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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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702:積極財政派、世界で急激に増殖中:ヘリコプターマネー(中央銀行の国債直接引受け+財政出動)で『異次元大恐慌』は回避されるか?

2016/03/24 (Thu) 12:02
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『2016年、異次元大恐慌が始まる』
飛鳥新社 刊


 好評発売中


ちなみに、私自身が考えていたタイトルとオビの原案はというと、

タイトル 原案:『世界大恐慌2.0 ――世界と日本を激変させる、歴史的大波涛』

オビ文言 原案:「資本主義でも、共産主義でも、民主主義でもない、異次元な新時代の幕開け」


というような、もう少し穏当(?)なものでありました。少なくとも「大恐慌=この世の終わり」ではありません!


「世界大恐慌2.0」というのは、次に起こりそうなのは「1929年世界大恐慌のバージョンアップしたもの」になりそう、という意味合いです。
→なぜそうなるかというのは、経済的なカネ勘定の問題よりは、政治的な権力構造の問題ではなかろうか、という仮説になります。


目次項目の一覧はこちら





さて、本題です:

最近、ブルームバーグ日本語版で興味深い記事が多く出ており、昨日に引き続き、ブログ更新です。


-----
空から金のヘリコプターマネーにわかに注目-中銀直接引き受け可能か
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-03-23/O4H16G6K50XV01
ブルームバーグ 2016年3月23日


・シティとHSBC、コメルツ銀が相次ぎリポート

・度重なる利下げと資産購入にもかかわらずインフレはなお弱い



度重なる利下げと12兆ドル(約1347兆円)の資産購入が世界的な金融危機以降に行われたにもかかわらず、インフレの針を十分前に進ませることができない中央銀行は、未踏の領域にさらに深く歩を進める必要があるかもしれない。

世界をディスインフレから脱却させる新たな手段は、中銀による政府の景気刺激策の直接ファイナンス、すなわちノーベル経済学受賞者のミルトン・フリードマン氏が1969年に提唱した「ヘリコプターマネー」と呼ばれる戦略が鍵を握っている可能性がある。

  シティグループとHSBCホールディングス、コメルツ銀行のエコノミストは、ヘリコプターマネーをテーマとする投資家向けリポートを過去2週間以内に相次いで公表した。世界最大規模のヘッジファンド運用会社ブリッジウォーター・アソシエーツを率いるレイ・ダリオ氏もこのアイデアが可能性を秘めていると考える。さらに欧州中央銀行(ECB)当局者の間でも、ドラギ総裁が「非常に興味深い考え」と呼ぶコンセプトについて既に論争が行われている。

  オックスフォード・エコノミクスのエコノミスト、ガブリエル・スタイン氏(ロンドン在勤)は「『ヘリコプターマネー』が次に試みられる特効薬(シルバーブレット)かどうか確かなところは分からないが、このトピックは予想よりかなりの注目を集めている。どこかで何らかの形で実行される可能性はかなり高いのではないか」と指摘する。

新たな手段の発動余地がいずれもなくなりつつある金融・財政政策を融合するヘリコプターマネーの理論は、現代社会において主要国が試みた例はない。銀行が現在果たしているような制約を伴う通常の仲介機能を経由せず、財政事情が苦しい政府が中銀に短期国債を直接売却することで、減税または歳出プログラムを通じて実体経済に増発された貨幣を投入することが想定されている。

  ブリッジウォーターのダリオ氏も3日のブルームバーグとのテレビインタビューで、「われわれのリスクはインフレでも景気の過熱でもない。消費する人々にさらに直接的に働き掛ける必要が出てくるだろう」と語った。
原題:Billions From Heaven? ‘Helicopter Money’ Option Wins Fans(抜粋)

-----


おや、まあ。

世界的に積極財政派が急激に増殖中のようで、それは喜ばしい限りでありますね!

シティが国債直接引き受けに言及していたことについては、『異次元大恐慌』でも取り上げていました。それは、昨年9月ですね:





今回取り上げた記事には

金融・財政政策を融合するヘリコプターマネーの理論は、現代社会において主要国が試みた例はない。

とありますが、日本では第二次大戦直後、財政法で国債の直接引き受けが原則的に禁止されたあとでも、法の網をかいくぐって実質的に国債の直接引き受け&大規模財政出動が行われました。
それは『異次元大恐慌』でも書いたとおりであります(大元の出典は『日本銀行百年史』第5巻ですが、私の『異次元大恐慌』では関連記述をコンパクトにまとめてあります)。

財政法について少しだけ書きますと、第5条

「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。」

「原則禁止」ですが、第7条

「国は、国庫金の出納上必要があるときは、財務省証券を発行し又は日本銀行から一時借入金をなすことができる。

というような抜け道があります。当時GHQはこの抜け道を日本政府に使わせたわけです。他にももう一つの抜け道、「復興基金の発行債券は国債ではない」という裏ワザを使わせています。

要するに、日銀直接引受&財政出動は、できんことはないわけです。


問題は『異次元大恐慌』が起きる前に、政治的に実施できる環境が整うかどうか、です。


それと、気を付けなければならないのは、『異次元大恐慌』でも繰り返し、繰り返し強調しましたように、

経済はカネではなく、モノが足りるかどうか

という大原則です。

カネは人やモノを適切なところに動かすための方便、道具に過ぎません。

カネが無限だからと言って野放図に使うことで却って生産能力を損なうようなことになり、物不足が起きてしまっては本末転倒です。

ヘリコプターマネーを使う場合には、その辺りをしっかり考えて、生産能力を損なわず、むしろ、少子高齢化で将来不足することが必至の生産能力を高めつつ、不足する需要を補う、という方向性が何よりも肝要です!




いずれにせよ、

積極財政派が世界的に絶賛増速中なことに関しては

喜ばしい限りでありますな


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701:ECBの量的緩和で追い詰められるドイツ銀行 + 『異次元大恐慌』の引金を引くのは中国か?それとも、欧州か?

2016/03/23 (Wed) 12:01
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ちなみに、私自身が考えていたタイトルとオビの原案はというと、

タイトル 原案:『世界大恐慌2.0 ――世界と日本を激変させる、歴史的大波涛』

オビ文言 原案:「資本主義でも、共産主義でも、民主主義でもない、異次元な新時代の幕開け」


というような、もう少し穏当(?)なものでありました。少なくとも「大恐慌=この世の終わり」ではありません!


「世界大恐慌2.0」というのは、次に起こりそうなのは「1929年世界大恐慌のバージョンアップしたもの」になりそう、という意味合いです。
→なぜそうなるかというのは、経済的なカネ勘定の問題よりは、政治的な権力構造の問題ではなかろうか、という仮説になります。


目次項目の一覧はこちら





さて、本題です:

表題の件。

まずは以下に引用したブルームバーグの興味深いコラムをどうぞ:

-----

【インサイト】ECB債券購入、銀行のトレーディング事業に打撃必至
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-03-21/O48N7O6K50XT01
Duncan Mavin
ブルームバーグ 2016年3月22日

欧州中央銀行(ECB)は量的緩和(QE)での月々の債券購入額を800億ユーロ(約10兆円)とこれまでの600億ユーロから増やすことや、銀行債以外の投資適格社債を購入対象に加える策を打ち出した。しかし、これがユーロ圏の投資銀行に打撃を与えることは必至だ。

  ECBの措置が景気回復に役立つかどうかはまだ分からないが、投資銀行の債券・通貨・商品(FICC)トレーディングデスクが苦労することだけは確実だ。ECBはこれまでのQEを通じて既に、ユーロ圏の国債の相当部分を保有。それを社債にまで拡大しようというのだ。

