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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
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643:ユーロ、ドル、円は出口のない「ホテル・カリフォルニア」?:ギリシャ財務大臣の「チェックアウト(=デフォルト)できてもユーロから離れられない」ホテル・カリフォルニア発言

2015/01/28 (Wed) 12:15
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私は、格差拡大、それによる社会の不安定化の根本的原因は、

①国の借金に対する恐怖

②富を失うことに対する恐怖(=強欲)

という二つの恐怖だと考えています。

①の恐怖によって、各国は格差拡大による社会不安の増大を防ぎ、将来の生産能力不足を防ぐための投資を行うことができなくなってしまいます。また、この恐怖により、財政政策よりも金融政策に依存しがちになり、それは
国連開発計画の報告書によれば、金融の不安定化とさらなる格差拡大につながってしまいます。つまり、国の借金に対する恐怖(過剰な恐怖)を克服しない限り、これからも格差拡大は止まらず、各国の社会の不安定、世界全体の不安定はますます拡大してしまうでしょう。

②の恐怖によって、富裕層がますます富裕層により有利なルールを作ろうとして、資金を投じて政治家を支援し、それによってますます格差が拡大し、不安定化してしまう可能性があります。そうなると本来はその富裕層の皆さんの身を危険にされすことになるのですが・・・(それを身をもって示してくれたのが故カダフィ大佐と言えます)

恐怖とは本来、危険を回避するための生物が備えている防衛本能であり、生命の保存、種の保存のための機能であり基本的機能です。
しかし、上記の私の説明のとおりであるとするならば、その危険回避のための本能である恐怖によって、人類社会の危険がどんどんと高まっていると考えることができるでしょう。

よって、
これからの世界の安定、日本の安定のために、極めて重要と思えるのが、
「恐怖とは何か?どのようなメカニズムのものなのか?」、
「恐怖とうまく付き合い、この厄介な本能的機能を使いこなすにはどうしたらよいか?」
という問題と言えるでしょう。


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では、本題です。


以前、当ブログで歌詞を詳細に解説させていただいた、ホテル・カリフォルニア」――イーグルスがアメリカ建国200年の節目、1976年に発表し、収録アルバムが世界で900万枚売れた大ヒット曲――が最近、世界の金融界で大流行の兆しを見せているようです。


-----

ユーロは出口のない「ホテルカリフォルニア」-ギリシャ新財務相
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NIU9OP6S972M01.html
ブルームバーグ 2015/01/28

  (ブルームバーグ):27日にギリシャの新財務相に指名されたヤニス・ファロファキス氏はギリシャ危機の初めのころから、同国がユーロ圏にとどまりながらデフォルト(債務不履行)すべきだと論じてきた。ウェブサイトやツイッターで持論を展開している。

 ギリシャは決してユーロに参加すべきではなかったが、入ってしまった以上、離脱は崖から落ちるようなものだとする同氏は、いつでもチェックアウトできるが決してホテルを去ることはできないという「ホテルカリフォルニアの歌詞の最後の1行がギリシャの立場をよく表している」と2012年のブルームバーグラジオとのインタビューで語っていた。「ホテルカリフォルニア」はイーグルスのヒット曲。

 アテネ大学の経済学教授の同氏は緊縮反対を掲げて選挙に勝利した急進左派連合(SYRIZA)主導の新政権の財務相として、欧州諸国との交渉の前面に立つことになる。

 新政権の公約の中核は2400億ユーロ規模の救済融資をめぐるユーロ圏および国際通貨基金(IMF)との合意内容を修正することだ。SYRIZAは公式の立場としてデフォルトは否定している。

 ファロファキス氏(53)は「この救済の問題点は、実は救済ではないということだ」と26日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで語った。「引き伸ばしと偽装であり、悪循環であり、デフレのわなだった。ギリシャの社会経済を崩壊させたばかりではなく、普通のドイツ人やイタリア人、スロバキア人にとってのギリシャ救済のコストが最大化されたことを示すものだ」と語った。

原題:New Greek Finance Minister Likens Euro to Hotel California (1)(抜粋)

――――


最近、というかギリシャの新財相がこの発言をしたのは3年前のようですが。


さて、そのホテル・カリフォルニアの最後の一行を改めて確認しておきます:

You can check out any time you like, but you can never leave.
いつでもチェックアウトできるが、離れることは決してできない。



以前、歌詞の解説を書いたときはまユングフロイトの著書をきちんと読み込む前だったので、改めて少し解説を加えておきたいと思います。


「いつでもチェックアウトできるが、離れることは決してできない。」

の箇所と同じ内容を別の言葉で表現している箇所


 They gathered for the feast
 They stab it with their steely knives,
 But they just can't kill the beast

 彼らは宴のために集い、
 鋭いナイフを突き立ててその野獣を殺そうとするが、出来なかった。



があります。なお、ここで野獣(the beast)とはたとえば「強欲」のことと考えられます。


これらの歌詞の意味するところは、以下のようなものでしょう:


 一人ひとりの人間の心の中の構成要素は、消そうとしても消せない。
 あるいは、自分自身の心の内容物からは、一生離れることなどできないのだから、適切な手続(チェックアウト check out)を踏んでうまく付き合わないといけない


人間の心理、というか人間の生物学的な本質を突いている歌詞だと改めて思う次第です。


まあ、それはそれとして、上記ブルームバーグ記事にあるギリシャの新任財務大臣のこれまでの姿勢が非常に興味深いですね:

ギリシャは「ユーロ圏にとどまりながらデフォルト(債務不履行)すべきだ」




これをホテル・カリフォルニア風に言いなおすと、

「チェックアウト(デフォルト)はできるが、ホテル・ユーロからは離れられない」

という感じでしょうか。


そうすると、この方が新たに財務大臣に任命されたということは、ギリシャはこの線でトロイカ(ECB、EU、IMF)に「四の五の言ってやがると、デフォルトしちゃうぞ、この野郎!」と「脅し」をかけ、「緊縮財政を緩和させやがれ!」と交渉するというソフトランディング路線でいくのかも知れません。

それはそれで欧州景気の長期化は避けられない可能性が高く前回書いたような「ユーロ圏内諸国のことごとくが、ロシアや中国のような軍事中央集権体制的な国家群に移行する」というシナリオの実現可能性は減ることにはならないように思うのですが、どうでしょうか。


まあギリシャの場合、チェックアウトというよりは宿泊代金未払いで部屋から追い出されるものの、皿洗いか何かで時間かかってでも未納宿泊代金を返していかざるを得ないので離れられないという具合かもしれません。そこで問題はギリシャ国民がいつまでその「皿洗い」待遇に耐えられるか、というところでありましょう。



 ところで、日銀の異次元緩和も「ホテル・カリフォルニア」と言われることがあるようです:

-----

もう抜け出せない? 日銀が迷い込んだ「ホテルカリフォルニア」の迷宮
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20140912/asahi_20140912_0001.html
dot. 2014年9月12日

-----


そもそも量的緩和のような概念について「ホテル・カリフォルニア」と発言した元祖は本家アメリカのダラス連銀総裁だったようです(2012年):

Fisher Warns Fed of Trap: `Hotel California’
http://go.bloomberg.com/political-capital/2012-12-14/fisher-warns-fed-of-trap-hotel-california/
Bloomberg DEC. 14, 2012

...

