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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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696:米大統領選が示唆する、公式経済統計と経済実感の乖離(かいり)

2016/03/02 (Wed) 17:55
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当面、ツイッターのみ更新し、ブログ更新はどうしてもツイッターでは表現しきれない重要なニュースがあったときだけ、というようにする方針です。

※私のツイッターは、当ブログのPC版の左上に表示しているツイッター窓で見て頂くか、「twitterでフォローして下さい」ボタンを押してツイッターを開いてみて下さい。







ijigen-hyoushi.png


『2016年、異次元大恐慌が始まる』
飛鳥新社 刊


 好評発売中


ちなみに、私自身が考えていたタイトルとオビの原案はというと、

タイトル 原案:『世界大恐慌2.0 ――世界と日本を激変させる、歴史的大波涛』

オビ文言 原案:「資本主義でも、共産主義でも、民主主義でもない、異次元な新時代の幕開け」


というような、もう少し穏当(?)なものでありました。少なくとも「大恐慌=この世の終わり」ではありません!


「世界大恐慌2.0」というのは、次に起こりそうなのは「1929年世界大恐慌のバージョンアップしたもの」になりそう、という意味合いです。
→なぜそうなるかというのは、経済的なカネ勘定の問題よりは、政治的な権力構造の問題ではなかろうか、という仮説になります。


目次項目の一覧はこちら




さて、本題です:


先週末のG20共同声明(コミュニケ)で月曜日の金融市場は「失望売り」の様相を呈していたのですが、その日の中国人民銀行による預金準備率引き下げの発表を受けて、日本時間の夕方以降は世界的に株価上昇となりました。


特に、中国経済の影響をもろに受けやすい資源輸出国、ブラジル株が急上昇。


ブラジル株:ボベスパ指数が世界で最も上昇-中国の景気浮揚策を好感
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3BWRV6JTSEB01.html
ブルームバーグ 2016/03/01 07:16 JST

ブラジルの株価指標であるボベスパ指数は2月29日、世界の主要株価指数の中で最も上昇率が高かった。同国最大の貿易相手国である中国の景気浮揚策で商品輸出企業の業績見通しが高まった。



ブラジル株は月間で昨年4月以来最大の上昇率を記録。中国人民銀行(中央銀行)は市中銀行に課す預金準備率の引き下げを決め、景気の下支え策を強化した。中国がハードランディングに向かうとの懸念は、ボベスパ指数が今年、2008年以来最悪のスタートとなった要因だった。

ボベスパ指数は前営業日比2.9%高の42793.86で終了。指数を構成する61銘柄中59銘柄が上昇した。

-----


翌日には中国株も上昇。



中国株:上海総合、取引終了前に急反発-中銀が預金準備率引き下げ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3C7VA6K50Y001.html
ブルームバーグ 2016/03/01 17:57 JST

中国人民銀行(中央銀行)が預金準備率を引き下げたことや、製造業購買担当者指数(PMI)が市場予想を下回った中でも人民元が上昇したことが材料視された。


-----


「製造業購買担当者指数(PMI)が市場予想を下回った」という、景気の悪い話もあったにも関わらず、です。



しかし、そんな市場の浮ついたお祭り気分に水を差すかの如く、中国国営の新華社通信は、こんな見解を出しているとか:




中国の預金準備率引き下げ、大型刺激策の前触れではない=新華社
http://jp.reuters.com/article/china-banks-rrr-idJPKCN0W407S
ロイター 2016年 03月 2日

新華社は2日の解説記事で、先月29日の中国人民銀行(中銀)による銀行の預金準備率引き下げについて、中国の慎重な金融政策における若干の緩和バイアスを示しているが、決して大規模な刺激策が後に続くことを示唆するものではない、との見解を示した。



-----


一方、アメリカはというと、



Fading recession fears bring out the bulls
景気後退懸念の弱まりを受け、上げ相場に
http://www.cnbc.com/2016/03/01/fading-recession-fears-bring-out-the-bulls.html
CNBC
Wednesday, 1 Mar 2016
2016年3月1日水曜日

Equities were boosted by a few factors, including February ISM manufacturing data, still in contraction at 49.5 but better than expected. Oil also rallied to close near the key $35 per barrel area, and that also helped lift stocks.
株はいくつかの要因に押されて上昇した。例えば2月のISM製造業指数が、縮小を示す49.5(50以上は拡大)であるが期待より良かった。原油価格も1バレル35ドルに接近したことも、株式市場を押し上げた

