Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
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昨日の米国、「ビンラディン殺害」で歓喜の声に包まれておりましたが…
それにしても、「歴史的テロ事件の首謀者」がいなくなったことについて喜びたい気持ちは分からないでもないのですが、私は少々違和感を覚えました。
テレビで9.11の日本人犠牲者のご遺族が「この話を聞いても少しも気が晴れない。どういう経緯や理由であのような事件を起こしたのか、なぜ、息子が命を奪われなければならなかったのか、事情をよくよく聴取して公開して欲しかった」のように語っておられたのを見ましたが、これが本当ではないかと思いました。
そして、その米国に危機が忍び寄っております。
報復テロの話ではなく、
債務危機
です。
【米財務長官:米債務上限、遅くても16日に到達へ-「特例措置」に依存】
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=a97kuuRetueI
5月2日(ブルームバーグ):ガイトナー米財務長官は14兆2900億ドルの債務法定上限の引き上げを議会が認めない場合、遅くても今月16日には債務が上限に達すると警告した。
(後略)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=ajeG9SBUTXJI
4月26日(ブルームバーグ):米銀JPモルガン・チェースのマネジングディレクターで、米国債発行諮問委員会(TBAC)委員長を務めるマシュー・ゼームズ氏は、連邦債務の法定上限を引き上げることができなければ、「悲惨な事態」になる恐れがあると指摘した。現在の債務上限は14兆3000億ドル。
ゼームズ氏はガイトナー米財務長官への書簡で、「極めて短期間でも財務省による金利ないし元本の支払いが遅延すれば、米国債および金融市場全体が未知の領域に追い込まれ、再び悲惨な金融危機を引き起こしかねない」と指摘した。米財務省が26日に、25日付の同書簡を公開した。
同氏はさらに、債務上限を引き上げられず、それによって危機が生じれば、政府の長期資金調達コストが上昇し、「納税者の負担」が増える可能性があると分析。デフォルト(債務不履行)に陥るか、「債務上限引き上げがさらに遅れる事態となれば」、米国のソブリン格付けの引き下げにつながりかねないとの見方を示した。
ゲゲゲ!
なんと、
米国債デフォルトの危機です!!!
といいつつ、
そうはならないと思いますが^^;
みなさん、この
米国の債務上限
というやつ、その上限というのはずっと固定だと思ってしまわないでしょうか?
実は、ひたすらこの上限は引き上げられ続けてきたという経緯があります。
過去のデータを見てみましょう:
(ちなみに、このグラフ、以前さるお方の著書のために無償提供させて頂いたことがありますが、それに最新データを追加したものであります)
図1
出典:
ホワイトハウス予算局 http://www.whitehouse.gov/omb/budget/Historicals/
表7.1 連邦政府債務残高 Table 7.1—Federal Debt at the End of Year: 1940–2016
表7.3 連邦債務上限 Table 7.3—Statutory Limits on Federal Debt: 1940–Current
そして、上のグラフの青い点線の□の部分を拡大してみると、大変面白い事実がわかります。ちょうど第1次と第2次の石油危機の間の時期ですね。
図2
連邦債務の上限が引き下げられたけど、
債務残高がちっとも減らず、債務残高が上限を上回る状態となり、
結局は上限を引き上げる。
ということを繰り返しております。
ちなみに、最新の部分を拡大しておきます
図3
債務残高の点線の部分は予測値ですが、結局は上限の点線も70年代と同様に引き上げられることになるでしょう。
中には上限引き上げに反対する米議会議員もいるかもしれませんが、そんなことをすれば下手をすると、
・米国債デフォルト(債務不履行)で国債価格暴落
・予算執行できず米国経済失速
・世界経済の大混乱
自殺者の増加のみならず、経済混乱により世界各地で紛争が激化、9.11を大幅に上回る犠牲者を出しかねないのですから。
しかし、
「上限が引き上げられて、もっと借金できるようになったとして、借金が増えてしまえばやはり米国政府は破綻するのでは?」
という疑問をお持ちのかたもおられるかも知れませんが、その債務がドル建て、つまり米国にとって自国通貨である限りそうそう簡単に破綻することはありません。
自国通貨建ての債務不履行がそう簡単に起きない理屈については、
拙著「さらば、デフレ不況」p.181の最後の段落【「おカネが海外に流出しても、大丈夫?」について】あたりをご参照ください。
え?しかしながら、
「1998年、ロシアは自国通貨建て国債のデフォルトを起こした」
ですって?
そのときは、自国通貨(ルーブル)建て国債といっても、外国投資家がロシア国内の銀行で、ルーブルと米ドルのヘッジ(為替予約)をしていたので、ロシアの国全体(政府+民間銀行)としては実際上、米ドル建て、つまり外貨建ての借金をしていたのであります。
(そもそも、当時のロシア政府債務の大半は外貨建てだったのですが、まあそれは置いておきます。ロシア危機の詳細は【自国通貨建て国債で破綻?~ロシア危機の場合 】参照)
さて、米国債の半分、ざくっと600兆円分くらい、を保有している海外勢が皆アメリカ国内の銀行で為替ヘッジしていればもちろん、米国債も実質外貨建ての借金になるので極めて危険です。
しかし、世界で一番発行量の多い通貨である米ドルを全て他の通貨にヘッジできるわけもありませんし、そもそも米ドルがそんないちいちヘッジする必要のあるようなしょぼい通貨であるのなら、誰も米国債なんて買っていませんしね。
「ということで、まことに残念ながら米政府債務のデフォルトは当分起きそうにないっちゃね」
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債務残高と上限のおっかけっこのグラフはサイコーです!
みんなに教えてあげたいです。
ところでそのグラフですが、データを直線で結んでいるのでしょうか?斜めの線が気になるもので…。
本来は階段状になるものだと想像しているのですがどうなのでしょうか?
もしそうなら、グラフをバージョンアップしていただければさらに見やすくなるなぁと思っていたりします。
もし変な事言ってたらごめんなさい
m(_ _)m
2011/05/03 17:18 | tosh #kpjYxc8I URL [ 編集 ]