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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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311:オバマとブレア「第三の道」(2) ブレア時代の英国

2008/12/10 (Wed) 19:44
(前回からの続き)

前回はブレア政権が登場するまでの英国経済政策を見てきました。
サッチャー時代は、経済成長率だけをみれば一定の成果を挙げたと言えますが、一方で社会の安定は犠牲にされていたと言えます。

 また、もう少し突っ込んだ話をしますと、サッチャー時代、実は生産性が向上したとは言えないようです。



(データ出典/ 政府支出増加率:Bank of England(BOE) それ以外:Office for National Statistics(ONS))

 前回、高失業率状態が続いて選挙に負けそうなため、大追加予算で景気対策をした、と書きました。上のグラフをみると、その景気対策の効果は失業率の低下という点で顕著に現れたようです。
 しかし、同じく上のグラフをみると、失業率の低下と入れ替わりにインフレ率が高まっている様子が分かります。
 景気対策により、失業率低下→消費が旺盛になった(需要の増加)ことにたいし、生産供給が追いつかなかったために物価が上昇した、と考えられるのです。つまり、生産性は高まっていなかったのです(前回書いていませんでしたが、サッチャー政権下では、大学予算大幅カットによる科学技術進歩の停滞や、製造業は軽視し金融業を重視する政策により製造業が没落したため、生産供給力の低下を招いたようです)。
 もし、サッチャー政権の目的が国全体の生産性の向上にあったのなら、サッチャー政権はその目的を果たせずじまいであったといえます。
 そして、サッチャーのあとに続く同じく保守党のメージャー政権では、インフレ率を抑える政策(高金利政策など)でインフレを抑える一方、再び失業率を高めてしまいました。17年続いた保守党政権では失業率とインフレ率のトレードオフの関係は解消できなかったのです。
 
 つまり、ブレア政権が登場するまでは、
・厚い福祉政策をやれば失業率が低いなど社会的公正や安定は保てるが、国全体として沈
 滞気味になりがち。
かといって、
・サッチャーのような反福祉主義では、国全体として勢いは出たけれど、社会は安定さを
 失ってしまった。
というような、あちらを立てればこちらが立たずという状況です。


 ということで、前置きが長くなりましたが、ここで「第三の道」を掲げるブレア政権の登場となります。
 トニー・ブレアの政治のあり方に重要な影響を与えたとされる社会学者、アンソニー・ギデンズは次のようなことを著書「第三の道 The Third Way」(日本語版:日本経済新聞出版社)p.116で述べています。

新しい政治の第一のモットーは、「権利は必ず責任を伴う」である。
市民をはじめとする各主体に対して、弱者保護を含めて、政府は様々な責任を負っている。しかし、旧式の社会民主主義は、無条件に権利を要求する傾きが強かった。個人主義が浸透するにつれて、個人の権利に義務を伴わせる必要性が高まった。
 たとえば、失業手当には、積極的に職探しをする義務が伴わなければならない。福祉制度が積極的な求職活動を妨げないようにするのは、政府の責務である。「権利は必ず責任を伴う」というモットーは福祉の受給者だけではなく、万人が遵守すべき倫理原則でなければならない。

つまり、旧来の福祉重視路線はアメばかりに、サッチャーのような新自由主義ではムチばかりに片寄っていたが、「第三の道」ではアメとムチの両方を使いこなすことが、政治のあるべき姿であるとしているのです。

 この考え方に従い、ブレア政権では失業手当は、実際に就職活動に「努力」している場合にだけ給付する、求職者給付(Jobseeker's Allowance)を実施しました。
 これは2週間に一度は面接をして、本当に就職活動をしているのかしっかりチェックしたり、一方できめ細かいアドバイスも受けられるというものだそうです(「ブレア時代のイギリス」参照)。ほったらかしでもないし、甘やかしでもない、というわけです(障害者への手当てはまた別です。念のため)。

 このような施策は「労働などを通じて社会に貢献しようと努力している人には国全体として報いましょう」という思想の表れでもあるようです。

 その文脈の中で、ブレア労働党政権では「子育て」も社会貢献と捉え、相当に手厚い税還付や児童手当の給付を実施しています。
 その具体的内容を「ブレア時代のイギリス」p.31から一部ピックアップすると、低所得者で片親の場合年31万9千円、保育所サービスを利用している労働者には最大で週3万5千円の税還付。さらに16歳以下の子供すべて、中等教育の学校に通う19歳以下の若者、学校を卒業したのち職業訓練を受けている16、17歳の若者を対象とした児童手当が、第一子は週3千4百円、第二子以下は週2千3百円が支給される(上記金額は全て1ポンド200円として換算)、と言った具合です。

 もちろん、この子育て支援は、子供の教育機会の均等化にもつながり、低所得層の家庭に生まれた潜在的な有能な人材を埋もれさせないという効果も期待できるわけです。

 逆に言えば、なんでも「市場原理」に任せて貧困問題を放っておけば、結局は国全体の長期的な生産性は損なわれることが考えられます。
 それゆえに、市場原理(=民間)のみに任せていては足りないところを政府が補完し、これによって国全体としての効率を良くする。これも「第三の道」の考え方です。ビジネスでよく使われる用語を借りると、国全体での「全体最適」を図ろうとするのが「第三の道」の政治のあり方と言えるでしょう。
 
