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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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604:米高官、日本に歳出拡大・内需拡大を要請?(→米議会でTPPがちっとも進まないことと関連ありか?)

2014/02/16 (Sun) 14:44
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まずは6日前の日経新聞より(日本経済復活の会 小野盛司会長から教えて頂きました)

アメリカさんが日本に対し、「もっと財政出動せんかい、この野郎!」と言っているとか、いないとか。

---
景気指標 米の対日歳出増圧力なぜ
日経新聞 2月10日朝刊19面

 「行き過ぎた財政再建はいかがか」。
米政策当局者の一部が日本により柔軟な財政運営を促す「想定外」の動きが出ているという。国際通貨基金(IMF)内でも米側が日本に短期的に歳出を増やすよう求める動きがくすぶる。

 17年ぶりの消費税率引き上げにこぎ着け、基礎的財政収支赤字を2015年度までに国内総生産(GDP)比で10年度から半減させる目標の達成が「視野に入ってきた」と明言した安倍晋三首相。歳出要請は米政府の「総意」とはいえないが、健全化努力に水を差すような暗黙の財政出動圧力に違和感を感じる向きは多い。

 ある関係者は「余計なお世話だ」と憤慨しつつも、アベノミクスでも消えない「成長への疑い」が一因とみる。

 政府は昨年末の経済見通しで14年度の実質経済成長率を1.4%と予想した。平均0.8%程度の民間予測を大きく上回る。この見通しのカギを握るのは賃金増だ。だが、足元をみる限り、過度な期待はできそうにない。ワシントンでは、所得増が内需拡大につながる好循環シナリオに確信が持てない政策担当者が多いという。

 ここへきて米量的緩和縮小に伴いトルコなど新興国通貨不安の嵐が吹き荒れる。通貨当局者の頭をよぎるのは1997年の苦い記憶だ。同年春の5%への消費税率上げを追いかけるように未曽有のアジア通貨危機が進行。橋本政権の財政構造改革による急激な緊縮路線も追い打ちをかけ日本は98年にマイナス成長に転落した。当時とは国際的な経済環境も異なるが「いつか来た道では」との不安は尽きない。

 日本は数年内に政府債務が家計などの貯蓄額を上回るとの試算もあり国債の国内消化もカベにあたる。円安傾向でもなぜか輸出増のアクセルが利かず経常赤字が続く。安易な財政出動に走って健全化目標を崩せば市場は日本に厳しい疑念の目を向けるだろう。こうしたリスクを承知で日本に歳出プレッシャーをかけているとすれば、米が世界経済の現状をそれほど危ういとみている裏返しともいえる。

---

最後のほうの「日本は数年内に政府債務が家計などの貯蓄額を上回るとの試算もあり国債の国内消化もカベにあたる。」は気にしなくて良いように思います。

そのようなご心配も御もっともなのですが、実際のところ「家計などの貯蓄額」が政府債務の限度額では物理的にあり得ないのです。

下に、日本に関するすべての経済主体(家計+NPO、一般政府、非金融企業、金融機関、海外部門)の金融資産と負債のバランスシートを時系列でグラフにしたものを示します:


(↓クリックで拡大します)
capture_20140216_114155.png

日本銀行「資金循環統計」より作成


上のグラフで一番左に注目してください。

家計+NPOの金融資産(392兆円)に対し、一般政府の負債(129兆円)は極めて小さくなっています。
しかし、
非金融法人企業の負債(546兆円)は、家計+NPOの金融資産を大幅に上回っています。

もし、「一般政府の負債の上限」が「家計の貯蓄(金融資産)」ならば、非金融企業の負債の資金調達源は一体全体どこにあるのでしょう?どこから調達できるのでしょうか??

そのカネはどこから湧いてくるのでありましょうか???

という疑問をもって、それに対する答えが必要でしょう。



まず、基本原理として全部門の金融資産と負債は一致し、よってバランスし、よって、全部門の金融資産から負債を差し引いた金融純資産はゼロになります。
このことは、上のグラフの各年の全部門を合計した金融資産と負債のが一致していることから明らかです。


次に、金融機関は基本的に単なる仲介機能しかありません。それで、金融機関の金融資産と負債はおおむねバランスします。つまり、金融資産から負債を差し引いた金融純資産がゼロになります。


すると、以上の二点から、金融機関以外の残りの経済主体


家計+NPO
一般政府
非金融法人
海外部門

という4部門を合計した金融資産と負債はほぼ一致し、ほぼバランスし、金融純資産もほぼゼロになります。

だから、一般政府の借金の限度額なるものがあるとすれば、この4部門の金融資産と負債のバランス全体を見る必要があります。

で、そのバランスを見るのに、金額のグラフだけを見ると分かりにくいので、今度は百分率のグラフを示します。このほうが分かり易いです:

capture_20140216_115723.png 


↑これを見ると、過去33年間において、

・家計の金融資産の全体に占める割合が24%前後でほとんど変化していないことが分かります。


一方で、

非金融企業の負債が全体に占める割合が劇的に減る一方、政府と海外部門の負債が全体に占める割合が激増していることが分かります。(ついでに言えば、家計の負債が全体に占める割合も減っている)


