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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
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654:日銀が万が一、債務超過となった時の対応策の検討(その1)

2015/05/18 (Mon) 17:30
本題に入る前に、昨日のいわゆる「大阪都構想」というか「大阪市解体構想」が住民投票で否決され、ついに終止符を売った件について少々。

これについて私が強い感情を伴って思い浮かべるのは、私がお世話になった故・長田義明元大阪府議会議長のことです。この7年も続いたお祭り騒ぎがなければ、もっと長生きされていたのではないかと思うと、非常に複雑な気持ちにならざるを得ません。

私が長田元議長の生前、ご本人から伺ったのは、都構想というか、維新が大阪の自民党から分裂するきっかけとなったのは、咲洲(さきしま。大阪市の臨海地域)のWTCに府庁を移転するか否かで自民党府議団の内紛であったということです。
 そのWTCとは東日本大震災において唯一、西日本で被災したあのビルです。橋下氏らはこの万一津波があれば孤立する可能性が高いと指摘されていたビルに府庁移転を強行しようとし、この問題が2011年の統一地方選時の選挙の争点ともなりました。

そこで、朝日新聞が「震災は天の恵み」と書き立てた、長田元議長の失言騒動が沸き起こりました。
 この際の長田元議長の発言の意図は、震災そのものが天の恵みというわけでは当然、あり得ません。どこかの反日の国のごく一部の人々じゃあるまいし、そんなことは絶対に断固としてあり得ません。
 そうではなく、この震災によって、唯一西日本で被災したのがWTCであったということにより、橋下氏がこのビルに府庁を移転することが間違いであることが明らかになったことは、大阪府民にとっては不幸中の幸いであった、という意図です。もし大阪で大震災があった場合に、災害対策本部となるべき府庁が津波被害などによって孤立し、より多くの人命が失われるようなリスクが回避されたという意図です。
 失言ではありましたが、これによって長田元議長が寿命を大いに縮めなければならなかったという類のものであったとは、私には今も決して思われません。この騒動の翌々年(2013年)に元議長は他界されました。

 騒動の勃発時は毎日のように多数の記者が詰めかけ、連日連夜、自宅兼事務所に抗議電話がかかってくるというありさまでした。
 抗議電話をかけて来られた方の中には保守系の方もいらしたと思います。しかし、これがあの朝日新聞の記事の見出しが契機であったと分かっていた人――言い換えれば、元はと言えば朝日新聞に煽られていたと分かっていた人――は少なかったでしょう。そして、翌々年に元議長が他界されたというその後の経緯を知るに至った人も非常に少ないのではないかと思います。

元議長がこの失言をしてしまった背景としては、
・自民党として全面的に支援して府知事に当選した橋下氏が、あまり大義があるように思われない府庁舎移転問題で自民党を裏切って大阪の自民党を分裂させたことに対する憤り
・自分の後継者にと盛り立てていた地元の自民党市会議員が何のあいさつもなく維新に移籍して府会議員に立候補すると表明するに至ったということに対する憤り
があったと思われます(私が直接ご本人から伺った話を振り返るとそのように思われます)。

 そもそも、この市会議員の「裏切り行為」がなければ、元議長は政界を引退するつもりでおられたのです。議長職はその最後の花道であったわけです(引退直前の多数党議員が議長職となるのが慣例だった)。
 しかし、上記の経緯のために出馬せざるを得ず、そして議長職でなければ来ることもなかった新聞記者、とりわけ、朝日新聞の記者が選挙事務所の事務所開きに参加していたところに、橋下氏や後継者にと目していた地元市会議員への遺恨からついつい発することとなってしまったのが上記の言葉だったと思われます。

 このように、いろいろな偶然が重なった上で起きた騒動でした。

 その当時、ご本人、ご家族のご様子をつぶさに観察する位置に私はいたのですが、そのストレスはかなり凄まじいものがありました。マスメディアとマスメディアに煽動された大衆はこうやって政治家を叩きつぶす――政治生命だけでなく、人間としての生命までをも結果的に奪ってしまう――のだな、というのを目の当たりにしたのでした。

