウェブサイトで、日本は17世紀半ばにこれらの島々の領有権を確立し、日本の船乗りたちが(鬱陵島に渡る航行の目標として途中の)船がかり及び漁採地として竹島を利用したと主張している。

It says it then incorporated the islands into modern-day Shimane prefecture in 1905. South Korea acted illegally by declaring them its territory in 1952, it says, because they were not included in territory to be returned under the San Francisco Peace Treaty.
日本外務省は、1905年、竹島を島根県に編入したとしている。その島々は、サンフランシスコ平和条約において返還されるべき領土に含まれなかったのであり、韓国は1952年にその島々の領有を不法に宣言する措置を取ったと、日本外務省は言っている。

"The occupation of Takeshima by the ROK (South Korea) is an illegal occupation undertaken on no basis of international law," the ministry of foreign affairs says.
「韓国による竹島の占拠は、国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠」であると、日本外務省は言っている。




ということで、BBCは、日本外務省作成のパンフレット

竹島問題を理解するための10のポイント
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/takeshima/pdfs/pmp_10issues.pdf

英語版をしっかり読んで記事にしています。



次にフランスの国営国際放送フランス24のホームページに掲載されている政府系報道機関AFPの記事:

S. Korea leader visits disputed islands: report
韓国指導者、紛争中の島々を訪問
http://www.france24.com/en/20120810-korea-leader-visits-disputed-islands-report
FRANCE 24 (AFP) 10 August 2012


まず、日本海について

the Sea of Japan (East Sea)

という記述が見受けられたのは何とも気に入らないところです。

East Sea 東海ってなんでしょうね?静岡県とかそのあたりのことでしょうか?

あと、
Many older Koreans have bitter memories of Japan's brutal colonial rule.
多くの高齢の韓国人たちは、日本の残忍な植民地支配の苦い記憶を持っている。

としているところも…

韓国出身で韓国名のまま陸軍中将に上り詰めた洪思翊や、韓国出身で韓国名のまま日本の衆院議員にまでなった朴春琴についても書いてくれよという思いでいっぱいです。

ちなみに、1925年成立の「改正衆議院選挙法(普通選挙法)」では

第五条
帝国臣民タル男子ニシテ年齢二十五年以上ノ者ハ選挙権ヲ有ス
帝国臣民タル男子ニシテ年齢三十年以上ノ者ハ被選挙権ヲ有ス


国会図書館の近代デジタルライブラリーで条文を閲覧できます:
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/917165

なお、帝国臣民とはWikipediaによれば、

内地人、樺太人、朝鮮人、台湾人

を合わせた国民を指す法令用語だとのことです。


また、Wikipediaによれば

内地に居住していれば、朝鮮人も台湾人も選挙権、被選挙権があったとのことです。

「残忍(?)な植民地支配」と記事に書くなら、こういう選挙権・被選挙権のことも書かないと不公平じゃないかなあ、と思う今日この頃。もっとも、フランスじゃあ植民地民に本国の選挙権・被選挙権などなかったでしょうから、こんなことは想像も及ばないのかも知れませんが。


さて、AFP記事では、こんな気になる話も:


South Korea has announced it will stage a regular military exercise near the islands in mid-August, reportedly involving some 10 warships, plus F-15K fighter jets and other weaponry.
韓国は、8月半ばに定例の軍事演習を、この島々の近くで挙行すると発表している。その演習には10の軍艦にF-15K戦闘機その他の兵器が参加すると報告されている。


一体どこの国と戦争することを想定した演習なのでしょうか?



それとAFPでも韓国国内の今回の大統領の行動に対する批判的見解が紹介されています:

Strategically, the visit to Dokdo would be one of the strongest actions the president could take, said Jin Chang-Soo of the Sejong Institute think-tank.
戦略的には、Dokdo 訪問は、大統領が取り得る最も強い行動である、と Sejong Institute というシンクタンクのJin Chang-Soo氏は言った。


"In the long term, considering there will be many problems (between the two countries), I doubt whether this is the right time to play this card," he told AFP.
「長期的には、(両国間に)多数の問題を生じさせると考えられ、今のタイミングでこのカードを切ることが正しかったかどうか、疑問に思う」と彼はAFPに語った。

Jin said Japan was currently unstable, engaged in territorial disputes with other countries, "and we've just added fuel to the fire. What good can it do?"
Jin氏は、日本は現在不安定であり、他国とも領土問題を抱えており、「我々はそこへ火に油を注いでしまった。今回のことで、何を良いほうへ持って行けるというのか?」と言った。





あと、ロイターが、我らが玄葉光一郎外務大臣閣下のスポークスマンが「え?そこまで強烈なことをおっしゃっていたのですか?」と思えるようなことを言ったというように報道しています(ほんまかな?):

これは、英語だからそう聞こえるだけなのかも知れませんが、逆に言えば諸外国ではそう受け取っているということなのでしょう。


Japan to take islands dispute with Korea to international court
日本、韓国との紛争を国際法廷に提訴へ

http://www.reuters.com/article/2012/08/11/us-japan-korea-islands-idUSBRE87A02820120811
Reuters Aug 11, 2012


"Japan decided to act to peacefully solve the issue by bringing it to International Court of Justice," a spokesperson for Japan's Foreign Minister Koichiro Gemba said via an e-mailed statement on Saturday.
「日本は、国際司法裁判所に持ち込むことによって平和的にこの問題を解決するための行動を取る決断をした」と
玄葉光一郎外務大臣のスポークスマンが、声明文を電子メールを通じて公表した。


"Having seen Republic of Korea take such an unacceptable action, we believe that letting Japan's case on Takeshima known to the world, through ICJ, is more important than holding back, giving consideration for the whole Japan-ROK relations."
「韓国がこのような受け入れがたい行動を取ったことを受け、我々は、日本の竹島に対する立場を、国際司法裁判所を通じて世界に知らしめることが、日韓関係全体への遠慮や配慮をすることよりも重要であると信じる



The timing and content of the case will need to be worked out, but action will be taken in the "not so distant a future", he said.
タイミングと内容は慎重に検討することを要するが、この行動は「そう遠くない未来」に行われるであろう、と彼は語った。






ちなみにロイターの動画ニュースでは日本海をSea of Japanとのみ報じています。



http://www.reuters.com/video/2012/08/10/south-koreans-back-lee-in-island-row?videoId=236971608&videoChannel=2602

South Koreans support President Lee Myung-bak's plan to visit a pair of disputed islands in the Sea of Japan.
韓国国民は、李明博大統領が、日本海にある紛争中の島々を訪問する計画を支持しています。






なお、上記の英BBC記事や仏AFP記事およびロイター記事は、ガス田メタンハイドレートについて言及しています:

BBC
which could also contain large gas deposits.
大量のガスが埋蔵している可能性がある。

AFP
It is sited amid rich fishing grounds and Seoul officials say the seabed contains reserves of gas hydrates, although the amount is still unclear.
豊かな漁場の真っただ中に位置し、韓国高官によれば、埋蔵量は定かではないが、海底にはガスハイドレートが埋蔵されているという。

ロイター
believed to contain frozen natural gas deposits potentially worth billions of dollars.
潜在的には数十億ドルの価値がある、凍結した天然ガスが埋蔵されていると信じられている。


この竹島問題に関する日本の報道では、天然ガスとかメタンハイドレートという言葉は出てきていないようです。一方で、海外メディアはこれにしっかり注目していますね。





以上、
米英仏の国営放送や公共放送、政府系報道機関の今回の竹島問題の報道を見てきました。

フランスだけは、ちょっとアレな表現(East Seaとか過酷な植民地支配とか)が見受けられましたが、しかし、米仏ではともに、韓国人による今回の韓国大統領の行動への批判的見方が紹介されていました。

英BBCでは日韓両政府のウェブサイト上の主張を紹介しつつ、日本の首相による韓国非難の発言をしっかり紹介していました。

他、ロイターでは、玄葉外務大臣(のスポークスマン)の極めて強烈な
我々は、日本の竹島に対する立場を、国際司法裁判所を通じて世界に知らしめることが、日韓関係全体への遠慮や配慮をすることよりも重要であると信じる
という発言があったことを報じていました。


総合的にみると

・李明博大統領は国際的に評判を落とした可能性が高い
 (今回は紹介していませんが、他の報道機関では
  韓国サッカー選手のオリンピック憲章違反

  合わせて報じていたケースもあり、
  これも韓国の立場を弱くしたものと思われます)

・日本の政治家がしっかりメッセージを発すれば、
 海外の報道機関もしっかり報道している

・しかも、韓国の政治家の発言の紹介はまったく見受けられなかった!


という具合でしょうか。

今回の韓国大統領の竹島上陸問題それ自体だけでなく、特に首相や外務大臣が、その周辺事項である、客観的な史実も積極的に発信すれば、日本の立場をもっと有利にできる可能性が極めて高い、ということが言えるのではないでしょうか。

また、米国営放送Voice of Americaが報道したところでは、
韓国有力野党が「人気取りの宣伝であり、 李政権への批判をかわすことを狙ったものに過ぎないと断じている」のであり、この問題に関して韓国は決して一枚岩ではない、と考えられることも非常に重要な点です。



それにしても


 
 アメリカ国営放送が

 『韓国大統領がレームダックなので

  しかたなく竹島に上陸した』
 
 という見方を報じていたのは

 いかにも痛快!



