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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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685:サウジ王家の苦痛:サウジとイランの国交断絶で原油価格が却って下落する理由と、それがそれほど長続きしなさそうな理由

2016/01/10 (Sun) 15:27
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当面、ツイッターのみ更新し、ブログ更新はどうしてもツイッターでは表現しきれない重要なニュースがあったときだけ、というようにする方針です。

※私のツイッターは、当ブログのPC版の左上に表示しているツイッター窓で見て頂くか、「twitterでフォローして下さい」ボタンを押してツイッターを開いてみて下さい。




※というわけで、ツイッターでは書ききれ無さそうな話なので、久方ぶりのブログ更新です。


前回のアメリカ、オレゴン州の鳥獣保護区立てこもり事件、続報を何回かツイートしています。
  冒頭に 【米オレゴン州「護憲派」武装民兵】 と書いている分です:
こちらをクリック

※そのオレゴンの件、ロイター(英語版のみ)がずっと続報を出しています。

そのロイターによると、2014年に起きたネバダ州での放牧権を巡る争いで、連邦当局(合衆国土地管理局)がバンディー親子の牛を差し押さえようとしたとき、1000人もの武装民兵に威圧された当局がしり込みし、結局、起訴に持ち込めなかったことで、今回、子のほうのアモン・バンディーらオレゴン立てこもりの人々が大胆になったとのこと。

国土安全保障省(DHS: Department of Homeland Security)は報告書で、このネバダの一件によって、この70年間強くなったり弱くなったりを繰り返していた極右武装民兵の活動が活発化し、新たな暴力沙汰を誘発すると予測していたのですが、実際その通りになったという塩梅です。とはいえ、いまのところ「暴力沙汰」にまではなっていません。「話し合い」をしているだけです。銃は持っていますが!

この事件、最終的にはどのような結果につながるかはまだ分かりませんが、アメリカの世相を占う上ではかなり重要な事件と思い、個人的には注目しています。このアメリカの世相というのが、今年の大統領選挙の行方、とりえわけ、TPPに反対であったり、イスラエルから猛批判される一方でロシアのプーチン大統領から絶賛されているトランプ氏が、大統領になるかどうか--つまり、南北戦争以来、もしくは、アメリカ建国以来の歴史的大変動があるかどうか--とも密接に関係するからです。


-----

では、おもむろに表題の件。

サウジアラビアがシーア派の有力な宗教指導者を新年早々に処刑したことを発端に、イランでサウジ大使館が襲撃され、サウジがイランとの国交を断絶するというように、中東での緊張がさらに高まった件、ブルームバーグ(英語版)で、かなり興味深い記事があったので紹介します。というか一応、全部翻訳してみます(日本語版にはなぜか全く無かったので)。

いや、全部はあれなので、抄訳(おおざっぱに省略しながら翻訳)という形にします。


Royal Pain
王家の苦痛

http://www.bloomberg.com/news/articles/2016-01-07/iran-relations-one-of-saudi-arabia-s-many-problems
by Matthew Philips
Bloomberg Businessweek, January 8, 2016

The setback in relations with Iran is just one of Saudi Arabia’s many problems.
イランとの関係の後退は、サウジアラビアの多くの問題の一つに過ぎない。


The collapse in Saudi relations with Iran after the execution of a prominent Shiite cleric marks a grim start to the new year for Saudi Arabia’s King Salman. Since succeeding his half-brother, Abdullah, who died in January 2015, the 80-year-old Salman has gone to war in Yemen, faced Islamic State-backed suicide bomb attacks inside his borders, and watched rival Iran sign an historic nuclear accord brokered by the U.S., the kingdom’s strongest ally for the past 50 years. Crude oil, the lifeblood of the Saudi economy, has remained cheap, depriving the country of billions in revenue.
サウジとイランの関係の崩壊は、サウジのサルマン国王にとって厳しい新年の始まりを運命づけた。2015年1月に死去した、異母兄弟アブドラの跡を継いで以来、80歳のサルマンは、(国外では)イエメンにおける戦争に突入し、国内ではISに支援された自爆テロ攻撃に直面し、また、50年来の同盟国アメリカが敵国イランの歴史的な核協議への署名を仲介したことを目撃した。サウジ経済の血液たる原油の価格は安いままであり、同国の収入が大きく損なわれている。