 2011年当時、私は大阪市会の自民党議員の方から「政治家は決して割のいい商売じゃない。自己犠牲を覚悟でやらんと、やれん仕事やで」と教わったのですが、この長田元議長の最晩年の顛末を見るにつけ、改めてひしひしと感じたものでした。

 この経験は、私が基本的に他人を批判しない、特に政治家の皆さんを批判しない(党派によらず)という姿勢を取ることとした強力な動機づけの一つとなっています。私は、自分がお世話になった人物が、世間からの途方もないバッシングを受けた後、ひっそりと息を引き取るという一部始終をこの目で直に目撃したのです。いや、「ひっそりと」というのは多少語弊があります。長田元議長のお通夜に数百人にのぼる多数の参列者があったことは、私には救いでした。

 そして結局、2011年の選挙の争点であった府庁舎の移転問題。橋下氏は選挙に勝ったにもかかわらず、結局は府庁者のWTCへの移転を撤回したのです。あの選挙はなんだったのか?あの騒動は何だったのか?てなもんです。

私は、この都構想問題について、かつて、一応は当事者の端くれであったにもかかわらず、最近では一切書いてきませんでした。
 それは一度書き出すと、感情が先走って余計なことを書いてしまい、多方面にご迷惑をかけるなんてことがほんの少しでも絶対にないように、ということからでした。
 なぜ感情が先走ってしまうかって?
 それは、お世話になった人物がこれによって命を落としているからです(と私個人は、そう考えているということです。それが絶対的真実であると断定はできませんが、私にとってはそれが真実です)。


そういったわけで、私は橋下氏にはかなり複雑な感情を持っています。
が、この方の、間違っていたとなればすぱっと謝罪してしまい、許してもらってから次に進むという点など、人間的魅力の高さがあることはそれはそれで率直に認めたい部分もあります。

そして、今回の住民投票後の会見では、橋下氏の話に非常に秀逸と感じた部分があったので以下に引用します(毎日新聞より):

(質疑応答)

−−12月まで市長を続ける。将来、もう一度政治家になる可能性はあるか。

 橋下氏 ないですよそんなの。まず一つは、住民の皆さんの気持ちをくむ。負けるのだったら住民投票をしかけるべきでない。その判断が間違っている。住民の皆さんの考えをくみ取れていなかった。それは政治家として能力が一番欠けているところです。政治家は嫌われちゃいけない。民主主義である以上。僕みたいな政治家が長くやる世の中は危険。みんなから好かれる、敵のいない政治家が本来、政治をやらなければいけない。敵を作る政治家は本当にワンポイントリリーフで、いらなくなれば交代。権力は使い捨てが一番。それが健全な民主主義だ。ぼくみたいな敵をつくる政治家がずっと長くやるなんて世の中にとって害悪。でも8年間、僕みたいなスタイルでやっているのだから、大阪も相当問題を抱えていたのかもしれない。





橋下氏は、ル・ボンの「断言、反覆、感染」のような手法の効果と危険性をよくよく分かった上で意図的に使っていらしたのでしょう。

この橋下氏の発言を読んで頂ければ、私がこれからの長期的活動において「断言、反覆、感染」を使わないということの意味をより一層分かって頂けるのではないかと思います。

とは言え、私自身が政治に直接関わることはありませんが、意図するところは分かって頂けるのではないかと思う次第であります。





というわけで以下、本題です。

前回の続きです。

まず、日銀の最新の株式やREITの購入状況と純資産の状況の確認です:


営業毎旬報告(平成27年5月10日現在)より

資産の部より

 金銭の信託(信託財産株式:従来型の金融機関からの株式購入分)         1.4兆円
 金銭の信託(信託財産指数連動型上場投資信託:株式指数ETF)         4.8兆円
 金銭の信託(信託財産不動産投資信託:REIT)                      0.2兆円

