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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
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651:米軍、特殊部隊オールスターによる南西部7州にまたがる大規模訓練"Jade Helm"を7月から2ヵ月間実施。「いよいよ戒厳令発動か?」との懸念を軍広報は「定期的訓練です」となだめる

2015/03/30 (Mon) 16:50
米陸軍の特殊部隊司令部(USASOC: United States Army Special Operations Command)のプレゼン資料によると今年、7月15日から9月15日にかけて、グリーンベレー、ネイビーシールズその他、陸海空軍の特殊部隊から1200人が参加する大規模な訓練、その名も「Jade Helm 15」が、テキサス、コロラド、ニューメキシコ、ユタ、アリゾナ、ネバダ、カリフォルニアの南西部7州にまたがって挙行されるとのことです。


↓の図は英タブロイド紙デイリー・メイル記事より(上記のUSASOC資料にあるのと同じ図です)






なお、このUSASOCの資料というのは、unclassified、つまり、「機密扱いではない」のですが、ロシアのRTの記事によると、テキサスの地元紙、ヒューストン・クロニクルがリークしたもののようです。

ヒューストン・クロニクルの記事によると、テキサスの極右の皆さんは、「連邦政府がテキサスを接収しやがるんじゃないか?」、「戒厳令を発動する気か?」と心配しているそうですが、地元警察は「いや、前々から知らせれてまんがな」とその可能性を全否定。ただし以前、地元の学校でヘリコプターから迷彩服を着て自動小銃を構えた人たちが降りてくるという訓練があったとき、事前に知らされていた周辺住民は万一に備えて、シェルターに避難していたそうです。


ちなみに、USASOCの資料によると、訓練地域では↓こんなことが想定されるそうです

What to Expect
何が想定されるか


Increased military presence
軍の存在感の増加


– Increased aircraft in the area at night
 夜間、当該地域における航空機の増加

– May receive noise complaints
 騒音に対する不満の可能性

– Some individuals may conduct suspicious activities designed to prepare them for complex environments
overseas
 一部の兵員が海外の複雑な環境に備えるために設計された怪しげな活動(suspicious activities)を行う可能性


– Local LEO's are fully aware of the exercise
 地元当局は完全に気づいている状態で訓練に参加します

– Local footprint will be 60-65 personnel
 地域ごとの参加人員は60から65名(↖ここはあまり意味が分かっていませんので想像で翻訳)

– Personnel may be carrying weapons with blank ammo
 兵員が空砲弾を装填した武器を所持している可能性

– Some participants will be wearing civilian attire and driving civilian vehicles
 一部の参加者は民間人の服装を着用して民間の乗用車を運転します


というわけで、この訓練において特殊部隊員らが「怪しげな活動(suspicious activities)を行う可能性」があることは間違いないようです。軍当局が宣言していますので!

ただ、この「怪しげな活動(suspicious activities)」を行うのは、英国最古のタブロイド紙デイリー・メイルによると


Residents, in turn, will be asked to report suspicious activity in order to gauge the effectiveness of the soldiers.
住民たちは兵員たちがどれくらい効果的に活動しているかを測定するため、怪しげな活動を通報するように要請されることとなる。


ということのようです。まあ、特殊部隊なので、どれだけ隠密行動を取れるかということを地域住民に発見されずにできるかどうかで測るということでしょうかね。



また、このUSASOCの資料によると、これだけ広範囲の地域にまたがって訓練するのは、
・さまざまな地形で訓練することが可能となる
・分散することで各訓練地域の負担を軽くすることができる

といったことが理由であるとのこと。


また、食料その他は各地域で現地調達するので、経済効果も期待できるというような記述まであり、かなり気を使っていることは間違いないようです。


米国防総省内で運営されている星条旗新聞では、USASOCの広報官、Mark Lastoria陸軍中佐の発言を乗せています:

“That notion was proposed by a few individuals who are unfamiliar with how and why USASOC conducts training exercises,” he said in an email.
「(占領されるとか、戒厳令発動だとかというような)その手の言及は、USASOCが挙行する訓練がいかなるもので、またどのような理由で行うかについてよく知らない少数の人々によってなされています」と彼は電子メールで述べた。

“This exercise is routine training to maintain a high level of readiness for Army Special Operations Forces because they must be ready to support potential missions anywhere in the world on a moment’s notice.”
「この訓練は、陸軍特殊部隊が世界のどこででも、すぐにでもあり得るミッションを支援するために備えなければならないために、高い水準の備えを維持すべく行う、定期的訓練です」



一方、こんな説明があろうと、ヒューストン・クロニクルの記事によると、地元テレビ局のある番組では、この資料のリークを受けて、 "feds preparing to invade Texas" 「連邦政府はテキサスを占領しようとしている」と題して報じたなんてこともあったそうです。
さすがは、FRBなんぞ潰してしまえといっていたティーパーティーの名付け親、ロン・ポール元下院議員のおひざ元だけありますね、といったところでしょうか…。


さて、以上から「Jade Helm 15」に関する事実関係を整理しておきたいと思います。

軍の資料によると
・今年の7月15日から9月15日にかけて、特殊部隊1200人の参加する大規模な訓練が7つの州にまたがって挙行される。
・訓練において、特殊部隊員は「怪しげな活動 suspicious activities」を取り得る。


テキサスの一部極右の人々は
・この訓練は「連邦政府がテキサスを占領しようとしている」、「戒厳令発動の準備」と警戒している。


軍の広報官は
・この訓練は定期的訓練に過ぎないとしている。




さて、この訓練に関するRTの記事において、関連性のある記事と紹介されている別の記事がまた興味深いものとなっています。警察のみならず、法執行機関ではない役所まで重武装化が進んでいる(国防総省が進めている)というのです。内容をかいつまんで紹介しておきます(まあ、あくまでもロシアのメディアの記事ですから、多少は割引いて見ることが必要かもしれません。とはいえ、かなりの部分はアメリカのAP通信が元ネタのようですが…):


Battleground America: US Army surplus even going to coroners as militarization rampant
戦場と化すアメリカ:止まらぬ軍国化のなか、米陸軍の余剰兵器が検死官にまで行き渡る

http://rt.com/usa/193720-us-military-weapons-police/
RT.com Published time: October 07, 2014 09:33

The Pentagon’s 1033 Program, which is militarizing state and local police forces with everything from high-powered firearms to armored vehicles, is also giving weapons to officials who have no law enforcement functions.
ペンタゴン(国防総省)の州警察や自治体警察を重火器から装甲車までありとあらゆるもので武装強化する「1033プログラム」は、法執行機能を持たない役人にまで武器を与えようとしている。

(中略)

Doug Wortham is the coroner in Sharp County, Arkansas, whose working day consists of dealing with dead people. Nevertheless, he used the Defense Department’s 1033 program to acquire an assault rifle, a handgun and a Humvee.
Doug Worthamはアーカンソー州シャープ郡の検死官であり、彼が勤務日に相手をするのは既に死亡した人々だ。それにも関わらず彼は、国防総省の1033プログラムを利用して自動小銃、拳銃、軍用装甲車Humveeを獲得した。


※参考:Humveeって↓これです。これに遺体の検死を行う検死官が自動小銃と拳銃を持って乗り込むというわけですね…




Explaining his need for the extra firepower, Wortham, who qualified for the program because as a coroner he is invested with the authority to arrest, told AP: “I just wanted to protect myself.”
逮捕権を与えられた検死官であることにより、このプログラムに適合しているWorthamは、 彼の余分な銃火器への必要性の説明として、AP通信に「私は自分を守りたかっただけだ」と述べている。


(中略)


Here are some of the agencies that received weapons and military gear through the program: The harbormaster in Dartmouth, Massachusetts, received a Humvee for negotiating tough terrain and “a night-vision scope to spot boaters in the dark;” the Arkansas Tobacco Control agency acquired five 12-gauge shotguns for its agents, “who help regulate tobacco retailers and wholesalers;” the Wyoming Livestock Board, which provides Glocks and .45-caliber handguns to its officers “who investigate cattle thefts and other industry-related crimes;” the Mississippi Department of Transportation got seven M-14 rifles through the program, AP reported.
役所がこのプログラムで武器や軍用品を受け取ったいくつかの例を挙げておく:
・マサチューセッツ州ダートマスの港務部長は険しい地形における交渉のための軍用装甲車Humveeと「暗闇における船舶を監視するための暗視スコープ」を受け取った。
・アーカンソー・タバコ規制局は12番径の散弾銃を、「タバコの小売業者や卸売業者を取り締まる」係官のために獲得した。
・ワイオミング家畜委員会はグロック拳銃と45口径拳銃を、「牛泥棒やその他産業犯罪を捜査する」係官に支給した。
・ミシシッピ交通局はM-14ライフルまでこのプログラムで受け取った。
とAP通信は報じている。