  バーンスティーン・リサーチ(ロンドン)のアナリスト、チランタン・バルア氏はユーロ圏の銀行債を除く投資適格社債市場の月次流動性を250億-350億ユーロと見積もる。仮に、ECBが購入増額分のうち100億ユーロを社債に回したとすると、ECBは流動性の約3割を吸い上げてしまうことになる。これは金融危機後一貫して収入が減っているFICCトレーディング部門をさらに圧迫する。

  理論的には、QEは合併・買収や株式の発行・売り出しなどを促すことで投資銀行業務の収入に寄与する。QEによって実際に景気がよくなれば銀行も恩恵を受ける。しかしFICCトレーディング収入への依存が依然として大きい銀行にとっては、あまり慰めにならない。HSBCホールディングスの見積もりによれば、ドイツ銀行ではこれが投資銀行全体の収入の57%を占めている。

  既にFICCトレーディング事業の縮小を決めている銀行は多いが、収入のさらなる急激な減少は全行の再編を難しくする。収入が想定以上のペースで減れば、計画しているコスト削減では追いつかなくなる。ECBの措置は欧州の成長を復活させるかもしれないが、域内の投資銀行の苦しみは増すばかりだ。

(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見を反映するものではありません)

原題:ECB’s Bond-Purchase Plan Promises Pain for FICC Trading: Gadfly(抜粋)




これを執筆したDuncan Mavin氏の経歴は、元の英語版のほうに書いてありますが、

・元ウォール・ストリート・ジャーナル勤務
・公認会計士
・銀行業務や資金運用業務に従事経験

とのこと。

元の英語版のほうでは、ドイツ銀行、バークレイズ銀行、クレディ・スイス、UBSの固定収入(Fixed Income)における、債券・通貨・商品(FICC)トレーディングが占める割合のグラフが掲載されていますが、

ドイツ銀行 57%
バークレイズ銀行 43%
クレディ・スイス 36%
UBS 23%


となっています。ドイツ銀行は競合他社にくらべて、ECBの金融緩和で今後さらに減りそうなFICCへの依存度がかなり高いわけです。

元の英語版記事では、そのFICCによる収入の世界的な銀行13行の合計額の推移グラフも掲載されているのですが、

2009年   1340億ドル
2015年   710億ドル
2016年推計 580億ドル


のように今年は09年の半分以下、昨年の2割減になりそうとのことです。

関連して、先月、「『困難な』環境を理由に年内に4000人を削減する計画を加速させる考えを示していた」ばかりのクレディ・スイスは…

-----
クレディ・スイス、投資銀行の縮小を加速へ-関係者
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-03-22/O4GN2A6K50XS01
ブルームバーグ 2016年3月23日

-----

ちなみに、ドイツ銀行、バークレイズ銀行、クレディ・スイス、UBSの昨日の株価に基づくPBR(株価÷一株当たり簿価)はというと、

ドイツ銀行 0.34倍
バークレイズ 0.56倍
クレディ・スイス 0.64倍
UBS 1.11倍

となっています。FICC依存度が高いほど割安(売り込まれている)という具合です。つまり、世界的な金融緩和の影響を受けやすい収益構造になっているほど、売り込まれているという格好です。

ドイツ銀のPBR 0.34倍というのは、株価が簿価=解散価値(いま会社を解散して残存資産を清算した場合の価値)の0.34倍ということになります。つまり、解散価値の66%引きの値段でないと、誰もドイツ銀行の株を買わない状態であることを意味します。


Bigcharts.comで一株当たり利益(EPS)のデータを見てみますと、

ドイツ銀行はリーマンショック時、「ショック」の少し後になって初めて赤字決算になりました。危機直前まではむしろ増益でした。
一方、今般は、リーマンショックのような明確な「ショック」がないにもかかわらず、すでに赤字に陥っています。

ScreenShot_20160323111350.png


もっと言えば、前回ショック直前期は、増益のなかで株価が下落していました。市場は、意外と冷静に分析していたということかも知れません。今回も市場は冷静に分析したうえでドイツ銀行を売り込んでいるのかも知れません。そう考えれば、ドイツ銀行は現在、前回ショック時よりもヤバい状態なのかも知れませんね。


昨日か一昨日あたり、横綱白鵬による「ダメ押し」が物議を醸していましたが、ドイツ銀行に関してはムーディーズがダメ押し、いや、ダメ出しをしようとしているようです。

-----
ドイツ銀行を格下げ方向で見直し-ムーディーズ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O4EQ7C6KLVRC01.html
ブルームバーグ 2016/03/22 05:57 JST

-----

もちろん、リーマンショック前に訳の分からない金融商品にAAAの格付けを出していたような大手格付け機関が信用できるのかどうか、という問題はあります。

ちなみに、ロシアはプーチン大統領肝煎りで独自の格付け機関を立ち上げました:





それはそれとして、上記の収益構造と金融緩和から受ける影響を考えれば、ムーディーズが「ドイツ銀、ヤバい」と判断して格下げしようとしていることは適切なものなのかも知れませんね。


昨年来、「中央銀行の中央銀行」というべき国際決済銀行BISが盛んに、金融緩和の限界を警告していましたが、ECBは意図的にドイツ銀行を追い詰めているのか、意図せずして追い詰めてしまっているのか…


さらには、昨日のベルギー首都ブリュッセルにおける連続爆破テロを受け、今後EUにおける人、物、カネの動きはますます制限を受けそうです。

-----
ブリュッセル孤立-テロで空港閉鎖、タリスやドイツ鉄道も運行停止
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-03-22/O4G0V06JIJUY01
ブルームバーグ 2016年3月22日

22日の爆弾テロを受けてブリュッセルへの航空および鉄道の運行が停止され、ベルギーの首都は孤立状態になっている。


-----

さらには、このテロで英国のEU離脱の可能性が高まったとの見方も…


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NY外為:ポンド下落、テロでEU脱退リスク強まる-円下落
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-03-22/O4FMXX6JIJUO01
ブルームバーグ 2016年3月22日

22日のニューヨーク外国為替市場ではポンドが主要通貨の中で最も下げた。ブリュッセルでのテロ攻撃を受け、英国の欧州連合(EU)離脱「Brexit」支持派が勢いづくとの見方からポンド売りが膨らんだ。


-----

欧州のみならず、中国もけっこうアレな感じです。











 『異次元大恐慌』の引金を引くのは、

 中国か?

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700:米株押し上げた最大の推進力=「自社株買い」もそろそろ弾切れの模様

2016/03/14 (Mon) 12:25
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タイトル 原案:『世界大恐慌2.0 ――世界と日本を激変させる、歴史的大波涛』

オビ文言 原案:「資本主義でも、共産主義でも、民主主義でもない、異次元な新時代の幕開け」


というような、もう少し穏当(?)なものでありました。少なくとも「大恐慌=この世の終わり」ではありません!