 株式等合計               6.4兆円

負債および純資産の部より
 資本金                                                1億円
 準備金 2.9兆円

 純資産合計               2.9兆円


で、

株式等の合計 6.4兆円 > 純資産合計 2.9兆円

という状況です。ただし、営業旬報には決算書(財務諸表、最新は昨年9月末分)の貸借対照表の資産側にある、「その他資産」、「有形固定資産」、「無形固定資産」の5千億~6千億円程度が含まれません。これらをそのまま足すと、純資産は概ね3.5兆円程度となりますが、それでも「株式等の合計>>純資産」の構図は変わりません。

※ここで株式等の合計6.4兆円という数字のうち、信託財産株式(従来型の金融機関からの株式購入分)1.4兆円が入っています。これは前回書いていた「従来型」の株式購入です。新型の株ETFやリートの購入の合計は前回、7兆円と書いていましたが、正確には5兆円程度でした(訂正します。記憶だけに頼るとやはり不正確ですね^^;。すみません!)


2か月前のエントリーにおいて、市中銀行が債務超過に陥ることを防ぐため工夫として、法律で「株式保有高>自己資本」となるように法律で規制されているという話をしました。こうしておけば、買った株が0円になっても自己資本がゼロ以上に留まるため、銀行が債務超過にならずに済む、ということです。
 一方で日銀は現状、「株式保有高>>自己資本」となっているわけであり、株が暴落し、半値程度以下になった場合、債務超過に陥る可能性があることになります。

 なお、日銀の帳簿上の株やREITの保有高は、時価ではなく、簿価です。厳密には、財務諸表に「株式、指数連動型上場投資信託受益権及び不動産投資法人投資口の評価は、移動平均法による原価法により行っている」とあります。つまり、平たく言えば株やREITは購入コストの合計額が帳簿に載っているということになります。よって、暴落によって半値以下に…という場合は、暴落によって保有時価総額が購入コスト合計額の半値以下に、という意味合いになります。

なお、会計上の細かいことですが、日銀の財務諸表においては、この簿価(購入コスト)を時価が下回ると、その差額につき負債に損失引当金(それぞれ、株式取引損失引当金、指数連動型上場投資信託取引損失引当金及び不動産投資信託取引損失引当金)を計上することとしています。また、時価が簿価に対して「著しく下落(通常、有価証券の場合は簿価の50%以上の下落)」した場合は「減損処理」を行い、引当金を負債に計上するのではなく、簿価そのものを時価評価額に転換します。引当金の計上であれ、減損処理による簿価の書き換えであれ、時価が購入コストを下回った際に純資産が減少する点は同じです。


 しかしながら。

 債務超過になったところで、日銀はいくらでも円を刷れる(実際には紙幣よりは当座預金で対応すると思われるので印刷はせず、帳簿端末のキーボードをかちゃかちゃいじることで円資金を増やせる)ので、債務不履行にはならないのでは?

と思われれるかも知れません。理屈として、それで正しいと思います。しかし、円の為替レートが落ちることは恐らく防げないと思われます。
いや、それでも緩やかに落ちるだけであればそれほど問題は起きません。
問題は急激に円の価値が暴落することです。それは、破綻論者の皆さんがこの数十年の間、愛して止むことのないハイパーインフレかそれに近い状況の到来を意味します。

