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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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257:「国債買い取り1.8兆円に増額」

2009/03/19 (Thu) 14:21
今日の日経新聞朝刊1面に

日銀の「国債買い取り1.8兆円に増額」(月額)

という記事が載っていました。

この毎月の買い取り額の変遷は、3面に図1のようなグラフが:




図1 日銀の国債買い取り額(月次ベース)





さて、これを見て私、「はてな?」と思いました。

というのは、上の図だと、06年3月に「量的緩和」が解除されたあとも、月次の国債買い取り額が減っていないからです。

さて、下の図2に日銀の「財務諸表等」を元にした日銀の国債保有残高の推移を示します:




図2 日銀の国債保有残高と「発行銀行券」残高の推移





これを見ると、

国債保有残高は04年3月に100兆円のピークを打ち、

量的緩和が解除された2006年3月以降は急速に減り、

最新のデータ(09年3月10日現在)では64兆円にまで減ってきています。


ところで、図1を見ると04年以降、月次の国債買い取り額は減っていません!

ということは、「国債買い取り額(月次)」と実際の「国債保有残高」とは無関係、ということになりますね!

また、「量的緩和」をしていた間は「国債を刷れ!」p.219の【図表69】に示したように
「国内銀行貸出約定平均金利」が低下し、「量的緩和」解除後は再び上昇に転じています(下図)。
(なお、「量的緩和」については「国債を刷れ!」p.219あたりで詳細に解説しております)



以上を整理すると、
・「国債買い取り額(月次)」を増やしたからといって、金利水準が低くなるわけではない。
・「国債保有残高」が高い水準で推移していた「量的緩和」の時期は、金利が下がっていた。

ということになります。

さて、もう一つ、国債保有残高について、日経記事(3面)では次のような内容が
内部ルール維持

日銀には保有する長期国債の残高を、
自らが発行し市中に出回る日銀券(お札)の発行残高以下に抑える
という内部ルールがある。

現在は、長期国債保有残高は44兆円で、
日銀券残高は76兆円。
約30兆円の余裕があるが、月1兆8千億円を買い続ければ単純計算では1年で約21兆円になる。

白川総裁も「数年で上限に近づく可能性が高い」とした上で「ルールを見直す考えはない」と明言した

ここで、改めて図2を見ますと、国債保有残高が100兆円になっていた04年3月は、
銀行券残高が71兆円なので

一見すると国債保有残高が銀行券残高を30兆円上回っています。

が、しかし、長期国債(日銀の財務諸表等を見ると、2年物以上のものを指すようです)はこのとき65兆円で、短期が34兆円ということで、

長期国債だけをみると日銀券ルールは守られています。


つまり、

長期国債については約30兆円の余裕しかありませんが、

・短期国債(政府短期証券、短期割引国債など)については「内部ルール」の変更がなくても、
 機動的に増やせる(ピーク時の33兆円に対して最新は20兆円で13兆円小さい)

・日銀券の発行残高を増やせば、長期国債の買取限度も増やせる
 (日銀券は1990年が大体30兆円くらいで、2009年現在が76兆円、19年間で46兆円増えています)

ということになります。


白川総裁は
今回の措置は「あくまで金融調節上の必要性に基づく」と説明、
政府の財政出動との関係を強く否定した。
(同 日経3面の記事)
とのことです。


つまり、
追加経済対策⇒国債増発をにらんで日銀が国債の受け皿になる、
という意味あいでの買い取り額増額ではなく、

あくまでも、
金融調節(資金供給を増減させて国債に限らず市場全般の金利を調整する)の一貫ですよ、
とのこと。


まあ、金融調節の名目であれ、なんであれ、

政府が国債を増発しても、

市中の金利が暴騰したりしないように、

上に書いたように「機動的」に短期国債の保有を増やしたり、日銀券を増発したりしてもらえれば、

まったく文句はありません。


実際、量的緩和の時はそれをしっかりやっていましたね^^。


と考えると、「国債を刷れ!」の第2章で「日銀がなかなか国債を買いたがらない」と日銀に対して批判的な論調で書いてしまいましたが、批判し過ぎではなかったと反省しています。スミマセン^^;。
(「問題は日銀の金融緩和が足りなかったというよりは、政府が支出を減らしていたこと」、のような話は第4章で書きましたが^^)

ただ、日銀の意図・メッセージというのは、
このように、よくよく詳しく見てみないと、なかなか正確には分からないですね。
この分かりにくさは、この危機的状況においては問題と言えそうです。


私は現在のところ日銀の政策にはかなり肯定的ですが、

いざ機動的な対応がどうしても必要な状況となれば、
やはり、政府紙幣の発行の必要性も出てくるだろうと思います。

⇒というのは、政府紙幣発行なら国債(=国の借金)を増やさないので、誰から見ても分かり易いという観点で。

ただ、やはり、「政府紙幣の発行はインフレ率3%以下の時に限る」など一定のブレーキとなる法律も規定すべきですね。



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