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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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590:「財政赤字を拡大せよ!」という奇特な米ヘッジファンド・マネージャーの物語:NYタイムズ記事より

2013/07/18 (Thu) 17:00
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「国の借金」カバー表面

「国の借金」アッと驚く新常識 ~"年金絶望世代"も元気が出る

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1.“章別の内容紹介”→こちら
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国債を刷れ新装版表紙

「国債を刷れ!新装版-これがアベノミクスの核心だ」







ヘッジファンド、国の借金、と来れば、

「日本の国の借金は大きすぎるのでもうすぐ破綻!」

と言って、日本国債が暴落するほうに賭けまくっているカイル・バス氏を思い出してしまいます。

一方で、「国の借金はもっと増やせ!」と主張し、「アメリカの連邦債務は増え続けているが、まったく問題なし」というほうに賭けまくってひと財産もふた財産も築き上げたヘッジファンド・マネジャーの物語をNYタイムズが記事にしています。


(この記事については、日本経済復活の会の小野誠司会長から教えて頂きました)

ということで、そのNYタイムズの記事を全訳してみました(8時間くらいかけてかなり丁寧に翻訳しました^^)ので、以下、掲載しておきます。







Warren Mosler, a Deficit Lover With a Following
ウォーレン・モスラー ―― 一定の支持層を持つ、財政赤字愛好家
By ANNIE LOWREY, New York Times
Published: July 4, 2013
ニューヨークタイムズ 2013年7月4日

〔日本語訳:廣宮孝信 ひろみや よしのぶ (経済評論家) 2013年7月18日〕

CHRISTIANSTED, V.I. — Warren Mosler is a card-carrying member of the 1 percent. A deeply tanned, tennis-lean hedge fund executive, Mr. Mosler lives on this run-down but jewel-toned Caribbean island for tax reasons. Transitioning into an active retirement, he recently designed and had built an $850,000 catamaran called Knot My Problem. He whizzes around St. Croix in a white, low-slung sports car he created himself, too.
ヴァージン諸島、クリスチャンステッド ― ウォーレン・モスラー(注1) は「1%」に属する一人だ。よく日焼けした、テニス好きのヘッジファンドの重役であるモスラー氏は、税務上の理由からこのひなびた、しかし美しいカリブ海に浮かぶ島に暮らしている。活動的な引退生活への移行のため、彼は最近、Knot My Problem と名付けた85万ドルの双胴船を設計し、建造した。彼はまた、セント・クロイ島(アメリカ領ヴァージン諸島)で自身が創り出した車高の低いスポーツカーをびゅんびゅん飛ばし回ってもいる。

(注1)英語版Wikipediaによれば、モスラー氏はヘッジファンドを経営する債券トレーダーであり、1985年にはスーパーカー専門の自動車会社モスラー・オートモーティブを設立している(ただし、モスラー・オートモーティブは2013年6月に突如廃業)。


“There would have been no recession,” Mr. Mosler, 63, said over a salad at a hole-in-the-wall seaside cafe called Rum Runners.
「景気後退など、なかった」。63歳のモスラー氏は、Rum Runnersという海辺のみすぼらしいカフェで、サラダの向こうからそう語った。

Washington’s debts would have soared, of course. But Mr. Mosler sees no problem with that. A failed Senate candidate in Connecticut with unorthodox but attention-grabbing economic theories, he says he believes the United States should be running much bigger deficits and that the last thing the government needs to worry about is balancing its budget.
ワシントンの負債(連邦政府の負債)はこれまで、急激に増加してきた。しかし、モスラー氏はそれには何の問題もないと見ている。異端ながら人の注意を引く経済理論をひっさげたコネティカット州上院議員選の落選候補である彼(注2) は、合衆国はもっと赤字を拡大すべきであると信じており、政府が最も心配しなくてよいことがその予算の均衡であると信じている。