“Since we’re going to have an engorged balance sheet, we may never be able to leave this position,” said Fisher, 63.
「我々は過剰なバランスシートを持とうとしているのであるから、我々はこのポジションから決して離れられないだろう」、とフィッシャー(63歳)は語った。

“We were at risk of what I call a ‘Hotel California’ monetary policy, going back to the Eagles song which is, you can check out any time you want but you can never leave.”
「我々は、イーグルスの昔の歌、チェックアウトできても決して離れられない、という歌詞になぞらえて私が“ホテル・カリフォルニア”金融政策と呼ぶもののリスクにさらされている。」

...

―――――


以前、ホテル・カリフォルニアの歌詞を解説したときに、ホテル・カリフォルニアの収録アルバムの一曲目がホテル・カリフォルニアで、それと対になる最後の曲、「The Last Resort」の歌詞を紹介しました。

“ホテル・カリフォルニア金融政策”について考える際にもやはり感慨深いですので、再度、以下に紹介しておきます:


Who will provide the grand design?
What is yours and what is mine?

誰が「グランドデザイン」を提供し、
何を君たちのものとし、何を我々のものとすると決めるのか?

(→金融政策や経済政策に関して、誰が主権者なのか?という具合でしょうか?)


'Cause there is no more new frontier
We have got to make it here

もはや未開拓の地などない。
我々はここに留まって、うまくやらなければならない。

(→もはや金融政策で開拓できる需要などない。財政政策を行ってうまくやらなければならない、とか言ってみたりして)


We satisfy our endless needs and
justify our bloody deeds,
in the name of destiny and the name of God

我々は我々の果てしない欲望を満たし、
流血の事態を正当化する。
運命という名の下に、そして神の名の下に

(→これは目下世界中のあちこちで起きている出来事にぴったり当てはまる気がします…。それ以上はノーコメントにしておきます)


They call it paradise
I don't know why

彼らはそれをパラダイスと呼ぶ。
僕にはなぜか分からない。

(→“彼ら”は異次元緩和をパラダイスと呼ぶが、私にはなぜかよく分かりません…)


You call someplace paradise,
kiss it goodbye

君がそれをパラダイスと呼ぶなら
僕はキスしてオサラバさ

(→残念ながらギリシャの財務大臣の心情を察すると、ユーロはちっともパラダイスではないのでとっととオサラバしたいが、離れられない(; ;)ので、いっそのことデフォルトしちゃおうかな、という具合でしょうか… )





 君が“異次元緩和”をパラダイスと呼ぶなら

 僕は“異次元財政出動”というキスで

 “デフレの罠”とオサラバさ



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642:ユーロ、遂に量的緩和だが…、「各国中銀がリスク8割負担&国債買入れは各国国債発行残高の33%が上限」という足かせ付き

2015/01/23 (Fri) 21:28
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私は、格差拡大、それによる社会の不安定化の根本的原因は、

①国の借金に対する恐怖

②富を失うことに対する恐怖(=強欲)

という二つの恐怖だと考えています。

①の恐怖によって、各国は格差拡大による社会不安の増大を防ぎ、将来の生産能力不足を防ぐための投資を行うことができなくなってしまいます。また、この恐怖により、財政政策よりも金融政策に依存しがちになり、それは
国連開発計画の報告書によれば、金融の不安定化とさらなる格差拡大につながってしまいます。つまり、国の借金に対する恐怖(過剰な恐怖)を克服しない限り、これからも格差拡大は止まらず、各国の社会の不安定、世界全体の不安定はますます拡大してしまうでしょう。

②の恐怖によって、富裕層がますます富裕層により有利なルールを作ろうとして、資金を投じて政治家を支援し、それによってますます格差が拡大し、不安定化してしまう可能性があります。そうなると本来はその富裕層の皆さんの身を危険にされすことになるのですが・・・(それを身をもって示してくれたのが故カダフィ大佐と言えます)

恐怖とは本来、危険を回避するための生物が備えている防衛本能であり、生命の保存、種の保存のための機能であり基本的機能です。
しかし、上記の私の説明のとおりであるとするならば、その危険回避のための本能である恐怖によって、人類社会の危険がどんどんと高まっていると考えることができるでしょう。

よって、
これからの世界の安定、日本の安定のために、極めて重要と思えるのが、
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まず、本題とは異なる話題でありますが、

「イスラム国」

に関してです。
あまり多くは語らず、昨年9月に書いたエントリーの一部を以下に引用しておきたいと思います:




さて、ここでもう一度、「戦略の要諦」の話を振り返りましょう。

-----

①敵の退路を断つ
②敵の補給路を断つ
③敵の指揮系統を混乱させる
④敵方の国民の士気を喪失させる


ということを通じて、敵方の戦闘継続意志を消失させる

-----




ISIS側からアメリカおよび有志連合諸国について考えてみましょう。

①敵の退路を断つ
→基本的に無理(ISISから見れば相手が余りにも巨大すぎるし、相手は航空機だし、退路を断つもなにも、ヘッタクレもない)

②敵の補給路を断つ
→これもまず無理

③敵の指揮系統を混乱させる
→これもかなり難しい。但し、長期戦に持ち込んでアメリカと有志連合諸国のあいだの利害衝突が起きることを狙い、戦線から離脱する国を徐々に増やす、というようなことは可能かも知れない