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534:#TPP 衝撃!「全参加国で同じ労働条件を目指す」とUSTR次席代表が下院公聴会で認めていた!要するに日本企業も米国並みにバシバシ解雇可能になるということか?

2012/08/10 (Fri) 15:52
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さて、TPPについて、↓のようなJPEGファイルを作ってみました。

これは、あくまでも私の主張ではなく、
アメリカの反TPP
の皆さんの主張ですが…

No_TPP.jpg  




さて、

2011年12月14日、米下院におけるTPP公聴会での一幕:


December 14, 2011
Subcommittee on Trade
通商小委員会

Hearing on the Trans-Pacific Partnership
TPPに関する公聴会
http://democrats.waysandmeans.house.gov/hearings/hearingDetails.aspx?NewsID=11971


ロイド・ドゲット下院議員(民主党テキサス)が、

「TPPの全ての参加国に対して、同じ労働条件、同じ環境基準を目指しているということか?」

と質問
したところ、

マランティスUSTR次席代表が、

「Yes, Sir! その通りです」


と答えています。










Get Microsoft Silverlight


http://waysandmeans.granicus.com/MediaPlayer.php?view_id=2&clip_id=65


当該部分の書き起こしと翻訳を、↓のブログから引用させて頂きます。


USTRはTPP参加国全ての労働基準を同じものにしようとしていることを明言していた。 #TPP
http://blog.livedoor.jp/notpp/archives/13744509.html
“お花畑からTPP反対を叫ぶ”ブログ 2012年08月09日


00:50:02
Doggett: Well, I would hope you would look toward the court system towards there own mature systems rather than always opting for the investor state approach. Does... with the reference to investor state, and for that matter with other issues, the many other issues, doesn't the TPP contemplate the fact that there are all many different systems, Vietnam versus New Zealand, and not necessarily apply exactly the same provision to all countries within TPP on all issues.
ドゲット議員(以下“D”):さて、私は投資家保護の立場からのアプローチばかりではなく、それぞれの国すでにある成熟した裁判所のシステムに目を向けてもらいたいと思っています。ISD条項やその他の多くの条項に関して、TPPは多くの異なったシステムを持つ国々があるということ、ベトナム対ニュージーランドのように、そして、TPPに参加する全ての国に、全ての条項において、必ずしも全く同じ条約を摘要する必要はない。

Marantis: We are trying to negotiate a single standard for everything across the board in TPP. You know, as the idea of this agreement being a regional agreement that other countries both developed and developing will join.
マランティスUSTR次席代表(以下“M”):私たちは、TPP交渉の中で、全てのことにおいて一つの基準を設けることを目指して交渉をしています。ご存知の通り、この条約は先進国と、新興国の両方を含む地域条約としての考えがあります。

D: So, you would expect the same labor standard, the same environmental standard, for all of countries.
D:つまり、全ての国に対して、同じ労働条件、同じ環境基準を目指しているということですか。

M: Yes, sir.
M:その通りです。

D: And you don’t expect to see any exceptions or alternative approaches suggested for any individual countries.
D:そして、何の例外も、個別の国からの代替案などを認めないのですね。

M: No, sir.
M:認めません。

D: On any issues?
D:どのような問題に関しても?

M: No, sir. We are trying to create a single standard throughout.
M:そうです。私たちは全てに渡って一つの基準を作ろうと努力しています。

D: Thank you.
D:ありがとう。

M: Thank you.
M:ありがとうございます。





以前ご紹介しました米国のFTA実施法102条の考え方からしますと

米国国内法>米国TPP実施法>日本国内法

となることが基本と見て良いでしょう。


ということは、これはすなわちTPP参加国の労働基準をアメリカの基準に合わせるということですね。

国の成り立ち、歴史、文化がまるで違うのに労働基準が同じなどあり得ないと思います。


同じ基準などとなるのであれば、日本でもアメリカ並みにバシバシ従業員を解雇できるようになる、ということになるんじゃないでしょうか。


こんな「めんどくさい条約」に参加するくらいなら、すなおに属国となりアメリカ領になって、アメリカの市民権と大統領選挙の選挙権をとっとと寄越せと主張したほうが良いくらいだ、と思ってしまいそうな今日この頃。


そして、ドゲット下院議員も上のやり取りの様子では、アメリカの労働者の権利さえ守られるのなら別にいいかという感じのようです。


何せ、以前ご紹介しましたように、あの「疑惑」の米韓FTAも、労働団体が大きな支持母体である民主党優位の上院においてすら、圧倒的多数で可決しました。

米韓FTAは韓国の皆さんとってはアレでも、米国の有権者の多くにとってはそれこそ「魅惑のFTA」なのでしょう。

目下、日本のTPP参加に強硬に反対する全米自動車労働組合(UAW)ですら、米韓FTAには拍手喝采でした。



ちなみに、
今年の1月にUAWからロン・カークUSTR代表に送られた書簡
http://www.uaw.org/sites/default/files/UAW%20Comments%20on%20Japan%20&%20TPP.pdf

では

---
Because Japan keeps its automotive market virtually closed to imports from any country, while annually exporting more than 1.5 million vehicles to the United States, the UAW opposes its entry into the TPP negotiations until this economically-damaging trade imbalance is sustainably addressed
日本は事実上、自動車の輸入市場を閉ざしており、一方で、毎年アメリカに150万台以上の自動車を輸出しているため、UAWはこの経済的打撃となる不均衡貿易が適切に取り扱われるようになるまで、日本のTPP参加に反対する。
---

と書かれています。


一方、米韓FTAについては、以前も取り上げましたが、↓こんな感じ





UAW Applauds Passage of U.S.-South Korea Free Trade Agreement
全米自動車労働組合は米韓自由貿易協定の法案可決に拍手を送る

http://www.uaw.org/articles/uaw-applauds-passage-us-south-korea-free-trade-agreement
UAW 2011年10月13日

“The revised agreement,” said UAW President Bob King, “creates significantly greater market access for American auto exports and contains strong, auto-specific safeguards to protect our domestic markets from potentially harmful surges of Korean automotive imports.

改訂された協定では、アメリカの自動車輸出にとってより大きな市場へのアクセスを可能にしており、また、国内市場への韓国自動車の輸入よって生じる可能性のある有害な影響から守るためのセーフガード(保護)が盛り込まれている。





もしも万が一、

全米自動車労働組合が「日本の参加を喜んで歓迎する」
と言い出したりしたら、
それはかなりヤバい状況なっている、
ということなります。



ということで、





 日本の輸出産業の社員が

 『TPPは輸出産業に有利♪』と思ってTPP推進

 やっていたら、

 アメリカ並みの労働基準になったため

 自分があっさり首切られちまった

 というブラック・ジョークになりかねんな、こりゃ



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533:消費増税: 附則18条、実は「TPPで成長(笑)」の40倍の成長を狙う野心的な成長目標となっています♪

2012/08/09 (Thu) 18:17
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さて、本題です。


消費税、ついにヤマ場となって参りました…






野田首相、総選挙を「近いうち」に実施―消費税増税支持の見返りに
http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_491694
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)日本版  2012年 8月 9日

野田佳彦首相は8日夜、自民党の谷垣禎一総裁と会談し、消費税増税関連法案への支持取り付けの見返りに、総選挙を近いうちに実施することを約束した。
この結果、消費増税法案をめぐる政局の混乱は収拾され、高まっていた日本の財政の悪化懸念も収まった。







これまで書いてきました通り、
私は消費税増税は「条件付き黙認」です。

積極的賛成では決してありませんが、

増税法案の附則第18条を順守し、増税以上の財政出動によってデフレ不況の脱却を図るのであれば、あえて黙認、という具合です。


しかし、

WSJの記事、増税が明日にも決まりそうなので

「高まっていた日本の財政の悪化懸念も収まった。」

としているのはいかがなものでしょうかねえ。



消費税を5%分上げたからと言って、1%は最大でも2兆円程度(国税のみ。詳細はこちら)なので、最大でも10兆円の増収にしかならず、単純に増税するだけで財政出動なしなら、ほぼ間違いなく景気悪化でその10兆円も取らぬ狸の皮算用に終わります。

今年度、政府の一般会計の財政赤字は44兆円の見込み平成24年度当初予算案)なので、10兆円の税収が増えたからと言って、

「高まっていた日本の財政の悪化懸念も収まった。」

などと、なぜ言えるのでしょう?



大体、財政黒字でも破綻した国の例はいくらでもありますので、「財政赤字の何がそんなに心配でんねん?」という話です。


消費税が決着するのであれば、話題にすべきは

×44兆円の赤字が34兆円に減るかも知らないのでマンモスうれぴーとか、
 そんなチマチマした話ではなく、


○附則18条の目標「2011年から2020年までの平均年間成長率を名目3%、実質2%」
 をいかにして達成するか


というもっと前向きで大きな話を話題にすべきであります。



さて皆さん、10年間、平均で3%、というのはかなりの金額になります。

ちなみに、普通、成長率で「平均」というからには、これは複利ベースの話になります。


さて、内閣府「国民経済計算」の2010年度確報によりますと、

2010年度の名目GDPは479兆円です。

これを、毎年3%複利で10年間増やすとどうなるか?

479兆円×(1.03^10)= 644兆円

GDPを10年で164兆円増やすぞ!