(中略)


Meanwhile, it was earlier revealed that at least 26 school districts have participated in the Pentagon’s weapons program, which since the 1990s has provided free military surplus goods, including mine-resistant armored vehicles, grenade launchers and M16 rifles.
一方、つい先日、少なくとも26の校区(※アメリカでは学校専門の警察「スクール・ポリス」があるそうです)が国防総省の武器プログラム――90年代から地雷耐性のある装甲車やグレネード・ランチャー、M16ライフルなどの軍用品を無料配布――に参加していたことが分かった。

Last month, the San Diego Unified School District Police Department (SDUSD) announced that it had received from the federal government a $733,000 Mine-Resistant Ambush Protected (MRAP) vehicle similar to the models used in the Iraq and Afghanistan wars.
先月、サンディエゴ統合校区警察署 (SDUSD) は連邦政府から73.3万ドル(約9千万円)の耐地雷・伏撃防護車両MRAP(イラクやアフガニスタン戦争で使用されたモデルに類似)を受け取ったと発表した。




※地雷を踏んでも乗組員がへっちゃらなMRAPは↓こんな感じ。最近、アメリカの学校では地雷が埋まってるんですかね…



Although the 18-ton vehicle does not come with any weapons, watchdog groups are wondering exactly what type of school emergency would require the use of an armored military vehicle.
この18トンの車両は特に武装はしていないが、監視グループは、正確にはどのような種類の学校における緊急事態において、軍用装甲車両が必要なのか、疑問を呈している。

The ongoing militarization of school police departments has been explained by incidences of violence on school grounds, most notably the 1999 Columbine High School massacre, which left 15 dead, including the two perpetrators of the shooting spree.
進行するスクール・ポリスの重武装化は、2人の実行犯を含む15人が死亡した1999年のコロンバイン高校の銃乱射事件に代表される学校における暴力事件によって説明されてきた。

(後略)




日本にいると、

銃乱射事件→銃規制の強化

という流れとなることを想像するのが自然
なかと思いますが、来年、建国240周年を迎えるアメリカ合衆国においては

銃乱射事件→警察官のみならず、検死官や港湾局員、タバコ規制官、家畜管理官までもがグレネードランチャーや軍用装甲車で重武装

という流れとなるのがある程度、自然
のようです。




世界の盟主たるアメリカ合衆国。
かの国は安定化に向かっているのでありましょうか?
あるいは、不安定化に向かっているのでありましょうか?


テキサス人が特殊部隊の訓練計画案を見て、「連邦政府はテキサスを占領するつもりだ」と考えたりするのは、
あまりにも考え過ぎでありましょうか?
あるいは、それなりに妥当な懸念と言えるのでありましょうか?



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650:「緊張は沸点に」:イスラエル情勢――EU未公開報告書を英ガーディアンがスクープ

2015/03/23 (Mon) 12:08
先日のイスラエル総選挙関連のフォローアップです。

選挙は、ネタニヤフ首相が選挙直前に「2009年の2期目の首相就任直後に、不本意ながら樹立を認めるとした公式見解」を覆して「パレスチナ国家は認めない」姿勢に転換する等、より右寄りな姿勢を明確に打ち出したことで、首相率いるリクードが幅広く保守派の支持を獲得し、120議席のうちの30議席を占める「圧勝」となりました。

とは言え、あくまでも全議席の4分の1の議席数です。これから他の政党と協議して61議席を確保し、連立政権を組成する必要があるため、まだ完全に確定したわけではありません。現在は、イスラエルの大統領が、正式にネタニヤフ首相に連立内閣発足の要請を出す前に、すべての政党と相談しているという段階のようです。


正式に新内閣発足が確定してからフォローアップ記事を書こうと思っていましたが、英ガーディアン紙がEU諸国の在エルサレム大使たちがまとめたイスラエル問題の未公開報告書をスクープしていたので、それについて簡単に紹介させて頂こうかと思います。



Jerusalem at boiling point of polarisation and violence – EU report
エルサレム、二極化と暴力の沸点に ―― EU報告書

http://www.theguardian.com/world/2015/mar/20/jerusalem-at-boiling-point-of-polarisation-and-violence-eu-report
Guardian, Friday 20 March 2015 13.13 GMT

Exclusive: Leaked report says city more divided than at any time since 1967 and calls for consideration of tougher sanctions over settlement building
独占記事:リークされた報告書によれば、エルサレムは1967年以来、最も対立が強まっており、入植地建設に対するより強い制裁を勧告している

A hard-hitting EU report on Jerusalem warns that the city has reached a dangerous boiling point of “polarisation and violence” not seen since the end of the second intifada in 2005.
エルサレムに関する強力なEU報告書は、エルサレムが2005年の第二次インティファーダ終結以来の「二極化と暴力」の危険な沸点に達していると警告している。

(後略)

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で、このガーディアンの記事においては、報告書におけるイスラエルに対する制裁案の箇所のキャプチャー画像を挙げています↓



簡単に日本語で要約しておくと、

・EUの消費者が入植地で生産されたものかどうか、もっとはっきり分かるようにする(消費者が入植地の産品を買わないという選択をできることを確保する)。

・暴力的な入植者や暴力行為を呼び掛けている者の、EUへの入国規制の検討と承認

・EUの個人や企業に対し、入植地との経済的・金融的なつながりはリスクを伴うということを注意喚起すること

・EUの旅行業者が入植地を支援しないための、自発的ガイドラインの推進


という感じで、ヨーロッパはかなりイスラエルに対し厳しい姿勢を強めようとしているようです。



イスラエルの頼みの綱、アメリカもより厳しくなりつつあります。

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米、国連でのイスラエル支持見直しも
http://www.cnn.co.jp/video/14175.html
CNN 2015.03.20 Fri posted at 13:01 JST

17日に投票が行われたイスラエルの総選挙に関連して、オバマ米大統領はネタニヤフ首相との電話会談で19日、同首相の挑発的な発言を受けて、米国はイスラエルとの関係を「見直す」ことになると伝えた。米政権内では、イスラエルとの関係見直しの一環として、パレスチナ国家樹立を求める国連決議を米国が支持する案も浮上しているという

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このオバマ政権の動きに対し、ネタニヤフ首相は「パレスチナ国家を認めない」発言を撤回したのですが、どうも本気で撤回したというよりは、表現を弱めただけに過ぎないようです。


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イスラエルのネタニヤフ首相、「2国家共存」反対を撤回
http://jp.wsj.com/articles/SB11871187576556893798304580528932092870828
ウォール・ストリート・ジャーナル日本語版 2015 年 3 月 20 日 10:10 JST

【テルアビブ】総選挙に勝利し4期目に入るイスラエルのネタニヤフ首相は19日、パレスチナ国家の樹立を阻止するとのコメントを撤回し、そうした国家を樹立できる状況が現在のところ「達成不能」だと考えているだけだと述べた。

ネタニヤフ氏は米テレビ番組フォックス・ニュースとのインタビューで、パレスチナ国家は武装せずイスラエルをユダヤ人国家と認めれば存在できると語った。ただ、現段階ではこうした国家の樹立を支持できないとも述べた。その理由として、過激派組織「イスラム国」やイランが支援する武装グループがこの国家を支配してしまう危険性を挙げた。

総選挙直前の16日にイスラエルのニュースサイトで放映された録画インタビューでは、自身の首相在任中はパレスチナ国家が樹立されないことを確認するよう求められ、「その通りだ」と回答していた。これは、2009年の2期目の首相就任直後に、不本意ながら樹立を認めるとした公式見解を覆すものだった。

 16日のコメントは、17日投票の総選挙を前にネタニヤフ首相が左派のイサーク・ヘルツォグ労働党党首にリードを許しているとの世論調査結果が出たタイミングで発せられた。結果として同首相の選挙での勝利は、2国家共存に反対するイスラエル人入植者やナショナリストの強い支持に助けられたものとなった。

 ネタニヤフ氏はフォックス・ニュースとのインタビューで16日のコメントについて、「6年前に話したことのどの部分についても撤回したわけではない」と述べた上で、「条件の変更が必要だと言ったのだ。なぜなら現時点ではパレスチナ人を交渉の席に再び着かせ、ハマスとの合意を破棄させ、イスラエル国家を認めさせなければならないからだ」と述べた。

