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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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658:ルービニ教授による“過剰な金融緩和deバブル崩壊”の説明

2015/06/20 (Sat) 16:04
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※最近、ブログは更新頻度低いですが、ツイッターはそこそこ頻繁に更新しています。よろしければ、上のボタンを押してフォローして下さい!





日経ビジネス最新号(2015年6月20日)に載っていた、サブプライムローン危機やリーマンショックをその数年前から予測していたということで有名になったルービニ教授の記事のご紹介です。

以下、タイトルと要約部分を引用した上で、ごく短く内容紹介をしておきます。


-----
「バブル崩壊への時限爆弾に注意」 
ノリエリ・ルービニ
日経ビジネス2015年6月20日 p.126

金融危機以降の金融政策によって、先進国の金融市場が抱える大きな矛盾が顕在化しつつある。
マクロレベルでは量的緩和で過剰流動性が創出される一方、債券や株式市場の厚みは失われてきている。
現在の過剰流動性が株式や債券市場バブルをもたらしているだけに、放置すれば確実に崩壊の危機に向かう。
-----


以下、廣宮による内容紹介:

・現在は過剰な金融緩和で株や債券が高値安定している状況である。

・ショックが起きたとき、従来は大手銀行が「マーケットメーカー」として債券価格安定を担ってきたが、リーマンショック後規制が厳しくなり、そのようなことができなくなっている(債券市場のマーケットメーカー不在)

・近年、HTC HFT※(コンピューターによる高速取引)が普及しており、これが価格追従型の取引を行うため、市場価格の振幅が増大されやすい。

※訂正です。HFT: High-frequency trading 高頻度取引。なんでHCTと書き写したのかはよく分かりません。何らかの生理的、生物学的要因としか言いようがないという具合です。すみませんでしたm(_ _)m。

・近年、顧客からの解約指示があれば流動性低い商品についても、翌日にはどんな低価格でも売却してなければならない仕組みである投資信託が普及拡大していることによる、不安定化リスクが増大している。

・最近、ドイツ国債の金利が0.1%以下だったものがいきなり0.8%まで上昇したことなどは、上記の理由のようです。

・そして、マクロでの過剰流動性と市場での非流動性のミスマッチがバブル崩壊の引き金を引くだろう、とのことです。

-----


私が頻繁に引き合いに出している国連報告書の説明では、

金融における規制緩和+金融緩和→金融不安定化

という理屈でしたが、ルービニ教授によると、リーマンショック後の規制強化が逆説的に市場の不安定化を招いており、今後もそれが大きなリスクとなりそう、ということになります。






ちなみに、アメリカのとある優秀な株式投資信託(過去37年でMSCI World指数の30倍に対し、この投資信託は106倍になるという好運用成績)の日本版(野村証券で販売。但し手数料の違いで元のファンドとは運用成績は違って来る)の月次レポート(2015年5月29日現在)から、市況見通しに関するコメントを引用してみます:

-----
【今後の運用方針】
株式市場は高値圏での推移が続いていますが、私たちが世界経済に対し様々な懸念を有しているという状況に大きな変化はありません。イエレンFRB議長は年内の利上げを示唆したものの、FRBがどの程度の時間をかけて金利水準を正常化させるかは不透明です。発言通り年内に利上げをしたとしても、利上げ幅が小幅にとどまれば、今後も緩和的な金融政策が継続することに変わりはないかもしれません。私たちは、金利水準が正常化し、様々なリスク資産の価格が割安な水準まで調整することを期待しますが、そうなるまでにはかなりの時間を要すると思われます。

このような状況下でも、安全マージン(予期せぬ事態が生じても、回復不可能な損失を回避できるよう、十分に割安な水準で投資を行うこと)を重視し、質の高い事業や希少な資産を有する企業に割安な水準で長期的に投資を行っていくという、私たちの運用方針に変更はありません。株価水準が高いため、割安な会社を見つけることは困難ですが、エネルギー関連企業など、エネルギー価格下落の結果、割安となっている企業には継続的に投資を行っています。市場全体の下落がなくとも、業種や個別企業特有の要因で割安となった企業には今後も投資を行ってまいります。
-----

上記ファンドはウォーレン・バフェット氏のようなバリュー投資(割安株投資)を行うファンドですが、現在は「金利が低すぎることで、割安(適正な水準以下)の株を見つけるのは難しい」状況であるというわけですね。つまり、「今、まさにバブルっぽい」てなわけです。