On Dec. 28 the Saudi finance ministry announced big spending cuts for 2016. According to Luay al-Khatteeb, a visiting fellow at the Brookings Institution’s Doha Center in Qatar, one item that did increase was military spending, rising to 25 percent of the budget (vs. 18 percent in the U.S.). A week later, the kingdom executed 47 prisoners it labeled terrorists, including the Saudi Shiite cleric Nimr al-Nimr. Days later, Saudi Arabia’s already strained relations with predominantly Shiite Iran were in tatters. After protesters set fire to the Saudi embassy in Tehran, the kingdom cut relations with the Islamic Republic.
12月28日、サウジ財務省は2016年歳出の大幅削減を発表した。カタールにあるブルッキングス研究所ドーハ・センター客員フェロー、アル・カティブによれば、1項目だけ増額したのが軍事費であり、予算に占める割合が25%に増加した(米国は18%)。1週間後、王国はテロリストとして、サウジのシーア派聖職者ニムル・アル・ニムルを含む、47人の囚人を処刑した。数日後、すでに緊張していた、シーア派が多数を占めるイランとの関係はめちゃくちゃになった。テヘランのサウジ大使館にデモ隊が火を放ったことを受け、王国はイスラム共和国(イラン)との関係を断つに至った。

Some analysts say al-Nimr’s execution was a way to bait Iran into overreacting. That would help the Saudis isolate the rival nation, as well as give them an excuse to slow down peace talks on Syria, which the United Nations has tentatively scheduled for Jan. 25 in Geneva. Now that Russia is at the table, the Saudis are concerned that any deal will leave the Iran- and Russia-backed Syrian President Bashar al-Assad in power, as forces coalesce around the goal of defeating Islamic State. The Saudis see Assad as a puppet of Shia Iran who rules over a Sunni-majority country. Since the embassy was attacked, Saudi Arabia has expressed continued support for the peace talks.
一部の分析家は、アル・ニムルの処刑は、イランを過剰反応させるための仕掛けであったとする。敵国(イラン)を孤立させるための役に立つと同時に、サウジがシリア和平交渉(国連によってためらいがちに1月25日、ジュネーブで予定されている会議)を遅らせる口実となる。いまや、ロシアがその交渉のテーブルについており、イランやロシアが支援するバシャール・アル・アサド大統領の政権が維持され、IS打倒を目指す勢力を結集させるようないかなる取り決めをも、サウジは懸念している。サウジはアサドを、スンニ派が多数を占める国(シリア)における、シーア派イランの傀儡と見ている。大使館が襲撃されて以降も、サウジアラビアは(シリアの)和平交渉への支援を継続すると表明している。

Those who know the Saudis best think it’s unlikely they planned very far ahead. “I actually don’t think the Saudis calculated what the impact would be on the region,” says James Smith, who served as U.S. ambassador to Saudi Arabia from 2009 to 2013. The Saudis lack a certain self-awareness, Smith says. “They don’t stop and think, and then they’re surprised when people have a negative reaction.”
サウジ人の思考につき、最もよく知る人々は、(今回のイランとの国交断絶に至る件は)ずっと以前からの計画ではなさそうだと考えている。2009年から2013年まで駐サウジ・米国大使を務めたジェームズ・スミスは、「私は実際のところ、サウジ人が地域にどのような影響を与えるか計算していたとは思わない」と語る。サウジ人は、ある種の自覚が欠如しているとスミスはいう。「彼らは立ち止まらずに考え、そして彼らは人々からの否定的な反応を受けて驚かされる」。


