2014/09/30 (Tue) 23:39
政治ブログランキング応援クリック、よろしくお願いします! ↑久方ぶりの50位入りまで あと少し! 本文をお読み頂く前に1クリック頂けると 幸いでありますm(_ _)m 徳間書店刊 「日本経済のミステリーは心理学で解ける」 「個人レベルから国レベルに至る“閉塞感”を打ち破るための共通原理」を、経済学、心理学、脳科学、生物学等から抽出:ぜひご一読頂きたい、味わいある一冊です! ・経済統計データだけでなく、心理学や脳科学や生理学の観点からも「国の借金」の分析を行っています ――「国の借金」に対する恐怖をどうすれば乗り越えられるか? ・「日本の国の借金はもうダメだ」という考えと、「いや、日本の国の借金は大丈夫だ」という考えを両方とも正しいと仮定 した上で、長期的に日本が安定的に繁栄を続けるための方策の試論を提示 しています。他方が一方を「お前は間違っている!」として否定するのではなく、互いの考えを両方とも肯定し、調和的に解決を図ることを理想としています。 ・社会は多数の人間からなる組織・集団であり、一人の人間もまた70兆個もの細胞からなる巨大な組織・集団です。 それゆえ、マクロ経済や政治や軍事などの人間集団の仕組みと、一人の人間という「組織・集団」の仕組みのあいだには、多くの共通点や相似性があるはずです。 ・「国の借金だけでなく民間の借金や金融資産も見るべき、国の借金だけでなく国の金融資産も見るべき」というようなマクロ経済におけるバランスシート思考が、実は一人の個人にも適用できる ――例えば、「イライラしているときは必ずその正反対のイライラしたくない願望が同時に存在している」、「病気に対する恐怖があるときは必ずその正反対の病気が治って欲しいという願望が同時に存在している」といった具合に――というような、国レベルの大規模な人間集団からたった一人の個人にまで幅広く共通する基本原理について、学問領域の垣根を越えた幅広い、多角的な視点から提示しています。 全国の書店で好評発売中!↑この本の目次項目一覧は こちら ↑この本の一部を 無料公開中 (「経済にそれほど関心はないが、スポーツや自己啓発などに関心がある」というような方に本書をPRするための資料です。周囲の方に本書をお勧めする際など、ご活用下さい) ↑この本についてゆるーく語り合うフェイスブックのグループ 「日本経済のミステリーは心理学でトロピカル」 https://www.facebook.com/groups/1472415033007299/ フェイスブックにアカウントをお持ちの方はふるって上記のグループにご参加して頂ければ、と思います(いまのところ、参加要請があれば「来る者拒まず」 の方針でメンバーになって頂いております。※いまのところ、週一回ほど何か書いています^^ ↑この本の「書評」を書いて下さっているブログの一覧はこちら 全国の書店で好評発売中です! ネット書店でのご購入 → アマゾン 、 楽天 、 ツタヤ 、 セブン 、 ヨドバシ 、honto 本題です↓ IMF:各国はインフラ投資拡大を、鈍い成長回復押し上げでhttp://www.bloomberg.co.jp/news/123-NCP4QU6KLVRJ01.html 9月30日(ブルームバーグ):国際通貨基金(IMF)は鈍い世界経済成長の押し上げに向け、各国にインフラ投資拡大を呼び掛けた。 IMFは30日に世界経済見通し(WEO)の分析部分の章を公表。その中で、金融政策が既に緩和的であることを考慮すれば、道路や橋などのインフラ投資の拡大が「成長支援で利用可能な数少ない残された政策手段の1つ」だとし、「どの経済においても中期的な生産の増大を助けるだろう」 との見方を示した。 世界経済がIMF予測を下回る伸びにとどまる中で、政策当局者らは成長加速の道筋を探っている。IMFは10月10-12日にワシントンで開く年次総会に先立ち、同7日に最新のWEOを発表する。 IMFはまた、多くの先進国に依然「かなりの経済的たるみ」が見られる と分析。 ユーロ圏のインフレ率は依然低過ぎると指摘した。新興市場国の経済成長は金融危機に先立つ10年間の水準を下回っている。 このように予想を下回る実績を根拠に、世界的に需要の「低迷が長期化する」恐れがあると、サマーズ元米財務長官らが唱える「長期停滞」論を引用する形でIMFは説明した。 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁は今月オーストラリアのケアンズで開いた会議の共同声明で、「ばらつきがある」成長回復への懸念を表明した上で、需要拡大と成長加速にはインフラ投資が極めて重要になると表明した。 インフラ支出が効果 IMFは過去のデータを調べ、シミュレーションを用いてインフラ支出の効果を分析した。それによると、経済にたるみがあり、金融政策が緩和的であるなら支出増加が需要を大きく押し上げる ということが分かった。この場合、投資は政府債務の対国内総生産(GDP)比率を低下させる可能性がある としている。 またIMFはブラジルやインド、ロシア、南アフリカ共和国などの新興市場国では「インフラ投資を増やせないことが中期的な懸念材料であるばかりか、短期的な成長にも制約となると指摘されている」 と説明した。 さらに新興市場国や低所得国がインフラ投資をより効率的に行わない限り、これら諸国の生産の伸びは多くの場合、限定的となる恐れがあるとIMFは分析。プロジェクトの評価を改善するなどの改革が必要になるかもしれないとしている。 原題:IMF Urges Infrastructure Spending to Boost Tepid GlobalRecovery(抜粋) インフラ投資、と言いますか、経済学でいう「投資」 というのは、株とかそんなもんを買うことではなく、「資本ストック(生産財)」 を生産するために資金を投入することを言います。 さて、資本ストックは「固定資本減耗」によって時間とともに減っていきます。 建物でもトラックでも、経年劣化とか、使用による摩耗とかで数年とか数十年後には壊れてしまうのですが、これを勘案して資本ストックから毎年「固定資本減耗」がさっぴかれます。国全体の資本ストックは毎年の「投資」金額から毎年の「固定資本減耗」をさっぴいた金額の累積値になります。 国全体の資本ストックが増えない限り、生産するための「道具」が増えないので、生産=GDP(国内総生産)が増えない、成長しない、モノ作れない、さあ大変!ということになります。 ほんで、固定資本減耗(減価償却みたいなもんです)を考えると、毎年「投資」の金額を前年比増額せんかぎり、資本ストックは増えません!日本は、90年代後半から民間+政府の合計の毎年の「投資」が横ばいが続いています (いや、住宅投資いれたらどうだったか…少なくとも民間企業設備投資+政府投資は90年代からほぼ20年以上横ばい)。「そんなもん、成長するわけないやろが!」 という状態です。国の借金を必要以上に恐れていると、資本ストック(=生産財)を増やすための投資が国全体として毎年増えるということができず、資本ストック(=生産財)が横ばいか、下手をすると減るため、そのうち「ワシら全然モノ作れんようになりますけど、それで国の借金とかなんとか言っててもしゃあないやろが!」という状態になります。 だから、IMFが「もっとインフラ(というか資本ストック=生産財)の投資を増やしたらんかい!そうせんかったら成長なんかそんなもんするわけないやろ、アホンダラ」(関西弁に翻訳)というのは至極当然と言えるでしょう♪ さて、上記の記事のIMFの分析 によると、「経済にたるみがあり、金融政策が緩和的であるなら支出増加が需要を大きく押し上げるということが分かった。この場合、投資は政府債務の対国内総生産(GDP)比率を低下させる可能性があるとしている」 というわけですね。日本経済には ①たるみがある ②金融政策が異常なくらい緩和的 というわけで、このIMF分析によると、③(政府の?)支出増加が需要を大きく押し上げる ④ついでに、公的債務GDP比も下がるかもねん とのこと。 なお、私は個人的には公的債務GDP比はどうでも良いんとちゃうかと思っています。 アジア経済危機の韓国なんて直前の公的債務GDP比がたったの8%しかなかったのに、どえらいことになってましたやんか。政府が借金なくても民間がたんまり借金してておまけに外貨建ての借金やったら政府もどないもなりまへんわ、そんなもん。 ちなみにその韓国、IMFなどの支援を受けつつウォンをドカンと下げ、経常赤字だったのを大きく経常黒字にドカンと転換し、その経常黒字でなんとか外国からの借金を返したようです(実際、韓国銀行のデータベースで対外純負債のデータみたらそんな感じになってます)。まあ、色々大変だったと思いますが…。とにかく、資本ストック、生産財を増やさんかったら国の借金がゼロだろうがなんだろうが、国民はモノを作れんようになって国民生活はめでたく破綻します。 カネの破綻とモノの破綻、どっちが怖いか、っちゅう話です。1.カネがなくてもモノ(食い物とか水とか)があれば人間生きられます。 2.カネだけたんまりあって借金ゼロでもモノがなければ、人間あっけなく死にます。 1.と2.のどっちか選べと言われたら、そら1.モノがあるほうですやろ。 え?2.の「モノがなくてもカネがたんまりあって借金ゼロ」を選びたいって?そんなに死にたいでっか? みたいなことになります。 (論文作りで疲れて眠くて文章がアレですがご勘弁をm(_ _)m) 「 改革なくして成長なし→× インフラなくして成長なし→◎ 」 に一票! と思われた方は、下のリンクのクリックをお願い致します。 http://blog.with2.net/in.php?751771 クリック、ありがとうございましたm(_ _)m