いま、株をお持ちの方は、「回復不可能な損失を回避できる」ように手を打っておくのが無難かもしれません。




もう一つ、リーマンショックの2008年も運用成績がプラス(但し、英ポンド建てで)となった、イギリスの投信会社が運用する、日本でもいくつかの証券会社で取り扱っているファンドの月次レポート(基準日: 2015年5月29日)の市況見通しコメントも参考までに:

-----
依然として金融市場に先行き不透明感が残る中、運用においては、様々な状況に対応できるバランスの取れた資産配分を保つことが極めて重要であると考えます。どのような事が将来起きうるかを正確に予見することは大変難しいですが、世界的なデフレ傾向や低水準にある経済成長、国家財政にとって重圧となる水準まで積み上がった債務など、世界経済をとりまく状況に対しては、引き続き細心の注意を払ってまいります。さらに、金融市場の各資産クラスにおいて、量的緩和による資金流入を背景に、本来のファンダメンタル価値とは切り離された相場展開が見られる中、想定外の事象が起こりうる可能性が十分にあることを踏まえ、当ファンドにおいては、資産の保全を最優先とすると同時に、リターン追求に向け、投資戦略に基づいたバランスの取れた資産配分を保つことに焦点を当て、慎重な姿勢で運用に取り組んでまいります。
-----

※今回紹介している投資信託につき、購入を推奨するものではありませんので、念のため(ルービニ教授の指摘している投資信託特有の「リスク」にも留意されたし)。



量的緩和相場にご用心、といったところでしょうか…。


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コメント

1524:株価暴落時における為替(ドル円)レートの予想などについて


今の世界経済が米国の利上げに耐えられるかどうかは兎も角、一応は非伝統的な前人未到の超緩和策が成功して(景気は順調に回復していき目下のところ米国経済は好調を維持)、今や利上げモードになりつつある米国の株式市場が、金融緩和中の日本と欧州の株式市場に比べて年初来パフォーマンスが悪いのは、年内の利上げ開始を織り込み始めたからなんでしょうか(ここから出遅れた米国株のキャッチUPが始まるとか、2007年と同じく中国株とともに大天井をつけたとか、まあ色々ですが)。

FF(フェデラル・ファンド)レート先物市場を見ると9月の利上げ確率はわかるということですが(同時期には郵政3社のIPOもありますが)、例えば前回の2004~2006年までの連続利上げ時には、しばらくは敬意を表してか(利上げが重しとなってか)株価は下げ基調となっていますが、その後は多少の浮き沈みはありますが株価は上昇に転じており、過去の経験則からするとほぼ100%に近い確率で(今回の利上げについては通常の経験則が当てはめられないとも言われてますが)、FFレートが段階的に(今回の利上げ幅は低く又ゆっくりとしたペースで)引き上げられることによって(インフレ率を見ながら2017~2018年までに3.25~4%の見込み)、最初はマーケットもギクシャクするものの(その最中に一時的なショックが起こると想定=買い場)、結論的には「米国の株は上がる」(金融相場から業績相場へ)という予想も多く(株価暴落懸念は利上げが一巡した後だとか)、また調整はあれど何らかのバブルが発生し崩壊するまで日米中等の株価は上昇を続けるとも見られており、今は大相場の中間地点との位置づけのもようです。

そう言えば、リーマンショック時にドル高円高相場(円独歩高)になった理由のひとつとして、(よく有事のドル買いと言われますが)当時は円キャリートレード(円を売ってドルを買いそのドルを売って他通貨・外国の証券等を買う)がグローバルに行われており、そのアンワインドが世界中で起こったため、(信用不安からドルLIBORは急上昇していきましたが)ドルストレートのドル円レートではドル全面高の中でも例外的にドル高(円安)にはならずに(ドル安)円高になった、というふうにも考えられるようで、その後はドルキャリートレードが主流となり、ドル円レートも他通貨と同様の動意となって75円近くまでドル安(円高)が進行した、ということもあるみたいですね。

リパトリエーションの影響か、ヘッジファンドの売り崩しの影響か、今またドル高の進行で新興国からの資本流出が懸念される昨今(ちょっと中国も大変なようで)、3つの衝撃ですか、IMF(国際通貨基金)や世界銀行も米利上げの先送りを提言してますが、先のFOMC(連邦公開市場委員会)では初回利上げ後どう反応するか様子を見て利上げペースも急がないと市場にコミュニケートしたようなんですが(外国為替市場はドル安で反応)、FRBが年内に着手する(12月説が優勢)利上げが引き金となって、アジア通貨危機からロシア財政危機等にかけて起こった危機の連鎖の再来や(当時もドル円レートは乱高下したようですが)、サブプライム問題からリーマンショックが起こり世界金融危機(世界同時不況)にまで至ったような、いわば最悪の事態(世界的な恐慌経済の再来)まで、一応は想定しておいた方が無難であると(先の廣宮さんの御指摘、そう言えば、今は1937年と同じ状況だと、レイ・ダリオ氏も警鐘を鳴らしていましたね)。