(注2)英語版Wikipediaによれば、モスラー氏は2009年には大統領選に独立系候補として出馬を表明。2010年には大統領選から撤退し、コネティカット州で一時は民主党候補として、その後は独立系候補として上院議員選に出馬した。結果、0.98%の得票率で敗退した。


Mr. Mosler’s ideas, which go under the label of “modern monetary theory,” or M.M.T., are clearly on the fringe, drawing skeptical reactions even from many liberal Keynesian economists who agree with some of his arguments. But they have attracted a growing following, flourishing on the Internet and in a handful of academic outposts, as he and others who share his thinking have made the case that austerity budgeting in the United States and in Europe is doing irreparable harm.
「現代的金融理論(MMT)」と名付けられたモスラー氏の理論は明らかに非主流派であり、彼の議論に部分的に賛成する多くのリベラルなケインズ派経済学者からですら、懐疑的な反応を引き出している。

Like many Keynesian economists, Mr. Mosler and other modern monetary theorists are particularly disturbed by the longstanding campaign articulated and financed by Peter G. Peterson, a former commerce secretary who co-founded the Blackstone Group private equity fund, to reduce the deficit or else.
特に元商務長官にしてブラックストーン・グループのプライベート・エクイティ・ファンドの共同設立者であるピーター・ピーターターソンによって推進され、かつ、資金提供されている赤字削減等を目的とする政治運動によって、多くのケインズ派経済学者と同様、モスラー氏ら「現代的金融理論(MMT)」論者は、かく乱されている。

“There’s a whole deficit lobby of Peterson-funded groups arguing we’re turning into Greece,” said James K. Galbraith, an economist at the University of Texas at Austin. “They’re blowing smoke and the M.M.T. group has patiently explained why.”
「我々(合衆国)がギリシャになろうとしていると主張するピーターソンに資金提供されているグループの“財政赤字”ロビー活動が存在している」。オースティン(テキサス州都)のテキサス大学の経済学者、ジェームズ・ガルブレイスは語った。「彼ら(ピーターソンのグループ)は嘘八百をまき散らしているが、MMTグループはこれまで辛抱強くその理由を説明してきた」

Still, even for those with some knowledge of economics, the tenets of the modern monetary theory can make your head spin. The government does not tax its citizens to pay for federal spending. It taxes them to ensure they use the dollar and to help to regulate demand. Since the government prints the dollar, it can never run out of money and it need never balance its budget, not even to prevent the crowding out of private investment when the economy is humming along.
しかし、多少の経済学の知識を持つ人々にとってすら、MMTの理論には目まいがするかもしれない。政府は連邦支出をまかなうために市民に税を課すのではない。政府は、市民がドルを使うことを保証し、需要を抑制するために課税するのである(訳者注:政府はいくらでもおカネを刷れるからカネに困らない、というのに税金が存在する意義は、インフレを抑制するということにある、という意味と思われる)。政府はドルを印刷するのであるから、カネが尽きることは決してありえず、政府は予算を均衡させる必要は決してないし、経済がうまくいっているときに民間投資を締め出すこと(クラウディング・アウト)を防ぐ必要すらないのである。

What about inflation? “What about it?” Mr. Mosler replied. “How can the United States have $16 trillion in debt and still be on the verge of deflation, even when Chairman Bernanke’s using every alphabet-soup trick in his book?”
インフレーションについてはどうか?「インフレについてかい?」モスラー氏は答えた。「どうして合衆国は16兆ドルの負債を抱えることができているのか、どうしていまだにデフレの瀬戸際に立っているんだというんだい?しかも、バーナンキ議長が彼の知り得るあらゆる芸当を繰り出しているというのにだ(訳者注:巨額の財政赤字拡大とかつてない大規模な金融緩和をやっているのにいまだデフレの危機にある。そんな時にインフレの心配をしてどうするんだ、ということ)