という目標なんですね、これ。



もし、「いや、すみません。実は複利ではなく単利ベースです」ということだったとしても、

479兆円×(100%+3%×10) = 479兆円×1.3 = 623兆円

となり、これでもGDPを10年で144兆円増やすぞ!ということになります。


TPPの「10年で2.7兆円」というチンケな話とは雲泥の差です。





TPP経済効果、10年で2.7兆円 政府が見解
http://www.asahi.com/business/update/1025/TKY201110250694.html
朝日新聞 2011年10月25日

内閣府は25日、環太平洋経済連携協定(TPP)に参加した場合、実質国内総生産(GDP)を10年で2.7兆円押し上げる経済効果があるという政府の見解を示した。






ああ、TPPの試算は実質ベースでしたね。

実質でも消費税増税法案の附則18条の目標は平均2%ですから、これでも10年で100兆円増、となります。

複利でも単利でも100兆円前後となります。ただ、実質の成長率で単利ということはまずありえませんが。


附則18条はTPPの約40倍もの成長を目指す、野心的な取り組み(!)というわけです。


まあ、TPPの試算は「やった場合は、やらなかった場合に比べて」というような計算だと思うので、単純にそういう言い方をするのは若干違うかも知れませんが、

附則18条の成長目標に比べれば、本当にチンケな話です。



それと、さっきの「消費増税で財政赤字が毎年10兆円減るかもしれない(たぶん10兆円は無理)」という話ですが、これも附則18条の名目の成長目標の累積と比べれば、ほんとうにチンケな話です。


仮に、政府(+日銀)が有効な成長政策を打ち出せず、名目GDPが横ばいを続けるとします。
落ちないだけマシであり、政府が何もしないというのにGDPが落ちないとするのは、むしろ甘い見通し、というレベルの仮定です。


この横ばいモデルに比べると、附則18条の名目GDPの成長目標は、なんと、10年間の累積で866兆円の名目GDP増加となります。


附則18条成長モデル(名目)


「10年間の累積で866兆円の名目GDP増加」というのは、

上のグラフの青の線(附則18条の成長目標)と、赤の線(横ばいモデル)の三角形の面積で表されます。


1年あたり87兆円の話です。

1年あたり最大でも10兆円の「赤字縮小」というような話がいかにチンケな話か、ということが分かると思います。

TPPはそれよりもさらにチンケな話で、どうでもいい話、ということになります(それは言い過ぎか)。





 チンケな財政再建の話とか

 チンケなTPPで成長(笑)の話とか

 そんな後ろ向きのケチ臭い話よりも、

 『10年間の累計で866兆円GDPを増やすぜ!』

 という附則18条のゴージャスな話をしましょうぜ、

 マスメディアの皆さん!!



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532:日本破綻論の心理分析:「信念の形成過程」の観点から「日本破綻論」を考察+世界の歴史を見ればネガティブな事柄はポジティブな結果を引き出す刺身のつまのようなものだと分かります

2012/08/08 (Wed) 12:52
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お陰様で、発売早々増刷決定!




また、本日(8月8日)の日経朝刊1面に広告が

掲載されました:



nikkei20120808ad0002.jpg







では、本題です。


以前、コメント欄で


 イデオロギー的に公共事業に反対する人々は、何故、公共事業に反対なのか?
 その辺りは、心理学的にはどう分析されますか?


というような趣旨のご質問
を頂いておりました。


これは、私が、

---

我々が今の史上空前の豊かさを全面的に活用し、さらなる豊かさを獲得するに至るかどうかは、

「もはや、経済学の問題ではなく、心理学の問題


---

と書いたことに対してのご質問でした。



私は心理学の専門家ではありませんし、心理学の学位も持っておりませんが、これに関してはジャーナリスト的観点で書いてみたいと思います。

まあ、経済に関しても専門家ではありませんので、私は経済についてもジャーナリスト的立場で書いているつもりですが!






さて、私が心理学に最初に興味を持ったのは17年前、阪神大震災のあと体調を大いに崩したことにより、必要に迫られてのことでした。

私が体調を崩した過程の詳細は長くなるので省略しますが、例えば、駅の階段を上るだけで不整脈が出たりとかそんな感じでした。

で、一か月くらい家にこもりきりで寝ていてもちっとも体調が良くならんので、こりゃどうも心理的な要因じゃないかしらと考え、当時の自分としては「思い切って」外出し、本屋さんで、そういった関係の本を探したという次第です。



それで当時何冊か読んだうちの一冊が↓これでした





プラス暗示の心理学
生月 誠 (著)




アマゾンの内容説明のところで

「プラスの予想と楽観的判断の適度な組み合わせが、行動をより良い方向へと変えていく。」

とあるのですが、これに関連して信念の形成過程についての説明がありました。


今回はそれを使って「国の借金」に関する心理について考えてみたいと思うのですが、まず、その信念の形成のされ方について説明しておきます。

ただ、上記の本は、その後、人に貸したまま返ってきていないので、私の記憶にある、私がこの本から学び取ったことを、私の言葉で書かせて頂きたいと思います。


まず、17年前に私が体調を崩した過程について。



「体調が悪いな」と思う
 ↓
実際のところなかなか良くならない
 ↓
「なんでかな?今までこんなことなかったのに。ひょっとして、体調はもっと悪くなるんじゃないか?」と予測
 ↓
実際に体調が悪化(現実の結果)。
 ↓
病院に行ってもさっぱり原因が分からない
 ↓
「もう良くならないんじゃないか?もっと悪くなるんじゃないか?」と予測
 ↓
体調がさらに悪化
(現実の結果)例えば駅の階段を上っただけで息切れ、不整脈が出る。





ここで重要なのは以下の2点です:

①「体調が悪くなる」という予測と現実の結果が一致することにより、信念が強化される

②精神と肉体は、相互に影響を与え合うシステムになっている


この二つのメカニズムにより、私の体調はどんどん悪化していったわけです。


端的に言うと、自分の思考を通じて、自分の体調を悪いほうへ向かうように「制御」していた、ということになります。


そして、このメカニズムを理解した後は、

「要するに、必要以上に体調が悪くなると思わなければ良いのか」と考えました。


それに「山歩きでもしたら気分も晴れて、体調も良くなるんじゃないか?」と考え、実際に神戸の中心地からすぐに行ける山道を適当に歩いたらあっという間に体調が良くなってしまった、というオチです。

神戸は、中心街である三宮から、歩いて15分もすればすぐハイキングコースがあるという、まったくもって稀有な100万人都市であるのですが、私にとってそれは本当に幸いなことでありました。





さて、「国の借金」云々の前に、もう少し「プラス暗示の心理学」の本で書かれていた面白い心理学的な実験の話――人間の心理がいかに肉体に強力な影響を及ぼすかが分かる話――をご紹介しておきたいと思います。




バスケットボールのフリースローの練習を1週間(だったか3週間だったか…)、

一つのグループはひたすらイメージトレーニングのみ

もう一つのグループはひたすら実地練習のみ

を行った結果、

なんと、イメージトレーニング組のほうが成績が良かったというのです。


この実験は数十人規模で、かつ、再現性の確認も行われた
のです(と書かれていたように記憶しています)が、私も機会があれば実験をやってみたいと思っていましたが、17年たった今でもまだ出来ていません^^;。


どなたか、「ワシは実際に実験してみた!」という方がいらっしゃったら是非コメントください!
あるいは、こういうことなら実際に数十人規模ですぐにできるよ、というお立場の方がいらしたら(もちろん、バスケットボールに限らず、どんなスポーツでも)、ぜひ、やってみて下さい。(そして、結果をコメント頂ければ幸いであります^^)。




さて、

上記のような信念の形成過程を「国の借金」問題についてあてはめてみましょう。


すなわち、「日本はもうすぐ破綻する」という信念の形成のされかたについて。


一例を示すと以下のようになるでしょうか:

①「借金というのは、どんな場合でも悪だ」という一般的な価値観を持っている
  ↓
②「国の借金が大きいと破綻する」と予測
 
(例えば、GDP比200%、あるいは絶対額で1000兆円になると破綻、と予測)
  ↓
③日本よりも「国の借金」が小さい(GDP比や絶対額で小さい)国が破綻するという
 結果に接する
 (たとえば2001年アルゼンチンや2012年ギリシャなど)
  ↓
④予測と結果が一致することで「日本は破綻する」という信念が強まる。
 ついでに、「国の借金」をさらに増やすことになる公共事業は悪であるという信念
 も強まる。

  





ここで、この「日本破綻」の信念が強化される過程と、17年前に私の体調が悪化する否定的信念の形成過程の違いを考えてみましょう。

私の体調の話の場合、これは全部私の内的なもので完結しています。
私が体調が悪いと感じることも、私がそう感じることでさらに体調が悪くなると予測することも、その予測によって、「精神と肉体の相互作用」を通じて実際に体調が悪化することも、すべて、私の内的な要因です。

一方、「国の借金」についてはどうでしょう?

