2016/05/27 (Fri) 11:38
当面、ツイッターのみ更新し、ブログ更新はどうしてもツイッターでは表現しきれない重要なニュースがあったときだけ、というようにする方針です。 ※私のツイッターは、当ブログのPC版の左上に表示しているツイッター窓で見て頂くか、 「twitterでフォローして下さい」ボタン を押してツイッターを開いてみて下さい。 『2016年、異次元大恐慌が始まる』 飛鳥新社 刊 好評発売中 ちなみに、私自身が考えていたタイトルとオビの
原案 はというと、
タイトル 原案:『世界大恐慌2.0 ――世界と日本を激変させる、歴史的大波涛』 オビ文言 原案:「資本主義でも、共産主義でも、民主主義でもない、異次元な新時代の幕開け」 というような、もう少し穏当(?)なものでありました。少なくとも
「大恐慌=この世の終わり」ではありません! ※
「世界大恐慌2.0」 というのは、次に起こりそうなのは
「1929年世界大恐慌のバージョンアップしたもの」 になりそう、という意味合いです。
→なぜそうなるかというのは、経済的なカネ勘定の問題よりは、
政治的な権力構造の問題 ではなかろうか、という仮説になります。
目次項目の一覧はこちら さて、本題 です: 安倍晋三首相「リーマン前と似てる」 消費税再増税の先送りを示唆 http://www.sankei.com/politics/news/160527/plt1605270006-n1.html 産経ニュース 2016.5.27
主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が26日、三重県で開幕した。初日は「世界経済」について議論し、各国の事情を踏まえた機動的な財政出動と、構造改革を加速することで先進7カ国(G7)首脳が足並みをそろえた。安倍晋三首相は消費税再増税先送りの条件を「リーマン・ショック級」の状況としていたが、現在の経済情勢がリーマン前と似ていることを指摘し
増税先送りを示唆 した。
…
安倍首相 は討議の冒頭、原油安やテロ、難民問題、新興国の不振を挙げて世界経済は不透明感が増しているとし、
回復するか悪化に向かうかの「分岐点にある」と指摘 した。
原油、食料など商品価格の2014年以降の下落率が08年のリーマン・ショック前後と同じ55%に達し、新興国の投資の伸び率も低迷したとして強力な政策対応を呼び掛けた。 …
ただ、
他国は安倍総理ほどの危機意識はない ようで(とくにドイツは憲法で財政赤字が禁じられていますしね)…
伊勢志摩サミット:世界経済「クライシス」に異論も、表現調整へ https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-05-25/O7QDMF6TTDTF01 ブルームバーグ 2016年5月26日
主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)は26日の会合で世界経済について討議した。日本政府の説明によると、議長の安倍晋三首相は機動的な財政戦略や構造改革を提案し、リーマン・ショックを引き合いに出して世界経済の危機(クライシス)に懸念を示したが、危機の度合いの表現をめぐって疑問も出たことから引き続き調整することになった。
…
世界経済の認識については、多くの首脳から新興国の現状に厳しい認識が示され、G7が連携して対処していくことを確認した。ただ安倍首相が世界経済のリスクが高いと発言したことに関しては、
「クライシスとまで言うのはいかがなものかという意見も出た」 という。世耕氏は「最後の要調整部分は現在の世界経済のリスク認識の表現の仕方」に絞られていると述べた。
ブルームバーグ・ニュースが26日入手した英文の
首脳宣言草案のコピー には、
「時宜を得て適切な政策対応を取らなければ、世界経済が通常の景気サイクルを逸脱して、危機に陥るリスクがあることを認識している」 という文言が盛り込まれている。
-----
※ブルームバーグ英語版の
記事 より該当箇所:
