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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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550:日銀当座預金の仕組みから分かる、政府の財政赤字それ自体が国債発行をファイナンスする構造

2012/09/26 (Wed) 15:48
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徳間書店刊 (2014年8月発売)
「日本経済のミステリーは心理学で解ける」

「個人レベルから国レベルに至る“閉塞感”を打ち破るための共通原理」を、経済学、心理学、脳科学、生物学等から抽出:ぜひご一読頂きたい、味わいある一冊です!

全国の書店で好評発売中!


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↑この本の目次項目一覧はこちら

↑この本の一部を無料公開中(「経済にそれほど関心はないが、スポーツや自己啓発などに関心がある」というような方に本書をPRするための資料です。周囲の方に本書をお勧めする際など、ご活用下さい)

↑この本についてゆるーく語り合う
フェイスブックのグループ
 「日本経済のミステリーは心理学でトロピカル」
 https://www.facebook.com/groups/1472415033007299/
 フェイスブックにアカウントをお持ちの方はふるって上記のグループにご参加して頂ければ、と思います(いまのところ、参加要請があれば「来る者拒まず」の方針でメンバーになって頂いております。




↓こちらの既刊本もよろしくお願い致します:
「国の借金」カバー表面

「国の借金」アッと驚く新常識 ~"年金絶望世代"も元気が出る

(技術評論社 刊)



消費税、ユーロ問題、TPP、
国の借金、破綻と繁栄の世界史、将来への展望etc…



図表が全部、短い説明文付きの「プレゼン形式」など、
分かりやすくする工夫がいっぱい! 

◯日本の財政余裕度は世界一。世界で一番「破綻」と縁遠い国!
◯そもそも「破綻」した国は、むしろその後、急成長している場合が多い! 


という、「究極の二段構え」の“新常識”で、あなたと日本を元気にします!




“バーチャル立ち読みコーナー”開設:

《「国の借金」アッと驚く新常識》の一部を
PDFでご覧頂けます!
こちら

その他詳細な内容紹介:

1.“章別の内容紹介”→こちら
2.“5つのことわざで分かる、簡単マクロ経済入門”→こちら





以下、本題です。

まずは先ほど入りたてのこのニュースのご紹介から…




自民党新総裁に安倍元首相―石破氏を逆転

http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_519108
ウォール・ストリート・ジャーナル 2012年 9月 26日




「国土強靭化法案」



「2011年から2020年までの平均名目成長率3%、つまり、10年で164兆円増やし、2020年の名目GDPを644兆円にする消費税増税法案
附則18条

が実現するための、最初の第一歩が踏み出されましたね!





さて、今回は、今までの著作やブログでは少々曖昧になっていた

金融機関が国債を買うとき、どこにある資金でどうやって決済するのか

という問題についてです。


日本銀行金融研究所 編の

日本銀行の機能と業務

という本があるのですが、これが日銀の業務全般について非常に分かりやすく解説しています。


そして、しかも全編PDFファイルをネット上で無料公開しているという気前の良さなのですが、
お陰様でこれまで分かっていなかった、あるいは疑問を持っていたことがかなり分かりました。


これを読んだ私の理解では、


「金融調節とは、実務レベルにおいては、日銀当座預金を適正水準に保つことであり、それに尽きる」

と言ってしまって良さそうです。


さて、国債の募集における実際上の手続は、以下のようになっています。


「国債を買う側の金融機関が保有している日銀当座預金を、政府が日銀に保有する政府預金口座に振替することによって処理される」



ここで「振替」とは、「預金を同じ金融機関の中の他の口座に移すこと」です。

ちなみに、「振込」とは「預金を他の金融機関の口座に移すこと」です。


なお、「振替」も「振込」も、帳簿の書き換えだけで手続は完了であることに違いありません。






国債の募集に限らず、
政府への入金は、それは個人からの納税であったとしても、その個人が口座を持つ、あるいは現金を持ち込んだ金融機関の日銀当座預金口座から日銀の政府預金口座に「振替」がなされることによって処理されます。



逆に、

政府からの出金は、公共事業であれ年金の支払いであれ、その最終的な支払先の個人や企業が口座を持つ金融機関の日銀当座預金口座に、日銀の政府預金口座から「振替」がなされることによって処理されます。


つまり、政府の入出金は、日銀の政府預金口座と各金融機関が日銀に持つ当座預金口座の間で、振替により行ったり来たりすることによって処理されます。



ここまでを短くまとめると、

国債の募集(借金による収入)であれ、税収であれ、政府への入金

日銀の各金融機関当座預金口座→日銀の政府預金口座への振替処理

となり、

公共事業、年金の支払い、公務員の給料など政府からの出金

日銀の政府預金口座→日銀の各金融機関当座預金口座への振替処理

となります。


この「政府預金」と「各金融機関の当座預金」がポンプのモーターのようにくるくる回ることによって、日本の経済が回っているということになります。

また、「政府預金」と「各金融機関の当座預金」の合計が例えば、20兆円なら20兆円で固定であっても、政府の負債が増え、民間(個人や非金融企業)の資産が延々増え続けることも可能になります(これはあとでまた解説します)。

そして、「政府預金」と「各金融機関の当座預金」は、放っておいても、「入り」と「出」が必ずバランスするはずです。なぜなら、借金であれ税収であれ、政府への入金、つまり、政府預金の増加はいずれ政府支出となって必ず政府預金の減少&各金融機関当座預金の増加となるはずであるからです。

しかし、タイミングがずれると、政府や金融機関の資金繰りが短期的であれ完全に止まってしまうことになります。そして、その資金繰りを絶対に止めず、円滑にすることこそが日銀の役割、日銀の真骨頂、ということになります。


例えば、「この日に大規模な国債の募集がある」というのは当然、事前に分かっているので、日銀としてはその決済をスムーズにするために、国債の買い手である各金融機関が日銀に持っている当座預金を事前に増やしにかかります(もちろん、買い手が個人や非金融企業であっても、決済はその個人や企業が口座を持っている各金融機関の、その日銀当座預金口座によって行われるので、当然、各金融機関の日銀当座預金口座の残高に余裕が無ければなりません)。

さて、そこで各金融機関の日銀当座預金を増やすには何をすれば良いか?
各金融機関が保有している国債やCP(コマーシャルペーパー)などを日銀が買い入れることによって、各金融機関の当座預金を増やすわけです。

あるいは、各金融機関から預かっている担保の範囲内で、貸し付ける(その貸付金額を日銀当座預金に入金する)ことも可能です。

なお、実際の金融調節の実例は、「日本銀行の機能と業務」 第5章第4節(p.124)をご参照ください。



要するに、たいていの場合

政府が赤字を増やし、国債を増発するならば、
日銀は、当座預金残高の水準を適正に保つ、つまり、金融調節のため、国債などの金融商品を買わざるを得ない


ことになります。

だから、
政府が国債を増発すれば、日銀もそれにつれて国債を買い増しせざるを得ないのです。
ただし、あくまでも財政ファイナンスではなく、日常業務としての「金融調節」の名のもとで。


これは非常に重要なポイントです。


そして、前回も書きましたが、財政法第5条で原則禁止されている「日銀による国債の直接引受け」も、日銀が既に保有している国債の借り換えについては「特別な事由」として認められています。

日本銀行の機能と業務」 第9章第3節(p.223)に、

―――
日本銀行は,財政法(第5 条但書)に基づき,特別の事由がある場合には,国会の議決を経た金額の範囲内で,政府に対し資金の供与を行いうることとされているが,この「特別な事由」に基づき実際に行っているものとしては,日本銀行が,金融調節の結果として保有している国債の償還に際して,その借換のために国債を引き受ける場合に限定されている。
―――

とあります。

「直接引受け」は、「原則禁止」というよりも、むしろ「条件付きで認められている」と言ったほうが良いくらいです。

「金融調節=日銀当座預金の適正水準の維持」という仕組みを知れば、なおさらその印象は強まるばかりです。


もちろん、民間部門がひたすら増発される国債を、あればある分だけどんどん買い続けるのであれば、日銀は国債を一切買い増す必要はありません。

民間部門の負債が減り続ける中では、金融機関も国債をあればあるほど買い続ける以外の選択肢がほとんどありません。

もちろん、個人や一般企業から預かっている預金の多くが、普通預金や当座預金など、いつ払い戻し請求されるか分からない預金であれば、その運用は長期国債よりも、価値変動の僅少な短期国債が中心になります。

金融機関が長期国債を嫌気して短期国債に走るとか、そういったことは常に注意が必要です。






そして、ここでもう一つの論点が出来ます。


上記なような金融調節の仕組みがあるので、日銀当座預金残高の水準というのは日々、激変します。

よって、当座預金の運用資産として保有する金融商品は、価値変動の大きい長期のものは好ましくなく、短期の売買に向く、価値変動の僅少な短期のものが好ましい、ということになります。

これが「長期国債は日銀券の発行残高まで」という「日銀券ルール」を日銀が持っている理由となります。

とまあ、こういった説明が、「日本銀行の機能と業務」第3章p.119のコラムに掲載されています。


私の理解では、日銀券、つまり、お札は、「永久国債」のような無期限の債券(日銀なので、国債ではなく日銀債、ですが)であり、長期国債は短期債務である当座預金の運用資産ではなく、無期限債務である日銀券の運用資産であるべきだから、ということではないかと思われます。

この点、一般銀行が預金(=債務)の長短構造によって保有資産の長期と短期を選定するのと全く同じ動機づけです。


日銀が長期国債を買うためには「日銀券」の残高が増えることが必要となります。
私が思うに「日銀券ルール」があるかどうか、というよりは、金融調節の性質上から仕方なく、ということになろうかと思います。


ところで、

バブル絶頂の1990年には30兆円程度しかなかった日銀券残高は、現在は80兆円と2倍以上に増えています。


当座預金の増減が「超短期の金融調節」であるとすれば、日銀券の増発というのは「中長期の金融調節」と言えそうですが、この「中長期の金融調節」の結果として、日銀はしっかり日銀券を増発しており、それなりのことはしていると言えるのではなかろうかと思います。



日銀券発行残高
出典:日本銀行


一方で、名目GDPは1990年449兆円、2011年468兆円(IMF WEO Apr. 2012)、1.04倍にしかなっていません。

日銀券はGDPに比べればかなり勢いよく増えていることが分かります。
逆に言えば、日銀券を増やし、日銀保有長期国債を増やすだけでは名目GDPは増えない、ということになろうかと思われます。





このように書くと、るで私は日銀擁護派のようですが、それはその通りであります。

4年前に「国債を刷れ!」の原稿を書いていたときに、01年から06年の量的緩和の時期、銀行の貸出金利が量的緩和の効果で確実に押し下げられていたにもかかわらず、名目GDPは伸びず、デフレ脱却もできなかったことを、データで確認しました。
私はこれは間違いなく緊縮財政をやっていたことが原因だと考えており、それゆえ、どちらかというと日銀擁護派です。


しかしながら…




↑は以前、コメント欄でご紹介頂いた上念さんの動画です。

上念さんによると日銀が「人口減少でデフレになっている」というレポートを出してしまったとのことです。

このようにされてしまうと私も日銀を擁護できなくなってしまうので、日本銀行さん、出来ればこのようなレポートを出すのはご勘弁頂きたいところなのですが・・・


なお、上記動画では私のブログのデータをご活用くださっています。上念さん、ありがとうございます♪

しかし、上念さんは本当にしゃべりがすごいですね。最後までケタケタ笑いながら拝見させて頂きました(こういうしゃべりは、私には不可能事であります)。





さて、最後に、日銀の政府預金と日銀の各金融機関当座預金シーソーゲームで、政府の負債と金融機関の保有国債がどんどこ膨らんでいく(=個人や一般企業の金融資産が増える)ことの説明をしておきたいと思います。