日本売りですか、日本株・日本国債・日本円が同時に暴落するという、いわゆるトリプル安が起これば、日本経済は大混乱になるでしょうが、不思議なことに自国で危機(たとえば大震災)が発生しても何故か円高になる事もあって、今の市場環境(たとえば株高ドル高・株安ドル安の傾向)からすると、アンワインドとなれば、メジャーなドルストレート(ユーロやポンドにスイスフランなど)は無論のこと、メタメタに売り込まれたマイナー(エキゾチック)通貨までもが、ドル高方向から一転してドル安方向へ振れると思われるので、ヘッジファンド等による円売り・日本株買いもあり、(鶏が先か卵が先か)日本株が暴落すると日本円が暴騰するイメージがあるのですが、廣宮さんは、想定される有事(世界的な株の暴落等)の際に(米国債の動きにも影響される)ドル円レートが(ドル高)円安の方向へ進む可能性についてはどう考えておられますか?また(日本のケースをグラフ化したトレンド分析は見たことがあるのですが)米国のマネタリーベース・マネーストック(マネーサプライ)・貨幣乗数(信用乗数)から見る米国の経済情勢はどう推測されるのでしょうか?

2015/06/22 08:19 | Mr.T #- URL [ 編集 ]
1564:ボルカー・ルールの施行によるマーケットへの影響などについて

“European Project”というのは、特にドイツにとっては、非常に重要な意味を持つ言葉のようですが、国家間にある(経済競争力)格差を是正せずに通貨の価値を一定に保つユーロシステム(ドイツ・システム?)は、結局は破綻・崩壊してEUは変質していくとの見方もある中(NATO体制が維持できればギリシャのような国はUKのようなユーロ離脱&EU加盟になるとか)、その歴史的なケースになるかも知れないというギリシャ問題に端を発してか、今年の4月に揃ってピークアウトした欧州株(特にドイツのDAX指数)とユーロ圏の債券(特にドイツの10年物国債)。又これら株・債券の価格下落に伴う世界同時債券安にユーロ高という流れは、新旧債券王(ジェフリー・ガンドラック氏とビル・グロース氏)によるドイツ国債の空売り推奨をきっかけにしたアンワインドをはじめ、(クーレ発言があるも)ECBのドラギ総裁によるボラティリティ容認発言、そして(45日ルールですか)海外勢の中間決算(ポジション調整)等による影響と見られていたもようです。

ECBによるQEの開始によってユーロ売り・欧州株買い・欧州債買いというトレンドが続いていたのが今年の4月に入ってからは利益確定もあり徐々に巻き戻されて調整となりましたが、ファンダメンタルズ的にはユーロ圏の金利上昇の可能性は高まってきているそうで、PERから見た世界の株価指数は特にバブルを感じさせるような水準ではない(株価は景気実体を反映する)ということなんですが、債券の場合どうなんでしょう(たとえカネ余りでジャブジャブだったとしてもマイナス金利というのは何だかちょっと異常な感じがしますが)。

IMFへの返済期限が迫る中、土壇場になってギリシャの国民投票というネガティブサプライズも飛び出し(ギリシャの借金棒引きに反対してるのは実は国内世論に配慮しているドイツ以外の余裕のない国だとか)、世界を揺るがした一連の騒動の中で、日本の市場環境は世界で最も安定していたようで(日本国債の安定感も抜群ということですが)、特に日本株の安定度が際立って見えたそうです(上値は外国人投資家が買い下値はクジラ等が買うため)。日経平均株価の予想EPSは過去最高ということで、日本株への期待は高く、決算シーズンの買いが終わると、そこが一旦の天井となる可能性はあるみたいですが、(米国も同じでしょうが)適度なリスクオフはある方が債券市場的にもいいそうですけれども。

イエレンFRB議長の見方に変わりはないようですが(プエルトリコやベネズエラはOK牧場なんでしょうか)、ギリシャと中国のダブルショックによって、米利上げ動向の思惑から期待されていたサマーラリーの前に一旦はリスクオフとなりましたが(20地域がデフォルト状態というロシアも綱渡りが続いているようで次はウクライナのデフォルト懸念が待っているとか)、チャカロトス財務相の発言(主張)もあり、ESM(欧州安定メカニズム)を使った飛ばし(?)を行うことで、ユーロ圏のどんな国でも救済できるようになるかも知れない、といった話もありました。