The ISM is the latest major data to show an upside surprise. Construction spending was reported on Tuesday as up 1.5 percent in January, which was better than expected, and durable goods data last Thursday was also better than expected.
ISMは最新の上振れサプライズとなった主要指数である。火曜日に発表された工事支出も1月の1.5%増が期待を上回り、先週木曜の耐久財のデータも期待を上回った。



----

そして、週末(3月4日)の雇用統計に注目が集まっている、という塩梅だそうで。

しかし、ISM指数は製造業購買担当者の今後の見通しを示す指数で、50を下回っていれば「縮小」です。この数値が期待より良かったとは言え、50を切っているため、景気が良くなるという話でもないわけです。
セントルイス連銀でこのISM指数の
グラフを見ることができますが、現状は09年以来の低水準と言える状態です。

このようなデータや、上述の中国人民銀行の預金準備率引き下げ(準備率を17.5%から17%に引き下げた→これにより、銀行が中央銀行に預ける準備金に対し、資金貸し出しなどに運用できるレバレッジ倍率が5.7倍から5.9倍に増える)など、ニュースの受け止め方次第で気分がころころ変わるというのが市場と言えるかも知れませんが。


直近の世界の株価を押し上げる原因となった人民銀行の預金準備率引き下げも、リスクの側面がまたあるわけです:




中国の預金準備率引き下げと融資拡大、銀行のリスクに=フィッチ
http://jp.reuters.com/article/idJPL3N16A212
ロイター 2016年 03月 2日



フィッチは、中国経済における借り入れ比率がすでに高い状況で、中国の銀行が再び急速な融資拡大を持続することはクレジットネガティブになるとの見方を変えていない。

フィッチは、信用の伸び(フィッチ基準の社会融資総量に基づく)は2016年も鈍化を続け、13%になると予想する。ただ、信用の伸びは依然として名目国内総生産(GDP)の伸びを上回って推移しており、(フィッチ基準の社会融資総量をGDPで割った)借り入れ比率は2016年末時点で260%に達する見通しだ。


-----


中国の民間部門の借入に関しては、こんな話も:




香港・シンガポール金融 中国経済減速の影
東亜銀―不良債権が急増 DBS―融資を絞り込み

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDX01H0V_R00C16A3FFE000/
2016/3/2 日本経済新聞

中国経済の減速がアジアの金融センターである香港やシンガポールの銀行経営に影を落とし始めた。香港の東亜銀行では中国企業向け不良債権が急増。シンガポールでも最大手のDBSグループ・ホールディングスが中国・香港などへの貸出額を減らしている。東南アジアの資源関連企業の業績悪化も懸念材料だ。不良債権比率はまだ低水準だが、アジア経済の高成長を当てこんだ拡大路線は見直しを迫られつつある。


-----

すでにかなりヤバい民間の借入れを無理やり増やすよりは、政府が借入れを増やして財政出動・景気対策するのが順当のはずです。

しかし、中国当局の本当の狙いは、拙著『異次元大恐慌』でも述べています通り、恐らく「ゾンビ企業の排除」その他の「権力構造の大転換」と思われます。

「動機と手段と機会があれば、やる」、という見立てです。習近平政権が財政出動をあまり積極的にしようとしていないことは、この見立て(仮説)を強化する材料となります。
それでも、一応は、それなりの財政出動その他の景気対策はする、という感じになっていますが、それは要するに世界大恐慌となった場合において、自分たちの責任にされたくない、ということでしょうか。なお、これは中国に限らず、主要各国の首脳すべてに当てはまるのですが…。


なお、中国に関しては、この「権力構造の大転換」をほどよいところで止めるための手段が、官民合わせてかなり膨大な量をため込んでいると思しき金準備、ということになります(ここは、著書ではあまり踏み込んで書かなかった部分ですが)。



そして、アメリカです。

下に引用するブルームバーグの記事によると、アメリカの経済統計がどうやら生活実感とかけ離れているということが、今回の大統領選挙におけるトランプ氏とサンダース氏に人気が集まっていることによって示唆されます。
(『異次元大恐慌』では、複雑な計算を経て算定される実質GDPが、物量ベースのいくつかの統計と乖離していることから、実体経済の実際の状況を反映できていない可能性に触れていますが、それと関係する話になります)