※個人や非金融企業は省略していますが、金融機関の預金が増えることは、個人や一般非金融企業の資産が増えることに等しい、と解釈して下さい。


まず、①初期状態です。


スライド1





次に、②国債
10兆円募集です。

金融機関の「当座預金」が、国債購入のため10兆円減少し、政府預金がその分増えています。
金融機関は当座預金という資産が減る代わりに国債という資産が増えますので、資産の合計は変わりません。

政府は国債という負債が増えましたが、政府預金という資産が増えましたので、純資産レベルでは変化なしです。

日銀の負債である政府預金と各金融機関の当座預金の合計は変化なしです。「振替」で債権者が金融機関から政府に変わったけです。

スライド2




次に、国債募集で集めた資金により、③政府支出
10兆円が行われます。

このとき、日銀の政府預金が各金融機関に「振替」されます。

そして、ここが重要なのですが、各金融機関の資産合計が増えます。
資産として保有している国債の上に、さらに日銀当座預金という資産が増えるのです。

このとき、本当に資産が増える(というよりは、純資産が増える)のは、政府の最終的な支払い先である個人や企業、ということになります。個人や企業が各金融機関で持っている口座の預金残高が増えるのです。

金融機関は政府と、個人や一般企業の間を取り持っている間に、資産と負債が両建てで増えます。これぞ、信用創造というやつであり、マネーの増加です。

マネーが増えるとは、資産と負債が両建てで増えるということです。


そして、先述のように、政府の最終的な支払先である個人や企業に資金が振り込まれるのですが、その前段階としては必ず、政府からその個人や企業が口座を持つ金融機関の日銀当座預金口座に資金が振替入金されます。

ここでも日銀の負債である「政府預金」と「金融機関当座預金」の合計は全く変わりません。

なお、実際には国債募集と政府支出がこんなにタイミング良く互い違いに起こるわけではもちろんありません。先述のとおり、政府の入出金と各金融機関の入出金のミスマッチは、日銀が「金融調節」の名のもとに、日銀当座預金を適正水準に調節することによって文字通り調節されることになります。

スライド3




そしてもう一度、④国債
10兆円の募集です。

ここでも、日銀の負債の合計は変化しません。


スライド4




そして、さらなる⑤財政出動10兆円です。

これによって、政府の純負債がさらに増え、金融機関の資産・負債が両建てでさらに増え、個人や企業の純資産がさらに増えます。

スライド5




そして、もう一度、⑥国債10兆円増発です。

スライド6



そして、
⑦更なる財政出動10兆円
により、政府の資産=日銀政府預金が減って純負債がより一層増え、金融機関の資産・負債が両建てでより一層増え、個人や企業の純資産がより一層増えます。

スライド7





以上の7枚のグラフをGIFアニメにしたのが下のGIF画像です。1秒ごとに画像が切り替わります。


1348635852OrFWrrie0mxjtm9_1348622439.gif


日銀の「政府預金」と「各金融機関の当座預金」の合計は20兆円のまま変わらず。
にもかかわらず、
政府の負債(国債発行残高)が増え続け、
金融機関の資産・負債が両建てで増え続け、
個人や一般企業の預金が増え、純資産が続ける



これを別の見方をすると、政府の赤字、負債増加が、結局は政府のさらなる国債増発の資金を生み出すことにつながる(財政出動された資金が結局は余裕資金となって国債購入に回る)、と見ることができます。


日銀の決済機能、日銀当座預金の仕組み=金融調節の仕組みをよくよく見てやると、このようなことが可能である、ということがよく分かるのであります。


なお、①から⑦のグラフにおいて、個人や一般企業、各金融機関、日銀、政府、つまり国全体の連結決算をしてやると、国全体の金融純資産は一切不変です。

国全体の金融純資産を変化させるのは国内部門の相互の収支ではなく、対外収支であります。








 
  日銀の仕組みを知ることで、

  政府財政赤字が

  そのまま政府の財政ファイナンスになる仕組み

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549:是清も「カネよりモノ」だと言っていた - 【金(かね)本位から物質本位の思想へ】:高橋是清『随想録』より

2012/09/22 (Sat) 13:23
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1.“章別の内容紹介”→こちら
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私の著書、「『国の借金』新常識」のアマゾン・レビューで興味深い現象が起きています。


「国の借金」大丈夫だ派の急先鋒である三橋さんの本(「グロ韓」)については、

―――
三橋さんの本はいろいろ読んできました。きちんとデータを示してくれて、説得力のある論理展開がいつも素晴らしいです
―――
というレビューを書いているのと同じ人が、

「国の借金」大丈夫だ!と書いている私の著書については、全否定のレビューを書いているという現象です。


しかも、そのレビューの内容が何とも、破綻論者の皆さんによって今まで使い古されたような内容のオンパレード(=三橋氏がこれまでさんざんそれと戦ってきたような内容)だったりします。


ここまで矛盾した行動を取られるのは、何か余程の、人知ではうかがい知れないような深遠な事情があるのか、とも思われます。

しかし、どうやらこの方がこの「全否定レビュー」を書いたきっかけである、当ブログへのコメント

---
その本を買えば、きちんと説明が有るのかもしれませんが、政府の借金を国の借金と言ってるのは財務省の手先のような悪質なミスリードに感じます。
---

を書き込んだ方のドメインが、全く得体の知れないプロバイダー住所等非公開【訂正】その後住所が公開されているのを発見しました)であるため、これらを総合すると

積極財政派に対する何らかの分断工作

の可能性も出てきました。


分断工作であるならば、なかなか良い線行ってるような気もしますが、いかんせん、スケールが小さすぎるようにも思えます。


それはさておき、以前、当ブログで「批判レビューがあれば、ご質問があったものとして回答を当ブログで掲載します」と宣言していたので、その通りにしたいと思います。


ただ、普通に回答を書くだけだと、本の内容をおうむ返しするだけで終わってしまい、常連読者の皆様には実につまらない内容になってしまうかと思います。よって、できるだけこれまで本やブログで書いて来なかった、新しいネタを盛り込んでおきたいと思います。

―――

新常識など書かれていません。奇をてらったトンデモ本です。
http://www.amazon.co.jp/review/R12IIY9WTE1PNI/ref=cm_cr_rdp_perm?ie=UTF8&ASIN=4774151491&linkCode=&nodeID=&tag=
By アイアンフルーツ 2012/9/16

 

面白く読ませていただきました。タイトルおよび内容に矛盾と誤謬がありますので、あえてレビューを書かせていただきます。



何をもって「トンデモ」、「矛盾」、「誤謬」とするかは、主観的問題であり、人によって違うものと思われます。アイアンフルーツさんにとってはこれが正しいのであり、私にとっては、残念ながら違います。




著者自身がよーくご存じのはずなのに、はじめにタイトルありきで、こんな明るい未来の展望みたいな結論にしたのはなぜでしょう。



結論は「おわりに」に書かせて頂いております。
その内容はネット上でもPDFファイルにて公開させて頂いておりますが、かなりの制約条件を付けさせて頂いております。だから、単純に「こんな明るい未来の展望」となっているものではありません。

例えば、

「アメリカ大統領に重大な影響を与えているような『大金持ち』の人々に、何が彼らの本当の利益となるかということを理解してもらい、納得してもらうこと」

と書いてます。これ、読む人が読めば、かなりきわどいことを書いていることがお分かりだと思います。


また、

 私が皆さんと共有したい「夢」の実現にはそれこそ50年、100年以上の長い歳月がかかるかもしれません。

としています。これは、決して簡単ではない、という認識を示しています。




本が売れないと困るから、こういう趣旨の内容にしたのでしょうが、それが理由としたら、無責任で欺瞞的で不誠実の印象はぬぐえません。



もしこの本のタイトル程度で「無責任で欺瞞的で不誠実」だとすれば、世の中の大半の書籍について、その著者や出版社は「無責任で欺瞞的で不誠実」ではなかろうかと思います。

もっともこの問題についても、主観的問題であり、相対的な問題であると思われますが。



著者が指摘しているように、日本国民の預貯金がなくなりつつあるのですから、国債を消化できなくなる日が来ますよ。



残念ながら著者である私は、「日本国民の預貯金がなくなりつつある」と指摘している事実はありません。

例えば、p.107のプレゼン32で以下のようなグラフを提示していますように、民間の金融純資産は政府の金融純負債以上に増えていることを指摘しています。

日本対外純資産


この事実は「国債を消化」する余裕がむしろ増え続けているということを示すものです。




日本は、外国から借金をほとんどしていないから安心などというのは、現在、GDPの2倍の累積債務があるのに円高という説明にはなっても、

将来安心という根拠にはなりません。





事実として、本書ではそのような将来リスクがあることをしっかり示しております。

p.187において
「少子高齢化で働き手が減ることにより、モノやサービス――食べ物、飲み物、電気・ガスなどのエネルギー、医療・介護サービス、医薬品等々、衣食住を維持するために必要なモノやサービス――が足りなくなってしまうことは十分にあり得ます。」

というリスクを指摘し、

「モノやサービスが不足し、国民の生活が成り立たなくなる、という『物流上の破綻』を防ぐことこそ、政府が果たすべき役割です。」

という対策の方針を明確に示しています。

また、この「物不足を防ぐための対策」については、p.189からp.217で29ページというかなりのページ数を割いて説明しておりますので、お手元にある本書を是非お読みください。

また、p.90のプレゼン28、鳥取城包囲戦の「城内はお金だけがうず高く積み上がり、食べ物がない状態に」も併せてご覧ください。


ところで、経済は「カネではなくモノの充実こそ重要」という考え方について、実は高橋是清「随想録」に以下のように書いています

―――
金(かね)本位から物質本位の思想へ



金(かね)さへあれば力を以て弱いものを征服して行った。
しかるに持って帰った金はいつの間にやら余所(よそ)へ取られて仕舞った。
何故に取られたかと云ふとスペインやポルトガルの国は一時金銀の洪水が漲(みなぎ)ったやうなもので、国民は自分が作る絹で満足しないで他国で作ったものを無闇(むやみ)に買入れたためにその代わりに金銀がドンドンと出て行った。

そこへアダム・スミスと云ふ有名な経済学者が百五十年程前に一国として尊ぶべきは金だと云ふが金ではないといった。
金は前に言ふ通り他の国に取られて仕舞へば無くなるのである。
してみれば金よりは品物が大切である。
物資こそ国富の元だから盛んに物資を作らなければならぬ。
物資は即ち金を取るゆゑんであり金ばかり溜めたって役に立たぬから物を作らなければならぬ、如何にして生産を盛んにするかと云ふことが国富の元であると云ふのがアダム・スミスの経済論の骨子である。

それから五十年も後にアメリカのビリュウスと云ふ学者が同じことを唱へてアダム・スミスの言ひ足らなかったところを補って居る。
物資が大切である、物資を作るところの国民の生産力を作らなければならぬ、これが元であると説いたが、その生産力を増進すると云ふことが今日いよいよ各国共に必要を感じて来た時代になって来たのである。

―――

モノが足り続けることこそ、経済の根本であり、生存の根源であります。カネではありません!