≪寄付金募集のご案内≫ “不足に基づく強欲と恐怖が支配する世界”から、 “充足に基づく幸福感と安定感が支配する世界”への 転換のために―― 「国の借金」に対するネガティブな見方など、世の中全体のネガティブな思考を、ポジティブな思考で塗りつぶすことを早める、という 趣旨での寄付金の募集をさせて頂いております。 詳細は↓こちらのPDFファイル をご覧ください http://www12.plala.or.jp/YNHiromiya/donation.pdf ※お問い合わせ用メール フォーム: http://form1.fc2.com/form/?id=784087
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2014/09/29 (Mon) 11:27
政治ブログランキング応援クリック、よろしくお願いします! 徳間書店刊 「日本経済のミステリーは心理学で解ける」 「個人レベルから国レベルに至る“閉塞感”を打ち破るための共通原理」を、経済学、心理学、脳科学、生物学等から抽出:ぜひご一読頂きたい、味わいある一冊です! ・経済統計データだけでなく、心理学や脳科学や生理学の観点からも「国の借金」の分析を行っています ――「国の借金」に対する恐怖をどうすれば乗り越えられるか? ・「日本の国の借金はもうダメだ」という考えと、「いや、日本の国の借金は大丈夫だ」という考えを両方とも正しいと仮定 した上で、長期的に日本が安定的に繁栄を続けるための方策の試論を提示 しています。他方が一方を「お前は間違っている!」として否定するのではなく、互いの考えを両方とも肯定し、調和的に解決を図ることを理想としています。 ・社会は多数の人間からなる組織・集団であり、一人の人間もまた70兆個もの細胞からなる巨大な組織・集団です。 それゆえ、マクロ経済や政治や軍事などの人間集団の仕組みと、一人の人間という「組織・集団」の仕組みのあいだには、多くの共通点や相似性があるはずです。 ・「国の借金だけでなく民間の借金や金融資産も見るべき、国の借金だけでなく国の金融資産も見るべき」というようなマクロ経済におけるバランスシート思考が、実は一人の個人にも適用できる ――例えば、「イライラしているときは必ずその正反対のイライラしたくない願望が同時に存在している」、「病気に対する恐怖があるときは必ずその正反対の病気が治って欲しいという願望が同時に存在している」といった具合に――というような、国レベルの大規模な人間集団からたった一人の個人にまで幅広く共通する基本原理について、学問領域の垣根を越えた幅広い、多角的な視点から提示しています。 全国の書店で好評発売中!↑この本の目次項目一覧は こちら ↑この本の一部を 無料公開中 (「経済にそれほど関心はないが、スポーツや自己啓発などに関心がある」というような方に本書をPRするための資料です。周囲の方に本書をお勧めする際など、ご活用下さい) ↑この本についてゆるーく語り合うフェイスブックのグループ 「日本経済のミステリーは心理学でトロピカル」 https://www.facebook.com/groups/1472415033007299/ フェイスブックにアカウントをお持ちの方はふるって上記のグループにご参加して頂ければ、と思います(いまのところ、参加要請があれば「来る者拒まず」 の方針でメンバーになって頂いております。※いまのところ、週一回ほど何か書いています^^ ↑この本の「書評」を書いて下さっているブログの一覧はこちら 全国の書店で好評発売中です! ネット書店でのご購入 → アマゾン 、 楽天 、 ツタヤ 、 セブン 、 ヨドバシ 、honto さて、本題 です:「ハゲタカファンド」初の非難決議=影響を実態調査へ―国連人権理 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140927-00000018-jij-int&pos=2 時事通信 9月27日(土)6時46分配信 【ジュネーブ時事】国連人権理事会は26日、安値で買いたたいた資産で巨額の利益を追求する「ハゲタカファンド」に関する初めての非難決議を賛成多数で採択した。こうしたファンドは「経済、社会、文化に悪影響を及ぼす」と指摘。ファンドの活動が人権に及ぼす影響について実態調査することも決めた。 決議案は、債務返済を迫る米ファンドに訴えられたアルゼンチンなどが提案。「(ハゲタカファンドは)国家による人権向上の取り組みに負の影響を与える」と明記した上で、「自国の債務再編をめぐり、いかなる権利も他国側に妨害されてはならない」と非難した。 採決では47理事国のうち、日本、米国、英国、ドイツ、チェコの5カ国が「(ハゲタカファンド問題は)人権理での議論の対象外」(米国)などと反対。フランスなど9カ国は棄権し、アルゼンチンや中国、ロシアを含む33カ国が賛成した。 13年越しの「ハゲタカ」VSアルゼンチン政府のドル建て債務問題、上記の記事によると、何やら西側と東側の冷戦構造 まで垣間見える事態となっている模様ですね…。 で、債務再編に応じないファンドを「ハゲタカファンド」と呼び始めたのは、以下で紹介する複数の記事によると、アルゼンチン政府のようです。 さてさて、上記の「人権理事会」の決議に先立って、国連総会 で↓のような決議が…アルゼンチン、債務再編の国連決議は自国の正当性を裏付けと主張 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140911-00000086-reut-n_ame&pos=4 ロイター 9月11日(木)16時47分配信 [ブエノスアイレス 10日 ロイター] - アルゼンチン政府は10日、債務再編関連の国連総会決議について、債務問題で大幅な利益を上げようとする米ヘッジファンドへの支払いを拒否するアルゼンチンの立場を擁護するものだとの見方を示した。 アルゼンチンは債務問題をめぐり、米裁判所が示した利払いを禁じる判断の効力が及ばないよう、国債の準拠する法律を自国に切り替える方針を示しており、下院は同日、関連法案を審議した。 下院は11日の早い段階で法案を可決する見通し。適法性が問題視されて投資家の懐疑的な見方が広がり、計画実施が阻まれた場合、政府の思惑外れに終わる可能性もある。 フェルナンデス大統領は、アルゼンチンが「ハゲタカ・ファンド」の犠牲になっていると指摘。債務再編の取り組みを妨害する少数の投資家を規制する国際的な枠組みを求めている。 カピタニチ内閣官房長官は「124カ国がアルゼンチンを支持したのであれば、われわれの主張が正しいということになる」と述べた。ハフィントン・ポスト が上記の時事通信の「人権理事会決議」の記事を引用しながら、この問題の解説記事を書いています。以下に、その「解説」部分を抜粋「ハゲタカファンド」国連人権理が初めて非難決議 日本は反対 http://www.huffingtonpost.jp/2014/09/27/un-human-rights-council-vulture-funds_n_5891998.html The Huffington Post 投稿日: 2014年09月27日 15時10分 JST … (人権理事会の決議について) イギリスのBBCによると、この決議案の提案には、アルゼンチンの他、ロシア、ブラジル、ベネズエラ、アルジェリアが参加。アルゼンチンのティメルマン外相は議決の前に、「ハゲタカファンドは、我々自身が止めない限り止まらない。ハゲタカファンドによる南半球の国々での莫大な資産の強奪は、学校閉鎖や、医薬品不足、政治不安などを引き起こす原因となる」と述べたという。 …■アルゼンチン政府とハゲタカファンドの争い 背景は? アルゼンチン政府は2001年、1千億ドル(約10兆円)を超える借金が返せず財政破綻した。その後、返済額を減らすことに応じてくれた9割の投資家に対し、新たに国債を発行し利払いを続けてきた。 しかし、アメリカの一部のファンドが全額返済を求めて提訴。2014年6月、アメリカの最高裁はファンド側の訴えを認め、アルゼンチンがファンドへ債務全額、約15億ドル(約1500億円)を返済しない限り、減額に応じた投資家への利払いも認めないとする判決が決定した。 …■経済学者100人以上もハゲタカファンドを批判 これらの一連の行為を受け、アルゼンチン政府は8月7日、投資ファンドの訴えをアメリカ裁判所が認めたことを巡り「アメリカは国の主権を尊重する国際的義務に違反している」として、国際司法裁判所(ICJ)に提訴。フェルナンデス大統領もアメリカ裁判所の担当判事について「(アルゼンチンの)国家主権を踏みにじりたがっている」と非難した。 フェルナンデス大統領は、ファンドを「ハゲタカ」と呼び、自らの利益のためにアルゼンチン経済を麻痺(まひ)させようとしていると指摘する。 ファンドへの批判はアルゼンチン国内からだけには留まらない。ノーベル賞を受賞した経済学者のロバート・ソロー氏や、世界銀行のブランコ・ミラノヴィッチ氏ら100名以上のエコノミストは7月31日、アメリカ裁判所の判決は「モラル・ハザードを招く」とする連名書簡をアメリカ議会に送付。イギリスのフィナンシャル・タイムズ紙も9月3日、アルゼンチン債権の対応について投資ファンドに再考を促す記事を掲載している。9月9日には国連総会において、債務不履行に陥った国が進める債務再編過程に、投資ファンドなどが妨害を加えることを規制する国際協定を策定することが決まった。議案を提出したボリビアのジョレンティ国連大使は、「法的枠組みは新自由主義、投機市場に打撃を与える」と指摘した。 