なお、このような場合において、どれくらいの円レート下落が起きるかは、世界中の著名投資家や大手機関投資家、格付け機関、マスメディアがどれくらい騒ぐかによって変わってくると思います。
 例えば、世界中の株が暴落するという現象が進行し、その中で日銀が債務超過に陥ったとします(若干あり得ない想定とは思いますが、政府や日銀が何らの防護策も取らなかったとして)。ムーディーズやS&Pやフィッチといった格付け機関は、「日銀が債務超過に陥った」という現象について、「いやいや、債務超過になっても日銀はいくらでも円を発行できるのだから債務不履行にならないのだから、何らの問題もないだろう」と見過ごすのであればよいのですが…。しかし、ただでさえ日本国債の格付けを韓国国債より下にしている彼らが、それでは済まさなかったとしても、それほど驚くべき事態ではないでしょう。
 世界中の株価が下落の一途をたどるなか、世界中のマスメディアがある日、「日銀、債務超過」と書き立て、さらに翌日「ムーディーズなど3大格付け機関、日本国債の格付けをAからBBB等に格下げ」と騒ぎ立てた場合、日本円を持っていたいと思う国内外の投資家がどれだけいるだろうか、と考えると、相当な規模の急激な円安が少なくとも一時的には起こり得るということになります。ただし、後で冷静になって考えてみると、日本の莫大な対外純資産が円の暴落によって円建てで急膨張し、そして所得収支が超大幅黒字になっていることに多くの投資家が気づくことになるでしょうが…。



いや、本当にそんなことがあり得るか?

なければ良いですが、もしもあったら、と考えるほうが無難でしょう。

孫子でいうところの「その来たらざるを恃(たの)むことなく、我の以て備えあるを恃む」、平たく言えば、備えあれば憂いなし、ということを、以下の検討における基本方針とします。


1.そもそも、債務超過をもたらすような株価暴落はあり得るか?

前回も書きましたように、株価などの上昇による資産効果により、株価の価値の源泉と言えるGDPが十分に増えるのであれば、株価暴落は原理的に起きないことも考えられます。しかし、過去においてバブルの形成と崩壊は何度も繰り返されているのですから、株価などの上昇による資産効果によって株価が永遠に支えられるとは考えられない、と認識しておくのが無難です。つまり、バブル崩壊は今後も起こり得ると考えたほうが良いでしょう。問題は、日銀の保有株式やREITの時価が自己資本を下回るようになるまでの暴落があり得るか、ということになりますが、ここではあり得ると仮定して、以下、検討を進めましょう。


2.日銀が株価暴落の影響を受けずに済む方法の検討

政治的に可能かどうかを脇におけば、その方法は極めて簡単です。政府が日銀の保有する株やREITなど価値変動の大きい資産を根こそぎ買い取ってしまうことです。全部と言わずとも、「日銀の株式・REITの保有高(簿価)<自己資本」となるくらいまで政府が買い取ってしまえば、どれだけ株が暴落しても日銀が債務超過に陥ることはありません。
 ただし、これを実行した場合、市場関係者に「日本政府は株価暴落があると予想しているらしい」といういらざる憶測を生み、それによって株価暴落の引き起こす可能性は一応は認識しておかなければならないとも思われます。
 もう一つ、仮にこれを実行しようとした場合の最大の制約条件は、「少なくとも数兆円かかる。これ以上国の借金を増やすと財政再建が…」となるかも知れません。しかしながら、これはカネを使うというよりは資産の購入のための新規国債発行ということになりますし、アベノミクスの成功を信じるなら株価は上昇するはずですから、むしろ政府にとって儲かる取引であるはずなので、それほど抵抗感なくできるような気もしますが、どうでしょうか。


※長くなったので次回に続きます。次回は、「日銀の保有株を政府が買い取るという対策ができなかった場合」について検討します。



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コメント

1505:

廣宮さんらしい橋下評でした。

この優しさを裏切って、橋下氏が掌返しで国政に打って出ることがないことを祈ります。

また、食い散らかされた大阪を誰が立て直すのか非常に興味があります。

2015/05/19 02:12 | 荒川太郎 #ZJmJft5I URL [ 編集 ]
1506:

廣宮さんこんにちは。

素人な質問しますけど、自己資本て会社で言うと株式増資と内部留保で増加するんですよね?
日銀は自己資本を通貨発行権を行使することで増やしつつ、債務超過に陥る可能性を防ぎながら株式購入を進めるということは不可能なんですか?