年初からの欧州における株高・債券高という珍現象は、単にECBのQEによるカネ余りを背景とした金融相場によるもの(マイナス金利の債券はオーバーシュート?)というだけのことだったのかも知れませんが、廣宮さんは、大きなリスクとなりそうという規制強化、今月に完全実施が予定されている「ボルカー・ルール」が施行されると、マーケット(特に債券市場)はどうなると思われていますか?

2015/07/12 23:56 | Mr.T #- URL [ 編集 ]
1570:承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

2015/08/09 18:39 | # [ 編集 ]
1578:承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

2016/01/24 15:41 | # [ 編集 ]
1588:年初からの世界的なリスクオフの主因について

今の世界市場は、いわゆるアルマゲドン・シナリオを織り込み始めているのか、それとも織り込み過ぎている状態にあるのか、よくわかりませんが(恐怖指数からは相場が静かに崩壊中のようにも見えるそうです)、実需を伴った通常経済時における健全な株高であっても暴落するということはあるんでしょうか。2006~2008年にかけて起こった米国の住宅金融バブルの崩壊とリーマン・ショックの発生は記憶に新しいところですが、実は未だショック状態にあるというふうにも言われます。年初からの世界的なリスクオフは、原油価格の大幅下落や金融規制強化また中国などの新興国・産油国に対する懸念をはじめ米金融政策の転換など、いろいろと言われてはいますが、廣宮さんは、主因は何であるとお考えですか?

2016/02/11 11:27 | Mr.T #- URL [ 編集 ]
1589:Re: 年初からの世界的なリスクオフの主因について

Mr.Tさん

>廣宮さんは、主因は何であるとお考えですか?

格差ではないかと思います。
この800年の「民主化、資本主義、共産主義、グローバリゼーション」の潮流が一つの臨界点に達したことに対する揺り戻しではないかと。
…というのが、拙著「異次元大恐慌」で立てている仮説であります。

2016/02/11 14:12 | 廣宮孝信 ひろみやよしのぶ #- URL [ 編集 ]
1615:米国株と米国経済の行方などに関連して


ウィキリークスでは、パナマ文書流出の黒幕はジョージ・ソロス氏、と言われているようですが、モルガン・スタンレーによると、グローバル・リセッションとなる確率は30%で、直近の米国の小売売上高が大幅に下方修正され、堅調と思われていた米国の個人消費に対する懸念が出てきたもようで、米国の成長率見通しの下方修正を受けて、世界各国の経済成長見通しも同様に下方修正がなされているようです(但し、米GDPの10~12月確定値は消費が伸びて上方修正)。

買い圧力となる米国株の空売り残高は、ある試算によると1兆ドルを超えるそうですが、企業利益が2008年以来の大幅減となる中、積極的に株を買っているのは企業だけで(前回の自社株買いのピークは2007年で今はその水準に近づきつつあるとか)、米大手金融機関の顧客の売買状況を見ると、個人投資家や機関投資家だけでなくHF(ヘッジファンド)も売り姿勢、という話もありましたが、堀古英司さんは、イールドカーブが右肩下がりになるか、長短金利差が逆転するまでは、米株は上昇を続ける、と言っていました(世界的な超低金利によってイールドスプレッドは指標として機能していないようですが)。

本当に株価が大暴落となる時というのは、楽観論が支配的な時のようですが、大恐慌の引き金となるのは、やはり米国株の大暴落と米国経済のリセッションなのでしょうか。誰が大統領になっても米国は国内回帰に向かうのでしょうが、日本では色物扱いされていますが、多くのアメリカ人の本音を代弁しているというドナルド・トランプ氏が、本当にアメリカ大統領になると(右VS左の選挙戦ではなく上VS下の戦いになっているとか)、世界経済またマーケットはパニックになる、という話もあるようです(米国の保守層からすると安部総理も鳩山元首相と同じという評価とか)。アノマリー的には米大統領選挙が終わった翌年は株が軟調になるそうです。

