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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
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631:IMFが「もっとインフラ投資を増やして成長したらんかい!とりあえず、いまインフラに投資したら成長するんじゃ!ついでに公的債務GDP比も下がりまっせ~」と言っているようです。いや、実に素晴らしいですね!

2014/09/30 (Tue) 23:39
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「日本経済のミステリーは心理学で解ける」

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「個人レベルから国レベルに至る“閉塞感”を打ち破るための共通原理」を、経済学、心理学、脳科学、生物学等から抽出:ぜひご一読頂きたい、味わいある一冊です!


・経済統計データだけでなく、心理学や脳科学や生理学の観点からも「国の借金」の分析を行っています――「国の借金」に対する恐怖をどうすれば乗り越えられるか?

・「日本の国の借金はもうダメだ」という考えと、「いや、日本の国の借金は大丈夫だ」という考えを両方とも正しいと仮定した上で、長期的に日本が安定的に繁栄を続けるための方策の試論を提示しています。他方が一方を「お前は間違っている!」として否定するのではなく、互いの考えを両方とも肯定し、調和的に解決を図ることを理想としています。

社会は多数の人間からなる組織・集団であり、一人の人間もまた70兆個もの細胞からなる巨大な組織・集団です。
それゆえ、マクロ経済や政治や軍事などの人間集団の仕組みと、一人の人間という「組織・集団」の仕組みのあいだには、多くの共通点や相似性があるはずです。

・「国の借金だけでなく民間の借金や金融資産も見るべき、国の借金だけでなく国の金融資産も見るべき」というようなマクロ経済におけるバランスシート思考が、実は一人の個人にも適用できる――例えば、「イライラしているときは必ずその正反対のイライラしたくない願望が同時に存在している」、「病気に対する恐怖があるときは必ずその正反対の病気が治って欲しいという願望が同時に存在している」といった具合に――というような、国レベルの大規模な人間集団からたった一人の個人にまで幅広く共通する基本原理について、学問領域の垣根を越えた幅広い、多角的な視点から提示しています。

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 「日本経済のミステリーは心理学でトロピカル」
 https://www.facebook.com/groups/1472415033007299/
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本題です↓


IMF:各国はインフラ投資拡大を、鈍い成長回復押し上げで

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NCP4QU6KLVRJ01.html


9月30日(ブルームバーグ):国際通貨基金(IMF)は鈍い世界経済成長の押し上げに向け、各国にインフラ投資拡大を呼び掛けた。
 IMFは30日に世界経済見通し(WEO)の分析部分の章を公表。その中で、金融政策が既に緩和的であることを考慮すれば、道路や橋などのインフラ投資の拡大が「成長支援で利用可能な数少ない残された政策手段の1つ」だとし、「どの経済においても中期的な生産の増大を助けるだろう」との見方を示した。
 世界経済がIMF予測を下回る伸びにとどまる中で、政策当局者らは成長加速の道筋を探っている。IMFは10月10-12日にワシントンで開く年次総会に先立ち、同7日に最新のWEOを発表する。
 IMFはまた、多くの先進国に依然「かなりの経済的たるみ」が見られると分析。ユーロ圏のインフレ率は依然低過ぎると指摘した。新興市場国の経済成長は金融危機に先立つ10年間の水準を下回っている。
 このように予想を下回る実績を根拠に、世界的に需要の「低迷が長期化する」恐れがあると、サマーズ元米財務長官らが唱える「長期停滞」論を引用する形でIMFは説明した。
 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁は今月オーストラリアのケアンズで開いた会議の共同声明で、「ばらつきがある」成長回復への懸念を表明した上で、需要拡大と成長加速にはインフラ投資が極めて重要になると表明した。

 
 インフラ支出が効果

 IMFは過去のデータを調べ、シミュレーションを用いてインフラ支出の効果を分析した。それによると、経済にたるみがあり、金融政策が緩和的であるなら支出増加が需要を大きく押し上げるということが分かった。この場合、投資は政府債務の対国内総生産(GDP)比率を低下させる可能性があるとしている。
 またIMFはブラジルやインド、ロシア、南アフリカ共和国などの新興市場国では「インフラ投資を増やせないことが中期的な懸念材料であるばかりか、短期的な成長にも制約となると指摘されている」と説明した。
 さらに新興市場国や低所得国がインフラ投資をより効率的に行わない限り、これら諸国の生産の伸びは多くの場合、限定的となる恐れがあるとIMFは分析。プロジェクトの評価を改善するなどの改革が必要になるかもしれないとしている。

原題:IMF Urges Infrastructure Spending to Boost Tepid GlobalRecovery(抜粋)





インフラ投資、と言いますか、経済学でいう「投資」というのは、株とかそんなもんを買うことではなく、「資本ストック(生産財)」を生産するために資金を投入することを言います。

さて、資本ストックは「固定資本減耗」によって時間とともに減っていきます。
建物でもトラックでも、経年劣化とか、使用による摩耗とかで数年とか数十年後には壊れてしまうのですが、これを勘案して資本ストックから毎年「固定資本減耗」がさっぴかれます。

国全体の資本ストックは毎年の「投資」金額から毎年の「固定資本減耗」をさっぴいた金額の累積値になります。

国全体の資本ストックが増えない限り、生産するための「道具」が増えないので、生産=GDP(国内総生産)が増えない、成長しない、モノ作れない、さあ大変!ということになります。

ほんで、固定資本減耗(減価償却みたいなもんです)を考えると、毎年「投資」の金額を前年比増額せんかぎり、資本ストックは増えません!

日本は、90年代後半から民間+政府の合計の毎年の「投資」が横ばいが続いています(いや、住宅投資いれたらどうだったか…少なくとも民間企業設備投資+政府投資は90年代からほぼ20年以上横ばい)。「そんなもん、成長するわけないやろが!」という状態です。

国の借金を必要以上に恐れていると、資本ストック(=生産財)を増やすための投資が国全体として毎年増えるということができず、資本ストック(=生産財)が横ばいか、下手をすると減るため、そのうち「ワシら全然モノ作れんようになりますけど、それで国の借金とかなんとか言っててもしゃあないやろが!」という状態になります。

だから、IMFが「もっとインフラ(というか資本ストック=生産財)の投資を増やしたらんかい!そうせんかったら成長なんかそんなもんするわけないやろ、アホンダラ」(関西弁に翻訳)というのは至極当然と言えるでしょう♪

さて、上記の記事のIMFの分析によると、
「経済にたるみがあり、金融政策が緩和的であるなら支出増加が需要を大きく押し上げるということが分かった。この場合、投資は政府債務の対国内総生産(GDP)比率を低下させる可能性があるとしている」
というわけですね。

日本経済には
①たるみがある
②金融政策が異常なくらい緩和的

というわけで、このIMF分析によると、
③(政府の?)支出増加が需要を大きく押し上げる
④ついでに、公的債務GDP比も下がるかもねん

とのこと。


なお、私は個人的には公的債務GDP比はどうでも良いんとちゃうかと思っています。
 アジア経済危機の韓国なんて直前の公的債務GDP比がたったの8%しかなかったのに、どえらいことになってましたやんか。政府が借金なくても民間がたんまり借金してておまけに外貨建ての借金やったら政府もどないもなりまへんわ、そんなもん。
 ちなみにその韓国、IMFなどの支援を受けつつウォンをドカンと下げ、経常赤字だったのを大きく経常黒字にドカンと転換し、その経常黒字でなんとか外国からの借金を返したようです(実際、韓国銀行のデータベースで対外純負債のデータみたらそんな感じになってます)。まあ、色々大変だったと思いますが…。


とにかく、資本ストック、生産財を増やさんかったら国の借金がゼロだろうがなんだろうが、国民はモノを作れんようになって国民生活はめでたく破綻します。
カネの破綻とモノの破綻、どっちが怖いか、っちゅう話です。

1.カネがなくてもモノ(食い物とか水とか)があれば人間生きられます。
2.カネだけたんまりあって借金ゼロでもモノがなければ、人間あっけなく死にます。

1.と2.のどっちか選べと言われたら、そら1.モノがあるほうですやろ。
え?2.の「モノがなくてもカネがたんまりあって借金ゼロ」を選びたいって?そんなに死にたいでっか?


みたいなことになります。
(論文作りで疲れて眠くて文章がアレですがご勘弁をm(_ _)m)







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630:「ハゲタカ」VSアルゼンチン…新たな「冷戦構造」の様相も垣間見える13年越しのドル建て債務問題から得られる教訓:「本当に怖い外貨建て債務」⇔日本の「国の借金」は「本当は怖くない自国通貨建て債務」

2014/09/29 (Mon) 11:27
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さて、本題です:


「ハゲタカファンド」初の非難決議=影響を実態調査へ―国連人権理
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140927-00000018-jij-int&pos=2
時事通信 9月27日(土)6時46分配信

 【ジュネーブ時事】国連人権理事会は26日、安値で買いたたいた資産で巨額の利益を追求する「ハゲタカファンド」に関する初めての非難決議を賛成多数で採択した。こうしたファンドは「経済、社会、文化に悪影響を及ぼす」と指摘。ファンドの活動が人権に及ぼす影響について実態調査することも決めた。
 決議案は、債務返済を迫る米ファンドに訴えられたアルゼンチンなどが提案。「(ハゲタカファンドは)国家による人権向上の取り組みに負の影響を与える」と明記した上で、「自国の債務再編をめぐり、いかなる権利も他国側に妨害されてはならない」と非難した。
 採決では47理事国のうち、日本、米国、英国、ドイツ、チェコの5カ国が「(ハゲタカファンド問題は)人権理での議論の対象外」(米国)などと反対。フランスなど9カ国は棄権し、アルゼンチンや中国、ロシアを含む33カ国が賛成した。





13年越しの「ハゲタカ」VSアルゼンチン政府のドル建て債務問題、上記の記事によると、何やら西側と東側の冷戦構造まで垣間見える事態となっている模様ですね…。

で、債務再編に応じないファンドを「ハゲタカファンド」と呼び始めたのは、以下で紹介する複数の記事によると、アルゼンチン政府のようです。


さてさて、上記の「人権理事会」の決議に先立って、国連総会で↓のような決議が…





アルゼンチン、債務再編の国連決議は自国の正当性を裏付けと主張
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140911-00000086-reut-n_ame&pos=4
ロイター 9月11日(木)16時47分配信

[ブエノスアイレス 10日 ロイター] - アルゼンチン政府は10日、債務再編関連の国連総会決議について、債務問題で大幅な利益を上げようとする米ヘッジファンドへの支払いを拒否するアルゼンチンの立場を擁護するものだとの見方を示した。

アルゼンチンは債務問題をめぐり、米裁判所が示した利払いを禁じる判断の効力が及ばないよう、国債の準拠する法律を自国に切り替える方針を示しており、下院は同日、関連法案を審議した。

下院は11日の早い段階で法案を可決する見通し。適法性が問題視されて投資家の懐疑的な見方が広がり、計画実施が阻まれた場合、政府の思惑外れに終わる可能性もある。

フェルナンデス大統領は、アルゼンチンが「ハゲタカ・ファンド」の犠牲になっていると指摘。債務再編の取り組みを妨害する少数の投資家を規制する国際的な枠組みを求めている。

カピタニチ内閣官房長官は「124カ国がアルゼンチンを支持したのであれば、われわれの主張が正しいということになる」と述べた。





ハフィントン・ポストが上記の時事通信の「人権理事会決議」の記事を引用しながら、この問題の解説記事を書いています。以下に、その「解説」部分を抜粋




「ハゲタカファンド」国連人権理が初めて非難決議 日本は反対
http://www.huffingtonpost.jp/2014/09/27/un-human-rights-council-vulture-funds_n_5891998.html
The Huffington Post
投稿日: 2014年09月27日 15時10分 JST


(人権理事会の決議について)
イギリスのBBCによると、この決議案の提案には、アルゼンチンの他、ロシア、ブラジル、ベネズエラ、アルジェリアが参加。アルゼンチンのティメルマン外相は議決の前に、「ハゲタカファンドは、我々自身が止めない限り止まらない。ハゲタカファンドによる南半球の国々での莫大な資産の強奪は、学校閉鎖や、医薬品不足、政治不安などを引き起こす原因となる」と述べたという。



■アルゼンチン政府とハゲタカファンドの争い 背景は?

