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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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652:米上院財政委員会で可決されたTPAは、#TPP を永遠に葬り去るか?――ただし「TPP消滅」=「アメリカの覇権終了」のため、いろいろ複雑な気もしますが…

2015/04/24 (Fri) 16:24
昨日、TPP関係で重要な動きがありましたね。


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米TPA法案、上院財政委が可決 本会議で来週にも採決へ
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPKBN0NE05P20150423
ロイター 2015年 04月 23日

[ワシントン 22日 ロイター] - 米上院財政委員会は22日、通商交渉の権限を大統領に一任する貿易促進権限(TPA)法案を20対6の賛成多数で可決した。上院本会議での審議に移り、安倍晋三首相が米国を訪問する来週にも採決にかけられる見通し。環太平洋連携協定(TPP)の妥結に不可欠とされる法案が成立に向け一歩前進した。

下院委員会では23日に審議する予定。

上院財政委員会では、白熱した議論の末、TPA法案に為替操作国への制裁に関する条項を盛り込むことはやめ、別途法案としてTPA法案に付随させることで決着した。

ハッチ委員長(共和党)は「今夜の委員会の行動は、国際通商政策にとって極めて重要な節目となり、超党派の長年にわたる真の努力を反映するものだ」と述べた。

安倍晋三首相は米国を来週訪問し、オバマ大統領との会談のほか、日本の首相として初めて上下両院合同会議で演説する予定。





TPA(大統領貿易促進権限:これがあると議会が貿易協定につき修正を求めることなく最終的な可否だけを議決することになる)が通るとTPP妥結に向けて一気呵成に推進…と日本では報じられることが多いように思われます。

しかし、当ブログではむしろその逆ではないかという見方――あるいは、妄想――をこれまでに書いてきました。

このような見方…あるいは妄想を持つ人は、アメリカにもいるようです。

ワシントン・ポストの政治ブログWonkblogに興味深い記事がありましたので簡潔に紹介したいと思います。

※ワシントン・ポストはウォーターゲート事件で名を馳せたアメリカの有力紙で、以前はリベラル寄りと目されていたようですが、保守寄りの記事も扱っているようです。現在は、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾフ氏が所有者となっています。なお、紹介する以下の記事を書いたのはリベラル系の記者のようです。

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Ron Wyden’s case for giving Obama the authority to strike a trade deal
オバマに権限(TPA)を与えて貿易協定(TPP)を叩き潰すというロン・ワイデン上院議員の主張
http://www.washingtonpost.com/blogs/wonkblog/wp/2015/04/20/this-may-be-the-best-liberal-case-for-giving-the-president-the-authority-to-strike-a-trade-deal/
By Lydia DePillis, April 20, 2015

He's trying to coax liberals into giving up some power, in exchange for a promise that it will turn out closer to how they want in the end.
ワイデン議員(上院財政委の民主党トップ、選挙で民主党が負ける前は委員長)はリベラル派をたきつけ、部分的に譲歩する替わりにリベラル派が最終的に望むところに近づくことを確実にしようとしている。



で、記事の前半は、TPPが大企業に支援されたオバマ大統領によって――これがなければアジアからアメリカ企業が締め出されてしまうという理由で――推進されている、労働組合などリベラル派がTPAも含めてTPPを阻止しようと躍起になっている、というお話です。

ところが、民主党の重鎮たるワイデン議員――3年前、「国会議員の大多数は、TPPの実体に関して暗闇の中に置かれたままだ。しかし、一方でハリバートン(石油)、シェブロン(石油)、PhRMA(米国研究製薬工業協会)、コムキャスト(ケーブルテレビ、インターネット)、アメリカ映画協会といった米国企業の代表には、相談を持ちかけ、TPP協定の詳細についての機密を教えている」と告発した、あのワイデン議員――が、いまやTPA成立を主導しているというわけです。

しかし、もちろんタダでは妥協していません:

And Congress offers a compromise: They give away the right to quibble with specific sections of the treaty, in exchange for a promise that the administration will adhere to a set of priorities Congress lays out.
議会は、議会が協定の詳細につき注文を付ける権利を放棄する替わりに、議会の示す一連の優先事項を遵守することをオバマ政権に約束させるという妥協案を提示した。