④敵方の国民の士気を喪失させる
→…

これを書くのはあまり気が進まないのですが、「④国民の士気」の維持こそ、アメリカや有志連合諸国の最も気を付けるべき弱点のように思われます。

長期戦に持ち込まれ、かつ、アメリカや有志連合諸国の国内におけるテロが断続的に発生する事態となると…。
特に、肝心かなめのアメリカ国民の士気は、上記の世論調査の結果を踏まえると、いとも簡単に折れかねないと思えてしまうのであります。

そうなると、以前も書きましたように、極端な場合は「在外米軍の全面的な撤退」というところまで短期間で進行してしまう可能性もゼロではないでしょう。

また、ISIS壊滅作戦が仮に失敗に終わった場合、中東は非常に混乱するでしょうから、石油、天然ガスの中東依存の大きい日本のエネルギー安全保障は非常に困難な局面を迎えることとなるでしょう。

もちろんこれは最悪のケースでありますが、一応は想定しておいた方が良いのではないかと思う次第であります。いかがでありましょうか。





では、本題です。

今般のECB総裁による量的緩和開始予告の件ですが、いくつかのメディアの記事を見た結果、ロイターの以下の記事が一番分かりやすかったですので、紹介しておきたいと思います:




ECBが量的緩和決定、景気支援・デフレ回避へ1兆ユーロの支援策
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKBN0KV1E520150122?pageNumber=2&virtualBrandChannel=0&sp=true
ロイター 2015年 01月 23日 08:15 JST

[フランクフルト 22日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は22日、国債買い入れ型の量的緩和(QE)実施を決定した。買い入れは月額600億ユーロのペースで3月に開始、2016年9月末まで継続する。景気支援とデフレ回避に向け、残された最後の主要金融政策の実施に踏み込む。

買い入れ額には既存のプログラムも含まれる。民間資産の買い入れと銀行への数千億ユーロの低利融資に加え、国債買い入れを実施するとした。

来年9月までに1兆ユーロ以上の資金が供給される見通しだ。

ドラギ総裁は記者会見で「この拡大プログラムの下、公的、および民間部門の証券の買い入れは、合計して月額600億ユーロとなる」と表明。「買い入れは2016年9月末まで実施されることが意図されており、インフレ動向の持続的調整が確認できるまで継続される」と述べた。

国債買い入れは、各国中銀のECBへの出資割合に応じて行われる。ドイツのような経済規模の大きい国の方がアイルランドなど小規模な国より国債の買い入れ額が大きくなる。

金融市場はECBの決定を好感。欧州株は7年ぶりの高値をつけたほか、ユーロ圏国債は軒並み利回りが過去最低を更新。ユーロは対ドルで11年ぶり安値をつけた。

アリアンツ・グローバル・インベスターズの債券スペシャリスト、マウロ・ビットランジェリ氏は「すべての視線がドラギ総裁に集中する中で、彼は投資家の予想以上の大きなバズーカ砲を放った」と指摘。決定は「欧州市場にとり歴史的な岐路」とした。

理事会前からECBが大胆な追加緩和に乗り出すとの観測は根強かった。スイス中銀はフランの対ユーロ相場上限の撤廃に踏み切ったほか、ユーロペッグ制を導入するデンマーク中銀は、QE決定の発表後、今週2度目となる追加利下げを実施した。

<ECBの量的緩和、奏功するか>

エコノミストは、買い入れの20%のみがECBの責任になるとしたドラギ総裁の説明に注目している。つまりユーロ圏諸国の国債がデフォルト(債務不履行)した場合、損失の多くは各国中銀の負担となる。

この点についてはユーロ圏の結束の原則に反し、高水準の債務を抱える国の財政をさらに圧迫する可能性があるとの批判が上がっている。

ドラギ総裁は、国債買い入れは法的に問題ないとの意見で理事会は一致したと指摘。即時発動の必要性を認める声が「採決の必要がなかったほど」大多数を占めたと述べた。

その上で「20%はリスク共有、80%はリスクを共有しないベースで行うことでコンセンサスがあった」と語った。

銀行筋によると、ドイツ、オランダ、オーストリア、エストニアの中銀総裁とラウテンシュレーガー専務理事の計5人が資産買い入れに反対した。

ただ、ユーロ圏の国債利回りは総じて過去最低水準にあり、ユーロもすでに対ドルで急落している。借り入れコストの低下と通貨安はともに成長を支援するが、いずれも一段の下げ余地がどの程度あるのか疑問が残る。

ドラギ総裁はECBに「プランB」はあるかと問われ、「われわれは『プランA』を提示した。『プランA』があるだけだ」と答えた。

またECBは成長の基盤を創造することはできるが、「成長加速には構造改革が必要。今度は政府が構造改革を実行する番だ。改革への取り組みが大きいほど、金融政策の効果も高まる」と政府をけん制した。

国債買い入れでは、ギリシャやキプロスなど欧州連合(EU)/国際通貨基金(IMF)の支援プログラムを受けている国の国債も対象となるが、「新たな要件が追加される」としており、より厳しい条件が適用される。

実際には、ギリシャ国債は当面買い入れの対象とならない。1国が発行した国債の買い入れは33%までという上限が設定されており、ECBと他のユーロ圏中銀はこの水準以上のギリシャ国債を既に保有しているためだ。

ただ、今後ギリシャ国債が償還されれば保有率が33%以下になり、買い入れが可能になる。

ECBはまた、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.05%に据え置くことを決定。上限金利の限界貸出金利も0.30%に、下限金利の中銀預金金利もマイナス0.20%に据え置いた。金利据え置きは予想どおり。

*情報を追加しました。

© Thomson Reuters 2015 All rights reserved.






というわけでして、今回のECBによる量的緩和、より正確には、ECBとユーロ圏各国中央銀行による主に各国国債の買入れ増額は、「自国通貨建て国債なら、中央銀行は事実上、買おうと思えばいくらでも買える」というような代物ではないということになります。

・ECBはリスクの2割だけ負担。8割は各国中銀負担。

・一国の国債については、その国の国債発行残高の3分の1までしか、ECB+各国中銀は買入れることはできない。

という、手枷足枷付きの量的緩和なわけです。


このルールにより、ギリシャ国債はすでに買入れ限度に達しているので、目下のところ、今回の量的緩和の対象にならないということになります。

ECBへの出資割合に応じて各国国債を買い入れるという点においても、ギリシャなど、本当に買入れを増やして金利を低下させるべき国債はあまり買われることはない、ということになります。

逆に「出資割合に応じて」ということで最も買われることとなるのはドイツ国債ということになりますが、ただでさえ5年以下の国債の利回りがマイナスになっているドイツ国債をこれ以上買入れて、どないしまんねん?何かしらの景気刺激効果ありまんのか?と思うのは私だけでしょうか?