To mainstream economists, Mr. Mosler and his adherents represent something of a counterpoint to the handful of academics on the right who believe the United States should return to the gold standard because the government is supposedly going bankrupt and the Federal Reserve under Ben S. Bernanke is debasing the currency.
主流派の経済学者にとって、モスラー氏とその支持者らは、「政府は恐らく破産し、ベン・バーナンキは通貨価値を下落させることとなるので、金本位制に回帰すべき」と主張する一握りの右派の学者らとの興味深い比較対象(counterpoint)となっている。

“They deny the fact that the government use of real resources can drive the real interest rate up,” said Mark Thoma, an economics professor and widely followed blogger who teaches at the University of Oregon. After delving into the technical details of modern monetary theory for a few minutes, he paused, then added, “I think it’s just nuts.”
「彼らは、政府の実物資源の使用が、実質金利の上昇につながる事実を否定している」と、多数の読者を抱えるブロガーであり、オレゴン大学の経済学部教授でもあるマーク・ソーマは語った(訳者注:このオレゴン大学の教授の発言の趣旨は「政府が供給力を使用することが民間が利用できる供給力を制限することになること=クラウディングアウトを無視しているから、MMTはダメだ」ということ)。2、3分ほどMMTの専門的な詳細に立ち入ったあと、すこし間を置いて彼はこう付け加えた。「思うに、MMTは頭がいかれているね」

But just as a return to the gold standard has attracted a popular following — including many supporters of Ron Paul, the charismatic former Texas congressman — so has modern monetary theory, which has been spread on the great stage of the Web. A thriving academic blogosphere brings ideas up and knocks them down, and popular sites like Business Insider and Naked Capitalism have given modern monetary theorists a platform to join in.
しかし、金本位制への回帰が多くの人々――カリスマ的な元下院議員、ロン・ポールの支持者を含む――を惹きつけるなか、MMTもまた、ネット上で大いに広まった。にぎわっている学者らのブログ界において、さまざまな考えが取り上げられ、また打ちのめされもする。そして、ビジネス・インサイダーやネイキッド・キャピタリズムといった人気サイトがMMT論者らに、議論に参入する場を提供している。

“These ideas definitely aren’t disseminated through published academic journals,” said Stephanie Kelton, an economist at University of Missouri-Kansas City, who coined the term “deficit owls” to distinguish modern monetary theorists from “deficit hawks.” “It’s all on the Internet.”
「これらの考え方は、出版された学術論文誌によって広まったものでは、明らかに、ない」と、カンザス・シティーのミズーリ大学の経済学者、ステファニー・ケルトンは言う。彼女は、「財政タカ派」と区別するため、MMT論者を「財政フクロウ派」と呼ぶ新語を作った。「全部、ネット上のものだから」。(訳者注:ケルトン女史が「タカ派(hawks)」に対して「ハト派(doves)」と言わずに「フクロウ派owls」としているのは、フクロウ→夜更かしの象徴→ネット民ということを言いたいのではないかと推測される)

(Page 2 of 2)
Mr. Mosler has played a pivotal role in promoting the theory, and unlike many economists he has the resources to do so. He runs a popular blog called the Center of the Universe, a sly joke, perhaps, given that tiny, tropical St. Croix, which is about 1,200 miles from Miami, is the easternmost point in the United States. He eagerly appears on radio programs and on television. Recently, he went on a tour of Italy to promote his anti-austerity ideas.
モスラー氏はMMTの普及拡大に重要な役割を果たしてきた。彼は多くの他の経済学者らと違い、そのための手段を持っている。彼はthe Center of the Universe(世界の中心)――マイアミからおよそ1200マイル離れたアメリカの最東端、熱帯のセント・クロイという小島を、恐らくは茶目っ気のあるジョークとしてそう呼んでいる――と名付けた人気ブログを運営している。彼は意欲的にラジオやテレビに出演している。最近、彼は彼の反緊縮財政論の普及のため、イタリアにまで出かけて行った。

