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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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229:日本破綻?CDSスプレッド過去最高で??

2009/04/08 (Wed) 13:30

CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)というものがある。

詳細の説明は省くが、

このCDSというのは、政府や企業が破綻した場合に備える保険のようなものであり、

CDSプレミアム(または「CDSスプレッド」)は、その保険料率のようなものである。

CDSの対象となる政府や企業の破綻リスクが高ければ保険料率であるプレミアムは大き
なり、

逆に破綻リスクが低ければプレミアムは小さくなる。

以下に引用する朝鮮日報記事は

「韓国は危ないと言われるがCDSプレミアムが世界の中では低い方なのでそれほど危な
くもない」という趣旨のものであるが、日本のプレミアムはさらに輪をかけて低い

つまり日本の国家破綻(デフォルト)リスクはきわめて小さいことについても触れている。

と書き、下のようなグラフを示しました。



ところで、
人づてに聞きましたところ、このCDSについて

「国債を刷れ!」を読まれた方が、
現在、日本国債のCDSスプレッドは急上昇している。だから、廣宮氏は嘘つき投資家は日本が破綻すると見ているのだ
のような見解を示されているそうです。

国債のCDSスプレッドについて、ちょっと整理してみましょう。

ただ、CDSスプレッドについては、なかなかまとまったデータを入手できない(どうもお金を出さないと入手不能のようです)ので、ロイターの記事から、ちまちま拾ってきたデータです(「ソブリンCDS」で検索すると結構出てきます):




穴だらけのデータで恐縮ですが、

基本的には、
日本だけでなくどの国のCDSスプレッドも上昇傾向です。
米・英・仏・オーストリアなどの国債、CDSプレミアムが過去最高=CMA
ロイター 09/2/16
米国、ドイツ、フランス、オーストリア、アイルランドなどのCDSが過去最高を更新
ロイター 09/2/18

また、
一時は1.2%程度まで上昇した日本の直近のスプレッド0.78%まで下がってきており、半月前のアメリカと同じくらいで、かつ、トヨタよりもだいぶ低くなっています。

また、急上昇した2月でも、英国やアイルランドよりもぐっと低いですね。

ということは、
急上昇だから破綻というのは全く当たらないですし、
今のところ、投資家はトヨタより日本政府の方が安全な投資先と見ている
ことになります。

また、日本の生保(=大口機関投資家)が資産運用を日本国債にシフトしているということも、以前書きましたとおりです(『生保、国債にシフト』)。

上の表を見ただけでの印象では、日本政府が破綻する前に、アイスランドやハンガリー、アイルランド、イギリス、トヨタの方が先に破綻する可能性の方が高いと言えるのかもしれません

日本国債のスプレッドが上昇した、ということだけで、「だから日本は破綻」というのは、いかがなものかと思われますが、いかがでしょう…^^;


あと、この方、「国債を刷れ!」の
「国全体の連結バランスシート」について

固定資産の減価償却が入っていない、株の時価評価が入っていない

ともおっしゃられているそうですが、

まず、原資料の日銀「資金循環統計」

減価償却が必要な有形固定資産はそもそも対象外です。

また、
減価償却で資産の価値がマイナスになることは絶対にありません
(「資産の取得原価-減価償却累計額=資産の評価額」で、ゼロ以上になります。なにせ、減価償却はゼロになるまでしかできませんので)

だから、
減価償却を国全体の連結バランスシートに反映させようと思うと、
有形固定資産を資産にカウントしなければならず、結局は国全体の純資産は間違いなくもっと増えます

また、株の時価評価については、「資金循環統計」では、以前にも紹介しましたように、時価評価ですね(資金循環統計の解説」p.10参照)。

さらに、特殊法人や特別会計の隠れ負債が入っていないともおっしゃっておられるそうなのですが、

日銀「資金循環統計の解説」p.16
公的機関については、
一般政府のほか、公的非金融法人企業、公的金融機関といった部門を設定している。

公的機関であるかどうかという基準について、必ずしも確立した社会通念があるわけではないが、
わが国の場合、
非常に多くの特殊法人や独立行政法人が存在することから、
それぞれがどこに分類されるのかについて、ある程度明確な基準が必要である。

この点について、資金循環統計は、わが国の国民経済計算と整合的となるよう同一の基準を用いている。

なお、機関によっては、勘定単位毎に分類する部門が異なる「勘定分離」の考え方を採用している。

公的機関のうち、総資産に占める金融資産の割合が極めて大きい機関(90%以上が目安)を公的金融機関に分類し、それ以外を公的非金融法人企業とする。

また、特別会計については資金循環統計の解説」p.13で、
「勘定分離」の考え方は、後述のとおり、金融機関以外の部門においても、
特殊法人等の公的機関に適用している。

また、中央政府について、一般会計と特別会計を独立した主体としてそれぞれの機能に応じて分類しているが、これも「勘定分離」といえる。
という記述があり、
それぞれの特別会計がどの「部門」に分類しているかは、
資金循環統計の解説」p.29の分類表に記述されています。

以上のように、特殊法人や特別会計の資産、負債はきっちり含まれているのです。


また、仮に資金循環統計に含まれない「隠れ負債」があるとすれば、それは一般企業や国民にとっての「隠れ資産」ですね。

隠れた借金があるということは、絶対に間違いなく隠れた債権者が存在します。
だから、「隠れ負債」がどれだけあっても、純資産ベースではゼロでしかありません(外国に対する「隠れ負債」があれば問題でありますが…)。

↑いずれにせよ、対外純資産が減る話にはならないでしょう。


ご批判をなさるのは結構なのですが、もう少し詳しく下調べをなさってからになさった方が…^^

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