①「借金というのはいつでも悪だ」という一般的な価値観
 →これは、江戸期に日本人に浸透し、定着した儒教的価値観の影響もあるかも
  知れません。
  つまり、どちらかというと外的要因

②「国の借金が大きいと破綻する」と予測
 
(例えば、GDP比200%、あるいは絶対額で1000兆円になると破綻、と予測)
 →テレビ、新聞、雑誌、書店にズラリ並ぶ「破綻本」、あるいは学校の授業での
  先生の発言など、これも外的な要因による場合が多いように思われます

③日本よりも「国の借金」が小さい(GDP比や絶対額で小さい)国が破綻するという
 結果に接する

 →これも、テレビ、新聞、雑誌、書店にズラリ並ぶ「破綻本」、あるいは学校の授業
  での先生の、それらの国の破綻についての伝え方次第ですが、
  やはり、外的な要因による場合が多いように思われます


また、「国の借金」については、一流大学の経済学部教授など権威ある人々による
「このままでは日本は破綻する」という予測
も、
多くの人々にとっては、信念形成における「結果」と同等の作用を及ぼすのではないかと思われます。

→つまり、

 「国の借金大変だ!」と漠然と思っている(「予測」)ところに、
 超一流有名国立大学の教授による「日本は破綻する!」との発言(「結果」)に
 接することにより、
 「やはり日本は破綻する」という信念が強化される


 という具合です。






さて、上記のような考えを踏まえると、対処法というのは次のようになるかと思います。


(1)「国の借金」に対する否定的信念の形成を阻害

(2)「国の借金」に対する肯定的信念の形成を促進


そして、そのためのツールが拙著

≪「国の借金」新常識≫

ということになるのです。

特に、

「よくよく過去を振り返れば、破綻した国のほうがむしろ急成長している!」

という事実の提示は、

(1)「国の借金」に対する否定的信念の形成を阻害

するための、非常に強力な「破綻論」迎撃システムです。



これは、上記の

③日本よりも「国の借金」が小さい(GDP比や絶対額で小さい)国が破綻するという
 結果に接する


という、否定的信念の形成要因を完全に無力化し、「国の借金」に対する否定的信念の形成を阻害する効果は、絶大であると考えます。


というのは、「破綻した国のほうが成長している」という数々の事実を提示することは、「日本は破綻する」という「否定的な信念」それ自体を、否定的なものではなくしてしまうからです。


もちろん、≪「国の借金」新常識≫では、

①「借金というのはいつでも悪だ」という一般的な価値観
②「国の借金が大きいと破綻する」と予測
 
(例えば、GDP比200%、あるいは絶対額で1000兆円になると破綻、と予測)

というほかの要素に対しても、しっかりとした大陸間弾道ミサイル並みの強力な破壊装置を配備しています。


なお、

これらの「日本破綻論 迎撃・破壊システム」は、一方で、

(2)「国の借金」に対する肯定的信念の形成を促進

するための、建設的で生産的な役割を同時に果たすものと考えます。





ところで、

世の中のたいていの否定的な出来事、ネガティブな出来事というのは、究極的に突き詰めると、そこに結局は肯定的な、ポジティブな側面を見出すことになります。


例えば、17年前に体調を崩したことが、私の視野を大きく広げてくれたことも、それに当たります。

それまで私はなぜか、「自分は何をやってもうまく行かない」という変な否定的信念を持っていました。

だから何事に対しても消極的であり、何をやってもどうせ失敗するのだから、できるだけ何もしないほうが良い、というような考えを持ちながら生きていました。
だから、人生はちっともつまらないものだったのです。


ところが、

上記のような信念の形成過程や、あるいは、バスケットボールのイメージトレーニングの実験の話などを知り、
「うまく行くというイメージを持っていた方が、
うまく行きやすくなる。少なくとも、うまく行く確率は高まる」と考えるようになってからは、生きるということがまるで違うことになったのです。


以上は私自身の卑近な実体験に過ぎませんが、国家経済についても基本構造は同じだと考えます。

「破綻した国のほうがその後、むしろ急成長している」という数々の事例は、私のこのような考えを強力に例証してくれています。


いずれにしましても、より多くの人々が「日本はもっと良くなるし、世界ももっと良くなる」とイメージすれば、それだけ日本も世界も良くなる確率が、飛躍的に高まるでしょう。
というよりは、確実に良くなると私は確信していますが!





さて、
従来、「国の借金」についての否定的信念の形成には、
マスメディアの影響が非常に大きかったと言えるでしょう。

また、「国の借金」に対する否定的な見解に基づく「公共事業の否定と新自由主義的政策の促進」を行ってきた特定の政治家の皆さんの影響も大きかったと言えるかもしれません。


しかし、彼らの行動(報道や政策意思決定)は、原因ではなく、むしろ結果ではないかと、近頃の私はそのように思います。

もちろん、彼らの行動が、
多くの国民の信念形成の原因を成している側面は間違いなくありますが、やはりそれよりも根本的で強力な「原因」というのは、一人一人の国民の心的エネルギーのベクトルの総和であると思います。


どちらかというと、

「一人一人の国民の心的エネルギーのベクトルの総和」が「国の借金」に関することを含めてネガティブに傾いていることが「原因」で、
マスメディアの姿勢や特定の政治家の存在は「結果」に過ぎない、

ということではないかと思うのです。




ということは、

現在の「国の借金について否定的な見解がメディア等で多くみられる」という状況は、「多くの国民が、国の借金について否定的な信念を持っている」という状態の投影であることになります。

これは、メディアの報道姿勢を通じて、
我々は、本当の原因である「国民全体の心的状態」を観察できている、ということを意味します。



これを制御理論風にいうと、「可観測」ということになります。

エアコンの制御で言えば、室温が観測できているようなものです。

可観測であるということは、可制御となる可能性が出てきます。

エアコンの制御で言えば、室温を望みの温度にするように電流を変化させてやればいい、というようなものです。



そして、

私が思うに、肯定的信念は、否定的信念を必ず凌駕します。

時間はかかるかも知れませんが、
肯定的信念は、否定的信念に必ず勝ちます。


17年前の私の体調でいうと、「体調が悪くなる」という否定的信念とそれによってもたらされた否定的な結果は、結局は肯定的な結果にとって代わられ、私はそれ以前よりもたくさんのポジティブな果実を獲得することができました。

あるいは、これまでたくさんの国々が、「破綻」という否定的な結果を受けた後、逆に従来を圧倒的に凌駕する成長を成し遂げるという肯定的な結果を勝ち取って来ました。


ネガティブなものは、人類の歴史をつぶさに観察すると、ポジティブなエネルギーを生み出すための刺身のつまのような、触媒のようなものであることが分かります。

そうでなければ、人類が100年前よりも、あるいは1000年前よりも、間違いなく圧倒的に豊かになっている、という現実を説明することは不可能事になってしまいます。

これまでのところ、ポジティブなものは必ず、ネガティブなものに打ち勝ってきたのであり、これからもそうなるのです。


だから、
日本の「国の借金」問題については、いずれポジティブなものが必ずネガティブなものを凌駕することになっている、ということだと、私は考えています。

そして、
それを早めるために我々一人ひとりがやるべきことは、自分自身を可能な限りポジティブなものにすることだと、私は考えます。

つまり、
可能な限り常に、自分自身の心的状態を前向きで、良い状態にしておくことだと思うのであります。

そして、
それをジワジワと周囲に広めて行くことが、結局は日本国、ひいては人類社会全体にポジティブな影響を及ぼしてゆくことになるものと考えます。


そして、
ここが肝なのですが、
それは誰か一人の英雄がやってくれるわけでは決してないのだと思うのです。
どこかの人気市長や、どこかの国の大統領閣下ではなく、日本国を救い、この世界を良くすることができるのは、他の誰かではなく、私自身であり、あなた自身である
ということです。






よくよく考えてみれば、私が経済とか金融とかに興味を持つようになったのは、ある破綻本のお蔭でした。

「日本はもうすぐ破綻するかもしれない!」という危機感を持たせてくれたおかげで、私は本を書き、様々な人々に多大な影響(もちろん、ポジティブな影響!)を及ぼすことができたのではないかと思います。

だから、
テレビや新聞でネガティブな「日本破綻論」を煽る人を見かけたら、
そういう人々は、日本国が良くなるための刺身のつまであり、マッチに火を付けるのに必要不可欠な摩擦であって、

むしろ心から感謝すべき、ポジティブな存在

であると見なして良いのです。




私がこのような考え方をするになったのは、三橋貴明氏の選挙の手伝いや、自分自身の選挙でどえらいしんどい思いをしたあと、大量の読書をした結果です。

つまり、
「どえらいしんどい思いをした」というネガティブな事柄が触媒となってポジティブな結果が生み出されました。


これまでの人生を振り返ると、ネガティブなものがその数層倍のポジティブなものをもたらす、という「予測」に一致する現実の「結果」が伴うということが繰り返され、私のこの信念はますます強化されています。


また、世界の歴史を振り返っても、長い目で、マクロの視点で見れば、ネガティブなもの(たとえば「国家破綻」)が、必ずその後それ以上のポジティブな結果(たとえば「破綻後の驚異的急成長」)をもたらしています。

歴史を勉強する最大の意義の一つはまさにそこにあるのではないかと思いますが、このことも私の信念をますます強化しています。


このように考えて行きますと、
人が生きるということの目的は、ネガティブなものがポジティブなものに取って代わられるところをつぶさに観察し、自分自身もその過程に参加し、生きているあいだは、ひたすら人として成長し続けること、ということではなかろうかと思います。


