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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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656:日銀が万が一、債務超過となった時の対応策の検討(その3)

2015/05/26 (Tue) 21:07
前回の続きです。

前回までは、

アメリカの覇権のゆらぎ

株の暴落はあり得る

自己資本以上に株やREITを保有している日銀の債務超過はあり得る

仮に「株の暴落で日銀の債務超過」があっても、政府が保有資産を3兆円ほど日銀に現物出資すればひとまず日銀の債務超過は防げる

という話の流れでした。

今回は、「株の暴落で日銀の債務超過」があっても、政府が諸般の事情により現物出資等の救済措置を行わない/行えないケースを検討してみます。
かなりあり得ないシチュエーションであると思いますが、「アメリカの覇権のゆらぎ」が仮に本物なら、何が起こっても不思議はないとも思われますので、念のため、という具合です。




4.万が一、世界的な株の暴落等により、万が一、日銀が債務超過に陥った場合の為替レートの検討

近年における、先進国における二つの経済危機事例から、簡易的に類推してみようと思います。

一つは、1992年の英国「ポンド危機」。
もう一つは、2008年のアイスランドの中央政府債務不履行です。

ギリシャ危機は取り上げません。
というのは、ギリシャは共通通貨に縛られている危機事例であり、通常の独自通貨を持つ国の危機の様相――為替レートの急落、それに起因する輸入物価上昇に伴うインフレ率の上昇、為替レートの大幅下落による経常収支の改善と経済の回復というプロセス――と異なるからです。ギリシャの場合は為替下落がないので、危機においては別の形での購買力平価の下落、すなわち、物価下落(デフレ)となるので、あまり参考になりません。


以下、グラフのデータ出典はOECD.StatExtracts。但し、為替レートは逆数を計算して表示しています。


まず、イギリスの「ポンド危機」です。

capture_20150526_161625.png 


実を言うと私、今回このグラフを作るまで、「ポンド危機」ってそこそこ大変な「危機」というイメージを持っていました(博士論文でもこの「ポンド危機」は扱っていたのですが、その意識を持っていました)。
が、今回データを見ていて、「ポンド危機」はそれほど大したことがなかったのだなという認識です。というのは、「ポンド危機」が以下の3点のようなものだったと気づいたからであります:
・対ドルの為替レートの下落率が、リーマンショック以下だった。
・長期金利(10年物国債利回り)が、「危機」のはずなのにむしろ低下していた。
・インフレ率も、対ドルレートの下落でさぞや高くなっていたかと思いきゃ、むしろ「危機」において低下していた(下グラフ参照)。




capture_20150526_161647.png



じゃあ、92年の「ポンド危機」って何だったんだ、というと、現在のユーロの前身というべき、欧州為替相場メカニズム(ERM)に当時参加していた英国ポンドが、ジョージ・ソロス氏の投機によってERM加盟国間の為替レートの変動幅±2.25%を超えて「下落」した、つまり、バンク・オブ・イングランドが民間投機家に負けた、という意味で「危機」と言われているだけのことのようです。確かに、ショッキングな出来事であり、これが原因で英国はユーロに参加しなかったようです。まあ、むしろソロス氏のおかげ(?)でユーロに参加しなかったことは、後のことを思えば「幸運」と言えたかもしれませんが、どうでしょうか。人間万事、塞翁が馬といったところです(参考資料:野村証券)。

この英国の「危機」は、経常赤字が続いている中で、ポンドが「割高」となっていたことが原因と思われます。
そして、「危機」の程度が小さかったのは、経常赤字とは言え、英国には外貨建て債務、より正確には「通貨発行権で対応できない債務」の問題がなかったから、あるいはそのような問題が十分に小さかったからであると考えられます。