米国民は怒り心頭:トランプ氏善戦の陰に大恐慌以降「最悪の景気回復」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3DKKK6JIJUP01.html
ブルームバーグ 2016/03/02

秋に大統領選挙を控えた米国で、有権者の間でまったく現実味が感じられないフレーズの一つに、経済は順調だという言い方がある。

オバマ大統領が1月の一般教書で使ったように、このフレーズを使いたければそれを裏付ける統計のヘッドラインを見つけることは可能だ。しかしながら党候補者指名争いたけなわの現在、共和党の主流派をドナルド・トランプ氏が脅かし、断然有利だったはずのクリントン氏に対してバーニー・サンダース上院議員が予想以上に健闘している背景には、米経済は順調などではないと嫌気が差している国民がいる。そしてヘッドラインの裏に潜む数字に目を向けると、国民の怒りも納得が行く。

失業率は8年ぶりの低水準なのだろうか。
確かにそうだが、生産年齢人口全体をカバーする指標の大半は弱く、労働参加率は下降トレンドをたどってきた。

経済は失速することなく6年以上も成長してきたのだろうか。
確かに先進国の大半よりは良い状況だが、このペースでは生産ギャップを埋めるのはどんなに早くても2026年以降になりそうだ。
賃金の伸びはようやく上向き始めたのか。全体の数字としてはその可能性もあるが、その度合いは大きくない。そもそも、誰の賃金が伸びたと言うのか。


コップが半分空っぽになっていることを示すこうした統計は、2009年に終息したリセッション(景気後退)がいまだに大統領選挙の行方に影を落としている理由を説明している。
ゆがんだ富の配分を批判するサンダース氏。貿易の影響で雇用が失われると猛烈に攻撃するトランプ氏。いずれも米国の政治においては目新しい主張ではない。しかし、大恐慌以降で最悪の不況とそれを受けた最も弱々しい回復を目の当たりにして、全米の有権者はこの主張に積極的に耳を傾けるようになった。

かつて米議会予算局(CBO)局長を務め、現在は中道右派のアメリカン・アクション・フォーラムの社長を務めるダグ・ホルツエアキン氏は、「『景気後退は終わり経済は回復し、良いことずくめだ』と言うが、『ちょっと待てよ。うちは回復どころか、むしろ悪くなっている』というのが一般世帯の反応だろう」と語る。「日常生活において目に見える現実と、耳にする話の間に大きな矛盾がある。それで国民は怒っているのだ」と続けた。

2018年までの米経済について、ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査では、景気後退以降の平均である2.1%成長を大きく上回るペースは予想されていない。
欧州や日本からみればうらやましい数字かもしれない。しかし、米国の有権者が主流派を敬遠し始めた理由をこうした数字は物語っていると、ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズ(ノースカロライナ州シャーロット)のチーフエコノミスト、ジョン・シルビア氏は説明する。
「有権者は自分たちの現状と主流派の候補者らを結びつけて考えている」とシルビア氏。「現状はあまり良くないというのが彼らの見方だ。成長率は今後7年も2-2.5%程度なのか。それではアメリカンドリームは多くにとってかなわぬ夢で終わる」と述べた。

-----



そして、

元FRB議長のグリーンスパン氏は昨年の夏ごろ、繰り返し悲観論を述べていましたが、その見方は今も変わっていないようです。




Greenspan: I Haven’t Been Optimistic in Quite a While
グリーンスパン:私はかなり長期間、楽観的になったことはない

http://www.bloomberg.com/news/videos/2016-03-01/greenspan-i-haven-t-been-optimistic-in-quite-a-while
Bloomberg
March 1, 2016



-----


↑このブルームバーグのインタビューを元にした↓Business Insiderの記事に発言の多くの部分が書き起こされていますので、抜粋翻訳してみます(意味の取れないところはスパッと訳を飛ばしますが!)