アルゼンチン政府は2001年、1千億ドル(約10兆円)を超える借金が返せず財政破綻した。その後、返済額を減らすことに応じてくれた9割の投資家に対し、新たに国債を発行し利払いを続けてきた。

しかし、アメリカの一部のファンドが全額返済を求めて提訴。2014年6月、アメリカの最高裁はファンド側の訴えを認め、アルゼンチンがファンドへ債務全額、約15億ドル(約1500億円)を返済しない限り、減額に応じた投資家への利払いも認めないとする判決が決定した。




■経済学者100人以上もハゲタカファンドを批判

これらの一連の行為を受け、アルゼンチン政府は8月7日、投資ファンドの訴えをアメリカ裁判所が認めたことを巡り「アメリカは国の主権を尊重する国際的義務に違反している」として、国際司法裁判所(ICJ)に提訴。フェルナンデス大統領もアメリカ裁判所の担当判事について「(アルゼンチンの)国家主権を踏みにじりたがっている」と非難した。

フェルナンデス大統領は、ファンドを「ハゲタカ」と呼び、自らの利益のためにアルゼンチン経済を麻痺(まひ)させようとしていると指摘する。

ファンドへの批判はアルゼンチン国内からだけには留まらない。ノーベル賞を受賞した経済学者のロバート・ソロー氏や、世界銀行のブランコ・ミラノヴィッチ氏ら100名以上のエコノミストは7月31日、アメリカ裁判所の判決は「モラル・ハザードを招く」とする連名書簡をアメリカ議会に送付。イギリスのフィナンシャル・タイムズ紙も9月3日、アルゼンチン債権の対応について投資ファンドに再考を促す記事を掲載している。

9月9日には国連総会において、債務不履行に陥った国が進める債務再編過程に、投資ファンドなどが妨害を加えることを規制する国際協定を策定することが決まった。議案を提出したボリビアのジョレンティ国連大使は、「法的枠組みは新自由主義、投機市場に打撃を与える」と指摘した。





そして、ブルームバーグが8月に書いていた、この問題に関連するかなり興味深い記事です:




CDS業界の複雑な構造が浮き彫りに-アルゼンチン債務問題
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140801-00000033-bloom_st-bus_all&pos=1
Bloomberg 8月1日(金)12時51分配信

  8月1日(ブルームバーグ):金融危機でクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の複雑に絡み合った世界が注目を集める度に陰謀説が浮上してきた。今回のアルゼンチン債務問題も例外ではない。

アルゼンチンのキシロフ経済財務相は7月30日の債務協議決裂後、ホールドアウト(債務再編を受け入れなかった債権者)側を「ハゲタカファンド」と呼んだ。さらにCDSをやり玉に挙げ、「存在する最も卑劣な投機的資本主義」へと導く一方で、債権者の動機を覆い隠す市場だと非難した。

ホールドアウトの1社、ヘッジファンドのエリオット・マネジメントは、実はCDSの決済を行うかどうかを決定する判定委員会のメンバーでもある。

しかし資産家ポール・シンガー氏が率いる248億ドル(約2兆5500億円)規模のエリオット・マネジメントは昨年、アルゼンチン政府が支払いを停止した場合に利益を得るようなCDSを保有していないと米裁判所で明らかにしている。エリオットの広報担当、スティーブン・スプリエル氏は7月31日、コメントを控えた。

シティグループとJPモルガン・チェースも国際スワップデリバティブ協会(ISDA)の判定委員会のメンバー。同委は15のディーラーと投資家で構成される。アルゼンチン紙アンビトの報道と銀行関係者によれば、シティとJPモルガンはエリオットなどの債権者が保有する2001年にデフォルト(債務不履行)となったアルゼンチン債の買い取りで交渉中。

この買い取りが合意に達すれば、アルゼンチンの利払い再開が可能になる。同国はエリオットやアウレリアス・キャピタル・マネジメントなどとの債務協議が不調に終わった後、5億3900万ドルの利払い期限を守れなかった。

ISDAはニューヨーク時間8月1日午前11時(日本時間2日午前0時)から判定委員会を開催、アルゼンチン国債のCDS決済につながる支払い不履行の信用事由が発生したかどうかを判断する。

原題:Argentina Debt Dilemma Spotlights Knotted World of DefaultSwaps(抜粋)





2001年の「破綻」から13年も経っており、9割の債権者が債務再編(ようするに借金の棒引き)に応じているにも関わらず、アルゼンチン政府のドル建て債券の全額返済を頑なにこだわっているファンドの一つ「エリオット」が、CDS(特定の債券が破綻したときに儲かるような金融商品で、債券の保険のようなもの)の判定委員会のメンバーであるものの、アルゼンチン政府債のCDSを購入していなかったと。

 そこで、アルゼンチン政府債のCDSを購入しているほかのCDS判定委員会メンバーであるシティとJPモルガンに「エリオット」が保有しているアルゼンチン政府債を買い取ってもらってから、めでたく「デフォルト」判定して、シティとJPモルガンがCDSの「保険金」をせしめ、「エリオット」も損失を軽減する、という、何というか「三方一両損」みたいなものでしょうかね?


 まあ、色々と大人の事情がおありなのではないかと、拝察つかまつります。






アルゼンチンなど新興国が「債務再編に応じない連中はハゲタカだ!」という主張はハフィントン・ポストの記事にあるように

「ハゲタカファンドは、我々自身が止めない限り止まらない。ハゲタカファンドによる南半球の国々での莫大な資産の強奪は、学校閉鎖や、医薬品不足、政治不安などを引き起こす原因となる」(アルゼンチンのティメルマン外相)

でしょうし、

「債務不履行に陥った国が進める債務再編過程に、投資ファンドなどが妨害を加える」(国連総会の決議理由)

ということになるだろう、という点で一理あるように思われます。



一方、若干強引な気もしますが、あくまでも「全額、カネ返せ。借りたカネ返すのが人間の道理やろ!」とする(?)、「ホールドアウト」(アルゼンチン風にいうと「ハゲタカ」)側の主張も、一理あるようにも思います。






しかし、アルゼンチンなど新興国で外貨建て(主に米ドル)でカネ借りている人たち(というか政府や企業たち)は、リスクプレミアムという形で、返済に対する信用度が低い分、高い利息を支払っていたわけです。
 つまり、高い利回りの不利な条件で債券を発行していたわけで、買い手側は、信用度の低いことと見合う利回りに納得して買っていたはずです。
 ハイリスク・ハイリターンは承知の上で買うのが投資家であるし、その上でリスクを分散して他の債券も幅広く買うのが投資家のあるべき行動パターンではなかろうかとも思います。
 例えば、野村アセットマネジメントの運用する「米国ハイ・イールド債券投信」という米国の高利回り社債に分散投資するファンドの
商品説明書のp.11に、1996年12月~2014年5月の平均デフォルト率3.2%、p.12にほぼ同じ期間におけるデフォルトした債券の「回収率」が4割程度というデータが載っています。デフォルトのリスクの高い債券であっても分散投資していれば、1年あたりで貸し倒れする金額の割合は、3.2%×40%=1.28%とかなり低くなるわけです。それを上回る利回りがあれば、利益はプラスになる、という算段です。
【訂正】
デフォルト債券の「回収率」が4割なら、デフォルト債券の「貸し倒れ率」は6割ということになります。デフォルトのリスクの高い債券であっても分散投資していれば、1年あたりで貸し倒れする金額の割合は、3.2%×60%=1.92%とかなり低くなるわけです。それを上回る利回りがあれば、利益はプラスになる、という算段です。

 アルゼンチン政府ならびに国民は、カネをある程度踏み倒したという点で「モラルハザード」があったかもしれませんが、2001年のデフォルトで経済が急激に悪化し、痛い目に遭っているわけで、その点において代償は支払っているとも言えます。
 そして、高リスク・ハイリターン狙いでアルゼンチン国債(ドル建て)を買っていた投資家(投機家)は、分散投資でかなり確実に利益を挙げていたはずですし、分散投資していなかったとしたら、それは新自由主義のルール=「自己責任」という面もあるでしょう。
 それに、もし一民間企業に貸していたのなら、基本的に民間企業などの「法人」は有限責任で、破綻したときにその「法人」が所有している財産以上の支払いは免除されます。この「有限責任」も資本主義のルールであります。このような「敗者復活」のルールがあるからこそ、皆がリスクを取って起業し、それによって資本主義の活力が生まれるわけですから。


と考えると、
「ホールドアウト」投機家側の「貸したカネは返せ」という気持ちも分からないわけではありませんが、資本主義のルール=「自己責任&有限責任」を踏まえると、ある程度は損を受け入れなはれ、とも思う次第であります。で、アルゼンチン政府ならびに国民と投資家(投機家)のあいだで「三方一両損」が成立して、しゃんしゃん、という運びになると良いのですが。






さて、それはそれとして、

アルゼンチンのように外貨建て、またはギリシャのように共通通貨建てで借りてしまうと、「借りたカネは返すのが人間の道理やろが!」という取り立て屋さんが来ますが、日本のような通貨発行権のある自国通貨建ての借金しかない場合はそんな取り立て屋さんは来ません。(尖閣辺りに地上げ屋さんは来るかも知れませんが…)

という視点で「国の借金」論を書いている面白いブログ記事があるのでご紹介(私がツイッターでお世話になっている剣kennさんのブログ「剣kenn諤々」の記事)



「第69回 国の借金とサラ金の違いについて」 
2012-01/28
http://hskenncutter.blog109.fc2.com/blog-entry-69.html


江頭2:50氏、岸部四郎氏の借金の話と「国の借金」との対比が実に分かり易く、また、借金という言葉のもつ恐怖の実感についても身近な方に対する「サラ金」の取り立てについて実地に見てきた経験からの話があり、大変興味深い内容となっています。




なお、「恐怖」について補足しておきます。

私の新しい本で書いていますが、恐怖は生物学的には危険を回避するための必要不可欠な機能であり、恐怖体験は一度だけで学習する必要があるので、恐怖体験の記憶は生涯消えることがありません(脳科学者、ジョセフ・ルドゥーの説)。

 よって、上記のような「サラ金の取り立て」の恐怖が、借金に対する恐怖、そして借金という言葉に対する恐怖、そして、「国の借金」に対する恐怖とつながってしまうということがあるものと考えられます。

 借金という言葉と恐怖の感情が上記のような生物学的なシステムによって「連合学習」されており、借金と聞くと恐怖の感情が沸き起こってしまう(自動的に連想してしまう)というのは、生物学的には残念ながら、かなり自然なことと考えられます。

 このような恐怖とどう向き合うか、そしてこのような恐怖を人類がどう「飼い慣らす」か、ということは日本経済の将来だけでなく、世界全体の将来も左右する重要なテーマだと考える次第であります
(詳細は拙著「日本経済のミステリーは心理学で解ける」をお読み頂ければ、と思います)






 日本の場合、

 『地上げ屋さん』は来るかも知れんが、

 『サラ金の取り立て屋さん』は来ないわな
 


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629:【米国動乱】日本で全く報道されていない「解雇復讐型」の殺人事件が立て続けに発生…。日本でも「雇用の流動化」が進んでいる模様ですが、本当にそれで国が持つのでしょうか?