ドイツ国債利回り
ブルームバーグ「マーケット情報」より (2015年1月23日)



さて、この量的緩和は要は景気刺激のために実施されるということになります。

・ユーロ安で輸出が伸び、外貨資産からの収入が増えることによる効果はあるでしょう。
 しかし、世界におけるあまりにも巨大な経済圏であるユーロ圏がそれをやるということは、ユーロ圏外の輸出や外貨資産からの収入を減らすことになり、ユーロ圏外の景気を鈍化させることで、巡り巡ってユーロ圏の景気も結局は鈍化させるなんてことになりやしないか?

・通常の金融政策(短期金利の調節)では短期金利しか直接コントロールできないが、量的緩和はより長期の債券の購入を通じて、長期金利をも低下させる。これにより、「利益率>利子率」となるような事業案件が増える…、少なくともそのような「期待」を増やす…、という効果を持つかもしれない。
 しかし、その効果がキャリートレードを生む、すなわち、安い金利のユーロ借入れ資金がユーロ圏内ではなくユーロ圏外への投資に向かうなどして仮に効果がなかった場合、どうするのか?(ドラギ総裁がいうには「プランBはない。プランAだけ」ということで、今回発表の量的緩和が最後の手段)


さて、「効果が出なかった場合」ですが、どうしたら良いでしょう?

政府は財政出動すべきだ!と経済理論的にはなるかも知れません。

しかし、法理論的にはそれは極めて期待薄です。

というのは、以前もご紹介しました通り、もっとも余裕のあるドイツが、基本法(事実上の最高法規)において、財政赤字を原則禁止しているため、ユーロ圏最大の経済規模を誇るドイツが大胆な財政出動を行うことは、まあ、無理だと思われるからです。


となるとです。
ユーロ圏においてはこれから当面、財政出動がほぼなされることなく、金融緩和のみが成されることになると思われます。

以前から繰り返し紹介しています国連報告書の議論に基づけば、「財政出動なし、金融緩和のみ」は、金融不安定化と格差拡大に拍車をかけることが想定されます。

こないだのフランスのシャルリー・エブド襲撃テロ事件のあと改めて認識された移民問題の深刻さのあるなかで、金融不安定化と格差拡大がさらに進行すれば、どうなるのでしょうか…。


一つ想定されるのは、ユーロ圏内諸国のことごとくが、ロシアや中国のような軍事中央集権体制的な国家群に移行するシナリオです。

一つのモデルケースは昨年5月のタイにおける民政の停止と軍政への移行と言えるかもしれません。

いや、タイは西側先進諸国と比べれば、元から軍政移行への敷居が低いと言え、これまでも何度か民政⇔軍政のスイッチングが成されています。タイの場合、国内情勢や外圧の状況に応じて適宜軍政と民政のスイッチングを行うというのが特徴と言えるのかも知れません。ちなみに、当初2015年中に民政に戻すとしていた軍政トップも延期を匂わせているようです(ロイター2014年12月24日記事 参照)。


仮に、ユーロ圏における「ユーロ圏内諸国のことごとくが、ロシアや中国のような軍事中央集権体制的な国家群に移行」というシナリオがあるとすれば、それはかなり皮肉な物語であると言えます。

 ドイツで「憲法で財政赤字禁止」となっているのは、第一次大戦における巨大で連続的な財政赤字がハイパーインフレにつながり、そのハイパーインフレの打ち止めとともに訪れた超絶デフレ不況によって内乱が生じ、それがヒトラー台頭の契機となり、それが悲惨な第二次大戦につながった、ということへの反省の意味合いが大きいと思われます。
 しかし、第二次大戦前のような政体を生み出したことへの反省に基づくと思われるこのドイツの「憲法で財政赤字禁止」が、結局は第二次大戦前のような政体を生み出す原動力になり兼ねない…これを皮肉と言わずして、何というべきでありましょうか?







 欧州では

 『過度な国の借金への恐怖が、

  もっと恐ろしいものを生み出そうとしている』

 かも知れない。

 日本においても、

 他人事ではないかも知れないが、

 果たして、どうだろうか?



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641:阪神大震災20年――私が「震度7直撃」の体験から得たもの:強烈な孤独感への対処方獲得への道筋

2015/01/18 (Sun) 16:26
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②富を失うことに対する恐怖(=強欲)

という二つの恐怖だと考えています。

①の恐怖によって、各国は格差拡大による社会不安の増大を防ぎ、将来の生産能力不足を防ぐための投資を行うことができなくなってしまいます。また、この恐怖により、財政政策よりも金融政策に依存しがちになり、それは
国連開発計画の報告書によれば、金融の不安定化とさらなる格差拡大につながってしまいます。つまり、国の借金に対する恐怖(過剰な恐怖)を克服しない限り、これからも格差拡大は止まらず、各国の社会の不安定、世界全体の不安定はますます拡大してしまうでしょう。

②の恐怖によって、富裕層がますます富裕層により有利なルールを作ろうとして、資金を投じて政治家を支援し、それによってますます格差が拡大し、不安定化してしまう可能性があります。そうなると本来はその富裕層の皆さんの身を危険にされすことになるのですが・・・(それを身をもって示してくれたのが故カダフィ大佐と言えます)

恐怖とは本来、危険を回避するための生物が備えている防衛本能であり、生命の保存、種の保存のための機能であり基本的機能です。
しかし、上記の私の説明のとおりであるとするならば、その危険回避のための本能である恐怖によって、人類社会の危険がどんどんと高まっていると考えることができるでしょう。

よって、
これからの世界の安定、日本の安定のために、極めて重要と思えるのが、
「恐怖とは何か?どのようなメカニズムのものなのか?」、
「恐怖とうまく付き合い、この厄介な本能的機能を使いこなすにはどうしたらよいか?」
という問題と言えるでしょう。


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標題の件の前に、前回のスイスフランの話の補足です:

【スイス中銀が「突然」、ユーロ買いスイスフラン売りの介入放棄(レート上限撤廃)を発表した理由についての考察】

・事前に「、ユーロ買いスイスフラン売りの介入放棄しますのでよろぴく」と発表した場合
→スイスフラン買いが殺到してしまう。事前に通告した日時まではレートの「上限」を維持しなければならず、それまでは殺到する市場からのスイスフラン買いに対処するためスイス中銀はより多くのユーロを買わなければならない