僕は財務諸表には疎いのでどうしても日銀の債務超過という言葉に違和感を覚えてしまいます。だって日銀て誰かにお金借りてませんよね。民間銀行は預金という名の負債、または他人資本ですか?借入金?なんでもいいですけど人様のお金を貸し出しに回して営業してるので、債権が不良化すると債務超過に陥るのは分かるのですが。

2015/05/21 11:33 | 田中リンクス #- URL [ 編集 ]
1507:Re: タイトルなし

荒川太郎さん、コメントありがとうございます。

> 廣宮さんらしい橋下評でした。
>
> この優しさを裏切って、橋下氏が掌返しで国政に打って出ることがないことを祈ります。
>
> また、食い散らかされた大阪を誰が立て直すのか非常に興味があります。

橋下氏が将来どうするのかは分かりませんが、「私みたいな政治家は危険です」と取れる言葉をテレビの生中継で語った政治家というか大衆煽動家というのは歴史的に稀有な存在、とは言えるかと思います。

 大衆煽動家というのは大抵、「独裁者」のように見えてその実大衆からの支配を受け、言い換えれば大衆からの絶大な人気に飲み込まれて我れを見失い、最悪の場合、遂には自滅に至るものだと思います。橋下氏にとって、今回の住民投票の僅差での否決をまたとない絶好の機会と捉えて、「終着駅は身の破滅ルート」から抜け出せた、という実感があの記者会見での満面の意味であり、「ぼくみたいな敵をつくる政治家がずっと長くやるなんて世の中にとって害悪」という発言につながったのかも知れません。

 近年におけるこのようないわば「抜け身」を超絶にうまくやった大衆煽動家が小泉純一郎氏ではないかと思います。小泉氏のあとを受けた自民党の首相、安倍、福田、麻生の三氏は小泉氏から貧乏くじを引かされたと見えないこともありません。橋下氏は小泉氏に倣ったのではないかというのが私の見立てです。もちろん、橋下氏の40代半ばという年齢からすると、最終的な結果はまだまだ分からないというのが正直なところではありますが…。

2015/05/21 16:59 | 廣宮孝信 ひろみやよしのぶ #- URL [ 編集 ]
1508:Re: タイトルなし

田中リンクスさん、

> 素人な質問しますけど、自己資本て会社で言うと株式増資と内部留保で増加するんですよね?
> 日銀は自己資本を通貨発行権を行使することで増やしつつ、債務超過に陥る可能性を防ぎながら株式購入を進めるということは不可能なんですか?

 銀行券(紙幣)や当座預金は日銀の財務諸表上は「負債」となっていますので、「自己資本を通貨発行権を行使することで増やし」というのは、現状では理論的に不可能かと思います。
 一方、日銀が毎年の利益の積み重ねの範囲内で保有株式を増やすのであれば、「株式保有高(簿価)<自己資本」を維持できますから、その範囲内であれば、債務超過に陥る可能性を防ぎながら株式購入を進めることは可能となります。(もちろん、増資によって自己資本を増やすならば、その分だけ債務超過リスクを回避しながら株式を買う余裕が増えることになります)

>
> 僕は財務諸表には疎いのでどうしても日銀の債務超過という言葉に違和感を覚えてしまいます。だって日銀て誰かにお金借りてませんよね。民間銀行は預金という名の負債、または他人資本ですか?借入金?なんでもいいですけど人様のお金を貸し出しに回して営業してるので、債権が不良化すると債務超過に陥るのは分かるのですが。

 当座預金は要求払い債務、すなわちいつ債権者から要求されても即座に返済しなければならない債務であり、債権者たる金融機関に対する返済義務のある債務と言えます。
 紙幣(銀行券)に関しては負債に計上しているとはいえ無期限債であり、返済義務があるとは言えません。しかし、日銀は日銀法第1条第2項において、「銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的」としており、また、第2条において「日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念」としています。
日銀法: http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H09/H09HO089.html