ということでありますので、
まず私自身、可能な限り自らの精神状態をポジティブで前向きなものにする努力をしつつ、
可能な限り読者の皆さんをポジティブで前向きな気分にできるような情報やアイデアを発信し続けたいと思う次第であり、
それが私の果たすべき役割ではないかと思う次第であります。



これはある種の「戦い」ですが、非常にポジティブな、前向きな戦いです。
なぜなら、この戦いに敗者は一人も存在せず、全ての人々が勝者になるからです。






≪寄付金募集のご案内≫

私、廣宮のブログや著作や考えに
共鳴し、共感し、大きな価値を感じて頂いた皆様に、
「これだけの支払いをするだけの価値を、私は既に受け取っている」
と思える金額を、1口10万円、上限なしという形で寄付
をして頂ければ、
と思っております。


1口10万円とさせて頂くのは、本当に経済的に余裕がある方に限定させて頂きたいと考えたからです。

くれぐれも、悲壮感に基づく動機づけで寄付しないでください。

充足感に基づき、

「この金額なら経済的にも心理的にもバランスが取れる」
という範囲内
で、
下記の銀行口座にお振込み頂ければ、と思いますので、
どうぞよろしくお願い致します。



三井住友銀行 三宮支店 
普通 8264759 
名義: ヒロミヤヨシノブ



※ご連絡が必要な場合は、
 当ブログの左側、一番下の「メールフォーム」にてご連絡頂きますよう、
 どうぞよろしくお願い致します。





ところで、

寄付頂いたお金が多ければ多いほど、世の中全体のネガティブな思考をポジティブな思考で塗りつぶすことを早めることができる
もの考えます。

例えば…


あくまでも仮の話ですが、仮に10億円集まったとします。

もしそうなったら私は、


ポジティブな考えは必ずネガティブな考えに取って代わります。
 あるいは、ネガティブな出来事は必ずそれ以上にポジティブな出来事を
 引き起こします。
 これは、歴史を見れば、そして我々が現在、人類史上空前の豊かさを
 享受している現実からすれば明らか
ですし、
 皆さんの人生を振り返れば、それはよくある出来事であることが分かるはず
 です。

 『この考えを可能な限り急速に世の中に広めたいので寄付をお願いします。
 ただし、経済的にも心理的にもバランスの取れる範囲のポジティブな動機
 づけにて、どうぞよろしくお願い致します』
 と寄付を募ったらなんと、10億円もの金額が集まりました。
 これはポジティブな考えは必ずネガティブな考えに取って代わる、ということの
 明らかな証明です。


ということをテーマにしたを書きます。

そうなれば、様々な人々から特別な注目が集まることになり、
それによって、ますます急速にポジティブな考えがネガティブな考えに取って代わって行き、しかも加速してゆくことになるでしょう。
その場合、この動きに合わせて「国の借金」についてのポジティブな見方も、もちろん、一気に普及拡大させることになります。


“不足に基づく強欲と恐怖が支配する世界”から、

“充足に基づく幸福感と安定感が支配する世界”への

転換です。




私はこれまでの著述活動で、この世界に1京円(ざっくり世界のGDPの2年分)くらいの価値を潜在的には与えることができたのではないかと考えています。

今後はその価値さらに倍加させ、しかもその価値を現実の世界に顕在化させて行きたいと思う次第であります。







 今回のエントリーを読んで、

 『日本も、そして世界も、必ず良くなる』

 という信念が強まった!



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531:ロシアも干ばつ。米国だけでなく。さらにはオーストラリアも - 「食糧は輸入に頼れば良い」、「儲かる農業だけやれば良い」の危険な罠 #TPP

2012/08/03 (Fri) 16:09
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《「国の借金」アッと驚く新常識》

お陰様で発売早々、増刷決定しました!!!








さて、TPPについて、↓のようなJPEGファイルを作ってみました。

これは、あくまでも私の主張ではなく、
アメリカの反TPP
の皆さんの主張ですが…

No_TPP.jpg  





アメリカが干ばつ、というのは前にも取り上げましたが、ロシアもかなり大変なようです。




ロシアも干ばつ、穀物生産15%減 輸出規制の可能性も
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM3004Q_S2A800C1FF1000/
日経新聞 2012/8/3

半世紀ぶりとされる干ばつに見舞われた米国に続き、主要な穀物生産国であるロシアやウクライナでも干ばつの被害が広がっている。
ロシアの2012穀物年度(7月~翌年6月)の小麦を中心とする穀物生産量は前年度に比べ約15%減の8千万トン以下にとどまる見通し。
穀物価格の急騰で、国民のプーチン政権への不満も強まる懸念がある。
穀物の不作が深刻になれば輸出規制など対策を迫られる可能性がある。




 ロシアのメディアによると、干ばつの影響で穀物価格は地域によっては年初から40~50%上昇し、今後さらに上がる可能性が大きい。
小麦粉を原料とする食品や飼料の価格も急騰し、5~6%としている12年のインフレ率の政府目標の達成も危ぶまれ始めた。



 今後、収穫予想がさらに落ち込んだ場合、政府が割り当てや関税導入など輸出規制に踏み切る可能性もある。
穀物の国内需要は年間約7150万トンで、政府はなお中東や北アフリカ向けを中心とする輸出の余力はあるとしている。
政府幹部は現状では輸出規制の導入を否定しているが、10年8月~11年6月の輸出禁止措置に続き再び規制の導入に踏みきれば、国際価格のさらなる押し上げ要因になる。

 世界各地で熱波や干ばつなど異常気象が相次ぎ、穀物の国際価格は急騰している。シカゴ先物市場では小麦、大豆、トウモロコシの相場が昨年末から3~4割高い水準で推移。8月の米需給報告で一段の生産減が確認されれば、大豆とトウモロコシは7月20日につけた過去最高値を更新、小麦も08年の高値に迫る可能性があるとの見方が出ている。





なお、大豆とトウモロコシの価格は先月、過去最大を更新しています:


大豆(シカゴマーカンタイルGLOBEX 先物 直近限月つなぎ)
http://futures.tradingcharts.com/chart/ZS/M?anticache=1343971687


大豆相場



トウモロコシ(シカゴマーカンタイルGLOBEX 先物 直近限月つなぎ)
http://futures.tradingcharts.com/chart/ZC/M?anticache=1343971641

トウモロコシ相場



一応、ロシアの話なので、ロシアメディアの記事もちらっと見ておきましょう。

Russian and US drought sparks fears on a new food crisis
ロシアとアメリカの日照りが新たなる食糧危機への恐怖を増幅
http://rt.com/business/news/grain-prices-hike-crisis-464/
RT.com 31 July, 2012

Wheat prices have jumped more than 50% and corn prices more than 45% since mid-June as drought in Russia, the US and Australia have partly destroyed crops. Experts warn that a looming food crisis could hit global growth.
6月半ば、ロシア、米国、オーストラリアにおける干ばつにより、作物の一部が破壊されて以来、小麦価格は50%以上、トウモロコシ価格は45%上昇した。
専門家は食糧危機が世界経済の成長に立ちはだかる可能性を警告している。


Russian grain prices reached record levels last week after the Government cut its 2012 harvest forecast to 86.5 million tons from an earlier estimate of 94 million tons. The move sparked fears the country could impose export restriction as it did in 2010.
ロシアの穀物価格は、政府が2012年の収穫高の見通しを9400万トンから8650万トンに削減したことを受け、先週、記録的水準に達した。
この動きは、ロシアが2010年に行ったような輸出規制を課すかもしれないという恐怖を引き起こした。



Russia, the world's second largest wheat exporter after the United States, plans to export between 13.5 million to 13.8 million tons of wheat for the season 2012-13. That's compared with an estimated 21 million tons in 2011-12, according to the Institute for Agricultural Market Studies (IKAR).
ロシアはアメリカに次ぐ世界第二位の小麦輸出国であり、2012から13年にかけて1350万トンから1380万トンの小麦を輸出する予定になっている。
ロシア農産物市場研究所によれば、2011から12年は2100万トンであったと推定されている。


Alongside that, nearly half of the corn crop in the US Midwest is now in poor or very poor condition as the area faces the worst dry heat in more than 50 years, according to the US Department of Agriculture's (USDA) weekly crop progress report.
これと並行して、アメリカ農務省の週報によるとによると、過去50年以上の中で最悪の乾燥と熱波に直面している米国中西部のトウモロコシは、ほぼ半分が不良(poorとかvery poor)である。



Meanwhile grain output in Western Australia, the country’s main wheat region, may drop 40% due to the extremely dry weather pushing prices to the highest since 2008.
一方、西オーストラリア(同国の主な小麦産地)の穀物の収穫は、極度の乾燥した天候により40%も減少しそうであり、2008年以来の最高値となった。



Drought in Australia fueled concerns among Asian customers. Though China and India have enough grain in their stockpiles, Japan, Vietnam and Indonesia have bought ahead imports for just two months.
オーストラリアの干ばつは、アジアの顧客たちの懸念を増大させた。
中国やインドは十分な備蓄があるが、日本、ベトナム、インドネシアは二か月分しか事前の購入をしていない。


The World Bank on Monday said it’s ready to help governments respond to a grain price hike, which could affect the world's poorest people.
世界銀行は月曜日、世界の最貧の人々に影響を与える可能性のある穀物価格の急騰に備えようとする各国政府への支援の用意があると発表した。



In 2008 a rise in food prices caused riots in some countries and raised questions about the use of crops to make bio fuels.
2008年の食糧価格高騰は、いくつかの国々で暴動を引き起こし、農作物によるバイオ燃料の製造に疑問を投げかけた。




ロシアの小麦輸出は前年度と比べ、半減しそうだとのこと。

それと、ロシアもWTOに加入した途端、いきなりセーフガード発動としゃれこみそうな勢いですが、アメリカ、ロシアだけでなく、オーストラリアも、なのですね!