 ホワイトハウスのアーネスト報道官は、ネタニヤフ氏の16日のコメントが米国に中東和平政策の見直しを迫るものであり、19日の発言のいかなる部分もこの見直し方針を変えるものではないと述べた。

 さらに、16日のコメントは和平を成立させる基盤を「崩した」とし、「米国や国連がこれまで講じてきた措置は、2国家共存を前提としたものだった」と話した。ネタニヤフ氏がこの前提を順守しないと述べた以上、米国は今後の政策について再考することになるとしている。

 ホワイトハウスは、オバマ大統領が19日にもネタニヤフ首相と電話で会談する可能性があるとした。

 ネタニヤフ氏のフォックスとのインタビューがまだ放映される前の19日の段階で、パレスチナ自治政府のアッバス議長はイスラエルの総選挙結果について「極めて懸念している」とし、ネタニヤフ政権下での2国家共存の解決策はもはや不可能だと述べた。

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というわけで、EUだけでなくアメリカもイスラエルへの圧力を強めそうです。
もちろん、ネタニヤフ政権続投となった場合、ということになろうかと思いますが、今のところ、イスラエル大統領は慎重姿勢を取りつつもいずれ「正式に」ネタニヤフ首相に新内閣の発足を促すことになろうかと思われます。


さて、4月1日には、このイスラエルにおける緊張、ひいては、中東全体における緊張を高める可能性のある一大イベントが控えています。

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来月1日、ICCに提訴=イスラエルの「戦争犯罪」-パレスチナ
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201503%2F2015030300133
時事通信 2015/03/03-08:17

【エルサレム時事】パレスチナ高官のシュタイエ氏は2日、パレスチナが国際刑事裁判所(ICC)に正式加盟する見通しの4月1日に、イスラエルを「戦争犯罪」で提訴する考えを明らかにした。AFP通信などが伝えた。
 捜査を要請する事案は、イスラエルが占領地ヨルダン川西岸で継続するユダヤ人入植活動と、昨夏のパレスチナ自治区ガザに対するイスラエルの軍事攻撃だという。
 パレスチナは1月2日、ICCに加盟するための文書をニューヨークの国連本部に提出した。これを受けてICCは、パレスチナ情勢に関し、戦争犯罪の有無などを調べる予備調査に着手。その結果次第で正式捜査を行うか判断することになっている。

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今後も続きそうなネタニヤフ政権下のイスラエルは、かつてないほど世界からの孤立を深めつつあるようです。

モサドの元長官による「ネタニヤフ首相の政策はイスラエルの将来と安全を破壊する」という発言が、正鵠を射たものであったとしたならば、ただでさえ不安定な中東情勢が輪をかけて不安定になるかも知れません。

また、あのヘンリー・キッシンジャー氏が2022年にはイスラエルは存在しなくなる」と言っていたとか言っていないとかいう話があります。(キッシンジャー氏の事務所はそのような発言の存在を全否定。一方、ニューヨーク・ポストの記者は「間違いなく言っていた」と主張しているようです。真相は分かりませんが、公式にはその発言は存在していないというのが客観的事実のようです)

キッシンジャー氏が言ったかどうかに関わらず、そのような話もあり得ない話ではなくなりつつあるのかも知れませんが、どうでしょうか。




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649:モンサント、WHOによる「発ガン性あり得る」判定に抗議―-「ラウンドアップ」の除草剤グリホサートに関して

2015/03/21 (Sat) 17:15
久しぶりにTPPネタであります。

まず、魅惑のISDS条項に関する重要な動きの件。


政治学者 藤井厳喜さんのツイッターをHEATさんがTogtterにまとめたところによりますと、

ハーバード大やコロンビア大の法学者たちは、TPPに含まれているISDS条項を禁止する法案の制定を議会に求めたのです。」

「例え、TPPが新政権(※廣宮注:オバマ政権の次の政権)で法制化されてしまっても、その内容を形骸化、無害化する戦いは何種類も考えられます。ISDS条項が削除されれば、国内における裁判闘争も可能となります。諦めないで頑張りましょう。この意味でもISDS条項の削除は非常に重要な動きです。」

とのことであります。
これは、藤井厳喜さんの見立てでは、

「最近の国際政治の動きを見ていますと、多国籍企業に対する主権国家の逆襲が進んでいます。この事は私が度々指摘してきたFATCAを中心とするタックスヘイブン・ネットワークの取締りはその最たるものです。」

ということで、そのような大きな流れを主題として書かれたのが、ちょっと前に当ブログで紹介しました、藤井厳喜さんの著書『世界経済の支配構造が崩壊する』というわけでありますね。





さて、次は標題の件

WHOのガン専門の研究機関である国際がん研究機関(IARC)が昨日公表したレポートにおいてモンサント「ラウンドアップ」の除草剤「グリホサート」につき、「発ガン性あり得る」という分類を行い、それに対してモンサント側が「科学的な根拠がない」と反論しています。


国際がん研究機関(IARC)の当該レポートはタダでは見れなさそうなので、RTの記事を拾い読みしてみます。


ちなみに、そのIARCのレポートのタイトルはズバリ

Carcinogenicity of tetrachlorvinphos, parathion, malathion, diazinon, and glyphosate
グリホサート(glyphosate)…の発ガン性(Carcinogenicity )



以下、RTの記事の抜粋:

Too ‘dramatic’: Monsanto shuns WHO verdict that Roundup ‘probably’ causes cancer
「劇的」過ぎる:モンサント、WHOによるラウンドアップの「発ガンあり得る」判定を退ける

http://rt.com/news/242801-glyphosate-cancer-risk-monstano/?utm_source=browser&utm_medium=aplication_chrome&utm_campaign=chrome
RT.com March 21, 2015 03:48

The active ingredient in the world’s most widely-used Roundup herbicide has been classified as “probably” carcinogenic to humans by a branch of the World Health Organization. The agrochemical giant Monsanto, has immediately rejected the new conclusions.
世界で最も広く使用されているラウンドアップ除草剤が、世界保健機関(WHO)の一部門により、人間にとって発ガン性が「あり得る」と分類されることとなった。農業化学の巨人、モンサントはこの新しい結論を即座を即座に否定した。

The International Agency for Research on Cancer (IARC), in their latest study said that there was “convincing evidence” that glyphosate in Roundup can cause cancer in lab animals.
国際がん研究機関(IARC)は、その最新の研究において、ラウンドアップのグリコサートが実験動物にガンを生じさせる「説得力のある証拠」があったと述べている。

St. Louis-based Monsanto was not pleased with WHO conclusions, claiming that scientific data does not support their assumptions and urging the health watchdog to hold a meeting to explain the findings.
セントルイスに拠点を置くモンサントは、このWHOの結論を喜ばず、科学的データはWHOの仮説を裏付けていないと主張し、WHOがこの件につき会合を持つことを促した。

“We don't know how IARC could reach a conclusion that is such a dramatic departure from the conclusion reached by all regulatory agencies around the globe,” Philip Miller, Monsanto’s vice-president of global regulatory affairs, said in a brief statement released soon after the report was published.
「我々は国際がん研究機関(IARC)がいかにして、世界中の規制当局がたどり着いた結論からこのような劇的に乖離する結論にたどり着いたのか分からない」

The study, published Friday in the journal Lancet Oncology also said it found “limited evidence” that glyphosate was carcinogenic in humans for “non-Hodgkin lymphoma.” The conclusion of the research was based on studies of exposure to the chemical in the United States, Canada, and Sweden that date back to 2001.
この金曜日に出版されたLancet Oncology 誌に掲載された研究においては、グリホサートが人間において非ホジキン型リンパ腫に関する発ガン性を持つことの「限られた証拠」が見つかったとも述べられている。この研究の結論は、2001年の米、加、スウェーデンにおけるグリホサートへの露出に関する一連の研究に基づいている。

According to the study, Glyphosate is used in more than 750 different herbicides in air dissemination during spraying, in water and in food. IARC said glyphosate was traced in the blood and urine of agricultural workers.
この研究によると、グリホサートは750種類の除草剤に用いられ、空気、水、食料に散布されている。IARCは、グリホサートは農業従事者の血液や尿から検出されていると述べている。