「世界大恐慌2.0」というのは、次に起こりそうなのは「1929年世界大恐慌のバージョンアップしたもの」になりそう、という意味合いです。
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さて、本題です:

表題の件。
米国のビジネス・技術ニュース専門のネットメディア、ビジネス・インサイダーに興味深い記事があったので、大雑把に全訳しておきます:


The biggest force powering the stock market is starting to disappear, and it could be a huge problem
株式市場を押し上げていた最大の力が消えつつあり、それは大問題となり得る

Bob Bryan, Business Insider
Mar. 12, 2016

Since the beginning of the post-crisis bull-market run, the biggest buyer of equities hasn't been retail investors or institutions but companies themselves.
危機後の上げ相場が始まって以来、株式の最大の買手は個人投資家でも機関投資家でもなく、株を発行していた企業自身だった。

Companies have been supporting the stock market through buybacks for years.
この数年、企業は自社株買いを通じて株式市場を支えてきた。

But according to some analysts, the era of buybacks may be coming to a close.
しかし、一部の分析者によれば、この自社株買いの時代は終焉しそうだ。

And this could be terrible news for the stock market.
そしてこれは株式市場にとってひどく恐ろしいニュースになり得る。


[Companies have been their own best friends]
[企業は自分自身の最大の友だった]

According to a note from analysts at HSBC, buybacks have been the source of most of the demand for stocks since 2009.
HSBCの分析者らが書いたノートによれば、自社株買いは2009年以来、ほとんどの株式需要の資金源であった。

The note said that for each of the past two years, companies in the S&P 500 have bought back nearly $500 billion of their own stock and a total of $2.1 trillion since 2010.
そのHSBCのノートは、過去2年において毎年、S&P500構成企業は5千億ドル(1ドル=120円とすれば、60兆円)の自社株買いを実施しており、2010年以来の合計は2.1兆ドル(同252兆円)になる。

This huge amount of buying has been a massive source of upside for the stock market, said Liz Ann Sonders, chief investment strategist at Charles Schwab.
この巨額の買い入れは、株式相場上昇の巨大な資金源であったと、チャールズ・シュワブ(米国の大手格安証券会社)の主席投資ストラテジスト、リズ・アン・ソンダースはいう。

"There's no question that by far corporate buyback have been the source of most of the buying in the stock market," Sonders told Business Insider on Wednesday. "On a cumulative basis there has not been a dollar added to the US stock market since the end of the financial crisis by retail investors and pension funds."
「これまで、企業の自社株買いがほとんどの株式市場の買手の資金源であったことが疑いない」、ソンダースは水曜、ビジネス・インサイダーに述べた。「累積では、金融危機の終了後、個人投資家や年金基金から米国株式市場への資金流入は1ドルもなかった。」

Jonathan Glionna, equity strategist at Barclays, laid out just how important this has been to equity markets, comparing the boost from buybacks to the Fed boosting the bond market through quantitative easing.
バークレイズ銀行の株式ストラテジスト、ジョナサン・グリオナは、自社株買いによる刺激とFRBが量的緩和を通じて債券市場を刺激したことを比較しながら、このことが株式市場にいかに重要であったかという議論を展開している。


[The end of financial engineering?]
[金融工学の終焉か?]

For Glionna, the current problems is that many companies are financing buybacks through debt issuance, and so any tightening of credit conditions — which we've seen in the last several months — will lead to an inability for companies to finance and execute buybacks at the rate seen in the last few years.
グリオナにとって現在の問題は、多くの企業が社債発行によって自社株買いの資金調達をしており、いかなる金融環境の引き締まり――この数か月間において我々が目撃した金融環境――も、この2、3年に見られたような金利で企業が自社株買いのための資金調達をすることを不可能にするだろう、ということだ。

That would end the reign of buybacks as the biggest buyer in the market.
それは、市場における最大の買手としての自社株買いの大流行を終わらせる。

Omar Aguilar, chief investment office for equities at Charles Schwab Investment Management, said this is already coming to pass.
チャールズ・シュワブ・インベストメント・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、オマール・アギラーは、これが既に起こりつつあるとしている。

"The cycle for buybacks is nearing its end," Aguilar told Business Insider on Tuesday.
「自社株買いのサイクルは終わりに近づいている」とアギラーは火曜、ビジネス・インサイダーに述べた。

"Cheap financing has encouraged buybacks for some time. It's easier to do when you can simply ask for a loan to finance the buybacks and as the Fed tightens and interest rates increase, this isn't going to be as available."
「低金利による資金調達はしばらくの間、自社株買いを活性化させてきた。自社株買い資金の借入は容易であったが、FRBが金融を引き締め、金利が上がるにつれ、このような資金の調達は利用できなくなりつつある」


[The impact on the stock market]
[株式市場への影響]


The issue that should scare investors is what would happen if this corporate stimulus went away.
この投資家を震え上がらせるであろう問題は、企業による景気刺激が遠のけば起こることになるだろう。

"I have sympathy with the idea of increased risks if buybacks were to dry up," Sonders told us. "Certainly there's a possibility that if that were to happen it could cause a serious downside for equity markets."
「自社株買いが干上がればリスクが増大するという考えに、私は共感する」と(チャールズ・シュワブの)ソンダースは我々に述べた。「確かに、株式市場の重大な下落を引き起こす可能性はある」

According to Sonders and Aguilar, however, the end of buybacks dominating the stock market will see a shift both in the next round of stock market buying and in corporate behavior going forward.
ソンダースとアギラーによれば、しかしながら、株式市場を支配している自社株買いの終焉は、次の株式市場における買いの動きと、企業の前向きな振る舞いへの転換につながる。

Sonders thinks that buybacks could be replaced by other sources of demand, such as retail investors and pension funds. "You should start to see a pickup in demand from other sources increase as buybacks start to slow," said Sonders.
ソンダースは、自社株買いが、個人投資家や年金基金など、ほかの資金源と置き換えられ得ると考える。「自社株買いが減速するにつれ、ほかの資金源からの株式購入需要が回復すると考え始めたほうがいい」とソンダースはいう。

"Pension funds in particular are going to look at misses on their targets and eventually are going to have to step in to the market." And to Sonders, financing conditions for buybacks through investment-grade debt will likely last long enough for markets to find other sources of demand.
「特に、年金基金は彼らの目標達成の不首尾を見据え、最後には市場に踏み入れる必要があるだろう」。そしてソンダースは、投資適格債の発行を通じた自社株買いが行われるための金融環境が、株式市場にほかの資金源が入ってくるまでの間、十分に長続きしそうだとしている。

Aguilar said that the end of buybacks could simply force companies to shift to another type of investment.
アギラーは自社株買いの終焉は単純に、企業にほかの種類の投資に向かわせ得るという。

"Without the ability to do buybacks, I think companies are going to shift that to capital expenditures," Aguilar told us. "Companies are going to look for a return on their capital and investing in growth is going to be the best way going forward."
「自社株買いができなくなり、企業は資本支出(生産財への投資支出)に向かうと私は考えている」とアギラーは我々に述べた。「企業は彼らの資本の運用益を求めており、前に進むための最も良い方法として成長への投資を行うだろう」

Buybacks, said Aguilar, are done because that's the way companies think they can get the best return on their investment, so with a more volatile stock market and harder access to credit, spending cash on long-term growth becomes the best option.
自社株買いは投資利益率が最も高いと企業が考えることによって行われた、とアギラーはいう。だから、株式相場の変動がより激しくなり、借入れによる資金調達がより厳しくなるなか、現金を長期成長のために使うことが最良の選択肢になる。

In this scenario, said Aguilar, capex investment will spur economic and earnings growth, supporting not only the broader economy but stock prices as well.
このシナリオにおいて、資本支出投資が経済と利益の成長に拍車をかけ、広範な経済だけでなく、株価も支えることになる、とアギラーはいう。

Sonders also agreed an uptick in capex was on its way calling it "overdue."
ソンダースももまた、資本支出の増加の「機運が熟している」としている。

On the other hand, profit margins are on the decline, and it may be hard for companies to stomach larger capital expenses, especially with labor costs already putting pressure on bottom lines.
一方、特に、人件費が企業の損益を圧迫しつつあり、企業の利益幅は減少していることが、企業の資本支出拡大意欲を削ぐかもしれない。




