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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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260:Q&A【3】

2009/03/14 (Sat) 17:49
今回はQ&Aシリーズ第3回です。

Q.3

2009年(平成21年)1月の国際収支(速報値)の誤差脱漏の額が大き過ぎませんか?
経常収支赤字で外貨準備が増えているのがよく分かりません

A.3

確かに、「誤差脱漏」が大き過ぎますね。ここまで来ると「誤差」とは言えないような気もします。
とりあえず、理論上

経常収支+(資本収支+外貨準備増減)=0

という関係が成り立つはずです。

なお、資本収支と外貨準備は増加がマイナスとなり、符合が経常収支とは逆ですのでややこしいですね。

直感的には貿易黒字が増えると経常収支はプラスで、
資本収支+外貨準備もそれにつれて増えるのだけど符号はマイナス、ということですね。

この関係を左側(借方)の経常収支と、右側(貸方)「資本収支+外貨準備」という形で整理してみますと、


のようになります。

さて、財務省HPによると、
この「誤差脱漏」
実際の統計作成においては、
膨大な取引についてさまざまな報告書等を基に集計するため、
必ずしも、1つの取引に係る2つの計上資料が同一時期に入手できるとは限らないほか、
評価方法のずれ等から、
同じ取引であっても資料によっては金額が異なる場合もありえます
とあります。

この意味は、

左側の経常収支を集計するときの資料と、
右側の資本収支&外貨準備増減を集計するときの資料で、
作成時期が異なることがあること

⇒たぶん、貿易取引で売上が立った(つまり、モノを出荷した、あるいは、相手側に入荷した)時期と、決済取引(たとえば売り掛け金を現金にする取引)をする時期がズレることで、金額計上時期が、右と左でズレる、というようなことかと思います。

あとは、評価方法の違い
⇒たぶん、外貨取引の円換算の方法が、取引主体によって、期末評価法(月末レートで一括換算するなど)とか移動平均法などで異なっているなどで、右と左がズレる、ということなのかな、と思います。

上記のような理由で、ズレてしまう。そのために、どうしても誤差が生ずるということのようです。

一応、上記のような理解だと長期的には「誤差脱漏」はゼロに近くなるはずです。

さて、国際収支の月次データ(季節調整なし)の過去13年分のデータ
誤差脱漏の合計を、貸方の合計(または借方の合計)で割ってみると、

約4.7%

となりました。一応、これならまだ誤差と言えるかもしれない程度ですね。

もしも、今後、長期の誤差脱漏の合計÷長期の貸方の合計 の値がどんどん膨らんで行くならば、
統計手法そのものに問題があるということになりますが、

その場合はきっと統計手法も改良されて行くことになると思います。

一応、経常収支+(資本収支+外貨準備増減)=0
の関係を理解し易くするために、「誤差脱漏」が小さい月のデータ
右と左に分けて書いておきます




Q.4

【定額給付金を簿記3級的に考察】の記事に関するご質問です↓)

今回の仮説には定額給付金の消費が完全に国内で回っているという前提に立っていますが、
実際には消費活動が活発になれば為替レートが円高になり輸入が増えると愚考しますが、いかがでしょう

A.4

「消費活動が活発になれば為替レートが円高」
ということに関しては、若干、ステップを踏んで考える必要があろうかと思います。

財政出動(定額給付金も財政出動の一種)⇒(消費活性化)⇒国債増発⇒金利高⇒為替高(円高)

ただ、これは、日銀が何らの金融調整もしなかった場合です。

日銀が政府の財政出動と時を同じくして、金融緩和(市中の資金量を増やす)をやれば、金利上昇は避けられるため、必ずしも

財政出動で消費活性化=金利上昇=円高

という構図は成立しません

この辺り、【財政拡大とマンデル・フレミング理論】の回もご参照下さい。


そして、もう一つは、

輸入が増えることは円安圧力

ということもあります。

とりあえず、世界には日本と米国しかない場合について考えて見ます。

日本の消費増・輸入増⇒米国の供給増・輸出増⇒日本の貿易黒字減少⇒米国の貿易赤字減少
⇒円安ドル高圧力

そして、さらに進めて考えて見ますと
円安ドル高になった⇒日本の供給増・輸出増⇒アメリカの消費・輸入増⇒(中略)⇒円高ドル安圧力

ということは、日本もアメリカも同時に財政出動すれば

上記のようなプロセスを経て

為替は円高ドル安になったり円安ドル高しつつ

日米両国の消費・供給はともに増加することになります。

GDP=民間消費+民間投資+政府支出+輸出-輸入

なので、輸出と輸入が同じだけ増えてもそれだけではGDPは増加しませんが、

ここで、政府支出は増加しているはずですので、GDPが増えます
ただ、ここ↑での政府支出は公共投資などの場合です。

定額給付金は生産活動を伴わない単なるお金の移転なので、
GDPを増加させる政府支出に入りませんが、
何割かは直接的に民間消費を増加させます。また、その後間接的に民間投資をも増加させる可能性があります。

と言うわけで、輸出と輸入がキャンセルしてもGDPが増えているはず、ということになります。

ここで、政府の大盤振る舞いは将来の増税を懸念させて、あとで消費を減退させるので効果がない、という説もありますが、
長期間財政を拡大して景気がどんどん拡大していけば、景気が良くなる中でそんな心配をする人も少なくなるのではないでしょうか。

 実際、80年代イタリアでは日本の90年代よりもGDP比でずっと大きい財政赤字が続いましたが、イタリア政府は大幅赤字お構いなしで、どんどん政府支出を増加させました
 それにも関わらず、イタリアの債務/GDP比は日本よりもずっと健全ですし、実質平均可処分所得も増加しています。
 対照的に、日本ではずっと小さい財政赤字なのに歳出削減し、結果、実質平均可処分所得は減少しました)。
 このイタリアの事例は、政府の大盤振る舞いは将来の増税を懸念させて、あとで消費を減退させるので効果がないには全く当てはまらない好例でしょう。
イタリアの話は「国債を刷れ!」第5章で詳細に説明している通りです。


もちろん、ここでも重要なのは、国の借金が問題でないという大前提です。
⇒「「国の借金が全く問題ない」ということの根拠については、
【「国の借金」が問題でないことの根拠】
【「国の借金は返さなくて良い」ことの根拠】
ご参照下さい(上記タイトルをクリック)。

とにもかくにも「財政危機と考えることこそ日本の危機」という当ブログの趣旨にご賛同下さる方は、こちらのリンクのクリックを↓

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