いやはや、しかし、

ただでさえ世界は中東問題という火種(日本にとっては、特に天然ガスの供給問題)を抱えているのに、

世界的な食糧価格高騰の懸念が非常に高まってきてしまっていますね。




さて、次にアメリカの中西部のお話:




米干ばつの影響、中西部の町に拡大-穀物エレベーターが空に
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M82B726JIJV401.html
ブルームバーグ 2012/08/02

ジェリー・ロウ氏は米イリノイ州ディケーター郊外の小さな町でヘリテージ穀物協同組合を運営して25年になる。同氏の穀物エレベーター(貯蔵施設)は損失を出したことがない。

これまでは、と言うべきかもしれない。
昨年収穫したトウモロコシと大豆が減少する一方、今年は過去約50年で最悪の干ばつの影響で生育に被害が出たため、エレベーターを補充できる可能性は低い。
このエレベーターの高さは215フィート(約65.5メートル)あり、ダルトンシティーでは最高だ。
この地域は多くの中西部のコミュニティー同様にディケーターのような都市の経済に貢献し、ひいては世界にも穀物を供給している。

ロウ氏は、エレベーターの貯蔵量が最終的に過去最高だった2007年の半分未満、昨年と比較すると約30%減少すると予想している。
穀物売却量が減れば、農業経営者が購入する映画館の入場券や米ディーア製農機具も減る。
穀物が減少すれば必要とされるトラック運転手の数も少なくなる。
降雨量が減ると水路の水が浅くなり、ミシシッピ川のはしけ船には穀物が半分しか積まれなくなる。
同氏によれば、干ばつに伴う危機的な状況の中心にいる農業経営者たちの多くは穀物保険に守られているため、最も打撃を受けているというわけではないかもしれない。

ロウ氏は「農家には無傷かそれに近い状態でいられるだけの資金が支給されるだろう。私にはそのような保険は適用されない。トラック運転手にもそのような保険はない」と指摘する。

農家の収入が減少すれば、その影響はディケーター周辺地域を支えている農業経済全体に波及するだろう。
イリノイ州中部に位置するこの都市は人口約7万6000人。穀物加工最大手、米アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)が本社を構えている。


作況

熱波が続き生育シーズンが終わりに近づくにつれ、コーンベルト(中西部の農業地帯)一帯に拡大している干ばつが経済に与える打撃の深刻さは週を追うごとに増している。

米気象庁(NWS)によると、6月のディケーターの降雨量は平年の約3分の2にとどまった。

米国のトウモロコシの7月29日時点の作況は「優」と「良」を合わせた割合が約24%と、この時期としては1988年以降で最低。カリフォルニア州とアイオワ州に次ぐ穀物産地であるイリノイ州では「良」の割合がわずか5%で、「優」はゼロだった。

ディケーターとメーコン郡の経済開発公社のクレイグ・コイル社長は、作況が悪化すれば農業に依存するディケーターのような都市は収入源として農業経済に依存することができなくなると指摘する。
この都市では英食品原料会社テート・アンド・ライルが主要な雇用企業の一つとなっている。

コイル氏は電話インタビューで「ここは農業関連産業で成り立っている地域だ。町の労働人口の約15%が農業関連産業で直接雇用されており、農業が最大の産業だ。人口は減少しているものの、昨年過去最高の利益を上げた農業経営者らが町を活気づけてきた」と述べた。






農業に「依存」している、農業以外の産業の従事者(トラック運転手)は、農業従事者と違って「保険」も何もないので大変だ、というような話もあるんですね。

それも何とも言いようのない悲哀な物語ですが、逆に言うと、アメリカの農場経営者は、日照りだろうが干ばつだろうが何だろうが儲かる仕組みになっているようです(少なくとも、損をしない)。


ということは、例えば、どこかの国が

「消費者の利益のために食糧は価格の低い外国産をどんどん輸入すれば良いのだから、TPPでもなんでも自由貿易を推し進めればいいんだ

ということで自国の農業が衰退するのを顧みず、食糧はアメリカ頼みになっていたとして、アメリカで干ばつなどで収穫量がガタ落ちし、
そのアメリカ頼みになっている国に回す食糧が無くなっても、

アメリカの農場経営者は特に痛くもかゆくもない


ということもあり得るわけですね。



ちなみに、日本国における内閣府の「外交に関する世論調査」「対外経済で重点を置くべき分野」の調査(平成23年度)では、
一番重視するのが「エネルギー資源の確保」、その次が「食糧の確保」、となっており、「貿易・投資の自由の自由化の推進」よりも上位になっています。




内閣府の世論調査(対外経済で重点を置くべき分野)



「エネルギーの確保」が圧倒的上位。
「食糧の確保」は「貿易・投資の自由の自由化の推進」と比べてそれほど差がないとはいえ、上位に来ています。


これは、エネルギーや食糧の問題が、「経済」とか「カネ勘定」だけの問題ではないと認識している人が少なからずいることを示しているのではないかと思いますが、私はまさしくそのように認識しています。

TPPもその文脈の中で、考える必要があるでしょう。


カネは無限ですが、モノは有限です!
エネルギーと食い物がなければ、カネがどんなに腐るほどあっても、何もできません!
文字通り、指一本動かせやしないのであります。





さて、改めて、TPPの交渉参加国、または交渉参加表明国と日本との経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)の締結状況を確認しておきたいと思います。

外務省資料参照

○は締結済み、×は未締結

TPP交渉参加国
○シンガポール 
○チリ 
×ニュージーランド
○ブルネイ
×アメリカ
×オーストラリア
○ベトナム
○ペルー
○マレーシア

TPP交渉参加表明国
×カナダ
○メキシコ



まあ、前にも書いていましたので新鮮味がないかも知れませんが、これを見ると

TPPでアジアの成長を取り込む

というのには改めて「?」と思わずにはいられません。



また、未締結の国は全部、農業で引っかかっているんですよね。先進国ですが、全部農業が強い国ばかりです。

それなのに、なぜTPPで訳の分からんバトルロイヤル状態になると、突然、自由貿易協定の締結が可能になるのでしょうかねえ…


前もご紹介したように、カナダ紙の記事ではカナダの政府内部文書で「日本が参加しないとカナダのTPPにおける農業分野のメリットはほとんどない」と書かれている、という状況です。


まあ、日本国民の総意として、どうしても外国からカモられたい、ということになるのであれば、それはそれで一驚、じゃなかった、一興かとも思います。あまり笑えませんが。




 中東、いまにも火が噴きそう。

 食糧問題も火が噴きそう。

 東シナ海もきな臭くなってきている。


 こんな万事多難なときに、

 やっぱりTPPなんてやってる場合じゃない

 のではないかしら。


 震災からの復興とか、災害対策とか

 ほかに色々、緊急でやるべきことことが
 
 たくさんあるしねえ…



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529:イスラエルも格差深刻 - 元軍人らが相次ぎ抗議の焼身自殺。混迷深まるイスラエル社会について、まとめてみました。

2012/08/02 (Thu) 18:46
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さて、TPPについて、↓のようなJPEGファイルを作ってみました。

これは、あくまでも私の主張ではなく、
アメリカの反TPP
の皆さんの主張ですが…

No_TPP.jpg  






本日は、日本であまり報道されていない、イスラエルの格差問題について、詳細をまとめてみました。


と言いつつ、まずは日本語ソースで:


焼身自殺図り男性重傷 イスラエル、物価高騰デモの最中に
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120715/mds12071510590001-n1.htm
MSN産経ニュース 2012.7.15

イスラエル中部テルアビブで14日、住宅価格や生活費の高騰に抗議する数千人規模のデモの最中、北部ハイファの40代の男性が焼身自殺を図り、体の80%をやけどする重傷を負った。同国紙イディオト・アハロノト(電子版)が伝えた。

 目撃者によると、男性は液体をかぶって自分に火を付ける前に「ネタニヤフ首相やシュタイニッツ財務相は貧乏人から奪い、金持ちに与えている」「ホームレスにはなりたくない。だから国家の悪行に抗議している」と書いた紙を読み上げた。

 男性の知人の話などによると、男性は脳卒中の後遺症で働けなくなったため、公共住宅の割り当てを国に申請したが断られ、周囲に焼身自殺を予告していたという。





その方が自身に火をつけた直後の、衝撃的な動画がRT.comに掲載されています。

Heated discontent 2012: Man sets himself on fire as thousands protests in Israel (PHOTOS, VIDEO)
2012年、加熱した不満: イスラエルで、数千人の抗議活動のさなか、男性が自らに火を付ける(写真、動画あり)
http://www.rt.com/news/israel-protest-housing-203/
RT.com 15 July, 2012