2014/09/27 (Sat) 16:53
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「日本経済のミステリーは心理学で解ける」

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「個人レベルから国レベルに至る“閉塞感”を打ち破るための共通原理」を、経済学、心理学、脳科学、生物学等から抽出:ぜひご一読頂きたい、味わいある一冊です!


・経済統計データだけでなく、心理学や脳科学や生理学の観点からも「国の借金」の分析を行っています――「国の借金」に対する恐怖をどうすれば乗り越えられるか?

・「日本の国の借金はもうダメだ」という考えと、「いや、日本の国の借金は大丈夫だ」という考えを両方とも正しいと仮定した上で、長期的に日本が安定的に繁栄を続けるための方策の試論を提示しています。他方が一方を「お前は間違っている!」として否定するのではなく、互いの考えを両方とも肯定し、調和的に解決を図ることを理想としています。

社会は多数の人間からなる組織・集団であり、一人の人間もまた70兆個もの細胞からなる巨大な組織・集団です。
それゆえ、マクロ経済や政治や軍事などの人間集団の仕組みと、一人の人間という「組織・集団」の仕組みのあいだには、多くの共通点や相似性があるはずです。

・「国の借金だけでなく民間の借金や金融資産も見るべき、国の借金だけでなく国の金融資産も見るべき」というようなマクロ経済におけるバランスシート思考が、実は一人の個人にも適用できる――例えば、「イライラしているときは必ずその正反対のイライラしたくない願望が同時に存在している」、「病気に対する恐怖があるときは必ずその正反対の病気が治って欲しいという願望が同時に存在している」といった具合に――というような、国レベルの大規模な人間集団からたった一人の個人にまで幅広く共通する基本原理について、学問領域の垣根を越えた幅広い、多角的な視点から提示しています。

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さて、本題です:

今回のエントリーは、↑の本の第4章をお読みでない方には、あまり読むことをお勧めしません…

今回の話は、ISISも若干絡んでくるのですが、日本でまったく報道されていない、アメリカで実際に起きた、かなり凄惨な事件の話であります。


今年の正月に
「アメリカが世界の盟主の座を降りてしまった、あるいは、降りる準備を始めてしまったのではないか、と思わせるような象徴的な出来事が、ほんの一年のあいだにあまりにも多数起きた」という意味で、昨年あたりから世界的に政治や経済の情勢があまりにも混沌としてきたように感じられる」
と書きましたが、これはすなわち、私個人的には、世界的に「治世」に向かうよりは、「乱世」に向かう可能性が高いと感じている、ということでもあります。

世の中、かなり確実にこれからもっと乱れてゆくでしょう。
それゆえ、それに対処するために心理学、心理学的な事柄がこれからは圧倒的に重要になってくると考えています。


それゆえに私は、↑の本をどうしても出したかったのであります。この本は本当に苦労して書き、出版に至る道も多難でありましたが、それは今の世の中に絶対に役に立つ、必要な内容のものであるという、ゆるぎない信念があったからであります。

それで、この本では、「否定」と「肯定」、つまりは「0」か「1」か、というこれ以上単純にならないというくらいに単純な概念を用いて、誰もが簡単に自分自身や他人の心理分析、さらには国レベルの心理分析的なことを、かなりの程度できるようにするための、簡便な心理モデルを提供させて頂いております。おそらく、心理学のややこしい話をここまで日常的な実用レベルに引き下げて使いやすいモデルにして提供しているのは、人類史上初の試みです。



で、以下の話は、↑の私の本の第4章のような「解毒剤」、あるいは、もちろん、私の本でなくても何かしらの凄惨な話に対する「解毒剤」や「耐性」をお持ちの方以外は、あまりお読みになることはお勧めしません…。

しかし、じゃあなんでそんな話を書くのかというと、日本でちっとも報道されていないものの、アメリカ国民の全般的な群衆心理がどのような状態かを推定するためにはかなり重要なニュースではないかと考えるからです。
そして、「アメリカ国民の全般的な群衆心理」についてウォッチしておくことは、日本の将来にとってもかなり致命的に重要な問題ではないかと考えるからであります。

とはいうものの、以前申し上げていた学術論文の作成がかなり切羽詰っているため、かなり簡単な紹介になります:



Fired Oklahoma Food Plant Employee Beheads Woman, Attacks Another
オクラホマの食品工場を解雇された従業員が、女性を斬首、もう一人を襲撃

Sep 26, 2014, 12:17 PM ET
By MEGHAN KENEALLY ABCNews


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食品工場を解雇されたAlton Nolen という人物が、工場の人事部のある建物から他の建物に自動車で直接乗り付け、そこにいた二人の女性を襲撃。一人の女性については斬首して殺害、もう一人の女性を刺したとのこと。

但し、駆け付けた同社の重役兼予備警官がNolenを銃撃したため、もう一人の女性は命を取り留めたとのことです。
また、凶器のナイフは同工場で作業員が日常業務で使っていたものとのことです。

当局はテロとは関係ない、職場における怒りが主たる原因、としていますが、「心理的」にはISISに影響を受けていたかどうか調査中とのこと。

"After conducting interviews with Nolen's co-workers, information was obtained that he recently started trying to convert several employees to the Muslim religion," police said in a statement.
「Noleの同僚に事情聴取した結果、彼は最近、複数の従業員に対し、イスラム教への改宗を試みることを始めていたという情報が得られた」と警察は発表している。

Authorities are investigating whether Nolen posted a series of fanatical messages on Facebook and, though they have not yet found any connections, they are still looking to see if he was influenced by the recent ISIS beheadings dominating the news.
当局はNolenが一連の狂信的なメッセージをフェイスブック上に投稿していたかどうかについて調査しているが、まだ関連性を見つけていない。当局はニュースで大量に報道されている最近のISISによる斬首事件の影響を受けたかどうか調査中である。



ABC News consultant and former senior FBI agent Brad Garrett, who has extensive experience in criminal profiling, said that on the surface the incident appears to be "workplace violence."
ABCニュースのコンサルタントにして元FRI上級エージェントのBrad Garrett(犯罪プロファイルの豊富な経験がある)は、この事件は表面的には「職場における暴力」の表れであると述べた。

"It's within the realm of reasonableness that this is ISIS-related, but you have to go back to the motive, and the motive was he was mad," Garrett said, referring to the militant group linked to the recent beheading of two American journalists.
「合理性の領域の範疇において、この事件はISIS関連である。しかし、動機について考え直す必要がある。その動機は、彼が怒っていたことにある」とGarrettは戦闘員グループによる最近の2人のアメリカ人ジャーナリスト斬首事件を参照しながら述べた。




そして、上記の記事に関連ニュースとしてリンクしている、もう一つの「解雇復讐型」殺人事件です…


2 Killed in Alabama UPS Shooting Were Superviser
アラバマのUPS銃撃事件で殺害された二人は上司だった

http://abcnews.go.com/US/wireStory/police-fired-ups-employee-kills-colleagues-25719055
Sep 24, 2014, 7:54 PM ET
By KIM CHANDLER and JAY REEVES Associated Press

UPSというのは日本で言えばヤマト運輸のような会社です。
そこで21年務めていたトラック運転手が解雇されて、上司二人を銃殺したという事件です。

その殺害された上司の一人は生前、婚約者に「長年勤めていて家族もいる彼を解雇するのは心苦しい」と語っていたそうですが…






 日本でも雇用の流動化

 解雇しやすい方向に進んでいるようだが…

 本当にそれで国が持つのだろうか?



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628:#TPP 推進(?)のオバマ政権、保護主義を絶賛加速中!

2014/09/25 (Thu) 14:37
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社会は多数の人間からなる組織・集団であり、一人の人間もまた70兆個もの細胞からなる巨大な組織・集団です。
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TPPを一応「推進」しているオバマ政権と、TPPに後ろ向きな民主党連邦議員団が足並みをそろえて、TPPの理念とは正反対の「保護主義」の方向に突き進んでいるご様子であります。




米「自国製の優先を」 政権と議会が足並み
進出企業に懸念 TPP交渉に影


日経新聞 2014年9月25日 朝刊 6面

【ワシントン=矢沢俊樹】米国のオバマ政権と議会が、国内の公共交通で使用する資材などの調達で米国製品を優先させるバイ・アメリカン(米国製を買おう)を推し進める動きを鮮明にしている。11月の中間選挙を前に保護貿易主義ともいえる内向き志向を強めれば、米国に進出する企業が影響を受ける。難航している環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉にも影を落としそうだ。

 「とんでもない条項だ」
 「米国市場から外国企業を締め出すつもりか」
 日本政府や米国に進出した運輸企業の関係者は憤る。やり玉にあげるのは米運輸省が今年夏までに議会に提出した陸上交通インフラ整備計画法(グロー・アメリカ・アクト)案に盛り込まれたバイ・アメリカン条項だ。

 米連邦政府が資金を拠出する鉄道などの公共交通網の整備で、米国産品の使用を義務付ける比率を現行の60%から原則100%に引き上げる方針を打ち出した。この法改正が実現するかどうかは不透明だが、外国企業が受ける衝撃は大きい。

 例えば、日本の輸送機メーカー。米国市場で鉄道車両を売る場合、日本に拠点を置く開発などの試験設備や製造・組み立てライン、人材をほぼすべて米国に持ち込み現地化する必要が生じる。1年ごとに現地化の達成比率が高まる仕組みなので投資計画が立てにくい。「全資材を米国で調達することは極めて困難で非現実的だ」(関係者)

 米国への進出を検討する日系の大手インフラ企業の幹部は、この法案の100%ルールが厳格に運用されれば「北米戦略を事実上、白紙に戻さざるを得ない」と話す。

 米国で鉄道事業を展開する重工メーカー、ボンバルディア社などを抱えるカナダ政府や欧州委員会(EC)は米政府に強く抗議した。日本も「深い懸念」を伝えたもようだ。

 だが、雇用の伸び悩みや国政選挙の節目では議会で保護主義が強まりやすい。与党・民主党の苦戦が伝えられる中間選挙を控え、オバマ政権もバイ・アメリカンを強化することで民主党系の労組や議会の保護貿易派に配慮する構えだ。

 議会ではさらに、米国の旅客・貨物輸送などに関する商船法(ジョーンズ・アクト)を強化する動きも浮上している。

 現在、米国の内航船には同法によって外国製船舶を事実上、導入できない。米国人船員の乗船義務付けといった同法の規定を、エネルギーなどを国外に運び出す外航船にも適用する構想などが俎上(そじょう)に上っているという。北米産のシェールガスなどの輸入を目指す日本のエネルギー戦略や海運業にも影響しかねない。外国との間で火種が尽きない。