 日銀は物価の安定や、資金決済の円滑を保つ義務があると言えます。債務とは広義では「約束を守る義務」と言えますが、日銀はこのような約束を国民や金融機関に対して守る義務があり、それが金銭的な返済義務がないといえる紙幣(日銀券)に関する広義における債務であると言えるでしょう。
 この「広義における債務」の履行のためには、日銀の資産総額が、紙幣や当座預金を含む負債総額を上回っている状態を保つことが一つの大きな目安になる、と考えれば、債務超過、すなわち「資産<負債」となる状況は極力避ける義務があると考えることができます。これが紙幣(日銀券)に関する「広義における債務」と捉えることもできるでしょう。

 日銀が「資産<負債」、つまり、債務超過になると、紙幣や当座預金の価値を担保する資産が不足していることになりますから、理論的には紙幣や当座預金の価値が守られていないとみなされても仕方がないと思われます。そのように考えると、日銀は債務超過に陥るリスクを可能な限り避けるべきであり、自己資本(=負債-資産)を上回る株式の保有は極力避けるのが無難、という議論が成り立つのではないかと思います。
 もちろん、「本来的には紙幣に担保などいらないのではないか?」という議論も成り立つかもしれません。問題は、何が真実か、というよりは、世の中の大多数の人々が何を真実とみなすか、というアメリカの裁判でよく言われるようなことではないかと思います(アメリカの裁判に関しては、「何が真実かは重要ではない。陪審員が何を真実と思うかが重要だ」と私が以前勤めていた会社ではよく口伝されていました。というのは、昔、その会社では米国における特許裁判で途方もない賠償金を支払わされた苦い経験があったからでした)。
 で、このエントリーの趣旨は、仮に日銀が債務超過(単純に財務諸表上で「資産<負債」と計算されること)になった状況において、「もしも世の中の大多数が問題視することになるとしたら、どうすれば良いか」について検討しているわけです。

2015/05/21 17:28 | 廣宮孝信 ひろみやよしのぶ #- URL [ 編集 ]
1509:

なるほど、よく分かりました。帳簿上債務超過を防ぐには増資をするか、準備金や資本金の範囲内に株式購入を抑えるか、株価下落を防ぐ為に買い支え続けるかしかないわけですね。
そして日銀は通貨の価値を担保するという広義の債務を背負っていると。
ところで日銀は株式をいつ売却するつもりなんでしょうかね?国債は期限付き債権ですし売りに出さなくても償還期限が来て、そのまま政府との連結決算でチャラにすることが可能ですが、株式はそうもいかない。株式を買うならば普通は利確や損切りなど売るタイミングも事前に計画した上で買うものですが、日銀にその売るタイミングの計画はあるんでしょうか?株価を押し上げる意図で買ってるのだとしたら下落局面での損切りは出来ないですよね。それでは株価下落を益々後押ししてしまう。ならば上がっている最中に売りに出すという選択肢しかないのですが、実体経済が今のレベルでは日銀が買いから売りに転じたと報道された時点で株価下落を誘発する怖れ大でしょう。そこら辺の議論てどうなってるんでしょうね。
「政府が日銀の株式を買い取る」これは仰るように政府の財政規律に煩い昨今、数兆円規模のリスク資産である株式を政府が買い取るというのは難しいかも知れませんね。これには世論もマスコミも「税金で株を買うのか!」という批判が巻き起こる可能性はかなり高いでしょう。
ま、年金資金を株に突っ込んでるくらいですから、そっちに移し変えるという手もあるんでしょうか?しかし下落局面で逆張りするとか、デイトレーダーの様な買い方はなかなか無理がありそうですね。

また次回のエントリー楽しみにしております。

2015/05/21 23:00 | 田中リンクス #- URL [ 編集 ]
1510:Re: タイトルなし

田中リンクスさん、こんばんは。

株に関することは、ほぼ完全におっしゃる通りではないかと。私のエントリーの内容を補完して頂いてありがとうございます。

もしかすると、日銀の株の売却計画については「必ずデフレ脱却して、保有株を売り払っても市場に悪影響がない状態に持って行ってから売る」以外は無策のように見えるところが遠大な策なのかも知れませんし、実はまったくの無策なのかも知れません。私には残念ながらそこは見通すことができていないですが…。