Alan Greenspan hasn't been optimistic about America in a long time
アラン・グリーンスパンは長い間ずっと、アメリカに関して楽観的ではなかった

Business Insider
March 1, 2016


"We're in trouble basically because productivity is dead in the water."
「生産性が暗礁に乗り上げていることによって、我々は基本的に困難に陥っている」

"Let's put it this way. Output per hour is driven by real capital investment ... Real capital investment is way below average. Why? Because business people are very uncertain about the future."
「Let's put it this way. 時間当たりの産出量は、実質資本投資(資本投資:生産設備などの生産財への投資)によって持ち上げられる。…実質資本投資は平均よりはるかに低い。なぜか?企業経営者らが将来に関して確信を持てないからだ」

Later in the interview, McKee asked if Greenspan was optimistic going forward and Greenspan put it simply, saying, "No, I haven't been for quite a while."
インタビュー後半で、今後について楽観的かどうかと尋ねられた際、グリーンスパンは「いいや。私はかなり長い間、楽観的になったことはない」と答えた。

"And I won't be until we can resolve the entitlement programs. Nobody wants to touch it, but it's gradually crowding out capital investment, and that's crowding out productivity, and that's crowding out the standards of living. Where do you want me to go from there?"
「福祉制度を解決できるまで、私は楽観的になることはないだろう。誰もこの問題に触れようとしないが、この問題は徐々に資本投資を締め出しつつあり、生産性を締め出しつつあり、生活水準を締め出しつつある。Where do you want me to go from there?」

Additionally, Greenspan felt that the current global economy is incredibly uncertain. He said that productivity collapse in China could lead to a rough landing for the country, and when asked by Keene about a possible back and forth between the Chinese Renminbi and the US dollar, Greenspan admitted to befuddlement.
加えて、グリーンスパンは世界経済の現状が信じがたいほど不安定であると感じている。人民元と米ドルの価値変動について聞かれた際、彼は、混乱となることを認め、中国における生産性の崩壊が、同国をハードランディングに導き得ると答えた。

"This is where the issues lie. I don't know the answer to that," said Greenspan. "The United States unquestionably, the US dollar unquestionably, is the firmest currency in the world of the major countries. It's hard to see where it goes from here there
「This is where the issues lie. 私は答えが分からない」とグリーンスパンは言った。「アメリカは疑いなく、米ドルは疑いなく、世界の通貨で最も堅固である。これからどこに向かうかを見通すことは難しい」

-----

グリーンスパン氏は、

・企業経営者らが将来に確信を持てず、それが原因で生産性向上のための投資ができず、将来の生産性が崩壊しそう。

・アメリカも中国も、引退世代が増え、現役世代が減る状況であり、生産性の向上が必須であるのに、生産性の向上が不足しているので、将来に悲観的


と言いたいのでしょう。

これは、「国の借金問題はカネの問題ではなく、少子高齢化で現役世代が減って引退世代が増えたときに物不足に陥らないよう、将来投資が足りるかどうかの問題」という、私が2009年5月に拙ブログ

年金問題、何が問題?【1】

年金問題、何が問題?【2】

で示して以来、繰り返し当ブログや著書で書いてきた問題意識とも、かなり近いもの
と言えます。


なお、「企業経営者らが将来に確信を持てず、それが原因で生産性向上のための投資ができず」というように、需要が増えないと予測することで企業が積極的に生産財投資を行わない、というのは、木下栄蔵・名城大学教授の『通常経済・恐慌経済』または『正と反の経済学』における、「恐慌経済」「反の経済」の定義に当てはまることになります。


そんなこんなで、

・今週の株価急上昇は、経済実態を反映しているかどうかは、かなり疑わしい

・それどころか、主要な経済統計ですら、経済実態や国民の生活実態を反映しているかどうか、疑わしいかも知れない

というお話でした。





 2016年の米大統領選の動向は

 経済指標と国民の生活実態の乖離の指標

 ということか?


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『異次元大恐慌』コメント(10)トラックバック(0)|

≪前の記事 国民の8割が15年も実質所得が減り続ける覇権国アメリカ。米国民にとってアメリカは、覇権国であり続ける意味があるのか、どうか
≫次の記事 ないがしろにされているG20共同声明:「金融政策のみでは、均衡ある成長に繋がらないだろう」「我々は機動的に財政政策を実施する」という文言、実は半年前にも入っていたが、あまり履行されていない

コメント

1594:

(BERKSHIRE HATHAWAY INC)SHAREHOLDER LETTERS
http://www.berkshirehathaway.com/letters/letters.html

世界の株価指数は(倒産する可能性は殆どないという)ドイツ銀行ショックのあった2月にボトムをつけて上昇しつつありますが(インデックスは重たく見えても個別株は生きている銘柄が結構多い)、当面(2~3年?)は米経済はリセッション入りしないというのがコンセンサスのようですね。ウォーレン・バフェット氏は、米国経済の見通しなどについて楽観的な見方をしているようですが、これからも米国経済が力強く成長していく場合、いわゆる恐慌にはならずに、今後も米国が世界経済を牽引していく、ということになるんでしょうか?