 さて、「足りていないところを政府が補完」ということは、場合によっては政府が大きくなることを意味します。
 ここで、再びブレア「第三の道」の理論的支柱、アンソニー・ギデンズ氏に登場していただきましょう。氏は行政の効率化について、次のように述べています:

政府が上から下まで不信を買う理由の一つは、政府が非効率な厄介ものだからである。企業組織が迅速かつ柔軟に環境変化に対応する世界では、どうしても政府は後れをとりがちである。要するに、「お役所的」の代名詞でもある「官僚制」は、政府を指し示す言葉にほかならない。
 政府のリストラは、「より安い費用でより大きな効果を」という生態学の原則に従うべきであって、単なる政府のダウンサイジングではない。それは、政府のやることを質・量ともに充実させることだと理解されなければなるまい。ほとんどの国の政府は、目標管理、実効性のある監査、柔軟な意思決定機構、従業員の参加の拡充等々、企業の秀でた行動様式から学ぶ点が今なお多い。…(以上「第三の道」p.130)

 第三の道は(中略)政府と国家を効率的で迅速的なものにすることを目指している。こうした目標は、国家制度を市場ないし擬似市場に置き換えることによってではなく、構造改革によって達成されるべきである。近年、多くの営利企業は自らを改革してきたが、それは自らを市場のようにすることによってそうしたのではない。ほとんどの効率的な企業は、官僚制から脱却しており、諸基準のベンチマーキング(=自分の会社の効率性を改善するために、先進的なライバル会社の生産方式やビジネス慣行を研究すること)を追求し、組織の下位レベルに多くの自律的な意思決定権を与えている政府はそれ自身の諸機関の内部で同様な改革を成し遂げるように努力すべきである
 公営機関に新しい命を吹き込む唯一の方法はそれらを民営化することである、と主張することは、ときには民営化が必要な場合もあるとはいえ、大きな誤りである。…(以上「第三の道とその批判」p.68)

「単なる政府のダウンサイジング」「公営機関に新しい命を吹き込む唯一の方法は…民営化すること」をやってしまった日本の構造改革派による「構造改革」と、「政府のやることを質・量ともに充実させる」という意味での「構造改革」を実践した英国、その結果は下の表に現れています:


なお、95年→05年の政府支出の増減率は
英国:+20% (BOE)、日本:-10% (内閣府)
でした。
 つまり、日本では公務員も政府支出も減らし、これで国民の平均所得は減少、貧困率(大きいほど格差が大きい)も悪化、さらに公的債務/GDP比でみた財政も悪化しました。英国では全部その逆で、政府支出は増加する一方で所得も格差も財政も全て改善されています。
 日本は政府の質も量も悪化し、英国では逆に質も量も充実したということになります。
 日本では所得の低下だけでなく、地域医療崩壊(たとえば2008年3月には北海道室蘭市の救急救命センターに指定されていた病院が、同年8月には千葉県銚子市の市立病院が閉鎖に追い込まれています)のような事態まで起きていますが、英国ではサッチャー以降荒廃した医療現場を修復するために「医療予算が毎年10%以上増額され、医療サービスの改善が急ピッチで進んだ」(「ブレア時代のイギリス」)のです。
 
 この医療サービスについても、たとえばブレア政権発足当初のように「手術平均6ヶ月待ち」のような状態ではその6ヶ月間、単純に考えると患者さんは思い切り良く働ける状態ではないわけですから、経済的な観点、国全体の生産性の観点から考えると、効率の良し悪し、全体最適という観点から、やはり国家は適切に補完すべきと言えるでしょう(倫理的な観点からも、もちろん重要です!)。

さて、最後にサッチャー時代とブレア時代の経済成長率と政府支出増加率を比べておきましょう。
 ・実質経済成長率は
  サッチャー時代:平均2.6%
  ブレア時代  :平均2.8%
  (ONSデータから計算)

 ・政府支出のインフレ率を割り引いたあとの年平均増加率は以下の通りです。
  サッチャー時代:平均1.8%
  ブレア時代  :平均4.1%
  (BOEのデータから計算。ただし政府支出=政府消費+政府投資)

ブレア時代の英国はサッチャー時代と比べて政府支出の増加率も大きいですし、公務員も増やし(サッチャー時代はデータはありませんが、メージャー政権時代は約60万人の減少)ましたが、格差是正、医療の充実などを行いながら、サッチャー時代と同等以上の経済成長をも同時に達成しました。しかも、上の表で見たように財政の悪化を伴わずです。

 「第三の道」の、いわば「やる気を引き出す福祉」、それに「政府の質と量の充実」により、社会全体の生産性が高まったから、と言えるのかも知れません。ブレア政権になってようやく失業率とインフレ率の両方が同時に低下しました。

 これからの日本の政治を考える時に、多いに参考にすべきではないでしょうか? 

さて、次回はいよいよオバマ政権についてです。


 
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