There were also a few self-financed political campaigns, including some fruitless races in the Virgin Islands. In his 2012 run, Mr. Mosler said he believed the voting was rigged. He made a vanity run for Senate in Connecticut in 2010 as an independent, making waves by offering to use $100 million of his own money to pay down the deficit if any member of Congress could prove that government spending was actually constrained by tax revenue. He came in third, with about 1 percent of the vote. “It was a mistake,” Mr. Mosler said of running in Connecticut. “It did get the ideas out there, though.”
(モスラー氏が)自己資金で行っている政治運動はほかにも2、3ある。例えば、ヴァージン諸島におけるいくつかの成果の出なかった選挙だ。2012年の選挙についてモスラー氏が言うには、準備不足であったとのこと。2010年のコネティカット州上院議員選はむなしい結果に終わったが、彼は、もしも連邦議員の誰かが、政府の支出が実際に税収に制限されているということを証明できたなら、彼の持ち金から1億ドル、財政赤字を埋めるために即金で支払うと申し出たことで、物議をかもした。彼はおよそ1%の得票率を得て、第三位となった。「あれは間違いだった」とモスラー氏はコネティカットでの出馬について語った。「でも、あそこでアイデアを得た」。

Mr. Mosler started his career at a small bank in Connecticut, and eventually became a Wall Street trader. It was there, he said, that he developed an intuitive understanding of how the economy works — one very different from that of policy makers in Washington and the vast bulk of academics.
モスラー氏はコネティカットの小さな銀行で彼のキャリアを開始した。そして遂にはウォール街のトレーダーの一人となった。彼が言うには、彼はそこで経済がいかに動いているか、直感的な理解――ワシントンの政策立案者や大勢の学者らとかなり違う理解――を構築することとなった。

“All debt management is, is debiting and crediting different accounts,” Mr. Mosler said, recalling seeing numbers appear and disappear from his computer at Bankers Trust in New York in the 1970s. “Can the federal government run out of dollars? No, because the Fed could pipe in a bigger number. That number doesn’t come from anywhere. It’s like when a player scores a field goal at a stadium. Three points just appear. The government is just the scorekeeper for the dollar.”
1970年代、ニューヨークのバンカーズ・トラスト(訳者注:アメリカの投資銀行)で、彼のコンピューター画面に現れては消える数字たちを見ていたことを思い出しながら、「すべての負債管理では、借り方と貸し方の異なる帳簿に記入してる 」(注3)と、モスラー氏は語った。「連邦政府がドルを使い果たすことなんてあり得るか?あり得ない。なぜなら、FRBがより多くのドルを送り込むことができるからだ。そのドルは他のどこかから来たものではない。まるでスタジアムで(アメフトの)選手がフィールドゴールを決めたときのようなものだ。それで3点が入る(訳者注:フィールドゴールとはアメフトでキックにより得られる3点ゴールのこと)。政府はドルの得点記録係ってわけだ。」

(注3)「すべての負債管理では、借り方と貸し方の異なる帳簿に記入している」というのは、借金をしたとき、貸し方creditor項目として負債勘定帳に帳簿記載されるのみならず、費用もしくは資産(現金や設備や不動産など)という借り方debtor項目の勘定帳にも必ず帳簿記載が行われる、つまり、負債が発生したときは必ず貸し方creditorと借り方debtorの両建てで帳簿記載がなされるということを意味するのであろう。
 なお、企業が借りて来たカネを何に使ったとしても、そのカネは必ず他の誰かの資産項目(借り方項目)として存在することになる。
 国全体を連結決算、あるいは世界全体を連結決算してやれば、誰かの負債(貸し方に記載)は必ずそれと同じ金額だけ他の誰かの資産(借り方に記載)となるため、金融資産から負債を差し引いて相殺すれば必ずゼロになる。
 だから借金とは、マクロでみれば必ず負債と資産の両面を併せ持つ両性具有体である。
 よって、マクロ経済の管理運営者である政府は、外国から多額の外貨建て借金でもしていない限り、基本的に借金を気にする必要がない、ということとなる(気にすべきはインフレ率のみ)。モスラー氏はこのような簿記の発想を基礎としてマクロ経済を考えているように思われる。