 「いかなるTPP加盟国に対してもバイ・アメリカンは放棄しない」。7月末、下院の民主党を中心とする超党派議員はオバマ大統領に宛てた書簡でバイ・アメリカン条項の堅持を要請した。TPPの交渉当事者である米通商代表部(USTR)は「TPPで外国向けに米連邦や州の政府調達の門戸を広げる約束は一切していない」と表明し、議会対応に追われた。

 TPPでは米国の自動車大手や農業団体などの対日圧力が一段と強まっている。TPP交渉を巡り「時間が経過すればするほど日米合意は遠のく」(日本政府筋)という懸念が強まっている。

 ▼バイ・アメリカン条項 公共性の高い事業で米国製の部品・製品の使用を義務付ける国内企業優遇策のこと。原型は大恐慌時代の1930年代に誕生した。近年では金融危機後の2009年に成立した景気対策法に同条項が盛り込まれ、外国企業への業務委託を制限する方針を打ち出した。

 グローバル化に反対する労働組合などロビイストの働きかけが背後にある。世界貿易機関(WTO)の政府調達協定に抵触する可能性がつきまとうほか、外国の報復措置発動を懸念する米産業界では慎重論も根強い。




一応、「この法改正が実現するかどうかは不透明」ということですが、米運輸省(オバマ政権)、議会民主党は、保護主義まっしぐらなご様子です。


以前、

「アメリカさん、本気でTPP進める気はあるんですか?」という雰囲気で一杯のような気もしないではありません。
(2013年6月3日)

とか、

実はオバマさんがTPPに「本腰」を入れるつもりが、本音ではなかったのかしら、などと妄想してしまわないでもありません。
(2014年1月30日)

と書いていました。


つまり、オバマ政権は本当はTPPを進める気がないのではなかろうか、という疑惑であります。

そのような仮説というか疑惑についての状況証拠

・大統領になる前の2007年の大統領選キャンペーンで「グローバリゼーションは格差拡大になる」という趣旨の演説をし、当時の民主党選挙公約でもISD条項のようなものが入ったFTAをこれ以上締結しないとしていたこと。

・本来、TPPなどのFTA交渉に入る前に可決させておくべきTPA法案を、2011年9月に上院で否決されて以来、2年以上も放置プレイしていたこと(いまや、もう3年経過してもいまだ可決できていない!)

・TPPの交渉担当省庁であるUSTRのトップとNo.2が相次いで辞任し、数か月もトップ人事が迷走し、共和党のハッチ上院議員から「Today, morale at USTR is at an all-time low.
今日、USTRの士気は、かつてないほどに低い」と揶揄されていた
こと

といったことが挙げられますが、今回のオバマ政権による保護主義推進の記事が出て来たので、さらに状況証拠が固まってきたという具合でありますが、どうでしょうね。


今日の日経新聞朝刊の同じ紙面の5面には

「TPP、牛豚肉で再攻防 日米閣僚協議」

というタイトルの記事が掲載されていましたが、そのまさに同じ一枚の紙の裏側に掲載されている、上記の6面の記事を見ると、何かのアメリカンジョークとしか思えないのですが、気のせいでしょうか?


前回のエントリーで「戦争の勝利には『国民の士気』の維持が極めて決定的な要素」という趣旨のことを書きましたが、メリカにおけるTPP推進の「国民の士気」は相当低いように見受けられます。

TPPがポシャるというのは、アメリカの覇権終焉とセットになる可能性が高いため、日本の安全保障のことを考えると若干複雑なアレもあるのですが…



 頑張れ、民主党!(もちろん、アメリカの)

 TPP、すったもんだで、さようなら!



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627:米軍、シリア空爆開始(米国防総省発表) + 世論調査で浮かび上がる「さまよえるアメリカ人」

2014/09/23 (Tue) 23:11
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さて、本題です:

大統領が「最終的に壊滅させる」、副大統領が「地獄送りにしてやる」と言っていたISIS壊滅作戦が本格的に開始しました。

まず、アメリカ国防総省(ペンタゴン)の簡潔な発表をどうぞ:


-----

U.S. Begins Airstrikes Against ISIL in Syria
アメリカはシリア国内のISILに対する空爆を開始した
http://www.defense.gov/news/newsarticle.aspx?id=123233
By Claudette Roulo
DoD News, Defense Media Activity

WASHINGTON, Sept. 22, 2014 – U.S. and partner nation forces have begun airstrikes inside Syria against terrorists from the Islamic State of Iraq and the Levant, Pentagon Press Secretary Navy Adm. John Kirby said in a statement today.
The strikes are being undertaken through a mix of fighter and bomber aircraft and Tomahawk Land Attack missiles, he said.
ペンタゴン報道官ジョン・カービー海軍大将は本日、アメリカおよび有志連合諸国軍は、シリア国内におけるISILのテロリストに対する空爆を開始したことを発表した。この攻撃は戦闘機、爆撃機、トマホーク対地ミサイルの組み合わせによって行われた。

“Given that these operations are ongoing, we are not in a position to provide additional details at this time,” Kirby noted.
U.S. Central Command has conducted a total of 190 airstrikes across Iraq in the battle against ISIL forces. The decision to begin the airstrikes in Syria was made earlier today by Centcom Commander Army Gen. Lloyd Austin, the admiral said. The strikes are being made under authorization granted by the commander in chief, President Barack Obama, as part of the comprehensive strategy to degrade and ultimately destroy ISIL.
「これらの作戦は進行中であるため、我々はいまのところ、これ以上の詳細を公表する立場にない」とカービー報道官は述べた。アメリカ中央軍司令部はISIL勢力に対する攻撃としてイラクでこれまで合計190回の空爆を指揮してきた。シリアにおける空爆開始の決定は、中央軍司令官ロイド・オースティン陸軍大将によって今朝早くになされた。この攻撃は最高司令官バラク・オバマ大統領によって与えられた権限に基づき、ISILを弱らせ最終的に壊滅させる包括的戦略の一環として行われている。




これに伴い、ISIS(ISIL)は「もっと(アメリカとその同盟国の)民間人を殺せ」というビデオを公開した、と米ABCニュース:


ISIS Calls for Civilian Murder
ISISが民間人殺害を呼び掛け
http://abcnews.go.com/WNT/video/isis-calls-civilian-murder-25686823
ABC News 03:10 | 09/23/2014


After ISIS's chilling message, Algerian group grabs French hostage.
ISISによる不快なメッセージ発信のあと、アルジェリアのグループがフランス人を人質に取った。




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「アメリカ人やヨーロッパ人、特に陰湿で不潔なフランス人やオーストラリア人、カナダ人を、いかなる方法でもいいから殺せ」
というテロを促すメッセージを出しているとのことです。

そして、アルジェリアのISIS支持者らが50歳のフランス人男性を誘拐し、フランスが24時間以内に空爆を止めなければ斬首するとしているとのことです。



うーむ…。


この「戦争」、できるだけ早いうちに、うまい具合に終結し、最終的な解決がなされることを願うばかりでありますが…




今回は善悪良否を脇に置き、ISIS問題が今後どういう経緯をたどりそうなのか、心理学的に検討してみたいと思います。

『孫子』に基づいて独自の戦略論を作り上げたリデルハート元英国陸軍大尉の間接的アプローチの戦略によると、

戦略の要諦は、

①敵の退路を断つ
②敵の補給路を断つ
③敵の指揮系統を混乱させる


ということを通じて、

敵方の戦闘継続意志を消失させる

という段取りになります。(うろ覚えですが、多分こんな感じ)



が、あともう一つ、
④敵方の国民の士気を喪失させる

というものも付け加える必要があるかも知れませんね。(この「国民の士気」の概念はクラウゼヴィッツ戦争論に書いていたような気が…)

なお、『孫子』では「戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」、つまり、不戦勝こそが最善としていますが、それは戦わずして敵方の戦闘継続意志を消失させるのが最善、ということになります。

(このように見て行きますと、戦争とか戦略とかいうものは、かなりの度合いで心理学の領域です。そしてこのような話は政治や経済にも多大な影響を与えるわけですから、政治や経済もまたかなりの度合い心理学の領域の問題と言えます。)


さて、「国民の士気」の重要性について。

例えば、第二次世界大戦ではルーズベルト大統領が選挙公約で戦争しないと約束していたので戦争できなかったのが、日本軍の真珠湾攻撃によって戦争を開始することになった、と言う話がありますが、これは「国民の士気が低くて戦争できなかったものが、国民の士気が高まったので戦争できるようになった」と見ることができるでしょう。

また、昨年8月末にオバマ大統領

「私は、現在までのあいだ完全にマヒし、アサド政権に責任を取らせる意思を見せない国連安保理の承認が無くとも前進することに不都合を覚えない。」
「我々はアメリカ合衆国であり、我々はダマスカス(シリアの首都)で起こったことに目をつむることはできないし、目をつむるべきではない。」

とまで
演説したのに結局はシリアのアサド政権への攻撃を中止したのは、「国民の士気」が低すぎたからだと言えます。

今回は、ISISが二人のアメリカ人ジャーナリストを残虐な手法で殺したとされるビデオが繰り返しテレビで放映されたことによって「国民の士気」が高まり、遂にシリアにおけるISIS拠点への空爆を開始するに至ったと考えられます。


が、

Pew Research Centerがオバマ大統領の「シリアにおけるISIS空爆作戦」発表直後に行った直後に行った世論調査の結果を見ると、その「国民の士気」の高まりと同時に、「国民の戸惑い」のさまも浮き彫りになっているように見受けられます。

以下、Pew Research Centerの世論調査を抜粋して紹介します:

Bipartisan Support for Obama’s Military Campaign Against ISIS
http://www.people-press.org/2014/09/15/bipartisan-support-for-obamas-military-campaign-against-isis/
Pew Research Center
SEPTEMBER 15, 2014

まず、オバマ大統領が発表した「イスラム国を最終的に壊滅させる」作戦に賛成とした割合が53%、反対が29%、分からない(DK=Don't Know)が19%でした。(下図)





次に、アメリカ軍の行動は「行き過ぎ(Go too far)」と考える人の割合が41%、「まだ十分でない(Not go far enough)」の割合が41%で拮抗しています(下図右)。


先月の数字が下図左ですが、「行き過ぎ」の人が今月は減り、「不十分」の人が今月は増えたわけですね(ジャーナリスト殺害事件の影響と思われます)。





次に、軍事行動による米国内でのテロの脅威への影響について。

多数派は「それほど変わらないだろう(Not make much difference)」で41%。

その次が「テロの脅威は増える(Increase)」で34%。

一番少ないのが「テロの脅威は減る(Decrease)」18%。

(下図)





今回の「作戦」で「テロの脅威は減る」と答えた人の割合が非常に少なく、「脅威の度合いは変わらない」、「むしろ脅威は増える」と答えた人のほうが多いことは、実は、ある種の「矛盾」をはらんでいます。

この軍事作戦は、オバマ大統領によれば、

“We Will Degrade and Ultimately Destroy ISIL”
「我々は、ISILを弱らせ、最終的に壊滅させる」

ということを目的とした作戦であり、それについては上のほうの質問への答えで53%の人々が賛成しています。
そして、この最終目的を達成できれば、「脅威は減る」はずです。
よって、この作戦の趣旨に賛同しているのなら、この53%の人々が「脅威は減る」と考えていて然るべきと思われます。
ところが、「脅威が減る」と答えた人の割合がたったの18%に過ぎなかったのです。