IARC has four levels of classifications for cancer agents. Glyphosate now falls under the second level of concern known as ‘probable or possible carcinogens.’ The other agents are classified either as carcinogens, ‘probably not carcinogenic’ or ‘not classifiable’.
IARCはガンの要因につき4つのレベルの分類を行っている。グリホサートは「発ガン性あり得る」という二番目の懸念レベルに落ちた。なお、他の発ガン要因は「発ガン性物質」、「発ガン可能性低い」、「分類不能」に分類される。



Glyphosate is mainly used on genetically modified corn and soybeans, thus the general public is unlikely to face the greatest risk of exposure, according to the report.
このレポートによれば、グリホサートは主に遺伝子組み換えのトウモロコシや大豆に使用される。それゆえ一般大衆は最大限のリスクにさらされる可能性は低い。

However, “home use” is not the issue, said Kate Guyton of IARC.
しかしながら、「家庭での使用」は問題ではない、とIARCの Kate Guytonは言う。

“It's agricultural use that will have the biggest impact. For the moment, it’s just something for people to be conscious of.”
最大限の影響があるのは農業における使用だ。とりあえずのところ、(このレポートは)何かしら人々が注意をもつようにするためのものである。」

Last month, a leading US environmental group, the Natural Resources Defense Council (NRDC), filed a lawsuit against the Environmental Protection Agency, accusing regulators of dismissing the dangers of glyphosate.
先月、米国の主要な環境団体の一つ、Natural Resources Defense Council (NRDC)は、環境保護局がグリホサートの危険性を否定していたことを非難し、環境保護局を相手取り訴訟を起こした。






上記の件につき、モンサントのホームページから、反論の一部を引用しておきます:


As recently as January, the German government completed a rigorous, four-year evaluation of glyphosate for the European Union. They reviewed all the data IARC considered, plus significantly more, and concluded “glyphosate was unlikely to pose a carcinogenic risk in humans.”
今年の1月、ドイツ政府がEUのためにグリホサートの厳格な4年にわたる評価を終えたばかりだ。彼ら(ドイツ政府)はIARCが考慮したすべてのデータ以上の著しく大量のデータを吟味し「グリホサートは人体に発ガン性リスクをもたらす可能性は低い」と結論付けている。



モンサントは真っ向からIARCのレポートに反対していますが、私が思うに、両者の主張は必ずしも矛盾するものでも無いように思われます。

IARCの主張はあくまでも農業従事者が日常的にグリホサートにさらされることによって、非ホジキン型リンパ腫に関する発ガン性があり得るというリスクにさらされるというものであり、一般人がグリホサートを用いて育てられたトウモロコシや大豆などの作物を食べたことでそのようなリスクにさらされると言っているわけではないからです。普通に食べるだけなら、モンサントのいうように「発ガンの可能性は低い」というわけです。


ちなみに、日本モンサントのホームページを見ると、多くの種類のラウンドアップ作物が日本において栽培・輸入の認可が既に下りています。

仮にTPPが成立した場合、日本の農家も競争力の維持のため、今まで以上にラウンドアップ(グリホサート除草剤に耐性のある遺伝子組み換え作物+グリホサート除草剤の組み合わせ商品)を使うことになる…かも知れません。
 仮にそうなった場合、とりあえず問題となるのは、「家庭での使用」ではなく、農業従事者の発ガンリスクがあり得るという問題ということになる…、のかも知れませんね。




【追記】
↑の「日本の農家も競争力の維持のため、今まで以上にラウンドアップを使うかも」ということに関して、北海道の内田農場の内田透さんから、フェイスブックにて以下のコメントを頂きましたのでご紹介させて頂きたいと思います:


TPP成立後競争力維持のためGmo栽培が始まるは逆だと思います。
競争力を維持するには世界的にみて零細とも言える日本の1戸当たり耕作面積では同じことやっても勝ち目はありません。
むしろ非GMOで売り出した方がまだ望みはあると思っています。
高い種を買って栽培するのもリスキーです。
もちろんラウンドアップを乱発することも今より経費がかかりると思いますし。


内田さん、農家ならではの視点からのコメントを頂き、まことにありがとうございます!


あ、そう言えば、↓こんな話があったのを自分で書いていたすっかり忘れていました

【モンサントを提訴!ブラジル農家500万人が「一度モンサントから種を買ったら永久に年会費を支払わなければならない」と。#TPP、本当に大丈夫?】

【追記終り】











さて、モンサントねたはこれくらいにしまして、以下、TPPの行く末に関する私の妄想を書いてみたいと思います。

TPPそのものに関するポイントは以下の二つ。

1.オバマ大統領、本音はTPPつぶし
詳細は以前のエントリーに書きましたのでそちらを参照してください。
 パターンとしては、「シリア攻撃宣言、のち、取り止め」と同様の“手法”かと。ガンガン推進しておいて後からちゃぶ台返しをすることにより、今後同じような話が持ち上がる可能性自体を潰してしまう、という妄想です。

2.TPP交渉の進展のボトルネックになっているTPAが成立したとしても、TPAそのものがボトルネックとなる
TPAの詳細はこちら
TPAが仮に成立した場合、上下院の担当委員会において、TPAに詳細に盛り込まれるであろう通商政策の目標リストとこれまでのTPP交渉の合意事項がどれだけ一致しているか、あるいは、どれだけ乖離しているか、という議論がかまびすしく行われることになるでしょう。そのような議論においては、平たい日本語でいうと、「なんじゃこりゃ?(松田優作風に)」というフレーズが頻出することになるのではないか、という妄想です。


この2つのポイントから類推される結論は、TPPは地球上から消滅するであろう、という妄想であります。

ここで、しっかり強調しておきますが、

これは、定説です!

じゃなかった、

これは、妄想です!



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648:ECB新本部前:反緊縮・反資本主義デモの激しさ――パトカー放火etc→「反緊縮」ならフランクフルトのECB本部よりベルリンのドイツ連邦議事堂で抗議したほうが…(?)

2015/03/20 (Fri) 11:11
ドイツのフランクフルトに落成したばかりのECB新本部ビル(約1300億円也)前のデモ、文字ニュースでは知っていましたが、動画を見ると、かなり凄まじいものとなっていましたのでご紹介:


AFPBB(フランスのメディア)




RT(ロシアのメディア)






Guardian(イギリスのメディア)




時事通信の記事によると、デモの参加者は主催者発表で1万人に対し、警官隊の動員が1万人とのこと。

日本語の記事では、「反緊縮デモ」となっていますが、英語の記事では「反資本主義 anti-capitalism」となっていることが多いようです。

いや、よくよく考えれば、ECBは金融緩和(量的緩和)で国債を買いまくり、金利を下げるくらいのことしかしていないわけですから、それに抗議するのは「反資本主義」であって「反緊縮」ではないように思われます。

「反緊縮」ならベルリンのドイツ連邦議事堂(Bundestag)前でデモをするのが妥当かと…。

ああ、でもECBのギリシャ救済の条件がギリシャの緊縮財政の実施であるから、ECBに対して「反緊縮」というのもあり得るわけですね。


それから、最近では占領、つまり、オキュパイ(Occupy)とは言わず、バリケードなど障害物で道路を封鎖するblock+占領occupyということでBlocupy(ブロキュパイ)と言うそうです。上のRTの動画のタイトルにBlocupyとあるのがそれです。
…というか、AFPBBの記事によると、Blocupy(ブロキュパイ)というのは団体名だそうです。


しかしドイツ人、結構激しいですね…

と思ったらAFPBBの記事によると、この抗議活動にはギリシャの政権与党Syrizaのメンバーが参加して演説をぶったりしていて、ドイツ人だけじゃなく外国人が6000人参加していたとのこと(AFPBBの記事では時事通信記事より参加人数が多くなっています:警察発表で1.5万人、主催者発表で2万人)。

ということは、パトカーに放火しているのはドイツ人ではなくて、外国人の可能性も???
いや、仮にそうだとすると、EUのシェンゲン協定圏のように国境検査がないというのは、やはり考えものでありますね…。


緊縮財政、金融緩和、資本主義、グローバリゼーション及びこれらの合わせ技などなどについて。
とにかく色々と考えさせられる事件ではあると言えそうです。


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647:「景気」より「中央銀行」に支配される株式市場

2015/03/19 (Thu) 12:24
「今さら何を」と言われるかも知れませんが、株価は「景気のバロメーター」でなくなっている件につき、一応書いておきたいと思います。

というのは、3年前に出版した著書「『国の借金』新常識」で株価は「景気のバロメーター」と書いていたことにつき、一度お詫びと訂正をしておかないといけないかも知れないと思ったからであります。