But Wyden -- and fellow Democrat Earl Blumenauer (Ore.), a liberal's liberal if there ever was one -- are pointing to a few things in the TPA bill that they say should be reasons enough for the rest of the caucus to hold its nose and vote for it.
ワイデンやその仲間でリベラル中のリベラル――そんな人が存在していたのであればであるが――である民主党のEarl Blumenauer (オレゴン選出)は、今回のTPA法案には彼らが他の民主党幹部らが鼻をふさいで投票するのに十分な理由となるいくつかの事項があると指摘している。

(以下、抄訳)

Transparency: One of Democrats' top complaints about the Trans-Pacific Partnership has been that -- as is common with trade deals -- it was hashed out in secret. The bill strengthens procedures for congressional access to the text in future negotiations, and directs the U.S. Trade Representative to hire a "Chief Transparency Officer" responsible for making information more widely available.
透明性:…USTRが透明性担当官(Chief Transparency Officer)を置いて議会がより広範囲な情報を引き出せるようにする。

※つまり、ワイデン議員がかねてから懸念を表明していた「国会議員の大多数は、TPPの実体に関して暗闇の中に置かれたまま」の状態が解消されることが期待されるわけですね。TPAが上下両院で可決されれば「何じゃこりゃ?」な部分が無数に出て来るんじゃないかと…。


Corporate rights: A wide spectrum of constituencies -- from tea party groups to Sen. Elizabeth Warren -- have repeatedly raised the alarm about a provision called "investor state dispute settlement," which would allow corporations to sue foreign governments for treating them differently than they treat domestic corporations. They worry that could open up local U.S. jurisdictions to lawsuits over their own labor, environmental and health protections if a company decides they get in the way of profitability. The Trade Promotion Authority bill says that U.S. laws should be safe from such attacks. "The application of any provision of a trade agreement ... that is inconsistent with U.S. law shall have no effect," reads the bill summary, adding: "reports issued by dispute settlement panels convened under trade agreements ... shall have no binding effect under U.S. law."
企業の権利:…茶会党(共和党の最右翼)からエリザベス・ウォーレン上院議員(民主党)まで幅広い層が懸念するISDS条項――企業が「そんな規制や法律は貿易協定と違うじゃないか」と加盟国政府を国際組織に訴える権利を与える条項――については、貿易協定のいかなる条項も米国の国内法に矛盾するものは無効とする。

※そう言えば、これまでにアメリカが結んだすべての自由貿易協定(FTA)の施行法において、「米国国内法>貿易協定」となることを担保する条文がありましたね。今回のTPAでもこれが含まれるようです。


Labor and environmental protections: Trade unions and environmental groups say that free trade has allowed U.S. companies to do business more cheaply in places where labor and environmental protections are weak, enabling a "race to the bottom." The Trade Promotion Authority bill directs U.S. negotiators to make sure that parties to trade deals with the United States adopt and implement internationally recognized labor standards -- such as prohibitions on child labor and human trafficking, and protections for union organizing -- and comply with a suite of environmental treaties. The U.S. Trade Representative has said all along it would do this, as it has in a few recent trade agreements.
労働と環境の保護:…協定の加盟国で労働組合がなかったり環境保護規制が甘かったりするような国があれば、そのような国では不当に低コストでモノ作りができるので、アメリカの労働者が不当に不利益を受けることになります。それを防ぐために加盟国には厳格な労働規制や環境規制を備えることを貿易協定に盛り込むべし、ということですね。

Enforcement: The bill tries to make sure that trade violations are swiftly dealt with by requiring the White House to submit an enforcement plan, including requests for more border personnel and other staff needed to keep up with increased flow of goods. It also decrees that parties to the agreement shouldn't be able to make the excuse that they can't enforce labor and environmental protections just because they don't have the resources, and directs the U.S. to help them build their capacity for enforcement. Similar labor provisions in other recent agreements, while not enforced perfectly, have led to increased inspections in Latin American countries that have signed free trade agreements with the U.S.
施行:上記の労働や環境の規制を加盟国に実際に施行させることやアメリカがその手助けをすべき、ということですね。