In the early 1980s, he left Wall Street and along with a partner, Clifford Viner, who is now the owner of the Florida Panthers hockey team, founded a hedge fund in Boca Raton, Fla. The fund made relatively few, relatively complicated financial bets, said Michael Reger, a partner of Mr. Mosler’s for the last 20 years. “He’s an urban myth,” Mr. Reger said of the affable, talkative and bookish Mr. Mosler.
1980年代前半、彼はパートナーであるクリフォード・バイナー ――現在、フロリダ・パンサーズというホッケーチームのオーナー ――とともにウォール街を去り、ボカ・ラタン(フロリダ州パームビーチ郡の都市)でヘッジファンドを設立した。そのファンドはどちらかというと珍しい、どちらかというと複雑な、金融上の賭けをしてきた、とモスラー氏の20年来のパートナー、マイケル・レーガーは言う。「彼は、一つの都市伝説だ」と、レーガー氏は、親しみやすく、おしゃべり好きであり、かつ、堅苦しいモスラー氏について語った。

Mr. Mosler’s fund has made a number of bets informed by his theory. For instance, Mr. Reger said, when the Treasury was paying down the United States debt during the Clinton years, many bond traders thought that prices would spike because of increasing scarcity. But Mr. Mosler predicted that no such scarcity would ever materialize, and shorted the bonds.
モスラー氏のファンドは、彼の理論に励まされる形で数々の賭けを行ってきた。レーガー氏が言うには、例えば、クリントン政権で財務省が連邦債務を減らそうとしていたとき、多くの債券トレーダーは国債の不足が進むことで価格が急上昇すると考えた。しかし、モスラー氏はそのような不足が実現することはないと予見し、債券をショートした(値下がりすれば儲かるほうに賭けた)。

That trade panned out, though others have not. The business lost hundreds of millions of dollars betting that Russia would not default on its debts. That country’s fixed exchange rate spurred it to go belly up, Mr. Mosler said.
そのトレードはうまく行ったが、ほかはダメだった。(モスラー氏は)ロシアが債務不履行しないほうに賭け、何億ドルという損失を出した。ロシアの固定為替レートが、ロシアの破綻に拍車をかけた(注4) 、とモスラー氏は語った。

(注4)IMF資料”Russian Federation--Recent Economic Developments (September 20, 1999)”(p.7)に、「限られた金融調節にも関わらず、1993年から95年にかけて獲得した経済的安定は、1998年半ばまで続いた。その安定は、巨額の対外債務(主に短期債務)によって支えられた固定為替相場制によって維持された。しかしながら、政府の負債総額を増大させた、政府による外貨建て短期債務容認の決断は、政府の資金調達に関する脆弱性を増大させ、市場心理に変化をもたらした」という記述がある。
 端的に言えば、当時のロシアはドルを借りて来てそれを売り、ルーブルを買うことで固定相場を維持(ルーブルの価値を維持)していたが、それはドルによる短期債務を急増させた。モスラー氏はこのことがロシアの破綻を決定的にしたと言っているのであろう。
 なお、上記IMF資料によれば98年の破綻直前のロシアの連邦債務は外貨建て債務が大半であった。また、ルーブル建ての国内向け国債の約3割は外国人投資家が保有していたが、外国人投資家はロシア国内の銀行で為替予約をしてルーブルとドルのレートを固定していたため、外国人保有のルーブル建て国債も、ロシア国家にとって実質的には外貨建て債務であったと言える。
 なお、このIMF資料についての解説は訳者のブログ(「自国通貨建て国債で破綻?~ロシア危機の場合(2010/09/26)」)参照。