著者は、お金を刷ればよいとの言説ですが、民間金融機関に国債買い入れの資金(銀行にとっての借金・国民にとっての預金)がなくなれば、

法改正して日銀に直接国債を引き受けさせるしかありません。そうなっても大丈夫と言えますか? そこが最大の問題でしょう。

お金を刷っても、ハイパーインフレで、国債を保有している個人や金融機関が大損した敗戦直後の繰り返しになりますよ。




「お金を刷ればよいとの言説」ということが著者である私の言説ではありません。上記のようにモノ不足に陥らないようにカネを使わなければ意味がありません。カネだけあってもモノが無ければ人間は生きていけません。


また、法改正しなくても日銀の国債直接引受けは可能です。

財政法第5条では

特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内

で認めています。

ちなみに、借り換え国債であれば、実際の実務上、すでに特例として認められています。

つまり、

1.通常の金融調節の範囲内で市中銀行に日銀が資金貸付

2.市中銀行が「1」の資金を利用して国債を政府から買い付け

3.日銀が「2」の国債を市中銀行から通常の金融調節として買入れ

4.「3」で買入れた国債の借り換え国債を直接引受け

という手順を踏めば、
特に新しく国会決議を要することなく、直接引受けは可能となります。

要はやる気、意志の問題です。

また、現在の財政法が成立し、戦後の強烈なインフレが終息した後も、しばらくの間、実は日銀は政府に直接貸し付けをしたり、低利で発売されていた短期国債の売れ残りの直接引受けをやっていましたが、ハイパーインフレにはまったくなっていません。

終戦直後は2発の原爆を食らったのを始め、全国主要都市が爆撃で破壊されていたのですから、激しいインフレにならない方が不思議です。


さて、私の知る範囲で国債直接引受けの代表的な例を挙げると

①第1次大戦のドイツ

②第1次大戦のアメリカ

③第2次大戦の日本

④第2次大戦のアメリカ


となります。

①と③は激しいインフレを引き起こしましたが、②、④、つまりアメリカはちっともハイパーインフレのハの字も起こっていません。

要は、モノが足りるかどうかです。本土の破壊をほとんど受けず、供給能力が毀損しなかったアメリカは、国債の直接引受けをしようが何だろうが、激しいインフレになどならなかったのです。
(この辺り、いずれ参考資料付きでもっと正式な文章を書きます)


よって、

「国債を中央銀行が直接引受ければ必ずハイパーインフレになる」

というのは幻想に過ぎません。



江戸時代は中央銀行が存在せず、通貨は中央政府たる幕府が直接発行していました。
しかし、残念ながら江戸時代にハイパーインフレは起こっていません。

ただし、局地的には飢饉、つまり、物流上の破綻は起こっていましたが。




超円安で輸出代替化効果に望みを托すみたいな単純な復活論理は、国民窮乏の中で起こることなんですよ。。

著者は、論理をすり替えて、破たんした国々は、みんな元気に甦っているかのように言いますが、元気に甦ってはいませんよ。

国民は塗炭の苦しみを味わっています。著者はこれぐらい調べていて、よく知っているのに、これはないでしょう。




理論のすり替えとは何を指すのか分かりかねますが、事実として、ほとんどの国は何度かの「財政破綻」を経験しながら、今日の人類史上空前の豊かさを享受するに至っています。

―――
ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授らの著書『国家は破綻する』には、「対外債務危機は新興市場経済が先進的な経済へ成長する過程で避けて通ることのできない通過儀礼のようなものである」
―――

とあり、また同書に

―――
「国家としての初期段階では、あのフランスでさえ、すくなくとも八回は対外債務のデフォルト(債務不履行)を起こしている。スペインは一八世紀末までは六回で済んでいたが、一九世紀に入ってから八回を記録して、フランスを追い抜いた。このように今日のヨーロッパの大国が新興段階からのし上がる過程では、今日の多くの新興市場国と同じく、対外債務のデフォルトを繰り返している
―――
という記述もあることは、p.30に引用したとおりです。


また、

「破綻→通貨安→回復→破綻前以上の成長」

というのは世界中でお決まりのパターンです。

本書第1章のグラフをすべてお読みかえし頂いた上で、

当ブログ記事

【経済破綻と回復】
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-83.html

も併せてご参照ください。


もちろん、その過程で過度の格差拡大が生じ、それによって破綻を来たしてしまうこともあるでしょう。

格差拡大を防ぎながら成長するための方策については、

お手元にある本書のp.218からp.240をご覧ください。




ただでさえ、財政規律が緩みっぱなしで、自己保身だけの政と官は、これが怖いからこそ増税に走って自分たちの保身と延命に走っているわけです。



増税は財政規律の緊縮化です。



ならば、さっさと破綻したほうがマシという結論なら、納得できますが、どうしてバラ色の未来に結論付けしたいのですか?



上記のように結論はかなり厳しい条件付きです。
とは言え、第6章および「おわりに」でその対策を詳細に書いていますので、ご参照ください。



超円安の貧乏国家になったら、海外からエネルギー資源も、輸入食品も調達できなくなりますよ。

円を闇雲に印刷するということは、円の価値を暴落させることであって、国民生活は地獄絵になります。




それを防ぐための方策は、前述のとおり第6章に50ページ以上のページ数を割いて詳細に書いておりますので、もう一度お手元の本書をお読みください。



そうなれば連続世界一の債権国家の日本といっても、そのお金もあっというまに枯渇します。これが常識ですよ。

常識に「新常識」などと付けて、煽ったタイトルにしていますが、どうして著者のような見識ある人が、こんなトンデモ本を出すのか、不思議です。




何をもって「常識」とするか、これもまた主観的、相対的問題であると思われます。
もしあなたが、本書の内容をあなたの「常識」と異なると感じられるのであれば、それはまさにあなたにとって常識とは異なる「新常識」であることに他なりません。
著者としてこれ以上の喜びはありません!
心より感謝申し上げます!!






 
 高橋是清のみならず、

 アダム・スミス「国富論」も

 経済は『カネではなくモノ!』

 だったか!



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「国の借金」新常識 バーチャル立ち読みコメント(9)トラックバック(0)|

548:#TPP とシェールガス輸出:アメリカと違い、カナダはFTA締結を条件とするような、面倒なことはしないそうです

2012/09/20 (Thu) 17:53
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「TPPに入ると、アメリカからシェールガスをいくらでも輸入できる」

これをTPP参加のメリットとして挙げるような話を聞くことがあります(以前、コメント欄でも頂きました)。

今回は、これについて。


まず、TPPというかFTAとアメリカのシェールガス輸出について。


―――

三菱商事と三井物産、米国産LNG輸入で米社と協議
http://jp.reuters.com/article/jpTrade/idJPTYE83H01V20120418
ロイター 2012年 04月 18日


三菱商事と三井物産はそれぞれ年間約400万トンの天然ガスの液化作業を、米電力・ガス会社センプラ社(SRE.N: 株価, 企業情報, レポート)の100%子会社であるキャメロンLNGに委託し、2016年末にも日本やアジアなどの需要家に販売する計画。三菱、三井両社合わせて800万トンのLNG販売量は2011年の日本の輸入量(7853万トン)の1割強に達する。

今回輸入を検討する米産LNGには、三井物産が同国内で事業参画する新型天然ガスの「シェールガス」も原料に含まれる。キャメロン社は米国と自由貿易協定(FTA)を締結した国向けでLNGの輸出許可を米エネルギー省から得ているが、日本など米国とFTAを結んでいない国向けの輸出許可は昨年12月に申請され、現在承認待ちという。

―――


ということで、FTAを結んでいない国へのシェールガス輸出は、FTAを結んでいる国とは別の許可がいるというわけですね。


確かに、日本がTPPに入ると、米国からのシェールガスの輸入に関して有利になるのは間違いなさそうです。


では次に、どれくらいの量を輸入できそうなのか、と言う話になります。

まず、大きな背景として、アメリカのエネルギー省(の下部組織のエネルギー情報事業団)のデータベースより、アメリカの石油やガスその他エネルギー全体の収支の見通しを見ておきましょう。


米エネルギー収支2

出典:U.S. Energy Information Administration


とりあえず、エネルギー省の見通しでは2035年になってもアメリカのエネルギーは純輸入であることに変わりはないことになります。

ただ、純輸入は半減し、自給率(簡易計算)は現在の80%程度から89%程度に上昇する見込みとなります。


しかしとにかく、アメリカは今後もエネルギー純輸入国であり続ける、ということです。


これを踏まえて、天然ガスの収支の見通しを見てみましょう。


米天然ガス収支

出典:U.S. Energy Information Administration



天然ガスについては、

・2021年には天然ガス純輸入国から純輸出国に転じる

・輸出量が将来は現在の倍以上に増える


ただし、

・輸出量が増えるのは主に、カナダ、メキシコ向けのパイプライン輸出

であり、

・日本に関係のある液化天然ガスの輸出は2020年の0.9兆立方フィートで頭打ちになる見込み

となります。


ここで、
1 cf (立方フィート)= 0.0283 m3 (東京ガス資料参照)

なので、

0.9兆立方フィート = 254.7億立方メートル

となります。

次に、4月以降、福島原発事故の影響で輸入量が増加した日本の2011年の天然ガス輸入量推計値(11月まで実績、12月のみ推計値)は、

7,864万トン(JOGMEC資料参照)

です。で、

1トン≒天然ガス1,220m3 (東京ガス資料参照)

なので、

7,864万トン×1,220 = 959.4億立方メートル 

です。


仮に、アメリカの液化天然ガスの2020年の輸出見込み量を全て日本に回してもらえたとしても、

原発が止まった状態の輸入量の

254.7億立方メートル÷959.4億立方メートル = 26.5%

にしかならない、と言う計算になります。


しかも、これを全部回してもらえるとは限らない、ということになるでしょう。



NHK

シェールガス革命(4) 日本への輸出計画 Bizプラス 2012年4月27日 放送
http://cgi4.nhk.or.jp/eco-channel/jp/movie/play.cgi?movie=j_bizplus_20120427_1883

によると、アメリカ政府はシェールガスの日本への輸出に消極的とのことですが、これはTPPも見据えたことなのかも知れませんが、そもそもアメリカは決してエネルギーの純輸出国になるわけではない、ということも大きな理由の一つではないかと思われます。


もちろん、アメリカの液化天然ガス輸出量が日本の現在の全輸入量の1/4に相当するようになる、ということは、TPPにとってプラスの材料と言えるかも知れません。

しかし、これだけでTPP参加を推し進めるべきだ、というほどのものでも無い、と言えるのではないでしょうか。

少なくとも「TPPに入ればアメリカからいくらでもシェールガスを輸入することができる」というのは期待過剰と言えそうです。





それに加えて、カナダのガス輸出に対する姿勢があります。


―――

カナダ産シェールガス
資源相、対日輸出に意欲
TPP・FTA締結「条件とせず」


日経新聞2012年9月20日7面

来日中のオリバー・カナダ天然資源相は18日、日本経済新聞と会見し、カナダ産シェールガスについて「日本への長期安定供給の柱となるのがカナダだ」と強調、対日輸出への強い意欲を示した。
カナダ政府が対日輸出を認めるかどうかの判断は「貿易協定の有無とは一切無関係だ」と言明。

「…カナダは「(米ロなどの大国とは異なり)ミドルパワー国だ。
 豊富な資源を政治ゲームに使わない。
 安定と繁栄のためにだけ使う」

「カナダと米国は根本的に立場を異にする。
 同じ北米だからといって、同一視しないでほしい。…」

「国内に巨大な人口と市場を抱える米国と、国内市場が小さいが資源が有り余っている
 カナダは事情が違う。
 11月に交渉が始まる日加FTAとガス輸出の問題は分離して考えている」

「いま世界は地政学的に極めて不安定だ。
 イラン情勢は危機的で、シェールガス革命も進む。
 日本は10~30年先を見据えてエネルギー安全保障の戦略を確立すべきだ。
 分散調達は最優先の課題であり、カナダこそがそのパートナーになれる