そして、ブルームバーグ が8月に書いていた、この問題に関連するかなり興味深い記事です:CDS業界の複雑な構造が浮き彫りに-アルゼンチン債務問題 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140801-00000033-bloom_st-bus_all&pos=1 Bloomberg 8月1日(金)12時51分配信 8月1日(ブルームバーグ):金融危機でクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の複雑に絡み合った世界が注目を集める度に陰謀説が浮上してきた。今回のアルゼンチン債務問題も例外ではない。アルゼンチンのキシロフ経済財務相は7月30日の債務協議決裂後、ホールドアウト(債務再編を受け入れなかった債権者)側を「ハゲタカファンド」と呼んだ。 さらにCDSをやり玉に挙げ、「存在する最も卑劣な投機的資本主義」へと導く一方で、債権者の動機を覆い隠す市場だと非難した。ホールドアウトの1社、ヘッジファンドのエリオット・マネジメント は、実はCDSの決済を行うかどうかを決定する判定委員会のメンバー でもある。 しかし資産家ポール・シンガー氏が率いる248億ドル(約2兆5500億円)規模のエリオット・マネジメントは昨年、アルゼンチン政府が支払いを停止した場合に利益を得るようなCDSを保有していないと米裁判所で明らかにしている。 エリオットの広報担当、スティーブン・スプリエル氏は7月31日、コメントを控えた。 シティグループとJPモルガン・チェースも国際スワップデリバティブ協会(ISDA)の判定委員会のメンバー。同委は15のディーラーと投資家で構成される。アルゼンチン紙アンビトの報道と銀行関係者によれば、シティとJPモルガンはエリオットなどの債権者が保有する2001年にデフォルト(債務不履行)となったアルゼンチン債の買い取りで交渉中。 この買い取りが合意に達すれば、アルゼンチンの利払い再開が可能になる。同国はエリオットやアウレリアス・キャピタル・マネジメントなどとの債務協議が不調に終わった後、5億3900万ドルの利払い期限を守れなかった。 ISDAはニューヨーク時間8月1日午前11時(日本時間2日午前0時)から判定委員会を開催、アルゼンチン国債のCDS決済につながる支払い不履行の信用事由が発生したかどうかを判断する。 原題:Argentina Debt Dilemma Spotlights Knotted World of DefaultSwaps(抜粋)2001年の「破綻」から13年も経っており、9割の債権者が債務再編(ようするに借金の棒引き)に応じているにも関わらず、アルゼンチン政府のドル建て債券の全額返済を頑なにこだわっているファンドの一つ「エリオット」が、CDS(特定の債券が破綻したときに儲かるような金融商品で、債券の保険のようなもの)の判定委員会のメンバーであるものの、アルゼンチン政府債のCDSを購入していなかったと。 そこで、アルゼンチン政府債のCDSを購入しているほかのCDS判定委員会メンバーであるシティとJPモルガンに「エリオット」が保有しているアルゼンチン政府債を買い取ってもらってから、めでたく「デフォルト」判定して、シティとJPモルガンがCDSの「保険金」をせしめ、「エリオット」も損失を軽減する、という、何というか「三方一両損」みたいなものでしょうかね? まあ、色々と大人の事情 がおありなのではないかと、拝察つかまつります。アルゼンチンなど新興国が「債務再編に応じない連中はハゲタカだ!」という主張 はハフィントン・ポストの記事にあるように 「ハゲタカファンドは、我々自身が止めない限り止まらない。ハゲタカファンドによる南半球の国々での莫大な資産の強奪は、学校閉鎖や、医薬品不足、政治不安などを引き起こす原因となる」(アルゼンチンのティメルマン外相) でしょうし、 「債務不履行に陥った国が進める債務再編過程に、投資ファンドなどが妨害を加える」(国連総会の決議理由) ということになるだろう、という点で一理ある ように思われます。 一方、若干強引な気もしますが、あくまでも「全額、カネ返せ。借りたカネ返すのが人間の道理やろ!」とする(?)、「ホールドアウト」 (アルゼンチン風にいうと「ハゲタカ」)側の主張も、一理ある ようにも思います。 しかし、アルゼンチンなど新興国で外貨建て(主に米ドル)でカネ借りている人たち(というか政府や企業たち)は、リスクプレミアム という形で、返済に対する信用度が低い分、高い利息を支払っていたわけです。 つまり、高い利回りの不利な条件で債券を発行していたわけで、買い手側は、信用度の低いことと見合う利回りに納得して買っていたはず です。 ハイリスク・ハイリターンは承知の上で買うのが投資家であるし、その上でリスクを分散して他の債券も幅広く買うのが投資家のあるべき行動パターンではなかろうかとも思います。 例えば、野村アセットマネジメントの運用する「米国ハイ・イールド債券投信」 という米国の高利回り社債に分散投資するファンドの商品説明書 のp.11に、1996年12月~2014年5月の平均デフォルト率3.2% 、p.12にほぼ同じ期間におけるデフォルトした債券の「回収率」が4割程度 というデータが載っています。デフォルトのリスクの高い債券であっても分散投資していれば、1年あたりで貸し倒れする金額の割合は、3.2%×40%=1.28%とかなり低くなるわけです。 それを上回る利回りがあれば、利益はプラスになる、という算段です。【訂正】 デフォルト債券の「回収率」が4割なら、デフォルト債券の「貸し倒れ率」は6割ということになります。デフォルトのリスクの高い債券であっても分散投資していれば、1年あたりで貸し倒れする金額の割合は、3.2%×60%=1.92%とかなり低くなるわけです。 それを上回る利回りがあれば、利益はプラスになる、という算段です。
アルゼンチン政府ならびに国民 は、カネをある程度踏み倒したという点で
「モラルハザード」 があったかもしれませんが、2001年のデフォルトで経済が急激に悪化し、痛い目に遭っているわけで、その点において
代償は支払っている とも言えます。
そして、高リスク・ハイリターン狙いでアルゼンチン国債(ドル建て)を買っていた
投資家(投機家) は、分散投資でかなり確実に利益を挙げていたはずですし、分散投資していなかったとしたら、それは
新自由主義のルール=「自己責任」 という面もあるでしょう。
それに、もし一民間企業に貸していたのなら、基本的に民間企業などの「法人」は有限責任で、破綻したときにその「法人」が所有している財産以上の支払いは免除されます。この
「有限責任」も資本主義のルール であります。このような
「敗者復活」のルール があるからこそ、皆がリスクを取って起業し、それによって
資本主義の活力 が生まれるわけですから。
と考えると、「ホールドアウト」投機家側の「貸したカネは返せ」という気持ちも分からないわけではありませんが、資本主義のルール=「自己責任&有限責任」を踏まえると、ある程度は損を受け入れなはれ、とも思う次第であります。で、アルゼンチン政府ならびに国民と投資家(投機家)のあいだで「三方一両損」が成立して、しゃんしゃん、という運びになると良いのですが。 さて、それはそれとして、アルゼンチンのように外貨建て、またはギリシャのように共通通貨建てで借りてしまうと、「借りたカネは返すのが人間の道理やろが!」という取り立て屋さんが来ますが、日本のような通貨発行権のある自国通貨建ての借金しかない場合はそんな取り立て屋さんは来ません。 (尖閣辺りに地上げ屋さんは来るかも知れませんが…)という視点で「国の借金」論を書いている面白いブログ記事 があるのでご紹介 (私がツイッターでお世話になっている剣kennさんのブログ「剣kenn諤々」の記事): 「第69回 国の借金とサラ金の違いについて」 2012-01/28 http://hskenncutter.blog109.fc2.com/blog-entry-69.html ↑江頭2:50氏、岸部四郎氏の借金の話と「国の借金」との対比 が実に分かり易く、また、借金という言葉のもつ恐怖の実感 についても身近な方に対する「サラ金」の取り立て について実地に見てきた経験からの話があり、大変興味深い内容となっています。 なお、「恐怖」について補足 しておきます。 私の新しい本で書いていますが、恐怖は生物学的には危険を回避するための必要不可欠な機能 であり、恐怖体験は一度だけで学習 する必要があるので、恐怖体験の記憶は生涯消えることがありません (脳科学者、ジョセフ・ルドゥーの説)。 よって、上記のような「サラ金の取り立て」の恐怖が、借金に対する恐怖、そして借金という言葉に対する恐怖、そして、「国の借金」に対する恐怖とつながってしまう ということがあるものと考えられます。 借金という言葉と恐怖の感情が上記のような生物学的なシステムによって「連合学習」 されており、借金と聞くと恐怖の感情が沸き起こってしまう(自動的に連想してしまう)というのは、生物学的には残念ながら、かなり自然なことと考えられます。 このような恐怖とどう向き合うか、そしてこのような恐怖を人類がどう「飼い慣らす」か、ということは日本経済の将来だけでなく、世界全体の将来も左右する重要なテーマだと考える次第であります (詳細は拙著 「日本経済のミステリーは心理学で解ける」 をお読み頂ければ、と思います) 。 「 日本の場合、 『地上げ屋さん』は来るかも知れんが、 『サラ金の取り立て屋さん』は来ないわな 」 に一票! と思われた方は、下のリンクのクリックをお願い致します。 http://blog.with2.net/in.php?751771 クリック、ありがとうございましたm(_ _)m
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2014/09/27 (Sat) 16:53