上記の記事の要点を簡単にまとめると

・09年以降の米株上昇を支えたのは企業の自社株買い。この間、個人や年金基金は累積では株式市場に資金を投入していなかった。

・危機以降の一連のFRBの金融緩和策によって、企業による実体経済における需要期待は持ち上がらず、企業は低金利を利用して生産財の投資よりも簡単に儲かる自社株買いに走った(となると、危機以降の一連のFRBの金融緩和策はむしろ、企業の生産財への投資意欲を削ぎ、長期的な経済成長を損なった可能性すらありますね…)。

・FRBの量的緩和終了、金利引き上げによって株式市場が不安定化したことで、企業は「生産財への投資のほうが儲かる」と判断し、生産財への投資を増やす可能性がある。

・しかし、人件費の上昇などにより利益幅、利益率が減少しており、企業が生産財への投資を増やさない可能性もある。

という具合でしょうか。



チャールズ・シュワブのCIOやストラテジストの「株式市場が不安定化したことで、企業は「生産財への投資のほうが儲かる」と判断し、生産財への投資を増やす可能性がある」というシナリオ、あり得ないわけではないですが、株式市場が不安定化する中で、企業が資本支出(生産財への投資支出)を増やすというのは少々考えにくいのではないかと思います。

というのは、株価が停滞または下落すれば、これまでたっぷり買い込んでいた自社株の評価額が下落し、場合によっては評価損もでるわけです。そうなると、企業のバランスシート、財政状態が悪化し、生産財への投資のための資金借り入れコストが上昇し、よって、生産財への投資意欲がそがれることになります。それに、自社株買いのために借りた借金、どないしまんねんという問題も加わります。

そもそも、「生産財への投資よりも株式投資への投資のほうが儲かるので、生産財への投資をせずに、株式投資に走ります」って、思いっきり株式バブルじゃないか、とも思う今日この頃であります。
「FRBの金融緩和で実体経済の成長は期待できないが、株式はバブルになりそうなので、借金してでもガンガン株を買います」ってなことですから。

個人的には、↓このHSBCのいう「過剰債務の世界においては現金が王様」に一票です。企業は「生産財の投資に回す」以外にも、「世界的な過剰債務、特に民間の過剰債務のことを勘案すれば、リスクを取らず現金をため込んでおく」という選択肢があるわけですので…。







一方、

日本の株式市場は「マイナス金利では株が上がらないからだめだ。だから、日銀がETFをもっと買うことになるだろう。だから、今のうちに株を買おう」という動きになっているようです。なんのこっちゃやら…。

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日銀マイナス金利に限界論、株高が進む異例の展開
http://jp.reuters.com/article/boj-ecb-idJPKCN0WD0I3?pageNumber=3
2016年03月11日
ロイター

個人投資家の保有が多い銀行株の上昇は市場のムードも明るくする。

JPモルガン・アセット・マネジメント、グローバル・マーケット・ストラテジスト の重見吉徳氏は「日本株市場は、金融機関の収益き損への警戒感に支配されているようだ。日銀のマイナス金利拡大が遠のいたとすればプラスに働く」とみる。

さらに金利・量・質の「3次元緩和」のうち、量に比重がかかってくれば、ETF(指数連動型上場投資信託)の購入枠拡大への期待も高まる。「効果がわからないマイナス金利の拡大より、ETF拡大の方が需給に直接的に影響を与えるだけに、株価にはインパクトがある」(国内銀行エコノミスト)という。

とはいえ、金融緩和に「限界論」が強まれば、一般的には株安材料だ。それにもかかわらず、11日の日本株が上昇したのは、マイナス金利に対する市場の「嫌悪感」を表しているともいえる。

今後、日銀がマイナス金利幅を拡大させる追加緩和策を実施する場合は、株安リスクを警戒する必要がありそうだ。





もちろん、日銀が株式ETFを買うなかで、企業が新株を発行し、それを生産財への投資に使う、ということであれば実体経済にもプラスです。しかし、実体経済における需要増大への確たる期待がなければ、わざわざ株を増発してもそれで儲かる保証がなく、将来の利益見通しが改善しないなかでは、増益の見通しも立たず、また、配当を増やせませんから既存株主の利益を損ないかねません。よって、実体経済への波及効果はほぼ期待できないと言うべきでしょう。


本来なら、ここでガツンと財政出動すれば良いという話になります。もちろん日本だけでなく、世界的に

ちなみに、IMFのWEOデータベース(2015年10月版)によると、世界全体の名目GDP

2014年       77.2兆ドル(1ドル=120円で 9272兆円)
2015年(推計値) 73.5兆ドル(同 8821兆円)

2014年から2015年にかけて
3.8兆ドル (同 451兆円)
の減少と推計されます。

単純に言えば世界全体で、この451兆円くらいの規模の財政出動すれば、かなり確実に景気は持ち直すでしょう。

451兆円は、2015年世界GDPの5.1%に相当します。

が、こんな規模の財政出動は期待できないでしょうし、そもそも政府が全部このGDPの落ち込みをカバーしなければならないということもないとは思います。では、とりあえず半分で良いとしましょう。それでも

250兆円、世界GDP比2.5%

ということになります。これだけの財政出動ができるか、というと、まあ、政治的になさそうです。

では90兆円、世界GDP比1.0%ならば?

それもありそうにありません。

9兆円、世界GDP比0.1%ならば?

それくらいなら政治的にあり得るでしょう。でも、まあ、焼け石に水でしょう…





 それにしても、

 リーマンショック後の一連のFRBの緩和策が、

 単に企業の借金による自社株買いを促しただけ

 という分析には驚いた!

 これでは、

 『FRBは、単に株式バブルを招いただけ』

 てなことになるような気がしてならないのだが…


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699:欧州中央銀行“弾切れ”宣言で株価下落&金価格上昇

2016/03/11 (Fri) 11:52
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飛鳥新社 刊


 好評発売中


ちなみに、私自身が考えていたタイトルとオビの原案はというと、

タイトル 原案:『世界大恐慌2.0 ――世界と日本を激変させる、歴史的大波涛』

オビ文言 原案:「資本主義でも、共産主義でも、民主主義でもない、異次元な新時代の幕開け」


というような、もう少し穏当(?)なものでありました。少なくとも「大恐慌=この世の終わり」ではありません!


「世界大恐慌2.0」というのは、次に起こりそうなのは「1929年世界大恐慌のバージョンアップしたもの」になりそう、という意味合いです。
→なぜそうなるかというのは、経済的なカネ勘定の問題よりは、政治的な権力構造の問題ではなかろうか、という仮説になります。


目次項目の一覧はこちら





さて、本題です:

昨年あたりから、「中央銀行の中央銀行」というべき国際決済銀行BISが盛んに、金融緩和の限界を警告していました。




上記ビル・グロス氏の見解の正確なリンクはこちら:
Say A Little Prayer
https://www.janus.com/bill-gross-investment-outlook/august
Monthly Investment Outlook from Bill Gross
July 30, 2015


当該のBIS年報はこちら:
85th Annual Report, 2014/15
https://www.bis.org/publ/arpdf/ar2015e.htm
28 June 2015



さらに、BISのほかの報告書も:





また、最近のBISの見解:





アメリカの企業が外貨建ての借金を増やしているとのこと。ヤバいんじゃないかしら。

「国の借金ガー」は多くの場合、黙殺してもそれほど差し支えありませんが、「外貨建て借金ガー」は大いに傾聴に値します。


で、日本時間昨夜22時ごろに発表された欧州中央銀行ECBの追加緩和策:






このECB追加緩和策の発表を受けて、世界的に株価(指数先物)は上昇、ユーロや金は下落しました(昨夜、英ガーディアン紙の速報を見て、その状況を確認しました)。


ということは、まだまだ金融緩和の魔力は解けていなかったか。でも、BISの警告通り、過剰な金融緩和によって世界的に銀行の業績が悪化し、世界的に銀行株がかなり下げているし、これはいかがなものか。