ここで、私の新しい本で提示していた「ユーロ圏の諸国民を一人の人間と捉えて考えてみると、ああでもない、こうでもないと葛藤している一人の悩み多き人間のように見える」というような考え方で、アメリカ国民を一人の人間と捉えてみましょう。

ISIS壊滅作戦に賛成53%、反対18%、分からない19%
→「少しばかり反対な気もするし、良く分からないような気もするけれど…、いやあ、やっぱ攻撃すべきだよねえ、多分…」

今の軍事行動は「やり過ぎ」41%、「不十分」41%
→「でも、やっぱ、やり過ぎとちゃうか…。いやあ、まだまだ不十分な気もするなあ…」

この作戦で「テロの脅威減る」18%、「テロの脅威増える」34%、「あまり変わらない」41%
→「でもなあ、これで国内でのテロの脅威減るような気があまりしないなあ…。いやあ、むしろ脅威が増えそうな気がするなあ…。うーん、いや、やっぱ、そんな変わらんかなあ…」

ここで、非常に気になるのがこの一人の悩める人間に例えた「さまよえるアメリカ人」の、ISIS壊滅作戦に対する「士気」が今後どうなるか、ということであります。

この「戦争」が長引くと…「あれ、そもそも国内でのテロの脅威が減ると思ってないというか、むしろ増えそうと思っていたのに、なんで作戦の開始に賛成、とあんなに強く思っていたのかな」と我に返り、「士気」がにわかに低下することもあるかも知れません。




さて、ここでもう一度、「戦略の要諦」の話を振り返りましょう。

-----

①敵の退路を断つ
②敵の補給路を断つ
③敵の指揮系統を混乱させる
④敵方の国民の士気を喪失させる


ということを通じて、敵方の戦闘継続意志を消失させる

-----

アメリカからISISを見た場合、今のところ①から③を一応は実践しているように思われます。

例えば、NHKのニュースによると
「(ISISの実質的な首都である)ラッカやその周辺には、イスラム国が、戦闘の末、シリア軍やイラク軍から奪った大量の武器を保管する倉庫や兵士の訓練施設、それに司令部などがあるとみられ、アメリカのメディアは、こうした施設が今回の空爆の標的になっていると伝えています」(「米がシリアに空爆拡大 新たな段階に」 2014年9月23日 18時52分)

という具合です。

武器等の保管庫への空爆であれば「②補給を断つ」ですし、ここがどうやら本拠地なので「①退路を断つ」、「③指揮系統を混乱させる」ということも該当しそうです。
しかし、そもそもが「テロリスト集団」ということであれば、拠点を移動しながら活動するものと思われ、「本拠地」という概念は希薄かも知れません。
「『イスラム国』を壊滅に追い込むには空爆だけでは難しく、オバマ大統領にとって終わりの見えない戦いを強いられる新たな段階に入ったという見方が出ています」(上記NHKニュース記事より)との見方で見ていた方が無難かもしれません。

すると、①から③はなかなか効果が上がらないかも知れません。
また、
④敵方の国民の士気を喪失させる
については、いまのところむしろISIS側の士気が高まっているようにも見えますが、どうでしょうか。



一方、

ISIS側からアメリカおよび有志連合諸国について考えてみましょう。

①敵の退路を断つ
→基本的に無理(ISISから見れば相手が余りにも巨大すぎるし、相手は航空機だし、退路を断つもなにも、ヘッタクレもない)

②敵の補給路を断つ
→これもまず無理

③敵の指揮系統を混乱させる
→これもかなり難しい。但し、長期戦に持ち込んでアメリカと有志連合諸国のあいだの利害衝突が起きることを狙い、戦線から離脱する国を徐々に増やす、というようなことは可能かも知れない

④敵方の国民の士気を喪失させる
→…

これを書くのはあまり気が進まないのですが、「④国民の士気」の維持こそ、アメリカや有志連合諸国の最も気を付けるべき弱点のように思われます。

長期戦に持ち込まれ、かつ、アメリカや有志連合諸国の国内におけるテロが断続的に発生する事態となると…。
特に、肝心かなめのアメリカ国民の士気は、上記の世論調査の結果を踏まえると、いとも簡単に折れかねないと思えてしまうのであります。

そうなると、以前も書きましたように、極端な場合は「在外米軍の全面的な撤退」というところまで短期間で進行してしまう可能性もゼロではないでしょう。

また、ISIS壊滅作戦が仮に失敗に終わった場合、中東は非常に混乱するでしょうから、石油、天然ガスの中東依存の大きい日本のエネルギー安全保障は非常に困難な局面を迎えることとなるでしょう。

もちろんこれは最悪のケースでありますが、一応は想定しておいた方が良いのではないかと思う次第であります。いかがでありましょうか。




 原発はゼロかできる限り少ないのが

 理想かも知れない。

 しかし、ISIS問題も踏まえると、

 エネルギー問題については

 最悪の事態も一応は想定する

 という文脈で

 原発問題を考える必要も

 あるかも知れない。



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626:G20:「日本はもっと財政出動しろ!」とアメリカさんから言われたようです

2014/09/21 (Sun) 23:24
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社会は多数の人間からなる組織・集団であり、一人の人間もまた70兆個もの細胞からなる巨大な組織・集団です。
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さっそくですが、本題です:

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G20声明 「機動的に財政戦略」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140921/t10014763801000.html
NHK NewsWeb 2014年9月21日 14時55分


オーストラリアのケアンズで開かれたG20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議は、ユーロ圏のデフレ懸念など世界経済の先行きに不透明感が強まっていることから「経済の成長と雇用の創出を支えるために機動的な財政戦略を行う」とする共同声明を発表し、閉幕しました。

主な先進国と新興国によるG20は、閉幕後、議長国のオーストラリアが今回の議論の成果を声明にまとめて発表しました。
それによりますと、ユーロ圏のデフレ懸念など世界経済の先行きに不透明感が強まっていることから「経済の成長と雇用の創出を支えるために、機動的な財政戦略を行う」として、各国の判断で財政出動を含めた対策を検討するとしています。
また、G20全体でGDPを今後5年間で2%以上引き上げる目標について各国の取り組みが進めば、1.8%の成長が可能という見通しを示したうえで、追加的な施策を進めることで成長を促すとしています。
そして、アメリカが進める金融緩和の出口戦略によって、投資資金の引き上げなどが起これば市場が混乱すると、新興国などから懸念の声が上がっていることを踏まえ、金融政策を見直す際には「世界経済への影響に留意する」としています。
さらに、西アフリカで流行が続くエボラ出血熱について、影響を受けた国やより広い地域の成長に深刻な影響を及ぼすおそれがあると指摘し、国際的に連携して対応する姿勢を強調しました。



追加の財政出動など検討の考え
麻生副総理兼財務大臣はG20の財務相・中央銀行総裁会議終了後の記者会見で「日本の経済政策について各国が関心を持って聞いてくれた。日本の構造改革に対する期待の高さを実感した」と述べました。
またG20の声明に各国が機動的な財政戦略を行うことが盛り込まれたことに関連して「かつての状況とだいぶ違うが、満足できるほどの需要が確実に戻ってきたという段階ではない」と述べ、設備投資などの需要もまだ弱く、回復は道半ばだという認識を示しました。
そのうえで、消費税率引き上げ後の反動減も踏まえた今後の景気対策について「まずは予算の早期執行を通じて早期に回復軌道に乗せて行きたい。今後のGDP=国内総生産や経済指標を見極めて、どうしていくか決めて行きたい」と述べ、今後の景気動向をよく見たうえで、追加の財政出動などを検討していく考えを示しました。



米財務長官 日欧の経済成長は期待外れ
アメリカのルー財務長官は、G20の財務相・中央銀行総裁会議終了後に会見し、「ユーロ圏と日本の経済成長の見通しは下方修正され期待外れの状況だ。日本は消費税率引き上げ後の消費や設備投資の落ち込みでマイナス成長に陥り課題に直面している」と指摘し、ことし4月から6月のGDP=国内総生産が7.1%の大幅なマイナスに陥ったことに懸念を示しました。
またユーロ圏についても「追加対策が必要なのは明らかだ」と述べて、需要を高めるための追加の対策を求め、アメリカ経済の回復が明確になりつつあるなかでヨーロッパと日本が低迷を続けていることに不満を示しました。



豪財務相 成果を強調
G20の議長国、オーストラリアのホッキー財務相は会議のあとの記者会見で「G20は、世界経済の成長を後押しするためには、短期的な財政出動が必要になることもあるという認識で一致した」と述べて、成果を強調しました。
またG20全体でGDPを今後5年間で2%以上引き上げる目標について、「今や目標達成の90%のところまできている」と述べて、各国の経済成長に向けた取り組みを評価し、目標達成に意欲を示しました。





というわけで、

アメリカのルー財務長官がユーロ圏と日本を名指しで「もっと財政出動しやがれ!」とおっしゃっているようですね。

いや、実際にはユーロ圏にだけ財政出動しろ!と言っているのかもしれませんが、ルーさんが実際に言っている該当箇所の前後の文脈を見ると、やはり日本にも財政出動しろ!といっているようにも見えます。
またちなみに、ルー財務長官のスピーチにはインフラという言葉が結構出てきたりもします:


Video Transcript: US Treasury Secretary, Jacob Lew, Finance Ministers and Central Bank Governors meeting, closing media conference, Cairns
https://www.g20.org/news/transcripts/video_transcript_us_treasury_secretary_jacob_lew_finance_ministers_and_central_bank
21 September 2014


Since we last gathered in Sydney, growth in the Eurozone and Japan has been disappointing, and growth forecasts have revised downward. The Euro area continues to encounter persistent headwinds, with unemployment still near record high, and inflation at dangerously low levels. Among the G20 members, there is an intensified call for boosting domestic demand.
前回のシドニー会合いらい、ユーロ圏と日本の成長には失望させられており、成長予測は下方修正されてきた。ユーロ圏は記録的な失業率と危険なほど低いインフレ率とともに強固な向かい風にさらされ続けている。G20のメンバーの中で、内需刺激への強い要望があった。

In Europe as part of appropriate policy mix - fiscal, monetary and structural. Japan is facing the challenge presented by its economic contraction that followed increase of its consumption tax, leading to a decline in consumer spending and investment.
欧州においては適切な、財政、金融、構造的、政策ミックスの一部として(内需刺激への強い要望があった)。日本は消費税率引き上げ後の消費や設備投資の落ち込みでマイナス成長に陥り課題に直面している(→ここはNHK記事をそのまま引用していますが、おそらく文脈としては、このような日本に対してもG20メンバーから内需刺激への強い要望があった、ということかと思います。話し言葉なので文意に若干の揺らぎがありますが、そう取るのが自然化と。)」