>
> また次回のエントリー楽しみにしております。

今後ともどうぞよろしくお願い致します。

2015/05/21 23:21 | 廣宮孝信 ひろみやよしのぶ #- URL [ 編集 ]
1514:承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

2015/05/26 12:54 | # [ 編集 ]
1515:Re: 中央政府の財政政策には頼らない地方創生策などについて

> 政治的には右派で経済的には市場原理主義というのは最悪といった話もあるのですが、橋下徹大阪市長の功績を垣間見ると、国内がデフレ期の時に域内で緊縮財政を採るというのは大変なことだと思うのですが、大阪経済の成長の障壁(何がという具体的な事はわからないのですが)となっている規制の緩和や行政の効率化はインフレ・デフレとは関係なく行った方がよいという意見・見解も散見されますね。

橋下さんの具体的な政策については、彼らが連れてきた民間の区長やら校長やらのセクハラだなんだといったトラブル率の半端ない高さとか色々なことが指摘されていますが、私のほうではひとまずノーコメントとしたいと思います。しかしながら、「規制の緩和や行政の効率化はインフレ・デフレとは関係なく行った方がよい」というような基本方針については賛成です。ちなみに、私自身の経験でいうと大阪市内に転入したときの区役所の事務処理の速さは感動的であった(ちなみに、平松市長時代です)のに対し、その後、神戸市内に転入したときの区役所の事務処理の遅さはかなりの好対照をなしていました。また、大阪市は市税や国保をPay-easyでネットバンキングで納入できるのに対し、我が生まれ故郷、神戸市は政令指定都市なのにいまだ対応していません。いや、少なくともこういうことに関してはもっと効率化できるんじゃないかと正直思いました。
 総論としては、将来は労働力不足になることが確定しているのですから、国全体において、少人数でより多くの仕事をこなすようになる必要があります。その観点において行政の効率化はどんどんやるべきというのはまったくもって異論なしという具合であります。
 (なお、行政を効率化させて人員が余ったとしても、人員を減らすのではなく住民サービスの質の向上に振向けるのが妥当ではないかと思っております。もちろん、民間で決定的な人不足があるときはまた違う発想も必要かもしれません)。

> 地方創生が叫ばれる昨今、京都大学大学院の藤井聡教授の大大阪構想は大変参考になると思いますし(特に財政出動による積極財政)、三橋(貴明)さんは、地方経済活性化のための政策としては、【「各地にインフラを整備し、税制で企業や人の『東京からの』移転を推進する】(具体的には交通インフラの整備と法人税の減税)ということを言っておられました。
>
> 国全体の景気が悪い最中でも中央政府の機動的な財政政策には頼らずに地方公共団体(例えば大阪府)が自力で域内GDPを上げる(また都道府県民所得を上げる)ためには一体どうすればよいか等については(中々難しいとは思いますが)、廣宮さんは、何かよいお考えをお持ちですか?

財政出動にまったく頼らないとなるとかなり厳しいですが、基本方針としては、国全体のヒト、モノ、カネという資源の最適配分を行うことでしょうね。例えば、求人倍率一つとっても、沖縄はわずか0.55倍、東京は1.2倍と地域によってばらつきがあります。これは、沖縄は就労人口が余っており、東京は不足しているということになります。逆に言えば、沖縄は企業が不足しており、東京は企業が余っている、とも言えます。どうやって低負担でこのような就労人口の不均衡、就職口の不均衡を均衡に導き、国力を最大限に引き出すか、といった視点が必要ではないかと思います(これは、企業で言えば人が余っている事業所から、人が不足している事業所に配置転換を行うことに似ています。これを国レベルでうまいことできんやろか、というわけです)。

2015/05/26 21:40 | 廣宮孝信 ひろみやよしのぶ #- URL [ 編集 ]

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