2016/03/04 13:17 | Mr.T #- URL [ 編集 ]
1595:Re: タイトルなし

Mr. Tさん

バフェット氏は1000万円程度から投資を始めて数兆円の資産を築き上げた点で、実に素晴らしい人だと思います。
長期的に米経済を楽観しているというバフェット氏の見方は、それはそれで見るべきものがあります。

しかし、私が『異次元大恐慌』で示したような米国勢調査局のデータから見ると、2000年以降は米国の8割の世帯で実質所得が減り続けています。これで「アメリカ経済は力強い」というのははなはだ疑問を呈せざるを得ません。

世界に冠たる覇権国の国民の8割が、15年も実質所得が減り続ける。これで健全というのなら、何が健全な経済なのかという本質が問われるでしょう。
これを健全な経済だ、力強く成長している、と主流派の政治家や経済の専門家がいっているのがいかにも嘘くさい、ということに気づき、怒り心頭に来ている米国民がいかに多いか――ということが今回の大統領選挙でトランプ氏やサンダース氏に人気が集まっている根本原因ではないかと思います。


また、バフェット氏は昨年の秋に想定していたよりもアメリカ経済は弱くなっていた、と発言しているようです。

Buffett says US economy weaker than he expected but growing
https://eaglefordtexas.com/news/id/164322/buffett-says-us-economy-weaker-than-he-expected-but-growing/


また、世界最大の経済規模、GDPが世界の25%を占めるアメリカが本当に力強い成長をしているのであれば、なぜ、日本は前四半期比でこのところ何度もマイナス成長を記録しているのか、中国経済がここまで減速しているのか、少なくない新興国が継続的にマイナス成長を続けているのか、ということについての納得できる説明がないように思います。
そもそも、G20ではそういう認識で財政出動必要論が半年前と今回と、続けて2回も共同声明に盛り込まれています。しかし、主要国はほぼ、十分に大規模な財政出動する予定はいまのところありません。

(続く)

2016/03/04 15:53 | 廣宮孝信 ひろみやよしのぶ #- URL [ 編集 ]
1596:Re: Re: タイトルなし

(続き)
あと、ドイツ銀行ですが、同行の財務資料
https://www.db.com/ir/en/download/FDS_4Q2015_28_01_2016.pdf
の3ページ目を見ていると、
株価が、1株あたりの簿価の7割とか半分という状態が2年前から継続しています。
つまり、PBRが1倍を大幅に切った状態が延々続いているということになります。
投資家は、「何かおかしい」と思い続けているわけですね。

米ヤフーファイナンス
http://finance.yahoo.com/q/ks?s=DB+Key+Statistics
を見ると、昨日のドイツ銀行のPBR(株価/一株あたり簿価)はなんと、0.3倍です。
簡単に言えば、これはドイツ銀行の資産につき、7割引きセール実施中ということになり、7割引きでもほとんど誰も買わない状態、というわけです。

ゴールドマンサックス(GS)は同0.9倍 
HSBCは同0.7倍 
三菱UFJは同0.5倍 http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=8306.T
です。銀行セクターはマイナス金利でこの先どうなるか、という不安があり、ドイツ銀行は輪をかけてヤバいと思われているということなのでしょう。


ドイツ銀行は先月、「詐欺まがい」な自社債の発行と買戻し計画で自己資本増強を図ろうとして投資家の怒りを買っています。
https://twitter.com/YNHiromiya/status/699069950644736000


また、本日のブルームバーグ記事によれば、高額ボーナス支払い延期を検討しているようです

ドイツ銀、ボーナスの支払い繰り延べ期間を延長-関係者
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3H2V3SYF01Y01.html

約束の期日に約束の金額を支払わない、という意味においては、これも一つの債務不履行ですね。


あと、株価が上昇したからといって、経済全体が成長しているかどうかは別です。そこに問題の本質があるということではないでしょうか。
ちなみに、いわゆるバフェット指数、株式時価総額÷GDPは依然、高水準のままです。
http://www.advisorperspectives.com/dshort/updates/Market-Cap-to-GDP
というよりは、リーマンショック前より「割高」水準から少し下げてきたということで、ピークアウト、これから大暴落、という運びになるかも知れませんが…。