世界的に大規模な財政出動がない限り、いずれ魔法が解けて相場が逆転するだろう。日銀のマイナス金利の市場に与えた効果が数日で切れたように…。

と思っていたらその後、ECBのドラギ総裁が日本時間22:30に記者会見で「これで打ち止め」と受け止められる発言をしました。


ECB's Draghi signals end to rate cuts, overshadows stimulus
ECBのドラギ、金利引き下げの終了を示唆。刺激を見劣りさせる

http://uk.reuters.com/article/uk-ecb-policy-idUKKCN0WC0RU
Reuters (UK)
Thu Mar 10, 2016


22:00ごろの紙資料による発表から22:30の記者会見までのわずか30分で相場は見事に逆転しています。





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出典:Investing.com



株は一旦上げた後、下げに転じ、日欧はむしろECB追加緩和発表前より下がりました。
ユーロ/円はユーロ安になったあと、むしろユーロ高に。
金(ドル建て)は急落後、一時今年の最高値を更新するほどに上昇。



1週間前、JPモルガンのストラテジストもこんなことを言っていましたね:




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 アメリカじゃあ、毎日尽きることなく

 どこかで誰かが銃をぶっ放しているが、

 こと経済政策に関しては

 世界的に弾丸が尽きつつあるらしい


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698:アマゾンのレビュー:「毎年外す同志社の紫おばさんの著書と何ら中味は変わらない」→全然違います。私は毎年「暴落本」出してませんし、わざわざ事前に「心の準備」のための心理学本出してます。そこまで準備して本書いた人、他にいます?

2016/03/08 (Tue) 22:55
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タイトル 原案:『世界大恐慌2.0 ――世界と日本を激変させる、歴史的大波涛』

オビ文言 原案:「資本主義でも、共産主義でも、民主主義でもない、異次元な新時代の幕開け」


というような、もう少し穏当(?)なものでありました。少なくとも「大恐慌=この世の終わり」ではありません!


「世界大恐慌2.0」というのは、次に起こりそうなのは「1929年世界大恐慌のバージョンアップしたもの」になりそう、という意味合いです。
→なぜそうなるかというのは、経済的なカネ勘定の問題よりは、政治的な権力構造の問題ではなかろうか、という仮説になります。


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さて、本題です:


根拠のある批判。

中身のある批判。

アンチテーゼとして、参考になる批判。

こういったものは建設的な意味のある批判となり得るでしょう。

しかし、何らの根拠のない批判というのは単なる嫌がらせ以上のものではないことが多いのではないでしょうか。


昔、私の著書『国債を刷れ!』の中で8回以上書いていることを、書いてないとして批判するレビューがアマゾンで書かれたことがありました。

『日本破綻教団は超能力者集団?』
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-392.html
2011/06/28


今回ご紹介する『異次元大恐慌』に対する星★一つレビューはというと・・・

http://www.amazon.co.jp/review/R2VCHQ1GTQPKCO/ref=cm_cr_dp_title?ie=UTF8&ASIN=486410462X&channel=detail-glance&nodeID=465392&store=books


同志社の紫おばさんと程度は同じ, 2016/2/29

この手の本は悲観論大好きの日本人向けに、毎年手を替え品を替え発刊される。フィクションとしては面白いが、毎年外す同志社の紫おばさんの著書と何ら中味は変わらない。
これだけのお金を払って読む価値があるか?
その程度の本である。



私はその「同志社の紫おばさん」の著書を読んだことがありませんが、私が今年、『2016年、異次元大恐慌が始まる』というタイトルの本を出したのは、

「カトリックの権勢が強まりつつある」

ということが最も重要な要素でした。

本の中でも書きましたが、昨年2015年9月、プロテスタント教徒によって建国された、資本主義の覇権国アメリカにおいて、建国以来初めて、カトリック法王が両院合同会議で演説を行った、という歴史的大事件がありました。

これは、一つ、大きな要素です。

他に、本の中で、なぜ2016年に歴史的大暴落が起きそうなのかということの根拠としては、

・物流量でみた日、米、欧の経済活動は、リーマンショック前のピークを越えられていないこと

・その状況の中で、2014年くらいまでは電力量の伸び方や貨物量などで見ると中国が世界経済を引っ張ったが、2015年には減速または停滞が見受けられること

・原油などコモディティー価格が2014年前後にひとまずピークアウトし、2015年は暴落していること

・グリーンスパン元FRB議長が2015年夏に、FOX、ブルームバーグ、CNBCのテレビ番組で「経済は長期停滞している」「債券はバブル」「信用は心理学の問題。信用は一晩で消滅することもある」と立て続けに発言したこと。

・2015年9月のG20共同声明で「金融緩和だけでは均衡ある成長は達成できない」、「我々は…財政出動する」との文言が盛り込まれた。つまり、需要不足の認識が共有されたが、日、米、欧、中といった主要国で本格的な財政出動がなされる気配がないこと。

・ロシアが2015年、ソ連崩壊後初めて旧ソ連域外で軍事行動を取ったこと

・世界的に通貨当局の金に対する姿勢が08年以降、一変していること


などなどの経済的、政治的な出来事を挙げています。


私は、こういった根拠があるから2016年の確率が高いと考えたわけです。


なお、「2016年になりそう」という追加情報としては、以下のようなものがあります:














欧米の巨大金融機関がこぞって、7年ぶりに世界の株価が、あるいは景気が下降局面に入ったという見解を出しまくっているわけです。


そして、
ゴールドマンサックスに至っては…




でしたね。

また、政治的には、こんな大事件もありました:





↑こんな歴史的大事件のあとで、毎年のように「〇〇年、大恐慌が始まる」というタイトルの本を私が書く意味は全くないと思う次第であります。


私は、こういった情報の収集には膨大な時間と労力を費やしていますし、これを本にまとめるにも膨大な時間と労力を費やしています。

一方、上記の失礼極まりないレビューを書かれた方は、いったい何をもって「毎年外す同志社の紫おばさんの著書と何ら中味は変わらない。」としているのでしょうか?根拠らしきことを一切、提示していません。


私の、半年くらいのフルタイムの労働時間、何回かは徹夜の作業もした、その労力を否定するだけの、ほんの少しでも理にかなった根拠が示されているとは全く思われません。

また、「同志社の紫おばさん」が毎年のように『世界大暴落』という本を出しているのかどうか知りませんが、少なくとも私は毎年のように出していません。その点でもまるで違いますね。

私は、本を書くとき、本当に時間とエネルギーを使います。だから、毎年のようにこのような『暴落本』を出すつもりはありません。物理的に出せません。



更には、私はこのような、社会的な不安を強めるリスクのある内容の本を出す前に、これまた膨大な時間と労力を費やして
↓この本を出しました。この本を書くために、何冊の心理学や脳科学、さらには医学生が読むような本まで読んだか!


