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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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701:ECBの量的緩和で追い詰められるドイツ銀行 + 『異次元大恐慌』の引金を引くのは中国か?それとも、欧州か?

2016/03/23 (Wed) 12:01
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当面、ツイッターのみ更新し、ブログ更新はどうしてもツイッターでは表現しきれない重要なニュースがあったときだけ、というようにする方針です。

※私のツイッターは、当ブログのPC版の左上に表示しているツイッター窓で見て頂くか、「twitterでフォローして下さい」ボタンを押してツイッターを開いてみて下さい。







ijigen-hyoushi.png


『2016年、異次元大恐慌が始まる』
飛鳥新社 刊


 好評発売中


ちなみに、私自身が考えていたタイトルとオビの原案はというと、

タイトル 原案:『世界大恐慌2.0 ――世界と日本を激変させる、歴史的大波涛』

オビ文言 原案:「資本主義でも、共産主義でも、民主主義でもない、異次元な新時代の幕開け」


というような、もう少し穏当(?)なものでありました。少なくとも「大恐慌=この世の終わり」ではありません!


「世界大恐慌2.0」というのは、次に起こりそうなのは「1929年世界大恐慌のバージョンアップしたもの」になりそう、という意味合いです。
→なぜそうなるかというのは、経済的なカネ勘定の問題よりは、政治的な権力構造の問題ではなかろうか、という仮説になります。


目次項目の一覧はこちら





さて、本題です:

表題の件。

まずは以下に引用したブルームバーグの興味深いコラムをどうぞ:

-----

【インサイト】ECB債券購入、銀行のトレーディング事業に打撃必至
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-03-21/O48N7O6K50XT01
Duncan Mavin
ブルームバーグ 2016年3月22日

欧州中央銀行(ECB)は量的緩和(QE)での月々の債券購入額を800億ユーロ(約10兆円)とこれまでの600億ユーロから増やすことや、銀行債以外の投資適格社債を購入対象に加える策を打ち出した。しかし、これがユーロ圏の投資銀行に打撃を与えることは必至だ。

  ECBの措置が景気回復に役立つかどうかはまだ分からないが、投資銀行の債券・通貨・商品(FICC)トレーディングデスクが苦労することだけは確実だ。ECBはこれまでのQEを通じて既に、ユーロ圏の国債の相当部分を保有。それを社債にまで拡大しようというのだ。

  バーンスティーン・リサーチ(ロンドン)のアナリスト、チランタン・バルア氏はユーロ圏の銀行債を除く投資適格社債市場の月次流動性を250億-350億ユーロと見積もる。仮に、ECBが購入増額分のうち100億ユーロを社債に回したとすると、ECBは流動性の約3割を吸い上げてしまうことになる。これは金融危機後一貫して収入が減っているFICCトレーディング部門をさらに圧迫する。

  理論的には、QEは合併・買収や株式の発行・売り出しなどを促すことで投資銀行業務の収入に寄与する。QEによって実際に景気がよくなれば銀行も恩恵を受ける。しかしFICCトレーディング収入への依存が依然として大きい銀行にとっては、あまり慰めにならない。HSBCホールディングスの見積もりによれば、ドイツ銀行ではこれが投資銀行全体の収入の57%を占めている。

  既にFICCトレーディング事業の縮小を決めている銀行は多いが、収入のさらなる急激な減少は全行の再編を難しくする。収入が想定以上のペースで減れば、計画しているコスト削減では追いつかなくなる。ECBの措置は欧州の成長を復活させるかもしれないが、域内の投資銀行の苦しみは増すばかりだ。

(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見を反映するものではありません)

原題:ECB’s Bond-Purchase Plan Promises Pain for FICC Trading: Gadfly(抜粋)