政治ブログランキング応援クリック、よろしくお願いします! 徳間書店刊 「日本経済のミステリーは心理学で解ける」 「個人レベルから国レベルに至る“閉塞感”を打ち破るための共通原理」を、経済学、心理学、脳科学、生物学等から抽出:ぜひご一読頂きたい、味わいある一冊です! ・経済統計データだけでなく、心理学や脳科学や生理学の観点からも「国の借金」の分析を行っています ――「国の借金」に対する恐怖をどうすれば乗り越えられるか? ・「日本の国の借金はもうダメだ」という考えと、「いや、日本の国の借金は大丈夫だ」という考えを両方とも正しいと仮定 した上で、長期的に日本が安定的に繁栄を続けるための方策の試論を提示 しています。他方が一方を「お前は間違っている!」として否定するのではなく、互いの考えを両方とも肯定し、調和的に解決を図ることを理想としています。 ・社会は多数の人間からなる組織・集団であり、一人の人間もまた70兆個もの細胞からなる巨大な組織・集団です。 それゆえ、マクロ経済や政治や軍事などの人間集団の仕組みと、一人の人間という「組織・集団」の仕組みのあいだには、多くの共通点や相似性があるはずです。 ・「国の借金だけでなく民間の借金や金融資産も見るべき、国の借金だけでなく国の金融資産も見るべき」というようなマクロ経済におけるバランスシート思考が、実は一人の個人にも適用できる ――例えば、「イライラしているときは必ずその正反対のイライラしたくない願望が同時に存在している」、「病気に対する恐怖があるときは必ずその正反対の病気が治って欲しいという願望が同時に存在している」といった具合に――というような、国レベルの大規模な人間集団からたった一人の個人にまで幅広く共通する基本原理について、学問領域の垣根を越えた幅広い、多角的な視点から提示しています。 全国の書店で好評発売中!↑この本の目次項目一覧は こちら ↑この本の一部を 無料公開中 (「経済にそれほど関心はないが、スポーツや自己啓発などに関心がある」というような方に本書をPRするための資料です。周囲の方に本書をお勧めする際など、ご活用下さい) ↑この本についてゆるーく語り合うフェイスブックのグループ 「日本経済のミステリーは心理学でトロピカル」 https://www.facebook.com/groups/1472415033007299/ フェイスブックにアカウントをお持ちの方はふるって上記のグループにご参加して頂ければ、と思います(いまのところ、参加要請があれば「来る者拒まず」 の方針でメンバーになって頂いております。※いまのところ、週一回ほど何か書いています^^ ↑この本の「書評」を書いて下さっているブログの一覧はこちら 全国の書店で好評発売中です! ネット書店でのご購入 → アマゾン 、 楽天 、 ツタヤ 、 セブン 、 ヨドバシ 、honto さて、本題 です:今回のエントリーは、↑の本の第4章をお読みでない方には、あまり読むことをお勧めしません… 今回の話は、ISISも若干絡んでくるのですが、日本でまったく報道されていない、アメリカで実際に起きた、かなり凄惨な事件 の話であります。 今年の正月に 「アメリカが世界の盟主の座を降りてしまった、あるいは、降りる準備を始めてしまったのではないか、と思わせるような象徴的な出来事が、ほんの一年のあいだにあまりにも多数起きた」という意味で、昨年あたりから世界的に政治や経済の情勢があまりにも混沌としてきたように感じられる」 と書きましたが、これはすなわち、私個人的には、世界的に「治世」に向かうよりは、「乱世」に向かう可能性が高いと感じている 、ということでもあります。世の中、かなり確実にこれからもっと乱れてゆくでしょう。 それゆえ、それに対処するために心理学、心理学的な事柄がこれからは圧倒的に重要になってくる と考えています。 それゆえに私は、↑の本をどうしても出したかったのであります。 この本は本当に苦労して書き、出版に至る道も多難でありましたが、それは今の世の中に絶対に役に立つ、必要な内容のものであるという、ゆるぎない信念があったからであります。それで、この本では、「否定」と「肯定」、つまりは「0」か「1」か、というこれ以上単純にならないというくらいに単純な概念 を用いて、誰もが簡単に自分自身や他人の心理分析、さらには国レベルの心理分析的なことを、かなりの程度できるようにするための、簡便な心理モデルを提供 させて頂いております。おそらく、心理学のややこしい話をここまで日常的な実用レベルに引き下げて使いやすいモデルにして提供しているのは、人類史上初の試み です。 で、以下の話は、↑の私の本の第4章のような「解毒剤」、あるいは、もちろん、私の本でなくても何かしらの凄惨な話に対する「解毒剤」や「耐性」をお持ちの方以外は、あまりお読みになることはお勧めしません…。 しかし、じゃあなんでそんな話を書くのか というと、日本でちっとも報道されていないものの、アメリカ国民の全般的な群衆心理がどのような状態かを推定するためにはかなり重要なニュース ではないかと考えるからです。 そして、「アメリカ国民の全般的な群衆心理」についてウォッチしておくことは、日本の将来にとってもかなり致命的に重要な問題 ではないかと考えるからであります。とはいうものの、以前申し上げていた学術論文の作成がかなり切羽詰っているため、かなり簡単な紹介になります: Fired Oklahoma Food Plant Employee Beheads Woman, Attacks Another オクラホマの食品工場を解雇された従業員が、女性を斬首、もう一人を襲撃 Sep 26, 2014, 12:17 PM ET By MEGHAN KENEALLY ABCNewsMore ABC news videos | Latest world news 食品工場を解雇されたAlton Nolen という人物が、工場の人事部のある建物から他の建物に自動車で直接乗り付け、そこにいた二人の女性を襲撃。一人の女性については斬首して殺害、もう一人の女性を刺したとのこと。 但し、駆け付けた同社の重役兼予備警官がNolenを銃撃したため、もう一人の女性は命を取り留めたとのことです。 また、凶器のナイフは同工場で作業員が日常業務で使っていたものとのことです。 当局はテロとは関係ない、職場における怒りが主たる原因、としていますが、「心理的」にはISISに影響を受けていたかどうか調査中とのこと。 "After conducting interviews with Nolen's co-workers, information was obtained that he recently started trying to convert several employees to the Muslim religion," police said in a statement. 「Noleの同僚に事情聴取した結果、彼は最近、複数の従業員に対し、イスラム教への改宗を試みることを始めていたという情報が得られた」と警察は発表している。 Authorities are investigating whether Nolen posted a series of fanatical messages on Facebook and, though they have not yet found any connections, they are still looking to see if he was influenced by the recent ISIS beheadings dominating the news. 当局はNolenが一連の狂信的なメッセージをフェイスブック上に投稿していたかどうかについて調査しているが、まだ関連性を見つけていない。当局はニュースで大量に報道されている最近のISISによる斬首事件の影響を受けたかどうか調査中である。 … ABC News consultant and former senior FBI agent Brad Garrett, who has extensive experience in criminal profiling, said that on the surface the incident appears to be "workplace violence." ABCニュースのコンサルタントにして元FRI上級エージェントのBrad Garrett(犯罪プロファイルの豊富な経験がある)は、この事件は表面的には「職場における暴力」の表れ であると述べた。 "It's within the realm of reasonableness that this is ISIS-related, but you have to go back to the motive, and the motive was he was mad," Garrett said, referring to the militant group linked to the recent beheading of two American journalists.「合理性の領域の範疇において、この事件はISIS関連である。しかし、動機について考え直す必要がある。その動機は、彼が怒っていたことにある」 とGarrettは戦闘員グループによる最近の2人のアメリカ人ジャーナリスト斬首事件を参照しながら述べた。 そして、上記の記事に関連ニュースとしてリンクしている、もう一つの「解雇復讐型」殺人事件 です…2 Killed in Alabama UPS Shooting Were Superviser アラバマのUPS銃撃事件で殺害された二人は上司だった http://abcnews.go.com/US/wireStory/police-fired-ups-employee-kills-colleagues-25719055 Sep 24, 2014, 7:54 PM ET By KIM CHANDLER and JAY REEVES Associated Press UPSというのは日本で言えばヤマト運輸のような会社です。 そこで21年務めていたトラック運転手が解雇されて、上司二人を銃殺 したという事件です。 その殺害された上司の一人は生前、婚約者に「長年勤めていて家族もいる彼を解雇するのは心苦しい」 と語っていたそうですが…「 日本でも雇用の流動化 解雇しやすい方向に進んでいるようだが… 本当にそれで国が持つのだろうか? 」 と思われた方は、下のリンクのクリックをお願い致します。 http://blog.with2.net/in.php?751771 クリック、ありがとうございましたm(_ _)m