昨日の米国市場について、ブルームバーグの記事です:

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米国株:FOMC受けて上昇-利上げ先送り観測が広がる
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NLFBUJ6VDKHW01.html
ブルームバーグ 2015/03/19

18日の米株式 相場は反発。連邦公開市場委員会(FOMC)が経済成長はやや緩やかになったとの認識を示したことを受け、利上げを急いではいないとの見方が市場で広がった。FOMCの結果発表まで、株式相場は軟調に推移していた。
(後略)
-----


要はFRBがアメリカの経済成長が鈍化していると思ってますねん、と言ったとたん、株価が上がったというわけですね。

これ、おかしいですよね。

「景気思ったより良くないねん」という話に反応して株価が上がる、てなことは、株価は「景気のバローメータ」ではなくなっているということになります。

いや、もはや株式市場は、「中央銀行様が、金利をいつ上げるかを当てる賭博場」と化しているようであります。

最近の米国株式市場は、

失業率が下がった(景気のいい話)→利上げ早まると予想→株価下がる

製造業受注指数が下がった(景気の悪い話)→利上げ遠のくと予想→株価上がる

というように、景気とは逆相関になってしまっています。逆の意味では、「景気のバロメーター」と言えないことはありませんが^^;
あるいは、「株価は金利予測のバロメーター」と言うべきでしょうか。


通常の経済状態では

株価上がる→債券から株に資金が移動して債券下がる(金利上昇)

ですが、

現在は

中央銀行が債券を買いまくる(金利低下)→締め出された民間マネーが株に移動して株価上がる

という具合でしょうか。

とにかく、通常ではない状態、というわけで。



それで、日本株はというと、

アメリカの利上げ先送り予想→米ドル安円高の予想→実際にドル安円高→日本の株価下落

となっている模様ですね。

-----
日本株は下落、米FOMC受けマネー変調警戒-円高、過熱も
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NLFIUZ6KLVR801.html
ブルームバーグ 2015/03/19 11:02 JST
-----


最近の日本の株価を支配しているのは、「ドル円為替レート」と「公的資金」というところでしょうか。


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「クジラ買い」の爆発力 公的マネー、需給に大変化
http://www.nikkei.com/markets/column/scramble.aspx?g=DGXLZO8426008011032015EN1000
日経電子版 2015/3/12

前日の米株安を物ともせず、11日の日経平均株価は反発した。誰がつけたか、公的マネーを指す「クジラ」が影響力の大きさを見せつけた一日となった。クジラは全部で5頭。買い余力は合計で20兆円を超えるとの試…

-----



20兆円という金額が大きいかどうかですが、東証一部の年間売買代金と最近の時価総額を見ておきましょう。

東証の統計月報(2015年1月)より

東証一部
2014年の売買代金
576.5兆円

2015年1月末の時価総額
510兆円

20兆円というとこのうちの3~4%に過ぎません。

これを大きいと見るのか、小さいとみるのか。

これを市場が大きいと見て株価がどんどん上がっているのだとしたら、近い将来の株式市場はかなり危ういかも知れませんね。この東証一部の時価総額のたった4%程度の資金が尽きたとき、買い手が市場からいなくなる可能性があるからです。

え?「クジラ」のうちの一頭は日銀であり、いくらでもカネを刷れるのだから大丈夫?
いや、それはどうでしょうか。

日銀の昨年9月末時点での財務諸表のうちの貸借対照表を見てみましょう。

資産

信託財産株式
1.37兆円
信託財産指数連動型上場投資信託(TOPIX ETF)
3.22兆円
信託財産不動産投資信託(REIT ETF)
0.16兆円

合計 4.75兆円

それに対して純資産は 3.47兆円

となっています。

さて、市中銀行の場合は「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律」によって、株式の保有は自己資本に相当する金額を超えないことが規定されています。

これは、株が暴落したとしても、銀行が債務超過に陥らないようにするための規制です。

日銀は、保有株式>自己資本(純資産)となっています。株が暴落したら途端に債務超過になりかねません!(絶対に、というわけではありませんが、可能性としてはあり得ます)


え?「日銀が買いまくれば株式暴落はないので、債務超過にもならない」って?

理論的にはあり得る理屈かも知れませんが、心理学的にあり得るでしょうか?

つまり、世界中の投資家が「日銀が買いまくれば株式暴落はないので、債務超過にもならない」という理屈を認めるか否かですが、認めない可能性が、それなりに高いのではなかろうかと思います。

例えば、仮に株や国債の価格を維持できたとしても、円という通貨そのものが信用されなくなったとしたら、どうなるか、というシミュレーションはしておいたほうが良いでしょう。



というわけで、「アメリカも、日本も、いまや株式市場は中央銀行にジャックされている」という様相を呈していると言えそうですね。
ドイツのDAX指数などECBの量的緩和を受けてガンガン過去最高値を更新しているユーロ圏もその点は同じと言えそうです。


いやはや、日、米、欧は本当に「チェックアウトできても 離れられない」ホテル・カリフォルニア状態になっている感がします。「離れられない」とは言え、いずれは「離れたくはないが、離れざるを得ない」状況に陥ることになるように思われますが…。

今回は以上です。

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646:明日、イスラエル総選挙。今年最大の「事件」となるかも知れませんし、そうはならないかも知れませんが、念のため。

2015/03/16 (Mon) 18:08
明日3月17日、AKB総選挙ならぬISR総選挙…いや、イスラエルの総選挙があります。

世界情勢の大きな変節点になるかも知れないし、ならないかも知れません。しかし、もし「なった」場合に何も書いていないと後悔しそうなので、とにかく書いておきたいと思います。

《イスラエルの右派と左派》
イスラエルは多数の少数政党が存在しており、あまりどっぷり書き出すと何が何やら分からなくなりそうですので、ざっくり右派と左派にわけ、今回の選挙はとりあえず右派の最大政党リクード(現与党)と左派の最大政党労働党の主導権争いというように捉えることにします。

右派と左派の政策の違いを以下の記事からごく簡単にまとめると…

記事1
イスラエル、3月総選挙実施-ネタニヤフ首相が4期目の公算
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NG0NYN6JTSEJ01.html
ブルームバーグ 2014/12/04

記事2
与党の支持伸びず、野党と接戦=首相の米議会演説後も-イスラエル総選挙まで1週間
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201503%2F2015030900455
時事通信 2015/03/09

記事3
野党党首、政権交代へ「経済失策」追及=17日総選挙-イスラエル
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201503/2015031500085&g=pol
時事通信 2015/03/15


外交
左派:平和的(パレスチナ和平推進) ⇔ 右派:好戦的(対イラン、対パレスチナ強硬) 

経済
左派:福祉優先 ⇔ 右派:軍事優先/新自由主義(?)



《経済》
イスラエルの経済と言えば以前、当ブログでイスラエルにおける格差拡大、その文脈において立て続けに抗議の焼身自殺が相次いだという話を取り上げたことがあります(2012年)。
 左派政党は選挙戦において、住宅価格や生活費高騰を手当てする政策を掲げているとのこと(上記の記事3(時事通信)参照)。


《外交・軍事》
今回、リクードのネタニヤフ首相が解散に向かった理由の一つは、ネタニヤフ首相らが進めるイスラエルをユダヤ人国家と定義する動きに連立与党内で反発があり、連立与党が分裂状態になったことがあるようです(上記の記事1(ブルームバーグ)参照)。
ちなみに、イスラエルの人口構成をWikipediaから拾っておくと

「2013年のイスラエル中央統計局のデータでは、総人口は802万人である。そのうちユダヤ人が604万人(75.3%)、アラブ人が166万人(20.7%)、その他32万人(4.0%)となっている」

ということです。「ユダヤ人国家」と定義するならば、25%の非ユダヤ人はイスラエル国民ではなくなる、ということになろうかと思います。ネタニヤフ首相、かなり凄まじいことを進めようとしていたようですね。


また、ネタニヤフ首相といえば先般、アメリカ共和党の招きでアメリカ議会でアメリカがイランとの核開発協議を成立させることをけん制する演説をし、オバマ大統領が欠席したということがありました。

ネタニヤフ首相が米議会演説強行へ、オバマ政権との確執深まる恐れ
http://jp.wsj.com/articles/SB11785226218567734557404580493374189578864
ウォール・ストリート・ジャーナル 2015 年 3 月 2 日