「通貨発行権で対応できない債務」の問題がない場合の危機というのは、小さくて済むと考えられます。
というのは、そのような国は、対外債務は主に自国通貨建てであり、対外債権が外貨建てであるからです。
このような場合、自国通貨が下落すれば、自国通貨換算で外貨建ての対外債権が膨らむ一方、対外債務は不変であるため、対外純債務が縮小/対外純資産が拡大することになり、それによって対外収支も改善することになるため、危機における安定化作用が働くことになります。

それはそれとして、とにかく、その「危機」におけるポンドの対ドル下落率は、7か月(92年7月→93年2月)で25%という水準でした(ちなみに、リーマンショックのときは、8か月(08年7月→09年3月)で29%の下落)。

※アベノミクスの異次元緩和では、ドル/円は1ドル80円から120円に円安、下落率は逆数で計算するので、1/80 →1/120で、33%の下落でした。ポンド危機の下落率(25%)を上回るわけですが、ポンド危機のポンド安は通貨当局にとって不本意な下落、アベノミクスの円安は意図どおりの下落という点が違うと言えます。


次に、アイスランドです。


capture_20150526_161604.png



・対ドルレートの下落率は12ヵ月(07年11月→08年11月)で55%。
・長期金利は最大で+15%で打ち止め。長期金利の変動幅は、最大で9%→15%の+6%。
・インフレ率は最大で+18%で打ち止め(既出の上のほうの図参照)。


アイスランドは、個人が住宅ローンを日本円やスイスフラン建てで組むなど、民間部門の外貨建て借金が凄まじい規模で存在していました。そして、国有化された3大銀行が外貨建て債務の不履行を起こしたため、形式としては中央政府の債務不履行が生じました。
が、なんだかんだ言って、インフレ率は最大でも20%に届かないうちに打ち止めとなり、残念ながら破綻論者の皆さんの大好きなハイパーインフレとまでは行かなかったと言えます。


さて、仮に日本において、日銀が債務超過に陥ることによって「危機」が生じた場合にとのようなことになるかを類推してゆきます。

日本は、仮に日銀が債務超過に陥り、大幅な円安になったとしても、英国同様、外貨建て債務の問題は僅少であると考えられるため、円安→対外純資産の改善→対外収支の改善という安定化作用が生じるものと考えられます。
となれば、日本の「危機」は、恐らく、外貨建ての対外債務問題で政府の債務不履行を生じたアイスランドよりはマシなものとなると考えられます(言い換えれば、アイスランドの「危機」が「最悪のケース」の目安と考えられる)。

一方、英国の「ポンド危機」と、現在検討中の「日銀の債務超過」を比較すると、英国の「ポンド危機」においては中央銀行の債務超過は発生していないと思われます。何せ、危機のさなかで長期金利がむしろ低下していた→10年物国債の価格がむしろ上昇していたので(逆に、中央銀行が債務超過となっていたとしたら、それ以上国債を買い増すというのは難しいのではないかと思われます。この点については、あとでまた取り上げます)。

となると、仮に「日銀の債務超過」が起きた場合の危機の様相は、英国の「ポンド危機」とアイスランドの「政府の債務不履行に関連する危機」の中間くらいかというように類推できます。

すると、こんな感じでしょうか:

・対米ドルの下落率は25%~55%程度
・長期金利の上昇幅は最大で+6%程度以下
・インフレ率は最大で+18%程度以下


さて、仮に株の暴落が起きても政府が諸般の事情によって事前に日銀に資本注入などの対策を取ることなく日銀の債務超過が生じた場合、債務超過となった日銀がそれ以上国債を買い増すことができるのか、という問題が生じるかも知れません。
理論的には、そのようなときでも国債の買い増しは可能のような気もしますが、「債務超過となった日銀が国債を買い増すなどしたら、日銀の信頼はますます失墜してしまう」とか、そういった議論が日銀の政策決定過程において優勢になる可能性は一応、「最悪のケース」として想定したほうが良いと思われます。