が、その後、その男性が亡くなっていますので、当ブログでは敢えて、直接動画を貼るのは差し控えさせていただきます。


そして、その焼身自殺した男性の影響で、その後イスラエルでは4件の焼身自殺(未遂含む)が起きたと、英国で1841年にユダヤ人紙THE JEWISH CHRONICLEが伝えています

Four more self-immolations in Israel
イスラエルでさらに4件の焼身自殺
http://www.thejc.com/news/israel-news/70490/four-more-self-immolations-israel
THE JEWISH CHRONICLE ONLINEJuly 26, 2012



私が驚いたのは、そのうちの一人が
イスラエル国防軍の軍人であったことです。
なお、最初に焼身自殺を図り、その後死亡した方(Moshe Silman氏)も、ロシアRT.comによれば元軍人とのことです(ただし、イスラエル紙ではMoshe Silman氏を元軍人とは伝えていませんが)。


Wheelchair-bound IDF vet latest Israeli to set himself ablaze
車いすに乗ったイスラエル国防軍の退役軍人、焼身自殺を図る
http://www.rt.com/news/israel-another-veteran-fire-795/
RT.com 22 July, 2012

A disabled Israeli Defense Forces veteran has self-immolated, sustaining burns to 80 per cent of his body. The incident follows the death of IDF veteran Moshe Silman, who sparked a series of similar protests by setting himself ablaze last week.
障害を負った元イスラエル国防軍の軍人が、焼身自殺を図った。彼は全身の80%の火傷を負った。この出来事は、一連の自らに火を付けるような抗議のやり方のきっかけとなった、元イスラエル国防軍の軍人であるMoshe Silmanの死に続くものであった。



"I immediately understood that it was gasoline and not water," Mahmoud Gdir, an eyewitness, told Agence France Presse. "I saw him holding a lighter and pleaded with him not to do it, but he did. I ran to my car to get a small fire extinguisher. It lasted about 2-10 seconds."
目撃者の一人、Mahmoud Gdir氏はAFP通信に「私はそれが水ではなくガソリンだとすぐに分かった」と語った。「私はかれがライターを手に持っているのを見て、彼にやめるよう嘆願したが、彼は実行した。私は私の車に戻って小型の消火器を持ってきた。それは2~10秒続いた」

The disabled man, aged 45, was later recognized as an IDF veteran. Sustaining massive burns, he was rushed to a hospital where he was induced into a coma and put on life support.
障害を持っていた45歳の男性は、元イスラエル国防軍の軍人であると分かった。重度の火傷を負い、病院に担ぎ込まれたが、昏睡状態に陥り、生命維持装置を付けられた。

The Disabled IDF Veterans' Association says financial woes compelled the veteran to take the desperate measure.
イスラエル国防軍退役軍人障害者協会は、経済的困窮がその元軍人をそのような自暴自棄な行為をするように追い込んだと言っている。

"The bodies that are supposed to support him, i.e. the Defense Ministry and National Insurance Institute have failed him,” the organization’s spokesman told Ynet News. “I'm afraid over 50,000 IDF veterans share his frustration."
「国防相や国民保険局など、彼を支えるべき組織が、彼を見捨てたのです」。イスラエル国防軍退役軍人障害者協会の広報担当者がYnet Newsに語った。「私は5万人のイスラエル国防軍退役軍人が彼の不満を共有することを恐れます」



Israeli social services are collapsing, says Yael Havasi, a public housing activist and protester. As the health system becomes increasingly privatized, fewer people have access to medication, while the criteria for public housing are unrealistic.
イスラエルの社会保障は崩壊しつつある、と公営住宅運動家・抗議者の Yael Havasi氏は言う。医療制度の民営化が進み、ほんの少数の人しか医療サービスを受けられない一方、公営住宅の基準は非現実である、と。

“If you do not have three children you will not get public housing,” Havasi told RT. “People are not dying of hunger, they are dying of despair. This is what the government has to listen to.”
Havasi氏は「もし子供が3人いなければ、公営住宅を手に入れることはできない」とRTに語った。「人々は飢えによって死ぬのではなく、絶望によって死んでいるんです。このことにこそ、政府は耳を傾けなければならないのです。」

But Prime Minister Benjamin Netanyahu has yet to propose a solution.
しかし、ベンジャミン・ネタニヤフ首相はまだ解決策を示していない。

“Throughout his political career, Benjamin Netanyahu has always had a neoliberal economic view, which is pro-privatization. The whole idea is that poor people have to handle themselves. So I am not surprised Netanyahu is not answering us quickly,” continued Havasi. “But I am surprised our Minister of Housing [Ariel Atias] does not understand that either he gives real solutions to people or he should resign from the government, from the point of view of what his [Shas] party is promoting.”
「ベンジャミン・ネタニヤフ首相は、彼の政治的経歴を通じて、常に新自由主義的な経済観を持っていました。それは民営化推進の考え方です。貧困者は自分で何とかしなければならないという考え方です。だから、ネタニヤフ首相がすぐに私達に答えを示そうとしないことに、私は驚きません」とHavasi氏は続けた。
「しかし、私は、建設・住宅大臣(Ariel Atias氏)が、彼が人々に現実的な解決策を提供するか、もしくは、彼が辞任すべきかということについて分かっていないということに驚きました。彼の所属政党(Shas党)が推進していることからすればね。」

---

イスラエル建設・住宅大臣(Ariel Atias氏)が所属するShas党というのは、

Wikipediaによりますと、その目的の一つは…

The stated purpose of the party is ... to repair what it sees as the “continued economic and social discrimination against the Sephardic population of Israel”.
…イスラエルにおけるスペイン・ポルトガル系ユダヤ人(the Sephardic)に対して続けられている、経済的、社会的差別(とShas党の人々が見なしているもの)を修復することが、記述された政党の目的である。

とのことです。


上記記事の(反格差)抗議者の発言は、その政党の目的と、その政党所属の大臣の行動が一致していないのではないか、ということを指摘しているようです。



しかし、貧困にあえぐ元軍人らが相次ぎ焼身自殺を図っているさなか、イスラエルを巡る軍事的緊張はいよいよ高まりつつあります。



Time running out for peaceful solution to Iran problem - Netanyahu
イラン問題の平和解決は時間切れになりつつある:ネタニヤフ首相
http://www.rt.com/news/netanyahu-iran-solution-panetta-648/
RT.com   02 August

Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu said sanctions were not curbing Tehran’s nuclear ambitions. He waved off the visiting Pentagon chief’s advice to stick to a diplomatic resolution of the crisis.
イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相は、経済制裁は、イランの核開発への野望を抑制していない、と発言した。
彼は、(イスラエルを)訪問中の、米国防長官の、この危機に関しては外交的解決にこだわるべき、という助言を重要でないと退けた。

At a Wednesday meeting with US Defense Secretary Leon Panetta in Jerusalem, Netanyahu suggested that Israel’s patience with Iran was reaching the end of its tenure.
水曜日、エルサレムにおけるレオン・パネッタ国防長官との会合で、ネタニヤフ首相は、イランによるイスラエルの苦痛は限界に達しつつあることを示唆した。

“Right now the Iranian regime believes that the international community does not have the will to stop its nuclear program,” he noted. “This must change, and it must change quickly because time to resolve this issue peacefully is running out.”
「イラン政権は目下、国際社会がイランの核開発を止めるつもりがないと信じている」と彼は述べた。「これは変えなければならない。しかも、すぐに変えなければならない。もはや平和的解決の期限は迫りつつあるのだから。

He stressed that while the sanctions were hurting Iran’s economy, they were failing to force it to abandon its nuclear program.
彼は、イラン経済が制裁により打撃を受けている一方、国際社会がイランに核開発を放棄させることに失敗していることを強調した。







退役軍人らが不満を募らせそうな気配もある一方で、イスラエル政権は軍事行動を起こそうとしている、というのはなかなか複雑な政治環境であると言えるかも知れません。


さて、イスラエルでは左派による大規模な抗議活動が続いています。

連続した焼身自殺事件は、その一環であります。


ちなみに、イスラエルの左派系新聞HaaretzWikiによれば、イスラエルにおける読者シェアは5.8%)の論説記事には、かなり過激な意見が書かれています:


Netanyahu must offer Israelis a social New Deal
ネタニヤフ首相は、イスラエル人に対し、社会的「ニューディール」を提供すべきだ
http://www.haaretz.com/print-edition/opinion/netanyahu-must-offer-israelis-a-social-new-deal-1.375669
By Ari Shavit (Haaretz) Jul.28, 2011

The young man in the green T-shirt standing on my right at the protest rally of the 30,000 said he was left-wing but a Zionist. He votes for Meretz. So why was he demonstrating? Because they screwed us over, prostituted us, turned us into slaves. The 18 families who control the Israeli economy are taking advantage of us, cheating us and making idiots out of us. They're sucking our blood using the banks, cellular companies and big supermarkets. They're brainwashing us with Channel 2.
3万人の抗議集会で、私の右側に立っていた緑のTシャツを着た若者は、彼は左翼でシオニスト(イスラエルの地にユダヤ人国家を建設する主義の人々)だという。
彼はメルツ党(左派)に投票した。
彼はなぜデモに参加したのだろう?
それは彼らが我々をだまし、我々を売りとばし、我々を奴隷にしたからだ。
イスラエル経済を支配する18の家系が我々から利益を得ており、我々をだまし、我々を利用して馬鹿げたことをしている。
彼らは我々の血を吸って、銀行や携帯電話会社や巨大スーパーマーケットを利用している。彼らは「チャンネル2(イスラエルのテレビ局)」を使って我々を洗脳している。



What Israel needs urgently is a sane, liberal social synthesis - not neoliberalism, not cryptocapitalism and not red socialism. If Bibi doesn't understand this soon, he will be replaced quickly. This time it's not the media, stupid. This time it's the people. And the people are saying clearly that the place of the elite is not on the Israeli stretcher but carrying it. The people want social justice.
イスラエルに今すぐ必要なのは、新自由主義でもなく、隠れ資本主義でもなく、真っ赤な社会主義でもない、健全で豊かな社会的統合である。
もしも"Bibi"(ネタニヤフ首相のこと)がこのことをすぐに理解しなければ、彼はすぐに交代させられるだろう。
今度は、メディアが愚かなのではない。国民だ。
そして、エリートたちの居場所は、イスラエルという担架の上ではなく、担架を運ぶ側にあるのだと国民は明確に言っている。
国民は社会的公正を望んでいるのだ。






この記事を書いたのは

Ari Shavit is a senior correspondent at Haaretz Newspaper and a member of its editorial board.