いずれにせよ私がここで最も強調したいのは、覇権国、世界最大の経済大国のアメリカで、8割の世帯で実質所得が15年も下がり続けているにも関わらず、株価が上昇し続けるという状態はいつまでも続かないだろう、ということです。

2016/03/04 15:54 | 廣宮孝信 ひろみやよしのぶ #- URL [ 編集 ]
1597:

株価は実体経済を正確に写し出す鏡ではないと僕も思います。国民の実質所得が延びなくても金融市場が活況ならば株価は上がるでしょうし、そもそも株式投資というものにはファンダメンタルズ投資と双璧をなす物にテクニカル投資という物があります。このテクニカル投資のチャートの形や進行を抜きにして経済指標だけで株価の動きを説明しようとしても難しいでしょう。

Wトップをつけると高確率で下落する、逆にW底をつければ高確率で上昇する、移動平均線からの解離が過ぎればかならずどこかで修正が入る、日本で言えば円高に対する反応が強ければ悲観相場であり、為替の動きに対してどちらにより強く反応するかで株価の動きも変わってきます。

例えば今現在の経済指標やニュースなどを過去のチャートが崩壊寸前の高値圏に当て嵌めれば、それはマイナス材料と受けとめりて下落相場の呼び水となるでしょうし、大きく下落した後少し落ち着いた相場では、その指標やニュースはバーゲンセールの株を買う為のプラス材料となるでしょう。

同じ経済指標でもそれ以前の株価の値動きやチャートの形で受け止め方は変わってくるのだろうと思います。もっと分かりやすく言えば「いくらなんでもそろそろ買いだろう」という人が増えれば指標がプラスに解釈されやすいということではないでしょうか。これが解釈して投資家が株を買っているのか、買ったことによる値動きをメディアが事後的に解釈しているだけなのかは分かりませんが。

仰るように実質所得が減り続けている国というのは、国民の生活が物質的に貧しくなっているということですから、成長率やインフレ率が日欧と比べてまだいいというのはたいした慰めにはならなあでしょう。単に金持ちがより金持ちになっただけけと言える部分もあると思います。

廣宮さんの新著、まだ読んでおりませんが、これから買ってみたいと思います。しかしグローバル企業課税強化の為の消費増税容認論がアマチュアブロガーの間で少し批判や議論の的になっているようですが、後日時間がある時にでもこの論について解説されるようなエントリーを上げて頂ければ有難いです。

あと、僕はTwitter殆どやってないので、ブログの更新頻度も少し上げて頂ければ嬉しいです。我儘ばかり言ってすいません(笑)

これからも廣宮さんのご活躍、応援しております。

2016/03/05 05:06 | 田中リンクス #- URL [ 編集 ]
1600:Re: タイトルなし

田中リンクスさん、こんにちは。


> 同じ経済指標でもそれ以前の株価の値動きやチャートの形で受け止め方は変わってくるのだろうと思います。もっと分かりやすく言えば「いくらなんでもそろそろ買いだろう」という人が増えれば指標がプラスに解釈されやすいということではないでしょうか。これが解釈して投資家が株を買っているのか、買ったことによる値動きをメディアが事後的に解釈しているだけなのかは分かりませんが。

似たような情報でも、状況によって受け止め方が違うかも知れない、という見方は面白いですね。

なお、後付け解釈かどうか、という問題に関しては、「誰かが意図的にそのような解釈を流しているかも知れない」、という視点もあるかも知れませんね。

>
> 廣宮さんの新著、まだ読んでおりませんが、これから買ってみたいと思います。

どうぞよろしくお願い致します^^;


>しかしグローバル企業課税強化の為の消費増税容認論がアマチュアブロガーの間で少し批判や議論の的になっているようですが、後日時間がある時にでもこの論について解説されるようなエントリーを上げて頂ければ有難いです。


消費税に関しては、消費税を少々神格化し過ぎている人々が多いように感じます。

消費税云々は財政政策に関する根幹ではなく、需要不足(企業の需要への期待不足)のときに財政赤字を増やすかどうかが根幹的な問題だと考えます。消費税の増税いかんを問わず、財政赤字を増やせるかどうか、です。

消費税を10兆円増税するなら、それを上回る規模の「歳出増and/or別の税目や社会保険料の減税」をやれば良いだけです。

安倍内閣が閣議決定している「2020年までにプライマリーバランス黒字化」の目標が変わらない限り、消費税を減税・廃止しても、ほかのところで緊縮財政(歳出減か別の税目や社会保険料の増税)になるだけであります。「消費税8%、国税+地方税で15兆円程度を廃止して15兆円の減税をしますが、黒字化目標のために歳出を20兆円減らします」となってしまうわけです。