JPモルガンの佐々木融さんによると、米国がリセッションとなる確率は、2017年からが50%、2018年からが75%。また、過去のパターンからすると、米国でリセッションが始まる一年くらい前に必ず米国株はピークアウトするということで、去年(昨年)の5月が米株のピークだとすると、計算上は、今年後半にリセッション入りすることになるんだそうです。社債市場がボロボロで、ハイイールド債の米国債に対するスプレッドが8~9%くらいになっていて、過去の例(クレジットスプレッド)からすると既にリセッション入り、ということも話されてました。

ただ、(複数の地区連銀総裁から相次いで4月利上げ発言が出てましたが)3月のFOMCで利上げ見通しが年4回から年2回になったことを受けて(新興国対策、特に中国とラテン・アメリカを救済するための利上げ見送りもあり得るとか)、外為市場では全般的にドル安が進行し(貿易加重ドル指数はピークアウト)、コモディティの反発また新興国・資源国の株式・通貨も戻り基調となって(信用リスクも急低下)、世界市場はようやくリスクオンとなっていきました(トレンドとなるまでには至っていないようですが)。

例によって決算シーズンが終わるとセルインメイが来ると見られていますが(先のG20の上海合意で通貨安戦争に敗戦ですか、ドル円レートは105円が目先のターゲットでオーバーシュートも十分ありえるとか)、米利上げがないことを織り込み始めた米株は下がらなくなり、これまで資源価格の大幅下落により、株価指数全体の足を引っ張ってきたエネルギー・素材関連株などが好調で、ここに投資のチャンスがあるという話まであります。マーク・モビアス氏は、新興市場は転換点に差しかかっている、と楽観的な考えを示していました(尚アルゼンチンやベネズエラは通貨が暴落したこともあり実質破綻したもようです)。

米株高でリスクオンの雰囲気が漂う中、気がかりとされているのは、なぜか米国債が買われて、米10年債利回り(長期金利)が低下傾向にある、ということです(BKX指数も下落基調)。IMFは中国の経済に何か警告を発していたようですが、中国がおかしくなって、それに先進国が飲み込まれていくようだと、中国の金利は大幅に下がり、やがて世界はデフレに覆われる、という話もありました。

消費者物価の動きに先行するというドル円レートの下落が、FRBによるインフレの演出や日銀の手詰まり感からきている、とはちょっと思えないところもありますが(中国人民銀行は3月もゴールドの持ち分を増やしSDR建ての数字を公開したことで外貨準備も少し増えたようですが)、金融政策が限界に近いと思われているECBには、金融債の買い取り、例えば倒産の噂が絶えないドイツ銀行が発行した社債を買い取る等、とっておきの手(ウルトラC)があるようです(我が国においても日銀による地方債の買い取りという手があるとか)。

中央銀行の動きを読むには、インフレ率がどうなるかを予想することも大切なようですが(指標としてはBEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)がありますが)、“Don't fight the Fed”という格言の通り、米金融政策が上手くいって、米国の景気が不況になることなくインフレとなり(米国の消費者物価はFRBのインフレ目標を既に達成)、米国内ではインフレでドルの価値が毀損するも、ドル安によって新興国が息を吹き返し、中国の財政出動である程度需要が回復し、欧州も一息ついて、しばらくの間、世界経済はおかしくならない、ということも、一応は考えられるみたいです(米国はインフレ下での不況、いわゆるスタグフレーションになることも考えられるようですが)。

また、今は、景気の拡大の方を心配しなくてはならない(景気が上振れるリスクがある)、という見方もあり(過少な引き締めでバブル発生&崩壊というパターン)、未来の状態を正確に推定する方法は経済学にはない、ということですから、その辺りはよく観察して慎重に見極めていく以外になさそうです。コロンビア大学のインターナショナル・ハウスで、ジャネット・イエレン現FRB議長をはじめ、歴代FRB議長(ベン・バーナンキ氏、アラン・グリーンスパン氏、ポール・ボルカー氏)が集まって、討論会が開催されましたが、今はバブル経済(状態)ではない、という見方が示されたようです。

JPモルガン・アセット・マネジメントのデータ(※金利上昇時の各資産クラスのリターン)からは、過去の米利上げ時における世界の株式市場のパフォーマンスは、全般的に非常に良好で、その中でも、特に新興国の株式が最もパフォーマンスがよい、ということが、結果としては言えるようです(将来どうなるかはわかりませんが単純に過去の延長線上に未来があるのなら全然面白くなく未来はわからないから楽しいということも言えるんでしょうけれども)。

Guide to the Markets(※P70参照)
https://www.jpmorganasset.co.jp/GTM/jp.pdf
Japan | 1Q 2016 | As of December 31, 2015

2016/04/10 13:55 | Mr.T #- URL [ 編集 ]

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