In addition to the economic weakness of particular advanced economies, many emerging markets, including China, are experiencing slower growth. In light of these challenges to the global economy, the G20 has stressed the importance of immediate support for creating jobs, growing the economy, and implementing fiscal strategies to flexibly support demand. In the United States, President Obama has put forward specific plans to get this done, including making investments in infrastructure and reforming our business tax system. For example, the President has put forward a plan to use one-time transition savings from business tax reform to help pay for infrastructure upgrades.
特定の先進経済国における経済の弱さ(恐らく、文脈からして日本の消費税による失速を含む)に加え、中国を含む新興市場は低成長を経験している。この世界経済の課題の観点から、G20は職の創出や経済成長への迅速な支援、そして柔軟な需要底上げのための財政戦略実行の重要性を強調してきた。米国では、オバマ大統領がこれを実現するための、インフラ投資促進や事業税システム改革を含む、きめ細かな計画を前進させてきた。例えば、大統領は、インフラ更新への費用支出を支援するために、事業税改革において貯蓄の一括償却のプランを前進させた(この箇所、勝手に意訳しましたが、おそらく設備投資等の一括償却のことかと思います。つまり、建物や設備は支出しても資産の購入とされてすぐに費用と見なされず課税所得から控除されません。複数期にわたり減価償却費を分割して計上し、それが課税所得から控除されます。しかし、これを現金支出した期に一括で費用化できるような制度で投資を促進すること。ああ、そう言えば09年か10年あたりにアメリカさんはやっていました、そんな税制改革)。








で、インフラつながりで議長国のオーストラリアのホッキー財務長官のスピーチ

Treasurer’s closing statement, G20 Finance Ministers and Central Bank Governors Meeting
http://jbh.ministers.treasury.gov.au/speech/018-2014/
21 September 2014

・・・

Global Infrastructure Initiative
グローバル・インフラ・イニシャティブ


As part of our new growth strategies, we have focussed on lifting investment in infrastructure because of its potential to address demand weakness. It is also a key driver for improving productivity.
新しい成長戦略の一環として、我々はインフラ投資を促すことに焦点を当てて来た。インフラ投資は、需要の弱さに本気で対処できる可能性を持つからだ。そしてインフラ投資は生産性の改善を促す鍵にもなる。

We have now agreed to progress a multi-year Global Infrastructure Initiative. This initiative consists of an integrated set of actions to increase quality infrastructure investment across the G20 and beyond.
我々はいま、多年度にわたる Global Infrastructure Initiative(グローバル・インフラ・イニシャティブ)を推進することに賛成した。このイニシャティブは、G20の領域をまたぎ、さらにはもっと広い領域にまたがる、良質なインフラ投資を増加させる一連の統合的な行動計画から成る。

We have committed to develop a database of infrastructure projects to help match potential investors with projects.
我々は、潜在的な投資家とプロジェクトを結びつけることを支援するためのインフラ計画データベースを発展させることに合意した。

・・・

-----

ちなみに、アメリカのルー財務長官のスピーチではインフラ」は5回、オーストラリアのホッキー財務長官のスピーチでは「インフラ」
10回出て来ます。


ただ、オーストラリアのホッキー財務長官が若干気になることも言っています

By lifting the quality of Budgets we can help growth while maintaining responsible fiscal strategies and controlling public debt.
良質な予算を計上することで、我々は成長を促しながら、責任ある財政戦略の維持と公的債務のコントロールを行うことができる。

「良質な予算the quality of Budgets」とか「財政戦略fiscal strategy」というのが、どうやら消費増税と所得減税(個人&法人)の組み合わせを含むようです。

これは
Communiqué Meeting of G20 Finance Ministers and Central Bank Governors Cairns, 20-21 September 2014

という今回のG20資料のなかで参考文献として出て来る

Growth-Friendly Fiscal Policy

というIMF資料にある考え方で、所得税(個人&法人)は投資意欲を削減するーー
この「投資」は金融資産への投資ではなく、固定資産への投資ーーが、消費税は投資意欲を削減しないのだとか…(建物や設備の購入には消費税がかかるので、これについては若干の違和感がありますが…と思いましたが、よくよく考えますと事業者は建物や設備の購入の際に支払った消費税を納付する消費税額から控除する仕組み――消費税法上のキーワードは「仕入税額控除」と「多段階累積控除」――があるので、まあ、たしかに理論的には「消費税は投資意欲」を削減しないことになりそうです…。なお、個人の住宅購入については仕入税額控除などないので、消費税はそのまま投資意欲の削減となります)。

ただ一応、このIMF資料には「消費税は成長を促すが逆進性があるため平等性を犠牲にする(=格差を拡大する)」とあり、「失業者の労働参加を促す低所得労働者向け減税」、「就労支援支出の充実」ということもセットで言及することで格差への配慮も見られますので、私は全否定はしませんが、真意はどこにあるのかは分かりません。

ただとにかく、消費増税と法人減税の合わせ技は世界的な流れのようであります。


また、税制に関しては
G20資料に、

We are strongly committed to a global response to cross-border tax avoidance and evasion so that the tax
system supports growth-enhancing fiscal strategies and economic resilience.
租税システムが成長を促す財政戦略や経済の強靭性を支えるために、我々は
越境租税忌避・脱税に世界的に対処することを強力に合意した。

とあります。

法人税を軽くして、消費税を取るのは、国境をまたいだ租税回避・脱税を防ぐという取り組みの一環という位置づけもあるようです。法人税は最終利益を税率の軽い他国に飛ばしたりして回避可能ですが、消費税は粗利(付加価値)に係る税金(付加価値税VAT)なので、他国に飛ばすことがやりにくいからです。

なお、私は消費増税そのものには積極的な反対はせず、その上位概念である「プライマリーバランスGDP比の2015年半減、2020年黒字化(安倍内閣の閣議決定事項)」に断固反対という姿勢です。
(消費税をどうするかに関わらず「プライマリーバランスGDP比の2015年半減、2020年黒字化(安倍内閣の閣議決定事項)」にこだわり続ける限りはうかつに財政出動できないので、ルー財務長官から「失望した」と嫌味を言われ続けることでしょう。いや、これ以上嫌味を言われないくらい、とにかくしっかり成長できれば良いのですが…)

というような話は当ブログで以前も書きました。(あまり評判は良くありませんでしたが…)

この消費税の件は「国際会議における現実を知っておいた方が心の準備をするためには良いかも知れない」と思い、あまり触れたくはなかったのですが、一応、見てみぬふりをせずに書いておきました。まあ、それはそれとしまして・・・








 『インフラ!インフラ!インフラ!』

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625:韓国:財政黒字でも通貨危機:過去40年近くほぼ一貫して財政黒字で「国の借金ガー!」と一切無縁な韓国は「良い見本」?それとも「悪い見本」?

2014/09/17 (Wed) 21:22
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まあ、今回は小ネタです。

いままでグラフにしたことがあったようななかったような…

韓国が、過去40年近く、ほぼ一貫して政府が財政黒字だったということを改めて、どうぞ:


韓国政府財政収支GDP比75-11
データ出典:OECD.Stat の一般政府財政収支を名目GDPで割って計算


1975年から2011年までの37年間において、韓国政府(一般政府=中央政府+地方政府+社会保障基金)の財政収支は、1975年(第一次オイルショック?)、1980年(第二次オイルショック?)、そして、2009年(リーマンショック翌年)のたったの三回赤字になった以外、一貫して黒字を続けています。


恐らく韓国では、

「国の借金ガー!」 (注:「国の借金」の「国」は国会とか国立大学の「国」と同様、中央政府を意味しますので、「国の借金」とは中央政府の借金の意味となります。念のため)

ということが一切ないのではないかと思われます。

その点、何ともうらやましい限りですが…。


97年、その韓国は、国家破綻をすんでのところで、とあるお隣の政府が財政赤字続きの「国の借金ガー」で大変なお国に助けてもらったというのは、何とも皮肉な話であります。

そのお国の名は…

「日本」


というようなお話は、以前にも当ブログで書いたかもしれませんが、今回の新しい本でも紹介させて頂きました次第であります。

なお、97年の韓国などアジア諸国では
①民間が、
②短期の外貨建て債務を、
③長期の投資(設備投資など)のために借り入れた
ということが問題でありました。

↓こんな感じです

-----
アジアの債券市場育成とアジア・ボンド・ファンド
https://www.boj.or.jp/intl_finance/outline/expabf.htm/
2005年10月
日本銀行国際局 

1997年のタイ・バーツ危機に端を発したアジア通貨危機は、瞬く間にアジア全域に広がり、アジア諸国の金融経済は、大きな痛手を被りました。

こうしたアジア通貨危機の原因の一つに、アジア諸国の企業が設備投資のような長期間に亘る支出を行う際、資金調達の面で、海外の金融機関が貸出す外貨建ての短期資金に傾斜していた点が指摘されています(「期間と通貨のダブル・ミスマッチ」と呼ばれる問題です)。



------

つまり、「国の借金」の大小それ自体や、政府だけの財政収支というのは、国家経済の安定にはほとんど関係がないというわけであります。
民間も見ないといけないし、外貨建てかどうかも見ないといけません!



※なお、韓国では一切必要ないかも知れませんが、日本では残念ながら必要な「国の借金」に対する過剰な恐怖についての心理学的な分析については↓こちらをどうぞ:



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 『国の借金』や『国の財政赤字』よりも


 『国の財政黒字』のほうが怖い!

 『民間の財政赤字』のほうがもっと怖い!

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624:「イスラム国」:インフラ重視で強くなった!?とも読める、毎日新聞の記事のご紹介です

2014/09/15 (Mon) 19:21
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アメリカのバイデン副大統領が
「地獄送り」にしたがっている「イスラム国」が、なぜ強いのか?

ということについて、

なかなかうまくまとめているのではないかと思える毎日新聞の記事をご紹介:


-----
<イスラム国>国家的統治 フセイン政権残党が組織
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140915-00000005-mai-int
毎日新聞 9月15日(月)9時0分配信

 【カイロ秋山信一】イラクとシリアで勢力を拡大するイスラム教過激派組織「イスラム国」が、イラクの旧フセイン政権の残党を取り込み、単なる過激派集団の枠を超え国家同様の統治を行っていることが14日、複数の対立組織のメンバーや研究者の証言で分かった。イスラム国のバグダディ指導者をトップに集団指導体制を敷き、評議会や支配地区を区分けして知事も任命し、イラク・シリアで次々と支配地域を拡大している。

【英首相「彼らはムスリムではない。モンスターだ」】

 複数の対立組織のメンバーや研究者によると、バグダディ指導者は2003年のイラク戦争前後までイスラム礼拝所(モスク)の説教師だったとされ、イスラム国の前身組織に加わる前は政治や軍事の経験はなかった。その経験不足をフセイン政権時代の政府軍の元将校らが補っているという。

 イスラム国の最高指導部はバグダディ指導者と2人の元将校で構成され、イラクとシリアに分けて戦闘や支配地域の統治などを総括。最高指導部の下には10人前後からなる評議会を設置し、集団指導体制を敷く。

 評議会メンバーは戦闘や戦闘員の勧誘、広報など部門別の責任者を兼ね「内閣」のような役割を持つ。全てイラク人で、元将校のほか政治・行政の経験を持つフセイン政権与党バース党の元党員もいる。さらに支配地域を区分けして十数人の「知事」を置く。

 フセイン政権の残党がイスラム国と結びついたのは、イラク戦争後に政府軍が解体され、バース党幹部が公職から追放されたためだ。フセイン元大統領は自身と同じイスラム教スンニ派を重用していたが、新政権への移行は人口の約6割を占めるシーア派が主導。不満を募らせた元政権幹部が、スンニ派のイスラム国に流れる土壌ができた。

 その一人が、バグダディ指導者の「右腕」だった元将校のハッジ・バクル氏だ。バグダディ指導者は10年に前指導者が米軍に殺害された後、イスラム国の前身組織を率いた。この時、バグダディ氏を推挙したのが、軍事・情報部門を率いていたバクル氏で、組織内のライバルを暗殺し、バグダディ指導者が権力基盤を固めるのに貢献した。

