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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
工学修士(大阪大学)、都市情報学博士(名城大学)。
2009年、著書「国債を刷れ!」で「政府のみならず民間を合わせた国全体の連結貸借対照表(国家のバランスシート)」を世に送り出した経済評論家、"国家破綻セラピスト"です。
「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」--財政赤字や政府債務GDP比は、国家経済の本質的問題では全くありません!
モノは有限、カネは無限。国家・国民の永続的繁栄に必要なのは、国の借金を減らすとかそんなことでは全くなく、いかにモノを確保するか。モノを確保し続けるための技術投資こそがカギ。技術立国という言葉は伊達にあるわけではなく、カネとか国の借金はそのための手段、道具、方便に過ぎません。
このように「モノを中心に考える」ことで、国の借金に対する悲観的常識を根こそぎ打ち破り、将来への希望と展望を見出すための”物流中心主義”の経済観を展開しております。”技術立国・日本”が世界を救う!
 お問い合わせは当ブログのメールフォーム(下の方にあります)やコメント欄(内緒設定もご利用ください)や、ツイッターのダイレクトメッセージをご利用ください。

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94:新株発行マジック!

2009/09/17 (Thu) 12:33

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昨日

【不動産、機械装置は「純資産」】
続きです。


今日は、

新株発行→機械装置の購入(設備投資)

流れを見て行きます。


これがやってみると、

いつの間にか社会全体で純資産が増えるという、実に摩訶不思議な

新株発行マジック

となっています。



まず、新株発行の仕訳と財務諸表です。

A社が新株を発行し、B社がその新株を買うという設定です。






別に、
この話では銀行はいらないのですが、
ここまで書く人も他になかなかいないと思いますので、敢えて書きます。

というのも、
マクロ経済について考える時は、常にここまで視野を広げて見ておく習慣を付けておいた方が良いと思われるからです。

いつものように、銀行にとっては、債権者が交代するだけですね。








ここで、注目です。


B社の資産・純資産が変化していないのに、

A社の資産・純資産が増えています!


そして、A社+B社+銀行の連結で考えると、

資産・純資産がともに10億円増えていますね!


何やら、孫悟空が髪の毛(いや、体毛?)をバリっと引き抜いて息を吹きかけると、

ちっちゃいクローンが一杯出てくるのに、非常に似ています。

これぞまさに、

モンキーマジック

です。


もうちょっと身近な例えをしておきますと、

トヨタが新株発行(増資)しました。

そのとき、あなたが10万円分のトヨタの新株を買いました。

すると、

あなたの預金は10万円減りますが、トヨタ株10万円と置き換わるだけで、

あなたの資産は減りません。


そして、
トヨタは新たに10万円の、返済義務のない資産(純資産)を獲得します。


ということは、

「トヨタ+あなた」の資産・純資産が合計で10万円増えた

ということです。

これ、つまり、信用創造の一種です。


私はこのようなさまをいつも、

プリンセス天功も真っ青のスーパーイリュージョン

と書いていますが、

今回の新株発行の事例が一番分かりやすいかも知れません。


さて、続いて、

A社が新株発行で設備投資(機械装置の購入)をした場合です。

本当は、もう一つ「C社」を登場させようと思ったのですが、出演者が多いと訳が分からなくなりそうだったので、

B社がA社に機械装置を売る

という設定にします。










*単純のため、B社の機械装置製造販売コストをゼロにしています。
 
 これは、なかなかあり得ない設定ですが、

 B社が打ち捨てられた機械装置をタダで譲り受け、

 それを人海戦術で蘇らせた

 とします。

 つまり、人件費だけで済んだという設定です。

 そして、B社に関してはB社自体と従業員の連結決算とします。

 そうすれば、無理やりですが、なんとか、
 
 売り上げがまるまる利益になるという設定になりますね。

 (まあ、単純にB社が付けた付加価値が10億円分あっただけ、
  と捉えていただければ、と思います^^)


さて、

あまり色々書き過ぎるとごちゃごちゃするので、

最後の連結バランスシートだけ見ましょう。


初期状態→取引後

で、


資産:機械装置10億円の増加

純資産:そのまま10億円増加

となっていることに注目しましょう。


これもいわゆる一つのモンキーマジック、いや、信用創造です。


もちろん、

機械装置の評価額は、耐用年数に応じて減価償却(耐用年数が経過すれば評価額ゼロ)

することになりますので、

この機械装置に対応する純資産は時間とともに減っていきます。

しかし、

その機械を使って「生産」し、減価償却以上の収益を獲得すれば、純資産を増やすことが可能です。


また、もう一つの考え方は、

世の中に有形資産が「機械装置」しかない世界を考えるとして、

社会全体で減価償却を上回るペースで新しい機械装置を次々に購入すれば、

純資産は増える一方です。


上記の仕訳やバランスシートを見れば分かりますように、

預金というマネーはまったく減っていません。

この減ることの無いマネーを次から次へと回転させ、次から次へと機械装置の購入を繰り返すということは、論理的には何の問題も無く可能なわけです。

そして、機械装置の購入はそのまま「民間投資」としてGDPに算入されるわけですから、

減ることの無いマネーの回転速度を加速すれば、GDPが増加し、社会全体の純資産も増加するわけです。

これこそが、経済成長、というわけです。


しかし、

もちろん、世の中を機械装置で埋めつくしてしまえば、さすがに「もう機械装置は要らん」という時が来ます。

そのときは、

経済についての目標

成長→現状維持

に転換する必要がある場合もあり得るでしょう。


いずれにせよ、最終的に必要なのは
100年後でも1000年後でも、国民生活に必要なモノやサービスの供給を滞りなく行うこと
です。


これができる経済システムであれば、資本主義ろうが社会主義だろうが物々交換経済だろうが、なんでも良いわけです。

目的は国民生活にあるのであって、経済システムそのものが目的化しては本末転倒です。


とまあ、ちょっと脱線しましたが、


最後に、

新株発行から機械装置購入に至る

初期状態と最終状態の連結バランスシートを見てみましょう。

まずは、

・普通の企業会計のバランスシート

・金融資産のみのバランスシート

の二つ。





普通の企業会計バランスシートでは、

資産が株式10億円+機械装置20億円の合計20億円増加

純資産も20億円増加


金融資産のみのバランスシートでは、

資産が株式10億円増加

純資産も10億円増加


という結果になっています。


さらに、
資産は金融資産のみで、かつ、株式を発行者の負債として計上する

・資金循環統計スタイルのバランスシート

を作ってみると




で、純資産(金融純資産)は増減ゼロです。


ただし、

資産、負債が両建てで10億円増えています。


これは、預金の場合と同じです。

預金は、
預かっている側にとっては負債、預ける側にとっては資産

です。


また、現金については、本来返済義務がないので「負債」とは言えませんが、

中央銀行にとっては負債、それ以外の主体にとっては資産

となっています。

株式も形式上、発行体の負債とすることで、

資金循環統計上では、預金や現金とまったく同じように取り扱えるようになるわけですね。

つまり、
株式発行=マネー創造
という取り扱いです。


ただし、

株式というのは、
現金や預金と違って、その価値が激しく増減しやすいという性質を持っているということには、留意が必要ですね。


以上、プリンセス天功も真っ青のスーパーイリュージョン物語でした。

「新株発行、設備投資で(企業会計上の)純資産が増えるとは! まさに、モンキーマジック!!!」 と思われた方は、↓下のリンクのクリックをお願いいたします

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