Currency: The bill asks that future trade deals prevent parties from manipulating their currency to gain a competitive advantage for their exports. That's significant, because while labor groups and domestic manufacturers (both the Big Three auto companies and the United Auto Workers, for example) have pushed hard for the TPP to address currency, the Obama administration has refused, arguing that countries like Japan would never accept a deal that did so -- and that a currency provision might also constrain the U.S.' own monetary policy tools, like the quantitative easing process it used to try to propel the country through a recession. Still, using a trade agreement to address currency has been popular on both sides of the aisle, and might ultimately be a dealbreaker when TPP finally comes to Congress for approval.
通貨:労働団体やビッグスリーなど国内製造業が強硬にTPPに為替操作禁止条項を含むように求めているが、オバマ政権はそんなことをしたら日本が拒絶するしアメリカも不況時に量的緩和が出来なくなってしまうとして拒否してきた。この通貨・為替問題は共和・民主両方で多くの関心を集めており、TPPが議会で採決される際に最終的な破談要因dealbreakerになる可能性がある。

※このエントリーの冒頭に紹介したロイター記事によるとこの為替操作禁止関係の事項はTPAには入れず、別の法案を添えるということになっているようですが、TPPはこの問題と無関係ではいられなさそうです。とすると、2013年4月からの「日銀黒田バズーカ」が期せずしてTPPを崩壊させるdealbreakerとなる可能性もなきにしもあらず(?)


 Of course, those objectives don't guarantee that the deal will ultimately come out the way Congress wants. The White House has to get 12 other countries on board, after all. But it does send a message that if the agreement doesn't pass muster according to those criteria, Congress might reject it entirely, potentially requiring more years of negotiation -- if it comes back at all.
もちろん、これらの(TPA法案に提示されることとなる)交渉目標は、貿易交渉が、議会が望む通りとなることを保証しない。結局のところホワイトハウスは12の国々と交渉しているからだ。しかし、このTPA法案は、貿易協定がこれらの条項を満たさなければ、議会が全面的に否決し、交渉にはさらなる年月を要することになるかもしれない――交渉が続けられるのであれば、であるが――というメッセージとなるだろう。





2年前、安倍首相がTPP交渉参加を表明する直前に当ブログで私は次のように書きました:

少なくとも、「日本が交渉参加しない」と表明した場合よりも、「日本が交渉参加する」と表明した場合のほうが、TPPそのものが消滅するという、最も望ましい状態が成立する確率が確実に高まります。


また、昨年の夏には以下のように書きました:

ただしTPPが消滅するとなると、それは昨年9月の「シリア攻撃未遂事件」と並ぶ、アメリカによる覇権の終焉の明確なサインとなってしまうかも知れません。そうなれば、日本の政治経済情勢はますます混沌とした状態になるやも知れません。



このような見方は、私だけの妄想(笑)かと思っていましたが、そうでもないようです。


以下、英エコノミスト誌の記者や、あるいは、アメリカの重要人物たちがそのような見解を示していることが分かる日経ビジネス記事(英エコノミスト誌記事の邦訳版)の5か月前の記事の抜粋です:

-----

米国がTPP実現にこだわる理由
日経ビジネス 2014年11月24日号 p.114-p.116 (元の記事はThe Economist Nov. 15, 2014)



TPP、日本参加で難度アップ
…参加国の中にはベトナムやマレーシアのようにサプライチェーンを安い労働力に依存する国もあるため、ただでさえ交渉を進めるのは難しかった。
 そこへ自国の農業を保護したがる日本が2013年に参入、交渉の難度はさらに高まった。だが19回の交渉会合を経て、大きな進展を遂げた。昨年中の妥結という目標は逃したが、現在、年内の合意に向け大きく動いている。