また、

・非金融企業の金融資産が全体に占める割合も減っていることが分かります。


つまり、金融資産と負債の両方において、非金融企業のプレゼンスが小さくなっているというわけです。


企業VS家計

の構図で見ると、家計の方が実はプレゼンスは温存され、企業の存在感が薄れているという意外な構図が見て取れます。


まあ、それはそれとして、もう一度負債のほうに目をやると

政府の借金が増えているのは、主に非金融企業の借金が減っているから

ということになります。

単にそれだけの問題です。


金融緩和をした場合において、この非金融企業が意欲的に借金を増やさない場合を考えましょう。

その場合、政府が借金を意欲的に増やすしか、全部門における金融資産の目減りを防ぐ方法、すなわち経済全体における信用創造機能を保全する方法は、基本的にありません。

全部門の負債合計が増えないとマネーは増えません。

そうでなければ経済成長(GDPの増加)も起こりにくくなります。


日本では目下のところ、本来、信用創造の最大の担い手として、借金をどんどん増やして投資(設備投資など生産財への投資)を増やすべき非金融企業が、むしろ信用収縮の担い手となってしまっています(四半期ベースでみれば、アベノミクスで一応は微かに負債を増やしつつはありますが、まだまだその勢いは足りないと言えるでしょう)。


それゆえ、今回のアメリカさん(の一部?)による、「歳出増圧力」というのは、

「プライドの問題とか感情の問題を除いて機械的に判断するならば、素直に大歓迎して良い部類の圧力である」

というのが、私の個人的な見解です。



次に、ロイターの昨日の記事です。

---

来週のG20は市場の混乱が焦点、日本は内需拡大を=米政府高官
ロイター  2014年 02月 15日
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA1E00I20140215

米政府高官は14日、オーストラリアのシドニーで22─23日に行われる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議について、最近の金融市場の混乱に焦点が当てられるとの見方を示した。記者団に述べた。

また日本は内需拡大による景気刺激を行うべきとする米政府の立場をあらためて強調した。大規模な金融緩和は、円安により輸出を促進するための手段として用いられるべきでないとの姿勢を示唆したとみられる。

欧州に対しては、融資の低迷が経済成長を阻害しているとして銀行システムの強化に一段と積極的に取り組むよう求める。

同高官は「(銀行に対する)厳格な資産査定とストレステスト(健全性審査)はユーロ圏の銀行部門の信頼回復の中心となる」と述べた。

さらにドイツなど欧州の経常黒字国は経済に占める内需の割合が非常に小さく、世界経済を圧迫する要因になっているとのあらためて指摘した。

---

このロイター記事における「米政府高官」による「日本は内需拡大による景気刺激を行うべきとする米政府の立場をあらためて強調」というのは、日経記事における「政府高官」「歳出増圧力」と一致しているのではないかと思われます。

「TPPに参加しろ圧力」は要らないので、こういう圧力を10年前からかけてくれていたら、もっと良かったのに、と思う今日この頃です。





それはそれとして、 この「米政府高官」による「歳出&内需拡大圧力」ですが、TPPと関係があるかも知れません。あまり良くない意味で…。



以下、ロイター(英語)の2月12日記事

Second top Democrat opposes U.S. fast-track trade bill
民主党ナンバー2、大統領貿易促進権限法案に反対
Reuters Feb 12, 2014
http://www.reuters.com/article/2014/02/13/us-trade-pelosi-idUSBREA1B2E520140213


の内容を何か所か抜粋しながら紹介します(翻訳は抄訳で)。


House Democratic leader Nancy Pelosi told a union rally she opposed legislation currently before Congress to grant the U.S. administration so-called Trade Promotion Authority (TPA) to seal trade deals.

下院民主党指導者(民主党の下院院内総務)ナンシー・ペロシ
は、ある労働組合の大会で、議会が政権に貿易促進権限(TPA)を与えようとする現法案に反対すると述べた。


"No on Fast Track ... out of the question," she told the United Steelworkers and the BlueGreen Alliance, according to a transcript of remarks provided by her office.

「貿易促進権限は否…問題外」
と彼女は全米鉄鋼労働組合とBlueGreen Alliance(ブルーカラー労働者の組合の連合のようです)に述べた(彼女の事務所のプレスリリースによれば)。




※ただ記事(省略部分)によれば、ペロシさんが反対するのはオバマ政権の貿易政策ではなく、今回のTPA法案が受け入れられないので反対、とのことです。



Pelosi's opposition will make it difficult to push ahead with the current bill in the House, where the legislation lacks a Democratic co-sponsor, and its future in the Senate is also uncertain.