『日本経済のミステリーは心理学で解ける』




私は、2012年ころから、どうも世界的に、日本も含めて、世の中が不安定になりそうだと考えていました。かなり直感的でしたが。

そして、2013年9月、オバマ大統領が「国連など役に立たない。シリアのアサド政権を倒す!」と宣言したわずか10日後にシリア攻撃を撤回した事件でその直感がほぼ確信に変わりました。この当時、私は4ヶ月くらいブログもツイッターも書きませんでした。それだけ衝撃的だったわけであります。

だから、不安定な時代をやり過ごす、あるいは、生き抜くには、心理学や脳科学が致命的に重要になると考えました。

当時、いずれ世界的暴落になるとは思っていました。
しかし、その根拠は私の中では薄弱でした。
よって、どうしても先にこの心理学をテーマにした本を出したかったわけです。
一社目では出版を断られましたが、それでもあきらめず二社目の徳間出版さんに持ち込み、担当者の方の並々ならぬ努力のおかげで、それから半年くらいしてようやくOKが出て出版に至りました。この本は本当に難産でしたが、どうしても出しておきたかったのです。

この『日本経済のミステリーは心理学で解ける』を出していなかったら、今回の『異次元大恐慌』は出していなかったと思います。私の中では、それでは肝心な部分が抜けていると、どうしても感じるからです。

『日本経済のミステリーは心理学で解ける』は2年かかりました。

『異次元大恐慌』も下調べなど含めたら1年かかっています。

少なくとも3年がかりの仕事です。

こういった苦労も何も、ほんの少しも評価されることなく、

「毎年外す同志社の紫おばさんの著書と何ら中味は変わらない。これだけのお金を払って読む価値があるか?その程度の本である。」

などという、本のタイトルだけみれば書けそうな、これ以上くだらないレビューはないだろうというようなレビューを書かれなければならないほど、私の人生は安くありません。


「こんなしょうもない、想像力のかけらも感じられんレビューを書く暇があったら、その時間を使って、限られた人生、一回しかない人生の中で本当にやりたいことは何なのか、もっと真剣に考えろ!ほんの少しでも脳みそを使って考えてからものを書け!」

というのがこのレビューに対する私のレビューです。もちろん星★は一つです。


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 たしかに、

 『暴落本』を出す前に、

 そのショックを和らげるための

 『心理学本』をわざわざ書いている経済評論家は、

 他にはおらんやろ。



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697:国民の8割が15年も実質所得が減り続ける覇権国アメリカ。米国民にとってアメリカは、覇権国であり続ける意味があるのか、どうか

2016/03/04 (Fri) 17:04
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「世界大恐慌2.0」というのは、次に起こりそうなのは「1929年世界大恐慌のバージョンアップしたもの」になりそう、という意味合いです。
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さて、本題です:

前回のエントリーのコメント欄で、


世界の株価指数は(倒産する可能性は殆どないという)ドイツ銀行ショックのあった2月にボトムをつけて上昇しつつありますが(インデックスは重たく見えても個別株は生きている銘柄が結構多い)、当面(2~3年?)は米経済はリセッション入りしないというのがコンセンサスのようですね。ウォーレン・バフェット氏は、米国経済の見通しなどについて楽観的な見方をしているようです

(BERKSHIRE HATHAWAY INC)SHAREHOLDER LETTERS
http://www.berkshirehathaway.com/letters/letters.html

が、これからも米国経済が力強く成長していく場合、いわゆる恐慌にはならずに、今後も米国が世界経済を牽引していく、ということになるんでしょうか?

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Mr.Tさん、ご質問頂きありがとうございます!


さて、このご質問について、前回のコメント欄で回答させて頂いたのですが、せっかくなので今回のエントリーにそのまま流用させて頂くことにしました:

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バフェット氏は1000万円程度から投資を始めて数兆円の資産を築き上げた点で、実に素晴らしい人だと思います。
長期的に米経済を楽観しているというバフェット氏の見方は、それはそれで見るべきものがあります。

しかし、私が『異次元大恐慌』(p.173 図表47、p.174 図表48)で示したような米国勢調査局のデータから見ると、2000年以降は米国の8割の世帯で実質所得が減り続けています(※)。これで「アメリカ経済は力強い」というのははなはだ疑問を呈せざるを得ません。

※より正確には、「2000年から2014年にかけて、増えたり減ったりしながらも、全体的傾向として減り続けた」、となります。

世界に冠たる覇権国の国民の8割が、15年も実質所得が減り続ける。これで健全というのなら、何が健全な経済なのかという本質が問われるでしょう。

これを健全な経済だ、力強く成長している、と主流派の政治家や経済の専門家がいっているのがいかにも嘘くさい、ということに気づき、怒り心頭に来ている米国民がいかに多いか――ということが今回の大統領選挙でトランプ氏やサンダース氏に人気が集まっている根本原因ではないかと思います。


また、バフェット氏は昨年の秋に想定していたよりもアメリカ経済は弱くなっていた、と発言しているようです。

Buffett says US economy weaker than he expected but growing
https://eaglefordtexas.com/news/id/164322/buffett-says-us-economy-weaker-than-he-expected-but-growing/
EagleFordTexas.com
March 3, 2016


また、世界最大の経済規模、GDPが世界の25%を占めるアメリカが本当に力強い成長をしているのであれば、なぜ、日本は前四半期比でこのところ何度もマイナス成長を記録しているのか、中国経済がここまで減速しているのか、ブラジルなどの少なくない新興国が継続的にマイナス成長を続けているのか、ということについての納得できる説明がないように思います。

G20ではそういう認識で財政出動必要論が半年前と今回と、続けて2回も共同声明に盛り込まれています。しかし、主要国はほぼ、十分に大規模な財政出動をする予定が、いまのところありません。

昨日、こんな話も出ています:





なお、JPモルガンは先々月、別のストラテジストがこんなノートを出しています:






あと、ドイツ銀行ですが、同行の財務資料
https://www.db.com/ir/en/download/FDS_4Q2015_28_01_2016.pdf
の3ページ目を見ていると、
株価が、1株あたりの簿価の7割とか半分という状態が2年前から継続しています。
つまり、PBR(=株価÷1株当たり簿価)が1倍を大幅に切った状態が延々続いているということになります。
投資家は、「何かおかしい」と思い続けているわけですね。

米ヤフーファイナンス
http://finance.yahoo.com/q/ks?s=DB+Key+Statistics
を見ると、昨日のドイツ銀行のPBR(=株価÷一株あたり簿価)はなんと、0.3倍です。

簡単に言えば、これはドイツ銀行の資産につき、7割引きセール実施中ということになり、7割引きでもほとんど誰も買わない状態、というわけです。


UBS(UBS)は同1.2倍
ゴールドマンサックス(GS)は同0.9倍 
HSBC(HSBC)は同0.7倍

三菱UFJは同0.5倍
です。
銀行セクターはマイナス金利でこの先どうなるか、という不安があり割安になっている銘柄が多くなっているようです。そして、ドイツ銀行は輪をかけてヤバいと思われているということなのでしょう。


またドイツ銀行は先月、「詐欺まがい」な自社債の発行と買戻し計画で自己資本増強を図ろうとして投資家の怒りを買っています。






また、本日のブルームバーグ記事によれば、高額ボーナス支払い延期を検討しているようです

ドイツ銀、ボーナスの支払い繰り延べ期間を延長-関係者
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3H2V3SYF01Y01.html
ブルームバーグ
2016/03/04

約束の期日に約束の金額を支払わない、という意味においては、これも一つの債務不履行ですね。


あと、株価が上昇したからといって、経済全体が成長しているかどうかは別です。そこに問題の本質があるということではないでしょうか。
ちなみに、いわゆるバフェット指数、株式時価総額÷GDPは依然、高水準のままです。

Market Cap to GDP: An Increase in the Buffett Valuation Indicator
http://www.advisorperspectives.com/dshort/updates/Market-Cap-to-GDP
March 2, 2016
by Jill Mislinski, Advisor Perspectives

というよりは、リーマンショック前より「割高」水準から少し下げてきたということで、ピークアウト、これから大暴落、という運びになるかも知れませんが…。

いずれにせよ私がここで最も強調したいのは、覇権国、世界最大の経済大国のアメリカで、8割の世帯で実質所得が15年も下がり続けているにも関わらず、株価が上昇し続けるという状態はいつまでも続かないだろう、ということです。

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 第二次大戦の戦勝国イギリスは帝国を失った
 
 敗戦国のドイツと日本は、西側諸国の中で最も経済的に成功した

 覇権国アメリカでは、国民の8割がこの15年、ひたすら貧乏になっている

 何事も、『禍福は糾(あざな)える縄の如し』、

 『人間万事、塞翁(さいおう)が馬』、か?