Saudi officials say the executions were an internal matter involving domestic terrorists convicted and sentenced to death by an independent judiciary. They’re “annoyed at the level of international interest in the matter,” says Faisal bin Farhan Al Saud, chairman of Shamal Investment and a member of the royal family. “They expected a reaction from Iran, probably in the sense of blustery speeches as usual, but I don’t think they were intentionally sending a message to Iran. I don’t think they necessarily expected a move such as the storming of the embassy.”
サウジの高官らは、処刑は、独立した司法官によって有罪とされ、死刑宣告された国内テロリストに関する国内問題だ、と言っている。彼らは「この問題に対する国際的な関心の水準にいら立っている」と、シャマル・インベストメントの会長にして王族の一人であるファルハーン・アル・サウド王子は言う。「彼らは、イランからの反応、恐らくはいつものような激しい演説を期待した。しかし私は、彼らが意図的にイランにメッセージを送ったとは思わない。私は、彼らが必ずしも大使館襲撃まで期待していたとまでは思わない」。


The attack raises questions as to whether Iran is ready to rejoin the global economy after years of sanctions; it also strengthens the feeling among the Saudis that they’re under siege. “Salman views himself as a wartime king,” says Robert Jordan, U.S. ambassador to the country from 2001 to 2003. The Saudis also feel abandoned by the Obama administration. “There is a real sense of encirclement they’re feeling,” he says. “They are bitter and frustrated at the U.S. for walking away and seem to be lashing out.”
大使館襲撃は、イランが数年に及ぶ制裁から、国際経済に復帰する準備があるのかどうかという問題を提起させた。また、大使館襲撃はサウジ人の、自分たちは包囲されているという感覚を強化させた。2001年から2003年まで駐サウジ・米国大使を務めたロバート・ジョーダンは、「サルマン国王は彼自身を戦時の王とみなしている」と言う。サウジ人はまた、オバマ政権に見捨てられたと感じている。「サウジ人には、包囲されているという実感がある」と彼は言う。「彼らは米国が(自分たちを)見捨てようとしていることに苦痛と不満を感じ、それで、攻撃的になっているようだ」。

Saudi anxiety about the U.S. began when American foreign policy attempted its pivot to Asia; that was aggravated by the 2011 fall of Egyptian President Hosni Mubarak, whom the U.S. had supported for decades. Consternation grew after Obama drew a red line over Assad’s alleged use of chemical weapons, then failed to follow through on the threat. “It was perceived as proof that the word of the United States is no longer of value,” Smith says.
サウジの米国に対する懸念は、アメリカの外交政策がpivot to Asia(アジア重視)を試みた時点に始まる。その懸念は、2011年、米国が数十年も支援してきたエジプトのムバラク大統領が政権を追われたことによって悪化した。恐怖は、オバマが、化学兵器を使用したと非難されたアサド政権の打倒に失敗したことで、さらに増した。「そのことは、アメリカの言葉はもはや当てにならないことの証明と受け止められた」とスミス(元駐サウジ大使の一人)はいう。

For all the talk of abandonment, Saudi Arabia remains by far the U.S.’s top weapons customer. Sales have ramped up significantly under Obama, says William Hartung, director of the Arms & Security Project at the Center for International Policy. From October 2010 through 2015, the U.S. has approved sales of $111.3 billion of arms to Saudi Arabia, including $29 billion for 84 F-15 warplanes—more than three times the arms sales approved to the U.S.’s second-biggest customer, South Korea.
見捨てられている、という割には、サウジアラビアは、米国兵器のダントツで首位の顧客のままである。国際政策センター(元外交官らが1975年に設立した研究機関)の武器・安全保障部門長のウィリアム・ハルトゥングによれば、オバマ政権下で武器購入は大きく増加した。2010年10月から2015年までで、米国は、84機のF-15戦闘機を含む、1,113億ドル(約13兆円)のサウジへの武器売却を承認した。これは第2の米国武器の顧客である韓国の3倍以上にのぼる。