もう米国の消費に依存できない。
 米経済の成長鈍化で需要が頭打ちとなり、相次ぐシェールガス発見でガス流通量も
 豊富だ。
 価格が下がった米国以外の輸出先が必要となり、日本、中国、韓国に注目
 している」


調達競争を計算 安値期待にクギ


日本の液化天然ガス(LNG)は米国内のシェールガスより価格が2~5倍も高い。
民主党政権が原発ゼロの方向を示し、火力に依存する日本は上昇するLNG価格に悩まされている。
安い北米のガスに関心が向かうが、米国は原則的に貿易協定の締結国にしかガスを輸出しない。

一方、対米ガス輸出で採算が取れなくなったカナダはアジアに目を向ける。
資源相は日本との連携を唱える一方で「輸出側としては高く売りたい」と明言。日本側の安値期待にクギを刺した。

資源相が言う「政治ゲームの否定」と「政府不介入」の原則は表裏一体だ。
市場に任せれば日本はガス調達と開発投資で中国や韓国と戦わなければならない。
需要国間の競争を、カナダ政府がしたたかに計算に入れているのは間違いない。

―――


ただ、FTAやTPPとは無関係というのは非常に大きな魅力と言えるでしょう。

また、カナダとの間でガス供給の大規模な取引が確立すれば、アメリカ政府はともかく、アメリカ企業(NHK動画に出てきたエクソン・モービルなど)は、アメリカ政府に「ワシらにも高値で売れる日本向け輸出をさせろ!」と逆に圧力をかけることになるでしょう。

TPP/シェールガスに関してはこの辺りをしっかり計算に入れて行動すべきでしょう。
 


さて、最後にカナダからアメリカへの天然ガスの輸出見通し(アメリカのカナダからの輸入)を見ておきましょう。

カナダからの天然ガス輸入


今後20年で0.7兆立方フィートくらい減ることになり、つまりカナダの輸出余力がそれだけ増えることになるものと思われます。

アメリカの液化天然ガス輸出の見込み数量(0.9兆立方フィート)にそん色ない水準です。

もちろん、これを日本向けにするためにはガスの液化設備が必要になりますが、シェールガス欲しさにTPPに前のめりにならないで済む材料として有力なものと言えるでしょう。








 
 カナダの大臣じゃないけど、

 シェールガスとTPPは、

 切り離して考えたほうが良さそうだ!



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547:株式相場の読み方の検討 - あのQE3の張本人、バーナンキFRB議長も、QE3は“財政の崖”の「衝撃による影響を相殺するほど十分強力ではない」と警告!

2012/09/18 (Tue) 12:09
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今回は、

>財政の崖に突入した場合、NYダウは30%ぐらい下がりますか?

というコメントを頂いたことを受け、当ブログとしては珍しい相場の見通しについて。


ただ、予測、ではなく、あくまでも、見通しに関する考え方の検討であります。


先に私自身の相場に対する基本方針を示させて頂きますと、

「もっとも重要なことは、予想や予測そのものよりも、予想や予測が外れても致命傷を負わないように備えること」


であります。

というのは、こうしておけば相場によらず常に感情が安定しやすいですし、予測がはずれたときでも、失敗から学び、次に活かすことが可能であるからです。

特に、値上がりの予測が外れて、暴落したときなどは、「超割安になった優良物件に投資する」、というようなことも可能になります。


それはそれとして。


ご質問はNYダウでしたが、すみません、データ入手が比較的容易であったS&P500指数株価、一株利益、PERの推移を見てみましょう。



SP500PERなど

S&Pホームページの「Index Earnings」より。



まず、PERについて。

PERとは、以前にも書きましたが、

株価 ÷ 一株利益

で計算されます。

株価が何年分の利益に相当するか?

という意味合いになります。



これが100倍なら株価は利益100年分で、かなり割高です。

また、10倍を切れば割安と言われます。

とりあえず上記グラフを見ると、S&P500指数のPERは16倍なので、そこそこ割安に近く、また、過去20数年では最低水準に近い状態です。

これだけを見ると、割高とも言えない、上昇余地がある、と言えるかもしれません。


次に、チャートの形を見ましょう。


二つの山が出来ており、現在、もう一つの山を形成しそうな感じになっています。

前の二つの山、すなわち、90年代末のITバブルと00年代半ばの不動産バブルを、今回の山が抜ければ、もっと高値を付けるだろうし、今回の山が前2回の高値を抜けずに反落すれば、いわゆる「三点天井(ヘッド・アンド・ショルダー)」の形になり、暴落になるだろう

チャート・リーディングを好む人なら、そういう見通しを立てるかも知れません。





じゃあ、この前2回の山を抜けられるかどうか、です。

直近の株価上昇の原因とされているのが、以下の二つのニュースです。

―――

UPDATE1: ECBの債券買い入れ計画発表で「ポジティブな結果」─ドラギ総裁=独紙
http://jp.reuters.com/article/treasuryNews/idJPTK089481220120914
ロイター 2012年 09月 14日

 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、すでにECBが債券買い入れ計画を発表したことによる「ポジティブな結果」が出ているとの認識を示した。14日付の南ドイツ新聞が伝えた。
ECBは先週、ユーロ圏諸国が正式に支援を要請し、厳しい条件を受け入れることを前提に、ユーロ圏の国債を無制限に買い入れる用意があると表明した。

―――

UPDATE6: 米FOMCがQE3決定、雇用改善まで資産購入継続表明し時間軸も延長
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPJT823412320120914
2012年 09月 14日

―――


しかし、ECBの「国債の無制限買取」

「厳しい条件を受け入れることを前提」、つまり、緊縮財政・財政再建が条件となっています。


つまり「現在の金融緩和+将来の緊縮財政」のセットメニューであって、一時しのぎに過ぎません。



また、FRBのQE3についても、すでにこのブログで何度も取り上げている「財政の崖」問題があります。

バーナンキFRB議長も警告しています:

―――

米経済、「財政の崖」により回復損なわれる可能性=FRB議長
http://jp.reuters.com/article/jpUSpolitics/idJPTYE88C07520120914
2012年 09月 14日

バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は13日、年末に迫る「財政の崖」を回避できなければ、米経済の回復が損なわれる可能性があると警告した。

米国では議会が新たな赤字削減策で合意しなければ、年末に政府支出の強制削減が発動され、減税措置が失効する。

バーナンキ議長は記者会見で、この2つの衝撃から経済を守れるほどFRBの新たな景気刺激策は強力ではないと指摘した。

議長は「財政の崖への対応が行われなかった場合、私がこれまで述べてきたように、われわれのツールは大きな財政の衝撃による影響を相殺するほど十分強力ではないため、そうした事態に備えた対策を検討する必要がある」とし、「財政政策当局者は解決策を見出すために協力することが非常に重要になる」との見解を示した。



―――


前々回の当ブログ記事で示しましたように、大統領がオバマさんになるか、ロムニーさんになるかに関わらず、下院は共和党の過半数になる可能性が高いため、

“「財政の崖」を回避でき”ないので、“米経済の回復が損なわれる

可能性が極めて高くなります。


これは、三点天井の三つ目の山が過去二つの山を抜けずに反落するだろう、という可能性が高いということになります。


では、山が崩れるとして、「時期はいつか?」と言う話ですが、

通常、大統領選までは、現政権があの手この手を使って株価上昇に持って行こうとするものとされています。

しかし、現状、下院は緊縮財政大好きな共和党が過半数であり、「財政の崖」はまさにその共和党優勢の下院によって生み出されたものです。

つまり、打つ手は限られているのであり、FRBの金融緩和以外の手は少々考えにくい状態です。


ということは、


・欧州も米国も緊縮財政になることがほぼ確定している。

・現在の株価上昇は、欧米の金融緩和が主な原因(ただし、心理的要因)と考えられる。


という格好になります。


FRB議長の見通しが正しければ、もはや、三つ目の山はいつ崩れてもおかしくない状況ではないでしょうか?



―――

次に、「どれくらいまで下がると考えられるか?」ですが、

すみません、それは正直なところ、分かりません。

ただ、過去2回の底値、イラク戦直前(2003年3月)とリーマンショック後に付けた底値あたり、800ドルくらいが一つの目安ではないでしょうか。

現在の1460ドルからするとほぼ半分近い水準ですが、それくらいまで行ってもおかしくない、かも知れません。

でも、それは分かりません。そこまで下がるまでに何らかの変化(政策的対応や戦争の勃発)があったっておかしくはない
ですから。





さて、最後に、相場を見通すことがいかに難しいかを物語るエピソードを一つ。

先ほど、イラク戦直前(2003年3月)に底値を付けた話を書きました。正確には、本当の底値は2002年の10月ですが、皆さん、通常、戦争が起きたら、社会不安が増大し、株価が下がると思いませんか?

私、イラク戦直前はもっと下がると勝手に思い込んでいました。しかし、現実は逆で開戦をきっかけに株価が上昇基調に転じてしまったのです。

「戦争になるかどうかはっきりしないうちは下げていたが、いざ開戦となり状況がはっきりしたので」とかもっともらしい解説がされていましたが、本当のところはどうなんでしょうか?

少なくとも、当時はまだ「戦争=積極財政=景気回復」という見識を私は残念ながら持ち合わせておらず、この「戦争開始で株価上昇」となったときは、キツネにつままれたような気分にならざるを得なかったのでした。



イラク戦前後の株価
出典:米国 Yahoo! Finance




ウィキペディアによると、イラク戦争の開戦は03年3月20日、その3日前の3月17日

「先制攻撃となる空爆を行った後、ブッシュ大統領はテレビ演説を行い、48時間以内にサッダーム・フセイン大統領とその家族がイラク国外に退去するよう命じ、全面攻撃の最後通牒を行った。」

とあります。


上のチャートを見ると、この3月17日に株価が大幅に上昇していることが分かります。



※もし投資・投機を行う場合、「金銭的なバランスと心理的なバランスが取れる範囲内の行動を取る」ことを強力に推奨いたします。つまり、「相場がどう転んでも、経済的、心理的に致命的な打撃を追わない範囲内での行動に限定する」、ということであります。








 QE3=大幅金融緩和第3弾

 を実施した当のバーナンキ議長まで

 “「財政の崖」を回避できなければ、

  米経済の回復が損なわれる可能性があると

  警告”

 していたとは!