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696:米大統領選が示唆する、公式経済統計と経済実感の乖離(かいり)

2016/03/02 (Wed) 17:55
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さて、本題です:


先週末のG20共同声明(コミュニケ)で月曜日の金融市場は「失望売り」の様相を呈していたのですが、その日の中国人民銀行による預金準備率引き下げの発表を受けて、日本時間の夕方以降は世界的に株価上昇となりました。


特に、中国経済の影響をもろに受けやすい資源輸出国、ブラジル株が急上昇。


ブラジル株:ボベスパ指数が世界で最も上昇-中国の景気浮揚策を好感
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3BWRV6JTSEB01.html
ブルームバーグ 2016/03/01 07:16 JST

ブラジルの株価指標であるボベスパ指数は2月29日、世界の主要株価指数の中で最も上昇率が高かった。同国最大の貿易相手国である中国の景気浮揚策で商品輸出企業の業績見通しが高まった。



ブラジル株は月間で昨年4月以来最大の上昇率を記録。中国人民銀行(中央銀行)は市中銀行に課す預金準備率の引き下げを決め、景気の下支え策を強化した。中国がハードランディングに向かうとの懸念は、ボベスパ指数が今年、2008年以来最悪のスタートとなった要因だった。

ボベスパ指数は前営業日比2.9%高の42793.86で終了。指数を構成する61銘柄中59銘柄が上昇した。

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翌日には中国株も上昇。



中国株:上海総合、取引終了前に急反発-中銀が預金準備率引き下げ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3C7VA6K50Y001.html
ブルームバーグ 2016/03/01 17:57 JST

中国人民銀行(中央銀行)が預金準備率を引き下げたことや、製造業購買担当者指数(PMI)が市場予想を下回った中でも人民元が上昇したことが材料視された。


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「製造業購買担当者指数(PMI)が市場予想を下回った」という、景気の悪い話もあったにも関わらず、です。



しかし、そんな市場の浮ついたお祭り気分に水を差すかの如く、中国国営の新華社通信は、こんな見解を出しているとか:




中国の預金準備率引き下げ、大型刺激策の前触れではない=新華社
http://jp.reuters.com/article/china-banks-rrr-idJPKCN0W407S
ロイター 2016年 03月 2日

新華社は2日の解説記事で、先月29日の中国人民銀行(中銀)による銀行の預金準備率引き下げについて、中国の慎重な金融政策における若干の緩和バイアスを示しているが、決して大規模な刺激策が後に続くことを示唆するものではない、との見解を示した。



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一方、アメリカはというと、



Fading recession fears bring out the bulls
景気後退懸念の弱まりを受け、上げ相場に
http://www.cnbc.com/2016/03/01/fading-recession-fears-bring-out-the-bulls.html
CNBC
Wednesday, 1 Mar 2016
2016年3月1日水曜日

Equities were boosted by a few factors, including February ISM manufacturing data, still in contraction at 49.5 but better than expected. Oil also rallied to close near the key $35 per barrel area, and that also helped lift stocks.
株はいくつかの要因に押されて上昇した。例えば2月のISM製造業指数が、縮小を示す49.5(50以上は拡大)であるが期待より良かった。原油価格も1バレル35ドルに接近したことも、株式市場を押し上げた

The ISM is the latest major data to show an upside surprise. Construction spending was reported on Tuesday as up 1.5 percent in January, which was better than expected, and durable goods data last Thursday was also better than expected.
ISMは最新の上振れサプライズとなった主要指数である。火曜日に発表された工事支出も1月の1.5%増が期待を上回り、先週木曜の耐久財のデータも期待を上回った。



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そして、週末(3月4日)の雇用統計に注目が集まっている、という塩梅だそうで。

しかし、ISM指数は製造業購買担当者の今後の見通しを示す指数で、50を下回っていれば「縮小」です。この数値が期待より良かったとは言え、50を切っているため、景気が良くなるという話でもないわけです。
セントルイス連銀でこのISM指数の
グラフを見ることができますが、現状は09年以来の低水準と言える状態です。

このようなデータや、上述の中国人民銀行の預金準備率引き下げ(準備率を17.5%から17%に引き下げた→これにより、銀行が中央銀行に預ける準備金に対し、資金貸し出しなどに運用できるレバレッジ倍率が5.7倍から5.9倍に増える)など、ニュースの受け止め方次第で気分がころころ変わるというのが市場と言えるかも知れませんが。


直近の世界の株価を押し上げる原因となった人民銀行の預金準備率引き下げも、リスクの側面がまたあるわけです:




中国の預金準備率引き下げと融資拡大、銀行のリスクに=フィッチ
http://jp.reuters.com/article/idJPL3N16A212
ロイター 2016年 03月 2日



フィッチは、中国経済における借り入れ比率がすでに高い状況で、中国の銀行が再び急速な融資拡大を持続することはクレジットネガティブになるとの見方を変えていない。

フィッチは、信用の伸び(フィッチ基準の社会融資総量に基づく)は2016年も鈍化を続け、13%になると予想する。ただ、信用の伸びは依然として名目国内総生産(GDP)の伸びを上回って推移しており、(フィッチ基準の社会融資総量をGDPで割った)借り入れ比率は2016年末時点で260%に達する見通しだ。


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中国の民間部門の借入に関しては、こんな話も:




香港・シンガポール金融 中国経済減速の影
東亜銀―不良債権が急増 DBS―融資を絞り込み

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDX01H0V_R00C16A3FFE000/
2016/3/2 日本経済新聞

中国経済の減速がアジアの金融センターである香港やシンガポールの銀行経営に影を落とし始めた。香港の東亜銀行では中国企業向け不良債権が急増。シンガポールでも最大手のDBSグループ・ホールディングスが中国・香港などへの貸出額を減らしている。東南アジアの資源関連企業の業績悪化も懸念材料だ。不良債権比率はまだ低水準だが、アジア経済の高成長を当てこんだ拡大路線は見直しを迫られつつある。


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すでにかなりヤバい民間の借入れを無理やり増やすよりは、政府が借入れを増やして財政出動・景気対策するのが順当のはずです。

しかし、中国当局の本当の狙いは、拙著『異次元大恐慌』でも述べています通り、恐らく「ゾンビ企業の排除」その他の「権力構造の大転換」と思われます。

「動機と手段と機会があれば、やる」、という見立てです。習近平政権が財政出動をあまり積極的にしようとしていないことは、この見立て(仮説)を強化する材料となります。
それでも、一応は、それなりの財政出動その他の景気対策はする、という感じになっていますが、それは要するに世界大恐慌となった場合において、自分たちの責任にされたくない、ということでしょうか。なお、これは中国に限らず、主要各国の首脳すべてに当てはまるのですが…。


なお、中国に関しては、この「権力構造の大転換」をほどよいところで止めるための手段が、官民合わせてかなり膨大な量をため込んでいると思しき金準備、ということになります(ここは、著書ではあまり踏み込んで書かなかった部分ですが)。



そして、アメリカです。

下に引用するブルームバーグの記事によると、アメリカの経済統計がどうやら生活実感とかけ離れているということが、今回の大統領選挙におけるトランプ氏とサンダース氏に人気が集まっていることによって示唆されます。
(『異次元大恐慌』では、複雑な計算を経て算定される実質GDPが、物量ベースのいくつかの統計と乖離していることから、実体経済の実際の状況を反映できていない可能性に触れていますが、それと関係する話になります)




