以前は、
国債発行+財政出動+ベースマネー増発(お札と当座預金の増発)
によって、
金融機関を介した信用創造
でお金、マネーが増える様子を
やりました。
銀行を介在させると、かなり複雑でしたね。
ということで、今日は
・銀行なし。
・中央銀行もなし。
で、超シンプル信用創造(Money Creation)をやってみます。
つまり、銀行と中央銀行の中抜きです。
政府が国債を発行し、
国債のまま国民に渡す
という形態です。
で、詳しく書きましたが、
国債は、見方を変えれば譲渡性預金の一種です。
特に、短期国債や変動金利国債は、
価値変動が極めて僅少、ないし、変動ゼロ
ですから、通貨そのものと言って差し支えありません。
と言う前提で、
以下、1年もの国債を使ったシミュレーションを仕訳でやってみます。
下記で、
・「国債1」というのは、年始に発行された1年もの国債です。
「国債2」は年末に発行される2年目の1年もの国債です。
・上表で「国民」は家計+非金融法人企業と捉えてください。
・年末に
(1)所得税等の徴税・納税
(2)利息の支払いと利息に対する徴税・納税
(3)「国債1」から「国債2」への借換え(ロールオーバー)
が一括で行われるものとします。
・税率は20%としています。
で、上記仕訳の結果が、下の財務諸表です:
・政府の純負債が8.8兆円増加
・国民の純資産が8.8兆円増加
・政府+国民の連結では、
資産と負債が両建てで8.8兆円増加し、純資産の変動はゼロ
前回の記事でも書きましたが
民間純資産増減+政府純資産増減+海外部門純資産増減=0
です。
とりあえず海外部門をおいておけば、
政府の負債(純)が増えること
と
国民の資産(純)が増えること
というのは完全に1対1です。
ということで、銀行と中央銀行を中抜きすれば、
信用創造というのが、かなりすっきりした形で
政府負債の増加⇔国民の金融資産の増加
ということが分かって頂けるのではなかろうかと思います。
しかし、
中央銀行がないと気持ちが悪い
という方もいらっしゃると思います(実は私自身を含めて)ので、
中央銀行など影も形もない、江戸幕府にタイムスリップしましょう。
八代将軍の御世に行われた元文の改鋳です。
元文の改鋳については「国債を刷れ!」でもかなり詳しく解説しましたが、
ここでは、仕訳を書き出して見たいと思います。
その前に、この改鋳について、さらっと振り返っておきますと
・小判の金含有量を1/2にして、小判の量を倍にした。
・古い小判を1枚持ってきた国民には、1.6枚と交換した。
という話です。
下記で、
・幕府の負債側に「発行小判」という項目を立てましたが、
現在の日銀がお札を発行すると負債側に「発行銀行券」という項目
を立てるのに習ったものです。
本来、返済義務はないので負債ではないですが、
現代のシステムに模して負債としておきます。
・「古い小判を1枚持ってきた国民には、1.6枚と交換した」
というのは、お金持ちほど得をする給付金のようなものです。
上記では、「幕府振舞(ふるまい)金」と表現しました^^
・幕府振舞金については非課税。
・その他の幕府支出は、公共事業その他で町人にとっての所得となるので、
税率2割として徴税しています。
・小判は国債と違って利息なし。返済期限なし。
よって、利払い、借換えなし。
「発行小判」を負債に計上する事で
幕府の純負債が9.2万両増加
町人の純資産が9.2万両増加
となり、
この元文の改鋳も、
幕府と町人の連結では純資産変化なし
です。
つまり、
小判だろうが国債だろうが大した違いは無い
ということになります。
逆に、見方を変えれば、
小判を永久無利子国債
と見なせば、本当に何らの違いは無いわけです。
さらに、
小判の金含有量を減らして、小判の枚数を増やす
というのが、
無の状態から国債をいきなりポーンと発行する
ということと、特に違いはありません。
さらに、
日銀の「発行銀行券」というのは、
永久無利子 日銀債
と考えてみればどうなるでしょう?
「国債を刷れ!」でも書きましたように、
・日本政府は日銀の55%株主(持分が過半数を超える株主)
・日銀は日銀法で株主から一切口出しを受けないことになっているが、
国会は5年に一度、日銀のトップ人事を決める権限がある。
・日銀の株主への配当は日銀法で資本金の100分の5が限度。
現在、資本金が1億円なので、利益が6000億円あっても、配当は
たった500万円。ほぼゼロと同じ。
・それでいて、日銀の利益のほとんどは「国庫納付金」で政府に戻っている
という状態です。
つまり、
日銀は実質的には政府のほぼ完全子会社といえます。
ということは…
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