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2014/09/25 (Thu) 14:37
2014/09/23 (Tue) 23:11
政治ブログランキング応援クリック、よろしくお願いします! 徳間書店刊 「日本経済のミステリーは心理学で解ける」 「個人レベルから国レベルに至る“閉塞感”を打ち破るための共通原理」を、経済学、心理学、脳科学、生物学等から抽出:ぜひご一読頂きたい、味わいある一冊です! ・経済統計データだけでなく、心理学や脳科学や生理学の観点からも「国の借金」の分析を行っています ――「国の借金」に対する恐怖をどうすれば乗り越えられるか? ・「日本の国の借金はもうダメだ」という考えと、「いや、日本の国の借金は大丈夫だ」という考えを両方とも正しいと仮定 した上で、長期的に日本が安定的に繁栄を続けるための方策の試論を提示 しています。他方が一方を「お前は間違っている!」として否定するのではなく、互いの考えを両方とも肯定し、調和的に解決を図ることを理想としています。 ・社会は多数の人間からなる組織・集団であり、一人の人間もまた70兆個もの細胞からなる巨大な組織・集団です。 それゆえ、マクロ経済や政治や軍事などの人間集団の仕組みと、一人の人間という「組織・集団」の仕組みのあいだには、多くの共通点や相似性があるはずです。 ・「国の借金だけでなく民間の借金や金融資産も見るべき、国の借金だけでなく国の金融資産も見るべき」というようなマクロ経済におけるバランスシート思考が、実は一人の個人にも適用できる ――例えば、「イライラしているときは必ずその正反対のイライラしたくない願望が同時に存在している」、「病気に対する恐怖があるときは必ずその正反対の病気が治って欲しいという願望が同時に存在している」といった具合に――というような、国レベルの大規模な人間集団からたった一人の個人にまで幅広く共通する基本原理について、学問領域の垣根を越えた幅広い、多角的な視点から提示しています。 全国の書店で好評発売中!↑この本の目次項目一覧は こちら ↑この本の一部を 無料公開中 (「経済にそれほど関心はないが、スポーツや自己啓発などに関心がある」というような方に本書をPRするための資料です。周囲の方に本書をお勧めする際など、ご活用下さい) ↑この本についてゆるーく語り合うフェイスブックのグループ 「日本経済のミステリーは心理学でトロピカル」 https://www.facebook.com/groups/1472415033007299/ フェイスブックにアカウントをお持ちの方はふるって上記のグループにご参加して頂ければ、と思います(いまのところ、参加要請があれば「来る者拒まず」 の方針でメンバーになって頂いております。※いまのところ、週一回ほど何か書いています^^ ↑この本の「書評」を書いて下さっているブログの一覧はこちら 全国の書店で好評発売中です! ネット書店でのご購入 → アマゾン 、 楽天 、 ツタヤ 、 セブン 、 ヨドバシ 、honto さて、本題 です:大統領が「最終的に壊滅させる」 、副大統領が「地獄送りにしてやる」 と言っていたISIS壊滅 作戦 が本格的に開始しました。 まず、アメリカ国防総省(ペンタゴン)の簡潔な発表 をどうぞ: -----U.S. Begins Airstrikes Against ISIL in Syria アメリカはシリア国内のISILに対する空爆を開始した http://www.defense.gov/news/newsarticle.aspx?id=123233 By Claudette Roulo DoD News, Defense Media Activity WASHINGTON, Sept. 22, 2014 – U.S. and partner nation forces have begun airstrikes inside Syria against terrorists from the Islamic State of Iraq and the Levant, Pentagon Press Secretary Navy Adm. John Kirby said in a statement today. The strikes are being undertaken through a mix of fighter and bomber aircraft and Tomahawk Land Attack missiles, he said.ペンタゴン報道官ジョン・カービー海軍大将は本日、アメリカおよび有志連合諸国軍は、シリア国内におけるISILのテロリストに対する空爆を開始したことを発表した。この攻撃は戦闘機、爆撃機、トマホーク対地ミサイルの組み合わせ によって行われた。 “Given that these operations are ongoing, we are not in a position to provide additional details at this time,” Kirby noted. U.S. Central Command has conducted a total of 190 airstrikes across Iraq in the battle against ISIL forces. The decision to begin the airstrikes in Syria was made earlier today by Centcom Commander Army Gen. Lloyd Austin, the admiral said. The strikes are being made under authorization granted by the commander in chief, President Barack Obama, as part of the comprehensive strategy to degrade and ultimately destroy ISIL.「これらの作戦は進行中であるため、我々はいまのところ、これ以上の詳細を公表する立場にない」とカービー報道官は述べた。アメリカ中央軍司令部はISIL勢力に対する攻撃としてイラクでこれまで合計190回の空爆を指揮してきた。シリアにおける空爆開始の決定は、中央軍司令官ロイド・オースティン陸軍大将によって今朝早くになされた。 この攻撃は最高司令官バラク・オバマ大統領によって与えられた権限に基づき、ISILを弱らせ最終的に壊滅させる包括的戦略の一環 として行われている。 これに伴い、ISIS(ISIL)は「もっと(アメリカとその同盟国の)民間人を殺せ」というビデオを公開した、と米ABCニュース: ISIS Calls for Civilian Murder ISISが民間人殺害を呼び掛け http://abcnews.go.com/WNT/video/isis-calls-civilian-murder-25686823 ABC News 03:10 | 09/23/2014 After ISIS's chilling message, Algerian group grabs French hostage. ISISによる不快なメッセージ発信のあと、アルジェリアのグループがフランス人を人質に取った。 More ABC news videos | Latest world news 「アメリカ人やヨーロッパ人、特に陰湿で不潔なフランス人やオーストラリア人、カナダ人を、いかなる方法でもいいから殺せ」 というテロを促すメッセージを出しているとのことです。 そして、アルジェリアのISIS支持者らが50歳のフランス人男性を誘拐し、フランスが24時間以内に空爆を止めなければ斬首するとしているとのことです。 うーむ…。この「戦争」、できるだけ早いうちに、うまい具合に終結し、最終的な解決がなされることを願うばかりでありますが… 今回は善悪良否を脇に置き、ISIS問題が今後どういう経緯をたどりそうなのか、心理学的に検討してみたいと思います。 『孫子』 に基づいて独自の戦略論 を作り上げたリデルハート 元英国陸軍大尉の間接的アプローチの戦略 によると、戦略の要諦 は、①敵の退路を断つ ②敵の補給路を断つ ③敵の指揮系統を混乱させる ということを通じて、敵方の戦闘継続意志を消失させる という段取りになります。(うろ覚えですが、多分こんな感じ) が、あともう一つ、④敵方の国民の士気を喪失させる というものも付け加える必要があるかも知れませんね。(この「国民の士気」の概念はクラウゼヴィッツ戦争論 に書いていたような気が…) なお、『孫子』 では「戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」 、つまり、不戦勝こそが最善としていますが、それは戦わずして敵方の戦闘継続意志を消失させるのが最善 、ということになります。 (このように見て行きますと、戦争 とか戦略 とかいうものは、かなりの度合いで心理学の領域 です。そしてこのような話は政治や経済にも多大な影響 を与えるわけですから、政治や経済もまたかなりの度合い心理学の領域の問題 と言えます。) さて、「国民の士気」の重要性 について。 例えば、第二次世界大戦ではルーズベルト大統領 が選挙公約で戦争しないと約束していたので戦争できなかったのが、日本軍の真珠湾攻撃によって戦争を開始することになった、と言う話がありますが、これは「国民の士気が低くて戦争できなかったものが、国民の士気が高まったので戦争できるようになった」 と見ることができるでしょう。 また、昨年8月末にオバマ大統領 が「私は、現在までのあいだ完全にマヒし、アサド政権に責任を取らせる意思を見せない国連安保理の承認が無くとも前進することに不都合を覚えない。」 「我々はアメリカ合衆国であり、我々はダマスカス(シリアの首都)で起こったことに目をつむることはできないし、目をつむるべきではない。」 とまで演説 したのに結局はシリアのアサド政権への攻撃を中止 したのは、「国民の士気」が低すぎたから だと言えます。 今回は、ISISが二人のアメリカ人ジャーナリストを残虐な手法で殺したとされるビデオが繰り返しテレビで放映されたことによって「国民の士気」が高まり、遂にシリアにおけるISIS拠点への空爆を開始するに至ったと考えられます。 が、Pew Research Centerがオバマ大統領の「シリアにおけるISIS空爆作戦」発表直後に行った直後に行った世論調査の結果を見ると、その「国民の士気」の高まりと同時に、「国民の戸惑い」 のさまも浮き彫りになっているように見受けられます。 以下、Pew Research Centerの世論調査を抜粋して紹介します: Bipartisan Support for Obama’s Military Campaign Against ISIS http://www.people-press.org/2014/09/15/bipartisan-support-for-obamas-military-campaign-against-isis/ Pew Research Center SEPTEMBER 15, 2014まず、オバマ大統領が発表した「イスラム国を最終的に壊滅させる」作戦に賛成とした割合が53%、反対が29%、分からない(DK=Don't Know)が19%でした。(下図) 次に、アメリカ軍の行動は「行き過ぎ(Go too far)」と考える人の割合が41%、「まだ十分でない(Not go far enough)」の割合が41%で拮抗しています(下図右)。 先月の数字が下図左ですが、「行き過ぎ」の人が今月は減り、「不十分」の人が今月は増えたわけですね(ジャーナリスト殺害事件の影響と思われます)。次に、軍事行動による米国内でのテロの脅威への影響について。 多数派は「それほど変わらないだろう(Not make much difference)」で41%。 その次が「テロの脅威は増える(Increase)」で34%。 一番少ないのが「テロの脅威は減る(Decrease)」18%。 (下図) 今回の「作戦」で「テロの脅威は減る」と答えた人の割合が非常に少なく、「脅威の度合いは変わらない」、「むしろ脅威は増える」と答えた人のほうが多いことは、実は、ある種の「矛盾」 をはらんでいます。この軍事作戦は、オバマ大統領によれば、 “We Will Degrade and Ultimately Destroy ISIL” 「我々は、ISILを弱らせ、最終的に壊滅させる」 ということを目的とした作戦であり、それについては上のほうの質問への答えで53%の人々が賛成しています。 そして、この最終目的を達成できれば、「脅威は減る」はずです。 よって、この作戦の趣旨に賛同しているのなら、この53%の人々が「脅威は減る」と考えていて然るべき と思われます。 ところが、「脅威が減る」と答えた人の割合がたったの18% に過ぎなかったのです。 ここで、私の新しい本で提示していた「ユーロ圏の諸国民を一人の人間と捉えて考えてみると、ああでもない、こうでもないと葛藤している一人の悩み多き人間のように見える」というような考え方で、アメリカ国民を一人の人間と捉えてみましょう。 ISIS壊滅作戦に賛成53%、反対18%、分からない19% →「少しばかり反対な気もするし、良く分からないような気もするけれど…、いやあ、やっぱ攻撃すべきだよねえ、多分…」 今の軍事行動は「やり過ぎ」41%、「不十分」41% →「でも、やっぱ、やり過ぎとちゃうか…。いやあ、まだまだ不十分な気もするなあ…」 この作戦で「テロの脅威減る」18%、「テロの脅威増える」34%、「あまり変わらない」41% →「でもなあ、これで国内でのテロの脅威減るような気があまりしないなあ…。いやあ、むしろ脅威が増えそうな気がするなあ…。うーん、いや、やっぱ、そんな変わらんかなあ…」 ここで、非常に気になるのがこの一人の悩める人間に例えた「さまよえるアメリカ人」の、ISIS壊滅作戦に対する「士気」が今後どうなるか、ということであります。 この「戦争」が長引くと…「あれ、そもそも国内でのテロの脅威が減ると思ってないというか、むしろ増えそうと思っていたのに、なんで作戦の開始に賛成、とあんなに強く思っていたのかな」と我に返り、「士気」がにわかに低下することもあるかも知れません。 さて、ここでもう一度、「戦略の要諦」の話を振り返りましょう。 -----①敵の退路を断つ ②敵の補給路を断つ ③敵の指揮系統を混乱させる ④敵方の国民の士気を喪失させる ということを通じて、敵方の戦闘継続意志を消失させる -----アメリカからISISを見た場合、今のところ①から③を一応は実践しているように思われます。 例えば、NHKのニュース によると 「(ISISの実質的な首都である)ラッカやその周辺には、イスラム国が、戦闘の末、シリア軍やイラク軍から奪った大量の武器を保管する倉庫や兵士の訓練施設、それに司令部などがあるとみられ、アメリカのメディアは、こうした施設が今回の空爆の標的になっていると伝えています」(「米がシリアに空爆拡大 新たな段階に」 2014年9月23日 18時52分) という具合です。 武器等の保管庫への空爆であれば「②補給を断つ」ですし、ここがどうやら本拠地なので「①退路を断つ」、「③指揮系統を混乱させる」ということも該当しそうです。しかし、そもそもが「テロリスト集団」ということであれば、拠点を移動しながら活動するものと思われ、「本拠地」という概念は希薄かも知れません。 「『イスラム国』を壊滅に追い込むには空爆だけでは難しく、オバマ大統領にとって終わりの見えない戦いを強いられる新たな段階に入ったという見方が出ています」(上記NHKニュース記事より)との見方で見ていた方が無難かもしれません。 すると、①から③はなかなか効果が上がらない かも知れません。 また、④敵方の国民の士気を喪失させる については、いまのところむしろISIS側の士気が高まっているようにも見えますが、どうでしょうか。 一方、ISIS側からアメリカおよび有志連合諸国について考えてみましょう。 ①敵の退路を断つ →基本的に無理(ISISから見れば相手が余りにも巨大すぎるし、相手は航空機だし、退路を断つもなにも、ヘッタクレもない)②敵の補給路を断つ →これもまず無理③敵の指揮系統を混乱させる →これもかなり難しい。但し、長期戦に持ち込んでアメリカと有志連合諸国のあいだの利害衝突が起きることを狙い、戦線から離脱する国を徐々に増やす、というようなことは可能かも知れない④敵方の国民の士気を喪失させる →… これを書くのはあまり気が進まないのですが、「④国民の士気」の維持こそ、アメリカや有志連合諸国の最も気を付けるべき弱点 のように思われます。 長期戦に持ち込まれ、かつ、アメリカや有志連合諸国の国内におけるテロが断続的に発生する事態となると…。 特に、肝心かなめのアメリカ国民の士気は、上記の世論調査の結果を踏まえると、いとも簡単に折れかねないと思えてしまう のであります。 そうなると、以前も書きました ように、極端な場合は「在外米軍の全面的な撤退」 というところまで短期間で進行してしまう可能性もゼロではないでしょう。 また、ISIS壊滅作戦が仮に失敗 に終わった場合、中東は非常に混乱 するでしょうから、石油、天然ガスの中東依存の大きい日本のエネルギー安全保障は非常に困難な局面を迎える こととなるでしょう。もちろんこれは最悪のケース でありますが、一応は想定しておいた方が良い のではないかと思う次第であります。いかがでありましょうか。 「 原発はゼロかできる限り少ないのが 理想かも知れない。 しかし、ISIS問題も踏まえると、 エネルギー問題については 最悪の事態も一応は想定する という文脈で 原発問題を考える必要も あるかも知れない。 」 と思われた方は、下のリンクのクリックをお願い致します。 http://blog.with2.net/in.php?751771 クリック、ありがとうございましたm(_ _)m
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2014/09/21 (Sun) 23:24