これを執筆したDuncan Mavin氏の経歴は、元の英語版のほうに書いてありますが、

・元ウォール・ストリート・ジャーナル勤務
・公認会計士
・銀行業務や資金運用業務に従事経験

とのこと。

元の英語版のほうでは、ドイツ銀行、バークレイズ銀行、クレディ・スイス、UBSの固定収入(Fixed Income)における、債券・通貨・商品(FICC)トレーディングが占める割合のグラフが掲載されていますが、

ドイツ銀行 57%
バークレイズ銀行 43%
クレディ・スイス 36%
UBS 23%


となっています。ドイツ銀行は競合他社にくらべて、ECBの金融緩和で今後さらに減りそうなFICCへの依存度がかなり高いわけです。

元の英語版記事では、そのFICCによる収入の世界的な銀行13行の合計額の推移グラフも掲載されているのですが、

2009年   1340億ドル
2015年   710億ドル
2016年推計 580億ドル


のように今年は09年の半分以下、昨年の2割減になりそうとのことです。

関連して、先月、「『困難な』環境を理由に年内に4000人を削減する計画を加速させる考えを示していた」ばかりのクレディ・スイスは…

-----
クレディ・スイス、投資銀行の縮小を加速へ-関係者
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-03-22/O4GN2A6K50XS01
ブルームバーグ 2016年3月23日

-----

ちなみに、ドイツ銀行、バークレイズ銀行、クレディ・スイス、UBSの昨日の株価に基づくPBR(株価÷一株当たり簿価)はというと、

ドイツ銀行 0.34倍
バークレイズ 0.56倍
クレディ・スイス 0.64倍
UBS 1.11倍

となっています。FICC依存度が高いほど割安(売り込まれている)という具合です。つまり、世界的な金融緩和の影響を受けやすい収益構造になっているほど、売り込まれているという格好です。

ドイツ銀のPBR 0.34倍というのは、株価が簿価=解散価値(いま会社を解散して残存資産を清算した場合の価値)の0.34倍ということになります。つまり、解散価値の66%引きの値段でないと、誰もドイツ銀行の株を買わない状態であることを意味します。


Bigcharts.comで一株当たり利益(EPS)のデータを見てみますと、

ドイツ銀行はリーマンショック時、「ショック」の少し後になって初めて赤字決算になりました。危機直前まではむしろ増益でした。
一方、今般は、リーマンショックのような明確な「ショック」がないにもかかわらず、すでに赤字に陥っています。

ScreenShot_20160323111350.png


もっと言えば、前回ショック直前期は、増益のなかで株価が下落していました。市場は、意外と冷静に分析していたということかも知れません。今回も市場は冷静に分析したうえでドイツ銀行を売り込んでいるのかも知れません。そう考えれば、ドイツ銀行は現在、前回ショック時よりもヤバい状態なのかも知れませんね。


昨日か一昨日あたり、横綱白鵬による「ダメ押し」が物議を醸していましたが、ドイツ銀行に関してはムーディーズがダメ押し、いや、ダメ出しをしようとしているようです。

-----
ドイツ銀行を格下げ方向で見直し-ムーディーズ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O4EQ7C6KLVRC01.html
ブルームバーグ 2016/03/22 05:57 JST

-----

もちろん、リーマンショック前に訳の分からない金融商品にAAAの格付けを出していたような大手格付け機関が信用できるのかどうか、という問題はあります。

ちなみに、ロシアはプーチン大統領肝煎りで独自の格付け機関を立ち上げました:





それはそれとして、上記の収益構造と金融緩和から受ける影響を考えれば、ムーディーズが「ドイツ銀、ヤバい」と判断して格下げしようとしていることは適切なものなのかも知れませんね。


昨年来、「中央銀行の中央銀行」というべき国際決済銀行BISが盛んに、金融緩和の限界を警告していましたが、ECBは意図的にドイツ銀行を追い詰めているのか、意図せずして追い詰めてしまっているのか…


さらには、昨日のベルギー首都ブリュッセルにおける連続爆破テロを受け、今後EUにおける人、物、カネの動きはますます制限を受けそうです。

-----
ブリュッセル孤立-テロで空港閉鎖、タリスやドイツ鉄道も運行停止
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-03-22/O4G0V06JIJUY01
ブルームバーグ 2016年3月22日