 「ナンバー2」の地位を獲得すると、12年に本格化したシリア内戦への介入や、新国家建設計画を主導した。対立組織にスパイを送り、戦闘員の取り込みを図るなど組織拡大のキーパーソンだった。バクル氏は今年1月の戦闘で死亡し、現在は側近で同じ元将校のアブ・アリ・アンバリ氏が後を継いでいる。さらにシリアとイラクの管轄を分担するため、別の元将校が指導部に加わった。

 イスラム国は一連の侵攻で、油田や交通の要衝、ダムなど重要インフラを集中的に狙うなど戦略性の高さが際立っている。政治経験を持つ人物がいるためインフラの重要性を熟知しており、米国などとの戦闘経験が豊富な元将校が指揮しているため、「洗練されたこれまで見たことがない組織」(ヘーゲル米国防長官)となっている。

 過激派に詳しいイラク人の安全保障専門家のヒシャム・ハシミ氏は「フセイン政権は政教分離の世俗主義で、宗教色が薄かった。だがシーア派中心の政府に排除され、スンニ派の元幹部らがイスラム原理主義に染まった」と指摘する。
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つまり、「大量破壊兵器」を持っていなかったのに滅ぼされたフセイン政権の残党が相当優秀であるというわけですね。

そして、私がこの記事で個人的に非常に興味を持ったのが、

重要インフラを集中的に狙うなど戦略性の高さ」

「政治経験を持つ人物がいるためインフラの重要性を熟知

という箇所であります。

いざというときに役立つのはモノ。モノを確保するのに重要なのがインフラ。というわけでありますね!(善悪は別として)


それと個人的にもう一つ非常に興味深かったのが、記事の最後に提示されているイラク人の安全保障専門家による仮説であります:

「フセイン政権は政教分離の世俗主義で、宗教色が薄かった。だがシーア派中心の政府に排除され、スンニ派の元幹部らがイスラム原理主義に染まった」

前回のエントリーで紹介しましたユングの「個性化⇔大衆化」の枠組みで考えると、

過剰な抑圧=過剰なストレス

原始人的/野生生物的な機能が活性化


のパターンが見事に当てはまります(なお、「原始人的/野生生物的な機能」というのは良い・悪いだけで測れるものではなく、生物が生命の保全と種の保存を確保するための基礎的機能であります)

さて、「原始人的/野生生物的な機能」というのは、ユングがいうところの「元型」というものに相当します(かなり大雑把な解釈ではありますが)。

それで、ユングが言うには、宗教というものは、「元型」の持つ、とてつもなく強大な力と人間がうまく付き合うための手段であることになります(これもかなり大雑把ですが)。

この考えを用いると

過剰な抑圧=過剰なストレス

原始人的/野生生物的な機能=元型が活性化

原理主義的な宗教が力を得やすくなった


というような解釈をすることが可能となります。


それともう一つは、このような人間集団の現象=社会的な現象というものを観察するのは、自分自身という一人の人間の内部状態について検討する際にも極めて役に立つということです:

過剰な抑圧=過剰なストレス

原始人的/野生生物的な機能=元型が活性化


ということに関して、「過剰な抑圧」を与えるのは、なにも自分以外の誰かとは限りません。自分で自分自身の内部に「過剰な抑圧」を加えることもあります。


「過剰な抑圧」
というのは、「過剰な否定」とも言えます。

 否定というのは、なにも自分自身の内部の何かを無理矢理抑え込んで否定することだけではありません。無視すること、目を背けることも「否定」です。
 何かちょっと気になっていることがあるのに、気にしないフリをしたり、無理に無視したりするのも「否定」です。
 これを長期にわたって行うと「過剰な否定」にもなり得ます。そうすると、自分自身のなかで「否定された」部分が暴れ出すことになりますが、これはアメリカと「イスラム国」の相互関係と非常によく似ています。

 このような「社会観察を自己の内部理解につなげる」という見方でニュースを見ていると、今までとはひと味違った味わいが出て来るし、人生により深い趣きが加わることもあるんじゃないかしら、と思うのですが、いかがでありましょうか?

※ユングの「元型」とか、それと宗教との関係とか、社会観察を自分自身の内部理解につなげる、といったことについて詳しくは↓こちらをどうぞ:



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 で、要するに、

 インフラを重視すれば、

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623:米副大統領「地獄こそ彼らの住むべき場所だ」と連呼――再び戦争への道を歩み始めた米国…という問題を扱うのに役に立つユングの「大衆化」と「個性化」について解説します

2014/09/13 (Sat) 18:05
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ちなみに、この本に関しましては、反安倍政権の立場の方からも、安倍政権支持の立場の方からも、あるいは、どちらでもない方からも、フェイスブックやツイッターで「買いましたよ!」と言って頂いておりますが、私自身の安倍政権に対するスタンスは、CIAじゃありませんが「否定も肯定もしない」であります。

私としましては、誰のことも否定せず、批判せず、ただ淡々と自説を主張する、というスタンスで参りたいと思います。

その理由は、誰かを否定・抑圧してしまうと反発を招き、自説を最初から聞く耳すら持ってもらえないことになってしまうという、人間の持つ心理学的、脳科学的、生理学的なシステムに基づくものであります。

また、「最終的にはあらゆる種類の矛盾、対立を乗り越えて、調和的統合を実現したい」という理想を掲げているという事情もあります。





さて、今回のエントリーはその「否定・抑圧」が人間社会にいかに重大な影響を与えるか、というお話でありますが、2週間前に書きました

【米国、再び戦争への道を歩み始めたか?――「米国が『イスラム国』攻撃で各国に協力要請、多国籍軍編成も視野(ロイター記事)」】

のフォローアップ記事でもあります。







米大統領、シリアでの空爆準備…イスラム国拠点
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140911-00050067-yom-int
読売新聞 9月11日(木)10時45分配信

 【ワシントン=今井隆】オバマ米大統領は10日夜(日本時間11日午前)、ホワイトハウスで国民向けに演説し、イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」掃討に向けた戦略を発表した。

 「イラクだけでなく、シリアの『イスラム国』に対する行動を起こすことをためらわない」と語り、イラクにおける空爆拡大に加え、「イスラム国」が拠点とするシリアでの空爆を準備する意向を表明した。

 オバマ氏は、シリアでアサド政権や「イスラム国」と戦うシリア反体制派に対しても、イラク軍同様に米軍が直接訓練し、武器を供与する方針を明らかにする一方、「自国民を弾圧したアサド政権は頼らない」と語り、対「イスラム国」でシリア政府と協力する考えのないことを示した。

 演説ではまた、「米国は広範な『有志連合』を率い、テロリストの脅威を後退させる。包括的で持続可能な対テロ戦略によって『イスラム国』を弱体化し、最終的には壊滅させると語った。「『イスラム国』のような『がん』を根絶するには時間がかかる」と述べ、長期戦になるとの見通しを示した。

 米軍はこれまで、イラクでの空爆の目的を〈1〉米国人や米施設の防護〈2〉人道危機の阻止――に限定してきた。オバマ氏は「『イスラム国』に対してイラク軍が攻勢に出るのに合わせ、標的を空爆する」と述べ、空爆の制約を外して、イラク国内の全ての「イスラム国」を攻撃する考えを示した。シリア空爆を準備する理由は、「米国に脅威を与えるテロリストはどこにいようとも追いつめる。米国を脅すなら聖域はない」と説明した。




ホワイトハウスのホームページを見ると、英語ではこんな感じです:

“ISIL is a terrorist organization, pure and simple.”
「ISILは、純粋かつ単純に、テロ組織だ。」



“Our objective is clear: We will degrade, and ultimately destroy, ISIL through a comprehensive and sustained counter-terrorism strategy.”
「我々の目標は明確だ:我々は包括的かつ持続的な対テロ戦略を通じてISILを弱め、そして最終的には壊滅させる。」



“Our endless blessings bestow an enduring burden. But as Americans, we welcome our responsibility to lead.”
「我々の無限の神からの恩恵は、尽きることのない重荷を授ける。しかし、アメリカ人として、我々は喜んで、我々が果たすべき責任を全うするのだ。」


最後の文言は翻訳しにくい(おそらくキリスト教的な言い回し?)のですが、読売新聞の記事にあるように、長期戦を覚悟していると読み取れるのではないかと思います。








バイデン副大統領は一段と過激です。


Biden's warning to ISIS militants: 'We will follow them to the gates of hell'
バイデンによるイスラム国戦闘員への警告:「我々は彼らを地獄の門に追い詰める」
http://edition.cnn.com/2014/09/03/politics/joe-biden-isis-gates-of-hell/
By Ashley Killough, CNN
September 3, 2014 -- Updated 2226 GMT (0626 HKT)




"They should know we will follow them to the gates of hell until they are brought to justice," he forcefully told an audience at an event on the New Hampshire-Maine border. "Because hell is where they will reside. Hell is where they will reside."
「彼らは、彼らに正義がもたらされるまで、我々が彼らを地獄の門まで追い詰めることを知るべきだ」、とバイデン副大統領は、ニューハンプシャー州とメーン州の州境で行われたイベントで聴衆に向けて力強く述べた。
「地獄こそ、彼らの住むべき場所だ。地獄こそが、彼らの住むべき場所なのだ!」




これに関連して、昨日の日経新聞朝刊の記事

 「米、テロとの戦い再び 大統領、シリア領空爆を表明 アジア重視、形骸化も」(2014年9月12日朝刊7面)

に、ワシントンポストとABCテレビの世論調査の数字が紹介されていました。

イスラム国空爆の世論が、6月22日の時点では賛成46%、反対45%で賛否拮抗いていたものが、空爆開始で賛成が少し上がり、一人目の米国人ジャーナリスト殺害でまた上がり、二人目の殺害でまた上がり、9月7日には、賛成が遂に71%にまで上昇、反対は23%に下落しています。

この世論に呼応する形で、副大統領の「地獄!地獄!地獄!」発言が飛び出た模様です。上に張り付けたビデオで音声を聞くと

"Because hell is where they will reside. Hell is where they will reside."
「地獄こそ、彼らの住むべき場所だ。地獄こそが、彼らの住むべき場所なのだ!」

の箇所は、かなり迫力があります。



このバイデン副大統領の発言やオバマ大統領の発言、以前紹介したレバノンのヒズボラ幹部

「何十万というシオニストたちを生き地獄に陥れることになるだろう」

や、アフマディネジャド前イラン大統領

「シオニスト政権とシオニストたちは、悪性腫瘍である」

という発言を彷彿とさせるような気がするのは、私だけでしょうか???