On the side, he ran Mosler Automotive, which created several dozen low-slung, lightweight, superfast sports cars over its nearly 30 years in business. That passion project never quite worked out, he said, and he is now in the process of selling it off. “The Consulier got named one of the 50 worst cars ever made by Time magazine,” he said with a laugh. “Look it up!”
副業として、彼はモスラー・オートモーティブという、いくつかの低車高、軽量、超高速のスポーツカーを世に送り出した自動車会社を、30年近く経営していた。彼曰くは、その情熱的なプロジェクトも決してうまくいったわけではなく、彼はいまその会社を売りに出している。「Consulier(という車種)はタイム誌で史上最低の車50選に選ばれてしまったよ。」

But entering retirement, Mr. Mosler has more than enough work to do promoting his monetary theories, he said.
しかし、引退生活に入るとなると、モスラー氏は、彼の金融理論を普及拡大するためにやるべき仕事がまだまだある、と語った。

“Economics is about the allocation of scarce resources,” Mr. Mosler said. “If there’s a food shortage, you have a real problem in divvying up the food. Right now, we have a dollar shortage because of mistaken notions about how the monetary system works. How does that make any sense?”
「経済学というものは、不足した資源の配分に関するものなんだ。もし、食糧の不足があれば、君は食い物の山分けをするにあたって実際上の問題に直面することとなる。現在我々は、金融システムがどう動いているかということについての間違った考えによって、ドル不足の問題を抱えている。ね、そうだろ? (注5)」

(注5)つまり、モスラー氏の考えは、カネであれ、食べ物であれ、不足しているものを補ってやれば経済はうまくいくのだ、という発想と思われる。訳者もこれまで、そのような観点でブログを書き、本を出版してきた。簿記を入口にマクロ経済論に立ち入るに至った点においても、訳者はモスラー氏に親近感を覚えずにはいられない。





モスラー氏のMMTのような、「国の借金大丈夫だ」論は、米国において、ネットでは支持を拡大しつつあるようです。しかし、彼のこれまでの選挙戦の結果をみるにつけ、リアルではあまり支持が広がっていないように思われます。
この点、アメリカは日本とかなり似た状況であるようです。


最近、NHKで参院選に向けた各党の参議院代表者の討論会を見ましたが、すべての党の代表者が「国の借金大変だ!」という前提で、どうやって借金を減らすか――やれ、増税だ、やれ、歳出削減だ――ということばかり語っていました。
リアル世界では、まだまだ「国の借金大変だ」教の勢力が極めて強大であるということの反映なのでしょう。
このような各党代表者の発言は、こう言わないと票が取れないという大前提に基づいているのでしょう。

そんな中、モスラー氏のような1%側に属する大金持ちである「国の借金大丈夫だ」教の指導者に関するNYタイムズの今回の記事は、この史上空前の猛暑の真っただ中で、私には清涼飲料水のようなさわやかさを与えてくれました。

まあ、私も私なりに、地道に布教活動を続けて行きたいと思う、今日この頃であります。





というわけで、



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コメント

1295:財政赤字愛好家、万歳!!

8時間もの翻訳作業本当にお疲れ様でした。
アメリカと日本は本当に似たような状況なんですね。
政治家の皆さんは「国の借金が問題だ」とか「財政健全化だ」とか「プライマリーバランス黒字化を目指す」とかばっかり言ってて萎えてしまいます(まだまだ、布教活動が必要ということでしょう)。その中でも「日本は自国通貨で国債を発行している。お札を刷って返せばいい。簡単だろ」と言ってのけた麻生財務大臣は心強いですね。

仮に国の借金は問題ないと各党代表者が知ってたとして(知らないとは思いますが)、自国通貨建ての国債だから国の借金は問題ないと言っちゃうと、やっぱり票は逃げちゃうもんなんですかね。あと対外的にも財政健全化しますってアピールしなくちゃいけない理由とかってあるんでしょうか。本当に問題ないんだから問題ないと言ってほしいと個人的には思うところですが。

2013/07/19 12:10 | くらえもん #- URL [ 編集 ]

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