A lot of that firepower is being used in Yemen. The 10-month bombing campaign against the Iran-backed Shia rebels, the Houthis, has been sloppy. The UN estimates that 2,600 Yemen civilians were killed from March to October, including 1,600 in Saudi-led airstrikes. To pay for the war, the Saudis have been dipping into shrinking foreign currency reserves. “The only thing it accomplished is to create a major humanitarian crisis,” Hartung says. The air campaign has been led by the king’s 30-year-old son, Mohammad bin Salman, the youngest defense minister in the world. “They should be worried about ISIS, but instead they’re spending all their blood and treasure in Yemen as some kind of anti-Iranian measure,” Hartung says. “And it’s a disaster.”
その武器の多くはイエメンで使用された。10か月におよぶイランに支援されたシーア派反乱勢力、フーシに対する空爆作戦は、ずさんである。国連は、3月から10月までで2,600人のイエメンの民間人が殺害され、うち1,600人がサウジ主導の空爆によるものと推計している。戦費を賄うため、サウジは縮小しつつある外貨準備に手を付けている。「空爆で達成されたのは、大きな人道主義上の危機のみである」とハルトゥングは言う。空爆作戦は国王の30歳の子息にして世界で最も若い国防大臣、ムハンマド・ビン・サルマンが指揮している。「彼らはISを心配すべきであるにも関わらず、すべての血と財力を、反イランの手段の一種としてイエメンにつぎ込んでいる」とハルトゥングは言う。「これは最悪の事態である」

The Saudis are also engaged in an oil war—one in which they’re struggling to balance continued production and falling prices. Iran says it will sell an extra million barrels of oil a day by midyear, increasing current output by more than a third. There’s so much crude for sale that even rash actions by two of the world’s biggest suppliers don’t translate into higher prices—which isn’t good for the treasuries of Tehran and Riyadh. As Iran prepares to reenter the market, the Saudis are offering huge discounts to customers in Europe and Asia in hopes of keeping them from buying Iranian oil.
サウジ人は石油戦争--生産継続と価格下落をバランスする格闘--にも従事している。イランは、年央には追加的に日産100万バレルの石油を売り出すことになると言っている。それは現状産出量の3分の1以上の増加となる。世界最大級の2つの供給国によるさらなる性急な行動は、より多くの石油の供給となる。それは価格上昇につながるとは思われない。それはイランにもサウジにも財政の圧迫となる。イランが市場への再参入を準備する一方で、サウジは欧州やアジアの顧客に対し大きな値引きを提示し、彼らがイランの石油を買うことを妨げようとしている。

Although Saudi Arabia remains the world’s largest oil producer and can get oil out of the ground more cheaply than Iran can, in some ways Iran is better positioned to weather low prices. Sanctions, which may end in March, have forced the Iranians to live without oil and diversify their economy, whereas oil accounts for 80 percent of Saudi Arabia’s revenue. According to International Monetary Fund estimates, Iran can balance its budget with crude at $70 a barrel, while the Saudis need $95. Ominously, the IMF predicts that if the Saudis don’t lower spending, and if oil stays at $50 a barrel, they’ll burn through their foreign currency reserves by 2020. Being a wartime king is expensive.
サウジアラビアは世界最大の石油産出国であり続け、イランよりもより安い価格で石油を掘り出すこともできるが、低価格を乗り切る上で、イランに有利な点もある。3月に終わる見込みの経済制裁は、イラン人に石油なしで生活することと経済を多様化することを強いてきた。それに対して、サウジの収入の80%は石油で賄われている。IMF推計によれば、イランは原油1バレル70ドルで予算を均衡させることができるが、さうじゅは1バレル95ドルを必要とする。不吉なことにIMFは、サウジが歳出削減をせず、原油価格が1バレル50ドルに留まれば、2020年までにサウジは外貨準備を使い果たすと予測している。戦時の王は、高くつく。

—With Vivian Nereim


The bottom line: Saudi Arabia is battling rebels in Yemen, sparring with the Iranians, and trying to fix its budget deficit.
結論:サウジアラビアはイエメンで反乱軍と戦い、イラン人と論争し、財政赤字を立て直そうとしている。