※もちろん「昨年中の妥結」はありませんでしたね。




米国にとってのTPPの意味

フロマンUSTR代表はTPPを極めて大きな観点から捉えている。TPPは米国のアジア重視策の根幹をなすと語る。

「世界の貿易システムの今後がどういう方向に向かうか不透明な時代にあって、流動的だが重要地域であるアジアにおいてTPPが成立すれば、今後の貿易システムの方向をはっきりさせることができる」と同代表は語る。
 裏を返せば失敗は大きなリスクにつながるということだ。フロマン氏もこの点を理解している。彼が「もし失敗すれば米国は世界経済の中心という座を追われかねない」という過激な主張を展開したのも、動きが鈍く内向きな米議会に行動を促すためだったのかもしれない。
 ワシントンの専門家の多くは、米国がアジアで主導権を握れるかどうかの瀬戸際にいるという点に同意している。米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーン上級副所長は、TPPが失敗すれば「米国が太平洋の強国だとのイメージに傷がつき、主導権を放棄すると映るだろう」と指摘する。…米ブルッキングス研究所のミレヤ・ソリスに本部長は「TPPを成功させなければ米国の信用は壊滅的な打撃を受ける」と話す。

 懸念の声は米軍内でも浮上している。太平洋に駐留するある海軍将校は、「TPPは、貿易を通じた将来、透明性、そして法の支配に貢献する国々をまとめる役割を果たす。中国が進めるモデルに対し米欧が進めるものだ。中国が参加すれば中国の発展の仕方を変える可能性があり、断れば参加したくないということがはっきりする」と語った







私の妄想を書いておきますと、恐らく現在、アメリカは覇権国の座を追われようとしている、あるいは、自らその座を降りようとしているというのが大きな流れのように感じています。

この流れであるということが正しいのであれば、TPPは不成立になる可能性が高いことになります(いや、妄想なので可能性とかいう必要はありませんが!)。


覇権国であることや、基軸通貨の地位を保つことは、恐らく、ことのほか骨の折れるものなのだと思われます:

強大な軍事力を維持しなければならず、そのためには通貨を実力以上に高い状態に維持しなければならず、そのためには強大な軍事力を維持しなければならず、そのためには通貨を実力以上に高い状態に維持しなければならず…という悪循環に陥るからであります。


「強大な軍事力を維持」にはかなり強力な動機づけが必要でしょう。
 これはカネだけではないでしょう。精神力も必要不可欠です。
ベトナム戦でのアメリカは戦死者・行方不明者6万人を超えましたが、それでも89年のパナマ侵攻、90年の湾岸戦争、94年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争への介入、2001年のアフガン紛争、2003年のイラク戦争と延々と戦争を続けてきました。しかし、2000年代以降のアフガンやイラクでの戦死者は合計でも数千人であり、ベトナム戦より一桁小さいわけです。
 それにも関わらず、厭戦気分の広がりによって2013年9月のシリアへの軍事介入は中止なったという具合です。私の個人的な感想では、経済力、カネの問題よりは心理的な戦争疲れの要因のほうが大きいと思います。このようなことは「覇権国の地位をむしろ積極的に降りたい」という動機づけになっていても不思議はないように思います。
 もちろん、軍事力の維持にはカネも必要不可欠ではありますが。

「通貨を実力以上に高い状態に維持」することの代償は、簡単に言ってしまうと製造業の空洞化→金融依存→金融の不安定化&格差拡大といったところでしょう。
「通貨を実力以上に高い状態に維持」するための方法は、例えば、
世界中の貿易決済ができるだけドルであることを維持することで、各国がいちいちドルを自国通貨に両替するよりも決済用のために一定程度はドルで保有することの動機づけとなりドル安圧力を減らす。
石油や金などコモディティーができる限りドルで決済される状態を維持することで、各国がいちいちドルを自国通貨に両替するよりも決済用のために一定程度はドルで保有することの動機づけとなりドル安圧力を減らす。従来、サウジなど産油国は石油の決済どころか自国通貨までドルペッグし、有り余るドルを米国内に投資するというような動きをしていた。アメリカが経常赤字でドル安圧力があっても巨大な経常黒字国が自国通貨のレートをドルに固定することでドル安圧力が緩和された。
・また、基軸通貨と見なされるがゆえに、通貨の弱い国では官民問わずかつての金のような感覚でドル備蓄を増やそうとするため、ドル売り圧力が減る。
と言った具合でしょうか。
 ドルが実力以上に高ければ、相対的に安いコストで資源を購入できるため、軍備・兵站も整えやすい→覇権を維持しやすいという構図だったのかも知れません(ドル高と覇権の相互依存関係という構図)。