“We recognize the risk of the global economy exceeding the normal economic cycle and falling into a crisis if we did not take appropriate policy responses in a timely manner," reads the Japanese suggestion. 私なりに訳しておきます: 「我々は、世界経済のリスクが通常の経済循環の範囲を超えており、適切な政策対応をしなければ危機に陥ると認識している」とあり、日本の提案が盛り込まれている。 ↑日本語版では、「日本の提案」というのが抜けていますね。
-----
…
「大きなリスクに直面」で一致 安倍首相は、サミットで世界経済の状況がリーマン・ショック並みに悪化しかなねいとの懸念を示す複数の資料を提出した。 例えば経済成長率に関する資料では、国際通貨基(IMF)の2016年世界経済見通しで先進国や途上国ともに下方修正が続いていることを示し、
「リーマン・ショック時において、直前までプラス成長が予測されていたが、実際はマイナス成長に陥った」 と説明。08年4月に3.8%だった世界の成長予測は09年実績で0.1%減に大幅に下方修正したことに言及している。
別の資料では、
新興国・途上国の投資伸び率が15年に実質2.5%と08年のリーマン・ショック後の3.8%を下回ったことを指摘。新興国・途上国の国内総生産(GDP)や輸入伸び率も同ショック以降、最も低い水準に陥っていると指摘 するとともに、
新興国への資金流入も15年に初めてマイナスに転じた ことを示している。
また
エネルギー・食材・素材などの商品価格が14年以降55%下落 しており、
リーマン・ショック前後の下落幅と同じだ としている。
-----
※追記 あれま。結局、今回のG7の共同声明の最終文書では、世界経済はもはや危機を脱したことになっている模様でありますね…。 いずれにせよ、今後、実際に危機が起こった場合、安倍総理は先見の明があった、ということになるかな。 ↑追記ここまで -----
というわけで、
安倍総理の世界経済の現状認識 は、
拙著『2016年、異次元大恐慌が始まる』の 第3章 「世界大恐慌2.0」前夜の世界経済 ・世界経済の現状:2015年秋時点、既に停滞もしくは景気後退入り ・貿易:先進国は4年以上前に、新興国も1年以上前にピークアウト ・電力量、貨物輸送量で見ると中国のみならず日米欧も景気後退 辺りと認識は同様 のようです。
この危機認識に対応し、
日本 は
・消費増税の延期 と、恐らくは
・10兆円規模の財政出動 ということになるのではないかと思われます。
しかし、他の国はどうかというと、やりたくても政治的に出来ない、あるいは、政治的にしない、というのが現状 と思われます。
『異次元大恐慌が始まる』で取り上げた昨年9月トルコG20で「我々は機動的な財政出動をする」と共同声明に盛り込まれて以降、世界的に十分な財政出動が行われた、あるいは行われるという気配が特には感じられません。
日本だけ10兆円財政出動しても、それは日本のGDPに対しては10%ですが、世界の8000兆円のGDPからすれば0.1%強に過ぎません。これでリーマンショック級の危機を未然に防げるかというと、どうでしょうか? ちなみに、
中国 はこんな感じアルよ:
中国指導部、経済巡り溝 金融・財政政策で食い違い 李首相ら、景気の安定重視/習氏周辺、構造改革を優先 http://www.nikkei.com/article/DGXKASGM22H37_S6A520C1FF8000/ 2016/5/23付日本経済新聞 朝刊
中国の指導部内でマクロ経済政策を巡る温度差が目立ってきた。李克強首相ら政府高官が中国経済の現状を前向きに評価するのに対し、習近平国家主席に近いとみられる人物が反論。景気・雇用の安定重視か、構造改革優先かで意見が割れているもよう。異例の不協和音は、習氏への権力集中が進む中、来秋に開く共産党大会での最高指導部人事を巡る摩擦が背景にあるとみられる。
…
拙著『異次元大恐慌』 では、恐らくは今年、
大恐慌が起こるであろうことの背景 には、
政治的に、権力構造を大転換させる という動機づけ が存在しているという仮説を立てました。