------

・サウジとイランは、実質的には昨年3月から既にイエメンで戦争状態

・イランは、経済制裁解除に向け、今回のシーア派聖職者処刑→サウジ・イラン断交事件でもこれ以上の暴発は当面なさそう

・サウジが、イランに顧客を奪われないように原油の販売価格を下げようとするため、中東の緊張の高まりとは裏腹に、原油価格は低い状態が続きそう

・オバマ政権のpivot to Asia(アジア重視戦略:ちなみに、これを策定したのはオバマではなくブッシュ政権)などにより、米国の中東への関与縮小で、むしろ米国の武器屋はもうかった模様(サウジが恐怖でより多くの武器を買ったので)

・このまま行くと、2020年ころには、サウジの外貨準備が尽きる。


というわけで、


アメリカが中東への関与を弱めれば弱めるほど、サウジの周囲、イラン、シリア、イラク、イエメンなどがシーア派勢力で埋め尽くされ、サウジの孤立が深まり、サウジはまずます武器購入の必要に駆られる。

サウジとイランのチキンレースも2020年ころ、サウジの外貨準備が尽きるまでには決着がつきそう(平和的か、暴力的かは別にして)。

という具合でしょうか。


さて、その決着が付く、という場合において、戦争なしに解決されるか、戦争を経た後に解決されるかを問わず、最後は話し合いで、ということになります。そのときに仲介を主導するのが誰になるか、というのを考えると、やはり一番可能性が高いのがロシアのプーチン大統領でしょうか。

動機づけとしては、ロシアにしても原油価格低迷が長引くのは好ましくないということがあります。

また、サウジ側も、シリア問題では対立関係にあると言えるロシアとの関係を、改善することを望んでいるようです。

イランとの国交断絶のあと、サウジの外務大臣が次のように語っています:


Saudi Arabia: We want better relations with Russia
サウジアラビア:我々はロシアとのよりよい関係を望む

http://www.cnbc.com/2016/01/06/saudi-arabia-russia-relations-must-improve.html
Holly Ellyatt, Hadley Gamble, CNBC
Wednesday, 6 Jan 2016

"With regards to our relationship with Russia, we believe that the extent of trade we have with Russia is not in line with the size of our respective economies. We are both members of the G20 but we have very little trade, very little investment and so we wanted to change that," Adel al-Jubeir told CNBC on Tuesday.
「ロシアと我々の関係に関して、我々とロシアとの、互いの経済規模の割に小さい貿易を拡大する余地があると、我々は考えている。我々は両国ともG20の参加国であるが、極めて小さい交易、極めて小さい投資しかしていない。我々はそれを変えたい」と火曜日、アデル・アル・ジュベイア(サウジ外相)はCNBCに語った。

"Russia is a great power. Russia has 20 million Muslims living in it. Russia can play a positive role and we wanted to engage with Russia, we wanted to improve our relationship with Russia not at the expense of our relationship with any other country but for the sake of having better ties with Russia."
「ロシアは偉大なる大国だ。ロシアには2千万人のイスラム教徒が暮らしている。ロシアは有益な役割を果たすことができる。我々はロシアとともに働き、我々はロシアとの関係をほかの国との関係を犠牲にすることなしに改善したいと思っている」。

このほか、ロシアへの投資は儲かるかどうかという投資家としての視点をもって判断する、とか、サウジはイランがどこにあるか知っているし、イランもサウジがどこにあるか知っているので、ロシアの仲介は必要としていない、とも言っています。そして、原油価格に関する話し合いは不調に終わったとのこと。サウジは、アメリカの中東への関与縮小・消滅という将来を見据えてロシアとの関係改善を望む一方、弱みはできるだけ見せたくないし、まだ実際のところは余裕が残っている、という具合でしょうか。

-----

あとはイスラエルです。

フィナンシャル・タイムズの記事

Russia helps shift balance against rebels in southern Syria
ロシア、南シリアにおける対反政府勢力のバランス・シフトを促す

http://www.ft.com/cms/s/0/69cb93de-b552-11e5-8358-9a82b43f6b2f.html#axzz3woe7hhrA
Erika Solomon in Beirut and John Reed in Jerusalem, The Financial Times
January 7, 2016