・「上限」を少しずつ上げると発表する
→市場はフランが上がることを確実視するため、上記と同じくフラン買い殺到
→スイス中銀はより多くのユーロを買わなければならない

・逆に「上限」を下げるとと発表する
→場合によっては市場はスイスフランが下がることが明白なので、スイスフラン売りに走る可能性はある。しかし、スイス中銀の思惑通りに行かなければ、スイスフラン買いの圧力が変わらない状態で、フラン安にするためにスイス中銀がより多くのユーロを買わなければならなくなる可能性もある。

結論
・とにかく「より多くのユーロを買わなければならない」状況、その可能性を排除したいということが目的であるならば、突然に「介入もう止めます!」と発表する以外、
スイス中銀には選択肢が無かったと考えられる。

・また、突然に「介入もう止めます!」と発表することには大きなメリットが生じることも考えられる。
→例えば、発表の直前にユーロのプットオプションを大量に購入しておくことで、既にこれまでの介入過程で大量に購入しているユーロ建て資産の損失を回避できる。
  ここで、プットオプションとはデリバティブ(金融派生商品)の一種で、「ある金融商品について特定の値段で売る権利」のことです。例えば、いま100円である金融商品Aの値段が、近い将来50円に下がると予測できているとします。50円に下がる前に、金融商品Aを100円で売る権利を買っておけば、50円に下がっても、金融商品Aを100円売ることが可能になります。つまり、損失をあらかじめ防ぐことができるわけです。
 スイス中銀はユーロが安くなることは事前に予測できていたはずですから、介入中止の発表前にユーロについてプットオプションを買っておけば、発表後にユーロが暴落しても既に保有しているユーロ建て資産の損失をある程度はカバーできます。
 実際にスイス中銀がそんなことをしていたかどうかは分かりません。しかし、「突然の発表」の前に用意周到に損失を回避する準備をしていたのではないかと、このように憶測することは、あながち不自然なことではないでしょう。
 実際のところ、前回のエントリーで参照したスイス中銀(SNB)のデータで、スイス中銀の保有資産の項目に「Financial derivatives (金融デリバティブ)」があります。つまり、スイス中銀は、規模の大小はさておきデリバティブを日常的に買っているわけです。
 で、今回は既に保有しているユーロ建て資産の資産規模から生じ得る損失につき、「プットオプション」などのデリバティブでカバーできる規模を超えつつあるという判断もあって、これ以上ユーロ建て資産を買えないとスイス中銀は考えた。よって、突然のユーロ買いスイスフラン売り介入中止の発表となったのではないか、と考えることができるわけであります。


→と考えますと、やはりスイス中銀には「とにかくこれ以上ユーロは買えない」→「ユーロ、ヤバい」という判断であったのではないかという前回エントリーの結論は変わらない、と言うことになる次第であります。






では、本題の震災の話です。エッセイ的に書いてみたいと思います。


【何が起きたかさっぱり分からなかった地震発生当初】

1995年1月17日午前5時46分。

私はもうすぐ20歳の、当時大学2年生でした。

 たまたま当日に提出しないといけないレポートがあったので、早起きしてそれを作成しようと、
目覚ましのためにセットしていましたCDラジカセが鳴り始めていたときでした。

 何やらCDラジカセから雑音が混じり始め、最初は「あらゃ?故障か?」と思っていたのもつかの間。
 突然、ベッドが上下に激しく揺れ動き…、遊園地のアトラクションか何かのように、私の身体は何度か宙に舞うような感じで揺さぶられました。
 その後、横揺れもあったかもしれませんが、あまりよく覚えていません。
 なお、CDラジカセの雑音は、地震によって発生した電磁波が地震の振動派よりも先に到達したことで生じたものだと考えられます。何せ、電磁波は光速で到達しますので。

 とにかく、何が起こったのかさっぱり分からない、というのが一点。そして、揺れが続いているあいだは身体がまったく動かない、あるいは自由に動かせないというのが二点目。

 最初は「地震」という単語はまったく想起されず、「マンションが倒れるのか?なんか、短く、そして実につまらん自分の人生やったが、終わるときというのはとにかくあっけないもんやな。まあ、しゃあないか」という感想がまず浮かんだだけでした。

 揺れが収まって、ようやく自らの身体に対する主権が回復したとき、部屋の窓ガラスが粉々に割れ、真冬でしたので冷たい風がなだれ込んでくるのを感じるに至る、という次第でありました。

 マンションは結局倒れることはなく、私自身は幸いケガ一つ負うことはありませんでしたが、別室の母はテレビが足に落ちてきて打撲、兄は大きな本棚の下敷きになっていました――その本棚のガラス扉が砕け散っていました――が何とか無事、と言う具合でした。

 で、停電なので情報が得られず、何が何やら分からん状態でマンションの1階に下りて周りにいた人たちと会話していたところ、どうやら地震があったようだ、とようやく分かったのでした。「地震」と分かったところで、特に何をすべきか分からんかったので、とにかく家族ともども部屋に戻ったところ…

 ちなみに、この当時は神戸の中心街、三宮の南方3キロあたりにある人工島、ポートアイランドに住んでいました。
 西方の対岸の空が真っ赤に染まっていました。長田区の辺りです。火の海になっていたわけです。戦時の空襲もこんな地獄絵図だったのか、と茫然と眺めるほかはありませんでした…。

 そして夕方、幸いにもポートアイランドは電気が復旧。テレビをつけると、国道43号線の真上に高架で設置されていた阪神高速が根こそぎ倒壊していたり、阪急電車や阪神電車の線路が崩壊していたり、ポートアイランドと三宮をつなぐポートライナーの車両が線路ごと三宮あたりで落ちていたりといった、とてつもない映像の数々にただただ圧倒されるばかりでした。

 いや、何せ日常的に利用していた電車や車道がエライことになっていましたので、時間が時間なら、まあ、死んでいたな、と思ったものでした。

 この時の体験で、その後の私の中で死生観というものがようやく形成されていった、ということを覚えています。逆に言うと、それまでは哲学的なことについて、はっきり言って何も考えたこともありませんでしたが、自分自身の「死」について一瞬でも強烈に考えざるを得なかった体験は、やはりそういうことを考えることについて、強制力を持つようです。