イラン核開発合意で米けん制、イスラエル首相演説
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LZ28520150303
ブルームバーグ 2015年 03月 4日


この話には、こんなおまけも:

Saudi Arabia to allow Israel use of its airspace to strike Iran – report
サウジアラビア、イスラエルのイラン空爆のための自国領空使用許可へ

http://rt.com/news/235923-saudis-airspace-israel-iran/
RT.com, February 27, 2015

Former Mossad head urges Israeli voters to oust Binyamin Netanyahu
元モサド長官、ネタニヤフ首相の退陣を有権者に促す

http://www.theguardian.com/world/2015/feb/27/mossad-binyamin-netanyahu-meir-dagan-israel
Guardian, Friday 27 February 2015


泣く子も黙るイスラエルの情報機関、モサドの元長官Meir Dagan氏がなんと、ネタニヤフ首相を酷評しているとのことです。この英ガーディアン紙の記事によれば、

Meir Dagan says prime minister’s policies are ‘destructive to the future and security of Israel’
Meir Daganは、ネタニヤフ首相の政策はイスラエルの将来と安全を破壊すると言っている。

After leaving Mossad, Dagan went public with his criticism of Netanyahu’s Iran policy, saying a military attack on Iran was “the stupidest thing I have ever heard”.
モサドを離れた後、Daganはネタニヤフのイラン政策に対する批判とともに下野し、イランへの軍事攻撃は「私がいままで聞いた中で最も馬鹿げている」と言っている。


とのことです。


次に、ネタニヤフ政権、パレスチナに対しては今もこんな感じですね:

-----

イスラエル軍、西岸で大規模演習=パレスチナ人デモ想定か
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201503%2F2015030200038
時事通信 2015/03/02

【エルサレム時事】イスラエル軍は1日、ヨルダン川西岸で、大規模な演習を開始したと発表した。イスラエルとパレスチナの対立が続く中、パレスチナ人による抗議デモなどへの対応を想定している可能性がある。
 演習は2日間行われる予定で、予備役1万3000人も動員。パレスチナ自治政府にも通知したという。
 パレスチナが昨年末から今年初めに国際刑事裁判所(ICC)への加盟手続きを進めたことへの報復措置として、イスラエルは自治政府のために徴収している税金の送金を凍結。いまだ再開していないもようで、米国は自治政府が崩壊しかねないと懸念している。また、イスラエルの電気会社が「支払いが滞っている」として、西岸への送電を一時停止する事態も起きている。
-----


パレスチナ自治政府に代わって徴収している税金を送金せず、送電も止めるという、なかなか強硬な姿勢と言えそうです。

さて、パレスチナ問題に関しては、パレスチナの新聞にとてつもない安倍首相へのインタビュー記事が掲載されています。ちなみに、これはちょうどISIL(自称「イスラム国」)による日本人人質身代金要求ビデオがネット上に流れ、大騒ぎになったまさにその直前に日本でも報道されていましたが、人質騒ぎによってほぼ完全にかき消されてしまっていました(今年の1月20日)。が、私個人的には人質事件よりもこちらのほうが驚いたという代物であります。あまり報道されていなかったので、全文を外務省HPから引用しておきたいと思います:

-----
アル・アイヤーム紙(パレスチナ)による安倍総理大臣インタビュー
2015年1月20日付
http://www.mofa.go.jp/mofaj/p_pd/ip/page4_000931.html
平成27年1月26日

日本国総理大臣:パレスチナ国家建設を支持し,イスラエルに入植停止を促す

本日アッバース大統領がラマッラで出迎える

 安倍晋三総理大臣はアル・アイヤーム紙に対し,日本は入植活動が国際法違反であるとして,イスラエルに入植活動停止を呼びかける旨述べた。

 安倍総理はエジプト,ヨルダン,イスラエルを含む中東訪問の最初に記者会見を行い,本日パレスチナを訪れることをうれしく思うと述べた。パレスチナでは,大統領府でマフムード・アッバース大統領が出迎え,会談を行うとともに,共同記者会見が行われる。

 安倍総理は,日本の首相として8年半ぶりにパレスチナを訪問することをうれしく思うと述べた。

 また,日本と世界の安定は中東地域の平和と安定に直結すると強調するとともに,中東地域の平和と安定,発展はパレスチナとイスラエルの関係安定なくては達成できないと述べた。

 また,和平の達成としっかりとした産業基盤を築くことこそがパレスチナ経済に資する,独立したパレスチナ国家建設に向けた極めて重要なものであると述べた。

 さらに,日本はパレスチナ国家建設に加え,ジェリコ農産加工団地(JAIP)での早急な活動開始に向けてパレスチナを力強く支援すると述べた。

【問】
 中東和平につき,交渉の停滞や入植活動の継続,エルサレムの現状を踏まえ,「二国家解決」案の実現可能性に疑問が出ているが,「二国家解決」案は実現可能と考えるか。また,日本はイスラエル・パレスチナ双方と良好な関係を有しているが,同案実現のために日本は貢献できるか。

【安倍総理大臣】
 今回日本の首相として8年6か月ぶりにパレスチナを訪問できることを大変うれしく思います。今回の訪問を受け入れていただいたアッバース大統領及びパレスチナの皆様にお礼申し上げます。
 中東地域の平和と安定は,日本と世界の安定に直結します。そしてパレスチナとイスラエルの関係の安定は,中東地域の平和と安定,そして繁栄に不可欠です。

 決して中東は日本にとって遠い地域ではありません。私が就任以来の2年間,今回で5回目となる訪問を行っていることは,日本にとって中東が非常に重要な地域であることの証左です。

 日本は,将来の独立したパレスチナ国家とイスラエルが平和かつ安全に共存する二国家解決を支持します。しかし,昨年交渉が中断してからは,ガザ紛争,西岸・エルサレムでの騒擾等,交渉再開の雰囲気が全くよどんでしまっていることを懸念しています。

 御指摘のとおり日本はイスラエル・パレスチナ双方と良好な関係を有しており,両国の共通の友人として,はっきりとものを言える立場にあります。だからこそ,日本は二国家実現のために積極的に貢献できると考えています。

 例えば入植活動についても,国際法違反であるとして,日本はイスラエル側に是正を求めています。パレスチナ側にも,真の独立国家樹立に向けて辛抱強く交渉に向かってもらいたいと考えています。

 また,1997年以来日本政府は,パレスチナとイスラエルの双方の有望な青年を東京に招き,互いの理解と信頼を深めることを目的として,一緒に日本国内を視察したり,意見交換の場を設けたりするなどのプログラムを実施してきています。こういった支援も,日本が双方の友人だからこそ行える協力の一つです。

 パレスチナとイスラエルの両方が,和平のためにならない一方的行為をお互い自制し,直接交渉を早期に再開することを期待します。日本は,二人の大切な友人が共存・共栄することを強く願っています。

【問】
 ジェリコにおける平和の回廊構築やガザへの支援等,日本はパレスチナへの経済支援を積極的に実施しているが,今次訪問ではどのような成果を目指すのか。

【安倍総理大臣】
 自立したパレスチナ国家建設のためには,和平の達成とともに,パレスチナ経済の拠り所となるしっかりとした産業基盤を築くことが何より求められます。

 この「平和と繁栄の回廊」構想により,パレスチナへの投資誘致と雇用創出が生み出され,さらにはビジネスの面から地域内における協力が促進されることが期待されます。

 ジェリコ農産加工団地(JAIP)はこの「平和と繁栄の回廊」構想の旗艦事業です。今次訪問では,日本の経済関係者とともにこのジェリコ農産加工団地(JAIP)を訪れ,パレスチナの産品フェアを視察します。

 遠くない将来,ジェリコ周辺で取れる農産品が回廊を通って近隣諸国や湾岸の消費地に向かうでしょう。ジェリコ農産加工団地(JAIP)の本格稼働に向け,さらにはパレスチナの国造りを力強く支援していきます。