ペロシによる反対は、今回の法案を下院で推進ことを困難にする(下院ではこの法案の民主党の共同発起人が欠けている)。また、この法案の上院における命運も不確かである。


Representative Sander Levin, the top Democrat on the House Ways and Means Committee, has said the bill does not go far enough to involve lawmakers in trade talks or to prevent currency manipulation by trading partners. He is working on an alternative version.

下院歳入委員会(廣宮注:貿易問題担当の委員会)の民主党リーダー、サンダー・レヴィン下院議員は、この法案が、通商交渉における連邦議員の関与について十分なものになっていないものであり、かつ、通商相手国による為替操作(currency manipulation) を防ぐ仕組みが十分ではないと言っている。彼は、代替案を策定中である。

※以前紹介しましたように、レヴィン下院議員と言えば、米自動車ビッグ3おひざ元のデトロイト首都圏の選挙区選出の議員です。いやあ、相変わらず為替レートにこだわっていらっしゃるご様子です。


Pelosi said currency manipulation was "a smack in the face of American workers," leaving open the option she might support a version of the bill with tougher currency provisions.

ペロシは、為替操作は「アメリカの労働者の顔への平手打ち」と言っており、より厳しい為替条項を伴ったバージョンの法案を支持する選択の余地を残している。


In the Senate, Democratic sponsor Max Baucus is leaving to become the next U.S. ambassador to China, and the expected next head of the Senate Finance Committee, Ron Wyden, has expressed reservations about the legislation as drafted.

上院においては、民主党の法案発起人にして上院財政委員会委員長であるマックス・ボーカス議員が次の駐中国大使になるため議会を去ることになっている。次の財政委員長と目されるロン・ワイデンは、これまでのところ現法案について保留の意思を表明している。

※マックス・ボーカス議員と言えば、「日本はTPPでもっとモンタナの牛肉を食え!」と言っていた、あの民主党におけるTPP推進最右翼のボーカス議員です。

※ロン・ワイデン議員と言えば、「国会議員の大多数は、TPPの実体に関して暗闇の中に置かれたままだ。しかし、一方でハリバートン(石油)、シェブロン(石油)、PhRMA(米国研究製薬工業協会)、コムキャスト(ケーブルテレビ、インターネット)、アメリカ映画協会といった米国企業の代表には、相談を持ちかけ、TPP協定の詳細についての機密を教えている」ということを明らかにした、あのワイデン議員です。





さて、今回のエントリーで紹介した記事を総合すると、


・米政府高官(の一部?)は、日本に歳出&内需拡大を要求している

・米国でTPP推進のために必要なTPA法案について、与党議員幹部らがこぞって反対しており、
 推進派の代表たるボーカス上院議員は駐中国大使として転出することになっているため、
 現行のTPA法案がそのまま可決される公算は低い。

・一方、民主党幹部の現行TPA法案反対派は、必ずしもTPPそのものに反対しているわけでもない。
 「強硬な為替操作防止条項」が入れば、賛成に回る余地があるものと思われる。

ということになります。

さて、問題は「強硬な為替操作防止条項」です。これTPPやTPAに入ると、アベノミクスの第一の矢、日銀の「異次元緩和」が当然、やり玉にあがるでしょう。

この異次元緩和がロイターの記事にあるように

「大規模な金融緩和は、円安により輸出を促進するための手段」

とみられていると思われるからです。


すると、「米政府高官(の一部?)」の狙いは、

・TPPやTPAに「為替操作防止条項」をねじ込んででも、TPPを成立させる

・その上で、米国が日本に輸出しやすい状況を作り、日本政府に財政出動させて、
 日本の内需拡大が米国の輸出拡大に直結する状況を作り出す

ということなのかもしれません。


もちろん、こんなTPPを安倍政権というか日本の国会が受け入れるとは到底思えません。
…というのは、私の希望的観測かも知れませんが、「強硬な為替操作防止条項」が入れば、日銀の通常の金融調節すらままならないことになりかねないからです。
例えば、仮にその「強硬な為替操作防止条項」が「量的緩和などもってのほかであり、日銀の目標金利はFRBのFFレートを下回ってはならない」みたいなものになったとしたら、これはほとんどユーロ圏並みの金融自主権喪失の悲劇です。

そうなると、レヴィン議員らにはむしろ、とてつもない強硬な「為替操作防止条項」付きのTPA法案を作ってもらった方が良いのかもしれませんね。

というわけで、「TPPはアメリカで成立しない」か、もしくは、「アメリカで成立するとしても日本の国会がとてもじゃないが可決できないTPP」になると米政府高官(の一部?)が想定していると仮定しますと、

・アメリカさんのほうでTPPはもうあきらめたので、とにかく日本に「内需拡大しろ、馬鹿野郎!」と言っているだけ

という可能性
もあります。 このほうがアメリカの安全保障上も好ましいと思いますしね。色々な意味で。
しかし、もしそうなら「今更言うくらいなら10年くらい前から言っとけ、馬鹿野郎!」と思わないでもない今日この頃ですが、真相や如何に?



 できれば、

 『TPPなしの対日歳出拡大圧力』

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