ということでHaaretz紙の編集委員の一人です。

左派系新聞の編集委員が、単純に「新自由主義反対!」ではなく、「新自由主義でも真っ赤っかな社会主義でもなく、健全で豊かな社会的統合」と言っているところは興味深いところです。


私も常々、資本主義と社会主義のあいの子、いいとこ取りの「第三の道」を主張しています(ブログでも著書でも。新著にも書きましたが、一番詳しいのは「さらば、デフレ不況」です)

極端な資本主義(新自由主義)は格差を拡大しすぎるし、極端な社会主義は生産性を毀損して世の中全体を停滞させてしまいます。

それはもう結果の出ているところですから、その中間の方法、両方の長所を伸ばし、短所を低減する方法が妥当だというのは自然の流れではなかろうかと思います。





長くなりましたが、もう少し続けます。

今度はイスラエルで最も読まれているISRAEL HAYOM(ISRAEL TODAY)(シェア39%。Wiki参照)の記事です。

最も読まれているとはいえ、フリーペーパーのようですが。


Wikiによると、同紙の共同経営者の一人が、完全にネタニヤフ首相寄りなのだとか。ネタニヤフ首相は右派で新自由主義のリクード党所属ですから、同紙はどちらかというと新自由主義寄りで右寄りかも知れません。


なお、↓この記事は1年前のもの。





In her majesty’s service
(タイトルは訳しにくいので、そのままにしておきます)

http://www.israelhayom.com/site/newsletter_article.php?id=784
ISRAEL HAYOM August 19, 2011

Who is behind the news reports that Kadima is aiding the tent protests? Perhaps Kadima itself, which has seen parties to its left gaining popularity at its expense since the protests began.
カディーマ党(主に右派政党リクードの穏健派らが2005年に設立した政党。その後、労働党の一部も合流。現在、イスラエル議会の最大政党Wiki参照)がテントを張った(反格差運動の)抗議者たちを援助しているというニュース報道の裏に誰がいるのか? 
もしかしたらカディーマ党自身かもしれない。

抗議活動が始まって以来、そのカディーマ党の犠牲のもと、左派政党が支持を伸ばしている。

Dror Eydar (この記事を書いた記者の名前)



This week, the Walla website published an exposé about Kadima’s behind-the-scenes involvement in the tent protests. The diligent reporter found dozens of protest signs, which had been carried during the latest demonstrations, stored at the party’s headquarters. Two and a half weeks earlier, Channel Two’s Rina Mazliah reported something similar. Nevertheless, the Walla article drew a torrent of emotional responses from people who took the bait.
今週、Wallaのウェブサイトが、カディーマ党のテント抗議者に関する内幕について、暴露記事を発表した。
勤勉な記者は、最新のデモで使われていた大量の抗議サイン(プラカードのことか)が、カディーマ党本部に保管されていたことを発見した。
2週間半前、チャンネル2のRina Mazliah が同様のことを報告した。
それにも関わらず、Wallaの記事は、その「えさ」に食いついた人々の感情的反応の嵐を引き出したのであった。

(カディーマ党がこっそり左派の抗議活動を支援していた、ということをバラされただけなのに、なぜか左派の人たちを怒らせた、ということ)


Interestingly, Kadima’s reaction to both exposés used almost the exact same wording. “Over the past two and a half years, Kadima has taken advantage of every opportunity to convey its messages opposing the government of taxes.” Then came Kadima’s emphatic assertion, in both exposés, that they did not start the protest.
興味深いことに、この二つの「暴露」に対するカディーマの反応は、ほぼ正確に同じ言葉であった。
「過去2年半にわたり、カディーマはすべての機会を利用して、政府の増税に反対するメッセージを届けてきた」。
そして、両方の暴露において、カディーマ党は、彼らが抗議活動を始めていないということを強調した。

In my opinion, this is hardly an exposé at all, as Kadima itself is likely behind these leaks. Paradoxically – or not – Kadima is the protests’ main casualty. The protest has indeed aroused the left wing, mainly the ideological Left, which “suddenly” discovered that Kadima was actually neither socialist nor social-democratic, and held a neoliberal economic worldview which, to some degree, resembles that of the Likud. This renders it superfluous not only as a kind of Likud II, but also as the leader of the left wing and the successor to the Labor Party. Meanwhile, the strength of those parties that have consistently focused on socialist messages, such as the Labor, Meretz and Hadash, has increased.
私の意見では、これは暴露でも何でもなく、カディーマ党自身がこのリークの背後にいるようだ。
逆説的に、というべきか否か、カディーマ党は抗議活動の主たる犠牲者だ。
抗議活動は左翼(主にイデオロギー的左派)を刺激し、彼らはカディーマ党が社会主義者でもなく、社会民主主義者でもなく、ある程度リクード党(右派、新自由主義寄り)に似た、新自由主義的な経済観を持った政党であることを「突然」、発見することとなった。
このことは、カディーマ党に、第2リクードのようなものとして、ということだけでなく、左派の指導者として、労働党の後継者として、余計なものを与えた。
その間、一貫して社会主義的なメッセージに焦点をあててきた、労働党やメルツ党が支持を伸ばした。

Various polls conducted over the past month show that Kadima has lost seats to the parties to its left. While it is not certain that the trend will last, it is clear from the polls that even if the general public identifies with the issues which the protest has brought to the fore, it also identifies the protest itself, at least politically, with the Left. Therefore, the Likud has not really been harmed. While criticism of the government from the Left does not have much of an effect on right-wing voters, it does bring the left-wing voters back home - at Kadima’s expense.
先月行われた様々な世論調査は、カディーマ党が彼らよりも左にある政党に支持を奪われたことを示している。
この傾向が続くかどうか定かではない。
しかし、世論調査からは、もし一般大衆が、抗議活動によって示された事柄に共鳴したとしても、一般大衆はその抗議活動自体を左派と同一視するであろうことが、明らかになっている。
それゆえ、リクード党は打撃を受けていない。
左派からの政府に対する批判は、右翼の有権者にほとんど影響を与えていない一方、カディーマ党の犠牲のもと、左翼の有権者は左派政党に戻った。






前回の2009年の選挙では、

中道的な立ち位置のカディーマ党が最大の議席(28/120)を集め
右派のリクードが27で第二政党、
中道右派のYisrael Beiteinu(Israel is our home)党が15となりました。


そして、
左派は労働党が8、
メルツ党が3で少数派だった
(以上、wiki参照)のですが、

カディーマが下手な小細工もあって支持を落とし、これら左派政党が支持を伸ばしている、というわけですね。

ただ、それは1年前の情勢です。


ちなみに、カディーマ党は今年の5月8日にリクード主導の連立政権に参加したのですが、わずか2か月後の7月17日には離脱しています
wiki参照)

これはちょうど、最初の焼身自殺(Moshe Silman氏)が起こった7月14日の直後ですが、やはり関連があったのでしょうか。
このSilman氏の焼身自殺はイスラエル社会に相当なインパクトを与えたようですから…。


アメリカ同様、イスラエルでも右と左の純化と言いますか、分断が進行しているようです。

そして、そのさなかで元軍人が焼身自殺を図るという出来事があり、その一方で首相がイラン攻撃を示唆している。

さて、
仮にイスラエルがイラン攻撃を強行したとします。
勝っても負けても、戦後は左派が勢力を伸ばすのではないでしょうか。
戦争になれば、かならず犠牲者が出ます。負傷し、後遺症が残る軍人も出てきます。

そして、その後のイスラエルの政治情勢は混迷を深めそうです。

それは様々な意味で、中東全体の安定を揺るがすことにつながるかも知れません。


ただし、私は左派系の新聞記者が

「イスラエルに今すぐ必要なのは、新自由主義でもなく、隠れ資本主義でもなく、真っ赤な社会主義でもない、健全で豊かな社会的統合である。」

と言っていることに少しだけ救いを見いだせたような気がしています。





 あのイスラエルでも

 テントを貼っての

 『占領運動』があり、

 新自由主義反対!

 あるいは、

 新自由主義も真っ赤っかな社会主義もダメ!

 と言っている人たちがいるとは、驚いた!!!



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