-----


安倍首相はかなりパレスチナを擁護する、突っ込んだ内容、すなわち

・パレスチナ国家建設を支援する

・イスラエルのパレスチナ入植は国際法違反

を明言しています。

 日本人人質に対する殺害脅迫・身代金要求の件が持ち上がった後、「安倍はイスラエル国旗の前でISIL対策の資金援助を表明したため、イスラムの敵になった」という論調もあったように思われます。一方、上記のインタビュー記事のように、安倍首相はむしろイスラム側に寄り添った強烈な言動をして来たという点は、一般的には完全に無視されているようです(繰り返しになりますが、人質の件とこの安倍首相のパレスチナ紙へのインタビュー記事の日本における報道は同じ1月20日)。
 もっとも、安倍首相はイスラエルとも友好関係があると明言しています。
 しかし、イスラエルとパレスチナの両方と友好関係がある日本だからこそ、平和的に「二国家実現」となるように積極的な貢献をしたいとも明言しています。イスラム教徒が大半を占めるパレスチナを正式な国家としていずれ承認するという意図の表れとも言えますね。
 それに対して「イスラムの敵」と決めつけて日本を攻撃すると宣言したのがISIL(自称「イスラム国」)、ということになります。ISILはパレスチナの正式な独立に反対、ということなのでしょうかね…。

 ちなみに、アメリカのオバマ大統領の宗教的背景について少し、Wikipediaから拾っておきたいと思います。
「父であるオバマ・シニアは、ムスリム(イスラム教徒)」ということで、父親がイスラム教徒である初めての合衆国大統領ということになります。しかし、ご本人はプロテスタントの一宗派、「キリスト合同教会(英語では"the United Church of Christ (UCC)"で、キリスト連合教会、合同キリストの教会、統一キリスト教会などとも訳される。)に所属」とのこと。
 そして、そのオバマ大統領が所属するキリスト合同教会は「イスラエルによるパレスチナ占領を非難している」とのことであります(Wikipedia)。

 オバマ大統領がネタニヤフ首相とそりが合わないのは、このような宗教的背景があるのかも知れませんし、無いのかも知れません。


 オバマ大統領は所属する宗教団体の思想と関係があるのかないのかはさておき、パレスチナ問題に関してオバマ大統領と安倍首相とまったく同じ考えのようです:

Obama: 'Peace is possible,' but see the world as Palestinians do
http://edition.cnn.com/2013/03/21/politics/obama-mideast-visit/
CNN, March 21, 2013

によると、イスラエルにおいてオバマ大統領は
"Israelis must recognize that continued settlement activity is counterproductive to the cause of peace, and that an independent Palestine must be viable -- that real borders will have to be drawn," Obama said.
「イスラエル人は、平和のためには入植活動の継続は逆効果であること、パレスチナの独立は必ず実行可能であること、国境線が実際に引かれなければならないということを、認識しなければならない」と語った
とのことです。


それはそれとして、パレスチナに関して、安倍首相やオバマ大統領の考えに近いのは、イスラエルの右派よりは左派、ということになるのかも知れません。


※一昨年、オバマ大統領がシリアを攻撃すると宣言して突如中止したことの背景には、上記のようなこともあるのかも知れませんし、無いのかも知れません。





《イスラエル、ISIL、イラクとイラン》
最近、対ISILの軍事支援の主導者は、アメリカからイランに代わりつつあるようです。


イラク軍のティクリート奪還にイランが参加、米は「協力せず」
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0W73G520150305
ロイター 2015年 03月 5日


ティクリート奪還作戦、街の75%を制圧か イラク
http://www.cnn.co.jp/world/35061707.html
CNN 2015.03.12



《総括》

明日のイスラエル総選挙。

左派が勝つと、イスラエルがイラン、パレスチナに融和的となり、アメリカが主導するイランの核協議も円満に決着し、イランの経済封鎖が解かれ、イランが全面的に対ISIL作戦の矢面に立つことでISILが決定的に弱体化し、イスラエルとパレスチナの和平も成立し、中東は安定に向かう…かも知れません。

右派(ネタニヤフ首相ら)が勝つと、イスラエルのユダヤ人国家化、対イラン空爆、イランがISIL作戦に集中できないことによるISILの巻き返し、パレスチナ侵攻という方向性となり中東がさらに不安定化に向かう…かも知れません。

また、もう一つの可能性として。
左派が選挙で勝ち、内閣を組織するに至った場合においても、右派の強硬派がおとなしく指をくわえているだけで済むのかな…などと考えるのは杞憂に過ぎないかもしませんね…。

仮に、中東が不安定化した場合、彼の地からのエネルギー輸入依存度の高い日本はなかなか困難な状況に陥る可能性もなきにしもあらず、でしょうか。



いずれにせよ、明日2015年3月17日という日は、世界史に残るような日となるかも知れない、というお話でありました。


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645:「脱税防止FATCA発動で世界のアングラマネーが北朝鮮に集まりだした!」という、元公安調査庁調査第2部長 菅沼光弘さんと藤井厳喜さんの共著のご紹介

2015/03/15 (Sun) 16:35


「世界経済の支配構造が崩壊する - 反グローバリズムで日本復活!」
元公安調査庁調査第2部長 菅沼光弘 /国際政治学者 藤井厳喜 著


というわけで今回は、先月発売となった政治学者の藤井厳喜さんと、藤井さんが「国際インテリジェンスにおける師匠」と仰ぐ元公安調査庁の菅沼光弘さんの共著のご紹介です(ごく簡単に、かつ、あまり体系的な形ではなく、散文的に)。


まず公安調査庁とは、警察ではなく法務省の外局です。菅沼さんが今回の本で書いているところによると、
「私がいたときの公安調査庁はいまとは違い、主たるターゲットは日本共産党であった」
とのこと。

で、東西冷戦のときは世界中の共産党さんの動きを見ていなければならなかったため、「当時の公安調査庁は世界の情報機関と極めて近い性格を持ち、また戦前の軍情報機関で従事していた大変に優秀な人たちも多く働いていた」とのことです。しかし、現在はそうではないため、日本には新たな情報機関が必要と菅沼さんは本書で主張されています。実際のところ、最近はそのような動きになっているようですね:

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焦点:対外情報機関創設へ議論本格化、日本版MI6が視野
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0M505H20150309
ロイター 2015年 03月 9日
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次に、本書の大きなテーマとしての、国際的な脱税防止の流れが現在の世界情勢を大きく揺さぶっているという視点について紹介します。

2014年、つまり昨年の7月1日にアメリカで施行されたFATCA(ファトカ。外国口座規律順守法)。これによりアメリカ国籍の個人も大企業も国際的に脱税するのが困難になり、世界中のタックス・ヘイブンが締め付けられるという話になります。

藤井厳喜さんの説明は以下のとおりです:
「今後は、米国外の銀行、証券会社、保険会社は元より、ヘッジファンドなどの資産運用会社も、顧客の口座の残高が5万ドルを超える場合には、その口座の最終受益者が米国の市民か居住者か法人であるかを常に確認し、そうであった場合には、米国の内国歳入庁に口座の詳細を報告する義務を負うことになる。

それを拒否する外国の金融機関には、罰則として、米国の証券への投資に対する利息、配当及びその譲渡対価に対して一律30%の源泉徴収税が課される」

これによって、大企業や個人富裕層の脱税だけでなく、テロや麻薬資金、あるいは政治的な裏工作資金も締め付けられてしまうということで、藤井さんは、ウクライナの紛争や「イスラム国(自称)」など中東の紛争は、FATCA推進派と反対派の抗争が表に現れているものだ、という非常に興味深い説を展開されています。

また、菅沼さんによると、このFATCAによって従来のタックス・ヘイブンがどんどん狭まっていることにより、北朝鮮が新たなタックス・ヘイブンとして注目の的になっている、とのことです。

昔、北朝鮮はユートピアと日本で喧伝されたいたことがありましたが…。北朝鮮、いまではブラックマーケットにとっての「最後の楽園」になりつつあるようですね。


最後にもう一つだけ本書の興味深い内容を紹介しておきます。藤井さんによる、大英帝国がもはや中国の属国に成り下がっているという指摘です。藤井さんのこのご指摘を補完するような最新のニュースを紹介しておきます:

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中国主導のアジアインフラ投資銀、英国がG7で初めて参加表明
http://jp.reuters.com/article/JPbusinessmarket/idJPKBN0M904S20150313
ロイター 2015年 03月 13日
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※本書について、もっとお知りになりたい方は、↓こちらの動画もどうぞ




今回は以上です。

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644:博士号を取得しました(名城大学 都市情報学 論文博士)

2015/03/13 (Fri) 16:25
以前、英語の学術論文を書いた、とかそういったことをちらっと書いていましたが、本当の目的は博士号の取得というところにありました。

私のことを「工学博士」と誤解されている方もいらっしゃるのですが、従来は、あくまでも「修士号(工学修士)」です。
最初の著書の略歴で「博士前期課程修了」と書いていたことが原因かと思われますが、一般的に修士課程の正式名称が「博士前期課程」となっているという次第です。

最近はこのような誤解が生じることを避けるために「大学院修了(修士号)」と書くようにしていたのでありますが…。

まあこのたび、晴れて正真正銘の博士号を取得するに至った次第であります。

↓学位記の写真

学位記



さて、私が取得したのは名城大学 都市情報学研究科の博士号(論文博士)ということになります。


「名城大学」って?