「人の生き死に、長生きする人、短命に終わってしまう人の違いは何か?
 とくに大した違いはないのではないか?
 天命が尽きればあっけなく死ぬ。そうでなければ長生きする。それだけではなかろうか?」

というような具合です。


【恐怖の記憶は生涯消えない、という現象に関する、人生最初の実体験】

 地震発生から3日目だったと思いますが、ようやく三宮とポートアイランドをつなぐ神戸大橋が通行できるようになり、物資調達のため三宮方面に赴く父とともに三宮近辺に行ってみたところ、よく歩いていた場所でビルが倒壊して歩道や車道に横たわっていたり、5階建ての市役所旧庁舎の3階部分がひしゃげて無くなっていたり、とまあ、そこかしこで凄まじい光景を目の当たりにしたのでありました。

 いや、まあ、かなりの衝撃でした。
 これでPTSD(心的外傷後ストレス障害)になる人がいてもまったく不思議はないなあ、と思ったものです。といってもPTSDという言葉も日本では阪神大震災後にようやく普及するようになったものであるため、震災当時はもちろん、そんな言葉も概念も知らなかったわけですが。
 一方でその後、親族から大戦時の三宮近辺の空襲直後の地獄絵図の話――そこら中に焼死体がごろごろ転がっていたというような話――を聞き、それよりはこれでもかなりマシなのかも知れない、とも思ったりもする次第であります。

 ちなみに、その震災のあと余震がしばらく続いていたのですが、私や兄は余震が来ると「お、これは震度4!」と言ったりして、地震速報の値と比較して「当たった!」などといってられるくらいでしたが、母は揺れが来るたびに参っていた様子でした。
 いまでも大勢の人が歩いていると揺れるような歩道橋は苦手なようです。軽いPTSDのようなものだと思いますが、これが、私が著書で取り上げました「恐怖の記憶は生涯消えない」という人間の生物学的な仕組みなんだな、と今ではそのような理解をすることができます。


【しみじみと感じた自衛隊のありがたみ】

 電気はすぐに復旧したポートアイランドも、水とガスはなかなか復旧しませんでした。ガスはなくとも電気鍋でなんとか加熱調理可能だったのでそれほど困らなかったのですが、水はポリタンクにつめて階段で上り下りして補給という日々が続きました。
 我が家は6階だったのでそれほどではありませんでしたが、上層階の人は大変だなと思いました。電気はあったのでエレベーターも動いていましたが、さすがに揺れがきたときに「震度4!」とか当てものゲームをする余裕があっても、エレベーターはしばらくの間乗る度胸はありませんでしたので、かなり長い間、階段しか使わなかったものです。

 当時、水を供給してくれたのは、神戸市だけでなく周辺自治体の水道局や建設省(いまの国土交通省)、自衛隊の給水車でした。
 また私は、少しの期間だけ市内の小学校(自宅から数キロはなれた場所。市のボランティアセンターに電話して割り振られた)でボランティア活動をしていました。そこに救援物資を運んでくれていたのも自衛隊でした。
 私がいたとき、たまたま来ていたのは東北地方の部隊であったようでズーズー弁の隊員の方でした。腰を痛めながら懸命に支援活動をして下さっていました。この時、人生で初めて自衛隊のありがたみをひしひしと体感したのでありました。

 「少しの期間だけ市内の小学校でボランティア活動を」と書きましたが、私としては実はなんとも間の抜けたことをしでかしていました。
 なんと自分自身の住んでいたマンションの目と鼻の先にあった神戸市立中央市民病院で、停電期間中、重症患者の心肺機能を維持するため、手動でポンプを動かす人手が足りていなかったというのを後から知りました。
 いや、知っていたら行っていたのですが、電気止まってたのでテレビも見れんし、95年当時はスマホでネットみたいなシャレたものも無かったので、知る手段がなかったのですが…。


【蛇口をひねったら水が出ることの、とてつもないありがたみを実感】

 さて、震災から1ヵ月ほど後だったと思います。
 当時、ポートアイランドから関西空港(関空)までを約40分でつなぐ高速船の便があったのですが、こちらもようやく再開されるということで、ポートアイランドから関空にわたり、そこから電車で大阪府の北部にある吹田市の大学キャンパスに行きました。期末試験への対応とか、そういったことを科目ごとに担当教官に相談するためだったと思います。いやしかし、関空に到着したとき、手洗所で水道が勢いよく出るのを見て感動したのを覚えています。「これぞ文明の利器だ!」みたいな。