消費税を増税しようが、減税・廃止しようが、とにかく財政健全化にまい進すれば景気は悪化するでしょうし、財政赤字を拡大すれば景気は改善するでしょう。但し、財政赤字の使い方(支出または減税)は、乗数効果や将来の国家存続と繁栄に資するかどうかを最大限に勘案すべきでありますが。


もちろん、仮に消費税を増税する場合には逆進性の弊害を緩和・解消する措置も重要です。

この辺りまた一度エントリーを立ててみようと思います。一応、3年前にこの手の話はしていたのですが:


米国、200兆円のグレーマーケット:雇用統計にカウントされない巨大市場は米景気が不思議に良いことの理由の一つか?+「消費税」、「緊縮財政」という言葉の整理
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-595.html
2013/08/14


>
> あと、僕はTwitter殆どやってないので、ブログの更新頻度も少し上げて頂ければ嬉しいです。我儘ばかり言ってすいません(笑)


ツイッターはアカウントを持っていなくても「フォローしよう」ボタンで見れると思いますので、よろしければ、どうぞ

ブログはやはり時間とエネルギーを使うので、ツイッターほどには更新は少々困難でして^^;


> これからも廣宮さんのご活躍、応援しております。

ありがとうございます!今後ともどうぞよろしくお願い致します。

2016/03/06 15:44 | 廣宮孝信 ひろみやよしのぶ #- URL [ 編集 ]
1601:いわゆるアルマゲドン・シナリオについて

世界が注目する3人の大暴落予測
近づく「ダウ6000ドル時代」の生き残り方
http://www.mag2.com/p/money/7622

何人かの著名投資家が押し目買いの姿勢を示していると言われる中、これが本当に現実的な予想の範囲内なのかどうか全くわかりませんが(少し前にはロン・ポール氏が2016年2月19日にドルが完全崩壊すると言っていました)、全ての中央銀行が倒産する、なんていうのは、ちょっとどうなのかな、というふうに思うのですが、要するに世界大恐慌になると言っているように聞こえなくもありません。

本当に危険なのは、国債と株が同時に暴落する時だと言われていますが、リーマン・ショックの時には、米国株が暴落した際に米国債は(金利がマイナスになることはありませんでしたが)買い込まれて暴騰しました。当時の調達通貨だった円も買い戻されて、外為市場ではドル高・円高となる円独歩高の大相場になったわけですが、ちょっと陰謀論的な感じがするのは兎も角、冒頭の御三方の大暴落予測については、廣宮さんは、どんな感想をお持ちになりましたか?

2016/03/07 15:32 | Mr.T #- URL [ 編集 ]
1602:Re: いわゆるアルマゲドン・シナリオについて

Mr.Tさん

> 世界が注目する3人の大暴落予測
> 近づく「ダウ6000ドル時代」の生き残り方
> http://www.mag2.com/p/money/7622
>
> 何人かの著名投資家が押し目買いの姿勢を示していると言われる中、これが本当に現実的な予想の範囲内なのかどうか全くわかりませんが(少し前にはロン・ポール氏が2016年2月19日にドルが完全崩壊すると言っていました)、全ての中央銀行が倒産する、なんていうのは、ちょっとどうなのかな、というふうに思うのですが、要するに世界大恐慌になると言っているように聞こえなくもありません。

ロン・ポール氏の2016年2月19日の件、「Ron Paul 2016 Feb 19」で検索したことがあるのですが、確たるソースが見つかりませんでした。まあ、これはこれでおいておきましょう。

>
> 本当に危険なのは、国債と株が同時に暴落する時だと言われていますが、リーマン・ショックの時には、米国株が暴落した際に米国債は(金利がマイナスになることはありませんでしたが)買い込まれて暴騰しました。当時の調達通貨だった円も買い戻されて、外為市場ではドル高・円高となる円独歩高の大相場になったわけですが、ちょっと陰謀論的な感じがするのは兎も角、冒頭の御三方の大暴落予測については、廣宮さんは、どんな感想をお持ちになりましたか?