22日の爆弾テロを受けてブリュッセルへの航空および鉄道の運行が停止され、ベルギーの首都は孤立状態になっている。


-----

さらには、このテロで英国のEU離脱の可能性が高まったとの見方も…


-----
NY外為:ポンド下落、テロでEU脱退リスク強まる-円下落
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-03-22/O4FMXX6JIJUO01
ブルームバーグ 2016年3月22日

22日のニューヨーク外国為替市場ではポンドが主要通貨の中で最も下げた。ブリュッセルでのテロ攻撃を受け、英国の欧州連合(EU)離脱「Brexit」支持派が勢いづくとの見方からポンド売りが膨らんだ。


-----

欧州のみならず、中国もけっこうアレな感じです。











 『異次元大恐慌』の引金を引くのは、

 中国か?

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コメント

1612:ドイツ銀行などに関して

世界恐慌の噂を検証~ドイツ銀行が破綻するとは思えない10の理由
http://www.mag2.com/p/money/6299

クライアン共同CEOが今年の黒字を見込んでいないと発言したことによって、戻り基調だったドイツ銀行の株価は、またもや急落となったようですが、同行はギリシャに関連したポジションをかなり持っているということで、ギリシャに何かあるとドイツ銀行は飛ぶかも知れない、というのは今でも言われている(思われている)ような感じでした。懸念は人それぞれと言われますが、本当のところは、実際よくわかりません。

日足のチャートからは、米株価指数やWTI原油先物などが、いわゆるダブルボトムを形成して、リバウンド傾向を強める形となっています(欧米ではカップ&ハンドルが好まれています)。少なくとも以前のようなリスクオフではなくなりました。為替市場におけるドル安も米株にとっては追い風となっているようです。そんな中、欧州の銀行株は再び軟調な地合いに変わったようで、単に利益や成長の問題で、再び下落傾向を強めているのならまだいいのですが、外からは窺い知ることの出来ない何かがあって、それが株価に織り込まれているようなら、ちょっと気味が悪いですよね(触らぬ神に祟りなし?)。

2016/03/24 16:23 | Mr.T #- URL [ 編集 ]
1613:マイナス金利政策などに関連して

5分で読めるマイナス金利
http://www.boj.or.jp/announcements/education/exp/exp01.htm/

Brexitとなると英国の経済的損失は約16兆円・雇用喪失は約100万人という話もありましたが、新興国経済の救済に関心があると言われるコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授の提言などが、例によってマスコミの報道しない自由により問題となっている(正しく情報が伝わらない)ようですね。スティグリッツ教授は、マイナス金利政策に苦言を呈したようですが、このマイナス金利政策というのは、経済学の教科書には存在しない代物、ということでよろしかったんでしょうか(先のG20で謎の非公式会合はあったもようですが上海合意なるものは果たしてあったんですかね)。

ドイツ銀行の株には怖くて手が出せないという投資家心理が働いている可能性もあるようですが(HSBCなんて配当利回りが8%近くになるまで株が売り込まれています)、今の金融政策と金融規制は、どうも対立する関係(協調の欠如)になっているようで、金融規制(マクロ・プルーデンス政策)の強化が、金融仲介機能と期間変換機能に影響を与えて、銀行のビジネスモデルを根本から覆す、といった話もあるようです。ナローバンクが成立するためには、運用する安全資産の利回りが、決済性預金金利を上回る必要があるのに、中央銀行によるマイナス金利の導入で否定されたとか。潜在成長力の低い欧州、単一通貨という制約を持つユーロ圏で、最初にマイナス金利が発生したのは偶然ではないとか。詳しいことも何も全くわからないのですが、銀行株を上昇させるためには、マイナス金利の解除が必要、というのはよく言われている(思われている)ようです。

2016/03/26 14:42 | Mr.T #- URL [ 編集 ]

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