名城大学の「名城」とは名古屋城にちなんでつけられた名前だそうです。
昨年、青色LED研究の功績によってノーベル物理学賞を受賞された赤崎勇教授が名城大学の終身教授を務められていることで話題になった大学でもあります。

↓ちなみに、赤崎教授の帰国会見の際のバックに「名城大学」のボードが映り込んでいます





「都市情報学」って?

「都市にかかわる経済学・行政学・地域学・環境学等の考え方、 および近年急速に発展してきた情報処理の技術を利用して、都市問題を解決する学問」(名城大 都市情報学部HPより)ということで、理系と文系の両方を包含しているような学部、学問となります。
 というわけで、経済学も扱っている学部(研究科)で経済の論文で博士号を取得した、ということになる次第です。



「論文博士」って?

通常、博士課程(正式名称は博士後期課程)は3年間の通学が必要ですが、論文博士は通学「修士号の保有+それまでの研究に関する業務経験等+博士論文の提出+口頭査問etc」で博士号を授与するというようなシステムです。私はその論文博士ということになります。



《博士論文の概要》


表題:
「正と反の経済学の検証に関する研究」


内容紹介:
 まず、「正と反の経済学」というのは名城大都市情報学部の木下栄蔵教授が考案した経済理論の枠組みで、以前は「通常経済、恐慌経済」と呼んでいた概念のものです。
・正の経済(通常経済)とは企業が経済成長に積極的に貢献している状態
・反の経済(恐慌経済)とは企業が経済成長に積極的に貢献していない状態
と言い換えることができます。

 なお、正の経済(通常経済)は必ずしもインフレの状態のことではなく、反の経済(恐慌経済)は必ずしもデフレの状態のことではありません。たとえば、スタグフレーション(インフレなのに不況というような経済局面)であれば、反の経済(恐慌経済)である可能性もあり得ますし、企業が委縮しているなかで主として政府の財政拡大によって経済規模が維持拡大しているようなケースも反の経済(恐慌経済)である可能性があり得ます。

 正の経済とはつまりは、企業が、資本主義が本来想定しているような、中央銀行が金融緩和さえしていれば放っておいても借金を増やして設備投資を拡大し、経済成長(実質ベースの経済成長)に積極的に貢献している経済局面ということになります。このとき、政府の振る舞いとしては緊縮財政が望ましい。

 一方、反の経済とはつまりは、中央銀行による金融緩和だけでは企業が借金を増やし、かつ、設備投資も拡大するという状況とならないような経済局面であり、その場合、政府の振る舞いとしては拡大財政が望ましい。

 このような正の経済と反の経済とを、統計データを用いて数値的に定義し、判別する手段を提供するというのが本論文の第一段階で主たる部分となります。なお、この議論の展開にあたっては、「そもそも経済成長とは何か?それは実質ベースにおける、財やサービスの生産に関わる支出の増大と負債の拡大が同時に生じることである」というような経済成長の定義から入っています。


 そして、第二段階で従たる部分が、反の経済において政府が積極的に振る舞えるかどうかを判定するための政府財政余裕度(つまり、「国の借金、大丈夫か?」)に関する研究、ということになります。この部分に関しては私のこれまでの書籍で述べてきたことをより厳密に検討し直し、さらにいくつかの要素を加えた議論を展開しました。


※博士論文の全文はいずれ名城大学図書館のウェブサイトで公開されることとなる予定ですが、時期については調整中ということになります。



《博士号取得にあたっての最大の評価要因は英語論文の査読通過》

"Defining Thetical Economy and Antithetical Economy---Analyzing Behaviors of Corporations, Government and Central Bank, Using Macroeconomic Statistical Data"
(邦題 “「正の経済」と「反の経済」の統計データによる判別方法についての研究”)

という表題の論文(木下名城大学教授との共著。廣宮が第一著者)がアメリカの Academic Star が発行する論文誌 Journal of Business and Economics の査読を通ったことが、今回の博士号取得に必要不可欠な要素でした。

私の論文の掲載号は2014年11月号になります。

↓表紙の写真
JBE_Nov20140001.jpg





↓目次のページ(赤の囲み部分が私の論文)
目次


この論文については、いずれAcademic Star ウエブサイトの当該ページで公開されるものと思われます(2014年10月号までが既に公開されているので、恐らく今から一か月以内に)。

なお、この英語論文、日本語版がそっくりそのまま博士論文に含まれていますので、いずれ博士論文が見れるような状態となれば必然的に、この英語論文をそのまま日本語で見れるようになるという算段です。



《「国の借金」について》

私としましては、政府の財政余裕度の問題を扱う際、これからも「国の借金」という言葉を多用するつもりであります。
なぜなら、
1.短くて便利な言い回しである
2.この場合の「国」は国会議員が中央政府の議会の議員を意味するのと同様、中央政府を意味するのであって一切間違っていると思われる要素が見受けられない
からであります。

 もし、「国の借金」という言い方が間違いであるとしたら、国債は「中央政府債」に、国庫短期証券(償還期間1年以内の割引国債)は「中央政府庫短期証券」と言い換えなければなりません。しかし、そのような必要性はどこかにほんの少しでもあるのでしょうか?

 今後、例え私の書いた文章や資料等を参考としている方や、あるいは私が直接にご教示させて頂いた方であっても、「国の借金という言い方は間違いだ!」、「国の借金という言葉を使うのは財務省の陰謀だ!」とおっしゃる方がいらっしゃったとすれば、そのような方は私とは一切関係なく、私は一切関知しないということを、ここで改めて明白に宣言させて頂きたいと思います。悪しからず、ご了承くださいますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 もう少し平たく申しますと、「国の借金という言い方は間違いだ!」、「国の借金という言葉を使うのは財務省の陰謀だ!」との主張を繰り返すことは、不必要なところで積極財政派全体への評価を著しく低減させかねませんので、是非とも今後一切止めて頂ければまことに幸いに存じます。



《今後の当ブログ更新について》

この1年と3ヵ月ほどは博士論文関係で気力を使い果たすような感があり、なかなか更新できませんでしたが、今後は、興味深いニュース報道があった際などに短めの更新を適宜させて頂こうかと思っております。今後ともどうぞよろしくお願い致します!


《私の現在の日本経済に関する見解と政権に対する姿勢》

私は現在の日本経済は企業が積極的に経済成長に貢献しているとは言えない状態であるという認識を持っています。つまり、日本は「反の経済」というわけです。この場合、金融緩和ばかりを拡大し、政府の財政拡大があまり行われていないことについては、格差拡大と金融不安定化を招きやすいため、決して好ましいとは言えない、という見解を持っています。

しかし、だからと言って政権批判を行うつもりはありません。
私の見解というものは、もしそれが天意に沿うものであればいずれ用いられることもあるでしょう。逆に言えば、天意に沿うようになるまでは用いられることはない、ということになるでしょう。

昨年出版した著書において書経の「天、民をあわれむ。民の欲するところは天、必ずこれに従う」という言葉を紹介しました。安倍政権は、2012年の衆院選、2013年の参院選、2014年の衆院選において民意を得たと言えます。
 自民党が獲得した票はたかだか1,500万票程度、つまり有権者1億人の15%程度の支持しか得られていないとも言えますが、意思表示しなかった4,000万人の有権者は多数党に白紙委任したに等しいとも言えます。
 だから、やはり安倍政権は民意を得た、つまり、安倍政権は「民の欲するところ」=天意を得たとも言えます。仮にこれを経済政策に関する天意とするならば、私の志望するところは天意とは異なるということになります(2012年当初は一致していると思っていましたが…)。

自分自身の志望と天意が異なるとき、どうすべきかというと、私の場合はとにかく静かに自己研鑽を進めるということが一つのあり方ではないかと感じている次第です。これはすべての人にとって一様に絶対的に正しいということではなくて、あくまでも私自身にとって、ということです。

いずれ天意と自らの志望するところが一致するときが来るまで、とにもかくにも自己研鑽を進めておく、ということが「徳を積む」ということではなかろうか、と思わぬでもない今日この頃であります。



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