その辺りはまさに私の『異次元大恐慌』に書いたとおりですので、お読みいただければと思います。

ただ1点だけ申し上げますと、「国際金融資本」が仕掛けるものとされていることについては、私はそうではないという違いがあります。上記リンクの記事で


エゴン・フォン・グレヤーズ(Egon von Greyerz)は、このグローバル・エリートたちの奇妙な通貨戦争の本質をよく見抜いているに違いない。

この男は、「シナリオ」に気がついている。

「グローバル・エリートは、密かに世界市場を本格的なパニックへ誘い込み、世界を支配する計画を忠実に実行している」と彼は言う。


とRTで語ったとあります。プーチン肝煎りで創設されたロシア・プロパガンダ機関であると言える英語メディア、RTで語っているというのがポイントです。つまり、真実は逆だろうと個人的には思います。

2016/03/07 16:56 | 廣宮孝信 ひろみやよしのぶ #- URL [ 編集 ]
1609:ドイツ銀行の件について

金融システムのリスクを検証:その1:エネルギー関連与信 ネガティブなニュースフローは予想されるが、全体影響は限定的
https://info.monex.co.jp/report/financial-market/20160212_01.html

欧州の金融機関は不良債権を処理せずに特別アカウントで塩漬けにして抱え込んだままにしているそうですね。1月に行われた決算発表時のカンファレンスコールでJPモルガンのダイモンCEOは石油・天然ガス業界への貸付の焦げ付きは心配しなくていいと言っていたようです。またユーロ圏での金融機関の貸出(企業向け・消費者ローン・住宅ローン)は回復しつつあるようで、TLTRO2もあり、このリポートでもそうですが、とりあえず、ドイツ銀行の件は、そんなに心配しなくてもいいのではないでしょうか。

2016/03/20 18:47 | Mr.T #- URL [ 編集 ]
1610:Re: ドイツ銀行の件について

Mr. Tさん

Bigcharts.comで一株当たり利益(EPS)のデータを見てみますと、

ドイツ銀行はリーマンショック時、「ショック」の少し後になって初めて赤字決算になりました。危機直前まではむしろ増益です。
一方、今般は、リーマンショックのような明確な「ショック」がないにもかかわらず、すでに赤字に陥っています。
http://bigcharts.marketwatch.com/advchart/frames/frames.asp?show=&insttype=Stock&symb=DB&time=20&startdate=1%2F4%2F1999&enddate=3%2F21%2F2016&freq=1&compidx=aaaaa%3A0&comptemptext=&comp=none&ma=0&maval=9&uf=0&lf=67108864&lf2=0&lf3=0&type=2&style=320&size=2&x=62&y=18&timeFrameToggle=false&compareToToggle=false&indicatorsToggle=false&chartStyleToggle=false&state=10

もっと言えば、前回ショック直前期は、増益のなかで株価が下落していました。市場は、意外と冷静に分析していたということかも知れません。今回も市場は冷静に分析したうえでドイツ銀行を売り込んでいるのかも知れません。そう考えれば、前回ショック時よりもヤバいのかも知れないと思ってもよいのかも知れませんね。

欧州の銀行はリーマンショック後は新興国への投資を増やしました。そして新興国の多くは今般の中国需要低迷に起因すると思われる資源価格暴落で大打撃を受けており、欧州の大手金融機関は軒並み大リストラを敢行しています。

自己資本比率が前回ショック前より良好といっても、赤字決算になっているのであるし、前回とは違う要素がある(マイナス金利や新興国シフト)ので、「財務指標が前の危機以前よりもまし」というのがそれほどの安心材料であるとは、投資家、というか投機家のあいだでは受け止められていないというのが現状のようです。
それがドイツ銀行の株価19.07が一株あたり簿価55.30の0.35倍(つまり、PBR0.35倍。昨日時点 http://finance.yahoo.com/q/ks?s=DB+Key+Statistics )という悲惨なくらいのバーゲンセールになっていることの背景なのではないでしょうか。簿価の65%引きでなければ誰もドイツ銀行の株を買わない状態なのです。

2016/03/22 10:04 | 廣宮孝信 ひろみやよしのぶ #- URL [ 編集 ]
1611:Re: Re: ドイツ銀行の件について

追記です:

ドイツ銀行を格下げ方向で見直し-ムーディーズ
ブルームバーグ 2016/03/22 05:57 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O4EQ7C6KLVRC01.html


2016/03/22 10:08 | 廣宮孝信 ひろみやよしのぶ #- URL [ 編集 ]

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