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546:財務省の陰謀?-「国の借金」という言い方について

2012/09/15 (Sat) 17:06
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↓このようなコメントを頂いたので、「国の借金」という言い方について少々書いてみたいと思います。

---
その本を買えば、きちんと説明が有るのかもしれませんが、政府の借金を国の借金と言ってるのは財務省の手先のような悪質なミスリードに感じます。
---

恐らく、「政府の借金を国の借金と言っている」ことをよく問題にされている三橋貴明さんのことを念頭に置かれているのではないかと思われますが、

その三橋さんに「国の借金」問題についてお教えしたのは、ほかならぬ、この私です。



それは、2009年2月の私の「国債を刷れ!」出版前後の三橋さんのブログや、あるいは、私が三橋さんの要請で監修させて頂いた三橋さんの著書「高校生でもわかる日本経済のすごさ!」とそれ以前の三橋さんの著書(たとえば、「ドル崩壊!」など)を読み比べて頂ければ、良くお分かり頂けることと思います。






私が発案し、そして、ありがたいことに三橋さんが盛んに取り上げて世の中に広めて下さっている「国家のバランスシート」(私の原案の呼び方は「国全体の連結貸借対照表」)は、私が苦心して税理士試験の「簿記論」や「財務諸表論」の勉強をしたことによって生み出されたものであります。

このようにして会計に関する専門的知識の獲得することでようやく、「ああ、マクロ経済というのは、全経済主体の連結決算か!」と気づくことが出来たのです。

この税理士試験のうちの「簿記論」や「財務諸表論」という科目の試験に合格するための勉強量、苦労の度合いは、元来が工学部出身の私にとっては、大学受験のために要した努力の数層倍の努力が必要なものでした。

それだけの苦労をした上で、「国家のバランスシート」(「国全体の連結貸借対照表」)にようやくたどり着いたのです。



それで「政府の借金を国の借金と言ってるのは財務省の手先のような悪質なミスリードに感じます」のように私が言われてしまうとは、何とも残念でなりません。





なお、私が「国家のバランスシート」(「国全体の連結貸借対照表」)にたどり着くためには、日本経済復活の会会長の小野盛司さんや、丹羽春喜さんがネット上で「国の借金」問題について発信し続けておられたことや、河村たかし名古屋市長が周囲の否定的反応を恐れず、勇気を奮ってテレビで繰り返し発言していたこと、あるいはその他大勢の皆さんの努力があったからこそでもあります。





なお、「国」という言葉は、

例えば、

を相手取り損害賠償を求める訴訟を地裁に起こす
(出典:読売新聞 2012年9月13日 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kyoto/news/20120912-OYT8T01523.htm

のように政府を意味する言葉でもあります。


大辞林 (三省堂)にも、

(地方自治体に対して)中央政府。

を意味するとあります。


だから、一般政府(中央+地方+社会保障基金)を指すのは多少誤りかも知れませんが、「国の借金」という場合の「国」というのは政府を意味するものであり、根本的に国語として間違い、というわけでも無いものと思われます。





また、本のタイトルで「『国の借金』新常識」としているのは、「『政府の借金』新常識」というタイトルでは、世の中の多くの人々にとって、ピンと来ないからです。

世の中の多くの人々に読んでもらおうとするならば、やはり「『国の借金』新常識」が適正であるものと考えられます。当ブログ名もその意図で現在のようになっております。

なお、このタイトルには「『国の借金』という言葉のもつ悪い響きそのものを消滅させてしまおう」という意味を込めています。それを是非とも汲み取って頂ければ幸いです。






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545:米経済、来年失速確実か? - 大統領選によらず下院は共和党過半数確実の見通し(日経報道)で、アメリカの超緊縮財政&来年の景気後退はほぼ確定的!

2012/09/13 (Thu) 15:55
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さて、TPPについて、↓のようなJPEGファイルを作ってみました。

これは、あくまでも私の主張ではなく、
アメリカの反TPP
の皆さんの主張ですが…

No_TPP.jpg  




少々体調を崩していたので9日ぶりの更新であります。





さて、日本の政局がいろいろ取り沙汰される今日この頃ですが、
当ブログは米大統領選&連邦議会選の話です。

これはこれで日本経済にも非常に大きなインパクトを与える話ですので!




今のところ、オバマさんが有利のようです。

ただ、決定的な差は無いので、まだまだ分かりませんが。


ギャロップ社調査:

大統領候補支持率
http://www.gallup.com/poll/150743/Obama-Romney.aspx


―――

CNNによれば、これは民主党大会効果のようです。


オバマ大統領の支持率、ロムニー氏を6ポイント上回る CNN調査
http://www.cnn.co.jp/usa/35021590.html
CNN 2012.09.11

11月の米大統領選に向けた民主党全国大会の終了後、民主党のオバマ大統領の支持率が共和党のロムニー氏を6ポイント上回ったことがわかった。CNNと世論調査機関ORCが11日までに発表した世論調査で明らかになった。党大会が近年になく大きな効果を挙げたとみられる。

4~6日に開催された民主党大会の直前の調査で、両氏の支持率はともに48%と並んでいた。今回の調査ではオバマ氏が52%に上昇する一方、ロムニー氏が46%に低下した。

―――

同記事によれば、先に行われた共和党大会ではオバマ政権に対するネガティブキャンペーンが目立ち、ロムニー候補の支持率は1%しか上がらなかった一方、民主党大会ではオバマ政権の実績アピールが功を奏した模様です。


そのような傾向は、Pew Research Centerの調査にも表れているようです。

Democrats Now More Positive on Campaign 2012
Fewer Republicans See Campaign as Interesting, Informative
http://www.people-press.org/2012/09/12/democrats-now-more-positive-on-campaign-2012/
September 12, 2012

PP12_09_12describeCampaign.png


“informative”とは、辞書を引くと

1 知識[情報]を与える.

2 教育的な; 有益な.

ということです。

民主党支持者は共和党支持者よりも、大統領選挙キャンペーンが有益であり、興味深い(interesting)ものと捉えていることになります。

そして、共和党支持者の多くは大統領選挙キャンペーンが「too negative」ネガティブ過ぎると捉えているようです。


こんな調査を踏まえると、なんとなく全体的な雰囲気としてはオバマさんが有利な感じでしょうか。



次に、昨日の日経朝刊7面より、議会選の趨勢です。

―――

米上院選も与野党接戦
「財政の崖」対応 懸念も


日経新聞 2012年9月12日朝刊7面


米議会が大統領選後も膠着状態が続く公算が大きくなっている。
大統領選挙と同時の上院選で与野党が接戦で、民主・共和両党とも安定勢力を確保できないのが確実なためだ。
年末に大型減税の失効などが重なる「財政の崖」への対応で議会が機能不全に陥ることを懸念する声もある。

(2年ごとに、上院は3分の1、下院は全議席が改選)


今回の上下院選はねじれ状態を解消し、政府と議会側の協調関係が構築できるかが焦点。
ただ、下院では2年前の前回選挙で草の根保守運動、「ティーパーティー」の支援を受けた共和党が圧勝。
選挙後に同党主導で選挙区の区割りを見直したこともあり、今回も大統領選挙の結果にかかわらず、共和党が多数を維持する見通しだ。

このため今回の選挙で議会勢力のカギを握るのは上院選。
米メディアの調査では非改選議席を合わせて100議席のうち民主党は42議席、共和党は43議席を固めたが、優勢の議席を含めても両党とも過半数には届かない。
接戦となる選挙区はいずれも大統領選でも両候補の支持が拮抗しており、大統領選と連動する展開となっている。

―――

で、記事ではその後

オバマ大統領再選→上院でも民主過半数 しかし下院は共和優勢→ねじれ解消せず

ロムニー氏当選→上院、下院も共和党優勢 →ねじれ解消。しかし安定多数なく議事妨害などで民主の抵抗必至

という見通しを書いています。


ということは、

オバマさんが再選しても議会勢力は現状とあまり変わらないので、このまま超緊縮財政=「財政の崖」に突入です。

また、ロムニーさんが当選しても、緊縮財政大好きな共和党政権の誕生なので、やはりこのまま「財政の崖」に突入です(というかすでに可決済みの予算をそのまま実施)。

つまり、大統領選に関わらず「財政の崖」に突入するのはほぼ確定的、ということになります。


なお、「財政の崖」で景気後退入りするだろうという米議会予算局の分析については、

【米議会予算局「デフレギャップが埋まるまで財政赤字を続けろ!」 】
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-480.html

をご参照ください。



おりしも、欧州からは

独憲法裁:ESM批准を承認-負担上限1900億ユーロが条件
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MA8B6G6JIJVL01.html
ブルームバーグ 2012/09/13


というニュースを受けて、


日本株は続伸、欧州懸念薄れ海運など景気敏感業種高い-電力も堅調
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MA9E0N07SXKY01.html
ブルームバーグ 2012/09/13

となっています。


しかし、アメリカの「財政の崖」による景気後退は恐らく、こんな欧州発の楽観的空気を軽く吹っ飛ばしてしまうでしょう。



他にもシリア・イラン・イスラエルなどの中東情勢、さらには、尖閣・竹島問題など、そこかしこに爆弾が仕込まれているような状況です。

日本の「次の政権」はこれを見据えなければならず、非常に重要で緊迫した局面を担うことになります。





さて、TPPについても少し書いておきますと

オバマさんが勝っても、ロムニーさんが勝っても、日本の参加は厳しいんじゃないでしょうか。

オバマさんが勝てば、上院も恐らく民主党が過半数です。

民主党の大きな支持母体の一つが労働組合であり、アメリカ最大の労働団体AFL-CIOが強硬に日本の参加に反対しています。また、労働団体だけでなく、自動車業界をはじめとする製造業団体(企業団体)も日本の参加に強い懸念を表明しています。


ロムニーさんが勝っても、上院は、仮に共和党が過半数とれてもぎりぎりです。また、「財政の崖」で景気が悪化すれば、そんな状況の中では労働団体・製造企業団体の日本参加反対の声はますます高まり、日本の参加というのはなかなか認めにくいでしょう。

もちろん、日本が完全にまな板の鯉状態で、なすがままに、レット・イット・ビー状態で参加するのであれば、話は変わって来るかも知れませんが、もし、そんなアホみたいな無条件降伏みたいなことをするくらいなら、いっそアメリカ合衆国の属州にしてもらい、アメリカ市民権と大統領選挙の選挙権を寄越せと主張したほうがマシなくらいでしょう。





さて、アメリカ関連の中東情勢について触れておくと、リビアではアメリカ大使館が襲撃され、大使ら4人が死亡しています。

この事件も、エジプトのアメリカ大使館襲撃も、アメリカ映画が原因であったとされています。

―――

ベンガジの米領事館襲撃で大使ら4人死亡 リビア
http://www.cnn.co.jp/world/35021696.html
CNN 2012.09.13


今回の事件は、イスラム教の預言者ムハンマドを冒とくしたとされる映画がインターネットに投稿されたことに対する抗議行動が発端となって発生した。エジプトの首都カイロの米大使館もこの映画をめぐって襲撃され、星条旗が破り取られている。


―――

これに関連するロシアRT.comの記事

―――

High alert at US embassies: Fear that anger at anti-Islam film may engulf Middle East
各国のアメリカ大使館、警戒を強化:アンチ・イスラム映画への怒りが中東全体を飲み込む恐れ

http://rt.com/news/security-film-protest-islam-977/

Published: 12 September, 2012


US embassies across the globe are tightening security after the ambassador to Libya died in a militia attack against the Benghazi consulate. The attack was sparked by a US film satirizing the Prophet Muhammad. Protests over the film are widening.
リビア大使がベンガジ領事館への民兵による攻撃で死亡したあと、世界中のアメリカ大使館は保安を強化しています。
攻撃は、預言者マホメットを諷刺している米国の映画が原因です。
映画についての抗議が広がっています。

­­A US Marine Corps anti-terrorism group has been dispatched to Libya to boost security in the wake of the deadly assault, officials said Wednesday. The Tuesday night attack resulted in the death of John Christopher Stevens, the US ambassador to Libya, and three other diplomatic staffers.
米国海兵隊の反テロ・グループは、死者の出た攻撃を受け、安全を強化するため、リビアに送られたと、当局は水曜日に言いました。
火曜日の夜襲は、ジョーン・クリストファー・スティーヴンズ米国駐リビア大使と3人の他の外交スタッフの死亡させました。

Besides ordering the roughly 50-member unit of the Fleet Antiterrorism Security Team to move in, Washington has also told all non-emergency US government personnel to leave the North African country and warned US citizens against travelling there.
50名の艦隊付き反テロ保安チームに出撃命令を出したほか、ワシントンはのすべての非緊急のアメリカ政府職員にリビアから退出するように言い、米国市民には旅行することについて警告を発しました。



―――

RT記事によると、リビア、エジプトの他、チュニジア、アフガン(タリバン)、レバノン(ヒズボラ)に怒りが広がっているようです。


この事件、シリア・イラン情勢にも多少なりとも影響を与えずにはいられないのではなかろうかと思われます。


そして、そのような中でアメリカの超緊縮財政→来年前半の景気後退が確実性を高めつつあります。

「国の借金大変だ教」を押しのけて積極財政・景気対策をやろうと思うなら、最も手っ取り早いのは…


そう考えると、世の中、ますます緊張が高まりつつあると言わざるを得ません。







 世界がどうなるかによらず、

 日本のやるべきことは


 ・TPP不要


 ・震災復興や将来投資を兼ねた

  景気対策のための積極財政


 であることに変わりはありません!