 しかし、実力以上の通貨高により先ほどの「製造業の空洞化→金融依存→金融の不安定化&格差拡大」でこれ以上実力以上の通貨高を維持するのが困難になった。さらに、戦争疲れも重なっている。よって、軍備の維持やガンガン戦争をするということができなくなって来ており、覇権を維持し続けるのが難しい、あるいは、そのメリットが薄れてきた。とすると、基軸通貨であることも意義、メリットが薄れてきた。

 つまり、キャンディーズが引退して「普通の女の子に戻ります」というのと同様、アメリカも覇権国を止めて「普通の国に戻りたい」という動機づけが働いているとしても不思議はありません。そして、現在のアメリカ国内では「覇権・基軸通貨維持派」と「普通の国に戻りたい派」のせめぎ合いが起きているという状況なのかも知れませんが、どうでしょうかね?

 安倍政権はTPP交渉への参加や、AIIBへの不参加を通じてアメリカの「覇権・基軸通貨維持派」に積極的に貢献しようとしているように見えます。しかし、TPPに関しては「覇権・基軸通貨維持派」に積極的に貢献のように見えて、日本の交渉参加によってアメリカ覇権維持に必要不可欠なTPP成立のハードルを着実に上げ、実は間接的には「普通の国に戻りたい派」の望みどおりの結末をもたらそうとしている、と見えないこともありません。もちろん、このままあっけなくTPPが成立してしまう可能性もなくはありません。しかしそうであったとしても、安倍政権、甘利大臣は今に至るまで2年も粘っているのですから、それは結果として、当初の想定以上にTPP成立のハードルをつり上げることにつながったものと思われます。

 一市井人の私には、安倍総理の真意はもちろん分かりません。
 分かりようがないですし、仮に私のような一市井人に簡単に真意を見破られるようであれば、むしろ一国の指導者としては心もとない、とも言えるでしょう。孫子でいうところの「その勝ちを見るに、衆人の知るところに過ぎざるは、善の善なるものにあらず」(=誰にでもわかるような方法で勝つような将軍は、最善の将軍とは言えない。最善の将軍は大衆が知らないところで大衆が知らない間に密かに勝っているものである、というような意味合い)です。

 なお、私はここでは決めつけは一切しないつもりです。
 というのは、レーニンやヒトラー、ムッソリーニが活用したというル・ボンの大衆煽動テクニックである「断言・反覆・感染」の逆を行きたいからです。不安定な時代において「断言・反覆・感染」を行うのはかなりの危険を伴うと考えるようになったからであります。


 また、私は個人的には、今後仮に中国、あるいはその他の国の覇権になるとしても、軽々しくアメリカ旦那を見捨てて中国様に走るというのはいかがなものかとも思います。
 6年前、当ブログで書いた「日本、家康理論」のように、アメリカ旦那=信長旦那が本当に「高転びに、あおのけに転ばれ候ずる」までは、アメリカ旦那を支え続けるのが良い――少なくとも徹底的にそのふりをするのが良い――と思っています。そのようにすれば一度同盟すれば決して裏切らない、世界中のどの国よりも義理堅い国、日本」という実績が残ります。

 ただ、家康のように天下を取れるか、あるいは、天下を取るべきなのか、となると少し考えが揺らぎます。いまは「本能寺の変前夜」なのではなく「関ヶ原前夜」、つまり、日本の立場は家康というよりは、義理堅く豊臣側についた上杉、毛利、島津のような立場かも知れないと最近は思うからです。上杉、毛利のように120万石を30万石に減らされる憂き目に遭うことなく、島津のように所領を全面的に保全できるかどうか。それが今後の安倍政権にかかっているという段階なのかも知れません。もしそうならば、今後の日本は、次の覇権国から島津のように恐れられる存在になっている必要がある、というべきでしょうか。



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