米国民は怒り心頭:トランプ氏善戦の陰に大恐慌以降「最悪の景気回復」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3DKKK6JIJUP01.html
ブルームバーグ 2016/03/02

秋に大統領選挙を控えた米国で、有権者の間でまったく現実味が感じられないフレーズの一つに、経済は順調だという言い方がある。

オバマ大統領が1月の一般教書で使ったように、このフレーズを使いたければそれを裏付ける統計のヘッドラインを見つけることは可能だ。しかしながら党候補者指名争いたけなわの現在、共和党の主流派をドナルド・トランプ氏が脅かし、断然有利だったはずのクリントン氏に対してバーニー・サンダース上院議員が予想以上に健闘している背景には、米経済は順調などではないと嫌気が差している国民がいる。そしてヘッドラインの裏に潜む数字に目を向けると、国民の怒りも納得が行く。

失業率は8年ぶりの低水準なのだろうか。
確かにそうだが、生産年齢人口全体をカバーする指標の大半は弱く、労働参加率は下降トレンドをたどってきた。

経済は失速することなく6年以上も成長してきたのだろうか。
確かに先進国の大半よりは良い状況だが、このペースでは生産ギャップを埋めるのはどんなに早くても2026年以降になりそうだ。
賃金の伸びはようやく上向き始めたのか。全体の数字としてはその可能性もあるが、その度合いは大きくない。そもそも、誰の賃金が伸びたと言うのか。


コップが半分空っぽになっていることを示すこうした統計は、2009年に終息したリセッション(景気後退)がいまだに大統領選挙の行方に影を落としている理由を説明している。
ゆがんだ富の配分を批判するサンダース氏。貿易の影響で雇用が失われると猛烈に攻撃するトランプ氏。いずれも米国の政治においては目新しい主張ではない。しかし、大恐慌以降で最悪の不況とそれを受けた最も弱々しい回復を目の当たりにして、全米の有権者はこの主張に積極的に耳を傾けるようになった。

かつて米議会予算局(CBO)局長を務め、現在は中道右派のアメリカン・アクション・フォーラムの社長を務めるダグ・ホルツエアキン氏は、「『景気後退は終わり経済は回復し、良いことずくめだ』と言うが、『ちょっと待てよ。うちは回復どころか、むしろ悪くなっている』というのが一般世帯の反応だろう」と語る。「日常生活において目に見える現実と、耳にする話の間に大きな矛盾がある。それで国民は怒っているのだ」と続けた。

2018年までの米経済について、ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査では、景気後退以降の平均である2.1%成長を大きく上回るペースは予想されていない。
欧州や日本からみればうらやましい数字かもしれない。しかし、米国の有権者が主流派を敬遠し始めた理由をこうした数字は物語っていると、ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズ(ノースカロライナ州シャーロット)のチーフエコノミスト、ジョン・シルビア氏は説明する。
「有権者は自分たちの現状と主流派の候補者らを結びつけて考えている」とシルビア氏。「現状はあまり良くないというのが彼らの見方だ。成長率は今後7年も2-2.5%程度なのか。それではアメリカンドリームは多くにとってかなわぬ夢で終わる」と述べた。

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そして、

元FRB議長のグリーンスパン氏は昨年の夏ごろ、繰り返し悲観論を述べていましたが、その見方は今も変わっていないようです。




Greenspan: I Haven’t Been Optimistic in Quite a While
グリーンスパン:私はかなり長期間、楽観的になったことはない

http://www.bloomberg.com/news/videos/2016-03-01/greenspan-i-haven-t-been-optimistic-in-quite-a-while
Bloomberg
March 1, 2016



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↑このブルームバーグのインタビューを元にした↓Business Insiderの記事に発言の多くの部分が書き起こされていますので、抜粋翻訳してみます(意味の取れないところはスパッと訳を飛ばしますが!)




Alan Greenspan hasn't been optimistic about America in a long time
アラン・グリーンスパンは長い間ずっと、アメリカに関して楽観的ではなかった

Business Insider
March 1, 2016


"We're in trouble basically because productivity is dead in the water."
「生産性が暗礁に乗り上げていることによって、我々は基本的に困難に陥っている」

"Let's put it this way. Output per hour is driven by real capital investment ... Real capital investment is way below average. Why? Because business people are very uncertain about the future."
「Let's put it this way. 時間当たりの産出量は、実質資本投資(資本投資:生産設備などの生産財への投資)によって持ち上げられる。…実質資本投資は平均よりはるかに低い。なぜか?企業経営者らが将来に関して確信を持てないからだ」

Later in the interview, McKee asked if Greenspan was optimistic going forward and Greenspan put it simply, saying, "No, I haven't been for quite a while."
インタビュー後半で、今後について楽観的かどうかと尋ねられた際、グリーンスパンは「いいや。私はかなり長い間、楽観的になったことはない」と答えた。

"And I won't be until we can resolve the entitlement programs. Nobody wants to touch it, but it's gradually crowding out capital investment, and that's crowding out productivity, and that's crowding out the standards of living. Where do you want me to go from there?"
「福祉制度を解決できるまで、私は楽観的になることはないだろう。誰もこの問題に触れようとしないが、この問題は徐々に資本投資を締め出しつつあり、生産性を締め出しつつあり、生活水準を締め出しつつある。Where do you want me to go from there?」

Additionally, Greenspan felt that the current global economy is incredibly uncertain. He said that productivity collapse in China could lead to a rough landing for the country, and when asked by Keene about a possible back and forth between the Chinese Renminbi and the US dollar, Greenspan admitted to befuddlement.
加えて、グリーンスパンは世界経済の現状が信じがたいほど不安定であると感じている。人民元と米ドルの価値変動について聞かれた際、彼は、混乱となることを認め、中国における生産性の崩壊が、同国をハードランディングに導き得ると答えた。

"This is where the issues lie. I don't know the answer to that," said Greenspan. "The United States unquestionably, the US dollar unquestionably, is the firmest currency in the world of the major countries. It's hard to see where it goes from here there
「This is where the issues lie. 私は答えが分からない」とグリーンスパンは言った。「アメリカは疑いなく、米ドルは疑いなく、世界の通貨で最も堅固である。これからどこに向かうかを見通すことは難しい」

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グリーンスパン氏は、

・企業経営者らが将来に確信を持てず、それが原因で生産性向上のための投資ができず、将来の生産性が崩壊しそう。

・アメリカも中国も、引退世代が増え、現役世代が減る状況であり、生産性の向上が必須であるのに、生産性の向上が不足しているので、将来に悲観的


と言いたいのでしょう。

これは、「国の借金問題はカネの問題ではなく、少子高齢化で現役世代が減って引退世代が増えたときに物不足に陥らないよう、将来投資が足りるかどうかの問題」という、私が2009年5月に拙ブログ

年金問題、何が問題?【1】

年金問題、何が問題?【2】

で示して以来、繰り返し当ブログや著書で書いてきた問題意識とも、かなり近いもの
と言えます。


なお、「企業経営者らが将来に確信を持てず、それが原因で生産性向上のための投資ができず」というように、需要が増えないと予測することで企業が積極的に生産財投資を行わない、というのは、木下栄蔵・名城大学教授の『通常経済・恐慌経済』または『正と反の経済学』における、「恐慌経済」「反の経済」の定義に当てはまることになります。


そんなこんなで、

・今週の株価急上昇は、経済実態を反映しているかどうかは、かなり疑わしい

・それどころか、主要な経済統計ですら、経済実態や国民の生活実態を反映しているかどうか、疑わしいかも知れない

というお話でした。





 2016年の米大統領選の動向は

 経済指標と国民の生活実態の乖離の指標

 ということか?


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