【人に理解されない類いの苦痛と強烈な孤独感】

 それはさておき、当時の私は生まれて初めて熱心に取り組める対象――大学入試の受験勉強以外で――を見い出していました。大学の部活動でのアーチェリーです。
 それまでは、なぜか「どうせ自分は何の才能もないし、何をやってもうまくいかん。何かを熱心に取り組んで失敗したらイヤやし」というわけの分からない消極思考に捉われた人間でした。
 それが、「三度の飯よりこれが好き」というくらいの熱意の的を見つけたのでありました。まあ、よくよく考えると何故そうなったのかよくわかりませんが、理屈などどうでもよいのかも知れません。
 震災の直前の冬休みにおいては、ほかの部員の人々、先輩も同輩も後輩も、みなスキーに行くなど遊びに行っているとき、私はアーチェリーの射場の鍵を預かり、一人、練習に励んでいたのでありました。
 雪の積もる中、月を愛でながらひとり的を射る、というのは、何とも乙なものでした。
 しかし地震の発生によりしばらくその三度の飯より好きなアーチェリーの練習ができなかったわけです。そして、震災から1ヵ月半くらいして、大学の近くの友人宅に止めさせてもらって大学に通い、アーチェリーの練習も再開させた次第です。そのとき、毎年恒例の大学のリーグ戦というものが迫っており、当時の私にとってはそれがとてつもなく重要なものでした。今から思えば、なぜそこまで、とも思いますが…。
 で、遅れを取り戻そうとして練習し過ぎたら、弓の絃を引く右肩をあっけなく痛めてしまい、それだけでなく全身あちこちの間接がひどく傷むようになったのでありました。首も膝もやたら痛むという具合です。
 それで、まあ、「不運」だったのは何かと言うと、痛めたのなら痛めたで、たとえば腱鞘炎だとか、骨折だとか、脱臼だとか、捻挫だとか、何かしらの傷病名が付けば、多少は周囲からの理解や同情を引くこともできたかもしれませんが、病院で検査しても特に「異常」とはならず、いや、「正常」だから大丈夫、気分の問題、くらいに言われるような状況に陥ったことでした。
 医者が「気分の問題」と言っている時点でその医者が心理学の知識ゼロということが丸わかりだったりするのですが、まあ、普通の内科医や外科医が心理学の知識ゼロだったのは、少なくとも当時では仕方のないことと言わざるを得ません。
 医者にも理解されず、それで、部活の人々にも理解されず、何やら居心地の悪い状態が続いたものです。「いや、あんたらがスキーやらなんやら、遊び呆けてたあいだ、こっちは正月の1日と2日と、年末に38℃の熱出して一日だけ寝込んだ以外、あんだけ熱心に練習しとったのに、弓が引けんようになって、とんでもなく悔しい思いしとるんじゃ」と思いつつ。まあ、とにかく「傷病名」がないと、大抵の場合、身体が弱っててもまったく同情されません。あるいは、同情を得ることは期待できないものです。
 それだけでなく、体調全般がガクッと悪くなり、それがひと月、ふた月、み月と続くと、あっというまにうつ状態に陥りました(心療内科などで診断してもらっていないので、実際は客観的基準からしてどうだったのか分かりませんが)。
 そしてひと月くらい大学にも行かず引きこもる時期もあったりしたものでした。毎日、朝目覚めると痛めた右肩がやたら冷えていてぞっとしたり、そんな状態が続きましたが、医者に行っても特に異常は見つからず、従って同情もされず、また、明確な治療法も見つからず、悶々としたものでした。
 しかし、幸いにもある時、ふと「山歩きでもしたら気分も晴れるかも知れん」と突然思いつき、新神戸の駅から神戸の山道を毎日散策しに行くうちに、あっという間に気力が回復したのでした。
 ただ、右肩を始めとする全身の間接の痛みはさほど回復しませんでした――とはいえ、こういった間接の痛みはカイロプラクティックや柔術整復師のところに通っているうちにだいぶマシになりましたが、実を言うと20年経った今でも首の痛みは完全には取れていない状況だったりもします。
 
 しかし、マシになったあとでも、この影響からか、これまでに何度か体調を大いに崩し、その後であれやこれや調べたり、専門家の助けを借りたり、自ら工夫したりして何とか回復する、ということがありました。今思えば、よくぞ死なずに生きながらえたな、と思えるような状態のときもありました。
 実を言うと20代の前半においては、あまりにも体調が悪いこと、それに加えて、人にうまく説明できず理解されないことによる強烈な孤独感によって、自殺を考えるほど精神的に追い詰められる――というよりは、今から思えば「自らを追い込む」というのが実態でしたが――こともありました。
 この要因として一番大きかったのはやはり、自分の抱える苦痛につき、人から理解されない、共感されない、あるいは共有しにくいという孤独感であったと思います。
 神戸大橋から飛び降りたらどうなるだろうとか、神戸の山のほうに分け入って飲まず食わずでいたらどんな感じだろうか、とか。まあ、そんなことを考えるたびに、「水死体はぶよぶよになってとても見れたものじゃないらしい」とか「山で行方不明になったらいろんな人に迷惑かけるから申し訳ない」とか考えて結局は打ち消していたのですが。


【「孤独感」がとてつもない恩恵に転ずることもあり得る】

 そういったわけで、「孤独への耐性をどうすれば強められるか?」ということが20年ほどまえからの私の人生最大のテーマとなって行った次第であります。
 以前だったら「孤独との戦い」という表現を好んだかも知れませんが、今は「孤独とのうまい付き合い方」とか「孤独の楽しみ方」、「孤独の活かし方」、「孤独と調和する方法」という表現を好みます。
 今となっては、私にとって「他人に理解されないような原因で体調がめちゃくちゃ悪くなったこと」は幸いでした。これによる強烈な孤独感は、私に心理学や心理学的なものに対する興味を強制的に湧かせ続けたからであります。

 そして今の私は 「孤独への耐性」というものは、社会全体の安定に必要不可欠と考えます。
 極端な例を挙げると、テロに走ってしまう人々の、そのテロに走る大きな原動力の一つが、ほかでもないその孤独感だと思われるからです。
 最近フランスで起きたテロ事件についても、テロの実行者たちが社会における疎外感を強烈に感じていたことが背景にある、というような解説がよくなされます。恐らくそれは正しいでしょう。
 そうすると、もし彼らが、周りから理解されないことに対しての耐性が極めて強かったら?そのための手法を自ら編み出せていたら?もしそれが出来ていたら、彼らは人生においてもっと別な選択をしていたのでは?などと想像してしまうわけであります。

 一人ひとりが孤独に対する耐性を強めることができれば、まずその一人ひとりが安定するわけですが、それが社会全体でなされれば、社会全体が安定することになるでしょう。その影響は世界中の政治、経済全般に及ぶものと考えます。
 そのような考えの集大成が冒頭で紹介している拙著「日本経済のミステリーは心理学で解ける」ということになります。
 というわけで、私がこの本を作り上げることの最初の出発点は、20年前の阪神大震災であったというわけであります。

 誰にも理解されない、共感されない。
 そのように感じることによって疎外感、孤独感が強まります。
 であるならば、自分自身がまず、自分自身の最大の理解者、共感者となることができたなら、どうなるでしょうか?
 恐らくは、その途端に疎外感、孤独感はかなり薄らぐでしょう。

 一方で、他人を完全に排除し、自分だけに理解、共感するだけであれば、やはり独りよがり、独善に陥る危険性はぬぐい切れません。

 そこで有用であると思われるのが、自分を理解してくれない人、共感してくれない人につき、自分のことを理解しないこと、共感しないことそのものに対して、理解、共感できるようになる、という道筋です。
 自分自身だって、世界70億人全員のことを理解、共感できるか、というと、まず間違いなく無理でしょう。つまり、誰かが誰かのことを理解、共感できないということは間違いなくあり得る、ということになります。
 であるならば、自分が他人を理解、共感できないことがあり得るのと同様に、他人が自分を理解、共感できないこともあり得るのだ、ということを事実として認め、それに対して理解、共感することも可能かも知れません。
 

 孤独に対する、よりうまい対処法を会得すること。
 それが「徳を積む」ということだと考える次第であります。






 孤独との戦い、いや、孤独との付き合い方によって

 一人ひとりの人生のみならず、

 一国の命運、世界の行き着く先、人類社会の未来

 が決まって来るのかも知れん、ということか?