政治ブログランキング応援クリック、よろしくお願いします! 徳間書店刊 「日本経済のミステリーは心理学で解ける」 「個人レベルから国レベルに至る“閉塞感”を打ち破るための共通原理」を、経済学、心理学、脳科学、生物学等から抽出:ぜひご一読頂きたい、味わいある一冊です! ・経済統計データだけでなく、心理学や脳科学や生理学の観点からも「国の借金」の分析を行っています ――「国の借金」に対する恐怖をどうすれば乗り越えられるか? ・「日本の国の借金はもうダメだ」という考えと、「いや、日本の国の借金は大丈夫だ」という考えを両方とも正しいと仮定 した上で、長期的に日本が安定的に繁栄を続けるための方策の試論を提示 しています。他方が一方を「お前は間違っている!」として否定するのではなく、互いの考えを両方とも肯定し、調和的に解決を図ることを理想としています。 ・社会は多数の人間からなる組織・集団であり、一人の人間もまた70兆個もの細胞からなる巨大な組織・集団です。 それゆえ、マクロ経済や政治や軍事などの人間集団の仕組みと、一人の人間という「組織・集団」の仕組みのあいだには、多くの共通点や相似性があるはずです。 ・「国の借金だけでなく民間の借金や金融資産も見るべき、国の借金だけでなく国の金融資産も見るべき」というようなマクロ経済におけるバランスシート思考が、実は一人の個人にも適用できる ――例えば、「イライラしているときは必ずその正反対のイライラしたくない願望が同時に存在している」、「病気に対する恐怖があるときは必ずその正反対の病気が治って欲しいという願望が同時に存在している」といった具合に――というような、国レベルの大規模な人間集団からたった一人の個人にまで幅広く共通する基本原理について、学問領域の垣根を越えた幅広い、多角的な視点から提示しています。 全国の書店で好評発売中!↑この本の目次項目一覧は こちら ↑この本の一部を 無料公開中 (「経済にそれほど関心はないが、スポーツや自己啓発などに関心がある」というような方に本書をPRするための資料です。周囲の方に本書をお勧めする際など、ご活用下さい) ↑この本についてゆるーく語り合うフェイスブックのグループ 「日本経済のミステリーは心理学でトロピカル」 https://www.facebook.com/groups/1472415033007299/ フェイスブックにアカウントをお持ちの方はふるって上記のグループにご参加して頂ければ、と思います(いまのところ、参加要請があれば「来る者拒まず」 の方針でメンバーになって頂いております。※いまのところ、週一回ほど何か書いています^^ ↑この本の「書評」を書いて下さっているブログの一覧はこちら 全国の書店で好評発売中です! ネット書店でのご購入 → アマゾン 、 楽天 、 ツタヤ 、 セブン 、 ヨドバシ 、honto さっそくですが、本題です: ----- G20声明 「機動的に財政戦略」 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140921/t10014763801000.html NHK NewsWeb 2014年9月21日 14時55分オーストラリアのケアンズで開かれたG20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議は、ユーロ圏のデフレ懸念など世界経済の先行きに不透明感が強まっていることから「経済の成長と雇用の創出を支えるために機動的な財政戦略を行う」 とする共同声明を発表し、閉幕しました。 主な先進国と新興国によるG20は、閉幕後、議長国のオーストラリアが今回の議論の成果を声明にまとめて発表しました。 それによりますと、ユーロ圏のデフレ懸念など世界経済の先行きに不透明感が強まっていることから「経済の成長と雇用の創出を支えるために、機動的な財政戦略を行う」として、各国の判断で財政出動を含めた対策を検討 するとしています。 また、G20全体でGDPを今後5年間で2%以上引き上げる目標について各国の取り組みが進めば、1.8%の成長が可能という見通しを示したうえで、追加的な施策を進めることで成長を促すとしています。 そして、アメリカが進める金融緩和の出口戦略によって、投資資金の引き上げなどが起これば市場が混乱すると、新興国などから懸念の声が上がっていることを踏まえ、金融政策を見直す際には「世界経済への影響に留意する」としています。 さらに、西アフリカで流行が続くエボラ出血熱について、影響を受けた国やより広い地域の成長に深刻な影響を及ぼすおそれがあると指摘し、国際的に連携して対応する姿勢を強調しました。 追加の財政出動など検討の考え 麻生副総理兼財務大臣はG20の財務相・中央銀行総裁会議終了後の記者会見で「日本の経済政策について各国が関心を持って聞いてくれた。日本の構造改革に対する期待の高さを実感した」と述べました。 またG20の声明に各国が機動的な財政戦略を行うことが盛り込まれたことに関連して「かつての状況とだいぶ違うが、満足できるほどの需要が確実に戻ってきたという段階ではない」と述べ、設備投資などの需要もまだ弱く、回復は道半ばだという認識を示しました。 そのうえで、消費税率引き上げ後の反動減も踏まえた今後の景気対策について「まずは予算の早期執行を通じて早期に回復軌道に乗せて行きたい。今後のGDP=国内総生産や経済指標を見極めて、どうしていくか決めて行きたい」と述べ、今後の景気動向をよく見たうえで、追加の財政出動などを検討していく考えを示しました。 米財務長官 日欧の経済成長は期待外れ アメリカのルー財務長官は、G20の財務相・中央銀行総裁会議終了後に会見し、「ユーロ圏と日本の経済成長の見通しは下方修正され期待外れの状況だ。日本は消費税率引き上げ後の消費や設備投資の落ち込みでマイナス成長に陥り課題に直面している」 と指摘し、ことし4月から6月のGDP=国内総生産が7.1%の大幅なマイナスに陥ったことに懸念を示しました。 またユーロ圏についても「追加対策が必要なのは明らかだ」と述べて、需要を高めるための追加の対策を求め、アメリカ経済の回復が明確になりつつあるなかでヨーロッパと日本が低迷を続けていることに不満を示しました。 豪財務相 成果を強調 G20の議長国、オーストラリアのホッキー財務相は会議のあとの記者会見で「G20は、世界経済の成長を後押しするためには、短期的な財政出動が必要になることもあるという認識で一致した」と述べて、成果を強調しました。 またG20全体でGDPを今後5年間で2%以上引き上げる目標について、「今や目標達成の90%のところまできている」と述べて、各国の経済成長に向けた取り組みを評価し、目標達成に意欲を示しました。 というわけで、アメリカのルー財務長官がユーロ圏と日本を名指しで「もっと財政出動しやがれ!」とおっしゃっているようですね。 いや、実際にはユーロ圏にだけ財政出動しろ!と言っているのかもしれませんが、ルーさんが実際に言っている該当箇所の前後の文脈を見ると、やはり日本にも財政出動しろ!といっているようにも見えます。 またちなみに、ルー財務長官のスピーチにはインフラ という言葉が結構出てきたりもします: Video Transcript: US Treasury Secretary, Jacob Lew, Finance Ministers and Central Bank Governors meeting, closing media conference, Cairns https://www.g20.org/news/transcripts/video_transcript_us_treasury_secretary_jacob_lew_finance_ministers_and_central_bank 21 September 2014 … Since we last gathered in Sydney, growth in the Eurozone and Japan has been disappointing , and growth forecasts have revised downward. The Euro area continues to encounter persistent headwinds, with unemployment still near record high, and inflation at dangerously low levels. Among the G20 members, there is an intensified call for boosting domestic demand. 前回のシドニー会合いらい、ユーロ圏と日本 の成長には失望 させられており、成長予測は下方修正されてきた。ユーロ圏は記録的な失業率と危険なほど低いインフレ率とともに強固な向かい風にさらされ続けている。G20のメンバーの中で、内需刺激への強い要望があった。 In Europe as part of appropriate policy mix - fiscal, monetary and structural. Japan is facing the challenge presented by its economic contraction that followed increase of its consumption tax , leading to a decline in consumer spending and investment. 欧州においては適切な、財政、金融、構造的、政策ミックスの一部として(内需刺激への強い要望があった)。日本 は消費税率引き上げ後の消費や設備投資の落ち込みでマイナス成長に陥り課題に直面している (→ここはNHK記事をそのまま引用していますが、おそらく文脈としては、このような日本に対してもG20メンバーから内需刺激への強い要望があった、ということかと思います。話し言葉なので文意に若干の揺らぎがありますが、そう取るのが自然化と。)」