そして、この日経の記事では次のような警鐘を鳴らしています:


中国の台頭を念頭に中東からアジアに外交の軸足を移す「再均衡(リバランス)政策」との整合性も問われる。オバマ氏がリバランス政策を打ち出したときイラクとシリアへの軍事行動は想定していなかった。米国は大幅な国防費の削減を迫られており、中東へのさらなる傾斜は中国やロシアの増長を招く懸念もある。



米国の国防費の削減については昨年の当ブログ
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-592.html
で、
訳11兆円すなわち自衛隊2つ分ピーク時から削減

という話をグラフ付きで書きました。

このニュース、日本にも重大な影響を与えかねない、今年最大の事件だと思うのですが、日本のテレビでの報道はあまり大きな扱いになっていないですね(なぜでしょう?)。



それはさておき、この問題について、個人心理と群衆心理を一括で扱うことができて非常に役に立つユングの「大衆化」と「個性化」の概念を使って検討してみたいと思います。


まず、9.11あたりから振り返ってみることにしましょう。
「本当の事実」と異なる点もあろうかと思いますが、一応は日本で報道されている事実(と私が認識している事実)に基づいて書いてみます:

・9.11でジェット機がニューヨークの超高層ビルに突っ込み、その後ビルが崩壊するという衝撃的な事件が起き、その映像が繰り返しテレビで放送され、多くのアメリカ人に強烈な恐怖と怒りの感情を湧き起こることとなった。

・その9.11はイスラム過激組織「アルカイダ」の犯行とされ、沸騰したアメリカの世論を背景にブッシュ政権は「アルカイダ」をかくまっているとされたアフガニスタンのタリバン政権を攻撃し、崩壊させた。

・さらには、イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を所有していてアメリカ人の安全の脅威になっているとされ、沸騰したアメリカの世論を背景にブッシュ政権はフセイン政権を攻撃し、崩壊させた。

・上記のイラク戦争以降、イラクでは民間人の犠牲者が10年間で11万人を超えたことなどもあり、アメリカによる攻撃に対して強い恐怖と怒りを覚えたイスラム系の人が増え、過激思想に染まる人も増えることとなった。

・アメリカ軍がイラクから撤退したあと、反米の過激思想の人たちが親米のイラク新政府を攻撃し、シーア派とスンニ派の対立もあって急速に勢力を拡大、「イスラム国」を形成するに至った。

・昨年、米オバマ政権はシリアのアサド政権を攻撃を決断したが、アメリカ世論の圧倒的な厭戦気分、戦争疲れの気分に押され、撤回した。

・「イスラム国」による相次ぐ米国人ジャーナリスト殺害などの過激な行動に強烈な恐怖と怒りを感じたアメリカ世論が盛り上がり、再び本格的な軍事作戦を展開することとなった。




さて、ユングの「大衆化」というのは、端的に言えば、人間が強烈なストレスを感じた際、原始人的、あるいは野生生物的な性質が自動的に、勝手に起動しやすい状態に陥っていることを意味します。

「原始人的、野生生物的な性質」というのは、別にそれ自体は良い悪いというものではなく、生物が生命の保全、種の保存を達成するために必要な基本的機能と言えます。

脅威にさらされると、生物の体内では俊敏に動くための態勢を整えるためのストレス反応が自動的に生じます。
そして、ストレス状態になったときは、自分自身の身を守るため、あるいは、自分の属する集団を守るための行動を、かなり、自動的に行うことになります。


こういったことは、NHKの「ダーウィンが来た!」を見ていると良く分かります。
例えば、ヌーの群れがライオンに襲撃された際、ヌー達は一致団結して互いに協力し、戦略的にライオンを追い払う行動を取ることになります。

つまり、
「脅威にさらされた」ときの基本的行動パターンの一つが「団結する」です。
当たり前のようにも聞こえますが、ここでストレスというキーワードを絡ませるのがポイントです。強烈なストレスを感じたからこそ、この基本的機能が起動する、ということになります。


もう一つの基本的パターンを挙げると、それは「異質なものを排除する」というパターンです。

これについては、我々の体内にある免疫細胞(白血球)の振る舞いが象徴的です。白血球の一種、好中球は、ウィルスなどの「異質なもの」を見つけると、それを排除する行動にでます。
 ここで興味深いのは、好中球は自らの所属する組織(=人間)を守るために、自らの生命を犠牲にしてまで「異質なものを排除する」という任務をまっとうすることです。
 ミツバチが巣に近づいた侵入者=異質なものを排除するため、自らの命を犠牲にしてまで侵入者への攻撃を断行します。(ミツバチは一度針を相手に刺してしまうと、自分自身は死んでしまいます。)

つまり、
生物としての人間は、強烈なストレスを感じると、やたらに「団結」したがるし、やたらに「攻撃的(異質なものを排除する)」な傾向を示すようになるし、ときには自らの犠牲をいとわずにそれをやる、という機能が勝手に起動する性質を持ち合わせています。

このような「団結」したがる機能、「攻撃的(異質なものを排除する)」な傾向を示す機能、自らの属する集団を自らの犠牲をいとわず行動を起こす機能が、勝手に起動してしまうような状態が「大衆化」です。


アフガン戦争/イラク戦争も、その反動の「イスラム国」の勃興も、そして、その「イスラム国」勃興に対する反動である今回のイスラム国撲滅作戦の発動も、この「大衆化」の枠組みで理解することができると思うのですが、いかがでしょうか。


一方、
「大衆化」の正反対の概念である「個性化」はというと、要は、ストレスを感じたことでポコポコと好き勝手に起動している原始人的、野生生物的な機能をうまく飼い慣らし、まるく治めることができた状態です。

これを担当するのが理性であり、理性を担当する脳の箇所が大脳皮質の前頭前野、ということになります。
つまり、「個性化」をうまくやるためには、この前頭前野を活性化する必要があります。

そして、前頭前野を活性化するためには、ストレスを解除してやる必要があります。
 その最重要キーワードが「肯定」である、としていることが私の今回の本の最大の特徴の一つです。
 というのは、「否定」は必ず何かしらのストレスを生じさせるからです(どんな形の「否定」も、自らの存在を脅かされることを必ず連想させるため)

 ストレスは前頭前野を抑制し、原始人的/野性生物的性質を担当する扁桃体を活性化する役割を持っています。

こういった概念を説明するのに一番分かりやすい例えが、こないだの大河ドラマ「軍師官兵衛」でもやっていた、豊臣秀吉が徳川家康を徹底的に「肯定」することで自らの支配下に組み入れたプロセスです。

秀吉は当初、戦争で家康を屈服させるつもりでしたが、手痛い反撃を受けてそれをひとまず断念しました。
その後、すでに嫁いでいた妹をわざわざ離縁させて家康に嫁がせ、さらには、実の母親まで人質に出し、家康がついには折れて秀吉の参加に下ることとなり、つまり、秀吉は平和的に家康を支配下に組み入れることになりました。

秀吉も頑張れば家康を戦争で滅亡させることができたかもしれませんが、我々の中にある「原始人的性質、野生生物的性質」はそうはいきません。我々が生物学的進化の過程において、理性や論理的思考を獲得するよりはるか前に獲得している「原始人的性質、野生生物的性質」は、「殺そうとしても、決して殺せない」のです。

以前紹介した、イーグルスのホテルカリフォルニアの歌詞にあるように、

They stab it with their steely knives,
But they just can't kill the beast
彼らは鋭いナイフを突き立ててその野獣を殺そうとするが、殺せなかった


というわけです。



消せない、殺せないのであれば、秀吉が家康に行ったように、その存在を承認し、所領を安堵してやる=積極的に肯定してやるしかないということになります。

このような形で心の内なる戦国時代を「天下統一」するのが「個性化」です。
逆に、各地の大名が好き勝手に暴れている戦国乱世状態が「大衆化」ということになります。



この「個性化」=心の内なる戦国時代を「天下統一」こそ、人生の目的とすら言えるくらい、極めて重要な概念とすら言えるでしょう。
戦国大名が、人生のすべてをかけて現実世界の「天下統一」を志したのと同等以上に、一人ひとりの人間にとって、心の内なる戦国時代の「天下統一」はやりがいのある、人生の一大事業と言えるのではなかろうか、と。




というわけで、
「大衆化」と「個性化」についてまとめてみます:

「大衆化」:
個人の内部はてんでバラバラ(何らかの強い「否定」があり、高ストレス状態)
⇔その個人の所属する集団は一致団結
⇔ただし、敵対する集団とは対立が激化


「個性化」:
個人の内部は調和的に「天下統一」(「肯定」をうまく活用することで、ストレス解除状態)
⇔その個人の所属する集団が全員「個性化」できていればその集団全体も調和状態
⇔敵対していた集団も全員「個性化」できていれば、対立は緩和



この個人心理と群衆心理を一括して理解するのに役立つユングの「大衆化」と「個性化」について、
詳しくは、↓こちらをどうぞ


(ちなみに、↓この本の中ではユングの著書から、多くの人々が「個性化」できていない状態で安易に「国際化」をすると世界大戦になるという話も紹介しております)



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 バイデン副大統領の

 『地獄!地獄!地獄!』発言は、

 アメリカ国民の群衆心理が

 かなり『大衆化』していることの表れか?



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622:新自由主義で「格差拡大」どころか、国家分裂か?サッチャーの置き土産に苦悩する英キャメロン首相の嘆き節

2014/09/10 (Wed) 15:47
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さて、
日経新聞の本日朝刊に大変興味深い記事がありましたので、ご紹介:



英首相、急きょ現地へ スコットランド独立賛成派が急伸

日本経済新聞 2014年9月10日 朝刊 7面(国際2面)

【ロンドン=小滝麻理子】キャメロン英首相は恒例の党首討論の予定を変更して10日、野党党首らとともに急きょ北部のスコットランドに入ることを明らかにした。英国からの独立の是非を問う住民投票を18日に控え、賛成派が支持を急速に伸ばしてきたことに対応する。キャメロン氏は「英国に残ってくれるよう訴える」とフェイスブックに記した。

 キャメロン氏のほか、連立政権を組む自由民主党の党首で副首相のクレップ氏、野党・労働党のミリバンド党首もスコットランドに向かう。

 英議会で毎週水曜日に実施している党首討論を取り止める。キャメロン氏はグレッグ氏とミリバンド氏との連名のメッセージをフェイスブックに載せ「我々は多くのことで意見を異にするが、英国は一つであるべきだという点では一致している」と訴えた。「投票者の声を聞き、直接に対話する」とも強調した。

 与党・保守党を率いるキャメロン氏は、来週までスコットランドに行かない考えを示してきた。スコットランドでは急進的な構造改革を進めたサッチャー政権以来、保守党の人気が低く、現地入りすれば逆効果になると判断していたようだ。

 独立賛成派の支持が急伸するにつれ、政権内でも対応を求める声が噴出してきた。独立賛成派が過半数を獲得した場合、キャメロン氏に辞任を迫る声も上がっている。野党の党首とも協力して独立の阻止に動く姿は、政権が焦りを深めていることを印象付ける。

 7日付けの英紙「サンデー・タイムズ」の世論調査では、独立賛成派があらゆる世論調査で初めて反対派を上回った。8日夜に判明した別の調査では反対派がわずかにリードしており、賛否は伯仲している。





小さな政府論者の憧れの的、故マーガレット・サッチャー首相も、スコットランドではあまり憧れられていないようです。

そして、この記事の記述が正しければ、サッチャー政権の「改革」が遠因となって、英国が分裂の「危機」にさらされ、キャメロン首相のクビが飛ぶかもしれないというわけですね。

(ここで「危機」に「」を付けたのは、「危機」と感じるかどうかは立場によって違うだろうという意味合いです。)


サッチャー女史は「小さな政府」と言いながら、政府のサイズを倍に大きくしていた(名目ベースで)のですが…





 『小さな政府』

 って、

 『国を分裂させて小さくする政府』

 ということだったのかしらん…



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“不足に基づく強欲と恐怖が支配する世界”から、

“充足に基づく幸福感と安定感が支配する世界”への

転換のために――


「国の借金」に対するネガティブな見方など、世の中全体のネガティブな思考を、ポジティブな思考で塗りつぶすことを早める
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