今日現在の日本の10年物国債の利回りは、ブルームバーグを見てみると、0.4%程度です。
これが仮に6%増加して6.4%になった場合、10年物国債の価格がどうなるか計算してみましょう。
(債券価格の計算方法は6年前の当ブログで紹介した、こちらの親切な方のブログで解説されています。一言で言えば、「割引現在価値」に基づいて計算されます)

10年物債券の利回りが0.4%→6.4%となった場合、価格は100から56.2に下落(下落率43.8%)となります。
これが中韓、じゃなかった、中間で0.4%→3.4%の場合、価格は100から74.7に下落(下落率25.3%)となります。

さて、国債の財務省表上の評価方法について。

一般の市中銀行の場合。
 国債が満期保有目的であれば、時価ではなく簿価で評価されます(より正確には、償却原価法という評価方法です。例えば、三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)の決算短信には「満期保有目的の債券については移動平均法による償却原価法(定額法)」で評価するとあります。ちなみに、償却原価法では、買った時の値段が満期のときの償還価格100と異なる場合、会計期間ごとに、100に近づいていくように評価替えされます。つまり、満期保有であれば、どれほど債券価格が下落しても時価は気にする必要がない、ということになります。
 但し、50%以上の価値の下落があった場合は、「減損処理」により、時価で評価替えがなされることになります(全銀協資料参照)。
 仮に、銀行が大量の10年物国債を満期保有目的で保有していても、10年物国債の利回りが6%増以下で済むのであれば、上記の計算から下落率は50%未満なので、減損処理はされませんし、償却原価法で評価しているため、時価の変動は銀行のバランスシートに何らの影響も与えません。

 とはいうものの。
 例えば、日本最大の銀行グループである三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)の決算短信を見ると、保有国債については時価評価しない「満期保有目的」よりも時価評価される「その他有価証券(短期売買目的でも満期保有目的でもない有価証券)」のほうが圧倒的に大きな金額を占めています。2015年3月時点でMUFGは
「満期保有目的」の国債 1.1兆円
「その他有価証券」の国債 34兆円
この保有国債のうち、全部が10年物というわけではもちろんなく、もっと短期のものが中心と思われます。とりあえず10年物の下落の影響が1/2とすれば、10年物国債利回りが6.4%になった場合の影響は、21.9%となり
34兆円×21.9%=7.4兆円
の評価減となります。
MUFGの純資産は17.3兆円ですから結構な金額と言えます。金融機関の中には、もっと甚大な影響を受けるところも出て来るでしょう。また、金利全般の上昇により、財政状態がカツカツな個人や企業は甚大な影響を受けることとなるでしょう。


日銀の場合。
日銀の会計規則を見ると、日銀においては、保有国債はとにかく償却原価法で評価されるようです。また、減損処理の対象は「コマーシャル・ペーパー等、社債(不動産投資法人債を含む。)、株式、指数連動型上場投資信託受益権及び不動産投資法人投資口」が限定列挙されているのみであるため、国債は減損処理の対象外となっているようです。
 それでも債券については評価損がある場合は引当金(債券取引損失引当金等)を計上する仕組みがあるのですが、日銀法施行令第15条において引当金の計上には「財務大臣の承認」が必要とのことで、逆に言えば、財務大臣が承認しなければ、計上しないことになるようです。
 以上からすると、国債の価格下落が日銀のバランスシートに与える影響はあまり考えなくて良いのかも知れません。





上記の見積もりでは、10年物国債利回りは6.4%が最悪というように考えましたが、これはあくまでも適当な目安に過ぎません。アイスランド国債利回りに見受けられた最大15%の水準までいくとすると、債券価格は0.4%で100とした場合と比べて、
100→25.6で74.4%下落となります。そこまで行くと、日本最大の金融グループたるMUFGですら純資産がマイナス、すなわち債務超過に陥るかも知れません。
 そうなってから政府が救済措置を講じるとなるとかなり面倒ですから、やはり最善はほんの数兆円を日本銀行に資本注入して日本銀行の債務超過をできるだけ早い段階で解消しておくことである、となります。
 とはいえ、今回の検討は、諸般の事情により政府が早い段階で日銀に資本注入できなかった場合についてのものです。そのような資本注入を行わなかった場合で、かつ、日本中の市中銀行が国債の下落やそれに伴うその他の債券等の下落により軒並み債務超過となるような場合(正直、かなりあり得ないとは思いますが)について、どのような対処法が考え得るか、については、次回、検討してみたいと思います(次回でこのシリーズは最終回とします)。