In addition to the economic weakness of particular advanced economies, many emerging markets, including China, are experiencing slower growth. In light of these challenges to the global economy, the G20 has stressed the importance of immediate support for creating jobs, growing the economy, and implementing fiscal strategies to flexibly support demand. In the United States, President Obama has put forward specific plans to get this done, including making investments in infrastructure and reforming our business tax system. For example, the President has put forward a plan to use one-time transition savings from business tax reform to help pay for infrastructure upgrades .特定の先進経済国における経済の弱さ (恐らく、文脈からして日本の消費税による失速を含む)に加え、中国を含む新興市場は低成長を経験している。 この世界経済の課題の観点から、G20は職の創出や経済成長への迅速な支援、そして柔軟な需要底上げのための財政戦略実行の重要性を強調してきた。 米国では、オバマ大統領がこれを実現するための、インフラ投資促進 や事業税システム改革を含む、きめ細かな計画を前進させてきた。例えば、大統領は、インフラ更新への費用支出を支援 するために、事業税改革において貯蓄の一括償却のプランを前進させた(この箇所、勝手に意訳しましたが、おそらく設備投資等の一括償却 のことかと思います。つまり、建物や設備は支出しても資産の購入とされてすぐに費用と見なされず課税所得から控除されません。複数期にわたり減価償却費を分割して計上し、それが課税所得から控除されます。しかし、これを現金支出した期に一括で費用化できるような制度で投資を促進すること。ああ、そう言えば09年か10年あたりにアメリカさんはやっていました、そんな税制改革)。 …で、インフラ つながりで議長国のオーストラリアのホッキー財務長官のスピーチ Treasurer’s closing statement, G20 Finance Ministers and Central Bank Governors Meeting http://jbh.ministers.treasury.gov.au/speech/018-2014/ 21 September 2014 ・・・Global Infrastructure Initiative グローバル・インフラ・イニシャティブ As part of our new growth strategies, we have focussed on lifting investment in infrastructure because of its potential to address demand weakness. It is also a key driver for improving productivity. 新しい成長戦略の一環として、我々はインフラ投資を促す ことに焦点を当てて来た。 インフラ投資は、需要の弱さに本気で対処できる可能性を持つからだ。そしてインフラ投資は生産性の改善を促す鍵にもなる。 We have now agreed to progress a multi-year Global Infrastructure Initiative . This initiative consists of an integrated set of actions to increase quality infrastructure investment across the G20 and beyond. 我々はいま、多年度にわたる Global Infrastructure Initiative(グローバル・インフラ・イニシャティブ) を推進することに賛成した。このイニシャティブは、G20の領域をまたぎ、さらにはもっと広い領域にまたがる、良質なインフラ投資 を増加させる一連の統合的な行動計画から成る。 We have committed to develop a database of infrastructure projects to help match potential investors with projects. 我々は、潜在的な投資家とプロジェクトを結びつけることを支援するためのインフラ計画データベース を発展させることに合意した。 ・・・ -----ちなみに、アメリカのルー財務長官のスピーチでは「 インフラ」 は5回、オーストラリアのホッキー財務長官のスピーチでは「インフラ」 が 10回 出て来ます。 ただ、オーストラリアのホッキー財務長官が若干気になることも言っています By lifting the quality of Budgets we can help growth while maintaining responsible fiscal strategies and controlling public debt. 良質な予算を計上することで、我々は成長を促しながら、責任ある財政戦略の維持と公的債務のコントロールを行うことができる。 「良質な予算the quality of Budgets」 とか「財政戦略fiscal strategy」というのが、どうやら消費増税と所得減税(個人&法人)の組み合わせ を含むようです。 これは Communiqué Meeting of G20 Finance Ministers and Central Bank Governors Cairns, 20-21 September 2014 という今回のG20資料のなかで参考文献として出て来るGrowth-Friendly Fiscal Policy というIMF資料 にある考え方で、所得税(個人&法人)は投資意欲を削減するーーこの「投資」は金融資産への投資ではなく、固定資産への投資ーー が、消費税は投資意欲を削減しないのだとか…(建物や設備の購入には消費税がかかるので、これについては若干の違和感がありますが…と思いましたが、よくよく考えますと事業者は建物や設備の購入の際に支払った消費税を納付する消費税額から控除する仕組み――消費税法上のキーワードは「仕入税額控除」と「多段階累積控除」――があるので、まあ、たしかに理論的には「消費税は投資意欲」を削減しないことになりそうです…。なお、個人の住宅購入については仕入税額控除などないので、消費税はそのまま投資意欲の削減となります)。 ただ一応、このIMF資料には「消費税は成長を促すが逆進性があるため平等性を犠牲にする(=格差を拡大する)」 とあり、「失業者の労働参加を促す低所得労働者向け減税」、「就労支援支出の充実」ということもセットで言及することで格差への配慮 も見られますので、私は全否定はしませんが、真意はどこにあるのかは分かりません。 ただとにかく、消費増税と法人減税の合わせ技は世界的な流れ のようであります。 また、税制に関しては G20資料 に、 We are strongly committed to a global response to cross-border tax avoidance and evasion so that the tax system supports growth-enhancing fiscal strategies and economic resilience. 租税システムが成長を促す財政戦略や経済の強靭性を支えるために、我々は 越境租税忌避・脱税に世界的に対処することを強力に合意した。 とあります。法人税を軽くして、消費税を取るのは、国境をまたいだ租税回避・脱税を防ぐという取り組みの一環という位置づけもあるようです。 法人税は最終利益を税率の軽い他国に飛ばしたりして回避可能ですが、消費税は粗利(付加価値)に係る税金(付加価値税VAT)なので、他国に飛ばすことがやりにくいからです。なお、私は消費増税そのものには積極的な反対はせず、その上位概念である「プライマリーバランスGDP比の2015年半減、2020年黒字化(安倍内閣の閣議決定事項)」に断固反対 という姿勢です。 (消費税をどうするかに関わらず「プライマリーバランスGDP比の2015年半減、2020年黒字化(安倍内閣の閣議決定事項)」にこだわり続ける限りはうかつに財政出動できないので、ルー財務長官から「失望した」と嫌味を言われ続けることでしょう。いや、これ以上嫌味を言われないくらい、とにかくしっかり成長できれば良いのですが…)というような話は 当ブログで以前も書きました 。(あまり評判は良くありませんでしたが…) この消費税の件は「国際会議における現実を知っておいた方が心の準備をするためには良いかも知れない」 と思い、あまり触れたくはなかったのですが、一応、見てみぬふりをせずに書いておきました。まあ、それはそれとしまして・・・ 「 『インフラ!インフラ!インフラ!』 と 『日本はもっと財政出動しろ!』 に一票 」 と思われた方は、下のリンクのクリックをお願い致します。 http://blog.with2.net/in.php?751771 クリック、ありがとうございましたm(_ _)m
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