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544:米ガチ保守の反 #TPP の根拠 「WTOやFTA協定といった“超国家機関”は我々の国家主権を侵害するので不要」:ロン・ポール下院議員

2012/09/04 (Tue) 15:44
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さて、TPPについて、↓のようなJPEGファイルを作ってみました。

これは、あくまでも私の主張ではなく、
アメリカの反TPP
の皆さんの主張ですが…

No_TPP.jpg  




昨日は、

アメリカの労働団体、つまり、左派・リベラル派のTPPに対する見方
(TPP慎重論&日本のTPP参加お断り論)を紹介しましたが、



今日は、

アメリカの保守と言えばこの人
、というべき、

ロン・ポール下院議員

自由貿易協定(FTA)反対の理由について。



ロン・ポール下院議員の考えというのは、「とにもかくにも合衆国憲法に書いてある通りにせよ!」という、いわば「合衆国憲法原理主義」という感じです。






まずは2007年11月28日の共和党大統領候補たちによるCNN討論番組より。


ロン・ポール下院議員のNAFTAあるいはNorth American Union(北米連合?)に関する見解です。









Youtubeから来た質問に対してポール議員が答えるというスタイルです。

上記動画は質問者の質問部分がカットされていますが、質問者の質問とポール議員の回答の書き起こし文が掲載されています。

(なお、質問者の質問の映像を含む動画はこちら



質問:
Seekster (Youtuber from Arlington, TX):

Now, I've met a lot of your supporters online, but I've noticed that a good number of them seem to buy into this conspiracy theory regarding the Council of Foreign Relations and some plan to make the North American Union by merging the United States with Canada and Mexico.

These supporters of yours seem to think that you also believe in this theory, so my question to you is, do you really believe in all of this, or people are just putting words in your mouth?

全訳は時間がかかるので、概略だけ書きますと、

「あんさんの支持者たちと話していると、外交問題評議会(CFR)とか、アメリカとカナダとメキシコを全部一つにしてまう北米連合だとかの陰謀論を信じているようなんだけど、あんさんはほんまにこんなん信じてるのん?」



回答(ロン・ポール下院議員)

(こちらは真面目に全訳します)

- Ron Paul responds:

Well, it all depends on what you mean by "all of this", the CFR exists, the Trilateral Commission exists, and it's a [quote] "conspiracy of ideas", this is an ideological battle, some people believe in Globalism, others of us believe in National Sovereignty.
外交問題評議会(CFR)とか三極委員会(日米欧委員会 Trilateral Commission)は存在しますし、それは「観念としての陰謀」で、これは思想的闘争で、ある人々はグローバリズムを信じ、他の人々は国家主権を信じています。

And there is a move on toward a North American Union, just like early on there was a move on for a European Union and eventually ended up.
そして、早くから欧州連合EUの動きがあり、結局それは出来上がったように、北米連合NAUにむけた動きも存在します。

So we have NAFTA, and moving forward a NAFTA highway, these are real things, it's not somebody made this up, it's not a conspiracy.
それで、我々には北米自由貿易協定NAFTAがあります。そして、NAFTAハイウェイを推進しており、これらは現実のものであり、誰かの作り話ではなく、陰謀でありません。

They don't talk about it and they might not admit about it, but there's been money spent on it, there was legislation passed in the Texas Legislature unanimously to put a hold on it.
彼らはそれについて話しませんし、彼らはそれについて認めないかもしれませんが、しかし、それに使われるお金がありましたし、テキサス州議会がそれを確保するための法律を満場一致でで可決しました。

They are planning on millions of acres taken by eminent domain for an International Highway from Mexico to Canada, which is going to make the immigration problem that much worse.
メキシコからカナダまでのインターナショナル・ハイウェーのための何百万エーカーもの土地を土地収用権によって収用することを彼らは計画しています。そして、それは移民問題をより悪化させそうです。

So it's not so much a secretive conspiracy, it's a contest between ideologies: whether we believe in our institutions here, our National Sovereignty, our Constitution, or are we going to further move in the direction of International Government, more UN.
だから、それは秘密主義の陰謀ではなく、イデオロギー闘争です。
我々が我々の国家機関、我々の国家主権、我々の憲法を信じるか、我々が国連以上の国際政府の方向にさらに進むのか、という思想闘争なのです。


You know, this country goes to war under UN resolutions, I don't like Big Government in Washington, so I don't like this trend toward International Government. We have a WTO that wants to control our drug industry, our nutritional products.
ご存知のように、この国は国連決議によって戦争を起こします。私はワシントンの大きな政府を好みません。だから、私は国際政府に向かうこの傾向が好きでありません。
また、我々には、我々の製薬産業や我々の食品をコントロールしようとしているWTOがあります。


So I'm against all of that, but it's not so much as a sinister conspiracy, it's just knowledge is out there; if we look for it, you'll realize that our National Sovereignty is under threat.
だから、私はこれら全てに反対です。それは邪悪な陰謀などではなく、単にそこに存在しているということを認識しているに過ぎません。
我々がそれをしっかり探究すれば、あなたは我々の国家主権が脅威にさらされていることに気付くでしょう。






最後の

「我々がそれをしっかり探究すれば、あなたは我々の国家主権が脅威にさらされていることに気付くでしょう。」

の部分を言い終わった時、盛大な拍手が巻き起こっています



次に、ロン・ポール議員の自由貿易協定に関する見解をまとめているサイトがありましたので、そこからいくつか拾っておきたいと思います:


Free trade agreements threaten national sovereignty
自由貿易協定は国家主権を脅かす


I opposed both the North American Free Trade Agreement and the World Trade Organization, both of which were heavily favored by the political establishment.
私はNAFTAもWTOも反対しました。どちらも、政治的支配層にあまりにも有利過ぎるのです。

Many supporters of the free trade market supported these agreements.
自由市場主義の支持者の多くはこれらの協定を支持しました。

Nearly six decades ago when the International Trade Organization was up for debate, conservatives and libertarians agreed that supranational trade bureaucracies with the power to infringe upon American sovereignty were undesirable.
60年近く前に国際貿易機関が議論に上りましたが、アメリカの国家主権を侵害する超国家的な貿易官僚機構は好ましくない、ということに保守主義者やリバタリアン(完全自由主義者)は同意しました。

出典:Source: The Revolution: A Manifesto, by Ron Paul, p. 96 , Apr 1, 2008






NAFTAもWTOも

「アメリカの国家主権を侵害する超国家的な貿易官僚機構」

とのこと。



この論法で行けば、「TPPもWTOも日本の国家主権を侵害する超国家的な貿易官僚機構」ということになりましょうか。





Fast-track cedes power from Congress to President
ファーストトラック(大統領貿易促進権限)は議会から大統領への権力移譲


Today, trade policy has been taken over by the executive branch and Congress graciously cedes this power.
こんにち、議会がもったいなくも権限を譲り渡すことによって、貿易政策は行政部門に乗っ取られました。

Transferring authority under fast-track legislation defies the intent of the Constitution.
ファーストトラック法案(大統領貿易権限)によって権力を移譲することは、憲法の意図に反します。

Trade treaties are not entered into, since senatorial approval by two-thirds would be required and more difficult to pass.
上院の3分の2の承認が必要とされ、可決するのがもっと困難であったなら、通商条約は締結されていないでしょう。

This has led to international trade agreements such as WTO, NAFTA, and CAFTA that sacrifice national sovereignty to international government organizations.
これ(ファーストトラック)は、WTO、NAFTAやCAFTAといった国家主権を犠牲にする国際的な貿易協定をもたらしました。

These agreements can supersede state laws as well.
これらの協定は、同様に、州法に取って代わることもできます。

The Constitution assigns to the Congress the responsibility of regulating foreign trade.
憲法は、対外貿易を管理する責任を議会に割り当てています。

If the people and the Congress preferred that the President and international government entities control trade, the Constitution should have been amended. Ignoring the Constitution on these issues or any issue serves to undermine constitutional legitimacy.
人々と議会が大統領と国際的な政府実体が取引を管理するのを好むならば、憲法は改正されなければなりませんでした。
これらの問題やいかなる問題においても、憲法を無視することは、憲法の合法性を徐々にむしばむことにつながっています。

出典 Source: Liberty Defined, by Rep. Ron Paul, p.111-112 , Apr 19, 2011




FTA実施法では「いかなる貿易協定の条文も、合衆国法や州法に矛盾する場合は無効である」とする102条を持っていますから、法理論上は合衆国の主権は侵されないはずなのですが、ポール議員は、実際上はそうでない、という認識をお持ちのようです。






さて、

そんなこんなで、WTOやすべてのFTAに反対してきたポール議員ですが、一方で彼は「完全自由主義者」であり、「自由貿易」は賛成、としています。

これについて、CNNのキャスターから「ポール議員は、自由貿易に反対ということは保護貿易主義者なのかとよく聞かれますが、どうですか?」というような質問を受けたとき、

・私は保護貿易に反対です
・WTOやNAFTAは私に言わせれば「管理された貿易 Managed Trade」であって、
 私の考える自由貿易Free Tradeではありません


というように答えています。




↑この動画の2:44あたりからが、それです:
http://youtu.be/NhN2w4wbOLw?t=2m44s



最後は、アメリカの保守系政治団体Club for Growthによる客観的評価です:

No embargoes & no tariffs; but no NAFTA too
通商停止も関税も無し。しかしNAFTAも無し。


While he supports free trade in theory, Rep. Paul chafes at the government's role in the process, arguing that "We don't need government agreements to have free trade. We merely need to lower or eliminate taxes on the American people, without regard to what other nations do."
ポール下院議員はは理論上、自由貿易を支持しています。
しかし彼は、「私たちは、自由貿易を行うための政府協定を必要としません。私たちは、他国がどうするかなどに関わりなく、単にアメリカ人に対する税金を引き下げるか除去する必要があります」と主張し、政府の役割に怒りを覚えています。


His philosophical support for free trade is evidenced by his support for legislation lifting government-imposed trade barriers, such as the Cuba embargo.
彼の自由貿易に対する哲学的な背景は、キューバの通商停止のような、政府によって課された貿易障壁を除去する法案へのの彼の支持によって証拠づけられます。

He also voted against a proposal that would slap duties on China if they didn't adjust their currency.
さらに彼は、中国が為替操作をしない場合において、中国に義務を課する提案に反対しました。


Unlike protectionists, Ron Paul embraces the economic importance of free trade, but lives in a dream world if he thinks free trade will be realized absent agreements like NAFTA.
保護貿易論者と異なり、ロン・ポールは、自由貿易の経済的重要性を信奉しますが、NAFTAのような協定の無い状況での自由貿易が実現すると彼が考えているなら、彼は夢の世界で生きていることになります。