によると、

 ロシア空軍の支援を受けたシリア政府軍と、イランの支援を受けているシーア派武装勢力のヒズボラの大部隊が、シリア南部で快進撃を続けているようです。
 イスラエルが占領しているゴラン高原を、シリア政府軍とヒズボラが奪い返しにくるのではないかと恐れています。
 ロシアは、シリア政府とヒズボラが、イスラエルと事を構えないことを保証すると明言していますが、多くのアナリストはこれに疑念を持っています。実際のところイスラエルは、こっそりシリア領内でヒズボラやイラン軍部隊を空爆しているようですし、多くの専門家はイスラエルは必要があればそのような攻撃を続けると見ています。
 一方、シリアの南隣といえば、もう一つはヨルダンです。今のところ、シリア南部は、シリアの「穏健派反政府勢力」最後の砦と目される、「南部戦線」という勢力が主に支配していて、ヨルダンはこれを支援してきました。しかし、その「南部戦線」の内部分裂に業を煮やしたヨルダンは、昔から良好な関係にあるロシアによる安定を歓迎しているようです。ヨルダンには、ほかの超大国よりはロシアのほうがやりやすいという感覚があるとのこと。

-----

ロシアは、アメリカ政界に大きな影響力を持つイスラエルに対して、「本格的にヒズボラやイランやシリアのアサド政権の、イスラエルに向けた軍事行動を止めてほしければ、欧米の対ロシア経済制裁をなんとかしろ!」という圧力を、暗黙のうちにかけているのかも知れません。

この辺りは、アメリカ大統領が誰になるかによってもまた変わってきます。いまのところ、共和党も民主党もまだ候補者は決まってませんが、両党のそれぞれの支持率首位の候補であるトランプとクリントンの対決となった場合、ロイターの最新世論調査では、いまのところほぼ互角という状況です。
先述の通り、トランプはイスラエルから猛批判を浴びる一方で、プーチンからは絶賛されています。

プーチン-トランプのラインで中東の平和が一気に進むというシナリオ(①)があり得ます。

一方で、中東がどろどろの戦乱となり、米ロの軍需産業がぼろ儲け、というシナリオ(②)もあり得ます。

シナリオ①なら、サウジが原油をバーゲンセールで叩き売る必要がなくなるので、遅くとも数年以内に原油価格がかなり上昇する可能性があります(サウジは1バレル95ドルでないと財政均衡しない)。

シナリオ②なら、第3次オイルショックとなる可能性が出てきます。


いずれにせよ、中東情勢に起因して、原発問題を含むエネルギー問題が、遅くとも数年以内に、日本に降りかかってくることになりそうです。


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1574:『シュールとサウジ石油の共倒れ』

『シュール石油とサウジ石油の共倒れ』は不良債権の破綻を呼び『サブプライム破綻』の歴史をリピートさせる。

2016/01/15 07:53 | ローレライ #Pv7oyLIM URL [ 編集 ]
1576:今後の原油価格の見通しについて

(中国ではガソリンなどを公定価格にしたそうですが)原油価格はいずれ反発すると見られてきましたが、とうとう20ドル台に突入しました(30ドル割れではWTI原油先物2月限のオプション取引でプットのエクスパイアをめぐって売り方と買い方の攻防があったもようです)。ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは20ドルまたスタンダード・チャータード銀行は10ドルという予想を出してます。サウジアラビアの戦略は機能しているのでしょうが(サウジの生産コストは5ドルくらいだそうですが)、米シェール企業が操業停止に追い込まれる価格(たとえば20ドル前後)まで原油価格が下落しないと反発しないという見方については、廣宮さんはどう思われますか?また原油は天然ガスと似たような価格の推移になるという予想についてはどう思われていますか?

2016/01/17 21:49 | Mr.T #- URL [ 編集 ]
1580:承認待ちコメント

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2016/01/24 16:27 | # [ 編集 ]

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