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コメント

1516:FRB(連邦準備制度理事会)による利上げの影響について

周辺国(ソブリン)救済策だったというLTRO(長期資金供給オペ)を行ったECB(欧州中央銀行)が年間7200億ユーロで日本銀行(BOJ)が年間約80兆円ですか、リーマンショック前からするとBS(バランスシート)を5倍化した約4.5兆ドルに膨張させたままというFRBが、例えば9月頃から利上げを開始するということになると、世界中のマーケットがギクシャクし出して、一時的にショックが起こると言われていました。通貨危機が起こるとも言われてきましたが(新興国の通貨たとえばルーブルやレアルにトルコリラなど)、アメリカの景気がいいということでFRBが利上げをしていくと(対話が上手くいけば影響は軽微かも知れませんが)、廣宮さんは、世界で何事か起こると(例えばチャイナショックなど)現時点で予想されてますか?

2015/05/31 14:26 | Mr.T #- URL [ 編集 ]
1518:Re: FRB(連邦準備制度理事会)による利上げの影響について

Mr.Tさん

> 周辺国(ソブリン)救済策だったというLTRO(長期資金供給オペ)を行ったECB(欧州中央銀行)が年間7200億ユーロで日本銀行(BOJ)が年間約80兆円ですか、リーマンショック前からするとBS(バランスシート)を5倍化した約4.5兆ドルに膨張させたままというFRBが、例えば9月頃から利上げを開始するということになると、世界中のマーケットがギクシャクし出して、一時的にショックが起こると言われていました。通貨危機が起こるとも言われてきましたが(新興国の通貨たとえばルーブルやレアルにトルコリラなど)、アメリカの景気がいいということでFRBが利上げをしていくと(対話が上手くいけば影響は軽微かも知れませんが)、廣宮さんは、世界で何事か起こると(例えばチャイナショックなど)現時点で予想されてますか?

この数か月ほど、アメリカの景気が良いニュースが出ると「利上げ予想→株価下落」、景気の悪いニュースが出ると「利下げ予想→株価上昇」という、本来的な株価の動き「景気が良い→株価が上がる」とは逆の動きとなっていました。つまり、株価は景気に関わらずFRBの金融調節次第、という本末転倒な状況と言えます。この状況において、FRBの利上げは株価下落、新興国のうち、特に経常赤字が続き、あるいは、大きな外貨建て債務問題のあるような国々における急激な通貨安や債券の下落(金利上昇)を引き起こすものと思われます。となると、世界同時株安&債券安ということが起きる可能性が高いと思われます。
 最悪の場合は世界大恐慌まで行くかもしれません。そこまでは大げさ過ぎるかも知れませんが、一応は想定の範囲に入れておいた方が良いものと思われます(特に、アメリカの覇権の揺らぎが本物と見るならば、そこまで想定に入れておくのが無難でしょう)。

 あと、ついでながらでありますが、各国中央銀行のマネタリーベースのインパクトの比較は、絶対額や増加率ではなく、GDPに対する単位時間当たりの増加度合いというような形で見るのが妥当ではないかと思っています(例えば、日銀のバランスシートは異次元緩和の前の時点でGDP比で見れば他国に比べてすでに大きかったので、単純な増加率の比較は妥当とは言えなさそうです)。

2015/06/06 15:33 | 廣宮孝信 ひろみやよしのぶ #- URL [ 編集 ]

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