Paul himself argues that "tariffs are simply taxes on consumers," but by opposing these trade agreements, he is actively opposing a decrease in those taxes.
ポール自身は、「関税は単に消費者に対する税金である」と主張しています。しかし、これらの貿易協定への反対によって、彼は、積極的にそれらの税金の減少に反対しています。

While Paul's rhetoric is soundly pro-free trade, his voting record mirrors those of Congress's worst protectionists.
ポールのレトリック(美辞麗句)がしっかりとした自由貿易支持である一方、彼の投票記録は連邦議会の最悪の保護貿易論者の考えを反映しています。

出典 Source: Club for Growth 2012 Presidential White Paper #8: Ron Paul , Jun 21, 2011





他の保守系の人から「夢物語」と評されてはいるものの、ポール議員の主張はある意味ではかなり単純明快です:


議会で決めるべきことを、
 国家主権の及ばない国際機関で勝手に決められるのは嫌だ。

・関税などは無いほうが良い。
 他国がどうしようが知ったことではなく、
 アメリカ人の税金はアメリカの議会で決めるべきだ







もう少し、ロン・ポール議員について掘り下げておきますと、

彼はアメリカの保守運動、ティーパーティー運動 Tea Party movement の名付け親であります。

ティーパーティーというのは、いわゆるボストン茶会事件 Boston Tea Party を語源としています。


当時英国の植民地であったアメリカ人が、イギリスからお茶っぱにかけられた税金の問題で頭に来て、東インド会社のお茶っぱを大量にボストン港に投棄した、というような話です。

つまり、

・自分たちの税金は自分たちで決める。

という象徴
ですね。

また、

・イギリスの支配から脱して自由を獲得し、
 その自由を守るための合衆国憲法を制定したのだから、
 合衆国憲法を絶対的に尊重すべきである


ということの象徴なのでしょう。


このボストン茶会事件の文脈において、

・自由貿易(税金のかからない貿易)は支持

・アメリカ人の自由を損なう「自由貿易協定」は反対


ということなのでしょう。





私は、関税は適宜課税すれば良いと思いますし、WTOはあっても良いかなという気はしていますが、ポール議員の理論もある種の美しさを感じないわけではない、といったところでしょうか。






さて、

日本でTPPに反対している人を見ると「あいつは赤だ!共産主義者だ!」と言い出す方がいらっしゃるようなのですが、“自由貿易協定”反対のロン・ポール議員は「赤」で「共産主義」なんでしょうか?


ポール議員は関税はなくしたほうが良いと考えていますが、

自由貿易協定は

「国際政府 International Government に向かう傾向」を持つものであり

「我々の国家主権」を脅威にさらすものである
としています。



International Government 国際政府、つまりはいわゆる世界政府ですね。

左翼的な、地球は一つ、地球市民とも非常に似ています。


つまり、ポール議員の考えに沿って考えれば、自由貿易協定推進のほうがよっぽど「赤」で「共産主義」なんじゃないでしょうか?

そうなると、日本共産党ですらTPPに反対しているのだから、TPPを推進している人はその上を行く「真っ赤っか」である、という見方も出来ることになりますが…。


私は別にTPP推進派の方を「真っ赤っかだ!」とか「共産主義者だ!」とか言うつもりは全くありません。というか、そんなことを言うことに、建設的な意義を一切感じません。



※なお、個人的には、私は日本共産党の皆さんには、大企業を毛嫌いして敵視するのではなく、「大企業が儲かろうと儲かるまいと、とにもかくにも労働者、庶民の権利と利益を増大させる」とか「大企業の利益と労働者、庶民の利益を一致させ、両方とも増大させる」方向に行って頂ければなあ、と思っています。




とにもかくにも私はTPPに賛成しません(TPPは、長期的に見れば大企業にとっても利益にならないと考えます)が、

昨日のAFL-CIOの大統領あて請願に書いてあるような内容が、日本国民に対しても担保できるなら、反対しないかも知れません。でも、それだと例えばISD条項など無いものになるので、恐らくそれはTPPではない、別の何かになるでしょう。






さて、私が大いに興味を覚えるのは、TPP推進派の皆さんはどのような状態を理想とするのか、です。

この「自由貿易協定のさらなる推進」という方向でどんどん推し進めると、やはり、ポール議員がいうように、「北米連合」、「国際政府」、「世界政府」、あるいは「国境なき医師団」ならぬ「国境なき世界」みたいな話になるような気がします。

それ以外の方向性ってあるのでしょうか?





私は、ある国と他の国は「最適な距離を置く」のが理想と考えます。


これを国際関係ハリネズミ理論と名付けていますが、

国と国がくっつき過ぎれば必ず問題が起きます。

日韓関係などは、その最たる例です。


最近では、あの自由貿易推進の最右翼であるシンガポールも、移民制限政策に舵を切りました。

今までは移民歓迎、どんどんおいで、シンガポールに進出する外国企業は周辺国からどんどん安い労働力を呼び寄せてOK牧場よ、という具合でしたが、格差拡大する中、中国人投資家によるフェラーリ暴走死亡事故をきっかけに、移民を抑制する政策に転換したことは、以前、取り上げましたとおりです。

つまり、シンガポールも、結局は「国際関係ハリネズミ理論」の枠から出ることは出来なかったというわけで。




 『環太平洋パートナーシップ(TPP)』


 『東アジア共同体』

 『世界政府』

 『国境なき世界』

 全部、お断り!

 私はグローバリズムより国家主権を信じます!



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543:米労組、#TPP に慎重。また、仮にTPPが成立したとしても「日本や中国の参加は断固お断り!」

2012/09/03 (Mon) 14:58
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さて、TPPについて、↓のようなJPEGファイルを作ってみました。

これは、あくまでも私の主張ではなく、
アメリカの反TPP
の皆さんの主張ですが…

No_TPP.jpg  






コメント欄で教えて頂いたのですが、

経済評論家の上念司さんが、1ヵ月前(8月1日)のチャンネル桜の番組で当ブログを「(TPPに関してアメリカの議会の状況等について)日本で唯一まともに解説しているブログ」と評して下さいました。




↑の2:55辺り
http://youtu.be/IeV5H2vF2f8?t=2m55s


上念さん、「廣宮さんのブログ、最近は私もすげー見てる」とのことで、どうもありがとうございます!






なお、このことに関して若干補足させて頂きますと、

私がアメリカのTPP反対の動きに注目するようになったのは、政治学者の藤井厳喜さんに、アメリカにも反対派がいることを教えて頂いたのがきっかけであります。

そして、この問題に関しては、フェイスブックの「TPPって何?」グループからネタを仕入れているところも大であります。

ただ、仕入れたネタを元に、さらに情報を収集した上で書く努力をするようにさせて頂いているのが、当ブログのTPP記事の特色と言えるかもしれません。





10日前、TPP推進派である米上院のボーカス議員(モンタナ州民主党。TPPなど通商問題を管轄する財政委員会の委員長)について書きましたが、

コメント欄で、「モンタナ牛を売りたいならTPPでなくとも良いですよね」というご指摘がありました。

まったくその通りですよね。

米民主党はその大きな支持母体である労働団体のFTAに対する不信感もあり、TPPにはどちらかと言えば慎重です。

しかし、ボーカス議員の選挙区であるモンタナ州ではモンタナ牛その他、農産物をガンガン売るためにTPP推進!と言ったほうが、政治的に正しいということなのかも知れません。


さて、今回はその民主党の大きな支持母体たる労働団体のTPPに対する姿勢について、です。









AFL-CIO


という主に米国の労働者が参加し、また、カナダやメキシコにも広がる米国最大の労働団体(参加労組56、組合員数は1200万人AFL-CIOホームページ参照)の、TPPに関する見解をいくつか拾っておきたいと思います。




なお、当ブログでおなじみの、

オバマさんの大統領候補時代の演説

---
We've got make sure that our agreements are good for everybody.

我々は、貿易協定をすべての人々にとって良いものにしなければなならない。


Because the globalization right now is creating winners and losers.

現在のグローバリゼーションは、勝者と敗者を創り出している(つまり、格差を助長している)

---

は、AFL-CIO主催の大統領選フォーラムにおけるものでした









さて、
まずは、AFL-CIOの 通商政策スペシャリスト Trade Policy Specialist であるCeleste Drake氏の書いた記事です。





Bring Jobs Home: Don’t let TPP Become the Next NAFTA
仕事を帰国させよ: TPPを新たなるNAFTAにしてはならない
http://www.aflcio.org/Blog/Global-Action/Bring-Jobs-Home-Don-t-let-TPP-Become-the-Next-NAFTA
Celeste Drake (AFL-CIO)  07/06/2012


The Trans-Pacific Partnership, or TPP, sounds like a friendly little cooperative endeavor, doesn't it? Or maybe a new kind of bathroom tissue? Well, it's neither of those things. It's a proposed "free trade agreement," like NAFTA (North American Free Trade Agreement), but with 11 countries instead of three.
「環太平洋パートナーシップ(TPP)」、(パートナーシップというからには)ちょっとした協調的努力のように聞こえませんか?もしくは、新手のトイレットペーパーかも? いいえ。そのどちらでもありません。 それは現在協議中の「自由貿易協定」、NAFTAのようなたぐいのものです。しかも3か国だけでなく11か国の。

The negotiations, held at the Hilton San Diego Bayfront, brought out almost 200 union members along with allies from Occupy San Diego, La Fuerza Unida, Friends of the Earth and other groups on Monday to express concern about the possible ramifications to their jobs, their families and the American economy.
ヒルトン・サンディエゴ・ベイフロントで行われたTPP交渉では、およそ200人の労働組合メンバーがオキュパイ・サンディエゴ、La Fuerza Unida、 Friends of the Earth その他のグループと共同で、彼らの職や家族やアメリカ経済への影響への懸念を表明するための行動を取りました。



So-called "free trade agreements" have been the favorite tool of multi-national corporations over the last 20 years to promote an agenda of weakening labor law enforcement and degrading the environment while promoting big bank deregulation.
この20年、いわゆる「自由貿易協定」は多国籍企業にとって都合の良い道具であり続け、労働者の法的権利を弱め、環境を悪化させるような協議事項を促進する一方、大手銀行の規制緩和を促進してきました。

For corporations, this agenda has worked fantastically: American multinational corporations are making record profits, paying record bonuses and sitting on piles of cash — freezing or downsizing the American workforce while pressing for further tax breaks and deregulation.
企業のために、この協定は、非常に魅力的な効果を発揮しました:アメリカの多国籍企業は記録的な利益を計上し、記録的なボーナスを支払い、現金の山の上に座り ―― アメリカ労働者が賃金上昇の凍結やリストラに遭う一方で、更なる減税や規制緩和が推し進めらています。


That's why the AFL-CIO and the San Diego and Imperial Counties Labor Council (SDICLC) worked with numerous community allies to tell TPP trade negotiators, "Enough is enough!" Fair trade, not free trade, is what working families need.
これが、AFL-CIOやサンディエゴ郡・インペリアル群労働協議会(SDICLC)が多数のコミュニティーと共同でTPP交渉者たち(各国代表)に、「もうたくさんだ!」、労働者にとって必要なのは自由貿易ではなく公正な貿易だ、と伝える行動を取った理由です。