習近平主席がいう構造改革というのは、要はリストラですが、経済的に見れば、少なくとも短期的には需要減 となるものと考えられます(長期的には供給増)。
ドイツのショイブレ財相 もやたら
「構造改革」 と言っていますね。
-----
ドイツはG20による財政刺激には反対、構造改革に注力を-財務相 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-02-26/O350MA6JIJUP01 ブルームバーグ 2016年2月26日
-----
この世界的な需要不足の状況、また、世界経済の状況がリーマン・ショック並みに悪化しかなねいとの懸念があるような状況で構造改革に邁進したらどうなるかというと、それはまさに『異次元大恐慌』になりかねんわけであります。 で、それは
経済的なものの見方 です。
これを
政治的な見方 をするとどうなるかというと、
『異次元大恐慌』 でも示しましたように
構造改革=権力構造の転換 という話になります。
つまり、
構造改革の推進=権力構造の転換の推進 ということです。
今後起こりそうな大恐慌は 大恐慌の発生=構造の大改革の推進=権力構造の大転換の推進 という構図 になるだろう、というわけです。
その先にありそうなことの一つが、
金本位制 です。
『異次元大恐慌』では、ハイパーインフレまで進んだ場合にそれを程よいところで止めるために金本位制を使うというところで止まっていましたが、最近読んだ本で、
もっと大きな意義があり得る と気付きました。
いまなぜ金復活なのか―やがてドルも円も紙屑になる フェルディナント・リップス著 大橋 貞信 訳
徳間書店 (2006年)
著者は
ロスチャイルド家 の元金庫番で
金鉱山の経営 にも携わっていたという経歴の人物です。
「ロスチャイルド」に何かしらの引っ掛かりを覚える方もいらっしゃるかも知れませんが、この本の内容には非常に見るべきものがあります。
1970年代に
金本位制が廃止され、為替変動制に移行したことの影響 の最たるものとして
製造業企業が為替予約をしなければならなくなった ということを挙げています。
それが、
為替の先物市場の拡大、さらには他の商品の先物市場の拡大、引いてはデリバティブ 市場全般の拡大につながった 、というのがリップス氏の見解です。
リップス氏は金本位制最後の砦であった祖国スイスが1990年代、中央銀行が発行紙幣の40%の金を保有することを義務付けていた憲法を「改正」、ついに、普通の国に成り下がってしまったことを嘆いています。これにより、長期的にスイスの金融産業は凋落するしかないだろう、と。
拙著『異次元大恐慌』のp.232図表51に示した
世界の通貨当局の金準備総重量の推移グラフ を見ると、
1960年代以降40年以上続いていた減少傾向がリーマンショックのあった08年まで続いています。 しかし一方、その
08年を境にして、その減少傾向が増加に反転 しているということもまた、このグラフで明確に分かります。
・リーマンショック前は世界の中央銀行の金保有量合計は減少していた ・現在は世界の中央銀行の金保有量合計は増加中である。 という意味で、今後起こり得る大恐慌は、リーマンショックとは違う 、ということになります。
そして仮に今後、
金本位制が復活するとすれば、デリバティブや何やらであぶく銭を荒稼ぎしていた勢力は権力を失う こととなりそうです。これぞまさに
権力構造の大転換 というわけです。
そこにロスチャイルド家がどう関わるのか、関わらないのか、ということに関しては私は何らの情報も持ち合わせていないので、目下のところ言及することもありません。
「 『通常の景気循環を上回るリスク。 何もしなければ危機に陥る』 というG7の共同声明(草稿)、 というか安倍総理の現状認識は正しいのであるが… 」 と思われた方は、↓クリックをお願いいたします。 クリック、ありがとうございましたm(_ _)m
関連記事
スポンサーサイト
≪前の記事 英EU離脱:「私の知る限り、今は最悪の時代」とグリーンスパン元FRB議長。「EU崩壊は事実上、不可逆的」とソロス氏
≫次の記事 「反ユダヤ主義(?)」騒動に揺れる英労働党とロンドン市長選+4日後に迫るロンドン市長選はイスラム教徒vsユダヤ人というかなり興味深い構図
コメント
トラックバック
ブログ TOP