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640:スイスフラン暴騰:スイス中銀総裁、唐突にユーロ買いフラン売りの為替介入中止を発表→「ユーロはヤバいのでこれ以上買えましぇん」ということか?

2015/01/16 (Fri) 17:29
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1ヵ月半ぶりの更新です。

最近は情勢的にどうもブログ記事を書きにくくてあまり更新していませんでした…。


今後、治世に向かうか乱世に向かうか、と問われれば迷わず「乱世に向かう」と答えたくなる状況というのが当ブログで何度か書いている私の現状認識です(世界も日本も、です)。

それゆえに心理学的なものが致命的に重要になると思って上に紹介しました著書を執筆して出版に至った次第でありますので、私としてできる最低限のことはもうしてある、という状況であるとも認識しているところであります。

-----


と、前回とほぼ同じ前口上を述べつつ、

まあ、それはそれとして、本題です↓



表題の件、ブルームバーグの記事を引用します:

-----



スイス中銀、フラン高抑制・経済防衛の主要手段を放棄
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NI7R2H6KLVR801.html
ブルームバーグ 2015/01/16

(ブルームバーグ):スイス国立銀行(中央銀行)は15日、1ユーロ=1.20スイス・フランに設定していたフラン相場の上限を撤廃すると突然発表した。経済を守るための3年越しの政策を放棄した。

 中銀はまた、市中銀行が中銀に預ける要求払い預金の一定額を超える残高に適用する金利をマイナス0.75%と、昨年12月に発表したマイナス0.25%からマイナス幅を拡大させた。さらに、政策金利であるフラン建て3カ月物ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)誘導目標レンジもマイナス1.25%-マイナス0.25%に引き下げた。

 欧州中央銀行(ECB)が近く国債購入を開始すればフランの上限維持が立ち行かなくなる恐れがあり、スイス中銀は経済防衛の別の方法を模索している。同国最大の銀行UBSグループなどの株価は下落。腕時計メーカー、スウォッチ・グループの最高経営責任者(CEO)は輸出業者への打撃を懸念した。ヨルダン中銀総裁は、驚きの要素が必要だったと、突然の行動を擁護した。

 ドイツ銀行のエコノミスト、ジョージ・バックリー氏は「こんなストイックな中銀が、長く維持した政策をこれほど突然に撤回するとは驚きだ」と述べた。

 ブルームバーグ・ニュースが9-14日にエコノミスト22人を対象に実施した調査で、今年中のフラン上限撤廃を予想したエコノミストはいなかった。

 フランはユーロに対して一時41%上昇し、1ユーロ=0.8517フランの過去最高値を付けた。チューリヒ時間午後4時5分現在は1.03782フラン。対ドルは13%高の1ドル=0.8885フラン。

 ヨルダン総裁は15日チューリヒで記者団に「決定は市場を驚かせたが、ほかのやり方はできなかった」と述べた。フランの上限維持は「持続可能な政策ではないとの結論に達した」と説明した。

 ECBはちょうど1週間後の政策委員会で量的緩和(QE)などの政策を協議する。QEが導入されればフランの上昇圧力は強まる。

 スイス中銀は2011年9月にフランに上限を設けて以降、これを維持するため巨額の資金を費やしてきた。ヨルダン総裁はこの日、今後も介入する可能性はあると述べた。フランの過大評価は弱まったものの、相場は依然として高いと指摘し、水準を注視し続けると言明した。

 スイスは1970年代にもフラン高に悩まされたが、その際は外国人の資産に対してマイナス金利を課す政策を取った。しかし奏功せず、当時のドイツ通貨マルクに対しフラン相場の上限を設定した経緯がある。
(引用終わり)






で、この「スイスフランのユーロに対する為替レートの上限撤廃って何でんねん?」という話ですが、

簡単に言ってしまえば

「スイスの中央銀行は大規模な対ユーロ為替介入を、とりあえず止めます。今後、やることもあるかも知れまへんけどな」

ということになります。


リーマンショック以降、スイスは余りにも自国通貨が高くなり過ぎるのがイヤなので、スイスフランを刷りまくり、ユーロを買いまくっていたのを、今日この日からもうヤンピにしまんねん、というわけです。

つまり、「ユーロはもう買わない(`・ω・´)キリッ」と言うことかと思われます。

ブルームバーグの記事を見ると、今月22日にECBがユーロ圏の国債を買い入れる量的緩和に踏み切るかどうかを決める前に、ユーロ買うのを止めた、と言うことになろうかと思われます。

つまり、スイス国立銀行(SNB)の総裁さんは、オブラートに包みつつ「ユーロ、ヤバい。ワタシもうユーロ買わないアルよ」と言っているのではないかと私は個人的に翻訳している次第です。


スイス中央銀行のリーマンショック以降の大規模介入(スイスフランを刷りまくって外貨を買いまくる、つまり、スイスフラン安誘導の為替介入)の様子はこちら↓

capture_20150116_170107.png


項目名が英語のままなのは翻訳が面倒だったからです(すみませんm(_ _)m)

で、このグラフを見ると、

・リーマンショック以後、スイス中銀の金融資産の合計(Total)が急激に膨らんでいるのが分かります

・そのうち、一番大きいのは債券(Debt securies)で、そのうち外国で発行された長期債券(Debt securities Long-term securities Foreign issuers)が大半を占めています。

・現金預金(Currency and deposits)についても、外国のもの(Transferable deposits Abroad)がほとんど

・また金(Monetary gold)の保有もジワジワ増やしているのが興味深いところです。


そして、これらの金融資産の購入のための資金はというと、負債側の現金・預金(Currency and deposits)を増やすことによってなされています。グラフでは赤線で示しています。

この負債側の現金・預金の主力は当座預金となります。


というわけで、スイス中銀はリーマンショック以降、バンバンとスイスフランを刷りまくって外貨を買うという形の為替介入をやりまくっていた様子が分かります。

これは、当ブログで5年半前に書いた中国人民銀行の為替介入のやり方と瓜二つです。

で、今回、スイス中銀はユーロに関してこの「スイスフランを刷りまくってユーロを買いまくる」ことを止めることにした、ということを、「ラブストーリーは突然に」とばかり、「あのー日、あのーときー、あーのばーしょで」突然発表したわけですね。







 ユーロ、相当ヤバいのか?



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