SDICLC Secretary-Treasurer Lorena Gonzalez, U.S. Representative Bob Filner, and more than a dozen other speakers told the negotiators and the press what working families need is not "free trade," but "fair trade" that promotes good job creation, respects labor and human rights, preserves the sovereign right of nations to make public interest policy and doesn't weaken our ability to Buy American. A key theme of the rally was "Bring Jobs Home."
SDICLCの会計責任者Lorena Gonzalez、連邦下院議員Bob Filner(廣宮注:民主党)を始め十数人の演説者が、(TPPの)交渉者たちや報道機関の記者たちに対し、労働者は、良い雇用を増やし、労働者と人権を尊重し、国家主権を保全して公共の利益のための政策を行い、バイ・アメリカン条項を弱めることのない、「自由貿易」ではなく「公正な貿易」が必要であると、述べました。 このデモの重要テーマは「仕事を帰国させろ!」でした。



A major difference from past trade agreements is that a completed TPP would allow new countries to join, or “dock on,” at any time.
TPPと過去の貿易協定との主な違いは、TPPが、いつでも新しい参加国の加盟を認めるような仕組み(「ドック・オン」)になりそうだということです。

“Dock on” could be one of the most critical aspects of the entire agreement, as it would allow any country in the world, such as Japan or China, to join the agreement at a later date.
「ドック・オン」はこのTPP協定全体の中で、もっとも致命的なことの一つとなる可能性があります。というのは、これにより、日本や中国など、世界のどんな国も後からこの協定に参加することを許すことになるからです。

It is also not yet clear whether the TPP will ensure that Congress gets an up or down vote for each new entrant.
TPPについて、新規の参加国について、その都度、連邦議会の投票で決められることが保証されるかどうかは、まだはっきりしていません。

Now, new entrants can join the World Trade Organization (WTO) without such a vote. The results of Japan or China joining the TPP without a Congressional check could be devastating for our economy.
現在、WTOへの新規参加は連邦議会の票決なしで行うことが可能となっています。 日本や中国の、連邦議会のチェックなしでのTPPへの参加は、我々の経済を破壊しかねません。

Unfair trade with China since it joined the WTO has displaced more than 2.8 million U.S. jobs—1.9 million workers in manufacturing alone. We cannot afford a free trade agreement with either of these countries unless and until our negotiators get the rules right.
中国のWTO参加以来、中国の不公正な貿易により、280万人以上の米国の職、製造業だけで190万人の労働者の職が失われました。 貿易交渉が正しいルールを確立するまで、我々は決してこれらの国々の自由貿易協定への参加を許容できません。



Trade isn't bad in and of itself. I mean, think of the imported products we enjoy (including coffee, bananas and Swiss cheese). But our "free trade" agreements have been bad for workers: offshoring jobs (700,000 and counting because of NAFTA), lowering wages and making it harder for workers to organize—all while letting foreign corporations challenge our environmental and other laws. Join the petition for fair trade by clicking here. And send this blog post to a friend. You can be part of the fair trade solution (don't let San Diego workers have all the fun).
貿易自体は悪いものではありません。 例えば、コーヒーやバナナ、スイスのチーズなど、我々が楽しんでいる輸入品のことを考えてみて下さい。 しかし、我々の「自由貿易」協定は、労働者にとって悪いものでした: 仕事の国外流出(NAFTAで70万人前後)、賃金の低下、そして、労働者の組合加入の困難化が進む一方、外国企業が我々の環境や他の法律に異議を唱えることを促しました。 ここをクリックして公正な貿易を求める請願に参加しましょう(廣宮注:オバマ大統領あてのネット署名・請願のこと)。  このブログを友達にも送って下さい。 (サンディエゴの労働者にだけ楽しいこと〔ヒルトン・サンディエゴでのTPP交渉会議に対するデモ活動〕をさせてはいけません!)あなたもこの公正な貿易のための活動に参加することができるのです。






とにかく従来型のFTAは勘弁してくれ!

という気持ちでいっぱいの文章です。



そして、中国だけでなく、日本のTPP参加も勘弁してくれ!

としているところが興味深いところです。


ただ、「日本や中国の参加は勘弁してくれ!」については、

条件が整うまで、という但し書き付き
なのが気になるところです。


ちなみに、以前取り上げましたように、アメリカの製造業団体(労働団体ではなく企業団体)は、日本の“為替介入”を「貿易障壁」の最たるものとして挙げてており、日銀の通常の金融調節すら「為替介入だ!」と言い出しかねない勢いです。


これに対して、日本のTPP推進派の皆さんは、どんな「条件」を彼らに提示できるでしょうか?


これを確実に提示できない限り、仮に日本がTPPに参加した場合、日本は彼ら製造業団体や労働者からかなり確実に恨みを買うことになります。

仮にそれが中国の低価格産品の影響であったとしても、です。
いざというとき、厳密な区別などつかないでしょう。



TPP推進で日米関係の改善!という主張は、上記のような危険性をはらんでいることには十分な注意が必要であります。

TPPに参加することで、却って日米関係が悪化する、という可能性だった十分あり得るのです。

それだけでなく、
日本のTPP参加がアメリカ国民を分断し、アメリカ社会を不安定化させる引き金を引くことすらあり得ます。



日米関係はTPP以外の部分で強化すれば良いのです。
逆に言えば、TPPに日本が参加すれば、沖縄の基地問題がすんなり解決するでしょうか?私はその可能性は極めて低いと思います。つまり、安全保障とTPPはほとんど関係性がありません。



むしろ、TPPは日米関係の悪化やそれに起因する安全保障の毀損につながりかねません!






次に、
上記のAFL-CIO記事に出てきました、
大統領への請願の文章を紹介しておきます:





Tell President Obama: We Need a Trade Policy That Works for Working Families
大統領に告ぐ:我々は労働者のために働く貿易政策が必要だ

http://act.aflcio.org/c/18/p/dia/action3/common/public/?action_KEY=4617


To: President Barack Obama and U.S. Trade Representative Ron Kirk
バラク・オバマ大統領およびロン・カーク通商代表へ


Our U.S. trade team is negotiating the Trans-Pacific Partnership Free Trade Agreement (TPP FTA). This would be the biggest trade agreement in U.S. history. If not done right, it could lead to more U.S. jobs being outsourced, the erosion of workers’ rights and Buy America provisions, and undermining of U.S. environmental and consumer safety protections.
我ら米国通商チームは、TPP交渉を進めています。 
これは米国の歴史上最大の貿易協定となるでしょう。 
もし正しくなされなければ、TPPは米国の職をさらに海外に流出させ、米国労働者の権利とバイ・アメリカン条項を侵食し、アメリカの環境と消費者の安全を台無しにするでしょう。


We cannot afford to repeat the mistakes of past trade policy.
我々は、過去の貿易政策の誤りを繰り返すことに耐えられません。

Therefore, we, the undersigned, call on you to ensure the TPP FTA:
それゆえ、我々署名者は、TPP自由貿易協定において下記のことを保証することを求めます:

1. Creates jobs in the United States, and does not promote offshoring;
 米国の雇用を増やし、そして、職の海外流出を促進しないこと

2. Improves working conditions and strengthens workers’ rights at home and abroad;
 労働条件の改善と労働者の国内外における権利の強化

3. Allows governments to prioritize spending taxpayer funds locally; and
 政府に納税者の資金を地元優先で使わせること

4. Protects the rights of sovereign governments to make policies in the public interest, including policies with respect to clean air and water, affordable medicines and food safety.
 空気や水の浄化、経済的に入手可能な医療、食の安全に関する政策を含む、公共の利益のための政策を実行するための政府の主権を保全すること。






なんとまあ、
オバマさんやロン・カーク通商代表の名前を野田さんや玄葉さんの名前に替えれば、そのまま日本でも使えるような請願内容になっていますね!


なお、

3. Allows governments to prioritize spending taxpayer funds locally; and
 政府に税収を地元で使わせること

というのがどういうことか
というと、

上記の記事に出てきたBob Filner
下院議員

下院公式ホームページの言葉を借りれば、以下のようなことだと思います:


We need an economic approach that lifts every American, not just the privileged few!
我々には、ほんの少しの特権階級のためだけでなく、全てのアメリカ人を上昇させる経済アプローチが必要だ!

Our country is coming out of the worst economic crisis since The Great Depresssion. Bob believes we must chart a new course by investing in Main Street, not Wall Street.
我が国は、大恐慌以来、最悪の経済危機に見舞われている。我々はウォール・ストリートではなく、メイン・ストリート(多くの一般国民)に投資することによって、新たなる進路を取らなければならないと、Bobは信じる。



Bob believes that our taxpayer funds would be much better spent investing in our education system here at home, promoting the development of renewable sources of energy in our own backyards and building a first-class transportation system to keep our economy moving forward.
我々の納税者の資金は、我々のここ本国における教育システム、我々の領内における再生可能エネルギー源の開発促進や、我々の経済の前進を維持するための高度な交通システムの建設への投資として、より良い形で使われるべきだ、とBobは信じている。

---

固有名詞だけ入れ替えれば、日本でもそのまま使えてしまうメッセージですね!





さて、


ボーカス上院議員(民主党、モンタナ)は、TPP推進派にして公共事業推進派

Bob Filner下院議員(民主党、カルフォルニア)は、TPP慎重派にして公共事業推進派

ということになります。


昨日、NHK特集で、
大雨や地震のリスクが高まっている中、大雨や地震による「深層崩壊」と呼ばれる大規模な土砂崩れが起きる危険性のある地域が日本全国に広く分布しているという話をやっていました。

これでも、日本の民主党の先生方は、「公共事業は先祖返り」とか意味不明な主張を続けるのでしょうか?

TPP推進だろうが反対だろうが、アメリカの民主党議員の公共事業推進の姿勢を少しばかり参考にされてはいかがでしょうか?






さて、もう少しAFL-CIOの記事を紹介しておきたいと思います。

Joint Statement by AFL-CIO, CLC and UNT on the Trans-Pacific Partnership Free Trade Agreement
AFL-CIO(アメリカ)、 CLC(カナダ) 、 UNT(メキシコ)による、TPPに関する共同声明
http://www.aflcio.org/Press-Room/Press-Releases/Joint-Statement-by-AFL-CIO-CLC-and-UNT-on-the-Trans-Pacific-Partnership-Free-Trade-Agreement
AFL-CIO July 11, 2012


The AFL-CIO, the CLC, and the UNT, the national labor organizations of the U.S., Canada, and Mexico, join in urging caution regarding the announcement that Mexico and Canada have been invited to join negotiations for the Trans-Pacific Partnership Free Trade Agreement (TPP).
AFL-CIO、CLC(Canadian Labour Congress)、UNT(Unión Nacional de Trabajadores)という、アメリカ、カナダ、メキシコの労働団体は、メキシコとカナダがTPP交渉参加に招待されたとの発表について、警告を発する行動を共同で行うことになりました。



American, Canadian, and Mexican workers cannot afford another corporate-directed trade agreement.
アメリカ、カナダ、メキシコの労働者は、さらなる企業主導の貿易協定には耐えられません。



The ultimate impact of the TPP on working families in the U.S., Canada, and Mexico is by no means certain. ... Therefore, it will be impossible to celebrate the inclusion of Mexico and Canada until the specifics of the agreement are known.
米国、カナダ、メキシコの労働者への、TPPによる最終的な影響は決して明らかではありません。…だから、協定の詳細が明らかになるまで、メキシコやカナダの参加を祝福することは不可能です。







 アメリカ労働団体の

 『日本のTPP参加、断固反対!』

 の姿勢は、ある意味大歓迎です!

 そして彼らと全く同様に、

  1.日本の雇用を増やし、そして、職の海外流出を促進しないこと

  2.労働条件の改善と労働者の国内外における権利の強化

  3. 政府に納税者の資金を地元で使わせること

  4. 空気や水の浄化、経済的に入手可能な医療、
   食の安全に関する政策を含む、
   公共の利益のための政策を実行するための
   政府の主権を保全すること。

 を心の底から望みます!



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